JP2001213835A - アルデヒドの製造方法 - Google Patents

アルデヒドの製造方法

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JP2001213835A
JP2001213835A JP2000023990A JP2000023990A JP2001213835A JP 2001213835 A JP2001213835 A JP 2001213835A JP 2000023990 A JP2000023990 A JP 2000023990A JP 2000023990 A JP2000023990 A JP 2000023990A JP 2001213835 A JP2001213835 A JP 2001213835A
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butyl
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Toru Tsukahara
徹 塚原
Takatoshi Senju
孝俊 千住
Akio Nakanishi
章夫 中西
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/49Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reaction with carbon monoxide
    • C07C45/50Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reaction with carbon monoxide by oxo-reactions

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オキソ反応における触媒被毒物質を制御し
て、運転効率よくアルデヒドを製造する。 【解決手段】 周期律表第VIII族遷移金属及び有機リン
化合物を含むヒドロホルミル化触媒の存在下、オレフィ
ン性不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてア
ルデヒドを製造する方法において、反応系内に不純物と
して混入する窒素酸化物の量を、触媒含有液中に含まれ
る第VIII族遷移金属に対するモル比が5以下となる様に
制御することを特徴とするアルデヒドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機リン化合物を
配位子として含有する第VIII族遷移金属触媒の存在下、
オレフィン性不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応
させてアルデヒドを製造する方法に関する。詳しくは、
触媒被毒物質が不純物として反応系内に混入する場合の
アルデヒドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周期表第VIII族遷移金属、特にコバルト
やロジウム及び有機リン配位子を含むヒドロホルミル化
反応はオレフィン性不飽和化合物と水素、一酸化炭素ガ
スよりアルデヒドを製造する方法として広く知られ、工
業化されている(Cornis、Herrmann著 Applied Homogen
eous Catalysis with OrganometallicCompounds,Vol.1V
CH,1966) 例えばロジウム−第三級ホスフィン触媒が特公昭45−
10730号公報、特公昭53−17543号公報等に
記載されている。又近年、活性や選択性を向上させる目
的でロジウム−有機ホスファイト触媒の検討が成されて
いる。例えば、特開昭57−123134号にはフェニ
ル環の特定部位に置換基を有するトリアリールホスファ
イト配位子を用いる方法、特開昭59−51228号及
び特開昭59−51230号には、橋頭部にリン原子を
含有する環状ホスファイト配位子を用いる方法、特開昭
61−501268号には、環状構造を持つジオルガノ
ホスファイト配位子を用いる方法が開示されている。ま
た、特開昭62−116587号には2つのホスファイ
ト基のうち1つが環状構造を有する二座ホスファイト化
合物が、特開昭62−116535号には2つのホスフ
ァイト基が共に環状構造を有する二座ホスファイト化合
物が開示されている。特開平4−290551号には、
環状構造を有するビスホスファイト配位子を用いる方法
が開示されている。又本出願人も、特開平5−3392
07により、特定部位に置換基を有するビスホスファイ
ト配位子及びポリホスファイト配位子を用いる方法を提
案した。
【0003】有機リン配位子と第VIII族遷移金属からな
るヒドロホルミル化反応触媒を用いたプロセスを安定的
に運転し、且つ、生産性の向上を図るには、触媒の被毒
物質の濃度管理を行うことが重要である。即ち、触媒の
被毒は生成物の収率が低下するのみならず、触媒成分で
ある極めて高価な第VIII族遷移金属をロスすることにな
る。他方、ヒドロホルミル化反応系には、原料オレフィ
ン、溶媒、その他に随伴して多くの不純物が混入し触媒
毒となる可能性があるが、原料等を精製してこれら不純
物を全て除外することは過大な設備を要し、プロセスの
コスト増大につながる。これまでに知られているヒドロ
ホルミル化反応の触媒毒としては、特開平10−273
465号に報告されている、ハロゲン化アリルがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、係る事情に
鑑み成されたものであって、原料や反応試薬に随伴して
ヒドロホルミル化反応系内に混入する種々の不純物につ
いて、触媒被毒となる不純物を特定するとともに、触媒
被毒物質を制御して、効率の良い運転を可能にするアル
デヒドの製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明者等は鋭意検討を重ね、窒素酸化物が触媒被
毒となることを見出し、更にその管理値を求め、本発明
に到達した。即ち本発明の要旨は、周期表第VIII族遷移
金属及び有機リン化合物を含むヒドロホルミル化触媒の
存在下、オレフィン性不飽和化合物を水素及び一酸化炭
素と反応させてアルデヒドを製造する方法において、反
