JP2001226746A - マンガン合金鋼 - Google Patents
マンガン合金鋼Info
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Abstract
ることができる耐蝕性を備えているとともに、耐磨耗性
や加工表面の面粗度に優れた特性を有する新規の鋼材を
提供する。 【解決手段】 C:0.05〜0.50wt%、Si:
0.5wt%以下、Mn:6.0〜25wt%、P:
0.05wt%以下、S:0.35wt%以下、Cu:
0〜3.0wt%、Ni:0〜5.0wt%、Cr:
5.0〜20.0wt%、Mo:0〜3.0wt%、
N:0.04〜0.30wt%、Al:0.10wt%
以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、
内部に、幅が3μm以下で、長さが40μm以下の形状
のものが90%以上を占める非金属介在物MnSが微細
分散されているマンガン合金鋼である。
Description
り、特に、機器内部の部品の素材として好適な合金鋼に
関する。
車、建築機材等の部品構成材料として、メッキ処理、浸
炭窒化処理などを前提とした鋼材若しくは各種ステンレ
ス鋼材が使用されている。これらの鋼材は、用途によっ
て耐蝕性、耐磨耗性,及び高強度を実現するための表面
処理、又はそれらに関連する表面加工処理が施されてい
た。
目的形状に加工されることが多いが、その切削加工面は
粗面化することから、面粗度の要求に応じて、さらに研
削加工やバニシング加工等の表面加工が必要とされてお
り、熱処理や上記の浸炭・窒化などの表面処理を施した
場合にも歪みや面粗度の劣化が発生するため、これらを
矯正するためにも、再度、部品に対して表面加工をする
ことが必要であった。さらに、これらの表面処理、表面
加工処理を施す際には、取扱い時の疵防止に細心の注意
が必要とされる。
材となる鋼材、或いは、表面処理においては、ステンレ
ス鋼のように高価な材料には価格的に問題があり、メッ
キ処理には環境的に問題を生ずる可能性があり、浸炭焼
入れ、窒化処理等の熱処理には歪みが発生することによ
る形状精度の不良を生ずる可能性があるなどの問題点が
ある。さらに、軸材やネジ等の量産時に使用される自動
旋盤の加工領域においては低周速、低送り、高肉厚で切
削面の面粗度を一定水準以下に維持することが困難であ
る。例えば、SUS303が被削材である場合、切削面
が初期的にはRy3μm前後と良好であるが、被削材が
Niを8%と多く含有しているため、ガイドブッシュを
有するスイス型自動旋盤ではガイドブッシュのかじり現
象が常に問題となり、面粗度の劣化は避けられない。
決するいくつかの材料が提案されている。例えば、特開
昭55−94464号公報には、C:0.5wt%以
下、Si:2.0wt%以下、Mn:7〜40wt%、
Ca:0.0005〜0.0200%を含有し、酸化物
組成を規定した、被削性の良好な低炭素高マンガン鋼が
提案されている。また、特開昭55−76042号公報
には、C:2.0%以下、Si:2.0%以下、Mn:
7〜40%、Ca:0.0005〜0.0200%を含
有し、酸化物組成を規定した、被削性の良好な高炭素高
マンガン鋼が提案されている。
耐磨耗性などの点で十分でなく、また、切削性に関して
もCaを添加させて介在物組成を制御することで被削性
を改善させることを目的とした技術であるため、浸炭・
窒化等の熱処理やメッキ処理などの表面処理を省略する
ことができないという問題点がある。
であり、その課題は、熱処理やメッキ処理等の表面処理
を不要とすることができる耐蝕性を備えているととも
