JP2001220228A - 耐熱耐食性保護管 - Google Patents

耐熱耐食性保護管

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JP2001220228A
JP2001220228A JP2000027298A JP2000027298A JP2001220228A JP 2001220228 A JP2001220228 A JP 2001220228A JP 2000027298 A JP2000027298 A JP 2000027298A JP 2000027298 A JP2000027298 A JP 2000027298A JP 2001220228 A JP2001220228 A JP 2001220228A
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mgo
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JP2000027298A
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Shinichi Yamaguchi
新一 山口
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Kyocera Corp
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  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐熱衝撃性を有し、ゴミ焼却炉等の熱的
に過酷な環境下で500〜1000℃の温度差が生じる
場合でも破損することなく使用できる保護管を得る。 【解決手段】ZrO2を主成分とし、安定化剤として
3.0〜3.8重量%のMgOを含み、かつ単斜晶系の
ジルコニア結晶を10〜60モル%含む部分安定化ジル
コニアセラミックスで耐熱耐食性保護管を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミ焼却炉やゴミ
焼却灰溶融炉等の溶融炉、またその他の各種炉等におい
て、ヒーターやセンサー等を保護するための保護管に関
する。
【0002】
【従来の技術】家庭、会社から捨てられたゴミは地方自
治体の焼却炉で燃やされ、その未燃分の焼却灰及び排煙
に含まれる飛灰(含有元素;Si、Al、Fe、Ca、
Mg、K、Mn、Cl、Na、S)には、重金属成分や
ダイオキシン、フラン等の有毒汚染物質が含まれてい
る。
【0003】これまでは、地方自治体の焼却炉で燃やさ
れた後の未燃分の焼却灰は、最終処分場にそのまま埋め
られていたが、立地条件も厳しくなり、場所の確保が難
しくなっており、加えて、ダイオキシンやフラン等の有
害汚染物質の無害化は法律や条例でかなり厳しく規制さ
れつつあるため、焼却灰、飛灰を回収しこれを再溶融す
ることにより有害汚染物質を無害化する溶融炉の必要性
は年々高まっている。
【0004】焼却炉で燃やされた後の未燃分の焼却灰
は、高温加熱処理でスラグ化すれば、焼却灰の1/2
〜1/10程度にその体積を小さくすることができる。
ダイオキシン等の有害汚染物質を高熱により分解し無
害化できる。等の理由により、この溶融炉での高温加熱
処理法が有望視されているのである。高温加熱処理法と
しては重油等を燃焼させる加熱法から電気を使った発熱
法である抵抗加熱方式やプラズマ・アーク方式が主流と
なりつつある。
【0005】溶融炉での加熱処理の代表例を図2に示
す。まず、溶融炉12内に焼却灰11を入れ、電熱源で
ある加熱用ヒーター2で1300〜1500℃に加熱す
ると、焼却灰11が溶融して含有している金属元素13
は蒸発する。この金属元素13を取り出して冷却装置
(不図示)で急冷し凝縮させて微粒子とし、これをフィ
ルタ14で回収して金属濃縮物15を回収する。一方ダ
イオキシンやフランなどの有毒汚染物質は熱破壊され、
無害化されたガス16はガス処理装置を経て大気中に放
出される。また、溶融炉12内の残存物はスラグ(ガラ
ス)状顆粒17として取り出され、有効利用または最終
処分されるようになっている。
【0006】この溶融炉12には、加熱用ヒーター2と
