JP2001039707A - カーボンカプセルの製造方法 - Google Patents

カーボンカプセルの製造方法

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JP2001039707A
JP2001039707A JP11213093A JP21309399A JP2001039707A JP 2001039707 A JP2001039707 A JP 2001039707A JP 11213093 A JP11213093 A JP 11213093A JP 21309399 A JP21309399 A JP 21309399A JP 2001039707 A JP2001039707 A JP 2001039707A
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nanoparticles
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Shinji Hayashi
真至 林
Minoru Fujii
稔 藤井
知志 ▲富▼田
Tomoshi Tomita
Keiichi Yamamoto
恵一 山本
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Japan Society for Promotion of Science
Keio University
Japan Society For Promotion of Machine Industry
Original Assignee
Japan Society for Promotion of Science
Keio University
Japan Society For Promotion of Machine Industry
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーボンカプセルの製造方法に関し、サイズ
の揃った微小サイズのカーボンカプセルを、低温で、且
つ、他の不所望な生成物を伴わないように製造する。 【解決手段】 内包する物質のナノ粒子1と炭素のナノ
粒子2とを混合し、熱処理することによって内包する物
質のナノ粒子1を炭素のナノ粒子2が変成したグラファ
イト層3によって被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカーボンカプセルの
製造方法に関し、特に、磁気記録媒体等に用いるカーボ
ンカプセルを従来より低温で且つ不所望な生成物が混入
しないように製造するための原料素材に特徴のあるカー
ボンカプセルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、カーボン層で被覆された磁性
金属のナノ粒子は、磁気記録媒体或いは磁性トナーへの
応用が可能な技術とし大いに期待されている(必要なら
ば、M.E.McHenry et al.,Phy
s.Rev.Vol.B49,p.11358,199
4参照)。例えば、磁性金属ナノ粒子は大気中に放置し
ておくと、酸化により劣化し、保磁力等の磁気的能力の
低下につながるが、磁性金属ナノ粒子をカーボン層で被
覆することにより耐環境性が向上し、酸化等による特性
の劣化を引き起こさないという利点がある。
【0003】また、カーボンは非磁性であるので、磁性
金属ナノ粒子を磁気媒体として用いる場合に、磁性金属
ナノ粒子を非磁性カーボン層で被覆することによって、
個々の磁性金属ナノ粒子間の磁気結合を低減するという
効果もある。即ち、個々の磁性金属ナノ粒子間における
相互作用の及ぶ範囲を狭くすることによって磁気クラス
ターを小さくすることが可能になり、それによって、媒
体ノイズを低減することが可能になる。
【0004】また、次世代の超高密度磁気記録媒体を実
現するためには、磁性金属粒子をサイズの制御された磁
性金属ナノ粒子によって構成するとともに、磁性金属ナ
ノ粒子間を厚さの制御された非磁性層によって磁気的に
分離することが不可欠になる。
【0005】従来、この様に大きな期待が寄せられてい
るカーボン層で被覆された磁性金属のナノ粒子、即ち、
カーボンカプセルは、アーク放電法、改良型アーク放電
法、或いは、イオンビームスパッタ法によって形成され
ていた。例えば、カーボンロッドに穴をあけ、この穴に
内包したい材料を埋め込んだ後、カーボンロッドを電極
として不活性ガス中でアーク放電することによってカー
ボンカプセルが形成されている。
【0006】さらには、内包したい物質の粉末をマイク
ロポーラスカーボンと混ぜ合わせ、不活性ガス中で熱処
理することによりカーボンカプセルを開発する方法(必
要ならば、P.J.F.Harris et al.,
Chem.Phys.Lett.,Vol.293,
p.53,1998参照)も開発されている。この場
合、最初に所望の大きさの粒子を形成したのち、マイク