に、耐磨耗性や加工表面の面粗度に優れた特性を有する
新規の鋼材を提供することにある。
おいては、鋼材中にMnSの粒隗が析出する場合があ
る。このMnSの粒隗が鋼材中に分散して存在している
と、切削抵抗を低減する効果がある。特に、切削性を大
きく改善するにはMnSのアスペクト比(長さ/幅)を
小さくする必要がある。しかし、加工表面にMnSが残
存していると、その部分から腐食が進行するため、アス
ペクト比が小さくても、MnSの粒隗の粒径が大きい
と、耐蝕性が低下したり、他部材に対する摩擦抵抗が大
きくなって耐磨耗性が悪化したりする。ここで、MnS
の粒隗を小さくする方法としては鋼材中の酸素濃度或い
は酸化物量を制御する方法が知られているが、組成比率
や元素種の組み合わせによって必ずしも酸素量を制御す
ることが容易でない場合が多い。一般に組成範囲のマン
ガン合金鋼においては、MnSの粒隗の形成過程や鋼材
に対する圧延その他の塑性加工などに起因して、鋼材中
のMnSの粒隗が細長形状になる場合が多い。したがっ
て、上記マンガン合金鋼の特性は、MnSの細長形状に
も影響されるものと考えることができる。本発明らは、
種々の検討及び実験を繰り返した結果、単なるMnSの
粒径や数量ではなく、MnSの細長形状の形状分布に着
目し、本発明に至ったものである。
05〜0.50wt%、Si:0.5wt%以下、M
n:6.0〜25wt%、P:0.05wt%以下、
S:0.35wt%以下、Cu:0〜3.0wt%、N
i:0〜5.0wt%、Cr:5.0〜20.0wt
%、Mo:0〜3.0wt%、N:0.04〜0.30
wt%、Al:0.10wt%以下を含有し、残部がF
e及び不可避不純物からなり、内部に、幅が3μm以下
で、長さが40μm以下の形状のものが90%以上を占
める非金属介在物MnSが微細分散されていることを特
徴とする。
成範囲のマンガン合金鋼において、内部に分散形成され
る微細なMnSの粒隗のうち、幅3μm以下、長さ40
μm以下の範囲内のものが90%以上を占める組織であ
れば、十分な耐蝕性及び耐磨耗性を有し、しかも、加工
表面の面粗度が良好であることを見出した。すなわち、
上記の組成範囲を有するマンガン合金鋼においては、内
部に存在するMnSの粒隗の90%以上について、幅
(長手方向と直交する方向の幅)と、長さ(長手方向の
長さ)とがそれぞれの所定寸法以下になる場合、十分な
切削性を確保した上で、耐蝕性、耐磨耗性の低下を抑制
し、しかも、加工表面の面粗度を良好にすることができ
ることを見出し、本発明を完成したものである。
のマンガン合金鋼において、平均幅が3μm以下で、平
均アスペクト比が4以上の細長形状の非金属介在物Mn
Sが微細分散されていることを特徴とする。
以下で、平均アスペクト比(長さ/幅)が4以上の細長
形状のMnSが微細分散されていることによって、加工
表面の面粗度がきわめて良好で、耐磨耗性も良好な鋼材
を提供できる。一般にMnSの粒隗が小さく、アスペク
ト比が小さければ上述のように良好な特性が得られる
が、製造条件や組成によっては必ずしもMnSの粒隗を
微細化することができない場合もある。しかし、本発明
者らは、MnSの粒隗が細長形状である場合、それらの
平均幅が所定寸法以下で、平均アスペクト比が所定数値
以上であれば、MnSの粒径(球形であるとした場合の
換算径)を必ずしも微細化しなくても、耐食性を確保し
た上で、加工表面の面粗度が著しく改善され、表面の摩
擦係数も低く、耐磨耗性の良好な鋼材が得られることを
見出したものである。
nSは、面粗度や耐磨耗性が要求される表面に対してほ
ぼ平行な姿勢で微細分散されていることが、加工表面の
