【発明の詳細な説明】
金属シート材部分を加工する方法
本発明は曲げ加工センタの曲げ加工ユニットにおいて金属シート材部分を加工
する方法に関する。この方法において、金属シート材部分は曲げ加工のために送
り領域から曲げ加工ユニットへ次から次へと送られ、引き継ぎ位置においてマニ
ピュレータ装置の第1マニピュレータに引き継がれ、次いで少なくとも1回の曲
げ加工のために曲げ加工縁部上に配置される。
曲げ加工センタにおいて金属シート材部分を加工する公知の方法では、各金属
シート材部分は送り領域において引き継がれ、曲げ加工センタにおいて曲げ加工
され、最後に曲げ加工センタから取り出される。次いで、次の金属シート材部分
が送り領域において引き継がれ、曲げ加工された後に曲げ加工センタから取り出
される。
本発明の目的は公知の曲げ加工方法を最適化することである。
この目的は本発明により達成され、すなわち冒頭で述べた形式の方法において
、曲げ加工センタの曲げ加工ユニットにおいて金属シート材部分を加工する方法
であって、金属シート材部分は曲げ加工のために送り領域から曲げ加工ユニット
へ次から次へと送られ、引き継ぎ位置においてマニピュレータ装置の第1マニピ
ュレータに引き継がれ、次いで少なくとも1回曲げ加工されるために曲げ加工縁
部上に配置されるようにした方法において、最後の曲げ加工の後、曲げ加工済み
の各金属シート材部分を曲げ加工終了位置から取り出し、各金属シート材部分の
曲げ加工の間に次の金属シート材部分を供給領域から引き継ぎ位置に供給し、引
き継ぎ位置は曲げ加工位置と重ならないように配置されており、引き継ぎ位置に
おいて金属シ
ート材部分を第1マニピュレータにより把持されるように位置決めし、曲げ加工
済みの金属シート材部分が曲げ加工終了位置から取り出される期間中に第1マニ
ピュレータが引き継ぎ位置において次の金属シート材部分の引き継ぎを開始する
方法により達成される。
本発明の方法の利点は本発明によれば、単位時間当たりに曲げ加工センタにお
いて加工される金属シート材部分の数をかなり増加させることができることであ
る。何故ならば、本発明の方法によれば、以下の事実のために各金属シート材部
分を曲げ加工するのに必要な時間間隔を短く維持することができるからである。
すなわち、この時間内に、曲げ加工終了位置に隣接する引き継ぎ位置において第
1のマニピュレータが既に金属シート材部分を引き継いでおり、この時間内に金
属シート材部分が引き継ぎ位置に供給されて先の金属シート材部分の曲げ加工が
行なわれ、その結果第1のマニピュレータによる金属シート材部分の引き継ぎの
ための経過時間は単位時間当たりに曲げ加工される金属シート材部分の数に何ら
影響を及ぼさない。
原則、引き継ぎ位置において次の金属シート材部分を引き継ぐのに必要な時間
は曲げ加工済みの金属シート材部分を曲げ加工終了位置の外に移動するのに必要
な時間よりも長くなりうる。次の金属シート材部分の場合に何ら時間損失が生じ
ないので、第1のマニピュレータの金属シート材部分の引き継ぎが終了し、曲げ
加工済みの金属シート材部分が曲げ加工終了位置から離れているときに本発明の
方法は特に好ましい。
次の金属シート材部分を取り扱う間にできるだけ効率的に方法を進行させるた
めに、遅くとも金属シート材部分が曲げ加工終了位置から完全に去った後に第1
のマニピュレータが次の金属シート材部分を引き継ぎ位置から移動して金属シー
ト材部分が曲げ加工終了位
置から去った直後に次の金属シート材部分が曲げ加工ユニットの方向に既に移動
されているようにするのが特に得策である。
個々の実施態様に関する上記説明では、曲げ加工時において次の金属シート材
部分が引き継ぎ位置に移動せしめられる時点について詳細に述べられていない。
この目的のために、例えば複数の曲げ加工の全時間を利用することが考えられる
。
