JP2004063247A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)基材1上に絶縁性黒色皮膜層20を形成する工程、(2)ブラックパターン部分10aのみ又はブラックパターン部分とバス電極部分を露光する工程、(3)上記黒色皮膜層の上に白色系導電性皮膜層21を形成する工程、(4)バス電極部分を露光する工程、及び(5)現像して露光部分以外の部分を除去した後、焼成する工程を含む、ブラックパターン10とバス電極4を一括形成するPDPの製造方法であって、前記黒色皮膜層を、(A)黒色無機微粒子、好ましくは四三酸化コバルト、(B)有機バインダー、(C)光重合性モノマー、及び(D)光重合開始剤を含有する光硬化性組成物から形成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略称する)の前面基板にブラックパターンとバス電極を一括形成するPDPの製造方法及びそれによって作製されたPDPに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PDPはプラズマ放電による発光を利用して映像や情報の表示を行なう平面ディスプレイであり、パネル構造、駆動方法によってDC型とAC型に分類される。PDPによるカラー表示の原理は、リブ(隔壁)によって離間された前面ガラス基板と背面ガラス基板に形成された対向する両電極間のセル空間(放電空間)内でプラズマ放電を生じさせ、各セル空間内に封入されているHe、Xe等のガスの放電により発生する紫外線で背面ガラス基板内面に形成された蛍光体を励起し、3原色の可視光を発生させるものである。各セル空間は、DC型PDPにおいては格子状のリブにより区画され、一方、AC型PDPにおいては基板面に平行に列設されたリブにより区画されるが、いずれにおいてもセル空間の区画は、リブによりなされている。以下、図1を参照しながら簡単に説明する。
【0003】
図1は、フルカラー表示の3電極構造の面放電方式PDPの構造例を部分的に示している。前面ガラス基板1の下面には、放電のための透明電極3a又は3bと該透明電極のライン抵抗を下げるためのバス電極4a又は4bとから成る一対の表示電極2a、2bが所定のピッチで多数列設されている。これらの表示電極2a、2bの上には、電荷を蓄積するための透明誘電体層5(低融点ガラス)が印刷、焼成によって形成され、その上に保護層(MgO)6が蒸着されている。保護層6は、表示電極の保護、放電状態の維持等の役割を有している。一方、背面ガラス基板11の上には、放電空間を区画するストライプ状のリブ(隔壁)12と各放電空間内に配されたアドレス電極(データ電極)13が所定のピッチで多数列設されている。また、各放電空間の内面には、赤(14a)、青(14b)、緑(14c)の3色の蛍光体膜が規則的に配され、フルカラー表示においては、前記のように赤、青、緑の3原色の蛍光体膜14a、14b、14cで1つの画素が構成される。さらに、放電空間を形成する一対の表示電極2a、2bの両側部には、画像のコントラストをさらに高めるために、同様にストライプ状のブラックパターン(ブラックマトリックス)10,10が形成されている。
【0004】
なお、上記構造のPDPでは、一対の表示電極2aと2bの間に交流のパルス電圧を印加し、同一基板上の電極間で放電させるので、「面放電方式」と呼ばれている。
また、上記構造のPDPでは、放電により発生した紫外線が背面基板11の蛍光体膜14a、14b、14cを励起し、発生した可視光を前面基板1の透明電極3a、3bを透して見る構造となっている(反射型)。
【0005】
このような構造のPDPにおいて、前記バス電極4a、4bの形成は、従来、Cr−Cu−Crの3層を蒸着やスパッタリングにより成膜した後、フォトリソグラフィー法でパターニングが行なわれてきた。
しかし、工程数が多く高コストとなるため、最近では、銀ペースト等の導電性ペーストをスクリーン印刷した後、焼成する方法、あるいは150μm以下の線幅とするためには、感光性導電性ペーストを塗布し、パターンマスクを通して露光した後、現像し、次いで焼成する方法が行なわれている。
【0006】
さらに、バス電極4a、4bが形成されるPDPの前面基板においては、近年、画面のコントラストを向上させるために、バス電極を形成する際に、表示側となる下層(透明電極3a、3bと接触する層)に黒色ペーストを印刷し、その上に導電性の銀ペーストの白層を印刷して、白黒二層構造の電極を形成することが行なわれている。この場合、黒色ペーストとしては、銅―鉄系、銅―クロム系等の黒色複合酸化物を配合した樹脂組成物が用いられている。
【0007】
一方、前記ブラックパターン(ブラックマトリックス)10の形成には、従来、CRTディスプレイや液晶ディスプレイパネル等のブラックマトリックスの形成に使用されている遮光膜形成用感光性樹脂組成物を転用することが試みられた。しかし、PDPの製造においては高温焼成工程があり、この工程で遮光膜形成用感光性樹脂組成物中に含有されるカーボンブラックが分解し、満足できるブラックマトリックスの形成は困難であった。
