JPH0868636A - 加速度と角速度との双方を検出する装置 - Google Patents

加速度と角速度との双方を検出する装置

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JPH0868636A
JPH0868636A JP6225894A JP22589494A JPH0868636A JP H0868636 A JPH0868636 A JP H0868636A JP 6225894 A JP6225894 A JP 6225894A JP 22589494 A JP22589494 A JP 22589494A JP H0868636 A JPH0868636 A JP H0868636A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加速度と角速度との双方を十分な応答性をも
って検出する。 【構成】 質量mをもった振動子130を各軸方向に振
動させるための励振手段141〜143と、振動子に作
用する各軸方向の力を検出するための力検出手段151
〜153とを設ける。検出した各軸方向の力は、それぞ
れ信号分離手段161〜163によって、加速度に起因
した力fと、角速度に起因したコリオリ力Fと、に分離
される。加速度演算手段171〜173は、分離された
各力fに基づいて、f=m・αなる演算式を用いて、加
速度の各軸方向成分αx,αy,αzを出力する。角速
度演算手段181〜183は、分離された各コリオリ力
Fに基づいて、F=2m・v・ωなる演算式(vは振動
子の振動方向に関する瞬間速度)を用いて、各軸まわり
の角速度ωx,ωy,ωzを出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加速度と角速度との双
方を検出する装置、特に、振動子に作用する力に基づい
て加速度および角速度の検出を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】加速度や角速度といった物理量を検出す
る場合、従来は、加速度を検出するためには加速度検出
装置を用い、角速度を検出するためには角速度検出装置
を用いるのが一般的であり、加速度と角速度との双方を
検出することができる装置は、本願出願人の知る限りに
おいては、現段階では実用化されていない。また、従来
は、特定の一軸方向の加速度を検出する一次元加速度検
出装置や、特定の一軸まわりの角速度を検出する一次元
角速度検出装置が一般的であり、二次元あるいは三次元
の各座標軸の成分ごとにこれらの物理量を検出する場合
には、それぞれ各座標軸ごとに独立した検出装置を配置
するのが一般的であった。
【0003】ところが、近年、自動車産業や機械産業な
どにおいて、加速度や角速度といった物理量を正確に検
出できる検出装置の需要が高まってきている。特に、二
次元あるいは三次元の各座標軸の成分ごとにこれらの物
理量を検出しうる小型の検出装置が望まれている。この
ような需要に応えるために、本願と同一の発明者によっ
て、単一の検出装置を用いて、三次元座標系における各
座標軸方向の加速度と、角座標軸まわりの角速度とを、
それぞれ独立して検出する技術が提案されている。すな
わち、特許協力条約に基づく国際出願PCT/JP93
/00390号明細書や、平成6年7月21日付の本願
と同一出願人による特許出願(整理番号:A0606
2)の明細書には、振動子に作用する力に基づいて加速
度および角速度を各座標軸成分ごとに検出することがで
きる新規な検出装置が開示されている。この装置におけ
る角速度の検出原理は、コリオリ力を利用したものであ
る。すなわち、振動子にX軸まわりの角速度ωxが作用
している状態において、この振動子をY軸方向に振動さ
せると、Z軸方向にコリオリ力が作用するという原理を
利用し、振動子を励振手段によってY軸方向に振動させ
た状態において、Z軸方向に作用したコリオリ力を検出
し、このコリオリ力に基づいて、X軸まわりの角速度ω
xを間接的に求めるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した新規な検出装
置は、比較的小形の装置でありながら、X軸,Y軸,Z
軸方向の加速度と、これら各軸まわりの各速度と、いう
6つの物理量を検出することができる有用な装置であ
る。しかしながら、この装置では、加速度の検出にも、
角速度の検出にも、振動子に作用する力を検出する必要
がある。すなわち、一方では、振動子を静止状態に保っ
た状態において、振動子に作用する力を検出することに
より、外部から与えられた加速度を検出し、他方では、
振動子を所定方向に振動させた状態において、振動子に
作用するコリオリ力を検出することにより、外部から与
えられた角速度を検出するのである。したがって、加速
度検出を行う場合には、振動子を静止状態に保ち、角速
度検出を行う場合には、振動子を振動状態に保たねばな
らない。
【0005】このような検出装置を、自動車や産業機械
などに搭載して用いる場合には、通常は、時々刻々と変
化してゆく加速度と角速度とをリアルタイムで検出する
ことが要求される。上述の検出装置を用いて、このよう
に加速度と角速度とをリアルタイムで検出するために
は、振動子を静止状態に保ちつつ加速度検出を行う動作
と、振動子を振動状態に保ちつつ角速度検出を行う動作
と、を交互に繰り返し実行する必要がある。ところが、
振動子の機械的な応答性には限度があり、静止状態の振
動子を振動させたり、振動状態の振動子を静止させたり
するには、どうしてもある程度の時間が必要になる。こ
のため、加速度と角速度とをリアルタイムで検出する動
作を行わせると、十分な応答性が得られないという問題
が生じる。
【0006】そこで本発明は、加速度と角速度との双方
を十分な応答性をもって検出することのできる検出装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、三次元座標系における第
1の軸方向の加速度および第2の軸まわりの角速度を検
出する装置において、質量をもった振動子と、この振動
子を、三次元座標系における第3の軸方向に、検出対象
となる加速度および角速度のもつ周波数に対して識別可
能な十分に高い周波数で振動させる励振手段と、振動子
に加わる第1の軸方向への力を検出する力検出手段と、
力検出手段によって得られる検出信号について、バイア
ス成分と振幅成分とを分離する信号分離手段と、バイア
ス成分に基づいて、第1の軸方向の加速度を求める加速
度演算手段と、振幅成分に基づいて、第2の軸まわりの
角速度を求める角速度演算手段と、を設けたものであ
る。
【0008】(2) 本発明の第2の態様は、三次元座標
系における第1の軸、第2の軸、第3の軸の各軸方向の
加速度および各軸まわりの角速度を検出する装置におい
て、質量をもった振動子と、振動子を、第1の軸方向
に、検出対象となる加速度および角速度のもつ周波数に
対して識別可能な十分に高い周波数で振動させる第1の
励振手段と、振動子を、第2の軸方向に、検出対象とな
る加速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な
十分に高い周波数で振動させる第2の励振手段と、振動
子を、第3の軸方向に、検出対象となる加速度および角
速度のもつ周波数に対して識別可能な十分に高い周波数
で振動させる第3の励振手段と、振動子に加わる第1の
軸方向への力を検出する第1の力検出手段と、振動子に
加わる第2の軸方向への力を検出する第2の力検出手段
と、振動子に加わる第3の軸方向への力を検出する第3
の力検出手段と、第1の力検出手段によって得られる第
1の検出信号について、バイアス成分と振幅成分とを分
離する第1の信号分離手段と、第2の力検出手段によっ
て得られる第2の検出信号について、バイアス成分と振
幅成分とを分離する第2の信号分離手段と、第3の力検
出手段によって得られる第3の検出信号について、バイ
アス成分と振幅成分とを分離する第3の信号分離手段
と、第1の検出信号についてのバイアス成分に基づい
て、第1の軸方向の加速度を求める第1の加速度演算手
段と、第2の検出信号についてのバイアス成分に基づい
て、第2の軸方向の加速度を求める第2の加速度演算手
段と、第3の検出信号についてのバイアス成分に基づい
て、第3の軸方向の加速度を求める第3の加速度演算手
段と、第2の励振手段を駆動して振動子を第2の軸方向
に振動させ、この状態において得られる第1の検出信号
についての振幅成分に基づいて、第3の軸まわりの角速
度を求める第1の角速度演算手段と、第3の励振手段を
駆動して振動子を第3の軸方向に振動させ、この状態に
おいて得られる第2の検出信号についての振幅成分に基
づいて、第1の軸まわりの角速度を求める第2の角速度
演算手段と、第1の励振手段を駆動して振動子を第1の
軸方向に振動させ、この状態において得られる第3の検
出信号についての振幅成分に基づいて、第2の軸まわり
の角速度を求める第3の角速度演算手段と、を設けたも
のである。
【0009】(3) 本発明の第3の態様は、三次元座標
系における第1の軸、第2の軸、第3の軸の各軸方向の
加速度および各軸まわりの角速度を検出する装置におい
て、質量をもった振動子と、振動子を、第1の軸方向
に、検出対象となる加速度および角速度のもつ周波数に
対して識別可能な十分に高い周波数で振動させる第1の
励振手段と、振動子を、第3の軸方向に、検出対象とな
る加速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な
十分に高い周波数で振動させる第2の励振手段と、振動
子に加わる第1の軸方向への力を検出する第1の力検出
手段と、振動子に加わる第2の軸方向への力を検出する
第2の力検出手段と、振動子に加わる第3の軸方向への
力を検出する第3の力検出手段と、第1の力検出手段に
よって得られる第1の検出信号について、バイアス成分
と振幅成分とを分離する第1の信号分離手段と、第2の
力検出手段によって得られる第2の検出信号について、
バイアス成分と振幅成分とを分離する第2の信号分離手
段と、第3の力検出手段によって得られる第3の検出信
号について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第3
の信号分離手段と、第1の検出信号についてのバイアス
成分に基づいて、第1の軸方向の加速度を求める第1の
加速度演算手段と、第2の検出信号についてのバイアス
成分に基づいて、第2の軸方向の加速度を求める第2の
加速度演算手段と、第3の検出信号についてのバイアス
成分に基づいて、第3の軸方向の加速度を求める第3の
加速度演算手段と、第3の励振手段を駆動して振動子を
第3の軸方向に振動させ、この状態において得られる第
1の検出信号についての振幅成分に基づいて、第2の軸
まわりの角速度を求める第1の角速度演算手段と、第1
の励振手段を駆動して振動子を第1の軸方向に振動さ
せ、この状態において得られる第2の検出信号について
の振幅成分に基づいて、第3の軸まわりの角速度を求め
るとともに、第3の励振手段を駆動して、振動子を第3
の軸方向に振動させた状態において得られる第2の検出
信号についての振幅成分に基づいて、第1の軸まわりの
角速度を求める第2の角速度演算手段と、を設けたもの
である。
【0010】(4) 本発明の第4の態様は、三次元座標
系における第1の軸方向の加速度および第1の軸まわり
の角速度と、第2の軸方向の加速度および第2の軸まわ
りの角速度と、を検出する装置において、質量をもった
振動子と、この振動子を、三次元座標系における第3の
軸方向に、検出対象となる加速度および角速度のもつ周
波数に対して識別可能な十分に高い周波数で振動させる
励振手段と、振動子に加わる第1の軸方向への力を検出
する第1の力検出手段と、振動子に加わる第2の軸方向
への力を検出する第2の力検出手段と、第1の力検出手
段によって得られる第1の検出信号について、バイアス
成分と振幅成分とを分離する第1の信号分離手段と、第
2の力検出手段によって得られる第2の検出信号につい
て、バイアス成分と振幅成分とを分離する第2の信号分
離手段と、第1の検出信号についてのバイアス成分に基
づいて、第1の軸方向の加速度を求める第1の加速度演
算手段と、第2の検出信号についてのバイアス成分に基
づいて、第2の軸方向の加速度を求める第2の加速度演
算手段と、第1の検出信号についての振幅成分に基づい
て、第2の軸まわりの角速度を求める第1の角速度演算
手段と、第2の検出信号についての振幅成分に基づい
て、第1の軸まわりの角速度を求める第2の角速度演算
手段と、を設けたものである。
【0011】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1
〜4の態様に係る装置において、信号分離手段が、検出
信号の各変極点を抽出し、隣接する2つの変極点の時間
