JP2000233969A - Itoスパッタリングターゲットおよび透明導電膜の製造方法 - Google Patents

Itoスパッタリングターゲットおよび透明導電膜の製造方法

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JP2000233969A
JP2000233969A JP11077258A JP7725899A JP2000233969A JP 2000233969 A JP2000233969 A JP 2000233969A JP 11077258 A JP11077258 A JP 11077258A JP 7725899 A JP7725899 A JP 7725899A JP 2000233969 A JP2000233969 A JP 2000233969A
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ito
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oxygen
sputtering target
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JP11077258A
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Hideki Teraoka
秀樹 寺岡
Kenichi Ito
謙一 伊藤
Kentaro Uchiumi
健太郎 内海
Yuichi Nagasaki
裕一 長崎
Tsutomu Takahata
努 高畑
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノジュールの発生を抑制でき、Inによる
パーティクルの発生を低減できるとともに、酸素との反
応性が高いスパッタリング方法においても、最少の抵抗
値が得られる最適酸素濃度の制御が容易なITO焼結体
を提供する。 【解決手段】 実質的にIn、Sn、及びOからなり、
焼結密度が7.08g/cm3以上、バルク抵抗率が8
0μΩcm〜100μΩcm、O/(In+Sn+O)が1
7.5%以下(重量比)、かつIn4Sn312相の(2
20)面のX線回折ピークの積分強度が、In23相の
(211)面のX線回折ピークの積分強度の30%以下
であるITO焼結体であり、該焼結体は、In、Sn及
びOからなる成形体を焼結する際、焼結温度が1400
℃以上となったとき、焼結雰囲気を酸化性雰囲気から非
酸化性雰囲気へと切り換えることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明導電膜製造の
際に使用されるITOスパッタリングターゲットおよび
透明導電膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ITO(Indium Tin Oxi
de)薄膜は高導電性、高透過率といった特徴を有し、
更に微細加工も容易に行えることから、フラットパネル
ディスプレ用表示電極、太陽電池用窓材、帯電防止膜等
の広範囲な分野に渡って用いられている。特に液晶表示
装置を始めとしたフラットパネルディスプレイ分野では
近年大型化及び微細化が進んでおり、その表示用電極で
あるITO薄膜に対する需要も又急速に高まっている。
【0003】このようなITO薄膜の製造方法として
は、薄膜の大面積化が容易でかつ高性能の膜が得られる
スパッタリング法が主流である。スパッタリングターゲ
ットとしては金属インジウムおよび金属スズからなる合
金(IT)ターゲット、あるいは酸化インジウムと酸化
スズとを含んでなる複合酸化物(ITO)ターゲットが
用いられている。このうち、ITOターゲットを用いる
方法は、ITターゲットを用いる方法と比較して得られ
た膜の抵抗値および透過率の経時変化が少なく成膜条件
のコントロールが容易であるため、ITO薄膜製造法の
主流となっている。
【0004】ITOターゲットをアルゴンガスと酸素ガ
スとの混合ガス雰囲気中で連続してスパッタリングした
場合、積算スパッタリング時間の増加と共にターゲット
表面にはノジュールと呼ばれる黒色の付着物が析出す
る。インジウムの低級酸化物と考えられているこの黒色
の付着物は、ターゲットのエロージョン部の周囲に析出
するため、スパッタリング時の異常放電の原因となりや
すく、またそれ自身が異物(パーティクル)の発生源と
なることが知られている。
【0005】その結果、連続してスパッタリングを行う
と、形成された薄膜中に異物欠陥が発生し、これが液晶
表示装置等のフラットパネルディスプレイにおける製造
歩留まり低下の原因となっていた。特に近年、フラット
パネルディスプレイの分野では、高精細化が進んでお
り、このような薄膜中の異物欠陥は素子の動作不良を引