そこで、特開平9−160243号には、光重合性化合物、光重合開始剤及び遮光性材料を含有する遮光膜形成用感光性樹脂組成物において、上記遮光性材料として、銅の酸化物と、他の鉄等の金属酸化物とからなる材料を用いることが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記構造のPDPでは、一対の表示電極2aと2bの間に交流のパルス電圧を印加し、同一基板上の電極間で放電させるので、PDPの前面基板に形成されるバス電極4a,4bは導電性ペーストにより形成される。一方、ブラックパターン(ブラックマトリックス)10は、導電性ペーストで形成した場合には上記放電を阻害するので、本質的に電気的に絶縁性のペーストで形成されている。このようにバス電極4a,4bとブラックパターン(ブラックマトリックス)10は要求される電気的性質が異なるため、それぞれ別の材料で別個の工程で製造されている。そのため、準備するペースト組成物の数及び工程数が多く、製造コスト増大及び生産性低下の大きな要因となっていた。
【0009】
そこで本発明は、このような従来技術が抱える課題を解決するためになされたものであり、その基本的な目的は、PDPの前面基板に高精細のブラックパターン(ブラックマトリックス)とバス電極を一括形成でき、それによって量産性良く低コストでPDPを製造できる方法を提供することにある。
本発明のより具体的な目的は、PDPの前面基板に、充分な黒さのブラックパターン(ブラックマトリックス)と、充分な層間導電性(透明電極とバス電極白層との層間導通)と黒さを同時に満足し得る下層(黒層)電極回路を有する白黒2層構造のバス電極とを、一連の工程で一括形成できる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、
(1)基材上に絶縁性黒色皮膜層を形成する工程、
(2)ブラックパターン部分のみ又はブラックパターン部分とバス電極部分を露光する工程、
(3)上記黒色皮膜層の上に白色系導電性皮膜層を形成する工程、
(4)バス電極部分を露光する工程、及び
(5)現像して露光部分以外の部分を除去した後、焼成する工程
を含む、ブラックパターンとバス電極を一括形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記黒色皮膜層を、(A)黒色無機微粒子、(B)有機バインダー、(C)光重合性モノマー、及び(D)光重合開始剤を含有する光硬化性組成物から形成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法及びそれによって作製されたプラズマディスプレイパネルが提供される。
好適な態様においては、上記黒色無機微粒子として四三酸化コバルト(Co3O4)が用いられ、また、黒色皮膜層のL*値は15以下である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記目的の実現に向け鋭意研究した結果、従来、バス電極の下層(黒層)には導電性ペーストを使用する必要があると考えられていたのに対し、意外にも、薄い膜厚で充分なコントラストを達成できさえすれば、このような薄膜のバス電極黒層の焼成皮膜が導電性微粒子を含有していなくても、PDP前面基板に形成される白黒2層構造のバス電極は、黒層がITOやネサなどの透明電極と白層の間に挟持されたサンドイッチ構造を有するため、充分な層間導電性(透明電極とバス電極白層との層間導通)を達成でき、従ってブラックパターン(ブラックマトリックス)とバス電極黒層に同じ黒色系光硬化性組成物を使用できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の基本的な特徴は、ブラックパターンとバス電極黒層の形成に同じ黒色系の光硬化性組成物を使用し、一連の露光・現像・焼成工程によってブラックパターン(ブラックマトリックス)とバス電極を一括形成する点にあり、それによってPDPの量産性、低コスト化を達成できる。
【0012】
特に好適には、黒色化成分として四三酸化コバルト(Co3O4)黒色微粒子を添加した光硬化性組成物を用いる。黒色化成分として四三酸化コバルト(Co3O4)黒色微粒子を添加した場合、少量の添加でも充分な黒色度の緻密な焼成皮膜が得られることから、薄い膜厚で充分なコントラストを達成できる。その結果、乾燥、露光、現像、焼成の各工程において基板に対する優れた密着性、解像性、焼成性を損なうことなく、焼成後において充分な層間導電性(透明電極とバス電極白層との層間導通)及び黒さを同時に満足し得る焼成皮膜を形成できる。さらに、四三酸化コバルト(Co3O4)黒色微粒子を光重合性モノマー及び光重合開始剤と共に配合した光硬化性組成物の場合、理由は必ずしも明確ではないが、極めて保存安定性に優れ、量産性に充分対応可能である。
【0013】
以下、図2を参照しながら本発明のPDP製造方法について説明する。
