JP2001251600A - 映像信号／データ信号分離装置及びそれを用いた高周波伝送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】下り映像信号と上り／下りデータ信号を分離す
る分離装置を提供する。 【解決手段】ＣＡＴＶシステム、特に需要家において使
用され、流合雑音を低減しデータ伝送の品質を向上させ
る映像信号／データ信号分離装置である。第１分波器１
００と第２分波器１２０を対向して設け、それぞれの分
岐端子を接続して高群下り回路１１５と低群上り回路１
１６を形成する。そして、高群下り回路１１５に分岐器
１１０を挿入し、その出力端子を片方向伝送端子として
映像信号受信機を接続する。映像信号受信機からの低群
帯域の雑音は、第１分波器で遮断される。これにより、
映像信号受信機からの出力されることによって生じるセ
ンタにおける流合雑音の増加が抑制される。下り映像信
号と上り／下りデータ信号がほぼ完全に分離されるの
で、品質のよいデータ通信が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、上り流合雑音を低
減させることでデータ通信の品質を改善したブロードバ
ンド伝送路に用いる映像信号／データ信号分離装置に関
する。特に、各需要者宅に設置されている映像信号受信
機からの雑音が上りチャネルに送出されないように工夫
した装置に関する。本発明は、例えば、ＣＡＴＶシステ
ムにおいて、品質の良いインタネット等の高速データ通
信を可能とするローカルエリアネットワークの構築に適
用できる。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ブロードバンド伝送方式の一
例としてＣＡＴＶシステムが知られている。このＣＡＴ
Ｖシステムにおいて、最近、映像信号の伝送の他に、双
方向のデータ伝送、特に、インタネットへ接続可能なデ
ータ伝送が多重化されている。このシステムではセンタ
をインタネットに接続することで、各データ端末装置は
映像信号（代表例としてはテレビジョン信号であるの
で、以下、ＴＶ信号という）の受信の他に、インタネッ
トによるデータの送受信が可能となっている。従来のデ
ータ通信を可能とするＣＡＴＶシステムを図１１に示
す。従来のＣＡＴＶシステムは、ＣＡＴＶ局２０に設け
られた中央装置２２、中央装置２２に接続された幹線ケ
ーブル２５、幹線ケーブル２５の所定個所に設けられた
中継器３０、中継器３０から分岐された分岐ケーブル２
４、分岐ケーブル２４に接続された集合住宅等の構内ネ
ットワーク５０及び各家庭の家庭内ネットワーク４０か
ら構成される。尚、ＣＡＴＶ局２０はインタネット・イ
ンターフェース２１を介してインタネット１０に接続さ
れている。

【０００３】構内ネットワーク５０は、双方向増幅器５
１、双方向増幅器５１で増幅された信号を分岐／分配す
る分岐／分配器５５、分岐／分配器５５に接続されたデ
ータデータ端末装置５２及び映像受信機であるＴＶ受信
装置５３から構成される。尚、通常構内ネットワーク５
０内では、複数のデータ端末装置５２及びＴＶ受信装置
５３が接続されている。一方、家庭内ネットワーク４０
は、分岐ケーブル２４を伝搬した高群下り信号を分岐／
分配する分岐／分配器４１、分岐／分配器４１に接続さ
れたデータ端末装置４２、ＴＶ受信装置４３から構成さ
れる。尚、両システムにおいてデータ端末装置５２、４
２は、高群下り信号をイーサネット（登録商標）ベース
バンド信号に、あるいはイーサネットベースバンド信号
を低群上り信号に変復調するケーブルモデム５４、４４
を備えている。又、ここで、データ端末装置５２、４２
は例えばコンピュ−タ装置である。

【０００４】このＣＡＴＶシステムで用いられる伝送方
式は、高周波信号（ＲＦ信号）が周波数多重化されたブ
ロードバンド伝送方式である。そして、上り高周波信号
には例えば１０ＭHz〜５０ＭHz帯（低群上り信号）が、
下り高周波信号には７０ＭHz〜７７０ＭHz帯（高群下り
信号）が割り当てられ、双方向通信となっている。

【０００５】例えば、データ端末装置５２から入力され
たデータ信号は所定の通信形式（１０ＢＡＳＥ−Ｔ）で
ツイストペア線５６に送出される。ツイストペア線５６
に送出されたデータ信号は、ケーブルモデム５４により
変調され低群上り信号でＣＡＴＶ局２０の中央装置２２
に送出される。一方、中央装置２２は映像信号を送出す
るとともに、図示しないケーブルモデムにより復調し、
データ信号を例えば、インターフェース２１を介してイ
ンタネット網１０に出力する。このようにして、ＣＡＴ
ＶシステムではＴＶ等の映像受信とインタネット等のデ
ータ通信が可能となっている。