き起こすといった問題を有していた。
【0006】ところで、ITOターゲットを用いてIT
O薄膜の成膜を行う場合、スパッタリングガス中の酸素
濃度が低すぎると、InOなどの高比抵抗物質が生成し
膜の抵抗率が増加し、酸素濃度が高すぎるとキャリアと
して働く酸素空孔が減少し、膜の抵抗率が増加するとい
う傾向がある。従ってITOターゲットを用いたスパッ
タリングにおいては、スパッタリング中の酸素濃度を抵
抗率の低い薄膜が得られる条件に制御する必要があり、
この時の酸素濃度を最適酸素濃度と呼ぶ。
【0007】ところが、近年用いられている高密度IT
Oターゲットでは、密度増加を目的として焼結体製造時
に、炉内へ酸素を多量に導入するため、焼結体中の酸素
含有量が多くなっている。そのため、成膜時の最適酸素
濃度は低酸素濃度側へ移行している。
【0008】更にITO薄膜の抵抗率を低下させるスパ
ッタリング方法として、低放電電圧スパッタリング法が
採用されている。この方法により、成膜中の酸素の反応
性が高くなり、スパッタリングガスとして導入する最適
酸素濃度が低くなる傾向にある。
【0009】ITO透明導電膜の抵抗率は酸素濃度に敏
感であるため、最適酸素濃度が小さくなればなるほど抵
抗率の制御は難しくなるという問題点があった。特に前
述のような多量の酸素を含有する高密度ターゲットを用
いて、上述のような低電圧スパッタリング法を用いて成
膜した場合、最適酸素濃度は極めて小さくなり、酸素濃
度の制御性の問題は大きくなっている。
【0010】このため、ITOターゲットの密度を高い
値に維持しながら、ターゲット中の酸素含有量を減少さ
せたターゲット(以下還元ターゲットと略する)の検討
も行われている。還元ターゲットを得る方法として、例
えば、 低密度な焼結体を真空中等の無酸素状態で再熱処理す
る方法(例えば、特開平3−44465号公報等) In23とSnO2を主成分としそこにIn、Sn,
In−Sn合金の何れかを混合し、真空中等の非酸化性
ガス雰囲気においてホットプレスを用いて還元ターゲッ
トを作製する方法(例えば、特開平5−222526号
公報等) 相対密度88%以上で酸素含有量が15.5〜17.
0重量%のITO焼結体を得る方法(例えば、特開平1
0−158827号公報等) 等が、知られている。しかしながら、これらの方法で得
られた焼結体からなるターゲットは、焼結密度が未だ十
分でなかったり、製造工程の複雑化・コストアップを招
いたりする等の更なる検討課題を有していた。
【0011】さらに、上記ノジュールに起因するパーテ
ィクルとは別に、近年、ターゲットの酸化インジウムが
著しく還元されるために発生する金属インジウムによる
パーティクルの発生が問題視されている。この金属イン
ジウムは、数μmから十数μmのサイズを有しており、
基板に付着することによりフラットパネルディスプレイ
等の歩留まりを低下させてしまう。発生原因についての
詳細は明らかではないが、何らかの原因でターゲットの
一部が何らかの原因で金属状態まで還元されたものと考
えられている。この金属インジウムによるパーティクル
の発生も特に解決すべき重要な課題となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ノジュールの発生を劇
的に抑制でき、金属インジウムによるパーティクルの発
生を低減できるとともに、酸素との反応性が高い近年の
スパッタリング方法においても、最少の抵抗値が得られ
る最適酸素濃度の制御が容易なスパッタリングターゲッ
ト及びITO透明導電膜の製造方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ITO焼
結体の密度、酸素含有量及び抵抗率がノジュール発生状
況及び最適酸素濃度範囲に及ぼす影響について鋭意検討
を行い、焼結中に焼結炉内の雰囲気を酸化性雰囲気から
非酸化性雰囲気に切り換える事により、焼結体の密度、
酸素含有量、抵抗率およびIn4Sn312の中間化合物
相の割合を自由に制御することが可能であるとの知見を
得た。
【0014】この知見を基に更に検討を進め、ITO焼
結体の密度が7.08g/cm3以上で、酸素含有量が
O/(In+Sn+O)で17.5wt%以下とさせ、
バルク抵抗率を80μΩcm以上100μΩcm以下で、酸
化インジウムと酸化スズの中間化合物であるIn4Sn3
12相の(220)面のX線回折ピークの積分強度が、
In23相の(211)面のX線回折ピークの積分強度
の30%以下のITO焼結体からなるスパッタリングタ
ーゲットを用いることにより、ノジュール発生を抑制す
るとともに金属インジウムによるパーティクルの発生を
低減し、且つ最適酸素濃度の制御を容易にし、近年主流
となっている低放電電圧スパッタリング法においても抵
抗率の低いITO薄膜が容易に得られることを見出し
た。
