JP2000146978A - 生物学的活性物質の固定化用担体 - Google Patents

生物学的活性物質の固定化用担体

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JP2000146978A
JP2000146978A JP10318924A JP31892498A JP2000146978A JP 2000146978 A JP2000146978 A JP 2000146978A JP 10318924 A JP10318924 A JP 10318924A JP 31892498 A JP31892498 A JP 31892498A JP 2000146978 A JP2000146978 A JP 2000146978A
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Osamu Suzuki
収 鈴木
Namiko Shiohata
奈美子 塩畑
Yoshiyuki Matsumura
嘉之 松村
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Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンパク質、核酸などの活性物質を、簡便、
効率的にかつ強固に担体に結合させる。 【解決手段】 溶剤不溶性の基材、および前記基材表面
に共有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有す
る化合物、を含む生物学的に活性な物質を固定するため
の担体を作製し、この担体を、担体に固定化された生物
学的に活性な第1の物質と、この第1の物質に特異的に
結合し得る第2の物質とを反応させ、前記第1の物質と
第2の物質との結合を介して担体に間接的に結合した第
2の物質又は結合しない第2の物質を検出することによ
り、試料中の第1の物質又は第2の物質を分析する方法
に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸、抗体、抗原
など生物学的に活性な物質を固定するための担体及びそ
の製造方法並びにこれを用いた生物学的に活性な物質の
固定化方法及び分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】臨床検査、食品検査、法医学検査などの
分野において、検体中に存在する核酸、抗体、抗原など
生物学的に活性な物質を検出、同定する方法として、目
的物質に応じて核酸プローブ法、酵素免疫測定法などが
用いられている。
【0003】核酸を検出する分野としては、病原微生物
などの菌種同定、法医学におけるDNA鑑定などがあ
る。核酸の検出においては、通常、標的となる核酸と相
補的な配列を有する核酸を用い、このものを酵素などで
直接、またはハプテンなどを介して間接的に標識する。
この標識核酸と標的となる核酸をハイブリダイズさせ
る。ハイブリダイズしなかった標識核酸を除くかまたは
標識部分を不活性化したのちに、標識部分を検出する事
により標的核酸の存在及び量を確認できる。
【0004】また、抗原、抗体などを検出する分野とし
ては、核酸と同様に病原微生物などの菌種同定の他、種
々の臨床検査などがある。抗原、抗体の検出に用いられ
る酵素免疫測定法の1態様である競合的酵素免疫測定法
は、次のようにして行われる。ポリスチレンビーズ、マ
イクロタイタープレート、チューブなどの固相表面に抗
体または抗原を固定化し、固相表面に一定量の検体溶液
を添加した後、抗原酵素複合体または抗体酵素複合体を
加える。固相表面に抗体を固定化した場合には、検体中
の抗原と抗原酵素複合体とが固相表面に固定化された抗
体との結合反応において競合し、固相表面に抗原を固定
化した場合には、検体中の抗原と固相表面に固定化され
た抗原とが抗体酵素複合体と結合反応で競合させる。
【0005】一定時間経過後に、抗体を固定化した場合
には、固定化抗体に結合していない抗原および抗原酵素
複合体を洗浄し除去する。また、抗原を固定化した場合
には、未反応の検体中の抗原、抗体酵素複合体および検
体中の抗原と抗体−酵素複合体との結合物を洗浄し除去
する。このときの洗浄は、洗浄液を固相部に満たしたの
ち、洗浄液を捨て、再び固相部に洗浄液を満たして捨て
るという洗浄操作を通常数回から十回程度繰り返す。こ
の操作を一般にB/F分離と呼び、酵素免疫測定法を原
理とする検査では必須の操作である。
【0006】最後に、抗原又は抗体の標識に用いた酵素
に対する発色基質液を固相部に加えて、残存する酵素に
より発色させる。このとき用いる酵素はペルオキシダー
ゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ
などが一般的である。発色に用いる基質はそれぞれの酵
素に適したものを用いる。検体液中に標的となる抗原が
多く存在すれば残存する抗原酵素複合体あるいは抗体酵
素複合体の量が減り、結果として発色強度が弱くなる。
発色強度は一般的に比色計を用いて測定する。
【0007】また、酵素免疫測定法の他の態様であるサ
ンドイッチ酵素免疫測定法では、抗体を固相表面に固定
化し、固相表面に検体液を加える。一定時間経過後、固
相表面の抗体に結合していない抗原を洗浄し除去する。
次いで抗体酵素複合体を一定量加える。一定時間経過
後、固相表面の抗原に結合していない抗体酵素複合体を
洗浄除去したのち、固相表面に発色基質を加えて発色さ
せる。この発色強度を測定することにより、検体液中の
抗原濃度を定量することが可能になる。
【0008】上述のように従来の核酸の検出法、競合的
酵素免疫法、サンドイッチ酵素免疫法などにおいては、
チューブ、マイクロタイタープレート、メンブランフィ
ルター、ビーズなどの固相表面に抗体、抗原、酵素、核
酸などを固定化することが非常に重要である。そのた
め、生物学的活性物質を固定化する種々の方法が公表さ
れている。たとえば、タンパク質では、 ジアゾ法、ペプチド法、アルキル化法、架橋試薬によ
る基材結合法やUgi反応による基材結合法などのよう
な、タンパク質を架橋剤や縮合剤等を用いて基材に化学
結合させる方法(「固定化酵素」[千畑一郎 編、講談
社サイエンティフィク(1986)]第9−41ページ
参照)、 イオン結合により基材に固定する方法(「固定化酵
素」第41−43ページ参照)、 物理吸着により基材に固定する方法(「固定化酵素」
第43−45ページ参照)、 などが知られている。
【0009】また核酸では、 5’末端にチオール基を有する核酸とチオール基を含
むビーズ状基材間のジスルフィド結合による固定(P.J.
