JP2000162235A - 加速度・角速度センサ - Google Patents

加速度・角速度センサ

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JP2000162235A
JP2000162235A JP10350727A JP35072798A JP2000162235A JP 2000162235 A JP2000162235 A JP 2000162235A JP 10350727 A JP10350727 A JP 10350727A JP 35072798 A JP35072798 A JP 35072798A JP 2000162235 A JP2000162235 A JP 2000162235A
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JP
Japan
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electrode
piezoelectric element
axis
interdigital
interdigital electrode
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JP10350727A
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English (en)
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Hideki Tamura
英樹 田村
Yoshiro Tomikawa
義郎 富川
Nobumitsu Taniguchi
伸光 谷口
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
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WAKOO KK
Wako KK
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WAKOO KK
Wako KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造を簡略化し、小型で効率の良いセンサを
実現する。 【解決手段】 円板状の圧電素子500の上面に、交差
指状電極X1,X2,Y1,Y2,Z1〜Z4を形成す
る。各交差指状電極は、所定間隔をおいて配置された複
数の指状電極からなる2種類の電極群を交互に並べるこ
とにより構成され、両電極群の間に所定極性の電圧を印
加して分極処理が施される。圧電素子500の下面中央
部には重錘体540が接合され、下面周囲部は台座55
0を介して装置筐体に固定される。電極Z1〜Z4に交
流信号を与えると、重錘体540はZ軸方向に振動す
る。この状態で、X軸まわり又はY軸まわりの角速度ω
x,ωyが作用すると、重錘体540に対してY軸方向
又はX軸方向へのコリオリ力Fy,Fxが作用し、圧電
素子500に撓みが生じる。この撓みは、電極Y1,Y
2又は電極X1,X2に生じる起電力に基づいて検出さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加速度センサおよび
角速度センサに関し、特に、圧電素子の機械的変形に基
づいて加速度および角速度を検出することができるセン
サに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車産業や機械産業などでは、所定軸
まわりの角速度や所定軸方向の加速度を正確に検出でき
る加速度センサや角速度センサの需要が高まってきてい
る。一般に、三次元空間内において自由運動をする物体
には、任意の向きの加速度とともに任意の回転方向の角
速度が作用する。このため、この物体の運動を正確に把
握するためには、XYZ三次元座標系における各座標軸
方向に関する加速度とともに、各座標軸まわりの角速度
を検出する必要がある。特に、XYZ三次元直交座標系
内において、物体の三次元の動きを正確に捉えるために
は、X軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ω
y,Z軸まわりの角速度ωz,X軸方向の加速度αx,
Y軸方向の加速度αy,Z軸方向の加速度αzという合
計6軸に関する角速度および加速度の成分を検出するこ
とが不可欠である。
【0003】このような需要に応えるため、本願発明者
は、たとえば、特許協力条約に基づく国際公開第WO9
4/23272号公報、特開平8−35981号公報、
特開平8−68636号公報、特開平8−94661号
公報、特開平8−226931号公報、特開平8−28
5608号公報などに、圧電素子を用いた角速度センサ
および加速度センサを提案した。これらのセンサでは、
圧電素子に重錘体を接合するか、あるいは圧電素子の一
部を重錘体として利用し、この重錘体に作用する加速度
に基づく力または角速度に基づくコリオリ力を測定する
ことにより、三次元の各軸まわりの角速度や各軸方向の
加速度を検出することができる。ここで、角速度につい
ては、ある物体にX軸まわりの角速度ωxが作用してい
る状態において、この物体をZ軸方向に運動させると、
Y軸方向にコリオリ力Fyが作用するという原理を利用
した検出が行われ、加速度については、ある物体にX軸
方向の加速度αxが作用すると、同じくX軸方向に加速
度に基づく力(ここでは、加速度力と呼ぶことにする)
fxが作用するという原理を利用した検出が行われてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】三次元空間内で運動す
る物体についての角速度・加速度検出という需要は、益
々高まるばかりであり、今後は特に、センサの小型かつ
低価格化が望まれている。しかしながら、これまで実用
化されてきた角速度センサあるいは加速度センサは、圧
電素子の上下両面に電極を形成する必要があり、構造的
にまだまだ複雑な部分が多く、効率の良い小型のセンサ
を作成することが困難であるという問題があった。
【0005】そこで本発明は、構造的により簡略化を図
り、小型で効率の良い加速度センサおよび角速度センサ
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明の第1の態
様は、XYZ三次元座標系における少なくとも一軸方向
に作用する加速度を検出する機能をもった加速度センサ
において、固定部と変位部とを有し、固定部を固定した
状態で変位部に力が作用したときに機械的変形が生じる
圧電素子と、この圧電素子を収容するとともに、固定部
を支持固定する装置筐体と、変位部に形成された重錘体
と、圧電素子の機械的変形が生じる位置に形成された交
差指状電極と、を設け、互いにほぼ平行になるように所
定間隔をおいて配置され、互いに短絡した複数の指状電
極からなる第1の電極群と、互いにほぼ平行になるよう
に所定間隔をおいて配置され、互いに短絡した複数の指
状電極からなる第2の電極群と、によって交差指状電極
を構成し、第1の電極群を構成する指状電極と第2の電
極群を構成する指状電極とを交互に並ぶように配置する
ようにし、圧電素子には、第1の電極群と第2の電極群
との間に所定極性の電圧を印加することにより分極処理
を施すようにし、重錘体に作用した加速度に基づいて変
位部に力が作用し、圧電素子に機械的変形が生じたとき
に、第1の電極群と第2の電極群との間に加速度に応じ
た起電力が生じるようにしたものである。
【0007】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る加速度センサにおいて、上面が平面をなす
板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として装
置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに重
錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上面
がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義
し、圧電素子の上面のX軸上に、各指状電極がほぼY軸
方向を向くような交差指状電極を配置し、この交差指状
電極に生じる起電力に基づいて、作用した加速度のX軸
方向成分を検出できるようにしたものである。
【0008】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2
の態様に係る加速度センサにおいて、圧電素子の上面の
X軸の正の部分に、各指状電極がほぼY軸方向を向くよ
うな第1の交差指状電極を配置し、圧電素子の上面のX
軸の負の部分に、各指状電極がほぼY軸方向を向くよう
な第2の交差指状電極を配置し、第1の交差指状電極に
生じる起電力と第2の交差指状電極に生じる起電力とに
基づいて、作用した加速度のX軸方向成分およびZ軸方
向成分を検出するようにしたものである。
【0009】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3
の態様に係る加速度センサにおいて、第1の交差指状電
極および第2の交差指状電極の他に、更に、圧電素子の
上面のY軸の正の部分に、各指状電極がほぼX軸方向を
向くような第3の交差指状電極を配置し、圧電素子の上
面のY軸の負の部分に、各指状電極がほぼX軸方向を向
くような第4の交差指状電極を配置し、第1の交差指状
電極に生じる起電力と第2の交差指状電極に生じる起電
力とに基づいて、作用した加速度のX軸方向成分を検出
し、第3の交差指状電極に生じる起電力と第4の交差指
状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速度の
Y軸方向成分を検出し、第1の交差指状電極に生じる起
電力と第2の交差指状電極に生じる起電力とに基づい
て、または、第3の交差指状電極に生じる起電力と第4
の交差指状電極に生じる起電力とに基づいて、または、
第1〜第4の交差指状電極のすべてに生じる起電力に基
づいて、作用した加速度のZ軸方向成分を検出するよう
にしたものである。
【0010】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1
の態様に係る加速度センサにおいて、上面が平面をなす
板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として装
置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに重
錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上面
がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義
し、圧電素子の上面のX軸上に、各指状電極が原点を中
心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような交差指状電
極を配置し、この交差指状電極に生じる起電力に基づい
て、作用した加速度のX軸方向成分を検出できるように
したものである。
【0011】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5
の態様に係る加速度センサにおいて、圧電素子の上面の
X軸の正の部分に、各指状電極が原点を中心とした円弧
にほぼ沿った方向を向くような第1の交差指状電極を配
置し、圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極
が原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような
第2の交差指状電極を配置し、第1の交差指状電極に生
じる起電力と第2の交差指状電極に生じる起電力とに基
づいて、作用した加速度のX軸方向成分およびZ軸方向
成分を検出するようにしたものである。
【0012】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6
の態様に係る加速度センサにおいて、第1の交差指状電
極および第2の交差指状電極の他に、更に、圧電素子の
上面のY軸の正の部分に、各指状電極が原点を中心とし
た円弧にほぼ沿った方向を向くような第3の交差指状電
極を配置し、圧電素子の上面のY軸の負の部分に、各指
状電極が原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向く
ような第4の交差指状電極を配置し、第1の交差指状電
極に生じる起電力と第2の交差指状電極に生じる起電力
とに基づいて、作用した加速度のX軸方向成分を検出
し、第3の交差指状電極に生じる起電力と第4の交差指
状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速度の
Y軸方向成分を検出し、第1の交差指状電極に生じる起
電力と第2の交差指状電極に生じる起電力に基づいて、
または、第3の交差指状電極に生じる起電力と第4の交
差指状電極に生じる起電力に基づいて、または、第1〜
第4の交差指状電極のすべてに生じる起電力に基づい
て、作用した加速度のZ軸方向成分を検出するようにし
たものである。
【0013】(8) 本発明の第8の態様は、XYZ三次
元座標系における少なくとも一軸まわりに作用する角速