軸上での中間位置に、この2つの変極点の信号値を平均
して得られる信号値をもつ参照点を求め、求めた参照点
を結ぶことによって得られる信号をバイアス成分とし、
検出信号とバイアス成分との差に相当する信号を振幅成
分とするようにしたものである。
【0012】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1
〜4の態様に係る装置において、加速度演算手段が、検
出された力のバイアス成分fと、振動子の質量mと、に
基づいて、f=m・αなる演算式を適用して加速度αを
求めるようにしたものである。
【0013】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1
〜4の態様に係る装置において、角速度演算手段が、検
出された力の振幅成分Fと、振動子の質量mと、励振手
段の動作状態から推定される振動子の瞬間速度vと、に
基づいて、F=2m・v・ωなる演算式を適用して角速
度ωを求めるようにしたものである。
【0014】
【作 用】本発明に係る検出装置では、加速度の検出に
も、角速度の検出にも、振動子に作用する力が用いられ
る。この検出装置における検出動作の基本原理によれ
ば、加速度を検出するには、振動子を静止状態に保ち、
そのときに振動子に作用した力を検出すればよいし、角
速度を検出するには、振動子を振動状態に保ち、そのと
きに振動子に作用した力を検出すればよい。本願発明者
は、このような基本原理に基いて、当初は、振動子を静
止状態にした加速度検出と、振動子を振動状態にした角
速度検出と、をそれぞれ別個独立して行うことを想定し
ていた。
【0015】ところが、本願発明者は、加速度検出と角
速度検出とを同時に行うことが可能であることに気付い
たのである。いま、たとえば、ある軸方向の加速度と、
ある軸まわりの角速度とが、同時に作用しており、この
加速度と角速度とは、所定方向に振動している振動子に
対して同じ方向に力を作用させる性質のものであったと
する。この場合、振動子に作用する力は、加速度に起因
した成分と、角速度に起因した成分との合成力というこ
とになる。もし、この合成力を、加速度に起因した成分
と角速度に起因した成分とに分離することができれば、
加速度と角速度との同時検出が可能になる。
【0016】このような分離は、検出対象となる加速度
および角速度のもつ周波数に対して、振動子の振動周波
数が十分に高い場合には可能である。すなわち、このよ
うな条件では、加速度に起因した成分はバイアス成分と
して、角速度に起因した成分は振幅成分として、それぞ
れ合成されるのである。したがって、得られた合成力を
バイアス成分と振幅成分とに分離すれば、加速度に起因
した成分と角速度に起因した成分とを独立して得ること
が可能になる。
【0017】
【実施例】§1. 角速度および加速度検出の基本原理 まず、本発明に係る検出装置における角速度検出の基本
原理を説明する。本発明に係る装置では、二軸あるいは
三軸まわりの角速度を検出することが可能であるが、こ
こでは、はじめに、一軸の角速度検出原理を簡単に説明
しておく。図1は、雑誌「発明(THE INVENTION)」、vo
l.90,No.3(1993年)の60頁に開示されている角
速度検出装置の基本原理を示す図である。いま、角柱状
の振動子110を用意し、図示するような方向にX,
Y,Z軸を定義したXYZ三次元座標系を考える。この
ような系において、振動子110がZ軸を回転軸として
角速度ωで回転運動を行っている場合、次のような現象
が生じることが知られている。すなわち、この振動子1
10をX軸方向に往復運動させるような振動Uを与える
と、Y軸方向にコリオリ力Fが発生する。別言すれば、
振動子110を図のX軸に沿って振動させた状態で、こ
の振動子110をZ軸を中心軸として回転させると、Y
軸方向にコリオリ力Fが生じることになる。この現象
は、フーコーの振り子として古くから知られている力学
現象であり、発生するコリオリ力Fは、 F=2m・v・ω で表される。ここで、mは振動子110の質量、vは振
動子110の振動についての瞬時の速度、ωは振動子1
10の瞬時の角速度である。
【0018】前述の雑誌に開示された一軸の角速度検出
装置は、この現象を利用して角速度ωを検出するもので
ある。すなわち、図1に示すように、角柱状の振動子1
10の第1の面には第1の圧電素子111が、この第1
の面と直交する第2の面には第2の圧電素子112が、
それぞれ取り付けられる。圧電素子111,112とし
ては、ピエゾエレクトリックセラミックからなる板状の
素子が用いられている。そして、振動子110に対して
振動Uを与えるために圧電素子111が利用され、発生
したコリオリ力Fを検出するために圧電素子112が利
用される。すなわち、圧電素子111に交流電圧を与え
ると、この圧電素子111は伸縮運動を繰り返しX軸方
向に振動する。この振動Uが振動子110に伝達され、
振動子110がX軸方向に振動することになる。このよ
うに、振動子110に振動Uを与えた状態で、振動子1
10自身がZ軸を中心軸として角速度ωで回転すると、
上述した現象により、Y軸方向にコリオリ力Fが発生す
る。このコリオリ力Fは、圧電素子112の厚み方向に
作用するため、圧電素子112の両面にはコリオリ力F
に比例した電圧Vが発生する。そこで、この電圧Vを測
定することにより、角速度ωを検出することが可能にな
る。
【0019】上述した従来の角速度検出装置は、Z軸ま
わりの角速度を検出するためのものであり、X軸あるい
はY軸まわりの角速度の検出を行うことはできない。本
発明に係る検出装置では、図2に示すように、所定の物
体120について、XYZ三次元座標系におけるX軸ま
わりの角速度ωx、Y軸まわりの角速度ωy、Z軸まわ
りの角速度ωz、のそれぞれを別個独立して検出するこ
とができる。その基本原理を、図3〜図5を参照して説
明する。いま、XYZ三次元座標系の原点位置に振動子
130が置かれているものとする。この振動子130の
X軸まわりの角速度ωxを検出するには、図3に示すよ
うに、この振動子130にZ軸方向の振動Uzを与えた
ときに、Y軸方向に発生するコリオリ力Fyを測定すれ
ばよい。コリオリ力Fyは角速度ωxに比例した値とな
る。また、この振動子130のY軸まわりの角速度ωy
を検出するには、図4に示すように、この振動子130
にX軸方向の振動Uxを与えたときに、Z軸方向に発生
するコリオリ力Fzを測定すればよい。コリオリ力Fz
は角速度ωyに比例した値となる。更に、この振動子1
30のZ軸まわりの角速度ωzを検出するには、図5に
示すように、この振動子130にY軸方向の振動Uyを
与えたときに、X軸方向に発生するコリオリ力Fxを測
定すればよい。コリオリ力Fxは角速度ωzに比例した
値となる。
【0020】結局、XYZ三次元座標系におけるX軸ま
わりの角速度ωx、Y軸まわりの角速度ωy、Z軸まわ
りの角速度ωz、をそれぞれ検出するには、図6に示す
ように、振動子130にX軸方向の振動Uxを与えるX
軸方向励振手段141、Y軸方向の振動Uyを与えるY
軸方向励振手段142、Z軸方向の振動Uzを与えるZ
軸方向励振手段143、のそれぞれと、振動子130に
作用するX軸方向のコリオリ力Fxを検出するX軸方向
力検出手段151、Y軸方向のコリオリ力Fyを検出す
るY軸方向力検出手段152、Z軸方向のコリオリ力F
zを検出するZ軸方向力検出手段153のそれぞれと、
を用意すればよいことになる。
【0021】一方、加速度の検出原理はより単純であ
る。すなわち、静止状態の振動子(単なる質量mをもっ
た錘りとして機能する)に、所定方向の加速度αが作用
すると、この加速度αと同じ方向に、f=m・αなる力
fが作用することになる。したがって、静止状態の振動
子130に作用する各軸方向の力fx,fy,fzを検
出すれば、質量mを用いた演算により、各軸方向の加速
度αx,αy,αzを検出することができる。
【0022】結局、XYZ三次元座標系におけるX軸方
向の加速度αx、Y軸方向の加速度αy、Z軸方向の加
速度αz、をそれぞれ検出するには、図7に示すよう
に、振動子130に作用するX軸方向の力fxを検出す
るX軸方向力検出手段151、Y軸方向の力fyを検出
するY軸方向力検出手段152、Z軸方向の力fzを検
出するZ軸方向力検出手段153のそれぞれを用意すれ
ばよいことになる。
【0023】さて、図6には三次元角速度検出装置の構
成要素をブロック図として示し、図7には三次元加速度
検出装置の構成要素をブロック図として示したが、両者
を比べてみると、前者の構成は後者の構成を含んでいる
ことがわかる。すなわち、図7に示す加速度検出装置
に、更に、各軸方向についての励振手段141,14
2,143を付加すれば、図6に示す角速度検出装置が
得られることになり、図6に示す角速度検出装置は、図
7に示す加速度検出装置としても機能するのである。
【0024】ただ、角速度も加速度も、いずれも各軸方
向に作用する力という形で検出されるため、単一の検出
装置により角速度と加速度との双方を検出しようとする
と、検出された力に角速度成分と加速度成分との双方が
含まれてしまうことになる。角速度に起因する力は、既
に述べたように、振動子を所定方向に振動させた状態に
おいてのみ生じるコリオリ力(F=2m・v・ωの大き
さをもつ)であり、本明細書では、これを大文字の
「F」で示すことにする。図6において各力検出手段1
51,152,153の検出対象となっているFx,F
y,Fzは、いずれも角速度に起因して生じるコリオリ
力である。一方、加速度に起因する力は、振動子の振動
とは無関係に生じる力(f=m・α)であり、本明細書
では、これを小文字の「f」で示すことにする。図7に
おいて各力検出手段151,152,153の検出対象
となっているfx,fy,fzは、いずれも加速度に起
因して生じる力である。振動子130に角速度と加速度
との双方が作用している状態においては、各力検出手段
151,152,153には、角速度に起因したコリオ
リ力Fx,Fy,Fzと、加速度に起因した力fx,f
y,fzとの合成力が検出されることになる。本発明が
解決すべき課題は、このような状況において、いかにし
て角速度に起因するコリオリ力Fと加速度に起因する力
fとを分離して検出するかという点にある。
【0025】§2. 本発明の実施に適した具体的な検
出装置の構造 本発明に係る検出装置の基本構成は、図6のブロック図
に示したとおりであり、本発明は、このような構成をも
つ検出装置であれば、どのような検出装置に対しても適
用可能である。この図6のブロック図に示す構成をもっ
た検出装置の具体的な構造については、前掲の特許協力
条約に基づく国際出願PCT/JP93/00390号
明細書や、平成6年7月21日付の本願と同一出願人に
よる特許出願(整理番号:A06062)の明細書に、
種々の実施例が開示されている。本発明は、このような
検出装置の具体的な構造についてのものではなく、この
ような検出装置から得られた検出信号の信号処理に関す
るものである。したがって、ここでは、このような検出
装置の具体的な構造の一例だけを参考として述べておく
ことにする。もちろん、本発明の技術範囲は、ここに述
べる具体的な構造に何ら制約を受けるものではない。
【0026】図8は、この具体的な検出装置を斜め上方
から見た斜視図、図9は、この検出装置を斜め下方から
見た斜視図である。この検出装置は、円盤状の圧電素子
10の上面に12枚の上部電極A1〜A8,E1〜E4
を形成するとともに、下面に1枚の下部電極Bを形成し
たものである。ここでは説明の便宜上、XYZ三次元座
標系の原点Oを、円盤状の圧電素子10の上面の中心位
置に定義し、X軸およびY軸をこの圧電素子10の上面
に沿った方向に定義し、Z軸をこの上面に対して垂直上
方に向かう方向に定義することにする。したがって、こ
の圧電素子10の上面は、XY平面に含まれることにな
る。
【0027】圧電素子10の構造的な特徴は、図9に示
されているように、下面に環状溝15が形成されている
点である。この実施例では、環状溝15は原点Oを取り
囲むような円形をしている。下部電極Bは、1枚の単一
の電極層であり、この環状溝15の内部をも含めた圧電
素子10の下面全面に形成されている。一方、12枚の
上部電極A1〜A8,E1〜E4は、図9の上面図に明
瞭に示されているように、いずれも原点Oを中心とした
円弧に沿った帯状をしており、X軸あるいはY軸に関し
て線対称な形状をしている。
【0028】この検出装置の構造は、図11を参照する
と、より明らかになる。図11は、この検出装置をXZ
平面で切った側断面図である。圧電素子10の環状溝1
5が形成された部分は、他の部分に比べて肉厚が薄くな
っており、可撓性を有する。ここでは、圧電素子10の
中の環状溝15の上方に位置する部分を可撓部12と呼
び、この可撓部12によって囲まれた中心の部分を中心