R.Day, P.S.Flora, J.E.Fox, M.R.Walker, Biochm. J.,
278, 735-740 (1991)参照)などのような修飾基を導入
した核酸を化学結合させる方法(尚、この範疇に属する
他の方法については、Soren R.R., Mette R.L., Svend
E.R., Anal. Biochm., 198, 138-142 (1991), Jonathan
N.K., Joseph L.W., Joseph P.D., Rachel E.M., Mary
C., Eugene L.B., Nucleic Acids Res..15, 2891-2909
(1987), Allan J.M., Jeffrey R.B., Terence W.P., B
iochem. J., 191, 855-858 (1980), J.A.Running, M.S.
Urdea, BioTechniques, 8,276-279 (1990)などに記載さ
れている。)、 核酸を、UV照射あるいは加熱処理によりニトロセル
ロースまたはナイロン膜上に吸着固定(J.Sambrok, E.
F.Fritsch and T.Maniatis, Molecular Cloning, Cold
Spring Harbor Laboratory Pres, Second Edition, pag
e 2.109-2.113 and page 9.34-9.46)したり、マイクロ
プレート上に物理吸着させ固定(G.C.N.Parry and A.D.
B.Malcolm, Biochm. Soc. Trans., 17, 230-231 (198
9))するなどの物理吸着で固定する方法、などが知られ
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来方法には難点のあることが指摘されていた。
例えば、化学結合による方法では、特殊試薬が必要でそ
れらの中には例えばアジド、イソシアナートやNaBH
3CNなどのような有毒物質が含まれるばかりか、例え
ばペプチド結合を介して固定化しようとする場合は、活
性物質あるいは基材のどちらか一方にアミノ基を、残る
片方にはカルボキシル基を導入する必要があり、さら
に、導入された官能基同士を縮合試薬で処理して固定化
する工程を経なければならないというように、操作が複
雑となることを避けられない。
【0011】また化学結合では、例えばグルタルアルデ
ヒドを架橋剤として使用するには、基材と活性物質の双
方にアミノ基が存在せねばならないというように、基材
自体に官能基が必要なために基材の選択が必要となる結
果、固定に適した基材の選択が困難になり、加えて、た
とえば天然のDNAや修飾基を持たない合成DNAなど
の反応性の乏しい官能基(末端リン酸基、末端ヒドロキ
シル基等)しか有しないものについては化学反応による
方法を用いることが困難であるというように、活性物質
に活性官能基が無い場合は固定できないという難点があ
る。
【0012】一方、物理吸着には、基材の吸着性能に固
定化量が左右されたり、吸着した活性物質が脱離しやす
く、活性物質が低分子(オリゴマー)の場合、基材との
相互作用が弱いため、吸着しにくいという難点がある。
【0013】以上のようにタンパク質、核酸などの活性
物質の検出において重要な固定化には多くの問題点を残
している。本発明は、簡便、効率的にかつ強固に生物学
的に活性な物質を固定できるカルボジイミド基を有する
担体を用いて、生物学的に活性な化合物を検出する方法
を提供するためになされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用した生物学的に活性な物質を固定するた
めの担体の構成は、溶剤不溶性の基材と、前記基材表面
に共有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有す
る化合物とを含むことを特徴とするものであり、上記目
標を達成するために本発明が採用した生物学的に活性な
物質を固定するための方法の構成は、溶剤不溶性の基材
および前記基材表面に共有結合を介して担持されたカル
ボジイミド基を有する化合物を含む担体と、カルボジイ
ミド基との反応性を有する生物学的に活性な物質を接触
させることを特徴とするものである。
【0015】低分子カルボジイミド誘導体、例えば、ジ
シクロヘキシルカルボジイミドやジ−p−トルオイルカ
ルボジイミドは、エステルおよびペプチドなどの合成に
おける脱水縮合剤として従来より広く使用されていて、
これらカルボジイミド誘導体は、以下の反応式に示すよ
うに容易にカルボン酸と付加体を形成し(一般式
(I))、さらにこの付加体がアルコール、アミン、カル
ボン酸等と尿素誘導体を放出しつつ縮合し、それぞれ相
当するエステル、アミド、酸無水物を生成する(一般式
(II))ので、このような低分子カルボジイミド誘導体を
活性物質の固定に使用することも考えられた。
【0016】
【化1】 R'CO2H + RN=C=NR → R'C(=O)OC(NHR)=NR ・・・(I) R'C(=O)OC(NHR)=NR + R"OH→ R'C(=O)OR" + RNHCONHR ・・・(II) R"NH2 → R'C(=O)NHR" + RNHCONHR ・・・(II') R"CO2H → R'C(=O)OC(=O)R" + RNHCONHR ・・・(II") しかしながら、これら低分子カルボジイミド誘導体は、
縮合剤として開発されてきた試薬であって、溶剤に対す
る溶解性が付与されており、基材に適用し、該基材表面
に担持させる使用目的に関しては、脱離しやすく、実用
上使用できないことが判明した。そこで、カルボジイミ
ド基を分子内に含むポリカルボジイミドに着目し、不溶
性の基材に、溶剤等に溶解したポリカルボジイミドを塗
布することによって、基材の表面にポリカルボジイミド
の皮膜を形成し、ここに種々の生物学的に活性な物質を
固定する技術が開発された(特開平8−23975号公
報、特開平8−334509号公報)。しかし、この様
な基材表面をポリカルボジイミドで被覆する方法では、
使用条件によっては、基材とポリカルボジイミドとの熱
膨張率の相違や摩擦などによる皮膜の剥がれがおき、こ
れが固定量の低下や、検出結果のバラツキあるいはバッ
クグラウンドの上昇の原因となった。
