JP2004146713A - R−t−n系磁粉の製造方法およびr−t−n系ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−n系磁粉の製造方法およびr−t−n系ボンド磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Zn粉末だけでなく他の特性を有する被膜を含めてR−T−N系磁石の磁気特性向上を計るものであり、容易にその被膜を形成し、かつ平均粒度を好ましい範囲に調整可能なR−T−N系磁粉の製造方法およびR−T−N系ボンド磁石の製造方法を提供することである。
【解決手段】有機溶媒中にR−T−N系(RはYを含む少なくとも1種の希土類元素でありSmを必ず含み、TはFeまたはFeとCoである)磁石用合金原料およびA粉末(AはZn、反強磁性体、および反磁性体から選ばれた少なくとも1種である)を前記磁石用合金原料に対して0.1〜5質量%添加し、次いで媒体攪拌ミルにより粉砕し、その後乾燥することを特徴とする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は広範囲な磁石応用品分野、例えば各種の回転機、静電現像方式のプリンタや複写機等に用いるマグネットロール、ボイスコイルモータやリニアモータ等に代表される各種のアクチュエータ、音響用スピーカ、ブザー、センサー、吸着又は磁界発生用磁石等に有用であり、2−17型結晶構造相を主相とするR−T−N系磁粉の製造方法とそれを用いたR−T−N系ボンド磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類元素(R)、遷移金属(T)及び窒素(N)からなるR−T−N系ボンド磁石の生産が開始されている。R−T−N系ボンド磁石はフェライト焼結磁石に比べて形状自由度に富み、加工性に優れ、高い磁気特性を有することから、今後各種磁石応用品分野への採用が検討されている。
【0003】
従来のR−T−N系磁石の製造では磁気特性を向上するため手段としてM元素を添加することが記載されており、例えば特開平3−153852号公報では高融点元素Mhおよび無機化合物Miを添加することで強磁性粒子の粒界部にM成分の分散性が良好な2相分離型の微構造を有する高磁気特性の焼結磁石が得られるとしている。実施例ではR−T−N系微粉にZn粉末を添加し振動ミルにより平均粒径7μmの微粉体を得た後にホットプレスすることが記載され、保磁力の良好なR−T−N系磁石が得られることが開示されている。このようにR−T−N系磁石の微粉体にZnを被覆することで保磁力を改善できることがいくつかの文献で報告されている。
【0004】
だが、これらの理論的な技術はあるものの特開平5−234729号公報に記載されているように、Zn粉末とR−T−N系粉末とを機械的に混合しても、実際は数μmであるR−T−N系微粉に他の合金を被覆するのは実質的に不可能である。よって同公報ではR−T−N粒子の表面に電解めっきでZnを被覆することを提案しており、磁気特性と耐食性が改善されたR−T−N系磁石粉末が提供できるとしている。しかしながらこの方法でZn皮膜を形成するには以下のことが問題視される。R−T−N系微粉は数μmの粒径であるため、めっき液中に磁粉を攪拌しようとすると液中で磁粉が凝集して粒子表面に均一な膜を施すことが非常に困難である。通常考えられる手段としてめっき液を攪拌しながら電解めっきすることがあげられるが、当然大量生産に適用するには相当の設備が必要となる。これらのことから設備的に簡易であり生産的に容易である機械粉砕を用いてR−T−N系粉に所定の合金を被覆することが好ましい。