JP3711384B2 - カーボンナノチューブ集合体配列膜及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ集合体配列膜及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス、金属、セラミックスなどの耐熱性を有する各種基板材料の表面上にカーボンナノチューブ(以下、CNTとも呼ぶ)のカーボンナノチューブ集合体配列膜、その製造方法、カーボンナノチューブ集合体配列膜の形状を制御する方法、及び電極用カーボンナノチューブ集合体配列膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、炭素の同素体であり、単層グラフフアイトであるグラフエンを丸めた材料であり、直径が約0.5nm乃至10nmで、長さが約数μmの微細な材料である。冷陰極を初め半導体超集積回路や繊維素材、水素吸蔵体などの広範囲にわたる用途が知られており、将来性の材料として期待されているものである。
カーボンナノチューブの製法としては、炭素棒を電極に用いて減圧下にアーク放電により炭素棒の表面にカーボンナノチューブを成長させる方法、炭素とコバルトなどの触媒金属を混合した混合物にレーザー照射を行い、炭素を蒸発させて冷却した針状物の上にカーボンナノチューブを成長させることが、知られている(以下,CVD法ともいう)。この場合、得られるカーボンナノチューブは、基板上にランダムに存在する。
CVD法によりカーボンナノチューブ(CNT)を調製する場合、Fe、Ni、Coなどの薄膜あるいはその直径が数十nmのCoなどの金属微粒子を成長触媒として、プラズマ照射によりメタンガスを炭素源としてカーボンナノチューブをアルミナやシリコンなどの基板上に付着させ、カーボンナノチューブが調製されてきた(Chemical Physics Letters 272 (1977) 178―182)。
得られるカーボンナノチューブは、基板上にランダムに存在する。電場を利用することにより、基板に平行、45゜、垂直の状態で形成が行われる(Appl.Phys.Lett.Vol.76,No17.24 April 2000 )。また、シリコン基板の表面に多孔質のSi層を形成し、気化した状態の鉄を、マスクを介して供給し、鉄の表面にCVD法によりカーボンナノチューブを形成することが行われている(SCIENCE 22 JANUARY 1999 VOL283 512)。
また、シリコンウエハの上に炭化ケイ素結晶をエピタキシャル成長させて、エッチング処理によりシリコンウエハから分離し、酸素を含む状態で高温として炭化ケイ素をカーボンナノチューブ変換することも知られている(特開2000−109308)。
従来、カーボンナノチューブ集合組織の形態を制御するためには、これらの触媒物質をマスキングやリソグラフィーといった技術を用いて基板表面上にパターンを形成して、カーボンナノチューブが基板の法線方向に対して平行に配列したナノユーブ集合組織が得るためのカーボンナノチューブの組織形態を制御することが研究されてきた。これらの方法は、工程が多工程になることを避けることができず、また、装置も大掛かりになるものである。このことから、マスキングやリソグラフィーといった技術を用いずに、基板上のカーボンナノチューブ配列膜の組織形態を制御する方法が必要とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、カーボンナノチューブが円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであるカーボンナノチューブのサイズが、従来知られている直径は50nmであり、本発明では50nm以下(50nmを除く)であり、面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、かつ円錐状物質を形成しているカーボンナノチューブ集合体配列膜、カーボンナノチューブ集合体配列膜が、Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に得られるものであるカーボンナノチューブ集合体配列膜、シリコン、金属、導電性セラミックスなどの導電性を有する各種基板材料の表面上に、カーボンナノチューブを形成する際に、従来この種の分野で用いられてきた煩雑な手段であるマスキングやリソグラフィーといった技術を用いることなく、直接基板上に形成されたカーボンナノチューブの凝集体からなる集合体配列膜及びその製造方法を提供することである。また、カーボンナノチューブの円錐状物質の直径、密に成長・凝集させる面密度についてカーボンナノチューブ集合体配列膜の形状を制御する方法を提供することである。また、カーボンナノチューブ集合体配列膜、集合体配列の円錐状物質は電子放出素子の電極用、フィールドエミッションディスプレイの電極用として用いることができるカーボンナノチューブ集合体配列膜、集合体配列のカーボンナノチューブ円錐状物質を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題について鋭意研究し、カーボンナノチューブが円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであるカーボンナノチューブのサイズが、従来知られている直径は50nmであり、本発明のカーボンナノチューブは50nm以下(50nmを除く)のものとして得られ、今回得られたカーボンナノチューブの直径20nmのものである。