面粗度や耐磨耗性を向上させるという観点から見て好ま
しい。これは、特に、本発明の鋼材を用いた軸材、ネジ
材、その他の種々の部品を製造する上で重要である。
に矛盾するものではなく、第1の発明の構成要件を満た
すと同時に、第2の発明の構成要件をも満たすものであ
ることが最も望ましい。
鋼の実施形態について詳細に説明する。最初に、本発明
の前提となるマンガン合金鋼の組成について説明する。
定化する元素であり、0.05wt以上含有させる。し
かし、0.50wt%を越えて含有させると、オーステ
ナイトの結晶粒界に炭化物が析出し、冷間加工性や耐蝕
性が低下する。したがって上限を0.50wt%とし
た。加工後の硬さを調整するために好ましくは0.10
〜0.30wt%である。
として溶鋼中に添加されるが、過剰の添加は脱酸生成物
である非金属介在物を増加させ、鋼材の清浄性を劣化さ
せる。さらにSiはフェライト生成元素であるため、多
量に含有させるとオーステナイト組織が不安定になる。
したがって上限を0.5wt%とした。
組織を安定化させる安価な元素であり、オーステナイト
組織を安定化するNiの含有量を減少させることができ
る。Niの代替としては、Mnを6wt%以上含有させ
る。しかし、25wt%を越えて含有させると熱間加工
性が著しく低下し、熱間圧延時に割れが発生する可能性
が増大するので好ましくない。従って上限を25wt%
とした。これらの特性において、好ましくは6〜15w
t%であり、さらに8〜13wt%であることがより望
ましい。
に添加せず、できるだけ少ないほうがよい。Pは偏析を
起こしやすく、熱間加工性を悪化させるため、0.05
wt%以下とした。
よい。添加すれば切削性が改善される作用があるため、
被削性を求める場合には0.05wt%以上の添加が望
ましい。しかし、0.35wt%を越えて含有させる
と、熱間加工性や耐食性が劣化する。したがって、上限
を0.35wt%とした。
添加すれば冷間加工時にオーステナイト組織を安定化さ
せる作用がある。しかし、3wt%を越えて含有させる
と熱間加工性が著しく低下する。したがって3wt%以
下とした。
あって、オーステナイト組織を安定にし、耐蝕性を改善
するのに有効な元素であるが、Niは高価であるため5
wt%を越えて含有させるとコストの上昇を招き好まし
くなく、また、環境への影響からも極力添加量を減少さ
せることが好ましい。したがって、オーステナイト組織
の安定性とコスト面に配慮してNiの含有量を5.0w
t%以下とした。
素であるが、耐蝕性を付与するために必須な元素であ
る。耐蝕性を付与させるためには10wt%以上を含有
させる必要があるが、耐候性を得る程度であれば5wt
%以上でよい。しかし、20wt%を越えるとオーステ
ナイト組織の安定性が損なわれる。したがってCr量を
5〜20wt%とした。好ましくは10〜20wt%、
さらには13〜17wt%である。
もよい。添加すれば冷間加工時に加工誘起マルテンサイ
トの生成を抑制するため、冷間加工性の向上に有効で
す。しかし、Moはフェライト生成元素であるため、過
剰に添加するとオーステナイト組織が不安定になる。し
たがって3wt%以下とした。
効果もあり、そのためには0.04wt%以上含有させ
る必要がある。これにより、耐食性改善等を目的とした
Ni等の高価な元素の多量添加を回避することもでき
る。また、Nは窒化物を生成し、この窒化物により加工
硬化が得られ耐磨耗性が改善される。一方、Nが0.3
0wt%を越えるような鋼材を溶解することは困難であ
り、このような高N鋼は鋼隗中にブローホールによる欠
陥を発生する恐れがあり好ましくない。したがって0.