またZn被覆だけでなく、所定の特性を有する他の皮膜を形成することで磁気特性を向上させる検討も重要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、Zn粉末だけでなく他の特性を有する被膜を含めてR−T−N系磁石の磁気特性向上を計るものであり、容易にその被膜を形成し、かつ平均粒度を好ましい範囲に調整可能なR−T−N系磁粉の製造方法およびR−T−N系ボンド磁石の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明の磁粉は、有機溶媒中にR−T−N系(RはYを含む少なくとも1種の希土類元素でありSmを必ず含み、TはFeまたはFeとCoである)磁石用合金原料およびA粉末(AはZn、反強磁性体、および反磁性体から選ばれた少なくとも1種である)を前記磁石用合金原料に対して0.1〜5質量%添加し、次いで媒体攪拌ミルにより粉砕し、その後乾燥することを特徴とするものである。適量のA粉末と共に有機溶媒中で媒体攪拌ミルにて粉砕し、平均粒度1.5〜3.5μmの磁粉とすることで、AまたはAを構成する元素を含む化合物をその磁粉表面に被覆させた2−17型硬質磁性相の単結晶粒の集合体からなる磁粉が得られる。
【0007】
ここで、媒体攪拌ミルとは、有機溶剤等の溶媒中に被粉砕物(R−T−N系磁石用合金粉末およびA粉末)と媒体(例えばジルコニア等の粉砕用球体)を入れ、モータ等の回転動力により収納容器を動かさずに内部の溶媒、被粉砕粉、媒体のみを強制的に攪拌することによって被粉砕物を粉砕するミルのことであり、媒体の径としては0.3〜2mmのものを使用する。さらに好ましい媒体の径は0.5〜1.5mmである。収容容器内の媒体の攪拌スピードは5〜20m/秒、好ましくは8〜12m/秒である。これによりR−T−N系用粉末の粉砕後の平均粒径が1.5〜3.5μmで、粒度分布は0.9〜6.0μmのものが80%以上である磁気特性に優れたR−T−N系磁粉を得ることができるとともに磁粉の表面に保磁力を向上させる被膜を確実に形成することができる。ボールミルは収納容器自体を回転させて媒体と被粉砕粉のせん断力などによって粉砕するものであるが、この方法では媒体の運動エネルギーが媒体攪拌ミルと比較して小さいため、衝突時の反応によりAまたはAを構成する元素を含む化合物をその磁粉表面に緻密かつ均一に被覆させることは困難である。
【0008】
本発明において、磁粉表面のAまたはAを構成する元素を含む化合物は、SmFeN粉末の表面に5〜500nmの厚みで、SmFeN粉末を包むように存在するものである。用いるAとしては、例えばZn粉末またはNiO、CuO、NiMn、CrMn、ZnMn、CrAl、MnIr、PdMnといった反強磁性粉末またはBi、Cu、SiO2、FeSといった反磁性粉末などがある。
【0009】
本発明の磁粉の平均粒径は1.5〜3.5μmが好ましい。平均粒径が1.5μm未満では、比表面積の増大による酸化物相の増加、あるいは磁場を印加して異方性磁石を製造する場合には配向性が悪くなるためBrが低下し、平均粒径が3.5μm超では固有保磁力HcJが著しく低下する。平均粒径は1.8〜2.8μmがより好ましく、2.2〜2.7μmが特に好ましい。本発明において平均粒系は乾式レーザ回折粒度分布計にて測定を行なっている。
Aは平均粒径が10μm以上のSm−Fe−N粗粉を有機溶媒中で媒体攪拌ミルにより粉砕する時に添加することによって、磁粉の表面にAが反応して存在するか、Aを構成する元素を含む化合物が生成する。AがZnの場合は磁粉表面の軟磁性相がFe−Zn化合物となり磁性を持たなくなるので、磁化方向に対して逆方向の外部磁界を印加した場合において逆磁区の芽の発生が抑制されるので保磁力が増加する。Aが反強磁性体(例えばNiO、CuO、NiMn、CrMn、ZnMn、CrAl、MnIr、PdMn)または反磁性体(例えばBi、Cu、SiO2、FeS)の場合は、それぞれ強磁性−反強磁性結合または強磁性−反磁性結合により磁化反転が抑制されるために保磁力が増加する。更に、媒体攪拌ミルでは粉砕時に磁粉が分散するので、均一な粉砕が実現されるので粒度分布がシャープとなる。このとき0.9μm以上かつ6.0μm以下の磁粉が全体の80%以上を占める。粒度分布がシャープになることで固有保磁力HcJの低い粗大粉が減るので、更に保磁力が高く減磁曲線の角形性のよい、つまりBHmaxが高い磁粉を得ることが可能となる。
