JP2001180220A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
空気入りラジアルタイヤInfo
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Abstract
空気入りラジアルタイヤの提供 【解決手段】 空気入りラジアルタイヤにおいて、ベル
ト層2の踏面側に実質的にタイヤ周方向に螺旋状に巻回
されるベルト補強層5、6の補強コード7として、タイ
ヤ加硫前の伸び率(0.02N/dtex荷重下) が低く、
かつ加硫後のタイヤから取り出したときのタイヤ中の原
長に対するコードの収縮率が2.0〜7.0%となる有
機繊維コードを使用した。
Description
に高周波ロードノイズを改善した空気入りラジアルタイ
ヤに関する。
特に高速走行用に設計されたタイヤでは、一般にベルト
層の両端部踏面側或いはベルト層の全幅にわたる踏面側
に熱収縮性のナイロンコードを実質的にタイヤの周方向
に螺旋状に巻回してベルト補強層を形成し、高速走行中
にベルト層の幅方向両端部が遠心力によってゴムとのセ
パレーションを起こすことを防止するようにしている。
層のせり上がりを抑制し、高速耐久性を向上するために
設けられたものであるが、また高周波ロードノイズの低
減にも寄与することがわかっている。ここでロードノイ
ズとは、高速走行中にタイヤが路面の凹凸を拾った振動
が車軸を通して車室内を共振させることによって発生す
る共鳴音のことである。
波ロードノイズを一層低減させることが要求されてい
る。この高周波ロードノイズはベルト補強層の補強コー
ドの初期弾性率を上げれば、それに比例して低減化が可
能になることがわかっているが、単に弾性率の高いコー
ドに置換するだけではタイヤコストを上昇させるだけに
なるので、本質的な課題の解決とはいえない。
素材の補強コードを使いながら、タイヤ中における特性
を調整するだけで、高速耐久性ならびに高周波ロードノ
イズを向上するようにした空気入りラジアルタイヤを提
供することにある。
明は、トレッド部に配置したベルト層の少なくとも両端
部踏面側に有機繊維コードを実質的にタイヤ周方向に螺
旋状に巻回して形成したベルト補強層を設けた空気入り
ラジアルタイヤにおいて、前記有機繊維コードの素材又
は種類に応じて、次の四つの態様からなることを特徴と
するものである。
ードがナイロン繊維であって、タイヤ加硫前の0.02
N/dtex荷重下の伸び率が5.0〜8.0%であると共
に、加硫後のタイヤから取り出したときの加硫タイヤ中
の原長に対する収縮率(以下、収縮率という)が2.0
〜7.0%であることを特徴とするものである。
ードがポリエチレンテレフタレート(以下、PETとい
う)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下、P
ENという)、芳香族ポリアミド(以下、アラミドとい
う)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール
(以下、PBOという)、ポリビニルアルコール(以
下、PVAという)およびアクリルの群から選ばれる一
種以上のポリマーからなる繊維であって、0.02N/
dtex荷重下の伸び率が1.0〜5.0%であると共に、
収縮率が2.0〜7.0%であることを特徴とするもの
である。
ードがPET繊維であって、0.02N/dtex荷重下の
伸び率(%)と、150℃×30分の条件下の乾熱収縮
率(%)との和として定義される寸法安定性指数が4.