しかしながら、第1のマニピュレータは次の曲げ加工が行なわれているときに
金属シート材部分を回転させるのにかなり広い空間を必要とし、したがって引き
継ぎ位置は、個々の曲げ加工に対し金属シート材部分の回転と干渉しないように
曲げ加工縁部から間隙を隔てて配置する必要があるので、最後の曲げ加工の間に
のみ金属シート材部分が引き継ぎ位置に供給されるのが特に好都合である。この
解決策によれば引き継ぎ位置を曲げ加工縁部にできるだけ配置することができ、
したがって一方では機械を空間の小さい構成とすることができ、他方では引き継
ぎ位置から曲げ加工縁部までの距離をできるだけ短くすることができる。
この場合、好ましくは、最後の曲げ加工の後、金属シート材部分は取り出しの
ために、現在の整列位置のまま回転されることなく曲げ加工終了位置に供給され
る。
引き継ぎ位置から曲げ加工ユニットへの金属シート材部分の供給に関して、こ
れまでに詳しいことは何も述べていない。特に好適な実施態様では、第1のマニ
ピュレータが各曲げ加工部分を曲げ加工ユニットに向け移動して金属シート材部
分が曲げ加工ユニットに到着したときにこの金属シート材部分の第1の曲げ加工
線が曲げ加工縁部に対し配置されるようにしている。これは、金属シート材部分
が曲げ加工ユニットに到着したときに第1の曲げ加工線が曲げ加工縁部に対し整
列されるように、金属シート材部分が引き継ぎ位置か
ら排出される間に金属シート材部分の方向性が既に定められているということを
意味する。
これは好ましくは、第1のマニピュレータがこの目的のために金属シート材部
分を一平面内で移動し、この平面に対し直角に延びる軸回りに金属シート材部分
を回転させることにより、達成される。
この実施態様においては、例えば曲げ加工縁部に対する第1の曲げ加工線の位
置に関わらず金属シート材部分を引き継ぎ位置に位置決めすることができ、また
引き継ぎ位置から曲げ加工縁部への移動の間にこれら2つを互いに整列させるこ
とができる。
特に空間を小さくしかつ移動の点で好ましい解決策では、金属シート材部分が
引き継ぎ位置から曲げ加工縁部まで、曲げ加工縁部を横切る第1の方向に移動せ
しめられて曲げ加工縁部に対し配置されるようにしている。何故ならば、この解
決策によれば、引き継ぎ位置と曲げ加工縁部間の距離をできるだけ短く維持する
ことができるからである。
これに関して、金属シート材部分を送り領域から曲げ加工縁部取り扱うのに必
要な空間をできるだけ小さく維持するために、第1の方向を横切って延びる第2
の方向に金属シート材部分を引き継ぎ位置まで供給するようにすると好都合であ
る。
これに関して、第2の方向が曲げ加工線に対しほぼ平行に延びるのが特に好ま
しい。
金属シート材部分を加工するための本発明の方法において、曲げ加工を実施す
るために金属シート材部分は常に曲げ加工ユニット内に挿入され、少なくとも曲
げ加工を実施した後に曲げ加工ユニットから同じ側に再び取り出されるので、本
発明の解決策における曲げ加工終了位置は好ましくは、引き継ぎ位置に面した曲
げ加工ユニットの一側に配置される。
曲げ加工終了位置と引き継ぎ位置とが曲げ加工ユニット前方の同じ側に配置さ
れていると特に好ましい。
送りテーブルの場合、好ましくは、曲げ加工終了位置および引き継ぎ位置にお
いて金属シート材部分は曲げ加工ユニットの前方に配置された送りテーブル上に
配置され、すべての曲げ加工が終了した後に引き継ぎ位置が位置する曲げ加工ユ
ニットの同じ側において再び取り扱われ、金属シート材部分はその曲げ加工のた
めにそこから第1マニピュレータにより引き継がれる。
曲げ加工終了位置における金属シート材部分の整列に関して、これまでに詳細
について何ら述べられていない。一つの有利な解決策では、例えば金属シート材
部分が衝突することなく取り出し方向に曲げ加工ユニットを通ることができるよ
