JP2005332662A - 燃料電池用触媒およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 白金およびイリジウム酸化物を触媒金属として有する燃料電池用触媒の、製造コストを削減する手段を提供する。
【解決手段】 白金およびイリジウム酸化物を担持する導電性担体として、カーボン製導電性担体を用いる。燃料電池用触媒は、白金を担持してなるカーボン製導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させ、前記白金および前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成することによって製造されうる。イリジウム化合物の焼成時には、カーボン製導電性担体が燃焼しないように留意する。本発明の燃料電池用触媒は、イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させ、前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成して、イリジウム酸化物を生成させ、前記イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体に、白金を担持させることによって製造されてもよい。イリジウム化合物の焼成時には、担体に白金が担持されていないため、高温での焼成も可能である。
【選択図】 図4
【解決手段】 白金およびイリジウム酸化物を担持する導電性担体として、カーボン製導電性担体を用いる。燃料電池用触媒は、白金を担持してなるカーボン製導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させ、前記白金および前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成することによって製造されうる。イリジウム化合物の焼成時には、カーボン製導電性担体が燃焼しないように留意する。本発明の燃料電池用触媒は、イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させ、前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成して、イリジウム酸化物を生成させ、前記イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体に、白金を担持させることによって製造されてもよい。イリジウム化合物の焼成時には、担体に白金が担持されていないため、高温での焼成も可能である。
【選択図】 図4
Description
本発明は、燃料電池において用いられる触媒に関する。本発明の触媒は、例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)における電極触媒層に用いられる。
燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。燃料電池としては、固体高分子型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池など、各種燃料電池が提案されている。この中では、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、比較的低温で作動可能であることから、自動車等の移動体用動力源として期待され、開発が進められている。
固体高分子型燃料電池においては、空気などの酸化剤が酸素極に供給され、水素ガスが燃料極に供給される。そして、電気化学的反応によって、電子が発生する。この反応を促進する触媒としては、白金が注目されている。そして、白金触媒の特性を高めるため、白金とともにイリジウム酸化物を触媒金属として用いる触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
イリジウム酸化物の調製方法としては、イリジウム酸化物の前駆体であるイリジウム化合物を作製し、その後、焼成する手法が用いられている。具体的には、イリジウム錯体を含む水溶液に水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加して、水酸化イリジウム水和物を生成させる。そして、水酸化イリジウム水和物を焼成して、イリジウム酸化物を得る。
また、触媒金属を導電性担体に担持させることによって、触媒の有効利用が図れ、取り扱い性も向上する。特許文献1には、導電性担体として、金、ルテニウム、チタンなどの金属粒子や、炭化チタン、炭化ジルコニウムなどのセラミックス粒子が開示されている。
燃料電池の実用化のためには、原料コストを削減することが求められており、触媒に関しても、製造コストの削減が求められている。
特開2000−342965号公報
そこで本発明の目的は、白金およびイリジウム酸化物を触媒金属として有する燃料電池用触媒の、製造コストを削減する手段を提供することである。
本発明は、カーボン製導電性担体と、前記導電性担体に担持されている白金およびイリジウム酸化物と、を有する燃料電池用触媒である。
本発明の燃料電池用触媒は、白金を担持してなるカーボン製導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させる段階と、前記白金および前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成する段階とを含む製造方法によって、製造されうる。
また本発明の燃料電池用触媒は、イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させる段階と、前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成して、イリジウム酸化物を生成させる段階と、前記イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体に、白金を担持させる段階とを含む製造方法によって、製造されうる。
