JP2001299728A - 採血針 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気透過性血液不透過性フィルタとしてメン
ブレンフィルタと焼結フィルタの両方を問題なく使用で
き、成形が容易な採血針を提供する。 【解決手段】 先端および基端に鋭利な刃先２１、２２
を有する針管２と、該針管２の中間部位に外挿されたハ
ブ３と、該ハブ３の基端側に取り付けられ、前記針管２
の基端側の刃先２２を収納するように形成された弾性キ
ャップ４とを有し、基端側に真空採血管およびホルダを
取り付けることにより採血を行い得る採血針１におい
て、前記ハブ３は針管支持部材３１、ホルダ接続部材３
２および弾性キャップ接続部材３３からなり、それらの
部材が弾性キャップ４内部を外部雰囲気と連通させる、
間隙５１、５２、５３および５４からなる通気路を形成
するように組み立てられており、前記通気路の中間部位
に空気透過性血液不透過性フィルタ６が設けられてなる
採血針１である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は採血針に関し、さら
に詳細にはその一端を被検者の血管に穿刺し、他端を真
空採血管内に連通させて、真空採血管内の負圧に応じた
量の血液を採取できるようにした採血針に関する。本発
明の採血針によれば、他端を真空採血管に連通させる前
に一端が被検者の静脈に穿刺されたことを確認できる。

【０００２】

【従来の技術】従来から真空採血管による採血に際し
て、真空採血管を取り付ける前に、針が確実に被検者の
静脈に穿刺されたこと、いわゆるフラッシュバックを確
認できるような採血針が提案されている。

【０００３】このような採血針としては、例えば、略筒
状のハブと、該ハブの軸方向両端から延出する鋭利な先
端を有する針管と、該針管の一端を包囲するように前記
ハブに嵌着された有底筒状の弾性キャップとからなり、
前記ハブに前記弾性キャップ内部と外部とを連通させる
通気孔が設けられ、該通気孔の外部口部に空気透過性血
液不透過性フィルタが設けられた採血針（特開平４−１
３２５４１号公報、特開平４−３６４８３１号公報、特
開平７−３７９号公報、特開平８−１５０１３４号公報
等）等が挙げられる。これらの採血針は、フラッシュバ
ックを確認するために、該採血針を被検者の静脈に穿刺
した時に該採血針内に血液が流入するように空気は外部
へ逃がしながら、その流入した血液は外部へ漏れること
がないように、空気透過性血液不透過性フィルタを設け
たものである。前記空気透過性血液不透過性フィルタと
しては、メンブレンフィルタや焼結フィルタなどが用い
られている。

【０００４】しかし、特開平４−１３２５４１号公報、
特開平７−３７９号公報および特開平８−１５０１３４
号公報に記載された採血針は、ハブの成形時に該ハブの
内部に通気孔を形成する必要がある。前記通気孔は、前
記ハブ自体を小さくするために、その孔径をなるべく小
さく形成することが好ましいので、前記ハブの構造は自
然と複雑になり、成形が困難になってしまう。また、空
気透過性血液不透過性フィルタとしてメンブレンフィル
タを用いた場合、メンブレンフィルタは壊れやすいもの
であるため、融着によりハブに固着する場合は、フィル
タを破損するおそれがある。さらに、空気透過性血液不
透過性フィルタとして焼結フィルタを用いた場合、上記
採血針（特開平４−１３２５４１号公報、特開平４−３
６４８３１号公報、特開平７−３７９号公報、特開平８
−１５０１３４号公報）はいずれもフィルタが通気孔の
外部口部、あるいは大きく開口された通気孔の内部に備
えられているため、焼結フィルタが外部雰囲気中の水分
を吸収して、目詰まりを起こすおそれがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑み、本発
明は融着によるフィルタ破損のおそれがなく、また外部
雰囲気中の水分によるフィルタの目詰まりのおそれがな
く、さらにハブの構造が簡単で成形が容易な採血針を提
供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々鋭意検討した結果、組み立てたとき
にそれぞれの部材間の間隙により通気路ができるような
形状を有する３つの部材からなるハブを用い、該ハブの
通気路の中間部位にフィルタを備えることにより、所期
の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。