部11と呼び、可撓部12の外周に位置する部分を周囲
部13と呼ぶことにする。これら3つの部分の相対的な
位置関係は、図12の下面図に明瞭に示されている。す
なわち、中心部11の周囲の環状溝15が形成された部
分に可撓部12が形成され、この可撓部12の周囲に周
囲部13が形成されていることになる。
【0029】ここで、たとえば、周囲部13だけを検出
装置筐体に固定し、検出装置筐体全体を揺らすと、中心
部11にはその質量により加速度に基づく力が作用し、
この力により可撓部12に撓みが生じることになる。す
なわち、中心部11は、可撓性をもった可撓部12によ
って周囲から支持された状態になっており、X軸、Y
軸、Z軸方向にある程度の変位を生じることが可能であ
る。結局、この検出装置における中心部11は、図6に
示す検出装置における質量を有する振動子130として
機能するのである。図6に示す検出装置では、振動子1
30の他に、各軸方向の励振手段141,142,14
3と、各軸方向の力検出手段151,152,153が
必要である。この具体的な検出装置では、励振手段14
1,142,143は、上部電極E1〜E4と、下部電
極Bと、これらの間に挟まれている圧電素子10と、に
よって構成され、力検出手段151,152,153
は、上部電極A1〜A8と、下部電極Bと、これらの間
に挟まれている圧電素子10と、によって構成される。
【0030】このように、上下の電極と、その間に挟ま
れた圧電素子10とによって、励振手段や力検出手段を
構成できることを説明するために、まず、圧電素子10
の基本的な性質について確認しておく。一般に、圧電素
子は、機械的な応力の作用により分極現象を生じる。す
なわち、ある特定の方向に応力が加わると、一方には正
の電荷が発生し、他方には負の電荷が発生する性質を有
する。この実施例の検出装置では、圧電素子10とし
て、図13に示すような分極特性をもった圧電セラミッ
クスを用いている。すなわち、図13(a) に示すよう
に、XY平面に沿って伸びる方向の力が作用した場合に
は、上部電極A側に正の電荷が、下部電極B側に負の電
荷が、それぞれ発生し、逆に、図13(b) に示すよう
に、XY平面に沿って縮む方向の力が作用した場合に
は、上部電極A側に負の電荷が、下部電極B側に正の電
荷が、それぞれ発生するような分極特性をもっている。
逆に、上下の電極に所定の電圧を印加すると、圧電素子
10の内部には機械的な応力が作用することになる。す
なわち、図13(a) に示すように、上部電極A側に正の
電荷を、下部電極B側に負の電荷を、それぞれ与えるよ
うに電圧を印加すると、XY平面に沿って伸びる方向の
力が発生し、図13(b) に示すように、上部電極A側に
負の電荷を、下部電極B側に正の電荷を、それぞれ与え
るように電圧を印加すると、XY平面に沿って縮む方向
の力が発生するのである。
【0031】ここで述べる具体的な検出装置は、このよ
うな圧電素子の性質を利用して、各励振手段および各力
検出手段を構成しているのである。すなわち、上下の電
極に電圧を印加することにより圧電素子内部に応力を発
生させることができる性質を利用して各励振手段を構成
し、圧電素子内部に応力が作用した場合に上下の電極に
電荷が発生する性質を利用して各力検出手段を構成して
いる。以下、これらの各手段について、その構成と動作
を説明する。
【0032】<X軸方向励振手段>図6に示す構成要素
のうち、X軸方向励振手段141は、上部電極E1,E
2と、これに対向する下部電極Bの一部分と、これらに
挟まれた圧電素子10の一部分と、後述する交流供給手
段と、によって構成されている。いま、下部電極Bを基
準電位に保ちながら、上部電極E1に正の電圧を与え、
上部電極E2に負の電圧を与えた場合を考える。する
と、図14の側断面図に示すように、電極E1の下の圧
電素子には図の左右に伸びる方向の応力が生じ、電極E
2の下の圧電素子には図の左右に縮む方向の応力が生じ
る(図13の分極特性を参照)。このため、圧電素子1
0全体としては、図14に示すように変形することにな
り、中心部11の重心Pは、X軸方向にDxだけ変位す
ることになる。ここで、上部電極E1,E2に与える電
圧の極性を逆転させ、上部電極E1に負の電圧を与え、
上部電極E2に正の電圧を与えると、図14とは逆に、
電極E1の下の圧電素子には図の左右に縮む方向の応力
が生じ、電極E2の下の圧電素子には図の左右に伸びる
方向の応力が生じ、結果的に、中心部11の重心Pは、
X軸の方向に−Dxだけ変位することになる。
【0033】そこで、下部電極Bと上部電極E1との間
に第1の交流電圧を印加するとともに、下部電極Bと上
部電極E2との間には、第1の交流電圧とは逆位相にな
るような第2の交流電圧を印加するようにすれば、重心
Pは、X軸方向に沿って、Dxなる変位と−Dxなる変
位とを交互に生じるようになり、中心部11はX軸に沿
って振動することになる。既に述べたように、中心部1
1は図6に示す構成要素における振動子130に対応す
るものである。したがって、上述した交流電圧の印加に
より、振動子130に対してX軸方向の振動Uxを与え
ることが可能になる。この振動Uxの周波数は、与える
交流電圧の周波数によって制御可能であり、この振動U
xの振幅は、与える交流電圧の振幅値によって制御可能
である。結局、上部電極E1,E2、下部電極B、圧電
素子10、および図示されていない交流電圧を供給する
手段、によって、図6に示すX軸方向励振手段141が
構成されていることになる。
【0034】<Y軸方向励振手段>図6に示す構成要素
のうち、Y軸方向励振手段142は、上部電極E3,E
4と、これに対向する下部電極Bの一部分と、これらに
挟まれた圧電素子10の一部分と、図示されていない交
流供給手段と、によって構成されている。その動作原理
は、上述したX軸方向励振手段141の動作原理と全く
同様である。すなわち、図10の上面図に示されている
ように、上部電極E1,E2がX軸上に配されていたの
に対し、上部電極E3,E4はY軸上に配されている。
したがって、上部電極E1,E2に互いに位相が逆転し
た交流電圧を供給することにより、中心部11(振動
子)をX軸方向に振動させることができたのと同じ原理
により、上部電極E3,E4に互いに位相が逆転した交
流電圧を供給することにより、中心部11(振動子)を
Y軸方向に振動させることができる。
【0035】すなわち、上述した交流電圧の印加によ
り、振動子130に対してY軸方向の振動Uyを与える
ことが可能になる。この振動Uyの周波数は、与える交
流電圧の周波数によって制御可能であり、この振動Uy
の振幅は、与える交流電圧の振幅値によって制御可能で
ある。結局、上部電極E3,E4、下部電極B、圧電素
子10、および図示されていない交流電圧を供給する手
段、によって、図6に示すY軸方向励振手段142が構
成されていることになる。
【0036】<Z軸方向励振手段>図6に示す構成要素
のうち、Z軸方向励振手段143は、上部電極E1〜E
4と、これに対向する下部電極Bの一部分と、これらに
挟まれた圧電素子10の一部分と、後述する交流供給手
段と、によって構成されている。いま、下部電極Bを基
準電位に保ちながら、上部電極E1,E2に負の電圧を
与え、上部電極E3,E4に正の電圧を与えた場合を考
える。すると、図15の側断面図に示すように、電極E
1,E2の下の圧電素子には図の左右方向(および紙面
に垂直な方向)に縮む方向の応力が生じ、電極E3,E
4の下の圧電素子には図の紙面に垂直な方向(および図
の左右方向)に伸びる方向の応力が生じる(図13の分
極特性を参照)。ここで、図10の上面図から明らかな
ように、上部電極E1,E2は可撓部12の外側に位置
し、上部電極E3,E4は可撓部12の内側に位置す
る。このため、上述のような各応力が発生すると、圧電
素子10全体としては、図15に示すように変形するこ
とになり、中心部11の重心Pは、Z軸方向にDzだけ
変位することになる。ここで、上部電極E1〜E4に与
える電圧の極性を逆転させ、上部電極E1,E2に正の
電圧を与え、上部電極E3,E4に負の電圧を与える
と、図15とは逆に、電極E1,E2の下の圧電素子に
は伸びる方向の応力が生じ、電極E3,E4の下の圧電
素子には縮む方向の応力が生じ、結果的に、中心部11
の重心Pは、Z軸の方向に−Dzだけ変位することにな
る。
【0037】そこで、下部電極Bと上部電極E1,E2
との間に第1の交流電圧を印加するとともに、下部電極
Bと上部電極E3,E4との間には、第1の交流電圧と
は逆位相になるような第2の交流電圧を印加するように
すれば、重心Pは、Z軸方向に沿って、Dzなる変位と
−Dzなる変位とを交互に生じるようになり、中心部1
1はZ軸に沿って振動することになる。既に述べたよう
に、中心部11は図6に示す構成要素における振動子1
30に対応するものである。したがって、上述した交流
電圧の印加により、振動子130に対してZ軸方向の振
動Uzを与えることが可能になる。この振動Uzの周波
数は、与える交流電圧の周波数によって制御可能であ
り、この振動Uzの振幅は、与える交流電圧の振幅値に
よって制御可能である。結局、上部電極E1〜E4、下
部電極B、圧電素子10、および図示されていない交流
電圧を供給する手段、によって、図6に示すZ軸方向励
振手段143が構成されていることになる。
【0038】<X軸方向力検出手段>図6に示す構成要
素のうち、X軸方向力検出手段151は、上部電極A
1,A2と、これに対向する下部電極Bの一部分と、こ
れらに挟まれた圧電素子10の一部分と、後述する検出
回路と、によって構成されている。いま、この検出装置
の周囲部13を筐体に固定した状態において、中心部1
1(振動子130)の重心Pに加速度に基く力fxが作
用した場合に、どのような現象が起こるかを説明する。
まず、重心PにX軸方向の加速度αxが加えられた結
果、図16に示すように、重心Pに対してX軸方向の力
fxが作用した場合を考える。このような力fxの作用
により、可撓部12に撓みが生じ、図16に示すような
変形が起こる。この結果、X軸に沿って配置された上部
電極A1,A6はX軸方向に伸び、同じくX軸に沿って
配置された上部電極A5,A2はX軸方向に縮むことに
なる。これらの上部電極の下方に位置する圧電素子は、
図13に示すような分極特性を有するので、各上部電極
には、図16に示すような極性の電荷が発生する。この
とき、下部電極Bは単一の共通電極となっているので、
部分的に「+」または「−」の極性の電荷が発生しても
相殺され、トータルでの電荷の発生はない。
【0039】そこで、上部電極A1に発生した電荷と上
部電極A2に発生した電荷との差を求めれば、X軸方向
に作用した力fxが得られることになる。もちろん、上
部電極A5に発生した電荷と上部電極A6に発生した電
荷との差によっても、X軸方向に作用した力fxを求め
ることはできるが、後述するように、上部電極A5,A
6はZ軸方向に作用した力fzの検出に利用されるた
め、X軸方向の力fxの検出には用いていない。なお、
上述の説明では、加速度に起因して作用した力fxを検
出する場合を例にとったが、角速度に起因して作用する
コリオリ力Fxも、全く同様にして検出可能である。実
際には、重心Pに作用したX軸方向の力としては、加速
度に起因する力fxも角速度に起因するコリオリ力Fx
も同等であり、瞬時瞬時に検出される力としては区別で
きない。
【0040】<Y軸方向力検出手段>図6に示す構成要
素のうち、Y軸方向力検出手段152は、上部電極A
3,A4と、これに対向する下部電極Bの一部分と、こ
れらに挟まれた圧電素子10の一部分と、後述する検出
回路と、によって構成されている。その検出原理は、上
述したX軸方向力検出手段151の検出原理と同様であ
る。すなわち、この検出装置の周囲部13を筐体に固定
した状態において、中心部11(振動子130)の重心
Pに加速度に基く力fyが作用した場合に、どのような
現象が起こるかを考えればよい。重心PにY軸方向の加
速度αyが加えられた結果、Y軸方向の力fyが作用す
ると、上部電極A3には負の電荷が生じ、上部電極A4
には正の電荷が生じることになる。そこで、上部電極A
3に発生した電荷と上部電極A4に発生した電荷との差
を求めれば、Y軸方向に作用した力fyが得られること
になる。角速度に起因して作用するコリオリ力Fyの検
出も全く同様である。
【0041】<Z軸方向力検出手段>図6に示す構成要
素のうち、Z軸方向力検出手段153は、上部電極A5
〜A8と、これに対向する下部電極Bの一部分と、これ
らに挟まれた圧電素子10の一部分と、後述する検出回
路と、によって構成されている。いま、この検出装置の
周囲部13を筐体に固定した状態において、中心部11
(振動子130)の重心Pに加速度に基く力fzが作用
した場合に、どのような現象が起こるかを説明する。ま
ず、重心PにZ軸方向の加速度αzが加えられた結果、
図17に示すように、重心Pに対してZ軸方向の力fz