まず、図2(A)に示すように、予めスパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、電着等の従来公知の適宜の手段によりITO、SnO2等により透明電極3が形成された前面ガラス基板1に、前記したような黒色無機微粒子を含む光硬化性組成物からなる絶縁性の黒色皮膜層20を形成する。
【0014】
黒色皮膜層20の形成にあたっては、黒色系の光硬化性組成物が予めフィルム状に成膜されている場合には基板上にラミネートすればよいが、ペースト状組成物の場合、スクリーン印刷法、バーコーター、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で、透明電極3が形成された前面ガラス基板1に塗布し、次いで指触乾燥性を得るために熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等で例えば約60〜120℃で5〜40分程度乾燥させて有機溶剤を蒸発させ、タックフリーの塗膜を得る。
【0015】
次に、図2(B)に示すように、黒色皮膜層20の上に所定の露光パターンを有するフォトマスクA1を重ね合わせ、ブラックパターン(ブラックマトリックス)部分10aのみを露光し、光硬化させる。あるいは、ブラックパターン部分とバス電極部分を露光し、光硬化させる(図示せず)。なお、ブラックパターン部分10aのみを露光し、光硬化させた場合、バス電極の下層(黒層)部分は後の露光工程で上層(白層)部分と同時に露光されることになり、上層(白層)部分の膜厚によっては下層(黒層)部分の光硬化度が必ずしも充分でない場合があるが、この場合でも後の現像工程によって比較的高い精度でバス電極部分以外の部分を除去できる。
【0016】
次に、フォトマスクA1を剥がした後、図2(C)に示すように、前記黒色皮膜層形成に用いられた組成物中の黒色微粒子がAg、Au、Al、Pt、Pd等の導電性粉末で置き換えられている以外は前記光硬化性組成物と同様なペースト状組成物を塗布し、前記と同様に乾燥してタックフリーの白色系導電性皮膜層21を形成する。なお、白色系導電性組成物についても、予めフィルム状に成膜されたドライフィルムの場合、黒色皮膜層上に熱圧着してラミネートすればよい。その後、図2(D)に示すように、白色系導電性皮膜層21の上にバス電極パターンに対応した所定の露光パターンを有するフォトマスクA2を重ね合わせ、露光する。
【0017】
前記図2(B)及び図2(D)に示す各露光工程においては、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光及び非接触露光が可能である。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては50〜1000mJ/cm2程度が好ましい。
【0018】
次いで、フォトマスクA2を剥がした後、アルカリ水溶液により現像して未露光部分を除去し、所定のブラックパターン及び電極パターンを形成する。その後、焼成することにより、図2(E)に示すように、透明電極3の上に下層電極膜(絶縁性黒色焼成皮膜層)20aと上層電極膜(白色系導電性焼成皮膜層)21aとからなるバス電極4と、ブラックパターン(ブラックマトリックス)10が一括して形成される。なお、下層電極膜(絶縁性黒色焼成皮膜層)20aの膜厚は、層間導通性(透明電極3と上層電極膜21aとの層間導通)の点から1.2μm以下であることが好ましい。
【0019】
現像工程としてはスプレー法、浸漬法等が用いられる。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン水溶液、特に約1.5質量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられるが、組成物中のカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)が除去されればよく、上記のような現像液に限定されるものではない。また、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行なうことが好ましい。
【0020】
焼成工程においては、現像後の基板を空気中又は窒素雰囲気下で約400〜600℃の加熱処理を行ない、所定のパターンの焼成皮膜を形成する。
【0021】
次に、前記絶縁性黒色皮膜層の形成に用いる光硬化性組成物について説明する。この黒色系光硬化性組成物は、前記したように、(A)黒色無機微粒子、(B)有機バインダー、(C)光重合性モノマー、及び(D)光重合開始剤を含有するが、上記黒色無機微粒子(A)としては、四三酸化コバルト(Co3O4)を用いることが好ましい。この理由は、前記したように、四三酸化コバルト(Co3O4)黒色微粒子を添加した光硬化性組成物の場合、四三酸化コバルトの添加量が少量でも充分な黒色度(L*値が15以下)の緻密な焼成皮膜が得られ、またその組成物は極めて保存安定性に優れ、量産性に充分対応可能であるからである。
【0022】
