JP2001278656A - 金属酸化物焼結体およびその製造方法 - Google Patents

金属酸化物焼結体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001278656A
JP2001278656A JP2000094107A JP2000094107A JP2001278656A JP 2001278656 A JP2001278656 A JP 2001278656A JP 2000094107 A JP2000094107 A JP 2000094107A JP 2000094107 A JP2000094107 A JP 2000094107A JP 2001278656 A JP2001278656 A JP 2001278656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal oxide
particles
metal
sintered body
reducible
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000094107A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiichi Suenaga
永 誠 一 末
Yasuhiro Itsudo
戸 康 広 五
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2000094107A priority Critical patent/JP2001278656A/ja
Publication of JP2001278656A publication Critical patent/JP2001278656A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属酸化物粒子上における金属粒子の分散性
および界面密着性に優れ、かつ、金属粒子の組成を制御
しやすい、高機能な金属酸化物焼結体を提供することを
課題とする。 【解決手段】 還元性金属酸化物および難還元性金属酸
化物の固溶相から実質的になる金属酸化物粒子と、該金
属酸化物粒子の表面および該金属酸化物同士の界面に存
在する金属粒子とを含んでなり、前記金属粒子が水素還
元により前記金属酸化物粒子から析出されたものである
金属酸化物焼結体により、上記課題を解決する。。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属と金属酸化物
との複合体からなる焼結体(以下、金属酸化物焼結体と
いう)に関するものであり、例えば、ガス改質、ガス合
成、焼結等に使われる、触媒/触媒担体として用いられ
得るものである。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、二酸化炭素のエミッション
が少なく、環境負荷の少ない発電技術として近年大きく
注目されている。燃料電池では燃料として水素が使用さ
れるが、この水素を生成する方法の一つとして、炭化水
素ガスと水蒸気を触媒上で反応させる、炭化水素ガスの
水蒸気改質法が挙げられる。
【0003】この水蒸気改質法では、主活性物質として
のNi、Co等の微粒子触媒を、アルミナ、マグネシ
ア、シリカ等からなる、酸化物セラミックス担体上に担
持させてなる触媒系を用いるのが一般的である。この触
媒系(すなわち触媒および担体)には、低温での活性
度、長寿命、高熱伝導性等の様々な特性が要求される。
このような特性を支配する上で重要な要素として、担体
上における触媒粒子の分散状態および密着性等の状態が
挙げられる。
【0004】ところで、従来における触媒系の合成法の
代表例として、共沈法が挙げられる。この方法は、触媒
担体の上に触媒元素を含有する微粒子を沈降させた後
に、前記微粒子を還元し、触媒担体上に金属微粒子から
なる触媒粒子が分散した触媒系を得るというものであ
る。しかしながら、この方法では、触媒金属の粒径は細
かくすることができても、分散状態や触媒金属の組成を
制御するのが困難であった。また、担体の外部から触媒
粒子を沈着する構成であるため、沈降した微粒子と担体
との界面強度が弱く、密着性に乏しいという問題があっ
た。このため、熱伝導、活性度等の点で、十分な性能が
得られておらず、例えば燃料電池の分野においては、燃
料ガスである水素を生成する水蒸気改質器のサイズを小
型化できない等の問題がある。
【0005】また、共沈法等の湿式プロセスは、上述し
たようにプロセスが複雑なため、製造コストが高くなる
という問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、金属酸化物粒子上における
金属粒子の分散性および界面密着性に優れ、かつ、金属
粒子の組成を制御しやすい、高機能な金属酸化物焼結体
を得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、還
元性金属酸化物および難還元性金属酸化物の固溶相から
実質的になる金属酸化物粒子と、該金属酸化物粒子の表
面および該金属酸化物同士の界面に存在する金属粒子と
を含んでなり、前記金属粒子が水素還元により前記金属
酸化物粒子から析出されたものであることを特徴とす
