【発明の詳細な説明】
二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノールの製造方法
本発明は、1,3−ジクロロベンゼンのジニトロ化で1,3−ジクロロ−4,
6−ジニトロベンゼンを生じさせた後にこれをナトリウムベンジラートと反応さ
せて1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンを生じさせそしてそ
れに接触水添を受けさせることを通して二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノー
ルを製造する方法に関する。
二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノールはプラスチック、特にポリベンゾキ
サゾール類の重要な構成ブロックである(Macromolecules 19
81、915)。
ヨーロッパ特許第0,402,688号には、1,3−ジクロロ−4,6−ジ
ニトロベンゼンをナトリウムベンジラートと反応させて1,3−ジベンジルオキ
シ−4,6−ジニトロベンゼンを生じさせた後にそれの接触水添を行うことを通
して4,6−ジアミノ−レゾルシノールを合成することが記述されている。その
記述されている方法の欠点は、Pd/活性炭触媒を用いた1,3−ジベンジルオ
キシ−4,6−ジニトロベンゼンの不均一接触水添をバッチ式水添として実施す
ることに関して示されている様式にあり、そこに記述されている形態では、高価
な希金属触媒を経済的に再利用するのは不可能である。さらなる欠点は、そのバ
ッチ式不均一水添の実施で記述されている如き様式が原因で生成物の品質が満足
される品質でない点と、4,6−ジアミノ−レゾルシノールが遊離形態、特に水
が入っている溶媒中で示す安定性が低い点である。さらなる欠点は、遊離4,6
−ジアミノ−レゾルシノールが有機溶媒中で示す溶解度が低い結果として接触水
添操作中および生成物単離中に不経済
に多大な希釈を行う必要がある点である。
ここに、希塩酸水溶液と希塩酸水溶液に混和しないか或は混和し得るとしても限
られた度合のみである有機溶媒の2相混合物中で希金属触媒を用いた接触水添、
好適には接触ポンプ水添(catalytic pump hydrogena
tion)を任意に高圧常温もしくは高温で行って1,3−ジベンジルオキシ−
4,6−ジニトロベンゼンを反応させて二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノー
ルを生じさせることにより1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼ
ンから二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノールを生じさせることができること
を見い出した。
従って、本発明は、二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノールを1,3−ジベ
ンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンから製造する方法に関し、この方法に
、希金属触媒を用いた水素による1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロ
ベンゼンの接触水添を希塩酸水溶液と希塩酸水溶液に混和しないか或は混和し得
るとしても限られた度合のみである有機溶媒の2相混合物中で常圧または高圧下
に常温または高温で行うことを含める。
本発明に従う方法では、例えば、ヨーロッパ特許第0,402,688号に従
って1,3−ジクロロ−4,6−ジニトロベンゼンをナトリウムベンジラートと
反応させると生じる1,3−ベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンを用い
ることができる。
非常に経済的な態様では、
a)第一段階において、遊離SO3が0から10重量%入っている無水硫酸中で
1,3−ジクロロベンゼンと混合酸(硝酸および硫酸が入って
おりそしてSO3が硝酸1モル当たり0.7から1.5モル、好適には0.8か
ら1.2モル、特に好適には0.9から1.1モル入っている)を0から40℃
の範囲の温度でHNO3/1,3−ジクロロベンゼンの比率を2から3にして反
応させ、そして
b)第二段階において、その結果として生じた1,3−ジクロロ−4,6/2,
4−ジニトロベンゼン異性体混合物(1,3−ジクロロ−2,4−ジニトロベン
ゼンが異性体混合物全体重量を基準にして0.1から60%入っている)と2か
ら5モルのベンジルアルコールと2から5当量の強塩基を不活性溶媒の存在下で
反応させる(これを段階的に最初−15から+15℃の範囲の温度で行った後に