【0017】本発明者らは、上記カルボジイミド基を有
する化合物を用いた担体に関する種々の問題を解決する
ために鋭意研究を続けた結果、生物学的に活性な物質を
強固に固定できるカルボジイミド基を有する化合物を共
有結合を介して溶剤不溶性の基材に担持させれば、これ
に固定した活性物質を利用する種々の生物学的に重要な
物質の検出が高感度かつ高精度で行えることを見いだし
本発明の完成に至った。
【0018】すなわち本発明は、溶剤不溶性の基材、お
よび前記基材表面に共有結合を介して担持されたカルボ
ジイミド基を有する化合物、を含む生物学的に活性な物
質を固定するための担体である。
【0019】本発明の担体を構成する溶剤不溶性の基材
の材質として具体的には、プラスチック、無機高分子、
金属、天然高分子およびセラミックから選ばれる1種ま
たは2種以上が挙げられる。
【0020】また本発明は、2個以上のカルボジイミド
基を有するまたは1個以上のカルボジイミド基と1個以
上のカルボジイミド基以外の官能基を有する化合物を、
表面にカルボジイミド基または前記カルボジイミド基以
外の官能基と共有結合可能な官能基を有する溶剤不溶性
の基材の官能基に、前記化合物の有するカルボジイミド
基の少なくとも1個を残して共有結合させる工程を含
む、溶剤不溶性の基材および前記基材表面に共有結合を
介して担持されたカルボジイミド基を有する化合物を含
む生物学的に活性な物質を固定するための担体の製造方
法を提供する。
【0021】さらに本発明は、溶剤不溶性の基材および
前記基材表面に共有結合を介して担持されたカルボジイ
ミド基を有する化合物を含む生物学的に活性な物質を固
定するための担体に、カルボジイミド基と反応性を有す
る生物学的に活性な物質を接触させることを特徴とする
生物学的に活性な物質の固定化方法を提供する。
【0022】本発明の固定化方法における生物学的に活
性な物質として具体的には、タンパク質、ペプチド、そ
の他の抗体結合性物質および核酸から選ばれる1種また
は2種以上が挙げられる。
【0023】本発明はさらに、担体に固定化された生物
学的に活性な第1の物質と、この第1の物質に特異的に
結合し得る第2の物質とを反応させ、前記第1の物質と
第2の物質との結合を介して担体に間接的に結合した第
2の物質又は結合しない第2の物質を検出することによ
り、試料中の第1の物質又は第2の物質を分析する方法
において、前記担体として、溶剤不溶性の基材および前
記基材表面に共有結合を介して担持されたカルボジイミ
ド基を有する化合物を含む生物学的に活性な物質を固定
するための担体を用い、前記第1の物質はカルボジイミ
ド基を介して担体に固定化されることを特徴とする、生
物学的に活性な物質の分析法を提供する。
【0024】本発明の分析法において、第1の物質、第
2の物質の組み合わせとして具体的には、第1の物質が
核酸であり、第2の物質がこの核酸の塩基配列に実質的
に相補的な塩基配列を有する核酸である組み合わせ、第
1の物質がタンパク質、ペプチドまたはその他の抗体結
合性物質であり、第2の物質がこれに特異的に結合し得
るタンパク質、ペプチドまたはその他の抗体結合性物質
である組み合わせ等が挙げられる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。 <1>担体およびその製造方法 本発明の担体は、生物学的に活性な物質を固定化するた
めのものであり、溶剤不溶性の基材、および前記基材表
面に共有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有
する化合物(以下、単に「カルボジイミド化合物」とい
うことがある)、を含むことを特徴とする。
【0026】(1)基材 本発明の生物学的に活性な物質を固定化する担体に用い
られる基材は、前記担体の支持体としての役割を果たす
ものであって、溶剤不溶性である。詳細には、本発明に
用いる基材は、後述の様に必要に応じて表面に官能基が
導入され、カルボジイミド基を有する化合物との結合反
応に供され、ついで、担体として生物学的に活性な物質
を固定化し、さらに、活性物質を固定した状態で生理化
学的な生産、分析等に供されるが、これらの各過程で用
いられる水性溶剤、有機溶剤等の各種溶剤に実質的に不
溶性である。本発明に用いる基材は、上記の様に溶剤不
溶性であって、基本的には、常温もしくはその付近の温
度範囲内(0〜100℃)で固体又はゲル状であるもの
であれば特に制限されない。この様な担体基材の材質と
して、具体的には、プラスチック、無機高分子、金属、
天然高分子、セラミック等が挙げられる。
【0027】プラスチックとして具体的には、ポリエチ
レン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレ
ン、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
カルボジイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリフッ化エチレン、ポリイミドおよびアクリ
ル樹脂などが、無機高分子としては、ガラス、水晶、カ
ーボン、シリカゲル、およびグラファイト等が、金属と
しては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、磁石、
パラマグネットおよびアパタイト等の常温固体金属が、
天然高分子としては、セルロース、セルロース誘導体、
キチン、キトサン、アルギン酸およびアルギン酸塩等
が、セラミックとしては、アルミナ、シリカ、炭化ケイ
素、窒化ケイ素および炭化ホウ素等などを例示すること
ができる。
【0028】上記基材の形状としては、例えば、フィル
ム、平板、粒子、成型品(ビーズ、ストリップ、マルチ
ウェルプレートのウェルまたはストリップ、チューブ、
メッシュ、連続発砲フォーム、膜、紙、針、ファイバ
ー、プレート、スライドおよび細胞培養容器)、ラテッ
クスを挙げることができ、またその大きさについては、
当然であるが特に制限はない。
【0029】(2)カルボジイミド基を有する化合物 本発明の担体において、上記基材表面に共有結合により
担持されたカルボジイミド基を有する化合物としては、
例えば、特開昭51−61599号公報に開示されてい
る方法や L. M. Alberino らの方法(J. Appl. Polym.