本発明の燃料電池用触媒は、導電性担体としてカーボン製材料を用いる。このため、触媒の製造コストを抑制し、ひいては、燃料電池の汎用化に貢献する。また、触媒金属として、白金および酸化イリジウムを有するため、触媒性能にも優れる。
製造コストを削減する手段の一つとしては、安価な材料からなる担体を使用することが考えられる。安価な材料からなる担体としては、カーボンブラックなどのカーボン製材料が考えられる。しかしながら、白金およびイリジウム酸化物を触媒金属として用いる場合、カーボン製材料を担体として用いることが困難であることが判明した。
イリジウム酸化物を担体に担持させる場合、イリジウム酸化物の前駆体であるイリジウム化合物を白金担持担体に担持させ、その後、焼成する手法が用いられる。しかしながら、カーボン製料は、白金を担持していると、焼成時の熱によって燃焼してしまう問題が明らかになった。
本発明者らは、この問題を解決する手段を見出し、本発明を完成させた。以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の第1は、カーボン製導電性担体と、前記導電性担体に担持されている白金およびイリジウム酸化物と、を有する燃料電池用触媒である。
カーボン製導電性担体とは、カーボンからなり、導電性を有する担体である。カーボン製導電性担体は、特に限定されないが、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛などのカーボン製材料が挙げられる。好ましくは、カーボンブラックが用いられる。2種以上の導電性担体を併用してもよい。場合によっては、これら以外の担体を用いてもよいが、触媒の製造コストを抑制する観点からは、カーボン製材料が好ましい。
導電性担体の比表面積は、特に限定されないが、好ましくは200〜1600m2/gである。この範囲の比表面積を有する導電性担体を用いると、白金およびイリジウム酸化物を、高い分散度で担持させやすく、触媒粒子の凝集抑制や利用率の向上が達成できる。
白金は、触媒全体の質量に対して、好ましくは10〜50質量%含まれる。50質量%を超える白金粒子が触媒粒子表面に存在すると、均一に分散し難くなり、白金粒子の高分散担持が困難となる虞がある。また、白金粒子の存在量が10質量%未満の場合、酸素還元にたいして十分な触媒活性が得られない虞がある。
イリジウム酸化物は、特に限定されないが、触媒全体の質量に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%含まれる。この範囲のイリジウム酸化物量とすることにより、白金利用率を上げ、白金粒子表面とイリジウム酸化物粒子表面との反応を大きく促進させることができる。20質量%を超えるイリジウム酸化物が触媒粒子表面に存在すると、白金粒子の大部分がイリジウム酸化物によって覆われてしまい、白金の利用率が低下する虞がある。
本発明の第2は、燃料電池用触媒の製造方法の一実施形態に関する。本発明の第1の燃料電池用触媒は、以下に説明する製造方法によって製造可能である。
本発明の製造方法は、工程によって、大きく2種類に大別される。一つは、白金を担持してなる導電性担体を準備し、この担体にイリジウム酸化物を担持させる手法である。もう一方は、白金を担持していない導電性担体を準備し、この担体にイリジウム酸化物を担持させ、その後、イリジウム酸化物を担持している担体に、白金を担持させる手法である。
それぞれの工程には、それぞれ利点が存在する。白金が担持されている導電性担体にイリジウム酸化物を担持させる工程を採用する場合(図1〜3参照)、白金とカーボン製導電性担体との接触性が高い触媒が得られる。担持する白金粒子の大きさを確実に制御した上で、イリジウム担持工程に移行することも可能である。イリジウム担持工程においては、イリジウム酸化物を微細な粒子の状態で担体に沈着させることができるため、担持量を制御して、白金粒子の大部分がイリジウム酸化物で被覆され、触媒性能が低下することを防止することも可能である。さらに、この製法を採用する場合、前述の通り、カーボン製導電性担体が焼結時に燃焼する虞があるため、比較的低温で焼結する。焼結温度が低いと、焼結時間が長くなる傾向があるものの、焼結を制御しやすく、高温焼結のための特別な設備を省略できる可能性もある。
一方、導電性担体にイリジウム酸化物を担持させ、その後、白金を担持させる工程を採用する場合(図4〜6参照)、焼結によりイリジウム酸化物を生成させる際に、白金を担持しているカーボン製導電性担体が存在しない。このため、イリジウム酸化物を担体に担持させるための焼結工程の熱によって、カーボン製導電性担体が燃焼する問題を回避できる。焼結によってカーボン製導電性担体が燃焼する問題が回避されているため、イリジウム酸化物を生成させる際に、充分な熱処理を加えることができ、結晶性の高いイリジウム酸化物を生成させることが可能である。また、イリジウム酸化物を担持する担体に白金を担持させる場合、作製される触媒表面に白金が多く存在するので、白金の利用効率を向上させることが可能である。
前記2種類の製造方法は、担体表面におけるイリジウム化合物の析出方法によって、さらに3種類に分類される。1つは、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法である(図1および図4参照)。他の1つは、所定のpHに調整した水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法である(図2および図5参照)。さらに他の1つは、塩化イリジウムおよび白金担持導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法である(図3および図6参照)。本発明の製造方法については、以下、製造工程ごとに、詳細に説明する。