温度管理のための熱電対3が必要であるが、溶融した焼
却灰11は溶融炉12内で溶融スラグ、溶融塩、あるい
はその蒸気成分として存在するため、これらの物質から
加熱用ヒーター2及び熱電対3を保護する必要がある。
【0007】一方加熱用ヒーターは、大電圧・大電流を
印加するためヒーター保護管としては、短絡や漏電の観
点より高い絶縁性が必要である。また、熱電対保護管と
しては電気的ノイズを極力遮断しなければならないため
同様に絶縁性が必要である。
【0008】そこで、耐熱性、耐食性、絶縁性及び耐熱
衝撃性に優れたセラミックス製の保護管1で、加熱用ヒ
ーター2や熱電対3を覆うことが行われている。上記保
護管1の材質としては、例えば、MgO、Al23、M
gAl24などのセラミックスが使用されている。ま
た、形状としては、保護管先端を片側封止した形状が一
般的に広く用いられている。
【0009】MgO安定化ジルコニアとしては、例えば
特公平3−53271号公報や特公平3−64468号
公報に示されるように、7〜11モル%のMgOを含
み、単斜晶系のジルコニア結晶を55〜85モル%含ま
せ耐熱衝撃性を向上したものが主流であった。
【0010】単斜晶系ジルコニア結晶の総量を増やす
と、焼結体中のマイクロクラックが増加し、また応力誘
起による正方晶から単斜晶への相変態機構が小さくなる
ことから、焼結体の機械的強度や破壊靱性が低下し、高
い強度を必要とされる用途には不適であるという問題点
があった。焼結体中のマイクロクラックが増加すると、
保護管として使用した際、腐食成分がマイクロクラック
より磁器中に侵入し、著しく耐食性を悪化させるという
問題点もあった。さらにジルコニアは約300℃〜50
0℃以上の高温では材料の体積固有抵抗が小さくなり絶
縁性が低下する為、電気による発熱法を使った炉では使
用できない問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ゴミ焼却に
より発生する灰を加熱処理する際、灰に含まれるCd、
Pd、Zn等の金属元素類やダイオキシン、フラン等の
有害汚染物質を分解するため、電熱により1300〜1
500℃で加熱溶融処理を行い無害化するが、溶融炉1
2で使用する保護管1は、焼却灰11が溶けてできる溶
融塩、溶融スラグ、あるいは蒸気等にさらされることに
なる。そのためこれら成分中のSi、Al、Fe、C
a、Naは保護管1を成すセラミックス及び炉材中に徐
々に侵入・浸食し、次第にセラミックス及び炉材が変質
し、強度劣化を起こすことからクラックを生じたり、破
損が生じやすくなったり、部分的に溶融するなどして、
長期にわたり使用できるものではなかった。
【0012】さらに原料としては、前述のように単斜晶
系ジルコニア結晶の総量を増やすと、焼結体中のマイク
ロクラックが増加し、また応力誘起による正方晶から単
斜晶への相変態機構が小さくなることから、焼結体の機
械的強度や破壊靱性が低下し、高い強度を必要とされる
用途には不適であるという問題点があった。焼結体中の
マイクロクラックが増加すると、保護管として使用した
際、腐食成分がマイクロクラックより磁器中に侵入し、
著しく耐食性を悪化させるという問題点もあった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明はZrO2を主成
分とし、安定化剤として3.0〜3.8重量%のMgO
を含み、かつ単斜晶系のジルコニア結晶を10〜60モ
ル%含む部分安定化ジルコニアセラミックスを管状体に
形成して耐熱耐食性保護管としたことを特徴とする。
【0014】また、上記部分安定化ジルコニアセラミッ
クスがボイド面積率0.8〜2.5%であることを特徴
とする。
【0015】更に、上記部分安定化ジルコニアセラミッ
クスからなる管状体の外周面に温度500℃の時の体積
固有抵抗値が109Ω・cm以上のセラミックスで形成
した絶縁リングを備えたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を説明す
る。
【0017】図1に示すように、本発明の保護管1は、
先端の閉じた管状体で、ZrO2を主成分とし安定化剤
としてMgOを含む部分安定化ジルコニアセラミックス
からなり、上記MgOの含有量が3.0〜3.8重量%
であり、且つ単斜晶系のジルコニア結晶を10〜60モ