が作用した場合を考える。このような力fzの作用によ
り、可撓部12に撓みが生じ、図17に示すような変形
が起こる。この結果、外側環状領域に配置された上部電
極A1,A8,A2,A7は縮むために上部電極側に
「−」の電荷が発生し、内側環状領域に配置された上部
電極A5,A4,A6,A3は伸びるために上部電極側
に「+」の電荷が発生することになる。このとき、下部
電極Bは単一の共通電極となっているので、部分的に
「+」または「−」の極性の電荷が発生しても相殺さ
れ、トータルでの電荷の発生はない。
【0042】そこで、上部電極A5,A6に発生した電
荷の和と、上部電極A7,A8に発生した電荷の和と、
の差を求めれば、Z軸方向に作用した力fzが得られる
ことになる。もちろん、角速度に起因して作用するコリ
オリ力Fzも、全く同様にして検出可能である。
【0043】ここで、力fx,fy,fzのそれぞれが
作用した場合に、各上部電極に発生する電荷の極性をま
とめると、図18に示す表が得られる。表中「0」と記
されているのは、圧電素子が部分的には伸びるが部分的
には縮むため、正負が相殺されてトータルとして電荷は
発生しないことを示す。前述したように、各上部電極
は、X軸またはY軸に関して線対称な形状をしているた
め、力fxの作用により電荷を発生する上部電極には、
力fyが作用しても電荷は発生せず、逆に、力fyの作
用により電荷を発生する上部電極には、力fxが作用し
ても電荷は発生しないのである。このように、他軸干渉
を避ける上では、電極形状を線対称にしておくことが重
要である。なお、図18の表は、いずれも各軸の正方向
の力+fx,+fy,+fzが作用した場合の極性を示
すものであるが、各軸の負方向の力−fx,−fy,−
fzが作用したときは、それぞれこの表とは逆の極性の
電荷が現われることになる。このような表が得られるこ
とは、図16および図17に示す変形状態と、図10に
示す各上部電極の配置とを参照すれば、容易に理解でき
よう。また、作用した力の大きさは、発生した電荷量と
して検出することが可能である。
【0044】このような原理に基いて、力fx,fy,
fz(あるいはコリオリ力Fx,Fy,Fz)の検出を
行うためには、たとえば図19に示すような検出回路を
用意すればよい。この検出回路において、Q/V変換回
路31〜38は、各上部電極A1〜A8に発生する電荷
量を、下部電極Bの電位を基準電位としたときの電圧値
に変換する回路である。この回路からは、たとえば、上
部電極に「+」の電荷が発生した場合には、発生した電
荷量に応じた正の電圧(基準電位に対して)が出力さ
れ、逆に、上部電極に「−」の電荷が発生した場合に
は、発生した電荷量に応じた負の電圧(基準電位に対し
て)が出力される。こうして出力された電圧V1〜V8
は、演算器41〜43に与えられ、これら演算器41〜
43の出力が端子Tx,Ty,Tzに得られる。ここ
で、端子Txの基準電位に対する電圧値が力fx(また
はコリオリ力Fx)の検出値となり、端子Tyの基準電
位に対する電圧値が力fy(またはコリオリ力Fy)の
検出値となり、端子Tzの基準電位に対する電圧値が力
fz(またはコリオリ力Fz)の検出値となる。
【0045】各出力端子Tx,Ty,Tzに得られる電
圧値が、力fx,fy,fzの検出値になることは、図
18の表を参照すればわかる。たとえば、力fxが作用
した場合、上部電極A1には「+」の電荷が発生し、上
部電極A2には「−」の電荷が発生する。したがって、
V1は正、V2は負の電圧となる。そこで、演算器41
によって、V1−V2なる演算を行うことにより、電圧
V1,V2の絶対値の和が求まり、これが力fxの検出
値として端子Txに出力されることになる。同様に、力
fyが作用した場合は、上部電極A3には「−」の電荷
が発生し、上部電極A4には「+」の電荷が発生する。
したがって、V3は負、V4は正の電圧となる。そこ
で、演算器42によって、V4−V3なる演算を行うこ
とにより、電圧V3,V4の絶対値の和が求まり、これ
が力fyの検出値として端子Tyに出力されることにな
る。また、力fzが作用した場合は、上部電極A5,A
6には「+」の電荷が発生し、上部電極A7,A8には
「−」の電荷が発生する。したがって、V5,V6は
正、V7,V8は負の電圧となる。そこで、演算器43
によって、V5+V6−V7−V8なる演算を行うこと
により、電圧V5〜V8の絶対値の和が求まり、これが
力fzの検出値として端子Tzに出力されることにな
る。
【0046】ここで注目すべき点は、各出力端子Tx,
Ty,Tzに得られる検出値は、他軸成分を含まないと
いうことである。たとえば、図18の表に示されている
ように、力fxだけが作用した場合、力fy検出用の上
部電極A3,A4には電荷の発生はなく、端子Tyには
検出電圧は得られない。このとき、力fz検出用の上部
電極A5,A6にはそれぞれ電荷(互いに逆極性)が発
生するが、演算器43において電圧V5およびV6は互
いに加算されるため相殺されてしまい、やはり端子Tz
には検出電圧は得られない。力fyだけが作用した場合
も同様に、端子Ty以外には検出電圧は得られない。ま
た、力fzだけが作用した場合も同様に、端子Tz以外
には検出電圧は得られない。こうして、XYZの3軸方
向成分が独立して検出できる。
【0047】以上、図6に示す検出装置の具体的な一構
成例を説明したが、この他にも種々の構成例が可能であ
る。要するに、振動子130を所定軸方向に機械的に振
動させる励振手段と、この振動子130に作用する各軸
方向の力を検出することができる検出手段と、が実現で
きれば、どのような構成を採ってもかまわない。
【0048】§3. 従来提案されている検出動作 図6に示すような検出装置により、各軸方向の加速度α
x,αy,αzと、角軸まわりの角速度ωx,ωy,ω
zと、を検出するための従来の検出動作を、「基本的な
検出動作」として、図20の流れ図に示す。この検出動
作は、前掲の特許協力条約に基づく国際出願PCT/J
P93/00390号明細書に開示されている方法であ
る。
【0049】まず、ステップS11において、振動子1
30に振動を与えない状態(すなわち、各励振手段14
1,142,143を駆動しない状態)で、各力検出手
段151,152,153の検出値を得る。これは、図
6に示す検出装置を、図7に示す加速度検出装置として
動作させたものであり、各力検出手段151,152,
153の検出値は、加速度に起因した力fx,fy,f
zとなる。振動子130は振動していないので、角速度
に起因したコリオリ力Fx,Fy,Fzは検出されない
ことになる。加速度に起因した力fと加速度αとの間に
は、振動子130の質量mに基づいて、f=m・αの関
係があるので、得られた力fx,fy,fzに基づき、
各軸方向の加速度αx,αy,αzを検出することがで
きる。
【0050】続いて、ステップS12において、振動子
130に振動Uzを与えた状態(すなわち、Z軸方向励
振手段143を駆動した状態)で、Y軸方向力検出手段
152の検出値Fyを得る。そして、Fy=2m・vz
・ωxなる式に基づいて、X軸まわりの角速度ωxを検
出する。ここで、mは振動子130の質量であり、vz
は振動子130のZ軸方向の瞬間速度である。この検出
方法は、図3に示す原理に基づいたものである。なお、
瞬間速度vzは、Z軸方向励振手段143の動作状態か
ら推定することができる。たとえば、前述した§2に示
す具体的な構成例では、Z軸方向励振手段143は、上
部電極E1〜E4に所定の交流電圧を供給することによ
って駆動することになるので、この交流電圧の振幅、周
波数、そして瞬時瞬時における位相から、瞬間速度vz
を推定することが可能である。
【0051】次の、ステップS13では、振動子130
に振動Uxを与えた状態(すなわち、X軸方向励振手段
141を駆動した状態)で、Z軸方向力検出手段153
の検出値Fzを得る。そして、Fz=2m・vx・ωy
なる式に基づいて、Y軸まわりの角速度ωyを検出す
る。ここで、vxは振動子130のX軸方向の瞬間速度
であり、X軸方向励振手段141の動作状態から推定す
ることができる。この検出方法は、図4に示す原理に基
づいたものである。
【0052】続く、ステップS14では、振動子130
に振動Uyを与えた状態(すなわち、Y軸方向励振手段
142を駆動した状態)で、X軸方向力検出手段151
の検出値Fxを得る。そして、Fx=2m・vy・ωz
なる式に基づいて、Z軸まわりの角速度ωzを検出す
る。ここで、vyは振動子130のY軸方向の瞬間速度
であり、Y軸方向励振手段142の動作状態から推定す
ることができる。この検出方法は、図5に示す原理に基
づいたものである。
【0053】最後に、ステップS15を経て、検出動作
を継続する限り、ステップS11からの処理が繰り返し
実行される。このように、振動子130を振動させない
状態で各軸方向の加速度αx,αy,αzを検出する段
階(ステップS11)と、振動子130を所定方向に振
動させた状態で各軸まわりの各速度ωx,ωy,ωzを
検出する段階(ステップS12〜S14)と、を別個に
実施することにより、加速度と角速度との双方を得るこ
とになる。なお、加速度と角速度とが常時作用している
環境下では、ステップS12〜S14の角速度検出過程
において、加速度に起因する力fx,fy,fzが、コ
リオリ力Fx,Fy,Fzに混入して検出されることに
なるので、ステップS11において検出したfx,f
y,fzの値を用いた減算を行い、コリオリ力Fx,F
y,Fzの成分のみを取り出す必要がある。
【0054】さて、この「基本的な検出動作」の問題点
は、加速度や角速度の値を継続的に測定するような用途
に用いたときに、応答性が悪くなるという点である。自
動車や産業機械などでは、時々刻々と変化してゆく加速
度や角速度の値を、一定時間周期で継続的に得ることが
要求される場合が多い。ところが、図20に示す流れ図
に基づく検出動作を行う場合、ステップS11において
静止していた振動子を、ステップS12ではZ軸方向に
振動させ、ステップS13ではX軸方向に振動させ、ス
テップS14ではY軸方向に振動させ、再びステップS
11において静止させる必要がある。振動子に対してこ
のような機械的な振動条件を高速に変化させることは非
常に困難であり、現実的には、図20の検出動作におい
て次のステップに進むためには、安定した振動状態を得
るまでに、ある程度の時間が必要になる。このため、ど
うしても応答性が悪くならざるを得ない。
【0055】§4. 加速度に起因する力と角速度に起
因する力との分離 本発明に係る検出動作の特徴は、加速度の検出と角速度
の検出とを同時に行うことにある。そのためには、各力
検出手段151,152,153によって検出された力
を、加速度に起因する力と、角速度に起因するコリオリ
力と、に分離する必要がある。ここでは、この分離の方
法を具体例に即して説明する。
【0056】ここでは、図3に示すモデルを例にとった
具体例を説明することにする。図3は、X軸まわりの角
速度ωxの検出原理を説明する図である。すなわち、振
動子130に対してZ軸方向の振動Uzを与えた状態に
おいて、Y軸方向に生じるコリオリ力Fyを検出すれ
ば、Fy=2m・vz・ωxなる関係式から、X軸まわ
りの角速度ωxが求まることになる。そこで、いま、振
動子130に図21(a)に示すようなZ軸方向の振動U
zを与えた状態において、同図(b) に示すようなX軸ま
わりの角速度ωxが作用した場合を考える。いずれも横
軸は時間tである。振動Uzは、振動子130の物理的
な位置の変動を示しており、この例では、上下に正弦運
動を行っていることになる。また、この場合に作用した
角速度ωxは、X軸の正の方向まわり(たとえば、時計
まわり)の角速度であり、時間とともに緩やかに増加し
緩やかに減少している。このときにY軸方向に生じるコ
リオリ力Fyは、Fy=2m・vz・ωxなる関係式で
求まるが、ここで、振動子130のZ軸方向の瞬間速度
vzは、振動Uzの位相を(π/2)だけずらしたもの
になる。なぜなら、上下に正弦運動している物体の瞬間
速度は、中心位置を通過する瞬間に最大になり、最上点
および最下点では0になるからである(なお、ここで
は、図21(a) に示す振動において、下に向かう方向の
速度を正とし、上へ向かう方向の速度を負とする)。振
動子130の質量mは一定であるから、コリオリ力Fy
は、瞬間速度vzと角速度ωxとの積によって定まり、
図21(c)のようなものになる。結局、図3のモデルに
おいて、振動子130に、図21(a) に示すような振動
Uzを与えた状態で、図21(b) に示すような角速度ω
xが作用した場合には、図21(c) に示すようなコリオ
リ力Fyが生じることになる。
【0057】一方、振動子130にY軸方向の加速度が
作用した場合には、Y軸方向にどのような力が生じるで
あろうか。Y軸方向の加速度αyによって生じるY軸方
