JP5082389B2 - オーステナイト系快削ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

この発明は優れた被削性,耐食性,冷間及び熱間加工性が必要とされる機器ないし部品の素材として利用するのに適した快削ステンレス鋼に関する。
従来、耐食性の必要とされる機器ないし部品等の素材としてステンレス鋼、例えばJIS SUS304,SUS316,SUS303をはじめとする300台のステンレス若しくはその類似鋼種、或いはSUS836L,SUS890L,SUSXM7,SUSXM15J1等が広く用いられている。
本発明はこれらのステンレス鋼が使用されている用途に使用可能なステンレス鋼に関するものであり、特に被削性に加え、冷鍛加工が加わる部品,産業機器,OA機器,ポンプ,船舶等のシャフト類等に好適に使用可能なステンレス鋼に関するものである。
切削加工が行われる機器,部品等の生産性向上のため、これらに使用されるステンレス鋼素材にはS,Pb,Se,Bi等の被削性を向上させる元素を添加した快削ステンレス鋼が従来から広く用いられている。
通常、ステンレス鋼に被削性を付与する場合には一般にSを添加することが行われる。
添加したSは鋼中でMnSを形成し、このMnSが鋼の被削性を高める働きをなす。
精密な仕上加工が施されるなど、より高い被削性が求められる場合にはS添加量を多くすることが一般に行われるがこれには限界があり、この場合にはS単独でなく他の被削性向上元素を複合添加することが行われる。
鋼中に形成されるMnSは、その大きさが小さいと被削性向上に対してあまり効果が無く、そのため鋼中で一定以上に大きなMnSを形成するための端的な方法としてSの添加量を多くする手法が用いられてきた。
しかしながらSの多量添加は、同時に耐食性や機械的特性の劣化を招く。
また鋼中に形成されたMnS介在物はそれ自身柔らかい介在物であるため、圧延加工の際に変形して圧延方向に紐状に長く延びた状態となり、機械的特性に異方性を生ぜしめる原因となる。
詳しくは、MnSの展伸方向と直角方向の衝撃特性が劣化し、冷間加工等の加工性も低下する。
尚、下記特許文献1にはアウトガス特性に優れた快削ステンレス鋼についての発明が示され、また下記特許文献2には表面仕上性に優れた高耐食快削ステンレス鋼が、更に下記特許文献3には快削ステンレス鋼についての発明がそれぞれ示されている。
但しこれら特許文献には本発明におけるMnSの特徴的な形態制御については開示されておらず、本発明とは異なったものである。
特開2001−11581号公報 特開2001−98352号公報 特開2002−38241号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、Sの添加量を少なく抑えつつ、必要な大きさのMnSを鋼中に形成し得て鋼の被削性を高めることができるとともに、圧延の際にMnSが圧延方向に引き延ばされることによって鋼の特性に異方性を生ぜしめる問題を良好に解決することのできるオーステナイト系快削ステンレス鋼を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、質量%で、C :0.01〜0.20%,Si:0.10〜2.00%,Mn:0.80〜2.50%,P:≦0.10%,S:0.10〜0.40%,Ni:5.0〜15.0%,Cr:15.0〜25.0%,Te:0.01〜0.10%,B:0.003〜0.010%,O:0.006〜0.030%,N:≦0.050%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、且つ下記式(1)〜式(3)を満たすことを特徴とする。
3.0≦[Mn]/[S]≦15.0・・・式(1)
0.10≦[Te]/[S]≦0.50・・・式(2)
10≦[S]/[O]≦40・・・式(3)
請求項2のものは、請求項1において、Cuを質量%で、Cu:0.01〜4.0%で含有していることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、更にMoを質量%で、Mo:0.01〜3.0%で含有していることを特徴とする。
