JP2000159719A - アルデヒドの製造方法 - Google Patents

アルデヒドの製造方法

Info

Publication number
JP2000159719A
JP2000159719A JP10342700A JP34270098A JP2000159719A JP 2000159719 A JP2000159719 A JP 2000159719A JP 10342700 A JP10342700 A JP 10342700A JP 34270098 A JP34270098 A JP 34270098A JP 2000159719 A JP2000159719 A JP 2000159719A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
nickel
complex catalyst
general formula
rhodium complex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10342700A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Takai
正樹 高井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP10342700A priority Critical patent/JP2000159719A/ja
Publication of JP2000159719A publication Critical patent/JP2000159719A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 少くとも有機ホスファイトを配位子とするロ
ジウム錯体触媒を用いてオレフィン性化合物に水素と一
酸化炭素とを反応させてアルデヒドを製造するに際し、
ロジウム錯体触媒の失活を阻止する。 【解決手段】 触媒が溶解している溶液中に1〜104
ppmのニッケルを溶存させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ホスファイト
を配位子として含むロジウム錯体触媒を用いて、オレフ
ィン性化合物に水素及び一酸化炭素を反応させてアルデ
ヒドを製造する方法に関するものである。特に本発明
は、ロジウム錯体触媒を循環使用するに際し、有機ホス
ファイトが分解するのを低減させ、かつ触媒の活性低下
を阻止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロジウムはヒドロホルミル化反応の触媒
として広く用いられており、三価のリン化合物のような
配位子で修飾することによって、ヒドロホルミル化反応
の活性や選択性を向上させることができることは当業者
に周知である。そのため、配位子として用いる3価のリ
ン化合物について種々検討されている。中でも、高い反
応性と選択性を示す有機ホスファイトを配位子とするヒ
ドロホルミル化触媒について、近年多くの検討がなされ
ている。
【0003】例えば、特開昭57−123134には、
フェニル環の特定部位に置換基を有するトリアリールホ
スファイトを配位子として用いる方法が開示されてい
る。特開昭59−51228及び特開昭59−5123
0には、橋頭部にリン原子を含有する環式ホスファイト
を配位子として用いる方法が開示されている。特表昭6
1−501268には、環状構造を持つジオルガノホス
ファイトを配位子として用いる方法が開示されている。
特開昭62−116587号には、2つのホスファイト
基のうちの1つが環状構造を有する二座ホスファイト
が、また、特開昭62−116535号には、2つのホ
スファイト基が共に環状構造を有する二座ホスファトが
開示されている。特開平4−290551には、環状構
造を有するビスホスファイトを配位子として用いる方法
が開示されている。また、本出願人による特開平5−3
39207には、特定部位に置換基を有するビスホスフ
ァイト又はポリホスファイトを配位子として用いる方法
が開示されている。
【0004】しかし、工業的に有機ホスファイトを配位
子として用いるには、その安定性を改善することが望ま
れている。すなわち、特開昭59−51229に開示さ
れているように、トリフェニルホスファイト等の開放型
の有機ホスファイトを配位子として用いると、ヒドロホ
ルミル化反応系中で有機ホスファイトが減損し、それに
ともない触媒活性が低下することが知られており、有機
ホスファイトの連続的な補給が必要である。
【0005】また、特表昭61−501268には、ト
リフェニルホスファイトはロジウムの非存在下において
も室温下でアルデヒドと速やかに反応することが述べら
れている。有機ホスファイトとアルデヒドとの反応生成
物は、容易に加水分解して対応するヒドロキシアルキル
ホスホン酸になることが示されている。そして、このヒ
ドロキシアルキルホスホン酸は有機ホスファイトの分解
を促進すること、及び弱塩基性イオン交換樹脂によりこ
れらの酸性成分を除くと有機ホスファイトの分解を抑制
することが可能であることが開示されている。また、特
開平6−199728には、有機ビスホスファイトの分
解により新たなホスファイト化合物が生成し、これが触
媒金属のロジウムと結合する結果、触媒の活性低下を引
き起こすことが記載されている。そして、弱酸性の化合
物を添加することにより触媒を被毒するホスファイト化
合物を選択的に分解し、活性を維持する方法が開示され
ている。さらに、特開平6−199729には、エポキ
シド化合物を添加することにより、触媒を被毒するホス
ファイト化合物のさらなる分解により生成するリン酸酸
性化合物を捕捉することができることが開示されてい
る。また、特開平9−59200には、ルテニウム、コ
バルト、パラジウム、白金のようなVIII族金属が有機ホ
スファイトの分解及びロジウムの不溶化を抑制する効果
を持つことが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように有機ホ
スファイトを配位子とするロジウム錯体触媒は、有機ホ
スファイトが分解して触媒活性が低下しやすいので、そ
の対策が種々検討されているが、いずれも未だ満足すべ
きものではない。ロジウムは極めて高価なので、ロジウ
ム錯体触媒を用いてヒドロホルミル化反応を行うに際し
ては、反応混合液からロジウム錯体触媒をその活性を極
力低下させずに回収して再使用することが極めて望まし
い。従って本発明は、ヒドロホルミル化反応に際して、
ロジウム錯体触媒を極力活性低下させずに循環使用する
方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少くと
もロジウムと有機ホスファイトから成るロジウム錯体触
媒を含む液相の存在下に、オレフィン性化合物と水素及
び一酸化炭素とを反応させてアルデヒドを生成させるア
ルデヒドの製造方法において、ロジウム錯体触媒が溶解
している溶液中に1〜104ppmのニッケルを溶存さ
せることにより、ロジウム錯体触媒を構成する有機ホス
ファイトの分解を著るしく低減させ、もってロジウム錯
体触媒の触媒活性が低下するのを阻止することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
と、本発明では少くとも有機ホスファイトを配位子とす
るロジウム錯体が溶解している溶液中でヒドロホルミル