20から40℃の範囲の温度で行う)、
ことを通して、高純度の1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼン
を1,3−ジクロロベンゼンから得ることができる。
段階a)は下記の2つの異なる変法で実施可能である。
変法1:
遊離SO3が0から10重量%入っている無水硫酸を最初に入れて、それに最
初1,3−ジクロロベンゼンを滴下した後、混合酸(硝酸と硫酸が入っていてS
O3が硝酸1モル当たり少なくとも0.7モル入っている)を計量して入れる。
上記1,3−ジクロロベンゼンを計量して入れる時間は5分から5時間で上記混
合酸を計量して入れる時間は15分から10時間であり、これらの時間は本質的
に反応温度、使用する冷却装置の効率およびバッチサイズに依存する。好適な計
量添加時間は1,3−ジクロロベンゼンの場合15から60分でありそして上記
混合酸の場合1から3時間である。
変法2:
遊離SO3が0から10重量%入っている無水硫酸を最初に入れて、それに1
,3−ジクロロベンゼンおよび混合酸(硝酸と硫酸が入っていてSO3が硝酸1
モル当たり少なくとも0.7モル入っている)を同時に計量して入れる。この好
適な変法で同時に計量して入れる時間は15分から10時間、好適には30分か
ら3時間であり、この時間は、反応温度、使用する冷却装置の効率およびまたバ
ッチサイズに依存する。この好適な変法では、特に遊離SO3が0から10重量
%入っている硫酸を最初に導入すると、1,3−ジクロロベンゼンスルホン酸の
生成が本質的に完全に回避される。
段階a)の温度を0から40℃、好適には10から30℃、特に15から25
℃の範囲にする。
その得たニトロ化混合物を本質的に公知の形態で処理し、例えばそれを水または
氷/水混合物の上に排出させ、濾過および水による洗浄を行うことなどで処理す
る。
この方法の段階b)の実施では、段階a)で得た1,3−ジクロロ−4,6/2
,4−ジニトロベンゼンの工業用異性体混合物と少なくとも2モルのベンジルア
ルコールと少なくとも2当量の強塩基を任意に不活性溶媒の存在下で反応させる
ことが必須である。このような異性体混合物には1,3−ジクロロ−2,4−ジ
ニトロベンゼンがこの混合物の全体重量を基準にして一般に0.1から60%入
っている(残りは4,6−異性体)。好適には、1,3−ジクロロ−2,4−ジ
ニトロベンゼンが5から25%入っている混合物を用いる。1,3−ジクロロ−
2,4−ジニトロベンゼンが8から15%で1,3−ジクロロ−4,6−ジニ
トロベンゼンが85から92%の混合物が非常に特に好適である。
上記1,3−ジクロロ−4,6/2,4−ジニトロベンゼン異性体混合物と2
から5モル、好適には2から3モルのベンジルアルコールと2から5当量の強塩
基を反応させる。この使用する強塩基はアルカリ金属の群の1つ以上の金属、例
えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウム、好適にはナ
トリウムまたはカリウムなど、アルカリ土類金属の群の1つ以上の金属、例えば
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウム、好適にはマグネシ
ウムまたはカルシウムなど、アルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムまたは水酸化セシウム、
好適には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど、アルカリ土類金属の水酸
化物、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムま
たは水酸化バリウム、好適には水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムなど
、アルカリ金属の炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
、炭酸ルビジウムまたは炭酸セシウム、好適には炭酸ナトリウムまたは炭酸カリ
ウムなど、そしてアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸ストロンチウムまたは炭酸バリウム、好適には炭酸マグネシウム
または炭酸カルシウムなどである。好適な様式では、アルカリ金属、アルカリ金
属の水酸化物およびアルカリ金属の炭酸塩の群の強塩基を用い、特に好適な様式
では、ナトリウム金属、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの群の強塩基を
用いる。同様に、また、ベンジルアルコールと上記塩基を前以て生じさせておい
たアルコラートの形態で用いることも可能である。