この磁粉を用いて成形することで高い保磁力を持つ磁石を製造することができる。この磁石には2−17型硬質磁性相の単結晶粒の集合体からなる磁粉、およびバインダーが含まれ、マトリクス中に分散されている。更に、成形時に磁場を印加することにより個々の磁粉が回転して磁化容易軸(c軸)が配向し、よりBrの高い異方性磁石を製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の磁粉の組成限定理由を説明する。%と単に記しているのは質量百分率を意味する。
R含有量は20〜30%が好ましく、22〜28がより好ましい。R含有量が20%未満では室温のHcJが397.9kA/m(5kOe)未満になり、30%超では(BH)maxが大きく低下する。RはSm,La及び不可避的R成分からなり、La含有量は5%以下にするのが好ましく、3%以下にするのがより好ましい。Y,Ce,Pr,Nd,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuの群から選択される少なくとも1種が不可避的R成分に該当する。La含有量が5%超では(BH)maxの低下が顕著になる。Smミッシュメタル等の安価な混合希土類合金をR用原料合金として用いるのが実用的である。室温のHcJ≧397.9kA/m(5kOe)を得るために、Rに占めるSm比率を50原子%以上にするのが好ましく、95原子%以上にするのがより好ましい。磁粉中の窒素含有量は2.5〜4.0%が好ましい。窒素含有量が2.5%未満及び4.0%超ではiHc及び(BH)maxが大きく低下し、有用な磁気特性を得ることが困難になる。
【0011】
また、A粉末は磁粉質量に対して0.1〜5質量%が好ましい。A粉末が0.1質量%未満ではAまたはAを構成する元素を有する化合物の相がSmFeN粉末表面に均一に生成できず、iHcの増加が十分でなくなる。A粉末が5%超では硬磁性を有するSmFeN相の体積比が減少してBrが小さくなる。
さらに磁粉中の酸素含有量は0.5〜1.5%が好ましい。酸素含有量が0.5%未満では大気中の酸素と反応して加熱し、発火することが多い。1.5%超ではHcJとBHmaxが低下する。
これにより保磁力が15kOe以上の磁粉を得る事ができる。
【0012】
Feの一部をCoで置換することによりキュリー点、磁化及び耐酸化性が向上するので好ましい。Co含有量は0.1〜20%とするのが好ましく、1〜10%とするのがより好ましい。Co含有量が0.1%未満では実質的な添加効果を得られず、20%超では磁化の低下が大きくなり好ましくない。
またFeの一部をGa,Al,Zn,Sn,Cr,Ni,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Pd,C,Si及びGeの群から選択される少なくも1種の元素で置換することにより磁気特性や耐食性を向上できるので好ましい。これら元素の含有量の合計は0.5〜10%が好ましい。前記含有量が0.5%未満では実質的に添加効果が得られず、10%超では磁化の低下が顕著になる。
【0013】
本発明の異方性磁粉には製造上混入が避けられないAl,Si,F,Na,Mg,Ca及びLiの群から選択される少なくも1種の不可避的不純物元素を合計で5%以下含有することが許容される。また、窒化に供するR−Fe系母合金は、例えば還元/拡散法、高周波溶解法、アーク溶解法、又はストリップキャスト法により作製することができる。
【0014】