Sci., 21, 190(1990)あるいは特開平2−292316
号公報に開示されている方法などによって製造すること
ができるポリカルボジイミドやウレアからの脱水、チオ
ウレアからの脱硫など一般的に用いられるカルボジイミ
ドの製造法で合成されたモノカルボジイミド、ジカルボ
ジイミド等の低分子量のカルボジイミド等を挙げること
ができる。
【0030】なお、本明細書において、共有結合を介し
て基材表面に担持されたカルボジイミド基を有する化合
物という場合の「カルボジイミド基を有する化合物」
は、該化合物と基材表面間に存在する共有結合部分から
は独立した化合物(実際には「基」であるが便宜上「化
合物」の用語を用いる)として定義されるものである。
したがって、ここではカルボジイミド基を有する化合物
は、基材表面との共有結合に関与する官能基を含まない
化合物として説明される。
【0031】上記ポリカルボジイミドは、具体的には、
有機ポリイソシアネート化合物からイソシアネートのカ
ルボジイミド化を促進する触媒(例えば3−メチル−1
−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)の存在下
に製造することができるものである。
【0032】ポリカルボジイミドの製造に用いる上記有
機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−
テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−ト
リレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシア
ネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−
トリレンジイソシアネートの混合物、粗トリレンジイソ
シアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネート、
4,4’,4”−トリフェニルメチレントリイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−
1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、
水添メチレンジフェニルジイソシアネート、m−フェニ
ルジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシア
ネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,
3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネ
ート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’
−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートやこ
れらの任意の混合物を挙げることができる。
【0033】上記ポリイソシアネート化合物又はそれら
の混合物のイソシアネート基をカルボジイミド化するこ
とによって重縮合が起こる。その際、適当な段階でモノ
イソシアネートの一種または2種以上を適当量加え、カ
ルボジイミド化合物の末端を封止することにより、分子
量(重合度)を調整することができる。また、モノイソ
シアネートは、重縮合反応の初めから適当量加えてもよ
い。このようなモノイソシアネートとしては、フェニル
イソシアネート、(オルト、メタ、パラ)−トリルイソ
シアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、n−ブ
チルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、
メチルイソシアネート等を例示することができる。重合
度は、ポリイソシアネート化合物等の濃度や反応時間に
よっても調整することができる。
【0034】また、この他にも末端封止剤としては、−
OH、−NH2、−COOH、−SH、−NH等の官能
基を末端に有するアルキル基を有する化合物約1モル
と、芳香族ジイソシアネート2モルとの反応によって簡
便に製造できるイソシアネート末端化合物から誘導され
るものでもよい。
【0035】上記有機イソシアネートのカルボジイミド
化を促進する触媒としては、種々のものを例示すること
ができるが、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキ
シド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1
−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ドやこれらの3−ホスホレン異性体などが収率その他の
面で好適である。
【0036】上記ポリカルボジイミドの製造は、無溶媒
又は非反応性の有機溶媒中で行うものであり、本発明で
はこれらにより製造したポリカルボジイミドの一種又は
混合物をカルボジイミド化合物の一例として用いること
ができる。なお、これらのポリカルボジイミドは、部分
的に架橋したものであってもよい。
【0037】他のカルボジイミド化合物、例えば、特開
昭63−172718号公報及び特開昭63−2641
28号公報に記載されるような、分子構造内にポリオキ
シエチレン鎖を付加して成る親水性を付与されたタイプ
のカルボジイミド化合物も本発明の担体に用いることが
できる。また、モノカルボジイミド化合物、ジカルボジ
イミド化合物等の低分子量のカルボジイミド化合物も本
発明の担体に用いることができるカルボジイミド化合物
である。
【0038】上記いずれのタイプであっても、本発明の
担体が基材表面に共有結合を介して有するカルボジイミ
ド化合物は、その分子中に5〜30個のカルボジイミド
基を有しているものが好ましく、前記カルボジイミド基
の個数はより好ましくは7〜20個である。前記カルボ
ジイミド化合物におけるカルボジイミド基の数が5個以
上、且つ30個以下であると、生物学的に活性な物質を
固定するために良好な能力が得られ、また、溶液が適度
な粘度となり取り扱いの点でも好ましい。
【0039】すでに説明したように、上記カルボジイミ
ド化合物におけるカルボジイミド基の反応性は高く、ア
ルコール、アミン、チオール、フェノール、カルボン酸
等の有するほとんどの活性水素基と反応するのであり、
前記カルボジイミド誘導体とカルボン酸との反応以外の
反応を示せば、例えば、アルコールとは、下記(III)式
のように進行し、アミノ基とは(IV)式のように進行する
(Frederick Kurzer,K. Douraghi-Zadeh, Chemical Rev
iews, 67, 117-135, (1967)および Andrew Williams, I