また、その面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、また円錐状物質を形成しているものであり、かつ円錐状物質を形成しており、その直径が1.5μm程度までの短い形状を有するカーボンナノチューブ集合体配列膜を得る事ができた。なお、従来はカーボンナノチューブが円錐状物質を形成することは知られていなかったものである。このことから明らかなように、前記の形状のカーボンナノチューブ及び面密度であり、かつ円錐状物質を形成しているカーボンナノチューブ集合体配列膜を、今回発明者らが始めて見出したものである。
すなわち、従来ハステロイやステンレスなどの合金基板、またはNiなどの単成分系基板上に熱フィラメントを併用したDCプラズマアシストCVD法で得られたカーボンナノチューブの直径は、最小の物でも約50nmであった。これに対して、二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に、円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られたカーボンナノチューブのサイズは、従来知られているものより短い直径約20nmのものを得る事ができた。これは、従来のものより半分以下の直径のカーボンナノチューブを調製することができたものであることを確認している。そして、この値は実験を継続していくことによりさらに低い値となるものと考えられる。
更に、従来の基板上に得られたカーボンナノチューブの面密度、例えばハステロイ合金基板上に直接に熱フィラメントを併用したDCプラズマアシストCVD法で成長させたカーボンナノチューブの面密度は、6.0〜10.0×107本/mm2である。これにたいして、Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に得られるカーボンナノチューブの面密度は、0.5〜3.0×109本/mm2であり、従来の物より最大約50倍の面密度でカーボンナノチューブを得ることができた。かつ、カーボンナノチューブは、円錐状物質を形成しており、その直径が1.5μm程度までの短い形状を有するカーボンナノチューブ集合体配列膜をえたものである。
また、カーボンナノチューブの成長触媒として働くことが知られているNi、Co、Feなどの金属と、カーボンナノチューブの成長触媒として作用しないMo、W、Taから成る二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法によってガラス、金属、セラミックスなどの耐熱性を有する各種基板上に堆積させた後に、この表面を、カーボンナノチューブの成長基板として利用して、プラズマアシストCVD法によるカーボンナノチューブを製造すると、得られるカーボンナノチューブは、従来の基板を用いる場合には見られない状態である、直径50nm以下(50nmを除く)であり、面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、かつ円錐状物質を形成しており、その直径が1.5μm程度、さらにはこれ以下の形状を有するカーボンナノチューブ集合体配列膜であり、カーボンナノチューブが円錐状に蓄積されている状態である、円錐状物質が蜜に成長した状態で得られる。このようにして得られる円錐状の物質は、カーボンナノチューブが凝集したものであり、自己組織化した状態で得られることを見出した。このような円錐状のカーボンナノチューブが凝集された自己組織化された膜は、きわめて良好な特性が得られるので、電極に用いる場合には、大変に好ましいことであり、寿命の延長が可能となる材料となる。また、希望するカーボンナノチューブの形状や密度について、コンポジット成分の制御及び堆積時間を制御することにより、得られる円錐状の物質を希望する範囲に制御できることを見出した。
また、前記のカーボンナノチューブ集合体配列膜が、電子放出素子の電極用、又はフィールドエミッションディスプレイの電極用として有効な材料であることを見出した。
【0005】
本発明によると、以下の発明が提供される。
(1)カーボンナノチューブが円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであるカーボンナノチューブのサイズが、直径50nm以下(50nmを除く)であり、面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、かつ円錐状物質を形成していることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜。
(2)Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に得られるものであることを特徴とする(1)記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜。