ロポーラスカーボンと混ぜ合わせ熱処理しているので、
カーボンカプセルサイズの制御が比較的容易であるとい
う利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アーク放電法
でカーボンカプセルを形成する場合、材料は一旦300
0℃以上の高温で熱せられて気相状態を経てカプセルが
形成されるものであり、気相状態からの急冷により粒子
を形成するため、粒子サイズやサイズ分布の制御が困難
であるという問題がある。また、3000℃以上の超高
温過程であるため、前後のプロセスとの整合性が問題と
なる可能性もある。
【0008】また、アーク放電法を用いた場合には、得
られる生成物は目的とするカーボンカプセル以外にも、
金属炭化物、カーボンナノチューブ、或いは、その他の
不所望な炭素系物質が生成されるという問題がある。
【0009】また、上述のマイクロポーラスカーボンを
用いる方法の場合にも、熱処理温度としては1800〜
2000℃という高温が必要であり、やはり、前後のプ
ロセスとの整合性が問題となる可能性がある。
【0010】さらに、いずれの場合にも、高温アニール
により粒子同士が接合成長するため、数nm程度のサイ
ズの極微小カーボンカプセルの形成が困難であるという
問題がある。
【0011】したがって、本発明は、サイズの揃った微
小サイズのカーボンカプセルを、低温で、且つ、他の不
所望な生成物を伴わないように製造することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理的構
成の説明図であり、この図1を参照して本発明における
課題を解決するための手段を説明する。 図1参照 (1)本発明は、カーボンカプセル4の製造方法におい
て、内包する物質のナノ粒子1と炭素の粒子2とを混合
し、熱処理することによって内包する物質のナノ粒子1
を炭素のナノ粒子2が変成したグラファイト層3によっ
て被覆することを特徴とする。
【0013】炭素のナノ粒子2は、例えば、ダイヤモン
ド、アモルファスカーボン、グラファイト、或いは、フ
ラーレン(fullerene:5員環及び6員環から
なる多面体構造の炭素物質)等のナノ粒子は、通常のサ
イズの炭素の粒子に比べて化学的に非常に活性であるた
め、グラファイト層3の原料としてこの様な炭素のナノ
粒子2を用いることによって、より低温でカーボンカプ
セル4を製造することが可能になる。なお、本明細書に
おける、ナノ粒子1或いは炭素のナノ粒子2とは、粒径
が2〜100nmのサイズの粒子を意味する。
【0014】また、炭素のナノ粒子2の混合量を調整す
ることによって、全ての内包する物質のナノ粒子1をグ
ラファイト層3によって被覆することが可能になり、製
造効率が高まる。さらに、内包する物質をナノ粒子1の
状態で用いているので、生成されたカーボンカプセル4
のサイズを任意に制御することが可能になるとともに、
サイズを揃えることができる。
【0015】(2)また、本発明は、上記(1)におい
て、炭素のナノ粒子2が、ダイヤモンドナノ粒子である
ことを特徴とする。
【0016】炭素のナノ粒子2としては、アモルファス
カーボン、グラファイト、或いは、フラーレン等のナノ
粒子でも良いが、ダイヤモンドナノ粒子を用いた場合
に、最も均質で且つ良質なカーボンカプセル4を形成す
ることができる。
【0017】(3)また、本発明は、上記(2)におい
て、ダイヤモンドナノ粒子の直径が、10nm以下であ
ることを特徴とする。
【0018】ダイヤモンドナノ粒子の直径としては、上
述の様に2〜100nmの範囲であれば良いが、直径が
10nm以下のサイズのダイヤモンドナノ粒子を用いた
場合に、良質のカーボンカプセル4を形成することがで
き、特に、平均サイズが5nmの場合に、最も良質のカ
ーボンカプセル4を形成することができる。
【0019】(4)また、本発明は、上記(1)乃至
(3)のいずれかにおいて、内包する物質が、強磁性体
であることを特徴とする。
【0020】この様に、内包する物質として、CoやF
e等の強磁性体を用いることによって、相互作用の小さ
なカーボンカプセル4を製造することが可能になり、且
つ、この強磁性体のサイズを事前に揃えておくことによ
りサイズの揃ったカーボンカプセル4を製造することが
可能になるので、超高密度磁気記録媒体の実現が可能に
なる。また、CoやFe等は炭素のグラファイト化にお
いて活性な触媒であるので、CoやFe等を用いること
によって、熱処理温度の低温化が可能になる。
【0021】(5)また、本発明は、上記(1)乃至
(4)のいずれかにおいて、内包する物質のナノ粒子1
と炭素のナノ粒子2をグラファイトロッドに設けた孔に
充填したのち、真空中で電子線を照射することにより熱
処理することを特徴とする。
【0022】この様に、電子線アニールを用いることに
よって、再現性良くカーボンカプセル4を製造すること
が可能になり、また、熱処理も500℃〜グラファイト
ロッドの融解限界温度(≒2500℃)まで幅広い温度