還元/拡散法によりR−Fe系母合金を作製する場合の好ましい製造条件を以下に説明する。
まず、R酸化物粉末、及び平均粒径が約50μmのFe粉末を用い、本発明の磁粉に対応するR−Fe系母合金の主要成分組成に配合し、さらに前記配合物中のR酸化物が化学反応式上100%還元される量(化学量論的必要量)の0.5〜2倍に相当する量の還元剤(金属Ca)を前記配合物に添加し、混合する。次に混合物を不活性ガス雰囲気中で1000〜1300℃×1〜20時間加熱し、R酸化物を還元し、次いで還元したR,Feを十分に相互拡散させた後室温まで冷却する。還元剤の添加量が化学量論的必要量の0.5倍未満では工業生産上有益な還元反応が実現されず、2倍超では最終的に得られる磁粉に残留するCa量が増大し磁気特性の低下を招く。また前記加熱条件が1000℃×1時間未満では工業生産上有益な還元/拡散反応が進行せず、1300℃×20時間超では還元/拡散反応炉の劣化が顕著になる。得られた反応生成物を洗浄液中に投入し、CaO等の反応副生成物を洗い流した後、脱水及び真空での加熱乾燥を行い、還元/拡散法によるR−Fe系母合金が得られる。
このR−Fe系母合金には不可避的に所定量のCaが混入する。Ca含有量は通常0.4質量%以下になり、洗浄及び乾燥条件を適宜選択することにより0.2質量%以下にすることができ、特に0.1質量%以下にすることができる。このRD−洗浄後の微粉砕前の粗粉(平均粒径10μm以上)における酸素含有量は通常0.8質量%以下になり、洗浄及び乾燥条件を適宜選択することにより0.4質量%以下にすることができ、特に0.2質量%以下にすることができる。炭素含有量(微粉砕前の粗粉中)は通常0.3質量%以下になり、洗浄及び乾燥条件を適宜選択することにより0.2質量%以下にすることができ、特に0.1質量%以下にすることができる。
【0015】
高周波溶解法、アーク溶解法、又はストリップキャスト法により作製したR−Fe系母合金は、不活性ガス(窒素を除く)雰囲気中で1010〜1280℃×1〜40時間加熱する均質化熱処理を行い、次いで室温まで冷却することによりαFeやSmFe等の偏析相を低減することができる。均質化熱処理の条件が1010℃×1時間未満では拡散が十分でなくαFeやSmFe等が残留し、1280℃×40時間超では均質化熱処理の効果が飽和し、Sm等の蒸発による組成ずれが顕著になる。
【0016】
窒化について説明する。水素が1〜95体積%で残部が窒素からなる(水素+窒素)の混合ガス、あるいはNHの体積%が10〜90%で残部水素からなる(NH+水素)の混合ガスの雰囲気中で300〜650℃×0.1〜30時間加熱するガス窒化を採用するのが好ましい。ガス窒化の加熱条件は400〜550℃×0.5〜20時間がより好ましい。300℃×0.1時間未満では窒化が事実上行われず、650℃×30時間超では逆にRN相やαFe、アモルファス相を生成し磁気特性が顕著に低下する。窒化ガスの圧力は2.0×10〜1.0×10Pa (0.2〜10atm)が好ましく、5.0×10〜5.0×10Pa (0.5〜5atm)がより好ましい。2.0×10Pa(0.2atm)未満では窒化反応が非常に遅くなり、1.0×10Pa (10atm)超では高圧ガス設備によるコスト増を招く。
【0017】
窒化後に、真空雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中(窒素ガスを除く)で300〜600℃×0.5〜50時間の熱処理を行うと残留磁束密度,HcJ,及び(BH)maxを高めることができる。
窒化処理後は磁粉の平均粒径が10μm以上であり、このままではHcJが実用的な磁石としては小さい。HcJを高めるためには、磁粉の粒径を粉砕によって小さくする必要がある。粉砕手段として他に、ボールミル、ジェットミル、振動ミル、アトライター等によっても平均粒径を3.5μm以下にすることができるが、媒体攪拌ミルを用いた湿式粉砕としないとAまたはAを構成する元素を含む化合物をその磁粉表面に被覆させることは困難である。微粉砕時にA粉末を適量(磁粉質量に対して0.1〜5質量%)添加し、平均粒度を1.5〜3.5μmにすることで従来より保磁力の高い磁粉を製造することができる。