化反応を行うに際し、ロジウム錯体触媒が溶解している
溶液中に1〜104ppmのニッケルを溶存させる。ニ
ッケルとしては、ロジウム錯体触媒が溶解している溶液
中に溶解するものであれば、無機塩、有機酸塩、錯化合
物など任意の形態のものを用いることができる。例えば
炭酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、塩化ニッケ
ル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等の無機塩や水酸化ニ
ッケル、酸化ニッケル等のニッケルの無機化合物;ギ酸
ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、2−
エチルヘキサン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、ナ
フテン酸ニッケル等の有機酸塩;ニッケルアセチルアセ
トナート、ジシクロペンタジエニルニッケル、ビス
(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、ジクロロビ
ス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ニッケルカル
ボニル等の錯化合物を用いることができる。また、ニッ
ケル金属やニッケルを含む合金、例えばオーステナイト
ステンレス鋼、モネル、インコネル、ハステロイなども
用いることができる。ニッケルを含む合金を用いる場合
には、ニッケルを8重量%以上含むものを用いるのが好
ましく、またニッケル金属や合金は溶解を促進するため
の粉末状で用いるのが好ましい。通常はロジウム錯体触
媒が溶解している溶液中に溶解させやすい点からして、
有機酸塩又は錯化合物の形態のニッケルを用いるのが好
ましい。ロジウム錯体触媒が溶解している溶液中でのニ
ッケルの存在形態及びニッケルが有機ホスファイトの分
解を抑制する機構は不明であるが、有機ホスファイトの
分解生成物であって有機ホスファイトの分解を促進する
作用を有する化合物を捕捉ないしは無害化するのではな
いかと推測される。
【0009】本発明方法によるヒドロホルミル化反応
は、ニッケルを用いて触媒の配位子である有機ホスファ
イトの分解を抑制する以外は、常法に従って行うことが
できる。反応に用いるロジウム錯体触媒は、公知のロジ
ウム−有機ホスファイト錯体触媒の調製法に従って調製
することができる。ロジウム錯体触媒は予じめ調製して
反応に用いてもよく、また反応系内でロジウム化合物と
有機ホスファイトとから生成させてもよい。触媒調製に
用いるロジウム化合物としては、例えば、塩化ロジウ
ム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、ギ酸ロジウム、塩化
ロジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸カリウムのよう
なロジウムの無機又は有機酸塩、アルミナ、シリカ、活
性炭などの担体に担持されたロジウム金属、ロジウムジ
カルボニルアセチルアセトナート、ロジウム(1,5−
シクロオクタジエン)アセチルアセトナートのようなロ
ジウムのキレート性化合物、テトラロジウムドデカカル
ボニル、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、μ,
μ′−ジクロロロジウムテトラカルボニル、[Rh(O
Ac)(COD)]2 (CODは1,5−シクロオクタ
ジエンを表わす。)、[Rh(μ−S−t−Bu)(C
O)2 2 のようなロジウムのカルボニル錯化合物が挙
げられる。
【0010】配位子の有機ホスファイトとしては、トリ
アリールホスファイト、トリアルキルホスファイト、ア
ルキルアリールホスファイトなど、任意の有機ホスファ
イトを用いることができる。また、これらのホスファト
構造を同一分子内に複数個有する、ビスホスファイト、
トリスホスファイトなどのポリホスファイトも用いるこ
とができる。これらの有機ホスファイトのうち、モノホ
スファイトは、リン原子を含む環状構造を有していない
ものと、このような構造を有するものとに大別すること
ができる。前者は下記の一般式(1)で表される。
【0011】
【化6】 P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) ・・・(1)
【0012】式中、R1 〜R3 は、それぞれ独立して、
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキ
ル基など炭素数1〜30の炭化水素基又は炭素数5〜3
0のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらにはヒドロ
ホルミル化反応を阻害しない置換基が結合していてもよ
い。このような置換基としてはハロゲン原子や、炭素原
子1〜20個を有するアルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル
基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基などが挙
げられる。
【0013】一般式(1)で表される有機ホスファイト
のうちではR1 〜R3 のうちの少くとも1つが、下記一
般式(2)で表される置換アリール基であるのが好まし
い。
【0014】
【化7】
【0015】式中、R4 はヒドロホルミル化反応を阻害
しない置換基を有していてもよいアリール基を表すか、
又は−CR9 1011を表す。ここでR9 〜R11は、そ
れぞれ独立して、水素原子又はフッ素化されていてもよ
い炭化水素基を示す。R4 としては、イソプロピル基や
t−ブチル基のような、1−位に分岐を有していて、立
体障害の大きいものが好ましい。R5 〜R8 は、それぞ
れ独立して、水素原子又はヒドロホルミル化反応を阻害
しない有機基を表す。なおR5 〜R8 のうちの隣接する
ものが互いに結合して縮合芳香環又は縮合複素環を形成
していてもよい。
【0016】このような有機ホスファイトのいくつかを
例示すると、ジフェニル(2,4−ジタ−シャリ−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、ジフェニル(2−イソプロ
ピルフェニル)ホスファイト、ビス(2−タ−シャリ−
ブチル−4−メチルフェニル)フェニルホスファイト、
ジフェニル(3,6−ジタ−シャリ−ブチル−2−ナフ
チル)ホスファイト、ビス(2−ナフチル)(3,6−
ジタ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、
ビス(3,6,8−トリタ−シャリ−ブチル−2−ナフ
チル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ
タ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)(2−ナフチル)
ホスファイト等が挙げられる。
【0017】一般式(1)で表される有機ホスファイト
として特に好ましいのは、R1 〜R 3 のすべてが一般式
(2)で表される置換アリール基であるものである。こ
のような有機ホスファイトのいくつかを例示すると、ト
リス(2,4−ジタ−シャリ−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2−タ−シャリ−ブチル−4−メチル