まず、図1に示す製造方法について説明する。
塩化イリジウム水溶液に、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物(以下、「水酸化アルカリ」とも記載する)を加える。
塩化イリジウムとしては、水溶性のイリジウム錯体が用いられる。塩化イリジウムの具体例としては、IrCl4、IrCl3、(NH4)2[IrCl6]、H2[IrCl6]、K2[IrCl6]、Na2[IrCl6]、H3[IrCl6]、K3[IrCl6]、(NH4)3[IrCl6]等を挙られる。塩化イリジウムの濃度は、特に限定されないが、0.05〜0.5質量%程度とすればよい。
アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどから、適宜選択すればよい。これらは、水溶液の形態で添加すると、作業上便利である。また、添加量については、特に限定されないが、水酸化イリジウム錯体を形成しやすいように、水酸基換算で、イリジウム原子の7〜10倍の量を添加するとよい。添加する水酸化アルカリの量は、溶液のpHを基準として制御してもよい。例えば、溶液のpHが11〜12となるように、水酸化アルカリを添加する。
その後、混合溶液を40〜60℃で撹拌する。混合溶液を40〜60℃で撹拌することによって、イリジウムに水酸化物イオンが6個配位した水酸化イリジウム錯体[Ir(OH)6]3−が形成される。水酸化物イオンが配位した錯体溶液を形成し、その後、担体表面に析出させる手法を用いることにより、塩化物イオンやナトリウムイオン等の他の成分の混入が抑えて、触媒の単位質量あたりの活性を向上させることが可能である。
混合溶液の温度は、撹拌中、常に40〜60℃に保持されねばならないわけではなく、混合溶液の撹拌中に、少なくとも40〜60℃となっていればよい。ただし、効率的に水酸化イリジウム錯体を形成するには、40〜60℃に保持した状態で撹拌するとよい。反応時間は、特に限定されないが、4〜8時間程度とすればよい。
次に、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、白金を担持してなるカーボン製導電性担体(以下、「白金担持担体」とも記載する)を分散させる。必要に応じて、白金担持担体を溶液に加える前に、水酸化イリジウム錯体を含む溶液を室温にまで冷却する。白金担持担体は、超音波、撹拌などによって分散させうる。
白金担持担体の種類については、特に限定されない。担体については、本発明の第1において説明した通り、カーボン製導電性担体は、特に限定されないが、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛などが使用されうる。
白金担持担体における白金の担持量は、触媒の製造コスト、触媒活性、担体の種類などを考慮して決定されればよい。充分な量の白金を担持させることによって、充分な触媒活性を発現させることが可能であるが、白金は高価であるため触媒の製造コストを上昇させる主要因となる。好ましくは、製造させる触媒全体の質量に対して、10〜50質量%の白金が含まれるように、白金担持量を制御する。白金担持担体は、市販の担体を用いてもよいし、白金化合物を含む水溶液を用いてカーボン製担体に、白金を担持させてもよい。
つづいて、水酸化イリジウム錯体および白金担持担体を含む液体に、酸を添加して、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる。酸を加えて中和することによって、イリジウム化合物が、担体表面に析出する。生成しているイリジウム化合物は、[Ir(OH)3(H2O)3]と推測される。
酸としては、例えば、塩酸、過塩素酸水溶液、硫酸等を用いることができる。酸の添加量は、水酸化イリジウム水和物の沈殿が生じるための必要な量とすればよく、通常は、水溶液のpHが7.5〜8.5程度となる量とすればよい。酸を添加した後は、充分に撹拌することが好ましい。酸を加えすぎると、沈殿物が再溶解して、再び塩化イリジウム錯体が形成されてしまう虞がある。
イリジウム化合物を析出させた後、イリジウム化合物が析出した白金担持担体を焼成することによって、イリジウム化合物をイリジウム酸化物へと変化させる。焼成に先立って、触媒への不純物の混入を防止すべく、ろ過および洗浄を行うとよい。ろ過および洗浄の回数については、特に限定されない。洗浄の後は、白金およびイリジウム化合物を担持してなる導電性担体を乾燥するとよい。
焼成は、酸化雰囲気下において行うことが好ましい。より好ましくは、空気雰囲気下において焼成を行う。前述の通り、白金を担持してなるカーボン製導電性担体を高温で焼成すると、カーボン製導電性担体が燃焼してしまう問題がある。このため、カーボンが燃焼しないように、好ましくは200〜300℃、より好ましくは200〜250℃の低温で焼成を行う。焼成時間は、イリジウム化合物の担持量や焼成雰囲気によって左右される。焼成が不十分であると、イリジウム化合物がイリジウム酸化物に充分変化しない虞があるため、イリジウム酸化物への酸化が充分進行するような条件を設定するとよい。ただし、その際には、前述の通り、カーボン製導電性担体が燃焼しないように留意することが好ましい。
上述のように、水酸化イリジウム錯体を含む液体に酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を採用する場合、常温系での調製が可能である。イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる過程において、反応系を高温に加熱すると、粒子が凝集する虞がある。この点、常温系で反応を進行させた場合、粒子の凝集を防止し、イリジウム化合物の分散性を高めることが可能である。