段階b)の温度多段式反応を第一段階では−15から+15℃、好適
には0から15℃、特に5から15℃の範囲の温度で行いそして第二反応段階で
は20から40℃、好適には25から35℃の範囲の温度で実施する。
使用する不活性溶媒は脂肪族、芳香族もしくはアルキル芳香族炭化水素、ハロ
ゲン化芳香族炭化水素、または上記2から5モルを越える量の追加的ベンジルア
ルコールであってもよい。そのような溶媒の例はペンタン、ヘキサン、ヘプタン
、オクタン、デカン、ドデカン、そして高級直鎖もしくは分枝脂肪族炭化水素ば
かりでなくそれらの混合物、例えばリグロインまたは石油エーテルなど、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、ジブロモベンゼン、クロロトルエン、ジクロロトルエンまたはシクロヘ
キサンなどである。勿論、また、上記溶媒のいくつかの混合物を用いることも可
能である。
好適な態様ではベンジルアルコールを同時に反応体および溶媒として用いる。
この場合には、ベンジルアルコールをジクロロージニトロベンゼン1重量部を基
準にして3から20重量部、好適には5から15重量部の量で用いる。勿論、ま
た、ベンジルアルコールを上記不活性溶媒との混合物として用いることも可能で
ある。
上記反応は反応圧力から独立しており、従ってこれを好都合には常圧下で実施
する。低沸点の溶媒を用いる場合には高圧の使用が妥当であり得る。この場合に
は、自動的に確立される自然発生的圧力下で操作を行うのが好適である。上記温
度多段式反応を第一および/または第二段階で実施する場合には還流下の沸騰温
度が一定になるように減圧を用いるのが有利である。
上記塩基の存在下で行うジクロロ−ジニトロベンゼンとベンジルアルコールの
温度多段式反応を第一段階において5から15℃の反応温度で一般に15分から
3時間の反応時間で行いそして第二段階において25から35℃の反応温度で一
般に30分から6時間の反応時間で行うと、90%を越える高い収率が得られる
。
この反応生成物は反応媒体に難溶であり、従って簡単な濾過で単離可能である
。その後、それを水中でスラリー状にして濾過を繰り返し行うことを通して、無
機の副生成物(例えばアルカリ金属の塩化物および/またはアルカリ土類金属の
塩化物)を除去することができる。
しかしながら、また、何らかの所望様式で製造された別の高純度1,3−ジベ
ンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンを本発明に従う方法で用いることも可
能である。
本発明に従う方法を実施する時の必須点は、希塩酸水溶液と希塩酸水溶液に混
和しないか或は混和し得るとしても限られた度合のみである有機溶媒の2相混合
物中で1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンを常圧または高圧
および常温または高温下の接触水添、好適には接触ポンプ水添で反応させて二塩
酸4,6−ジアミノ−レゾルシノールを生じさせることにある。好適な態様では
、水添用オートクレーブの中に希金属触媒が希塩酸水溶液にか或は塩酸を含有す
る二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノール水溶液に入っている懸濁液を前以て
入れておいて、H2圧力下の水添条件下でその中に、1,3−ジベンジルオキシ
−4,6−ジニトロベンゼンの懸濁物が有機溶媒に入っている溶液をポンプ輸送
する。
希塩酸水溶液と希塩酸水溶液に混和しないか或は混和し得るとしても
限られた度合のみである有機溶媒の2相混合物中で1,3−ジベンジルオキシ−
4,6−ジニトロベンゼンの接触水添を行っている間に、そのニトロ基がアミノ
基に還元されそしてベンジル基の除去に伴ってトルエンが生成し、そしてまた、
ジアミノレゾルシノール(これは酸化に対して極めて敏感である)が二塩酸塩の
形態になることでそれの安定化も起こる。好適な触媒は、塩酸水溶液に安定な適
切な支持体に支持させた白金族金属、例えばパラジウム、白金、ロジウムまたは
ルテニウム、好適にはパラジウムまたは白金であり、このような白金族金属を触
媒の全体量を基準に0.1から10重量%の量で用いる。適切な支持体は活性炭
、SiO2、および本分野の技術者に公知の他の支持体である。非常に特に好適
にはパラジウム/活性炭触媒を用いる。このような白金族金属−支持体触媒を白
金族金属として計算して1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼン
の重量を基準にして0.1から10重量%、好適には0.2から2重量%の量で
用いる。この水添を1から200バール、好適には5から50バール、特に10
から30バールのH2圧下、0から200℃、好適には20から150℃、特に
40から120℃の範囲の温度で実施する。