範囲で行うことができ、前後のプロセスに応じて最適な
温度を選択することができる。なお、500℃はカーボ
ンカプセル4ができる下限温度である。
【0023】(6)また、本発明は、上記(1)乃至
(4)のいずれかにおいて、内包する物質のナノ粒子1
と炭素のナノ粒子2をガラス管内に収納したのち、真空
中或いは不活性ガス雰囲気中で管状電気炉により熱処理
することを特徴とする。
【0024】この様に、ガラス管を用いた場合には、市
販の管状電気炉の使用が可能になり、また、熱処理も5
00℃〜ガラス管の融解限界温度(≒1200℃)の範
囲で行うことができ、必然的に低温処理になるので、内
包したい物質同士が接合成長する懸念が殆どなく、極微
小カーボンナノカプセルを容易に形成することができ
る。
【0025】(7)また、本発明は、上記(1)乃至
(4)のいずれかにおいて、内包する物質のナノ粒子1
と炭素のナノ粒子2をプラチナセル内に収納したのち、
不活性ガス雰囲気中でランプアニール装置により熱処理
することを特徴とする。
【0026】この様に、熱処理は市販のランプアニール
装置を用いても可能であり、その場合には、内包する物
質のナノ粒子1と炭素のナノ粒子2をプラチナセル内に
収納すれば良く、また、熱処理も500℃〜プラチナセ
ルの融解限界温度(≒1500℃)の範囲で行うことが
できる。さらに、ランプアニール装置を用いた場合に
は、短時間処理となるので、内包する物質のナノ粒子1
同士の接合成長をさらに抑制することができる。
【0027】(8)また、本発明は、上記(5)乃至
(7)のいずれかにおいて、熱処理温度が、800℃以
下であることを特徴とする。
【0028】上述の様に、熱処理温度は、治具の耐熱性
に応じて幅広い温度範囲において行うことが可能である
が、800℃以下で行うことによって、内包する物質の
ナノ粒子1同士の接合成長をさらに抑制することがで
き、どの様なシステムに適用す場合にも熱負荷が問題と
なることはない。
【0029】
【発明の実施の形態】ここで、図2及び図3を参照し
て、本発明の第1の実施の形態のカーボンカプセルの製
造工程を説明するが、まず、図2を参照して本発明の第
1の実施の形態に用いる製造装置の概略的構成を説明す
る。 図2(a)参照 図2(a)は、本発明の第1の実施の形態に用いる製造
装置の三面図であり、両側にマグネット12,13を設
けたステージ11上にグラファイトルツボ14を載置
し、このグラファイトルツボ14内に原料粉末を充填し
たグラファイトロッド15を寝かせた状態で配置する。
このステージ11の側部には電子線源となる電子線源フ
ィラメント16が設けられており、この電子線源フィラ
メント16から放射された電子線はマグネット12,1
3の磁界によって曲げられて、原料粉末が充填されたグ
ラファイトロッド15に照射され、原料粉末を加熱す
る。
【0030】図2(b)参照 図2(b)は、グラファイトロッド15の概略的構成を
示す斜視図であり、例えば、外径Dが5mmで、長さL
が7mmのグラファイトロッドに軸方向に沿って内径d
が2.5mmの孔18を設けたものであり、この孔18
内に原料粉末を充填する。
【0031】次いで、製造工程を説明すると、まず、粒
径が2〜100nm、例えば、市販の粒径が約5nmの
ダイヤモンドナノ粒子と、粒径が2〜100nm、例え
ば、市販の粒径が約30nmのコバルト粒子とを計量
し、重量比においてダイヤモンド:コバルト=7:3に
なるように混合する。次いで、この混合粉末をエタノー
ルが入ったビーカーに入れ、例えば、1時間超音波分散
にかけたのち、ビーカーを加熱してエタノールを揮発さ
せることによって、原料粉末となる高分散混合粉末を形
成する。
【0032】次いで、この原料粉末を図2(b)に示し
たグラファイトロッド15に設けた孔18内に、例え
ば、20mg充填したのち、このグラファイトロッド1
5を、直径が10mmで深さが5mmのグラファイトル
ツボ14内に寝かせた状態で配置する。
【0033】次いで、2.5×10-3Paより高真空度
の真空中において、電子線源フィラメント16に電流を
流し、エミッションカレントを測定することによって電
子線17の照射量を制御ながらグラファイトロッド15
に照射し、原料粉末中のダイヤモンドナノ粒子を熱変成
することによってカーボンカプセルを形成する。なお、
この場合の照射条件は、熱処理温度が、例えば、600
℃になるようにエミッションカレントが約1mAになる
ように制御し、この状態で、例えば、30分間熱処理を
行う。
【0034】この様な熱処理によって、グラファイトロ
ッド15に設けた孔18内に粉末状のカーボンカプセル
が形成される。この場合のカーボンカプセルは、透過型
電子顕微鏡によって観察した結果、粒径は30nmであ
り、約3nm程度の均一な厚さのグラファイト層で被覆
されているのが確認された。
【0035】また、カーボンカプセル以外には、カーボ
ンオニオンと呼ばれる5nm程度の粒径の炭素の微粒子
も形成されるが、それ以外の生成物は殆ど見られなかっ