0〜6.0であると共に、収縮率が2.0〜7.0%で
あることを特徴とするものである。
ードが芯にPET、PEN、アラミド、PBO、PVA
及びアクリルの群から選ばれる一種以上のポリマーを配
し、鞘にナイロンを配した芯鞘型複合繊維であって、
0.02N/dtex荷重下の伸び率が2.0〜5.0%で
あると共に、収縮率が2.0〜7.0%であることを特
徴とするものである。 いずれの発明も、ベルト補強層
の補強コードとして0.02N/dtex荷重下の伸び率
(中間伸度)を低く設定し、加硫後のタイヤから取り出
したときのタイヤ中の原長に対し2.0〜7.0%の収
縮を発生するように緊張状態に埋設しておくことによ
り、見掛け初期弾性率を向上させた状態にする。このよ
うに同一素材のコードであるにも拘らず、見掛けの初期
弾性率が向上しているため、ベルト補強層のタガ効果が
向上し、高速耐久性を向上させると共にロードノイズを
低減することができるのである。
タイヤの一実施例を示す半断面図である。
からなるベルト層2がタイヤ周方向に対し10°〜30
°のコード角度で層間で交差するように設けられてい
る。カーカス3はカーカスコードがタイヤ赤道面に対し
ほぼ90°に配列するように設けられ、その両端部がビ
ードコア4の周囲にタイヤの内側から外側へ折り返され
ている。
を覆うようにしたベルト補強層6と、ベルト層2の両端
部だけを覆うベルト補強層5が設けられている。いずれ
も有機繊維からなる補強コード7を実質的にタイヤ周方
向に螺旋状に巻回して形成され、高速走行時にベルト層
2が遠心力で浮き上がり、ゴムと剥離することを防止す
る。また、これらベルト補強層5、6の拘束により、タ
イヤの高周波数の振動が車室内で共振しないようにし、
高周波ロードノイズを低減する。
図示の態様のようにベルト層の全幅にわたって設けたも
のと、ベルト層両端部のみを覆うようにしたものとを併
用することは必要でなく、用途に応じていずれか一方の
みを設けるようにしてもよい。
補強コードは、加硫後のタイヤから取り出したとき加硫
タイヤ中の原長に対して2.0〜7.0%の収縮を行う
ように埋設されている。このように2.0%以上もの収
縮を生ずるように埋設されていることにより、補強コー
ドはタイヤ内で見掛けの初期弾性率が実際の初期弾性率
よりも高い状態になっている。このように補強コードの
見掛けの初期弾性率を高い状態にするには、タイヤ製造
工程において、コードの長手方向に高張力を負荷して緊
張状態にすればよい。
コードの原長に対する収縮率が2.0%未満のものでは
本発明が目的とする高周波ロードノイズの低減や高速耐
久性の向上は得られない。また収縮率が7.0%を超え
る補強コードは実質的に生産が困難である。
し、高周波ロードノイズの低減及び高速耐久性の向上を
可能にするには、補強コードの素材ごとに異なる。補強
コードとしてナイロン繊維を使用するときは、タイヤ加
硫前の状態における0.02N/dtex荷重下の伸び率
(即ち、中間伸度)が5.0〜8.0%のものを用いる
必要がある。
ロン繊維は実質的に生産が困難であり、また8.0%超
では見掛けの初期弾性率の向上効果が十分に得られない
為、目的を達成出来ない。
ド、PBO、PVA及びアクリルから選ばれる一種以上
のポリマーからなる高弾性率の繊維を使用するときは、
タイヤ加硫前の状態における0.02N/dtex荷重下で
の伸び率(中間伸度)が1.0〜5.0%のものを用い
る必要がある。
は実質的に生産が困難であり、5.0%超では、見掛け
の初期弾性率の向上効果が十分に得られない為に目的を
達成出来ない。
テレフタレート繊維を用いるときは、タイヤ加硫前の状
態における0.02N/dtex荷重下の伸び率(%)と、
150℃×30分の条件下の乾熱収縮率(%)との和と
して定義される寸法安定性指数が4.0〜6.0である
ものを用いる必要がある。
は、紡糸速度7,000m/分以上の超高速紡糸で溶融
紡糸することにより得られる。
は実質的に生産が困難であり、過度な配向による強力低
下のため、タイヤ用途に適さない。また寸法安定性指数
が6.0超では見掛けの初期弾性率の向上効果が十分に
得られない為に目的を達成出来ない。
N、アラミド、PBO、PVA及びアクリルから選ばれ
る一種以上のポリマーを配し、鞘にナイロンを配した芯
鞘繊維を用いるときは加硫前の状態における0.02N