04〜0.30wt%とした。
剤であり、精錬工程時に溶鋼中に添加される。しかし添
加量が0.10wt%を越えると非金属介在物である酸
化物が増大し、鋼の清浄性を劣化させる。したがって
0.10wt%以下とした。
形成されるが、主に溶鋼中の酸素濃度によってその粒径
が変化する。例えば、一般に酸素濃度が低くなるとMn
Sの粒径は小さくなり、そのアスペクト比も小さくな
る。MnSの粒隗の存在は切削抵抗を低下させ、切削性
を向上させるが、MnSの粒径が大きくなると加工表面
の面粗度が悪化するとともに耐磨耗性が低下する。ま
た、加工表面に大きなMnSが存在すると、その部分か
ら腐食が進行するために耐食性が低下する。
の長さ)が3μm以下で、長さ(長軸の長さ)が40μ
m以下のものが全体の90%以上を占めていることが好
ましい。MnSの粒隗が上記寸法範囲内の形状寸法を備
えていれば加工性や耐食性を大きく悪化させることな
く、しかも、加工表面の面粗度を良好にし、摩擦係数が
低く、耐磨耗性の良好な鋼材を構成できる。また、上記
寸法範囲内の粒隗が90%以上であれば、鋼材の均質性
が保たれ、加工性、耐食性、耐磨耗性に支障が生じな
い。
幅が3μm以下で、平均のアスペクト比が4以上である
ことが好ましい。このような細長形状のMnSが微細分
散していると、実質的な粒径(例えばMnSの粒隗の体
積と同じ体積を有する球体の直径)がそれほど小さくな
くても、上記の諸特性に優れた鋼材を実現することが可
能である。
て利用でき、例えば板材、管材、棒材、線材などとして
用いることができる。それらの用途としては、軸材、ネ
ジ材などのような機能部品や、梁、フレーム、支持板な
どの構造部品が考えられる。これらの場合、各部品にお
いては、面粗度や耐磨耗性が要求される部品表面に対し
て、細長形状のMnSがほぼ平行になるように構成する
ことが好ましい。
ネジ部材を製造する場合について、その成形加工法及び
熱処理方法について説明する。ここで、「軸部材」とし
ては、OA機器端末のシリアルプリンタに使用されるキ
ャリッジシャフト、活字輪選択型プリンタに使用されて
いる活字輪軸、モータシャフト等が例示され、また、
「ネジ部材」としては、セルフドリリングネジ、タッピ
ングネジ、建築用ボルト等が例示される。
ール除去工程を経て潤滑剤が塗布され、冷間圧延、引き
抜き及び鍛造(熱間、冷間)で中間製品に成形加工され
た後、そのままの状態、或いは、切削若しくは鍛造工程
による更なる成形加工を経て使用されるか、又は、軟化
若しくは硬化の熱処理(通常は軟化の熱処理)が行われ
る。本発明の鋼材についても、上記工程及び処理が実施
される。
ト及び自動車用シャフトの場合、従来は、最終的に浸炭
処理、窒化処理、又は、メッキ処理を行っていたが、こ
のような製品において本発明の鋼材を用いると、最終的
なこれらの表面処理を省略することができる。
存設備がある場合、特に国内では上記表面処理が省略で
きることから、作業費、エネルギー費、物流費等が不要
となる。また、設備投資を新たに行う場合など、特に海
外においては、上記表面処理を省略することができるこ
とから、表面処理のための設備が不要で初期投資が低減
できる。
規制の世論が高まる中、省資源省エネルギーおよび環境
汚染の最小化を図るために、本発明が浸炭処理、窒化処
理、又はメッキ処理を省略することができることは、今
日、きわめて大きな意義を有する。
間圧延を行うことにより、複数種類の直径を有する丸棒
及び線材に加工し、熱間圧延を施した後、空冷して、表
1に示す各組成を有する鋼材を作成した。線材は、それ
ぞれ冷間加工性、耐磨耗性、及び、切削肌評価試験用の
供試材とした。
って評価した。また、耐食性、切削性及び耐磨耗性は、
後述するものと同じ要領で試験をして評価した。さら
に、鋼材の縦断面を鏡面研摩し、光学顕微鏡で倍率40
0倍で観察し、5箇所の視野において大きなMnS介在
物を6個ずつ、合計30個について形状の測定を行い、
