JP2001006435A - 黒色導電ペースト組成物並びに黒色導電厚膜およびその形成方法 - Google Patents

黒色導電ペースト組成物並びに黒色導電厚膜およびその形成方法

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JP2001006435A JP11173752A JP17375299A JP2001006435A JP 2001006435 A JP2001006435 A JP 2001006435A JP 11173752 A JP11173752 A JP 11173752A JP 17375299 A JP17375299 A JP 17375299A JP 2001006435 A JP2001006435 A JP 2001006435A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色
導電厚膜を形成するための黒色導電ペースト、黒色導電
厚膜、および黒色導電厚膜の形成方法を提供する。 【解決手段】黒色導電厚膜40を形成するための感光性
黒色導電ペーストにおいて、導電性成分として含まれる
銀粉末は比表面積が1.0 或いは2.0(m2/g) 程度と微細で
あり、黒色顔料46はCo3O4 粉末から構成されるため、
高い感光性延いては高い解像性を有すると共に、その感
光性黒色導電ペーストから形成される黒色導電厚膜40
には銀44とCo3O4 から成る黒色顔料46とがガラス4
8で結合されて構成されるため、導電性が十分に高く且
つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚膜が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒色導電ペースト
組成物、黒色導電厚膜、および黒色導電厚膜の形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、一対の平行平板間に形成された
気密空間内に一方向およびそれと直交する他方向に沿っ
てマトリクス状に設けられた複数の発光区画と、それら
複数の発光区画内で選択的に放電を発生させるためにそ
の発光区画毎に一対が位置するように設けられた複数対
の放電電極とを備え、その放電を利用して発光させるこ
とにより、文字、記号、図形等の所望の画像を表示する
形式の放電表示装置が知られている。例えば、ガス放電
によって生じたプラズマの生成に伴うネオンオレンジ等
の発光を直接利用し、或いは、発光区画内に蛍光体が備
えられてプラズマによって生じた紫外線により励起させ
られた蛍光体の発光を利用するプラズマ・ディスプレイ
・パネル(以下、PDPという)等がそれである。この
ようなPDPは、薄型且つ大表示面とすることが比較的
容易であると共に、ブラウン管並の広い視野角および早
い応答速度が得られるため、ブラウン管に代わる画像表
示装置として考えられており、特に、例えば赤(RED) 、
緑(GREEN) 、青(BULE)の三色の蛍光体を設けた3乃至4
つの発光区画から一画素を構成して多色表示を可能とす
ることにより、壁掛けテレビ等の薄型フルカラー表示装
置を実現し得るものとして期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図1(a) 、(b) は、上
記のPDPの一例であって、例えば特開平3−7893
6号公報等に記載された3電極構造のAC型面放電PD
P8の構成を示す図である。図において、互いに平行に
位置させられた前面板10および背面板12の間に形成
された気密空間内に、一方向に沿って長手状の隔壁14
によって区画形成されて長手方向にそれぞれ複数の発光
区画を含む複数の放電空間16が設けられると共に、背
面板12上にその一方向に沿ってその隔壁14の間を通
る複数本の書込電極18がオーバ・コート32に覆われ
て設けられる一方、前面板10上にその一方向と直交す
る他方向に沿って、硼珪酸ガラス等の低軟化点ガラスか
ら成る誘電体層20および酸化マグネシウム(MgO )等
から成る保護膜22で覆われた複数対の表示放電電極
(維持電極)24a、24bが設けられ、上記背面板1
2の内面および隔壁14の表面には、各放電空間16毎
に塗り分けられた蛍光体層26が設けられている。な
お、図においては、表示放電電極24が、面放電を広範
囲で発生させ且つ前面板10を通して射出される表示光
の遮光を可及的に少なくするため、薄膜プロセス等で形
成されたITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム
錫)やATO(Antimon Tin Oxide :酸化アンチモン
錫)等から成る透明電極28と、その導電性を補うため
に各対毎に幅方向の外側端部位置においてその透明電極
28上に設けられた薄膜導体或いは厚膜導体から成るバ
ス電極30とから構成されている。なお、図において3
4は、書込電極18が厚膜銀で、背面板12がソーダ・
ライム・ガラスで構成される場合等に両者の反応を抑制
するためのアンダ・コートである。
【0004】ところで、上記のバス電極30には、透明
電極28の導電性を補う目的で補助的に用いられ或いは
単独で用いられる何れの場合においても、自身の長手方
向における電圧降下を可及的に少なくするために低抵抗
であることが求められる一方で、低反射率であることも
同時に望まれる。上記のように構成されたPDP8にお
いては、バス電極30が備えられる前面板10の内面3
6とは反対側の表面38側においてその前面板10を透
過した光が観視されることから、その表面38における
外光の反射を抑制して表示の高いコントラストを得るた
めである。そのため、薄膜形成する場合においては、例
えば、前面板10上(正確には透明電極28上)に黒色
のCr(クロム)層を形成した後、その上にAl(アルミニ
ウム)やCu(銅)等の高導電率の金属層が設けられる。
また、厚膜形成する場合には、Ag-Pd (銀−パラジウ
ム)ペースト、Ag-Cu (銀−銅)合金化ペースト、或い
はAg(銀)ペースト中に、RuO2(酸化ルテニウム)或い
はFe-Cr-Mn(鉄−クロム−マンガン)系顔料やCu-Cr-Mn
(銅−クロム−マンガン)系顔料に代表されるパイロク
ロア型酸化物を黒色顔料として添加した黒色導電ペース
トを厚膜スクリーン印刷法等を利用して前面板10上に
塗布する。これら薄膜法および厚膜法の何れによっても
バス電極30の形成は可能であるが、製造コストの面で
は厚膜法が有利である。なお、上記の黒色顔料は、厚膜
導体の反射率すなわち明度を低下させるために添加され
ている。ここで、「明度」とは、物体表面の反射率の大
小の尺度であって色の明るさを意味し、例えば理想的な
黒、白をそれぞれ0、100として数値化されたL値で
表示される。
【0005】しかしながら、上記のような黒色顔料は導
電性が低いことから、十分に明度が低くなる程度まで添
加すると厚膜導体の抵抗値を著しく増大させる。そのた
め、バス電極30(表示放電電極24)に要求される高
い導電性を満足できる程度の少ない量に黒色顔料の添加
量が制限されることから、バス電極30の明度が比較的
高くなって、PDP8の表示の高いコントラストが得ら
れないという問題があった。このことは、本来的に高抵
抗である合金化ペーストにおいて特に問題となる。一
方、上記の厚膜導体のうちAgペーストから生成されるも
のは比較的低抵抗であることから、多量の黒色顔料を添
加して比較的高い導電性を維持しながら明度を比較的低
くすることができる。しかしながら、この場合において
も得られる明度は十分とは言い難く、しかも、例えば図
2に示されるように表示放電電極対24a、24bの一
方或いは両方(図においては一方)が前面板10上に直
接膜形成されたバス電極30だけから構成される場合に
は、Agがその前面板10内に拡散して黄変させるため、
黄色度が高くなってコントラストの低下が生じ得るとい
う問題がある。この黄変は、黒色顔料の添加量が多いほ
ど抑制できることが知られているが、高い導電性を維持
しながら明度および黄色度を低くすることが望まれる厚
膜導体においては、上記の許容添加量の範囲では十分に
黄変を抑制できない。なお、前記の黒色顔料のうちRuO2
の微粉[例えば比表面積が35(m2/g)程度のもの]は上記
の各特性が比較的優れているが、高価である上に微粉で
あることから取扱いが困難でもある。因みに、図1に示
される構造では表示放電電極24が透明電極28および
その上に形成されたバス電極30で構成されているが、
透明電極28による透光性の低下を抑制して一層高い輝
度を得るために表示放電電極24a、24bの少なくと
も一方を比較的細幅のバス電極30だけで構成すること
が望まれており、そのようにしても放電特性上は特に支
障はないことが確かめられている。
【0006】なお、上記のような黒色導電ペーストを用
いてバス電極30を前面板10上に形成する方法の一つ
として、フォト・リソグラフィ法を利用する方法があ
る。この方法では、例えば、前面板10の内面36上の
全面に感光性導電ペーストを塗布して乾燥することによ
り所定厚みのペースト膜を形成し、所定パターンのマス
クを介して露光してペースト膜を選択的に硬化させた
後、現像液で未露光部分を洗浄除去し、更に焼成するこ
とによって厚膜導体が形成される。そのため、スクリー
ンの歪みに起因するパターンずれが生じ得る厚膜スクリ
ーン印刷法等のような直接印刷法に比較して、大面積且
つ高精細なパターン形成が容易である。しかしながら、
この導体形成方法では、上記のようにペースト膜を選択
的に感光して硬化等させる必要がある。そのため、厚膜
導体の明度を低くする目的でペースト中に黒色顔料を多
量に混和すると、露光する際に照射される光がペースト
膜の内部に十分に届かなくなって解像性が低下すること
から、厚膜スクリーン印刷法を用いる場合よりも更に混
和可能な黒色顔料の量が少なく制限されて、一層明度の
高い厚膜導体しか得られないという問題がある。すなわ
ち、このようにフォト・リソグラフィ法により形成され
る厚膜導体においても、高い解像性を維持しつつ明度、
黄色度、および抵抗値を一層低くすることが望まれてい
た。ここで、「解像性」とは、相異なる2点を識別し得
る最小距離の小ささの程度を表すものである。なお、以
上の問題は、導電性が高く且つ低い明度および黄色度を
要求される厚膜導体であれば、PDPのバス電極に限ら
れず、PDPにおいて前面板上に備えられる他の電極
や、PDP以外のディスプレイの電極や車載用リアガラ
ス熱線等にも同様に生じ得る。
【0007】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、導電性が高く且つ明度お
よび黄色度の低い黒色導電厚膜を形成するための黒色導
電ペースト、黒色導電厚膜、および黒色導電厚膜の形成
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するための第1発明の黒色導電ペーストの要旨とすると
ころは、銀粉末と、ガラス粉末と、有機結合剤と、有機
溶剤と、黒色顔料とを含み、黒色を呈する導電厚膜を形
成するために用いられる黒色導電ペースト組成物であっ
て、(a) 前記黒色顔料は Co3O4粉末から成ることにあ
る。
【0009】
【第1発明の効果】このようにすれば、黒色導電ペース
トには黒色顔料としてCo3O4 粉末が含まれることから、
これから形成される黒色導電厚膜には銀とCo3O4 から成
る黒色顔料とがガラスで結合されて構成されるため、導
電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分に低い黒
色導電厚膜が得られる。すなわち、前述のように導電ペ
ーストに黒色顔料を添加すると、そのペーストから生成
される導電厚膜の明度および黄色度が低下させられる一
方で導電厚膜の抵抗値が上昇させられる。この場合にお
いて、その作用は明らかではないが、本発明者等が種々
の顔料についてこれらの特性を評価した結果によれば、
Co3O4 粉末を黒色顔料として添加すると、他の黒色顔料
に比較して明度および黄色度の低下が著しく大きく、し
かも、抵抗値の上昇が抑制される。したがって、導電性
が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を形成
することが可能な黒色導電ペーストを得ることができ
る。
【0010】
【第1発明の他の態様】ここで、上記の第1発明におい
て、好適には、前記銀粉末の比表面積は0.2 〜15(m2/g)
である。このようにすれば、ペースト中に含まれる銀粉
末がペースト化が容易な範囲で十分に小径にされている
ことから、塗布および焼成される際に好適に銀の連続膜
が形成されるため、生成される黒色導電厚膜の導電性が
一層高められる。因みに、比表面積が0.2(m2/g) 未満で
は粗粒であることから焼成後に連続膜の形成が困難にな
って多孔質化して抵抗値が著しく上昇し、しかも塗布膜
厚に対して粒径が大きくなり過ぎるため印刷性も低下す
る。一方、15(m2/g)を越えると、分散性が著しく低下す
るためペースト化が困難になるのである。なお、一層好
適には、比表面積の範囲は0.4 〜10(m2/g)である。
【0011】また、前記第1発明において、好適には、
前記銀粉末は、ペースト組成物の全体に対する割合で40
〜 90(重量部=wt%) の範囲で含まれている。このよう
にすれば、銀粉末の含有量がペースト化が容易な範囲で
十分に多くされていることから、乾燥および焼成後の膜
厚を十分に厚くできるため、一層高い導電性が得られ
る。なお、一層好適には、銀粉末の含有量の範囲は50〜
80(wt%) である。
【0012】また、前記第1発明において、好適には、
前記ガラス粉末は比表面積が0.5 〜10(m2/g)、一層好適
には1 〜8(m2/g) である。0.5(m2/g) 未満では抵抗値が
増大すると共に印刷性が低下し、反対に10(m2/g)を越え
ると分散性が悪くなってペースト化が困難になる。ま
た、ガラス粉末としては、例えば、硼珪酸鉛ガラスを主
成分とした軟化点が600(℃) 以下の低軟化点ガラス、す
なわち、PbO-SiO2-B2O3系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-Al2O
3 系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-ZnO 系ガラス等が好適に用
いられる。なお、軟化点が600(℃) を越えるガラス粉末
では、所定の基板等上に形成されたペースト膜を焼成す
る際にガラス成分が十分なアンカ効果を与えることがで
きないため、その基板等との高い固着強度が得られず、
しかも、抵抗値が上昇するという問題が生じる。
【0013】また、前記第1発明において、好適には、
前記ガラス粉末の含有量はペースト全体に対して0.5 〜
20(wt%) 、一層好ましくは1 〜 10(wt%) の範囲であ
る。0.5(wt%) 未満では導電厚膜と基板等との固着強度
が不十分となり、 20(wt%)を越えると抵抗値の上昇が
著しい。
【0014】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の黒色導電ペースト組成物の要
旨とするところは、銀粉末と、ガラス粉末と、有機結合
剤と、有機溶剤と、感光性組成物と、黒色顔料とを含
み、露光および現像処理により黒色を呈する導電厚膜を
パターン形成するために用いられる感光性を有する黒色
導電ペースト組成物であって、(a) 前記銀粉末の比表面
積は0.4 〜2.5(m2/g) であり、(b) 前記黒色顔料は Co3
O4粉末から成ることにある。
【0015】
【第2発明の効果】このようにすれば、感光性黒色導電
ペーストは、導電性成分として含まれる銀粉末の比表面
積が0.4 〜2.5(m2/g) と微細であると共に、黒色顔料が
Co3O4粉末であることから、高い感光性延いては高い解
像性を有すると共に、その感光性黒色導電ペーストから
形成される黒色導電厚膜には銀と Co3O4から成る黒色顔
料とがガラスで結合されて構成されるため、導電性が十
分に高く且つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚
膜が得られる。すなわち、前述のように感光性導電ペー
ストに黒色顔料を添加すると、そのペーストから生成さ
れる導電厚膜の明度および黄色度が低下させられる一方
で、導電厚膜の抵抗値は上昇させられると共に感光性延
いては解像性が低下させられる。この場合において、そ
の作用は明らかではないが、本発明者等が種々の顔料に
ついてこれらの特性を評価した結果によれば、 Co3O4
末を黒色顔料として添加すると、他の黒色顔料に比較し
て明度および黄色度の低下が著しく大きく、しかも、抵
抗値の上昇が抑制されることに加えて、感光性ペースト
の場合には解像性の低下が抑制される。したがって、導
電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を
形成することが可能な感光性黒色導電ペーストを得るこ
とができる。なお、銀粉末の比表面積が0.4(m2/g)未満
では、焼成時に連続膜が形成され難くなり、一方、2.5
(m2/g) を越えるとペースト化が困難になると共にペー
スト膜中において銀粉末を保持するために必要な有機結
合剤が多くなることから焼成後の導電厚膜の膜厚が薄く
なるため、何れの場合にも抵抗値が上昇する。また、2.
