JP2000509641A - 親水性に被覆された先端を有するガイドワイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 潤滑な末端部（２２）と、同末端部より基部にある潤滑性の低い中間部（２４）とを含むガイドワイヤ(２０)。あるガイドワイヤは、親水性層を有する潤滑性の高い末端部と疎水性層を有する潤滑性の低い中間部とを備えている。別のガイドワイヤは、それ自体が親水性のポリマー先端（３６）を有する潤滑な末端部を備えている。また別のガイドワイヤは、ステンレス鋼製コイル（４２）を先細りする中間部の周囲に螺旋状に巻いて使用することにより潤滑性を小さくした中間部を備えている。同コイルはポリ四フッ化エチレンやケイ素のような疎水性被覆でコーティングされていることが好ましい。同コイルは末端部の基端部側と隣接するか、あるいは末端部の内部に達していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 親水性に被覆された先端を有するガイドワイヤ 発明の分野 本発明は脈管内ガイドワイヤに関する。本発明は特に、潤滑で親水性の先端と 同先端に隣接する潤滑性の低い中間部とを有するガイドワイヤに関する。 発明の背景 ガイドワイヤは体内の様々な導管で種々の処理を行う際に使用されている。特 に、ガイドワイヤは経皮経管腔冠状血管形成術（Percutaneous Transluminal Co ronary Angioplasty,ＰＴＣＡ）や冠動脈に関する他の手法において使用される 。これに関して言及すると、ガイドワイヤは鼠径部付近の大腿動脈の切開部に挿 入し、大動脈弓を超えて冠動脈へと、治療すべき病変を横切って進める。ガイド ワイヤは直接血管系に挿入されるか、ガイドカテーテル内に挿入される。ガイド ワイヤの末端部は最後には脈管内に直接配置される。 ガイドワイヤは治療用と診断用の両方の目的のため、装置を正しい位置に誘導 する役割を果たす。このため、ガイドワイヤ自体が適切に配置されなければなら ないが、これは難しいことである。なぜならば、ワイヤの先端を狭い開口を経て 狭い脈管内を１８０センチメートルも離れた位置へ移動する必要があるからであ る。この仕事が特に難しいのは、ガイドワイヤの先端を管の分枝にさまざまな角 度で入れることができるよう、ガイドワイヤの末端部が非常に柔軟でなければな らないからである。大きな柔軟性は軸方向または回転方向の強度を犠牲にすれば 得られる。遠方に作用する力に対する反応は、軸方向・回転方向ともに、ガイド ワイヤの長さに沿った摩擦を減少させることによって改善される。とりわけガイ ドワイヤの末端部分の約１２インチ（約３１センチメートル）の潤滑性を高くす ると、ガイドワイヤを動かして動脈を通って閉塞のある部位に至らせるのに有利 であることが証明された。この同じ潤滑な被覆をワイヤの先端に施すと、ワイヤ が閉塞部位中の小さい開口を見出しそれらを横切るという操作がより良くなり有 利であった。 いったんガイドワイヤの先端が正しい位置に配置されると、カテーテルを含む 装置をガイドワイヤを覆った状態で定位置に進めたり、ガイドワイヤを覆った状 態で引っ込めたりする。このようなカテーテルの動きは、その中に含まれるガイ ドワイヤに作用し、移動しがちである。このことは、ガイドワイヤ先端を押し退 ける傾向がある。呼吸を含めた患者の小さい動きもガイドワイヤを動かすように 作用する。患者から伝わる、ガイドワイヤの基端部に手を触れる動作も同様であ る。ガイドワイヤ先端を押し退けることは、時間や労力を伴ってガイドワイヤを もう一度配置し直すためには必要かもしれない。それゆえいったん配置されると 、作用する力に対する安定性と抵抗性は、最初に好ましかった作用する力に対す る動きやすさや反応しやすさよりも優先される。 