うに、金属シート材部分が曲げ加工終了位置内に配置される。この解決策によっ
て、特に曲げ加工終了位置を曲げ加工縁部にできるだけ近くに配置して曲げ加工
縁部から曲げ加工終了位置までの距離をできるだけ短く維持するようにすること
ができる。
これは、曲げ加工終了位置において金属シート材部分の側部の縁部が曲げ加工
縁部に対しほぼ平行に延びていると特に好ましく達成される。
この側部の縁部は好ましくは、金属シート材部分の長辺側の縁部であり、それ
により曲げ加工終了位置において金属シート材部分は曲げ加工縁部をできるだけ
短い距離だけ横切って延びるようにされる。
曲げ加工終了位置と引き継ぎ位置とは有利には、相互に関連して配置される。
空間をできるだけ小さくすべく曲げ加工終了位置と引き継ぎ位置とを互いに隣接
配置することができるようにするために、好ましくは曲げ加工終了位置における
曲げ加工部分が引き継ぎ位
置における曲げ加工部分に対し平行に整列されて曲げ加工終了位置内の金属シー
ト材部分と引き継ぎ位置内の金属シート材部分とが互いに隣接配置されるように
され、それにより一方では互いに重ならないようにされ、他方では空間ができる
だけ小さくされる。
曲げ加工終了位置内の金属シート材部分と引き継ぎ位置内の金属シート材部分
とを互いに平行に整列するためには単に、これら縁部を互いに平行に整列させれ
ばよい。このため、曲げ加工終了位置内の金属シート材部分と引き継ぎ位置内の
金属シート材部分とが互いに全く同様に整列されていると、すなわち例えばこれ
ら金属シート材部分の長手軸線が互いに平行であると有利であり、かつ空間を小
さくすることができる。
最も好ましい解決策では、曲げ加工終了位置内の金属シート材部分が引き継ぎ
位置内の金属シート材部分と直接、隣接配置され、このとき安全な間隙が形成さ
れている。
原則、曲げ加工終了位置と引き継ぎ位置とは曲げ加工縁部の方向に関し互いに
オフセットして配置されうる。しかしながら、特に好ましい解決策では、曲げ加
工終了位置内の金属シート材部分が曲げ加工縁部に関し引き継ぎ位置内の金属シ
ート材部分と同じ高さ位置に配置され、引き継ぎ位置内の金属シート材部分と曲
げ加工縁部間に配置される。
金属シート材部分を曲げ加工終了位置から取り出すことに関して、これまでに
詳しいことは何ら述べられていない。例えば、金属シート材部分を曲げ加工終了
位置からできるだけ速やかに取り出すために、金属シート材部分が第1のマニピ
ュレータとは別の取り出し装置により取り出されるようにすると特に好都合であ
る。
この場合、方法を進行せしめかつ空間をできるだけ小さくするために、好まし
くは金属シート材部分は曲げ加工縁部に対しほぼ平行
に延びる取り出し方向に取り出される。
さらに、引き継ぎ位置への金属シート材部分の供給に関して、何ら詳細に述べ
られていない。例えば、簡単なコンベア装置を設け、このコンベア装置により金
属シート材部分を引き継ぎ位置外の送り領域から供給することが考えられる。し
かしながら、第1マニピュレータと別の第2マニピュレータであって送り領域に
おいて金属シート材部分を把持する第2マニピュレータを設けて金属シート材部
分を引き継ぎ位置に供給するようにすると特に好ましい。このような第2のマニ
ピュレータは引き継ぎ位置内で金属シート材部分を定められた位置に、簡単な方
法でもって位置決めすることができるという大きな利点を有している。
さらに、これまでの説明では、金属シート材部分を曲げ加工縁部に対し位置決
めするのに先立って定められた方法でもってどのように位置決めするかについて
何ら述べられていない。例えば、適当な輸送装置により金属シート材部分をそれ
ぞれ対応する停止要素に対し移動せしめてこれら停止要素により金属シート材部
分が定められた方法でもって位置決めされるようにすることができる。このよう
