JP2000502972A - 自動車ドアのための旋回機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 自動車ドアのための、旋回可能なアームを備えた旋回機構であって、ドアが、乗降のためにドア開口全体を露出させることができ、ドア（２）と自動車（１）との間の距離ができるだけ小さくなるように車体の側部から外方へのドアの移動が最小化されており、この場合、機構が、２つの支持アーム（３，３′）を有しており、これらの支持アームが、自動車ドアに設けられたヒンジ（６，６′）を中心にして旋回可能にそれぞれ支持されており、他方の端部では、車体に設けられたヒンジ（４，４′）を中心にして旋回可能であり、全てのヒンジ（４，４′，６，６′）が、互いに平行でかつ自動車の長手方向平均平面に対して垂直でしかも水平に対して全く同一の鋭角（α）を成した軸線を有しており、車体に取り付けられたヒンジ（４，４′）が、前側のドアポスト（５）に、自動車の長手方向平均平面に対して垂直な同一の平面に設けられており、前記支持アーム（３，３′）が、安定化レバー（７）によって相互に連結されており、この安定化レバーは、旋回点が、別々のアーム上のヒンジ（４，４′および６，６′）間の理論上の結合線に対して平行な仮想線に沿って位置しながら、支持アーム（３，３′）に連接式に取り付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】 自動車ドアのための旋回機構 発明の背景 本発明は、自動車ドア、例えば乗用車のドアのための旋回機構に関する。 これまでは、自動車ドアを懸架するために１つの機構タイプしか使用されてお らず、この機構は、単純で慣用のヒンジを有しており、このヒンジは、ある程度 まで修正されており、また通常は前側ドア開口の側部と前側ドアの縁部とに個々 に取り付けられている。ドア板が共通のヒンジ軸線を中心にして旋回させられる ことによりドアの開閉運動が行われる。 これは、単純かつ安価に製造することができかつ比較的信頼性のよい、十分に 試験が行われた解決手段である。しかしながら、これはドアの開放機能にとって あまり実用的ではないということを確認しなければならない。ドアが開かれる場 合、ドアの後縁が自動車側部から引き出されることにより、乗降のための空間が ドアの後縁と車体との間に形成される。十分な空間を形成して極めて自由な乗降 を保証するためには、ドアの後縁が車体側部の外方約６０ｃｍに位置するよう十 分に開かれなければならない。さらに、狭い駐車場で近接して駐車された他の自 動車や、小さな別荘ガレー ジ内の壁や柱等の様々な障害物により、快適な乗降に必要なだけ自動車ドアを開 くことは、不可能ではなくともしばしば困難である。 開いたドア位置においても依然として乗降開口のサイズを制限し、しかも自動 車側部に沿ってかなり大きな自由空間を必要とするような、乗用車のためのこれ らの慣用のドアヒンジに代わる手段として、種々異なるタイプのスライドドアが あり、これらのスライドドアは、軽量の運搬車および小型バスでの使用に成功し ている。しかしながら、この解決手段は乗用車にはほとんど使用することはでき ない。なぜならば、スライド機構の取付けとドア板の往復運動とが、自動車の前 輪によって妨げられるからである。したがって、スライド式のドア板を使用する ためには、ドア板の移動領域を後方へ延長させなければならないので、乗用車用 のスライドドアの場合には自動車は２ドアにしか形成することができない。この ことは自動車のタイプを制限してしまい、望ましくない。さらに、スライド機構 のための自然な取付けアタッチメントを見いだすことが依然として困難であり、 また、程度の差こそあれ複雑な解決手段を形成する必要があり、このことは、製 造コストの増大を意味する上、しばしばドアを不安定にさせる。 一般的な自動車ドアヒンジに代わる別のタイプの手段は、例えばしばしばバス で使用される旋回可能なア ームを用いる機構である。しかしながら、このような機構を乗用車に適用する場 合には、前輪の位置が実用性を制限し、同時に自動車側部からのドアの移動が残 っており、これらの理由から、これらの構造は、規定された問題のいかなる有利 な解決手段をも提供しない。 しかしながら、米国特許第４６３２４４７号明細書および米国特許第４６４１ ８８１号明細書には、乗用車を意図した、旋回可能なアームを有する２ヒンジ機 構が記載されており、これらの２ヒンジ機構は、乗用車で使用するのに適してい る。しかし、これらの機構の場合にも、ドア板は開放時に自動車の側部から短い 距離だけ外方へ移動させられ、同時に、ドア開口のサイズも制限されている。 英国特許出願公開第９０２４０５号明細書にはアーム機構解決手段が開示され ており、この場合、系を安定させるために一方のヒンジが他方のヒンジから大き な間隔を置いて設けられており、また、最下部に位置したヒンジがドア開口の中 央部に取り付けられている。したがって、開いている場合には下側のアームが乗 降の著しい妨げとなる。