JP2000195044A - 磁気記録媒体の製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造装置

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JP2000195044A
JP2000195044A JP10370643A JP37064398A JP2000195044A JP 2000195044 A JP2000195044 A JP 2000195044A JP 10370643 A JP10370643 A JP 10370643A JP 37064398 A JP37064398 A JP 37064398A JP 2000195044 A JP2000195044 A JP 2000195044A
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JP
Japan
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wire
cooling
crucible
heat
magnetic
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JP10370643A
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English (en)
Inventor
Takashi Chiba
隆嗣 千葉
Tsutomu Takeda
勉 武田
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間に亘ってスプラッシュ等を発生するこ
となく磁気記録媒体を製造して生産性に優れる。 【解決手段】 磁性層が形成される非磁性支持体を搬送
しながら冷却する冷却キャンと、上記冷却キャンに対向
して配設され、溶融した磁性材料が充填されるルツボ
と、上記ルツボに対して細線状の磁性材料を順次供給す
るワイヤー供給装置と、上記ワイヤ供給装置を熱から遮
蔽する熱遮蔽手段と、上記ルツボ内に充填された磁性材
料に対して電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と
を備えることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルツボ内で溶融す
る磁性材料を非磁性支持体上に蒸着することにより磁性
層を形成する磁気記録媒体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ビデオテープレコーダ等の分野
においては、高画質化を図るために高密度記録化が一層
強く要求されている。これに対応する磁気記録媒体とし
て、金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成技術(真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法
等)により、直接非磁性支持体上に被着せしめて磁性層
を形成する、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が
ある。
【0003】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保
磁力、角形比及び短波長領域における電磁変換特性に優
れるばかりでなく、磁性層の薄膜化が可能であり、加え
て塗布型の磁気記録媒体のように結合剤等の非磁性材料
を磁性層に含ませなくてよいことから磁性材料の充填密
度を高くできること等、数々の利点を有している。
【0004】中でも真空蒸着法によって磁性層が形成さ
れる蒸着タイプの磁気テープ(蒸着テープ)は、生産効
率が高く特性も安定していることから、既に実用化され
ている。
【0005】ところで、上記蒸着テープにおいて、磁性
層を形成するための蒸着は、真空槽内に、非磁性支持体
を案内する円筒キャンと、蒸着源となる磁性材料と、蒸
着源を加熱するための加熱手段等を有する蒸着装置によ
って行われる。
【0006】具体的に、蒸着装置は、図4に示すよう
に、非磁性支持体であるべ一スフィルム100を外周表
面に走行させながら支持する円筒状の冷却キヤン101
と、この冷却キャン101に対向して配設されたルツボ
102と、このルツボ102内に収容された蒸着源であ
るCo−Ni系の強金属磁性材料等からなる磁性材料1
03と、ベースフィルム100の所定範囲を被う入射角
制限マスク104と、磁性材料103を蒸発させる電子
ビーム銃105とが、真空層106内に配置されて構成
される。
【0007】この蒸着装置では、電子ビーム銃105か