な停止要素による金属シート材部分の定められた位置決めは例えば送り領域にお
いて行なうことができる。
しかしながら、金属シート材部分を停止要素に対し移動せしめて金属シート材
部分を位置決めするようにした場合には、不完全に位置決めされうるという欠点
がある。
このため、特に有利な実施態様では、曲げ加工縁部に対する金属シート材部分
の位置座標が検出され、測定された位置座標に基づき金属シート材部分が送り領
域と曲げ加工縁部との間を移動せしめられて曲げ加工縁部に対し定められた挿入
位置に、曲げ加工のために、曲げ加工ユニットに供給される。
この解決策の利点は、金属シート材部分の位置座標の検出して金属シート材部
分が送り領域と曲げ加工縁部との間を移動する間に曲げ加工縁部に対する金属シ
ート材部分の整列を修正しているので、不完全な位置決めを阻止することができ
、かつ金属シート材部分を送り領域に定められた方法で配置する必要がなく、し
たがって金属シート材部分がどのように斜めに配置されていても修正されうる。
曲げ加工縁部に対する金属シート材部分の位置座標の測定は原則、金属シート
材部分が送り領域と曲げ加工縁部との間を移動する間に行なわれる。
時間を短縮し、かつ金属シート材部分を引き継ぎ位置から曲げ加工縁部までで
きるだけ速く輸送するために、第1マニピュレータによる金属シート材部分の引
き継ぎに先立ち金属シート材部分の位置座標が測定されるようにし、それにより
単位時間当たりに曲げ加工が行なわれる金属シート材部分の数を決定する作動サ
イクルが位置座標の検出により妨げられないようにするのが有利である。
例えば、金属シート材部分が引き継ぎ位置へ移動する間に金属シート材部分の
位置座標が検出され、この場合金属シート材部分は測定手段を通過して移動せし
められるようにすることが考えられる。
しかしながら、金属シート材部分の引き継ぎ位置への如何る移動にも先立って
金属シート材部分の位置座標が検出されるようにするとさらに有利である。何故
ならば、この場合、金属シート材部分の引き継ぎ位置への移動が位置座標の測定
により一切妨害されず、したがってできるだけ速やかに行われるからであり、最
後の曲げ加工が終わるまでは金属シート材部分が引き継ぎ位置まで移動されない
場合には特にそうである。
特に好ましい解決策では、金属シート材部分は送り領域において測定される。
送り領域における金属シート材部分の測定は第2のマニピュレータにより把持
され、位置センサを通過せしめられることにより行なわれる。しかしながら、第
2のマニピュレータが金属シート材部分を取り扱うのに先立って金属シート材部
分の位置座標が測定されるようにするとさらに有利である。
送り領域における位置座標の測定を例えば別の測定装置によって行なうことも
できる。構造に関し特に好ましい解決策では、金属シート材部分の位置座標が第
2のマニピュレータにより移動せしめられる測定装置により測定される。
さらに、本発明の目的は曲げ加工ユニットと、挿入されるべき金属シート材部
分を受け取るための送りテーブルを備えた充填装置と、金属シート材部分を送り
テーブルの送り領域から曲げ加工ユニットの曲げ加工縁部まで運ぶためのマニピ
ュレータ装置とを具備した曲げ加工センタにおいて、上述した方法の実施態様に
従って作動する制御装置を具備した曲げ加工センタによって達成される。
本発明のさらなる特徴および利点は一実施態様を表す以下の記載および添付図
面により明らかにされる。
添付図面において、
図1は本発明の曲げ加工センタの斜視図、
図2は図1の矢印Aの方向からみた曲げ加工センタの平面図であって、曲げ加
工が行われるのと同時に次の金属シート材部分の測定が行われている曲げ加工セ
ンタの平面図、
図3は図2の線3−3に沿ってみた断面図、
図4は図2の線4−4に沿ってみた断面図、
図5は曲げ加工センタの実施態様の作用の工程線図、