/dtex荷重下の伸び率が2.0〜5.0%であるものを
用いる必要がある。
繊維は実質的に生産が困難であり、5.0%超では、見
掛けの初期弾性率の向上効果が十分に得られない為に目
的が達成出来ない。
も繊維化したとき高い初期弾性率を発揮するが、ゴムと
の接着性がよくない。しかし、鞘成分にナイロンを配し
ていることにより、高い接着性を発揮するものとなる。
芯と鞘の断面積比率は5:5〜9:1の範囲とすること
が、ゴムとの接着性ならびに初期弾性率の向上の点で好
ましい。
層に使用する補強コードは、双撚りとし、繊度Dを1,
000〜6,000dtexの範囲とするのが好ましい。ま
た、コードの撚り係数α=T√D(ただし、Tはコード
の撚り数(回/100mm)、Dはコードの総繊度(dt
ex) )は500〜2,000の範囲とするのが好まし
い。
ら実施例及び比較例中に使用した特性は次の測定方法に
より測定した。
維につき、JIS L1017−1995に準拠し、
0.02N/dtexの荷重を負荷したときの伸度を測定し
た。
を切り出し、その状態でベルト補強層中(加硫タイヤ
中)での原長(L)を測定する。次いで繊維コードを分
離するように取り出してJIS L 1017−199
5に準拠し、表示dtex ×0.45mNの初荷重をかけ
てコード長さ(L’)を常温にて測定し、下記式(1)
により収縮率Sを算出した。
J、空気圧220kPa、荷重6.5kNの条件の下
に、ドラム径1707mmの回転ドラムを使用して、初
速121km/hから30分毎に速度を8km/hずつ
増加して、タイヤが故障したときの走行速度を記録し
た。結果を比較例を100とする指数で表示した。数値
が大きい程高速耐久性が良好である。
4輪に装着し、ドライバーが2名乗車してロードノイズ
評価用テストコースで80km/hの速度で走行し、運
転席背もたれ中央部に装置した集音マイクにより250
〜400Hzの騒音(デシベル)を測定した。結果を比
較例を100とする指数で表示した。数値が大きい程高
周波ロードノイズが良好である。
−4 タイヤサイズが225/60R16で図1の構造を有
し、ベルト層にスチールコードを使用し、その踏面側を
被覆するベルト補強層の補強コードとして、0.02N
/dtex荷重下の伸び率及びタイヤから取り出し後の収縮
率を表1のように異ならせたナイロンコードを使用した
8種類のタイヤを作製した。これらのタイヤについて高
速耐久性及び高周波ロードノイズを測定した。結果を表
1に示す。
はベルト補強層の補強コードの伸び率が5.0〜8.0
%、収縮率が2.0〜7.0%の範囲内であるため、比
較例のタイヤに比して高速耐久性が向上し、高周波ロー
ドノイズが低減していた。
−3 実施例1−1において、ベルト補強層の補強コードだけ
を、伸び率と収縮率を異ならせたPETコード、PEN
コード、アラミドコードに置き替えた9種類のタイヤを
作製し、高速耐久性と高周波ロードノイズ試験を行っ
た。結果を表2に示す。
はベルト補強層の補強コードの伸び率が1.0〜5.0
%、収縮率が2.0〜7.0%の範囲内であるため、比
較例に比して高速耐久性が向上し、高周波ロードノイズ
が低減していた。
−2 実施例1−1において、ベルト補強層の補強コードだけ
を、寸法安定性指数と収縮率を異ならせたPETコード
に置き替えた5種類のタイヤを作製し、高速耐久性と高
周波ロードノイズ試験を行った。結果を表3に示す。
はベルト補強層の補強コードの寸法安定性指数が4.0
〜6.0、収縮率が2.0〜7.0%の範囲内であるた
め、比較例のタイヤに比して高速耐久性が向上し、高周
波ロードノイズが低減していた。
−2 実施例1−1において、ベルト補強層の補強コードだけ
を、伸び率と収縮率を異ならせた芯にPET又はアラミ
ドを配し、鞘にナイロンを配した芯鞘型複合繊維に置き
替えた7種類のタイヤを作製し、高速耐久性と高周波ロ
ードノイズ試験を行った。結果を表4に示す。
はベルト補強層の補強コードの伸び率が2.0〜5.0
%、収縮率が2.0〜7.0%の範囲内であるため、比
較例のタイヤに比して高速耐久性が向上し、高周波ロー
ドノイズが低減していた。
ジアルタイヤは、ベルト補強層の補強コードとしてタイ
ヤ加硫前の状態の中間伸度を一定の低伸度に特定し、加
硫後のタイヤから取り出したときの収縮率が2.0〜
7.0%となるようにしたので、加硫タイヤ中における