ら放出される電子ビームが蒸着源となる磁性材料103
に照射されることによって、当該磁性材料103を蒸発
させる。これにより、蒸発した磁性材料は、粒子状とな
ってベースフィルム102上に被着され、蒸着膜として
形成される。
【0008】また、この蒸着装置では、長時間に亘って
蒸着を行うような場合、ルツボ102内に収容された磁
性材料103を所定量に維持するため、上述したように
蒸着膜を形成すると同時に、ルツボ102内に磁性材料
103を順次供給している。この磁性材料103を供給
する手法としては、(1)磁性体を直径10mm以下程
度の細線状に形成してなるワイヤーをルツボ102に連
続的に供給する手法、(2)磁性体を直径約10mm程
度で長さ数十mm程度に形成してなるペレットを一定の
間隔でルツボ102に供給する手法、(3)磁性体を直
径60〜80mm程度の棒状に形成してなるロッドをル
ツボ102の下部又は側面から連続的に供給する手法等
を挙げることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような蒸着装置では、長時間に亘って蒸着を行うに際
して、生産性良く蒸着テープを作製することができない
といった問題点があった。これは、ルツボ102内で溶
融する磁性材料103が跳ね上がってしまう、いわゆ
る、スプラッシュが発生してしまったり、上述したよう
な磁性材料を供給する磁性体供給装置等が熱負けしてし
まうためである。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、長時間に亘ってスプラッ
シュ等を発生することなく磁気記録媒体を製造する、生
産性に優れた磁気記録媒体の製造装置を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成した本
発明に係る磁気記録媒体の製造装置は、磁性層が形成さ
れる非磁性支持体を搬送しながら冷却する冷却キャン
と、上記冷却キャンに対向して配設され、溶融した磁性
材料が充填されるルツボと、上記ルツボに対して細線状
の磁性材料を順次供給するワイヤー供給装置と、上記ワ
イヤ供給装置を熱から遮蔽する熱遮蔽手段と、上記ルツ
ボ内に充填された磁性材料に対して電子ビームを照射す
る電子ビーム照射手段とを備えることを特徴とするもの
である。
【0012】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体の製造装置では、熱遮蔽手段によって、細線状
の磁性材料を供給するワイヤ供給装置に対して印加され
る熱を遮蔽している。また、この磁気記録媒体の製造装
置では、ルツボ内に充填された溶融状態の磁性材料に、
細線状の磁性材料を順次供給しているため、スプラッシ
ュの発生が低減されている。このため、この磁気記録媒
体の製造装置では、長時間に亘って蒸着膜を形成するこ
とができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の製造装置の具体的な実施の形態について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0014】本実施の形態に示す磁気記録媒体の製造装
置は、図1に示すような、いわゆる真空蒸着法に用いら
れる真空蒸着装置1である。
【0015】この真空蒸着装置は、上端部及び下端部に
形成された一対の排気口2a,2bを有する真空室3
と、この真空室3内に配設され図中の時計回りに回転す
る供給ロール4と、図中の時計回り方向に回転する巻取
りロール5が設けられ、これら供給ロール4から巻取り
ロール5に帯状の非磁性支持体6が順次走行するように
なされている。そして、この真空蒸着装置1は、略帯状
に形成された非磁性支持体6の一主面に順次金属磁性膜
を、蒸着によって成膜するものである。ここで、非磁性
支持体6としては、ポリエチレンテレフタレート等のポ
リエステル類、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリ
オレフィン類、セルローストリアセテート,セルロース
ジアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセ
ルロース誘導体、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン
等のビニル系樹脂、ポリカーボネート,ポリイミド,ポ
リアミド,ポリアミドイミド等のプラスティック等を例
示できる。
【0016】これら供給ロール4から巻取りロール5側
に上記非磁性支持体6が走行する中途部には、供給ロー
ル4及び巻取りロール5の径よりも大径となされた冷却
キャン7が設けられている。この冷却キャン7は、上記
非磁性支持体6を図中右方に引き出すように設けられ、