堅い病変を横切って容易に正しい位置に誘導され、それでもかついったん正し い位置に配置されると動きに対して安定で抵抗性を備えたガイドワイヤが望まれ ているものの、まだ提供されていない。 発明の概要 本発明は非常に潤滑な末端部と、それに隣接した潤滑性の低い中間部と、中間 部に隣接した基端部とを備えたガイドワイヤに関する。ガイドワイヤは内部に芯 部材を含むが、同芯部材は金属で形成されることが望ましく、基端部に断面一定 部分を有し、その先端側に先細り状部分が伴い、さらにその先細り状部分の先端 側に断面減少部分が伴う。先細り状部分は多数の先細り状部分を有することがで きる。断面減少部分の末端部は平らでリボン状になっていることが望ましく、こ れにより一つの平面により大きな屈曲が付与される。好適な芯は基端部と先細り 状部分の断面が円形である。ガイドワイヤの一実施形態では、中間部と末端部の 長さを合わせると総計約１２〜１４インチ（約３０．５〜３５．６センチメート ル）となる。末端部に対する好適な長さは約１〜３センチメートルである。 好適なガイドワイヤは末端部に親水性表面を備えることによって潤滑な末端部 を達成する。潤滑性の低い中間部は中間部に疎水性表面を備えることによって達 成される。親水性表面は血液で満たされた動脈内の動脈壁に寄り掛けて配置した 時、摩擦率が非常に小さくなっている。疎水性表面は動脈壁に対してより大きな 摩擦率を有する。 本発明の末端部は必ずしも親水性ではないポリマーによって形成することがで き、その上に親水性被覆を有する。中間部は芯ワイヤを覆う疎水性ポリマースリ ーブか、または芯ワイヤを覆う疎水性被覆を有するポリマースリーブにより形成 することができる。別の実施形態では、中間部は芯ワイヤの周囲にコイルを含み 、同コイルは疎水性被覆を有することが望ましい。コイルワイヤは一実施形態に おいて末端部と接触し、別の実施形態において末端部ポリマーの下にはめ込まれ る。さらに別の実施形態では、末端部は、基端側に先細りする基部を備えた先端 を含み、コイルワイヤ末端部は先細り状部分で先端と接触し、それゆえコイルの 中央に配置される。 本発明は、潤滑性が高く摩擦が小さい末端部を備えることによって堅い病変を 横切る能力を与える。この末端部は狭い導管部に比較的簡単に滑り込ませること ができる。非常に潤滑な部分は従来の装置に比べるとより短い範囲に限定されて いる。好適な長さは約１インチ（約２．５４センチメートル）である。大きな潤 滑性を最も必要とする部分、つまり末端部に潤滑性は限定される。極端に末端の 部分では摩擦をより小さくすることが必要とされる。なぜならば、その部分の部 材は幅が狭くてそれゆえ弱いため、閉塞に対して基端部から軸方向に押される時 、手を触れる基端の部分のような強度を有していないからである。この部分の摩 擦を小さくする理由として、この部分が最初に非常に堅い病変を横断するために 必要な部分であり、このことがより基端の部分では必要としない役割だからとい うこともある。摩擦が小さいと最初にワイヤの先端が病変の小さく残っている開 口に入り、次にワイヤが曲がることなく病変を横切ることが容易となる。 潤滑性が高く、摩擦が小さい末端部を止めるため、本発明では末端部に隣接す る中間部に、潤滑性がより低く摩擦がより大きい中間部を備えた。中間部は動脈 壁かガイドカテーテル壁に寄り掛けて配置することができ、ガイドワイヤを「固 定する」。本発明は、末端部の基端側に固定のための部分を備えることによって 、ガイドワイヤを覆うカテーテルの動きなどの力に対して抵抗を与える。この力 は所望の位置からガイドワイヤ先端を移動するように働くおそれがある。 固定部分の摩擦は、ガイドワイヤのすべての動きを妨げるわけではないが、カ テーテルの移動かまたは患者の動作に起因する意図しない動きに対して十分な静 止摩擦力を与える。このように、ガイドワイヤの基端部に作用する一連の小さい 力は、もし固定部位で呈示された静止摩擦力のしきい値を下回るならば、ガイド ワイヤ先端の一連の小さい動きに変換されない。 