度を検出する機能をもった角速度センサにおいて、固定
部と変位部とを有し、固定部を固定した状態で変位部に
力が作用したときに機械的変形が生じる圧電素子と、こ
の圧電素子を収容するとともに、固定部を支持固定する
装置筐体と、変位部に形成された重錘体と、圧電素子の
機械的変形が生じる位置に形成された駆動用交差指状電
極および検出用交差指状電極と、を設け、互いにほぼ平
行になるように所定間隔をおいて配置され、互いに短絡
した複数の指状電極からなる第1の電極群と、互いにほ
ぼ平行になるように所定間隔をおいて配置され、互いに
短絡した複数の指状電極からなる第2の電極群と、によ
って各交差指状電極を構成し、第1の電極群を構成する
指状電極と第2の電極群を構成する指状電極とを交互に
並ぶように配置するようにし、圧電素子には、第1の電
極群と第2の電極群との間に所定極性の電圧を印加する
ことにより分極処理を施し、駆動用交差指状電極を構成
する第1の電極群と第2の電極群との間に、所定の交流
信号を供給することにより、重錘体を所定の軌道に沿っ
て運動させることができるようにし、重錘体の運動中に
作用した角速度に基づいてコリオリ力が発生し、圧電素
子に機械的変形が生じたときに、検出用交差指状電極を
構成する第1の電極群と第2の電極群との間に角速度に
応じた起電力が生じるようにしたものである。
【0014】(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8
の態様に係る角速度センサにおいて、上面が平面をなす
板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として装
置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに重
錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上面
がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義
し、圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極が
ほぼY軸方向を向くような第1の駆動用交差指状電極を
配置し、圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電
極がほぼY軸方向を向くような第2の駆動用交差指状電
極を配置し、圧電素子の上面のY軸の正の部分に、各指
状電極がほぼX軸方向を向くような第3の駆動用交差指
状電極を配置し、圧電素子の上面のY軸の負の部分に、
各指状電極がほぼX軸方向を向くような第4の駆動用交
差指状電極を配置し、第1の駆動用交差指状電極および
第2の駆動用交差指状電極には、重錘体をX軸方向に単
振動させることができるX軸方向励振用交流信号を供給
し、第3の駆動用交差指状電極および第4の駆動用交差
指状電極には、重錘体をY軸方向に単振動させることが
できるY軸方向励振用交流信号を供給し、X軸方向励振
用交流信号とY軸方向励振用交流信号との位相を90°
ずらすことにより、重錘体にXY平面上での円運動を行
わせることができるようにし、重錘体が円運動を行って
いるときに、この円運動軌道の接線方向に直交する方向
に作用したコリオリ力を検出用交差指状電極によって検
出することにより、接線方向およびコリオリ力の方向の
双方に直交する軸まわりの角速度を検出できるようにし
たものである。
【0015】(10) 本発明の第10の態様は、上述の第
8の態様に係る角速度センサにおいて、上面が平面をな
す板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として
装置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに
重錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上
面がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定
義し、圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極
がほぼY軸方向を向くような第1の検出用交差指状電極
を配置し、圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状
電極がほぼY軸方向を向くような第2の検出用交差指状
電極を配置し、駆動用交差指状電極に所定の交流信号を
供給することにより、重錘体をXY平面上で円運動を行
わせることができるようにし、重錘体がX軸を横切ると
きに、第1の検出用交差指状電極および第2の検出用交
差指状電極に生じる起電力に基づいて、Z軸まわりの角
速度を検出できるようにしたものである。
【0016】(11) 本発明の第11の態様は、上述の第
8の態様に係る角速度センサにおいて、上面が平面をな
す板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として
装置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに
重錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上
面がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定
義し、圧電素子の上面に、重錘体のZ軸方向の変位を検
出することができる検出用交差指状電極を配置し、駆動
用交差指状電極に所定の交流信号を供給することによ
り、重錘体をXY平面上で円運動を行わせることができ
るようにし、重錘体がX軸を横切るときに、検出用交差
指状電極に生じる起電力に基づいて、X軸まわりの角速
度を検出し、重錘体がY軸を横切るときに、検出用交差
指状電極に生じる起電力に基づいて、Y軸まわりの角速
度を検出できるようにしたものである。
【0017】(12) 本発明の第12の態様は、上述の第
8の態様に係る角速度センサにおいて、上面が平面をな
す板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として
装置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに
重錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上
面がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定
義し、圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極
が原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような
第1の駆動用交差指状電極を配置し、圧電素子の上面の
X軸の負の部分に、各指状電極が原点を中心とした円弧
にほぼ沿った方向を向くような第2の駆動用交差指状電
極を配置し、圧電素子の上面のY軸の正の部分に、各指
状電極が原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向く
ような第3の駆動用交差指状電極を配置し、圧電素子の
上面のY軸の負の部分に、各指状電極が原点を中心とし
た円弧にほぼ沿った方向を向くような第4の駆動用交差
指状電極を配置し、第1の駆動用交差指状電極および第
2の駆動用交差指状電極には、重錘体をX軸方向に単振
動させることができるX軸方向励振用交流信号を供給
し、第3の駆動用交差指状電極および第4の駆動用交差
指状電極には、重錘体をY軸方向に単振動させることが
できるY軸方向励振用交流信号を供給し、X軸方向励振
用交流信号とY軸方向励振用交流信号との位相を90°
ずらすことにより、重錘体にXY平面上での円運動を行
わせることができるようにし、重錘体が円運動を行って
いるときに、この円運動軌道の接線方向に直交する方向
に作用したコリオリ力を検出用交差指状電極によって検
出することにより、接線方向およびコリオリ力の方向の
双方に直交する軸まわりの角速度を検出できるようにし
たものである。
【0018】(13) 本発明の第13の態様は、上述の第
8の態様に係る角速度センサにおいて、上面が平面をな
す板状の圧電素子を用い、その周囲部分を固定部として
装置筐体に固定し、その中心部分を変位部としてここに
重錘体を形成し、圧電素子の上面中心に原点を有し、上
面がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定
義し、圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極
が原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような
第1の検出用交差指状電極を配置し、圧電素子の上面の
X軸の負の部分に、各指状電極が原点を中心とした円弧
にほぼ沿った方向を向くような第2の検出用交差指状電
極を配置し、駆動用交差指状電極に所定の交流信号を供
給することにより、重錘体をXY平面上で円運動を行わ
せることができるようにし、重錘体がX軸を横切るとき
に、第1の検出用交差指状電極および第2の検出用交差
指状電極に生じる起電力に基づいて、Z軸まわりの角速
度を検出できるようにしたものである。
【0019】(14) 本発明の第14の態様は、上述の第
8〜第13の態様に係るセンサにおいて、物理的に同一
の交差指状電極を、駆動用交差指状電極と検出用交差指
状電極との双方を兼用する電極として用いるようにした
ものである。
【0020】(15) 本発明の第15の態様は、上述の第
1〜第14の態様に係るセンサにおいて、重錘体を、圧
電素子の一部によって構成するようにしたものである。
【0021】(16) 本発明の第16の態様は、上述の第
1〜第15の態様に係るセンサにおいて、圧電素子とし
て板状の圧電素子を用い、この圧電素子の上下両面に交
差指状電極を形成するようにしたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。
【0023】§1. 交差指状電極を有する圧電素子 前述したように、圧電素子を利用した加速度センサおよ
び角速度センサは、種々の形態のものが既に提案されて
いる。本発明の特徴は、圧電素子上に交差指状電極を形
成し、この交差指状電極に生じる起電力に基づいて、作
用した加速度力またはコリオリ力を検出し、また、この
交差指状電極に電圧を印加することにより、圧電素子を
振動させるようにした点にある。そこで、ここでは、本
発明で利用される交差指状電極を有する圧電素子の構成
およびその基本的な振る舞いについて述べておく。
【0024】まず、図1に示すように、第1の電極群1
0および第2の電極群20によって構成される交差指状
電極を、板状の圧電素子30の上面に形成する。本願明
細書における交差指状電極とは、このように第1の電極
群10と第2の電極群20とを組み合わせることにより
構成される特有のパターンをもった電極であり、第1の
電極群10および第2の電極群20は、いずれも、互い
にほぼ平行になるように所定間隔をおいて配置された互
いに短絡した複数の指状電極からなる。しかも、第1の
電極群10を構成する指状電極と第2の電極群を構成す
る指状電極とは交互に並ぶように配置されている。
【0025】図1に示す具体例では、図の横方向にX
軸、図の縦方向にY軸を定義すれば、第1の電極群10
は、Y軸方向を向いて配置された5本の指状電極11〜
15と、これらを接続する配線部16と、外部に対して
電気的接触を行うための端子部17と、から構成されて
おり、一方、第2の電極群20は、Y軸方向を向いて配
置された5本の指状電極21〜25と、これらを接続す
る配線部26と、外部に対して電気的接触を行うための
端子部27と、から構成されている。ここで、第1の電
極群10を構成する指状電極11〜15と、第2の電極
群20を構成する指状電極21〜25とは、X軸方向に
沿って、交互に(互い違いに)並ぶように配置されてい
る。なお、図1では、第1の電極群10および第2の電
極群20の形状が容易に把握できるように、それぞれを
固有のハッチングパターンで塗り潰して示してあるが、
この図1は、板状の圧電素子30の上面図であって、第
1の電極群10および第2の電極群20に施したハッチ
ングパターンは断面を示すためのものではない。
【0026】図2は、図1に示す板状の圧電素子30を
X軸に沿って切断した側断面図であり、図の横方向にX
軸、縦方向にZ軸が定義されている(Y軸は紙面に垂直
になる)。第1の電極群10を構成する個々の指状電極
11〜15と、第2の電極群20を構成する個々の指状
電極21〜25が、板状の圧電素子30の上面におい
て、X軸に沿って交互に配置されている状態が明瞭に示
されている。
【0027】さて、この図1および図2に示すように、
板状の圧電素子30上に交差指状電極(第1の電極群1
0および第2の電極群20)を形成したら、この交差指
状電極を用いて、この圧電素子に対して所定の分極処理
を施す。ここでは、図3の側断面図に示すような方法で
分極処理を施した場合を考える。すなわち、第1の電極
群10と第2の電極群20との間に、第2の電極群20
側が正となるように、所定の分極電圧Epを印加し、そ
のままの状態でしばらく放置する。このような分極電圧
Epを印加すると、板状の圧電素子30の上面付近に
は、隣接する指状電極間に図示のとおりの極性をもった
電界が発生することになり、この電界により、圧電素子
