JP2000342488A - 椅子型簡易便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 肘掛けとして用いる長把手と短把手を適宜選
択して使用できる機能を持たせることにより、高齢者や
足腰の弱い人、身体の不自由な人でも安全かつ快適に使
用することができる椅子型簡易便器の提供。 【解決手段】 脚体に高さ調整可能に支持された座部枠
体１に開閉式便座４を有し、座部枠体には背もたれ３が
一体に設けられ、便座には着脱式の便器を有し、便座の
両サイド部には肘掛けを兼ねる一対の着脱式把手６を備
え、便座の上に載置する開閉式座りパット５を有する椅
子型簡易便器であって、脚体２に座部枠体が高さ調整可
能に取付けられ、開閉式便座と開閉式座りパットはそれ
ぞれ座部枠体の背面側に相重なるように着脱可能に取着
され、着脱式把手は、長把手部６−１と短把手部６−２
が１本の部材で構成され、かつ座部枠体と背もたれ部の
側面に高さ位置可変に着脱可能に取付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は高齢者や足腰の弱
い人、身体の不自由な人が、介護者の手助けを借りずに
自力で安全にかつ容易に、しかも清潔に使用できる椅子
型の簡易便器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高齢者や足腰の弱い人、身体の不自由な
人のために開発された椅子型の簡易便器は、各種施設や
病院、一般家庭において広く普及しつつある。この種の
従来の簡易便器としては、図８にその一例を示すごと
く、椅子型の便器本体２１の座面部に蝶番で取着された
開閉式の便座２２の下にバケツ形便器（図面省略）が取
付けられ、かつ前記便座２２の上側に蝶番で取着された
開閉式の座りパット２３が設けてあり、便座２２の両サ
イドには肘掛け２４が取付けられたものがある。この椅
子型の簡易便器は、便器使用時には座りパット２３を図
示のごとく起こして背もたれに相重ね、この座りパット
２３を背もたれにして用を足し、一方、椅子として使用
する場合は、前記座りパット２３を倒して便座２２の上
に相重ねるようになっている。しかしながら、この種の
椅子型簡易便器は両サイドに設けられている肘掛けが邪
魔になり便座の横から出入りできない不便さがあった。
かかる対策として、座面部の両サイドに設ける肘掛け
を、一方を短く、他方を長くしたものが知られている
（特公平５−３８６１９号等参照）。すなわち、この種
の椅子型便器は、座面部の両サイドに設ける肘掛けを長
把手と短把手とで構成したもので、その長把手と短把手
は左右の取付け位置が互いに交換可能となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、座面部
の両サイドに設ける肘掛けとして、一方を短く、他方を
長くした把手を採用した従来の椅子型簡易便器の場合、
肘掛けとして用いる長把手と短把手は対になっているた
め、その取付け位置が互いに交換可能であっても、便器
として使用する場合も、椅子として使用する場合も肘掛
けは長さが異なったままで使用することになり、便座の
横から出入りできる点は便利であっても、特に椅子とし
て長時間使用する場合には快適性に欠けるという問題点
があった。

【０００４】本発明は、かかる問題点を解決するために
改良を施したもので、便器としても、椅子としても快適
に使用でき、また本体を木製とした場合には家具調性の
高い椅子型簡易便器を提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る椅子型簡易
便器は、脚体に高さ調整可能に支持された座部枠体に開
閉式便座を有し、前記座部枠体には背もたれが一体に設
けられ、前記便座には着脱式の便器を有し、前記便座の
両サイド部には肘掛けを兼ねる一対の着脱式把手を備
え、便座の上に載置する開閉式座りパットを有する椅子
型簡易便器であって、前記脚体は相平行する左右一対の
接地部材と該接地部材の上面に立設した垂直板とで構成
され、該脚体に前記座部枠体がねじピン挿通方式の高さ
調整機構により高さ調整可能に取付けられ、前記開閉式
便座と開閉式座りパットはそれぞれ前記座部枠体の背面
側に相重なるように着脱可能に取着され、前記肘掛けを
兼ねる左右一対の着脱式把手は、それぞれ長把手部と該
長把手部の端部より直角に屈曲した垂直部および該垂直
部より長把手部と相平行するごとく直角に屈曲した短把
手部を有する１本の部材で構成され、かつ前記座部枠体
と背もたれ部の側面に高さ位置可変に着脱可能に取付け
られ、それぞれ長把手部を上側に、短把手部を下側に、
または短把手部を上側に、長把手部を下側にして取着で
きる構造となしたことを特徴とするものである。

【０００６】この発明における座部枠体は、前面および
左右両側面を囲む矩形の枠体からなり、この座部枠体の
左右両側面の背面側開口端部に背もたれを固着してい
る。なお座部枠体の背面には補強部材を横設している。