【０００７】すなわち、本発明は先端および基端に鋭利
な刃先を有する針管と、該針管の中間部位に外挿された
ハブと、該ハブの基端側に気密的に取り付けられ、前記
針管の基端側の刃先を収納するように形成された弾性キ
ャップとを有し、基端側に真空採血管およびそれを保持
するためのホルダを取り付けることにより採血を行い得
る採血針において、前記ハブは針管支持部材、ホルダ接
続部材および弾性キャップ接続部材からなり、それらの
部材が弾性キャップ内部を外部雰囲気と連通させる通気
路を形成するように組み立てられており、前記通気路の
中間部位に空気透過性血液不透過性フィルタが設けられ
てなることを特徴とする採血針である。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の採血針を添付図
面に示す好適な実施例に基づいて詳細に説明するが、本
発明はこれらの説明に限定されるものではない。図１
は、本発明の採血針の一実施例を示す断面図であり、図
４は、本発明の採血針の他の実施例を示す断面図であ
る。本発明の採血針１は、先端および基端に鋭利な刃先
２１、２２を有する針管２と、該針管２の中間部位に外
挿されたハブ３と、該ハブ３の基端側に取り付けられた
弾性キャップ４とを有している。本発明の採血針１にお
いて、先端とは患者に穿刺する側（図中、左側）を、基
端とは真空採血管（図示せず）に穿刺する側（図中、右
側）を指す。

【０００９】本発明における針管２は中空の管であり、
その先端および基端には鋭利な刃先２１、２２が形成さ
れている。前記刃先２１は患者に、刃先２２は真空採血
管に穿刺する際の刺通抵抗を低くするために、傾斜した
刃面を有している。前記針管２の材料としては、ステン
レス鋼、アルミニウム、チタン、あるいはこれらの合金
などの金属材料があげられる。

【００１０】前記針管２の中間部位には、ハブ３が外挿
されている。前記ハブ３は、該ハブ３の先端側で、例え
ば接着剤Ｓにより前記針管２に気密的に固着されてい
る。前記接着剤Ｓとしては、エポキシ硬化剤やＵＶ硬化
型接着剤等が用いられる。前記ハブ３は、針管支持部材
３１、ホルダ接続部材３２および弾性キャップ接続部材
３３の３つの部材からなり、それらの部材を組み立てる
ことにより、弾性キャップ内部を外部雰囲気と連通させ
る通気路が形成されている。前記３つの部材はいずれも
中空の管体であり、射出成形等によって成形される。前
記３つの部材は、フラッシュバックを容易に確認するた
めに、透明ないし半透明の材質が好ましく用いられ、具
体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテ
ン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ＡＢＳ
樹脂等があげられる。前記３つの部材は、嵌合、超音波
や熱による融着、あるいは接着剤などによって組み立て
られ、ハブ３を形成する。

【００１１】前記針管支持部材３１は、その内腔の最も
小さい部分の内径が、前記針管２の外径より若干大きく
なるように形成されている。前記内腔内には前記針管２
が挿入され、該針管２は該針管支持部材３１の先端側で
接着剤Ｓにより該針管支持部材３１と気密的に固着され
る。前記接着剤Ｓは、図１に示すように前記針管支持部
材３１と針管２の間隙の一部を埋めるように使用されて
も差し支えない。図２は、図１に示す採血針１のＡ−Ａ
線断面図である。前記針管支持部材３１の先端側外周に
は、図２に示すようなリブ３１１が設けられていても良
い。前記リブ３１１は、針キャップ（図示せず）と係合
して、針キャップ内で採血針１が回転することを防止す
るため等に使用される。

【００１２】前記ホルダ接続部材３２は、内腔が弾性キ
ャップ接続部材３３を挿入可能な大きさを有しており、
その先端部は前記針管支持部材３１の基端部と固着され
る。前記ホルダ接続部材３２の基端側外周には、ねじ部
３２１が設けられており、該ねじ部３２１に真空採血管
を保持するためのホルダ（図示せず）の口部が螺合され
るようになっている。