応系内に不純物として混入する窒素酸化物の量を、触媒
含有液中に含まれる第VIII族遷移金属に対するモル比で
5以下となる量に制御することを特徴とするアルデヒド
の製造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される第VIII族遷移金属を含む触媒は、公
知の第VIII族遷移金属−有機リン配位子錯体触媒の調製
法に従って調製することができる。第VIII族遷移金属触
媒は予め調製して反応に用いても良く、又は反応系内で
第VIII族遷移金属化合物と有機リン化合物とから生成さ
せても良い。第VIII族遷移金属化合物としては、鉄化合
物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ルテニウム化合
物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、オスミウム化
合物、白金化合物等が例示される。中でも、コバルト化
合物、ロジウム化合物が好ましく、特にロジウム化合物
が好ましい。ロジウム化合物としては、例えば塩化ロジ
ウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、ギ酸ロジウム、塩
化ロジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸カリウムのよ
うなロジウムの無機又は有機酸塩、アルミナ、シリカ、
活性炭等の担体に担持されたロジウム金属、ロジウムジ
カルボニルアセチルアセトナート、ロジウム(1、5−
シクロオクタジエン)アセチルアセトナートのようなロ
ジウムのキレート性化合物、テトラロジウムドデカカル
ボニル、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、μ,
μ’−ジクロロロジウムテトラカルボニル、[Rh(O
COCH 3 )(COD)]2 (CODは1,5−シクロ
オクタジエンを表す。)、[Rh(μ−S−t−C4
9 )(CO2 )]2 のようなロジウムのカルボニル錯化
合物が挙げられる。
【0007】配位子として用いられる有機リン化合物と
してはヒドロホルミル化反応において公知の全ての有機
リン化合物を用いることができる。中でも、有機ホスフ
ィン化合物や有機ホスファイト化合物を挙げることがで
きる。有機ホスフィン化合物としては、特に限定される
ものではなく、トリアリールホスフィン、トリアルキル
ホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、アリール
ジアルキルホスフィン等が挙げられる。これらアルキル
基やアリール基はハロゲン原子やアルコキシ基、アミノ
基、アルカリ金属スルホン酸基等で置換されていても良
い。具体的には、例えばトリブチルホスフィン、トリオ
クチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリ
ルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、モノブ
チルジフェニルホスフィン、ジプロピルフェニルホスフ
ィン等が挙げられる。これらのホスフィンの中で、特に
トリフェニルホスフィンが好ましい。
【0008】有機ホスファイト化合物としては、トリア
リールホスファイト、トリアルキルホスファイト、アル
キルアリールホスファイトなど、任意の有機ホスファイ
トを用いることができる。また、これらのホスファイト
構造を同一分子内に複数個有する、ビスホスファイト、
トリスホスファイトなどのポリホスファイトも用いるこ
とができる。これらの有機ホスファイトのうち、モノホ
スファイトは、リン原子を含む環状構造を有していない
ものと、このような構造を有するものとに大別すること
ができる。前者は下記の一般式(1)で表される。
【0009】
【化1】 P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) ・・・(1)
【0010】式中、R1 〜R3 は、それぞれ独立して、
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキ
ル基など炭素数1〜30の炭化水素基又は炭素数5〜3
0のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらにはヒドロ
ホルミル化反応を阻害しない置換基が結合していてもよ
い。このような置換基としてはハロゲン原子や、炭素原
子1〜20個を有するアルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル
基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基などが挙
げられる。
【0011】一般式(1)で表される有機ホスファイト
のうちではR1 〜R3 のうちの少くとも1つが、下記一
般式(2)で表される置換アリール基であるのが好まし
い。
【0012】
【化2】
【0013】式中、R4 はヒドロホルミル化反応を阻害
しない置換基を有していてもよいアリール基を表すか、
又は−CR9 1011を表す。ここでR9 〜R11は、そ
れぞれ独立して、水素原子又はフッ素化されていてもよ
い炭化水素基を示す。R4 としては、イソプロピル基や
t−ブチル基のような、1−位に分岐を有していて、立
体障害の大きいものが好ましい。R5 〜R8 は、それぞ
れ独立して、水素原子又はヒドロホルミル化反応を阻害
しない有機基を表す。なおR5 〜R8 のうちの隣接する
ものが互いに結合して縮合芳香環又は縮合複素環を形成
していてもよい。
【0014】このような有機ホスファイトのいくつかを
例示すると、ジフェニル(2,4−ジタ−シャリ−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、ジフェニル(2−イソプロ
ピルフェニル)ホスファイト、ビス(2−タ−シャリ−
ブチル−4−メチルフェニル)フェニルホスファイト、
ジフェニル(3,6−ジタ−シャリ−ブチル−2−ナフ
チル)ホスファイト、ビス(2−ナフチル)(3,6−
ジタ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、
ビス(3,6,8−トリタ−シャリ−ブチル−2−ナフ