図面の簡単な説明 図１は、本発明による中間部にコイルを備えたガイドワイヤの部分断面図であ る。 図２は、模型で示された芯ワイヤを備えた第２の実施形態のガイドワイヤの部 分断面図である。 図３は、末端部の中に延びたコイルを備えた第３の実施形態のガイドワイヤの 部分断面図である。 図４は、末端部の中に延びた二本の離間したコイルを備えた第４の実施形態の ガイドワイヤの部分断面図である。 図５は、基部に向かって先細りしたポリマー先端と先細り状部分上に巻回され たコイルとを備えた第５の実施形態のガイドワイヤの部分断面図である。 好適な実施形態の詳細な説明 図１は、末端部２２と中間部２４と基端部２６とを備えたガイドワイヤ２０の 部分断面図を示す。ガイドワイヤ２０は符号２１に示すように長さ方向に延伸す る表面を有する。末端部２２の長さは矢印４０で示し、中間部２４の長さは矢印 ４４で示す。ガイドワイヤ２０は断面一定部分３０と、先細り状部分３２と、断 面減少部分３４とを有する細長い芯部材２８を含む。芯部材２８は部分３０と部 分３２の断面が円形であることが好ましい。中間の先細り状部分３２は単一の先 細り状部分か、中間に直径が一定の部分を有する一連の複数の先細り状部分から 成る。芯２８は引っ張り強さが大きいステンレス鋼製ワイヤか、ニチノールのよ うな超弾性合金から形成されていることが好ましい。 芯断面減少部分３４は、末端部２２の中に存在して示されているが、末端部の 先端でガイドワイヤの要所において大きな柔軟性を与える。断面減少部分３４は 一方向が他よりも平らであることが望ましく、リボン状になっており、一方向に 他よりも柔軟性を与える。ガイドワイヤをさらに遠位にある曲がりくねった冠動 脈へ入り込ませるために、先端は柔軟であることが望ましい。実例で示した末端 部２２の実施形態では芯断面減少部分３４を覆う先端３８を備えることができる 。好適な実施形態では、先端３８は高分子材料を含む。先端３８は、透視検査に よって先端の位置を追跡できるようにするため、放射線不透過性であることが好 ましい。一実施形態において、先端３８はポリウレタンを含み、放射線遮蔽能力 を高めるために重量比８５〜９０パーセントのタングステンが装填されている。 一実施形態において、ポリウレタンスリーブが先端３８を形成しており、長さ約 １／２〜７センチメートルである。好適な実施形態では、先端３８は長さ１〜３ センチメートルである。 本発明によれば末端部２２は滑らかである。好適な実施形態では、末端部２２ は非常に滑らかである。一実施形態において、潤滑性は末端部２２の表面に親水 性材料を使用することによって付与される。表面が親水性だと、血液のような水 性の液体に接触した時、表面が大いに滑らかとなる。図１に示した実施形態では 、直径減少部分３４と先端３８とを覆う末端層３６によって潤滑性が与えられる 。ガイドワイヤを覆う親水性被覆は、動脈内部へ入れる時摩擦が非常に小さい。 これにより、堅い病変を横切り易くなり、困難で末端側に離れた病変を治療でき る。一実施形態において、末端層３８はポリビニルピロリドン（ＰＶＰ）被覆を 含む。別の実施形態では、末端層３８はポリエチル無水マレイン酸被覆を含む。 好適な実施形態において、末端部２２は直径約０．０１４インチ（約０．０３６ センチ メートル）である。 末端部２２に隣接して中間部２４があり、ここは末端部２２の潤滑性よりも低 い潤滑性を有している。好適な実施形態では、中間部２４は長さ４４が約２０〜 ３０センチメートルである。一実施形態において、中間部２４は長さ約２８セン チメートルで直径約０．０１３０〜０．０１３５インチ（約０．０３３０〜０． ０３４３センチメートル）である。より堅い装置を送るために使用されるガイド ワイヤは同ワイヤの支持機能を増加させるべく、中間部がより短くなっている。 このような場合、中間部２４は３センチメートルの短さとなる。