30は後述するような特有の電気的性質を帯びるように
なる。
【0028】このような分極処理を行う際の諸条件は、
用いる圧電素子の種類や各部の寸法、各指状電極間の距
離、作成するセンサの感度、などを考慮して決定するこ
とになるが、一例を示しておくと、PZT(PbZr
Ti1−x:チタン酸ジルコン酸鉛)からなる厚み
0.3〜0.5mmの板状の圧電素子の上面に、隣接す
る指状電極の間隔が0.2mmとなるように交差指状電
極を形成した場合、分極電圧Ep=200V(隣接する
指状電極間には、1000V/mmの電界が生じること
になる)を20分間に渡って印加した状態を維持したと
ころ、後述するように、本発明に利用するのに適した分
極処理を施すことができた。もちろん、この条件は一例
を示したものであり、以下に述べる測定原理を実施する
ことができるのであれば、分極処理の条件はどのように
設定してもかまわない。
【0029】上述した分極処理が完了すると、板状の圧
電素子30は、次のような特有の電気的性質を帯びるこ
とになる。まず、図4に示すように、第1の電極群10
および第2の電極群20の間に、所定の駆動電圧Ed
(この例では、第2の電極群20側が正)を印加する
と、図に矢印で示すように、各指状電極間が伸びるよう
な応力が発生し、圧電素子30が図の横方向に伸びるよ
うな機械的変形が生じることになる。また、図5に示す
ように、逆極性の駆動電圧−Edを印加すると、図に矢
印で示すように、各指状電極間が縮むような応力が発生
し、圧電素子30が図の横方向に縮むような機械的変形
が生じることになる。すなわち、第1の電極群10およ
び第2の電極群20間に印加する駆動電圧の極性によっ
て、圧電素子30を図の横方向の伸ばしたり、縮めたり
することができる。しかも、この伸縮の程度は駆動電圧
の大きさに応じて調節することができる。
【0030】もっとも、駆動電圧Edの絶対値は、分極
電圧Epの絶対値よりも十分に小さく設定し、駆動電圧
Edの印加によって、再度の分極処理が施されないよう
に留意する。たとえば、上述した分極処理では、分極電
圧Ep=200Vとしているが、これに対して、駆動電
圧Ed=±5V程度に設定すれば、駆動電圧の印加によ
る再度の分極処理の影響は無視できる。また、ここで
は、分極電圧Epと同じ極性の駆動電圧Edを印加した
場合に、指状電極間が伸び、逆極性の駆動電圧を印加し
た場合に、指状電極間が縮む、という電気的特性を帯び
た例を示すが、用いる圧電素子によっては、これと逆の
電気的特性を帯びる場合もありうる。いずれにしても、
上述した分極処理により、第1の電極群10および第2
の電極群20間に、第1の極性で駆動電圧を印加すると
指状電極間が伸び、第1の極性とは逆の第2の極性で駆
動電圧を印加すると指状電極間が縮む、という電気的特
性が生じることになる。
【0031】以上は、交差指状電極に所定の駆動電圧E
dを印加すると、所定の機械的変形が生じるという特性
を示すものであるが、逆に、圧電素子30を機械的に変
形させると、交差指状電極に所定の起電力が発生すると
いう特性も現れる。たとえば、図6に示すように、圧電
素子30に対して、その右端部を右方向へ引っ張る力F
Rを作用させると同時に、その左端部を左方向へ引っ張
る力FLを作用させると、各指状電極間には伸びる方向
の応力が加わることになる。このような応力が加わる
と、図示のとおり、第1の電極群10側には負の電荷が
発生し、第2の電極群側には正の電荷が発生するように
なり(圧電素子によっては、電荷の極性は逆になる場合
もある)、両者間に起電力が発生することになる。一
方、図7に示すように、圧電素子30に対して、その右
端部を左方向へ押す力FLを作用させると同時に、その
左端部を右方向へ押す力FRを作用させると、各指状電
極間には縮む方向の応力が加わることになる。このよう
な応力が加わると、図示のとおり、第1の電極群10側
には正の電荷が発生し、第2の電極群20側には負の電
荷が発生するようになり(圧電素子によっては、電荷の
極性は逆になる場合もある)、両者間に前述の場合とは
逆極性の起電力が発生することになる。
【0032】このようにして発生する起電力は、作用し
た力の大きさに応じて変化することになり、より大きな
力が作用した場合には、より大きな起電力が発生する。
したがって、第1の電極群10および第2の電極群20
間に生じる起電力およびその極性を測定すれば、圧電素
子30に加わった力の大きさおよび方向(図の横方向に
伸ばすか縮めるか)を検出することができる。
【0033】§2. 本発明に係る加速度センサの基本
構造および動作原理 続いて、本発明に係る加速度センサの基本構造とその動
作原理を述べる。ここでは、まず、図8の上面図に示す
ような圧電素子30を用意する。この圧電素子30は、
円板状の圧電素子であり、その上面には、2組の交差指
状電極X1,X2が形成されている。これらの交差指状
電極X1,X2は、§1において述べた交差指状電極で
あり、それぞれ第1の電極群10および第2の電極群2
0の組み合わせによって構成されている。ここでは、圧
電素子30の中心位置に原点Oをとり、図の横方向にX
軸、縦方向にY軸、紙面垂直方向にZ軸をもったXYZ
三次元座標系を定義する(ここでは、座標軸を一点鎖線
で示すことにする)。この座標系上での位置関係に着目
すれば、図示のとおり、各交差指状電極X1,X2を構
成する個々の指状電極は、いずれもY軸方向を向いてお
り、X軸に沿って並んで配置されていることになる。ま
た、第1の交差指状電極X1はX軸の正の部分に配置さ
れ、第2の交差指状電極X2はX軸の負の部分に配置さ
れており、両交差指状電極X1,X2は、Y軸に関して
ほぼ線対称となる位置に配置されている。なお、図示の
例では、各交差指状電極X1,X2の形状にまで着目す
ると、両者の形状は全く同一であり、原点Oに関して点
対称に配置されていることになる。もっとも、両交差指
状電極X1,X2の形状は鏡像関係となっていてもかま
わない。
【0034】さて、このような圧電素子30が用意でき
たら、§1で述べた方法によって、分極処理を施す。そ
して、図9の側断面図に示されているように、この分極
処理後の圧電素子30の中心部下面に重錘体40を接合
し、圧電素子30の周囲部下面に円筒状の台座50を接
合する。この台座50は、装置筐体の一部を構成する部
材となる。実際には、圧電素子30は、この装置筐体の
内部に収容されることになるが、ここでは説明の便宜
上、装置筐体の全体の図示は省略する。前述したよう
に、圧電素子30は、機械的変形を生じる性質を有す
る。図示のとおり、圧電素子30の周囲部は、台座50
によって装置筐体に固定されている。これに対して、圧
電素子30の中心部には、重錘体40が接合されてお
り、この重錘体40は、圧電素子30を介して台座50
の内部に宙吊りの状態となっている。したがって、重錘
体40に対して、加速度に基づく力(加速度力)や、コ
リオリ力が作用すると、圧電素子30に機械的変形が生
じ、重錘体40は変位を生じることになる。結局、圧電
素子30の周囲部は固定部として機能し、圧電素子30
の中心部は変位部として機能することになり、固定部を
固定した状態で変位部に力が作用した場合には、圧電素
子30に機械的変形が生じることになる。交差指状電極
X1,X2は、圧電素子30の機械的変形が生じる位置
に形成されている(なお、本願では、図が繁雑になるの
を避けるため、側断面図における交差指状電極は、単な
る太線で示すことにする)。
【0035】ここでは、まず、図9に示すようなセンサ
を用いて、加速度を検出する原理を説明する。いま、こ
のセンサ全体にX軸方向に沿った加速度αxが作用した
とすると、図10に示すように、重錘体40にはX軸方
向に沿った加速度力fx(加速度αxに基づいて作用す
る力)が作用することになり、その重心Gの位置は、X
軸方向に+Δxだけ移動することになる。このとき、圧
電素子30には図示のような機械的変形が生じ、交差指
状電極X1はX軸方向に伸び、交差指状電極X2はX軸
方向に縮むことになる。その結果、交差指状電極X1お
よびX2には、それぞれ所定の起電力が生じることにな
るが、両起電力の極性は逆になる。たとえば、各交差指
状電極における第1の電極群10側を接地レベルに設定
しておいた場合、交差指状電極X1の第2の電極群20
側に正の電圧が発生した場合、交差指状電極X2の第2
の電極群20側には負の電圧が発生することになる。し
たがって、両起電力の符号を考慮した差をとることによ
り、作用した加速度力fxの大きさを求めることができ
る。
【0036】また、逆向きの加速度力−fxの作用によ
り、重錘体40の重心Gの位置が、X軸方向に−Δxだ
け移動した場合、図11に示すように、交差指状電極X
1,X2の伸縮状態が逆転することになるので、上述し
た両起電力の差の符号も逆転することになる。かくし
て、交差指状電極X1,X2に生じる起電力を測定する
ことにより、X軸方向に作用した加速度αxの向きおよ
び大きさを求めることができる。なお、上述の例では、
1対の交差指状電極X1,X2によってX軸方向の加速
度αxを求めているが、原理的には、交差指状電極X1
またはX2のいずれか一方のみでも、加速度αxを求め
ることは可能である。しかしながら、種々の測定誤差や
外乱を除外し、高精度の検出値を得るためには、一対の
交差指状電極に生じた起電力の差をとる方法を用いるの
が好ましい。また、後述するように、Z軸方向に作用し
た加速度αzも併せて検出する場合には、加速度αzに
起因する成分を除去するために、ここで述べたような一
対の交差指状電極を用いた差による検出方法を採る必要
がある。
【0037】同様の原理により、Y軸方向に作用した加
速度の向きおよび大きさを求めることも可能である。す
なわち、図8の上面図に示す例では、X軸上に配置され
た2つの交差指状電極X1,X2を用いているが、同様
に、Y軸上に配置された2つの交差指状電極Y1,Y2
(図示されている交差指状電極X1,X2を、それぞれ
原点Oを中心として90°回転させて得られる交差指状
電極)を用いれば、Y軸方向に作用した加速度αyを検
出することが可能になる。
【0038】次に、図9に示すようなセンサに対して、
Z軸方向に沿った加速度αzが作用した場合を考える。
たとえば、図12に示すように、重錘体40にZ軸方向
に沿った加速度力fz(加速度αzに基づいて作用する
力)が作用することにより、その重心Gの位置が、Z軸
方向に+Δzだけ移動したとする。すると、圧電素子3
0には図示のような機械的変形が生じ、交差指状電極X
1,X2は、いずれもX軸方向に伸びることになる。そ
の結果、交差指状電極X1およびX2には、それぞれ同
極性の起電力が生じることになる。各交差指状電極にお
ける第1の電極群10側を接地レベルに設定しておいた
場合、各交差指状電極の第2の電極群20側には、いず
れも、たとえば正の電圧が発生することになる。したが
って、両起電力の和をとることにより、作用した加速度
力fzの大きさを求めることができる。
【0039】また、逆向きの加速度力−fzの作用によ
り、重錘体40の重心Gの位置が、Z軸方向に−Δzだ
け移動した場合を考える。この場合、圧電素子30に
は、図13に示すような機械的変形が生じることにな
る。本願発明者が行った実験によると、この場合、交差
指状電極X1,X2には、図12に示す場合とは逆極性
の起電力が発生した。これは、交差指状電極X1,X2
が、いずれも、X軸方向に縮む方向に変形したことを意
味する。図13に示す状態を見る限りでは、交差指状電
極X1,X2が縮んでいるという現象はやや不自然に思
えるかもしれないが、本願発明者が実験に用いたセンサ
では、台座50がある程度の可撓性をもった材料(具体
的には金属)から構成されており、実際には、台座50
の上部が内側に窄まるような変形も同時に起こっている
ものと考えられる。すなわち、台座50の変形も考慮す
ると、図13に示すように、重錘体40が下方へと変位
した状態では、圧電素子30の下面の大部分には、伸び
る方向に応力が作用するのに対し、圧電素子30の上面
の大部分には、縮む方向に応力が作用するものと考えら
れる。
【0040】かくして、交差指状電極X1,X2に生じ
る起電力を測定すれば、両者の和をとることにより、Z
軸方向に作用した加速度αzの向きおよび大きさを求め
ることができる。もちろん、原理的には、交差指状電極
X1またはX2のいずれか一方のみでも、加速度αzを
求めることは可能である。しかしながら、X軸方向に作
用した加速度αxも併せて検出する場合には、加速度α
xに起因する成分を除去するために、ここで述べたよう
な一対の交差指状電極を用いた和による検出方法を採る
必要がある。前述したように、X軸方向に作用した加速
度αxの向きおよび大きさは、交差指状電極X1,X2
に生じる起電力の差により求めることができる。したが
って、交差指状電極X1,X2に生じる起電力を測定す
れば、両者の和によりZ軸方向に作用した加速度αzを
検出することができ、両者の差によりX軸方向に作用し
た加速度αxを検出することができる。
【0041】結局、図14の上面図に示すような圧電素
子30を用いれば、X軸方向の加速度αx、Y軸方向の
加速度αy、Z軸方向の加速度αzのすべてを検出する
ことが可能である。図14に示す圧電素子30は、図8
に示す圧電素子30に、更に、一対の交差指状電極Y
1,Y2を追加したものである。この交差指状電極Y
1,Y2は、交差指状電極X1,X2を、それぞれ原点
Oを中心として反時計回りに90°回転させて得られる
交差指状電極であり、各指状電極はX軸方向を向くよう
に配置されている。このような一対の交差指状電極Y