図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。尚、
上記供給ロール4,巻取りロール5及び冷却キャン7
は、それぞれ非磁性支持体6の幅と略同じ長さからなる
円筒状をなすものであり、また冷却キャン7には、内部
に図示しない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体6
の温度上昇による変形等を抑制し得るようになされてい
る。なお、この冷却キャン7の温度は例えば−25℃程
度に設定される。
【0017】さらに、供給ロール4と冷却キャン7の間
及び冷却キャン7と巻取りロール5の間には、それぞれ
ガイドロール8が設けられ、供給ロール4、冷却キャン
7、巻取りロール5に亘って走行する非磁性支持体6に
所定のテンションがかけられ、非磁性支持体6が円滑に
走行するようになされている。
【0018】また、真空槽3内には、冷却キャン7に対
して、図中の右側斜め下方にルツボ9が設けられ、この
ルツボ9内に金属磁性材料が蒸着源10として充填され
ている。この金属磁性材科としては、通常の蒸着テープ
に使用されるものであれば、如何なるものであっても良
い。例示すれば、Fe,Co,Ni等の強磁性金属、F
e−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,Fe−C
u,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,Fe−C
r,Co−Cr,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co
−Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−Cr,
Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。
【0019】このルツボ9は、冷却キャン7の周面を走
行する非磁性支持体と略等しい幅を有している。このた
め、冷却キャン7の周面を走行する非磁性支持体6で
は、ルツボに対して全幅が対向することができる。
【0020】さらに、真空槽3の側壁部には、ルツボ9
内に充填された蒸着源10を加熱蒸発させるための電子
銃11が取り付けられている。この電子銃11は、当該
電子銃11より放出される電子線12がルツボ9内の蒸
着源10に照射されるような位置に配設される。
【0021】さらにまた、この真空蒸着装置1では、非
磁性支持体6から外れた金属磁性粒子が拡散して真空槽
3の内壁に付着するのを防止する防着板13が設けられ
ている。この防着板13は、冷却キャン7の幅と略等し
い幅を有する板材からなり、真空室3内を、ルツボ9が
配設された側と供給ロール4及び巻取りロール5が配設
された側とに分割している。
【0022】さらにまた、この真空蒸着装置1には、金
属磁性粒子を非磁性支持体6に対して所定の入射角度で
入射するさせるための入射角制限マスク14a,14b
が配設されている。これら入射角制限マスク14a,1
4bは、冷却キャン7とルツポ9との間であって当該冷
却キャン7の近傍に、所定の間隔をもって取りつけられ
ている。
【0023】これら入射角制限マスク14a,14b
は、蒸発源10から飛来する金属磁性材料の入射角度を
規制するためのもので、通常、一方の入射角制限マスク
14aが低入射角度を制限し、他方の入射角制限マスク
14bが高入射角度を制限している。この真空蒸着装置
1では、これら入射角制限マスク14a,14bが冷却
キヤン7の外周表面を定速走行する非磁性支持体6の所
定領域を覆う形で配設されるため、これら入射角制限マ
スク14a,14bにより蒸発した金属磁性材科粒子が
非磁性支持体6に対して所定の角度範囲で斜めに蒸着さ
れるようになっている。具体的に、この真空蒸着装置1
では、金属磁性粒子の入射角を45°となるように入射
角制限マスク14a,14bを配設した。
【0024】さらにまた、真空蒸着装置1には、冷却キ
ャン7と一方の入射角制限マスク14aとの間に、酸素
ガス供給装置15が配設されている。この酸素ガス供給
装置15は、非磁性支持体6の金属磁性粒子が堆積する
部分に酸素ガスを供給する。
【0025】一方、この真空蒸着装置1では、図2に示
すように、ワイヤー状の金属磁性材料をルツボ9内に供
給するワイヤ供給装置16が配設されている。このワイ
ヤ供給装置16は、約10mm以下の細線状に形成され
たワイヤー状の金属磁性材料17(以下、単にワイヤ1
7と呼ぶ。)を複数巻回してなるワイヤ供給ロール18
と、このワイヤ供給ロール18から導出されたワイヤ1
7を所定の送り速度で送出する送出装置19とから構成
されている。
【0026】このワイヤ供給装置16では、ワイヤ17