図2に示す製造方法について説明する。この製造方法は、酸や還元剤などの添加を省略することが可能であり、添加する成分を省略することにより、調製工程の簡素化および不純物の混入を防止できる。
塩化イリジウム水溶液に、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物を加える。塩化イリジウム水溶液や水酸化アルカリについては、既に説明したので、ここでは説明を省略する。
塩化イリジウム水溶液に水酸化アルカリを添加することによって水酸化イリジウム錯体を生成させるが、この際に、pHを6〜8に制御する。
次に、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、白金担持担体を分散させる。白金担持担体は、超音波、撹拌などによって分散させうる。白金担持担体については、既に説明したので、ここでは説明を省略する。
水酸化イリジウム錯体および白金担持担体を含む液体を、85〜90℃に加熱し、撹拌することによって、イリジウム化合物を白金担持担体上に析出させる。水酸化イリジウム錯体を含む液体を加熱してイリジウム化合物を析出させる手法を採用することによって、より確実にイリジウム化合物を析出させることが可能である。
イリジウム化合物を析出させた後、イリジウム化合物が析出した白金担持担体を焼成することによって、イリジウム化合物をイリジウム酸化物へと変化させる。イリジウム化合物を析出させた後の作業は、図1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図3に示す製造方法について説明する。この製造方法は、酸の添加を省略することが可能であり、添加する成分を省略することにより、調製工程の簡素化および不純物の混入を防止できる。また、作業が簡便という利点も有する。
塩化イリジウムを含む溶液に、白金を担持してなる導電性担体を分散させる。塩化イリジウム水溶液や白金担持担体については、既に説明したので、ここでは説明を省略する。
塩化イリジウムおよび白金担持担体を含む液体には、必要に応じて還元剤を加えてもよい。還元剤を加えておくと、イリジウム化合物を白金担持担体に析出させる際に、イリジウムメタルを析出させることが可能である。還元剤としては、特に限定されないが、メタノール、エタノールなどのアルコールが挙げられる。
水酸化イリジウム錯体および白金担持担体を含む液体を、85〜90℃に加熱し、撹拌することによって、イリジウム化合物を白金担持担体上に析出させる。水酸化イリジウム錯体を含む液体を加熱してイリジウム化合物を析出させる手法を採用することによって、より確実にイリジウム化合物を析出させることが可能である。
イリジウム化合物を析出させた後、イリジウム化合物が析出した白金担持担体を焼成することによって、イリジウム化合物をイリジウム酸化物へと変化させる。イリジウム化合物を析出させた後の作業は、図1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図4〜6に示す製造方法について説明する。図4〜6に示す製造方法は、図1〜図3に記載した製造方法とは異なり、導電性担体にイリジウム酸化物を担持させ、その後、白金を担持させる製造方法である。イリジウム酸化物を担持させた後、白金を担持させる製法を用いることにより、イリジウム酸化物を生成させるための焼成工程において、高温焼成が可能となる。なお、イリジウム化合物を担持させる導電性担体が、白金を担持していないカーボン製導電性担体であることを除けば、イリジウム化合物を担持させる工程自体は、図1の製造工程に対応する。同様に、図5の製造方法は図2の製造方法に対応し、図6の製造方法は図3の製造方法に対応する。
つまり、図4〜図6の製造方法は、焼成温度が異なる点、およびイリジウム酸化物を担持してなる導電性担体に白金を担持させる点のほかは、図1〜3において説明した製造方法に準拠する。また、工程特有の効果についても同様である。例えば、図4のように水酸化イリジウム錯体を含む液体に酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を採用する場合、図1の場合と同様、常温系での調製が可能であり、イリジウム化合物の分散性を高めることが可能である。このため、以下、焼成工程および白金担持工程について説明し、その他の工程については記載を省略する。
焼成は、酸化雰囲気下において行うことが好ましい。より好ましくは、空気雰囲気下において焼成を行う。焼成温度は、好ましくは300〜500℃、より好ましくは350〜450℃の範囲で焼成する。高温で焼成しても、カーボン製導電性担体に白金が担持されていないため、カーボン製担体を燃焼しにくい。高温で焼成することにより、結晶性のあるイリジウム酸化物として担体上に存在させることができる。また焼き締められることにより、担体とイリジウム酸化物との結合が強固になり、触媒としての強度が向上する。
イリジウム酸化物が担持されている導電性担体に、白金を担持させる方法は特に限定されない。例えば、導電性担体を含む液体と、白金化合物を含む水溶液とを混合して、その後、白金化合物を還元することにより、担体表面に白金を担持させる。
白金化合物の種類については、水溶液として逆ミセルの内部に供給可能であれば、特に限定されない。白金化合物の具体例としては、ジニトロジアミン白金(Pt(NO2)2(NH3)2)、H2PtCl6などが挙げられる。ジニトロジアミン白金の結晶は基本的に水に不溶であるため、ジニトロジアミン白金を用いる際には、硝酸に溶解してから水溶液化し、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液として添加するとよい。
白金化合物を含む水溶液における、白金の濃度は、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。ただし、本発明の技術的範囲がこれらの範囲に限定されるわけではなく、場合によっては、上記範囲から外れる濃度としてもよい。