る、金属酸化物焼結体に関するものである。
【0008】また、本発明は、還元性金属酸化物の粉末
と、難還元性金属酸化物の粉末とを混合し、所定温度に
加熱して固溶反応させた後に、水素還元により金属粒子
を酸化物表面および酸化物同士の界面に析出させること
を特徴とする、金属酸化物焼結体の製造方法に関するも
のである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の金属酸化物焼結体
およびその製造方法について具体的に説明する。
【0010】金属酸化物焼結体 図1(a)に、本発明の金属酸化物焼結体の模式図を、
図1(b)に、(a)の金属酸化物粒子の表面および界
面を拡大した模式図を示す。同図に示されるように、本
発明の金属酸化物焼結体1は、金属酸化物粒子2と、金
属粒子3とを含んでなる。
【0011】(a)金属酸化物粒子 本発明において金属酸化物粒子は、還元性金属酸化物と
難還元性金属酸化物との固溶相から実質的になるもので
ある。
【0012】本発明において還元性金属酸化物とは、室
温〜1500℃の水素雰囲気下もしくはプラズマ条件下
で、金属へ還元され得る金属酸化物をいう。還元性金属
酸化物の好ましい例としては、Cu、Co、Fe、N
i、Zn、Sn、Cd、Pd、Hg、Ag等の酸化物が
挙げられる。これらのうち、ガス改質、ガス合成等のた
めの触媒として用いる場合には、NiO、CoO、Fe
酸化物が高い触媒効率が得られる点でより好ましく、さ
らに好ましくはNiOである。また、これらの二種以上
を併用することもでき、特に触媒として用いる場合に
は、還元後の触媒の機能性を高められることから好まし
い。二種類目以上の添加される酸化物の好ましい例とし
ては、CuO,AgO等が挙げられる。
【0013】本発明において難還元性金属酸化物とは、
室温〜1500℃の水素雰囲気下で、金属へ還元されな
い金属酸化物をいう。難還元性金属酸化物の好ましい例
としては、Al,Mg,Si,Zr,Ti,Hf,Ce
等の酸化物が挙げられる。また、これらの二種以上を併
用することもできる。これらのうち、MgO、Zr
、CeOが安定な固溶体を形成する点で好ましく、
さらに好ましくはMgOである。
【0014】なお、これらの酸化物の詳細としては、例
えば、日本金属学会会報(1974年、第13巻)、第
277頁に記載される「金属酸化物および硫化物の水素
還元について」という論文を参照することができる。
【0015】本発明の金属酸化物粒子は、上記還元性金
属酸化物と上記難還元性金属酸化物粒子との固溶体であ
る。このような固溶体としては、NiO−MgO系、C
oO−MgO系、FeO−MgO系、等の酸化物同士の
全率固溶体であってもよく、あるいは、ZrO−N
iO系の様に還元性金属酸化物の固溶限が、水素還元温
度において1at%以上である系であってもよく、また
還元性金属酸化物と難還元性金属酸化物との複合酸化物
の固溶体でもよく、特に限定されない。また、上記組み
合わせに対して、さらに別の還元性金属酸化物を固溶さ
せることもできる。この場合には、金属粒子を合金化す
ることが可能になるという利点がある。
【0016】本発明の好ましい態様によれば、金属酸化
物粒子の表面における難還元性金属酸化物の濃度が、金
属酸化物粒子の内部における難還元性金属酸化物濃度よ
りも高くなっている。このような濃度勾配は、難還元性
金属酸化物と還元性金属酸化物との焼結体としての成型
・反応・固溶プロセスにより実現される。これにより、
金属酸化物粒子と金属粒子との界面密着性がより一層向
上し、金属酸化物焼結体としての諸機能をより一層向上
させることができる。例えば、改質触媒として用いる場
合においては、触媒効率をより一層高めることができ
る。
【0017】本発明における金属酸化物粒子の粒径は、
目的とする機能に応じて適宜決定することができ、特に
限定されるものではない。
【0018】(b)金属粒子 本発明における金属粒子は、水素還元により前記金属酸
化物粒子から析出されたものであって、金属酸化物粒子
の表面および該金属酸化物同士の界面に存在する。すな
わち、本発明における金属粒子は、金属酸化物粒子を水
素ガス還元して、酸化物粒子表面近傍に存在する還元性
金属酸化物中の金属成分を、酸化物粒子表面に析出させ
ることにより得られたものである。このようにして得ら
れた金属粒子は、共沈法等により外部から沈着させて得
られた金属粒子と比べて、金属酸化物粒子に密接かつ安
定に担持される、すなわち化学構造的に界面における整
合性が良好であるものと考えられる。このため、金属酸
化物粒子と金属粒子との界面密着性が向上し、金属酸化
物焼結体としての諸機能を向上させる。例えば、改質触
媒として用いる場合においては、触媒効率を高めること
ができる。
【0019】このように金属粒子は、還元性金属酸化物
が還元されて得られるものであるから、その組成も還元
性金属酸化物に依存する。したがって、金属粒子を構成
する金属の好ましい例としては、上述の還元性金属酸化
物に準じて、Cu、Co、Fe、Ni、Zn、Sn、C
d、Pd、Hg、Ag等が挙げられる。これらのうち、
ガス改質、ガス合成等のための触媒として用いる場合に
は、Ni、Co、Feが高い触媒効率が得られる点でよ
り好ましく、さらに好ましくはNiである。