を直径約600mmのローラ20に巻き付けることによ
って、ワイヤ供給ローラ18を形成し、細線状のワイヤ
17を収納している。このように、真空蒸着装置1で
は、細線状のワイヤ17をローラ19に巻回することに
よって、長時間に亘って使用できる長さを有するワイヤ
17を収納できる。言い換えると、この真空蒸着装置1
では、ローラ20にワイヤ17を複数巻回することによ
って、長時間に亘っての使用が可能となる。
【0027】また、このワイヤ供給装置16において、
送出装置19は、鋳物等からなる一対の送りローラ21
からなり、ワイヤ供給ロール18とルツボ9との間に配
設される。そして、これら一対の送りローラ21の間に
は、上述したワイヤ供給ロール18から導出されたワイ
ヤ17が挟み込まれることになる。一対のローラ21
は、この状態で回転駆動されることによって、ワイヤ1
7をルツボ9に順次供給することができる。
【0028】なお、これら一対の送りローラ21は、そ
れらの間隔がワイヤ17の太さよりもやや大となるよう
に配設されることが好ましい。このように、一対の送り
ローラ21の間隔をワイヤ17よりも大とすることによ
って、熱によりワイヤ17が膨張した場合でも、確実に
ワイヤ17を送出することができる。また、これら一対
の送りローラ21は、耐熱性を有する材料から構成され
ることが好ましい。一対のの送りローラ21に耐熱性を
付与することによって、送出装置19の耐熱性を向上さ
せることができる。
【0029】さらに、この真空蒸着装置1は、送出装置
19を囲うように配設された熱遮蔽装置22を有してい
る。この熱遮蔽装置22は、いわゆる、熱遮蔽板から構
成され、一対の送りローラ21に付加される熱を遮蔽し
ている。ここで、熱遮蔽板としては、真空槽3内の真空
度を等に影響を及ぼさないような材料を選定することが
好ましい。具体的に、熱遮蔽板としては、ステン310
S、セラミック、チタン等の耐熱性材料を例示すること
ができる。また、この熱遮蔽装置21においては、特
に、ルツボ9に対向する側に配される熱遮蔽板の耐熱性
を向上させることが好ましい。
【0030】さらにまた、この真空蒸着装置1には、上
述したワイヤ供給装置16から供給されたワイヤ17を
ルツボ9内に導くためのワイヤガイド23が配設されて
いる。このワイヤガイド23は、ルツボ9と冷却キャン
7の周面を走行する非磁性支持体6との間を除く領域に
配設される。このワイヤガイド23は、当接面が所定の
曲率を有するような小片状に形成されている。
【0031】以上のように構成された真空蒸着装置1
は、供給ロール4から冷却キャン7及び巻取りロール5
へと順次走行する非磁性支持体6に対して金属磁性膜を
成膜する。このとき、真空蒸着装置1は、電子銃11が
駆動して、蒸着源10に対して電子線12が照射され
る。これにより、蒸着源10は、加熱されて溶融し、更
に加熱されることによって蒸発することとなる。
【0032】そして、この真空蒸着装置1では、蒸発し
た蒸着源10が一対の入射角規制マスク14a,14b
の間に形成された開口部から入射して、走行する非磁性
支持体6上に順次堆積する。これにより、非磁性支持体
6上には、金属磁性膜が成膜されることになる。
【0033】このとき、この真空蒸着装置1では、ルツ
ボ9内にワイヤ17を供給することによって、ルツボ9
内に充填される金属磁性材料の量を一定に維持してい
る。すなわち、この真空蒸着装置1では、ルツボ9内に
充填される金属磁性材料の量を一定に保つため、蒸発に
より減少した金属磁性材料に相当する量のワイヤ17を
ルツボ9内に供給している。
【0034】この真空蒸着装置1において、ワイヤ17
は、送出装置19により送出量が制御され、ルツボ9内
に導かれる。このとき、ワイヤ17は、送出装置19か
ら導出されると、ワイヤガイド23の当接面に沿ってル
ツボ9内に導かれる。このワイヤ17は、上述したよう
な約10mm以下の細線状に形成されているため、ワイ
ヤガイド23の当接面に沿って屈曲することができ、容
易にルツボ9内に導かれる。
【0035】このように、ワイヤ17の先端部がルツボ
9内で溶融した金属磁性材料内に浸漬されると、浸漬さ
れた部分のワイヤ17が溶融し、ルツボ9内を充填する
こととなる。これにより、この真空蒸着装置1は、ルツ
ボ9内に、常に溶融した金属磁性材料が充填された状態
を維持することができる。したがって、この真空蒸着装
置1は、非磁性支持体6の長さを非常に長くして長時間
に亘って金属磁性膜を成膜するような場合にも、蒸着源
10たる金属磁性材料が不足してしまうようなことがな
い。このため、この真空蒸着装置1によれば、長時間に
亘って連続して金属磁性膜を成膜することができる。
【0036】この真空蒸着装置1では、ワイヤ17の先