担体表面に白金を析出させる手法は、特に限定されず、白金化合物の種類によって適宜選択すればよい。例えば、還元剤を用いて白金化合物を還元して、白金金属を析出させる。このとき用いられる還元剤としては、エタノール、メタノールなどが挙げられる。
本発明の燃料電池用触媒は、燃料電池の電極触媒層に配置されることが好ましい。電極触媒層は、空気極であっても燃料極であってもどちらでもよい。双方に本発明の触媒が配置されてもよい。燃料電池の種類については、本発明の触媒が適用可能であれば特に限定されない。好ましくは、本発明の触媒は、固体高分子型燃料電池に用いられる。
高い触媒性能を有する触媒が配置することによって、高い発電特性を有する燃料電池がえられる。燃料電池の使用用途については、特に限定されないが、例えば、本発明の燃料電池は車両に用いられる。
<実施例1>
白金を担持してなる導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させる製法で、触媒を作製した(図1参照)。イリジウムの担持方法としては、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
白金を担持してなる導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させる製法で、触媒を作製した(図1参照)。イリジウムの担持方法としては、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
1質量%塩化イリジウム溶液50gに、アルカリ金属の水酸化物として1Mの水酸化ナトリウム水溶液を26ml滴下した。塩化イリジウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液に純水を加え全量を100gとし、40℃に加熱しながら、6時間以上撹拌を続け、0.5質量%の濃度でイリジウムを含む、水酸化イリジウム錯体を生成させた。
水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、室温まで冷却した。この溶液を10g取り、さらに純水を加え、0.1質量%の濃度でイリジウムを含む溶液とした。ここに、白金を担持してなるカーボン製導電性担体として、50質量%の濃度で白金を担持してなるカーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を1.108g投入した。その後、この溶液を10分間超音波分散させた。
室温で撹拌を続けながら、5質量%の希塩酸をゆっくりと、pH=7になるまで滴下し、さらに撹拌を2時間続けた。ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下において、200℃で4時間焼成を行い、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<実施例2>
白金を担持してなる導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させる製法で、触媒を作製した(図2参照)。イリジウムの担持方法としては、所定のpHに調整した水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
白金を担持してなる導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させる製法で、触媒を作製した(図2参照)。イリジウムの担持方法としては、所定のpHに調整した水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
0.1質量%塩化イリジウム溶液50gに、アルカリ金属の水酸化物として1Mの水酸化ナトリウム水溶液をpH=7になるまでゆっくり滴下した。
この溶液に、白金を担持してなるカーボン製導電性担体として、50質量%の濃度で白金を担持してなるカーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を1.108g投入した。その後、この溶液を10分間超音波分散させた。
白金担持カーボンが分散しているスラリーをセパラブルフラスコに入れ、還流させながら90℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下において、200℃で4時間焼成を行い、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<実施例3>
白金を担持してなる導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させる製法で、触媒を作製した(図3参照)。イリジウムの担持方法としては、塩化イリジウムおよび白金担持導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
白金を担持してなる導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させる製法で、触媒を作製した(図3参照)。イリジウムの担持方法としては、塩化イリジウムおよび白金担持導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
0.1質量%塩化イリジウム溶液50gに、50質量%の濃度で白金を担持してなるカーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を1.108g投入した。その後、この溶液を10分間超音波分散させた。ここに、還元剤としてエタノール50mlを加え、さらに10分間超音波分散させた。