1,Y2に生じる起電力の差をとることにより、Y軸方
向の加速度αyを検出することができることは既に述べ
たとおりである。また、一対の交差指状電極X1,X2
に生じる起電力の差をとることにより、X軸方向の加速
度αxを検出することができることも既に述べたとおり
である。一方、Z軸方向の加速度αzは、一対の交差指
状電極X1,X2に生じる起電力の和をとることにより
求めることもできるし、一対の交差指状電極Y1,Y2
に生じる起電力の和をとることにより求めることもでき
るし、更に、4組の交差指状電極X1,X2,Y1,Y
2に生じるすべての起電力の和をとることにより求める
こともできる。
【0042】§3. 本発明に係る角速度センサの基本
構造および動作原理 次に、本発明に係る角速度センサの基本構造とその動作
原理を述べる。この角速度センサの基本構造は、§2で
述べた加速度センサの基本構造とほぼ同じである。すな
わち、図14に上面図が示されているような圧電素子3
0(§1で述べた分極処理が施されている)を用意し、
この圧電素子30に、図9の側断面図に示されているよ
うに、重錘体40および台座50を接合する。このよう
な構造をもったセンサは、X,Y,Zの3軸加速度成分
αx,αy,αzを検出できる加速度センサとして機能
することは、既に述べたとおりであるが、全く同じ構造
をもったセンサを、X,Y,Zの3軸まわりの角速度成
分ωx,ωy,ωzを検出できる角速度センサとして機
能させることも可能である。以下、その具体的方法につ
いて述べる。
【0043】まず、図14に示されている4組の交差指
状電極X1,X2,Y1,Y2のうち、X軸上に配置さ
れた交差指状電極X1,X2を駆動用交差指状電極とし
て用い、Y軸上に配置された交差指状電極Y1,Y2を
検出用交差指状電極として用いることにする。ここで、
駆動用交差指状電極X1,X2は、重錘体40をX軸に
沿って振動させるために利用され、検出用交差指状電極
Y1,Y2は、重錘体40の変位を検出するために利用
される。
【0044】駆動用交差指状電極X1,X2を用いて、
重錘体40をX軸に沿って振動させるためには、図15
のグラフに示されているような交流信号S1,S2を用
意し、交流信号S1を交差指状電極X1に与え、交流信
号S2を交差指状電極X2に与えるようにする。いずれ
の交流信号も、時間軸tを横軸とする正弦波信号である
が、交流信号S1とS2とでは位相が逆転している。す
なわち、駆動用交差指状電極X1,X2には、それぞれ
逆位相の交流信号S1,S2が与えられることになり、
一方の指状電極間に伸びる方向の応力が生じた場合、他
方の指状電極間には縮む方向の応力が生じることにな
る。その結果、このセンサは、たとえば図15のグラフ
の時刻t=t1において、図10のような状態をとった
とすれば、時刻t=t3において、図11のような状態
をとることになる。また、時刻t=0,t=2,t=4
の時点では、図9に示すような中立の状態をとる(実際
には、重錘体40の運動は、交流信号に対して位相遅れ
を生じることになるが、ここでは、説明の便宜上、その
ような位相遅れのない場合の動作を述べる)。これは、
重錘体40がX軸に沿って単振動を行うことに他ならな
い。
【0045】さて、重錘体40がX軸方向の速度成分を
もって運動しているある瞬間に、Z軸まわりの角速度ω
zが作用すると、この重錘体40にはY軸方向にコリオ
リ力Fyが作用する。このコリオリ力Fyの向きは、重
錘体40の運動方向によって定まり、その大きさは、重
錘体40の運動速度および角速度ωzの大きさによって
定まる。このように、重錘体40に対してY軸方向のコ
リオリ力Fyが生じると、重錘体40はY軸方向に変位
することになり、圧電素子30には機械的変形が生じる
ことになる。この重錘体40のY軸方向の変位は、一対
の検出用交差指状電極Y1,Y2によって検出すること
ができる(その原理は、§2において述べたY軸方向の
加速度αyが作用した場合の検出原理と同様である)。
したがって、たとえば、時刻t2またはt4を検出時と
定義し、この検出時(重錘体40の重心がX軸方向を向
いた最大速度でY軸上を通過する時点)において、一対
の検出用交差指状電極Y1,Y2に生じる起電力の差を
求めれば、この差は、Z軸まわりの角速度ωzの向きと
大きさを示すものになる(差の符号が向きを示し、絶対
値が大きさを示す)。もっとも、時刻t2とt4とで
は、重錘体40の運動方向が逆であるので、角速度ωz
の向きを決定する場合には、検出時が時刻t2かt4か
を考慮に入れる必要がある。
【0046】また、同じく重錘体40がX軸方向の速度
成分をもって運動しているある瞬間に、Y軸まわりの角
速度ωyが作用すると、この重錘体40にはZ軸方向に
コリオリ力Fzが作用する。このコリオリ力Fzの向き
は、重錘体40の運動方向によって定まり、その大きさ
は、重錘体40の運動速度および角速度ωyの大きさに
よって定まる。このように、重錘体40に対してZ軸方
向のコリオリ力Fzが生じると、重錘体40はZ軸方向
に変位することになり、圧電素子30には機械的変形が
生じることになる。この重錘体40のZ軸方向の変位
は、やはり一対の検出用交差指状電極Y1,Y2によっ
て検出することができる(その原理は、§2において述
べたZ軸方向の加速度αzが作用した場合の検出原理と
同様である)。なお、この重錘体40のZ軸方向の変位
は、一対の駆動用交差指状電極X1,X2を、検出用交
差指状電極として兼用することによっても検出可能であ
る(この場合は、後述するように、駆動用に用いた交流
信号S1,S2と検出されるべき信号とを分離する必要
がある)。したがって、たとえば、時刻t2またはt4
を検出時と定義し、この検出時において、一対の検出用
交差指状電極Y1,Y2に生じる起電力の和を求めれ
ば、この和は、Y軸まわりの角速度ωyの向きと大きさ
を示すものになる(和の符号が向きを示し、絶対値が大
きさを示す)。もっとも、時刻t2とt4とでは、重錘
体40の運動方向が逆であるので、角速度ωyの向きを
決定する場合には、検出時が時刻t2かt4かを考慮に
入れる必要がある。
【0047】以上、これまでに述べた例は、X軸上に配
置された一対の交差指状電極X1,X2を駆動用交差指
状電極として用い、重錘体40をX軸方向に単振動させ
た状態とし、この状態において、Y軸上に配置された一
対の交差指状電極Y1,Y2を検出用交差指状電極とし
て用い、重錘体40に作用したY軸方向のコリオリ力F
yまたはZ軸方向のコリオリ力Fzを検出することによ
り、Z軸まわりの角速度ωzまたはY軸まわりの角速度
ωyを求める動作である。これに対して、駆動用交差指
状電極と検出用交差指状電極との役割をそっくり入れ替
えた動作も可能である。すなわち、Y軸上に配置された
一対の交差指状電極Y1,Y2を駆動用交差指状電極と
して用い、重錘体40をY軸方向に単振動させた状態に
おいて、X軸上に配置された一対の交差指状電極X1,
X2を検出用交差指状電極として用い、重錘体40に作
用したX軸方向のコリオリ力FxまたはZ軸方向のコリ
オリ力Fzを検出することにより、Z軸まわりの角速度
ωzまたはX軸まわりの角速度ωxを求めるのである。
この2つの検出動作を交互に採用すれば、X,Y,Z軸
のすべての軸まわりの角速度ωx,ωy,ωzを検出す
ることが可能である。
【0048】また、別な動作としては、重錘体40をZ
軸方向に振動させることも可能である。たとえば、X軸
上に配置された一対の交差指状電極X1,X2に、図1
6に示すような同位相の交流信号S1,S2を供給する
と、このセンサは、たとえば図16のグラフの時刻t=
t1において、図12のような状態をとったとすれば、
時刻t=t3において、図13のような状態をとること
になる。また、時刻t=0,t=2,t=4の時点で
は、図9に示すような中立の状態をとる(実際には、重
錘体40の運動は、交流信号に対して位相遅れを生じ
る)。これは、重錘体40がZ軸に沿って単振動を行う
ことに他ならない。
【0049】このように、重錘体40をZ軸方向に単振
動させた状態において、Y軸上に配置された一対の交差
指状電極Y1,Y2を検出用交差指状電極として用い、
重錘体40に作用したY軸方向のコリオリ力Fyを検出
すれば、X軸まわりの角速度ωxを求めることができ、
また、X軸上に配置された一対の交差指状電極X1,X
2を検出用交差指状電極としても兼用すれば、重錘体4
0に作用したX軸方向のコリオリ力Fxの検出により、
Y軸まわりの角速度ωyを求めることもできる。あるい
は、Y軸上に配置された一対の交差指状電極Y1,Y2
を駆動用交差指状電極として用い、同様の方法により、
角速度ωx,ωyを求めることも可能である。
【0050】X,Y,Z軸のすべての軸まわりの角速度
ωx,ωy,ωzを連続的に検出するためには、重錘体
40をXY平面内で回転運動させる方法を採るのが好ま
しい。たとえば、図14に示す4組の交差指状電極X
1,X2,Y1,Y2に、それぞれ図17のグラフに示
されているような交流信号S1,S2,S3,S4を供
給する。ここで、交流信号S1,S2は、互いに逆位相
の正弦波信号であり、重錘体40をX軸方向に単振動さ
せるためのX軸方向励振用交流信号として機能し、交流
信号S3,S4は、やはり互いに逆位相の正弦波信号で
あり、重錘体40をY軸方向に単振動させるためのY軸
方向励振用交流信号として機能する。しかも、X軸方向
励振用交流信号とY軸方向励振用交流信号との位相は9
0°ずれているため、重錘体40はXY平面上で円運動
を行うことになる。
【0051】図18は、重錘体40がXY平面上で円運
動をしているときの重心Gの軌跡を示す上面図である。
ここで、点G(t1),G(t2),G(t3),G
(t4)は、それぞれ図17に示す時間軸における時刻
t1,t2,t3,t4の位置(実際の運動の位相遅れ
を無視した場合)を示しており、矢印V(t1),V
(t2),V(t3),V(t4)は、それぞれ各時刻
t1,t2,t3,t4における重錘体40の速度ベク
トル(円運動軌跡の接線方向を向いている)を示してい
る。
【0052】このように、4組の交差指状電極X1,X
2,Y1,Y2は、いずれも駆動用交差指状電極として
機能することになるが、これらを検出用交差指状電極と
しても兼用して用いるようにすると、各軸まわりの角速
度ωx,ωy,ωzの検出が可能になる。たとえば、時
刻t1,t3を第1の検出時とすれば、この第1の検出
時には、重錘体40はY軸方向の速度ベクトルをもって
運動をしているため、交差指状電極X1,X2を用いて
X軸方向のコリオリ力Fxを検出すれば、Z軸まわりの
角速度ωzを求めることができるし、交差指状電極X
1,X2あるいはY1,Y2を用いてZ軸方向のコリオ
リ力Fzを検出すれば、X軸まわりの角速度ωxを求め
ることができる。一方、時刻t2,t4を第2の検出時
とすれば、この第2の検出時には、重錘体40はX軸方
向の速度ベクトルをもって運動をしているため、交差指
状電極Y1,Y2を用いてY軸方向のコリオリ力Fyを
検出すれば、Z軸まわりの角速度ωzを求めることがで
きるし、交差指状電極X1,X2あるいはY1,Y2を
用いてZ軸方向のコリオリ力Fzを検出すれば、Y軸ま
わりの角速度ωyを求めることができる。
【0053】結局、重錘体40が円運動を行っていると
きに、この円運動軌道の接線方向に直交する方向に作用
したコリオリ力を検出用交差指状電極によって検出する
ことにより、接線方向およびコリオリ力の方向の双方に
直交する軸まわりの角速度を検出することができること
になり、上述のように、第1の検出時と第2の検出時と
で検出動作を行うようにすれば、3軸まわりの角速度ω
x,ωy,ωzのすべてを連続的に検出することができ
るようになる。
【0054】§4. 具体的な実施例(その1) 図19は、本発明のより具体的な実施例に係る加速度セ
ンサまたは角速度センサに用いられる圧電素子130の
上面図である。既に述べたとおり、このセンサを加速度
センサとして用いるか、角速度センサとして用いるか
は、その動作態様によって決まるものであり、センサ本
体の構造はいずれのセンサも同一のものである。別言す
れば、このセンサを加速度センサとして利用するのであ
れば、この図19に示す圧電素子130上に形成されて
いる各交差指状電極に生じる起電力を検出する回路を用
意すればよいが、このセンサを角速度センサとして利用
するのであれば、各交差指状電極に生じる起電力を検出
する回路とともに、各交差指状電極に駆動用の交流信号
を供給する回路を用意する必要がある。
【0055】図示の例では、円板状の圧電素子130の
上面に、4組の交差指状電極が形成されている。ここで
も、圧電素子130の上面中央に原点Oをとり、図の横
方向にX軸、縦方向にY軸、紙面に垂直方向にZ軸をと
ったXYZ三次元座標系を考えることにすると、圧電素
子130の上面のX軸の正の部分に、各指状電極がY軸
方向を向くような交差指状電極X1が配置され、X軸の
負の部分に、各指状電極がY軸方向を向くような交差指
状電極X2が配置され、Y軸の正の部分に、各指状電極
がX軸方向を向くような交差指状電極Y1が配置され、
Y軸の負の部分に、各指状電極がX軸方向を向くような
交差指状電極Y2が配置されていることになる。これら
の交差指状電極の基本構造は、図14に示す例とほぼ同
じである。ただ、検出感度を高める上では、できる限
り、個々の指状電極を長くした方が好ましいので、圧電
素子130の上面をできるだけ有効利用して、長い指状
電極を形成できるようにしてある。
【0056】また、各交差指状電極を構成する一方の電
極群は、共通電極群110として短絡されている。図1
