JP2001219873A - 車両の車体下部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の前面衝突時の車体下部構造の剛性を強
化すること。 【解決手段】 左右のフロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂ
の後部１１をそれぞれ斜め後方車外側へ屈曲せしめ、各
フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの後端１２をそれぞれ
車室フロア３の左右両側縁に沿う左右のロッカレール４
Ａ，４Ｂに結合した車両の車体下部構造において、前端
６０をそれぞれ左右のフロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂ
の屈曲部１３に結合せしめ、斜め後方車内側へ延び、屈
曲して更に上記左右のロッカレール４Ａ，４Ｂとほぼ平
行に後方へ延び、後端６４を上記左右のロッカレール４
Ａ，４Ｂ間に架設したクロスメンバ８ｂに結合せしめた
左右一対の補強メンバ６Ａ，６Ｂを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の左右のフロ
ントサイドメンバの後部をそれぞれ斜め後方車外側へ屈
曲せしめ、各フロントサイドメンバの後端をそれぞれ左
右のロッカレールに結合した車体下部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車の車体下部構造において、
図９および図１０に示すように、左右のフロントサイド
メンバ１Ａ，１Ｂの後部１１をそれぞれ斜め後方車外側
へ屈曲せしめ、各後端１２をそれぞれフロアパネル３の
左右の両側縁に沿いそれらの下部に設けた左右のロッカ
レール４Ａ，４Ｂに結合し、衝突時にフロントサイドメ
ンバ１Ａ，１Ｂに作用する衝突荷重をロッカレール４
Ａ，４Ｂで受ける構造としたものがある。

【０００３】各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの後部
１１は、断面ほぼ逆ハット形でエンジンルームと車室と
を仕切るダッシュパネル２の下面およびフロアパネル３
の下面に沿って結合し、後端１２を各ロッカレール４
Ａ，４Ｂの車内側の側面の前後中間位置に結合してい
る。また、各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの屈曲部
１３はトルクボックス５Ａ，５Ｂを介して各ロッカレー
ル４Ａ，４Ｂの前端に結合されている。

【０００４】車体の後半部においては、両ロッカレール
４Ａ，４Ｂ間に、フロアパネル３の下面に沿う複数のク
ロスメンバ８ａ，８ｂを架設している。また各ロッカレ
ール４Ａ，４Ｂの後端は左右のリヤサイドメンバ９Ａ，
９Ｂの前端と結合しており、両リヤサイドメンバ９Ａ，
９Ｂ間には複数のクロスメンバ９０ａ，９０ｂを架設し
ている。

【０００５】フロアパネル３は、下面の車幅方向中央部
に、パネルの前後方向全長にわたりプロペラシャフトや
排気管を配設するトンネル部３０が形成してある。フロ
アパネル３の上面には両フロントサイドメンバ１Ａ，１
Ｂの後端１２間の位置に、車幅方向パネル全幅にわたっ
てフロアクロスメンバ３１を設けて補強している。

【０００６】また、車室中央の床下には左右いずれかの
位置にスペアタイヤＳＴを収納することがなされ、この
場合、左右のロッカレール４Ａ，４Ｂ間に架設した上記
クロスメンバ８ａを小型化して床下への突出量を小さく
し、これに吊下部材Ｆを介してスペアタイヤＳＴを吊り
下げている。また、スペアタイヤＳＴのタイヤサイズに
よっては、ロッカレール４Ａ，４Ｂの中間部の車内側側
面にスペアタイヤＳＴを回避する凹状のえぐり部４１を
設けている。えぐり部４１は車体の左右いずれの側へも
スペアタイヤＳＴを収納できるように左右のロッカレー
ル４Ａ，４Ｂに形成している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の車体
下部構造では、車両の前面衝突時、特にオフセット前面
衝突時に、フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの屈曲部１
３が車内側に折れ曲がったり、各ロッカレール４Ａ，４
Ｂがえぐり部４１で折れ曲がるおそれがある。フロアク
ロスメンバ３１はフロアパネル３上に設置されており、
直接的に両ロッカレール４Ａ，４Ｂ間を架けわたすもの
ではないので、ロッカレール４Ａ，４Ｂの折れ曲がり防
止効果は不充分である。そこで本発明は、前面衝突時や
オフセット前面衝突時に、フロントサイドメンバの折れ
曲がりやロッカレールの折れ曲がりを防止し、剛性を強
化した車体下部構造を実現することを課題としてなされ
たものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、車体の前後方
向に延びる左右のフロントサイドメンバの後部をそれぞ
れ斜め後方車外側へ屈曲せしめ、各フロントサイドメン
バの後端をそれぞれ車室フロアの左右両側縁に沿う左右
のロッカレールに結合した車両の車体下部構造におい
て、前端をそれぞれ左右のフロントサイドメンバの屈曲
部に結合せしめ、斜め後方車内側へ延び、屈曲して更に
上記左右のロッカレールとほぼ平行に後方へ延び、後端
を上記左右のロッカレール間に架設したクロスメンバに
結合せしめた左右一対の補強メンバを設ける（請求項
１）。車両の前面衝突時、フロントサイドメンバの屈曲
部は補強メンバを介してクロスメンバで支えられるか
ら、折れ曲がりが防がれる。また、衝突時にフロントサ
イドメンバに作用する荷重は、ロッカレールとともに補
強メンバに分散されるから、ロッカレールの負担が軽減
されて折れ曲がりが防がれる。