【０００７】この座部枠体を支持する左右一対の脚体
は、それぞれ細幅の長尺材からなる接地部材と、該接地
部材の上面に立設した広幅の矩形板からなる垂直板とで
構成され、かつ前記垂直板の左右には高さ調整用の垂直
に長いガイド孔が穿設され、さらに該垂直板の内側面に
高さ調整用の突起が前記ガイド孔の左右に高さ方向に間
隔を置いて複数個設けられている。一方、座部枠体の左
右両側面の内面には前記突起が嵌入する有底穴が設けら
れ、脚体との結合は前記垂直板を座部枠体の左右両側面
の内側に相重ねた状態で予め座部枠体の左右両側面に前
記垂直板のガイド孔と対応する位置に穿設したピン孔よ
り締結用ねじピンを挿入して垂直板のガイド孔に貫通さ
せるとともに、脚体側に設けた高さ調整用の突起を座部
枠体側に設けた有底穴に凹凸嵌合させて締結用ねじピン
を締付けることにより行われるようになっている。すな
わち、締結用ねじピンを緩めた状態で座部枠体を上下動
させて脚体側に設けた高さ調整用の突起を座部枠体側に
設けた有底穴に凹凸嵌合させることにより座部の高さ位
置を調整できるようになっている。

【０００８】開閉式便座は、当該便座の背もたれ側底面
に横設した１本のロッドの両端部を、座部枠体の背もた
れ側左右両側面に設けた溝部に上から着脱可能に凹凸嵌
合させ、該ロッドを支点に開閉自在となしたもので、使
用時には座部枠体の前板の上面に載置され、不使用時に
は背もたれ側に縦向きに支持されるようになっている。
なおこの開閉式便座には便容器が着脱可能に取付けられ
るようになっている。この種の簡易便器に使用する便器
としては、バケツ形が一般的である。

【０００９】この開閉式便座の上に載置する開閉式座り
パットは、当該パットの背もたれ側底面に一体に取着し
た両端部を直角に屈曲させた該パットとほぼ同じ幅の長
さを有する支持部材に回動自在に横設した回転ロッドの
両端部を、前記開閉式便座と同様、座部枠体の背もたれ
側左右両側面に前記開閉式便座の溝部に隣接して設けた
溝部に上から着脱可能に凹凸嵌合させ、該回転ロッドを
支点に開閉自在となしたもので、使用時には前記開閉式
便座の上に相重なり、不使用時には背もたれ側に縦向き
に支持されるようになっている。

【００１０】肘掛けを兼ねる左右一対の着脱式把手は、
それぞれ長把手部と該長把手部の端部より直角に屈曲し
た垂直部および該垂直部より長把手部と相平行するごと
く直角に屈曲した短把手部を有する１本の部材で構成さ
れ、該部材の長把手部側端部と短把手部側端部をそれぞ
れ前記座部枠体の両方の側板と背もたれ部の両側面にね
じピンにて高さ位置可変に着脱可能に取付けられたもの
で、その高さ調整機構は座部枠体の両方の側板と背もた
れ部の両側面に高さ方向に間隔を置いて複数個設けられ
たねじ孔にねじピンを挿入して着脱可能に取着できる構
造となしたもので、この左右一対の着脱式把手は、同じ
位置で向きを１８０度変えることによって長把手部と短
把手部の上下位置を逆にして取着できる構造となってい
る。すなわち、長把手部を上側に、短把手部を下側に、
または短把手部を上側に、長把手部を下側にして取着で
きるという特徴を有する。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１はこの発明に係る椅子型簡易
便器の構造例を示す斜視図、図２は同上簡易便器の使用
状態を示す斜視図、図３は同上簡易便器の使用状態にお
ける縦断正面図、図４は同上簡易便器の座部枠体と脚体
の結合部分を示す要部縦断面図、図５は同上簡易便器を
椅子として用いる例を示す斜視図、図６は同上簡易便器
の左右の取手を長把手とした場合の使用状態を示す斜視
図、図７は同上簡易便器の左右の取手を短把手とした場
合の使用状態を示す斜視図であり、１は座部枠体、２は
脚体、３は背もたれ、４は開閉式便座、５は座りパッ
ト、６は着脱式把手、６−１は長把手部、６−２は短把
手部、６−３は垂直部、７は締結用ねじピン、８は肘掛
け固定ねじ、９はバケツ形便容器である。

