JP2001299278A - クプアス種子由来の油脂及びその製造方法と用途 - Google Patents

クプアス種子由来の油脂及びその製造方法と用途

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JP2001299278A
JP2001299278A JP2001108367A JP2001108367A JP2001299278A JP 2001299278 A JP2001299278 A JP 2001299278A JP 2001108367 A JP2001108367 A JP 2001108367A JP 2001108367 A JP2001108367 A JP 2001108367A JP 2001299278 A JP2001299278 A JP 2001299278A
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cupuas
fat
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health food
oil
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Makoto Nagasawa
誠 長澤
Hiroyuki Numata
弘幸 沼田
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Asahi Foods Co Ltd
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Asahi Foods Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 カフェイン、テオブロミン等の覚醒物質
を含まず健康保持に有用な不飽和脂肪酸の含有量の多い
チョコレート様菓子等の健康食品を提供する。 【解決手段】 クプアス種子由来のクプアス油脂を含有
する健康食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クプアス(Cupuacu
- Theobroma grandfiflorum (Willderow ex Sprengel)
Schumann)由来のクプアス油脂を含有する例えばチョコ
レート様菓子等健康食品などのクプアス油脂製品に係
る。
【0002】
【従来の技術】クプアス(Cupuacu)は、Theobroma grand
fiflorum (Willderow ex Sprengel) Schumann の俗称で
あり、Sterculiaceae科のTheobroma属に属する熱帯性植
物である。この科は、ほぼ50の属と750種の樹木
(喬木及び潅木を含む)を包含するが、その殆ど全ての樹
種が熱帯性である。Theobroma属は、Androretalum、Glo
ssoretalum、Oreanthes、Telmatocarpus、及びTheobrom
aの六つの亜属に大別され、更に22種に分類される。
【0003】クプアスは、Glossoretalum亜属の一品種
であり、Theobroma類に属する樹種であって、現在では
南米アマゾン河流域において自生しまたは極く小規模な
がら栽培されており、主として果肉が現地住民の食用に
供されているほか、小規模ながら果肉がジュース、ネク
ター、ゼリー、シャーベット、アイスクリーム、ヨーグ
ルトなどにも加工されている。この樹木は常緑の低木性
であり、日陰によく適応し、従って他の植物との共生に
適しているとされている。年間を通して白または淡黄色
の花を開き、その後1.2乃至1.3kgの実をつけ
る。この果実の果肉は全重量のほぼ40%程度を占め、
平均30乃至40個の種子を含む。種子は従来無用なも
のとして廃棄されるか、せいぜい家畜の飼料とされるの
みであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、クプア
ス樹が、上述したようにアマゾン原産の日陰適応の高い
低木であり、つまり熱帯雨林において他の樹種との共生
能力が高く、例えば緑化に適したユーカリ、ヤシなど植
樹する所謂"アグロフォレストリ"によって熱帯雨林の荒