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、更にPb,Biの何れか1種又は2種を質量%で、Pb:0.03〜0.30%,Bi:0.01〜0.30%で含有していることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、更にCa,Mg,REMの何れか1種又は2種以上を質量%で、Ca:0.0001〜0.05%,Mg:0.0001〜0.02%,REM:0.0001〜0.02%で含有していることを特徴とする。
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、更にWを質量%で、W:0.01〜2.0%で含有していることを特徴とする。
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、更にNb,Ta,Vの何れか1種又は2種以上を質量%で、Nb:0.01〜0.50%,Ta:0.01〜0.50%,V:0.01〜0.50%で含有していることを特徴とする。
発明の作用・効果
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼を上記成分組成を有するものとなし、特にS,O,Mn,Teを添加し且つそれら添加元素の相対的な比率を適正化することによって、鋼中に生ずるMnS介在物を形態制御する点を発明の骨子とするものである。
従来のオーステナイト系快削ステンレス鋼の場合、被削性を高めるために上記のようにSの添加量を多くすることで対応していた。
これは次のような理由に基づく。
鋼中に添加したSは、その添加量が少ないと鋼中でMnS介在物を形成する際に微細な介在物となって鋼中に分散して生ずる。
このような小さなMnS介在物は被削性向上には有効に働かない。
そこでSの添加量を多くすることで、鋼中に生ずるMnS介在物を一定以上に大きくし、その大きなMnS介在物によって被削性を高めていた。
これに対して本発明では、鋼の成分としてOを所定量含有させることで、このOを核としてそこにMnS介在物を生ぜしめ且つこれを成長させて被削性向上に有効な大きさのMnSとする。
従って本発明では、少ないS添加量の下で被削性に有効な大きさのMnSを効果的に鋼中に形成することができる。
本発明では、鋼に添加したTeがMnS介在物の周りに結合し、これがピン止効果を発揮して、鋼を圧延したときにMnS介在物がその圧延方向に長く展伸し、紐状となるのを防止する働きをする。
即ち本発明によれば、添加したTeのピン止効果によって、鋼を圧延したときMnS介在物が紐状に長く展伸しないで紡錘状に形状保持され、圧延等加工した鋼に特性的な異方性が生じるのが有効に抑制される。即ち圧延方向とその直角方向とで特性的な差が生じるのが有効に抑制される。
従って本発明によれば良好な被削性,靭性,冷間加工性,熱間加工性及び耐食性を有するオーステナイト系ステンレス鋼を得ることができる。
[成分等限定理由]
次に本発明における化学成分等の限定理由を以下に詳述する。
C :0.01〜0.20%
Cは素地に固溶し、硬さを上昇させる元素である。そのため、十分な硬さを得るために0.01%以上を含有させる。
但し0.20%を超えると被削性向上に対し効果的でない単体の炭化物が多量に生成したり、耐食性の劣化を招くことから0.20%以下に限定する。望ましい範囲は0.05〜0.10%である。
Si:0.10〜2.00%
Siは鋼の脱酸剤として添加する。その含有量は0.10%以上とする。しかし含有量が過大になるとδ-フェライトの形成量が増し、鋼の熱間加工性を劣化させるため、上限を2.00%とする。熱間加工性を重視する場合の望ましい範囲は0.50%以下である。
Mn:0.80〜2.50%
Mnは鋼の脱酸剤として作用するほか、Sとの共存により被削性に有効な化合物を生成するため0.80%以上添加する必要がある。一方で、特にMnSは耐食性を大きく劣化させ、冷間加工性を阻害するため、上限を2.50%とする。特に熱間加工性、耐食性を重視する場合には1.50〜2.00%とする。
P:≦0.10%
Pは粒界に偏析し、粒界腐食感受性を高めるほか、靭性の低下を招くため低いほうが望ましいが、必要以上の低減はコストの上昇を招くため、0.10%以下とする。望ましくは0.050%以下とするのがよい。
S:0.10〜0.40%
Sは被削性を向上させるのに有効な化合物の構成元素であり、その効果が明瞭となる0.10%を下限とする。過剰な添加は熱間加工性を低下させることから、0.40%を上限とする。熱間加工性の低下とのバランスにより望ましくは0.13〜0.20%とする。