【０００６】

【発明が解決しようする課題】しかしながら、従来のＣ
ＡＴＶシステムでは加入者のデータ端末装置５２、４２
からのＣＡＴＶ局２０ヘの低群上り信号に、破線で示す
ＴＶ等の映像受信機の雑音が混入する場合がある。この
場合、インタネット等のデータ通信の品質が劣化し、デ
ータが正確に中央装置２２に伝送されない。特に、構内
ネットワーク５０においてはデータ端末装置数が多いた
め流合雑音レベルが上昇し、場合によってはＣＡＴＶイ
ンタネットサービスができない場合が発生した。

【０００７】この流合雑音防止対策として、１つの装置
で、映像信号だけを受信する場合と、データの双方向伝
送を行う場合とで切り替え得るような装置が知られてい
る。その装置を図１２に示す。即ち、一対の分波器４５
ａ，４５ｂを上流側と下流側とに対向して設けて高群下
り信号と低群上り信号の経路を分離し、データ端末装置
４２を接続して双方向データ通信を行う場合には、マニ
ュアルスイッチ４６を閉成して使用する。一方、ＴＶ受
信装置４３を接続して、映像信号のみを受信する場合に
は、低群上りの分岐線路に挿入されたマニュアルスイッ
チ４６を開成して、ＴＶ受信装置４３から雑音がセンタ
側に伝送されないようにする。このように、従来の装置
は、ＴＶ受信装置４３を使用するか、データ端末装置４
２を使用するかに応じて、マニュアルスイッチ４６の状
態を切り替えて、いずれか一方の用途に限定して使用す
るものである。よって、この構成の装置では、ＴＶ受信
装置４３とデータ端末装置４２とを共に使用することは
できない。又、通常、工事施工業者がこのマニュアルス
イッチ４６を設定するため、切り替え使用することはで
きない。

【０００８】本発明は上述した問題点を解決するために
なされたものであり、本発明の目的は、需要者宅に設置
されている映像信号受信機から出力される雑音の伝送路
への流合を防止することで、双方向データ伝送の品質を
向上させることである。 又、本発明の映像信号／デー
タ信号分離装置を需要者宅に設置されている保安器、又
は、補償増幅器と組み合わせることで、機能性に優れた
低コストな保安器、補償増幅器を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、請求項１の発明は、高群下りチャ
ネルにより映像信号を伝送させる片方向映像伝送と、高
群下りチャネル及び低群上りチャネルによりデータ信号
を伝送させる双方向データ伝送とが多重化されたブロー
ドバンド伝送システムにおける需要者宅に設置され、映
像信号とデータ信号とを分離する映像信号／データ信号
分離装置において、上流側に設けられ、高群下り信号を
下流へ、下流側から伝送された低群上り信号を上流に送
出する第１分波器と、下流側に設けられ、高群下り信号
の一部を下流側に送出し、下流側から伝送された前低群
上り信号を第１分波器に送出する第２分波器と、第１分
波器と第２分波器を結ぶ高群下り線路に設けられ、高群
下り信号を分岐／分配して分岐／分配された一方の信号
を第２分波器に出力する分岐／分配器と、分岐／分配器
により分岐／分配された他方の信号を出力する片方向伝
送端子と、第２分波器に低群上り信号を供給し、第２分
波器からの高群下り信号を出力する双方向伝送端子とか
ら成ることを特徴とする映像信号／データ信号分離装置
である。尚、ここで高群下り信号は映像信号及びデータ
信号（高周波変調された）を意味する。又高群下り信号
及び低群上り信号のデータ信号は映像データ、画像デー
タ、音声データ、文字データ、制御データ等のデジタル
データの全てを意味する。

【００１０】上記第１分波器と第２分波器は、高群下り
線路と低群上り線路が並列になるように対向して接続さ
れ、分岐／分配器はその高群下り線路間に直列に挿入さ
れる配置となっている。上記構造により、例えば、デー
タ端末装置であるコンピュータ装置から出力されたデー
タ信号は、第２分波器、低群上り線路、第１分波器を経
てセンタ装置に伝送される。