【０００９】上記左右の補強メンバの上記屈曲部を車幅
方向に互いに連結する連結メンバを設ける（請求項
２）。補強メンバは、車両の骨格部材であるフロントサ
イドメンバに比べて小型軽量の部材を用いるから、衝突
時の荷重が大きいと、補強メンバはその屈曲部が折れ曲
がるおそれがある。この折れ曲がりは両補強メンバの屈
曲部間に連結メンバを設けることで防止される。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１および図２に基づいて本発明
の実施の形態を説明する。図１は車体下部構造の概略平
面図で、図２は車体下部構造の要部斜視図である。図に
示すように、車体の前後方向に延びる左右のフロントサ
イドメンバ１Ａ，１Ｂは、エンジンルーム側の本体部１
０と車室の下方へ延設する後部１１とをつなぎ合わせて
構成してある。

【００１１】各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの本体
部１０は、車外側へ開口する断面ほぼコ字形のインナパ
ネル１０１と平板状のアウタパネル１０２からなる閉断
面構造で、インナパネル１０１の開口上縁および開口下
縁にアウタパネル１０２の上縁および下縁を重ね合わせ
て溶接して、インナパネル１０１の開口をアウタパネル
１０２で塞ぐように結合してある。

【００１２】各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの本体
部１０の後端は斜め下方へ屈折しており、後端開口には
上記後部１１の前端が連結してある。各フロントサイド
メンバ１Ａ，１Ｂの後部１１は上方へ開口する断面ほぼ
逆ハット形をなし、前端末を上記本体部１０の後端開口
内に嵌入して溶接結合してある。各後部１１は、その前
半を本体部１０後端を延長する傾斜状で、相対向する両
側壁の上縁をエンジンルームと車室を仕切る縦壁状のダ
ッシュパネル２の下面に沿って結合してダッシュパネル
２とで閉断面を構成してある。後部１１の後半は、車室
のフロアパネル３の下面に沿って水平方向に延設し、フ
ロアパネル３とで閉断面を構成するとともに、該後半は
斜め後方車外側へ屈曲して、後端１２をフロアパネル３
の左右両側端縁に設けたロッカレール４Ａ，４Ｂに結合
してある。

【００１３】左右のロッカレール４Ａ，４Ｂは、車外側
へ開口する断面ほぼコ字形のインナパネル４２と、車内
側へ開口する断面ほぼコ字形のアウタパネル４３とを互
いに開口を向き合わせ、両者４２，４３の開口上縁およ
び開口下縁どうしを衝き合わせて溶接結合した閉断面構
造としてある。各ロッカレール４Ａ，４Ｂは、内部にロ
ッカレール４Ａ，４Ｂの閉断面を左右に仕切る縦壁状の
リインフォースメント４４を内設して補強している。各
ロッカレール４Ａ，４Ｂは、インナパネル４２の上面に
フロアパネル３の側端縁を重ね合わせて溶接結合してフ
ロアパネル３の両側端縁の下部に沿って設けてある。

【００１４】各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの後端
１２は、ロッカレール４Ａ，４Ｂの前端寄りの中間部の
車内側側面に溶接結合してある。また、各フロントサイ
ドメンバ１Ａ，１Ｂの屈曲部１３の車外側側面と両ロッ
カレール４Ａ，４Ｂの前端の車内側側面との間には、断
面逆ハット形でフロアパネル３とで閉断面をなすトルク
ボックス５Ａ，５Ｂが車幅方向に架設してある。

【００１５】フロアパネル３の車幅方向中央には、前後
方向にパネル全長にわたってパネル面を車内側へ突出せ
しめ、内部にプロペラシャフトＰや排気管等を配設する
断面凸形のトンネル部３０を備えている。