四三酸化コバルト黒色微粒子は、粒径が5μm以下、好ましくは0.05μm以上5μm以下の微粒子を用いることが望ましい。この理由は、粒径が5μmより小さいと、少量の添加でも、密着性等を損なうことなく緻密な焼成皮膜を形成でき、充分な層間導電性(透明電極とバス電極白層との層間導通)及び黒さを同時に満足し得る下層(黒層)電極膜用の組成物を提供することができるからである。一方、四三酸化コバルト黒色微粒子の粒径が5μmよりも大きくなると、焼成皮膜の緻密性が悪くなり、形成されるブラックパターン(ブラックマトリックス)及び下層電極膜の黒色度が低下し易い。
【0023】
また、四三酸化コバルト黒色微粒子は、比表面積が1.0〜20m2/gの範囲にある微粒子を用いることが好ましい。この理由は、その比表面積が1.0m2/g未満では、露光によるパターン形成の精度が低下し、すなわちラインエッジの直線性が出難くなり、また充分な黒さ(L*値が15以下)の焼成皮膜が得られ難くなるためである。一方、20m2/gを超えると粒子の表面積が大きくなり過ぎて、現像の際にアンダーカットを生じ易くなる。
【0024】
上記四三酸化コバルト(Co3O4)黒色微粒子(A)の配合量は、有機バインダー(B)100質量部当り0.1〜100質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲が適当である。この理由は、黒色微粒子の配合量が上記範囲よりも少ないと、焼成後に充分な黒さ(L*値が15以下)の焼成皮膜が得られず、一方、上記範囲を超える配合量では、光の透過性が劣化する他に、コスト高となり好ましくないからである。
【0025】
また、形成される黒色皮膜層(ブラックパターン)の絶縁性を損なわない範囲内において、上記四三酸化コバルトの一部に置き換えて、他の耐熱性黒色顔料を配合することができる。耐熱性黒色顔料としては、耐熱性に優れる無機顔料を広く用いることができる。一般には、Cr、Co、Ni、Fe、Mn、Ruなどの酸化物、複合酸化物がこれにあたり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
前記有機バインダー(B)としては、カルボキシル基を有する樹脂、具体的にはそれ自体がエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂及びエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能である。好適に使用できる樹脂(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによって得られるカルボキシル基含有樹脂
(2)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(3)(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(a)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(4)(e)不飽和二重結合を有する酸無水物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(f)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(5)(g)エポキシ化合物と(h)不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(6)(b)不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(7)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(8)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
【0027】
前記したようなカルボキシル基含有感光性樹脂及びカルボキシル基含有樹脂は、単独で又は混合して用いてもよいが、いずれの場合でもこれらは合計で組成物全量の10〜80質量%の割合で配合することが好ましい。これらのポリマーの配合量が上記範囲よりも少な過ぎる場合、形成する皮膜中の上記樹脂の分布が不均一になり易く、充分な光硬化性及び光硬化深度が得られ難く、選択的露光、現像によるパターニングが困難となる。一方、上記範囲よりも多過ぎると、焼成時のパターンのよれや線幅収縮を生じ易くなるので好ましくない。
【0028】
また、上記カルボキシル基含有感光性樹脂及びカルボキシル基含有樹脂としては、それぞれ重量平均分子量1,000〜100,000、好ましくは5,000〜70,000、及び酸価50〜250mgKOH/g、かつ、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、その二重結合当量が350〜2,000、好ましくは400〜1,500のものを好適に用いることができる。上記樹脂の分子量が1,000より低い場合、現像時の皮膜の密着性に悪影響を与え、一方、100,000よりも高い場合、現像不良を生じ易いので好ましくない。また、酸価が50mgKOH/gより低い場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が不充分で現像不良を生じ易く、一方、250mgKOH/gより高い場合、現像時に皮膜の密着性の劣化や光硬化部(露光部)の溶解が生じるので好ましくない。さらに、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、感光性樹脂の二重結合当量が350よりも小さいと、焼成時に残渣が残り易くなり、一方、2,000よりも大きいと、現像時の作業余裕度が狭く、また光硬化時に高露光量を必要とするので好ましくない。