ドアはやはり外方へ移動し、この望ましくない移動は、 アームのための移動平面を水平方向に本質的に角度付けることにより排除するこ とができず、このことは、乗降が困難になる程度にまで前記問題が悪化すること を意味する。 本発明の課題と主要な特徴 本発明の課題は、旋回可能なアームが備えられており、かつ前記欠点を排除す るように構成されていて、しかも自動車ドアのいかなる部分も車体の外側に短い 距離を越えて移動することなしにほぼドア開口全体が露出させられるようにドア を開くことができるようなタイプの、自動車ドアのためのヒンジ機構を提供する ことである。この課題は、添付の請求項１に規定された特徴を機構に付与するこ とにより達成された。 図面の説明 以下に本発明を添付の図面に示された実施例につき詳しく説明する。 第１図には、乗用車の後方から見て、部分的に概略的な横断面で示されており 、左前側のドアが、開いた位置で示されている。 第２図は、第１図による乗用車の前部左側から見た部分図である。 第３図は、完全に閉じられた位置と完全に開かれた位置とにおける、車体と前 輪とに対するドア板の位置を、上方から見て概略的に示している。 有利な実施例の説明 図１には乗用車１を後方から見た概略的な図が示されており、この場合、左側 は、前側のドア２に相当する区分が横断面図で示されており、前記前側のドアは 完全に開いた位置で示されている。本発明によるヒン ジ機構は、乗用車において前側のドアにも後側のドアにも役立ち、このヒンジ機 構は、ほぼ同じ長さの２つのアーム３，３′を有しており、これらのアームの長 さは、ドアの長さの約半分に相当し、アームは、それぞれ一方の端部において互 いに上下に間隔を置きながらドア開口の前縁５に第１のヒンジ４，４′を介して 連接式に結合されている。各アーム３，３′の他方の端部は、第２のヒンジ６， ６′に連接式にそれぞれ結合されている。これらの第２のヒンジは、ドア板のほ ぼ中央に、互いに上下に第１のヒンジ４，４′とほぼ同じ間隔を置いて取り付け られている。全てのヒンジ４，４′，６，６′は角度を成した位置に取り付けら れているので、自動車の長手方向中間軸線に対して垂直な平面に位置したヒンジ 軸線は、水平面に対して鋭角αを形成している。この角度αは、約３０゜にまで 達することができる。さらに、全てのヒンジは、互いに平行に配置されている。 アーム３，３′の間には安定化レバー７が連接式に結合されている。安定化レバ ー７は、両端部においてリンク部材８，８′を介してアーム３，３′に取り付け られており、これにより、安定化レバーは２つのアームを相互に連結させている 。リンク部材８，８′は、基本的にはアーム上のあらゆる箇所に設けることがで きるが、両リンク部材は、関連するアーム端部から常に同じ距離に設けられてい るので、安定化レバーの旋回点は、関連したヒンジ４ ，４′および６，６′を通って延びる仮想線に対して平行な仮想線上に位置して いる。この装置は、互いに間隔を置かれた３つの付加的な平行なダウエルピンに よって２つのダウエルピンが連接的に相互結合されているような理論機構に相当 する。したがって、記載の実施例の場合にはアーム３，３′が、ドアポスト５と 、安定化レバー７と、ドア２とによって互いに結合されている。 各アーム３，３′には、車体に固定されたヒンジ４，４′への取付け部分から 僅かな距離の箇所において、ヒンジ軸線に対して平行な線を中心にした曲げ部が 設けられているので、各アームは、車体のヒンジ４，４′にそれぞれ取り付けら れた短いアーム部分３ａ，３ａ′と、ドアのヒンジ６，６′にそれぞれ取り付け られた長いアーム部分３ｂ，３ｂ′との間で角度付けられている。 ドアが閉じられた位置においては、ドアのヒンジに取り付けられた２つのアー ム部分３ｂ，３ｂ′は、自動車の長手方向中間軸線に対して平行に位置しており 、この場合、一方のアーム３が、ドアの鉛直方向で見てちょうど中間に位置して いるのに対して、他方のアーム３′は、第１のアームの下方に大きな間隔を置い て、すなわちドア下縁の近傍に位置している。前記大きな間隔とは、すなわち２ ００〜３００ｍｍの間隔を意味する。ヒンジは、原則的に鉛直なドアポストに位 置決めされており、このことは、ドアの開放が最適化され、下側のアーム３′が ドア下縁とドアシルとの間に隠れることを意味する。 ドアが開かれる場合、記載されたジオメトリによりアームは、車体に取り付け られたヒンジ４，４′を中心にして互いに平行なまま旋回する。これにより、ア ーム３，３′は、ヒンジ軸線に対して垂直に形成されておりかつ鉛直線に対して 角度を成した２つの平行な面上を移動する。アームは、アームの移動平面内の円 形の経路に沿ってドア２を移動させる。この組み合わされた移動は、自動車に対 して相対的な３つの移動方向、すなわち前方、上方および外方に分割することが できる。ヒンジの軸線が水平方向に対して角度を成して形成されているので、ア ームの移動平面は、望ましくない外方への移動を最小化する。