フェニル)ホスファイト、トリス(2−タ−シャリ−ブ
チル−4−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス
(o−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(o−
メチルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジタ−
シャリ−ブチル−2−ナフチル)(2,4−ジタ−シャ
リ−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジ
タ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)(2−タ−シャリ
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3,6−ジ
タ−シャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、ト
リス(3,6−ジタ−シャリ−アミル−2−ナフチル)
ホスファイト等が挙げられる。モノホスファイトのうち
リン原子を含む環状構造を有するものは、下記の一般式
(3)で表される。
【0018】
【化8】
【0019】式中、Zは炭素鎖中にヘテロ原子を含んで
いてもよく、かつヒドロホルミル化反応を阻害しない置
換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、Yは
ヒドロホルミル化反応を阻害しない置換基を有していて
もよい炭化水素基又はヘテロ芳香族炭化水素基を表す。
一般式(3)において、Yは前述の一般式(2)で表さ
れる置換アリール基であるのが好ましい。またZは、炭
素鎖中に酸素、窒素又は硫黄原子のようなヘテロ原子を
含んでいてもよいアルキレン基、アリーレン基又は両者
の混成基であるのが好ましい。このような2価の炭化水
素基としては、アルキレン基、アルキレンオキシアルキ
レン基、窒素原子にアルキル基が結合していてもよいア
ルキレンアミノアルキレン基、アルキレンチオアルキレ
ン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ビアリーレ
ン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン
アリーレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリー
レンオキシアルキレン基、アリーレンチオアリーレン
基、アリーレンチオアルキレン基、又は窒素原子にアル
キル基が結合していてもよいアリーレンアミノアリーレ
ン基もしくはアリーレンアミノアルキレン基などが挙げ
られる。一般式(3)で表される有機ホスファイトの好
ましい1例は、下記の一般式(4)で表されるものであ
る。
【0020】
【化9】
【0021】式中、R12及びR13は、それぞれ独立し
て、水素原子又はヒドロホルミル化反応を阻害しない置
換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基
もしくはアリール基を表し、nは0ないし4の整数を表
わす。Yは一般式(3)におけると同義であり、好まし
くは前述の一般式(2)で表される置換アリール基を表
す。一般式(4)において、R12及びR13の代表的なも
のとしては、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル
基、ベンジル基、ナフチル基、ヒドロキシメチル基、ヒ
ドロキシエチル基、トリフルオロメチル基などが挙げら
れる。一般式(3)で表される有機ホスファイトの好ま
しい他の1例は、下記の一般式(5)で表されるもので
ある。
【0022】
【化10】
【0023】式中、R14はアルキル基、シクロアルキル
基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、又はヒ
ドロホルミル化反応を阻害しない置換基を有していても
よいアリール基であり、その結合基はo−、m−、p−
位のいずれであってもよい。またR14は、その結合して
いるベンゼン環と縮合して、ナフタレン環などの縮合芳
香環を形成していてもよい。Yは一般式(3)における
と同義であり、好ましくは前述の一般式(2)で表され
る置換アリール基を表す。一般式(3)で表される有機
ホスファイトの好ましい他の別の1例は、下記の一般式
(6)で表されるものである。
【0024】
【化11】
【0025】式中、Arはヒドロホルミル化反応を阻害
しない置換基を有していてもよいアリール基であり、互
いに異なっていてもよい。Qは−CR1516−、−O
−、−S−、−NR17−、−SiR1819−、−CO−
などの2価の架橋基である。これらの架橋基において、
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数
1〜12のアルキル基、フェニル基、トリル基又はアニ
シル基を表し、R17〜R 19は、それぞれ独立して、水素
原子又はメチル基を表す。nは、それぞれ独立して、0
又は1を表す。Yは一般式(3)におけると同義であ
る。Yの好ましい例としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec
−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペン
チル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシ
ル基、t−ヘキシル基、シクロヘキシル基、イソオクチ
ル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、オクタデシル
基などの炭素数1〜20のアルキル基やシクロアルキル
基、及びヒドロホルミル化反応を阻害しない置換基を有
していてもよいフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフ
チル基などのアリール基が挙げられる。アリール基の置
換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、シクロア
ルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、
アルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基などやハロ
ゲン原子が挙げられる。一般式(6)の有機ホスファイ
トのうちでも特に好ましいのは、下記の一般式(7)又
は(8)で表されるものである。
【0026】
【化12】
【0027】これらの式において、Q、Y及びnは前記
(6)式と同一であり、R20〜R25は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、
アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオ
キシ基もしくはアルコキシカルボニル基、又はハロゲン
原子を表す。上記したリン原子を含む環状構造を有する
有機ホスファイトのいくつかを下記の表−1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】本発明で配位子として用いる、分子内に2