た。なお、このカーボンオニオンは、カプセルの形成に
関与しなかったダイヤモンダナノ粒子がグラファイト化
した結果生成されるものである。
【0036】図3参照 図3は、得られたカーボンカプセルのX線回折パターン
の説明図であり、fcc(面心立方)構造のβ−Coの
X線回折パターン及び六方晶系グラファイトのX線回折
パターンも合わせて示している。なお、β−CoのX線
回折パターン及び六方晶系グラファイトのX線回折パタ
ーンにおいては、既知の所定の結晶面の間隔を回折角2
θに変換して表示している。
【0037】図において、カーボンカプセルのX線回折
パターンと六方晶系グラファイトのX線回折パターンと
を対比することによって、カーボンカプセルのX線回折
パターンにおける26.3°近傍の幅広いピークは六方
晶系グラファイトのX線回折パターンにおける(00
2)面からの回折X線に相当することが理解される。
【0038】また、カーボンカプセルのX線回折パター
ンとβ−CoのX線回折パターンとを対比することによ
って、カーボンカプセルのX線回折パターンにおける4
4.3°と51.6°の2つのピークは、夫々β−Co
のX線回折パターンにおける(111)面及び(20
0)面からの回折X線に相当することが理解される。
【0039】また、ダイヤモンドナノ粒子のみをアニー
ルした場合には、グラファイト化されてカーボンオニオ
ンが形成されることが知られているが、本発明の熱処理
においてもカーボンオニオンが付随的に生成されたとい
う事実は、触媒作用の強いCo粒子にダイヤモンドナノ
粒子が接触することによって薄い被覆層としてグラファ
イト化され、残りがカーボンオニオンになったものと考
えられる。したがって、コバルトナノ粒子を被覆するグ
ラファイト層の厚さは、ダイヤモンドナノ粒子のサイズ
にほぼ等しくなるものと考えられる。
【0040】この様に、本発明の第1の実施の形態にお
いては、グラファイト源として化学的に活性なダイヤモ
ンドナノ粒子を用いているので、金属炭化物やカーボン
ナノチューブ等の不所望な生成物を生成することなく、
また、この様なダイヤモンドナノ粒子は入手が容易であ
るので、特殊なマイクロポーラスカーボン等を用いた場
合に比べて大量生産化が容易になる。
【0041】また、内包される物質の原料として、最初
からサイズの揃ったコバルトナノ粒子を用いているの
で、サイズの揃った微小サイズのカーボンカプセルを再
現性良く製造することが可能になる。
【0042】また、上述のように、Coはグラファイト
化の際の活性な触媒であるので、内包される物質の原料
として、触媒作用の強いコバルトナノ粒子を用いること
によって、熱処理温度の低温化が可能になる。
【0043】また、グラファイト層の層厚は、原料粉末
中のダイヤモンドナノ結晶のサイズとほぼ等しくなるの
で、グラファイト層の層厚を任意に制御することができ
るので、強磁性体粒子の相互作用を任意に制御すること
が可能になる。
【0044】次に、図4を参照して、本発明の第2の実
施の形態のカーボンカプセルの製造工程を説明する。 図4(a)参照 図4(a)は、第2の実施の形態に用いる製造装置の概
略的構成図であり、原料粉末を充填したガラス管23、
ガラス管23を搭載するセラミックボート22、セラミ
ックボート22を収容する石英管21、及び、石英管2
1を覆い、石英管21を介して原料粉末を充填したガラ
ス管23を抵抗加熱する開閉式管状電気炉24によって
構成される。この石英管21の一端はガス導入管27の
挿入されたシリコーンゴム栓25によって閉管されると
ともに、他端にもシリコーンゴム栓26が設けられ、こ
のシリコーンゴム栓26には排気用のガス排出管28が
挿入されている。
【0045】図4(b)参照 図4(b)は、ガラス管23の概略的構成を示す斜視図
であり、このガラス管23は、外径Dが6mm、内径d
が4mm、長さLが30mmであり、孔30内に原料粉
末が収納される。
【0046】次に、製造工程を説明すると、上記の第1
の実施の形態と同様に形成した高分散混合粉末20mg
を、原料粉末としてガラス管23の孔30内に収納し、
このガラス管23をセラミックボート22に搭載させ、
石英管21に収容するとともに、一端に設けたシリコー
ンゴム栓25に挿入されたガス導入管27を介して石英
管21内に窒素ガス29を導入する。この様に石英管2
1内に窒素ガス29を流しながら、ガス排出管28によ
って排気系へ排出した状態において、開閉式管状電気炉
24によって、500℃〜1200℃、例えば、600
℃において、5〜2000分、例えば、60分間熱処理
することによってカーボンカプセルを形成する。
【0047】この場合、熱処理の結果得られたカーボン
カプセルは、上記の第1の実施の形態と同様に、粉末状
のカーボンカプセルであり、その特性・状態は上記の第
1の実施の形態のカーボンカプセルと同様である。
【0048】この様に、本発明の第2の実施の形態にお
いては、通常の熱処理装置等を用いて製造することがで
きるので、大量生産化が可能になる。
