JPH08166382A - 尿中の被検出物質の検出方法およびそれに用いる検出用キット - Google Patents

尿中の被検出物質の検出方法およびそれに用いる検出用キット

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JPH08166382A
JPH08166382A JP33247594A JP33247594A JPH08166382A JP H08166382 A JPH08166382 A JP H08166382A JP 33247594 A JP33247594 A JP 33247594A JP 33247594 A JP33247594 A JP 33247594A JP H08166382 A JPH08166382 A JP H08166382A
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JP
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methamphetamine
urine
antibody
antigen
reaction
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JP33247594A
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English (en)
Inventor
Toshiya Shigeno
俊也 茂野
Toyoji Hozumi
豊治 穂積
Haruo Oyama
晴生 大山
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Showa Shell Sekiyu KK
Original Assignee
Showa Shell Sekiyu KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗原抗体反応を利用した免疫測定法におい
て、尿に対する抽出操作を行うことなく尿中の反応阻害
物の影響をなくして抗原と抗体との反応性を向上させる
ことのできる方法およびそれに用いる検出用キットの提
供。 【構成】 尿中の被検出物を抗原抗体反応を利用して検
出するに当り、抗原抗体反応を行わせる前に、塩基性物
質を尿中に添加することを特徴とする尿中の被検出物質
の検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、抗原抗体反応を利用した尿中の
被検出物質の検出方法およびそれに用いる検出用キット
に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に尿中に含まれる薬物、蛋白質等は、
抗体抗原反応を利用した免疫測定法により、検出又は測
定することができる。免疫測定法は特定の抗原とこれに
対する抗体が極めて特異的にかつ低濃度でも反応するこ
とを利用したものである。一般的にはサンドイッチ法と
競争法が知られており、多くの場合固相に固定された抗
原又は抗体と酵素や放射性物質等で標識された抗体又は
抗原が用いられている。
【0003】抗体抗原反応は反応速度が速く、特異性に
優れた反応であり、これを利用した免疫測定法は、対象
とする物質を迅速かつ鋭敏に検出又は測定することがで
きるはずである。しかし尿を試料として免疫測定法を行
うと、尿に含まれる反応阻害物質のために正確な検出又
は測定を行うことができない。尿を適当な希釈剤で希釈
することにより、尿に含まれる反応阻害物質の影響を避
けることもある程度可能であるが、検出あるいは測定対
象物質も希釈されるため検出あるいは測定感度が低下す
る。また尿中から検出あるいは測定対象物質を抽出する
ことによっても、尿に含まれる反応阻害物質の影響を避
けることも可能であるが、抽出作業は煩雑であり、検出
あるいは測定の操作性を著しく低下させる。さらに検出