【００１１】逆に、上記構造により、センタ装置からの
高群下り信号は第１分波器、高群下り線路、分岐／分配
器を経由して、例えば、映像信号受信機であるＴＶ受信
器等に出力される。これにより、映像信号が伝送され
る。又、分岐／分配器で分岐／分配された他方の高群下
り信号は、第２分波器に入り、データ信号が例えばデー
タ端末装置であるコンピュータ装置に伝送される。これ
により、片方向映像伝送と双方向データ伝送とが可能と
なる。

【００１２】この時、上記映像信号受信機から低群帯域
の雑音が第２分波器の高群下り線路に混入する。しかし
ながら、第１分波器は高群帯域信号のみが通過できるた
めに、低群帯域の雑音はセンタ側には出力されない。一
方、分岐／分配器を介して第２分波器側に出力される低
群帯域の雑音は、第２分波器による高群通過フィルタに
よる低群遮断機能により、センタ側及びデータ端末装置
側には出力されない。これにより、映像信号受信機から
の低群帯域の雑音は、第１分波器からセンタ側には送出
されない。この結果、ブロードバンド伝送において、各
需要者宅から出力される雑音の流合が防止され、双方向
データ伝送の品質を向上させることができる。

【００１３】請求項２に記載の発明は、分岐／分配器
を、片方向伝送端子側と第２分波器側とが遮断された方
向性結合器としたことである。即ち、片方向伝送端子か
ら入力された信号は、第２分波器側には出力されない構
成としたことである。これにより、第２分波器の高群通
過フィルタ、低群通過フィルタ、低群上り線路、第１分
波器の低群通過フィルタを介して、センタ側に出力され
る雑音をさらに低減させることができる。

【００１４】請求項３に記載の発明は、分岐／分配器
は、その出力／分配端子又は分岐／分配端子の少なくと
も一方に高群下り信号のみを通過させる高域通過フィル
タを備えたことを特徴とする。これによって、片方向伝
送端子から入力された雑音が、第１分波器の高群通過フ
ィルタ側、及び、第２分波器の高群通過フィルタ側への
伝送を、さらに低減することができる。よって、センタ
側への雑音の伝送量を低減でき、流合雑音を抑制するこ
とが可能となる。

【００１５】請求項４に記載の発明は、請求項１乃至請
求項３の発明において、需要者宅内の壁面に設置され、
片方向伝送端子を映像信号受信機を接続する端子とし、
双方向伝送端子をデータ端末装置に対するデータの入出
力端子としたことを特徴とする。即ち、映像信号／デー
タ信号分離装置を需要者宅内における壁面端子ユニット
としたので、各需要者宅ではデータ端末装置と映像信号
受信機とを同時に使用することが可能となり、この場合
に上り流合雑音を抑制することができる。

【００１６】請求項５に記載の発明は、請求項１乃至請
求項３の発明において、第１分波器の上流側の線路にサ
ージ吸収素子を設けたことを特徴とする。即ち、映像信
号／データ信号分離装置を需要者宅における保安器に設
けたので、各需要者宅ではデータ端末装置と映像信号受
信機とを同時に使用することが可能となり、この場合に
上り流合雑音を抑制することができる。又、保安器に設
けたことから、その機能の向上と共に、製造コストを低
減することができる。

【００１７】請求項６に記載の発明は、保安器におい
て、分岐／分配器を分岐器とし、その分岐出力を第２分
波器に接続し主出力を片方向伝送端子に接続する第１状
態と、分岐出力を片方向伝送端子に接続し主出力を第２
分波器に接続する第２状態と、とを切替える切替装置を
さらに設けたことを特徴とする。この切替装置を第２状
態とすることで、保安器の片方向伝送端子を分岐モニタ
端子として使用することができ、下り信号をモニタする
ことができる。又、保安器の双方向伝送端子は、映像信
号とデータ信号とが多重化された広帯域信号を宅内に伝
送するための線路の接続端子とすることができる。他
方、切替装置を第１状態とすることで、保安器の片方向
伝送端子を宅内の映像信号受信機へ映像信号を伝送する
ための線路に接続し、双方向伝送端子を宅内のデータ端
末装置に対する双方向データ伝送用の線路に接続するこ
とができる。又、双方向データ伝送用の線路に接続しな
ければ、この端子は下り信号のモニタ端子として利用す
ることもできる。このようにして、保安器から宅内まで
の配線系統の多様化に対応することが可能となり、利便
性の高い保安器を提供することが可能となる。

