JP2001011131A - 重合性金属塩化合物および重合性単量体混合物 - Google Patents

重合性金属塩化合物および重合性単量体混合物

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JP2001011131A
JP2001011131A JP2000155320A JP2000155320A JP2001011131A JP 2001011131 A JP2001011131 A JP 2001011131A JP 2000155320 A JP2000155320 A JP 2000155320A JP 2000155320 A JP2000155320 A JP 2000155320A JP 2001011131 A JP2001011131 A JP 2001011131A
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mol
acid
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Minoru Aoki
稔 青木
Shinzo Yasuda
信三 安田
Seiichi Tejima
成市 手嶋
Yoshinobu Asako
佳延 浅子
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工性(熱可塑性)および機械的・熱的
性質に優れた樹脂原料を提供する。 【解決手段】 重合性二重結合を持つと共に炭素数が5
以上の有機カルボン酸を主成分とする有機カルボン酸と
多価金属化合物を水不混和性溶媒中で反応させて合成し
た重合性金属塩化合物、および該重合性金属塩化合物お
よびビニル単量体からなり該重合性金属塩化合物の割合
が0.2〜10モル%の範囲となるように調製してなる
重合性単量体混合物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合性金属塩化合
物および重合性単量体混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭49−101359号公報には、
長鎖重合性カルボン酸のアルカリ金属塩を水、アルコー
ルなどの不活性溶媒中でAl、Cr、Ni、Co、Cu
から選ばれた多価金属塩と反応させることを特徴とする
多価金属を含有する重合性化合物の製造方法が開示され
ている。また、J.Appl.Polym.Sci.,
17,1941(1973)には、水溶液中での長鎖重
合性カルボン酸多価金属塩(Ca、Ba、Mg、Zn、
Cd)の合成の方法、長鎖重合性カルボン酸のZn塩、
Cd塩とメタクリル酸メチル(またはスチレン)、メタ
クリル酸ヒドロキシエチルとの共重合の方法が記載され
ている。こうした重合性化合物と他の重合性単量体との
共重合体は、物性上あるいは耐候性などに優れた特性を
持つほか、該金属塩に基づく特徴として該金属イオン特
有の色を有しており顔料として有用であるなど、成形材
料、顔料、塗料、接着剤などをはじめ、多くの用途に利
用できるとするものである。
【0003】しかしながら、こうした長鎖重合性カルボ
ン酸のアルカリ金属塩と多価金属塩との反応を水やアル
コールなどの不活性溶媒中で行った場合には、得られる
重合性金属塩の(メタ)アクリル酸エステル等のモノマ
ーに対する溶解性が低く、該重合性化合物とメタクリル
酸メチル(またはスチレン)、メタクリル酸ヒドロキシ
エチルなどの共重合性単量体との共重合による樹脂で
は、十分な成形加工性(熱可塑性)および機械的・熱的
性質の双方を達成することができないものであった。
【0004】また、特開昭56−74110号公報に
は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、重合性
不飽和カルボン酸の金属塩(Mg、Al、Sn、Pb、
Zn、Ce、Ti、Zr、Hf、V、Cr)と、別のコ
モノマーとからなるモノマー混合物を塊状でラジカル重
合することにより直接一作業段階でイオン架橋アクリル
樹脂を製造する方法が記載されている。
【0005】上記公報のうち、メタクリル酸メチルを主
成分とするメタクリル系樹脂は、機械的性質、耐熱性な
どの熱的性質にバランスがとれている反面、成形加工性
は必ずしも十分でなく、成形材料として有用な樹脂の製
造方法とはいえないものであった。
【0006】また、上記公報のうち、アクリル酸エチル
を主成分とするアクリルエラストマーは、耐熱性、耐オ
ゾン性、耐油性などに優れるが、これらのアクリルエラ
ストマー中のアクリル酸エステルに由来する単量体単位
は二重結合を有していないため、架橋点となる活性基を
有する単量体を共重合させることが従来から実施されて
おり、これらの架橋用単量体を含むアクリルエラストマ
ーは、加硫するのが一般的であるが、加硫後のアクリル
エラストマーは、加硫による三次元鎖を持つため熱可塑
性を示さないものであった。
【0007】また、特公平5−68519号公報や特開
平5−202345号公報においてアクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とするアク
リル系ホットメルト型粘着剤に関して種々の検討が行な
われているが、加熱溶融時の粘度特性と常温や高温にお
ける凝集力の両立が非常に困難であった。
【0008】したがって、優れた成形加工性と機械的性
質とを併せ持つ(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂を従来
の方法で得るのは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、重合性金属塩化合物および重合性単量体混合物
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、金属塩含有共重合体
の製造において、一作業段階で共重合を行うことなく、
事前に多価金属化合物と特定の重合性カルボン酸とを従
来の水混和性溶媒に代えて水不混和性溶媒を用いて反応
させて重合性金属塩化合物を合成することで該重合性金
属塩化合物が高収率で得られ、さらに重合系の組成物中
の該重合性金属塩化合物の割合を特定して共重合するこ
とにより金属塩含有効果をより大きくできることから、
得られる金属塩含有共重合体に熱可塑性(成形加工性)
と機械的・熱的性質の双方を付与できることを見出だ
し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至ったも
のである。
【0011】すなわち、本発明の目的は、(1) 重合
性二重結合を持つと共に炭素数が5以上の有機カルボン
酸を主成分とする有機カルボン酸と多価金属化合物を水
不混和性溶媒中で反応させて合成した重合性金属塩化合
物により達成される。
【0012】また、本発明の目的は、(2) 重合性二
重結合を持つと共に炭素数が5以上の有機カルボン酸
が、さらに分子内にカルボニル基をも有するものである
請求項1に記載の重合性金属塩化合物により達成され
る。
【0013】また、本発明の目的は、(3) 上記