【0029】
前記黒色系光硬化性組成物において、光重合性モノマー(C)は、組成物の光硬化性の促進及び現像性を向上させるために用いる。光重合性モノマー(C)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類;フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、こはく酸、トリメリット酸、テレフタル酸等の多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステルなどが挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光重合性モノマーの中でも、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。
【0030】
このような光重合性モノマー(C)の配合量は、前記有機バインダー(カルボキシル基含有感光性樹脂及び/又はカルボキシル基含有樹脂)(B)100質量部当り20〜100質量部が適当である。光重合性モノマー(C)の配合量が上記範囲よりも少ない場合、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなり、一方、上記範囲を超えて多量になると、皮膜の深部に比べて表面部の光硬化が早くなるため硬化むらを生じ易くなる。
【0031】
前記光重合開始剤(D)の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられ、これら公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光重合開始剤(D)の配合割合は、前記有機バインダー(カルボキシル基含有感光性樹脂及び/又はカルボキシル基含有樹脂)(B)100質量部当り1〜30質量部が適当であり、好ましくは、5〜20質量部である。
【0032】
また、上記のような光重合開始剤(D)は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
【0033】
前記黒色系光硬化性組成物は、必要に応じて軟化点400〜600℃のガラス粉末、導電性粉末、シリカ粉末等の他の無機微粒子(E)を、本発明の効果や光硬化性組成物の特性を損なわない量的割合で配合することができる。
ガラス粉末は、焼成後の焼成皮膜の密着性向上のため、黒色無機微粒子(A)100質量部当り200質量部以下、好ましくは150質量部以下の割合で添加できる。このガラス粉末としては、ガラス転移点(Tg)300〜500℃、ガラス軟化点(Ts)400〜600℃のものが好ましい。また、解像度の点からは、平均粒径20μm以下、好ましくは5μm以下のガラス粉末を用いることが好ましい。
【0034】
上記のようなガラス粉末を光硬化性組成物に添加することにより、露光・現像後の皮膜は600℃以下で容易に焼成可能となる。但し、本発明で用いる光硬化性組成物では、燃焼性の良好な有機バインダーが用いられ、ガラス粉末が溶融する前に脱バインダーが完了するように組成されているものの、ガラス粉末の軟化点が400℃より低いと、これよりも低い温度で溶融が生じて有機バインダーを包み込み易くなり、残存する有機バインダーが分解することによって組成物中にブリスターが生じ易くなるので好ましくない。
ガラス粉末としては、酸化鉛、酸化ビスマス、又は酸化亜鉛などを主成分とする非結晶性フリットが好適に使用できる。
【0035】
光硬化性組成物に多量の無機微粒子やガラス粉末を配合した場合、得られる組成物の保存安定性が悪く、ゲル化や流動性の低下により塗布作業性が悪くなる傾向がある。従って、本発明で用いる光硬化性組成物では、組成物の保存安定性向上のため、無機微粒子やガラス粉末の成分である金属あるいは酸化物粉末との錯体化あるいは塩形成などの効果のある化合物を、安定剤として添加することが好ましい。安定剤としては、硝酸、硫酸、塩酸、ホウ酸等の各種無機酸;ギ酸、酢酸、アセト酢酸、クエン酸、ステアリン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、スルファミン酸等の各種有機酸;リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジフェニル、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等の各種リン酸化合物(無機リン酸、有機リン酸)などの酸が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このような安定剤は、前記のガラス粉末や無機微粒子(E)100質量部当り0.1〜10質量部の割合で添加することが好ましい。