廃跡地の緑化回復のために植林するのに特に適し、熱帯
雨林の保存・回復と地域産業の振興に多いに寄与し得る
と考えた。
【0005】クプアス種子の果肉は小規模ながら原住民
によって食用に利用されているが、クプアスの果実は既
述したように大きくて多量の種子を有しており、種子の
重量は果実のほぼ17〜18%にも達するものの、クプ
アス種子は、通常埋め立て処理によって廃棄されている
のが現状である。このクプアス種子の価値ある有効利用
が見出されれば、クプアス樹の価値が上がることによっ
て、クプアス樹の栽培が盛んとなり、熱帯雨林の荒廃を
も防ぐことが可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況に鑑みて現在殆ど無価値のクプアス種子の有効利用に
ついて鋭意検討を重ねた結果、クプアスの種子は、低融
点の良質の油脂を多量に含んでいることを知見し、さら
に、クプアスの種子を採集し、これを例えば洗浄、醗酵
(醗酵前に洗浄を行ってもよい)、乾燥、焙煎、脱殻、
粉砕および圧搾等の各工程に供することによって、また
は採集した生クプアス種子をそのまま脱殻することなく
圧搾することによって、例えば、本発明の健康食品、医
薬、化粧品の製造に有用な粗製又は精製クプアス油脂が
製造出来ることを知見した。なお、本発明におけるクプ
アスは従来天然に存在するクプアスのみならず、その変
種であってよい。すなわち、クプアスと他の植物との交
配又はクプアスの遺伝子技術処理によって得られるクプ
アスの変種は下記する粗製クプアス又は精製クプアス油
脂がそれから製造可能である限り、いずれも本発明にお
けるクプアスであり、このようなクプアス変種から得ら
れる油脂は本発明におけるクプアス油脂である。
【0007】さらに本発明者らは、得られた精製クプア
ス油脂は、融点が29乃至32℃と体温に近く、また必
須脂肪酸の一つであるアラキドン酸の含有量が10%程
度もあってカカオ油脂と比較して10倍ほど高いうえ、
オレイン酸やリノール酸などの一価不飽和脂肪酸の含有
量が極めて高いという、独特の脂肪酸組成を有するこ
と、精製クプアス油脂のこのような特徴を活かして、精
製クプアス油脂に砂糖、粉乳等を配合混入することによ
って特異な風味と味覚を有するチョコレート様の菓子類
が得られること、またマーガリン、ホイップクリーム等
の加工食品に精製クプアス油脂を適量配合すればこれら
加工食品の品質改良が可能であり、さらに精製クプアス
油脂は皮膚保護効果の高いクリーム、リップスティック
等の油性化粧品、例えば座薬、軟膏などの医薬の基剤と
しても有用であることを知見した。なお粗製クプアス油
脂も精製クプアス製品と同様の有用性を有するので、粗
製クプアス油脂は単独であるいは精製クプアス油脂と組
合わせて、精製クプアスと同様に油脂原料として種々の
分野で使用することができる。
【0008】さらに、本発明者らは下記する知見をも得
た。精製クプアス油脂の第一の特徴は、カフェインやテ
オフィリンなど刺激性の強い覚醒作用を有する生理活性
物質を全く含有しないこと及び融点が29〜33℃とい
うヒト体温に近いことにあり、その融解特性は極めてシ
ャープであり、スーパークーリング性を示し、固化時に
体積収縮を伴い、また多結晶形を示す。またその代表的
な物理化学的性状および脂肪酸組成が下記に示す通りで
あり、カカオバターと比較してアラキドン酸含有量がほ
ぼ10倍以上またオレイン酸とリノール酸の含有量も
1.5倍程度高く、従って飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比
率は1.0〜1.1であることが分かる。カカオバター
よりも消化吸収性がよい。オレイン酸、リノール酸、ア
ラキドン酸やベヘン酸含量が有意に高いのであるが、特
にオレイン酸とリノール酸等一価不飽和脂肪酸は、多価
不飽和脂肪酸に比べて生体内で活性酸素による酸化を受
けにくく而も血液中のコレステロールや中性脂肪を低下
させる活性は同等であるので、精製クプアス油脂は、生
活習慣病などの予防や健康維持に資する健康食品として
有用である。本発明に従えば、上記したようにクプアス
油脂を使用してチョコレート様菓子が製造できる。クプ
アス油脂は、チョコレートの原料となるカカオバターと