その平均値を求めた。上記各試験の結果を表1乃至表3
にまとめて示す。
あり、鋼材9〜15までが比較例であり、組成分析値
と、MnSの平均形状(平均幅及び平均アスペクト比)
とを示し、切削性、耐食性、及び、加工表面の面粗度、
並びに総合評価についてまとめた。切削性の評価は、切
削表面の仕上り状態で判断した。すなわち、材料を旋削
加工後、仕上り表面に全くむしれ疵が認められなかった
ものを「○」、若干のむしれ疵は認められるが、手直し
によって実用上問題がないと判断されるものを「△」、
むしれ疵が著しく、実用に耐えないと判断されるものを
「×」として評価し、「×」以外を合格とした。
では、組成分析値が本発明のマンガン合金鋼の上記組成
範囲に該当しており、また、MnSの平均幅はいずれも
3μm以下の条件、平均アスペクト比はいずれも4以上
の条件を満たしている。そして、切削性、耐食性及び面
粗度はいずれも良好であり、いずれも総合的に実用に耐
え得る素材と判定された。一方、比較例においては、組
成分析値が上記組成範囲から外れているか、或いは、M
nS形状の平均幅又は平均アスペクト比が上記条件に該
当しない。そして、比較例は、切削性、耐食性、面粗度
のいずれか一つが不良であるか、或いは、圧延時に割れ
が発生したかのいずれかであり、総合的に見て実用的な
ものではなかった。
鋼材5について引き抜きし、旋削試験、表面面粗度、及
び、穴ぐり性の試験を行った結果を示す。ここで、比較
対象として、旋削試験及び表面面粗度では現在使用され
ているSUS416及びSUS303を、穴あけ性では
量産時に最低必要な穴あけ性を有する標準的なS45C
及びSUS304を用いた。切削条件は、工具(バイ
ト)としてマクロアロイAF1(商標)を用い、回転数
を2650rpm、周速度を50m/minとし、送り
量を25μm/REとした。表3に示す穴あけ性の評価
のための加工条件は、工具として2.6mm径のドリル
を用い、ドリル回転数を500rpmとし、自動送り量
を70μm/RE、送り深さを10mmとした。また、
表3に示す溶体化処理Aは1100℃×水冷、同Bは1
150℃×水冷、同Cは1200℃×水冷、同Dは引き
抜き後、1050℃×水冷の条件で行った。
は、通常の耐食性素材SUS416、SUS303と比
べて切削性が遜色なく良好であり、しかも加工表面の面
粗度が大幅に小さいとともにそのばらつきがきわめて少
なく、特に優れた切削特性を有している。また、表3に
示すように、穴あけ加工においても、鋼材5に由来する
素材では、比較材S45C、SUS304と比べてほぼ
遜色がないか、或いは却って優れており、加工性におい
て全く問題がないことが判る。
のペーパーによって仕上げ研摩した試験片を気温45
℃、湿度90%の雰囲気中に360時間保持し、JIS
鉄鋼材料の錆判定基準のレーティングで9以上を「○」
とし、この基準を満たさないものは「×」とした。具体
的には、鋼材5の6.5mm径の線材を表面研削した
後、SUS416及びSUS303と比較した。この結
果を表4に示す。表4に示すように、実施例の鋼材は耐
食性が良好であり、比較材よりも優れていることがわか
る。
の、同一サイズのSUM24L材に軟窒化処理したも
の、SUS416、及びSUS303の各シャフトをプ
リンタに装着して、同一条件で過酷な繰り返し摺動試験
を行い、シャフトの磨耗量を測定した。結果を表5に示
す。過酷な摺動試験でも、現行品と同等若しくは優れた
耐磨耗性を有することが判明した。
学顕微鏡にて観察し、その幅(長手方向と直交する方向
の幅)及び長さ(長手方向の長さ)の分布を調べた。具
体的には、鋼材の表面、中心部及びそれらの中間深さの
部位について、それぞれ倍率400倍で8視野ずつ、視
野中に観察される介在物を全数測定する方法で実施し
た。これらの結果を表6乃至表8に示す。これらの各表
に示すように、鋼材5においては、いずれの部分におい