【００１２】すなわち、この発明に係る椅子型簡易便器
は、前板１−１および左右両側板１−２とからなる座部
枠体１と、この座部枠体１を高さ調整可能に支持する左
右一対の脚体２および背もたれ３とで便器本体を構成し
たもので、座部枠体１を支持する左右一対の脚体２は便
器本体の奥行き長さとほぼ同程度の長さを有する細幅の
長尺材からなる接地部材２−１と、該接地部材２−１の
上面に立設した広幅の矩形板からなる垂直板２−２とで
構成され、座部枠体１の高さ調整機構は図３、図４に示
すごとく前記垂直板２−２の左右に穿設した垂直に長い
ガイド孔２−２ａと、同垂直板２−２の内側面に前記ガ
イド孔の左右に高さ方向に間隔を置いて複数個設けた高
さ調整用突起２−２ｂと、座部枠体１の左右両側板１−
２の内面に設けた前記高さ調整用突起２−２ｂが嵌入す
る有底穴１−２ａと、座部枠体１の左右両側板１−２に
前記垂直板２−２のガイド孔２−２ａと対応する位置に
穿設したピン孔より挿入して垂直板２−２のガイド孔２
−２ａに貫通させて締付ける締結用ねじピン７とからな
り、座部枠体１と脚体２の締結は脚体２の垂直板２−２
を座部枠体１の左右両側面の内側に相重ねた状態で締結
用ねじピン７を垂直板２−２を貫通させてガイド孔２−
２ａに挿入するとともに、脚体２側に設けた高さ調整用
の突起２−２ｂを座部枠体側に設けた有底穴１−２ａに
凹凸嵌合させて締結用ねじピン７を締付けることにより
行われるようになっている。すなわち、締結用ねじピン
７を緩めた状態で座部枠体１を上下動させて脚体２側に
設けた高さ調整用の突起２−２を座部枠体１側に設けた
有底穴１−２ａに凹凸嵌合させることにより座部の高さ
位置を調整できるようになっている。１−３は補強部材
である。

【００１３】開閉式便座４は、当該便座の背もたれ側底
面に横設した１本のロッド４−１の両端部を、座部枠体
１の背もたれ側左右両側板１−２に設けた溝部１−２ｃ
に上から着脱可能に凹凸嵌合させ、該ロッド４−１を支
点に開閉自在となしたもので、使用時には座部枠体１の
前板１−１の上面に水平に載置され、不使用時には背も
たれ３側に縦向きに支持されるようになっている。この
開閉式便座４にはその開口４−１の下方にバケツ形便容
器９が吊架方式（図面省略）などにより着脱可能に取付
けられるようになっている。

【００１４】この開閉式便座４の上に載置する開閉式座
りパット５は、前記開閉式便座４と同様に凹凸嵌合方式
により左右両側板１−２に開閉自在に取付けられたもの
で、その構造は当該パットの背もたれ側底面に両端部を
直角に屈曲させた該パットとほぼ同じ幅の長さを有する
支持部材５−１を固着し、この支持部材５−１に該部材
より長い１本の回転ロッド５−２を横設し、この回転ロ
ッド５−２の両端部を前記開閉式便座４と同様、座部枠
体１の背もたれ側左右両側板１−２に前記開閉式便座の
溝部１−２ｃに隣接して設けた溝部１−２ｄに上から着
脱可能に凹凸嵌合させ、該回転ロッド５−２を支点に開
閉自在となしたもので、使用しない場合は背もたれ３側
に縦向きに支持させておき、使用する場合は開閉式便座
４の上に相重ねておくことができるようになっている。
またこの開閉式座りパット５は開閉式便座４と相重ねて
背もたれ３側に立てておくこともできる。

【００１５】肘掛けを兼ねる左右一対の着脱式把手６
は、それぞれ長把手部６−１と該長把手部の端部より直
角に屈曲した垂直部６−３および該垂直部より長把手部
と相平行するごとく直角に屈曲した短把手部６−２を有
する１本の部材で構成され、該部材の長把手部６−１側
端部と短把手部６−２側端部をそれぞれ前記座部枠体１
の左右両側板１−２と背もたれ３の両側面に肘掛け固定
ねじ８にて高さ位置可変に着脱可能に取付けられたもの
で、その高さ調整機構は座部枠体１の左右両側板１−２
と背もたれ部３の両側面に高さ方向に間隔を置いて複数
個設けたねじ孔１−２ｅ、３−１ａにそれぞれ固定ねじ
８を挿入して着脱可能に取着できる構造となしたもの
で、この左右一対の肘掛け６は、同じ位置で向きを１８
０度変えることによって長把手部６−１と短把手部６−
２の上下位置を逆にして取着できる構造となっている。
すなわち、長把手部６−１を上側に、短把手部６−２を
下側に、または短把手部６−２を上側に、長把手部６−
１を下側にして取付けることができるようになってい
る。