【００１８】請求項７に記載の発明は、請求項１乃至請
求項３の発明において、第１分波器と第２分波器とを接
続する高群下り線路、又は／及び、分岐／分配器と片方
向映像信号伝送端子とを接続する線路に下り信号を増幅
する増幅器を設けて、補償増幅器を構成したことであ
る。この構成により、映像信号受信機から出力される低
群上り雑音は、この増幅器の方向性により遮断されるこ
とになり、上り流合雑音がさらに抑制される。

【００１９】請求項８に記載の発明は、補償増幅器にお
いて、分岐／分配器を分岐器とし、その分岐出力を前記
第２分波器に接続し主出力を前記片方向伝送端子に接続
する第１状態と、分岐出力を前記片方向伝送端子に接続
し主出力を前記第２分波器に接続する第２状態とを切替
える切替装置をさらに設けたことを特徴とする。即ち、
この発明は、この切替装置を第２状態とすることで、補
償増幅器の片方向伝送端子を分岐モニタ端子として使用
することができ、下り信号をモニタすることができる。
又、補償増幅器の双方向伝送端子は、映像信号とデータ
信号とが多重化された広帯域信号を宅内に伝送するため
の線路の接続端子とすることができる。他方、切替装置
を第１状態とすることで、補償増幅器の片方向伝送端子
を宅内の映像信号受信機へ映像信号を伝送するための線
路に接続し、双方向伝送端子を宅内のデータ端末装置に
対する双方向データ伝送用の線路に接続することができ
る。又、双方向データ伝送用の線路に接続しなければ、
この端子は下り信号のモニタ端子として利用することも
できる。このようにして、補償増幅器から宅内までの配
線系統の多様化に対応することが可能となり、利便性の
高い補償増幅器を提供することが可能となる。

【００２０】請求項９に記載の発明は、第２状態におい
て、分岐器の主出力を高群端子から入力し、低群端子が
第１分波器の低群端子と接続される他の第２分波器をさ
らに有することを特徴とする。第１状態で使用すること
で、映像信号とデータ信号とを伝送する線路を別々に設
けた宅内配線に使用して上り流合雑音を低減させること
ができる。又、第２状態で使用することで、映像信号と
データ信号を同一線路で宅内に配設する既存の配線にも
対応できる保安器とすることが可能となる。このように
して、同一の保安器によって、多様な宅内配線にも対応
することが可能となる。

【００２１】請求項１０に記載の発明は、第２状態にお
いて、分岐器の主出力を高群端子から入力し、低群端子
が前記第１分波器の低群端子と接続される他の第２分波
器をさらに有することを特徴とする。第１状態で使用す
ることで、映像信号とデータ信号とを伝送する線路を別
々に設けた宅内配線に使用して上り流合雑音を低減させ
ることができる。又、第２状態で使用することで、映像
信号とデータ信号を同一線路で宅内に配設する既存の配
線にも対応できる補償増幅器とすることが可能となる。
このようにして、同一の補償増幅器によって、多様な宅
内配線にも対応することが可能となる。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。なお、本発明は下記実施例
に限定されるものではない。 （第１実施例）本実施例は、各家庭あるいは集合住宅内
に配備された例えばＣＡＴＶシステム等の既存のＴＶ共
聴ネット又は新設のネットワークに適用する映像信号／
データ信号分離装置であり、需要者宅内に設置されるも
のである。特に、壁面に配設される壁面端子ユニットと
して用いることができる。これにより、下り映像信号と
上り／下りデータ信号とが分離され、品質のよいデータ
通信、ＬＡＮが実現される。

【００２３】本実施例の映像信号／データ信号分離装置
を図１（ａ）に示す。図は回路図である。本実施例の映
像信号／データ信号分離装置は、対向して配置された第
１分波器１００、第２分波器１２０、図示しないセンタ
装置からの映像信号を伝送する高群下り線路１１５、図
示しないデータ端末装置からのデータ信号を伝送する低
群上り線路１１６、第１分波器１００と第２分波器１２
０を接続する高群下り線路１１５に直列に挿入された分
岐器１１０、分岐器１１０の主出力である映像信号を出
力する片方向伝送端子１０１、及び、第２分波器からの
高群下り信号を出力し、低群上りデータ信号を第２分波
器に供給する双方向伝送端子１０２とから構成される。
片方向伝送端子である端子ＴＶには、映像信号受信機で
ある例えばＴＶ受信器が接続され、双方向伝送端子であ
る端子ＰＣには、データ端末装置であるコンピュータ装
置等が接続される。