は異なり、例えばカフェインやテオフィリン等の覚醒物
質を実質的に含まない、そしてクプアス油脂は有用な不
飽和脂肪酸の含量がカカオバターより多いことが特記さ
れる。従って、クプアス油脂を使用してチョコレート様
菓子等の食品はチョコレートよりも健康上より好まし
い。
【0009】すなわち本発明は、(1)クプアス種子由
来のクプアス油脂を含有し、カフェインを実質的に含有
しないことを特徴とする健康食品、(2)チョコレート
様菓子であることを特徴とする前記(1)記載の健康食
品、(3)チョコレートの代替物として使用される前記
(1)記載の健康食品、(4)さらに砂糖を含有するこ
とを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の
健康食品、(5)さらに粉乳を含有することを特徴とす
る前記(1)〜(4)のいずれかに記載の健康食品、
(6)さらにレシチンを含有することを特徴とする前記
(1)〜(5)のいずれかに記載の健康食品、(7)さ
らにパーム油、ココナツ油およびナタネ油からなる群か
ら選ばれる1種または2種以上の植物油を含有すること
を特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の健
康食品、(8)さらにカカオバターを含有することを特
徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の健康食
品、(9)クアプス油脂が重量比で0.8〜1.4飽和
脂肪酸と不飽和脂肪酸との比率を有することを特徴とす
る前記(1)〜(8)のいずれかに記載の健康食品、
(10)クアプス油脂が下記する代表的物理化学的性質
を有することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれ
かに記載の健康食品、 外観 淡黄色 融点、℃ 29〜33 比重 0.91 鹸化価 187〜192 ヨウ素価 40〜45 屈折率 1.456〜1.485 脂肪酸組成、% パルミチン酸 6.5〜7.2 ステアリン酸 32.0〜35.5 オレイン酸 42.0〜44.0 リノール酸 3.3〜5.5 アラキドン酸 9.0〜11.0 ベヘン酸 1.0〜1.8 飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比 1.0〜1.1 (11)クプアスの種子を醗酵処理し、乾燥した後、
焙煎し、外殻を除去したのち破砕し、得られた胚乳
を微細に磨砕して液状乃至ペースト状としさらにこの
ようにして得られた粗製クプアス油脂を加圧処理し、濾
過して精製クプアス油脂を液状又は固状物として分離す
る工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法、(1
2)クプアスの種子を醗酵処理して乾燥し、外殻を
除去することなくそのまま加圧処理によって微細に磨砕
するとともに加圧濾過処理して精製クプアス油脂を得る
工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法、(1
3) クプアスの種子を醗酵処理し、乾燥した後、
ボイルし、外殻を除去したのち胚乳を焙煎し、焙煎し
た胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペースト状としさらに
このようにして得られた粗製クプアス油脂を加圧処理
し、濾過して精製クプアス油脂を液状又は固状物として
分離する工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方
法、(14)精製クプアス油脂又は精製クプアス油脂と
粗製クプアス油脂と含有することを特徴とするチョコレ
ート様洋菓子、(15)精製クプアス油脂又は精製クプ
アス油脂と粗製クプアス油脂を含有することを特徴とす
る加工食品、医薬品又は化粧品、(16)油脂含有量が
40〜65重量%である前記(1)〜(10)のいずれ
かに記載の健康食品製造のためのクプアス油脂、(1
7)前記(1)〜(10)に記載の健康食品製造用の
(i)アプアス種子を処理して得られる胚乳(nib)、
(ii)胚乳(nib)を破砕して得られる液状またはペー
スト状の粗製クプアスまたは(iii)粗製クプアスを加