【0018】
本発明のR−T−N系磁粉の主相は2−17型結晶構造を有する硬質磁性相であり、不可避的に存在するαFe及び/又は不純物相(酸化物、炭化物等)、R−T−N系表面に生成したAまたはAを構成する元素を含む化合物以外は2−17型結晶構造を有する硬質磁性相のみからなるのが好ましい。
室温のHcJ≧397.9kA/m(5kOe)を得るために、本発明の異方性磁粉に存在するαFeの比率を、平均面積率で5%以下にする必要があり、3%以下とするのが好ましく、1%以下とするのが特に好ましい。
硬質磁性相、及び不可避的に存在するαFe等の同定、並びに各相の面積比率の算出は、電子顕微鏡又は光学顕微鏡等により撮影した異方性磁粉の断面組織写真、電子回折結果、並びにX線回折結果等を考慮して求める。例えば、対象とする異方性磁粉粒子の断面組織を撮影した透過型電子顕微鏡写真及びその断面組織の同定結果を符合させて求めることができる。
【0019】
本発明の磁粉を用いた磁石は、ナイロン等に必要に応じて界面活性剤を含ませたバインダーと磁粉を混合させた成形材料を加熱しながら磁界を印加して磁粉の配向と着磁を行いながら射出成形するといった方法で得ることができる。あるいは、アクリル系ゴムのようなエラストマー成分に必要に応じて界面活性剤を含ませたバインダーと磁粉を混合させた着磁性エラストマー組成物を成形材料とする。これを加熱しながらカレンダーロールにて圧延してシート状とし、シートの厚み方向に磁界を印加して磁粉の配向と着磁を行うか、または磁場中で押し出し成形するといった方法で得ることができる。
【0020】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はそれら実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
高周波溶解によりSm24.4Fe75.6(質量%)の母合金溶湯を作製し、鋳型鋳造した。得られたインゴットをアルゴンガス雰囲気中、1100℃で10時間加熱し、次いで室温まで冷却する均質化熱処理を行った。このSmFe17相を主相とする合金をN雰囲気中で75μm以下に粉砕(粗粉砕)、分級した後、分圧35kPaのNHと分圧65kPaのH2の混合ガス中にて723Kで5時間窒化処理し、SmFe17を主相とする組成(Sm24Fe7596.63.4(質量%)の粉末を得た。このときの平均粒径は24μm(Sympatec社製、HELOS・RODOSにより測定)であった。この磁粉はThZn17型結晶構造の硬質磁性相と微小なαFeからなり、αFeの平均面積率は0.1%であった。次に、この粉末に粒子径が75μm以下のA粉末(Zn粉末)をSmFeN粉末に対して1wt%混合し、媒体撹拌ミルにて湿式粉砕した。溶媒はIPA(イソプロピルアルコール)、媒体は1.0mmの径のジルコニア(ZrO)球体を用いた。ミルの周速度を11m/secとし、20分間粉砕した。このときスラリーの温度は323Kまで上昇した。得られた粉末は真空中で乾燥し、更にO2濃度3vol%のNと空気の混合ガス気流中にて徐酸化処理を行った。次に、VSM用の銅容器中に所定量の微粉砕をした磁粉とパラフィンワックスとを充填し、密封した。その後、銅容器を1.59MA/m(20kOe)の平行磁場を印加したまま80℃に加熱してパラフィンワックスを溶かし、磁粉を配向させ、室温まで冷却して磁粉を固定した。次いで最大印加磁場1.59MA/m(20kOe)のVSMを用いて、磁粉の室温の磁気特性を測定した。得られた測定値を100%磁粉のみに換算(理論密度を7.65Mg/m)した結果を磁粉の諸特性と共に表1に示す。表中の分布とは粒度分布のことであり、0.9μm以上かつ6μm以下の粒径の磁粉が全体に占める割合を示す。