【００２４】上記高群下り線路１１５には、７０〜７７
０ＭHzの帯域の高群下り信号が割り当てられ、低群上り
線路１１６には、１０〜５０ＭＨｚ帯域の低群上り信号
が当てられる。尚、センタ装置からは、映像信号の他
に、制御信号、音声信号、静止画像信号、コンピュータ
で通信可能な文字データ等のデータ信号も送出される。

【００２５】次に、信号の流れに沿って本装置の作動を
説明する。例えば、図示しないデータ端末装置であるコ
ンピュータ装置から出力されたデータ信号は、端子ＰＣ
に入力される。入力されたデータ信号は１０ＭＨｚ〜５
０ＭＨｚの低群上り信号であるので、第２分波器１２０
によって低群上り線路１１６側に伝送され、同じく第１
分波器１００を経てセンタ装置に伝送される。これによ
り、データ端末装置からのデータがセンタ側に伝送され
る。

【００２６】一方、センタ装置からは、高群下り信号で
ある例えば映像信号が端子ＩＮを介して第１分波器１Ｎ
に入力される。高群下り信号であるので、第１分波器１
００にて、高群下り線路１１５側に分波され、分岐器１
１０に入力される。入力された映像信号は、分岐器１１
０にて一部は、端子ＴＶに接続された例えばＴＶ受信器
に出力される。これにより、映像信号の受信が可能とな
る。一方、分岐器１１０で分岐された他方の高群下り信
号、例えば下りデータ信号は第２分波器１２０に入り、
端子ＰＣに接続された例えばコンピュータ装置に伝送さ
れる。これにより、センタ側からのデータ信号の受信が
可能となる。

【００２７】この時、上記映像信号受信機から図中破線
で示す低群帯域の雑音が第２分波器１２０の高群下り線
路１１５に伝送される。しかしながら、第１分波器１０
０の高群通過フィルタによる低域遮断機能によりこの低
群帯域の雑音は遮断され、センタ側には伝送されない。
他方、分岐器１１０の主出力端子から分岐端子へと信号
が伝送されても、第２分波器の高群通過フィルタによる
低域遮断機能により低群上り線路１１６上では、この低
群帯域の雑音はさらに減衰される。これにより、映像信
号受信機からの低群帯域の雑音は遮断されるで、端子Ｉ
Ｎからセンタ側の伝送路に送出されることはない。よっ
て、端子ＰＣに接続されたコンピュ−タ装置は品質の良
い双方向データ伝送を行うことが可能となる。

【００２８】特に、分岐器１１０は終端抵抗を有した方
向性結合器が望ましい。方向性結合器であれば、主出力
端子と分岐端子間とは逆結合となっているので、主出力
端子から分岐端子側へと出力される信号の伝送量は小さ
い。分岐器１１０から第２分波器に漏洩する低群帯域の
雑音が極めて小さくなる。これにより、センタ装置への
流合雑音をより低減させることが出来る。

【００２９】又、上記実施例では高群下り線路１１５に
分岐器１１０を配置したが、分配器１１１を配置するこ
ともできる（図１（ｂ））。端子ＴＶと端子ＰＣに同等
な出力レベルが必要な場合は、このような構成とするこ
ともできる。又、この場合も上記分配器１１１は方向性
分配器が望ましい。方向性分配器であれば、映像受信機
からの低群帯域の雑音の第２分波器１２０への出力が低
減される。この場合も、より高品質な双方向データ伝送
を可能とする映像信号／データ信号分離装置となる。

【００３０】このように、本発明の映像信号／データ信
号分離装置は、ＣＡＴＶ配線網の各需要者宅内におい
て、伝送路に対する入出力部として設けるだけでよい。
特に、壁面端子ユニットして壁面に設ければ利便性が高
くなる。又、その構成も簡単である。よって、極めて安
価にＬＡＮ等のデータ通信の信頼性を向上させることが
できる。

【００３１】（第２実施例）図２（ａ）、（ｂ）に本発
明の第２実施例を示す。図は、回路図である。本実施例
の特徴は、図１（ａ）、（ｂ）における映像信号／デー
タ信号分離装置の入力部にサージ吸収素子１３０を付加
して、保安器としたことである。通常、サージ吸収素子
は雷サージ等から映像装置、データ端末装置を保護する
ため屋外の保安器内に設けられている。ところが、その
保安器内では分岐／分配器で、映像信号受信機を接続す
る線路とデータ端末装置を接続する線路との２系統に分
離している。