5(m2/g) を越えると露光も困難になり、解像性が低下す
る。また、一層好適には、銀粉末の比表面積の範囲は0.
8 〜2.0(m2/g) である。
【0016】
【第2発明の他の態様】また、前記第2発明において、
好適には、前記銀粉末は、球状を成すものである。この
ようにすれば、同様な粒子径で比較した場合において、
球状粒子は比表面積が小さく、表面積当たりの粒径が大
きいことから、ペースト膜を形成するために必要な有機
結合剤の量を少なくして導電性を高めることができる。
しかも、球状粒子は板状、凹凸の多い不定形状に比較し
て照射された光のペースト膜内部における散乱を生じさ
せ難いため、解像性も高められる。したがって、一層高
い解像性を保ちながら、一層高い導電性を有する導電厚
膜を形成し得る感光性黒色導電ペーストが得られる。
【0017】また、前記第2発明において、好適には、
前記銀粉末は、ペースト組成物の全体に対する割合で40
〜 80(wt%) の範囲で含まれているものである。このよ
うにすれば、銀粉末の含有量がペースト化が容易且つ露
光が容易な範囲で十分に多くされていることから、乾燥
および焼成後の膜厚を十分に厚くできるため、一層高い
導電性が得られる。なお、 80(wt%) を越えると、照射
された光がペースト膜の内部にまで十分に到達しないこ
とから、解像性が著しく低下する。
【0018】また、前記第2発明において、好適には、
前記ガラス粉末は比表面積が0.5 〜10(m2/g)である。0.
5(m2/g) 未満では抵抗値が増大すると共に粒子径が大き
いことから印刷性が低下(例えば現像後のライン・エッ
ジ不良が発生)し、反対に10(m2/g)を越えると分散性が
悪くなってペースト化が困難になる。また、ガラス粉末
としては、例えば、硼珪酸鉛ガラスを主成分とした軟化
点が600(℃) 以下の低軟化点ガラス、すなわち、PbO-Si
O2-B2O3 系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-Al2O3 系ガラス、Pb
O-SiO2-B2O3-ZnO 系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-Al2O3-ZnO
系ガラス、Bi2O 3-SiO2-B2O3 系ガラス、ZnO-SiO2-B2O3
系ガラス、R2O-ZnO-SiO2-B2O3 系ガラス(R2O はアルカ
リ金属酸化物)等が好適に用いられる。なお、軟化点が
600(℃)を越えるガラス粉末では、所定の基板等上に形
成されたペースト膜を焼成する際にガラス粉末が十分な
アンカ効果を与えることができないため、その基板等と
の高い固着強度が得られず、しかも、抵抗値が上昇する
という問題が生じる。また、ガラスの耐水性や接着性を
高くするためには、ガラス粉末の軟化点は350(℃)以上
であることが望ましい。
【0019】また、前記第2発明において、好適には、
前記ガラス粉末の含有量はペースト全体に対して0.5 〜
10(wt%) の範囲である。0.5(wt%) 未満では導電厚膜
と基板等との固着強度が不十分となり、 10(wt%) を越
えると抵抗値の上昇が著しく、また、解像性も低下す
る。
【0020】また、前記第2発明において、好適には、
前記有機結合剤は、水溶性を有するものである。このよ
うにすれば、ペースト膜を所定の基板等上で所定形状に
保持するために導電ペースト中に含まれる有機結合剤が
水溶性を有することから、パターン形成するための現像
処理において現像液として水を用いることができる。そ
のため、黒色導電厚膜が設けられる基板等の材質に拘わ
らず、アルカリ水溶液を現像液として用いる場合のよう
な浸食や変質等の直接的な損傷や、現像液の残留物によ
る焼成時の発泡等の間接的な損傷が基板等に生じること
が抑制される。
【0021】また、前記第2発明において、好適には、
前記有機結合剤は、セルロース誘導体である。このよう
にすれば、セルロース誘導体は良好な水溶性を有するこ
とから、パターン形成するための現像処理において現像
液として水を用い得る利点がある。
【0022】また、前記第2発明において、好適には、
前記セルロース誘導体は、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロー
ス、カルボキシエチルメチルセルロース、およびこれら
の塩類の一種乃至複数種類から成るものである。これら
は何れもセルロース誘導体のうちでも特に良好な水溶性
を有することから、メチルセルロース、エチルセルロー
スやエチルヒドロキシエチルセルロース等の他のセルロ
ース誘導体を用いる場合に比較して、水による現像処理
が一層容易になる利点がある。しかも、これらは銀粉末
や黒色顔料との相溶性が大きく、ガラス粉末表面に存在
する金属イオンとの反応性が低いことから、黒色導電ペ
ーストの粘性の変化やゲル化が抑制されて安定性に優れ
るため、高い保存性も得られる。
【0023】また、前記第2発明において、好適には、
上記の有機結合剤の含有量は、ペースト全体に対する割
合で5 〜 20(wt%) の範囲である。5(wt%) 未満ではペ
ースト膜中において銀粉末やガラス粉末の保持力が不十
分となって現像時にパターン部分の剥離が生じ易くな
る。一方、 20(wt%) を越えると銀粉末の含有量が相対
的に低下するため、焼成後の黒色導電厚膜の膜厚が薄く
なって抵抗値の上昇を招く。
【0024】また、前記第2発明において、好適には、
前記の感光性組成物は、光重合性化合物および光重合開
始剤から構成される。このようにすれば、感光性黒色導
電ペーストは、それから形成されたペースト膜を露光お
よび現像処理してパターン形成するに際して、露光され
た部分が硬化させられてそれにより黒色導電厚膜のパタ
ーンが構成される所謂ネガ型になる。
【0025】なお、上記の光重合性化合物は、好適に
は、ペースト全体に対する割合で3 〜20(wt%) の範囲
で含まれる。3(wt%) 未満では露光不良すなわちパター
ン部分が十分に硬化させられず、 20(wt%) を越えると
生成された黒色導電厚膜の導電性が著しく低下すること
となる。また、光重合性化合物としては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル
酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2-ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、
エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、
エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレー
ト、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレー
ト、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレ
ート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタク
リレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレ
ート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エ
チルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブ
チルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、
2-エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等の単官能モノマー、エチ
レングリコールジアクリレート、エチレングリコールモ
ノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリ
レート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、
ノナエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレ
ングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコー
ルモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノメ
タクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリ
レート、ノナエチレングリコールモノメタクリレート、
ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピ
レングリコールモノアクリレート、テトラプロピレング
リコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモ
ノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノメタ
クリレート、ブチレングリコールモノメタクリレート、
プロピレングリコールモノアクリレート、エチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、テト
ラエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレング
リコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレ
ート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジプ
ロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレング
リコールジアクリレート、テトラプロピレングリコール
ジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレ
ート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ブ
チレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テ
トラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジア
クリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、
カルドエポキシジアクリレート等の多官能モノマーを挙
げることができ、特に、トリエチレングリコールモノア
クリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレー
ト、トリエチレングリコールモノメタクリレート、テト
ラエチレングリコールモノメタクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールト
リメタクリレートが好適に用いられる。これらは焼成時
に分解および揮散し易いことから生成された黒色導電厚
膜の電気的特性を低下させ難く、しかも高感度の感光性
黒色導電ペーストを構成し得る。
【0026】また、上記の光重合開始剤としては、例え
ば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-
ジメトキシ-1,2- ジフェニルエタン-1- オン、2-メチル
-1-[4- (メチルチオ) フェニル]-2-モルフォリノプロパ
ン-1- オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モル
フォリノフェニル)-ブタン-1- オン、2-ヒドロキシ-2-
メチル-1- フェニルプロパン-1- オン、2,4,6-トリメチ
ルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-
ヒドロキシエトキシ) フェニル]-2-ヒドロキシ-2- メチ
ル-1- プロパン-1- オン、2,4-ジエチルチオキサント
ン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサン
トン、3,3-ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベ
ンゾフェノン、1-クロロ-4- プロポキシチオキサント
ン、1-(4- イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2- メ
チルプロパン-1- オン、1-(4- ドデシルフェニル)-2-ヒ
ドロキシ-2- メチルプロパン-1- オン、4-ベンゾイル-
4'-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息
香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルア
ミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチ
ル、4-ジメチルアミノ安息香酸-2- エチルヘキシル、4-
ジメチルアミノ安息香酸-2-イソアミル、2,2-ジエトキ
シアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジ
ル- β- メトキシエチルアセタール、1-フェニル-1,2-
プロパンジオン-2-(ο- エトキシカルボニル) オキシ
ム、ο- ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4- ジメチル
アミノフェニル) ケトン、4,4'- ビスジエチルアミノベ
ンゾフェノン、4,4'- ジクロロベンゾフェノン、ベンジ
ル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、
ベンゾイン-n- ブチルエーテル、ベンゾインイソブチル
エーテル、ベンゾインブチルエーテル、p-ジメチルアミ
ノアセトフェノン、p-tert- ブチルトリクロロアセトフ