チル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ
タ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)(2−ナフチル)
ホスファイト等が挙げられる。
【0015】一般式(1)で表される有機ホスファイト
として特に好ましいのは、R1 〜R 3 のすべてが一般式
(2)で表される置換アリール基であるものである。こ
のような有機ホスファイトのいくつかを例示すると、ト
リス(2,4−ジタ−シャリ−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2−タ−シャリ−ブチル−4−メチル
フェニル)ホスファイト、トリス(2−タ−シャリ−ブ
チル−4−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス
(o−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(o−
メチルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジタ−
シャリ−ブチル−2−ナフチル)(2,4−ジタ−シャ
リ−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジ
タ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)(2−タ−シャリ
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3,6−ジ
タ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、ト
リス(3,6−ジタ−シャリ−アミル−2−ナフチル)
ホスファイト等が挙げられる。モノホスファイトのうち
リン原子を含む環状構造を有するものは、下記の一般式
(3)で表される。
【0016】
【化3】
【0017】式中、Zは炭素鎖中にヘテロ原子を含んで
いてもよく、かつヒドロホルミル化反応を阻害しない置
換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、Yは
ヒドロホルミル化反応を阻害しない置換基を有していて
もよい炭化水素基又はヘテロ芳香族炭化水素基を表す。
一般式(3)において、Yは前述の一般式(2)で表さ
れる置換アリール基であるのが好ましい。またZは、炭
素鎖中に酸素、窒素又は硫黄原子のようなヘテロ原子を
含んでいてもよいアルキレン基、アリーレン基又は両者
の混成基であるのが好ましい。このような2価の炭化水
素基としては、アルキレン基、アルキレンオキシアルキ
レン基、窒素原子にアルキル基が結合していてもよいア
ルキレンアミノアルキレン基、アルキレンチオアルキレ
ン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ビアリーレ
ン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン
アリーレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリー
レンオキシアルキレン基、アリーレンチオアリーレン
基、アリーレンチオアルキレン基、又は窒素原子にアル
キル基が結合していてもよいアリーレンアミノアリーレ
ン基もしくはアリーレンアミノアルキレン基などが挙げ
られる。一般式(3)で表される有機ホスファイトの好
ましい1例は、下記の一般式(4)で表されるものであ
る。
【0018】
【化4】
【0019】式中、R12及びR13は、それぞれ独立し
て、水素原子又はヒドロホルミル化反応を阻害しない置
換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基
もしくはアリール基を表し、nは0ないし4の整数を表
わす。Yは一般式(3)におけると同義であり、好まし
くは前述の一般式(2)で表される置換アリール基を表
す。一般式(4)において、R12及びR13の代表的なも
のとしては、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル
基、ベンジル基、ナフチル基、ヒドロキシメチル基、ヒ
ドロキシエチル基、トリフルオロメチル基などが挙げら
れる。一般式(3)で表される有機ホスファイトの好ま
しい他の1例は、下記の一般式(5)で表されるもので
ある。
【0020】
【化5】
【0021】式中、R14はアルキル基、シクロアルキル
基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、又はヒ
ドロホルミル化反応を阻害しない置換基を有していても
よいアリール基であり、その結合基はo−、m−、p−
位のいずれであってもよい。またR14は、その結合して
いるベンゼン環と縮合して、ナフタレン環などの縮合芳
香環を形成していてもよい。Yは一般式(3)における
と同義であり、好ましくは前述の一般式(2)で表され
る置換アリール基を表す。一般式(3)で表される有機
ホスファイトの好ましい他の1例は、下記の一般式
(6)で表されるものである。
【0022】
【化6】
【0023】式中、Arはヒドロホルミル化反応を阻害
しない置換基を有していてもよいアリール基であり、互
いに異なっていてもよい。Qは−CR1516−、−O
−、−S−、−NR17−、−SiR1819−、−CO−
などの2価の架橋基である。これらの架橋基において、
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数
1〜12のアルキル基、フェニル基、トリル基又はアニ
シル基を表し、R17〜R 19は、それぞれ独立して、水素
原子又はメチル基を表す。nは、それぞれ独立して、0
又は1を表す。Yは一般式(3)におけると同義であ
る。Yの好ましい例としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec
−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペン
チル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシ
ル基、t−ヘキシル基、シクロヘキシル基、イソオクチ