9では、原点O上でX字状に交差する線が、この共通電
極群110の一部を構成する部分であり、このX字状に
交差する線から枝状に伸びた合計24本の線が個々の指
状電極を構成している。この共通電極群110は、接地
端子部Egに接続されており、センサ動作時には、この
接地端子部Egは接地される。これに対して、各交差指
状電極を構成する他方の電極群は、それぞれ電極群12
1,122,123,124として電気的に独立してお
り、それぞれ端子部Ex1,Ex2,Ey1,Ey2に
接続されている。
【0057】このような圧電素子130は、これまで述
べてきた例と同様に、その周囲部分が固定部、中心部分
が変位部として用いられる。したがって、たとえば、図
9に示す例のように、下面中心部分に重錘体40が接合
され、周囲に円筒状の台座50が接合されることにな
る。
【0058】この実施例では、4組の交差指状電極X
1,X2,Y1,Y2は、駆動用交差指状電極として利
用されるとともに、検出用交差指状電極としても利用さ
れる。すなわち、物理的に同一の交差指状電極を、駆動
用交差指状電極と検出用交差指状電極との双方を兼用す
る電極として用いることになる。このように兼用電極と
しての利用を行うためには、図20に示すような回路を
用いるようにすればよい。この回路における端子部E
は、図19に示す実施例における各端子部Ex1,Ex
2,Ey1,Ey2に相当するものである。この端子部
Eには、抵抗R1を介して交流電源1が接続されてお
り、また、抵抗R2を介して電圧検出装置2が接続され
ている。交流電源1が発生した交流信号は、抵抗R1を
介して端子部Eに供給されるので、この端子部Eに接続
された電極群からなる交差指状電極は、駆動用交差指状
電極として機能することができる。一方、交差指状電極
に発生した起電力は、端子部Eから抵抗R2を介して電
圧検出装置2によって検出される。もちろん、交流電源
1で発生した交流信号も、抵抗R2を介して電圧検出装
置2に供給されることになるので、電圧検出装置2は、
この交流信号に重畳されている成分として、交差指状電
極に生じた起電力の検出を行うことになる。
【0059】このような構造をもったセンサにより、加
速度の各軸方向成分αx,αy,αzおよび角速度の各
軸方向成分ωx,ωy,ωzを検出する原理について
は、既に§2および§3で述べたとおりである。たとえ
ば、各端子部Ex1,Ex2,Ey1,Ey2に、それ
ぞれ図17に示す交流信号S1,S2,S3,S4を供
給すれば、重錘体40をXY平面上で円運動させること
ができるので、この重錘体40がX軸を横切るとき、あ
るいはY軸を横切るとき、に各端子部Ex1,Ex2,
Ey1,Ey2に生じる起電力を測定すれば、角速度の
各軸方向成分ωx,ωy,ωzを検出することができ
る。
【0060】なお、角速度と加速度との双方が作用して
いる環境下では、重錘体に作用する力は、角速度に基づ
くコリオリ力と加速度に基づく加速度力との重畳成分に
なるが、コリオリ力と加速度力とは、周波数成分に基づ
いて分離することが可能である。すなわち、重錘体を単
振動あるいは回転運動させた場合、その振動あるいは回
転の半周期ごとに、運動方向が反転することになる。し
たがって、コリオリ力の方向も、この半周期ごとに反転
することになる。そこで、重錘体の単振動あるいは回転
運動の周期を、検出対象となる加速度や角速度の変動周
期に比べて十分に高く設定しておけば、各端子部Ex
1,Ex2,Ey1,Ey2に生じた起電力の変動成分
のうち、重錘体の運動周期に相当する周波数成分はコリ
オリ力と認識することができ、それより十分に低い周波
数成分は加速度力と認識することができる。したがっ
て、検出回路に周波数分離回路を用意しておけば、3軸
方向の加速度αx,αy,αzと、3軸まわりの角速度
ωx,ωy,ωzとの双方を別々に検出することが可能
になる。
【0061】図21は、本発明の別な実施例に係るセン
サに用いられる圧電素子230の上面図である。この圧
電素子230も円板状の圧電素子であり、その上面に
は、図示の位置に、交差指状電極X1〜X4,Y1〜Y
4,Z1〜Z4が配置されており、§1で述べたような
分極処理が施されている。なお、この図21では、図が
繁雑になるのを避けるため、各交差指状電極について
は、個々の指状電極からなるパターン形状を描く代わり
に、その外側の概略輪郭形状のみを示してある。すなわ
ち、この図21において、「I」字状の輪郭形状が示さ
れている交差指状電極X3,X4,Y3,Y4,Z3,
Z4は、実際には、いずれも図22(a) に示すように、
第1の電極群210と第2の電極群220とによって構
成される交差指状電極であり、「U」字状の輪郭形状が
示されている交差指状電極X1,X2,Y1,Y2,Z
1,Z2は、実際には、いずれも図22(b) に示すよう
な、第1の電極群215と第2の電極群225とによっ
て構成される交差指状電極である(図22では、各電極
形状の把握を容易にするために、各電極部分にハッチン
グを施してある)。
【0062】図22(a) に示す交差指状電極は、図1に
示した交差指状電極と同じ構造のものである。また、図
22(b) に示す交差指状電極は、図22(a) に示す交差
指状電極を2組並べ、対応する電極群をそれぞれ連結し
たものであり、機能的には、図22(a) に示す交差指状
電極と同じである。
【0063】図21に示す圧電素子230は、これまで
述べてきた例と同様に、その周囲部分が固定部、中心部
分が変位部として用いられる。図21に破線で示されて
いる重錘体240は、この圧電素子230の下面中央部
に接合された重錘体であり、同じく図21に破線で示さ
れている台座250は、この圧電素子230の下面周囲
部に接合された円筒状の台座である。
【0064】この実施例では、合計12組の交差指状電
極X1〜X4,Y1〜Y4,Z1〜Z4が形成されてい
るが、それぞれが駆動用交差指状電極または検出用交差
指状電極としての役割を担うことになる。たとえば、交
差指状電極X1,X2をX軸方向駆動用(重錘体240
をX軸に沿って振動させるための交流信号を供給するた
めに用いる)、交差指状電極Y1,Y2をY軸方向駆動
用(重錘体240をY軸に沿って振動させるための交流
信号を供給するために用いる)、交差指状電極Z1,Z
2をZ軸方向駆動用(重錘体240をZ軸に沿って振動
させるための交流信号を供給するために用いる)とし、
交差指状電極X3,X4をX軸方向検出用(X軸方向の
加速度力およびコリオリ力の作用に基づく重錘体240
のX軸方向への変位検出に用いる)、交差指状電極Y
3,Y4をY軸方向検出用(Y軸方向の加速度力および
コリオリ力の作用に基づく重錘体240のY軸方向への
変位検出に用いる)、交差指状電極Z3,Z4をZ軸方
向検出用(Z軸方向の加速度力およびコリオリ力の作用
に基づく重錘体240のZ軸方向への変位検出に用い
る)とすれば、所定の駆動用交差指状電極に所定の交流
信号を供給することにより、重錘体240をX軸,Y
軸,Z軸の任意の方向に駆動させることができ、また、
所定の検出用交差指状電極に生じる起電力を検出するこ
とにより、重錘体240に対して加えられたX軸,Y
軸,Z軸の各方向への力(加速度力およびコリオリ力)
を検出することができる。この駆動原理および検出原理
は、既に述べたとおりである。もちろん、上述した例に
対して、駆動用および検出用の役割分担を入れ替えた実
施例も可能である。
【0065】このように、各交差指状電極ごとに、駆動
用か検出用か、いずれの軸を担当するか、という分担を
決めて用いるようにすれば、駆動用回路や検出用回路を
より単純化することができる。以下、この実施例に示す
センサを用いた角速度検出動作の一例を述べておく。も
ちろん、以下に述べる検出動作は一例を示すものであ
り、これまで述べてきた検出原理を利用すれば、この他
にも種々の態様の検出動作が可能である。また、加速度
の検出も可能である。
【0066】まず、1軸まわりの角速度検出のみを行う
検出動作例を述べよう。たとえば、X軸まわりの角速度
ωxを検出する1軸角速度センサとして利用する場合で
あれば、駆動用交差指状電極Z1,Z2に、図16に示
すような同位相の交流信号S1,S2を供給し、重錘体
240をZ軸方向に単振動させる。このように、重錘体
240がZ軸方向の運動成分をもって移動中に、X軸ま
わりの角速度ωxが作用すると、重錘体240には、Y
軸方向のコリオリ力Fyが作用し、重錘体240はY軸
方向に変位することになる。このコリオリ力Fyは、検
出用交差指状電極Y3,Y4によって検出することがで
きる。たとえば、重錘体240が、その単振動の振幅の
中心位置(もっとも速度の大きい位置)を通過する時点
を検出時とし、この時点において検出用交差指状電極Y
3,Y4に生じる起電力の差を求めれば、この差がX軸
まわりの角速度ωxを示すものになる。
【0067】続いて、2軸まわりの角速度検出を行う検
出動作例を述べる。たとえば、X軸まわりの角速度ωx
とY軸まわりの角速度ωyとを検出する2軸角速度セン
サとして利用する場合であれば、上述した1軸まわりの
角速度検出の場合と同様に、駆動用交差指状電極Z1,
Z2に、同位相の交流信号S1,S2を供給して重錘体
240をZ軸方向に単振動させる。この状態において、
検出用交差指状電極Y3,Y4に生じる起電力の差によ
ってコリオリ力Fyを検出すれば、X軸まわりの角速度
ωxを求めることができる点は既に述べたとおりである
が、同様に、検出用交差指状電極X3,X4に生じる起
電力の差によってコリオリ力Fxを検出すれば、Y軸ま
わりの角速度ωyを求めることができる。
【0068】更に、3軸まわりの角速度検出を行う検出
動作例を述べる。3軸まわりの角速度を継続的に検出す
るには、§3において説明したように、重錘体を回転運
動させる方法が採るのが最も好ましい。たとえば、重錘
体の回転面は、XY平面、XZ平面、YZ平面のいずれ
でもかまわないが、ここでは、§3で述べた例と同様
に、XY平面に沿って重錘体240を回転させる例を述
べることにする。そのためには、駆動用交差指状電極X
1,X2,Y1,Y2のそれぞれに、図17に示すよう
な交流信号S1,S2,S3,S4を与えればよい。こ
うすると、重錘体240の重心Gは、図18に示すよう
な円軌道に沿って円運動を行うことになる。ここで、時
刻t1またはt3(すなわち、重錘体240が、Y軸方
向の速度成分をもってX軸を横切る時点)において、検
出用交差指状電極X3,X4に生じる起電力の差によっ
てコリオリ力Fxを検出すれば、Z軸まわりの角速度ω
zを求めることができ、検出用交差指状電極Z3,Z4
に生じる起電力の和によってコリオリ力Fzを検出すれ
ば、X軸まわりの角速度ωxを求めることができる。ま
た、時刻t2またはt4(すなわち、重錘体240が、
X軸方向の速度成分をもってY軸を横切る時点)におい
て、検出用交差指状電極Y3,Y4に生じる起電力の差
によってコリオリ力Fyを検出すれば、Z軸まわりの角
速度ωzを求めることができ、検出用交差指状電極Z
3,Z4に生じる起電力の和によってコリオリ力Fzを
検出すれば、Y軸まわりの角速度ωyを求めることがで
きる。かくして、各軸まわりの角速度ωx,ωy,ωz
を継続的に検出することができる。
【0069】§5. 具体的な実施例(その2) これまで述べてきた実施例は、板状の圧電素子のほぼ全
体に機械的変形が生じるような構造のものであった。別
言すれば、板状の圧電素子の中心のごく一部に重錘体が
接合されており、上面からみたときに、板状の圧電素子
の全面積に対して、重錘体の接合部の面積が十分に小さ
い場合の例であった。このような例では、重錘体が種々
の方向に変位した場合、図10〜図13に示すように、
重錘体上面の各部に伸び縮みが生じることになる。
【0070】しかしながら、板状の圧電素子の全面積に
対して、重錘体の接合部の面積がある程度大きくなる
と、板状の圧電素子の一部にのみ機械的変形が生じるよ
うになるため、重錘体が種々の方向に変位した場合に、
重錘体上面の各部に生じる伸び縮みの形態は、図10〜
図13に示す形態とは若干異なってくる。
【0071】たとえば、図23に側断面図を示す圧電素
子300は、やや肉厚の円板状の圧電素子の下面に、ド
ーナツ状の溝部335を形成したものである。この溝部
335の上部には、厚みの薄い可撓部330が形成され
ており、実質的な機械的変形は、この可撓部330にお
いてのみ生じる。溝部335の内側部分には、円柱状の
重錘体340が形成されており、溝部335の外側部分
には、円筒状の台座350が形成されている。可撓部3
30,重錘体340,台座350は、いずれも肉厚の圧
電素子の一部分から構成されているが、重錘体340お
よび台座350は、肉厚が厚いため、その内部には検出
に有意な機械的変形は生じないと考えてよい。したがっ
て、センサとしての動作に寄与する機械的変形は、可撓
部330においてのみ生じることになる。
【0072】いま、図23において、図の横方向にX
軸、縦方向にZ軸、紙面に垂直な方向にY軸を定義し、
台座350の部分を固定した状態において、重錘体34
0に対してX軸方向の力が加わった場合を考える。この
場合、図24の側断面図に示すように、重錘体340は
X軸方向に変位+Δxを生じることになり、可撓部33
0には機械的変形が生じることになる。この場合、可撓
部330の上面におけるX軸方向に関する伸び縮みは、
図示のとおりとなる。すなわち、図において重錘体34
0の右側に位置する可撓部330では、上面内側(重錘
体340側)は伸びるのに対し、上面外側(台座350
側)は縮むことになる。一方、図において重錘体340
の左側に位置する可撓部330では、上面内側(重錘体