図6は引き継ぎ位置および曲げ加工終了位置を示す図2と同様な平面図である
。
図1に示される本発明の曲げ加工センタの実施態様は全体が10でもって示さ
れる曲げ加工ユニットと、全体が12でもって示される充填装置とを具備する。
図2から明らかなように、この充填装置12は曲げ加工ユニット10、特に鎖線
で示される曲げ加工縁部16により代表される曲げ加工装置に金属シート材部分
14を挿入位置において供給することができ、この挿入位置は例えば金属シート
材部分14の縁部領域18a−18dが金属シート材部分14の形状により定ま
る所定の曲げ加工線20a−20dに沿って折り曲げ加工されるように画定され
る。したがって、金属シート材部分14の挿入位置は例えば、金属シート材部分
14のすべての曲げ加工線20a−20dが曲げ加工ユニット10の曲げ加工縁
部16に正確に合致して位置するように画定される。
この目的のために本発明の充填装置12は送りテーブル22を具備し、この送
りテーブル22の送り領域において送りテーブル22上に、手作業または追加の
送り装置により金属シート材部分14を置くことができる。この場合、全体が3
0でもって示されるマニピュレータ装置の把持領域において金属シート材部分1
4の大まかな位置決めを行なうのが好ましい。このマニピュレータ装置は第1マ
ニピュレータ32と第2マニピュレータ34とを具備している。
図1および図2に示されるように、第2マニピュレータ34は金属シート材部
分14をX方向に、送りテーブル22から第1マニピュレータ32の作動範囲3
6内に移動せしめるように作動する。第1マニピュレータ32は金属シート材部
分14を把持した後にY方向に移動せしめ、X方向とY方向とにより画定される
平面に対し直角をなす回転軸D回りに金属シート材部分14を回転せしめる。こ
のとき、金属シート材部分14はX方向とY方向により画定される平面内に拡が
っている。なお、Y方向は好ましくはX方向に対し直
角をなして延びる。
第1および第2マニピュレータは共に、全体が38でもって示される制御装置
により制御されるが、この制御装置38内には金属シート材部分14および曲げ
加工線20a−20bの形状と、曲げ加工ユニット10の曲げ加工縁部16の座
標とが記憶されている。
図3に示されるように、第2マニピュレータ34はマニピュレータキャリッジ
42を具備し、このマニピュレータキャリッジ42はX方向にかつ互いに平行に
延びる2つの直線案内手段44,46により案内され、例えばねじ山付きスピン
ドル48によりX方向に沿って位置決めされる。このスピンドル48は制御装置
38による数値制御でもってスピンドル駆動装置50により駆動される。
直線案内手段44,46はマニピュレータキャリッジ42と共に充填装置12
の長手方向に延びる側部52に配置され、したがって送りテーブル22に沿って
移動することができる。
マニピュレータキャリッジ42はその送りテーブル22に面する側に、複数の
把持トング54a−54cを有し、これら把持トング54a−54cは送り領域
に配置された金属シート材部分14を、マニピュレータキャリッジ42に対面し
かつ概ねX方向に延びる縁部領域56において把持することができる。
金属シート材部分14は基本的に送りテーブル22の表面58上に配置されて
おり、しかしながらこの表面58は金属シート材部分14の縁部領域56までは
延びていない。むしろ、縁部領域56はブラシ60の領域により支持されており
、このため把持トング54a−54cは妨害されることなくアクセスすることが
できる。
第1マニピュレータ32の作動範囲36と逆方向を向きかつ送りテーブル22
に面する第2マニピュレータ34のマニピュレータキャリッジ42の端部には発
信要素62と受信要素64とを具備した
センサ66が支持されており、このセンサ66は例えば遮光の原理に基づいて作