(3)Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法により基板上に堆積させた後に、炭化水素ガスをプラズマアシストCVD法により処理し、カーボンナノチューブを円錐状物質として、密に面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲で成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜。
(4)得られるカーボンナノチューブが円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであるカーボンナノチューブのサイズが直径50nm以下(50nmを除く)であり、面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、また円錐状物質を形成していることを特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜。
(5)カーボンナノチューブの成長触媒がNi、Co、Feから選ばれる金属であり、カーボンナノチューブの成長触媒として作用しない金属元素が、Mo、W、Taから選ばれる二次元コンポジット薄膜であることを特徴とする(3)記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜
(6)Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic%である(Ni-Mo系コンポジット薄膜であることを特徴とする(3)または(5)記載のいずれかである カーボンナノチューブ集合体配列膜。
(7)Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法により基板上に堆積させた後に、炭化水素ガスをプラズマアシストCVD法により処理し、カーボンナノチューブを円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態のカーボンナノチューブ集合体配列膜を製造することを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜の製造方法。
(8)カーボンナノチューブの成長触媒がNi、Co、Feから選ばれる金属であり、カーボンナノチューブの成長触媒として作用しない金属元素が、Mo、W、Taから選ばれる二次元コンポジット薄膜であることを特徴とする(7)記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜の製造方法。
(9)Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic%であるNi-Mo系コンポジット薄膜であることを特徴とする(7)乃至(8)記載のいずれかである カーボンナノチューブ集合体配列膜の製造方法。
(10)Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法により基板上に堆積させた後に、炭化水素ガスをプラズマアシストCVD法により処理し、カーボンナノチューブ円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態のカーボンナノチューブ集合体配列膜の形状を制御する方法において、二次元コンポジットの成分及び組成割合を特定するとともに、堆積時間を調節することを特徴とするカーボンナノチューブを円錐状物質の直径、密に成長・凝集させる面密度についてカーボンナノチューブ集合体配列膜の形状を制御する方法。
(11)電子放出素子の電極用、又はフィールドエミッションディスプレイの電極用である請求項1乃至6いずれか記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜。
【0006】
【発明の実施の形態及び実施例】
本発明では、ガラス、金属、セラミックスなどの耐熱性を有する各種基板を用いることができる。
具体的には、シリコン板、ハステロイ合金板、ステンレス板、石英ガラス板などを用いることができる。
この基板の上に、Ni、Co、Feなどの金属とMo、W、Taから成る金属を、同時に、スパッタリング法によって、二元系のコンポジット薄膜を形成する。コンポジットには、Mo−Ni、Mo―Co、Mo−Fe、W−Ni、W−Co、W−Fe、Ta−Ni、Ta−Co、Ta−Feの組み合わせが採用される。これらの組成比は適宜変更して用いることができる。例えば、Ni−Moでは以下のようにその組成比を変更して用いることができる。
A: Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic% (Ni-Mo系コンポジット薄膜)
B: Ni 34 atomic% - Mo 66 atomic% (Ni-Mo系コンポジット薄膜)
これらは後に記載するように、得られるカーボンナノチューブ集合体配列膜の性状を変化させることができ、この観点から特定のカーボンナノチューブ集合体配列膜の性状を得ようとするのであれば、Ni−Moの組成比を変更させて所望のカーボンナノチューブ集合体配列膜の性状の制御が可能となる。
【0007】