340側)は縮むのに対し、上面外側(台座350側)
は伸びることになる。また、重錘体340に対してZ軸
方向の力が加わった場合は、図25の側断面図に示すよ
うに、重錘体340はZ軸方向に変位+Δzを生じるこ
とになり、やはり可撓部330には機械的変形が生じる
ことになる。この場合、可撓部330の上面におけるX
軸方向に関する伸び縮みは、重錘体340の左右両側と
もに、上面内側(重錘体340側)は伸びるのに対し、
上面外側(台座350側)は縮むことになる。以上は、
いずれも可撓部330の上面側の伸縮状態であるが、可
撓部330の下面側の伸縮状態は、いずれも上面側とは
逆になる。
【0073】結局、§5までに述べてきた例は、ここに
示す実施例において、重錘体340の大きさが十分に小
さく、実用上、重錘体の接合部を点として取り扱うこと
ができる例ということができる。ここに示す実施例のよ
うに、重錘体の接合部がある程度の面積を占めるような
構造では、機械的変形が生じる可撓部を、内側部分(重
錘体側)と外側部分(台座側)とに分けて取り扱う必要
があることがわかる。
【0074】図26は、このように、重錘体の接合部が
無視できない面積を占める場合の交差指状電極の配置を
示す上面図である。圧電素子400は、圧電素子300
と同様に、肉厚の円板状の圧電素子であり、図に破線で
示されているように、ドーナツ状の領域に可撓部430
が形成されている。この可撓部430は、上述した可撓
部330と同様に、圧電素子400の下面にドーナツ状
の溝を形成することにより、肉厚が薄くなった部分であ
り、センサの動作に寄与するのに十分な可撓性を有する
部分である。円柱状の重錘体440は、この可撓部43
0の内側に位置する肉厚の部分であり、円筒状の台座4
50は、この可撓部430の外側に位置する肉厚の部分
である。台座450はセンサ筐体に固定された状態で用
いられ、重錘体440は、可撓部430によって周囲か
ら支持された状態になる。重錘体440に対して加速度
力またはコリオリ力が作用すると、可撓部430に機械
的変形が生じ、部分的な伸び縮みが生じることになる。
この伸び縮みの態様は、既に述べたとおりである。
【0075】この実施例では、可撓部430の上面に合
計24組の交差指状電極が形成されている。すなわち、
X軸上に配置された交差指状電極X1〜X4は、重錘体
440をX軸方向に駆動させるための駆動用交差指状電
極であり、Y軸上に配置された交差指状電極Y1〜Y4
は、重錘体440をY軸方向に駆動させるための駆動用
交差指状電極であり、W軸上に配置された交差指状電極
Z1〜Z4は、重錘体440をZ軸方向に駆動させるた
めの駆動用交差指状電極である(W軸は、図示の例で
は、Y軸に対して45°傾斜した軸となっているが、こ
れは任意の軸でかまわない)。なお、以上の各駆動用交
差指状電極は、図26においては、その外側の概略輪郭
形状のみが示されているが、実際には、いずれも図22
(b) に示すような、第1の電極群215と第2の電極群
225とによって構成される交差指状電極である。
【0076】一方、X軸上に配置された交差指状電極X
5〜X8は、重錘体440に対してX軸方向に作用した
加速度力またはコリオリ力を検出するための検出用交差
指状電極であり、Y軸上に配置された交差指状電極Y5
〜Y8は、重錘体440に対してY軸方向に作用した加
速度力またはコリオリ力を検出するための検出用交差指
状電極であり、W軸上に配置された交差指状電極Z5〜
Z8は、重錘体440に対してZ軸方向に作用した加速
度力またはコリオリ力を検出するための検出用交差指状
電極である。これらの各検出用交差指状電極も、図26
においては、その外側の概略輪郭形状のみが示されてい
るが、実際には、いずれも図22(a) に示すような、第
1の電極群210と第2の電極群220とによって構成
される交差指状電極である。
【0077】これらの各交差指状電極を用いて、各軸方
向の加速度および各軸まわりの角速度を検出する基本原
理は、これまで述べてきた実施例とほぼ同じである。た
だし、各駆動用交差指状電極に与える交流信号の極性
や、各検出用交差指状電極に発生する起電力の極性の取
り扱いについては、これまで述べてきた実施例を若干修
正する必要がある。
【0078】たとえば、重錘体に変位+Δxを生じさせ
るためには、図24に示すような態様で、可撓部の各部
に伸び縮みを生じさせる必要がある。したがって、重錘
体をX軸方向に振動させるためには、図15に示すよう
に、互いに逆位相の交流信号S1,S2を用意し、交差
指状電極X1,X3には交流信号S1を供給し、交差指
状電極X2,X4には交流信号S2を供給すればよい。
同様に、交差指状電極Y1,Y3に交流信号S1を供給
し、交差指状電極Y2,Y4に交流信号S2を供給すれ
ば、重錘体をY軸方向に振動させることができる。
【0079】また、重錘体をZ軸方向に振動させるため
には、図25に示すような伸び縮みの態様を考慮し、交
差指状電極X1,X4(または、Y1,Y4)に交流信
号S1を供給し、交差指状電極X2,X3(または、Y
2,Y3)に交流信号S2を供給すればよい。更に、重
錘体をXY平面上で回転させるためには、図17に示す
ような4種類の交流信号S1,S2,S3,S4を用意
し、交差指状電極X1,X3には交流信号S1を供給
し、交差指状電極X2,X4には交流信号S2を供給
し、交差指状電極Y1,Y3には交流信号S3を供給
し、交差指状電極Y2,Y4には交流信号S4を供給す
ればよい。
【0080】一方、重錘体に作用したX軸方向の加速度
力またはコリオリ力を検出するには、交差指状電極X
1,X3に生じた起電力の和と、交差指状電極X2,X
4に生じた起電力の和と、の差を求めればよい。同様
に、重錘体に作用したY軸方向の加速度力またはコリオ
リ力を検出するには、交差指状電極Y1,Y3に生じた
起電力の和と、交差指状電極Y2,Y4に生じた起電力
の和と、の差を求めればよい。更に、重錘体に作用した
Z軸方向の加速度力またはコリオリ力を検出するには、
交差指状電極Z1,Z4に生じた起電力の和と、交差指
状電極Z2,Z3に生じた起電力の和と、の差を求めれ
ばよい。
【0081】なお、検出精度を高める上では、図26に
示す全24組の交差指状電極を用いた検出動作を行うの
が好ましいが、必ずしも、これらすべての交差指状電極
を用いた検出を行う必要はない。たとえば、重錘体44
0をX軸方向に駆動する場合、駆動用交差指状電極X
1,X4のみを用いてもよいし、駆動用交差指状電極X
2,X3のみを用いてもよい。同様に、重錘体440を
Y軸方向に駆動する場合、駆動用交差指状電極Y1,Y
4のみを用いてもよいし、駆動用交差指状電極Y2,Y
3のみを用いてもよい。更に、重錘体440をZ軸方向
に駆動する場合、駆動用交差指状電極Z1,Z4のみを
用いてもよいし、駆動用交差指状電極Z2,Z3のみを
用いてもよい。検出用交差指状電極についても同様であ
り、たとえば、重錘体440に対するX軸方向の力を検
出する場合、検出用交差指状電極X5,X8のみを用い
てもよいし、検出用交差指状電極X6,X7のみを用い
てもよい。同様に、重錘体440に対するY軸方向の力
を検出する場合、検出用交差指状電極Y5,Y8のみを
用いてもよいし、検出用交差指状電極Y6,Y7のみを
用いてもよい。更に、重錘体440に対するZ軸方向の
力を検出する場合、検出用交差指状電極Z5,Z8のみ
を用いてもよいし、検出用交差指状電極Z6,Z7のみ
を用いてもよい。
【0082】したがって、センサを実際に作成する際に
は、個々のセンサの機能(3軸方向の加速度および3軸
まわりの角速度の全6軸成分のうちのいくつを検出する
必要があるか)や、測定に必要な精度などを考慮して上
で、図26に示す24組の交差指状電極のうち、必要な
もののみを形成するようにすればよい。
【0083】§6. その他の実施例 最後に、これまで述べてきた種々の実施例についての変
形例をいくつか示しておく。
【0084】(1) 図27に示す圧電素子500は、図
26に示す圧電素子400と同じ構造を有しており、全
体的に肉厚の厚い圧電素子の下面に、ドーナツ状の溝を
形成することにより、可撓性をもった可撓部530と、
その内側に位置する重錘体540と、可撓部530の外
側に位置する台座550とによって構成されている。た
だ、上面に形成されている交差指状電極は、大幅に簡略
化されている。すなわち、X軸上には2組の交差指状電
極X1,X2が配置されており、Y軸上にも2組の交差
指状電極Y1,Y2が配置されているが、いずれも可撓
部530の内側(重錘体540側)に配置されている。
これらの交差指状電極X1,X2,Y1,Y2は、図2
6に示す実施例における交差指状電極X2,X3,Y
2,Y3に相当するものである。一方、X軸およびY軸
に対して45°をなす軸上に、4組の交差指状電極Z1
〜Z4が配置されている。これらの交差指状電極Z1〜
Z4は、可撓部530の半径方向に関するほぼ中央位置
に配置されており、図21に示す実施例における交差指
状電極Z1〜Z4に相当するものである。
【0085】このように、この図27に示す圧電素子5
00を用いたセンサにおける電極配置は、§4で述べた
センサと§5で述べたセンサとの折衷となっているが、
このような電極配置でも、センサとしての機能には何ら
支障はない。たとえば、このセンサを2軸角速度センサ
として利用するのであれば、4組の交差指状電極Z1〜
Z4にそれぞれ同一の交流信号を供給して、重錘体54
0をZ軸(図27の紙面に垂直な方向)方向に振動さ
せ、交差指状電極X1,X2に生じる起電力の差によっ
て角速度ωyを求め、交差指状電極Y1,Y2に生じる
起電力の差によって角速度ωxを求めるようにすればよ
い。
【0086】(2) これまで述べてきた実施例では、各
交差指状電極に同一極性の分極処理を施しているが、個
々の交差指状電極ごとに、それぞれ分極処理の極性を変
えるようにすると、駆動用回路および検出用回路を単純
化することが可能になる。たとえば、図3に示す分極処
理では、第2の電極群20側が正となるような分極電圧
Epを印加している。これに対して、図28に示すよう
な分極処理では、第2の電極群20側が負となるような
分極電圧−Epが印加されており、隣接する指状電極間
に生じる電界の向きが逆向きになる。したがって、図3
に示すような分極処理を行った交差指状電極と、図28
に示すような分極処理を行った交差指状電極とでは、そ
の電気的極性が逆転することになる。
【0087】このように、交差指状電極の電気的極性を
自由に選択することができれば、個々のセンサに適した
極性をもった交差指状電極を形成することが可能にな
り、駆動用回路および検出用回路を単純化することが可
能になる。たとえば、これまで述べてきた実施例の場
合、重錘体をX軸方向に振動させるためには、X軸の正
の部分に配置された交差指状電極と、X軸の負の部分に
配置された交差指状電極とに、それぞれ逆位相の交流信
号(たとえば、図15に示す交流信号S1およびS2)
を供給する必要があったが、両交差指状電極に対する分
極処理の極性を反転させておくようにすれば、両交差指
状電極に対して全く同一の交流信号を供給するだけで、
重錘体をX軸方向に振動させることが可能になり、駆動
用回路を単純化することができる。また、2つの交差指
状電極に発生する起電力の差をとる必要がある場合、こ
れら2つの交差指状電極に対する分極処理の極性を反転
させておけば、差をとる代わりに和をとる演算を行うこ
とができるようになり、検出用回路を単純化することが
できる。
【0088】(3) これまで述べた実施例では、交差指
状電極を構成する各指状電極は直線状をなしていたが、
個々の指状電極は必ずしも直線状の電極にする必要はな
く、曲線状の電極にしてもかまわない。特に、圧電素子
として円板状の形態のものを用いる場合には、その上面
に形成する交差指状電極としては、多数の円弧状の指状
電極からなる交差指状電極を用いるのが好ましい。図2
9に示す圧電素子600は、ドーナツ状の可撓部630
と、その内側に形成された円柱状の重錘体640と、可
撓部630の外側に形成された円筒状の台座650とを
有する円板状の圧電素子である。この図29には、この
ような円板状の圧電素子600の可撓部630の部分
に、円弧状の指状電極からなる交差指状電極660を形
成した状態(ここでは、1組だけを例示)が示されてい
る。この交差指状電極660の機能自体は、これまで述
べてきた種々の交差指状電極と全く同じであるが、圧電
素子600の上面中央に定義した座標系の原点Oを中心
とした円弧に沿って指状電極が配置されているため、円
板状の圧電素子600の上面のスペースを効率良く利用
した電極形成が可能になる。
【0089】たとえば、図30に上面が示されている圧
電素子700は、円板状の圧電素子であるが、その上面
には、8組の交差指状電極X1〜X4,Y1〜Y4が効
率良く配置されている。これら8組の交差指状電極は、
いずれも第1の電極群と第2の電極群とによって構成さ
れているが、その一方の電極群は互いに短絡されてお
り、接地端子部Egに接続されている。これに対し、他
方の電極群は互いに電気的に分離しており、それぞれ端
子部Ex1〜Ex4,Ey1〜Ey4に接続されてい
る。
【0090】この圧電素子700の周囲部を装置筐体に
固定し、中心部に重錘体を接合してセンサを構成すれ
ば、次のような方法で加速度や角速度の検出が可能にな
る。たとえば、交差指状電極X1,X4,Y1,Y4を
駆動用交差指状電極として用い、これらに図17に示す
ような交流信号S1〜S4を供給すれば、重錘体をXY
平面に沿って円運動させることができる。一方、交差指
状電極X2,X3,Y2,Y3を検出用交差指状電極と