個以上のホスファイト構造を有するポリホスファイト
は、下記の一般式(9)で表される。
【0031】
【化13】
【0032】式中、Zは(3)式におけると同義であ
り、R26及びR27は、それぞれ独立して、アルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭
素数1〜30の炭化水素基又は炭素数5〜30のヘテロ
芳香族炭化水素基を表し、これらにはヒドロホルミル化
反応を阻害しない置換基が結合していてもよい。このよ
うな置換基としては、ハロゲン原子や炭素原子1〜20
個を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシ
ルオキシ基、アルコキシカルボニル基などが挙げられ
る。
【0033】R26及びR27の具体例をいくつか例示する
と、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−
ペンチル基、t−ヘキシル基等の炭素数1〜20個の直
鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロヘ
キシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基のような
炭素数3〜20個のシクロアルキル基;フェニル基、α
−ナフチル基、β−ナフチル基、メトキシフェニル基、
ジメトキシフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェ
ニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ペン
タフルオロフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェ
ニル基、ジメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェ
ニル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロ
ロナフチル基、ニトロナフチル基、テトラヒドロナフチ
ル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジ
ル基等のアラルキル基;ピリジル基、メチルピリジル
基、ニトロピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ベ
ンゾフリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンズイ
ミダゾリル基、インドリル基等のヘテロ芳香族基等が挙
げられる。
【0034】Wは炭素鎖中に酸素、窒素、硫黄原子のよ
うなヘテロ原子を含んでいてもよく、かつヒドロホルミ
ル化反応を阻害しない置換基を有していてもよいm価の
炭化水素基を表す。m1 及びm2 は、それぞれ0〜6の
数を表し、m1 +m2 は2〜6の整数を表す。なお、m
1 又はm2 が2以上の数を表す場合には、複数のZ、R
26及びR27はそれぞれ異っていてもよい。
【0035】好ましくはZは前記した(4)〜(8)式
で表されるものであり、R26及びR 27はヒドロホルミル
化反応を阻害しない置換基で置換されていてもよいアリ
ール基である。このようなアリール基のいくつかを例示
すると、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチ
ルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチ
ルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−
ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メ
トキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4−
ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル
基、2,6−ジメトキシフェニル基、α−ナフチル基、
3−メチル−α−ナフチル基、3,6−ジメチル−α−
ナフチル基、β−ナフチル基、1−メチル−β−ナフチ
ル基、3−メチル−β−ナフチル基等が挙げられる。
【0036】Wは好ましくはアルキレン基、又は一般式
(6)における−Ar−(CH2 n −(Q)n −(C
2 n −Ar−で表される2価の基である。このよう
な2価基の例としては1,2−エチレン基、1,3−プ
ロピレン基、1,3−ジメチル−1,3−プロピレン
基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン、1,6
−ヘキシレン基、1,8−オクチレン基、1,2−フェ
ニレン基、1,3−フェニレン基、2,3−ナフチレン
基、1,8−ナフチレン基、1,1′−ビフェニル−
2,2′−ジイル基、1,1′−ビナフチル−7,7′
−ジイル基、1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル
基、2,2′−ビナフチル−1,1′−ジイル基、2,
2′−ビナフチル−3,3′−ジイル基等が挙げられ
る。
【0037】一般式(9)で表されるポリオルガノホス
ファイトのより好ましい例は、Zが一般式(6)におけ
る−Ar−(CH2 n −Qn −(CH2 n −Ar−
で表される2価の基であり、m1 が少くとも1であり、
かつWが下記の一般式(10)で表されるものである。
【0038】
【化14】
【0039】式中、Q及びnは一般式(6)におけると
同義であり、R32及びR33は、それぞれ独立して、炭素
数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アルコ
キシ基、シリル基若しくはシロキシ基、又はハロゲン原
子若しくは水素原子を表す。そのいくつかを例示する
と、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プ
ロポキシ基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、R28〜R 31は、
それぞれ独立して、炭素数1〜20個のアルキル基、シ
クロアルキル基、アルコキシ基、シリル基若しくはシロ
キシ基、又はハロゲン原子若しくは水素原子であり、そ
れらの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ネ
オペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、ノニル基、
デシル基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等
が挙げられる。また、R30とR32又はR31とR33とが互
いに結合して、1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイ
ル基などのような、縮合環を形成していてもよい。
【0040】一般式(10)において、R28及びR29
好ましくは炭素数3〜20個の1−位で分岐したアルキ
ル基である。またR30及びR31は、炭素数1〜20個の
アルキル基若しくはアルコキシ基であるか、又はR30
32、R31とR33とが結合してアルキル基若しくはアル