ル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、オクタデシル
基などの炭素数1〜20のアルキル基やシクロアルキル
基、及びヒドロホルミル化反応を阻害しない置換基を有
していてもよいフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフ
チル基などのアリール基が挙げられる。アリール基の置
換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、シクロア
ルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、
アルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基などやハロ
ゲン原子が挙げられる。一般式(6)の有機ホスファイ
トのうちでも特に好ましいのは、下記の一般式(7)又
は(8)で表されるものである。
【0024】
【化7】
【0025】これらの式において、Q、Y及びnは前記
(6)式と同一であり、R20〜R25は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、
アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオ
キシ基もしくはアルコキシカルボニル基、又はハロゲン
原子を表す。上記したリン原子を含む環状構造を有する
有機ホスファイトのいくつかを下記の表−1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】なお、表−1中、Meはメチル基、Prは
プロピル基、Phはフェニル基を示す。本発明で配位子
として用いる、分子内に2個以上のホスファイト構造を
有するポリホスファイトは、下記の一般式(9)で表さ
れる。
【0029】
【化8】
【0030】式中、Zは(3)式におけると同義であ
り、R26及びR27は、それぞれ独立して、アルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭
素数1〜30の炭化水素基又は炭素数5〜30のヘテロ
芳香族炭化水素基を表し、これらにはヒドロホルミル化
反応を阻害しない置換基が結合していてもよい。このよ
うな置換基としては、ハロゲン原子や炭素原子1〜20
個を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシ
ルオキシ基、アルコキシカルボニル基などが挙げられ
る。
【0031】R26及びR27の具体例をいくつか例示する
と、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−
ペンチル基、t−ヘキシル基等の炭素数1〜20個の直
鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロヘ
キシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基のような
炭素数3〜20個のシクロアルキル基;フェニル基、α
−ナフチル基、β−ナフチル基、メトキシフェニル基、
ジメトキシフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェ
ニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ペン
タフルオロフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェ
ニル基、ジメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェ
ニル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロ
ロナフチル基、ニトロナフチル基、テトラヒドロナフチ
ル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジ
ル基等のアラルキル基;ピリジル基、メチルピリジル
基、ニトロピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ベ
ンゾフリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンズイ
ミダゾリル基、インドリル基等のヘテロ芳香族基等が挙
げられる。
【0032】Wは炭素鎖中に酸素、窒素、硫黄原子のよ
うなヘテロ原子を含んでいてもよく、かつヒドロホルミ
ル化反応を阻害しない置換基を有していてもよい(m1
+m 2 )価の炭化水素基を表す。m1 及びm2 は、それ
ぞれ0〜6の数を表し、m1+m2 は2〜6の整数を表
す。なお、m1 又はm2 が2以上の数を表す場合には、
複数のZ、R26及びR27はそれぞれ異っていてもよい。
【0033】好ましくはZは前記した(4)〜(8)式
で表されるものであり、R26及びR 27はヒドロホルミル
化反応を阻害しない置換基で置換されていてもよいアリ
ール基である。このようなアリール基のいくつかを例示
すると、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチ
ルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチ
ルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−
ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メ
トキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4−
ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル
基、2,6−ジメトキシフェニル基、α−ナフチル基、
3−メチル−α−ナフチル基、3,6−ジメチル−α−
ナフチル基、β−ナフチル基、1−メチル−β−ナフチ
ル基、3−メチル−β−ナフチル基等が挙げられる。
【0034】Wは好ましくはアルキレン基、又は一般式
(6)における−Ar−(CH2 n −(Q)n −(C
2 n −Ar−で表される2価の基である。このよう