【0049】次に、図5を参照して、本発明の第3の実
施の形態のカーボンカプセルの製造工程を説明する。 図5参照 図5は、第3の実施の形態に用いるプラチナセルの概略
的構成図であり、このプラチナセル31は、例えば、外
径Dが8mm、高さHが10mmであり、孔32内に原
料粉末が収納され、この原料粉末が収納されたプラチナ
セル31が、市販のランプアニール装置(図示せず)内
に挿入される。
【0050】次に、製造工程を説明すると、上記の第1
の実施の形態と同様に形成した高分散混合粉末20mg
を、原料粉末としてプラチナセル31の孔32内に収納
し、ランプアニール装置内において窒素ガス雰囲気中に
おいて、500℃〜1500℃、例えば、600℃にお
いて、5秒〜60分、例えば、10秒間熱処理すること
によってカーボンカプセルを形成する。
【0051】この場合、熱処理の結果得られたカーボン
カプセルは、上記の第1の実施の形態と同様に、粉末状
のカーボンカプセルであり、その特性・状態は上記の第
1の実施の形態のカーボンカプセルと同様である。
【0052】この様に、本発明の第3の実施の形態にお
いては、市販のランプアニール装置を用いて製造するこ
とができるので、製造が容易であり、大量生産化が可能
になる。さらに、超短時間熱処理が可能であるため、コ
バルトナノ粒子同士の接合成長をさらに抑制することが
できる。
【0053】以上、本発明の各実施の形態を説明してき
たが、本発明は実施の形態に記載した構成・条件に限ら
れるものではなく、各種の変更が可能である。例えば、
上記の各実施の形態において用いた製造装置の大きさは
全く任意のものであり、記載している大きさに限定され
るものではないことは言うまでもない。
【0054】また、上記の各実施の形態においては、グ
ラファイト層を形成するための原料としては、ダイヤモ
ンドナノ粒子を用いているが、ダイヤモンドナノ粒子に
限られるものではなく、アモルファスカーボン、グラフ
ァイト、或いは、フラーレン等の他の炭素のナノ粒子を
用いても良いものである。
【0055】また、上記の各実施の形態においては、カ
ーボンカプセル内に内包する物質としてCoを用いてい
るが、Coに限られるものではなく、FeやNiを用い
て良く、この様なFe族元素は炭素のグラファイト化に
おいて活性な触媒となるので、Coと同様なカプセル化
が可能になる。或いは、CoNi,NiFe等のFe元
素の合金を用いても良いものである。
【0056】さらに、カーボンカプセル内に内包する物
質はFe族元素に限られるものではなく、安定な炭化物
を形成しない元素であれば良く、例えば、Ti等の安定
な炭化物を形成する物質は、熱処理において炭化物を形
成して、表面を被覆するグラファイト層を形成しないの
で不適当である。
【0057】また、上記の各実施の形態の説明において
は、カーボンカプセルの製造工程として説明している
が、得られたカーボンカプセルは、均一な厚さのグラフ
ァイト層で被覆されているので、磁性体粒子間の相互作
用を効果的に低減することができ、この様なカーボンカ
プセルを用いて磁気記録媒体を構成した場合には、媒体
ノイズを低減することができる。
【0058】また、本発明のカーボンカプセルは、サイ
ズの揃った微小サイズのカーボンナノカプセルとして得
られるので、次世代ハードディスク等の超高密度磁気記
録媒体の作製が可能になる。
【0059】また、上記の第2及び第3の実施の形態に
おいては、熱処理を窒素雰囲気中で行っているが、Ar
等の他の不活性ガス雰囲気中で行っても良いものであ
る。特に、第2の実施の形態の場合には、真空中で熱処
理を行っても良いものであり、その場合には、シリコー
ンゴム栓25にガス導入管27を設けずに、シリコーン
ゴム栓25で石英管21を閉管し、他端のガス排出管2
8から真空引きを行いながら熱処理を行えば良い。
【0060】また、上記の各実施の形態においては、最
高温度としては、グラファイトロッド、ガラス管、或い
は、プラチナセル等の治具の融解限界温度まで可能であ
るが、粒径の小さな、例えば、10nm以下のダイヤモ
ンドナノ粒子を用いた場合には、800℃以下の低温で
カーボンカプセルを形成することができるので、コバル
トナノ粒子同士の接合成長をより抑制することができ
る。なお、カーボンカプセルを形成するための下限温度
は500℃となる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、カーボンカプセルを形
成する際に、グラファイト源として化学的に非常に活性
な炭素のナノ粒子、特に、ダイヤモンドナノ粒子を用い
ているので、従来より低温で、均一で且つ薄いグラファ
イト層で被覆されたカーボンカプセルを得ることがで
き、また、サイズの揃った微小サイズのカーボンナノカ
プセルを再現性良く製造することができるので、超高密
度磁気記録媒体等の磁気記録技術分野の発展に寄与する
ところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に用いる製造装置の