【0020】また、本発明の金属粒子は、上記金属のう
ち二種類以上からなる合金であってもよい。特に、本発
明の金属粒子は、金属酸化物粒子の外部から沈着する共
沈法とは異なり、焼結体としてバルク全体での固溶・拡
散を起こさせて、金属酸化物粒子から析出させることに
より得られるものである。このため、固溶体の濃度制御
を還元性金属酸化物の組成を制御することにより容易に
行えるとともに、微細な金属粒子を高密度に表面に形成
させることができる。
【0021】本発明の金属酸化物焼結体は、バルク状の
焼結体である。このバルク焼結体の形態であることによ
り、電極板上で改質処理を行う、あるいはカーボンナノ
ファイバー等の製造を行う等、応用的な用途において特
に好ましく利用可能である。また、伝熱性に優れるとい
う利点もある。
【0022】本発明の好ましい態様によれば、本発明の
金属酸化物焼結体は、開気孔率が30体積%以上の焼結
体とする。これにより、焼結体の表面積が多くなるの
で、特に触媒として用いる場合には、触媒機能をより効
率的に発揮させることができる。
【0023】本発明における金属粒子の粒径は、目的と
する機能に応じて適宜決定することができ、特に限定さ
れるものではない。例えば、改質触媒を用途とする場合
には、表面積を大きく確保する点から、金属酸化物粒子
の表面における金属粒子の平均粒径が1〜1000nm
であるのが好ましく、より好ましくは1〜100nmで
ある。一方、金属酸化物同士の界面における金属粒子
は、図1(b)に示されるように、金属酸化物粒子の表
面おける金属粒子よりも平均粒径がおよそ1.2〜3倍
程度大きくなる。これは、還元により金属粒子を析出す
る本発明にあっては、酸化物粒子の界面においては、酸
化物粒子表面よりも金属成分の供給量が多くなることに
よるものである。なお、本発明における金属粒子は還元
性金属酸化物中の金属成分を析出させて得られるもので
あるため、共沈法とは異なり、還元条件を適宜制御する
ことで、金属粒子の大きさを自在に制御することができ
るという利点もある。
【0024】製造方法 上述した本発明の金属酸化物焼結体は、(a)原料粉末
の調製工程、(b)固溶反応工程、および(c)水素還
元工程を行うことにより製造することができる。
【0025】(a)原料粉末の調製 本発明の製造方法においては、還元性金属酸化物の粉末
と、難還元性金属酸化物の粉末とを混合して、原料粉末
を得る。還元性金属酸化物および難還元性金属酸化物と
しては上述した通りである。例えば、還元性金属酸化物
の粉末と、難還元性金属酸化物の粉末とをそれぞれ用途
に応じて適量を秤量し、次いで、ボールミル等を用いて
混合することにより行うことができる。
【0026】本発明の好ましい態様によれば、還元性金
属酸化物粉末と難還元性金属酸化物粉末との混合比を、
モル比で難還元性酸化物が50mol%以上とする。こ
れにより、水素還元により析出する金属量が多くなりす
ぎることがなく、金属粒子同士の合体・粒成長を防止す
ることができる。したがって、金属酸化物粒子上に微細
な金属粒子を均一に分散させて、金属粒子の表面積を大
きくすることができ、触媒の場合には触媒活性を向上さ
せることができる。
【0027】本発明の好ましい態様によれば、還元性金
属酸化物粉末の平均粒径が、難還元性酸化物粉末の平均
粒径よりも大きいことが好ましい。これは、還元性酸化
物粒子の方が難還元性酸化物粒子より粉砕されやすいか
らである。また、混合中に還元性酸化物粒子の回りを難
還元性酸化物の粒子が被覆して、不純物等の混入が防げ
るという効果もある。
【0028】(b)固溶反応工程 本発明の製造方法においては、(a)で得られた原料粉
末を、所定温度に加熱して固溶反応を行わせる。固溶反
応の際の加熱温度等の諸条件は原料粉末や目的とする性
質等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。
【0029】例えば、原料粉末をプレス成型した後、酸
素雰囲気中で1000℃以上の高温に加熱して焼結させ
る方法が好ましい。これにより、濃度のムラの少ない均
一な焼結体を形成することができる。なお、この場合、
プレス成型に先立って、原料粉末をPVA等のバインダ
ーを用いて造粒しておくのが望ましい。
【0030】本発明の好ましい態様によれば、焼結体を
形成する場合、水素還元前の時点で、多孔質体として成
形することができる。これにより、焼結体の表面積が大
きくなり、微細な金属粒子が高密度に被覆されたバルク
体を作製することができる。多孔質化する方法として
は、種々の方法を採用することができ、特に限定されな
い。例えば、前記(a)工程において原料粉末中に炭素
粉末を混入させておき、成型し、焼結前の段階で加熱に
より炭素を炭酸ガスに変化させ、この炭酸ガスにより気
孔を形成させることにより行うことができる。なお、多
孔質体を形成するための加熱工程は、固溶反応後の原料
粉末を粉砕した後でもよく、あるいは固溶反応の前また
は後でもよく、特に限定されない。
【0031】(c)水素還元工程 本発明の製造方法においては、(b)で得られた固溶体
に水素還元を行うことにより、金属粒子を酸化物表面お
よび酸化物同士の界面に析出させる。例えばNiO−M
gOの場合にあっては、固溶体の一部が還元され、Ni
相が酸化物表面に生成する。これにより、金属粒子を、