【0015】また、上記記載のスパッタリングターゲッ
トは、実質的にIn、SnおよびOからなる粉末を成形
した後、該成形体を1400℃以上で焼結するITO焼
結体の製造工程において、焼結炉内で焼結する際に焼結
炉内の温度が1400℃以上の時に、焼結中の雰囲気を
酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気に切り換えることによ
り、 ITO焼結体のバルク抵抗率、密度、酸素含有量
の制御を容易にし、しかも製造コスト及び製造設備に大
きな負担がかからず多数のターゲットを同時に製造でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明のITO焼結体は、密度が7.08
g/cm3以上、酸素含有量がO/(In+Sn+O)
で17.5wt%以下、バルク抵抗率が80μΩcm以上
100μΩcm以下、酸化インジウムと酸化スズの中間化
合物であるIn4Sn312相の(220)面のX線回折
ピークの積分強度が、In23相の(211)面のX線
回折ピークの積分強度の30%以下であることを特徴と
する。
【0018】本発明でいうIn4Sn312相の(22
0)面のX線回折ピークとは、X線管球のターゲットが
CuであるX線回折装置を用いた時に、2θ=50.7
°(d値が1.797)付近に現れるピークである。
【0019】一方、In23相の(211)面のX線回
折ピークとは、上記と同様のX線回折装置を用いた時
に、2θ=21.4°(d値が4.151)付近に現れ
るピークである。
【0020】In4Sn312相の(220)面のX線回
折ピークの積分強度は、In23相の(211)面のX
線回折ピークの積分強度の30%以下、好ましくは25
%以下である。この積分強度比が30%を越えると、バ
ルク抵抗率が高くなり、スパッタリング中に金属インジ
ウムに起因するパーティクルが増加するおそれがあり、
好ましくない。
【0021】本発明のITO焼結体のは、酸素含有量と
しては、重量比で17.5%以下、好ましくは、17.
3%以下である。酸素含有量が、17.5%を越える
と、スパッタリング時に最小の抵抗値が得られる最適酸
素濃度が狭くなり、抵抗率の制御が難しくなるおそれが
あり、好ましくない。
【0022】上述のようなITO焼結体は、例えば、以
下のような製造方法により製造することができる。
【0023】ITO焼結体の原料としてはIn23粉末
及びSnO2粉末を用いることができる。焼結体の密度
を高めるため、ボールミル等の粉砕装置を用いてIn2
3粉末及びSnO2粉末を、最大粒径が1μm以下、メ
ジアン径が0.4μm以下に粉砕しておくことが望まし
い。尚本発明でいう粒径とは2次粒径を意味し、メジア
ン径とは粒度の体積での累積分布の50%に相当する粉
末の粒子径を意味する。
【0024】混合粉末中のSnO2含有量は、スパッタ
リングによりITO薄膜を形成した際に抵抗率が最も低
下する5〜15wt%とすることが望ましい。こうする
ことによりSnの含有量がSn/(Sn+In)の原子
比で4.5〜14%である焼結体が得られる。
【0025】こうして得られた粉末を次にプレス法ある
いは鋳込み法等の成形方法により成形してITO成形体
を製造する。プレス成形により成形体を製造する場合に
は所定の大きさの金型に前記粉末を充填した後、プレス
機を用いて100〜300kg/cm2の圧力でプレス
を行い成形体とする。一方、鋳込み成形により成形体を
製造する場合には粉末を水、バインダーおよび分散材と
共に混合してスラリー化し、鋳込み成形用の型の中へ注
入して成形体を製造する。
【0026】次に、得られた成形体は必要に応じて冷間
等方圧プレス(CIP)による圧密化処理を行う。この
際CIPの圧力は十分な圧密効果を得るため2ton/
cm2以上であることが望ましい。
【0027】このようにして得られた成形体を焼結炉内
で焼結する。焼結炉内の雰囲気は、高密度化のために室
温から少なくとも1400℃までは酸化性雰囲気とし、
1400℃以上においては還元効果を得るために、雰囲
気を酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気に切り換える。こ
の雰囲気切り換えにより超高密度でしかも還元された抵
抗率の低いターゲットが得られる。
【0028】酸化性雰囲気としては、酸素濃度が20v
ol.%以上あればよく、具体的には、大気雰囲気、大
気加圧雰囲気、純酸素雰囲気または酸素加圧雰囲気を例
示することができる。また、純酸素雰囲気焼結時には純
酸素ガスを線速2.5cm/min.以上で焼結炉内に
導入することがより望ましい。酸素加圧雰囲気は操業安
全性を考え、ゲージ圧で1気圧以下とすることが望まし
い。
【0029】非酸化性雰囲気としては、真空雰囲気、不
活性ガス雰囲気、または窒素ガス雰囲気とすることが望