二次元系のコンポジット薄膜を形成するために、以下の方法を採用する。
高周波マグネトロンスパッタ法によりカーボンナノチューブの成長基板を作製する。
特定の直径のMoターゲット上にNiの金属板を複数枚、同心円状に載せ、それらとは離れて設置されているシリコーンウエハの上にコンポジット膜を堆積させることができる。
コンポジット薄膜のNiとMo間の組成は、Moターゲット上に載せるNi板の数を変えることでコントロールすることができる。コンポジットの組成は、蛍光X線分析により評価する。
2元系コンポジット薄膜の作製は、高周波マグネトロンスパッタ法のほかパルスレーザーデポジション法をはじめ種々の物理蒸着法によって行うことも可能である。
【0008】
上記工程の実施例の手順は以下の通りであった。
高周波マグネトロンスパッタ法によりカーボンナノチューブの成長基板を作製した。まず直径100mmのMoターゲット上に5×15mm、厚さ1mmのNiの金属板を同心円状に3枚から12枚載せて、シリコンウェハー上にコンポジット膜を堆積させた。コンポジット薄膜のNiとMo間の組成は、Moターゲット上に載せるNi板の数を変えることでコントロールした。コンポジットの組成は、蛍光X線分析により評価した。
【0009】
本発明者らは、以下のコンポジット薄膜を、作製した。
A: Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic% (Ni-Mo系コンポジット薄膜)
B: Ni 34 atomic% - Mo 66 atomic% (Ni-Mo系コンポジット薄膜)
C: Ni 0 atomic% - Mo 100 atomic% (純Mo薄膜)
D: Ni 100 atomic% - Mo 0 atomic% (純Ni薄膜)
【0010】
このようにして得られるコンポジット薄膜の基板上に、以下の装置に従ってプラズマアシストCVD法によりカーボンナノチューブの蓄積を行う。装置の概要は図5に示すとおりである。
真空条件下に、原料ガスとしてメタンガスなどの炭化水素ガスを供給し、炭化水素ガスをプラズマと接触させる。その際に、熱フイラメントによる加熱を併用する。メタンガスを分解させて、ホルダーの上に載置されている、薄膜を有する基板の表面にカーボンナノチューブを成長させる。
熱フィラメントを併用したDCプラズマアシストCVD法での蒸着は、一般には以下の条件のもとで行われる。
加熱フイラメントには、例えば、タングステン材料からなるコイル状のものが使用される。
フィラメント電流としては、4.5―5.5 Aの範囲であり、バイアス電圧により付加される装置が用いられる。
プラズマアシストCVD法には、前記熱フィラメントを併用するものの他に、プラズマの発生源としてDC(直流)およびマイクロ波を用いたもの等があり、これらの装置を用いることによっても、本発明のカーボンナノチューブ集合体配列膜を得る事ができる。
また、装置内へ供給するガスは、メタン−窒素混合ガスが使用される。メタンガス濃度は3%(ガス総供給量200ccm、そのうちメタン:6ccm, 窒素:194ccm:ガスはチャンバーに導入する前に混合して導入)から8%(総ガス供給量200ccmのうちメタン16ccm, 窒素184ccm)の範囲である。炭素ガス濃度を増大させると、ナノチューブの成長速度を速くすることも可能である。
【0011】
熱フィラメントを併用したDCプラズマアシストCVD法での蒸着条件の実施例データをあげると以下の通りである。
・熱フィラメント(タングステン製。ワイヤー直径0.5mm。直径約4mm−25巻のコイル状)への通電電流値:5A
・プラズマ電流:100mA
・バイアス電圧:約350V
・雰囲気:メタンガス濃度5%
・雰囲気圧:約13Torrに維持
【0012】
前記の装置を用い、前記の条件により処理することによって60分間堆積させたカーボンナノチューブが基板上に付着した状態を示すFE-SEM写真を示すと以下の通りである(図1)。この図は基板組成と生成物の形態との関係を示している。A,B、C,Dは、各基板を表している。
A: Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic% (Ni-Mo系コンポジット薄膜)
B: Ni 34 atomic% - Mo 66 atomic% (Ni-Mo系コンポジット薄膜)
C: Ni 0 atomic% - Mo 100 atomic% (純Mo薄膜)
D: Ni 100 atomic% - Mo 0 atomic% (純Ni薄膜)
基板A上には、カーボンナノチューブ円錐状物質が密に成長していることを示している(図A-a)。
拡大写真を見てみると、これらの円錐状物質は、直径約20nmのカーボンナノチューブが凝集(自己組織化)したものであることがわかる(図A-b)。
基板Bには、カーボンナノチューブが卵形の状態で疎に成長していることを示している(図B-a)。拡大写真を見てみると、これらの卵形物質は、カーボンナノチューブが直径約20nmのカーボンナノチューブ自己組織体であることがわかる(図B-b)。
基板C(図C)、D(図D)上には、基板A、BでみられたようなCNT自己組織体は全く観察されなかった。