ェノン、p-tert- ブチルジクロロアセトフェノン、チオ
キサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピル
チオキサントン、ジベンゾスベロン、α, α- ジクロロ
-4- フェノキシアセトフェノン、ペンチル-4- ジメチル
アミノベンゾエート等を挙げることができる。光重合開
始剤は、好適には、ペースト全体に対する割合で0.05〜
10(wt%) の範囲で含まれる。 0.05(wt%) 未満では露
光不良すなわち光重合性化合物の重合が十分に進行せず
パターン部分の効果が不十分となる。一方、 10(wt%)
を越えると、生成された黒色導電厚膜の導電性が著しく
低下することとなる。
【0027】
【第1および第2発明の他の態様】また、前記第1およ
び第2発明において、好適には、前記黒色顔料の比表面
積は、1 〜20(m2/g)である。このようにすれば、黒色顔
料の比表面積が黒色導電厚膜の導電性が十分に高く保た
れ且つ感光性ペーストの場合においては解像性も十分に
高く保たれる範囲で十分に大きくされていることから、
黒色の発色が良好に得られて明度が十分に低下させられ
る。なお、1(m2/g) 未満では明度の低下が不十分であ
り、反対に20(m2/g)を越えると抵抗値が上昇すると共に
感光性ペーストの場合においては解像性の低下が著しい
のである。また、上記比表面積の範囲は、一層好適に
は、2 〜15(m2/g)である。
【0028】また、前記第1および第2発明において、
好適には、前記黒色顔料は、ペースト組成物の全体に対
する割合で0.5 〜 10(wt%) の範囲で含まれている。こ
のようにすれば、黒色顔料の含有率が黒色導電厚膜の導
電性が十分に高く保たれ且つ感光性ペーストの場合にお
いては解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きく
されていることから、黒色の発色が良好に得られて明度
が十分に低下させられる。なお、0.5(wt%) 未満では明
度の低下が不十分であり、反対に 20(wt%) を越えると
抵抗値が上昇すると共に解像性の低下が著しい。また、
上記含有率の範囲は、一層好適には、1 〜8(wt%) であ
る。
【0029】
【課題を解決するための第3の手段】また、前記目的を
達成するための第3発明の黒色導電厚膜の要旨とすると
ころは、所定の基板上に所定パターンで設けられ、銀お
よび黒色顔料がガラスで結合されて成る黒色導電厚膜で
あって、(a) 前記黒色顔料が、Co3O4 から成ることにあ
る。
【0030】
【第3発明の効果】このようにすれば、黒色導電厚膜
は、黒色顔料がCo3O4 で構成されることから、前記第1
発明の効果で説明したように、Co3O4 は他の黒色顔料に
比較して黒色導電厚膜の明度および黄色度を低下させる
作用が大きく、しかも、その抵抗値をそれほど上昇させ
ないため、導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が
十分に低い黒色導電厚膜が得られる。
【0031】
【第3発明の他の態様】ここで、上記の第3発明におい
て、好適には、前記黒色導電厚膜は、所定の一面側から
観察される透光性基板のその一面とは反対側の他面上に
設けられて前記黒色顔料を含む黒色導電層と、その黒色
導電層よりも高い明度および高い導電性を有してその上
側に積層して備えられた高明度高導電層とを含むもので
ある。このようにすれば、黒色導電厚膜は、黒色顔料を
含む黒色導電層と、それよりも高明度且つ高導電性の高
明度高導電層とが積層されて構成されることから、黒色
導電厚膜全体の導電性は、高明度高導電層によって十分
に高められる。一方、観視側となる透光性基板の一面側
においては、それら積層された二種の導電層のうちの黒
色導電層がその透光性基板を介して観察されることか
ら、黒色導電厚膜の色調は実質的に黒色導電層によって
決定される。このとき、黒色導電厚膜の導電性は高明度
高導電層で確保されることから黒色導電層の導電性が比
較的低くなっても差し支えないため、それに含まれる黒
色顔料の量を十分に多くして黒色導電層延いては黒色導
電厚膜の明度および黄色度を十分に低くできる。したが
って、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導
電厚膜が得られる。なお、黒色導電層もある程度の導電
性を有していることから、このような黒色導電膜で前述
したPDP8において透明電極28に重ねて用いられる
バス電極30を構成する場合にも、それらの間の導電性
を確保しつつ上記の一面側から見た場合における明度を
十分に低くできる。
【0032】また、前記の第3発明において、好適に
は、前記黒色導電厚膜は、光硬化性化合物を含む導電ペ
ーストを用いて露光および現像によりパターン形成され
たものである。このようにすれば、露光および現像によ
り所謂フォト・リソグラフィ法で黒色導電厚膜がパター
ン形成される場合において、黒色顔料がCo3O4 から構成
されることから、前記第2発明の効果で説明したよう
に、露光および現像時の解像性を大きく低下させること
なく、導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分
に低い黒色導電厚膜を得ることができる。
【0033】特に、黒色導電厚膜が前記の黒色導電層お
よび高明度高導電層から構成される場合において、それ
らが光硬化性化合物を含む導電ペーストを用いてパター
ン形成される場合には、一方の高明度高導電層はその黒
色導電層よりも高明度であることから露光が容易である
ため、黒色導電厚膜全体が黒色導電層から構成される場
合に比較して、その黒色導電層を形成するための黒色導
電ペーストが露光し難くされていても全体として十分な
露光性を確保できる。そのため、黒色導電層中に含まれ
る黒色顔料の量は導電厚膜全体の導電性や露光性に殆ど
影響しないことから、それに含まれる黒色顔料の量を十
分に多くして黒色導電層延いては黒色導電厚膜の明度お
よび黄色度を十分に低くできる。したがって、導電性お
よび膜形成時の解像性を高く保ちながら、明度および黄
色度の低い黒色導電厚膜を得ることができる。
【0034】また、前記の第3発明において、好適に
は、前記黒色顔料の比表面積は、1 〜20(m2/g)である。
このようにすれば、黒色導電厚膜中に含まれる黒色顔料
の比表面積は、その膜の導電性が十分に高く保たれ且つ
感光性ペーストを用いて露光および現像処理を経てパタ
ーン形成される場合においては解像性も十分に高く保た
れる範囲で十分に大きくされていることから、黒色の発
色が良好に得られて明度が十分に低下させられる。な
お、1(m2/g) 未満では明度の低下が不十分であり、反対
に20(m2/g)を越えると抵抗値が上昇すると共に解像性の
低下が著しい。また、上記比表面積の範囲は、一層好適
には、2 〜15(m2/g)である。
【0035】また、前記の第3発明において、好適に
は、前記黒色顔料は、前記黒色導電厚膜の全体に対する
割合で0.5 〜 20(wt%) の範囲で含まれている。このよ
うにすれば、黒色顔料の含有率は、黒色導電厚膜の導電
性が十分に高く保たれ且つ感光性ペーストを用いて露光
および現像処理を経てパターン形成される場合において
は解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされ
ていることから、黒色の発色が良好に得られて明度が十
分に低下させられる。なお、0.5(wt%) 未満では明度の
低下が不十分であり、反対に 20(wt%) を越えると抵抗
値が上昇すると共に解像性の低下が著しい。また、上記
含有率の範囲は、一層好適には、1 〜8(wt%) である。
【0036】
【課題を解決するための第4の手段】また、前記の目的
を達成するための第4発明の黒色導電厚膜の形成方法の
要旨とするところは、所定の一面側から観察される透光
性基板のその一面とは反対側の他面上に所定パターンで
黒色導電厚膜を形成する方法であって、(a) 前記透光性
基板の他面に前記第1発明または前記第2発明の何れか
の黒色導電ペースト組成物を塗布して黒色導電ペースト
膜を形成する黒色ペースト膜形成工程と、(b)前記黒色
導電ペースト膜から生成されるものよりも明度が高く且
つ導電性の高い膜を生成するための高明度高導電ペース
ト組成物を、その黒色導電ペースト膜上に塗布して高明
度高導電ペースト膜を積層形成することにより、所定厚
さの導電ペースト膜を形成する高明度ペースト膜形成工
程と、(c) その導電ペースト膜を焼成して所定パターン
の黒色導電厚膜を生成する焼成工程とを、含むことにあ
る。
【0037】
【第4発明の効果】このようにすれば、黒色導電厚膜を
形成するに際しては、黒色ペースト膜形成工程におい
て、透光性基板の他面に前記第1発明または第2発明の
何れかの黒色導電ペースト組成物を塗布して黒色導電ペ
ースト膜が形成され、高明度ペースト膜形成工程におい
て、その黒色導電ペースト膜から生成されるものよりも
明度が高く且つ導電性の高い膜を形成するための高明度
高導電ペースト組成物を、その黒色導電ペースト膜上に
塗布して高明度高導電ペースト膜を積層形成することに
より、所定厚さの導電ペースト膜が形成され、更に、焼
成工程において、その導電ペースト膜を焼成して所定パ
ターンの黒色導電厚膜が生成される。そのため、黒色導
電厚膜は、黒色導電ペースト膜から生成された黒色導電
層と、高明度高導電ペースト膜から生成された高明度高
導電層とが積層されて構成されることから、全体の導電
性は、高明度高導電層によって十分に高められる。一
方、観視側となる透光性基板の一面側においては、それ
ら積層された二種の導電層のうちの黒色導電層がその透
光性基板を介して観察されることから、黒色導電厚膜の
色調は実質的に黒色導電層によって決定される。このと
き、黒色導電厚膜の導電性は高明度高導電層で確保され
ることから黒色導電層の導電性が比較的低くなっても差
し支えないため、それに含まれる黒色顔料の量を十分に
多くして黒色導電層延いては黒色導電厚膜の明度および
黄色度を十分に低くできる。したがって、導電性が高く
且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を形成するこ
とができる。
【0038】
【第4発明の他の態様】ここで、上記の第4発明におい
て、黒色導電厚膜の形成方法の一層好適な態様の要旨と
するところは、前記黒色導電ペースト組成物は、前記第
2発明の感光性黒色導電ペースト組成物であり、前記高
明度ペースト膜形成工程の後に前記焼成工程に先立って
実施される下記の2工程、(d) 所定の開口パターンの遮
蔽膜を介して前記導電ペースト膜を選択的に露光する露
光工程と、(e) その露光工程の後にその導電ペースト膜
のうちの非硬化部分を所定の現像液で洗浄除去する現像
工程とを、含むことにある。
【0039】このようにすれば、高明度ペースト膜形成
工程の後に、露光工程において、所定の開口パターンの
遮蔽膜を介して前記導電ペースト膜が選択的に露光さ
れ、その露光工程の後に、現像工程において、その導電
ペースト膜のうちの非硬化部分が所定の現像液で洗浄除
去され、その後、前記の焼成工程が施される。そのた
め、感光性黒色導電ペースト組成物を用いて、所謂フォ
ト・リソグラフィ法によって黒色導電厚膜がパターン形
成されることから、厚膜スクリーン印刷法でパターン形
成する場合よりも容易に高精度のパターンが得られる。
このとき、黒色導電厚膜に生成される導電ペースト膜
は、黒色ペースト膜と高明度高導電ペースト膜とが積層
されているが、これらのうち高明度高導電ペースト膜は
黒色顔料を含む黒色ペースト膜よりも露光が容易であ
る。したがって、前述のように生成される黒色導電厚膜
の導電性が高明度高導電層で確保されることに加えて、
全体が黒色ペースト膜から生成される場合に比較して、
黒色ペースト膜が露光し難くされていても導電ペースト
膜全体として十分な露光性を確保できるため、その中に
含まれる黒色顔料を量を比較的多くできる。上記によ
り、感光性黒色導電ペーストを用いて露光および現像処
理を経て黒色導電厚膜を形成する場合においても、解像
性および生成される膜の導電性を高く保ちながら、明度
および黄色度を一層低くすることができる。
【0040】また、上記の第4発明において、好適に
は、前記高明度高導電ペースト組成物は、ペースト組成
物の全体に対する割合で50〜 90(wt%) の範囲で銀粉末
を含むものである。このようにすれば、専ら導電性の確
保に寄与する高明度高導電ペーストの銀粉末の含有量が
十分に多くされていることから、生成される黒色導電厚
膜に全体として十分に高い導電性が付与される。なお、
銀粉末の含有量が 50(wt%) 未満では導電性が不十分と
なる一方、 90(wt%) を越えるとペースト化が困難にな
る。また、感光性を有する導電ペースト組成物が用いら
れる場合においては、 80(wt%) を越えると照射された
光がペースト膜の内部にまで十分に到達しないことか
ら、解像性が著しく低下するという問題も生じる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して詳細に説明する。
【0042】図3(a) は、本発明の一実施例の黒色導電
厚膜40が基板42上に形成された状態を示す斜視図で
あり、同(b) は、(a) のb−b視断面における黒色導電
厚膜40の構造を模式的に示す図である。この黒色導電
厚膜40は後述するように厚膜導体ペーストの一種であ
る感光性黒色導電ペーストを焼成して生成された厚膜導
体であって、膜厚 10(μm)程度、幅 50(μm)程度の寸法
を有し、図に示されるように、導電成分である銀44と
着色成分である黒色顔料46とが、ガラス48によって
結合させられることで構成されている。また、上記の基
板42は、例えば、ソーダ・ライム・ガラス等から成り
高い透光性を有するガラス平板であり、ガラス48はこ
の基板42に黒色導電厚膜40を固着させる機能をも有
している。なお、黒色導電厚膜40は、例えば、前記図
1或いは図2に示されるPDP8のバス電極30等を構
成するものであり、上記基板42は、例えば同図におけ
る前面板10に対応する。図3においてはバス電極30
を構成する黒色導電厚膜40が基板42上に直接設けら