ましい。不活性ガス雰囲気或いは窒素ガス雰囲気焼結時
には導入ガスを線速2.5cm/min.以上で焼結炉
内に導入することがより望ましく、そのときの圧力は、
ゲージ圧で1気圧以下とすることが好ましい。
【0030】焼結温度が1400℃以上、好ましくは1
450℃以上のときに酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気
へと切換えることにより、高密度化と還元作用による酸
素欠陥の増加が同時に起こり、高密度でしかも酸素欠陥
が多くバルク抵抗の低い焼結体が得られる。焼結炉内の
温度が1400℃未満で酸化性雰囲気から非酸化性雰囲
気に切り換えた場合、十分な焼結体密度(相対密度99
%以上)が得ることが難しいときがある。
【0031】1400℃以上で酸化性雰囲気から非酸化
性雰囲気へ切り替えた後は、切り替えたときの温度をそ
のまま焼結温度として維持してもよいし、さらに所望の
焼結温度まで昇温することもできる。焼結時間として
は、所望の焼結温度に達してから、3時間以上保持する
ことが好ましい。
【0032】このように焼結雰囲気を連続的に焼結中に
切換るため、製造コスト及び製造設備に大きな負担をか
けることなく、しかも積極的に還元を行っているため、
ITO焼結体中の酸素含有量、バルク抵抗率の制御も容
易に行うことが可能となった。
【0033】以上の方法により、バルク抵抗率が80μ
Ωcm以上100μΩcm以下、且つ密度が7.08g/c
3以上、且つ酸素含有量が17.5wt%以下で、か
つ酸化インジウムと酸化スズの中間化合物であるIn4
Sn312相の(220)面のX線回折ピークの積分強
度が、In23相の(211)面のX線回折ピークの積
分強度の30%以下のITOを結体を得ることができ
る。
【0034】このようにして得られたITO焼結体は、
所望の形状に研削加工してスパッタリングターゲットと
する。このITO焼結体は従来のITO焼結体に比べて
硬度が高く、研削加工中に焼結体内部にクラックを生じ
易いので、加工は湿式加工で行うことが望ましい。
【0035】また、スパッタリング面については、湿式
加工後の表面に残存する細かい加工傷を除去するため、
必要に応じてアルミナスラリーを用いて鏡面研磨を施し
ても良い。得られた加工済みのITO焼結体は、インジ
ウム半田等を用いて無酸素銅等からなるバッキングプレ
ートにボンディングすることにより容易にターゲット化
することができる。
【0036】得られたターゲットをスパッタリング装置
内に設置し、アルゴンなどの不活性ガスと必要に応じて
酸素ガスとをスパッタリングガスとして用い、dcまた
はrf電界を印加してスパッタリングを行うことによ
り、ガラス基板やフィルム基板上にITO薄膜を得るこ
とができる。
【0037】本発明の製造方法より得られたターゲット
は、ノジュール発生を抑制するとともに金属インジウム
によるパーティクルの発生を低減することができる。
【0038】また、酸素含有量が少なく、成膜時にター
ゲットから放出される酸素量が少ないため、スパッタリ
ングガスとして導入する酸素量は多くなり、その結果、
最適酸素濃度は高酸素側へ移行するため、酸素濃度によ
る抵抗率の制御が容易になる。更に低放電スパッタリン
グ法においても、安定して成膜を行えるので、低抵抗I
TO透明導電膜を容易に製造することができる。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本
発明で規定した密度はアルキメデス法により測定した値
を用い、バルク抵抗率は四探針法による測定値を用い
た。酸素含有量については、エレクトロンプローブマイ
クロアナライザー(EPMA)の定量分析値を用いた。
【0040】また、X線粉末回折スペクトルは、以下の
条件で測定した。
【0041】 X線源:Cukαを用い、Kα1のみによる回折ピーク パワー:50kV、200mA 測定法:2θ/θ、連続スキャン スキャンスピード:2度/分(スキャン範囲(2θ):
20〜60度) 実施例1 それぞれの最大粒径が1μm以下、メジアン径が0.4
μm以下の酸化インジウム粉末900g及び酸化スズ粉
末100gをポリエチレン性のポットに入れ、乾式ボー
ルミルにより72時間混合し、混合粉末を作製した。こ
の混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力で
プレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/c
2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。
【0042】次にこの成形体を以下の条件で焼結した。
【0043】昇温速度:50℃/hr 焼結温度:1500℃ 保持時間:5時間 降温速度:100℃/hr 焼結雰囲気:1500℃到達時に酸素雰囲気から窒素雰