図１に示した実 施形態において、中間部２４はコイル４２に包まれた先細り状芯部分３２を含む 。好適なコイルはステンレス鋼で形成されており、疎水性被覆でコーティングさ れている。好適な疎水性被覆はポリ四フッ化エチレンやケイ素である。コイル４ ２は、一連のワイヤをガイドワイヤの軸方向の動きを横切る方向に向けることに よって、軸方向の動きに対する抵抗性を付与している。同コイルは先細り状芯部 分３２に対する押し出し能力やキンク抵抗（kink resistance）を増大させる。 要約すると、同コイルは強度が低下する先細り状芯部分３２の全長にわたって、 軸方向の圧力を、減少していく芯断面に与えている。コイル４２はハンダか接着 剤を使用して芯２８と接着できる。コイル２８の基端部は接着剤によって芯２８ に固定されることが望ましい。 中間部２４は摩擦の大きい固定用部分であり、末端部２２の位置を保持する役 割をしている。もしガイドワイヤに非常に潤滑な部分が多すぎると、先端は正し い位置に固定することが難しくなる可能性がある。なぜならば、ガイドワイヤを 覆った状態でカテーテルを進めたり引っ込めたりするとガイドワイヤに力がかか り、ガイドワイヤ先端が動く傾向があるからである。呼吸をふくめた患者の動き もガイドワイヤ先端における動きに変換される。表面の潤滑性がより低い中間部 を与えることよって、中間の固定用部分が備えられ、これにより導管壁に対する 摩擦が生じ、先端における動きに変換されてしまうであろう力に対して抵抗性を 示す。中間固定用部分は、ガイドワイヤに働くすべての力に対して抵抗できるわ けではなく、先端のすべての動きを妨げることができるわけでもないが、固定さ れたガイドワイヤ中間部の静止摩擦は低水準の力の値を設定している。したがっ て、一連の小さい力はガイドワイヤ先端に働く一連の低水準の動きに必ずしも変 換されるわけではない。 好適な実施形態における基端部２６はガイドワイヤ基端部末端にまで及んでい る。図１の基端部には、断面一定芯部分３０が含まれる。好適な実施形態におい て、基端部２６は直径約０．０１３インチ（約０．０３３センチメートル）のス テンレス鋼製ワイヤを含み、ポリ四フッ化エチレン被覆を備えている。一実施形 態において、基端部２６は中間部２４ほど滑らかではない。別の実施形態では、 基端部２６は中間部２４よりは滑らかであるが、末端部２２ほど滑らかではない 。 図２は本発明の別の実施形態のガイドワイヤ１２０を示す。ガイドワイヤ１２ ０は基端部１２６と中間部１２４と末端部１２２とを有している。末端部１２２ は長さが約１／２〜７センチメートルであることが好ましい。中間部１２４は長 さが１〜１５インチ（約２．５〜３８．１センチメートル）であり、好ましくは 長さが約８〜１２インチ（約２０．３〜３０．５センチメートル）である。ガイ ドワイヤ１２０の内部には芯１２８が存在し、同芯１２８は直径一定部分１３０ と先細り状部分１３２と直径減少部分１３４とを有する。芯１２８は図１に関し て述べた芯２８とほぼ同様である。ガイドワイヤ１２０は潤滑な末端部１２２と 潤滑性の低い中間部１２４とを備えている。図２に示した実施形態において、末 端部１２２は先端１３６を含む。先端１３６は図１の先端３６と同様である。図 １に関して上述したように、実施形態によっては、先端１３６はポリウレタンに より形成され、親水性被覆によりコーティングされているものもある。先端１３ ６は、透視検査によって先端の位置を追跡できるようにするため、放射線不透過 性であることが好ましい。一実施形態において、先端１３６はポリウレタンを含 み、放射線遮蔽能力を高めるために重量比８５〜９０パーセントのタングステン が装填されている。先端１３６は中間部１２４よりも放射線不透過性であること が好ましい。 中間部１２４は図１の実施形態のように、潤滑な末端部１２２に隣接して潤滑 性の低い部分を与えるが、コイルは必要ではない。疎水性表面を備えると、潤滑 性がより低くなる。