酸化物表面に高密度に分散させることができ、また、担
体内部から金属が拡散して析出するため、偏析が少なく
分散状態が良好である。
【0032】本発明における水素還元は、焼結体を水素
炉内に導入して、還元性雰囲気下で行えばよく、特に限
定されるものではない。本発明における水素還元の温度
および時間は、水素により酸化物の少なくとも一部が還
元される温度および時間であればよく、特に限定される
ものではない。例えば、NiO−MgO系の場合、50
0〜1000℃とするのが好ましい。温度が高すぎると
還元された金属粒子の粒成長が起こりやすいだけでな
く、金属粒子と酸化物の反応により金属粒子が溶融し粒
成長し、触媒としての機能が低下することがあるため好
ましくない。また、温度が低すぎると、熱処理に時間が
かかりすぎるので、工業的に好ましくない。
【0033】このように上記の(a)〜(c)工程を経
て、本発明の金属酸化物焼結体が製造されるが、このよ
うな本発明の製造方法によれば、共沈法等の湿式プロセ
スと比べてプロセスが単純化されるので、低コストで操
業することができるという利点がある。
【0034】用途 本発明の金属酸化物焼結体は金属粒子および金属酸化物
の相乗効果により種々の機能を発現しうるものであるた
め、その用途は広範囲にわたるものであり、特に限定さ
れない。例えば、本発明の金属酸化物焼結体は、ガス改
質、ガス合成、焼結等に使われる触媒系(触媒/触媒担
体)として用いられるのが好ましい。これは、本発明の
高密着性、高分散性等により、活性度、熱伝導等の問題
が解消して、従来よりも優れた触媒機能を発揮するから
である。好ましい具体例としては、水蒸気改質、炭酸ガ
ス改質等の、炭化水素ガスを改質して水素を製造するた
めの改質触媒が挙げられる。これは、燃料電池の燃料で
ある水素を生成する際に有効である。また、その他の用
途として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチュ
ーブを製造するための基板としても好ましく利用可能で
ある。この場合には、金属酸化物焼結体中の金属粒子触
媒を起点としてカーボンファイバーを成長させることが
できる。また、各種センサへとしても利用可能であると
考えられる。
【0035】
【実施例】本発明を以下の実施例によってさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0036】実施例1 平均粒径1μmのNiO粉末と、平均粒径0.05μm
のMgO粉末とを、モル比で1:2となるように秤量し
た。秤量した粉末を遊星ボールミルを用いて均一に混合
して、混合粉末を得た。さらに、前記混合粉末に対し
て、体積比で40%になるように、炭素粉末を秤量して
混合した。得られた混合粉末を、PVAをバインダーと
して造粒した後、金型プレスを用いて単位面積当たり約
1トン/cmの圧力で成形して、成形体を得た。次
いで、成形体を大気炉内に導入して、500℃で1時間
脱脂し、さらに連続して、1300℃で5時間焼結させ
て、多孔質焼結体を得た。この際炭素粉末は焼結温度以
下で炭酸ガスとなり飛散した。得られた焼結体の開気孔
率は40%であった。さらに、この多孔質焼結体を水素
炉内に入れ、純度99.9%の水素ガスを毎分1リット
ル流しながら、毎分20℃の速度で800℃まで昇温
し、10分間還元を行った。その後、炉冷して、本発明
の金属酸化物焼結体を得た。
【0037】得られた金属酸化物焼結体を、透過型電子
顕微鏡を用いて観察したところ、NiOが固溶している
MgOの粉末表面に、平均粒径で10nmのNi粒子が
析出されているのが観察された。また、Ni粒子は固溶
体同士の界面にも存在しており、その部分の平均粒径は
およそ20nm程度であった。
【0038】本発明の金属酸化物焼結体の触媒としての
性能を調べるために、次のような試験を行った。まず、
上記金属酸化物焼結体を反応容器内に充填して、800
℃まで昇温し、水素ガスで表面を清浄化した。その後、
800℃に保持したまま、CH/CO=1の反応ガ
スを毎分10ml流し、炭酸ガス改質処理を行った。下
流でのガスを質量分析系によりサンプリングしながら、
残存メタン濃度を経時的に測定した。表1に、反応開始
から5時間経過後における残存メタン濃度と、反応開始
時から5時間経過するまでの間における残存メタンの増
加量を示す。前者は数値が低いほど改質処理効率が高い
ことを意味し、後者は数値が低いほど触媒の経時劣化が
低いことを意味する。
【0039】実施例2 NiO粉末の代わりにNiOとCuOの混合粉末を使用
したこと以外は、実施例1とほぼ同様にして、金属酸化
物焼結体を作製し、触媒としての性能を調べた。結果を
表1に示す。
【0040】実施例3 NiO粉末の代わりにCoOとCuOの混合粉末を使用
したこと以外は、実施例1とほぼ同様にして、金属酸化
物焼結体を作製し、触媒としての性能を調べた。結果を
表1に示す。
【0041】比較例1 金属酸化物焼結体を従来法である共沈法により次のよう
に作製した。まず、平均粒径が1μmのMgO粉末と、
塩化ニッケルとを水中に分散させた。この分散液に炭酸
水素ナトリウム溶液を添加して、中和反応させて、Mg
O粒子表面にNiを析出させた。得られた複合体を濾別
して乾燥した。これをさらにか焼して、水素により還元