向の力fyは、fy=m・αyなる関係式で与えられる
ので、与えられた加速度αyに比例した力fyが生じる
ことになる。そこで、いま、振動子130に線形増加す
る加速度αyが与えられたとすると、図21(d) に示す
ようなY軸方向の力fyが生じることになる。
【0058】それでは、図3のモデルにおいて、振動子
130に、図21(a) に示すようなZ軸方向の振動Uz
を与えた状態で、図21(b) に示すようなX軸まわりの
角速度ωxが作用し、かつ、線形に増加するY軸方向の
加速度αyが作用した場合には、Y軸方向にはどのよう
な力が観測されるであろうか。この場合は、当然なが
ら、図21(c) に示すようなコリオリ力Fyと、図21
(d) に示すような加速度に基づく力fyの和に相当する
合成力が観測されることになる。図22に、このような
合成力fy+Fyを示す。
【0059】さて、このような合成力fy+Fyを、力
fyとコリオリ力Fyとに分離することができれば、前
者からはY軸方向の加速度αyを求めることができ、後
者からはX軸まわりの角速度ωxを求めることができ
る。すなわち、加速度と角速度との同時検出が可能にな
る。本願発明者は、次のような点に着目することによ
り、この分離を行うことができることを見出だした。す
なわち、図22に示す合成力fy+Fyのうち、バイア
ス成分のみを抽出すれば、図21(d) に示す力fyだけ
を取り出すことができ、振幅成分のみを抽出すれば、図
21(c) に示すコリオリ力Fyだけを取り出すことがで
きるのである。そもそも図21(c) に示すコリオリ力F
yは、図21(a) に示す振動Uzを搬送波として、図2
1(b) に示す角速度ωxを振幅変調したものである。し
たがって、角速度ωxの情報は、合成力の中において
も、振幅成分としてのみ含まれていることになる。一
方、図21(d) に示す力fyは、振動Uzの周波数成分
を含まないため、その情報は、合成力の中においても、
単なるバイアス成分としてのみ含まれていることにな
る。このような点に着目すれば、合成力fy+Fyのう
ち、バイアス成分のみを抽出すれば力fyを取り出すこ
とができ、振幅成分のみを抽出すればコリオリ力Fyを
取り出すことができることが理解できよう。
【0060】なお、このような原理に基づいて、加速度
に基づく力fと角速度に基づくコリオリ力Fとを分離す
るためには、振動Uの周波数が、検出対象となる加速度
や角速度のもつ周波数に対して識別可能な十分に高い周
波数でなければならない。別言すれば、本発明に係る検
出装置では、検出対象となる加速度や角速度のうち、振
動Uの周波数に比べて十分に低い周波数成分しか検出で
きないことになる。もっとも、このような制約は、自動
車や産業機械に搭載する検出装置としては、実用上、全
く問題にならない。具体的には、§2で述べたような圧
電素子を利用した振動子を振動させる場合、20kHz
程度の共振周波数で振動させるのが最も効率的である。
この場合、数百Hz以下の周波数成分をもった加速度や
角速度を検出することは十分に可能であり、このような
性能は、一般的な自動車や産業機械に搭載する検出装置
に要求される性能を十分に満足させるものである。
【0061】さて、前述のような原理に基づき、合成力
をバイアス成分と振幅成分とに分離する方法としては、
たとえば、周波数フィルタを用いる方法を利用すること
ができる。ただ、近年はコンピュータの普及により、得
られた電気信号をA/D変換し、デジタル処理を行うの
が一般的になってきている。本願発明者は、このような
デジタル処理を利用した次のような分離方法を見出だし
た。
【0062】まず、図22のような合成力fy+Fyの
検出信号について、図23に示すように、変極点P1〜
P9を抽出する。そして、図24に示すように、各変極
点P1〜P9の時間軸t上の位置を示す区画線Q1〜Q
9を定義し、隣接する各区画線の中間位置を通る参照線
Q12〜Q89(図24では破線で示す)を定義する。
そして、各参照線上に、その両側にある変極点の信号値
の平均値をもった参照点mをプロットするのである。図
25は、こうしてプロットされた参照点m1〜m8を示
している。たとえば、参照点m1は、変極点P1の信号
値と変極点P2の信号値との平均値をもった参照線Q1
2上の点ということになる。このように、参照点m1〜
m8が得られたら、図26に示すように、これらを順に
結んだ信号波形を求める。こうして得られた信号波形
は、もとの合成力fy+Fyのうちのバイアス成分に対
応するものになり、結局、加速度αyに基づく力fyに
対応するものになる。バイアス成分が求まれば、これを
もとの合成力から差し引くことにより、振幅成分に対応
する信号波形を得ることができ、結局、コリオリ力Fy
に対応した信号波形を得ることができる。なお、角速度
ωxの大きさは、図27に示すように、コリオリ力Fy
に対応した信号波形の包絡線Eを抽出することにより得
られる。また、角速度ωxの向きは、得られたコリオリ
力Fyと図21(a) に示す振動Uzとの位相差により得
ることができる。たとえば、図21(b)に示すような正
の向きの角速度ωxが加わった場合には、図21(a) に
示す振動Uzの波形に対して、得られるコリオリ力Fy
の波形は、図21(c) に示すように、(π/2)だけ位
相を右方へシフトさせたものになるが、負の向きの角速
度−ωxが加わった場合には、同じ図21(a) に示す振
動Uzの波形に対して、図21(c) の正負を反転させた
コリオリ力波形が得られ、このコリオリ力波形は、振動
Uzの波形の位相を(π/2)だけ左方へシフトさせた
ものになる。
【0063】§5. 本発明に係る検出装置の第1の実
施例 本発明に係る検出装置は、上述の§4で述べた基本原理
に基いて、合成力を加速度に基く力f(バイアス成分)
と角速度に基くコリオリ力F(振幅成分)とに分離する
信号分離手段を用い、加速度と角速度とを同時に検出で
きるようにしたものである。図28は、本発明の第1の
実施例に係る検出装置の基本構成を示すブロック図であ
る。この検出装置は、図6に示した検出装置の各構成要
素に、X軸方向信号分離手段161、Y軸方向信号分離
手段162、Z軸方向信号分離手段163を付加し、更
に、加速度演算手段171〜173と、角速度演算手段
181〜183と、を付加したものである。
【0064】各信号分離手段161〜163は、いずれ
も§4で述べた基本原理に基いて、各力検出手段151
〜153から得られた合成力fx+Fx,fy+Fy,
fz+Fzを、それぞれfxとFx,fyとFy,fz
とFzに分離する装置である。また、各加速度演算手段
171〜173は、振動子130の質量mを用いて、f
=m・αなる関係式に基いて、各軸方向の加速度αx,
αy,αzを演算して出力する装置である。振動子13
0に作用する加速度は、振動子130の振動とは無関係
に力fとして検出されるので、各加速度演算手段171
〜173は、各励振手段141〜143の動作とは無関
係に、各軸方向の加速度αx,αy,αzを出力するこ
とになる。
【0065】一方、各角速度演算手段181〜183
は、図3〜図5に示す原理に基いて、各軸まわりの角速
度ωx,ωy,ωzを演算して出力する装置である。た
だ、角速度ωx,ωy,ωzの検出は、図3〜図5の原
理図にも示されているように、振動子130の振動と密
接に関係がある。別言すれば、各角速度演算手段181
〜183は、各励振手段141〜143の動作状態を考
慮した上でなければ、角速度を演算することはできない
のである。これを個々の場合ごとに説明しておく。
【0066】まず、図3に示す原理に基いて、X軸まわ
りの角速度ωxを検出するには、Z軸方向励振手段14
3を駆動して振動子130にZ軸方向の振動Uzを与え
た状態において、Y軸方向信号分離手段162によって
分離されたY軸方向のコリオリ力Fyを角速度演算手段
182に与える。角速度演算手段182は、Fy=2m
・vz・ωxなる演算式に基いて、X軸まわりの角速度
ωxを演算し、これを出力する。このとき、振動子13
0のZ軸方向についての瞬間速度vzは、Z軸方向励振
手段143の動作態様に基いて推定する。たとえば、§
2で述べた具体的な構造をもった検出装置では、上部電
極E1〜E4に所定の交流電圧を供給して振動Uzを与
えることになるが、振動子130の瞬間速度は、その時
点に供給する交流電圧の振幅、周波数、位相に基いて決
定することができる(理論的な演算式によって、供給す
る交流電圧と振動子の瞬間速度との関係を求めることも
できるし、供給する交流電圧の一周期分について振動子
の瞬間速度を実測したテーブルを用意しておくこともで
きる)。なお、図28の角速度演算手段182の出力
に、「図3:ωx(Uz)」と記したのは、「図3に示
す原理に基いて、振動子130に振動Uzを与えるとい
う条件において、角速度ωxが出力される」ことを示し
たものである。
【0067】次に、図4に示す原理に基いて、Y軸まわ
りの角速度ωyを検出するには、X軸方向励振手段14
1を駆動して振動子130にX軸方向の振動Uxを与え
た状態において、Z軸方向信号分離手段163によって
分離されたZ軸方向のコリオリ力Fzを角速度演算手段
183に与える。角速度演算手段183は、Fz=2m
・vx・ωyなる演算式に基いて、Y軸まわりの角速度
ωyを演算し、これを出力する。このとき、振動子13
0のX軸方向についての瞬間速度vxは、X軸方向励振
手段141の動作態様に基いて推定する。なお、図28
の角速度演算手段183の出力に、「図4:ωy(U
x)」と記したのは、「図4に示す原理に基いて、振動
子130に振動Uxを与えるという条件において、角速
度ωyが出力される」ことを示したものである。
【0068】更に、図5に示す原理に基いて、Z軸まわ
りの角速度ωzを検出するには、Y軸方向励振手段14
2を駆動して振動子130にY軸方向の振動Uyを与え
た状態において、X軸方向信号分離手段161によって
分離されたX軸方向のコリオリ力Fxを角速度演算手段
181に与える。角速度演算手段181は、Fx=2m
・vy・ωzなる演算式に基いて、Z軸まわりの角速度
ωzを演算し、これを出力する。このとき、振動子13
0のY軸方向についての瞬間速度vyは、Y軸方向励振
手段142の動作態様に基いて推定する。なお、図28
の角速度演算手段181の出力に、「図5:ωz(U
y)」と記したのは、「図5に示す原理に基いて、振動
子130に振動Uyを与えるという条件において、角速
度ωzが出力される」ことを示したものである。
【0069】こうして、図28に示す検出装置によれ
ば、最終的に、加速度演算手段171からX軸方向の加
速度αxが、加速度演算手段172からY軸方向の加速
度αyが、加速度演算手段173からZ軸方向の加速度
αzが、それぞれ出力されることになり、更に、角速度
演算手段182からX軸まわりの角速度ωxが、角速度
演算手段183からY軸まわりの角速度ωyが、角速度
演算手段181からZ軸まわりの角速度ωzが、それぞ
れ出力されることになる。なお、図28に示す各角速度
演算手段181〜183からは、「図31:ωy(U
z)」、「図32:ωz(Ux)」、「図30:ωx
(Uy)」なる出力も得られる旨が示されているが、こ
れについては、§6において説明する。
【0070】この図28に示す検出装置により、各軸方
向の加速度αx,αy,αzと、各軸まわりの角速度ω
x,ωy,ωzと、を検出するための検出動作を、「第
1の実施例による検出動作」として、図29の流れ図に
示す。
【0071】まず、ステップS21において、振動子1
30に振動Uzを与えた状態(すなわち、Z軸方向励振
手段143を駆動した状態)で、Y軸方向力検出手段1
52から合成力fy+Fyを取り出し、Y軸方向信号分
離手段162により、力fyとコリオリ力Fyとに分離
する。そして、加速度演算手段172において、力fy
に基いて加速度αyを演算してこれを出力し、角速度演
算手段182において、コリオリ力Fyに基いて角速度
ωxを演算してこれを出力するのである。こうして、ス
テップS21では、加速度αyと角速度ωxとが検出で
きる。
【0072】次に、ステップS22において、振動子1
30に振動Uxを与えた状態(すなわち、X軸方向励振
手段141を駆動した状態)で、Z軸方向力検出手段1
53から合成力fz+Fzを取り出し、Z軸方向信号分
離手段163により、力fzとコリオリ力Fzとに分離
する。そして、加速度演算手段173において、力fz
に基いて加速度αzを演算してこれを出力し、角速度演
算手段183において、コリオリ力Fzに基いて角速度
ωyを演算してこれを出力するのである。こうして、ス
テップS21では、加速度αzと角速度ωyとが検出で
きる。
【0073】続く、ステップS23において、振動子1
30に振動Uyを与えた状態(すなわち、Y軸方向励振
手段142を駆動した状態)で、X軸方向力検出手段1
51から合成力fx+Fxを取り出し、X軸方向信号分