圧処理して得られる精製クプアス、および(18)粗製
クプアス油脂の加圧処理によって精製クプアスから分離
される繊維質を含有するケースまたはそれを粉砕して得
られる粉状物、に関する。
【0010】さらに本発明は(19)クプアス種子由来
のクプアス油脂、(20)油脂含量が40〜65重量%
である上記(19)記載のクプアス油脂、(21)クプ
アス種子を処理して得られる胚乳、(22)上記(2
1)に記載の胚乳を破砕して得られる液状又はペースト
状の粗製クプアス油脂、(23)上記(22)に記載の
粗製クプアス油脂を加熱処理して得られる精製クプアス
油脂、および(24)液状又は固状である上記(23)
記載の精製クプアス油脂、にも関する。
【0011】
【発明の実施の形態】クプアス油脂の代表的製造工程図
を下記する。
【0012】本発明の好ましい実施の態様を下記に詳述
する。ただし以下の説明で「%」は「重量%」を表わ
す。クプアスの樹から採取された果実は核果であり、既
述したように平均重量が1kg前後であり、そのうち果
肉の占める割合はほぼ40%近くに達し、ペクチンとク
エン酸の含有率が高く、美味であり、したがってそのま
ま生食に供されるほか、ジュース、アイスクリーム、ゼ
リー、ヨーグルトなどの加工食品の製造に原料として用
いるのに適しており、このような加工食品の製造装置を
設置することによって、副生する種子の採集・集荷は極
めて容易かつ衛生的とすることができる。
【0013】かくして集荷選別したクプアス種子は、例
えば下記する醗酵、乾燥から始まるクプアス製造プロセ
スに供することによって粗製クプアス油脂また更には精
製クプアス油脂とすることができる。
【0014】即ち、クプアス種子を所望により水で濯い
だ後、適宜の大きさの密閉可能な木製またはプラスチッ
ク製の箱に収納し、密閉すれば、付着している酵母が自
然に増殖して醗酵が開始する。醗酵は5〜7日進行する
が、クプアス種子のまわりについた繊維質のパルプに含
まれた多糖類がアルコール醗酵によってアルコールに分
解され、さらに酢酸醗酵によって酢酸が生じ、その結果
腐敗しやすい、余分な繊維質が除去される。
【0015】醗酵工程を経たクプアス種子は、ついで適
宜のマット上に広げて天日乾燥又は加温下の強制乾燥に
供され、含水率が55%程度からほぼ6%以下になるま
で乾燥され、かくして貯蔵保管が可能な状態となる。醗
酵が終了したクプアス種子は、例えば乾燥中に付着した
ゴミ、埃などをふるい等で除去する。そしてジュートま
たは麻製などの適宜の大きさの袋に充填し、クプアス油
脂製造プロセスに供するまで貯蔵、輸送される。
【0016】清浄浄化工程においては、醗酵乾燥処理し
たクプアス種子の中に混入した小石、金属類、塵芥、粉
塵などのほかフラット豆、ダブル豆などの挟雑物をフル
イ装置、電磁石や圧縮空気また小型の除塵機などを適宜
に組み合わせて利用して除去するのである。清浄浄化工
程を終えたクプアス種子はクプアス豆とも称される。な
お清浄浄化工程は醗酵工程前に行なってもよい。
【0017】清浄浄化処理されたクプアス種子(クプア
ス豆)は、焙煎工程において焙煎され、その結果クプア
ス種子の含水率はほぼ6%から2%にまで低下せしめら
れ、この後の工程である脱殻工程において繊維性の外殻
シェルと胚乳の分離を容易にする。かかる焙煎は、通常
コーヒー、ココアなどの焙煎で常用される熱風式あるい
は直火式焙煎機を用いてクプアス種子の品温をほぼ13
0〜150℃の高温に20乃至30分間保持することに
よって行われる。
【0018】かくして焙煎処理されたクプアス種子は、
クラッシャーにかけて粗砕し、ついでフルイ処理して繊
維性のシェル(外皮)を剥離除去して胚乳を分別取得す
る。なお、クラッシャー処理とフルイ処理は、外皮が約
5重量%程度以下になるまで適宜反復繰り返して行う。
かくして得られたクプアス種子胚乳は、ミルの中に投じ
て通常は二段階の磨砕処理を行うことによって粗製クプ
アス油脂が得られる。すなわち、第一段階はブレードミ
ルを通して平均粒計150ミクロン程度にまで磨砕し、
次いで第二段階としてボールミルにより平均粒径75ミ
クロン程度にまで磨砕処理するのである。このような磨
砕処理においては、摩擦熱によってクプアス胚乳中にほ
ぼ54〜59%含まれる油脂が溶解して、ペースト状又