また、この水添を加圧なしに実施することも可能であり、この場合には、水素
を、H2を放出する適切な物質、例えばヒドラジン、水加ヒドラジン(hydrazine
hydrate)、ヒドラジニウム塩、蟻酸、ホルメート類またはそれらのいくつかに置
き換えることも可能である。
本発明に従う方法では、上記水添用オートクレーブに最初に導入する上記希塩
酸水溶液の濃度および量を、好都合に、生じる二塩酸4,6−ジアミノ−レゾル
シノールがその選択した反応温度で水相に完全に溶解
するように選択し、一般的には、上記希塩酸水溶液の濃度を0.1から20重量
%、好適には1から15重量%、特に好適には3から12重量%にし、そしてそ
の量を、使用する1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンlg当
たり1から20g、好適には3から10g/gにする。
上記水添で用いる希塩酸水溶液に混和しない有機溶媒は適切なアルコール、エ
ーテル、芳香族もしくはアルキル芳香族炭化水素、適切な有機酸またはそれらい
くつかの混合物であってもよい。そのような液状反応媒体の例はプロパノール、
イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、メチルt−ブチルエー
テル、ベンゼン、トルエン、キシレン、プロピオン酸またはそれらいくつかの混
合物である。しかしながら、希塩酸水溶液に混和しないか或は混和し得るとして
も制限された度合のみである有機溶媒が水素を良好に溶かしそして好適に用いる
パラジウム/活性炭触媒を良好に湿らすことが必須である。加うるに、好適な触
媒ポンプ水添の場合には、1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼ
ンの溶液を分割してか或は一様に特に経済的な様式で水添用オートクレーブにポ
ンプ輸送することができるように、希塩酸水溶液に混和しないか或は混和し得る
としても制限された度合のみである有機溶媒が1,3−ジベンジルオキシ−4,
6−ジニトロベンゼンを充分に溶かすことも必須である。希塩酸水溶液に混和し
ない有機溶媒として好適には芳香族またはアルキル芳香族炭化水素、例えばベン
ゼン、トルエンまたはキシレンなどを用いる。非常に特に好適にはトルエンを用
い、これは、いずれにせよ、1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベン
ゼンからベンジル基が除去されることによって生じ、トルエンを用いると、
水添で生じた2相反応混合物の処理を単なる相分離で行うことができかつトルエ
ンを蒸留による精製なしに再使用することができることで特に経済的である。希
塩酸水溶液に混和しないか或は混和し得るとしても制限された度合のみである溶
媒を水添で用いる全体量は、1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベン
ゼン1重量部を基準にして0.5から50重量部、好適には1から10重量部の
量である。勿論、また、上記有機溶媒の一部を希塩酸水溶液と一緒に既に最初に
水添用オートクレーブに入れておくことも可能である。
本発明に従う方法を、詳細には、例えば下記の如く実施する:塩酸水溶液に耐
性を示す材料で出来ている水添用オートクレーブに、最初、Pd(5%)/活性
炭触媒が1から30重量%の塩酸に入っている懸濁液を導入する。好適な水添条
件(60から80℃;10から20バールのH2)下、トルエン中10から80
重量%の1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼン溶液もしくは懸
濁液を、トルエンと塩酸水溶液の全体量を基準にした1,3−ジベンジルオキシ
−4,6−ジニトロベンゼンの濃度が5から20重量%で1,3−ジベンジルオ
キシ−4,6−ジニトロベンゼン/パラジウムの重量比が例えば85:1になる
ようにして30から90分以内にポンプ輸送する。水素の吸収が止んだ後、反応
混合物の撹拌を10から20バールのH2下60から80℃で例えば60分間継
続し、撹拌を停止した後、塩酸を含有する二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノ
ール水溶液とトルエンから成る2相反応混合物の約66%を、窒素で、耐食性材
料で出来ていてフリットが備わっているライザー(riser)に通して水添用
オートクレーブから受け槽に送り込む。簡単な相分離で有機溶媒(トルエン)を
分離した後、適宜前以
て安定剤、例えばSnCl2などを添加した後に適宜通常様式、例えば上記水溶
液の濃縮および/または濃塩酸を用いた沈澱および/または気体状HClの導入
でトルエンを除去しそして活性炭を用いた浄化を行いそして/または適宜例えば