(1)または(2)記載の重合性金属塩化合物およびビ
ニル単量体からなる重合性単量体混合物中の該重合性金
属塩化合物の割合が0.2〜10モル%の範囲となるよ
うに調製してなる重合性単量体混合物により達成され
る。
【0014】また、本発明の目的は、(4) ビニル単
量体が、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびスチ
レンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を
含むものである上記(3)記載の重合性単量体混合物に
より達成される。
【0015】また、本発明の目的は、(5) ビニル単
量体が、メタクリル酸メチルを主成分とするものである
上記(3)記載の重合性単量体混合物により達成され
る。
【0016】また、本発明の目的は、(6) ビニル単
量体が、該ビニル単量体から得られるポリマーのガラス
転移温度が−100〜20℃の範囲となるものである請
求項3記載の重合性単量体混合物により達成される。
【0017】また、本発明の目的は、(7) ビニル単
量体が、アクリル酸エチルを主成分とするものである上
記(3)記載の重合性単量体混合物により達成される。
【0018】また、本発明の目的は、(8) ビニル単
量体が、アクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル
酸2−エチルヘキシルを主成分とするものである上記
(3)記載の重合性単量体混合物により達成される。
【0019】さらに、上記目的を達成するための本発明
の構成を以下に詳述する。
【0020】
【発明の実施の形態】まず本発明における重合性金属塩
化合物(以下、重合性金属塩化合物(A)とも称す
る。)は、重合性二重結合を持つと共に炭素数が5以上
の有機カルボン酸を主成分とする有機カルボン酸(以
下、単に有機カルボン酸ともいう)と多価金属化合物を
水不混和性溶媒中で反応させて合成したものでなければ
ならない。
【0021】重合性二重結合を持つと共に炭素数が5以
上の有機カルボン酸としては、特に制限されるものでは
ないが、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、3−メチル
−3−ブテン酸、4−メチル−4−ペンテン酸、オレイ
ン酸、ケイ皮酸、3−ペンテン酸、3−メチル−4−ペ
ンテン酸、2−アクリロイル酢酸、3−アクリロイルプ
ロピオン酸、2−メタクリロイル酢酸、3−オキソ−5
−メチル−5−ヘキセン酸、3−オキソ−4−メチル−
4−ヘキセン酸、3−アクリロイルブタン酸、2−アク
リロイルアミノ酢酸、3−アクリロイルアミノプロピオ
ン酸、2−メタクリロイルアミノ酢酸、2−メタクリロ
イルアミノプロピオン酸、2−(2−ブテノイル)アミ
ノ酢酸、2−アクリロイルチオ酢酸、3−アクリロイル
チオプロピオン酸、2−メタクリロイルチオ酢酸、2−
メタクリロイルチオプロピオン酸、2−(2−ブテノイ
ル)チオ酢酸、2−アクリロイルオキシ酢酸、3−アク
リロイルオキシプロピオン酸、2−メタクリロイルオキ
シ酢酸、3−メタクリロイルオキシプロピオン酸、4−
メタクリロイルオキシシクロヘキサンカルボン酸、4−
メタクリロイルオキシ安息香酸、2−(2−ブテノイ
ル)オキシ酢酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク
酸、3−アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−メ
タクリロイルオキシエチルコハク酸、3−メタクリロイ
ルオキシプロピルコハク酸、2−アクリロイルオキシエ
チルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル
酸、2−(2−ブテノイル)オキシエチルコハク酸、
1,15−ジカルボキシ−4,9,12−トリオキサ−
3,8,13−トリオキソ−6−ペンタデケンなどが例
示される。
【0022】上に例示した化合物のうち、分子内にカル
ボニル基(>C=O)を有する不飽和カルボン酸が好ま
しく、さらには、それらの中でも分子内にエステル結合
を持つ不飽和カルボン酸がより好ましい。さらには、該
不飽和カルボン酸より合成される重合性多価金属塩化合
物のメタクリル酸メチルなどのモノマーに対する溶解性
が極めて優れているなどの理由から、OH基を持つビニ
ル化合物と酸無水物から合成されたものでかつ分子内に
2つ以上のエステル結合を有する不飽和カルボン酸が最
も好適に用いられる。
【0023】また、上記有機カルボン酸においては、重
合性二重結合を持つと共に炭素数が5以上の有機カルボ
ン酸を主成分として、この他にも多価金属化合物との間
で重合性金属塩化合物を形成することができる有機カル
ボン酸を含有していてもよく、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、ウンデセン酸な
どが挙げられる。
【0024】また、上記多価金属化合物としては、例え
ば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウ
ム、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、カドミウ
ム、アルミニウムなどの酸化物、水酸化物、ハロゲン化
物、酢酸塩あるいは硝酸塩などを挙げることができる。
なかでも、水酸化亜鉛を用いるのが好ましい。
【0025】さらに、上記水不混和性溶媒としては、例
えば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、ベンゼン、ブロムベンゼン、クロルベンゼ
ン、クロロホルムなどが挙げられる。なかでも、トルエ
ンを用いるのが好ましい。
【0026】また、上記重合性金属塩化合物(A)の合
成反応では、多価金属化合物を含む水不混和性溶媒中に
有機カルボン酸化合物を適量づつ添加して反応させるも
のである。かかる反応時の反応温度および圧力は、特に
制限されるものでなく、常温常圧下でよく、工業的に設
備などが簡単で安価であり、かつ比較的安全に行えるも
のであり、反応時間は、こうした反応温度、圧力に応じ
た反応速度や用いる組成物の種類、量により適宜決定さ
れる。
【0027】次に、本発明における重合性金属塩化合物
(A)およびビニル単量体(以下、ビニル単量体(B)
とも称する。)からなる重合性単量体混合物(以下、単
に重合性単量体混合物ともいう。)中の重合性金属塩化
合物(A)の割合は、0.2〜10モル%、好ましくは
0.5〜7モル%の範囲である。該重合性金属塩化合物
(A)の割合が、0.2モル%未満の場合には、多価金
属由来の耐熱性を保持し得ないなど好ましくなく、10
モル%を越える場合には、該重合性金属塩化合物(A)
がビニル単量体(B)に溶解しないという問題や重合中
に沈殿が起こるなどにより成形加工性や粘着特性が低下
するなど好ましくない。
【0028】続いて、本発明における重合性単量体混合
物中のビニル単量体(B)の割合は、上記重合性金属塩
化合物(A)の割合の裏返しであり、90.0〜99.