囲気に切り換え。
【0044】得られた焼結体のバルク抵抗率を四探針法
により測定したところ91μΩcmであった。この焼結
体の密度をアルキメデス法で測定したところ7.13g
/cm3であった。焼結体の酸素含有量はEPMAの定
量分析をおこなったところ17.3wt%であった。I
4Sn312相の(220)面のX線回折ピークの積分
強度は、In23相の(211)面のX線回折ピークの
積分強度の30%であった。
【0045】得られた焼結体を100mm×180mm
×6mmtに加工し、インジウム半田を用いて無酸素銅
製のバッキングプレートにボンディングしてターゲット
とした。このターゲットを用いて以下の条件で成膜評価
を行った。
【0046】装置:DCマグネトロンスパッタ装置 磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、水平
成分) 基板温度:200℃ スパッタリングガス:Ar、Ar+O2 スパッタリングガス圧:5mTorr O2/Ar:0.0〜1.0% DCパワー:600W 膜厚:500Å ノジュールの発生状況については30kWhr連続放電
させた時のターゲット表面のノジュール発生状況につい
て相対的に評価した。最適酸素濃度範囲の評価には、I
TO薄膜の抵抗率が155μΩcm以下である酸素濃度
(O2/Ar)の範囲を用いた。
【0047】ノジュールの発生はほとんど見られず、尚
且つ最適酸素濃度範囲は0.2〜0.7(O2/Ar
%)であり、比較的高酸素濃度領域においてしかも広い
範囲で低抵抗率のITO膜が得られた。結果を表1にま
とめる。また、100mm×180mmの基板上に得ら
れたITO膜を検査したところ、金属インジウムに起因
するパーティクルは認められなかった。
【0048】実施例2 焼結雰囲気切換条件を、1400℃到達時に酸素雰囲気
から窒素雰囲気に切り換えたこと以外は、実施例1と同
様に実施した。
【0049】得られた焼結体のバルク抵抗率を四探針法
により測定したところ80μΩcmであった。この焼結
体の密度をアルキメデス法で測定したところ7.08g
/cm3であった。焼結体の酸素含有量はEPMAの定
量分析をおこなったところ17.2wt%であった。I
4Sn312相の(220)面のX線回折ピークの積分
強度は、In23相の(211)面のX線回折ピークの
積分強度の25%であった。
【0050】ノジュールの発生はほとんど見られず、尚
且つ最適酸素濃度範囲は0.3〜0.9(O2/Ar
%)であり、比較的高酸素濃度領域においてしかも広い
範囲で低抵抗率のITO膜が得られた。ノジュール発生
状況、最適酸素濃度範囲の評価方法は、実施例1と同様
の方法で行った。結果を表1にまとめる。また、100
mm×180mmの基板上に得られたITO膜を検査し
たところ、金属インジウムに起因するパーティクルは認
められなかった。
【0051】比較例1 焼結雰囲気を酸素雰囲気のみで行ったこと以外は実施例
1と同様に実施した。得られた焼結体のバルク抵抗率を
四探針法により測定したところ160μΩcmであっ
た。この焼結体の密度をアルキメデス法で測定したとこ
ろ7.14g/cm3であった。焼結体の酸素含有量は
EPMAの定量分析をおこなったところ17.6wt%
であった。In4Sn312相の(220)面のX線回折
ピークの積分強度は、In23相の(211)面のX線
回折ピークの積分強度の38%であった。
【0052】ノジュールの発生はほとんど見られなかっ
たが、最適酸素濃度範囲は0.0〜0.2(O2/Ar
%)と比較的低酸素濃度領域においてしかも狭い範囲で
しか低抵抗率のITO膜が得られなかった。ノジュール
発生状況、最適酸素濃度範囲の評価方法は、実施例1と
同様の方法で行った。結果を表1にまとめる。また、1
00mm×180mmの基板に得られたITO膜を検査
したところ、金属インジウムに起因するパーティクルが
5個存在した。
【0053】比較例2 焼結雰囲気切換を1300℃到達時に酸素雰囲気から窒
素雰囲気に切り換えたこと以外は実施例1と同様に実施
した。
【0054】得られた焼結体のバルク抵抗率を四探針法
により測定したところ100μΩcmであった。この焼
結体の密度をアルキメデス法で測定したところ6.50
g/cm3であった。焼結体の酸素含有量はEPMAの
定量分析をおこなったところ17.2wt%であった。
In4Sn312相の(220)面のX線回折ピークの積
分強度は、In23相の(211)面のX線回折ピーク
の積分強度の28%であった。
【0055】最適酸素濃度範囲は0.2〜0.5(O2
/Ar%)と比較的高酸素濃度領域においてしかも広い
範囲で低抵抗率のITO膜が得られたが、ノジュールは
多量に発生した。結果を表1にまとめる。また、100
mm×180mmの基板上に得られたITO膜を検査し
たところ、金属インジウムに起因するパーティクルは認