NaClなどを用いるか或は本分野の技術者に公知の望まれる任意様式で塩析を
行うことを通して、その結果として得た塩酸含有水溶液から安定な二塩酸4,6
−ジアミノレゾルシノールを単離することができる。同じ方法でPd(5%)/
活性炭触媒を用いた水添を触媒活性の低下を伴うことなく数回に渡って連続的に
実施することができ、その結果として、触媒の消費量は非常に少ない。
本発明に従う方法を用いると特に好適な触媒ポンプ水添で数多くの水添を触媒
活性の低下を伴うことなく順次実施することができることと二塩酸ジアミノ−レ
ゾルシノールをさらなる精製なしに無色生成物として特に経済的な様式で非常に
高い収率および優れた品質で得ることができることは驚くべきことであると見な
されるべきである。
本発明に従う方法は、例えば記述した様式でポンプ水添として不連続的に実施
可能であるか或は例えばループ(loop)反応槽などを用いて連続的に実施可
能である。実施例1
最初、770gの5.5重量%塩酸水溶液に湿っているPd(5%)/活性炭
触媒(乾燥時20g;1gのPd)を25g入れた懸濁液を3lの水添用エナメ
ル塗装オートクレーブに入れた。80℃で10から20バールのH2下の水添条
件下で約30分かけてトルエン中10重量%の1,3−ジベンジルオキシ−4,
6−ジニトロベンゼン懸濁液を1140g(0.3モル)ポンプ輸送した。この
反応混合物の撹拌を水素
の吸収が止むまで10から20バールのH2下80℃で約1時間継続し、撹拌機
を止めた後、塩酸を含有する二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノール水溶液と
トルエンから成る2相反応混合物の約1275g(66%)を、窒素で、焼結金
属のフリットが備わっているライザーに通して水添用オートクレーブから受け槽
に送り込んだ。簡単な相分離で無色のトルエン(上方の相)を約72Og分離し
た後、塩酸を含有する黄色の二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノール水溶液を
約550g得た。適宜SnCl2・2H2Oを少量添加した後に上記水溶液のイン
シピエントストリッピング(incipient stripping)でトル
エンを少量分離しそして適宜活性炭を用いた浄化を行った後、20から60℃で
37重量%の塩酸を約555g添加することを通して二塩酸4,6−ジアミノ−
レゾルシノールを沈澱させ、その結果として生じた懸濁液を撹拌しながら室温(
20℃)にまで冷却し、そして非常に濾過が容易な生成物を焼結ガラスの吸引フ
ィルターで単離した後、真空(100ミリバール)下20から60℃で乾燥させ
た。
同じ様式で、最初に、上記水添用オートクレーブに残存している懸濁液[これ
には塩酸を含有する二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノール水溶液とトルエン
の2相混合物が約635gとPd(5%)/活性炭触媒が入っている]に10か
ら20バールのH2下80℃で約30分かけて更に6重量%の塩酸水溶液を48
0gそして次にトルエン中10重量%の1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジ
ニトロベンゼン懸濁液を760g(0.3モル)ポンプ輸送した後、水添を触媒
活性の低下を伴うことなく行った。この様式で順次水添を全体で約10回行い、
その結果として、上記触媒を9回再利用した。
乾燥二塩酸4,6−ジアミノ−レゾルシノールを全体で427g得た。
HPLC(高性能液クロ)に従い、使用した1,3−ジベンジルオキシ−4,
6−ジニトロベンゼンが完全な変換を受けており、そして単離した二塩酸4,6
−ジアミノ−レゾルシノールはクロマトグラフィーに従い本質的に単一の化合物
であった。1HNMRに従い、その単離した生成物はベンジル基を全く含有して
いなかった。
含有量(塩素から)MW213 99.7重量%
含有量(窒素から)MW213 99.7重量%
含有量(炭素から)MW213 99.5重量%
含有量(HPLCから)MW213 99.1重量%
使用した1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼンを基準にした
4,6−ジアミノ−レゾルシノールの収率は理論値の95%に及んだ(炭素から
)。
本発明に従う方法で用いた高純度の1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニ
トロベンゼンを好適には下記の様式で調製した。段階a):工業用1,3−ジクロロ−4,6/2,4−ジニトロベンゼン混合物 :
内部温度計と1,3−ジクロロベンゼン用および混合酸用の2つの計量用滴下
漏斗を取り付けた多口フラスコ撹拌装置に、最初、硫酸一水化物を700g(7