8モル%、好ましくは93.0〜99.5モル%の範囲
とすることが好ましい。該ビニル単量体(B)の割合が
90モル%未満の場合には、(メタ)アクリル系樹脂本
来の特性を維持できないため好ましくなく、99.8モ
ル%を越える場合には、重合性金属塩化合物(A)の成
分含有量が制限されるため、本発明の特徴である熱可塑
性と機械的強度の両立が図れないため好ましくない。
【0029】上記ビニル単量体(B)は、上記重合性金
属塩化合物(A)と共重合可能なものであれば特に制限
なく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)
アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸
オクタデシルおよび(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
エチルなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル化合
物、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
フェニルなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステル化
合物、エチレン、プロピレン、塩化ビニルなどのオレフ
ィン系の炭化水素またはこれらのハロゲン置換体、スチ
レン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどの1価のカルボン酸の
ビニルエステル化合物、(メタ)アリルアルコール、ク
ロトンアルコールなどの不飽和アルコール化合物、(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−
エチレン性不飽和カルボン酸化合物、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸などの不飽和二塩基カルボン酸、マレ
イン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノアリルエス
テルなどの1価のアルコールと不飽和二塩基カルボン酸
とのモノエステル化合物、ジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、マレ
イン酸ジアリルなどのポリビニル化合物、2(N,N−
ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2(N,N−ジ
メチルアミノ)エチルメタクリレート、2(N,N−ジ
エチルアミノ)エチルアクリレート、2(N,N−ジエ
チルアミノ)エチルメタクリレートなどのアミン化合
物、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビ
ニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−
エチル−5−ビニルピリジン、2−ビニル−5−エチル
ピリジン、2−ビニルキノリン、1−ビニルカルバゾー
ル、3−ビニルカルバゾール、1−メチル−3−ビニル
カルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリ
ミジン、1−メタクリロイルアジリジン、2−(1−ア
ジリジニル)エチルメタクリレート、4−アクリロイル
オキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4
−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,
6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリロイル
オキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジ
ン、9−アザ−3−アクリロイルオキシメチル−3−エ
チル−8,8,10,10−テトラメチル−1,5−ジ
オキサ−スピロ[5.5]ウンデカンなどの窒素原子含
有有機複素環化合物などを挙げることができ、これらの
中から1種または2種以上用いることができるが、好ま
しくは、(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル化合物を
主成分とし、ビニル単量体(B)中の該(メタ)アクリ
ル酸の脂肪族エステル化合物を除く他のビニル単量体
(B)の重合性単量体混合物中の割合は、0〜20モル
%、好ましくは0〜15モル%である。当該他のビニル
単量体(B)の割合が、20モル%を越える場合には、
(メタ)アクリル系樹脂の持つ特性を十分に発現するこ
とができないため好ましくないものである。さらに、よ
り好ましくは、こうした中からその使用用途に応じて適
宜選択されるものである。
【0030】すなわち、熱可塑性樹脂が、衝撃強度や表
面硬度などの機械的性質、耐熱性、成形加工性、透明性
などを要求される一般(汎用)の成形材料(構造体)に
用いられる場合には、比較的高いガラス転移温度(20
〜130℃)を有する、例えば、メタクリル酸メチル
(104℃)、メタクリル酸エチル(66℃)、メタク
リル酸n−プロピル(35℃)メタクリル酸イソプロピ
ル(81℃)、メタクリル酸t−ブチル(107℃)、
アクリル酸t−ブチル(43℃)、メタクリル酸sec
−ブチル(60℃)、メタクリル酸シクロヘキシル(6
6℃)、メタクリル酸ベンジル(54℃)、メタクリル
酸フェニル(110℃)、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル(55℃)、スチレンないしメチルスチレンなど
が望ましい。この場合、得られる成形材料(構造体)用
樹脂の耐候性や透明性および耐熱性と、成形加工性との
バランスなど本発明に係る成形材料(構造体)用の熱可
塑性樹脂としての基本特性を保持するために、(メタ)
アクリル系のエステル化合物が80〜100モル%の割
合で含まれることが好ましい。なかでも、メタクリル酸
メチルを主成分(50モル%以上)とすることが好まし
い。なお、上記ビニル単量体(B)の例示物質(モノマ
ー)の後のカッコ内の温度は、それぞれの例示物質によ
るホモポリマーのガラス転移温度(Tg)を示す。
【0031】熱可塑性樹脂がアクリルエラストマーや粘
着剤に用いられる場合には、ビニル単量体(B)が該ビ
ニル単量体(B)から得られるポリマーのガラス転移温
度が−100℃〜20℃の範囲となることが好ましい。
上記ビニル単量体(B)から得られるポリマーのガラス
転移温度は、ビニル単量体(B)がn成分(nは2以上
の整数)以上の混合物(成分1〜成分n)の場合のガラ
ス転移温度はFoxの式(1) 1/Tg=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +… …+Wn /Tgn …(1) (式中、Tgはビニル単量体(B)の混合物から得られ
るポリマーのガラス転移温度、Tg1 はビニル単量体
(B)の成分1のホモポリマーのガラス転移温度、Tg
2 はビニル単量体(B)の成分2のホモポリマーのガラ
ス転移温度、Tgnはビニル単量体(B)の成分nのホ
モポリマーのガラス転移温度を示す。また、W1 はビニ
ル単量体(B)の成分1の重量分率、W2 はビニル単量
体(B)の成分2の重量分率、Wn はビニル単量体