白金担持カーボンが分散しているスラリーをセパラブルフラスコに入れ、85℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下において、200℃で4時間焼成を行い、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<実施例4>
白金を担持していない導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させ、さらに、白金を担持させる製法で、触媒を作製した(図4参照)。イリジウムの担持方法としては、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
白金を担持していない導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させ、さらに、白金を担持させる製法で、触媒を作製した(図4参照)。イリジウムの担持方法としては、水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
1質量%塩化イリジウム溶液50gに、アルカリ金属の水酸化物として1Mの水酸化ナトリウム水溶液を26ml滴下した。塩化イリジウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液に純水を加え全量を100gとし、40℃に加熱しながら、6時間以上撹拌を続け、0.5質量%の濃度でイリジウムを含む、水酸化イリジウム錯体を生成させた。
水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、室温まで冷却した。この溶液を10g取り、さらに純水を加え、0.1質量%の濃度でイリジウムを含む溶液とした。ここに、白金を担持していないカーボン製導電性担体として、カーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を1.05g投入した。その後、この溶液を10分間超音波分散させた。
室温で撹拌を続けながら、5質量%の希塩酸をゆっくりと、pH=7になるまで滴下し、さらに撹拌を2時間続けた。ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させた。ついで、空気雰囲気下において、400℃で3時間焼成を行い、イリジウム酸化物を、導電性担体上に生成させた。
イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体と、0.5質量%の濃度で白金を含むジニトロジアミン白金溶液とを混合した。ジニトロジアミン白金溶液の使用量は、イリジウム酸化物担持導電性担体と、白金の添加量とが同量になるように決定した。さらに、還元剤としてエタノールを50ml加え、超音波分散を10分間行った。
このスラリーをセパラブルフラスコに入れ、90℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させ、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<実施例5>
白金を担持していない導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させ、さらに、白金を担持させる製法で、触媒を作製した(図5参照)。イリジウムの担持方法としては、所定のpHに調整した水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
白金を担持していない導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させ、さらに、白金を担持させる製法で、触媒を作製した(図5参照)。イリジウムの担持方法としては、所定のpHに調整した水酸化イリジウム錯体を含む溶液を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
0.1質量%塩化イリジウム溶液50gに、アルカリ金属の水酸化物として1Mの水酸化ナトリウム水溶液をpH=7になるまでゆっくり滴下した。
この溶液に、白金を担持していないカーボン製導電性担体として、カーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を1.05g投入した。その後、この溶液を10分間超音波分散させた。
白金担持カーボンが分散しているスラリーをセパラブルフラスコに入れ、還流させながら90℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させた。ついで、空気雰囲気下において、400℃で3時間焼成を行い、イリジウム酸化物を、導電性担体上に生成させた。
0.5質量%の濃度で白金を含むジニトロジアミン白金溶液と、イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体とを混合した。ジニトロジアミン白金溶液の使用量は、イリジウム酸化物担持導電性担体と、白金の添加量とが同量になるように決定した。さらに、還元剤としてエタノールを50ml加え、超音波分散を10分間行った。
このスラリーをセパラブルフラスコに入れ、90℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させ、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<実施例6>
白金を担持していない導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させ、さらに、白金を担持させる製法で、触媒を作製した(図6参照)。イリジウムの担持方法としては、塩化イリジウムおよび白金担持導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