Ni:5.0〜15.0%
Cr含有のみで十分でない耐食性を補填するするため必要な元素である。ただし、過剰な添加はコストが上昇してしまうため15.0%を上限とする。ただし、十分な耐食性に対する添加効果が得られるときには、配合コストとの兼ね合いから、望ましくは12.0%以下とする。
Cr:15.0〜25.0%
Crは、耐食性を向上させる元素であり、その含有量は15.0〜25.0%とする。15.0%以下では十分な耐食性が得られず、一方25.0%超ではコストがかかるだけでなく熱間加工性が低下する。望ましい範囲は十分な耐食性が得られ、コストが抑制できる17.0〜20.0%である。
Te:0.01〜0.10%
Teは被削性を向上させるのに有効な元素であり、その効果が明瞭となる0.01%を下限とする。過剰な添加は、熱間加工性を低下させることから、0.10%を上限とする。被削性と熱間加工性の低下とのバランスにより望ましくは0.05%以下とする。
B:0.003〜0.010%
Bは熱間加工性を向上させるのに有効な元素であり、その効果が明瞭となる0.003%を下限とする。
過剰な添加はコストの上昇を招くことから上限を0.010%とする。望ましくは熱間加工性とコストのバランスを考え、0.004〜0.008%とする。
O:0.006〜0.030%
被削性を向上させるのに必要な硫化物の形成に関わる元素であることから0.006%以上添加する。しかし過剰な添加は、被削性の向上には効果的でない酸化物を形成することから0.030%を上限とする。製造コストとの兼ね合いであるが、望ましくは0.020%以下とするのが良い。
N:≦0.050%
Nは被削性の向上には効果的でない窒化物を形成することから極力低く抑制すべきであり、0.050%を上限とする。製造コストとの兼ね合いであるが、望ましくは0.030%以下とするのが良い。
Cu:0.01〜4.0%
Cuは耐食性、特に還元性酸環境中での耐食性を向上させるのに有効であること、冷間加工性を向上させることから必要に応じて添加してもよい。しかし、過剰な添加は、熱間加工性を劣化させることから4.0%を上限とする。望ましくは3.0%以下とする。
Mo:0.01〜3.0%
Moは耐食性や強度をより向上することができるため、必要に応じて添加してもよい。しかし、過剰な添加は、熱間加工性を害するほか、コストの上昇を招くため、上限をMo:3.0%とする。コストの上昇を考えると望ましくは1.0%以下とする。
Pb:0.03〜0.30%
Pbは被削性を向上させるのに有効な元素であり必要に応じて添加しても良い。その効果が明瞭となる0.03%を下限とする。しかし、過剰な添加は、熱間加工性を低下させることから、0.30%を上限とする。被削性を向上させるのに有効な量及び熱間加工性の低下とのバランスにより望ましくは0.10〜0.25%とする。
Bi:0.01〜0.30%
Biは被削性を更に向上させることが可能なため、必要に応じて添加しても良い。被削性向上効果が認められる0.01%を下限とする。ただし、過剰な添加は、熱間加工性を低下させるため、0.30%を上限とする。
Ca:0.0001〜0.05%
Mg:0.0001〜0.02%
REM:0.0001〜0.02%
Ca,Mg,REMは、鋼の熱間加工性を向上させるのに有効な元素であることからそれぞれ必要に応じて0.0001%以上添加してもよい。しかし、過剰な添加は、効果が飽和し、逆に熱間加工性を低下させることからその上限をそれぞれCa:0.05%,Mg:0.02%,REM:0.02%とする。
W:0.01〜2.0%
Wは、耐食性や強度をより向上することができるため、必要に応じて0.01%以上添加しても良い。しかし、過剰な添加は、熱間加工性を害するほか、コストの上昇を招くため、上限を2.0%とする。
Nb:0.01〜0.50%
Ta:0.01〜0.50%
V:0.01〜0.50%
Nb,V,Taの添加は、炭窒化物を形成して鋼の結晶粒を微細化し、強靭性を高める効果があるため0.01〜0.50%の範囲で添加してもよい。
3.0≦[Mn]/[S]≦15.0・・・式(1)
本発明において、MnとSとは適正な比率である必要がある。MnがSに対して少なく[Mn]/[S]が3.0よりも小さいと、Mnに対するSの過剰分がCrと結合し、CrSが生じる。