次いで、この磁粉を用いて射出成形を行い、磁石化した。バインダーはナイロン12とし、磁粉60vol%と混練してコンパウンドを得た。更にこのコンパウンドを射出成形機で成形した。この成形体をBHトレーサーで測定した磁気特性の値も表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 2004146713
【0022】
(実施例2〜13)
実施例1において粉末AをそれぞれNiO、CuO、NiMn、CrMn、ZnMn、CrAl、MnIr、PdMn、Bi、Cu、SiO2、FeSとした場合を表1に示す。また、比較として実施例1において粉末Aを添加しない条件で比較実験を行なった。比較例1とし表1に示す。また、実施例1〜13において湿式粉砕の手段を媒体攪拌ミルからボールミルとして比較実験を行なった。比較例2〜14として表1に示す。
【0023】
(実施例14)
実施例1のR−T−N系磁粉を用いてシート状磁石を成形した。シート状磁石の成形においては、前記の磁粉の89.7質量部に対してアルキルアクリレート系のアクリル樹脂を7.0質量部添加した。また界面活性剤としてステアリン酸を2.5質量部添加した。安定剤には芳香族系のアミン系酸化防止剤を0.2質量部用いた。さらに表面処理材としてシランカップリング剤を0.6質量部添加した。これらを混練機において加熱しながら混練した。混練物を冷却後、粒径5mm以下に粉砕し、シート成形用のコンパウンドを得た。
このコンパウンドを50〜150℃に温度調整されたカレンダーロールにより引き伸ばし、厚さ1.2mmのシート状磁石成形体とした。この成形体を100mm×100mmの寸法で切断し、その後、平坦な面同士でプレス可能な磁場印加装置に設置し、1kPaの圧力中で両面を約15〜50℃の温度で加熱し、2万Oeの配向磁場をシートの厚み方向に印加した。さらに前記と逆の方向にも同様の条件で磁場を印加した。これを繰り返し、厚み方向に5回磁場を印加し、磁気特性を評価したところ従来のR−T−N系磁粉および粉砕方法を用いたものより良好な磁気特性となることを確認した。
【0024】
【発明の効果】
以上記述の通り、本発明によれば、A粉末(Zn粉末、反強磁性粉末、または反磁性粉末の1種以上)を媒体攪拌ミルによる微粉砕時に添加し、平均粒径を調整することによって良好な磁気特性を有する磁粉、及びそれを配合してなる高性能のボンド磁石を提供することができた。

Claims (3)

  1. 有機溶媒中にR−T−N系(RはYを含む少なくとも1種の希土類元素でありSmを必ず含み、TはFeまたはFeとCoである)磁石用合金原料およびA粉末(AはZn、反強磁性体、および反磁性体から選ばれた少なくとも1種である)を前記磁石用合金原料に対して0.1〜5質量%添加し、次いで媒体攪拌ミルにより粉砕し、その後乾燥することを特徴とするR−T−N系磁粉の製造方法。
  2. 粉砕後の磁粉の平均粒径が1.5〜3.5μmであり、かつ粒度分布は0.9〜6.0μmのものが80%以上である請求項1に記載のR−T−N系磁粉の製造方法。
  3. 有機溶媒中にR−T−N系(RはYを含む少なくとも1種の希土類元素でありSmを必ず含み、TはFeまたはFeとCoである)磁石用合金原料およびA粉末(AはZn、反強磁性体、および反磁性体から選ばれた少なくとも1種である)を前記磁石用合金原料に対して0.1〜5質量%添加し、次いで媒体攪拌ミルにより粉砕し、その後乾燥したR−T−N系磁粉をバインダーとを混練してコンパウンドとし、成形することを特徴とするR−T−N系ボンド磁石の製造方法。
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