端部が常にルツボ9内の溶融した金属磁性材料中に浸漬
している。このため、ワイヤ17の先端部近傍は、常に
高温に加熱された状態となる。言い換えると、この真空
蒸着層値1では、ルツボ9内で溶融した金属磁性材料の
温度とワイヤ17がの温度との差が小となっている。し
たがって、ワイヤ17がルツボ9内の金属磁性材料中に
供給された場合であっても、スプラッシュを発生させる
ことなく溶融することとなる。
【0037】ところで、上述した真空蒸着装置1におい
て、ルツボ9は、電子線12が照射されて非常に高温度
になっている。また、この真空蒸着装置1では、このル
ツボ9自体の温度だけでなく、その周囲の温度までも非
常に高くなっている。しかしながら、この真空蒸着装置
1では、送出装置19の周囲に熱遮蔽装置21を配設し
ているため、送出装置19に対して熱を遮蔽することが
できる。
【0038】これに対して、従来の真空蒸着装置のよう
に、送出装置に対して高温が加わり続けると、一対の送
りローラを駆動させる駆動手段等が熱の影響を受けて不
安定になってしまう。このような場合、ワイヤを正確に
供給することができないといった不都合が生じるため、
長時間に亘って金属磁性膜を成膜することができなかっ
た。
【0039】ところが、上述した真空蒸着装置1では、
内部の熱が送出装置19に対して遮蔽されているため、
ワイヤ17を常に正確に送り続けることができる。した
がって、この真空蒸着装置1は、長期間に亘って蒸着を
続けた場合でも、確実に非磁性支持体6上に金属磁性膜
を成膜することができる。
【0040】一方、本発明に係る磁気記録媒体の製造装
置は、上述したような熱遮蔽装置21を有するような構
成に限定されるのもではない。すなわち、本発明に係る
磁気記録媒体の製造装置は、図3に示すように、送出装
置19を冷却する冷却装置30を有する真空蒸着装置1
であってもよい。なお、以下の説明において、上述した
真空蒸着装置1と同様な部材に関しては、同一の符号を
付することによって、その構成及び動作の詳細な説明は
省略する。
【0041】この真空蒸着装置1において、冷却装置3
0は、外部に配設された冷却水ポンプ31と、この冷却
ポンプ31に接続され、冷却水が循環する循環流路32
とから構成されている。この冷却装置30は、冷却水を
用いて冷却を行っているが、このような構成に限定され
ず、例えば、冷気等を吹き付けることにより送出装置1
9を冷却するようなものであってもよい。
【0042】このように構成された真空蒸着装置1で
は、ルツボ9に供給されるワイヤ17を溶融した金属磁
性材料に浸漬すると、溶融した金属磁性材料の温度がワ
イヤ17に伝達されるようになる。このため、ワイヤ1
7が非常に高温となるとともにワイヤ17を伝って送出
装置19に温度が達してしまう。しかしながら、この真
空蒸着装置1では、冷却水ポンプ31から供給された冷
却水が循環流路32内を循環することによって、送出装
置19から熱を除去することができる。このため、真空
蒸着装置1では、送出装置19が蓄熱してしまい、動作
が不安定になってしまうといったことが回避される。
【0043】したがって、この真空蒸着装置1では、長
時間に亘って金属磁性膜を成膜した場合であっても、確
実に非磁性支持体6上に金属磁性膜を成膜することがで
きる。この真空蒸着装置1は、非常に長い非磁性支持体
6を使用した場合でも、長時間に亘って蒸着を行うこと
ができ、優れた生産性で磁気記録媒体を製造することが
できる。
【0044】ところで、図2に示したような真空蒸着装
置1は、単に、熱遮蔽装置21を有するような構成であ
ったが、送出装置19に対して接続されて送出装置19
の熱を除去する冷却装置を有するような構成であっても
良い。この場合、冷却装置としては、図3に示した真空
蒸着装置に配設されたようなものであればよい。
【0045】このように、図2に示したような真空蒸着
装置1に、更に冷却装置を備えるような構成とすること
によって、真空蒸着装置1は、真空室3内部の温度が送
出装置19に印加され難いばかりでなく、ワイヤ17を
介して伝達された熱を効率よく除去することができる。
このため、この真空蒸着装置1は、送出装置19がより
耐熱性に優れることとなり、連続蒸着の更なる長時間化
を可能とする。
【0046】なお、この熱遮蔽装置21及び冷却装置を
併せ持つような真空蒸着装置は、図3に示したような冷
却装置30を有するものに熱遮蔽板を取りつけることに
よって構成されてもよい。
【0047】
【実施例】以下、本発明に係る磁気記録媒体の製造装置
の具体的な実施例及び比較例について説明する。
【0048】実施例1 実施例1では、図2に示したような真空蒸着装置を使用
して、非磁性支持体としてポリエチレンテレフタレート
(PET)を用い、金属磁性材料としてCo80Ni20