コキシ基を置換基として有していてもよいナフタレン環
の一部を形成しているのが好ましい。一般式(10)で
表されるWのいくつかを例示すると、3,3′−ジ−t
−ブチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル
基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ブチル−1,
1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ
−t−ブチル−6,6′−ジ−t−ブトキシ−1,1′
−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t
−ペンチル−1,1−ビナフチル−2,2′−ジイル
基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ペンチル−1,
1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ
−t−ブチル−5,5′−ジメチル−1,1′−ビフェ
ニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テト
ラ−t−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジ
イル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−
1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′
−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−1,1′−
ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−
ブチル−5,5′,6,6′−テトラメチル−1,1′
−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,
5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメチル−1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,
5,5′−テトラ−t−ペンチル−6,6′−ジメチル
−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,
3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−6,
6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジ
イル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−
6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェニル−2,2′
−ジイル基等が挙げられる。
【0041】一般式(10)で表されるWのうちで最も
好ましいものの一つは、R32及びR 33が、それぞれ独立
して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、
イソプロポキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子等の、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキ
シ基又はハロゲン原子であるものである。このようなW
の例としては、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,
6,6′−テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,
2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブ
チル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−
2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t
−ブチル−6,6′−ジエチル−1,1′−ビフェニル
−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−
t−ブチル−6,6′−ジメトキシ−1,1′−ビフェ
ニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル
−5,5′−ジメトキシ−6,6′−ジクロロ−1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,
5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジフルオロ
−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基等が挙げ
られる。一般式(9)で表されるポリホスファイトのい
くつかを表−2に例示する。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
【表9】
【0049】
【表10】
【0050】
【表11】
【0051】
【表12】
【0052】
【表13】
【0053】
【表14】
【0054】
【表15】
【0055】
【表16】
【0056】
【表17】
【0057】
【表18】
【0058】
【表19】
【0059】
【表20】
【0060】
【表21】
【0061】
【表22】
【0062】
【表23】
【0063】本発明では、前述の有機ホスファィトを配
位子とするロジウム錯体触媒を用い、かつこの錯体触媒
が溶解している溶液中にニッケルを溶存させる以外は、
常法に従ってヒドロホルミル化反応を行うことができ
る。反応は原料のオレフィン性化合物そのものを主要な
溶媒として行うこともできるが、通常は反応に不活性な
溶媒を用いるのが好ましい。このような溶媒としては、
トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化
水素、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン
等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類、酢酸エチル、ジ−n−オクチルフタレート等
のエステル類、及び、アルデヒド縮合体等のヒドロホル
ミル化反応時に副生する高沸点成分混合物等が挙げられ
る。なかでも、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
もしくは反応で副生する高沸点成分混合物、又はこれら
を併用するのが好ましい。
【0064】反応帯域におけるロジウム錯体触媒の濃度
は、液相1リットル中にロジウム金属として通常0.0
5〜5000mgである。0.5〜1000mg、特に
10〜500mgであるのが好ましい。有機ホスファイ
トはロジウムに対し通常約0.1〜500倍モルとなる
ように用いられる。ロジウムに対し0.1〜100倍モ
ル、特に1〜30倍モルとなるように用いるのが好まし