【0036】
本発明で用いる黒色系光硬化性組成物においては、組成物を希釈することによりペースト化し、容易に塗布工程を可能とし、次いで乾燥させて造膜し、接触露光を可能とさせるために、適宜の量の有機溶剤を配合することができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テルピネオールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
黒色系光硬化性組成物は、さらに必要に応じて、シリコーン系、アクリル系等の消泡・レベリング剤、皮膜の密着性向上のためのシランカップリング剤、等の他の添加剤を配合することもできる。さらにまた、必要に応じて、公知慣用の酸化防止剤や、保存時の熱的安定性を向上させるための熱重合禁止剤、焼成時における基板との結合成分としての金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物などの微粒子を添加することもできる。
【0038】
なお、バス電極の上層電極膜(白層)形成に用いられる白色系光硬化性組成物は、前記黒色無機微粒子に代えて導電性微粒子が用いられている以外は、前記黒色系光硬化性組成物と同様の成分(B〜D)を同様の配合割合で含有し、また必要に応じて有機溶剤、安定剤等の他の成分を添加することができる。
導電性微粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの単体とその合金の他、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、ITO(Indium Tin Oxide)などが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上の混合粉として用いることができる。
【0039】
前記導電性微粒子の形状は、球状、フレーク状、デンドライト状など種々のものを用いることができるが、光特性、分散性を考慮すると球状のものを用いることが好ましい。また、平均粒径としては、解像度の点から20μm以下のもの、好ましくは5μm以下のものを用いることが好ましい。また、導電性微粒子の酸化防止、組成物内での分散性向上、現像性の安定化のため、特にAg、Ni、Alについては脂肪酸による処理を行うことが好ましい。脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0040】
導電性微粒子の配合量は、導電性微粒子以外の組成物中の他の成分の合計量を100質量部としたときに、50〜2,000質量部となる割合が適当である。導電性微粒子の配合量が50質量部未満の場合、電極回路の線幅収縮や断線が生じ易くなり、一方、2,000質量部を超えて多量に配合すると、光の透過を損ない、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなる。
さらに焼成後の皮膜の強度、基板への密着性向上のために、前記したようなガラス粉末を導電性微粒子100質量部当たり1〜30質量部の割合で添加することができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、「部」及び「%」とあるのは、特に断りがない限り全て質量基準である。
【0042】
合成例
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタクリル酸を0.76:0.24のモル比で仕込み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、80℃で2〜6時間攪拌し、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を冷却し、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン、触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミドを用い、グリシジルメタクリレートを、95〜105℃で16時間の条件で、上記樹脂のカルボキシル基1モルに対し0.12モルの割合の付加モル比で付加反応させ、冷却後取り出し、有機バインダーAを生成した。この樹脂Aは、重量平均分子量が約10,000、酸価が59mgKOH/g、二重結合当量が950であった。なお、得られた共重合樹脂の重量平均分子量の測定は、(株)島津製作所製ポンプLC−6ADと昭和電工(株)製カラムShodex(登録商標)KF−804、KF−803、KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0043】