白金を担持していない導電性担体に、イリジウム酸化物を担持させ、さらに、白金を担持させる製法で、触媒を作製した(図6参照)。イリジウムの担持方法としては、塩化イリジウムおよび白金担持導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を導電性担体上に析出させる手法を用いた。具体的には、以下の手段により、触媒を作製した。
0.1質量%塩化イリジウム溶液50gに、白金を担持していない導電性担体として、カーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を1.05g投入した。その後、この溶液を10分間超音波分散させた。ここに、還元剤としてエタノール50mlを加え、さらに10分間超音波分散させた。
白金担持カーボンが分散しているスラリーをセパラブルフラスコに入れ、85℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させた。ついで、空気雰囲気下において、400℃で3時間焼成を行い、イリジウム酸化物を、導電性担体上に生成させた。
0.5質量%の濃度で白金を含むジニトロジアミン白金溶液と、イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体とを混合した。ジニトロジアミン白金溶液の使用量は、イリジウム酸化物担持導電性担体と、白金の添加量とが同量になるように決定した。さらに、還元剤としてエタノールを50ml加え、超音波分散を10分間行った。
このスラリーをセパラブルフラスコに入れ、90℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させ、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<比較例1>
0.5質量%の濃度で白金を含むジニトロジアミン白金溶液と、導電性担体としてのカーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を混合した。ジニトロジアミン白金溶液の使用量は、導電性担体と、白金の添加量とが同量になるように、決定した。さらに、還元剤としてエタノールを50ml加え、超音波分散を10分間行った。
0.5質量%の濃度で白金を含むジニトロジアミン白金溶液と、導電性担体としてのカーボンブラック(ケッチェンブラックTM)を混合した。ジニトロジアミン白金溶液の使用量は、導電性担体と、白金の添加量とが同量になるように、決定した。さらに、還元剤としてエタノールを50ml加え、超音波分散を10分間行った。
このスラリーをセパラブルフラスコに入れ、90℃まで加熱し、その後6時間保持した。加熱処理終了後、自然放冷させ、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間以上乾燥させ、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒を得た。
<評価>
作製した触媒に、0.5mlの純水を加えて超音波分散させた。この液体を、5質量%NafionTM溶液と混合した。このときの混合比は、質量比で触媒体:NafionTM=1:1となるように調製した。マイクロピペットを使用して、10〜20マイクロリットル触媒インクをAu集電体板に均一に塗布した。これを50℃で10分間減圧乾燥させ評価用電極触媒とした。
作製した触媒に、0.5mlの純水を加えて超音波分散させた。この液体を、5質量%NafionTM溶液と混合した。このときの混合比は、質量比で触媒体:NafionTM=1:1となるように調製した。マイクロピペットを使用して、10〜20マイクロリットル触媒インクをAu集電体板に均一に塗布した。これを50℃で10分間減圧乾燥させ評価用電極触媒とした。
このように準備された評価用電極触媒を用いて、各触媒についての白金質量あたりの交換電流値、すなわち質量活性値(単位:[μA/mg−Pt])を求めるため、電気化学測定を行い電流−電圧特性を調査した。結果を表1に示す。
本発明の製造方法を用いれば、触媒金属として白金およびイリジウム酸化物を用いる際にも、導電性担体としてカーボン製材料を用いることが可能となる。特に、実施例4〜6に示すように、カーボンにイリジウム化合物を担持させて焼成し、その後、白金を担持させる手法を採用した場合、高温での焼成が可能となる。
導電性担体としてカーボン製材料を用いる本発明の触媒は、安価に製造可能である。イリジウム酸化物を有するため、酸素還元反応に対する初期活性を高めることも可能である。また、白金および酸化イリジウムを高分散に担持させることができ、白金表面を有効に活用可能であるため、表1に示すように、優れた触媒性能を有する。
本発明の触媒は、燃料電池に用いられる。例えば、固体高分子型燃料電池の電極触媒層における、発電反応を促進する触媒として用いられる。
Claims (16)
- カーボン製導電性担体と、前記導電性担体に担持されている白金およびイリジウム酸化物と、を有する燃料電池用触媒。
- 前記導電性担体は、比表面積が200〜1600m2/gのカーボンブラックである、請求項1に記載の燃料電池用触媒。
- 前記白金は、触媒全体の質量に対して10〜50質量%含まれる、請求項1または2に記載の燃料電池用触媒。
- 前記イリジウム酸化物は、触媒全体の質量に対して1〜20質量%含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒。
- 白金を担持してなるカーボン製導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させる段階と、
前記白金および前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成する段階と、