れている場合を示しているが、黒色導電厚膜40は、上
記図1或いは図2に示されるように透明電極28上に設
けられてもよい。
【0043】上記の黒色顔料46は、例えば、BET比
表面積測定法で測定した比表面積が3 〜13(m2/g)程度で
黒色を呈するCo3O4 から成るものであり、ガラス48中
に略均一に分散させられている。そのため、黒色導電厚
膜40は、図3(b) に矢印で示される観視方向から透明
な基板42越しに観察した場合において、35〜55程度の
比較的低い黒色度を有している。その一方、抵抗値は、
その長手方向に沿って80(mm)程度の間隔を設けた100(μ
m)程度の幅のパターンの2点間の値で10〜 15(Ω) 程度
(例えばマルチ・メータで測定)と低く、高い導電性を
有している。そのため、上述のようにPDP8のバス電
極30等に用いられた場合に良好な光学的特性および電
気的特性を示す。なお、「黒色度」は、色差計(例えば
ミノルタ製)によって明度を表すL値を測定した値であ
る。また、以下の説明において単に「抵抗値」というと
きは、他の実施例も含めて黒色導電厚膜40等の長手方
向に沿って相互に80(mm)隔てた100(μm)程度の幅のパタ
ーンの2点間の抵抗値を意味する。
【0044】以下、黒色導電厚膜40の形成方法を、工
程の要部を示す図4および形成過程の各段階における断
面形状を示す図5を参照して説明する。なお、前記の図
1、図2に示される前面板10にバス電極30として機
能する黒色導電膜40を設ける場合には、前述したよう
に透明電極28が適宜の形状で先に設けられるが、以下
の説明においてはこれを省略した。
【0045】先ず、感光性黒色導電ペースト印刷工程S
1においては、例えば厚膜スクリーン印刷法やバー・コ
ータ塗布等によって、基板42表面(透明電極28が設
けられている場合には、基板42および透明電極28で
あるが、以下、便宜上「基板42」として説明する。)
の全面に感光性黒色導電ペーストを塗布する。この感光
性黒色導電ペーストは、例えば、比表面積1.0 〜2.0(m2
/g) 程度の球状の銀粉末を 60(wt%) 程度と、比表面積
1 〜2(m2/g) 程度のPbO-SiO2-B2O3 系ガラス等から成る
ガラス粉末(ガラス・フリット)を4(wt%) 程度と、カ
ルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロ
ース等の水溶性の有機結合剤(高分子バインダ)を5(wt
%) 程度と、前記黒色顔料46(Co3O4) を2 〜6(wt%)
程度と、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の光
重合性化合物を5(wt%) 程度と、2-ベンジル-2- ジメチ
ルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1- オン
等の光重合開始剤を0.5(wt%) 程度と、3-メチル-3- メ
トキシブタノール等の有機溶剤を残部とを合計100(wt
%) となるように混合し、例えば、三本ロール・ミル等
を用いて混練することによりペースト化したものであ
る。なお、混練後のペーストの粘度は、例えば100(Pa・
s)程度である。
【0046】次いで、ペースト乾燥工程S2において
は、例えば、遠赤外線乾燥機を用いて80(℃) 程度の温
度で 15(分間) 程度乾燥処理を施すことにより、基板4
2上に塗布された感光性黒色導電ペーストから有機溶剤
が揮発させられ、黒色導電ペースト膜52が形成され
る。図5(a) はこの状態を示している。このとき、黒色
導電ペースト膜52の乾燥後の膜厚は例えば 10(μm)程
度である。
【0047】続く露光工程S3においては、所定寸法の
ネガ・マスク54を介して黒色導電ペースト膜52を選
択的に露光する。図5(b) はこの状態を示している。図
において、ネガ・マスク54は、例えば互いに平行でw
o = 50(μm)程度の幅寸法の複数本の開口部56をws
=100(μm)程度の一定間隔で備えたものであり、黒色導
電ペースト膜52から僅かな距離隔てた上方に配置され
ている。なお、開口部56の長さは、基板42上に形成
する黒色導電厚膜40の長さに応じて設定されている。
また、上記の露光処理は、例えば超高圧水銀灯を用いて
350(nm) 程度の波長の紫外線を300(mJ/cm2) 程度のエネ
ルギ線量で照射して行った。これにより、開口部56の
直下に位置する図に斜線で示される部分58が選択的に
露光され、黒色導電ペースト膜中に含まれている光重合
性化合物がその露光部分58のみにおいて重合反応によ
って硬化させられ、基板42表面に強固に固着される。
一方、露光部分58を除く未露光部分は、何ら変化させ
られていない。
【0048】現像工程S4においては、例えば、現像液
として水を2(kgf/cm2)程度の吐出圧力で 20(秒間) 程度
吹きつけることにより、現像処理を施す。すなわち、露
光処理を施した基板42の洗浄処理を行う。これによ
り、ペースト膜52のうちの未露光部分が水で溶解され
て洗い流されることによって選択的に除去され、基板4
2上には露光部分58のみが残ることとなる。図5(c)
はこの状態を示している。そして、乾燥工程S5におい
て、基板42(および黒色導電ペースト膜52)を乾燥
し、更に、導体焼成工程S6において、例えば電気炉を
用いて550(℃) ×2(hr) 程度の条件で焼成処理を施す。
これにより、黒色導電ペースト膜52から高分子バイン
ダ、光重合性化合物、光重合開始剤等の有機成分が加熱
により分解され且つ揮発して除去されると同時に、ガラ
ス粉末が溶融させられたガラス48によって銀44およ
び黒色顔料46が結合させられて前記の黒色導電厚膜4
0が生成される。
【0049】ここで、表1は、上述のようにして形成さ
れた黒色導電厚膜40の特性を、形成条件を種々変更し
たものについて、試験条件と併せて比較例と共に示すも
のである。なお、下記の表において、「解像性」欄の10
0 〜1000の数値は前記露光工程S3において照射するエ
ネルギ線量であり、「○」はネガ・マスク54のパター
ン通りに黒色導電厚膜40が形成されたことを、「△」
は黒色導電厚膜40が一応形成できたが線の細りやパタ
ーン・エッジのガタツキ等が生じたことを、「×」は露
光時にペースト膜が硬化せず、現像時にペースト膜52
が剥離して黒色導電厚膜40を形成できなかったことを
それぞれ表す。また、「有機結合剤 種類」欄において
「CMC 」および「HPC 」はそれぞれカルボキシメチルセ
ルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースである。
なお、表に記載されていない他の条件は、何れの実施例
E および比較例R においても全て前記の工程説明に従
い、黒色度および抵抗値の測定方法は前述の通りであ
る。
【0050】 [表1] (実施例) 単位 E1 E2 E3 E4 E5 銀粉末 比表面積 (m2/g) 1.0 ← ← 2.0 1.0 配合比率 (wt%) 60 ← ← ← ← ガラス 比表面積 (m2/g) 1 ← ← 2 1 粉末 配合比率 (wt%) 4 ← ← ← ← 有機 種類 CMC HPC ← ← CMC 結合剤 配合比率 (wt%) 5 ← ← ← ← 黒色 種類 Co3O4 ← ← ← ← 顔料 比表面積 (m2/g) 7 ← 3 13 25 配合比率 (wt%) 2 6 4 2 ← 解像性 100(mJ/cm2) × × × × × 300 ○ △ ○ ○ × 500 ○ ○ ○ ○ × 1000 △ ○ ○ △ △ 黒 色 度 (L値) 55 35 45 50 45抵 抗 値 (Ω) 10 15 12 15 15 (比較例) 単位 R1 R2 R3 R4 R5 R6 R7 銀粉末 比表面積 (m2/g) 1.0 ← ← ← ← ← ← 配合比率 (wt%) 60 ← ← ← ← ← ← ガラス 比表面積 (m2/g) 1 ← ← ← ← ← ← 粉末 配合比率 (wt%) 4 ← ← ← ← ← ← 有機 種類 CMC ← ← ← ← ← ← 結合剤 配合比率 (wt%) 5 ← ← ← ← ← ← 黒色 種類 − RuO2 ← Fe-Cr-Mn系 Cu-Cr-Mn系 顔料 比表面積 (m2/g) − 6 30 5 ← ← 3 配合比率 (wt%) − 4 2 4 2 4 ← 解像性 100(mJ/cm2) ○ × × × × × × 300 ○ × × × × × × 500 ○ × × × △ × × 1000 △ △ △ × △ △ △ 黒 色 度 (L値) 70 55 50 55 60 55 60抵 抗 値 (Ω) 8 15 20 − 10 15 10 単位 R8 R9 R10 R11 銀粉末 比表面積 (m2/g) 0.3 3.0 1.0 ← 配合比率 (wt%) 60 50 60 ← ガラス 比表面積 (m2/g) 1 ← ← ← 粉末 配合比率 (wt%) 3 ← 4 ← 有機 種類 CMC ← ← ← 結合剤 配合比率 (wt%) 5 ← ← ← 黒色 種類 Co3O4 ← Co2O3 ← 顔料 比表面積 (m2/g) 7 7 4 ← 配合比率 (wt%) 2 ← ← 6 解像性 100(mJ/cm2) × × × × 300 ○ × △ × 500 ○ × ○ △ 1000 △ △ ○ △ 黒 色 度 (L値) 55 55 65 55抵 抗 値 (Ω) 20 10 10 16
【0051】上記の表1(実施例)から明らかなよう
に、黒色顔料46としてCo3O4 を用いることにより、露
光工程S3における紫外線の照射線量を適当に設定すれ
ば、前記ネガ・マスク54の開口パターンに従って黒色
導電ペースト膜52が硬化させられ、所定パターンの黒
色導電厚膜40が得られる。特に、比表面積が3 〜13(m
2/g)程度のCo3O4 を黒色顔料46として用いた実施例 E
1〜 E4によれば、紫外線のエネルギ線量を300(mJ/c
m2) 以上とすることによって、黒色度が35〜55と十分に
低く良好な黒色の発色が得られると共に、抵抗値が10〜
15(Ω) 程度と十分に高い導電性を備えた黒色導電厚膜
40を得ることができる。
【0052】但し、上記実施例 E1〜 E5の何れにおい
ても、100(mJ/cm2) 程度のエネルギ線量では、光重合性
化合物の反応が不十分となるため黒色導電ペースト膜5
2が硬化させられない。また、実施例 E1および E4に
おいては1000(mJ/cm2)程度のエネルギ線量で過露光にな
ってネガ・マスク54の開口部56よりも硬化させられ
る幅が広がるため、所期のパターン通りの黒色導電厚膜
40が得られない。また、実施例 E2においては、300
(mJ/cm2) 程度のエネルギ線量でも硬化が十分ではな
く、パターン幅の細りやガタツキ等が生じる。このた
め、何れの場合にも高い解像性は得られない。一般に、
黒色顔料46の添加量が多いほど露光が困難になる傾向
にあるため、添加量が2(wt%) 程度と少ない実施例 E1
および E4では過露光になるエネルギ線量が比較的低く
なり、反対に添加量が6(wt%) 程度と多い実施例 E2で
は適正な露光に必要なエネルギ線量の下限が上昇したも
のと推定される。なお、Co3O4 の比表面積が25(m2/g)程
度の実施例 E5では、黒色度、抵抗値共に優れた値が得
られるが、良好な解像性を得るためには照射エネルギ量
を極めて高くする必要がある。また、表に示される特性
値は、十分な解像性が得られた黒色導電厚膜40で評価
したものである。
【0053】これに対して、比較例 R1では黒色顔料4
6を含まないことから、高い解像性が得られ且つ抵抗値
が極めて低い一方で、黒色度(L値)が70程度と高くな
る。また、比較例 R2〜 R7は黒色顔料46として RuO
2 Fe-Cr-Mn系 Cu-Cr-Mn系等の他の材料を用いたもので
あるが、何れの顔料の場合にも50〜60程度の黒色度が得
られる添加量の範囲では露光が著しく困難であり、所定
のパターンの黒色導電厚膜40を得ることができたもの
はなかった。また、比較例 R8、 R9は、それぞれ黒色
顔料としてCo3O4 を用いたものであるが、比較例 R8で
は銀粉末の比表面積が0.3(m2/g) 程度と小さく粗大であ
ることから、高い解像性は得られるものの導電性が不十
分となった。一方、比較例 R9では銀粉末の比表面積が
3.0(m2/g) 程度と大きく微細過ぎるため、抵抗値が高く
且つ高い解像性も得られない。すなわち、銀粉末の比表
面積が0.4(m2/g) 未満と粗大になると焼成時に連続膜が
形成され難くなり、一方、2.5(m2/g) を越えるとペース
ト化が困難になると共にペースト膜中において銀粉末を
保持するために必要な有機結合剤が多くなることから焼
成後の導電厚膜の膜厚が薄くなるため、何れの場合にも
抵抗値が上昇するのである。
【0054】また、比較例 R11、 R12は、黒色顔料
として酸化コバルトの一種である Co2O3を用いたもので
あるが、その添加量が少ない比較例 R11ではL値が大
き過ぎる一方、添加量が多い比較例 R12では比較的高
いエネルギ線量においても黒色導電ペースト膜の硬化が
不十分でパターンの細りやガタツキが生じて十分な解像
性が得られなかった。すなわち、Co2O3 では適切な添加
量範囲を設定することができず、酸化コバルトのうちCo
3O4 だけが解像性と黒色度とを両立させ得る。
【0055】なお、実施例 E1〜 E5においては、比表
面積が1.0 或いは2.0(m2/g) 程度の銀粉末を 60(wt%)
程度、比表面積が1 或いは2(m2/g) 程度のガラス粉末を
4(wt%) 程度それぞれ添加しているが、それぞれ何れの
比表面積の場合にも表1に示されるように良好な結果が
得られる。したがって、銀粉末としては0.4 〜2.5(m2/
g) の範囲が好適なのである。また、特に実験結果は示
さないが、ガラス粉末についても、0.5(m2/g) 未満では
抵抗値が増大すると共に粗大になることから印刷性が低
下し、反対に10(m2/g)を越えると分散性が悪くなってペ
ースト化が困難になることが確かめられている。
【0056】要するに、本実施例においては、黒色導電
厚膜40を形成するための感光性黒色導電ペーストにお
いて、導電性成分として含まれる銀粉末は比表面積が1.