このために、疎水性スリーブを備えてもよいし、疎水性とは 限らないスリーブ上に疎水性被覆を備えてもよい。スリーブ１４２は、先細り状 芯部分１３２を包むように描かれているが、疎水性ポリマーにより形成される。 疎水性ポリマーにはフッ化エチレンプロピレン（ＦＥＰ）やポリ四フッ化エチレ ン（ＰＴＦＥ）が含まれる。中間部１２４は摩擦が小さくなるようにコーティン グされたポリエーテルブロックアミド（ＰＥＢＡＸ）またはポリエチレンのよう な材料や、ケイ素、パラレン(paralene)、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのような疎水性被覆 で形成することもできる。ガイドワイヤ１２０は芯１２８を覆ったスリーブチュ ーブ１４２により形成され、チューブは基端部において接着剤を用いて適切に接 着され、先端にふさわしい材料は直径減少芯部分１３４にわたって減少し、スリ ーブ１４２の先端部は先端の基部に接着されている。別の適当な方法には、芯１ ２８のまわりにポリマーチューブを焼きばめする方法を含むが、この場合、概算 直径約０．０１３０〜０．０１３５インチ（約０．０３３０〜０．０３４３セン チメートル）のチューブを研削し、次に中間部１２４と必要であれば末端部１２ ２も疎水性被覆の一つで選択的にコーティングし、それから末端部１２２を上述 した親水性被覆でコーティングする。 図３は本発明の更に別の実施形態のガイドワイヤ２２０を示す。ガイドワイヤ ２２０は基端部２２６と、その末端側に伴う中間部２２４と、その末端側に伴う 末端部２２２とを有している。芯２２８は末端側へ向けて、直径一定部分２３０ から先細り状部分２３２、直径減少部分２３４まで続く。中間部２２４は芯の先 細り状部分を囲むコイル２４２を含み、コイル２４２は直径一定部分２４１から 先細り状部分２４３、直径減少部分２４４まで続く。芯２２８は直径減少部分２ ４４において平たくリボン状になっていることが望ましい。直径減少部分２４４ はポリマー先端をワイヤの上に固定する時、先端の中にはめ込まれる。この実施 形態では、コイル２４２の末端部を芯２２８に固定するのにハンダも接着剤も不 必要である。コイル２４２の基端部はハンダによって芯２２８に固定することが できる。図１の実施形態について上述したように、先端２３８は親水性層２３６ でコーティングされる。先端２３８および層２３６の材料は先端３８および層３ ６の材料と同様である。 図４はさらに本発明の更に別の実施形態のガイドワイヤ３２０を示す。ガイド ワイヤ３２０は基端部３２６と、それに伴う中間部３２４と、その末端側に伴う 末端部３２２とを有している。芯３２８は末端側へ向けて、直径一定部分３３０ から先細り状部分３３２、直径減少部分３３４まで続く。コイル３４２は芯３２ ８の中間部および末端部を囲む。示された実施形態では、基端部コイル３２３と 末端部コイル３２５とを符号３４０で示す個所にてハンダづけしてコイル３４２ が形成されている。基端部コイル３２３はステンレス鋼のようにあまり放射線不 透過ではない物質から形成されていることが好ましい。同コイルはＰＴＦＥのよ うな疎水性被覆でコーティングされる。末端部コイル３２５は白金のようなより 放射線不透過な物質から形成されていることが好ましい。連結したコイル３４２ の基端部は符号３４１で示す個所においてハンダで芯３２８に接着され、末端部 は３３８においてハンダまたは溶接で接着される。親水性被覆３３６は一実施形 態において末端部コイル３２５の末端部に使用されるが、まず始めにポリウレタ ンのようなＴｉｅ層ポリマーを浸せき塗装またはスプレー塗装によって施し、次 にＴｉｅ層被覆の上に親水性被覆を施す。親水性被覆は図１のガイドワイヤ２０ に関して上述した被覆のうちの一つであってもよい。 図５はさらに本発明の更に別の実施形態のガイドワイヤ４２０を示す。