(B)の成分nの重量分率を示す。)で計算した結果を
用いる。
【0032】熱可塑性樹脂が、アクリルエラストマーの
有する引張強度や破断伸びなどの機械的性質を含む諸特
性を維持しつつ、さらに成形加工性を要求されるアクリ
ルエラストマーとして用いられる場合には、比較的低い
ガラス転移温度を有する、例えば、アクリル酸メチル
(8℃)、アクリル酸エチル(−24℃)、アクリル酸
イソプロピル(−3〜−6℃)ないしアクリル酸sec
−ブチル(−22℃)を主成分とするものなどが望まし
い。この場合、ビニル単量体(B)中には、アクリル酸
エチルが、50モル%以上、好ましくは80モル%以上
の割合で含まれることが好ましい。該成分の割合が50
モル%未満の場合には、得られるエラストマーの耐油
性、耐候性や機械的性質と、成形加工性とのバランスな
ど本発明に係るエラストマー(熱可塑性樹脂)としての
基本特性の保持が不十分となることがある。エラストマ
ーとして用いる場合には、上記ビニル単量体(B)から
得られるポリマーのガラス転移温度は、−70℃〜20
℃、好ましくは−50℃〜0℃の範囲が好ましい。20
℃を越えると、ゴム弾性を示さなくなることがあり、−
70℃未満の場合には、機械的強度が不十分になること
がある。
【0033】さらに、熱可塑性樹脂が常温での粘着力、
凝集力、タックなどの粘着特性、耐熱性、さらに加熱溶
融時の粘度特性などの要求される粘着剤として用いられ
る場合には、例えば、アクリル酸n−ブチルおよび/ま
たはアクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とするもの
が好ましく、これらの成分の割合が80モル%以上で含
まれることがさらに好ましい。該成分の割合が50モル
%未満の場合には、得られる樹脂の耐光性、耐候性、耐
久性、耐熱性、透明性、粘着性、タック性と保持力との
バランスなどの粘着特性、加熱溶融時の粘度特性など本
発明に係る粘着剤用の熱可塑性樹脂としての基本特性の
保持が不十分となることがある。
【0034】本発明における共重合は、公知の重合方法
を用いて行うことができるが、ラジカル重合法を用いる
ことが好ましい。重合開始剤としては、通常公知のフリ
ーラジカル触媒、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラ
ウロイル、第三級ブチルヒドロキシパーオキサイド、過
酸化クメン、過酸化メチルエチルケトン、第三級ブチル
パーフタレート、カプロイルパーオキサイドなどの有機
過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化
水素などの無機酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソブチルアミド、2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(α−メチル
バレロニトリル)、アゾビス(α−メチルブチロニトリ
ル)などのアゾ化合物などを挙げることができ、これら
の中から1種または2種以上用いることができる。これ
らの重合開始剤は、重合性単量体混合物に対して0.0
1〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%の範囲内
で適宜使用できる。該重合開始剤が0.01重量%未満
の場合には、重合系における開始剤濃度が十分でなく、
系全体での反応収率が低くなるため好ましくなく、また
10重量%を越える場合には、添加に見合うだけのさら
なる効果が得られず、不経済である。
【0035】本発明においては、共重合により得られる
熱可塑性樹脂の分子量を調節するために、ラウリルメル
カプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタ
ノール、2−メルカプト酢酸、四塩化炭素および四臭化
炭素などの連鎖移動剤を使用してもよい。
【0036】また、利用可能な重合形態としては、特に
制限はなく、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重
合法、溶液重合法などの公知の重合形態を採用すること
ができる。そして、これらの重合形態に応じて懸濁剤や
乳化剤などの各種添加剤が使用でき、また重合開始剤や
連鎖移動剤の種類や使用量、重合温度および圧力などの
重合条件は適宜決定すればよい。特に成形材料用の熱可
塑性樹脂を共重合により得る場合においては、塊状重合
法の1つである注型重合法を用いれば、透明性の高い熱
可塑性樹脂が容易に得られるので好ましい。
【0037】なお、重合の前または後工程で、必要に応
じて、補強性充填剤としてカーボン、ヒュームドシリ
カ、湿式シリカ、タルク、クレー系充填剤、石英粉末、
けいそう土などの1種または2種以上を混合使用するこ
とができる。分散剤として低分子シロキサン、シラノー
ル基含有シラン、アルコキシシランなどの1種または2
種以上を混合使用することができる。可塑剤としてコモ
レックNo.2オイル、サンパー2280、PW−38
0などの1種または2種以上を混合使用することができ
る。老化防止剤としてナウガード455、イルガノック
ス1010、ノクラック224、ノクラックWhit
e、ノクラック630F、ノクラック810NA、アン
チージODなどの1種または2種以上を混合使用するこ
とができる。この他、必要に応じて、着色剤、改質剤、
安定剤、増量剤、離型剤などの各種添加剤を混合使用す
ることができる。
【0038】(作用)本発明においては、熱可塑性樹脂
を一作業段階で行うことなく、事前に多価金属化合物と
重合性カルボン酸とを水不混和性溶媒中において反応し
て重合性金属塩化合物を合成させ、続いて重合性金属塩
化合物とビニル単量体からなる重合性単量体混合物を調
製して共重合することを特徴とするものであり、これに
より合成反応での該重合性金属塩化合物の高収率化が図
られ、さらに該重合性金属塩化合物が(メタ)アクリル
酸エステルなどのモノマーに対してHEMAの共存なし
に高い溶解性をもつので得られる樹脂中に金属塩をより
多く含有できるため、該樹脂に熱可塑性(成形加工性)
と機械的・熱的性質(耐熱性、強度など)の双方を付与
できる。
【0039】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】実施例1 500mlの丸底フラスコにトルエン320gと水酸化
亜鉛11gを添加した。この混合溶液を撹拌しながら滴
下ロートで2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸7
1gを約10分で滴下した。室温で撹拌を続けて反応を
進行させた。5時間後に瀘過によって固体を取り出し
た。取り出した固体を80℃の熱風乾燥機で10時間乾
燥してジ(2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸)
亜鉛65gを得た。
【0041】実施例2 500mlの丸底フラスコにトルエン320gと水酸化
亜鉛11gを添加した。この混合溶液を撹拌しながら滴
下ロートで2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸5
9gを約10分で滴下した。室温で撹拌を続けて反応を
進行させた。5時間後に瀘過によって固体を取り出し
た。取り出した固体を80℃の熱風乾燥機で10時間乾