な2価基の例としては1,2−エチレン基、1,3−プ
ロピレン基、1,3−ジメチル−1,3−プロピレン
基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン、1,6
−ヘキシレン基、1,8−オクチレン基、1,2−フェ
ニレン基、1,3−フェニレン基、2,3−ナフチレン
基、1,8−ナフチレン基、1,1′−ビフェニル−
2,2′−ジイル基、1,1′−ビナフチル−7,7′
−ジイル基、1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル
基、2,2′−ビナフチル−1,1′−ジイル基、2,
2′−ビナフチル−3,3′−ジイル基等が挙げられ
る。
【0035】一般式(9)で表されるポリオルガノホス
ファイトのより好ましい例は、Zが一般式(6)におけ
る−Ar−(CH2 n −Qn −(CH2 n −Ar−
で表される2価の基であり、m1 が少くとも1であり、
かつWが下記の一般式(10)で表されるものである。
【0036】
【化9】
【0037】式中、Q及びnは一般式(6)におけると
同義であり、R32及びR33は、それぞれ独立して、炭素
数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アルコ
キシ基、シリル基若しくはシロキシ基、又はハロゲン原
子若しくは水素原子を表す。そのいくつかを例示する
と、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プ
ロポキシ基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、R28〜R 31は、
それぞれ独立して、炭素数1〜20個のアルキル基、シ
クロアルキル基、アルコキシ基、シリル基若しくはシロ
キシ基、又はハロゲン原子若しくは水素原子であり、そ
れらの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ネ
オペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、ノニル基、
デシル基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等
が挙げられる。また、R30とR32又はR31とR33とが互
いに結合して、1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイ
ル基などのような、縮合環を形成していてもよい。
【0038】一般式(10)において、R28及びR29
好ましくは炭素数3〜20個の1−位で分岐したアルキ
ル基である。またR30及びR31は、炭素数1〜20個の
アルキル基若しくはアルコキシ基であるか、又はR30
32、R31とR33とが結合してアルキル基若しくはアル
コキシ基を置換基として有していてもよいナフタレン環
の一部を形成しているのが好ましい。一般式(10)で
表されるWのいくつかを例示すると、3,3′−ジ−t
−ブチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル
基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ブチル−1,
1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ
−t−ブチル−6,6′−ジ−t−ブトキシ−1,1′
−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t
−ペンチル−1,1−ビナフチル−2,2′−ジイル
基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ペンチル−1,
1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ
−t−ブチル−5,5′−ジメチル−1,1′−ビフェ
ニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テト
ラ−t−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジ
イル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−
1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′
−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−1,1′−
ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−
ブチル−5,5′,6,6′−テトラメチル−1,1′
−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,
5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメチル−1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,
5,5′−テトラ−t−ペンチル−6,6′−ジメチル
−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,
3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−6,
6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジ
イル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−
6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェニル−2,2′
−ジイル基等が挙げられる。
【0039】一般式(10)で表されるWのうちで最も
好ましいものの一つは、R32及びR 33が、それぞれ独立
して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、
イソプロポキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子等の、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキ
シ基又はハロゲン原子であるものである。このようなW
の例としては、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,
6,6′−テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,
2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブ
チル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−
2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t
−ブチル−6,6′−ジエチル−1,1′−ビフェニル
−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−
t−ブチル−6,6′−ジメトキシ−1,1′−ビフェ
ニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル
−5,5′−ジメトキシ−6,6′−ジクロロ−1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,
5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジフルオロ
−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基等が挙げ
られる。一般式(9)で表されるポリホスファイトのい
くつかを表−2に例示する。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】
【表10】
【0048】
【表11】
【0049】
【表12】
【0050】
【表13】
【0051】
【表14】
【0052】
【表15】
【0053】
【表16】
【0054】
【表17】
【0055】
【表18】
【0056】
【表19】
【0057】
【表20】
【0058】
【表21】
【0059】
【表22】
【0060】
【表23】
【0061】表−2中、Meはメチル基、Etはエチル
基を示す。これらの有機リン化合物は単独で使用しても
良いし、それぞれの混合物として用いても良い。例えば
ホスフィンとホスファイト、モノホスファイトとビスホ
スファイト又はポリホスファイト化合物が共存する系で
あっても構わない。又有機リン化合物の使用量に関して
は、特に限定されるものではないが、触媒の活性及び選
択性に対して望ましい結果が得られる様に設定された量
が望ましい。一般に、第VIII族遷移金属1モル当たり約
0.1〜1000モル、好ましくは1〜500モルから
選ばれる量である。特に有機ビスホスファイトを用いる
場合1〜50モルが好ましい。ヒドロホルミル化反応に
おける錯体触媒の濃度は、反応溶媒1リットル中に第VI
II族遷移金属として、通常、0.05mg〜1g、特に
10mg〜500mgであるのが好ましい。
【0062】反応系中に混入し触媒毒となる窒素酸化物
は、窒素と酸素からなる一連の無機化合物、及びこれら
が有機化合物や錯体化合物と結びついた化合物である。
この様なものには、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二
窒素、三酸化二窒素等が挙げられる。二酸化窒素にはN
2 及びN2 4 が含まれる。これらの中でも特に一酸
化窒素は濃度管理が重要である。また、本発明ではこれ
ら窒素酸化物がヒドロホルミル化プロセスに含まれる各
種成分、例えば生成したアルデヒドやその縮合物、触
媒、配位子、触媒や配位子の分解物、水、溶媒、水素ガ
ス、一酸化炭素、オレフィン化合物等、と化学的もしく
は物理的に結びついたものも窒素酸化物の一群として含
まれる。窒素酸化物が反応系に混入するルートとして
は、ヒドロホルミル化プロセスの外部より導入されるオ
レフィン化合物、水素ガス、一酸化炭素ガス等の反応原
料、もしくは反応に用いられる溶媒、プロセスを制御す
るために用いられる窒素やアルゴン等の不活性ガス等の
反応助剤等に随伴することが考えられる。本発明は、窒
素酸化物の量を、触媒液中の第VIII族遷移金属に対する
モル比で5以下に制御することを必要とする。これ以上
の窒素酸化物を含むとオキソ反応が停止する可能性があ
る、このモル比は、好ましくは3以下、特に好ましくは
1以下である。下限値の制限は特にないが、不純物の除
去コストと効果を考慮すると1×10-4以上が好まし
く、更には1×10-3以上が好ましい。このときの窒素
酸化物は、触媒液中に存在するもの、触媒液に接する気
相部に含まれているもの、更には双方に含まれているも
のを意味する。窒素酸化物を所定濃度以下に制御するに
は、必要に応じ、オレフィン性化合物、水素ガス、一酸
化炭素等の原料を窒素酸化物の除去設備で処理、精製す
る。この様な設備は公知の全ての設備を使用することが
できるが、例えば活性炭、イオン交換樹脂、固体触媒等
の固体に吸着乃至吸着分解する方法や、水等の液相に吸
収乃至は吸収分解する方法を利用して除去することがで
きる。更に必要あれば、溶媒や触媒に接触する窒素やア
ルゴン等の不活性ガス等も同様に窒素酸化物の除去処理
を行う。
【0063】ヒドロホルミル化反応は原料のオレフィン
性化合物そのものを主要な溶媒として使用することもで
きるが、通常は反応に不活性な溶媒を用いるのが好まし
い。このような溶媒としては、トルエン、キシレン、ド
デシルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、ジエチ
ルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、
ジ−n−オクチルフタレート等のエステル類、n−ブチ
ルアルデヒド、i−ブチルアルデヒド、バレルアルデヒ
ド、ノニルアルデヒド等のアルデヒド類及びアルデヒド
縮合体等のヒドロホルミル化反応時に副生する高沸点成
分混合物等が挙げられる。なかでも、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素もしくは反応で生成するのと同じ