を含む、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記白金を担持してなるカーボン製導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させる段階は、
塩化イリジウム水溶液にアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物を加え、40〜60℃で撹拌することによって、水酸化イリジウム錯体を生成させる段階と、
前記水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、白金を担持してなるカーボン製導電性担体を分散させる段階と、
前記水酸化イリジウム錯体および前記導電性担体を含む液体に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる段階である、請求項5に記載の燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記白金を担持してなるカーボン製導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させる段階は、
塩化イリジウム水溶液にアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物を加え、pHが6〜8である、水酸化イリジウム錯体を含む溶液を調製する段階と、
前記水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、白金を担持してなる導電性担体を分散させる段階と、
前記水酸化イリジウム錯体および前記導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる段階である、請求項5に記載の燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記白金を担持してなる導電性担体上に、イリジウム化合物を担持させる段階は、
塩化イリジウムを含む溶液に、白金を担持してなる導電性担体を分散させる段階と、
前記塩化イリジウムおよび前記導電体担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌して、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる段階と、
からなる、請求項5に記載の燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記導電性担体を焼成する段階は、前記導電性担体を、空気雰囲気下において200〜300℃で焼成する段階である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
- イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させる段階と、
前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成して、イリジウム酸化物を生成させる段階と、
前記イリジウム酸化物を担持してなる導電性担体に、白金を担持させる段階と、
を含む、白金およびイリジウム酸化物が担持された燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させる段階は、
塩化イリジウム水溶液にアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物を加え、40〜60℃で撹拌することによって、水酸化イリジウム錯体を生成させる段階と、
前記水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、カーボン製導電性担体を分散させる段階と、
前記水酸化イリジウム錯体および前記導電性担体を含む液体に、酸を添加することによって、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる段階である、請求項10に記載の燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させる段階は、
塩化イリジウム水溶液にアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物を加え、pHが6〜8である、水酸化イリジウム錯体を含む溶液を調製する段階と、
前記水酸化イリジウム錯体を含む溶液に、カーボン製導電性担体を分散させる段階と、
前記水酸化イリジウム錯体および前記導電性担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌することによって、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる段階である、請求項10に記載の燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記イリジウム化合物をカーボン製導電性担体上に担持させる段階は、
塩化イリジウムを含む溶液に、カーボン製導電性担体を分散させる段階と、
前記塩化イリジウムおよび前記導電体担体を含む液体を、85〜90℃で撹拌して、イリジウム化合物を前記導電性担体上に析出させる段階と、
からなる、請求項10に記載の燃料電池用触媒の製造方法。 - 前記イリジウム化合物を担持してなる導電性担体を焼成して、イリジウム酸化物を生成させる段階は、前記導電性担体を、空気雰囲気下において300〜500℃で焼成する段階である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒が電極触媒層に配置された燃料電池。
- 請求項15に記載の燃料電池を搭載する車両。
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