【００１６】フロアパネル３の下面には車幅方向中央寄
りの位置で前後方向に延びる左右一対の補強メンバ６
Ａ，６Ｂが設けてある。補強メンバ６Ａ，６Ｂは、前端
６０が各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの屈曲部１３
の車内側側面に結合してあり、前半部６１は前端６０か
らフロアパネル３の下面に沿って斜め後方車内側へ延
び、車体後方に向けてく字形に屈曲する屈曲部６２を経
て、後半部６３はフロアパネル３のトンネル部３０の側
面に沿ってロッカレール４Ａ，４Ｂとほぼ平行に後方へ
延び、後端６４は両ロッカレール４Ａ，４Ｂの後端間に
車幅方向に架設したクロスメンバ８ｂに結合してある。

【００１７】補強メンバ６Ａ，６Ｂは断面ほぼ逆ハット
形で、前半部６１においては相対向する両側壁の上縁を
フロアパネル３の下面に結合して閉断面を構成し、屈曲
部６２、後半部６３では、車外側の側壁上縁をフロアパ
ネル３の下面に結合するとともに、車内側の側壁上縁を
トンネル部３０の内部側壁に結合してトンネル部３０の
側面を囲むように閉断面を形成している。

【００１８】クロスメンバ８ｂは、車幅方向全長にわた
って断面ほぼ逆ハット形の同一断面形状で、左右の両端
をそれぞれ各ロッカレール４Ａ，４Ｂの後端の車内側側
面に結合するとともに、フロアパネル３の下面に結合し
てフロアパネル３とで閉断面をなす。クロスメンバ８ｂ
の車幅方向中間部はフロアパネル３のトンネル部３０の
下面に沿うように凸状に曲成してある。

【００１９】両ロッカレール４Ａ，４Ｂの中間部には車
内側側面に、床下に収納するスペアタイヤＳＴを避ける
円弧状のえぐり部４１を形成し、両ロッカレール４Ａ，
４Ｂのえぐり部４１間には車幅方向に小型のクロスメン
バ８ａが架設してある。この場合、クロスメンバ８ａ
は、図３に示すように、各ロッカレール４Ａ，４Ｂと各
補強メンバ６Ａ，６Ｂとの間を架けわたす両側部分８１
と、補強メンバ６Ａ，６Ｂ間を架けわたす中間部分８２
とからなる３分割構造としてある。クロスメンバ８ａの
各部分８１，８２は断面逆ハット形でフロアパネル３と
で閉断面をなす。

【００２０】各ロッカレール４Ａ，４Ｂの後端には、左
右のリヤサイドメンバ９Ａ，９Ｂの斜め前方車外側へ屈
曲した前端が結合してある。両リヤサイドメンバ９Ａ，
９Ｂ間には複数のクロスメンバ９０ａ，９０ｂを架設し
てある。

【００２１】またフロアパネル３の上面には両フロント
サイドメンバ１Ａ，１Ｂの後端１２間に対応する位置に
車幅方向パネル全幅にわたってフロアクロスメンバ３１
が延設してある。フロアクロスメンバ３１は断面ほぼハ
ット形で、フロアパネル３とで閉断面を形成している。

【００２２】車両の前面衝突時、特にオフセット前面衝
突時に、例えばフロントサイドメンバ１Ａ側が衝突した
場合、フロントサイドメンバ１Ａの屈曲部１３にはこれ
を車内側へ折り曲げようとする力が作用する。しかしな
がら、フロントサイドメンバ１Ａの屈曲部１３は、これ
と結合された補強メンバ６Ａおよびその後端６４を結合
したクロスメンバ８ｂが支えとなるから、屈曲部１３の
折れ曲がりが防止される。また、フロントサイドメンバ
１Ａに作用する衝突荷重は屈曲部１３からロッカレール
４Ａ側と補強メンバ６Ａ側へと分散され、ロッカレール
４Ａにかかる荷重が軽減されるから、ロッカレール４Ａ
のえぐり部４１からの折れ曲がりを防止することができ
る。

【００２３】次に、図４ないし図６に基づいて本発明の
他の実施の形態を説明する。本実施の形態の車体下部の
基本構造は、先の実施の形態のそれと同一で、相違点を
中心に説明し、図において同一部材は同一符号で表す。
この車体下部構造は各補強メンバ６Ａ，６Ｂの屈曲部６
２の車内側への折れ曲がりを防止するため、各補強メン
バ６Ａ，６Ｂの屈曲部６２間に、これらを補強する結合
メンバ７Ａを架設したものである。結合メンバ７Ａは、
厚肉の板材で断面が下開きの浅いコ字形をなし、左右の
側端が各補強メンバ６Ａ，６Ｂの屈曲部６２の下面にボ
ルト締め固定してある。