このようにして得られた有機バインダーAを用い、以下に示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロールミルにより練肉してペースト化を行なった。なお、ガラス粉末としては、PbO 60%、B203 20%、SiO2 15%、Al203 5%を粉砕し、熱膨張係数α300=70×10−7/℃、ガラス転移点445℃、平均粒径1.6μmとしたものを使用した。
【0044】
バス電極の上層電極膜(白層)用白色系導電性ペースト;
有機バインダーA 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン 5.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
銀粉 450.0部
ガラス粉末 22.0部
リン酸エステル 1.0部
【0045】
ブラックパターン及びバス電極の下層電極膜(黒層)用黒色ペースト:
有機バインダーA 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン 5.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
四三酸化コバルト(Co3O4) 40.0部
(粒径0.20μm、比表面積4.9m2/g)
【0046】
上記のようにして調製した黒色ペーストを、200メッシュのポリエステルスクリーンを用い、予めITO透明電極が形成されたガラス基板の全面に塗布し、熱風循環式乾燥炉にて約90℃で20分乾燥させ、タックフリーの塗膜を得た(黒色皮膜層の形成)。
次に、形成された黒色皮膜層の上に所定の露光パターンを有するフォトマスクを重ね合わせ、光源としてメタルハライドランプを用い、積算光量が400mJ/cm2となるようにブラックパターン(ブラックマトリックス)部分とバス電極部分を露光し、光硬化させた。
次いで、フォトマスクを剥がした後、前記のように調製した白色系導電性ペーストを塗布し、熱風循環式乾燥炉にて約90℃で20分乾燥させ、タックフリーの塗膜を得た(白色系導電性皮膜層の形成)。
【0047】
その後、形成された白色系導電性皮膜層の上にバス電極パターンに対応した所定の露光パターンを有するフォトマスクを重ね合わせ、積算光量が400mJ/cm2となるように露光した。
次いで、フォトマスクを剥がした後、液温30℃の0.5%Na2CO3水溶液を用いて現像を行ない、水洗した。最後に空気雰囲気下にて5℃/分で昇温し、550℃で30分間焼成し、バス電極とブラックパターン(ブラックマトリックス)が一括して形成されたPDP前面基板を作製した。
【0048】
こうして得られた焼成皮膜のバス電極の上層(白層)電極膜とITO透明電極にテスターをあて導通の確認を行なったところ、良好な導通性が確認できた。
また、得られた焼成皮膜をガラス側から目視により観察し、色調の確認を行なったところ、バス電極の下層電極膜とブラックパターン(ブラックマトリックス)は黒色であった。さらに、焼成後色調を確認した試験片を用いて色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CR−221)を用いてL*a*b*表色系の値をJIS−Z−8729に従って測定したところ、明度を表す指数であるL*値は7.8であった(このL*値が小さいほど黒色度に優れる)。
なお、前記黒色ペーストを300g密閉容器に入れ、30℃で1ヶ月間放置した後の状態の確認を行なったところ、ゲル化を生じることなく全く変化が無く、安定性に優れていた。
また、上記各評価用ペーストについて、現像後のライン形状、焼成後のライン形状、密着性を評価したが、いずれも問題はなかった。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法によれば、PDPの前面基板に高精細のブラックパターン(ブラックマトリックス)とバス電極を一括形成でき、それによって量産性良く低コストでPDPを製造できる。
特に黒色無機微粒子として四三酸化コバルトを含有する光硬化性組成物を用いた場合、保存安定性に優れ、かつ、薄い膜厚で充分なコントラストが得られることから、乾燥、露光、現像、焼成の各工程において基板に対する優れた密着性、解像性、焼成性を損なうことなく、PDPの前面基板に、充分な黒さのブラックパターン(ブラックマトリックス)と、充分な層間導電性(透明電極とバス電極白層との層間導通)と黒さを同時に満足し得る下層(黒層)電極膜を有する白黒2層構造のバス電極を一連の工程で一括形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】面放電方式のAC型PDPの部分分解斜視図である。
【図2】本発明のPDPの前面基板の製造方法の工程例を示す概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 前面ガラス基板
2a,2b 表示電極
3,3a,3b 透明電極
4,4a,4b バス電極
5 透明誘電体層
6 保護層
10 ブラックパターン(ブラックマトリックス)
11 背面ガラス基板