brahim T. Ibrahim, Chemical Reviews, 81, 599-606,
(1981)参照)。
【0040】
【化2】 C2H5OH + C6H5N=C=NC6H5 → C6H5NHC(=NC6H5)OC2H5 ・・・(III) RN=C=NR + R'NH2 → RNHC(=NR')NHR ・・・(IV) したがって、本発明の担体は、このようなカルボジイミ
ド基の反応性を利用して生物学的に活性な物質をカルボ
ジイミド化合物を介して強固に固定できるのである。
【0041】(3)担体の製造 本発明の生物学的に活性な物質を固定化するための担体
は、上記基材の表面に共有結合を介して上記カルボジイ
ミド基を有する化合物を担持させたものである。この様
な本発明の担体を得るには、例えば、担体とした際に生
物学的に活性な物質を固定化するためのカルボジイミド
基とそれ以外に基材表面に共有結合するための官能基を
有するカルボジイミド化合物を、表面に上記カルボジイ
ミド化合物が有する官能基と共有結合可能な官能基を有
する基材の官能基に、適当な方法によって共有結合させ
ればよい。
【0042】より具体的には、本発明の担体は、以下に
説明する本発明の製造方法に従って製造することができ
る。本発明の製造方法は、溶剤不溶性の基材および前記
基材表面に共有結合を介して担持されたカルボジイミド
基を有する化合物を含む生物学的に活性な物質を固定す
るための担体を製造する方法であって、2個以上のカル
ボジイミド基を有するまたは1個以上のカルボジイミド
基と1個以上のカルボジイミド基以外の官能基を有する
化合物を、表面にカルボジイミド基または前記カルボジ
イミド基以外の官能基と共有結合可能な官能基を有する
溶剤不溶性の基材の官能基に、前記化合物の有するカル
ボジイミド基の少なくとも1個を残して共有結合させる
工程を含むことを特徴とするものである。
【0043】上記本発明の製造方法に用いる化合物は、
2個以上のカルボジイミド基を有するまたは1個以上の
カルボジイミド基と1個以上のカルボジイミド基以外の
官能基を有する化合物であり、具体的には、上記<1>
(2)で挙げたカルボジイミド化合物のうちの2個以上
のカルボジイミド基を有する化合物および1個以上のカ
ルボジイミド基と1個以上のカルボジイミド基以外の官
能基を有する化合物等が挙げられる。さらに、本発明の
製造方法には、上記<1>(2)で挙げたカルボジイミ
ド化合物に、共有結合に供するための官能基、例えば、
水酸基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、イソシ
アネート基、イソチオシアネート基等の官能基から選ば
れる官能基を適当な方法により導入した化合物を用いる
ことも可能である。また、上記<1>(2)で挙げたカ
ルボジイミド化合物に、共有結合に供するための官能基
としてさらにカルボジイミド基を導入して、本発明の製
造方法に用いてもよい。カルボジイミド化合物にこの様
な官能基を導入する方法については、従来公知の方法を
とることができる。
【0044】本発明の製造方法に用いる、表面にカルボ
ジイミド基または上記化合物の有するカルボジイミド基
以外の官能基と共有結合可能な官能基を有する溶剤不溶
性の基材としては、例えば、上記<1>(1)で説明し
た基材表面に前記共有結合可能な官能基を導入した溶剤
不溶性の基材が挙げられる。導入される官能基として
は、カルボジイミド基と共有結合可能な官能基または上
記化合物が有するカルボジイミド基以外の官能基と共有
結合可能な官能基であれば特に制限されないが、具体的
には、水酸基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、
カルボジイミド基等が挙げられる。これら官能基は、上
記カルボジイミド化合物の有する共有結合に供する官能
基に応じて適宜選択され、基材表面に導入される。
【0045】また、溶剤不溶性基材表面にこの様な官能
基を導入する方法については、基材の材質や導入する官
能基によって適当な方法が適宜選択される。さらに、官
能基を導入するのは、基材表面の全体であってもよい
し、一部であってもよい。
【0046】例えば、ガラス基材の表面全体にアミノ基
を導入するには、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン等のアミノ置換オルガノアルコキシシランを適当な溶
媒に溶解して得られた溶液に70〜80℃程度の温度条
件下でガラス基材を概ね2〜3時間浸漬した後、これを
取り出して溶液を水洗しさらに、100〜120℃程度
で約4〜5時間加熱乾燥すればよい。
【0047】また、ガラス基材にアミノ基以外の官能基
を導入する場合や、基材がガラス以外の材料からなる場
合においても、上記基材の説明で挙げた各種材料表面に
種々の官能基を導入することは、従来より一般に行われ
ていることであり、その方法も公知であるので、この様
な公知の方法を用いて基材表面への官能基の導入を行う
ことができる。
【0048】さらに、上記<1>(1)で挙げた基材の
うちでもプラスチック基材のなかには、基材表面に既に
上記のような官能基を有するものもあり、この場合には
基材表面に官能基を導入することなしに、これをそのま
ま本発明の製造方法に用いることが可能である。また、
この様なプラスチック基材であってもさらに官能基を導
入して本発明に用いることも可能である。
【0049】本発明の製造方法においては、上記の様に
して得られる2個以上のカルボジイミド基を有するまた
は1個以上のカルボジイミド基と1個以上のカルボジイ
ミド基以外の官能基を有する化合物と、表面にカルボジ
イミド基または前記カルボジイミド基以外の官能基と共
有結合可能な官能基を有する溶剤不溶性の基材を適当な
条件下で反応させ、前記基材表面の官能基に前記化合物
を、前記化合物の有するカルボジイミド基の少なくとも
1個を残して共有結合させる。つまり、前記化合物が1
個以上のカルボジイミド基と1個以上のカルボジイミド
基以外の官能基を有する化合物である場合には、カルボ
ジイミド基以外の官能基が共有結合に供する様な反応条
件で反応を行えばよい。また、官能基としてカルボジイ
ミド基のみを有する化合物を用いる場合には、カルボジ
イミド基の全てが共有結合に供されることのないような
条件で反応を行えばよい。
【0050】このようにして得られる本発明の活性物質
を固定化するための担体は、カルボジイミド化合物の反
応性を利用して、様々な活性物質を固定することができ
るものである。
【0051】<2>生物学的に活性な物質およびその担
体への固定化 (1)生物学的に活性な物質 本発明の担体に固定化する生物学的に活性な物質として
は、カルボジイミド基と共有結合可能な官能基を有する
ものであれば特に制限されないが、例えば、タンパク
質、ペプチド若しくはその他の抗体結合性物質、核酸な
どの生体高分子等を挙げることができる。
【0052】具体的には、タンパク質、ペプチドとして