以上の結果から、生成物の形態、密度は、Ni-Moナノコンポジット基板の組成と深く関係しており、特定の好ましい形態のカーボンナノチューブ集合体は、Ni-Moナノコンポジット基板を使用したときにのみに得られることを示している。
【0013】
前記で好ましいとされたA(Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic% の組成のNi-Mo系コンポジットを堆積させたシリコン基板)上に、CVD法により堆積時間をながくした場合のカーボンナノチューブが円錐状に蓄積されている状態を示す、FE-SEM写真である(図2)。
この図は生成物のサイズと蒸着時間との関係を示している
a 10分蒸着
b 20分蒸着
c 30分蒸着
d 60分蒸着
どの蒸着条件でも、円錐状(コーン状)に成長していることがわかる。しかし、それらのサイズや面密度は蒸着時間により変化している。時間をながくすることにより、大きな円錐状の蓄積物を得られることがわかる。
従来ハステロイやステンレスなどの合金基板、またはNiなどの単成分系基板上に熱フィラメントを併用したDCプラズマアシストCVD法で得られたカーボンナノチューブの直径は、最小の物でも約50nmであった。これに対して、二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に、円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られたカーボンナノチューブのサイズは、直径約20nmのものである。このように、本発明により、従来のものより半分以下の直径のカーボンナノチューブを調製することが可能である。そして、これらは、反応条件によりさらに細いものを得ることができる。
更に、従来の基板上に得られたカーボンナノチューブの面密度、例えばハステロイ合金基板上に直接に熱フィラメントを併用したDCプラズマアシストCVD法で成長させたカーボンナノチューブの面密度は、6.0~10.0×107本/mm2である。これにたいして、二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に得られるカーボンナノチューブの面密度は、0.5~3.0×109本/mm2であり、従来の物より最大約50倍の面密度でカーボンナノチューブを得ることができた。またカーボンナンノにより形成される円錐状物質の直径が1.5μm以下の形状を有するものである。この結果から、カーボンナノチューブの直径、面密度、円錐状の生成物のサイズは蒸着時間を変化させることでコントロールすることができることが分かる。
【0014】
図1Aに示した円錐状物質を透過電子顕微鏡で観察した結果を示すと、図3に示したとおりである。円錐状物質はカーボンナノチューブにより構成されており、カーボンナノチューブの先端には、微粒子が観察される。これは、Ni-Mo系コンポジット薄膜に起因する微粒子が含まれていることを示している。これはカーボンナノチューブの成長触媒であると考えられる。
【0015】
図4は、円錐状物質を構成するナノチューブの透過電子顕微鏡写真、ナノチューブの先端に位置する粒子の電子線回折像ならびにEDS測定の結果を示す図である。
透過電子顕微鏡写真より円錐状物質を構成するカーボンナノチューブは多層のカーボンナノチューブであることが分かる。また、電子線回折像ならびにEDS測定結果から、ナノチューブ先端に含まれる粒子はNiでありMoは全く含まれていないことが明らかとなった。
【0016】
本発明で得られる、生成物は、カーボンナノチューブからなる円錐状物質であり、蜜に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものである。このような円錐状のカーボンナノチューブが凝集された自己組織化された膜は、きわめて良好な特性が得られるしたがって、このような集合体配列の円錐状物質は電子放出素子の電極、フィールドエミッションディスプレイの電極として利用できる。特にナノチューブが凝集して円錐状組織構造を形成していることから、従来問題とされている電極の寿命が大幅に改善されるものである。
【0017】
【発明の効果】
本発明で得られるカーボンナノチューブ集合体配列膜のカーボンナノチューブは、円錐状をしており、かつ面密度も高い状態で得られる。カーボンナノチューブのサイズが、直径50nm以下(50nmを除く)以下であり、面密度が0.5~3.0×109本/mm2の範囲にあり、また円錐状物質の直径が1.5μm以下の形状を有することを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜が得られる。
円錐状の物質は、カーボンナノチューブが凝集したものであり、自己組織化した状態で得られる。このような円錐状のカーボンナノチューブが凝集された自己組織化された膜は、きわめて良好な特性が得られるしたがって、このような集合体配列の円錐状物質は電子放出素子の電極、フィールドエミッションディスプレイの電極として利用できる。特にナノチューブが凝集して円錐状組織構造を形成していることから、従来問題とされている電極の寿命が大幅に改善されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】60分間堆積させたカーボンナノチューブのFE-SEM観察結果を示す図