ル%含み、ボイド面積率0.8〜2.5%である。
【0018】この保護管1は図2に示すように、ゴミ焼
却灰溶融炉の溶融炉用12中に加熱用ヒーター2や熱電
対などのセンサー3を覆うように設置し、腐食成分を多
く含んだ炉内ガスからヒーターや熱電対を保護すること
ができる。保護管1は、セラミックスの一体物構造であ
るが、例えばステンレス鋼などの耐熱性材料と組み合わ
せた構造でも良い。また、本発明の保護管1は、上述し
たゴミ焼却灰の溶融炉12に限らず、金属溶融炉、高炉
等のさまざまな溶融炉や焼却炉において、ヒーターや各
種センサーを保護するための保護管として用いることが
できる。
【0019】本発明の保護管の形状としては図1に示す
ような先端を閉じた管状体に限らず、封止なしの円筒体
でも構わない。
【0020】また、本発明の部分安定化ジルコニアセラ
ミックスにより形成した保護管は、MgOを3.0〜
3.8重量%含有するセラミックス原料を所定形状に成
形した後、最高焼成温度1660〜1700℃で、冷却
速度を80〜150℃/時として焼成することによって
得ることができる。
【0021】本発明において、MgOの含有量を3.0
〜3.8重量%含有としたのは、3.0重量%未満であ
ると単斜晶系ジルコニア結晶の総量が多くなって曲げ強
度、破壊靱性、耐食性の低下が生じ、逆にMgOの含有
量が3.8重量%より多いと単斜晶系ジルコニア結晶の
総量が極端に少なくなって破壊靱性及び耐熱衝撃性が低
下するためである。MgOの含有量を3.6から3.8
重量%とすると高い強度を維持できるのでMgOの含有
量の特に望ましい範囲は3.6から3.8重量%であ
る。
【0022】また、本発明の部分安定化ジルコニア焼結
体製保護管は、MgO以外にAl23、SiO2などの
成分を、原料中の不純物または添加物として含むことが
できる。特にSiO2はZrO2と反応して珪酸ジルコニ
ウムを形成し、主に結晶粒界に存在してジルコニア結晶
の粒成長を抑制するため0.1〜0.5重量%の範囲で
含有することが好ましい。
【0023】さらに、本発明の部分安定化ジルコニア焼
結体において、単斜晶系ジルコニア結晶の総量を10〜
60モル%としたのは、焼結体中のマイクロクラックの
発生を抑制し、かつ適度な相変態機構を発現させるため
に、上記範囲内とすることが好ましいためである。そし
て、単斜晶系ジルコニア結晶の析出量を上記範囲内に制
御するためには、MgOの含有量を上記範囲内とし、か
つ焼成時の最高温度を1660〜1700℃の範囲に設
定するとともに、冷却速度を80〜150℃/時とすれ
ば良い。
【0024】さらに耐熱衝撃性を向上させるためには、
温度1150℃で8時間以下の時効処理を行えば良い。
8時間を超える時効処理は耐熱衝撃性向上に寄与しない
ことが確認されている。一方、時効処理温度は共晶温度
域以下の1150℃で行うのが効果的である。
【0025】なお、本発明の部分安定化ジルコニア焼結
体において、単斜晶系ジルコニア結晶以外は、正方晶お
よび/または立方晶のジルコニア結晶からなる。
【0026】また、ジルコニア焼結体の結晶粒径も強
度、靱性に大きく影響を及ぼすものである。そして、最
高焼成温度が1700℃より高い場合、平均結晶粒径が
30μm以上と粗大になりすぎて、強度、靱性の低下を
招き、逆に1640℃より低い場合は、結晶が成長せず
5μm程度で緻密化が不十分となり、強度、靱性が低下
する。そのため、本発明の部分安定化ジルコニア焼結体
の平均結晶粒径は、5〜30μmの範囲にあるのが好ま
しい。
【0027】更に、本発明のジルコニア焼結体におい
て、ボイド面積率は、耐熱衝撃性、耐摩耗性に大きく影
響するものであり、本発明においては部分安定化ジルコ
ニア焼結体のボイド面積率を0.8〜2.5%とするこ
とで耐熱衝撃性を向上したものである。即ち、強度、破
壊靱性、耐熱衝撃性の何れも満足させるためには、ボイ
ド面積率は上記範囲内に有らねばならず、適切な量のボ
イドを焼結体中に均一分散させることで、熱衝撃が加わ
った時の熱衝撃緩和に大きく寄与し、耐熱衝撃性を向上
させるとともに、強度、破壊靱性の向上をもたらすこと
ができる。
【0028】なおボイド面積率の制御は、原料粉末の粉
砕粒度を調整する方法、焼成条件を調整する方法、ある
いは所定の粒径の有機物を原料粉末に添加して焼成時に
消失させる方法などで行うことができる。例えば、粉砕