は、インシュリン、ACTH(副腎皮質刺激ホルモ
ン)、オキシトシン等のタンパク質ホルモンもしくはペ
プチドホルモン、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、ペ
プシン等の酵素又はその前駆体、HBs抗原、HIV抗
原等のタンパク質抗原、プロテインAのような抗体結合
性タンパク質などが、抗体結合性物質としては低分子量
のハプテンが、核酸としては天然又は合成のDNA(オ
リゴヌクレオチドを含む)もしくはRNA(オリゴヌク
レオチドを含む)が挙げられる。
【0053】さらに、本発明に用いられる生物学的に活
性な物質として具体的には、次のような化合物も例示可
能である。抗菌性を有する生理活性物質、例えばペニシ
リン、アンピシリン、セファロスポリン、カナマイシ
ン、ストレプトマイシン、フラジオマイシン、デストマ
イシン、カスガマイシン、タイロシン、エリスロマイシ
ン、オレアンドマイシン、スピラマイシン、リンコマイ
シン、コリスチン、バシトラシン、サリノマイシン、モ
ネンシン、ラサロシド、テトラサイクリンおよびその類
縁物質、クロラムフェニコール、バージニアマイシンな
ど。合成抗菌剤としてはサルファ剤、オキソリン酸、ピ
ロミド酸、フラゾリドン、ジフラゾンなどが挙げられ、
天然毒素全般としてはアフラトキシン、T2トキシン、
ゼアラレノン、デオキシニバレノール、パツリン、フモ
ニシン、HT−2、オクラトキシン、テトロドトキシ
ン、オカダ酸、サキシトシン、ゴニオトキシン、ボツリ
ヌス毒素などが挙げられ、合成化学品としては農薬全
般、例えばダイオキシン、2,4−D、ベミノル、アル
ディカルブ、カルボフラン、メソミル、DDVP、マラ
ソン、パラコート、ダイアジノン、フェニトロチオン、
エンドリン、アルドリン、ヘプタクロルなどが挙げられ
る。また、生体化学物質全般としてはヘモグロビン、α
−フェトプロテイン、免疫グロブリン、アルブミン、ア
ンチトロンビン、トロンビン、プラスミノーゲン、フェ
リチン、チログロブリン、ゼラチン、コレステロール、
テストステロン、コルチコステロン、プロゲステロン、
エルゴステロール、エストラジオール、チトクロムC、
アドレナリン、各種ビタミン等が挙げられる。
【0054】また、上記タンパク質、ペプチド、その他
の生物学的に活性な物質に結合し得る抗体が挙げられ
る。該抗体は、例えば上述の物質又は免疫用担体との結
合物を、免疫動物例えばラット、モルモット、ウサギ、
マウス、ヤギ、ヒツジ、馬、牛などの哺乳類に免疫して
得るか、マウスに免疫後そのリンパ球とマウスミエロー
マ細胞とのハイブリドーマが生産するモノクローナル抗
体として得られる。
【0055】(2)担体への固定化 上記本発明の溶剤不溶性の基材および前記基材表面に共
有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有する化
合物を含む生物学的に活性な物質を固定するための担体
に、上記生物学的に活性な物質を固定するには、前記担
体のカルボジイミド基と生物学的に活性な物質が反応す
る様な適当な条件下で、前記担体と生物学的活性物質と
を接触させればよい。具体的には、両者の接触は、固定
される生物学的活性物質の活性が維持されるように、通
常は水またはバッファー中で行うことが好ましく、ま
た、接触の際の温度としてはやはり固定される生物学的
活性物質の活性が損なわれないように、概ね0〜100
℃とすることが好ましい。さらに、固定される生物学的
活性物質の種類等により最適な条件が適宜選択可能であ
る。
【0056】この様にして得られる固定化生物学的活性
物質は、前記生物学的活性物質が担体に非常に強固に担
持されたものであり、イムノアッセイの分野で広く使用
されている洗浄法(界面活性剤を用いた洗浄法)によっ
ても脱離することがなく、固定化酵素の生理化学工業的
利用、抗体あるいは抗原固定担体の免疫学的利用、核酸
固定担体の診断薬としての利用等の広い利用分野を有し
ている。
【0057】(3)生物学的に活性な物質の分析法 本発明の担体は、具体的には、以下の分析法に用いるこ
とにより効果を発揮することができる。
【0058】すなわち、本発明の溶剤不溶性の基材およ
び前記基材表面に共有結合を介して担持されたカルボジ
イミド基を有する化合物を含む生物学的に活性な物質を
固定するための担体は、担体に固定化された生物学的に
活性な第1の物質と、この第1の物質に特異的に結合し
得る第2の物質とを反応させ、前記第1の物質と第2の
物質との結合を介して担体に間接的に結合した第2の物
質又は結合しない第2の物質を検出することにより、試
料中の第1の物質又は第2の物質を分析する方法に、前
記担体として用いることが可能である。この際、前記第
1の物質はカルボジイミド基を介して担体に固定化され
るものである。
【0059】上記生物学的に活性な第1の物質として
は、上記<2>(1)で説明した生物学的に活性な物質
と全く同じものを挙げることができる。一方、生物学的
に活性な第2の物質は、上記のような第1の物質と同様
のタンパク質、ペプチド、抗原性物質、核酸、その他の
生理活性物質であって、第1の物質に特異的に結合する
ものである。すなわち、例えば、第1の物質と第2の物
質の一方がタンパク質、核酸又はその他の生理活性物質
である場合には、他方はそれに対する抗体であり、一方
の物質が核酸である場合には、他方はその核酸の塩基配
列に実質的に相補的な塩基配列を有する核酸である。こ
こで実質的に相補的とは、1又は2以上のミスマッチが
あっても、各々の核酸が水素結合によってハイブリダイ
ズし、2本鎖を形成することができることをいう。
【0060】尚、分析対象は、第1の物質であっても、
第2の物質であってもよい。本発明による生物学的に活
性な物質の分析法は、上記のようなた生物学的に活性な
第1の物質を前記担体に結合させ、これと第2の物質と
を反応させ、第1の物質と第2の物質との結合を介して
担体に間接的に結合した第2の物質又は結合しない第2
の物質を検出することにより、行われる。
【0061】第1の物質を担体に固定するには、担体と
活性物質とを接触させれば良く、担体において支持体の
役割を果たす基材の表面に共有結合を介して担持された
カルボジイミド化合物のカルボジイミド基と、第1の物
質が有する水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシ
ル基等との反応により、第1の物質はカルボジイミド化
合物と共有結合する。その結果、第1の物質は担体に固
定化される。
【0062】第1の物質と担体との接触は、上記<2>
(2)で説明したのと同様であり、第1の物質の生物学
的活性が維持されるように、水あるいはバッファー中で
行うことが好ましく、また、接触の際の温度としては、
やはり活性物質の活性が損なわれないように、0〜10
0℃とすることが好ましい。
【0063】尚、担体へ第2の物質等が非特異的に結合