燥してジ(2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸)
亜鉛55gを得た。
【0042】実施例3 500mlの丸底フラスコにトルエン320gと水酸化
亜鉛11gを添加した。この混合溶液を撹拌しながら滴
下ロートで2−アクリロイルオキシエチルフタル酸67
gを約10分で滴下した。室温で撹拌を続けて反応を進
行させた。5時間後に瀘過によって固体を取り出した。
取り出した固体を80℃の熱風乾燥機で10時間乾燥し
てジ(2−アクリロイルオキシエチルフタル酸)亜鉛6
2gを得た。
【0043】実施例4 メタクリル酸メチル100g(1.0モル)に実施例1
で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチルフタル
酸)亜鉛3.1g(0.005モル)を混合溶解した。
この溶液にラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチ
ロニトリル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚
のガラス板とテフロン(登録商標)製ガスケットを用い
て組み立てたセル中に注入し、70℃で4時間重合後、
120℃で2時間、後硬化して樹脂(1)を得た。
【0044】実施例5 メタクリル酸メチル99g(0.99モル)にジ(p−
メタクリロイルオキシ安息香酸)亜鉛4.8g(0.0
1モル)を溶解した。この溶液にラジカル重合開始剤と
して過酸化ベンゾイル0.5gを添加溶解した。この混
合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて
組み立てたセル中に注入し、80℃で4時間重合後、1
20℃で2時間、後硬化して樹脂(2)を得た。
【0045】実施例6 メタクリル酸メチル98g(0.98モル)に実施例3
で合成したジ(2−アクリロイルオキシエチルフタル
酸)亜鉛12g(0.02モル)を混合溶解した。この
溶液にラジカル重合開始剤として過酸化ラウロイル0.
5gを添加溶解した。この混合物を2枚のガラス板とテ
フロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中に注入
し、80℃で4時間重合後、120℃で2時間、後硬化
して樹脂(3)を得た。
【0046】実施例7 メタクリル酸メチル97g(0.97モル)に実施例1
で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチルフタル
酸)亜鉛19g(0.03モル)を混合溶解した。この
溶液にラジカル重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.
5gを添加溶解した。この混合物を2枚のガラス板とテ
フロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中に注入
し、80℃で4時間重合後、120℃で2時間、後硬化
して樹脂(4)を得た。
【0047】比較例1 メタクリル酸メチル100g(1.0モル)に実施例2
で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチルコハク
酸)亜鉛0.5g(0.001モル)を混合溶解した。
この溶液にラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチ
ロニトリル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚
のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てた
セル中に注入し、70℃で4時間重合後、120℃で2
時間、後硬化して比較用の樹脂(1)を得た。
【0048】比較例2 メタクリル酸メチル85g(0.85モル)に実施例1
の方法で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチル
フタル酸)亜鉛93g(0.15モル)を混合したが、
完全にはジ(2−メタクリロイルオキシエチルフタル
酸)亜鉛が溶解せず沈澱物として残った。この重合性単
量体混合物にラジカル重合開始剤として過酸化ベンゾイ
ル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚のガラス
板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中に
注入し、80℃で4時間重合後、120℃で2時間、後
硬化した。得られた樹脂は白濁していた。
【0049】実施例8 実施例4〜7で得られた樹脂(1)〜(4)と、比較例
1で得られた比較用の樹脂(1)を用いて耐熱性、成形
加工性、機械的性質、透明性の評価を行った。結果は表
1に示す通りであった。
【0050】[評価方法]耐熱性は、熱機械的分析装置
(セイコー電子工業株式会社製TMA120C)を用い
て厚さ1mmの樹脂でガラス転移温度を測定して評価し
た。
【0051】成形加工性は、メルトインデクサー(株式
会社東洋精機製作所製)を用いて210℃、10kgf
の条件下で10分間に流動した樹脂の重量(MI値)を
測定して評価した。
【0052】機械的性質は、衝撃強度と表面硬度を測定
して評価した。衝撃強度の測定は、アイゾット衝撃試験
機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて1号試験片A
切欠き(JIS K 7110)に加工した樹脂のアイ
ゾット衝撃強度を測定して評価した。表面硬度は、電動
式鉛筆硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を用い
て厚さ1mmの樹脂について測定して評価した。
【0053】透明性は、ヘイズメーター(日本電色工業
株式会社製SZ−シグマ90型)を用いて厚さ2mmの
樹脂について全光線透過率を測定して評価した。これら
の結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1から明らかなように、本発明の重合性
金属塩化合物および重合性単量体混合物を用いて得られ
た樹脂(1)〜(4)は耐熱性、成形加工性が共に優れ
ていた。さらに、機械的性質、透明性が優れていた。
【0056】しかし、比較用の樹脂(1)は、耐熱性、
機械的性質が劣っていた。
【0057】実施例9 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である。)10
0g(1.0モル)に実施例3で合成したジ(2−アク
リロイルオキシエチルフタル酸)亜鉛3.0g(0.0
05モル)を添加溶解した後、ラジカル重合開始剤とし
て過酸化ベンゾイル0.5gを添加溶解した。この混合
物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組
み立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、80
℃で2時間、後硬化してエラストマー(1)を得た。
【0058】実施例10 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である。)99
g(0.99モル)に実施例2で合成したジ(2−メタ
クリロイルオキシエチルコハク酸)亜鉛5.2g(0.