動する。発信要素62は全体が72でもって示されるフォーク状センサ部材の第
1フィンガ68上に支持され、受信要素64はこのセンサ部材72の第2フィン
ガ70上に支持される。このセンサ部材72の一部はマニピュレータキャリッジ
42上に配置された直線案内手段74上に支持されてこの直線案内手段74によ
りY方向に対し平行に延びるT方向に移動することができる。センサ部材72の
位置決めはねじ山付きスピンドル76とそれに付設されたスピンドル駆動装置7
8とにより行なわれる。このスピンドル駆動装置78は制御装置38により制御
されてT方向におけるセンサ66の位置決めを数値制御する。
フォーク状センサ部材72が金属シート材部分14に向けてT方向に移動する
ときに、第2フィンガ70が金属シート材部分14の上面上を延びると共に、第
1フィンガ68が金属シート材部分14の下面下を延びてセンサ66により縁部
領域56の縁部位置が検出されるように、センサ部材72が配置される。
好ましくは、縁部位置は図2に示されるように、予め金属シート材部分14に
形成された切欠き80b,80cの領域において検出される。この場合、第1マ
ニピュレータ32および第2マニピュレータ34に面する切欠き80cではY方
向を横切って延びる縁部82とX方向を横切って延びる縁部84とが検出され、
第1マニピュレータ32と逆方向を向いている切欠き80bの領域ではY方向を
横切って延びる縁部86のみが検出される。切欠き80bおよび80cを検出す
ることによって、曲げ加エユニット10への金属シート材部分挿入位置に対する
金属シート材部分14の位置を正確に検出することができる。何故ならば、切欠
き80a−80dが互いに他の配置に応じた所定の配置で金属シート材部分14
に形成されて
おり、一方、切欠き80a−80dは金属シート材部分14に所望の曲げ加工線
20a−20dを正確に画定するからである。
挿入位置、特に曲げ加工ユニット10の曲げ加工縁部16に対する金属シート
材部分14の縁部82,84,86の位置を介して、送りテーブル22上の金属
シート材部分14の位置を正確に判別することができ、特にX方向距離を制御装
置38のために正確に判別することができる。このX方向距離は、第1マニピュ
レータ32が金属シート材部分14を特定位置で把持するのを確保するために第
2マニピュレータ34が金属シート材部分14を第1マニピュレータ32の方向
に移動せしめなければならない距離であり、この特定位置では回転軸Dに対する
曲げ加工線20b,20dの相対位置が正確に特定される。金属シート材部分1
4を第2マニピュレータ34によりX方向に移動させるようにすると、送りテー
ブル22上におけるX方向に関する金属シート材部分14の大まかな位置決めが
X方向に関し正確な位置に修正される。
図4に示されるように、第1マニピュレータ32はY方向に互いに平行に延び
る2つの直線案内手段、すなわち上方直線案内手段90と下方直線案内手段92
とを具備する。ここで、上方直線案内手段90上の上方案内キャリッジ94と、
下方直線案内手段92上の下方案内キャリッジ96とは互いに同期して案内され
、互いに相対して配置される。この目的のために、各案内キャリッジはそれぞれ
対応するねじ山付きスピンドル98,100を介してY方向に位置決めすること
ができる。これら2つのねじ山付きスピンドル98,100は共通のスピンドル
駆動装置102により駆動され、それによりガイドキャリッジ94,96のY方
向の移動が数値制御された軸の形で行なわれる。
2つのガイドキャリッジ94,96は処理されるべき金属シート
材部分14の移動平面104の両側に配置される。ここで、金属シート材部分1
4を把持するために、吊り鐘状把持部材106が上方案内キャリッジ94上に配