ガイド ワイヤ４２０は基端部４２６と、それに伴う中間部４２４と、その末端側に伴う 末端部４２２とを有している。芯４２８は末端側へ向けて、直径一定部分４３０ から先細り状部分４３２、直径減少部分４３４まで続く。先端４３６は高分子材 料から形成されていることが望ましく、直径減少芯末端部４３４を囲む。先端４ ３６は先細り状部分４３７を有し、この部分は先細り状芯部分４３２の向きに基 端側が先細りしている。ガイドワイヤ４２０は先細り状芯部分４３２を末端側で 覆うコイル４４２を備える。コイル４４２は、先端先細り状部分４３７に接触か つ終結する末端部４４３を有する。したがって芯末端部４４３の横方向の動きが 先端先細り状部分４３７によって阻止されるように、コイル４４２は常に芯４２ ８の中心に配置される。そこで先端４３６は熱せられて端部４４３に埋設される 。 どの実施例に関しても本発明の利用法を示すことができるが、図１の実施形態 はさらなる説明のために選ばれたものである。使用する際には、患者にガイドワ イヤを挿入する前に、治療を行う医師が直径減少芯部分３４を曲げることができ る。曲がった先端を備えていると、ガイドワイヤ基端部を回転させることによっ て先端を挿入のため動脈内へ向けることができ、曲がった先端は回転して動脈の 分枝の方へ向く。ガイドワイヤはガイドカテーテルを経るかまたは直接脈管構造 の中を進む。左冠動脈のような冠動脈中にガイドワイヤを進めた後、ガイドワイ ヤは選択されたより小さい動脈に誘導される。ガイドワイヤの最も末端の部分を 小さい動脈へ徐々に入り込ませるようにする時、先端が潤滑であると動脈内への 最初の進入が容易になる。病変を横切る時、末端部２２が潤滑であるとガイドが 狭い管へ入るときや狭い管内を通過するときの軸方向の動きに対する抵抗が減少 する。抵抗が低いことは、医師が基端部から直径減少芯部分３４を押し込んだと き、同部分３４がねじれたり歪んだりする傾向が少なくなるので都合が良い。 末端部２２がいったん病変を横切ると、ガイドワイヤの基端部における取り扱 いの小さい変化、ガイドワイヤを覆う他の装置の動き、患者の呼吸、血流、およ びガイドワイヤ全長にわたる摩擦状態の小さい変化にかかわらず、ガイドワイヤ の先端位置は変化しないことが非常に好ましい。本発明では、中間部２４を導管 またはガイドカテーテル壁に寄り掛けて「固定する」ことによって、より長い潤 滑な末端部表面を有するワイヤが呈す静止摩擦よりも大きく、ガイドワイヤの先 端が移動されないような静止摩擦を呈示するので、ガイドワイヤはこのような力 に抵抗できる。したがって本発明では医師が直接動かそうとしないかぎり、ガイ ドワイヤが動脈内で動くことは起こりにくい。 潤滑な末端部と潤滑性の低い中間部を組み合わせると堅い病変を横切って先 端をより進め易くするのに役立つが、一方でいったん配置された先端の位置は固 定され、他の装置がガイドワイヤによって正しい位置に正確に誘導される。 本明細書に開示される本発明に関する多くの利点を記した。しかしながら、こ の開示内容はもっぱら説明のためのものである。変更、特に形状、大きさ、およ び部品の配列についての変更は、本発明の範囲を超えない限り詳細に行うことが できる。当然ながら、本発明の範囲は添付の請求の範囲に記載した内容で定義さ れるものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケルゼンバーグ、アンソニー アメリカ合衆国 55388 ミネソタ州 ウ ォータータウン ウエストミンスター ア ベニュー 501 (72)発明者 ユーリック、マイケル ジェイ. アメリカ合衆国 55374 ミネソタ州 ロ ジャーズ レッド フォックス ロード 13223 (72)発明者 レイノルズ、ブライアン アール. アメリカ合衆国 55303 ミネソタ州 ラ ムジー エスキモ エヌ．ダブリュ. 14752