概略的構成図である。
【図3】カーボンカプセルのX線回折パターンの説明図
である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に用いる製造装置の
概略的構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に用いるプラチナセ
ルの概略的構成図である。
【符号の説明】
1 内包する物質のナノ粒子 2 炭素のナノ粒子 3 グラファイト層 4 カーボンカプセル 11 ステージ 12 マグネット 13 マグネット 14 グラファイトルツボ 15 グラファイトロッド 16 電子線源フィラメント 17 電子線 18 孔 21 石英管 22 セラミックボート 23 ガラス管 24 開閉式管状電気炉 25 シリコーンゴム栓 26 シリコーンゴム栓 27 ガス導入管 28 ガス排出管 29 窒素ガス 30 孔 31 プラチナセル 32 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/047 H01F 1/06 J (72)発明者 藤井 稔 兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 神戸大 学内 (72)発明者 ▲富▼田 知志 兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 神戸大 学内 (72)発明者 山本 恵一 兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 神戸大 学内 Fターム(参考) 4G046 CA00 CB02 CB08 CC02 CC03 CC05 EA05 EA06 EB03 EB04 EB10 EC02 EC05 4K018 BA04 BA05 BA13 BA18 BB05 BC02 BC28 BD02 5E040 AA11 AA14 BC01 CA06 HB11 NN05 NN18

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内包する物質のナノ粒子と炭素の粒子と
    を混合し、熱処理することによって内包する物質のナノ
    粒子を炭素のナノ粒子が変成したグラファイト層によっ
    て被覆することを特徴とするカーボンカプセルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記炭素のナノ粒子が、ダイヤモンドナ
    ノ粒子であることを特徴とする請求項1記載のカーボン
    カプセルの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記ダイヤモンドナノ粒子の直径が、1
    0nm以下であることを特徴とする請求項2記載のカー
    ボンカプセルの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記内包する物質が、強磁性体であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    カーボンカプセルの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記内包する物質のナノ粒子と炭素のナ
    ノ粒子をグラファイトロッドに設けた孔に充填したの
    ち、真空中で電子線を照射することにより熱処理するこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    カーボンカプセルの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記内包する物質のナノ粒子と炭素のナ
    ノ粒子をガラス管内に収納したのち、真空中或いは不活
    性ガス雰囲気中で管状電気炉により熱処理することを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカーボ
    ンカプセルの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記内包する物質のナノ粒子と炭素のナ
    ノ粒子をプラチナセル内に収納したのち、不活性ガス雰
    囲気中でランプアニール装置により熱処理することを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカーボ
    ンカプセルの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記熱処理温度が、800℃以下である
    ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載
    のカーボンカプセルの製造方法。
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