した。このようにして平均粒径8nmのNi粒子が析出
されたMgO粉末を得た。得られた金属酸化物焼結体に
ついて、実施例1と同様にして触媒の性能を調べた。結
果を表1に示す。
【0042】比較例2 塩化ニッケルとともに塩化銅を使用したこと以外は、比
較例1とほぼ同様にして、金属酸化物焼結体を作製し、
触媒としての性能を調べた。結果を表1に示す。
【0043】比較例3 塩化ニッケルの代わりに塩化コバルトおよび塩化銅を使
用したこと以外は、比較例1とほぼ同様にして、金属酸
化物焼結体を作製し、触媒としての性能を調べた。結果
を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属酸化
物焼結体およびその製造方法によれば、金属酸化物粒子
上における金属粒子の分散性および界面密着性に優れ、
かつ、金属粒子の組成を制御しやすい、高機能な金属酸
化物焼結体を得ることができる。また、本発明の金属酸
化物焼結体を触媒として使用すれば、極めて高い触媒効
率を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の金属酸化物焼結体を示す模式
図であり、(b)は(a)の金属酸化物粒子の表面およ
び界面を拡大した模式図である。
【符号の説明】
1 金属酸化物焼結体 2 金属酸化物粒子 3 金属粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G019 FA13 4G030 AA07 AA28 AA29 AA31 AA60 GA25 GA27 4G069 AA02 AA08 BB04A BB04B BC10B BC31B BC67B BC68B CC04 CC17 DA06 EA02X EA02Y EB12X EB18X FA01 FB33 FB44

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】還元性金属酸化物および難還元性金属酸化
    物の固溶相から実質的になる金属酸化物粒子と、該金属
    酸化物粒子の表面および該金属酸化物同士の界面に存在
    する金属粒子とを含んでなり、 前記金属粒子が水素還元により前記金属酸化物粒子から
    析出されたものであることを特徴とする、金属酸化物焼
    結体。
  2. 【請求項2】前記金属酸化物粒子の表面における前記難
    還元性酸化物の濃度が、前記金属酸化物粒子の内部にお
    ける前記難還元性酸化物濃度よりも高い、請求項1に記
    載の金属酸化物焼結体。
  3. 【請求項3】前記金属粒子が二種類以上の金属元素から
    なる合金である、請求項1または2に記載の金属酸化物
    焼結体。
  4. 【請求項4】開気孔率が30体積%以上の焼結体であ
    る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属酸化物焼
    結体。
  5. 【請求項5】還元性金属酸化物の粉末と、難還元性金属
    酸化物の粉末とを混合し、所定温度に加熱して固溶反応
    させた後に、水素還元により金属粒子を酸化物表面およ
    び酸化物同士の界面に析出させることを特徴とする、金
    属酸化物焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記還元性金属酸化物粉末の平均粒径が前
    記難還元性金属酸化物粉末の平均粒径以上である、請求
    項5に記載の製造方法。
JP2000094107A 2000-03-30 2000-03-30 金属酸化物焼結体およびその製造方法 Pending JP2001278656A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000094107A JP2001278656A (ja) 2000-03-30 2000-03-30 金属酸化物焼結体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000094107A JP2001278656A (ja) 2000-03-30 2000-03-30 金属酸化物焼結体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001278656A true JP2001278656A (ja) 2001-10-10

Family

ID=18609198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000094107A Pending JP2001278656A (ja) 2000-03-30 2000-03-30 金属酸化物焼結体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001278656A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004281846A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Toshiba Corp 高周波磁性材料およびそれを用いた高周波磁性部品、並びに製造方法