して用いれば、交差指状電極X2,X3に生じる起電力
の差により、重錘体に作用したX軸方向の力を検出する
ことができ、交差指状電極Y2,Y3に生じる起電力の
差により、重錘体に作用したY軸方向の力を検出するこ
とができ、交差指状電極X2,X3,Y2,Y3に生じ
る起電力の総和により、重錘体に作用したZ軸方向の力
を検出することができる。こうして検出した力に基づい
て、各軸方向の加速度および各軸まわりの角速度を検出
する手法は、既に述べたとおりである。
【0091】(4) これまで述べた実施例では、各交差
指状電極を構成する個々の指状電極は、いずれも円板状
の圧電素子の半径方向に直交する方向もしくは円周方向
を向いて配置されていた。しかしながら、本発明を実施
する上では、各指状電極の向きは必ずしもこのような方
向に限定する必要はない。たとえば、図29に示す交差
指状電極670では、個々の指状電極はこの圧電素子6
00の半径方向を向いている。このように、指状電極が
半径方向を向いた交差指状電極を用いた場合、圧電素子
の伸び縮みの方向は、半径方向ではなく円周方向になる
と考えられるが、実際には、半径方向の伸び縮み現象も
生じることが確認できた。これはおそらく、1枚の円板
状圧電素子の一部に、円周方向への伸縮応力が発生する
と、円板全体が膨脹または収縮する変形が起こり、結果
的に、半径方向にも伸縮が生じるためと考えられる。
【0092】(5) これまで述べた実施例では、圧電素
子の上面に交差指状電極を形成していたが、もちろん、
圧電素子の下面に交差指状電極を形成してもかまわな
い。また、圧電素子の上下両面に交差指状電極を形成し
てもよい。ただ、上下両面に交差指状電極を形成する場
合には、圧電素子の上面における伸縮態様と、下面にお
ける伸縮態様とが異なる点を考慮して、駆動用の交流信
号の極性や、検出された起電力の符号の取り扱いを決め
る必要がある。
【0093】たとえば、図31の側断面図には、円板状
の圧電素子30の上面のX軸上に交差指状電極X1,X
2を形成し、下面のこれらに対向する位置に交差指状電
極XX1,XX2を形成した実施例が示されている。こ
の圧電素子30の中心部に重錘体40を接合し、周囲部
を台座50で固定した状態において、図31のように、
重錘体40に対してX軸方向への変位+Δxを加える
と、上面の交差指状電極X1はX軸方向に伸びるのに対
し、下面の交差指状電極XX1はX軸方向に縮むことに
なる。また、上面の交差指状電極X2はX軸方向に縮む
のに対し、下面の交差指状電極XX2はX軸方向に伸び
ることになる。
【0094】また、図32に示すように、重錘体40に
対してZ軸方向への変位+Δzを加えると、上面の交差
指状電極X1,X2はいずれもX軸方向に伸びるのに対
し、下面の交差指状電極XX1,XX2はいずれもX軸
方向に縮むことになる。逆方向の変位−Δzを加えた場
合には、図33に示すように、伸縮の状態が逆転する。
【0095】このように、圧電素子の上面と下面とで
は、一般に伸縮の態様が逆になるので、上下両面に交差
指状電極を形成する際には、考慮する必要がある。
【0096】(6) これまでの実施例では、重錘体を駆
動するために供給する交流信号として、図15〜図17
に示すような正弦波信号を用いていたが、このような正
弦波信号の代わりに、矩形波信号を用いることもでき、
あるいはパルス信号を用いることもできる。
【0097】(7) 圧電素子は一般的に衝撃に弱く、亀
裂による損傷を受けやすい。そこで、平板状の圧電素子
を用いたセンサでは、耐衝撃性を向上させるために、圧
電素子の裏面に保護基板を設けるのが好ましい。図34
に示す実施例は、図9に示すセンサにおいて、圧電素子
30の下面に保護基板60を設けるようにした変形例で
ある。保護基板60としては、ある程度の可撓性のある
材料からなる板を用いればよい。具体的には、金属板
(たとえば、リン青銅の板やステンレス板など)や可撓
性のあるセラミック基板(たとえば、ジルコニア板)を
用いることができる。金属板を用いた場合は、接着剤を
用いて圧電素子30の下面に接着するようにし、セラミ
ック基板を用いた場合は、圧電素子30の下面に焼結に
よる接合を行えばよい。
【0098】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る加速度センサ
および角速度センサによれば、構造的な簡略化が図れ、
小型で効率の良いセンサを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンサに利用される交差指状電極
が形成された圧電素子の上面図である(ハッチングは電
極パターンを示すためのものであり、断面を示すための
ものではない)。
【図2】図1に示す圧電素子をX軸に沿って切断した側
断面図である。
【図3】図1に示す圧電素子に対する分極処理の原理を
説明する側断面図である。
【図4】図3に示す分極処理を行った後の圧電素子に、
電圧を印加することにより機械的変形が生じる特性の一
形態を示す側断面図である。
【図5】図3に示す分極処理を行った後の圧電素子に、
電圧を印加することにより機械的変形が生じる特性の別
な一形態を示す側断面図である。
【図6】図3に示す分極処理を行った後の圧電素子に、
機械的変形を加えることにより起電力が生じる特性の一
形態を示す側断面図である。
【図7】図3に示す分極処理を行った後の圧電素子に、
機械的変形を加えることにより起電力が生じる特性の別
な一形態を示す側断面図である。
【図8】本発明に係るセンサを構成する圧電素子の一例
を示す上面図である。
【図9】図8に示す圧電素子を用いたセンサの一例を示
す側断面図である。
【図10】図9に示すセンサにおける重錘体40が、X
軸方向に変位+Δxを生じたときの圧電素子30の変形
状態を示す側断面図である。
【図11】図9に示すセンサにおける重錘体40が、X
軸方向に変位−Δxを生じたときの圧電素子30の変形
状態を示す側断面図である。
【図12】図9に示すセンサにおける重錘体40が、Z
軸方向に変位+Δzを生じたときの圧電素子30の変形
状態を示す側断面図である。
【図13】図9に示すセンサにおける重錘体40が、Z
軸方向に変位−Δzを生じたときの圧電素子30の変形
状態を示す側断面図である。
【図14】本発明の基本的実施形態に係るセンサに用い
られる圧電素子30を示す上面図である。
【図15】図14に示す圧電素子30上の交差指状電極
に供給する交流信号の一例を示すグラフである。
【図16】図14に示す圧電素子30上の交差指状電極
に供給する交流信号の別な一例を示すグラフである。
【図17】図14に示す圧電素子30上の交差指状電極
に供給する交流信号の更に別な一例を示すグラフであ
る。
【図18】本発明に係るセンサにおける重錘体をXY平
面上で円運動させた場合の運動軌跡を示す平面図であ
る。
【図19】本発明の一実施例に係るセンサに用いられる
圧電素子130の上面図である。
【図20】図19に示す圧電素子130上の各端子部に
接続される電気回路の一例を示す回路図である。
【図21】本発明の別な一実施例に係るセンサの上面図
である。
【図22】図21に示すセンサに用いられる交差指状電
極の形状を示す平面図である。
【図23】重錘体を圧電素子の一部で構成した本発明の
一実施例に係るセンサの側断面図である。
【図24】図23に示すセンサにおける重錘体340
が、X軸方向に変位+Δxを生じたときの圧電素子30
0の変形状態を示す側断面図である。
【図25】図23に示すセンサにおける重錘体340
が、Z軸方向に変位+Δzを生じたときの圧電素子30
0の変形状態を示す側断面図である。
【図26】図23に示すセンサの上面図である。
【図27】本発明の更に別な一実施例に係るセンサの上
面図である。
【図28】図1に示す圧電素子に対する分極処理の別な
形態を説明する側断面図である。
【図29】本発明に係るセンサに用いる交差指状電極の
バリエーションを示す上面図である。
【図30】円弧状の指状電極からなる交差指状電極を用
いた本発明の一実施例に係るセンサの上面図である。
【図31】圧電素子30の上下両面に交差指状電極を形
成したセンサの重錘体40が、X軸方向に変位+Δxを
生じたときの圧電素子30の変形状態を示す側断面図で
ある。
【図32】図31に示すセンサの重錘体40が、Z軸方
向に変位+Δzを生じたときの圧電素子30の変形状態
を示す側断面図である。
【図33】図31に示すセンサの重錘体40が、Z軸方
向に変位−Δzを生じたときの圧電素子30の変形状態
を示す側断面図である。
【図34】図9に示すセンサにおいて、圧電素子の下面
に保護基板を設けた変形例を示す側断面図である。
【符号の説明】
1…交流電源 2…電圧検出装置 10…第1の電極群 11〜15…指状電極 16…配線部 17…端子部 20…第2の電極群 21〜25…指状電極 26…配線部 27…端子部 30…圧電素子 40…重錘体 50…台座 60…保護基板 110…共通電極群 121〜124…個別電極群 210,215…第1の電極群 220,225…第2の電極群 230…圧電素子 240…重錘体 250…台座 300…圧電素子 330…可撓部 335…溝部 340…重錘体 350…台座 400…圧電素子 430…可撓部 440…重錘体 450…台座 500…圧電素子 530…可撓部 540…重錘体 550…台座 600…圧電素子 630…可撓部 640…重錘体 650…台座 660…交差指状電極 670…交差指状電極 700…圧電素子 E…端子部 Ed…駆動電圧 Eg…接地端子部 Ep…分極電圧 Ex1,Ex2,Ey1,Ey2…端子部 G(t1)〜G(t4)…時刻t1〜t4における重錘
体の重心Gの位置 FR,FL…圧電素子に加わる横方向の力 R1,R2…抵抗素子 S1〜S4…駆動用の交流信号 t0〜t4…時間軸t上の時刻 V(t1)〜V(t4)…時刻t1〜t4における重錘
体の重心Gの速度ベクトル X1〜X8…交差指状電極 XX1,XX2…圧電素子の下面に形成された交差指状
電極 Y1〜Y8…交差指状電極 Z1〜Z8…交差指状電極 ±Δx…X軸方向への変位 ±Δz…Z軸方向への変位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 和廣 埼玉県上尾市菅谷四丁目73番地 株式会社 ワコー内 Fターム(参考) 2F105 BB12 BB13 CC11 CC14 CD02 CD06

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 XYZ三次元座標系における少なくとも
    一軸方向に作用する加速度を検出する機能をもった加速
    度センサにおいて、 固定部と変位部とを有し、前記固定部を固定した状態で
    前記変位部に力が作用したときに機械的変形が生じる圧
    電素子と、 前記圧電素子を収容するとともに、前記固定部を支持固
    定する装置筐体と、 前記変位部に形成された重錘体と、 前記圧電素子の機械的変形が生じる位置に形成された交
    差指状電極と、 を備え、 互いにほぼ平行になるように所定間隔をおいて配置さ
    れ、互いに短絡した複数の指状電極からなる第1の電極
    群と、互いにほぼ平行になるように所定間隔をおいて配
    置され、互いに短絡した複数の指状電極からなる第2の
    電極群と、によって前記交差指状電極が構成され、前記
    第1の電極群を構成する指状電極と前記第2の電極群を
    構成する指状電極とは交互に並ぶように配置されてお
    り、 前記圧電素子には、前記第1の電極群と前記第2の電極
    群との間に所定極性の電圧を印加することにより分極処
    理が施されており、 前記重錘体に作用した加速度に基づいて前記変位部に力
    が作用し、前記圧電素子に機械的変形が生じたときに、
    前記第1の電極群と前記第2の電極群との間に前記加速
    度に応じた起電力が生じるようにしたことを特徴とする
    加速度センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の加速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 前記圧電素子の上面のX軸上に、各指状電極がほぼY軸
    方向を向くような交差指状電極を配置し、この交差指状
    電極に生じる起電力に基づいて、作用した加速度のX軸
    方向成分を検出できるようにしたことを特徴とする加速
    度センサ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の加速度センサにおい
    て、 圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極がほぼ
    Y軸方向を向くような第1の交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極がほぼ
    Y軸方向を向くような第2の交差指状電極を配置し、 前記第1の交差指状電極に生じる起電力と前記第2の交
    差指状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速
    度のX軸方向成分およびZ軸方向成分を検出するように
    したことを特徴とする加速度センサ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の加速度センサにおい
    て、 第1の交差指状電極および第2の交差指状電極の他に、
    更に、 圧電素子の上面のY軸の正の部分に、各指状電極がほぼ