【００３２】本実施例は、第１実施例の構造の第１分波
器、第２分波器、高群下り線路、低群上り線路及び分岐
／分配器を保安器に設けて、第１実施例と同様に上り流
合雑音の低減を図ったものである。このように保安器を
兼ねて需要家の屋外に取り付けることができので、省ス
ペースな映像信号／データ信号分離装置とすることもで
きる。

【００３３】（第３実施例）図３（ａ）、（ｂ）に本発
明の第３実施例を示す。図は、回路図である。本実施例
の特徴は、それぞれ図１（ａ）、（ｂ）における映像信
号／データ信号分離装置の高群下り線路１１５に増幅器
１４０を挿入して、補償増幅器を構成したことである。
本構成の需要者宅に導入される補償増幅器は、その内部
において第１分波器１００と第２分波器１２０で高群下
り線路１１５と低群上り線路１１６に分離し、高群下り
線路１１５に増幅器１４０を設けたことである。この増
幅器１４０により、片方向伝送端子であるＴＶ端子から
入力された雑音がセンタ側に伝送されるのが防止され
る。

【００３４】このように補償増幅器において、第１実施
例と同様な映像信号／データ信号分離装置を設けること
で、上り流合雑音を抑制できる。

【００３５】（第４実施例）図４（ａ）、（ｂ）に本発
明の第４実施例を示す。図は、回路図である。本実施例
の特徴は、第３実施例において、増幅器１４０を高群下
り線路１１５に設けるのではなく、分岐器１１０の出力
端子又は分配器１１１の一方の分配出力端子と片方向伝
送端子１０１であるＴＶ端子間に、増幅器１４０を設け
たことを特徴とする。この構成によっても、ＴＶ端子か
ら入力した上り雑音が上流側へ伝送されるのが防止さ
れ、上り流合雑音を低減させることができる。

【００３６】（第５実施例）図５（ａ）、（ｂ）に本発
明の第５実施例を示す。図１（ａ）、（ｂ）における映
像信号／データ信号分離装置の分岐器１１０の出力端子
又は分岐端子に高域通過フィルタ１５０を挿入したこと
である。図５（ａ）が出力端子に、図５（ｂ）が分岐端
子に配置した例である。分岐器１１０からは高群下り信
号が出力されので、この高域通過フィルタはそれらの信
号は殆ど影響を与えず通過させる。一方、端子ＴＶから
混入した低群帯域の雑音は図５（ａ）においては、分岐
器１１０の出力端子で遮断される。又、図５（ｂ）の場
合は分岐器１１０の分岐端子で漏洩した雑音がさらに遮
断される。これにより、より完全に映像受信機からの雑
音が除去される。よって、更にデータ通信の伝送品質が
向上される。

【００３７】（第６実施例）図３（ａ）に示す第３実施
例の補償増幅器において、切替装置２００を設けたこと
を特徴とする。この切替装置２００は、分岐器１１０の
出力端子を片方向伝送端子１０１に接続し分岐端子を第
２分波器１２０に接続する第１状態と、分岐器１１０の
出力端子を第２分波器１２０に接続し分岐器１１０の分
岐端子を片方向伝送端子１０１に接続する第２状態とを
切替えることができる。第１状態では、図３（ａ）と全
く同一回路となり、第３実施例のような使用が可能とな
り、上り流合雑音を低減させることができる。第２状態
では、片方向伝送端子１０１は下り信号を監視するモニ
タ端子として用い、双方向伝送端子１０２は映像信号の
受信とデータ信号の双方向伝送に用いることができる。
この第２状態の使用は、従来の使用と変わりなく、上り
流合雑音を低減させることはできない。しかし、この構
成で使用する宅内配線が既に存在する場合には、本装置
を既設用の補償増幅器としても、又、映像信号用の線路
とデータ伝送用の線路との２系統を宅内に配設して、流
合雑音を抑制するための補償増幅器としも用いることが
可能となる。よって、装置の兼用ができ、製造コストが
低減される。

