JP2000238671A - ゴムクローラ用芯金 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は前後に張出部を備えたゴムクローラ用
芯金の改良に関する。 【解決手段】ゴムクローラの走行方向の前後方向に張出
部を形成してなる芯金であって、張出部の外側に当該張
出部の幅よりも狭いリブを形成したことを特徴とするゴ
ムクローラ用芯金。１‥芯金、２‥翼部、３‥角部、４
‥張出部、５‥リブ、６‥通孔。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は前後に張出部を備え
たゴムクローラ用芯金の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴムクローラは一般には無端状ゴム弾性
体の長手方向に一定ピッチをもって芯金を埋設し、同時
にこの芯金を外囲いしてスチールコードを埋設したもの
で、外面にゴムラグを形成したものである。しかるに、
特にゴムクローラの横方向に加わる外力に対向するた
め、或いはゴムクローラの内周面における転輪の走行面
を確保するため、芯金の前後方向（ゴムクローラの走行
方向の前後）に向けて張出部を形成した芯金が提案され
ている。

【０００３】ここで転輪の走行面としての張出部を例と
して言及すると、転輪の走行面であるためにその内側面
はゴムクローラの内周面と略一致する面とされるため、
張出部内側面はゴムクローラの内周面に露呈させる形状
とされている。一方、ゴムクローラの軽量化のためにこ
の張出部はできるだけ厚みの薄い形状とされるのが通例
である。従って、芯金の張出部とゴム弾性体との接着界
面は張出部の外側面及び極く薄い側面に限定されてい
る。

【０００４】図１はこの従来より提案されている芯金の
正面図、図２は図１の芯金の側面図である。図中、符号
１は芯金であり、左右の翼部２より内側に突出する一対
の角部３が備えられ、更にこの外側に芯金の前後に向け
て突出した張出部４が形成されている。この張出部４は
転輪の走行部に供されるために翼部２の内周面と略一致
させ、しかも軽量化をもたらすために比較的薄い張出部
となっている。

【０００５】このため、ゴムクローラが走行面上の小石
に乗り上げたり、突起物等によってゴムクローラが内周
面側に湾曲するいわゆる逆曲げ現象が発生した際には、
ゴム弾性体と芯金１のかかる張出部４との接着界面（即
ち張出部４の外側面）が引張力によって剥離しやすい構
造となっていた。そして両者間に剥離が発生した際には
この間に砂等が侵入して剥離が成長し、ゴム欠けや芯金
１に錆びが発生することはさけられず、場合によっては
芯金１の脱落にもつながることとなる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は芯金の前後方
向に向って突出する張出部の改良に関するものであり、
更に言えばゴム弾性体との接着界面を増加することによ
って両者間の剥離を防止しようとするにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、ゴムク
ローラの走行方向の前後方向に張出部を形成してなる芯
金であって、張出部の外側に当該張出部の幅よりも狭
く、通常はゴムクローラの走行方向に伸びるリブを形成
したことを特徴とするゴムクローラ用芯金であって、好
ましくは、前記張出部にゴムクローラの幅方向に向けた
通孔を形成したものがよい。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明にあっては、張出部の外側
即ちゴム弾性体側にリブを形成したため、この部位がゴ
ム弾性体との接着界面を増大し、しかも、ゴム弾性体と
の関係にあっては引っ張り方向の力ではなく剪断方向の
力が生じることによってより剥離に対して強固な性状が
得られることとなったものである。しかも、ゴムクロー
ラの曲げの基準位置となるスチ−ルコ−ドに接着の界面
が近づくので引張り時の歪みがそれだけ小さくなり、こ
れ又剥離が阻止されることとなる。しかも、直接ゴム弾
性体中に埋没されるリブ部に通孔（アンカー状のものを
含む）を形成すれば、ゴム弾性体の加硫成形時にかかる
通孔内に入り込んでリブの左右を繋いだ状態で加硫され
るため、剥離に対しても極めて強固なゴム体が貫通する
こととなる。

【０００９】従って、ゴムクローラが走行面上の小石に
乗り上げたり、突起物等によってゴムクローラが内周面
側に湾曲するいわゆる逆曲げ現象が発生した際にも張出
部におけるゴム剥離が極めて低減したものであり、ゴム
クローラとして寿命が極めて伸びたものである。