置され、この把持部材106はコッキングシリンダ110によって移動平面10
4に対し直角の方向108に移動可能となっている。下方案内キャリッジ96上
には板状把持部材112が設けられ、この把持部材112は板状表面114を有
して概ね移動平面104内を延び、下側部分116上に金属シート材部分14を
支持する位置に位置する。同時に、吊り鐘状把持部材106がコッキングシリン
ダ110により金属シート材部分14の上面118に押し付けられると、金属シ
ート材部分14が板状把持部材112と吊り鐘状把持部材106間に挟持される
。
吊り鐘状把持部材106および板状把持部材112の代わりに、幅の狭い矩形
ストリップを用いることもでる。
板状把持部材112および吊り鐘状把持部材106はそれぞれ対応する案内キ
ャリッジ96,94上に、共通の回転軸D回りに回転可能に取付けられている。
この場合、板状把持部材112は回転駆動装置120により回転される。この回
転駆動装置120は制御装置38により数値制御が可能であり、回転軸Dは数値
制御される回転軸を表している。
さらに図4に示されるように、曲げ加工ユニット10は下部ビーム122と、
下部ビームに対し可動の上部ビーム124と、曲げ加工線20a−20dの外側
に位置する金属シート材部分14の例えば縁部領域18bを折り曲げるために枢
軸128回りに回転可能な曲げ加工ビーム126とを備えた一般的な曲げ加工装
置を具備する。この場合、曲げ加工ユニット10の曲げ加工縁部16は下部ビー
ム122および上部ビーム124の挟持工具によって定められる。
上述したように、第2マニピュレータ34によってX方向に第1
マニピュレータ32のための引き継ぎ位置130まで移動され、定められた方法
によりX方向に関し正確に位置決めされ、好ましくはその長辺がX方向に対し平
行となるように配置された金属シート材部分14は引き継ぎ位置130において
第1マニピュレータ32すなわち板状把持部材112と吊り鐘状把持部材106
とにより把持されてしっかりと挟持される。これら2つの把持部材のY方向の移
動と回転軸D回りの回転とが数値制御により制御されるので、同時にY方向に関
し金属シート材部分14が曲げ加工縁部16に対して正確に位置決めされうる。
また、曲げ加工ユニット10の曲げ加工縁部16に対する金属シート材部分14
の曲げ加工線20の生じうる捩れが同時に修正されて金属シート材部分14が特
定の曲げ加工線20において曲げ加工ユニット10の曲げ加工縁部16に正確に
位置決めされうる。
図5の部分Iの製造プログラムの一例に示されるように、金属シート材部分1
4の位置座標は送りテーブル22上の金属シート材部分の停止位置において確認
される。ここで、X方向を横切って延びる縁部84の位置では或る距離が正確に
確認されるようになっており、金属シート材部分14が第2マニピュレータ34
により引き継ぎ位置130(図6)までその距離だけ移動せしめられて引き継ぎ
位置130において金属シート材部分14のX方向に関する位置が修正されつつ
第1マニピュレータ32により引き継ぎが行われる。同時に、引き継ぎ後に金属
シート材部分14が第1マニピュレータ32により曲げ加工ユニットの方向に移
動されるべき距離が一方ではY方向を横切って延びる2つの縁部82,86の位
置により確認され、同時にX方向およびY方向に関する金属シート材部分14の
捩れの度合いが確認され、金属シート材部分14が第1マニピュレータ32によ
り保持されたときに金属シート材部分14を回転軸D
回りに回転せしめることによりこの捩れが修正される。
したがって、図4および図6に示されるように、マニピュレータ34,32が
金属シート材部分14を送りテーブル22から曲げ加工ユニット10へ移動する
ときに、まず初めに例えば短辺側の曲げ加工線20bが曲げ加工縁部16と正確
に一致せしめられ、最初の曲げ加工プロセスまたは曲げ加工作用により縁部領域