0 或いは2.0(m2/g) 程度と微細であり、黒色顔料46は
Co3O4 粉末から構成されることから、高い感光性延いて
は高い解像性を有すると共に、その感光性黒色導電ペー
ストから形成される黒色導電厚膜40には銀とCo3O4
ら成る黒色顔料46とがガラス48で結合されて構成さ
れるため、前記表1に示されるように導電性が十分に高
く且つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚膜が得
られる。
【0057】また、本実施例においては、感光性黒色導
電ペーストを構成する銀粉末として球状を成すものが用
いられている。そのため、同様な粒子径で比較した場合
において、球状粒子は比表面積が小さく表面積当たりの
粒径が大きいことから、黒色導電ペースト膜52を形成
するために必要な有機結合剤の量を少なくして、黒色導
電厚膜40の導電性を一層高めることができる。しか
も、球状粒子は板状、不定形状に比較して照射された光
のペースト膜52内部における散乱を生じさせ難いた
め、解像性も高められる。したがって、一層高い解像性
を保ちながら、一層高い導電性を有する黒色導電厚膜4
0を形成し得る感光性黒色導電ペーストが得られる。
【0058】また、本実施例においては、感光性黒色導
電ペーストを構成する銀粉末は、ペースト組成物の全体
に対する割合で 60(wt%) 程度含まれている。そのた
め、銀粉末の含有量がペースト化が容易且つ露光が容易
な範囲で十分に多くされていることから、乾燥および焼
成後の膜厚を十分に厚くできるため、一層高い導電性が
得られる。
【0059】また、本実施例においては、感光性黒色導
電ペーストを構成するガラス粉末として、比表面積が1
或いは2(m2/g) のものが用いられる。そのため、十分な
分散性を確保しながら、ペーストの良好な印刷性が得ら
れる。しかも、本実施例においては、ガラス粉末として
軟化点550(℃) 程度のPbO-SiO2-B2O3 から成るガラスが
用いられていることから、導体焼成工程S6の焼成温度
を比較的低温としながらガラス粉末を十分に溶融させる
ことができる。したがって、黒色導電厚膜40と基板4
2との高い固着強度が確保される。
【0060】また、本実施例においては、ガラス粉末の
含有量はペースト全体に対して4(wt%) 程度である。し
たがって、抵抗値の上昇および解像性の低下を抑制しつ
つ、黒色導電厚膜40と基板42等との固着強度が一層
高められる。
【0061】また、本実施例においては、感光性黒色導
電ペーストを構成する有機結合剤として、水溶性を有す
るCMC或いはHPCが用いられている。そのため、黒
色導電ペースト膜52を基板42上で形状保持するため
の有機結合剤が水溶性を有することから、パターン形成
するための現像工程S4において、前述のように現像液
として水を用いることができる。したがって、現像液に
よる基板42の浸食や変質等の直接的な損傷や、現像液
の残留物による焼成時の発泡等の間接的な損傷が基板4
2に生じることが抑制される。しかも、特にHPCは銀
粉末や黒色顔料46との相溶性が大きく、ガラス粉末表
面に存在する金属イオンとの反応性が低いことから、前
記表1の実施例 E4に示されるように銀粉末、ガラス粉
末、および黒色顔料46の比表面積が比較的大きい場合
にも、黒色導電ペーストの粘性の変化やゲル化が抑制さ
れて保存性が高められる。
【0062】また、本実施例においては、有機結合剤
(CMC或いはHPC)の含有量は、ペースト全体に対
する割合で5(wt%) 程度である。したがって、ペースト
膜中における銀粉末やガラス粉末の保持力を十分に確保
して現像工程S4におけるパターン剥離を抑制しつつ、
焼成後の黒色導電厚膜40の膜厚を確保してその抵抗値
の上昇を抑制できる。
【0063】また、本実施例においては、感光性黒色導
電ペーストに感光性を付与するための感光性組成物は、
ペンタエリスリトールトリアクリレート等の光重合性化
合物と、2-ベンジル-2- ジメチルアミノ-1-(4-モルフォ
リノフェニル)-ブタン-1- オン等の光重合開始剤とから
構成される。そのため、感光性黒色導電ペーストは、そ
れから形成された黒色導電ペースト膜52を露光工程S
4および現像工程S5を経てパターン形成するに際し
て、露光された部分が硬化させられてそれにより黒色導
電厚膜40のパターンが構成される所謂ネガ型になる。
【0064】なお、上記の光重合性化合物は、ペースト
全体に対する割合で5(wt%) 程度含まれ、光重合開始剤
は0.5(wt%) 程度含まれる。そのため、露光によってパ
ターン部分が容易且つ十分に硬化させられる範囲でそれ
ぞれの添加量が少なくされていることから、導電性が高
く且つパターン精度が優れた黒色導電厚膜40が得られ
る。しかも、本実施例においては、焼成時に分解および
揮散し易いペンタエリスリトールトリアクリレートが光
重合性化合物として用いられていることから、感光性黒
色導電ペーストの感度が高められ、且つ、それから生成
された黒色導電厚膜40の電気的特性が一層高められ
る。
【0065】また、本実施例においては、黒色顔料46
の比表面積は、3 〜25(m2/g)程度、特に好適な結果が得
られた範囲では13(m2/g)程度以下であって、黒色導電厚
膜40の導電性が十分に高く保たれ且つ感光性黒色導電
ペーストの解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大
きくされている。そのため、黒色の発色が良好に得られ
て黒色導電厚膜40の明度が十分に低下させられる。
【0066】また、本実施例においては、黒色顔料46
は、ペースト組成物の全体に対する割合で2 〜6(wt%)
程度と、黒色導電厚膜40の導電性が十分に高く保たれ
且つ解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくさ
れている。そのため、抵抗値を大きく上昇させることな
く、黒色の発色が良好に得られて黒色導電厚膜40の明
度が十分に低下させられる。
【0067】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分
は説明を省略する。
【0068】下記の表2は、前記現像工程S4におい
て、アルカリ水溶液である0.3(%) 炭酸ナトリウム水溶
液を用いて前記黒色導電厚膜40を形成する場合の調合
条件および特性評価結果を比較例と併せて示すものであ
る。なお、下記の表2において、「有機結合剤 種類」
欄の「EMA 」および「EA」は、それぞれメタクリル酸エ
チルおよびアクリル酸エチルの重合物を表す。有機結合
剤の種類を除く他の調合条件は実施例 E6〜 E10、比
較例 R12〜 R18共に前記表1の場合と同様であり、
製造工程も現像液が異なる他は前記図4に示される工程
と同様である。下記の表2から明らかなように、アルカ
リ水溶液に可溶な有機結合剤が用いられる場合にも、水
溶性の有機結合剤が用いられる前記表1の場合と同様な
結果が得られる。
【0069】 [表2] (実施例) 単位 E6 E7 E8 E9 E10 銀粉末 比表面積 (m2/g) 1.0 ← ← ← 2.0 配合比率 (wt%) 60 ← ← ← ← ガラス 比表面積 (m2/g) 1 ← ← ← 2 粉末 配合比率 (wt%) 4 ← ← ← ← 有機 種類 EMA ← ← ← EA 結合剤 配合比率 (wt%) 5 ← ← ← ← 黒色 種類 Co3O4 ← ← ← ← 顔料 比表面積 (m2/g) 7 ← 3 25 13 配合比率 (wt%) 2 6 4 2 ← 解像性 100(mJ/cm2) × × × × × 300 ○ △ ○ × ○ 500 ○ ○ ○ × ○ 1000 △ ○ ○ △ △ 黒 色 度 (L値) 55 35 45 45 50抵 抗 値 (Ω) 10 15 12 15 15 (比較例) 単位 R12 R13 R14 R15 R16 R17 R18 銀粉末 比表面積 (m2/g) 1.0 ← ← ← ← ← ← 配合比率 (wt%) 60 ← ← ← ← ← ← ガラス 比表面積 (m2/g) 1 ← ← ← ← ← ← 粉末 配合比率 (wt%) 4 ← ← ← ← ← ← 有機 種類 EMA ← ← ← ← ← ← 結合剤 配合比率 (wt%) 5 ← ← ← ← ← ← 黒色 種類 − RuO2 ← Fe-Cr-Mn系 Cu-Cr-Mn系 顔料 比表面積 (m2/g) − 6 30 5 ← ← 3 配合比率 (wt%) − 4 2 4 2 4 ← 解像性 100(mJ/cm2) ○ × × × × × × 300 ○ × × × × × × 500 ○ × × × △ × × 1000 △ △ △ × △ △ △ 黒 色 度 (L値) 70 55 50 55 60 55 60抵 抗 値 (Ω) 8 15 20 − 10 15 10
【0070】また、図6は、前記図1或いは図2に示さ
れるPDP8のバス電極30等を構成し得る他の黒色導
電厚膜60の構造を模式的に示す図である。図におい
て、黒色導電厚膜60は、基板42上に直接形成された
黒色の黒色導電層62と、その黒色導電層62上に積層
形成された薄い黄色の黄色導電層64とから構成され
て、幅 50(μm)程度、厚さ5 〜6(μm)程度の寸法を備え
たものであって、抵抗値が6(Ω) 程度以下の高い導電性
と、図に矢印で示される観視方向すなわち表面66側か
ら基板42を通して観察した状態における黒色度が40程
度の低い明度とを有している。そのため、導電性および
黒色度を要求されるバス電極30等として、前記表1或
いは表2に示されるような黒色導電厚膜40よりも一層
好適に用いられる。なお、PDP8等の放電表示装置に
おいては、一般に観視方向が電極30等が設けられて放
電空間16内に位置する裏面(内面)68とは反対側に
おいて外部空間に露出する表面66側になる。本実施例
においては、基板42が透光性基板に、表面66が所定
の一面に、裏面68がそれと反対側の他面にそれぞれ相
当する。
【0071】上記の黒色導電層62は、前記の黒色導電
厚膜40と同様に、銀44およびCo 3O4 から成る黒色顔
料46等を含むものであって、例えばtB =3(μm)程度
の厚さ寸法を備え、その抵抗値が 20(Ω) 程度、黒色度
が40程度に構成されている。このため、観視方向側に位
置する黒色導電層62の黒色度が十分に低いことから、
黒色導電厚膜60全体のその観視方向における黒色度
は、その黒色導電層62で決定されて40程度の極めて低
い明度である。一方、上記の黄色導電層64は、導電成
分としての銀44は含むが黒色顔料46は全く含まない
ものであって、例えばtY =4(μm)程度の厚さ寸法を備
え、その抵抗値は8(Ω)程度と低いが、黒色度は70程度
と高い明度になっている。このため、黒色導電厚膜60
の厚さ方向においてその一部を構成する黄色導電層64
の抵抗値が十分に低いことから、その黒色導電厚膜60
全体の導電性が高められて上記の通り抵抗値が低いので
ある。なお、上記のように黒色導電層62の膜厚は比較
的薄いが、黒色度すなわち明度が極めて低いことから、
上側の黄色導電層64の色調がその黒色導電層62を通
して図の観視方向側から観察されることはない。また、
黒色導電厚膜60の表面を基板42を介することなく直
接観察する場合の色調は、上側に位置する黄色導電層6
4の色調に従い薄い黄色であって黒色度が70程度である
が、この黄色導電層64は観視方向から直接的に視認さ
れ得ない。したがって、その色調(黄色や明度)は、P
DP8等の表示品質には何ら影響しない。本実施例にお
いては、上記の黄色導電層64が高明度高導電層に相当
する。
【0072】ところで、上記の黒色導電厚膜60は、例
えば図7に示される工程に従って基板42上に設けられ
る。なお、図7は前記図4に示される工程図の工程S1
乃至S3に対応する部分だけを示しており、S4以降は
図4の工程図に従う。以下、図7および工程の途中段階
における基板42の断面構造を示す図8を参照して黒色
導電厚膜60の形成方法を説明する。先ず、感光性黒色
導電ペースト印刷工程S1において、例えば厚膜スクリ
ーン印刷法等を用いて、基板42上(および透明電極2
8上)の全面に感光性黒色導電ペーストを塗布し、ペー
スト乾燥工程S2において、例えば、遠赤外線乾燥機を
用いて 80(℃) 程度の温度で 15(分間)程度乾燥処理を
施す。これにより、基板42上に塗布された感光性黒色
導電ペーストから有機溶剤が揮発させられ、図5に示さ
れる黒色導電ペースト膜52と同様な黒色導電ペースト
膜70が形成される。このとき、感光性黒色導電ペース
トの調合組成(種類および量)は、下記の表3の上段に
示す材料の調合量を除く他は前記表1に示される実施例
E1と同様であり、前記表1、表2に示される場合より
も銀粉末量が少なく、且つガラス粉末量、黒色顔料量、
および有機結合剤量が多くされている。また、黒色導電
ペースト膜70の乾燥後の膜厚は例えば6(μm)程度であ
る。本実施例においては、上記の感光性黒色導電ペース
ト印刷工程S1およびペースト乾燥工程S2が黒色ペー
スト膜形成工程に対応する。
【0073】 [表3] 銀粉末 ガラス粉末 黒色顔料 有機結合剤 黒色ペースト 40 10 5 7銀ペースト 60 3 0 7
【0074】続く感光性導電ペースト印刷工程S1−2
およびペースト乾燥工程S2−2においては、黒色導電
ペーストの場合と同様にして、黒色顔料46を含まない
感光性銀ペーストを上記黒色導電ペースト膜70上の全
面に印刷して 80(℃) 程度の温度で 15(分間) 程度乾燥
処理を施す。これにより、黒色導電ペースト膜70上に
銀ペースト膜72が積層されて全体として乾燥膜厚が14
〜 15(μm)程度の導電ペースト膜74が形成される。図
8(a) はこの状態を示している。なお、銀ペースト膜7
2の調合組成は上記の表3の下段に示す材料の調合量を
除く他は、黒色導電ペースト膜70を形成するための黒
色ペーストと同様、すなわち前記表1に示される実施例
E1の感光性黒色導電ペーストと同様であり、その乾燥
後の膜厚は8(μm)程度である。そして、露光工程S3に
おいて、前記図4に示される場合と同様にして、所定寸
法のネガ・マスク54を介して導電ペースト膜74を選
択的に、銀ペースト膜72側から(すなわち基板42を
通さず直接に)露光する。すなわち、黒色導電ペースト
膜70および銀ペースト膜72を一体として露光する。
図8(b) はこの状態を示している。本実施例において
は、上記の感光性導電ペースト印刷工程S1−2および
ペースト乾燥工程S2−2が高明度ペースト膜形成工程
に対応する。
【0075】このとき、黒色導電ペースト膜70は、銀
ペースト膜72を介して紫外線を照射されることとなる
が、銀ペースト膜72中には紫外線等の照射光の透過を
著しく妨げる黒色顔料46が含まれておらず、しかも、
その膜厚および黒色導電ペースト膜70自身の膜厚が上
記のようにそれぞれ薄くされている。そのため、紫外線
等を直接照射される銀ペースト膜72はもちろん、その
下側に位置する黒色導電ペースト膜70も好適に露光さ
れる。これにより、ネガ・マスク54の開口パターンに