することを防ぐために、第1の物質を担体に固定化した
後に、過剰量のウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイ
ン、サケ***DNA等を担体に接触させ、フリーのカル
ボジイミド基をブロックしておくことが好ましい。
【0064】担体に固定化された第1の物質と第2の物
質とを反応させた後、担体に結合した第2の物質を検出
するには、通常の固相のイムノアッセイ、核酸のハイブ
リダイゼーション法と同様に行えばよい。例えば、第1
の物質が測定対象である場合には、標識物質で標識して
おいた第2の物質を固定化された第1の物質と反応さ
せ、担体に固定化された標識物質を検出又は定量するこ
とにより、結合した第2の物質を検出又は定量すること
ができる。その結果、第1の物質を検出又は定量するこ
とができる。第1の物質に結合した第2の物質のかわり
に、結合しなかって第2の物質を検出、定量してもよ
い。
【0065】また、第2の物質が測定対象である場合に
は、第1の物質と第2の物質とを反応させる際に、反応
系に標識物質で標識された第2の物質をさらに加え、第
1の物質に結合した標識された第2の物質の結合量によ
り、間接的に試料中の第2の物質の量を定量することが
できる(阻害法)。
【0066】さらに、担体に結合した第2の物質の検出
は、第2の物質に特異的に結合し得る、第3の物質を反
応させることによっても行うことができる。例えば、第
2の物質が抗原であり、第1の物質がこの抗原に対する
ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体(第1抗
体)である場合、担体−抗体−抗原複合体に、ポリクロ
ーナル抗体又は前記モノクローナル抗体とエピトープが
異なる他のモノクローナル抗体(第2抗体)を反応さ
せ、担体−抗体−抗原−抗体複合体を形成させ、複合体
中の第3の物質を検出することにより、第2の物質を検
出することができる(サンドイッチ法)。このとき、第
3の物質が標識されている場合にはその標識を検出すれ
ばよく、標識されていない場合であっても、さらに第3
の物質に結合する物質を用い、これを標識しておいても
よい。例えば、上記の例では第1抗体と第2抗体とを別
の動物で調製し、第2抗体の調製に用いた動物のイムノ
グロブリンに対する抗体を第3の物質とする。また、核
酸の場合も同様に、担体に固定化した第1の核酸にこれ
に特異性を有する第2の核酸を結合させ、さらに第2の
核酸に特異性を有し第1の核酸に特異性を有しない第3
の核酸を結合させ、担体に結合した第3の核酸の量から
第2の核酸を定量することができる。
【0067】また乳濁状の担体を用いて、一般的な凝集
法により、第2の物質を検出することもできる。標識物
質としては、放射性物質、蛍光物質、酵素、色素、化学
発光物質、ジゴキシゲニン等が挙げられる。放射性物
質、蛍光物質、色素で標識した場合には、標識はシンチ
レーションカウンターによる測定、フィルムへの露光あ
るいは肉眼観察により、直接検出することができる。酵
素を用いた場合には、酵素反応により発色または発光す
る基質色素を用い、その発色または発光を検出すればよ
い。このような酵素は、ペルオキシダーゼ、β−D−ガ
ラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、リゾチー
ムなど一般的に用いられるものでよい。
【0068】また、必ずしも標識物質自体が検出するこ
とができないものであってもよい。例えば標識物質とし
てビオチンを用いた場合には、これに特異的に結合する
アビジン又はストレプトアビジンを結合させた酵素等を
用いることにより、間接的に検出することができる。
【0069】第1の物質と第2の物質、さらに必要に応
じて第3の物質又はその他の物質を反応させた後に未反
応の物質を除去、すなわちB/F分離するには、通常の
固相イムノアッセイ、ハイブリダイゼーション法と同様
に行えばよい。すなわち、担体が容器状である場合に
は、担体に洗浄液を満たしたのち、洗浄液を捨てるとい
う操作を度繰り返す。担体が粒子である場合には、洗浄
液に担体を懸濁する操作を繰り返せばよい。
【0070】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0071】
【製造例】 カルボジイミド化合物溶液の製造 4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1
17.9gとシクロヘキシルイソシアネート12.5g
をカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−
2−ホスホレン−1−オキシド)1.3gと共に窒素雰
囲気下、180℃で4日間反応させ、室温で粉末状のカ
ルボジイミド化合物(重合度10、数平均分子量240
0)を得た。これを10g取りジクロロメタン200m
lに溶解させ、カルボジイミド化合物溶液を得た。
【0072】
【実施例】 カルボジイミド化スライドガラスに固定し
たDNAの標識DNAによる検出 (1)アミノ化スライドガラスの作製 蒸留水180mlに10%(v/v)3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン/エタノール溶液20mlを加え
よく撹拌した。そこに6NのHClを加えpH3〜4に
調整した後、スライドガラス15枚を浸漬し、75℃で
2時間加熱処理した。加熱処理終了後、スライドガラス
を溶液から引き上げ、蒸留水でよく洗い流した後、11
5℃で4時間加熱乾燥しアミノ化スライドガラスを得
た。
【0073】(2)カルボジイミド化スライドガラスの
作製 上記製造例で得られたカルボジイミド化合物溶液200
mlに上記(1)で得られたアミノ化スライドガラス1
5枚を浸漬し、すぐに引き上げて、60℃で1時間加熱
乾燥した。加熱乾燥後、ジクロロメタン200mlで1
0分間の洗浄を2回行った後、40℃で2時間乾燥して
カルボジイミド化スライドガラスを得た。
【0074】(3)カルボジイミド化スライドガラス上
へのDNAオリゴマーの固定 DNA合成機によりキャプチャーオリゴヌクレオチド及
びビオチン化オリゴヌクレオチドを合成した。プローブ
は、DNAオリゴマー合成の際にビオチンフォスフォル
アミダイトを用いて、ビオチンを5’末端に導入した。
【0075】上記で得られたカルボジイミド化スライド
ガラス上にキャプチャー水溶液(1pmol/μl)を
1μlドットし37℃のインキュベーターで15分間固
定化した後、水で洗浄し乾燥した。
【0076】一方、コントロールとして上記プローブと
全く相補性を示さないオリゴマーも同様に固定化した。 (4)ハイブリダイゼーション キャプチャーオリゴヌクレオチド又はコントロールDN
Aオリゴマーを固定化したカルボジイミド化スライドガ
ラスにプレハイブリダイゼーション溶液50μlをふり