離手段161により、力fxとコリオリ力Fxとに分離
する。そして、加速度演算手段171において、力fx
に基いて加速度αxを演算してこれを出力し、角速度演
算手段181において、コリオリ力Fxに基いて角速度
ωzを演算してこれを出力するのである。こうして、ス
テップS21では、加速度αxと角速度ωzとが検出で
きる。
【0074】最後に、ステップS24を経て、検出動作
を継続する限り、ステップS21からの処理が繰り返し
実行される。この図29に示す「第1の実施例による検
出動作」は、図20に示した「基本的な検出動作」に比
べて、1ステップ分が省略されている。すなわち、「基
本的な検出動作」では、加速度検出を行うために、ステ
ップS11において、振動子を静止状態に保った検出を
行っていたのに対し、ここで述べた「第1の実施例によ
る検出動作」では、振動子を振動させた状態でも加速度
検出を行うことができるので、振動子を静止させる必要
はないのである。このため、図28に示す検出装置で
は、従来提案されている検出装置に比べて応答性が改善
されることになる。
【0075】§6. 本発明に係る検出装置の第2の実
施例 さて、§5では、図28に示す基本構成をもった検出装
置とその動作を説明した。その動作によれば、角速度に
関しては、X軸まわりの角速度ωxが図3の原理に基い
て角速度演算手段182から出力され、Y軸まわりの角
速度ωyが図4の原理に基いて角速度演算手段183か
ら出力され、Z軸まわりの角速度ωzが図5の原理に基
いて角速度演算手段181から出力されることになる。
ただ、図28には、各角速度演算手段181〜183の
出力について、「図30:ωy(Uz)」、「図31:
ωz(Ux)」、「図29:ωx(Uy)」なる別な出
力も得られる旨の記載がある。これは、各角速度の検出
原理として、図3〜図5の組み合わせの他に、図30〜
図32の組み合わせも存在することを示すものである。
すなわち、コリオリ力を利用した角速度の検出は、「第
1の座標軸方向に振動を与えたときに、第2の座標軸方
向に発生するコリオリ力を検出すれば、第3の座標軸ま
わりの角速度が得られる」という基本原理に基くもので
あり、この基本原理における第1,第2,第3の各座標
軸を、XYZ三次元座標系におけるX軸,Y軸,Z軸の
各座標軸に、どのように対応させてもかまわないのであ
る。
【0076】同じX軸まわりの角速度ωxを検出する方
法であっても、図3では、Z軸方向の振動Uzを与えた
ときにY軸方向に発生するコリオリ力Fyを検出してい
るのに対し、図30では、Y軸方向の振動Uyを与えた
ときにZ軸方向に発生するコリオリ力Fzを検出してい
るのである。また、同じY軸まわりの角速度ωyを検出
する方法であっても、図4では、X軸方向の振動Uxを
与えたときにZ軸方向に発生するコリオリ力Fzを検出
しているのに対し、図31では、Z軸方向の振動Uzを
与えたときにX軸方向に発生するコリオリ力Fxを検出
しているのである。同様に、同じZ軸まわりの角速度ω
zを検出する方法であっても、図5では、Y軸方向の振
動Uyを与えたときにX軸方向に発生するコリオリ力F
xを検出しているのに対し、図32では、X軸方向の振
動Uxを与えたときにY軸方向に発生するコリオリ力F
yを検出しているのである。
【0077】したがって、図28に示す検出装置を、図
30〜図32に示す原理に基いて動作させることも可能
である。これを個々の場合ごとに説明しておく。
【0078】まず、図30に示す原理に基いて、X軸ま
わりの角速度ωxを検出するには、Y軸方向励振手段1
42を駆動して振動子130にY軸方向の振動Uyを与
えた状態において、Z軸方向信号分離手段163によっ
て分離されたZ軸方向のコリオリ力Fzを角速度演算手
段183に与える。角速度演算手段183は、Fz=2
m・vy・ωxなる演算式に基いて、X軸まわりの角速
度ωxを演算し、これを出力する。このとき、振動子1
30のY軸方向についての瞬間速度vyは、Y軸方向励
振手段142の動作態様に基いて推定する。角速度演算
手段183の出力に、「図30:ωx(Uy)」と記し
たのは、「図30に示す原理に基いて、振動子130に
振動Uyを与えるという条件において、角速度ωxが出
力される」ことを示したものである。
【0079】次に、図31に示す原理に基いて、Y軸ま
わりの角速度ωyを検出するには、Z軸方向励振手段1
43を駆動して振動子130にZ軸方向の振動Uzを与
えた状態において、X軸方向信号分離手段161によっ
て分離されたX軸方向のコリオリ力Fxを角速度演算手
段181に与える。角速度演算手段181は、Fx=2
m・vz・ωyなる演算式に基いて、Y軸まわりの角速
度ωyを演算し、これを出力する。このとき、振動子1
30のZ軸方向についての瞬間速度vzは、Z軸方向励
振手段143の動作態様に基いて推定する。角速度演算
手段181の出力に、「図31:ωy(Uz)」と記し
たのは、「図31に示す原理に基いて、振動子130に
振動Uzを与えるという条件において、角速度ωyが出
力される」ことを示したものである。
【0080】更に、図32に示す原理に基いて、Z軸ま
わりの角速度ωzを検出するには、X軸方向励振手段1
41を駆動して振動子130にX軸方向の振動Uxを与
えた状態において、Y軸方向信号分離手段162によっ
て分離されたY軸方向のコリオリ力Fyを角速度演算手
段182に与える。角速度演算手段182は、Fy=2
m・vx・ωzなる演算式に基いて、Z軸まわりの角速
度ωzを演算し、これを出力する。このとき、振動子1
30のX軸方向についての瞬間速度vxは、X軸方向励
振手段141の動作態様に基いて推定する。角速度演算
手段182の出力に、「図32:ωz(Ux)」と記し
たのは、「図32に示す原理に基いて、振動子130に
振動Uxを与えるという条件において、角速度ωzが出
力される」ことを示したものである。
【0081】このように、図28に示す検出装置には、
図3〜図5の3とおりの原理に基く検出方法と、図30
〜図32の3とおりの原理に基く検出方法と、のいずれ
をも適用することができるが、本願発明者は、この合計
6とおりの原理のうちから、3とおりの原理をうまく選
択してやることにより、検出動作および装置構成をより
単純化することができることに気が付いた。ここで述べ
る第2の実施例は、このような基本思想に基き、§5で
述べた第1の実施例を更に単純化したものである。
【0082】いま、図28に示す第1の実施例に係る装
置において、角速度の検出原理として、図3によるωx
の検出、図31によるωyの検出、図32によるωzの
検出、の3とおりの原理を選択したとする。すると、図
28に示す第1の実施例に係る検出装置は、図33に示
すような第2の実施例に係る検出装置に単純化される。
図33の検出装置は、図28の検出装置において、Y軸
方向励振手段142と角速度演算手段183とを削除し
たものである。選択した図3,図31,図32の3とお
りの検出原理を採用する限りは、Y軸方向の振動Uyを
与える必要はなく、Z軸方向のコリオリ力Fzを用いた
角速度演算は必要ないのである。
【0083】この図33に示す検出装置により、各軸方
向の加速度αx,αy,αzと、各軸まわりの角速度ω
x,ωy,ωzと、を検出するための検出動作を、「第
2の実施例による検出動作」として、図34の流れ図に
示す。
【0084】まず、ステップS31において、振動子1
30に振動Uzを与えた状態(すなわち、Z軸方向励振
手段143を駆動した状態)で、次の2とおりの検出を
行う。第1の検出としては、Y軸方向力検出手段152
から合成力fy+Fyを取り出し、Y軸方向信号分離手
段162により、力fyとコリオリ力Fyとに分離す
る。そして、加速度演算手段172において、力fyに
基いて加速度αyを演算してこれを出力し、角速度演算
手段182において、コリオリ力Fyに基いて角速度ω
xを演算してこれを出力するのである。これは図3の原
理に基く検出である。同時に、次のような第2の検出を
行う。すなわち、X軸方向力検出手段151から合成力
fx+Fxを取り出し、X軸方向信号分離手段161に
より、力fxとコリオリ力Fxとに分離する。そして、
加速度演算手段171において、力fxに基いて加速度
αxを演算してこれを出力し、角速度演算手段181に
おいて、コリオリ力Fxに基いて角速度ωyを演算して
これを出力するのである。これは図31の原理に基く検
出である。こうして、ステップS31では、加速度α
y,αyと角速度ωx,ωyとが検出できる。
【0085】次に、ステップS32において、振動子1
30に振動Uxを与えた状態(すなわち、X軸方向励振
手段141を駆動した状態)で、次の2とおりの検出を
行う。第1の検出としては、Z軸方向力検出手段153
から合成力fz+Fzを取り出し、Z軸方向信号分離手
段163により、力fzとコリオリ力Fzとに分離す
る。そして、加速度演算手段173において、力fzに
基いて加速度αzを演算してこれを出力する。この第1
の検出では、加速度の検出だけを行えばよい(図4の原
理を利用すれば、コリオリ力Fzに基いて、角速度ωy
を求めることも可能であるが、角速度ωyは既にステッ
プS31で求められている)。同時に、次のような第2
の検出を行う。すなわち、Y軸方向力検出手段152か
ら合成力fy+Fyを取り出し、Y軸方向信号分離手段
162により、力fyとコリオリ力Fyとに分離する。
そして、角速度演算手段182において、コリオリ力F
yに基いて角速度ωzを演算してこれを出力するのであ
る。これは図32の原理に基く検出である。こうして、
ステップS32では、加速度αzと角速度ωzとが検出
できる。
【0086】最後に、ステップS33を経て、検出動作
を継続する限り、ステップS31からの処理が繰り返し
実行される。この図34に示す「第2の実施例による検
出動作」は、図29に示した「第1の実施例による検出
動作」に比べて、更に1ステップ分が省略されている。
すなわち、「第1の実施例による検出動作」では、振動
子をX軸,Y軸,Z軸の3軸方向に振動させた状態での
検出を行っていたのに対し、ここで述べた「第2の実施
例による検出動作」では、X軸とZ軸との2軸方向に振
動させた状態だけですべての検出を行うことができる。
このため、図33に示す検出装置では、応答性が更に改
善されることになる。
【0087】§7. 本発明に係る検出装置の第3の実
施例 これまで、X軸,Y軸,Z軸の各軸方向の加速度αx,
αy,αzと、各軸まわりの角速度ωx,ωy,ωz
と、の6つの成分を検出する三次元の加速度/角速度検
出装置の例を述べてきた。しかし、用途によっては、X
軸およびY軸の2軸方向の加速度αx,αyと、2軸ま
わりの角速度ωx,ωyのみが得られればよい二次元の
加速度/角速度検出装置の需要も十分に考えられる。こ
のような二次元の検出装置に本発明を適用した第3の実
施例は、更に構成が単純化される。
【0088】図35は、この第3の実施例の基本構成を
示すブロック図である。図33に示す第2の実施例と比
較すると、更に、X軸方向励振手段141、Z軸方向力
検出手段153、加速度演算手段173が削除されてい
る。このような構成でも、必要な加速度および角速度は
支障なく検出することが可能である。すなわち、加速度
αxは加速度演算手段171により得られ、加速度αy
は加速度演算手段172により得られる。また、角速度
ωxは、Z軸方向励振手段143によって振動Uzを与
えた状態において、角速度演算手段182により得られ
(図3の原理)、角速度ωyは、Z軸方向励振手段14
3によって振動Uzを与えた状態において、角速度演算
手段181により得られる(図31の原理)。
【0089】この図35に示す検出装置により、二軸方
向の加速度αx,αyと、二軸まわりの角速度ωx,ω
yと、を検出するための検出動作は、図34に示した
「第2の実施例による検出動作」の中のステップS31
のみで足りる。別言すれば、「第3の実施例による検出
動作」は、図34のステップS31のみからなる動作に
なる。これは、振動子130を常にZ軸方向にだけ振動
させておけば、すべての検出値が得られることを意味す
る。このように、振動子の振動態様を変える必要がない
ので、非常に効率的な検出動作が可能になり、応答性は
極めて良好なものになる。
【0090】§8. 二次元の検出に適した具体的な検
出装置の構造 上述の§7で述べたように、X軸およびY軸の2軸方向
の加速度αx,αyと、2軸まわりの角速度ωx,ωy
のみを得ることを目的とした二次元の検出装置では、図
35のブロック図に示されているように、励振手段とし
ては、Z軸方向励振手段143のみを設ければよいし、
力検出手段としては、X軸方向力検出手段151および
Y軸方向力検出手段152のみを設ければよい。したが
って、このような二次元の検出装置では、三次元の検出
装置に比べて、圧電素子上に設ける上部電極の数を削減
することができる。たとえば、図10に示す三次元の検