は液状乃至油状を呈するに至る。得られる粗製クプアス
油脂を、例えば油圧プレスを用いて圧搾処理すれば精製
クプアス油脂が得られる。この工程によって、精製クプ
アス油脂が加圧下に濾過される。精製クプアス油脂は加
圧下に液状で濾過され、常圧下約40℃以上では液状で
あるが、温度が冷えると固状となる。従って精製クプア
ス油脂は液状又は固状で分離取得される。さらに、粗製
又は精製クプアス油脂はクプアス種子を醗酵処理して乾
燥し、外殻(外皮)を除去することなく、そのまま加圧
下に粉砕し、加圧濾過することによっても製造される。
このようにして例えば上記二方法によって製造される。
粗製又は精製クプアス油脂の油脂含量は約40〜65重
量%程度である。
【0019】又さらに、上記の製造方法において、醗酵
および乾燥して得られるクプアス豆を焙煎前にボイルす
ることにより外皮を柔らかく、剥ぎ易くした後にニブ
(胚乳)を取り出し、ニブ(胚乳)を焙煎してもよい。
すなわち下記する工程図に従って粗製クプアス油脂およ
び精製クプアスを製造してもよい。この場合は、最初の
工程図による場合に比して、クプアス油脂の収率が驚く
べきことに約30%程度向上する。
【0020】
【0021】この場合の好ましい実施の態様を以下に記
載する。ボイル処理は醗酵、乾燥したクプアス豆を約5
〜30分程度、好ましくは約10〜20分程度、沸騰し
ている水中でボイルする。好ましくはボイルした豆を例
えばザル等にのせ水分を切る。表皮に切れ目を入れるの
は、通常は表皮が柔らかいうちに例えばナイフ等で表皮
に切れ目を入れる。人力又は機械で切れ目の部分から胚
乳を取り出す。好ましくは取り出した胚乳を例えば乾燥
機を使用して、通常は水分が約6重量%以下になるまで
乾燥し、胚乳を上記工程と同様にして水分が約2重量%
以下となるまで焙煎し、例えばグラインダーを用いて、
胚乳を磨砕して、粗製クプアスを得て、これを圧搾する
ことによって精製クプアスを製造する。
【0022】なお、粗製クプアス油脂を、圧搾処理工程
に付すると粗製クプアス油脂は精製クプアス油脂と繊維
質を含有するケーキに分離する。このケーキを磨砕して
得られる粉状物は、ココアと同様にして香り高い飲み物
として喫することができる。
【0023】クプアス油脂に粉乳および砂糖、さらに例
えばレシチン等の界面活性剤、さらに所望により香料等
を加え、よく混合した後、ロールの間を通して粒子を微
細にし、さらに約40〜45℃で混練機にかけてよく練
って混練物を得る。この場合のクプアス油脂は粗製クプ
アスまたは/および精製クプアス油脂であり、通常は精
製クプアス油脂、又は粗製クプアス油脂と精製クプアス
油脂の混合物である。この混練物を30℃まで冷却し、
型の中に一定量づつ流し込み、振動機にかけて、型の隅
々まで行きわたらせ、気泡を取り去る。次いで、7〜1
0℃の冷却トンネル内を約20分間通過させるとチョコ
レートによく似たクプアス油脂チョコレートが得られ
る。この製品はチョコレート代替品(Chocolate Altern
ative)又はChocolate−flavoured confectionaryある
いはクプレートとも称される。香料としては、例えばバ
ニラエキス等が挙げられる。
【0024】さらに所望により、上記の混練物には、ク
プアス油脂、粉乳、砂糖、界面活性剤以外に植物油を配
合してもよい。そのような植物油としては、パーム油、
ココナツ油、ナタネ油等があげられる。配合割合につい
ては、上記混練物100重量部に対して、粗製クプア
ス:5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量
部、精製クプアス:10〜70重量部、より好ましくは
20〜60重量部、砂糖:15〜80重量部、より好ま
しくは20〜70重量部、レシチン:0.01〜1重量
部、より好ましくは0.2〜0.6重量部である。
【0025】クプアス油脂は、下記するようにチョコレ
ートの製造に使用されるカカオバターよりも融点が低い
精製クプアス油脂又は粗製クプアス油脂と精製クプアス
油脂の混合物を使用してチョコレート様の菓子を製造す
る場合に、該チョコレート様菓子の軟化点を上げること
を所望するときには、クプアス油脂の一部をカカオバタ
ーで置き換えてもよい。そのような場合の使用されるク