この場合、組み合 わされた移動の大部分は上方移動であり、この移動成分は、ドア板を車輪の上方 に持ち上げるために使用される。この車輪は、著しく斜めに位置決めされており 、また、閉じられた位置と同じレベルでドアが移動するならば、ドアの開放に対 する障害物を形成する。アームの間の鉛直方向および長手方向の間隔により、ド アは常に自動車に対して平行である。 第３図には、本発明による機構が斜視図で示されている。 ドアを最大限に開かせるためには安定化レバー７を 有していることが必要である。なぜならば、４つのアームと４つのリンク部材と だけから成る機構は、全てのリンク部材が共通の仮想線に位置した時に不安定と なるからである。図示した実施例では、この不安定な位置が生じるのは、安定化 部材が設けられておらず、ドアに取り付けられたヒンジがドアポストを通過する 場合に全ての４つのヒンジが長手方向平均軸線に対して垂直な同じ平面に位置す る時である。この位置では、アームが交差するおそれがあり、このことはドアを 前方もしくは後方へ傾斜させる。このことは決して許容できない。不安定な位置 においてはドアは半分しか開いていないので、乗降のための空間は特に制限され ている。本発明による安定化レバーは、強制された案内を提供するので、ドアは 、別の構成が許容する限り、臨界箇所を越えて安定した状態で前方へ押し出され ることができ、かつ同様に閉じることができる。 本発明は、図面に示されこの図面に関連して説明された実施例に制限されるも のではなく、添付の請求の範囲内で修正および変更が可能である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ， ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，Ｇ Ｅ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ， ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，Ｐ Ｌ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ， ＶＮ 【要約の続き】 合線に対して平行な仮想線に沿って位置しながら、支持 アーム（３，３′）に連接式に取り付けられている。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．自動車ドア、例えば乗用車ドア等のための、旋回可能なアームを用いる旋回 機構であって、ドア開口全体が乗降のためにほぼ自由になるように、また、ドア （２）と自動車（１）との間の距離ができるだけ小さくなるように車体側部から のドアの外方移動が最小化されるようにドアを開くことができるようになってお り、自動車の各ドア（２）のために２つの支持アーム（３，３′）が設けられて おり、これらの支持アームは、一方の端部では、自動車のドアに設けられたヒン ジを中心に旋回可能に支持されており、それぞれ他方の端部では、乗用車（１） の車体に設けられたヒンジ（４，４′）を中心にして旋回可能であり、全てのヒ ンジ（４，４′，６，６′）が、軸線が互いに平行でしかも自動車の長手方向平 均平面に対して垂直になるように、水平方向に対して全く同一の鋭角（α）を成 して配置されている形式のものにおいて、 乗用車（１）の車体に取り付けられたヒンジ（４，４）が、前側のドアポスト （５）に、しかも乗用車の長手方向平均平面に対して垂直な同一平面に設けられ ており、前記支持アーム（３，３′）が、安定化レバー（７）によって相互に連 結されており、該安定化レバーが、該安定化レバーの連接箇所が別 々のアーム上の対応するヒンジ（４，４′および６，６′）間の理論上の結合線 に対して平行な仮想線に沿って位置するように、支持アーム（３，３′）に連接 式に取り付けられており、ひいては、互いに対して、２つの支持アーム（３，３ ′）の強制された案内を提供するようになっていることを特徴とする、自動車ド アのための旋回機構。 ２．前記両支持アーム（３，３′）の長さが同じである、請求項１記載の旋回機 構。 ３．前記各支持アーム（３，３′）が、車体に結合されたヒンジ（４，４′）に おいて支持された端部から短い距離の箇所に、ヒンジ（４，４′，６，６′）の 軸線に対して平行な線を中心とした曲げ部を有している、請求項１または２記載 の旋回機構。 ４．ドアポスト（５）に設けられたヒンジ（４，４′）が、上側のドアヒンジに 結合した上側の支持アーム（３）の第１の位置がドアの高さの中間点においてほ ぼ水平であるように、またこれに対して下側のドアヒンジ（６′）に結合した下 側の支持アーム（３′）が上側の支持アーム（３）に対してほぼ平行でありかつ ドアの下縁のすぐ上方に位置するように、相互間隔を備えながら配置されている 、請求項１から３までのいずれか１項記載の旋回機構。 ５．水平に対するヒンジ（４，４′，６，６′）の傾斜角度（α）が約３０゜で ある、請求項１から４ま でのいずれか１項記載の旋回機構。