用いて蒸着を行った。そして、非磁性支持体の蒸着層が
形成された面とは反対側の面にバックコート層が形成さ
れるとともに、蒸着層上にパーフルオロポリエーテルを
塗布し、その後、8ミリ幅に裁断していわゆる8ミリカ
セットに組み込んだ。なお、詳細な条件等は、表1に示
【0049】
【表1】
【0050】実施例2 実施例2では、図3に示したような真空蒸着装置を使用
した以外は、実施例1と同様にして蒸着層を形成した。
【0051】比較例1 比較例1では、直径10mm、長さ12mmとなるよう
に裁断されたペレット状合金を使用し、このペレット状
合金をルツボ内に供給した以外は実施例lと同様にして
蒸着層を形成した。このときのペレット状合金の供給方
法は、ルツポ19の液面19bの高さを一定に保つよう
に、所定の時間間隔でペレット状合金を断続的にルツボ
内に供給した。
【0052】比較例2 比較例2では、直径20mmに加工したロッド状合金を
使用し、このロッド状合金をルツボ内に供給した以外は
実施例1と同様にして蒸着層を形成した。このときのロ
ッド状合金は、ルツポのより連続的に押し出すように供
給することができるものを作製した。また、ロッド状合
金の供給速度は、ルツボの液面の高さが一定となるよう
に設定した。さらに、この比較例2では、ワイヤー供給
装置等の機構を有さないため、真空室内に収まる寸法で
なるべく長いものを採用した。
【0053】比較例3 比較例3では、熱遮蔽板3を設置しない真空蒸着装置を
使用した以外は、実施例1と同様にサンプルテープを製
造した。
【0054】比較例4 比較例4では、実施例2に使用した真空蒸着装置を使用
した以外は、比較例1と同様にして蒸着層を形成した。
【0055】比較例5 比較例5では、実施例2に使用した真空蒸着装置を使用
した以外は、比較例1と同様にして蒸着層を形成した。
【0056】比較例6 比較例6では、冷却装置を有さない真空蒸着装置を使用
した以外は、実施例2と同様にして蒸着層を形成した。
【0057】以上、各実施例及び比較例においては、表
2に示すような金属磁性材料を使用した。
【0058】
【表2】
【0059】そして、上述したような実施例1及び実施
例2と比較例1乃至比較例6とで作製した磁気記録媒体
のドロップアウトを測定した。このドロップアウトの測
定には、ソニー社製(商品名;ハイバンド8ミリビデオ
デッキEV一S900)を改造したものを使用した。そ
して、再生出力レベルから−16dBより低下した時間
が10μsec以上続いた回数をドロップアウトとして
測定した。測定は、10分間行い、1分間当たりの平均
値をドロップアウトの個数とした。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】この表3から明らかなように、実施例1及
び実施例2で作製した磁気記録媒体は、ドロップアウト
の個数が非常に少なく、また、連続蒸着可能時間も大幅
に向上している。
【0062】これに対して、比較例1及び比較例4で
は、ペレット状合金をルツボに供給する時にルツボの液
面からスプラシュが発生し、その飛沫が非磁性支持体に
まで到達して、熱負けが発生しているものもある。これ
は磁性層の完全な欠落となり製品品質上問題となるレベ
ルである。また、目視状態では良く確認できないものの
顕微鏡観察で確認できる程度の微少な熱負けが多数発生
しいることもわかり、その結果、比較例1では、ドロッ
プアウトの個数が多くなっている。さらに、所定の寸法
を有するペレット状合金は、原料金属を加熱溶解した
後、一度線合金を引き延ばし、更に、所定の長さに裁断
するといった工程が必要となり、加工プロセスも多くか
かり、コストが高い。
【0063】さらに、比較例2比較例5では、ロッド状
合金をルツボに供給する時に比較例1のようなスプラッ
シュは発生しない。しかしながら、真空室内に収める制
約上、それほど長い寸法のものは使用できず、長時間の
蒸着は不可能である。なお、このときの蒸着可能時間は
実施例1の10分の1程度である。さらに、比較例2及
び比較例5では、溶解液面にロッド状合金を入れるた
め、ロッド状合金を斜め方向から送り込まねばならな
い。そのため、駆動装置の設置も難しく、大がかりなも
のにせざるを得ない。また、ロッド状合金に直接電子ビ
ームを照射してこれを溶解するという方法もあるが、蒸
着レートが不安定になりやすいために好ましくない。
【0064】さらにまた、比較例3及び比較例6では、
ワイヤー状の合金の供給が連続的でつねにルツボ内に溶
けている合金と供給合金が接続状態であるために、蒸着
時のスプラッシュ等の飛沫が発生する問題がない。ま
た、ワイヤー状のためガイドを付ければルツボ内への誘
導も容易で、駆動装置の設置場所も比較例2ほどの制約
はない。しかしながら、比較例3及び比較例6では、熱