粒度を調整する場合、微粉砕するほど焼結体のボイドを
少なくすることができるが、過剰に微粉砕を行うとジル
コニア粒子の安定化機構が弱まり、焼結後単斜晶系ジル
コニア結晶が過剰に増え、曲げ強度や破壊靱性が低下し
てしまう。また、この場合焼結体中のボイドが著しく低
減するため、熱変化を伴う応力が焼結体に加わった時に
熱衝撃を緩和することができず破壊の原因となる。逆に
粉砕量が少なく粗大粒を含む場合は、焼成不良を生じ、
これもまた曲げ強度、破壊靱性の低下を引き起こす。そ
のため、好ましくは粉砕粒度の目安として中心粒径で
0.6〜1.2μmの範囲とすれば良い。
【0029】そして、上記条件を満たす部分安定化ジル
コニアセラミックスは、曲げ強度680MPa以上、破
壊靱性11MN/m3/2以上と共に高い数値を示すこと
が判る。また耐熱衝撃性△Tを450℃以上とすること
もできる。
【0030】原料としては、ZrO2を主成分とする原
料粉末にMgO粉末を添加し、ボールミル等で粉砕・混
合して中心粒径で0.6〜1.2μmの範囲に調整した
後、成形助剤としてポリビニールアルコール、ポリエチ
レングリコール、アクリル酸エステル等の有機バインダ
ーを添加し、スプレードライヤーにて乾燥造粒すること
により所望の特性を具備した顆粒を得ることができる。
【0031】以上の様に本発明の部分安定化ジルコニア
セラミックスは優れた材料であるが、300℃〜500
℃の温度域より体積固有抵抗が常温時に比べ低下する性
質がある。重油等を燃やして熱源とする炉では問題ない
が、ヒータなど電気を加熱源とする炉では、短絡や漏電
等の問題を起こす場合がある。
【0032】このような場合は、温度500℃時の体積
固有抵抗値が109Ω・cm以上のセラミックス、例え
ば純度99%以上のAl23またはMgAl24を主成
分とするセラミックスからなる絶縁リングを介して接続
すれば良い。
【0033】図3に一例を示すように、部分安定化ジル
コニアセラミックスからなる保護管1の外周面と、金属
管22内周面との間に、上記Al23またはMgAl2
4からなる絶縁リング24を介在させ無機接着剤で接
着させれば充分な絶縁性が確保できる。
【0034】絶縁リング24の厚さは1mm以上10m
m以下とし、耐熱衝撃性を確保するためには3mm以下
とすることが好ましい。長さは保護管1と金属筒22と
の接触部全面積を覆うように介在させれば良い。また、
保護管1の落下防止のために絶縁リング24と同材質で
ピン23を製作し保護管1に形成した溝1aに差し込む
構造としても良い。
【0035】
【実施例】実施例1 ゴミ焼却灰溶融炉内環境を想定し、様々なセラミックス
材料を製作し、ゴミ焼却灰との反応試験を行った。Zr
2については5重量%Y23と3重量%MgOを添加
した材料2種を製作し反応試験を実施した。
【0036】まずゴミ焼却灰として、成分がAl、C
a、Mg、Na、K、Zn、Pb、Si、Fe、Cl等
からなる灰を焼却炉より回収し、乾式加圧成形機により
直径12mm、厚さ1mmで重さ0.3gのタブレット
を作製した。
【0037】次に、表1に示す各種セラミックスで直径
30mm×10mmのタブレット試験片を乾式加圧成形
の後、1500℃以上の温度で適正雰囲気中にて焼成し
作製した。各試験片には焼却灰タブレットを入れるため
の座繰り穴(直径13mm×深さ1mm)を予め形成し
ておいた。各種セラミックスの特性値は以下の方法によ
り測定した。 ・結晶粒径;破断面のSEM写真を500倍〜1000
倍程度で撮影し、この写真からコード法を用いて測定し
た。 ・嵩比重、曲げ強度、体積固有抵抗はJIS法に基づい
て試験・測定した。 ・絶縁性;JIS試験法に準じて測定した。温度は室温
25℃と最高試験温度の500℃として、体積固有抵抗
値が109Ω・cm以上であれば○、そうでなければ×
とした。
【0038】反応試験は、それぞれのセラミックス試験
片の座繰り穴に灰タブレットを置き、大気中1550℃
で50時間の熱処理を加えた。
【0039】その後、各試験片について外観を目視で観
察し、溶融あるいはクラックの有無を調べた。また、各
試験片を切断し研磨した断面について、SEM(50倍
〜200倍程度)でクラックの有無を調べ、波長分散型
EPMA分析装置で、加速電圧15kV、プローブ電流
2.0×10-7Aで、Si、Ca、Na、の各元素の検