MnSは、それ自体柔らかい介在物であって変形能があるため、その周辺のマトリックスと一緒に変形することができるが、CrSは硬く、加工の際にCrSが変形せずに周辺だけが変形する傾向となって製造性が悪くなり、またCrSの形成部位が割れの起点ともなり易く、熱間加工性を低下させてしまう。
一方Mnの量が多くなり過ぎると、今度はSが不足して良好な被削性が得られないとともに、Mnが多過ぎることによって耐食性が悪化してしまう。
そこでこの発明では[Mn]/[S]を15.0以下とする。
尚MnとSの比率はそれぞれ質量%での比率である。この点は以下のTeとSとの比率,SとOとの比率についても同様である。
0.10≦[Te]/[S]≦0.50・・・式(2)
Teによるピン止め効果を確保するためTeの量はSとの関係で一定量以上必要である。ここでは[Te]/[S]を0.10以上としておく必要がある。
一方Sとの関係においてTeの量が多過ぎると、過剰分のTeとMnが結合し、そしてTeとMnの結合した介在物が多くなると、それ自体融点が低いために熱間加工性を悪化させてしまう。
そこで本発明では[Te]/[S]を0.50以下としておく必要がある。
10≦[S]/[O]≦40・・・式(3)
OもまたSとの関係において一定量以上必要である。例えばOがSとの関係で量的に少ないと、Oを核としてMnSが良好に形成されず、所望の被削性が得られなくなってしまう。そこで本発明では[S]/[O]を40以下としておく必要がある。
一方Oの量がSとの関係で過剰になると、Oが硬い酸化物を形成し切削性に悪影響を与えてしまう。
従って本発明では[S]/[O]を10以上としておく必要がある。
表1に示した成分組成の鋼種の各々50kg鋼塊を高周波誘導炉にて溶製したのち、冷却してインゴットを作製した。各インゴットを1000〜1200℃に加熱し、熱間鍛造により60mmと20mmの丸棒と、60mm×30mmの角棒に加工した。それらの棒鋼を更に1050℃で1時間加熱した後、水冷(固溶化熱処理)し、以下の各試験に供した。
Figure 0005082389
Figure 0005082389


1)熱間加工性
表2に示すように熱間加工性評価は、鍛造時疵の発生程度により行った。疵が無かったものを○、グラインダーで削れる程度の僅かな疵が発生したものを△、大きな疵が発生したものを×とした。
また、熱間高速引張試験で1000℃にて引張試験を実施し、その絞り値を測定した。
2)被削性(旋削性、ドリル穿孔性)
被削性評価は、旋削性については加工後の工具摩耗量,切屑形状により評価し、またドリル穿孔性については工具寿命(穿孔不能)が5000mmとなる切削速度、切屑形状により評価した。
旋削加工は、超硬バイト(Uti20T)を用いて周速150mm/min、一回転あたりの切込み量1.0mm、一回転あたりの送り量0.2mm/revで乾式にて実施した。
旋削加工の工具摩耗量は、工具横逃げ面平均摩耗量であり、切屑形状は目視観察し、破砕性が良好であるものは「良」、数巻き程度には破砕したものを「中」、破砕性が悪く切屑がつながった状態のものは「劣」として表している。
この旋削加工の工具摩耗量は、表3に示すように大・中・小(小さいほど良好)で判定した。
Figure 0005082389
一方ドリル加工は、ハイスドリルSKH51(Φ5.0mm)を用いて、孔深さ15mm(めくら穴)、一回転あたりの送り量0.07mm/revで乾式にて切削速度を変動させて工具寿命距離(折損するまでの切削距離)を測定した。
このドリル加工は、上記の角棒を試験材料として加工試験した。尚他の試験については上記の丸棒を使用している。
このドリル加工において、切屑形状は切削速度20m/minの加工時の初期切屑を目視観察し、破砕性が良好であるものは「良」、数巻き程度には破砕したものを「中」、破砕性が悪く切屑がつながった状態のものは「劣」として表している。
ここで切削速度は、表4に示すように低速、中速、高速(高速であるほど良好)で判定した。
Figure 0005082389
3)耐食性
耐食性の評価試験はJIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験にて行った。
試験片としては直径10mm、高さ50mmの円柱形状のものを用い、表面をエメリー紙により番手#400まで研磨加工し、脱脂洗浄した後、これら各試料を塩水噴霧中に96h保持した。評価は目視での96h後の外観判定により発錆の有無を見た。