プアス油脂とカカオバターの配合割合は、重量比で約9
7:3〜60:40程度である。カカオバターの配合に
より、カフェインやテオフィリンなどの覚醒作用を奏し
ない約97:3〜80:20程度が健康上より好まし
い。又さらに、カカオバターからチョコレートを製造す
る場合に、カカオバターの一部をクプアス油脂によって
置き換えてもよい。クプアス油脂をカカオバターの一部
として使用すればチョコレートの軟化点を下げることが
できるし、有害なカフェイン、テオフィリン等の覚醒作
用物質の含有量を減少させると共に健康に役立つ不飽和
脂肪酸の含有量を増加させることができる。
【0026】上記の混練物とパフ類又はナッツ類とを混
合し、型(モールド)に充填し、クプアスチョコレート
菓子を製造してもよい。又、さらに冷却されたクプアス
油脂チョコレートのシェルの中にクリーム、ナッツ、ビ
スケット、リキュール類などをシェルセンターに注入、
充填し、ふたをすればシェルクプアス油脂チョコレート
が得られる。又さらに、ビスケット、ナッツ、クリーム
などの固体を網コンベアに乗せ、温めた上記混練物を滝
のように流下させ、余分な混連物を風力で吹き落とし
て、冷却することによってもシェルクプアス油脂チョコ
レートが製造できる。
【0027】
【表1】 上記の数値は、クプアス樹の産地、栽培条件等により変
動しうるものである。例えば飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
との重量比率も約0.8〜1.4の範囲で変動しうる。
屈折率も1.456〜1.458又は1.456〜1.
485の範囲を超えて、1.3〜1.5の範囲内で変動
しうる。
【0028】かくして得られた粗製クプアス油脂、精製
クプアス油脂又はそれらを用い製造される菓子類はいず
れも刺激性、覚醒性など不快な生理的副作用を有するカ
フェイン、テオフィリンなどを含有しない、特に乳幼児
や高齢者にとっても健康的な食品又は嗜好品として有用
である。また、精製クプアス油脂は、マーガリンなど油
脂ベースの加工食品に配合すれば品質の改善、新しい健
康食品類の開発が可能であり、油性化粧品に配合すれば
皮膚保護効果を改善することが出来また融点がヒト体温
に近接しているので、そのまま又は若干の水素添加還元
処理を行って座薬又は軟膏の基剤として使用出来る。
【0029】
【実施例】以下に実施例を記載して、本発明をさらに詳
細に説明する。
【0030】実施例1 精製クプアス油脂の製造: ブラジルアマゾン河流域の都市マナウスの近郊に位置す
るプランテーションで栽培したクプアスから種子を採取
し、パルプ付着したまま醗酵釜の中で5〜7日間クプア
ス種子に付着したイースト菌によって醗酵させたとこ
ろ、pHは5.0〜5.3と低下し、温度は42〜45
℃に上昇した。その後トレイに移して7日間天日乾燥さ
せ、長径が20乃至30mm、短径が16乃至20mm
かつ平均重量が2.5g/種子、 含水率が6乃至7%で
あるクプアス種子を得た。醗酵乾燥させたクプアス種子
は、電磁石で金属類異物をのぞきまた圧縮空気で塵芥を
除去することによって清浄処理し、次いで連続焙煎装置
に入れて130〜150℃の熱風でほぼ20〜30分間
ローストした。これによって、クプアス種子は含水率は
ほぼ2%にまで低下すると同時に芳香フレーバーを有す
るものとなった。焙煎処理したクプアス種子を篩いかけ
して塵芥や割れ豆を除去し、次いで破砕機にかけて胚乳
シエルを剥離し、次に80メッシュの篩で篩い掛けして
クプアス胚乳を得た。なお篩い残は第一の篩い工程に戻
して再度破砕処理を行った。得られたクプアス胚乳は、
ブレードミルによる一次粉砕処理の後次いでボールミル
による二次粉砕処理による二段階粉砕処理又は微粉砕機
に供する一段階微粉砕処理を行うことによって平均粒径
を75ミクロン以下にすることによって液状とし、かく
して粗製クプアス油脂を得た。さらにこの粗製油脂を更
に油圧式フィルタープレスにかけることによって精製ク
プアス油脂が得られた。得られた精製クプアス油脂の代
表的物性値は、以下のようであった。 外観 淡黄色 融点、℃ 31〜33 比重 0.91 鹸化価 190〜192 ヨウ素価 40〜43 屈折率 1.456 脂肪酸組成、重量% パルミチン酸 6.8 ステアリン酸 33.5 オレイン酸 42.0 リノール酸 5.2 リノレイン酸 痕跡量 アラキドン酸 10.5 ベヘン酸 1.5 なお、クプアス果実から採取した生のクプアス種子(平