    X軸方向を向くような第3の交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のY軸の負の部分に、各指状電極がほぼ
    X軸方向を向くような第4の交差指状電極を配置し、 前記第1の交差指状電極に生じる起電力と前記第2の交
    差指状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速
    度のX軸方向成分を検出し、 前記第3の交差指状電極に生じる起電力と前記第4の交
    差指状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速
    度のY軸方向成分を検出し、 前記第1の交差指状電極に生じる起電力と前記第2の交
    差指状電極に生じる起電力に基づいて、または、前記第
    3の交差指状電極に生じる起電力と前記第4の交差指状
    電極に生じる起電力に基づいて、または、前記第1〜第
    4の交差指状電極のすべてに生じる起電力に基づいて、
    作用した加速度のZ軸方向成分を検出するようにしたこ
    とを特徴とする加速度センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の加速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 前記圧電素子の上面のX軸上に、各指状電極が前記原点
    を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような交差指
    状電極を配置し、この交差指状電極に生じる起電力に基
    づいて、作用した加速度のX軸方向成分を検出できるよ
    うにしたことを特徴とする加速度センサ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の加速度センサにおい
    て、 圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    1の交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    2の交差指状電極を配置し、 前記第1の交差指状電極に生じる起電力と前記第2の交
    差指状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速
    度のX軸方向成分およびZ軸方向成分を検出するように
    したことを特徴とする加速度センサ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の加速度センサにおい
    て、 第1の交差指状電極および第2の交差指状電極の他に、
    更に、 圧電素子の上面のY軸の正の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    3の交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のY軸の負の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    4の交差指状電極を配置し、 前記第1の交差指状電極に生じる起電力と前記第2の交
    差指状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速
    度のX軸方向成分を検出し、 前記第3の交差指状電極に生じる起電力と前記第4の交
    差指状電極に生じる起電力とに基づいて、作用した加速
    度のY軸方向成分を検出し、 前記第1の交差指状電極に生じる起電力と前記第2の交
    差指状電極に生じる起電力に基づいて、または、前記第
    3の交差指状電極に生じる起電力と前記第4の交差指状
    電極に生じる起電力に基づいて、または、前記第1〜第
    4の交差指状電極のすべてに生じる起電力に基づいて、
    作用した加速度のZ軸方向成分を検出するようにしたこ
    とを特徴とする加速度センサ。
  8. 【請求項8】 XYZ三次元座標系における少なくとも
    一軸まわりに作用する角速度を検出する機能をもった角
    速度センサにおいて、 固定部と変位部とを有し、前記固定部を固定した状態で
    前記変位部に力が作用したときに機械的変形が生じる圧
    電素子と、 前記圧電素子を収容するとともに、前記固定部を支持固
    定する装置筐体と、 前記変位部に形成された重錘体と、 前記圧電素子の機械的変形が生じる位置に形成された駆
    動用交差指状電極および検出用交差指状電極と、 を備え、 互いにほぼ平行になるように所定間隔をおいて配置さ
    れ、互いに短絡した複数の指状電極からなる第1の電極
    群と、互いにほぼ平行になるように所定間隔をおいて配
    置され、互いに短絡した複数の指状電極からなる第2の
    電極群と、によって前記交差指状電極が構成され、前記
    第1の電極群を構成する指状電極と前記第2の電極群を
    構成する指状電極とは交互に並ぶように配置されてお
    り、 前記圧電素子には、前記第1の電極群と前記第2の電極
    群との間に所定極性の電圧を印加することにより分極処
    理が施されており、 前記駆動用交差指状電極を構成する第1の電極群と第2
    の電極群との間に、所定の交流信号を供給することによ
    り、前記重錘体を所定の軌道に沿って運動させることが
    できるようにし、 前記重錘体の運動中に作用した角速度に基づいてコリオ
    リ力が発生し、前記圧電素子に機械的変形が生じたとき
    に、前記検出用交差指状電極を構成する第1の電極群と
    第2の電極群との間に前記角速度に応じた起電力が生じ
    るようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の角速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極がほぼ
    Y軸方向を向くような第1の駆動用交差指状電極を配置
    し、 圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極がほぼ
    Y軸方向を向くような第2の駆動用交差指状電極を配置
    し、 圧電素子の上面のY軸の正の部分に、各指状電極がほぼ
    X軸方向を向くような第3の駆動用交差指状電極を配置
    し、 圧電素子の上面のY軸の負の部分に、各指状電極がほぼ
    X軸方向を向くような第4の駆動用交差指状電極を配置
    し、 前記第1の駆動用交差指状電極および前記第2の駆動用
    交差指状電極には、重錘体をX軸方向に単振動させるこ
    とができるX軸方向励振用交流信号を供給し、前記第3
    の駆動用交差指状電極および前記第4の駆動用交差指状
    電極には、重錘体をY軸方向に単振動させることができ
    るY軸方向励振用交流信号を供給し、前記X軸方向励振
    用交流信号と前記Y軸方向励振用交流信号との位相を9
    0°ずらすことにより、重錘体にXY平面上での円運動
    を行わせることができるようにし、 前記重錘体が前記円運動を行っているときに、この円運
    動軌道の接線方向に直交する方向に作用したコリオリ力
    を検出用交差指状電極によって検出することにより、前
    記接線方向および前記コリオリ力の方向の双方に直交す
    る軸まわりの角速度を検出できるようにしたことを特徴
    とする角速度センサ。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の角速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極がほぼ
    Y軸方向を向くような第1の検出用交差指状電極を配置
    し、 圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極がほぼ
    Y軸方向を向くような第2の検出用交差指状電極を配置
    し、 駆動用交差指状電極に所定の交流信号を供給することに
    より、重錘体をXY平面上で円運動を行わせることがで
    きるようにし、 前記重錘体がX軸を横切るときに、前記第1の検出用交
    差指状電極および前記第2の検出用交差指状電極に生じ
    る起電力に基づいて、Z軸まわりの角速度を検出できる
    ようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の角速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 圧電素子の上面に、重錘体のZ軸方向の変位を検出する
    ことができる検出用交差指状電極を配置し、 駆動用交差指状電極に所定の交流信号を供給することに
    より、重錘体をXY平面上で円運動を行わせることがで
    きるようにし、 前記重錘体がX軸を横切るときに、前記検出用交差指状
    電極に生じる起電力に基づいて、X軸まわりの角速度を
    検出し、前記重錘体がY軸を横切るときに、前記検出用
    交差指状電極に生じる起電力に基づいて、Y軸まわりの
    角速度を検出できるようにしたことを特徴とする角速度
    センサ。
  12. 【請求項12】 請求項8に記載の角速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    1の駆動用交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    2の駆動用交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のY軸の正の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    3の駆動用交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のY軸の負の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    4の駆動用交差指状電極を配置し、 前記第1の駆動用交差指状電極および前記第2の駆動用
    交差指状電極には、重錘体をX軸方向に単振動させるこ
    とができるX軸方向励振用交流信号を供給し、前記第3
    の駆動用交差指状電極および前記第4の駆動用交差指状
    電極には、重錘体をY軸方向に単振動させることができ
    るY軸方向励振用交流信号を供給し、前記X軸方向励振
    用交流信号と前記Y軸方向励振用交流信号との位相を9
    0°ずらすことにより、重錘体にXY平面上での円運動
    を行わせることができるようにし、 前記重錘体が前記円運動を行っているときに、この円運
    動軌道の接線方向に直交する方向に作用したコリオリ力
    を検出用交差指状電極によって検出することにより、前
    記接線方向および前記コリオリ力の方向の双方に直交す
    る軸まわりの角速度を検出できるようにしたことを特徴
    とする角速度センサ。
  13. 【請求項13】 請求項8に記載の角速度センサにおい
    て、 上面が平面をなす板状の圧電素子を用い、その周囲部分
    を固定部として装置筐体に固定し、その中心部分を変位
    部としてここに重錘体を形成し、 前記圧電素子の上面中心に原点を有し、前記上面がXY
    平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義し、 圧電素子の上面のX軸の正の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    1の検出用交差指状電極を配置し、 圧電素子の上面のX軸の負の部分に、各指状電極が前記
    原点を中心とした円弧にほぼ沿った方向を向くような第
    2の検出用交差指状電極を配置し、 駆動用交差指状電極に所定の交流信号を供給することに
    より、重錘体をXY平面上で円運動を行わせることがで
    きるようにし、 前記重錘体がX軸を横切るときに、前記第1の検出用交
    差指状電極および前記第2の検出用交差指状電極に生じ
    る起電力に基づいて、Z軸まわりの角速度を検出できる
    ようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  14. 【請求項14】 請求項8〜13のいずれかに記載の角
    速度センサにおいて、 物理的に同一の交差指状電極を、駆動用交差指状電極と
    検出用交差指状電極との双方を兼用する電極として用い
    たことを特徴とする角速度センサ。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載のセ
    ンサにおいて、 重錘体が圧電素子の一部によって構成されていることを
    特徴とするセンサ。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載のセ
    ンサにおいて、 圧電素子として板状の圧電素子を用い、この圧電素子の
    上下両面に交差指状電極を形成したことを特徴とするセ
    ンサ。
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