18bが曲げ加工線20bに沿って折り曲げられる。
次いで、金属シート材部分14を回転軸D回りに回転させると共に、制御装置
38に入力された形状に応じて金属シート材部分14をY方向に移動せしめるこ
とによって第1マニピュレータ32はただ単に反対側の短辺側の曲げ加工線20
dを移動せしめ、次いで同様に長辺側の曲げ加工線20a,20cが曲げ加工ユ
ニットの曲げ加工縁部と16一致せしめられて曲げ加工作用が行われる。
これらの後続の曲げ加工作用により、それぞれ対応する縁部18dまたは18
aまたは18cに同様に曲げ加工が施される。
最後の曲げ加工作用が行なわれると、すなわち縁部領域18cの曲げ加工が完
了すると、曲げ加工が完了した金属シート材部分14は図6に示されるように曲
げ加工終了位置132まで移動せしめられる。この曲げ加工終了位置132は曲
げ加工縁部16の近くに、しかしながら金属シート材部分14を何ら支障を来た
すことなく曲げ加工終了位置132から取り出すことができる程度に離れている
。
金属シート材部分14の曲げ加工終了位置132からの取り出しは取り出し装
置134によって行なわれ、この取り出し装置134は例えば互いに離間して配
置された2つのコンベヤベルト136,138を有する。これらコンベヤベルト
136,138は金属シート材部分が収容されて取り出し方向140に移動せし
められるとき
にのみ送りテーブル22の表面58から突出する。ここで、取り出し方向140
はX方向に対し平行に延びており、さらに金属シート材部分14の長辺側も同様
にX方向に対しほぼ平行に延びている。
さらに、曲げ加工終了位置132が引き継ぎ位置130と重ならず、しかしな
がら曲げ加工終了位置132内の金属シート材部分14が引き継ぎ位置130内
の金属シート材部分からY方向にわずかばかり離間して配置されるように、金属
シート材部分14の曲げ加工終了位置132が送りテーブル22上に位置せしめ
られる。
このように曲げ加工終了位置132と引き継ぎ位置130とが配置されるので
図5に部分Iと関連して部分IIに示されるように、送りテーブル22上に配置
された金属シート材部分14が測定されて引き継ぎ位置130に供給されること
が可能となる。
ここで、部分Iとして示される金属シート材部分14が回転せしめられてその
曲げ加工線20cが曲げ加工縁部16に対し平行に延びるようにされる時点で引
き継ぎ位置130への供給が行われ、それにより縁部18cの曲げ加工に必要な
時間を第2マニピュレータ34による金属シート材部分14の引き継ぎ位置13
0への移動のために利用できるようにされる。部分IIとして示される後続の金
属シート材部分14を引き継ぎ位置130に位置決めするためのこのような期間
を、縁部領域18cの曲げ加工後に曲げ加工ユニット10から取り出される加工
済みの部分Iを移動させて曲げ加工終了位置132に位置決めするのに必要な期
間まで延長させることができる。
金属シート材部分14を曲げ加工終了位置132に位置決めした後、金属シー
ト材部分14は取り出し装置134により取り出され、この期間は引き継ぎ位置
130において第1マニピュレータ32が部分IIを把持するために利用され、
それにより図5に同様に示
されるように、部分Iが曲げ加工終了位置132を離れると直ちに第1マニピュ
レータ32が部分IIをY方向に移動せしめ、同時に次のステップとして部分I
Iを軸D回りに回転させて部分IIの曲げ加工線20bを曲げ加工縁部16に対
し配置する。
次いで、図5に示されるように部分Iと同様に部分IIが回転せしめられる。
したがって、本発明の利点は最後の曲げ加工の間に金属シート材部分14を加
工するのに必要な時間間隔を、後続の金属シート材部分14を引き継ぎ位置13
0に移動させるために利用できるということである。