JP2007237066A (ja) * 2006-03-08 2007-09-20 Nippon Steel Corp 炭化水素の改質用触媒
JP2007268443A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Toshiba Corp 触媒部材およびその製造方法
US7435274B2 (en) 2003-02-27 2008-10-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Metal particle-dispersed composite oxides, metal particle-dispersed composite oxide-sintered bodies, method of manufacturing metal particle-dispersed composite oxides, and hydrocarbon-based fuel reformer
JP2010131487A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Kansai Electric Power Co Inc:The カーボンナノチューブ製造用触媒、それを用いたカーボンナノチューブの製造方法及び該触媒の製造方法
JP2011017057A (ja) * 2009-07-09 2011-01-27 Hitachi Metals Ltd アルミニウム酸化物と鉄の複合焼結体、およびその製造方法
JP2011200853A (ja) * 2010-03-26 2011-10-13 Toshiba Corp 触媒、その製造方法およびその触媒を用いた水素製造方法
JP2012187495A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Toshiba Corp 触媒およびその製造方法
JP5691098B2 (ja) * 2009-04-24 2015-04-01 国立大学法人山梨大学 一酸化炭素の選択的メタン化触媒、その製造方法及びそれを用いた装置
WO2016136111A1 (ja) * 2015-02-27 2016-09-01 住友電気工業株式会社 セラミックスの製造方法、コンデンサ、固体酸化物型燃料電池、水電解装置及び水素ポンプ
KR101795738B1 (ko) * 2016-07-04 2017-11-08 한국과학기술원 산화물 지지체 - 금속 나노입자 복합체의 제조 방법 및 상기 방법에 의해 제조된 산화물 지지체 - 금속 나노입자 복합체
JP2019019038A (ja) * 2017-07-20 2019-02-07 神島化学工業株式会社 酸化銀及びその製造方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7435274B2 (en) 2003-02-27 2008-10-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Metal particle-dispersed composite oxides, metal particle-dispersed composite oxide-sintered bodies, method of manufacturing metal particle-dispersed composite oxides, and hydrocarbon-based fuel reformer
JP4601907B2 (ja) * 2003-03-18 2010-12-22 株式会社東芝 高周波磁性材料粉末およびそれを用いた高周波磁性部品、並びに製造方法
JP2004281846A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Toshiba Corp 高周波磁性材料およびそれを用いた高周波磁性部品、並びに製造方法
JP2007237066A (ja) * 2006-03-08 2007-09-20 Nippon Steel Corp 炭化水素の改質用触媒
JP2007268443A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Toshiba Corp 触媒部材およびその製造方法
JP2010131487A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Kansai Electric Power Co Inc:The カーボンナノチューブ製造用触媒、それを用いたカーボンナノチューブの製造方法及び該触媒の製造方法
US9005552B2 (en) 2009-04-24 2015-04-14 University Of Yamanashi Selective CO methanation catalyst, method of producing the same, and apparatus using the same
JP5691098B2 (ja) * 2009-04-24 2015-04-01 国立大学法人山梨大学 一酸化炭素の選択的メタン化触媒、その製造方法及びそれを用いた装置