【００１６】上記構造の椅子型簡易便器において、便器
として使用する場合は、例えば図２、図３に示すごと
く、肘掛けを兼ねる左右一対の着脱式把手６を一方は長
把手部６−１を上側に、短把手部６−２を下側にし、他
方は短把手部６−２を上側に、長把手部６−１を下側に
し、かつ所定の高さ位置に固定ねじ８にて取付ける。一
方、座部枠体１の上に載置した開閉式便座５の上の開閉
式座りパット５は、図示のごとく背もたれ３側に縦向き
に支持させておく。なお、開閉式便座５の横から出入り
する必要がない場合は、左右の着脱式把手６は共に長把
手部６−１を上側にして使用してもよい。

【００１７】この椅子型簡易便器を左右一対の着脱式把
手６は図２、図３に示す状態のままで椅子として使用す
る場合は、図５に示すごとく開閉式座りパット５を倒し
て開閉式便座５の上に相重ねる。また、左右一対の着脱
式把手６を把手を共に長把手部６−１を上側にして用い
る場合は、図６に示すごとく、左右の着脱式把手６をそ
れぞれ長把手部６−１を上側に、短把手部６−２を下側
にして固定ねじ８にて取付ける。さらに、左右一対の着
脱式把手６を把手を共に短把手部６−２を上側にして用
いる場合は、図７に示すごとく、左右の着脱式把手６を
それぞれ短把手部６−２を上側に、長把手部６−１を下
側にして固定ねじ８にて取付ける。なお、着脱式把手６
の長把手部６−１、短把手部６−２の上下位置は、便器
として使用する場合も前記と同様適当に組合わせて使用
すればよいことはいうまでもない。

【００１８】

【発明の効果】本発明は上記のごとく、肘掛けとして用
いる長把手と短把手を適宜選択して使用できる機能を有
するので、便座の横から簡単に出入りできるばかりでな
く、使用する人の身長や体格、あるいは身体の状態や腕
力などに応じて短把手と長把手を容易に使い分けできる
上、高齢者や足腰の弱い人、身体の不自由な人でも安全
かつ快適に使用することができる利点を有する。また、
便座および座りパット共に容易に取外し可能となってい
るので、便座および座りパットを簡単に交換できる上、
それぞれ丸ごと清掃することができ、常に清潔に使用で
きるという点も優れている。さらに、本体を木製とした
場合には家具調性の高い椅子型簡易便器を提供すること
ができる点も優れた特徴の一つとしてあげることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る椅子型簡易便器の構造例を示す
斜視図である。

【図２】同上簡易便器の使用状態を示す斜視図である。

【図３】同上簡易便器の使用状態における縦断正面図で
ある。

【図４】同上簡易便器の座部枠体と脚体の結合部分を示
す要部縦断面図である。

【図５】同上簡易便器を椅子として用いる例を示す斜視
図である。

【図６】同上簡易便器の左右の取手を長把手とした場合
の使用状態を示す斜視図である。

【図７】同上簡易便器の左右の取手を短把手とした場合
の使用状態を示す斜視図である。

【図８】従来の椅子型簡易便器の一例を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 座部枠体 ２ 脚体 ３ 背もたれ ４ 開閉式便座 ５ 座りパット ６ 着脱式把手 ６−１ 長把手部 ６−２ 短把手部 ６−３ 垂直部 ７ 締結用ねじピン ８ 肘掛け固定ねじ ９ バケツ形便容器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 脚体に高さ調整可能に支持された座部枠
   体に開閉式便座を有し、前記座部枠体には背もたれが一
   体に設けられ、前記便座には着脱式の便器を有し、前記
   便座の両サイド部には肘掛けを兼ねる一対の着脱式把手
   を備え、便座の上に載置する開閉式座りパットを有する
   椅子型簡易便器であって、前記脚体は相平行する左右一
   対の接地部材と該接地部材の上面に立設した広幅の矩形
   材からなる垂直板とで構成され、該脚体に前記座部枠体
   がねじピン挿通方式の高さ調整機構により高さ調整可能
   に取付けられ、前記開閉式便座と開閉式座りパットはそ
   れぞれ前記座部枠体の背面側に相重なるように着脱可能
   に取着され、前記肘掛けを兼ねる左右一対の着脱式把手
   は、それぞれ長把手部と該長把手部の端部より直角に屈
   曲した垂直部および該垂直部より長把手部と相平行する
   ごとく直角に屈曲した短把手部を有する１本の部材で構
   成され、かつ前記座部枠体と背もたれ部の側面に高さ位
   置可変に着脱可能に取付けられ、それぞれ長把手部を上
   側に、短把手部を下側に、または短把手部を上側に、長
   把手部を下側にして取着できる構造となしたことを特徴
   とする椅子型簡易便器。