アルデヒド及び副生する高沸点成分混合物、又はこれら
を併用するのが好ましい。
【0064】原料のオレフィン性化合物としては、分子
内にオレフィン性二重結合を少くとも1個有する有機化
合物であれば、任意のものを用いることができる。オレ
フィン性二重結合は、分子鎖の末端にあっても内部にあ
ってもよい。また分子を構成する炭素鎖は直鎖状、分岐
鎖状又は環状のいずれであってもよい。更に、分子中に
は実質上ヒドロホルミル化反応に不活性なカルボニル
基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子などを
含有していてもよい。オレフィン性不飽和化合物の代表
的なものは、α−オレフィン、内部オレフィン、アルケ
ン酸アルキル、アルカン酸アルケニル、アルケニルアル
キルエーテル、アルケノール等である。具体的には、エ
チレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、ペンテン、
ヘキセン、ヘキサジエン、オクテン、オクタジエン、ノ
ネン、デセン、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセ
ン、ドコセン、スチレン、α−メチルスチレン、シクロ
ヘキセン、および、プロピレン〜ブテン混合物、1−ブ
テン〜2−ブテン〜イソブチレン混合物、1−ブテン〜
2−ブテン〜イソブチレン〜ブタジエン混合物等の低級
オレフィン混合物、プロピレン、n−ブテン、イソブチ
レン等の低級オレフィンの二量体〜四量体のようなオレ
フィンオリゴマー異性体混合物、3−フェニル−1−プ
ロペン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエ
ン、3−シクロヘキシル−1−ブテン等のオレフィン系
炭化水素類、アクリロニトリル、アリルアルコール、1
−ヒドロキシ−2,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ
−1,7−オクタジエン、オレイルアルコール、1−メ
トキシ−2,7−オクタジエン、アクリル酸メチル、メ
タアクリル酸メチル、オレイン酸メチル、オクタ−1−
エン−4−オール、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸3−
ブテニル、プロピオン酸アリル、ビニルエチルエーテ
ル、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、n
−プロピル−7−オクテノエート、3−ブテンニトリ
ル、5−ヘキセンアミド等の極性基置換オレフィン類等
が挙げられる。好ましくは、分子内にオレフィン性二重
結合を1つだけ有するモノオレフィン系不飽和化合物で
ある。特に好ましいのは炭素数2から20のオレフィン
系炭化水素であり、最も好ましくはプロピレン、又は、
1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、及びその混合
物、1−オクテン、混合オクテンである。
【0065】ヒドロホルミル化反応の反応温度は通常1
5〜200℃、好ましくは30〜170℃、特に好まし
くは50〜150℃の範囲である。反応圧力は通常、常
圧〜200kg/cm2 G(約2〜201×10-5
a)であるが、1〜100kg/cm2 G、特に3〜8
0kg/cm2 Gが好ましい。反応帯域に供給するオキ
ソガスの水素と一酸化炭素とのモル比(H2 /CO)は
通常10/1〜1/10、好ましくは1/2〜6/1の
範囲である。ヒドロホルミル化反応の方式としては、何
れの反応方式であっても構わない。例えば、攪拌型反応
槽又は気泡塔型反応槽中で、連続方式又は回分方式のい
ずれでも行うことが出来る。本発明におけるアルデヒド
を製造する方法は、必ずしも反応を回分方式で行うこと
を妨げない。即ち、本発明の目的から容易に明らかでは
あるが、本発明は高価な第VIII族遷移金属を含有するヒ
ドロホルミル化触媒を継続的に使用して、安定で高い触
媒活性、選択性を維持しつつアルデヒドを製造する方法
を提供することにある。従って、例えば反応を回分で実
施し、反応液を蓄積した後に纏めて連続的に生成物分離
を行い、分離後の触媒液を再使用する方法も本発明に含
まれる。
【0066】工業的に有利にアルデヒドを製造する際に
は、高価な第VIII族遷移金属、及び有機リン配位子を再
使用する必要がある。再使用する方法としては、触媒を
反応系中に存在させ、反応系からガスストリッピング等
により生成物を連続的に分離しながら行う方法、又反応
系から生成物と共に触媒を連続的に抜き出し、生成物分
離工程で生成物と触媒液を分離し、触媒液は反応系に循
環させることにより行う方法等が挙げられる。通常反応
系から液状の生成物を含有するヒドロホルミル反応液を
抜き出し、先ず、一酸化炭素及び水素、場合により未反
応オレフィン等のガス状成分の全部又は一部を分離した
後に、生成物分離工程で生成物と触媒液は分離される。
この生成物分離工程とは、第VIII族遷移金属ー有機リン
配位子錯体触媒及びアルデヒド生成物を含む反応生成物
溶液を、未反応オレフィン、生成アルデヒド、溶媒及び
高沸点副生物から選ばれる少なくと1つの成分と、主と
して第VIII族遷移金属−有機リン配位子錯体触媒を含有
する成分に分離する工程を意味する。この生成物分離工
程における操作としては、当業者にとって知られている
あらゆる分離操作を包含し、具体的には、蒸留、抽出、
晶析、吸収、吸着等が挙げられる。これらの分離操作は
各々独立の工程で行っても良く、2つ以上の成分の分離
を同時に行っても良い。又これらの組合せによっても構
わない。即ち、蒸留を行った後に抽出を行う操作をも包
含する。これら生成物分離工程における温度は特に限定
されるものではないが、通常は、常温から150℃の範
囲から選ばれる。又、圧力に関しても特に限定されるも
のではないが、通常は1mmHg(約133.3Pa)
の減圧から50Kg/cm2 Gまでの範囲が選ばれる。
蒸留操作としては、単蒸留、減圧蒸留、薄膜蒸留、水蒸
気蒸留等の蒸留操作の他ガスストリッピング等の操作が
挙げられる。蒸留により分離を行う際には、生成物アル
デヒドの沸点に大きく依存するが、一般に係る蒸留は1
50℃を下回る温度にて実施することが好ましい。高沸
点アルデヒド生成物の蒸留に際しては、減圧下に蒸留す