出装置では、圧電素子10上に、励振手段として機能す
る4枚の上部電極E1〜E4と、力検出手段として機能
する8枚の上部電極A1〜A8と、を設け、3軸すべて
の方向についての励振と力検出とを実現している。しか
し、二次元の検出装置は、より少ない上部電極をもった
構造で実現が可能である。
【0091】図36は、二次元の検出に適した具体的な
検出装置の構造例を示す上面図であり、図37は、この
検出装置をXZ平面に沿って切った側断面図である。こ
の検出装置における各上部電極と、図35に示すブロッ
ク要素との対応関係は次のようになる。まず、上部電極
E10は、Z軸方向励振手段143として機能し、上部
電極E10と下部電極Bとの間に所定の交流電圧を印加
することにより、中心部11をZ軸方向に振動させるこ
とができる。また、上部電極A11,A12は、X軸方
向力検出手段151として機能し、ここに発生する電荷
に基づいて、中心部11のX軸方向に関する変位を検出
することができる。更に、上部電極A13,A14は、
Y軸方向力検出手段152として機能し、ここに発生す
る電荷に基づいて、中心部11のY軸方向に関する変位
を検出することができる。結局、圧電素子10上には、
この5枚の上部電極E10,A11〜A14を設けるだ
けで、図35に示す二次元の検出装置を実現できること
になる。
【0092】図38は、二次元の検出に適した具体的な
検出装置のまた別な構造例を示す上面図であり、図39
は、この検出装置をXZ平面に沿って切った側断面図で
ある。この図38に示す検出装置と、図36に示す検出
装置との相違は、励振用の上部電極と力検出用の上部電
極との位置関係を内外逆にした点だけである。この検出
装置における各上部電極と、図35に示すブロック要素
との対応関係は次のようになる。まず、上部電極E20
は、Z軸方向励振手段143として機能し、上部電極E
20と下部電極Bとの間に所定の交流電圧を印加するこ
とにより、中心部11をZ軸方向に振動させることがで
きる。また、上部電極A21,A22は、X軸方向力検
出手段151として機能し、ここに発生する電荷に基づ
いて、中心部11のX軸方向に関する変位を検出するこ
とができる。更に、上部電極A23,A24は、Y軸方
向力検出手段152として機能し、ここに発生する電荷
に基づいて、中心部11のY軸方向に関する変位を検出
することができる。
【0093】このように、二次元の検出だけが必要な検
出装置では、上部電極を最小限の数で構成することによ
って、全体的な製造コストの削減を図ることができる。
【0094】§9. 本発明の適用対象となる容量式の
検出装置 本発明の適用対象となる検出装置の一例として、§2に
おいては、圧電素子10を用いた装置を説明した。既に
述べたように、本発明は、図6のブロック図に示すよう
な構成をもつ検出装置であれば、どのような検出装置に
対しても適用可能であるが、ここでは、参考のために、
本発明の適用対象となる容量式の検出装置の一例を簡単
に説明しておく。この検出装置は、特許協力条約に基づ
く国際出願PCT/JP93/00390号明細書に開
示されているものである。
【0095】図40は、この容量式の検出装置200の
側断面図である。この検出装置の主たる構成要素は、起
歪体210、振動子220、台座230、ベース基板2
40、蓋板250である。起歪体210の上面図を図4
1に示す。この図41に示されているように、起歪体2
10は正方形状の金属板であり、その下面には、図41
に破線で示すような円環状の溝が形成されている。図4
0の側断面図に明瞭に示されているように、この溝の形
成部分において、起歪体210の厚みは小さくなってお
り、この部分が可撓性を有する構造になっている。ここ
では、起歪体210を、円環状の溝部よりも内側に存在
する中心部211と、円環状の溝部上方に存在する肉厚
の薄い可撓部212と、円環状の溝部よりも外側に存在
する周囲部213と、の3つの部分に分けて考えること
にする。中心部211の底面には、振動子220が接合
されている。この振動子220は、ある程度の質量をも
った盤状の金属塊であり、この振動子220に作用する
加速度に基づく力やコリオリ力によって、加速度や角速
度の検出が行われることになる。一方、周囲部213の
底面には、振動子220の周囲を囲うように台座230
が接合されており、この台座230の底面は、ベース基
板240に接合されている。結局、振動子220は、台
座230で囲まれた空間内に宙吊りの状態になってい
る。また、起歪体210の上面には、蓋板250が接合
されているが、この蓋板250は、図のように内部に空
間を確保できる構造をもっている。
【0096】起歪体210の上面と蓋板250の下面と
の間に形成された空間内には、上部電極E0と下部電極
F1〜F5とが配置されている。下部電極F1〜F5
は、図41に示すような形状をした電極であり、起歪体
210上面の図示のような位置に固着されている。一
方、上部電極E0は、5枚の下部電極F1〜F5のすべ
てに対向する共通電極として機能できる円盤状の電極で
あり、蓋板250の下面に固着されている。結局、個々
の下部電極F1〜F5と共通の上部電極E0とによっ
て、5組の容量素子が形成されていることになる。
【0097】上述したように、振動子220は、台座2
30で囲まれた空間内に宙吊りになっており、可撓部2
12が可撓性を有するため、この振動子220は図に示
すXYZの3軸方向にある程度の自由度をもって移動す
ることができる。そこで、各電極間に所定の交流電圧を
与えれば、振動子220を所望の方向に振動させること
ができる。たとえば、下部電極F1と上部電極E0との
間に同じ極性の電荷を与えれば、クーロン力による斥力
が作用し、両電極間隔は広がることになる。このとき同
時に、下部電極F2と上部電極E0との間に異なる極性
の電荷を与えれば、クーロン力による引力が作用し、両
電極間隔は狭まることになる。その結果、振動子220
はX軸の正の方向に変位を生じることになる。斥力と引
力との関係を逆転すれば、振動子220は今度はX軸の
負の方向に変位を生じることになる。こうして、X軸に
沿った正負の変位が交番して行われるようにすれば、振
動子220がX軸に沿って振動することになる。また、
下部電極F3,F4を用いて同様のことを行えば、振動
子220をY軸に沿って振動させることも可能になる。
更に、下部電極F5を用いれば、Z軸方向に沿った振動
も可能である。すなわち、下部電極F5と上部電極E0
とに同じ極性の電荷を与えれば斥力の作用により両電極
間隔は広がり、異なる極性の電荷を与えれば引力の作用
により両電極間隔は狭まるので、これを交番して行え
ば、振動子220はZ軸方向に沿って振動することにな
る。このように、この装置は、図6に示す各軸方向の励
振手段141〜143を備えていることになる。
【0098】一方、この装置は、図6に示す各軸方向の
力検出手段151〜153をも備えた装置である。い
ま、振動子220に、加速度に基づく力やコリオリ力が
作用した場合を考える。たとえば、X軸方向の力が作用
した場合、振動子220はX軸に変位を生じることにな
るので、下部電極F1と上部電極E0との距離、および
下部電極F2と上部電極E0との距離、にそれぞれ変化
が生じることになる。また、Y軸方向の力が作用した場
合、振動子220はY軸方向に変位を生じることになる
ので、下部電極F3と上部電極E0との距離、および下
部電極F4と上部電極E0との距離、にそれぞれ変化が
生じることになる。更に、Z軸方向の力が作用した場
合、振動子220はZ軸方向に変位を生じることになる
ので、下部電極F5と上部電極E0との距離に変化が生
じることになる。このような対向する一対の電極間の距
離変化は、この一対の電極によって形成される容量素子
の静電容量値に変化を及ぼす。したがって、各容量素子
の静電容量値の変化を電気的に検出することができれ
ば、振動子220の変位を検出することが可能になり、
結果的に、振動子220に作用した各軸方向の力を検出
することができるようになる。
【0099】以上のように、この容量式の検出装置20
0は、図6に示す各軸方向の励振手段141〜143
と、各軸方向の力検出手段151〜153を備えた装置
であり、§2で述べた圧電式の検出装置と同様に、本発
明を適用することが可能である。なお、図示した容量式
の検出装置200では、各下部電極F1〜F5が、励振
手段と力検出手段との双方の機能を担うことになるが、
本発明を適用する場合には、必要に応じて、励振手段と
して機能する部分と力検出手段として機能する部分と
を、物理的に分離した構造にするのが好ましい。
【0100】以上、本発明を図示するいくつかの実施例
に基いて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能で
ある。要するに、本発明の基本思想は、振動子を振動さ
せた状態において、振動子に作用する合成力を、加速度
に起因する力fと角速度に起因するコリオリ力Fとに分
離し、加速度と角速度とを同時に検出できるようにする
点にあり、このような技術思想の範疇に含まれる限り、
どのような態様で実施してもかまわない。
【0101】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る検出装置によ
れば、振動中の振動子に作用した合成力を、加速度に起
因した力と角速度に起因したコリオリ力とに分離し、加
速度と角速度とを同時に検出できるようにしたため、加
速度と角速度との双方を十分な応答性をもって検出する
ことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来提案されているコリオリ力を利用した一次
元角速度検出装置の基本原理を示す斜視図である。
【図2】角速度検出装置における検出対象となるXYZ
三次元座標系における各軸まわりの角速度を示す図であ
る。
【図3】本発明に係る検出装置を用いてX軸まわりの角
速度ωxを検出する基本原理を説明する図である。
【図4】本発明に係る検出装置を用いてY軸まわりの角
速度ωyを検出する基本原理を説明する図である。
【図5】本発明に係る検出装置を用いてZ軸まわりの角
速度ωzを検出する基本原理を説明する図である。
【図6】本発明に係る検出装置における角速度検出を行
う構成要素を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る検出装置における加速度検出を行
う構成要素を示すブロック図である。
【図8】本発明の具体的な構造例に係る検出装置を斜め
上方から見た斜視図である。
【図9】図8に示す検出装置を斜め下方から見た斜視図
である。
【図10】図8に示す検出装置の上面図である。
【図11】図8に示す検出装置をXZ平面で切断した側
断面図である。
【図12】図8に示す検出装置の下面図である。
【図13】図8に示す検出装置における圧電素子10の
分極特性を示す図である。
【図14】図8に示す検出装置の重心Pに対してX軸方
向の変位Dxを誘起した状態を示す側断面図である。
【図15】図8に示す検出装置の重心Pに対してZ軸方
向の変位Dzを誘起した状態を示す側断面図である。
【図16】図8に示す検出装置の重心Pに対してX軸方
向の力fxが作用した状態を示す側断面図である。
【図17】図8に示す検出装置の重心Pに対してZ軸方
向の力fzが作用した状態を示す側断面図である。
【図18】図8に示す検出装置に、加速度に基づく各軸
方向の力fx,fy,fzが作用したときの各上部電極
A1〜A8に発生する電荷の極性を示す表である。
【図19】図8に示す検出装置に用いる検出回路の一例
を示す回路図である。
【図20】本発明の適用対象となる検出装置についての
一般的な検出動作の手順を示す流れ図である。
【図21】本発明の適用対象となる検出装置において、
振動子に与える振動、作用した角速度、発生したコリオ
リ力、作用した加速度、の具体的条件を示すグラフであ
る。
【図22】図21に示す条件において、実際に検出され
る合成力を示すグラフである。
【図23】図22に示す合成力のグラフについて、変極
点P1〜P9を求めた状態を示すグラフである。
【図24】図23において求めた変極点P1〜P9に基
いて、参照線Q12〜Q89を求めた状態を示すグラフ
である。
【図25】図24において求めた参照線Q12〜Q89
上に、参照点m1〜m8をプロットした状態を示すグラ
フである。
【図26】図25において求めた参照点m1〜m8を結
ぶことにより、合成力のバイアス成分である力fを抽出
した状態を示すグラフである。
【図27】コリオリ力Fyの包絡線Eとして、角速度を
求める状態を示すグラフである。
【図28】本発明の第1の実施例に係る検出装置の基本
構成を示すブロック図である。
【図29】図28に示す第1の実施例に係る検出装置の
検出動作の手順を示す流れ図である。
【図30】本発明に係る検出装置を用いてX軸まわりの