01モル)を添加溶解した後、ラジカル重合開始剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル0.5gを添加溶解し
た。この混合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケッ
トを用いて組み立てたセル中に注入し、60℃で3時間
重合後、80℃で2時間、後硬化してエラストマー
(2)を得た。
【0059】実施例11 アクリル酸エチル78g(0.78モル)とアクリル酸
n−ブチル24g(0.19モル)の混合溶液(このモ
ノマーから得られるポリマーの計算によるガラス転移温
度は−28℃である。)に実施例1で合成したジ(2−
メタクリロイルオキシエチルフタル酸)亜鉛18g
(0.03モル)を添加溶解した後、ラジカル重合開始
剤として過酸化ラウロイル0.5gを添加溶解した。こ
の混合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用
いて組み立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合
後、80℃で2時間、後硬化してエラストマー(3)を
得た。
【0060】実施例12 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である。)93
g(0.93モル)に実施例1で合成したジ(2−メタ
クリロイルオキシエチルフタル酸)亜鉛43g(0.0
7モル)を添加溶解した後、ラジカル重合開始剤として
過酸化ベンゾイル0.5gを添加溶解した。この混合物
を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み
立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合後、80℃
で2時間、後硬化してエラストマー(4)を得た。
【0061】比較例3 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である。)10
0g(1.0モル)に実施例2で合成したジ(2−メタ
クリロイルオキシエチルコハク酸)亜鉛0.5g(0.
001モル)を添加溶解した後、ラジカル重合開始剤と
してアゾビスイソブチロニトリル0.5gを添加溶解し
た。この混合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケッ
トを用いて組み立てたセル中に注入し、60℃で3時間
重合後、80℃で2時間、後硬化して比較用のエラスト
マー(1)を得た。
【0062】比較例4 アクリル酸エチル(このモノマーから得られるポリマー
の計算によるガラス転移温度は−24℃である。)85
g(0.85モル)に実施例1で合成したジ(2−メタ
クリロイルオキシエチルフタル酸)亜鉛93g(0.1
5モル)を混合したが、完全にはジ(2−メタクリロイ
ルオキシエチルフタル酸)亜鉛が溶解せず沈澱物として
残った。この混合物にラジカル重合開始剤として過酸化
ベンゾイル0.5gを添加溶解した。この混合物を2枚
のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てた
セル中に注入し、60℃で3時間重合後、80℃で2時
間、後硬化したが得られた樹脂は白濁し脆かった。
【0063】実施例13 実施例9〜12で得られたエラストマー(1)〜(4)
と、比較例3で得られた比較用のエラストマー(1)を
用いて成形加工性および機械的性質の評価を行った。結
果は表2に示す通りであった。
【0064】[評価方法]成形加工性は、メルトインデ
クサー(株式会社東洋精機製作所製)を用いて160
℃、21.6kgfの条件下で10分間に流動したエラ
ストマーの重量(MI値)を測定して評価した。
【0065】機械的性質は、引張強度と破断伸びを測定
して評価した。測定機器としてインストロン4302形
(インストロン製)を用い、試験片として2号形試験片
(JIS K 7113)に加工したエラストマーを用
いた。これらの結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2から明らかなように、本発明の重合性
金属塩混合物および重合性単量体混合物を用いて得られ
たエラストマー(1)〜(4)は成形加工性、機械的性
質が共に優れていた。
【0068】しかし、比較用のエラストマー(1)は機
械的性質が劣っていた。
【0069】実施例14 アクリル酸n−ブチル128g(1.0モル)に実施例
3で合成したジ(2−アクリロイルオキシエチルフタル
酸)亜鉛3.0g(0.005モル)を混合溶解した。
この重合性単量体混合物にラジカル重合開始剤として過
酸化ベンゾイル1.0g、連鎖移動剤として1−ドデカ
ンチオール0.5gを添加溶解して重合性単量体混合物
を調製した。この重合性単量体混合物を2枚のガラス板
とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中に注
入し、60℃で3時間重合させてから注型樹脂を取り出
し、80℃で2時間後加熱を行い本発明の重合性金属塩
混合物および重合性単量体混合物を用いた粘着剤(以
下、これを粘着剤(1)とする)を得た。この粘着剤
(1)の分子量をゲル・パーミエーション・クロマトグ
ラフィー(東ソー株式会社製8010型)を用いて測定
したところ重量平均分子量(以下、Mwとする)は22
万、数平均分子量(以下、Mnとする)は12万であっ
た。この粘着剤(1)をポリエステルフィルム(PE
T、厚さ25μm)上に塗布厚が25μmとなるように
均一に塗布し、試料テープ(以下、これを試料テープ
(1)とする)を得た。