あるいは測定対象物質によっては抽出操作で変性あるい
は分解することも考えられる。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抗
原抗体反応を利用した免疫測定法において、尿に対する
抽出操作を行うことなく尿中の反応阻害物の影響をなく
して抗原と抗体との反応性を向上させることのできる方
法およびそれに用いる検出用キットを提供する点にあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、尿中の被検出
物を抗原抗体反応を利用して検出するに当り、抗原抗体
反応を行わせる前に、塩基性物質を尿中に添加すること
を特徴とする尿中の被検出物質の検出方法に関する。
【0006】前記被検出物質がメタンフェタミンである
場合には、つぎのような検出方法を採用することができ
る。すなわち、(a)尿に塩基性物質を添加して検体を
作成する、(b)一方、メタンフェタミンおよび下記一
般式(I)
【化3】 (ただし、nは0、1、2、3または4の整数であり、
Rは水素又はアルキル基である)で表わされるアミン化
合物よりなる群から選ばれた化合物と蛋白質との複合体
よりなるメタンフェタミン検出用固定化抗原を担持させ
た担体を用意する、(c)メタンフェタミンに対して特
異的な免疫反応を示す抗体を酵素で標識化することによ
り得られた酵素標識抗体の溶液を用意する、(d)前記
(a)、(b)、(c)の共存下に検体中のメタンフェ
タミンとウレアーゼ標識モノクローナル抗体との競合反
応を行い、前記(b)の担体に結合したウレアーゼ標識
モノクローナル抗体に尿素を反応させる、ことを特徴と
する尿中のメタンフェタミンの検出方法である。
【0007】前記検出方法は、つぎのような検出用キッ
トとすることができる。すなわち、(i)メタンフェタ
ミンに対して特異的な免疫反応を示す抗体を酵素で標識
化することにより得られた酵素標識抗体含有容器、(i
i)メタンフェタミンおよび下記一般式(I)
【化4】 (ただし、nは0、1、2、3または4の整数であり、
Rは水素又はアルキル基である)で表わされるアミン化
合物よりなる群から選ばれた化合物と蛋白質との複合体
よりなるメタンフェタミン検出用固定化抗原を担持した
担体、(iii)基質溶液含有容器、(iv)塩基性物質また
はその溶液含有容器、を含有する携帯可能なメタンフェ
タミン検出用キットとすることができる。前記キットに
は、定量用スポイトや検体採取用容器を入れておくこと
が好ましい。
【0008】前述の塩基性物質は尿が水溶液であるた
め、水溶液に溶解しやすい物質であることが好ましい。
また複数種の塩基性物質を任意の割合で組み合わせて用
いてもかまわない。
【0009】前述のアルカリ性物質としては、ピプリジ
ン、ピペラジン、モルフォリン等の有機物や水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機物を挙げ
ることができるが、安価でかつ変成しない点から水酸化
ナトリウムであることが好ましい。
【0010】尿に添加する塩基性物質の量は、添加する
塩基性物質の塩基性度と検出又は測定する物質によって
異なる。尿に添加する塩基性物質の最適な量を実験によ
って決定するのが好ましい。
【0011】前記の尿中の被検出物は、免疫測定法で検
出又は測定可能な物質を指し、たとえばホルモン、酵素
等の蛋白質を始めとする高分子、薬物とくに覚醒剤であ
るメタンフェタミン等の低分子を挙げることができる。
【0012】尿中のメタンフェタミンを検出する場合の
メタンフェタミン検出用固定化抗原を形成するための薬
剤としては、メタンフェタミンのほか、一般式(I)
【化5】 で示されるアミン化合物を挙げることができる。
【0013】前記アミン化合物の具体例としては、下記
式(II)
【化6】 で示されるフェネチルアミン、下記式(III)
【化7】 で示されるN−メチルフェネチルアミン、下記式(IV)