い。なお有機ホスファイトはいくつかの種類を混合して
用いてもよい。ニッケルは液相中に1〜10000pp
mとなるように用いられる。10〜10000ppm、
特に50〜5000ppmとなるように用いるのが好ま
しい。
【0065】原料のオレフィン性化合物としては、分子
内にオレフィン性二重結合を少くとも1個有するもので
あれば、任意のものを用いることができる。オレフィン
性二重結合は、分子鎖の末端にあっても内部にあっても
よい。また分子を構成する炭素鎖は直鎖状、分岐鎖状又
は環状のいずれであってもよい。また分子中には反応に
実質上ヒドロホルミル化反応に不活性なカルボニル基、
ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル
基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子などを含
有していてもよい。オレフィン性不飽和化合物の代表的
なものは、α−オレフィン、内部オレフィン、アルケン
酸アルキル、アルカン酸アルケニル、アルケニルアルキ
ルエーテル、アルケノールなどである。オレフィン性不
飽和化合物のいくつかを例示すると、エチレン、プロピ
レン、ブテン、ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、ヘキ
サジエン、オクテン、オクタジエン、ノネン、デセン、
ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ドコセン、
スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキセン、およ
び、プロピレン〜ブテン混合物、1−ブテン〜2−ブテ
ン〜イソブチレン混合物、1−ブテン〜2−ブテン〜イ
ソブチレン〜ブタジエン混合物等の低級オレフィン混合
物、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等の低級オ
レフィンの二量体〜四量体のようなオレフィンオリゴマ
ー異性体混合物等のオレフィン類、3−フェニル−1−
プロペン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエ
ン、3−シクロヘキシル−1−ブテン等の炭化水素オレ
フィン、アクリロニトリル、アリルアルコール、1−ヒ
ドロキシ−2,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ−
1,7−オクタジエン、オレイルアルコール、1−メト
キシ−2,7−オクタジエン、アクリル酸メチル、メタ
アクリル酸メチル、オレイン酸メチル、オクタ−1−エ
ン−4−オール、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸3−ブ
テニル、プロピオン酸アリル、ビニルエチルエーテル、
ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、n−プ
ロピル−7−オクテノエート、3−ブテンニトリル、5
−ヘキセンアミド等の極性基置換オレフィン類等が挙げ
られる。好ましくは、分子内にオレフィン性二重結合を
1つだけ有するモノオレフィン系不飽和化合物が用いら
れる。特に好ましいのは炭素数2から20のオレフィ
ン、なかでもプロピレン、又は、1−ブテン、2−ブテ
ン、イソブテン、及びその混合物、1−オクテン、混合
オクテンである。
【0066】ヒドロホルミル化反応の反応温度は通常1
5〜150℃であるが、30〜130℃、特に50〜1
10℃の範囲が好ましい。反応圧力は通常の常圧〜20
0kg/cm2 Gであるが、1〜100kg/cm
2 G、特に3〜50kg/cm2Gが好ましい。反応帯
域に供給するオキソガスの水素と一酸化炭素とのモル比
(H2 /CO)は通常10/1〜1/10であるが、1
/1〜6/1の範囲が好ましい。
【0067】反応は連続方式及び回分方式のいずれでも
行い得るが、通常は連続方式で行われる。反応様式とし
ては、常用されているロジウム錯体触媒を含む液相が収
容されている反応帯域に、原料のオレフィン性化合物及
びオキソガスを連続的に供給し、生成したアルデヒドを
未反応のオキソガスと一緒に反応帯域から流出させるス
トリッピング方式、及び反応帯域に触媒を含む反応溶
媒、原料のオレフィン性化合物及びオキソガスを連続的
に供給し、反応帯域から生成したアルデヒドを含む反応
生成液を連続的に抜出し、これから少くとも生成したア
ルデヒドを分離したのち残存する触媒を含む反応溶媒を
反応帯域に循環する液循環方式のいずれでも行うことが
できる。液循環方式における生成アルデヒドの分離は任
意の方法で行えばよいが、通常は蒸留により行われる。
反応生成液からのアルデヒドの分離を蒸留により行う場
合には、一般にロジウム錯体触媒が失活しやすい。特に
本発明のように有機ホスファイトを配位子とするロジウ
ム錯体触媒は活性が高いので、ヒドロホルミル化反応は
前述のように比較的低温で行われることが多く、反応生
成液からアルデヒドを蒸留分離する蒸留温度の方が高温
となる場合があり、この場合にはロジウム錯体触媒の失
活は、主としてこの蒸留工程で生起しているものと考え
られる。蒸留に際しロジウム錯体触媒が失活するのは、
蒸留に際してはロジウムに配位しやすい一酸化炭素や水
素が系内に存在しないので、ロジウム錯体が配位不飽和
な形態となって分解しやすくなり、その結果、ロジウム
錯体触媒が失活するものと考えられる。しかしながら、
本発明方法により触媒とニッケルを共存させる、すなわ
ち反応生成液中に触媒と共にニッケルが含まれている
と、この蒸留工程における触媒の失活を低減させること
ができる。この蒸留工程におけるロジウム錯体触媒の失
活を防止するには、蒸留工程から反応帯域に循環される
ロジウム錯体触媒を含む反応溶媒中のニッケルの濃度を
1〜10000ppmとするのが好ましい。10〜10
000ppm、特に50〜5000ppmであれば更に
好ましい。しかしながらニッケルが共存しても高温下で
はロジウム錯体触媒の分解は避けられないので、蒸留温
度は150℃以下、特に130℃以下とするのが好まし
い。50〜120℃で蒸留するのが最も好ましい。従っ
てアルデヒドの沸点が高い場合には、減圧蒸留するのが
好ましい。なお、蒸留によりアルデヒドを分離して得ら
れたロジウム錯体触媒を含む反応溶媒は、反応帯域に循
環するに先立ち、抽出、洗浄、晶析、吸着など適宜の手
段により、反応溶媒中に存在している有機ホスファイト
の分解生成物などを除去してもよい。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以
下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 磁気攪拌子をいれた内容積100mLのSUS−316
ステンレスオートクレーブに、ジ−μ−アセタト−ビス
(1,5−シクロオクタジエン)二ロジウム([Rh
(C8 12)(μ−CH3 CO2 )]2 )錯体65.3
mg、(0.121mmol)、下記式で表される二座
ホスファイト1041.2mg(0.972mmol)
及びニッケルアセチルアセトナート錯体を124.4m
g(Ni/Rh=2(モル比))、並びにトルエン25
mL及びn−ブチルアルデヒド25mLを窒素雰囲気下
で仕込んだ。ニッケルの濃度は632ppmである。こ
のオートクレーブにオキソガス(H2 /CO=1(モル