遮蔽装置や冷却装置を使用していないため、ルツボから
発生する熱によりワイヤ駆動装置が不安定或いは駆動不
可能となってしまう。このため、比較例3及び比較例6
では、連続蒸着可能時間が短くなっている。
【0065】このように、真空蒸着装置は、ワイヤ駆動
装置に熱遮蔽装置や冷却装置を配設することにより、ス
プラシュを発生させずに長時間に亘って蒸着を行うこと
ができる。したがって、本発明によれば、優れた生産性
で、信頼性の向上した磁気記録媒体を製造することがで
きる。
【0066】なお、実施例l及び比較例3では、ルツボ
の端部へのワイヤ状合金の供給がルツボの液面に対して
45°の角度としたが、もちろん45°である必要はな
く、真空室の構造等によって任意の角度を持たせても良
い。
【0067】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体の製造装置では、ワイヤ供給装置を熱
から遮蔽する熱遮蔽手段及び/又はワイヤ供給装置を冷
却する冷却手段を有することにより、ワイヤ供給装置が
熱から保護されることになる。このため、この磁気記録
媒体の製造装置は、長時間に亘ってスプラッシュ等を発
生することなく、優れた生産性を示すこととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態として示す真空蒸着装置の
概略構成図である。
【図2】真空蒸着装置のワイヤ供給装置の一例を拡大し
て示す概略構成図である。
【図3】真空蒸着装置のワイヤ供給装置の他の例を拡大
して示す概略構成図である。
【図4】従来の真空蒸着装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 真空蒸着装置、3 真空室、6 非磁性支持体、7
冷却キャン、9 ルツボ、10 蒸着源、11 電子
銃、12 電子線、17 ワイヤ、18 ワイヤ供給ロ
ール、19 送出装置、22 熱遮蔽装置、23 ワイ
ヤガイド、30冷却装置、31 冷却ポンプ、32 循
環回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蟻坂 裕一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BC06 BD11 DB00 DB09 DB15 DB21 JA10 5D112 AA22 FA02 FB13 FB21 FB23 FB25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性層が形成される非磁性支持体を搬送
    しながら冷却する冷却キャンと、 上記冷却キャンに対向して配設され、溶融した磁性材料
    が充填されるルツボと、 上記ルツボに対して細線状の磁性材料を順次供給するワ
    イヤー供給装置と、 上記ワイヤ供給装置を熱から遮蔽する熱遮蔽手段と、 上記ルツボ内に充填された磁性材料に対して電子ビーム
    を照射する電子ビーム照射手段とを備えることを特徴と
    する磁気記録媒体の製造装置。
  2. 【請求項2】 上記磁性材料は、棒状又は角形形状であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造
    装置。
  3. 【請求項3】 上記ワイヤ供給装置を冷却する冷却手段
    を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体
    の製造装置。
  4. 【請求項4】 磁性層が形成される非磁性支持体を搬送
    しながら冷却する冷却キャンと、 上記冷却キャンに対向して配設され、溶融した磁性材料
    が充填されるルツボと、 上記ルツボに対して細線状の磁性材料を順次供給するワ
    イヤー供給装置と、 上記ワイヤ供給装置を冷却する冷却手段と、 上記ルツボ内に充填された磁性材料に対して電子ビーム
    を照射する電子ビーム照射手段とを備えることを特徴と
    する磁気記録媒体の製造装置。
  5. 【請求項5】 上記磁性材料は、棒状又は角形形状であ
    ることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体の製造
    装置。
  6. 【請求項6】 上記ワイヤ供給装置を熱から遮蔽する熱
    遮蔽手段を有することを特徴とする請求項4記載の磁気
    記録媒体の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012077375A (ja) * 2010-09-09 2012-04-19 Panasonic Corp 真空蒸着装置

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