【００３８】（第７実施例）第６実施例の補償増幅器を
第２分波器を２つ用いて実現したものである。図７
（ａ）が第１状態を、図７（ｂ）が第２状態を示してい
る。即ち、第１状態において、分岐器１１０の出力端子
は第２分波器１２１を介して片方向伝送端子１０１に接
続されている。この第２分波器１２１の低域通過フィル
タ側は伝送路が開状態であるので、第２分波器１２１は
単に高群通過フィルタの機能だけが作用する。分岐器１
１０の分岐端子は第２分波器１２０に接続され、第１分
波器１００の低域通過フィルと第２分波器１２０の低域
通過フィルタとは接続された状態である。よって、この
図７（ａ）に示す第１状態は、図３（ａ）に示す状態と
同一となり、映像信号とデータ信号とを分離して、且
つ、映像信号受信機からの雑音の伝送路への送出を抑制
することが可能となる。一方、図７（ｂ）に示す第２状
態では、第２分波器１２０の低域通過フィルタ側は開状
態であるので、第２分波器１２０は単に高群通過フィル
タの機能だけを果たす。よって、端子ｂが片方向伝送端
子として機能する。これに対して、分岐器１１０の出力
端子は第２分波器１２１に接続されており、第２分波器
１２１の低域通過フィルタと第１分波器１００の低域通
過フィルタとは接続されているので、端子ａは双方向伝
送が可能な双方向伝送端子として機能する。端子ａに映
像信号受信機を接続した場合には流合雑音の低減の効果
はない。しかし、この構成で使用する宅内配線が既に存
在する場合には、本装置を既設用の補償増幅器として
も、又、映像信号用の線路とデータ伝送用の線路との２
系統を宅内に配設して、流合雑音を抑制するための補償
増幅器としも用いることが可能となる。よって、装置の
兼用ができ、製造コストが低減される。上記第６、７実
施例において、分岐器１００は分配器であっても良い。
さらに、第６、第７実施例において、増幅器１４０を排
除して、第１分波器の上流線路にサージ吸収素子を設け
て保安器としても、同様な使用を実現することが可能と
なる。

【００３９】（第８実施例）本実施例は、図８に示すよ
うに、補償増幅器において、高群下り線路１１５に増幅
器１４０ａを挿入し、さらに、分岐器１１０の出力端子
又は分配器１１１の一方の分配出力端子と片方向伝送端
子１０１であるＴＶ端子間に、増幅器１４０ｂを設けた
ことを特徴とする。この構成によって、さらに、ＴＶ端
子から入力した上り雑音が上流側へ伝送されるのが防止
され、上り流合雑音を低減させることができる。 （変形例）以上、本発明を表わす一実施例を示したが、
他にさまざまな変形例が考えられる。上記の全実施例で
は、分岐器１１０の分岐出力を第２分波器１２０に入力
し、分岐器１１０の主出力を片方向伝送端子１０１に入
力させているが、これを逆にしても良い。即ち、分岐器
１１０の主出力を第２分波器１２０に入力させ、分岐器
１１０の分岐出力を片方向伝送端子１０１に入力させて
も良い。特に、第８実施例における補償増幅器について
示せば、図９に示すようになる。さらに、図１０
（ａ）、（ｂ）、（ｃ）に示すように、多段接続のトラ
ンジスタから成る増幅ユニットＡにおける段間に分岐器
１１０又は分配器１１１を配置して下り信号を分岐又は
分配するものであっても良い。さらに、第２実施例乃至
第４実施例においては、第１実施例の映像信号／データ
信号分離装置にそれぞれサージ吸収素子１３０、増幅器
１４０、高域通過フィルタ１５０を独立に付加したが、
それらの複数を組み合わせて付加してもよい。例えば、
サージ吸収素子１３０と高域通過フィルタ１５０を同時
に付加してもよいし、増幅器１４０と高域通過フィルタ
１５０を同時に付加してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係わる映像信号／データ
信号分離装置の回路図。

【図２】本発明の第２実施例係わる保安器の回路図。

【図３】本発明の第３実施例係わる補償増幅器の回路
図。

【図４】本発明の第４実施例係わる補償増幅器の回路
図。

【図５】本発明の第５実施例に係わる映像信号／データ
信号分離装置の回路図。

【図６】本発明の第６実施例係わる補償増幅器の回路
図。

【図７】本発明の第７実施例係わる補償増幅器の回路
図。

【図８】本発明の第８実施例係わる補償増幅器の回路
図。

【図９】本発明の変形例に係わる補償増幅器の回路図。

【図１０】本発明の変形例に係わる補償増幅器の回路
図。

【図１１】従来の映像信号／データ信号分離装置のない
ＣＡＴＶシステム説明図。

【図１２】従来の手動スイッチを用いた映像信号／デー
タ信号分離装置の説明図。

【符号の説明】

１００ 第１分波器 １１０ 分岐器 １１１ 分配器 １１５ 高群下り線路 １１６ 低群上り線路 １２０ 第２分波器 １３０ サージ吸収素子 １４０ 増幅器 １５０ 高域通過フィルタ