【化8】 で示される3−フェニルプロピルアミン、下記式(V)
【化9】 で示される4−フェニルブチルアミンなどを挙げること
ができる。
【0014】前記支持蛋白質としては、ウシ血清アルブ
ミン、卵白アルブミン、笠貝(陣笠貝、すかし貝)ヘモ
シアニン、サイログロブリン、γ−グロブリン等を挙げ
ることができる。また、アミノブチル化もしくはカルボ
キシメチル化メタンフェタミンと支持蛋白質を結合させ
る架橋剤としては、グルタルアルデヒド、1−エチル−
3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、
ジメチルホルムアミド、マレイミドベンゾイルオキシサ
クシンイミド等が用いられる。メタンフェタミンをその
まま蛋白質に結合してもよいが、適当な試薬を用いてア
ミノアルキル化又はカルボキシアルキル化したのちに蛋
白質に結合するのが望ましい。
【0015】前記担体は、試験管やピペットのような容
器、またはスティックであることが好ましいが、それ以
外にも球体状、立方体状、針状など任意の形状のものが
使用でき、材質としては格別の制限はないが、蛋白質が
付着しやすい性質をもつものが適当で、合成樹脂(例え
ば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリエステルな
ど)、ゴム、ガラス、ニトロセルロースなどを挙げるこ
とができる。
【0016】前記抗体としては、モノクローナル抗体で
もポリクローナル抗体でもよいが、以下にモノクローナ
ル抗体の製造法について記述する。A〜Eの順序でモノ
クローナル抗体を調整し、ひきつづいて、酵素標識モノ
クローナル抗体を調整する。
【0017】〔モノクローナル抗体の製造について〕 A.免疫用抗原の調製 メタンフェタミンを蛋白質と結合させて複合体を得、こ
れを免疫用抗原とした。前記蛋白質としては、ウシ血清
アルブミン、卵白アルブミン、笠貝(陣笠貝、すかし
貝)ヘモシアニン、サイログロブリン、γ−グロブリン
等を挙げることができる。また、メタンフェタミンと蛋
白質を結合させる試薬としては、グルタルアルデヒド、
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド、ジメチルホルムアミド、マレイミドベンゾ
イルオキシサクシンイミド等が用いられる。メタンフェ
タミンをそのまま蛋白質に結合してもよいが、適当な試
薬を用いてアミノアルキル化又はカルボキシアルキル化
したのちに蛋白質に結合するのが望ましい。
【0018】B.リンパ細胞の調製 前記免疫用抗原を哺乳動物(例えば、マウス、ラット
等)に1週間おきに4〜12回、腹腔、皮下または直接
脾臓に投与し、抗原に対する抗体が十分生成しているの
を確認後、その動物の血液、リンパ節、脾臓等からリン
パ細胞を得る。この時、免疫賦活剤として、アジュバン
ド(ミョウバン、結核死菌、核酸等を含む)を抗原物質
とともにエマルジョンとして動物に投与することが好ま
しい。抗体の生成を確認する手段としては、免疫した動
物から静脈血を採取し、後述のハイブリドーマ細胞の選
択の項にある酵素免疫測定法を用いることにより判定す
る手段が挙げられる。
【0019】C.細胞融合とハイブリドーマ株の選択 細胞融合に用いたミエローマ細胞としては、例えばマウ
ス由来のP3−X63Ag8−U1株、SP2/0−A
g14株、P3−NS1/1−Ag4.1株、P3−X
63−Ag8.653株、P3−X63−Ag8株、M
PC−11株、ラット由来の210株、RCY3株、A
G1株、AG2株、AG3株、ヒト由来のSKO−00
7株、GH15006TG−A12株などを挙げること
ができる。細胞融合は、前述したような免疫された動物
のリンパ球とミエローマ細胞を約2:1〜10:1にな
るように混合し、これを遠心分離してリンパ球とミエロ
ーマ細胞の混合沈澱物を得、これにポリエチレングリコ
ールまたはセンダイウイルスを含む細胞培養用培地を加