ても、MnS介在物のうち90%以上が、幅3μm以下
で、且つ、長さ40μm以下の細長形状を備えていた。
また、多くの介在物がアスペクト比(長さ/幅)5〜1
5の範囲内に集中していた。
の方法で介在物の形状寸法の分布を調べた。その結果を
表9乃至表11に示す。各表に示すように、SUMにお
いては、特に幅において3μmを越えるMnS介在物が
鋼材内部に多く分布しており、また、アスペクト比が上
記実施例よりも大幅にばらついていることが判る。
2.7μm)、SUS303のシャフト(面粗度3.3
μm)、SUMのシャフト表面にNiメッキを施したも
の(面粗度1.7μm)、及びSUMのシャフト表面に
窒化処理を施したもの(面粗度2.4μm)に、50〜
500gの荷重をかけた状態で、コピー用紙(コクヨ社
製、PPC用紙)に対する摩擦係数をそれぞれ5回ずつ
測定した。その結果(平均幅)を表12及び図1に示
す。このように、本実施例では、他の従来素材よりも格
段に摩擦係数が低い事がわかる。特に、実施例は、面粗
度が実施例よりも小さいSUMの表面処理品よりもさら
に摩擦係数が低くなっている。したがって、これらの結
果は、素材の表面粗さではなく、素材の耐磨耗性自体に
よって摩擦係数が決定されていることを示していると考
えられる。この結果、本実施例では、用紙の搬送時や用
紙に対する印刷(印字)時において、接触する鋼材自体
の磨耗が少なくなるとともに紙粉の発生を抑制すること
ができるという利点を備えていることが理解できる。
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて種々変更を加え得ることは勿論である。
食性や切削性が良好で、さらに耐磨耗性が高く、しかも
高精度で小さな面粗度を備えた加工表面を得ることがで
きるマンガン合金鋼を実現することができ、この材料を
用いることにより、OA関連機器、モータ、自動車、建
築等の部品構成材料のメッキ処理、浸炭・窒化処理など
の表面処理を省略して代替使用することが可能になる。
特に、従来のマンガン鋼とは異なり、多くの優れた特性
を同時に備え、そのときのニーズに合わせて任意に適用
できる汎用性に富んだ鋼材を提供することができる。
ラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.05〜0.50wt%、Si:
0.5wt%以下、Mn:6.0〜25wt%、P:
0.05wt%以下、S:0.35wt%以下、Cu:
0〜3.0wt%、Ni:0〜5.0wt%、Cr:
5.0〜20.0wt%、Mo:0〜3.0wt%、
N:0.04〜0.30wt%、Al:0.10wt%
以下を含有し、 残部がFe及び不可避不純物からなり、 内部に、幅が3μm以下で、長さが40μm以下の形状
のものが90%以上を占める非金属介在物MnSが微細
分散されていることを特徴とするマンガン合金鋼。 - 【請求項2】 C:0.05〜0.50wt%、Si:
0.5wt%以下、Mn:6.0〜25wt%、P:
0.05wt%以下、S:0.35wt%以下、Cu:
0〜3.0wt%、Ni:0〜5.0wt%、Cr:
5.0〜20.0wt%、Mo:0〜3.0wt%、
N:0.04〜0.30wt%、Al:0.10wt%
以下を含有し、 残部がFe及び不可避不純物からなり、 内部に、平均幅が3μm以下で、平均アスペクト比が4
以上の細長形状の非金属介在物MnSが微細分散されて
いることを特徴とするマンガン合金鋼。
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---|---|---|---|
JP2000034110A JP4221133B2 (ja) | 2000-02-10 | 2000-02-10 | マンガン合金鋼 |
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