【図2】 62 atomic% - Mo 38 atomic% の組成のNi-Mo系コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上にCVD法により種々の時間堆積させたカーボンナノチューブのFE-SEM観察結果を示す図
【図3】円錐状物質の透過電子顕微鏡観察結果を示す図
【図4】円錐状物質を構成するナノチューブの透過電子顕微鏡観察結果を示す図
【図5】プラズマアシストCVD法によりカーボンナノチューブの蓄積を行う装置を示す図

Claims (11)

  1. カーボンナノチューブが円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであるカーボンナノチューブのサイズが、直径50nm以下(50nmを除く)であり、面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、かつ円錐状物質を形成していることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜。
  2. Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を堆積させたシリコン基板上に得られるものであることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜。
  3. Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法により基板上に堆積させた後に、炭化水素ガスをプラズマアシストCVD法により処理し、カーボンナノチューブを円錐状物質として、密に面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲で成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜。
  4. 得られるカーボンナノチューブが円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態で得られものであるカーボンナノチューブのサイズが直径50nm以下(50nmを除く)であり、面密度が0.5〜3.0×109本/mm2の範囲にあり、また円錐状物質を形成していることを特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜。
  5. カーボンナノチューブの成長触媒がNi、Co、Feから選ばれる金属であり、カーボンナノチューブの成長触媒として作用しない金属元素が、Mo、W、Taから選ばれる二次元コンポジット薄膜であることを特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜
  6. Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic%である(Ni-Mo系コンポジット薄膜であることを特徴とする請求項3または5記載のいずれかである カーボンナノチューブ集合体配列膜。
  7. Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法により基板上に堆積させた後に、炭化水素ガスをプラズマアシストCVD法により処理し、カーボンナノチューブを円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態のカーボンナノチューブ集合体配列膜を製造することを特徴とするカーボンナノチューブ集合体配列膜の製造方法。
  8. カーボンナノチューブの成長触媒がNi、Co、Feから選ばれる金属であり、カーボンナノチューブの成長触媒として作用しない金属元素が、Mo、W、Taから選ばれる二次元コンポジット薄膜であることを特徴とする請求項7記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜の製造方法。
  9. Ni 62 atomic% - Mo 38 atomic%であるNi-Mo系コンポジット薄膜であることを特徴とする請求項7乃至8記載のいずれかである カーボンナノチューブ集合体配列膜の製造方法。
  10. Ni、Co及びFeから選ばれる金属とMo、W及びTaから選ばれる金属の組み合わせからなる二次元コンポジット薄膜を、同時スパッタリング法により基板上に堆積させた後に、炭化水素ガスをプラズマアシストCVD法により処理し、カーボンナノチューブを円錐状物質として、密に成長・凝集させ、自己組織化された状態のカーボンナノチューブ集合体配列膜の形状を制御する方法において、二次元コンポジットの成分及び組成割合を特定するとともに、堆積時間を調節することを特徴とするカーボンナノチューブ円錐状物質の直径、密に成長・凝集させる面密度についてカーボンナノチューブ集合体配列膜の形状を制御する方法。
  11. 電子放出素子の電極用、又はフィールドエミッションディスプレイの電極用である請求項1乃至6いずれか記載のカーボンナノチューブ集合体配列膜。」
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