え、懸濁することにより行なうことができるが、操作上
の点から、30%〜60%のポリエチレングリコールを
用いることが好ましい。ハイブリドーマ株の選択は、融
合後の細胞懸濁液を遠心して上清を除き、これにヒポキ
サンチン、アミノプテリン、チミジンと10%〜20%
のウシ胎児血清を含む細胞培養用培地に再懸濁して、こ
の懸濁液を培養用プレートに分注することにより行なう
ことができる。この操作により選択されたハイブリドー
マ細胞をさらにヒポキサンチン、チミジンと10%〜2
0%のウシ胎児血清を含む細胞培養用培地で培養し、最
終的には10%〜20%のウシ胎児血清を含む細胞培養
用培地で培養する。この間、増殖したハイブリドーマ細
胞は培地上清中に抗体を産生するため、酸素免疫測定
法、ラジオアイソトープ免疫測定法、プラーク測定法、
凝集反応法等を用いて目的の抗体の有無を調べることが
できるが、操作のしやすさから酵素免疫測定法を用いる
ことが望ましい。この酵素免疫測定法は以下のようにし
て行なうことができる。前記A.で調整した免疫用抗原
を酵素免疫測定法用96穴プレートの各ウェルに固定化
して、次にウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、笠貝
(陣笠貝、すかし貝)ヘモシアニン、スキムミルク、免
疫グロブリン等の生体高分子を各ウェルに固定化する。
これは次の操作中、ハイブリドーマ細胞の産生した抗体
がウェルに非特異的に吸着するのを防ぐためである。一
定時間静置した後、上清液を捨て洗浄液(リン酸緩衝液
と生理食塩水溶液の混合液、界面活性剤を含む場合もあ
る)で各ウェルを洗浄する。これに、ハイブリドーマ細
胞培養上清液を添加し一定時間静置する。同様に洗浄液
で各ウェルを洗浄し、次に酵素標識抗体、例えばマウス
を用いた場合には抗マウスIgG抗体をアルカリフォス
ファターゼや西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラク
トシダーゼ等の酵素で標識化したものを各ウェルに添加
し、一定時間静置する。洗浄液で各ウェルを洗浄し、次
に、用いた酵素に各々対応した基質溶液を添加し反応さ
せる。培養上清液中に目的とする抗体が存在していた場
合、酵素反応により生じた基質の色の変化を、肉眼か、
もしくは機械的に確認することができる。このようにし
て、目的とする抗体を産生しているハイブリドーマ細胞
を得ることができる。
【0020】D.ハイブリドーマ細胞のクローニング 前記C.で確認されたウェル中の細胞は、遺伝的に異な
るハイブリドーマ細胞の混合物である可能性があるた
め、クローニング操作により単一な遺伝子からなるハイ
ブリドーマ細胞群を得る必要がある。この方法には限界
希釈法、シングルセルマニュピュレーション法、軟寒天
上のコロニーを一つずつ拾い上げる方法などが挙げられ
るが、特別な装置を使わない点で限界希釈法を用いるこ
とが望ましい。この限界希釈法は以下のようにして行な
うことができる。上記ハイブリドーマ細胞を200個/
ml、50個/ml、10個/mlとなるように10〜
20%ウシ胎児血清を含む細胞培養用培地で調整し、各
々の調整液を細胞培養用96穴プレート上の3、45、
48ウェルに0.1mlずつ分注する。このプレートを
CO2インキュベータ中で培養し、一つのコロニーが一
つのハイブリドーマ細胞由来であることが確認されるよ
うなウェルを選択する。これらのウェルの上清液中に存
在するモノクローナル抗体がメタンフェタミンを認識す
るかどうかを、前記C.の酵素免疫測定法により再検討
する。このようにして、単一な遺伝子からなるハイブリ
ドーマ細胞群が得られたならば、この細胞から産生され
た抗体はモノクローナル抗体であるといえる。
【0021】E.モノクローナル抗体の調整 メタンフェタミンに対するモノクローナル抗体の調整に
は、前記D.で得たハイブリドーマ細胞をフラスコ内、
もしくは哺乳動物の腹腔内で培養することにより行なう