発明鋼1〜15は比較鋼2と比較し、優れているものを「◎」同等であるものを「○」、劣っているものを「△」とした。
4)冷間加工性
冷間加工性の評価は、φ12×18mmの円柱状の試験片を用い、600t油圧プレスにより一軸圧縮試験を行い、割れの生じない限界圧縮率で評価した。
5) 靭性(異方性)
靭性は上記熱処理後に試験片加工を行い、L(圧延方向)、T(圧延方向と直角方向)の各方向のシャルピー衝撃試験により測定した衝撃値を示す。
これらの結果が表2に示してある。
表1及び表2において、比較鋼1は従来のSUS304,比較鋼2はSUS303である。
Sの添加されていないSUS304は被削性の悪いものとなっている。Sの添加されている比較鋼2のSUS303は、比較鋼1のSUS304に比べてL方向,T方向ともに靭性が低く、特にT方向の靭性が低いものであって、衝撃特性が顕著な異方性を示している。
比較鋼3はOの含有量が高く、旋削性,ドリル穿孔性の何れも不十分である。
また比較鋼4はS量が少なく同じく旋削性,ドリル穿孔性とも不十分である。
比較鋼5はTeの添加量が少なく、衝撃値がL方向とT方向とで差が大きく、異方性を示している。
比較鋼6はOの量が少なく、旋削性,ドリル穿孔性とも不十分である。
比較鋼7はSが本発明の上限値を超えて多く、旋削性,ドリル穿孔性とも良好であるものの限界圧縮率,衝撃値とも低い値となっている。
更に比較鋼8はMnの量が不十分で、その結果旋削性,穿孔性ともに不十分な結果となっている。
これに対して各発明鋼は熱間加工性,被削性即ち旋削性及びドリル穿孔性,耐食性,限界圧縮率,靭性何れも良好な結果が得られている。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.01〜0.20%
    Si:0.10〜2.00%
    Mn:0.80〜2.50%
    P:≦0.10%
    S:0.10〜0.40%
    Ni:5.0〜15.0%
    Cr:15.0〜25.0%
    Te:0.01〜0.10%
    B:0.003〜0.010%
    O:0.006〜0.030%
    N:≦0.050%
    残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、且つ下記式(1)〜式(3)を満たすことを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
    3.0≦[Mn]/[S]≦15.0・・・式(1)
    0.10≦[Te]/[S]≦0.50・・・式(2)
    10≦[S]/[O]≦40・・・式(3)
  2. 請求項1において、Cuを質量%で
    Cu:0.01〜4.0%
    で含有していることを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、更にMoを質量%で
    Mo:0.01〜3.0%
    で含有していることを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、更にPb,Biの何れか1種又は2種を質量%で
    Pb:0.03〜0.30%
    Bi:0.01〜0.30%
    で含有していることを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、更にCa,Mg,REMの何れか1種又は2種以上を質量%で
    Ca:0.0001〜0.05%
    Mg:0.0001〜0.02%
    REM:0.0001〜0.02%
    で含有していることを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、更にWを質量%で
    W:0.01〜2.0%
    で含有していることを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、更にNb,Ta,Vの何れか1種又は2種以上を質量%で
    Nb:0.01〜0.50%
    Ta:0.01〜0.50%
    V:0.01〜0.50%
    で含有していることを特徴とするオーステナイト系快削ステンレス鋼。
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