均含水率68%) 100kgから、ほぼ45kgの乾燥
クプアス種子(平均含水率6%)が得られ、焙煎処理する
ことによって43kgの焙煎処理クプアス種子とし、さ
らに破砕処理によって31kgのクプアス胚乳が得ら
れ、引き続いて微粉砕処理とフィルタープレス処理によ
って約13.5kgの精製クプアス油脂を得た。
【0031】実施例2 精製クプアス油脂の製造: 都市マナウスの近郊ではあるが実施例1とは異なる場所
で採取したクプアスから採取したクプアス種子を使用す
る以外は実施例1と全く同様に処理して、精製クプアス
油脂を製造し、これを財団法人環境検査協会神戸事業所
が分析して下記の結果を得た。
【表2】
【0032】実施例3 砂糖菓子の製造: 前記した実施例1において得られた粗製クプアス油脂及
び精製クプアス油脂を用いて下記処方に従って三種類の
洋菓子を製造した。 (1) ビタータイプ 粗製クプアス油脂; 45 重量部 精製クプアス油脂; 12 " 粉乳 ; - 砂糖 ; 43 " (2) ミルクタイプ 粗製クプアス油脂; 30 重量部 精製クプアス油脂; 16 " 粉乳 ; 10 " 砂糖 ; 44 " (3) ホワイトタイプ 粗製クプアス油脂; 0 重量部 精製クプアス油脂; 41 " 粉乳 ; 18 " 砂糖 ; 41 " 上記した各原料成分の所定量を秤量してミキサーに投入
し、温度40乃至45度において処方に従い10乃至2
0分間の異なる時間混合・微細化・混練処理し、次いで
モールド内に注型し、その後10〜15℃に冷却して、
それぞれのチョコレート様洋菓子製品が得られた。これ
らの製品は風味や呈味など品質面で従来のチョコレート
系洋菓子類に遜色することはなかった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11C 3/00 A23D 9/00 516 Fターム(参考) 4B014 GB01 GG07 GG11 GG14 GL07 GL10 4B018 LB01 MD15 MD29 MD46 MD71 ME04 MF01 4B026 DC05 DG01 DH10 DP03 DP10 4H059 BA33 BB02 BB04 BB05 BB06 BC13 CA02 CA05 CA72 CA73 DA02 DA05 DA06 DA08 DA13 DA22

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クプアス種子由来のクプアス油脂を含有
    し、カフェインを実質的に含有しないことを特徴とする
    健康食品。
  2. 【請求項2】 チョコレート様菓子であることを特徴と
    する請求項1記載の健康食品。
  3. 【請求項3】 チョコレートの代替物として使用される
    請求項1記載の健康食品。
  4. 【請求項4】 さらに砂糖を含有することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の健康食品。
  5. 【請求項5】 さらに粉乳を含有することを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の健康食品。
  6. 【請求項6】 さらにレシチンを含有することを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載の健康食品。
  7. 【請求項7】 さらにパーム油、ココナツ油およびナタ
    ネ油からなる群から選ばれる1種または2種以上の植物
    油を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載の健康食品。
  8. 【請求項8】 さらにカカオバターを含有することを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の健康食品。
  9. 【請求項9】 クアプス油脂が重量比で0.8〜1.4
    飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との比率を有することを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載の健康食品。