.14モル)入れた。氷を用いた冷却および撹拌を行いながら20℃で1時間か
けて147gの99.4%1,3−ジクロロベンゼン(0.99モル)と506
gの混合酸(2.20モルのHNO3)を同時に計量して加えると、約30分後
に、ニトロ化生成物の結晶化が始まった。この反応混合物を20℃で更に4時間
撹拌した。この反応混
合物を約30分かけて3640gの氷/水混合物が入っている受け槽に撹拌しな
がら最大温度が20℃以下になるように移した。結果として生じた生成物が入っ
ている懸濁液を20℃で更に1時間撹拌し、濾過が非常に容易な反応生成物を焼
結ガラス吸引フィルターで単離し、全体で約3750gの水を用いて酸がなくな
るように洗浄した後、真空下40℃で乾燥させた。
乾燥した1,3−ジクロロ−4,6−ジニトロベンゼンを226g得た。
GCで測定した単離生成物の含有量は下記の通りであった:
1,3−ジクロロ−4,6−ジニトロベンゼンが89.7重量%
1,3−ジクロロ−2,4−ジニトロベンゼンが10.1重量%
1,3−ジクロロ−2−ニトロベンゼンが0.1重量%
1,3−ジクロロ−4−ニトロベンゼンが0.1重量%。
用いた1,3−ジクロロベンゼンを基準にした1,3−ジクロロ−4,6−ジ
ニトロベンゼンの収率は4,6/2,4−ジニトロ混合物の形態で理論値の86
.4%であった。
上記混合酸の調製は下記の如くであった:
最初に98%のHNO3を141.4g(=2.20モル)入れた。氷冷却およ
び撹拌を行いながら最大温度が35℃以下になるように数時間かけて発煙硫酸6
5を365g(SO3が3.0モル;H2SO4が1.3モル)滴下した。段階b):1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼン:
内部温度計と固体用入り口を取り付けた多口フラスコ撹拌装置に、最初、ベン
ジルアルコールを1560g入れた。氷で冷却しつつ乾燥窒素
を通しながら、最大温度が25℃以下になるように約15分かけて、粉砕したN
aOH(1.85モル)を74g入れた。この反応混合物の撹拌を溶解が完了す
るまで室温(20℃)で約12時間継続した。この若干曇っている黄色がかった
色の反応溶液を氷/NaClで冷却しつつそれに乾燥窒素を通しながら、10℃
で約30分かけて、183gの1,3−ジクロロ−4,6/2,4−ジニトロベ
ンゼン異性体混合物(0.685モルの1,3−ジクロロ−4,6−ジニトロベ
ンゼンと0.085モルの1,3−ジクロロ−2,4−ジニトロベンゼン)を入
れた。その結果として生じた若干黄色の懸濁液を10℃で更に30分間撹拌し、
30℃に温めた後、この温度で更に約3時間撹拌した。1,3−ジベンジルオキ
シ−4,6−ジニトロベンゼンとNaClが入っている濾過が容易な生成物混合
物を焼結ガラス吸引フィルターに通して30℃で単離し、吸引して徹底的に乾燥
させることで、母液であるベンジルアルコールを除去した。その単離した粗生成
物を20℃で2500gの水が入っている受け槽に入れ、その結果として生じた
スラリーをNaClが完全に溶解するまで20℃で約1時間撹拌し、このように
精製した本質的に無色の生成物を再び濾過し、ベンジルアルコールが完全に除去
されるように約5000gの水を数回に分けて用いて洗浄を行った後、適宜減圧
下60℃で乾燥を行う。
乾燥した高純度の生成物を237g得た。
HPLCで測定した単離生成物の含有量は下記の通りであった:
含有量(チタン還元算(titanium reduction))MW 38
0 HPLC 99.8重量%
1,3−ジベンジルオキシ−4,6−ジニトロベンゼン
99.1重量%
1−ベンジルオキシ−3−クロロ−4,6−ジニトロベンゼン
0.6重量%
1,3−ジベンジルオキシ−2,4−ジニトロベンゼン
<0.1重量%
1,3−ジクロロ−4,6/2,4−ジニトロベンゼン混合物の形態で用いた
1,3−ジクロロ−4,6−ジニトロベンゼンを基準にした1,3−ジベンジル
オキシ−4,6−ジニトロベンゼンの収率は理論値の91.0%であった。
上記ベンジルアルコール母液のベンズアルデヒド含有量はGCに従い0.5%
であった。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
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,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,
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(72)発明者 ブランク,ハインツ・ウルリヒ
ドイツ連邦共和国デー―51519オーデンタ
ール・アムゲウスフエルト35
(72)発明者 アイマン,ボルフガング
ドイツ連邦共和国デー―51061ケルン・ゲ
ルステンカンプ5