かけ、パラフィルムで覆って、42℃のインキュベータ
ーに入れ30分間加温した。プレハイブリダイゼーショ
ン溶液の組成は、5×SSC(0.75M NaCl,
0.075M クエン酸ナトリウム)、5×Denha
rdt’s solution(0.02% フィコー
ル,0.02% BSAフラクションV,0.02%
ポリビニルピロリドン)、25mM リン酸ナトリウム
(pH6.6)、50%フォルムアミド、0.5mg/
ml変性サケ***DNAである。
【0077】次にパラフィルムを取り除き、プレハイブ
リダイゼーション溶液を軽く吸い取った後、プローブを
加えたハイブリダイゼーション溶液50μlをふりか
け、パラフィルムで覆って、42℃のインキュベーター
に入れ一晩加温した。ハイブリダイゼーション溶液の組
成は、1pmolプローブ、5×SSC、1×Denh
ardt’s solution、25mMリン酸ナト
リウム(pH6.6)、45%フォルムアミド、0.2
mg/ml変性サケ***DNA、10%デキストラン硫
酸である。
【0078】ハイブリダイゼーション後に、パラフィル
ムを取り除き、ハイブリダイゼーション溶液を軽く吸い
取った後、以下の3段階の条件でポストハイブリダイゼ
ーション洗浄を行い非特異的に吸着したプローブを除去
した。
【0079】<ポストハイブリダイゼーション洗浄条件
> 第1段階:2×SSC、1%SDS;室温、5分間、2
回 第2段階:0.2×SSC、1%SDS;42℃、5分
間、2回 第3段階:2×SSC;室温、5分間、1回 (5)検出 3%BSAを含む緩衝液A(0.2M塩化ナトリウム、
0.1Mトリス塩酸(pH7.5)、0.05%トライ
トンX−100)50mlに、上記ポストハイブリダイ
ゼーション洗浄後のスライドガラスを浸漬し、室温で3
0分間ブロッキングを行なった。次に、これらをストレ
プトアビジンアルカリフォスファターゼコンジュゲート
溶液(緩衝液Aで原液を5000倍希釈したもの)50
mlに浸漬し、室温で30分間反応させた。次いで、緩
衝液A50mlに浸漬し、室温で5分間放置した。これ
を2回繰り返し、ビオチンと結合しなかったコンジュゲ
ートを除去した。
【0080】次に、緩衝液B(0.1M塩化ナトリウム
/0.1Mトリス塩酸、pH9.5/50ml塩化マグ
ネシウム)50mlで1回置換した。最後に、基質溶液
(緩衝液Bの50ml+BCIP溶液(50mg5−ブ
ロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/90
0mlジメチルホルムアミド)17.5μl+NBT液
(50mgニトロブルーテトラゾリウム/1.8ml7
0%エタノール)35μl)に浸漬し、室温で3時間放
置し、発色反応を行った結果、相補的な配列を持つキャ
プチャーのみシグナルが得られた。
【0081】
【比較例】上記実施例でスライドガラスのアミノ化を行
わず、スライドガラスを直接カルボジイミド化合物溶液
に浸漬したことを除いて上記実施例と同様の操作を行っ
た結果、バックグラウンドが上昇した。
【0082】
【発明の効果】本発明により、タンパク質、核酸などの
活性物質の検出において重要な担体への固定化を、簡
便、効率的にかつ強固に行うことができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶剤不溶性の基材、および前記基材表面
    に共有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有す
    る化合物、を含む生物学的に活性な物質を固定するため
    の担体。
  2. 【請求項2】 前記基材の材質が、プラスチック、無機
    高分子、金属、天然高分子およびセラミックから選ばれ
    ることを特徴とする請求項1記載の担体。
  3. 【請求項3】 2個以上のカルボジイミド基を有するま
    たは1個以上のカルボジイミド基と1個以上のカルボジ
    イミド基以外の官能基を有する化合物を、表面にカルボ
    ジイミド基または前記カルボジイミド基以外の官能基と
    共有結合可能な官能基を有する溶剤不溶性の基材の官能
    基に、前記化合物の有するカルボジイミド基の少なくと
    も1個を残して共有結合させる工程を含む、溶剤不溶性
    の基材および前記基材表面に共有結合を介して担持され
    たカルボジイミド基を有する化合物を含む生物学的に活
    性な物質を固定するための担体の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶剤不溶性の基材および前記基材表面に
    共有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有する
    化合物を含む生物学的に活性な物質を固定するための担
    体に、カルボジイミド基と反応性を有する生物学的に活
    性な物質を接触させることを特徴とする生物学的に活性
    な物質の固定化方法。
  5. 【請求項5】 生物学的に活性な物質がタンパク質、ペ
    プチド、その他の抗体結合性物質および核酸から選ばれ
    る請求項4記載の固定化方法。
  6. 【請求項6】 担体に固定化された生物学的に活性な第
    1の物質と、この第1の物質に特異的に結合し得る第2
    の物質とを反応させ、前記第1の物質と第2の物質との
    結合を介して担体に間接的に結合した第2の物質又は結
    合しない第2の物質を検出することにより、試料中の第
    1の物質又は第2の物質を分析する方法において、 前記担体として、溶剤不溶性の基材および前記基材表面
    に共有結合を介して担持されたカルボジイミド基を有す
    る化合物を含む生物学的に活性な物質を固定するための
    担体を用い、前記第1の物質はカルボジイミド基を介し
    て担体に固定化されることを特徴とする、生物学的に活
    性な物質の分析法。
  7. 【請求項7】 前記第1の物質は核酸であり、第2の物
    質はこの核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を
    有する核酸である請求項6記載の分析法。
  8. 【請求項8】 前記第1の物質はタンパク質、ペプチド
    またはその他の抗体結合性物質であり、第2の物質はこ
    れに特異的に結合し得るタンパク質、ペプチドまたはそ
    の他の抗体結合性物質である請求項6記載の分析法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004092731A1 (ja) * 2003-04-18 2004-10-28 Nisshinbo Industries, Inc. 生物学的活性物質を固定化した素子

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