  10. 【請求項10】 クアプス油脂が下記する代表的物理化
    学的性質を有することを特徴とする請求項1〜9のいず
    れかに記載の健康食品。 外観 淡黄色 融点、℃ 29〜33 比重 0.91 鹸化価 187〜192 ヨウ素価 40〜45 屈折率 1.456〜1.485 脂肪酸組成、% パルミチン酸 6.5〜7.2 ステアリン酸 32.0〜35.5 オレイン酸 42.0〜44.0 リノール酸 3.3〜5.5 アラキドン酸 9.0〜11.0 ベヘン酸 1.0〜1.8 飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比 1.0〜1.1
  11. 【請求項11】 (1) クプアスの種子を醗酵処理し、乾
    燥した後、焙煎し、(2) 外殻を除去したのち破砕し、
    (3) 得られた胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペースト状
    としさらに(4) このようにして得られた粗製クプアス油
    脂を加圧処理し、濾過して精製クプアス油脂を液状又は
    固状物として分離する工程を含んで成る精製クプアス油
    脂の製造方法。
  12. 【請求項12】 (1) クプアスの種子を醗酵処理して乾
    燥し、(2) 外殻を除去することなくそのまま加圧処理に
    よって微細に磨砕するとともに加圧濾過処理して精製ク
    プアス油脂を得る工程を含んで成る精製クプアス油脂の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 (1) クプアスの種子を醗酵処理し、乾
    燥した後、(2) ボイルし、外殻を除去したのち胚乳を焙
    煎し、(3) 焙煎した胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペー
    スト状としさらに(4) このようにして得られた粗製クプ
    アス油脂を加圧処理し、濾過して精製クプアス油脂を液
    状又は固状物として分離する工程を含んで成る精製クプ
    アス油脂の製造方法。
  14. 【請求項14】 精製クプアス油脂又は精製クプアス油
    脂と粗製クプアス油脂と含有することを特徴とするチョ
    コレート様洋菓子。
  15. 【請求項15】 精製クプアス油脂又は精製クプアス油
    脂と粗製クプアス油脂を含有することを特徴とする加工
    食品、医薬品又は化粧品。
  16. 【請求項16】 油脂含有量が40〜65重量%である
    請求項1〜10のいずれかに記載の健康食品製造のため
    のクプアス油脂。
  17. 【請求項17】 請求項1〜10記載の健康食品製造用
    の(i)アプアス種子を処理して得られる胚乳(nib)、
    (ii)胚乳(nib)を破砕して得られる液状またはペー
    スト状の粗製クプアスまたは(iii)粗製クプアスを加
    圧処理して得られる精製クプアス。
  18. 【請求項18】 粗製クプアス油脂の加圧処理によって
    精製クプアスから分離される繊維質を含有するケースま
    たはそれを粉砕して得られる粉状物。
  19. 【請求項19】 クプアス種子由来のクプアス油脂。
  20. 【請求項20】 油脂含量が40〜65重量%である請
    求項19記載のクプアス油脂。
  21. 【請求項21】 クプアス種子を処理して得られる胚
    乳。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載の胚乳を破砕して得
    られる液状又はペースト状の粗製クプアス油脂。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の粗製クプアス油脂
    を加熱処理して得られる精製クプアス油脂。
  24. 【請求項24】 液状又は固状である請求項23記載の
    精製クプアス油脂。
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