ことができる。ハイブリドーマ細胞のフラスコ内での培
養は、0〜20%のウシ胎児血清を含む細胞培養用培地
を用いて行う。この時、ハイブリドーマ細胞を最大限増
殖させ、その後遠心分離を行えば、分泌されたモノクロ
ーナル抗体が上清中に得られる。ハイブリドーマ細胞の
腹腔内での培養は、1×106〜10×106個の細胞
を、プリスタン等の鉱物油を投与した動物の腹腔内に注
入する。この時用いる動物種は、ハイブリドーマ細胞の
作成に用いたミエローマ細胞が増殖し易いように、由来
となっているミエローマ細胞と同種、同系の動物を用い
ることが望ましい。例えばマウスを用いた場合、この操
作により1〜2週間後から腹腔内にハイブリドーマ細胞
の増殖が認められ、それにともない腹腔内に腹水が蓄積
する。目的のモノクローナル抗体は腹水中に存在してい
るため腹腔より腹水を回収し、さらに、塩析、透析、イ
オン交換クロマトグラフィー、アフィニテイクロマトグ
ラフィー等の操作によりモノクローナル抗体を分離精製
することができる。
【0022】〔酵素標識モノクローナル抗体の調整につ
いて〕精製したモノクローナル抗体と任意の酵素と結合
して、酵素標識モノクローナル抗体を得ることができ
る。モノクローナル抗体と任意の酵素を結合させる試薬
としては、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジメチル
ホルムアミド、マレインイミドベンゾイルオキシサクシ
ンイミド等をあげることができる。この場合に用いるこ
とのできる緩衝液としてはリン酸、トリス塩酸、酢酸ナ
トリウム、炭酸ナトリウム等を用いることができ、pH
は中性付近が望ましい。モノクローナル抗体は、そのま
ま任意の酵素と結合させてもよいが、パパイン、ペプシ
ン、トシプシン等の蛋白質分解酵素を用いて修飾した後
に任意の酵素を結合することができる。任意の酵素とし
ては、つぎのものを挙げることができる。それを用いる
ときの基質および確認手段も併せて次に示す。
【0023】
【表1】 文献(1) Antibodies Volume II, D Catty 編.(I
RL PRESS) P97〜154 (2) 生物化学実験法27.酵素標識法、石川榮治著、
学会出版センターP5〜29
【0024】〔メタンフェタミンに特異的に反応するモ
ノクローナル抗体の検索方法について〕 (1)N−メチル−N−(4−アミノブチル)メタンフ
ェタミンの合成 メタンフェタミンを適当な蛋白質に結合させるために、
例えばChengらの方法〔FEBS LETTERS
36,339(1973)〕、Iwasakiらの方
法〔日法医誌41(3)、217−223,1987〕
に準じ、N−メチルフェネチルアミンにアミノ基の導入
を行った。400mgのメタンフェタミンを40mlの
脱水したエタノールに溶解し、2.3gのN−(4−ブ
ロモブチル)フタルイミドと0.9gの炭酸ナトリウム
を添加して、窒素ガスの存在下で80℃、40時間還流
した。次に、炭酸ナトリウムを濾過により除去し、等量
の1NHClを加え、更に等量のベンゼンで3回抽出し
た。水層に等量のクロロホルムを加え、3回抽出した。
得られたクロロホルム層を合し、脱水後、濃縮した。こ
の操作によりN−メチル−N−ブチルフタルイミドメタ
ンフェタミンが得られた。これに10mlのエタノール
と0.1mlの90%の抱水ヒドラジンを添加して窒素
ガス存在下で2時間80℃で反応させた。反応終了後、
エタノールを留去し1NHClを20ml添加した。こ
の水溶液を等量のクロロホルムを用いて3回抽出し、水
層に2N水酸化ナトリウムを滴下してpH10に調整し
た。この水溶液を等量のクロロホルムを用いて3回抽出
し、クロロホルム層を合し脱水後、濃縮した。このよう
にして、1.27gのN−メチル−N−(4−アミノブ
チル)メタンフェタミンを得た。また、マススペクトル
分析機、核磁気共鳴分析機を用いて、このN−メチル−
N−(4−アミノブチル)メタンフェタミンの構造を確
認した。