【００２４】各フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの後部
１１後方の床下に排気管の触媒コンバーター等を設置す
るスペースを確保すべく、補強メンバ６Ａ，６Ｂの屈曲
部６２の位置を前方へ移すと屈曲部６２の屈曲角度が大
きくなる。フロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂよりも小型
の部材である補強メンバ６Ａ，６Ｂは、屈曲部６２の屈
曲角度が大きいと衝突荷重に耐えられずに屈曲部６２が
折れ曲がり、同時にフロントサイドメンバ１Ａ，１Ｂの
屈曲部１３にも折れ曲がりが発生するおそれがある。上
記結合メンバ７Ａを設けることで、これらの折れ曲がり
を防止することができる。

【００２５】また、結合メンバ７Ａは、ボルト締めによ
り両端を各補強メンバ６Ａ，６Ｂの屈曲部６２の下面に
固着する構造としたので、着脱が自在で、フロアパネル
３のトンネル部３０内に配設するプロペラシャフトＰ等
の着脱作業に支障をきたさない。

【００２６】左右の補強メンバ６Ａ，６Ｂの屈曲部６２
の折れ曲がりを防止する結合メンバは、図７および図８
に示す結合メンバ７Ｂのように、フロアパネル３のトン
ネル部３０内面に沿って両補強メンバ６Ａ，６Ｂの屈曲
部６２の車内側側面間を架けわたす構造としてもよい。
結合メンバ７Ｂは、上方へ開口する断面ほぼ逆ハット形
で、かつ、トンネル部３０の内面および両補強メンバ６
Ａ，６Ｂの車内側側面に沿う門形に湾曲形成してある。
結合メンバ７Ｂは、相対向する前壁および後壁の外周縁
をトンネル部３０の内面および両補強メンバ６Ａ，６Ｂ
の車内側側面に沿って溶接結合し、閉断面を形成してい
る。

【００２７】上記結合メンバ７Ｂによれば、車両の前面
衝突時に、上述の結合メンバ７Ａと同様の作用効果を発
する。また、結合メンバ７Ｂは、トンネル部３０の内面
に沿う形状に形成したので、下方に充分なスペースが確
保でき、プロペラシャフトＰ等の配設および脱着作業へ
の影響はない。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、車両の前面衝突時にフ
ロントサイドメンバにかかる衝突荷重を、フロントサイ
ドメンバからロッカレールおよび補強メンバへと分散さ
せることができ、各部材の負担を軽減することができる
ので、フロントサイドメンバの折れ曲がりやロッカレー
ルの折れ曲がりを効果的に防止することができ、車体の
剛性を強化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の車両の車体下部構造の実施の形態を示
す概略平面図である。

【図２】上記車体下部構造の要部斜視図である。

【図３】図１のIII −III 線に沿う位置での断面図であ
る。

【図４】本発明の車体下部構造の他の実施の形態を示す
要部斜視図である。

【図５】上記車体下部構造の概略平面図である。

【図６】図４のVI−VI線に沿う位置での断面図である。

【図７】本発明の車体下部構造の更に他の実施の形態を
示す要部斜視図である。

【図８】図７のVIII−VIII線に沿う位置での断面図であ
る。

【図９】従来の車体下部構造の概略平面図である。

【図１０】図９のＸ−Ｘに沿う断面図である。

【符号の説明】

１Ａ，１Ｂ フロントサイドメンバ １１ 後部 １２ 後端 １３ 屈曲部 ２ ダッシュパネル ３ フロアパネル（車室フロア） ４Ａ，４Ｂ ロッカレール ６Ａ，６Ｂ 補強メンバ ６１ 前端 ６２ 屈曲部 ６４ 後端 ７Ａ，７Ｂ 結合メンバ ８ｂ クロスメンバ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 一正 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 (72)発明者 森 浩二 鹿児島県国分市上之段395番地１ 株式会 社トヨタ車体研究所内 Ｆターム(参考） 3D003 AA01 AA05 BB01 CA05 CA09 CA14 CA15 CA17 CA18

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体の前後方向に延びる左右のフロント
   サイドメンバの後部をそれぞれ斜め後方車外側へ屈曲せ
   しめ、各フロントサイドメンバの後端をそれぞれ車室フ
   ロアの左右両側縁に沿う左右のロッカレールに結合した
   車両の車体下部構造において、前端をそれぞれ左右のフ
   ロントサイドメンバの屈曲部に結合せしめ、斜め後方車
   内側へ延び、屈曲して更に上記左右のロッカレールとほ
   ぼ平行に後方へ延び、後端を上記左右のロッカレール間
   に架設したクロスメンバに結合せしめた左右一対の補強
   メンバを設けたことを特徴とする車両の車体下部構造。
2. 【請求項２】 上記左右の補強メンバの上記屈曲部を車
   幅方向に互いに連結する連結メンバを設けた請求項１記
   載の車両の車体下部構造。