見掛けの初期弾性率を増大させることができることによ
り、高速耐久性を向上すると共に高周波ロードノイズを
低減することができる。
示す半断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 トレッド部に配置したベルト層の少なく
とも両端部踏面側に有機繊維コードを実質的にタイヤ周
方向に螺旋状に巻回して形成したベルト補強層を設けた
空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層の
補強コードがナイロン繊維であって、タイヤ加硫前の
0.02N/dtex荷重下の伸び率が5.0〜8.0%で
あると共に、加硫後のタイヤから取り出したときの加硫
タイヤ中の原長に対する収縮率が2.0〜7.0%であ
る、空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項2】 トレッド部に配置したベルト層の少なく
とも両端部踏面側に有機繊維コードを実質的にタイヤ周
方向に螺旋状に巻回して形成したベルト補強層を設けた
空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層の
補強コードがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート、芳香族ポリアミド、ポリ−
p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルア
ルコールおよびアクリルの群から選ばれる一種以上のポ
リマーからなる繊維であって、タイヤ加硫前の0.02
N/dtex荷重下の伸び率が1.0〜5.0%であると共
に、加硫後のタイヤから取り出したときの加硫タイヤ中
の原長に対する収縮率が2.0〜7.0%である、空気
入りラジアルタイヤ。 - 【請求項3】 トレッド部に配置したベルト層の少なく
とも両端部踏面側に有機繊維コードを実質的にタイヤ周
方向に螺旋状に巻回して形成したベルト補強層を設けた
空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層の
補強コードがポリエチレンテレフタレート繊維であっ
て、タイヤ加硫前の0.02N/dtex荷重下の伸び率
(%)と、150℃×30分の条件下の乾熱収縮率
(%)との和として定義される寸法安定性指数が4.0
〜6.0であると共に、加硫後のタイヤから取り出した
ときの加硫タイヤ中の原長に対する収縮率が2.0〜
7.0%である、空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項4】 トレッド部に配置したベルト層の少なく
とも両端部踏面側に有機繊維コードを実質的にタイヤ周
方向に螺旋状に巻回して形成したベルト補強層を設けた
空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強層の
補強コードが芯にポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレート、芳香族ポリアミド、ポ
リ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニ
ルアルコール及びアクリルの群から選ばれる一種以上の
ポリマーを配し、鞘にナイロンを配した芯鞘型複合繊維
であって、タイヤ加硫前の0.02N/dtex荷重下の伸
び率が2.0〜5.0%であると共に加硫後のタイヤか
ら取り出したときの加硫タイヤ中の原長に対する収縮率
が2.0〜7.0%である、空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項5】 前記ベルト補強層の補強コードが双撚り
で、繊度が1,000〜6,000dtexである、請求項
1、2、3又は4に記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項6】 前記ベルト補強層の補強コードの撚り係
数α=T√D(ただし、Tはコードの撚り数(回/10
0mm)、Dはコードの総繊度(dtex) )が500〜
2,000である、請求項1、2、3、4又は5に記載
の空気入りラジアルタイヤ。
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