出を行いマッピング形式で出力した後、これら元素の拡
散深さ(反応層)を調べた。
【0040】これらの結果は、表1に示す通りである。
なお表中において、クラック、溶融、反応層があるもの
は×、無いものは○で示した。
【0041】これらの結果から、Si34、Al23
は溶融またはクラックが発生するか、或いは反応層に問
題があり不適当であることが確認された。SiCはクラ
ック、溶融、反応層に問題ないが、絶縁性に問題があり
不適当である。
【0042】一方、Y23を添加したZrO2では、ク
ラックが発生し、灰成分との反応層が認められた。本発
明のMgOを添加したZrO2(部分安定化)では、溶
融・クラックの発生は無く、灰成分との反応層も認めら
れないため、耐熱耐食性保護管用材料として問題なく使
用できることがわかる。
【0043】なお、MgO安定化ZrO2では500℃
以上の高温では絶縁性に問題を生じるが、絶縁性良好な
Al23等を絶縁材として介在させれば問題なく使用で
きる。
【0044】
【表1】
【0045】実施例2 表2に示すように、ZrO2粉末に2.0〜4.5重量
%のMgOを添加し、ボールミル等で粉砕を行って平均
粒径1μmの粒度に調整した後、成形助剤としてポリビ
ニールアルコール等の有機バインダーを4〜8%程度添
加し、スプレードライヤーにて乾燥造粒した。次に、得
られた造粒粉末を成形圧力1t/cm2以上の圧力でプ
レス成形し、幅6mm、厚み5mm、長さ60mmの角
棒を得、これを大気炉中1660℃〜1700℃程度で
焼成した。
【0046】得られた焼成体を幅4mm、厚み3mmに
研磨加工し、曲げ強度、破壊靱性、見掛け比重、単斜晶
率を測定した。なお曲げ強度はJISR1601に基づ
き常温三点曲げ法にて、破壊靱性K1Cは圧痕法(I.
F.法)にて、単斜晶量はX線回折装置にて2θ=20
°〜40°の範囲を測定し、単斜晶ジルコニア、立方晶
ジルコニアのピーク強度から計算した。
【0047】ボイド面積率の測定は、鏡面加工を施した
試料表面のボイドを画像解析装置を用い、顕微鏡にて拡
大した300μm×300μmの面積を10ヶ所測定
し、それを平均演算して求めた。
【0048】耐食性は、ゴミ焼却灰との反応試験を行っ
た。まずゴミ焼却灰として、成分がAl、Ca、Mg、
Na、K、Zn、Pb、Si、Fe、Cl等からなる灰
を焼却炉より回収し、乾式加圧成形機により直径12m
m、厚さ1mmで重さ0.3gのタブレットを作製し
た。次に、表2に示す各種セラミックスで直径30mm
×10mmのタブレット試験片を乾式加圧成形の後、1
660℃〜1700℃程度の温度で適正雰囲気中にて焼
成し作製した。各試験片には焼却灰タブレットを入れる
ための座繰り穴(直径13mm×深さ1mm)を予め形
成しておいた。反応試験は、それぞれのセラミックス試
験片の座繰り穴に灰タブレットを置き、大気中1550
℃で50時間の熱処理を加えた。
【0049】その後、各試験片について外観を目視で観
察し、溶融あるいはクラックの有無を調べた。また、各
試験片を切断し研磨した断面について、SEM(50倍
〜200倍程度)でクラックの有無を調べ、波長分散型
EPMA分析装置で、加速電圧15kV、プローブ電流
2.0×10-7Aで、Si、Ca、Na、の各元素の検
出を行いマッピング形式で出力した後、これら元素の拡
散深さ(反応層)を調べた。
【0050】これらの結果は、表2に示す通りである。
【0051】耐食性については、クラック、溶融、反応
層があるものは×、無いものは○で示した。
【0052】耐熱衝撃性は、焼成体を所定の温度で15
分保持した後に20℃の水中に投下し、強度劣化の見ら
れた温度差を△Tとし、△T450℃以上が得られたも
のを○、得られなかったものを×として表示した。
【0053】
【表2】
【0054】表2よりNo.1、2はMgO含有量が
3.0重量%よりも少ないために安定化されにくく、単
斜晶ジルコニア総量が多くなり、変態に伴う体積膨張が
大きくなりクラックが発生し、強度、靱性ともに低い値
となっている。逆にNo.6、7はMgO含有量が3.
8重量%よりも多いために安定化されすぎて単斜晶ジル
コニア量が減少し、相変態による強度強化機構が発現せ
ず、強度、靱性、耐熱衝撃性ともに低くなっている。
【0055】これらに対し、本発明実施例であるNo.