ることが推奨され、通常、755mmHg〜1mmH
g、好ましくは750mmHg〜5mmHgの減圧下に
て行うことが出来る。分離された触媒液は連続的又は間
欠的にヒドロホルミル化反応工程に循環してオレフィン
性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応に繰り返し使用
することが出来る。この際に、分離された触媒液はさら
に抽出、洗浄、晶析、吸収などの操作により配位子分解
生成物等を除去した後、反応工程にリサイクルしても良
い。
【0067】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。本実施例中、オキソガスとは、水素ガスと一酸
化炭素ガスの体積比1:1の混合ガスである。また、実
施例におけるプロピレンの半減期とは用いたプロピレン
の半分が反応に消費されるまでに要した時間を言う。
【0068】実施例1 室温下でトリフェニルホスフィン(TPP,22.7重
量%)とロジウム錯体RhH(CO)(TPP)3 (ロ
ジウム濃度で249mg/L)のトルエン溶液48.8
2gを調製した。この混合液を内容積200mlの上下
攪拌式オートクレーブに移し、窒素ガスの加圧・脱気に
より窒素置換を行った。ここにプロピレン10.31g
(244.7mmol)を仕込んだ。オートクレーブの
内温を110℃に昇温した後、一酸化窒素ガス0.26
mmol{一酸化窒素/Rh(モル比)=1.5}をオ
キソガスと共に反応器に圧入し、更に、全圧49kg/
cm2 Gとした。この温度、圧力を一定に保ちオキソ反
応を行った。反応中は内容積0.2Lのステンレス製蓄
圧器にオキソガスを蓄え、ここからオキソガスを補給し
て圧力を保った。反応の進行は蓄圧器の圧力変化をモニ
ターすることで追跡した。3.1時間後にガスの吸収が
認められなくなったので、オートクレーブを室温まで冷
却し、オートクレーブ内のガス成分および液成分をガス
クロマトグラフィーに分析した。その結果、プロピレン
の転換率は98.2%、生成したブチルアルデヒドのノ
ルマル体に対するイソ体の比(以下n/i比と言う)は
2.64であった。プロピレンの半減期は25.5分で
あった。
【0069】実施例2 一酸化窒素/Rh(モル比)が3となる量の一酸化窒素
ガスを用い、反応時間を4.2時間とした以外は実施例
1と同様にプロピレンのオキソ反応を行った。プロピレ
ンの転化率は98.0%、n/i比=2.65、プロピ
レンの半減期は40分であった。
【0070】実施例3 一酸化窒素ガス1.0mmol{一酸化窒素/Rh(モ
ル比)=5.9}を用いた以外は実施例1と同様にプロ
ピレンのオキソ反応を行った。オキソ反応は全く進行し
なかった。
【0071】参考例 室温下でトリフェニルホスフィン(23.2重量%)、
ロジウム錯体RhH(CO)(TPP)3 (ロジウム濃
度248mg/L)のトルエン溶液を調製した。本液4
5gを内容積200mlの上下攪拌式オートクレーブに
移し、窒素ガスの加圧・脱気により窒素置換を行った。
ここにプロピレン10.3gを仕込んだ。オートクレー
ブの内温を110℃に昇温した後、オキソガスを反応器
に圧入し、全圧50kg/cm2 Gとした。この温度、
圧力を一定に保ちオキソ反応を行った。反応中は内容積
0.2Lのステンレス製蓄圧器にオキソガスを蓄え、こ
こからオキソガスを補給して圧力を保った。反応の進行
は蓄圧器の圧力変化をモニターすることで追跡した。2
時間後にガスの吸収が認められなくなったので、オート
クレーブを室温まで冷却し、オートクレーブ内の成分お
よび液成分をガスクロマトグラフィーにて分析した。そ
の結果、プロピレンの転換率は98.8%、n/i比は
2.62であった。プロピレンの半減期は11.8分で
あった。
【0072】
【発明の効果】実施例から明らかな様に、触媒液中のロ
ジウムに対し5モル倍を超える窒素酸化物が存在すると
反応が進行しないが、本発明方法により、窒素酸化物の
量を制御することにより効率よくアルデヒドを製造する
ことができる。
フロントページの続き (72)発明者 中西 章夫 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC29 AC45 BA19 BA20 BA23 BA24 BA25 BA26 BA32 BA34 BA37 BA48 BA55 BC34 BC36 BC40 BE20 BE40 4H039 CA62 CL35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期表第VIII族遷移金属及び有機リン化
    合物を含むヒドロホルミル化触媒の存在下、オレフィン
    性不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてアル
    デヒドを製造する方法において、反応系内に不純物とし
    て混入する窒素酸化物の量を、触媒含有液中に含まれる
    第VIII族遷移金属に対するモル比で5以下となる量に制
    御することを特徴とするアルデヒドの製造方法。
  2. 【請求項2】 窒素酸化物の量を、触媒含有液中に含ま
    れる第VIII族遷移金属に対するモル比で1×10-4〜3
    となる量に制御することを特徴とする請求項1記載のア
    ルデヒドの製造方法。
  3. 【請求項3】 窒素酸化物が一酸化窒素であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のアルデヒドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 オレフィン性不飽和化合物が、炭素数2
    〜20のモノオレフィン系炭化水素であることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れかに記載のアルデヒドの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 オレフィン性不飽和化合物が、プロピレ
    ン、1−ブテン、2ーブテン、イソブテン、これらの混
    合物、1−オクテン及び混合オクテンから選ばれること
    を特徴とする請求項4に記載のアルデヒドの製造方法。
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