比))を9kg/cm2 Gまで圧入し、室温で15分間
攪拌することにより触媒の活性化を行った。次いでオキ
ソガスを放出し、再度窒素ガスで置換した後、このオー
トクレーブを窒素雰囲気下130℃に加熱した。66時
間目及び138時間目に溶液中の配位子が分解して生成
した分解生成物を高速液体クロマトグラフィーにより定
量した。その結果、検出された分解生成物は、66時間
の熱処理を経たものでは元の配位子の3mol%であ
り、138時間の熱処理を経たものでは元の配位子の6
mol%であった。なお、上記の触媒の活性化処理によ
り、ロジウムに水素、一酸化炭素及びホスファイトが配
位して、ロジウムヒドリドジカルボニル(ホスファイ
ト)となることは、別途確認した。
【0069】
【化15】
【0070】実施例2 ニッケルアセチルアセトナート錯体を623.6mg
(Ni/Rh=10(モル比))仕込んだ以外は、実施
例1と全く同様にして130℃で熱処理を行った。仕込
んだ液中のニッケル濃度は3100ppmである。その
結果、検出された分解生成物は、63時間の熱処理を経
たものでは元の配位子の5mol%であり、135時間
の熱処理を経たものでは元の配位子の9mol%であっ
た。
【0071】実施例3 ニッケルアセチルアセトナート錯体の代わりに、ビス
(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケルを14.5
mg(Ni/Rh=0.2(モル比))仕込んだ以外
は、実施例1と全く同様にして130℃で135.5時
間熱処理を行った。仕込んだ液中のニッケル濃度は70
ppmである。その結果、検出された分解生成物は、元
の配位子の17mol%であった。
【0072】比較例1 ニッケル化合物を添加しない以外は、実施例1と全く同
様にして130℃で90時間熱処理を行った。その結
果、ホスファイトは100%分解していた。また分解生
成物は元の配位子の100mol%であった。
【0073】比較例2 磁気攪拌子をいれた内容積70mLのSUS−304ス
テンレス反応管に、ジ−μ−アセタト−ビス(1,5−
シクロオクタジエン)二ロジウム([Rh(C 8 12
(μ−CH3 CO2 )]2 )錯体32.6mg(0.0
60mmol)、実施例1で用いたのと同じ二座ホスフ
ァイト520.6mg(0.0486mmol)及び銅
アセチルアセトナート錯体63.1mg(Cu/Rh=
2(モル比))、並びにトルエン12.5mL及びn−
ブチルアルデヒド12.5mLを窒素雰囲気下で仕込ん
だ。銅の濃度は725ppmである。この反応管にオキ
ソガス(H2 /CO=1(モル比))を9kg/cm2
Gまで圧入し、室温で15分間攪拌することにより触媒
の活性化を行った。次いでオキソガスを放出し、再度窒
素ガスで置換した後、このオートクレーブを窒素雰囲気
下130℃で134.5時間加熱した。その結果、ホス
ファイトは100%分解していた。また分解生成物は元
の配位子の100mol%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA06 BA27A BA27B BC71A BC71B BE29A BE29B BE32A BE33A BE37A BE37B BE38A CB51 CB52 CB72 DA02 4H006 AA02 AC45 AD11 BA21 BA24 BA35 BA48 BA83 BB11 BB15 BB16 BB25 BC14 BD20 BD36 BD40 BD52 BD83 BE20 BE40 4H039 CA62 CL45

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少くともロジウムと有機ホスファイトか
    ら成るロジウム錯体触媒を含む液相の存在下に、オレフ
    ィン性化合物と水素及び一酸化炭素とを反応させてアル
    デヒドを生成させるアルデヒドの製造方法において、ロ
    ジウム錯体触媒が溶解している溶液中に1〜104pp
    mのニッケルを溶存させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 ロジウム錯体触媒を含む溶液中にニッケ
    ルを50〜5000ppm溶存させることを特徴とする
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応帯域において、少くともロジウムと
    有機ホスファイトから成るロジウム錯体触媒を含む液相
    の存在下に、オレフィン性化合物と水素及び一酸化炭素
    とを反応させてアルデヒドを生成させる反応工程、反応
    帯域から取出した反応混合液からアルデヒドを分離して
    ロジウム錯体触媒を含む触媒液を取得する分離工程、及
    び触媒液を反応帯域に循環する循環工程の各工程を含む
    アルデヒドの製造方法において、分離工程を液相中にロ
    ジウム錯体触媒と1〜104ppmのニッケルを共存さ
    せて行うことを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 取得される触媒液中のニッケルの濃度が
    1〜104 ppmとなるように、分離工程を行うことを
    特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 ロジウム錯体触媒を構成する有機ホスフ
    ァイトが一般式(1)で表されるものであることを特徴
    とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。 【化1】 P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) ・・・(1) (式中、R1 ないしR3 は、それぞれ独立して、置換基
    を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又は炭
    素数5〜30のヘテロ芳香族炭化水素基を表す)
  6. 【請求項6】 一般式(1)において、R1 ないしR3
    が、それぞれ独立して、一般式(2)で表される置換ア
    リール基であることを特徴とする請求項5記載の方法。 【化2】 (式中、R4 は−CR9 1011(R9 、R10及びR11
    は、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素化されてい
    てもよい炭化水素基を示す)又は置換基を有していても
    よいアリール基を表す。R5 ないしR8 は、それぞれ独
    立して、水素原子又は有機基を表す。なお、R5 ないし
    8 のうちの隣接するものが互いに結合して縮合芳香環
    又は縮合複素環を形成していてもよい)
  7. 【請求項7】 ロジウム錯体触媒を構成する有機ホスフ
    ァイトが一般式(3)で表されるものであることを特徴
    とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。 【化3】 (式中、Zは炭素鎖中にヘテロ原子を含んでいてもよ
    く、かつ置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を
    表し、Yは置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘ
    テロ芳香族炭化水素基を表す。)
  8. 【請求項8】 ロジウム錯体触媒を構成する有機ホスフ
    ァイトが一般式(9)で表されるものであることを特徴
    とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。 【化4】 (式中、Zは炭素鎖中にヘテロ原子を含んでいてもよ
    く、かつ置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を
    表す。R26及びR27は、それぞれ独立して、置換基を有
    していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又は炭素数
    5〜30のヘテロ芳香族炭化水素基を表す。Wは炭素鎖
    中にヘテロ原子を含んでいてもよく、かつ置換基を有し
    ていてもよいm価の炭化水素基を表す。m1 及びm
    2 は、それぞれ0ないし6の整数を表し、m1 +m2
    2〜6である)
  9. 【請求項9】 一般式(9)において、R26及びR27
    それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基
    であり、かつWが一般式(10)で表されるものである
    ことを特徴とする請求項8記載の方法。 【化5】 (式中、R28及びR29は、それぞれ独立して、炭素数3
    〜20の分岐アルキル基である。R30及びR31は、それ
    ぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアルコ
    キシ基である。R32及びR33は、それぞれ独立して、水
    素原子、ハロゲン原子、シリル基、シロキシ基、又は炭
    素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくは
    アルコキシ基を表す。Qは−CR1516−、−O−、−
    S−、−NR17−、−SiR1819−又は−CO−であ
    る架橋基である。この架橋基において、R15及びR
    16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の
    アルキル基、フェニル基、トリル基又はアニシル基を表
    し、R17〜R19は、それぞれ独立して水素原子又はメチ
    ル基を表す。nは0又は1を表す。)
  10. 【請求項10】 オレフィン性化合物が、プロピレン、
    1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、混合ブテン、1
    −オクテン及び混合オクテンよりなる群から選ばれるも
    のであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか
    に記載の方法。
JP10342700A 1998-12-02 1998-12-02 アルデヒドの製造方法 Pending JP2000159719A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10342700A JP2000159719A (ja) 1998-12-02 1998-12-02 アルデヒドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10342700A JP2000159719A (ja) 1998-12-02 1998-12-02 アルデヒドの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000159719A true JP2000159719A (ja) 2000-06-13

Family

ID=18355826

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10342700A Pending JP2000159719A (ja) 1998-12-02 1998-12-02 アルデヒドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000159719A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012530604A (ja) * 2009-06-22 2012-12-06 イーストマン ケミカル カンパニー ヒドロホルミル化方法のためのホスファイトを含む触媒

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012530604A (ja) * 2009-06-22 2012-12-06 イーストマン ケミカル カンパニー ヒドロホルミル化方法のためのホスファイトを含む触媒

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR920010519B1 (ko) 디유기아인산염 리간드의 제조방법
EP0213639B1 (en) Bis-phosphite compounds
US4885401A (en) Bis-phosphite compounds
EP0214622B1 (en) Transition metal complex catalyzed processes
EP0697391A1 (en) Stabilization of phosphite ligands in hydroformylation process
CZ174898A3 (cs) Zlepšený způsob katalýzy komplexem kov-ligand
EP1312598B1 (en) Process for producing aldehyde
JP3888008B2 (ja) 第8族貴金属及び/又は有機ホスファイト化合物の回収方法
JP5380456B2 (ja) アルデヒドの製造方法
US6610891B1 (en) Method of producing aldehydes
JP3956559B2 (ja) アルデヒドの製造方法
JP2001213834A (ja) アルデヒドの製造方法
JP2000159719A (ja) アルデヒドの製造方法
JP3804290B2 (ja) アルデヒドの製造方法
PL204212B1 (pl) Sposób wytwarzania aldehydów oraz zastosowanie produktu reakcji wprowadzanego do tego sposobu
JP3864669B2 (ja) ヒドロホルミル化方法
JP2001213835A (ja) アルデヒドの製造方法
JP2000159720A (ja) アルデヒドの製造法
JP3794202B2 (ja) ロジウムの回収方法
JP2000351746A (ja) アルデヒド類の製造法
JP3903575B2 (ja) アルデヒド類の製造方法
JP3885414B2 (ja) アルデヒド類の製造方法
JP3928315B2 (ja) アルデヒドの製造方法
JP2001213833A (ja) アルデヒドの製造方法
JP2001213832A (ja) アルデヒドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070313