12 リブ
13 アドレス電極
14a,14b,14c 蛍光体膜
20 絶縁性黒色皮膜層
21 白色系導電性皮膜層
20a 下層電極膜(絶縁性黒色焼成皮膜層)
21a 上層電極膜(白色系導電性焼成皮膜層)
Claims (11)
- (1)基材上に絶縁性黒色皮膜層を形成する工程、
(2)ブラックパターン部分のみ又はブラックパターン部分とバス電極部分を露光する工程、
(3)上記黒色皮膜層の上に白色系導電性皮膜層を形成する工程、
(4)バス電極部分を露光する工程、及び
(5)現像して露光部分以外の部分を除去した後、焼成する工程
を含む、ブラックパターンとバス電極を一括形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記黒色皮膜層を、(A)黒色無機微粒子、(B)有機バインダー、(C)光重合性モノマー、及び(D)光重合開始剤を含有する光硬化性組成物から形成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記黒色無機微粒子(A)として四三酸化コバルトを用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記四三酸化コバルトが、1.0〜20m2/gの比表面積及び5μm以下の粒径を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記四三酸化コバルトの一部に置き換えて、他の耐熱性黒色顔料を含有することを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
- 前記有機バインダー(B)が、重量平均分子量1,000〜100,000及び酸価50〜250mgKOH/gのカルボキシル基含有感光性樹脂又はカルボキシル基含有樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記有機バインダー(B)が、(1)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによって得られるカルボキシル基含有樹脂、(2)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、(3)(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(a)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、(4)(e)不飽和二重結合を有する酸無水物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(f)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、(5)(g)エポキシ化合物と(h)不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、(6)(b)不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、(7)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、(8)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記黒色皮膜層を形成するための光硬化性組成物における各成分の配合量は、前記有機バインダー(B)100質量部当り、黒色微粒子(A)の配合量は0.1〜100質量部、光重合性モノマー(C)の配合量は20〜100質量部、光重合開始剤(D)の配合量は1〜30質量部であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記黒色皮膜層を形成するための光硬化性組成物は、さらにガラス粉末、導電性粉末及びシリカ粉末よりなる群から選ばれる少なくとも1種の他の無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記黒色皮膜層を形成するための光硬化性組成物は、さらに無機酸、有機酸及びリン酸化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を安定剤として含有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記白色系導電性皮膜層を形成するために用いられる組成物が、前記黒色無機微粒子に代えて導電性微粒子が用いられている以外は前記黒色皮膜層を形成するための光硬化性組成物と同様の成分を含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法によって作製されたプラズマディスプレイパネルであって、黒色皮膜層のL*値が15以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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