フロントページの続き Ｆターム(参考） 5C056 FA02 FA03 FA05 FA08 FA11 GA11 HA14 HA15 5C064 BA02 BB05 BC14 BC20 BD01 BD07 BD08 BD16 5K022 AA01 AA23 5K046 AA01 BB03 CC02

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高群下りチャネルにより映像信号を伝送さ
   せる片方向映像伝送と、高群下りチャネル及び低群上り
   チャネルによりデータ信号を伝送させる双方向データ伝
   送とが多重化されたブロードバンド伝送システムにおけ
   る需要者宅に設置され、前記映像信号と前記データ信号
   とを分離する映像信号／データ信号分離装置において、 上流側に設けられ、高群下り信号を下流へ、下流側から
   伝送された低群上り信号を上流に送出する第１分波器
   と、 下流側に設けられ、前記高群下り信号の一部を下流側に
   送出し、下流側から伝送された前記低群上り信号を前記
   第１分波器に送出する第２分波器と、 前記第１分波器と前記第２分波器を結ぶ高群下り線路に
   設けられ、前記高群下り信号を分岐／分配して分岐／分
   配された一方の信号を前記第２分波器に出力する分岐／
   分配器と、 前記分岐／分配器により分岐／分配された他方の信号を
   出力する片方向伝送端子と、 前記第２分波器に前記低群上り信号を供給し、前記第２
   分波器からの前記高群下り信号を出力する双方向伝送端
   子とから成ることを特徴とする映像信号／データ信号分
   離装置。
2. 【請求項２】前記分岐／分配器は、前記片方向伝送端子
   側と前記第２分波器側とが遮断された方向性結合器であ
   ることを特徴とする請求項１に記載の映像信号／データ
   信号分離装置。
3. 【請求項３】前記分岐／分配器は、その出力／分配端子
   又は分岐／分配端子の少なくとも一方に高群下り信号の
   みを通過させる高域通過フィルタを備えたことを特徴と
   する請求項１又は請求項２に記載の映像信号／データ信
   号分離装置。
4. 【請求項４】前記需要者宅内の壁面に設置され、前記片
   方向伝送端子を映像信号受信機を接続する端子とし、前
   記双方向伝送端子をデータ端末装置に対するデータの入
   出力端子とした請求項１乃至請求項３のいずれか１項に
   記載の映像信号／データ信号分離装置を有することを特
   徴とする壁面端子ユニット。
5. 【請求項５】前記第１分波器の上流側の線路にサージ吸
   収素子を設けた請求項１乃至請求項３のいずれか１項に
   記載の映像信号／データ信号分離装置を有することを特
   徴とする保安器。
6. 【請求項６】前記分岐／分配器は分岐器であって、その
   分岐出力を前記第２分波器に接続し主出力を前記片方向
   伝送端子に接続する第１状態と、分岐出力を前記片方向
   伝送端子に接続しその主出力を前記第２分波器に接続す
   る第２状態と、を切替える切替装置をさらに設けたこと
   を特徴とする請求項５に記載の保安器。
7. 【請求項７】前記第１分波器と前記分岐／分配器とを接
   続する高群下り線路、又は／及び、前記分岐／分配器と
   前記片方向伝送端子とを接続する線路に下り信号を増幅
   する増幅器を設けた請求項１乃至請求項３のいずれか１
   項に記載の映像信号／データ信号分離装置を有する補償
   増幅器。
8. 【請求項８】前記分岐／分配器は分岐器であって、その
   分岐出力を前記第２分波器に接続し主出力を前記片方向
   伝送端子に接続する第１状態と、分岐出力を前記片方向
   伝送端子に接続しその主出力を前記第２分波器に接続す
   る第２状態と、とを切替える切替装置をさらに設けたこ
   とを特徴とする請求項７に記載の補償増幅器。
9. 【請求項９】前記第２状態において、前記分岐器の主出
   力を高群端子から入力し、低群端子が前記第１分波器の
   低群端子と接続される他の第２分波器をさらに有するこ
   とを特徴とする請求項６に記載の保安器。
10. 【請求項１０】前記第２状態において、前記分岐器の主
    出力を高群端子から入力し、低群端子が前記第１分波器
    の低群端子と接続される他の第２分波器をさらに有する
    ことを特徴とする請求項８に記載の補償増幅器。