【0025】(2)N−メチル−N−(4−アミノブチ
ル)メタンフェタミン−ウシ血清アルブミン複合体の調
製 免疫用抗原の合成は上記のN−メチル−N−(4−アミ
ノブチル)メタンフェタミンを用いて行った。25mg
のN−メチル−N−(4−アミノブチル)メタンフェタ
ミンを1mlの脱イオン水に溶解後、50mgのウシ血
清アルブミンを1mlの生理食塩水を含むリン酸緩衝液
(pH7.4)に溶解して添加し、更に5mlの25%
グルタルアルデヒドを添加した。反応は室温で16時間
撹拌しながら行った。反応終了後、全反応液を生理食塩
水を含むリン酸緩衝液(pH7.4)に対して透析し、
未反応のグルタルアルデヒドとN−メチル−N−(4−
アミノブチル)メタンフェタミンを除き、N−メチル−
N−(4−アミノブチル)メタンフェタミン−ウシ血清
アルブミン複合体を得た。このN−メチル−N−(4−
アミノブチル)メタンフェタミン−ウシ血清アルブミン
複合体をマウスの免疫用抗原として用いた。
【0026】(3)メタンフェタミンに特異的に反応す
るモノクローナル抗体の検索 (1)で合成したN−メチル−N−(4−アミノブチ
ル)メタンフェタミン−ウシ血清アルブミン複合体を免
疫用抗原として、6ヶ月間に渡りマウスに接種した。定
法に従ってマウス脾臓細胞を取りだし、ミエローマ細胞
(SP2/0−Ag14株)と細胞融合してハイブリド
ーマ細胞を得た。クローニングを行った後、各細胞の培
養上清液を用いてメタンフェタミンに特異的に反応する
モノクローナル抗体の検索を行った。メタンフェタミン
に特異的に反応するモノクローナル抗体の検索は、ハイ
ブリドーマ株である4B2株、2C3株、8Cl株、D
6株、4F5株、9H11株、2H3株をそれぞれ用い
てメタンフェタミン、エフェドリン、メチルエフェドリ
ン等による競争阻害を指標として行った。競争阻害実験
は、免疫用抗原を固定化した96ウエルマイクロプレー
トの各ウエルに各抗体1種類とメタンフェタミン等の各
薬剤1種類(終濃度100μg/ml)を加えて30分
静置した後に、各ウエルを洗浄し、ウエルに残った抗体
の量を二次抗体(西洋ワサビパーオキシダーゼ標識抗マ
ウスイムノグロブリン)にて測定した。ウエルに残った
抗体量は、二次抗体による酵素反応生成物が発色してい
るので、415nmの吸光度として測定できる。415
nmの吸光度が高いほどウエル中に抗体が残っているこ
とを示し、メタンフェタミン等の薬剤の添加によって4
15nmの吸光度が低下すれば、そのウエルに加えた抗
体は添加した薬剤に対して反応していることを示すもの
である。それぞれの結果を図14〜図20に示した。な
お、図14〜図20中、 MAはメタンフェタミン EPはエフェドリン MEPはメチルエフェドリン DBEDはジベンジルエチレンジアミン BMAはベンジルメチルアミン MPAはN−メチルフェネチルアミン PEAはフェニルエチルアミン BAはベンジルアミン PAは2−フェネチルアミン TEAは2−(p−トルイル)エチルアミン の場合を示している。図14は、ハイブリドーマ株4B
2株由来のモノクローナル抗体を用いた場合の各種表示
試薬の反応選択性を、それぞれの反応液の415nm吸
光度の相対比較により示す。図15は、ハイブリドーマ
株2C3株由来のモノクローナル抗体を用いた場合の各
種表示試薬の反応選択性を、それぞれの反応液の415
nm吸光度の相対比較により示す。図16は、ハイブリ
ドーマ株8Cl株由来のモノクローナル抗体を用いた場
合の各種表示試薬の反応選択性を、それぞれの反応液の
415nm吸光度の相対比較により示す。図17は、ハ
イブリドーマ株D6株由来のモノクローナル抗体を用い
た場合の各種表示試薬の反応選択性を、それぞれの反応
液の415nm吸光度の相対比較により示す。図18
は、ハイブリドーマ株4F5株由来のモノクローナル抗
体を用いた場合の各種表示試薬の反応選択性を、それぞ
れの反応液の415nm吸光度の相対比較により示す。
図19は、ハイブリドーマ株9H11株由来のモノクロ
ーナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応選択性
を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対比較に
より示す。図20は、ハイブリドーマ株2H3株由来の
モノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応
選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対
比較により示す。その結果、メタンフェタミンでのみ強
く阻害される(吸光度の低い)抗体がハイブリドーマ細
胞8C1株の産生する抗体であることが確認できたの
で、モノクローナル抗体としてこれを選択した。
【0027】〔ハイブリドーマ細胞8C1株(微工研菌
寄第13148号、特願平5−251067号)の産生
するモノクローナル抗体の精製について〕メタンフェタ
ミンに特異的に反応するモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ細胞として、8C1株(微工研菌寄第1
3148号)を選抜した。8C1株の培養上清液400
mlに45%飽和になるように硫酸アンモニウムを加
え、抗体を含む蛋白質画分を不溶体として得た。150
00rpm、30分の遠心分離にて抗体を含む蛋白質画
分を培養上清液から分離した。抗体を含む蛋白質画分は
pH8のリン酸緩衝液に再溶解し、プロテインGをリガ
ンドとしたアフィニティークロマトに供した。一連の操
作によりモノクローナル抗体を26mg得た。
【0028】基質として尿素を使用した場合に用いるこ
とのpH指示薬(pH試験紙を含む)としては、ブロモ
クレゾールパープル、ブロモフェノールブルー、コンゴ
ーレッド、メチルオレンジ、レザズリン、メチルレッ
ド、クロロフェノールレッド、ヘマトキシリン(アルカ
リ性)、ブリリアントイエロー、ニュートラルレッド、
フェノールレッド、m−クレゾールレッド、m−クレゾ
ールレッドナトリウム塩、m−クレゾールパープル、チ
モールブルーなどを例示することができる。
【0029】メタンフェタミンまたは一般式(I)のア
ミン化合物−支持蛋白質複合体の担体への固定方法は、
つぎのようにして行うことができる。ポリスチレン、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレー
ト、スチレン等の合成樹脂は蛋白質を吸着するため、こ
れらを材質とする容器、またはスティック等の担体の表
面上に、前記メタンフェタミン−支持蛋白質複合体を効
率よく結合させることができる。この反応は室温、5〜
15分で終了するが、反応終了後、グルタールアルデヒ
ド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド、ジメチルホルムアミド、マレインイミ
ドベンゾイルオキシサクシンイミド等の架橋剤を用いる
ことにより、複合体あるいはモノクローナル抗体が担体
から剥離しないように、また、複合体がより多く担体に
吸着するように調整することもできる。
【0030】ウレアーゼ標識モノクローナル抗体を用い
たメタンフェタミンの検出方法の1例は、つぎのとおり
である。前記方法で調整したメタンフェタミン−支持蛋
白質複合体結合担体(以下、MA支持担体と略す)を、
1〜100μg/mlのウレアーゼ標識モノクローナル
抗体溶液と0.1〜2%の蛋白質、例えばウシ血清アル
ブミン(BSA)、笠貝ヘモシアニン(KLH)、卵白
アルブミン(OVA)等の生体高分子を含む緩衝液中に
て、尿を例えば水酸化ナトリウムやピプリジンのような
塩基性物質で処理したサンプルと反応させる。サンプル
中にメタンフェタミンが存在しなければ(陰性)ウレア
ーゼ標識モノクローナル抗体は抗原抗体反応によりメタ
ンフェタミン−支持担体に結合する。この担体を洗浄液