JP2011017057A (ja) * 2009-07-09 2011-01-27 Hitachi Metals Ltd アルミニウム酸化物と鉄の複合焼結体、およびその製造方法
JP2011200853A (ja) * 2010-03-26 2011-10-13 Toshiba Corp 触媒、その製造方法およびその触媒を用いた水素製造方法
JP2012187495A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Toshiba Corp 触媒およびその製造方法
WO2016136111A1 (ja) * 2015-02-27 2016-09-01 住友電気工業株式会社 セラミックスの製造方法、コンデンサ、固体酸化物型燃料電池、水電解装置及び水素ポンプ
JP2016160111A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 住友電気工業株式会社 セラミックスの製造方法、コンデンサ、固体酸化物型燃料電池、水電解装置及び水素ポンプ
CN107250085A (zh) * 2015-02-27 2017-10-13 住友电气工业株式会社 陶瓷材料的制造方法、电容器、固体氧化物型燃料电池、水电解装置和氢泵
KR101795738B1 (ko) * 2016-07-04 2017-11-08 한국과학기술원 산화물 지지체 - 금속 나노입자 복합체의 제조 방법 및 상기 방법에 의해 제조된 산화물 지지체 - 금속 나노입자 복합체
JP2019019038A (ja) * 2017-07-20 2019-02-07 神島化学工業株式会社 酸化銀及びその製造方法
JP7083235B2 (ja) 2017-07-20 2022-06-10 神島化学工業株式会社 酸化銀及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Patil et al. Combustion synthesis: an update
EP1879247B1 (en) Anode active material for lithium secondary battery hybridized with carbon nano fibres
Wen et al. Microstructural characterisation of electroless-nickel coatings on zirconia powder
JP5391391B2 (ja) NiO−セラミック複合粉体の製造方法
JP2002538597A (ja) 固体酸化物形燃料電池用アノードの製造法
KR100724555B1 (ko) 수소 제조용 금속 산화물 촉매 및 그의 제조 방법
CN101203305A (zh) 用于产生氢气的金属氧化物催化剂及制备该金属氧化物催化剂的方法
JP2003275594A (ja) カーボンナノチューブの低温熱化学蒸着用金属触媒
JP2001278656A (ja) 金属酸化物焼結体およびその製造方法
JP4994605B2 (ja) 燃料電池用膜−電極アセンブリー及びこれを含む燃料電池システム
US7435274B2 (en) Metal particle-dispersed composite oxides, metal particle-dispersed composite oxide-sintered bodies, method of manufacturing metal particle-dispersed composite oxides, and hydrocarbon-based fuel reformer
US9970118B2 (en) Method for preparing fuel electrode of solid oxide electrolysis cells embedded with bimetallic catalyst
JP2003164761A (ja) 金属酸化物焼結構造体及びその製造方法
JP2003201108A (ja) カーボン材料
JP2002110176A (ja) カーボンナノファイバー複合体およびその製造方法
KR101308020B1 (ko) 코어-셀 구조의 복합 분말 및 그 제조 방법
JP3469186B2 (ja) カーボンナノファイバーの製造方法
JP4430291B2 (ja) 合成ガス製造方法
JP2007237182A (ja) 燃料電池用触媒材料
JP3776839B2 (ja) 金属粒子担持複合酸化物焼結構造体およびその製造方法
KR101185323B1 (ko) 은 나노입자가 코팅된 소재를 포함하는 고체산화물 연료전지의 공기극 및 이의 제조방법
JP3950099B2 (ja) 金属粒子担持複合酸化物、その製造方法、およびそれを用いた燃料改質器
CN114657579A (zh) 一种二元合金纳米颗粒修饰的固体氧化物电解池工作电极及其制备方法和应用
JPH0629027A (ja) 燃料電池およびその製造方法
JP2005332662A (ja) 燃料電池用触媒およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050315

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050823