3〜5はMgO含有量が3.0〜3.8重量%で且つ単
斜晶ジルコニア総量が10〜60モル%の範囲内であ
り、曲げ強度680MPa以上、破壊靱性11MN/m
3/2以上と共に高い数値を示すことが判る。
【0056】耐食性としてはMgO含有量が3.0〜
3.8重量%で、単斜晶量が60モル%より少ない場合
良好で、これより多くなると反応層がみられ保護管用材
料としては不適当である。
【0057】従って強度、破壊靱性、耐食性を満足させ
るにはMgOの含有量は3.0〜3.8重量%の範囲に
あることが必要である。またボイド面積率は、0.8〜
2.5%が適正値である。 実施例3 本発明実施例として、表2中No.1と4の材料で製作
した保護管を実炉に組み込み、実機で比較試験を実施し
た。保護管形状は、外径30mm、内径20mm、肉厚
tが5mm、長さ500mmの図1に示す保護管1を製
作した。実機試験は、流動床ガス化溶融炉で行い、運転
温度1300℃とし、雰囲気組成はO25%、CO295
%でHCl濃度は1000ppm程度である。
【0058】実機試験の結果、No.1の保護管は約6
00時間で保護管にスルーホールが発生し寿命となった
のに対し、本発明のNo.4の保護管は約1200時間
の寿命を有していることが確認され、長期間使用できる
ことが実証できた。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ZrO2
を主成分とし、安定化剤として3.0〜3.8重量%の
MgOを含み、かつ単斜晶系のジルコニア結晶を10〜
60モル%含む部分安定化ジルコニアセラミックスで耐
熱耐食性保護管を形成したことによって、優れた耐熱衝
撃性得ることができ、ゴミ焼却炉等の熱的に過酷な環境
下で500〜1000℃の温度差が生じる場合でも破損
することなく使用することができる。
【0060】またこれを温度500℃の時の体積固有抵
抗値が109Ω・cm以上のセラミックスからなる絶縁
リングを介して接続したことにより、耐熱性、耐食性、
絶縁性及び耐熱衝撃性に優れ、長期間良好に使用するこ
とができる。
【0061】そして、本発明の耐熱耐食性保護管は耐熱
性、耐食性、絶縁性及び耐熱衝撃性に優れ、長期間良好
に使用することができるため、廃棄物焼却炉、溶融炉や
廃棄物ガス化溶融炉及びその他焼却炉の1000℃を超
える温度領域で、雰囲気温度やスラグ温度を計測する熱
電対の保護管、あるいはその他センサーやヒータ類を保
護するための保護管として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるゴミ焼却灰溶融炉用
保護管を示す断面図である。
【図2】ゴミ焼却灰溶融炉を示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1;保護管 2;加熱用ヒーター 3;熱電対 11;焼却灰 12;溶融炉 13;金属元素 14;フィルタ 15;金属濃縮物 16;ガラス 17;スラグ(ガラス)状顆粒 22;金属筒 23;固定ピン 24;絶縁リング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZrO2を主成分とし、安定化剤として
    3.0〜3.8重量%のMgOを含み、かつ単斜晶系の
    ジルコニア結晶を10〜60モル%含む部分安定化ジル
    コニアセラミックスを管状体に形成したことを特徴とす
    る耐熱耐食性保護管。
  2. 【請求項2】上記部分安定化ジルコニアセラミックスが
    ボイド面積率0.8〜2.5%であることを特徴とする
    請求項1記載の耐熱耐食性保護管。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の部分安定化ジルコニ
    アセラミックスからなる管状体の外周面に、温度500
    ℃の時の体積固有抵抗値が109Ω・cm以上のセラミ
    ックスで形成した絶縁リングを備えたことを特徴とする
    耐熱耐食性保護管。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2319944A1 (en) 2002-01-08 2011-05-11 Nippon Steel Corporation Method for manufacturing grain-oriented silicon steel sheets with mirror-like surface
KR101440142B1 (ko) * 2013-03-27 2014-09-12 김필성 마이크로 웨이브를 이용한 유전가열 열분해 가스화 연소장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2319944A1 (en) 2002-01-08 2011-05-11 Nippon Steel Corporation Method for manufacturing grain-oriented silicon steel sheets with mirror-like surface
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