従った同形状で、黒色導電ペースト膜70および銀ペー
スト膜72のうちの図に斜線で示される部分78が選択
的に硬化させられる。すなわち黒色導電ペースト膜70
上にネガ画像が形成される。そのため、その後の現像処
理(図4に示される現像工程S4)によって黒色導電ペ
ースト膜70および銀ペースト膜72が積層された所定
パターンの導電ペースト膜74が得られ、これを焼成
(図4の導体焼成工程S6)することによって前記図6
に示されるように、高い導電性と低い明度(黒色度)と
を兼ね備えた二層構造の黒色導電厚膜60が形成される
のである。なお、本実施例においては、実施例 E1等と
同様な水溶性有機結合剤が用いられていることから、現
像工程S4で現像液として水が用いられる。
【0076】ここで、下記の表4は、本実施例の黒色導
電厚膜60の形成過程における解像性を評価した結果
(実施例 E11)を、異なる材料から成る黒色顔料を用
いた場合(比較例 R19、 R20)と比較して示すもの
である。なお、比較例は、黒色顔料の種類および比表面
積が異なる他は、全て実施例 E11と同様な条件で評価
した。すなわち、下記の黒色顔料を含む感光性黒色導電
ペーストを塗布して形成した黒色ペースト膜の上に前記
銀ペースト膜72を設けて、図8(a) に示されるものと
同様な二層構造の導電ペースト膜を形成し、その解像性
およびこれを焼成した二層構造の黒色導電厚膜の黒色度
および抵抗値を評価した。表から明らかなように、本実
施例によれば、300 〜500(mJ/cm2) 程度のエネルギ線量
の紫外線を照射することによって精細なパターン形成が
可能であるのに対し、比較例においては、本実施例と同
様な黒色顔料の添加量では、明度が高くなる(すなわち
明度が劣る)ばかりでなく、硬化させられたペースト膜
が基板42から剥離し、或いはペースト膜が殆ど硬化せ
ず、何れも所定パターンの黒色導電厚膜を得ることがで
きなかった。
【0077】 [表4] 単位 実施例E11 比較例R19 比較例R20 黒色顔料 種類 Co3O4 RuO2 Cu-Cr-Mn 系 比表面積 (m2/g) 7 30 6 解像性 100(mJ/cm2) × × (剥離) × 300 ○ × (剥離) × 500 ○ × (剥離) × 1000 × × (剥離) △ 黒 色 度 (L値) 40 45 55抵 抗 値 (Ω) 6 − −
【0078】要するに、本実施例によれば、黒色導電厚
膜60は、表面66側から観察される基板42の裏面6
8上に設けられて黒色顔料46を含む黒色導電層62
と、その上側に積層して設けられてそれよりも高明度且
つ高導電性の黄色導電層64との二層で構成されること
から、黒色導電厚膜60全体の導電性は、その黄色導電
層64によって十分に高められる。一方、観視側となる
基板42の表面66側においては、それら積層された二
つの導電層62、64のうちの黒色導電層62がその基
板42を介して観察されることから、黒色導電厚膜60
の色調は実質的に黒色導電層62によって決定される。
このとき、黒色導電厚膜60の導電性は黄色導電層64
で確保されることから黒色導電層62の導電性が比較的
低くなっても電気特性上の支障は生じない。しかも、黒
色導電層62と同様に露光および現像によってパターン
形成される黄色導電層64は、その黒色導電層62より
も高明度であることから露光が容易であるため、黒色導
電厚膜60全体が黒色導電層62から構成される場合に
比較して、その黒色導電層62を形成するための黒色導
電ペーストが露光し難くされていても全体として十分な
露光性を確保できる。これらのことから、黒色導電層6
2中に含まれる黒色顔料46の量は黒色導電厚膜60全
体の導電性や露光性に殆ど影響しないため、それに含ま
れる黒色顔料46の量を十分に多くして黒色導電層62
延いては黒色導電厚膜60の明度および黄色度を十分に
低くできる。したがって、導電性および膜形成時の解像
性を高く保ちながら、明度および黄色度の低い黒色導電
厚膜60が得られる。
【0079】また、本実施例においては、黒色導電厚膜
60を形成するに際しては、感光性黒色導電ペースト印
刷工程S1およびペースト乾燥工程S2において、基板
42の裏面68に感光性黒色導電ペーストを塗布および
乾燥して黒色導電ペースト膜70が形成され、感光性導
電ペースト印刷工程S1−2およびペースト乾燥工程S
2−2において、その黒色導電ペースト膜70から生成
される黒色導電層62よりも明度が高く且つ導電性の高
い黄色導電層64を形成するための感光性銀ペースト
を、その黒色導電ペースト膜70上に塗布して銀ペース
ト膜72を積層形成することにより、所定厚さの導電ペ
ースト膜74が形成され、更に、導体焼成工程S4にお
いて、その導電ペースト膜74を焼成して所定パターン
の黒色導電厚膜60が生成される。そのため、黒色導電
厚膜60は、黒色導電ペースト膜70から生成された黒
色導電層62と、銀ペースト膜72から生成された黄色
導電層64とが積層されて構成されることから、上述の
ように、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色
導電厚膜60を形成することができる。
【0080】また、本実施例においては、高明度ペース
ト膜形成工程に対応する感光性導電ペースト印刷工程S
1−2およびペースト乾燥工程S2−2の後に、露光工
程S3において、所定の開口パターンのマスク54を介
して導電ペースト膜74が選択的に露光され、その露光
工程S3の後に、現像工程S4において、その導電ペー
スト膜74のうちの硬化していない部分が水洗除去さ
れ、その後、導体焼成工程S6が施される。そのため、
感光性ペーストを用いて、露光および現像処理により黒
色導電厚膜60がパターン形成されることから、厚膜ス
クリーン印刷法でパターン形成する場合よりも容易に高
精度のパターンが得られる。このとき、黒色導電厚膜6
0に生成される導電ペースト膜74は、黒色導電ペース
ト膜70と銀ペースト膜72とが積層されているが、こ
れらのうち銀ペースト膜72は黒色顔料46を含む黒色
導電ペースト膜70よりも露光が容易である。したがっ
て、前述のように生成される黒色導電厚膜60の導電性
が黄色導電層64で確保されることに加えて、全体が黒
色導電ペースト膜70から生成される場合に比較して、
黒色導電ペースト膜70が露光し難くされていても導電
ペースト膜74全体として十分な露光性を確保できるた
め、その中に含まれる黒色顔料46を量を比較的多くで
きる。上記により、感光性黒色導電ペーストを用いて露
光および現像処理を経て黒色導電厚膜60を形成するに
際して、解像性および生成される膜60の導電性を高く
保ちながら、明度および黄色度を一層低くすることがで
きる。
【0081】また、本実施例においては、感光性銀ペー
スト組成物は、ペースト組成物の全体に対する割合で 6
0(wt%) の範囲で銀粉末を含むものである。このように
すれば、専ら導電性の確保に寄与する感光性銀ペースト
の銀粉末の含有量が十分に多くされていることから、生
成される黒色導電厚膜60に全体として十分に高い導電
性が付与される。
【0082】下記の表5は、更に他の実施例の黒色導電
厚膜の評価結果を示すものであって、黒色顔料の種類お
よび添加量を種々変更した黒色導電ペーストを用いて、
前記図3に示される黒色導電厚膜40と同様な黒色導電
厚膜を、例えば厚膜スクリーン印刷法等を用いて形成し
て評価した結果を、黒色顔料の調合条件と併せて比較例
と共に示すものである。表において、「黒色顔料」欄は
ペーストに添加した黒色顔料の種類を、「比表面積」お
よび「添加量」欄はその黒色顔料の比表面積および添加
量を、「シート抵抗値」、「L値」、「b値」はそれぞ
れ形成された黒色導電厚膜の特性をそれぞれ表す。な
お、「シート抵抗値」は、黒色導電厚膜の厚さを 10(μ
m)に換算した値である。また、「b値」は黄色さの程度
を表すものであって、値が大きいほど黄色いことを示
す。L値およびb値は前述の実施例と同様に色差計によ
って測定した。
【0083】 [表5] 黒色顔料 比表面積 添加量 シート抵抗値 L値 b値 実施例E12 Co3O4 7(m2/g) 3.0(wt%) 4.5(mΩ/□) 50 9.5 E13 ↑ ↑ 6.0 7 41 6.0 E14 ↑ ↑ 8.0 10 37 5.1 E15 ↑ ↑ 10.0 18 33 4.5 E16 ↑ 2 3.0 4 58 16.2 E17 ↑ ↑ 6.0 6 50 13.4 E18 ↑ ↑ 8.0 9 44 11.7 E19 ↑ ↑ 10.0 15 41 10.5 比較例R21 Co2O3 4 3.0 4 60 14.0 R22 ↑ ↑ 6.0 7 53 11.0 R23 ↑ ↑ 8.0 10 42 9.0 R24 ↑ ↑ 10.0 18 39 8.0 R25 RuO2 35 2.0 6 50 10.0 R26 ↑ ↑ 3.0 7 45 8.0 R27 ↑ ↑ 4.0 10.2 40 6.6 R28 ↑ ↑ 7.0 23.2 34 5.5 R29 Cu-Cr-Mn系 6 3.0 7.5 50 26.3 R30 ↑ ↑ 6.0 10 43 20.0 R31 ↑ ↑ 8.0 14 40 18.0 R32 ↑ ↑ 10.0 18 38 16.0 R33 Fe-Cr-Mn系 6 3.0 7 55 23.4 R34 ↑ ↑ 6.0 9 50 18.7 R35 ↑ ↑ 8.0 12 46 16.7 R36 ↑ ↑ 10.0 15 42 14.4
【0084】なお、上記の表5において示されていない
ペースト構成要素、すなわち黒色顔料以外の構成要素
は、実施例および比較例共全て同様である。すなわち、
何れも、導電成分として比表面積2(m2/g) 程度の銀粉末
を 60(wt%) 程度、軟化点400(℃) 程度で比表面積2(m2
/g) 程度のガラス粉末(例えばPbO-SiO2-B2O3 )を5(wt
%) 程度、有機結合剤としてエチルセルロースを5(wt
%) 程度、および有機溶剤としてブチルカルビトールア
セテート(BCA)を 30(wt%) 程度から成る共通成分
を含む。また、黒色導電ペーストに含まれる黒色顔料
は、上記表において各々の「黒色顔料」欄に示されるも
のを、上記共通要素の合計100(wt%) に対して各々の
「添加量」欄に記されている量を添加した。
【0085】また、黒色導電厚膜を形成方法は、実施例
および比較例共全て同様であり、例えば以下の通りであ
る。すなわち、先ず、ペーストの構成要素(後述)を混
合した後に三本ロール・ミルで混練して黒色導電ペース
トを作製する。次いで、前記マスク54と同様な開口パ
ターンを備えたスクリーンを用いて基板42上に所定パ
ターンで印刷する。そして、乾燥および焼成処理を施す
ことによって黒色導電厚膜が形成される。したがって、
本実施例においては、前述のような露光および現像処理
を施すことなく、印刷時に予めパターンが形成される。
このとき、印刷面は例えばソーダ・ライム・ガラス等か
ら成る基板42のトップ面(非錫面)すなわちフロート
法でガラス板を作製する場合に上側に位置する面であ
る。また、焼成は、ベルト炉を用いて温度550(℃) × 1
0(分間) 保持にて1.5(時間) サイクルで処理した。
【0086】図9および図10は、上記表5に示される
結果をグラフにまとめたものである。図9はL値(明
度)とシート抵抗値との関係を、図10はL値とb値
(黄色度)との関係をそれぞれ表す。表5および図9、
10から明らかなように、何れの黒色顔料を用いる場合
においても、その添加量が多くなるほどL値が低くな
る。これらL値、b値、シート抵抗値は、バス電極30
等に用いられる黒色導電厚膜において、何れも可及的に
低いことが望まれる特性値であることから、両図共に左
下に向かうほど特性が優れているといえる。したがっ
て、両図から、Co3O4 を黒色顔料46として用いる場合
(実施例 E12〜 E19)には、上記3つの特性を兼ね
備えた黒色導電厚膜が得られることが判る。特に、比表
面積が7(m2/g) と微細なCo3O4 を用いた実施例 E12〜
E15では、同様なL値に対するb値およびシート抵抗
値が共に、他の全ての黒色顔料が用いられている場合よ
りも低い(すなわち、各測定値を結ぶ曲線が最も左下に
位置する)ことから、バス電極30等に一層好適である
ことが明らかである。すなわち、Co3O4 は、比表面積が
2(m2/g) よりも大きいものを用いることが好ましい。な
お、比較例 R25〜 R28は、比較的良好な特性を示し
ているが、RuO2は比表面積が35(m2/g)程度と微粉であっ
て取扱いが困難であると共に、高価であるという問題が
ある。
【0087】なお、PDP8等においては、バス電極3
0等として、L値が42以下、シート抵抗値が10(mΩ/
□) 以下の図9において斜線で示される範囲にあること
が、表示のコントラストを高め且つ駆動を容易にするた
めに望まれる。したがって、実施例 E12〜 E15の結
果から明らかなように、7(m2/g) のCo3O4 を用いた場合
には、L値が37以上の範囲でシート抵抗値が10(mΩ/
□) 以下になることから、L値およびシート抵抗値の選
択の幅が広がることが判る。
【0088】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0089】例えば、実施例においては、本発明がPD
P8のバス電極30等に適用された場合について説明し
たが、本発明は、低い明度(L値)および低い抵抗値
(すなわち高い導電性)を要求される厚膜導体であれ
ば、他のディスプレイ用電極や車載用熱線等にも同様に
用いられる。
【0090】また、銀粉末、ガラス粉末、黒色顔料46
等の比表面積やペースト中の含有量等は、実施例で示し
た範囲に限られず、黒色導電厚膜40、60等に要求さ
れるL値、b値、および導電性等の特性や、基板42と
の固着強度等に応じて適宜変更される。但し、何れにつ
いても、前述した好適な範囲内において設定することが
望ましい。
【0091】また、ペーストを調製するための有機結合
剤、有機溶剤や、感光性ペーストに含まれる光重合性化
合物および光重合開始剤等の種類や量は、ペースト膜5
2、70等に要求される強度や導電厚膜40等に要求さ
れる導電性、感光性ペーストにおいては解像性等を考慮
して適宜変更される。
【0092】例えば、有機結合剤としては、実施例で示
されたような水溶性のCMC、HPCやエチルセルロー
ス、アルカリ水溶液に可溶なEMAやEAの重合物等の
他に、セルロース誘導体やアルカリ可溶性アクリル重合
体等の一種乃至複数種類が適宜用いられる。但し、感光
性黒色導電ペーストを用いて黒色導電厚膜40等を形成
する場合においては、現像処理を水で行い得ることか
ら、セルロース誘導体が一層好適である。なお、有機結
合剤の添加量は、非感光性ペーストにおいては、ペース
トの総重量に対して 1〜 15(wt%) 程度が好適であり、
一層好適には 1.5〜 10(wt%) 程度の範囲である。1(wt
%) 未満では固形分が沈降し或いは印刷性が悪くなり、
反対に 15(wt%) を越えると印刷膜厚が薄くなり抵抗値
が上昇を招くためである。また、感光性ペーストにおい
ては、 5〜 20(wt%) 程度の範囲が好ましい。5(wt%)