【００１３】前記弾性キャップ接続部材３３は、内径が
前記針管２の外径よりも若干大きく形成されている。前
記弾性キャップ接続部材３３の基端部には、係止部３３
１が形成されており、これにより弾性キャップ４を気密
的に、かつ離脱できないように係止する。図３の（ａ）
は、図１に示す採血針１のＢ−Ｂ線断面図である。図３
の（ａ）に示すように、前記ホルダ接続部材３２と弾性
キャップ接続部材３３は、少なくとも一部が固着されて
いることが好ましい。

【００１４】前記弾性キャップ接続部材３３の係止部３
３１に係止される弾性キャップ４は、有底筒状形状を有
しており、針管２の基端側の刃先２２を収納でき、かつ
針管２との間に血液が通ることができる間隙を有する大
きさに形成されている。前記弾性キャップ４の材質とし
ては、天然ゴム、イソプレンゴムやシリコンゴムなどの
合成ゴム、エラストマーなどがあげられる。さらに、前
記弾性キャップ４は、フラッシュバックを容易に確認で
きるように、透明ないし半透明のものであってもよい。

【００１５】前記針管支持部材３１、ホルダ接続部材３
２および弾性キャップ接続部材３３は、図１に示すよう
に、組み立てたときに間隙５１、５２、５３および５４
を形成するような形状を有しており、前記間隙５１、５
２、５３および５４は、弾性キャップ４内部を外部雰囲
気と連通させるための通気路を形成する。前記間隙５１
は、弾性キャップ接続部材３３と針管２との間隙であ
り、前記間隙５２は、針管支持部材３１と針管２との間
隙であり、前記間隙５３は、針管支持部材３１とホルダ
接続部材３２と弾性キャップ接続部材３３との間隙であ
り、前記間隙５４は、ホルダ接続部材３２と弾性キャッ
プ４との間に設けられ、かつ外部雰囲気と連通した間隙
である。前記間隙５１、５２、５３および５４は、針管
２の外周全域に設けられていてもよいが、その一部に設
けられていてもよい。例えば、間隙５３は図３の（ａ）
に示すように、針管２の上下に２箇所設けられていても
良い。また、該間隙５３は、図３の（ａ）に示すように
ホルダ接続部材３２に設けられていても、あるいは図３
の（ｂ）に示すように弾性キャップ接続部材３３に設け
られていても良い。

【００１６】上記間隙５１、５２、５３および５４によ
り形成された通気路の中間部位には、該通気路を遮断す
るように空気透過性血液不透過性フィルタ６が設けられ
ている。前記空気透過性血液不透過性フィルタ６は、メ
ンブレンフィルタや焼結フィルタなど、気体を通過さ
せ、液体を通過させない細孔を有するものであれば特に
限定されないが、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等か
らなる焼結体であり、さらに好ましくは、血液と接触す
ると膨潤して焼結体の細孔を塞ぐ吸水性ポリマーを含有
しているものである。前記吸水性ポリマーとしては、デ
ンプンやアクリル酸塩などがあげられ、その含有率は焼
結フィルターの全重量に対して好ましくは５〜３０％で
ある。

【００１７】前記空気透過性血液不透過性フィルタ６
は、前記通気路内に嵌合によって固着される。嵌合され
る場所は、通気路の内部であれば特に限定されないが、
好ましくは間隙５３内である。例えば、前記空気透過性
血液不透過性フィルタ６は、図１に示す採血針１におい
ては、ホルダ接続部材３２と弾性キャップ接続部材３３
によって、また、図４に示す採血針１の他の実施例にお
いては、針管支持部材３１およびホルダ接続部材３２と
弾性キャップ接続部材３３によって嵌合されている。し
たがって、前記空気透過性血液不透過性フィルタ６がメ
ンブレンフィルタであっても、融着する必要がないた
め、破損するおそれがない。前記空気透過性血液不透過
性フィルタ６が焼結フィルタであれば、その形状は間隙
５３よりも若干大きなものであってもよく、前記間隙５
３に圧入することにより、血液に接触する前の状態にお
いても該間隙に確実に固着することができる。また、前
記間隙５３および５４は、非常に小さな径を有してお
り、かつその全長が長いため、外部雰囲気中の水分が浸
入しにくい。したがって、前記空気透過性血液不透過性
フィルタ６が焼結フィルタであっても、細孔が外部雰囲
気中の水分によって目詰まりを起こすおそれがない。