角速度ωxを検出する別な基本原理を説明する図であ
る。
【図31】本発明に係る検出装置を用いてY軸まわりの
角速度ωyを検出する別な基本原理を説明する図であ
る。
【図32】本発明に係る検出装置を用いてZ軸まわりの
角速度ωzを検出する別な基本原理を説明する図であ
る。
【図33】本発明の第2の実施例に係る検出装置の基本
構成を示すブロック図である。
【図34】図33に示す第2の実施例に係る検出装置の
検出動作の手順を示す流れ図である。
【図35】本発明の第3の実施例に係る検出装置の基本
構成を示すブロック図である。
【図36】二次元の検出に適した具体的な検出装置の構
造を示す上面図である。
【図37】図36に示す検出装置をXZ平面で切断した
側断面図である。
【図38】二次元の検出に適したまた別な具体的な検出
装置の構造を示す上面図である。
【図39】図38に示す検出装置をXZ平面で切断した
側断面図である。
【図40】本発明を適用することができる容量式の検出
装置200の側断面図である。
【図41】図36に示す検出装置における起歪体210
の上面図である。
【符号の説明】
10…圧電素子 11…中心部 12…可撓部 13…周囲部 15…環状溝 31〜38…Q/V変換回路 41〜43…演算器 110…振動子 111,112…圧電素子 120…物体 130…振動子 141…X軸方向励振手段 142…Y軸方向励振手段 143…Z軸方向励振手段 151…X軸方向力検出手段 152…Y軸方向力検出手段 153…Z軸方向力検出手段 161…X軸方向信号分離手段 162…Y軸方向信号分離手段 163…Z軸方向信号分離手段 171〜173…加速度演算手段 181〜183…角速度演算手段 200…容量式の検出装置 210…起歪体 211…中心部 212…可撓部 213…周囲部 220…振動子 230…台座 240…ベース基板 250…蓋板 A,A1〜A8,A11〜A14,A21〜A24…上
部電極 B…下部電極 E…包絡線 E0,E1〜E4,E10,E20…上部電極 F1〜F5…下部電極 m1〜m8…参照点 O…原点 P…重心 P1〜P9…変極点 Q1〜Q9…区画線 Q12〜Q89…参照線 Tx,Ty,Tz…出力端子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元座標系における第1の軸方向の加
    速度および第2の軸まわりの角速度を検出する装置であ
    って、 質量をもった振動子と、 この振動子を、前記三次元座標系における第3の軸方向
    に、検出対象となる加速度および角速度のもつ周波数に
    対して識別可能な十分に高い周波数で振動させる励振手
    段と、 前記振動子に加わる前記第1の軸方向への力を検出する
    力検出手段と、 前記力検出手段によって得られる検出信号について、バ
    イアス成分と振幅成分とを分離する信号分離手段と、 前記バイアス成分に基づいて、前記第1の軸方向の加速
    度を求める加速度演算手段と、 前記振幅成分に基づいて、前記第2の軸まわりの角速度
    を求める角速度演算手段と、 を備えることを特徴とする加速度と角速度との双方を検
    出する装置。
  2. 【請求項2】 三次元座標系における第1の軸、第2の
    軸、第3の軸の各軸方向の加速度および各軸まわりの角
    速度を検出する装置であって、 質量をもった振動子と、 前記振動子を、前記第1の軸方向に、検出対象となる加
    速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な十分
    に高い周波数で振動させる第1の励振手段と、 前記振動子を、前記第2の軸方向に、検出対象となる加
    速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な十分
    に高い周波数で振動させる第2の励振手段と、 前記振動子を、前記第3の軸方向に、検出対象となる加
    速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な十分
    に高い周波数で振動させる第3の励振手段と、 前記振動子に加わる前記第1の軸方向への力を検出する
    第1の力検出手段と、 前記振動子に加わる前記第2の軸方向への力を検出する
    第2の力検出手段と、 前記振動子に加わる前記第3の軸方向への力を検出する
    第3の力検出手段と、 前記第1の力検出手段によって得られる第1の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第1の
    信号分離手段と、 前記第2の力検出手段によって得られる第2の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第2の
    信号分離手段と、 前記第3の力検出手段によって得られる第3の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第3の
    信号分離手段と、 前記第1の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第1の軸方向の加速度を求める第1の加速度演
    算手段と、 前記第2の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第2の軸方向の加速度を求める第2の加速度演
    算手段と、 前記第3の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第3の軸方向の加速度を求める第3の加速度演
    算手段と、 前記第2の励振手段を駆動して前記振動子を前記第2の
    軸方向に振動させ、この状態において得られる前記第1
    の検出信号についての振幅成分に基づいて、前記第3の
    軸まわりの角速度を求める第1の角速度演算手段と、 前記第3の励振手段を駆動して前記振動子を前記第3の
    軸方向に振動させ、この状態において得られる前記第2
    の検出信号についての振幅成分に基づいて、前記第1の
    軸まわりの角速度を求める第2の角速度演算手段と、 前記第1の励振手段を駆動して前記振動子を前記第1の
    軸方向に振動させ、この状態において得られる前記第3
    の検出信号についての振幅成分に基づいて、前記第2の
    軸まわりの角速度を求める第3の角速度演算手段と、 を備えることを特徴とする加速度と角速度との双方を検
    出する装置。
  3. 【請求項3】 三次元座標系における第1の軸、第2の
    軸、第3の軸の各軸方向の加速度および各軸まわりの角
    速度を検出する装置であって、 質量をもった振動子と、 前記振動子を、前記第1の軸方向に、検出対象となる加
    速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な十分
    に高い周波数で振動させる第1の励振手段と、 前記振動子を、前記第3の軸方向に、検出対象となる加
    速度および角速度のもつ周波数に対して識別可能な十分
    に高い周波数で振動させる第2の励振手段と、 前記振動子に加わる前記第1の軸方向への力を検出する
    第1の力検出手段と、 前記振動子に加わる前記第2の軸方向への力を検出する
    第2の力検出手段と、 前記振動子に加わる前記第3の軸方向への力を検出する
    第3の力検出手段と、 前記第1の力検出手段によって得られる第1の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第1の
    信号分離手段と、 前記第2の力検出手段によって得られる第2の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第2の
    信号分離手段と、 前記第3の力検出手段によって得られる第3の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第3の
    信号分離手段と、 前記第1の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第1の軸方向の加速度を求める第1の加速度演
    算手段と、 前記第2の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第2の軸方向の加速度を求める第2の加速度演
    算手段と、 前記第3の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第3の軸方向の加速度を求める第3の加速度演
    算手段と、 前記第3の励振手段を駆動して前記振動子を前記第3の
    軸方向に振動させ、この状態において得られる前記第1
    の検出信号についての振幅成分に基づいて、前記第2の
    軸まわりの角速度を求める第1の角速度演算手段と、 前記第1の励振手段を駆動して前記振動子を前記第1の
    軸方向に振動させ、この状態において得られる前記第2
    の検出信号についての振幅成分に基づいて、前記第3の
    軸まわりの角速度を求めるとともに、前記第3の励振手
    段を駆動して前記振動子を前記第3の軸方向に振動さ
    せ、この状態において得られる前記第2の検出信号につ
    いての振幅成分に基づいて、前記第1の軸まわりの角速
    度を求める第2の角速度演算手段と、 を備えることを特徴とする加速度と角速度との双方を検
    出する装置。
  4. 【請求項4】 三次元座標系における第1の軸方向の加
    速度および前記第1の軸まわりの角速度と、第2の軸方
    向の加速度および前記第2の軸まわりの角速度と、を検
    出する装置であって、 質量をもった振動子と、 この振動子を、前記三次元座標系における第3の軸方向
    に、検出対象となる加速度および角速度のもつ周波数に
    対して識別可能な十分に高い周波数で振動させる励振手
    段と、 前記振動子に加わる前記第1の軸方向への力を検出する
    第1の力検出手段と、 前記振動子に加わる前記第2の軸方向への力を検出する
    第2の力検出手段と、 前記第1の力検出手段によって得られる第1の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第1の
    信号分離手段と、 前記第2の力検出手段によって得られる第2の検出信号
    について、バイアス成分と振幅成分とを分離する第2の
    信号分離手段と、 前記第1の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第1の軸方向の加速度を求める第1の加速度演
    算手段と、 前記第2の検出信号についてのバイアス成分に基づい
    て、前記第2の軸方向の加速度を求める第2の加速度演
    算手段と、 前記第1の検出信号についての振幅成分に基づいて、前
    記第2の軸まわりの角速度を求める第1の角速度演算手
    段と、 前記第2の検出信号についての振幅成分に基づいて、前
    記第1の軸まわりの角速度を求める第2の角速度演算手
    段と、 を備えることを特徴とする加速度と角速度との双方を検
    出する装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の装置に
    おいて、 信号分離手段が、検出信号の各変極点を抽出し、隣接す
    る2つの変極点の時間軸上での中間位置に、この2つの
    変極点の信号値を平均して得られる信号値をもつ参照点
    を求め、求めた参照点を結ぶことによって得られる信号
    をバイアス成分とし、前記検出信号と前記バイアス成分
    との差に相当する信号を振幅成分とすることを特徴とす
    る加速度と角速度との双方を検出する装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の装置に
    おいて、 加速度演算手段が、検出された力のバイアス成分fと、
    振動子の質量mと、に基づいて、f=m・αなる演算式
    を適用して加速度αを求めることを特徴とする加速度と
    角速度との双方を検出する装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の装置に
    おいて、 角速度演算手段が、検出された力の振幅成分Fと、振動
    子の質量mと、励振手段の動作状態から推定される振動
    子の瞬間速度vと、に基づいて、F=2m・v・ωなる
    演算式を適用して角速度ωを求めることを特徴とする加
    速度と角速度との双方を検出する装置。
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