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．末端部と基端部とを有するガイドワイヤであって、 細長い芯と、 潤滑な末端部と、 前記末端部に隣接する中間部であって、前記中間部は前記末端部より潤滑性が 低いことと、 前記中間部に隣接する基端部とから成るガイドワイヤ。 ２．請求項１のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤは一つの表面を含み、 前記末端部表面は親水性で、前記中間部表面は疎水性である。 ３．請求項２のガイドワイヤにおいて、前記末端部表面は親水性被覆を含む。 ４．請求項２のガイドワイヤにおいて、前記末端部表面は親水性被覆を含み、前 記中間部表面は疎水性被覆を含む。 ５．請求項４のガイドワイヤにおいて前記基端部は細長い芯を覆う潤滑な被覆を 含む。 ６．請求項５のガイドワイヤにおいて、前記基端部の潤滑な被覆はポリ四フッ化 エチレンである。 ７．請求項１のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤは一つの表面を含み、 前記末端部表面は親水性で、前記中間部表面は前記細長い芯の周囲にコイルを含 む。 ８．請求項７のガイドワイヤにおいて、前記末端部は基部に向かって先細りする 基端部を備えたポリマー先端を有し、前記コイルは末端部を有し、同コイル末端 部は前記先細り状部分の範囲内で前記先端と接触する。 ９．請求項７のガイドワイヤにおいて、前記中間部コイルは疎水性被覆を含む。 １０．請求項９のガイドワイヤにおいて、前記細長い芯は中間部の範囲内で末端 部に向かって先細りする。 １１．請求項１０のガイドワイヤにおいて、前記コイルはケイ素被覆を有するス テンレス鋼から形成されている。 １２．請求項１０のガイドワイヤにおいて、前記コイルはポリ四フッ化エチレン 被覆を有するステンレス鋼から形成されている。 １３．請求項１０のガイドワイヤにおいて、前記コイルは末端に先細りする部分 を含み、同コイル先細り状部分は前記ガイドワイヤ末端部の中に延びている。 １４．末端部と基端部とを有するガイドワイヤであって、 特定の長さと特定の断面を有する細長い芯であって、同芯が末端に断面減少部 分を有することと、 前記断面減少部分に隣接する先細り状部分と、 基端部の断面一定部分であって、前記芯がその全長にわたる表面を有し、前記 断面減少部分が摩擦を減少させるための手段を有し、前記先細り状部分の摩擦を 断面減少部分の摩擦よりも増大させるための手段を有することとから成るガイド ワイヤ。 １５．請求項１４のガイドワイヤにおいて、摩擦を増大させるための手段として 前記芯先細り状部分の周囲にワイヤコイルを含む。 １６．請求項１５のガイドワイヤにおいて、前記末端部は基部に向かって先細り する基端部を備えたポリマー先端を含み、前記コイルは末端を備え、コイルの末 端が同ポリマー先端の先細り状部分の中に存在する。 １７．請求項１５のガイドワイヤにおいて、前記摩擦を減少させるための手段と して前記断面減少部分の表面を覆う潤滑な層を含み、前記コイルがコイルを覆う 潤滑性の低い層を含む。 １８．請求項１４のガイドワイヤにおいて、前記摩擦を減少させるための手段と して前記断面減少部分の表面を覆う潤滑な層を含み、前記摩擦を増大させるため の手段として前記先細り状部分の表面を覆う潤滑性の低い層を含む。 １９．請求項１８のガイドワイヤにおいて、前記潤滑な層は親水性材料を含む。 ２０．請求項１８のガイドワイヤにおいて、前記潤滑性の低い層は疎水性材料を 含む。 ２１．末端部と基端部と、全長と、前記全長にわたって延びた一つの表面を有す るガイドワイヤであって、 細長い芯と、 末端部と、 前記末端部に隣接する中間部と、 前記末端部表面の摩擦を減少させるための手段と、 前記中間部表面の摩擦を増大させるための手段であって、摩擦の大きさが前記 末端部の摩擦よりも大きいこととから成るガイドワイヤ。