未満では銀粉末やガラス粉末の保持性が弱く現像時の剥
離が生じ得る一方、 20(wt%) を越えると、銀粉末の含
有率が低下して膜厚が薄くなり延いては導電性が低下す
るためである。なお、アルカリ可溶性アクリル重合体が
用いられる場合には、アルキッド系樹脂、ロジン系樹脂
等を更に添加してもよい。
【0093】なお、セルロース誘導体としては、例え
ば、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、
カルボキシエチルメチルセルロース、およびこれらの塩
類等が用いられ得る。但し、感光性ペーストは水現像が
可能な水溶性であることが好ましいため、上記のうちエ
チルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロー
スを除く他の水に可溶なセルロース誘導体が好適に用い
られる。
【0094】また、アルカリ可溶性アクリル重合体とし
ては、[アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シア
ノ桂皮酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
等のカルボキシル基を有するモノマー]と[アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、2-ヒドロキシメチルアクリレート、2-
ヒドロキシエチルアクリレート、フマル酸モノメチル、
フマル酸モノエチル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエ
ーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチル
エーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチル
エーテルメタクリレート、グリセロール(モノ)アクリ
レート、グリセロール(モノ)メタクリレート、アクリ
ル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、イソブチルアクリレート、イソブ
チルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、
2-エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等のモノマー]とを共重合
したものが好適に用いられる。このアルカリ可溶性アク
リル重合体を用いる場合、酸価は50〜250 程度が好まし
く、50未満ではアルカリ水溶液での現像が困難になり、
反対に250 を越えると塗膜性や分散性が悪くなる。ま
た、有機結合剤は、重量平均分子量が1000〜200000程度
であることが好ましく、5000〜150000程度が一層好適で
ある。なお、1000未満では基板42との密着性が不十分
になると共に銀粉末や黒色顔料46の保持性が低下し、
反対に200000を越えると現像時間が長時間になり、或い
は現像不能になり得る。
【0095】また、光重合性化合物としては、アクリル
酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モ
ノメチル、フマル酸モノエチル、2-ヒドロキシエチルア
クリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、エチ
レングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチ
レングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エ
チレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、
グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレー
ト、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメ
タクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメ
タクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチ
ルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベ
ンジルメタクリレート等の単官能モノマー、エチレング
リコールジアクリレート、エチレングリコールモノメタ
クリレート、トリエチレングリコールモノアクリレー
ト、テトラエチレングリコールモノアクリレート、ノナ
エチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレング
リコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタク
リレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレー
ト、ノナエチレングリコールモノメタクリレート、ジプ
ロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレン
グリコールモノアクリレート、テトラプロピレングリコ
ールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメ
タクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリ
レート、ブチレングリコールモノメタクリレート、プロ
ピレングリコールモノアクリレート、エチレングリコー
ルジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエ
チレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコ
ールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタク
リレート、テトラエチレングリコールジメタクリレー
ト、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジプロ
ピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリ
コールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジ
アクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレー
ト、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチ
レングリコールジメタクリレート、プロピレングリコー
ルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラ
メチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールト
リメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタ
エリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリ
レート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、カル
ドエポキシジアクリレート等の多官能モノマーが用いら
れてもよい。
【0096】また、光重合開始剤としては、1-ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2
- ジフェニルエタン-1- オン、2-メチル-1-[4- (メチル
チオ) フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1- オン、2-
ベンジル-2- ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニ
ル)-ブタン-1- オン、2-ヒドロキシ-2- メチル-1- フェ
ニルプロパン-1- オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシエト
キシ) フェニル]-2-ヒドロキシ-2- メチル-1-プロパン-
1- オン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオ
キサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、3,3-ジメチ
ル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1-
クロロ-4- プロポキシチオキサントン、1-(4- イソプロ
ピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2- メチルプロパン-1- オ
ン、1-(4- ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2- メチル
プロパン-1- オン、4-ベンゾイル-4'-メチルジメチルス
ルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミ
ノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、
4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ安
息香酸-2- エチルヘキシル、4-ジメチルアミノ安息香酸
-2- イソアミル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベン
ジルジメチルケタール、ベンジル- β- メトキシエチル
アセタール、1-フェニル-1,2- プロパンジオン-2-(ο-
エトキシカルボニル) オキシム、ο- ベンゾイル安息香
酸メチル、ビス(4- ジメチルアミノフェニル) ケトン、
4,4'- ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'- ジク
ロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ
インイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n- ブチルエー
テル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチ
ルエーテル、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert
- ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert- ブチルジ
クロロアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオ
キサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾ
スベロン、α, α- ジクロロ-4- フェノキシアセトフェ
ノン、ペンチル-4- ジメチルアミノベンゾエート等が用
いられてもよい。
【0097】また、有機溶剤としては、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエ
チルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテ
ル、プロプレングリコールモノメチルエーテル、プロプ
レングリコールモノエチルエーテル、プロプレングリコ
ールモノプロピルエーテル、プロプレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロプレングリコールジメチルエーテ
ル、プロプレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレング
リコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレング
リコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレング
リコールモノフェニルエーテルアセテート、プロプレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、プロプレン
グリコールモノエチルエーテルアセテート、プロプレン
グリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-メトキ
シブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-
メトキシブチルアセテート、2-メチル-3- メトキシブチ
ルアセテート、3-メチル-3- メトキシブチルアセテー
ト、3-エチル-3- メトキシブチルアセテート、2-エトキ
シブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-
プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセ
テート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペ
ンチルアセテート、2-メチル-3- メトキシペンチルアセ
テート、3-メチル-3- メトキシペンチルアセテート、3-
メチル-4- メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-
メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチル
ケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エ
チルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘ
キサン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プ
ロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒ
ドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン
酸エチル、2-ヒドロキシ-2- メチル、メチル-3- メトキ
シプロピオネート、エチル-3- メトキシプロピオネー
ト、エチル-3- エトキシプロピオネート、エチル-3- プ
ロポキシプロピオネート、プロピル-3- メトキシプロピ
オネート、イソプロピル-3- メトキシプロピオネート、
エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ
-3- メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソアミル炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸
ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビ
ン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、
アセト酢酸エチル、ベンジルメチルエーテル、ベンジル
エチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、
安息香酸ベンジル、蓚酸ジエチル、マレイン酸ジエチ
ル、γ- ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、3-メチル-3- メトキシブタノー
ル、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、グリセリン、ターピネ
オール、ジヒドロターピネオール等が用いられてもよ
い。なお、上記の中でも、3-メチル-3- メトキシブタノ
ールは、銀粉末、ガラス粉末等の無機材表面に存在する
金属イオンとアルカリ水溶液に可溶な有機結合剤との反
応性を低下させることができるため、ペーストの粘度変
化やゲル化が抑制されて高い保存安定性が得られる。ま
た、ペースト中の有機溶媒の含有量は、感光性ペースト
においては、1 〜 40(wt%) 程度が好ましい。1(wt%)
未満では均一な塗布や露光工程S6におけるコンタクト
露光が困難であり、反対に 40(wt%) を越えると粘度が
低下して沈降が起き易くなるためである。また、非感光
性ペーストにおいては、 5〜 50(wt%) 程度の範囲が好
ましい。5(wt%) 未満ではペースト化が困難であり、反
対に 50(wt%) を越えると膜厚が薄くなって抵抗値が上
昇するためである。
【0098】また、導電ペースト中には、更に染料、可
塑剤、界面活性剤、消泡剤、熱重合禁止剤等の他の添加
物が含まれていてもよい。染料としては、例えばシアニ
ングリーン等を用いることができる。また、可塑剤とし
ては、感光性ペーストにおいては、ジオクチルフタレー
ト、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジ
カプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリク
レジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチル
セバケート、トリアセチルグリセリン等が好適に用いら
れ、非感光性ペーストにおいては、ジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリ
プロピレングリコール等が好適に用いられる。なお、こ
れらの可塑剤は、有機溶剤として用いることもできる。
また、消泡剤としては、シリコーン系やフッ素系等各種
のものを用い得る。
【0099】また、実施例においては、厚膜スクリーン
印刷法やバー・コータによって基板42上に感光性黒色
導電ペーストを塗布して露光および現像し、或いは厚膜
スクリーン印刷法によって直接パターン形成していた
が、黒色導電厚膜40等の形成方法はこれらに限定され
ない。例えば、サンド・ブラスト法やリフトオフ法等に
よって黒色導電厚膜40等を形成する場合にも本発明は
同様に適用される。
【0100】また、実施例においては、黒色導電ペース
トが粘度100(Pa・s)程度に調製されていたが、その粘度
は形成するペースト膜の厚さや膜形成方法等に応じて適
宜変更される。但し、感光性ペーストの場合には、全面
に一様な厚さで印刷するために 5〜200(Pa・s)程度の範
囲にされることが好ましく、10〜150(Pa・s)程度の範囲
が一層好ましい。また、直接印刷をする場合には、ペー
ストのだれに起因するパターン精度低下を抑制するため
に50〜500(Pa・s)程度の粘度範囲が好ましく、80〜400
(Pa・s)程度の範囲が一層好ましい。
【0101】また、実施例においては、乾燥後において
黒色導電ペースト膜52が 10(μm)程度、導電ペースト
膜74の膜厚が5 〜6(μm)程度になるようにそれぞれ形
成されていたが、乾燥膜厚は黒色導電厚膜40、60の
要求膜厚に応じて、例えば 5〜 20(μm)程度の範囲で適
宜変更される。なお、 20(μm)を越える乾燥厚みを必要
とする場合等のように一回の塗布で必要膜厚を得られな
い場合には、その必要膜厚となるまでペーストが繰り返
し塗布すればよい。
【0102】また、実施例においては、ペースト乾燥工
程S2において 80(℃) 程度の温度で 15(分間) 程度乾
燥を施し、導体焼成工程S6において550(℃) 程度の温
度で焼成処理を施していたが、乾燥温度や時間はペース
ト膜の厚みや有機溶剤の種類等、更に感光性ペーストに
おいてはモノマーの熱重合開始温度等に応じて適宜変更
され、焼成温度はガラス粉末の種類等に応じて適宜変更
される。なお、好ましい範囲は、乾燥温度および時間が
それぞれ、例えば70〜200(℃) 程度、5 〜 60(分間) 程
度であり、焼成温度は基板42の熱変形温度や400 〜45
0(℃) 程度で処理される封着工程での黒色導電膜40、
60等の熱変形等を考慮すると500 〜600(℃) 程度であ
る。
【0103】また、実施例においては、露光工程S3に
おいて、波長350(nm) 程度の紫外線を用いて露光してい
たが、照射光の波長は光重合性化合物の種類に応じて適
宜変更される。なお、実施例においては紫外線の発生源
として超高圧水銀灯が用いられていたが、低圧水銀灯、
高圧水銀灯、ケミカル・ランプ等を用いることができ、
照射するエネルギ線量は、黒色導電ペースト膜52等の
露光性に応じて、例えば20〜1000(mJ/cm2)程度の範囲で
適宜変更される。
【0104】また、実施例においては、感光性黒色導電
ペースト中に光重合性化合物が含まれることによって、
露光工程S3において露光させられた部分58が硬化さ
せられてパターンを構成していたが、反対に、露光させ
られることにより分解させられる化合物等を用いること
により、露光させられない部分で黒色導電厚膜40等の
パターンが形成されるように構成されていてもよい。す
なわち、感光性組成物としては、光重合性化合物に限ら
れず、光を照射されることによって重合、分解、付加、
二量化、酸化、還元等の化学反応を起こし、溶解性や硬
さが変化するものであれば、種々の組成物が用いられ得
る。なお、露光により分解する化合物が用いられる場合
には、露光工程S3においてはネガ・マスク54に変え
て開口部56と非開口部が反対にされたポジ・マスクを
用いる必要がある。
【0105】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は、本発明の黒色導電厚膜が備えられ得る
PDPの一例の構成を一部を切り欠いて示す斜視図であ
って、(b) は、(a) において書込電極の長手方向に沿っ
た断面を示す図である。
【図2】図1のPDPにおいて表示放電電極が前面板上
に直接膜形成される場合の断面構造を示す図である。
【図3】(a) は、本発明の一実施例の黒色導電厚膜を示
す斜視図であり、(b) は(a) におけるb−b視断面を拡
大して模式的に示す図である。
【図4】図3の黒色導電厚膜の形成方法を説明する工程
図である。
【図5】(a) 〜(c) は、図4の膜形成工程の各段階にお
ける基板の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例の黒色導電厚膜を示す斜視
図である。
【図7】図6の黒色導電厚膜の形成工程の要部を説明す
る工程図である。
【図8】(a) 、(b) は、図7の膜形成工程の各段階にお
ける基板の断面構造を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例の黒色導電厚膜のL値とシ
ート抵抗値との関係を示すグラフである。
【図10】図9の黒色導電厚膜のL値とb値との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
40:黒色導電厚膜 42:基板 44:銀 46:黒色顔料 48:ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 祥史 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 佐藤 弘充 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内 (72)発明者 大田 勝行 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB20Z BB46Y BB65Z CA22 DA06 DB13 DC22 EA02 EA14 EB07 EC02 EC03 EC10 EC11 EC24 EC30 EC53 EC54 4J038 BA021 EA011 HA066 HA216 HA486 KA06 KA08 KA20 NA20 5G301 DA03 DA33 DA34 DA42 DD01

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀粉末と、ガラス粉末と、有機結合剤
    と、有機溶剤と、黒色顔料とを含み、黒色を呈する導電
    厚膜を形成するために用いられる黒色導電ペースト組成
    物であって、 前記黒色顔料は Co3O4(四酸化三コバルト)粉末から成
    ることを特徴とする黒色導電ペースト組成物。
  2. 【請求項2】 銀粉末と、ガラス粉末と、有機結合剤
    と、有機溶剤と、感光性組成物と、黒色顔料とを含んで
    感光性を有し、露光および現像処理により黒色を呈する
    導電厚膜をパターン形成するために用いられる黒色導電
    ペースト組成物であって、 前記銀粉末の比表面積は0.4 乃至2.5(m2/g) であり、 前記黒色顔料は Co3O4粉末から成ることを特徴とする黒
    色導電ペースト組成物。
  3. 【請求項3】 前記銀粉末は、球状を成すものである請
    求項2の黒色導電ペースト組成物。
  4. 【請求項4】 前記銀粉末は、ペースト組成物の全体に
    対する割合で40乃至 80(wt%) の範囲で含まれているも
    のである請求項2または3の黒色導電ペースト組成物。
  5. 【請求項5】 前記有機結合剤は、水溶性を有するもの
    である請求項2乃至4の何れかの黒色導電ペースト。
  6. 【請求項6】 前記有機結合剤は、セルロース誘導体で
    ある請求項5の黒色導電ペースト。
  7. 【請求項7】 前記セルロース誘導体は、ヒドロキシメ
    チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
    キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
    ルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエ
    チルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、
    およびこれらの塩類の一種乃至複数種類から成るもので
    ある請求項6の黒色導電ペースト。
  8. 【請求項8】 前記黒色顔料の比表面積は、1 乃至20(m
    2/g)である請求項1乃至7の何れかの黒色導電ペースト
    組成物。
  9. 【請求項9】 前記黒色顔料は、ペースト組成物の全体
    に対する割合で0.5 乃至20(wt%) の範囲で含まれてい
    るものである請求項1乃至8の何れかの黒色導電ペース
    ト組成物。
  10. 【請求項10】 所定の基板上に所定パターンで設けら
    れ、銀および黒色顔料がガラスで結合されて成る黒色導
    電厚膜であって、 前記黒色顔料が、Co3O4 から成ることを特徴とする黒色
    導電厚膜。
  11. 【請求項11】 前記黒色導電厚膜は、所定の一面側か
    ら観察される透光性基板の該一面とは反対側の他面上に
    設けられて前記黒色顔料を含む黒色導電層と、該黒色導
    電層よりも高い明度および高い導電性を有してその上側
    に積層して備えられた高明度高導電層とを含むものであ
    る請求項10の黒色導電厚膜。
  12. 【請求項12】 前記黒色導電厚膜は、光硬化性化合物
    を含む導電ペーストを用いて露光および現像によりパタ
    ーン形成されたものである請求項10または11の黒色
    導電厚膜。
  13. 【請求項13】 前記黒色顔料の比表面積は、1 乃至20
    (m2/g)である請求項10乃至12の何れかの黒色導電厚
    膜。
  14. 【請求項14】 前記黒色顔料は、前記黒色導電厚膜の
    全体に対する割合で0.5乃至 20(wt%) の範囲で含まれ
    ているものである請求項10乃至13の何れかの黒色導
    電厚膜。
  15. 【請求項15】 所定の一面側から観察される透光性基
    板の該一面とは反対側の他面上に所定パターンで黒色導
    電厚膜を形成する方法であって、 前記透光性基板の他面に前記請求項1乃至9の何れかの
    黒色導電ペースト組成物を塗布して黒色導電ペースト膜
    を形成する黒色ペースト膜形成工程と、 前記黒色導電ペースト膜から生成されるものよりも明度
    が高く且つ導電性の高い膜を生成するための高明度高導
    電ペースト組成物を、該黒色導電ペースト膜上に塗布し
    て高明度高導電ペースト膜を積層形成することにより、
    所定厚さの導電ペースト膜を形成する高明度ペースト膜
    形成工程と、 該導電ペースト膜を焼成して所定パターンの黒色導電厚
    膜を生成する焼成工程とを、含むことを特徴とする黒色
    導電厚膜の形成方法。
  16. 【請求項16】 前記黒色導電ペースト組成物は、前記
    請求項2乃至9に記載される感光性を有する黒色導電ペ
    ースト組成物であり、前記高明度ペースト膜形成工程の
    後に前記焼成工程に先立って実施される下記の2工程、 所定の開口パターンの遮蔽膜を介して前記導電ペースト
    膜を選択的に露光する露光工程と、 該露光工程の後に前記導電ペースト膜のうちの非硬化部
    分を所定の現像液で洗浄除去する現像工程とを、含むこ
    とを特徴とする請求項15の黒色導電厚膜の形成方法。
  17. 【請求項17】 前記高明度高導電ペースト組成物は、
    ペースト組成物の全体に対する割合で50乃至 90(wt%)
    の範囲で銀粉末を含むものである請求項15または16
    の黒色導電厚膜の形成方法。
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