【００１０】尚、張出部の外側に形成されるリブは外側
に向けて垂直なリブであってもよいが、場合によっては
その向きが傾斜配置されていたり、先端がいずれかの方
向に曲がっている構造のものであってもよい。又、張出
部の全長に渡って形成される必要もなく、その長さは予
想される引張力から計算される。更に、リブに形成され
る通孔の大きさや形状を特に限定されるものではなく、
これ又予想される力に応じて任意に選択される。

【００１１】

【実施例】以下、図面をもって本発明のゴムクローラ用
芯金を更に詳細に説明する。図３は本発明の転輪の走行
部となる張出部を備えた芯金の平面図、図４はその正面
図、図５はその側面図、図６はＡーＡ線での拡大断面
図、図７はＢーＢ線での拡大断面図である。図中の符号
１〜４は従来技術で説明した定義と同様であり説明は省
略する。さて、図示する本発明のゴムクローラ用芯金の
例にあっては張出部４が芯金の前後に千鳥状をなして形
成され、この張出部４の外側にその全長に渡って垂下す
るリブ５を形成したものである。そしてこの例ではリブ
５に左右方向に通孔６を形成したものである。

【００１２】本発明のゴムクローラ用芯金にあっては、
前記した従来のそれと比べてリブ５が備わっている点に
特徴があり、このため、図示しないゴム弾性体との間の
接着界面が増大することとなり、更には通孔６を形成す
ることによりこの中にまでゴム弾性体が入り込んで加硫
されるため、その剥離の阻止力は著しく向上することと
なる。

【００１３】尚、この例では張出部４に対してリブ５を
一つ形成したものであるが、場合によっては複数条備え
てもよいことは言うまでもない。又、リブ５の先端をフ
ック状に変形させたり、全体を傾斜させればより剥離効
果が優れたものとなる。

【００１４】図８は本発明の転輪の走行部となる張出部
を備えた芯金の第２例を示す平面図、図９はその正面
図、図１０はその側面図である。図示するゴムクローラ
用芯金の例にあっては張出部４が芯金の前後に千鳥状を
なして形成されているが、張出部４が芯金の内周面より
立ち上がって前後に張り出している例であり、その間を
リブ５によって架橋され、更に前後に存在する構造をな
している。勿論、通孔を形成してもよいことは当然であ
る。尚、符号７は芯金１の横ずれを防止するために隣り
合う芯金１に形成した凹凸状の干渉部である。

【００１５】図１１は本発明の第３の実施例を示す芯金
の平面図であり、図１２はその正面図、図１３は側面図
である。この例における張出部４は転輪の走行部という
よりは、角部３との間で前後に配置される芯金から伸び
る図示しない張出部を挟んで芯金相互が干渉し合い、芯
金の左右のずれを阻止するためのものであり、この張出
部４の外側にリブ５を形成したものである。勿論、相手
方の芯金の張出部にもリブを形成するのが好ましいこと
は言うまでもない。

【００１６】

【発明の効果】本発明は以上の芯金構造としたため、ゴ
ムクローラに曲げの発生が起こった場合でも張出部から
のゴム剥離は極めて低減したものであり、結果としてゴ
ムクローラの寿命が大きく伸びることとなったものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は従来より提案されている芯金の正面図で
ある。

【図２】図２は図１の芯金の側面図である。

【図３】図３は本発明の転輪の走行部となる張出部を備
えた芯金の平面図である。

【図４】図４は図３の芯金の正面図である。

【図５】図５は図３の側面図である。

【図６】図６はＡーＡ線での拡大断面図である。

【図７】図７はＢーＢ線での拡大断面図である。

【図８】図８は本発明の転輪の走行部となる張出部を備
えた芯金の第２例を示す平面図である。

【図９】図９は図８の正面図である。

【図１０】図１０は図８の側面図である。

【図１１】図１１は本発明の第３の実施例を示す芯金の
平面図である。

【図１２】図１２は図１１の芯金の正面図である。

【図１３】図１３は図１１の側面図である。

【符号の説明】

１‥芯金、 ２‥翼部、 ３‥角部、 ４‥張出部、 ５‥リブ、 ６‥通孔、 ７‥凹凸状の干渉部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴムクローラの走行方向の前後方向に張
   出部を形成してなる芯金であって、張出部の外側に当該
   張出部の幅よりも狭いリブを形成したことを特徴とする
   ゴムクローラ用芯金。
2. 【請求項２】 前記リブはゴムクローラの走行方向に伸
   びるものである請求項第１項記載のゴムクローラ用芯
   金。
3. 【請求項３】 前記リブにゴムクローラの幅方向に向け
   た通孔を形成した請求項第１項記載のゴムクローラ用芯
   金。