められなかった。
【0056】比較例3 焼成温度を1400℃、焼成雰囲気を酸素雰囲気のみで
行ったこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0057】得られた焼結体のバルク抵抗率を四探針法
により測定したところ160μΩcmであった。この焼
結体の密度をアルキメデス法で測定したところ6.73
g/cm3であった。焼結体の酸素含有量はEPMAの
定量分析をおこなったところ16.5wt%であった。
In4Sn312相の(220)面のX線回折ピークの積
分強度は、In23相の(211)面のX線回折ピーク
の積分強度の35%であった。
【0058】最適酸素濃度範囲は0.3〜0.9(O2
/Ar%)と比較的高酸素濃度領域においてしかも広い
範囲で低抵抗のITO膜が得られたが、ノジュールは多
量に発生した。なお、ノジュールの発生状況、最適酸素
濃度範囲の評価方法は、実施例1と同様の方法で行っ
た。また、100mm×180mmの基板に得られたI
TO膜を検査したところ、金属インジウムに起因するパ
ーティクルが5個存在した。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、ノジ
ュールの発生を大きく抑制できるとともに、金属インジ
ウムによるパーティクルの発生においても低減の効果を
得た。また、酸素との反応性が高い近年のスパッタリン
グ方法においても、最少の抵抗値が得られる最適酸素濃
度の制御が容易に行えることにより、 ITO透明導電
膜の製造を容易に行うことができた。
フロントページの続き (72)発明者 高畑 努 神奈川県横浜市青葉区あかね台1―4―5 Fターム(参考) 4G030 AA34 AA39 BA02 GA22 GA25 GA26 GA27 4K029 AA09 AA25 BA45 BA47 CA05 DC05 DC09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にIn、SnおよびOからなる粉
    末を成形した後、該成形体を酸化性雰囲気中で焼結する
    ITO焼結体からなるスパッタリングターゲットの製造
    方法おいて、焼結温度が1400℃以上となったとき
    に、焼結雰囲気を酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気へと
    切り換えることを特徴とする、ITOスパッタリングタ
    ーゲットの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化性雰囲気が大気雰囲気、大気加圧雰
    囲気、酸素雰囲気または酸素加圧雰囲気であることを特
    徴とする請求項1に記載のITOスパッタリングターゲ
    ットの製造方法。
  3. 【請求項3】 非酸化性雰囲気が真空雰囲気、不活性ガ
    ス雰囲気、または窒素ガス雰囲気であることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載のITOスパッタリン
    グターゲットの製造方法。
  4. 【請求項4】 透光性基板上に、実質的にIn、Snお
    よびOからなる透明導電膜をスパッタリング法により形
    成させる透明導電膜の製造方法において、請求項1で得
    られたITOスパッタリングターゲットを用いることを
    特徴とする透明導電膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 実質的にIn、Sn、およびOからな
    り、焼結密度が7.08g/cm3以上、バルク抵抗率
    が80μΩcm以上100μΩcm以下、酸素の含有量がO
    /(In+Sn+O)の重量比で17.5%以下、かつ
    酸化インジウムと酸化スズの中間化合物であるIn4
    312相の(220)面のX線回折ピークの積分強度
    が、In23相の(211)面のX線回折ピークの積分
    強度の30%以下であることを特徴とするITO焼結
    体。
  6. 【請求項6】 焼結体のSnの含有量がSn/(Sn+
    In)の原子比で4.5〜14%であることを特徴とす
    る請求項5に記載のITO焼結体。
  7. 【請求項7】請求項5又は請求項6に記載のITO焼結
    体からなるITOスパッタリングターゲット。
  8. 【請求項8】 透光性基板上に、実質的にIn、Snお
    よびOからなる透明導電膜をスパッタリング法により形
    成させる透明導電膜の製造方法において、請求項7のI
    TOスパッタリングターゲットを用いることを特徴とす
    る透明導電膜の製造方法。
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