【0070】実施例15 アクリル酸n−ブチル100g(0.78モル)とアク
リル酸2−エチルヘキシル37g(0.2モル)の混合
液に実施例2で合成したジ(2−メタクリロイルオキシ
エチルコハク酸)亜鉛5.2g(0.01モル)を混合
溶解した。この重合性単量体混合物にラジカル重合開始
剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0g、連鎖移
動剤として1−ドデカンチオール0.5gを添加溶解し
て重合性単量体混合物を調製した。この重合性単量体混
合物を2枚のガラス板とテフロン製ガスケットを用いて
組み立てたセル中に注入し、60℃で3時間重合させて
から注型樹脂を取り出し、80℃で2時間後加熱を行い
本発明の重合性金属塩混合物および重合性単量体混合物
を用いて得た粘着剤(以下、これを粘着剤(2)とす
る)を得た。この粘着剤(2)の分子量をゲル・パーミ
エーション・クロマトグラフィー(東ソー株式会社製8
010型)を用いて測定したところMwは18万、Mn
は8万であった。この粘着剤(2)をポリエステルフィ
ルム(PET、厚さ25μm)上に塗布厚が25μmと
なるように均一に塗布し、試料テープ(以下、これを試
料テープ(2)とする)を得た。
【0071】実施例16 アクリル酸n−ブチル124g(0.97モル)に実施
例1で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチルフ
タル酸)亜鉛18g(0.03モル)を混合溶解した。
この重合性単量体混合物にラジカル重合開始剤として過
酸化ベンゾイル1.0g、連鎖移動剤として1−ドデカ
ンチオール0.5gを添加溶解して重合性単量体混合物
を調製した。この重合性単量体混合物を2枚のガラス板
とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中に注
入し、60℃で3時間重合させてから注型樹脂を取り出
し、80℃で2時間後加熱を行い本発明の重合性金属塩
混合物および重合性単量体混合物を用いた粘着剤(以
下、これを粘着剤(3)とする)を得た。この粘着剤
(3)の分子量をゲル・パーミエーション・クロマトグ
ラフィー(東ソー株式会社製8010型)を用いて測定
したところMwは20万、Mnは11万であった。この
粘着剤(3)をポリエステルフィルム(PET、厚さ2
5μm)上に塗布厚が25μmとなるように均一に塗布
し、試料テープ(以下、これを試料テープ(3)とす
る)を得た。
【0072】比較例5 アクリル酸n−ブチル128g(1.0モル)に実施例
2で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチルコハ
ク酸)亜鉛0.5g(0.001モル)を混合溶解し
た。この重合性単量体混合物にラジカル重合開始剤とし
て過酸化ラウロイル1.0g、連鎖移動剤として1−ド
デカンチオール0.5gを添加溶解して重合性単量体混
合物を調製した。この重合性単量体混合物を2枚のガラ
ス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセル中
に注入し、60℃で3時間重合させてから注型樹脂を取
り出し、80℃で2時間後加熱を行い比較用粘着剤(以
下、これを比較用粘着剤(1)とする)を得た。この比
較用粘着剤(1)の分子量をゲル・パーミエーション・
クロマトグラフィー(東ソー株式会社製8010型)を
用いて測定したところMwは23万、Mnは11万であ
った。この比較用粘着剤(1)をポリエステルフィルム
(PET、厚さ25μm)上に塗布厚が25μmとなる
ように均一に塗布し、比較用試料テープ(以下、これを
比較用試料テープ(1)とする)を得た。
【0073】比較例6 アクリル酸n−ブチル85g(0.66モル)とアクリ
ル酸2−エチルヘキシル37g(0.2モル)に実施例
1で合成したジ(2−メタクリロイルオキシエチルフタ
ル酸)亜鉛81g(0.13モル)を混合溶解した。こ
の重合性単量体混合物にラジカル重合開始剤としてアゾ
ビスイソブチロニトリル1.0g、連鎖移動剤として1
−ドデカンチオール0.5gを添加溶解して重合性単量
体混合物を調製した。この重合性単量体混合物を2枚の
ガラス板とテフロン製ガスケットを用いて組み立てたセ
ル中に注入し、60℃で3時間重合させてから注型樹脂
を取り出し、80℃で2時間後加熱を行い比較用粘着剤
(以下、これを比較用粘着剤(2)とする)を得た。こ
の比較用粘着剤(2)の分子量をゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフィー(東ソー株式会社製8010
型)を用いて測定したところMwは19万、Mnは10
万であった。この比較用粘着剤(2)をポリエステルフ
ィルム(PET、厚さ25μm)上に塗布厚が25μm
となるように均一に塗布し、比較用試料テープ(以下、
これを比較用試料テープ(2)とする)を得た。
【0074】実施例17 実施例14〜16および比較例5〜6で得られた本発明
の重合性金属塩混合物および重合性単量体混合物を用い
た粘着剤(1)〜(3)および比較用粘着剤(1)〜
(2)の加熱溶融時の粘度特性を180℃における溶融
粘度で評価した。具体的には本発明の粘着剤(1)〜
(3)および比較用粘着剤(1)〜(2)を180℃で
20分間放置後、その温度でB型粘度計(株式会社トキ
メック製BM型)を用いて溶融粘度を評価した。
【0075】また実施例14〜16および比較例5〜6
で得られた試料テープ(1)〜(3)および比較用試料
テープ(1)〜(2)を用いて本発明の重合性金属塩混
合物および重合性単量体混合物を用いた粘着剤(1)〜
(3)および比較用粘着剤(1)〜(2)の耐熱性と凝
集力、粘着力、タックを以下のように評価した。