【００１８】前記通気路を形成する間隙５３は、図１お
よび図４に示すように、空気透過性血液不透過性フィル
タ６を固着させる部分においてのみ、その径が大きく形
成されていても良い。この場合、前記空気透過性血液不
透過性フィルタ６は、フラッシュバックにより採血針１
内に流入してきた血液を外部に漏らすことのない十分な
厚さを確保することができるため、より好ましい。

【００１９】本発明の採血針１は、ホルダ接続部材３２
のねじ部３２１にホルダ（図示せず）を螺合した状態
で、針管２の先端の刃先２１を患者の静脈に穿刺して使
用される。この時、針管２内の空気は前記通気路（間隙
５１〜５４）を通って間隙５４から外部へと逃れ、血液
が針管２内に流入する。該血液は弾性キャップ４内を満
たした後、間隙５１および５２に流入し、前記空気透過
性血液不透過性フィルタ６によりせき止められる。この
ような機構からなるフラッシュバックは、弾性キャップ
４またはハブ３において外部から確認することができ
る。フラッシュバック確認後、前記ホルダ内に真空採血
管（図示せず）が挿入され、前記針管２の基端の刃先２
２が該真空採血管の口部に設けられたゴム栓を穿刺して
該真空採血管内部に挿入されることにより、該真空採血
管内部に血液が流入して採血が行われる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の採血針は、ハブが３つの部材を
組み立てることにより、外部雰囲気に連通する通気路が
形成されるため、ハブ自体の内部に通気路を形成する必
要がなく、その成形が容易である。また、組み立てる際
に空気透過性血液不透過性フィルタを前記部材間に嵌合
させるため、フィルタを融着することにより破損するお
それがない。また、通気路の中間部位に設けた空気透過
性血液不透過性フィルタから外部雰囲気へと続く通気路
および該通気路の外部開口部は非常に小さな径であるた
め、外部雰囲気中の水分によりフィルタが目詰まりする
おそれもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の採血針の一実施例を示す断面図であ
る。

【図２】 図１に示す採血針のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】 図１に示す採血針のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】 本発明の採血針の他の実施例を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 採血針 ２ 針管 ２１、２２ 刃先 ３ ハブ ３１ 針管支持部材 ３２ ホルダ接続部材 ３３ 弾性キャップ接続部材 ４ 弾性キャップ ６ 空気透過性血液不透過性フィルタ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端および基端に鋭利な刃先を有する針
   管と、該針管の中間部位に外挿されたハブと、該ハブの
   基端側に気密的に取り付けられ、前記針管の基端側の刃
   先を収納するように形成された弾性キャップとを有し、
   基端側に真空採血管およびそれを保持するためのホルダ
   を取り付けることにより採血を行い得る採血針におい
   て、前記ハブは針管支持部材、ホルダ接続部材および弾
   性キャップ接続部材からなり、それらの部材が弾性キャ
   ップ内部を外部雰囲気と連通させる通気路を形成するよ
   うに組み立てられており、前記通気路の中間部位に空気
   透過性血液不透過性フィルタが設けられてなることを特
   徴とする採血針。
2. 【請求項２】 前記通気路が、弾性キャップ接続部材と
   針管との間隙、針管支持部材と針管との間隙、針管支持
   部材とホルダ接続部材と弾性キャップ接続部材との間隙
   およびホルダ接続部材と弾性キャップとの間に設けら
   れ、かつ外部雰囲気と連通した間隙からなる、請求項１
   記載の採血針。
3. 【請求項３】 前記空気透過性血液不透過性フィルタ
   が、針管支持部材とホルダ接続部材と弾性キャップ接続
   部材との間隙に設けられてなる、請求項２記載の採血
   針。