【0076】耐熱性は、80℃における凝集力で評価し
た。具体的には試料テープ(1)〜(3)および比較用
試料テープ(1)〜(2)(25mm×25mm)をス
テンレス板(SUS304)上に貼着後、2kgfにゴ
ムロールで一往復加圧し、80℃で20分間放置後、そ
の温度でステンレス板を垂直にし、試料の下端に1kg
の荷重をかけ24時間後のずれ長さを評価した。
【0077】凝集力は、以下の方法で評価した。具体的
には試料テープ(1)〜(3)および比較用試料テープ
(1)〜(2)(25mm×25mm)をステンレス板
(SUS304)上に貼着後、2kgfのゴムロールで
一往復加圧し、23℃で20分間放置後、その温度でス
テンレス板を垂直にし、試料の下端に1kgの荷重をか
け24時間のずれ長さを評価した。
【0078】粘着力は、以下の方法で評価した。具体的
には試料テープ(1)〜(3)および比較用試料テープ
(1)〜(2)(25mm×25mm)をステンレス板
(SUS304)上に貼着後、2kgfのゴムロールで
一往復加圧し、23℃で20分間放置後、23℃の雰囲
気下で300mm/分の引っ張り速度で180度方向に
引っ張ったときの剥離強度を評価した。
【0079】タックは、以下の方法で評価した。具体的
には試料テープ(1)〜(3)および比較用試料テープ
(1)〜(2)を傾斜角度が30度の傾斜面上に粘着剤
層を上面にして置き、試料テープの上端より傾斜面上の
上部に10cm離れた所より直径1/32インチ〜32
/32インチの範囲の、径が異なる剛球を23℃の温度
雰囲気下でころがした。試料テープの上端から傾斜面の
下方10cm以内で静止した剛球の最大径で評価した。
これらの結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】表3から明らかなように、本発明の重合性
金属塩混合物および重合性単量体混合物を用いて得られ
た粘着剤(1)〜(3)は、80℃で24時間凝集力試
験を行ってもほとんどずれが見られず耐熱性に優れてい
た。また、180℃における溶融粘度が5000〜10
000cPの範囲にあり加熱溶融時の粘度特性に優れて
いた。さらに、23℃での凝集力、粘着力、タックなど
の粘着特性が共に優れていた。
【0082】しかし、比較用粘着剤(1)は、80℃で
24時間凝集力試験を行うと24時間以内に落下してし
まい、凝集力が劣っていた。一方、比較用粘着剤(2)
は、80℃で24時間凝集力試験を行ってもほとんどず
れが見られず耐熱性に優れていたが、180℃における
溶融粘度が30000cP以上であり、加熱溶融時の粘
度特性が著しく劣っていた。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂を一作業
段階で行うことなく、事前に多価金属化合物と重合性カ
ルボン酸とを水不混和性溶媒中において反応させて重合
性金属塩化合物を合成することにより、該重合性金属塩
化合物を高収率で得ることができ、続いて(メタ)アク
リル酸エステルなどのビニル単量体と該(メタ)アクリ
ル酸エステルなどのモノマーに対してメタクリル酸ヒド
ロキシエチルの共存なしに高い溶解性のある該重合性金
属塩化合物とを共重合することにより、該樹脂中の金属
塩含有効果をより大きくでき、かつ得られる樹脂に熱可
塑性(成形加工性)と機械的・熱的性質(耐熱性、強度
など)の双方を付与でき、成形材料、エラストマー材料
および粘着剤など多くの用途に適用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 手嶋 成市 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内 (72)発明者 浅子 佳延 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性二重結合を持つと共に炭素数が5
    以上の有機カルボン酸を主成分とする有機カルボン酸と
    多価金属化合物を水不混和性溶媒中で反応させて合成し
    た重合性金属塩化合物。
  2. 【請求項2】 重合性二重結合を持つと共に炭素数が5
    以上の有機カルボン酸が、さらに分子内にカルボニル基
    をも有するものである請求項1に記載の重合性金属塩化
    合物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の重合性金属塩化
    合物およびビニル単量体からなる重合性単量体混合物中
    の該重合性金属塩化合物の割合が0.2〜10モル%の
    範囲となるように調製してなる重合性単量体混合物。
  4. 【請求項4】 ビニル単量体が、(メタ)アクリル酸エ
    ステル化合物およびスチレンよりなる群から選ばれる少
    なくとも1種の化合物を含むものである請求項3記載の
    重合性単量体混合物。
  5. 【請求項5】 ビニル単量体が、メタクリル酸メチルを
    主成分とするものである請求項3記載の重合性単量体混
    合物。
  6. 【請求項6】 ビニル単量体が、該ビニル単量体から得
    られるポリマーのガラス転移温度が−100〜20℃の
    範囲となるものである請求項3記載の重合性単量体混合
    物。
  7. 【請求項7】 ビニル単量体が、アクリル酸エチルを主
    成分とするものである請求項3記載の重合性単量体混合
    物。
  8. 【請求項8】 ビニル単量体が、アクリル酸n−ブチル
    および/またはアクリル酸2−エチルヘキシルを主成分
    とするものである請求項3記載の重合性単量体混合物。
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