(リン酸、トリス塩酸緩衝液、0.01〜1%の界面活
性剤を含む場合もある)を用いて洗浄し、次に標識され
ているウレアーゼに対応する基質、すなわち尿素溶液中
で反応させ、その変化を発色の程度で肉眼あるいは分析
装置にて確認する。この反応において、サンプル中にメ
タンフェタミンが存在している(陽性)場合には、反応
溶液中のウレアーゼ標識モノクローナル抗体がメタンフ
ェタミンに結合してしまい、MA支持担体への結合が阻
害される。従って、基質の変換も阻害され、基質が十分
に変換する陰性の場合と比較して、陽性の場合のサンプ
ル中のメタンフェタミンの存在が確認できる。すなわ
ち、サンプル中にメタンフェタミンがなければ、ウレア
ーゼ標識モノクローナル抗体は、メタンフェタミン−支
持蛋白質複合体と反応し、その結果、尿素を分解してア
ンモニアを発生する。したがって、反応系のpHが上昇
するので、これをpH指示薬(pH試薬紙を含む)で検
知する。サンプル中にメタンフェタミンが存在する場合
には、メタンフェタミンが抗体と反応するため、坑体が
MA−支持担体に結合できず、したがって尿素のほとん
どを分解することができない。その結果、系のpHはほ
とんど上昇せず、pH指示薬の変色がおこらない。
【0031】容器の場合には、その内壁に、スティック
等の場合はその表面に前記複合体の層またはそれを含有
する層を形成することにより担持させる。
【0032】〔測定用簡易キットとその使用法〕 (1)担体として容器を使用する場合について 通常の容器を使用する場合について(図1、2参
照) 容器内壁にメタンフェタミンまたは前記一般式(I)の
アミン化合物−支持蛋白質(この支持蛋白質については
メタンフェタミンの支持蛋白質についての説明と同じで
ある)との複合体及び支持蛋白質よりなる組成物を付着
させる。好ましくは、ポリスチレン製試験管に塗着させ
る。一方、本発明の酵素標識抗体、好ましくはウレアー
ゼ標識モノクローナル抗体を用意する。測定用簡易キッ
トは、少なくとも、前記メタンフェタミンまたは一般式
(I)のアミン化合物−支持体複合体を容器内壁に塗着
した試験用容器、酵素標識抗体液、好ましくはウレアー
ゼ標識モノクローナル抗体液含有容器、基質溶液、好ま
しくは尿素とpH指示薬を含む基質溶液含有容器および
塩基性物質またはその溶液含有容器とを含む。
【0033】好ましい測定用簡易キットとしては、 1、メタンフェタミンまたは一般式(I)のアミン化合
物−支持蛋白質複合体含有層で内壁がコーティングされ
ている試験管(1〜5ml、とくに2〜3ml) 2、酵素標識抗体液、好ましくはウレアーゼ標識モノク
ローナル抗体液含有容器 3、基質溶液、好ましくは尿素溶液含有容器 4、塩基性物質またはその水溶液含有容器 5、洗浄液含有洗浄びん 6、定量用スポイト(0.1〜0.5ml、とくに0.
2〜0.3ml) 7、採尿用カップ よりなる。
【0034】覚醒剤使用容疑者から採取した尿を適量の
塩基性物質による前処理を行った後、この処理済の尿と
ウレアーゼ標識モノクローナル抗体液とを前記試験用容
器にいれ、7〜10分間反応させる(図1参照)。反応
終了後、内溶液を捨て洗浄液で充分洗浄して未反応のウ
レアーゼ標識モノクローナル抗体を除去する。ついで、
アンモニア検知用の溶液、例えばpH指示薬と尿素含有
液を加えて反応させる。pH指示薬としてブロモクレゾ
ールパープルを用いた場合には約1分後に陽性(メタン
フェタミン含有)の場合には、初めの黄色のまま変化せ
ず、陰性の場合には紫色に変化する(図2参照)。な
お、発色を固定したい場合には例えば1%チメロザール
溶液を加えることができる。
【0035】 担体として吸引可能な容器を使用する
場合について(図3、4参照) 図3、4に示すような吸引可能な容器内壁にメタンフェ
タミンまたは一般式(I)のアミン化合物−支持蛋白質
(この支持蛋白質については、メタンフェタミンの支持
蛋白質についての説明と同じである)との複合体および
支持蛋白質よりなる組成物を塗着させる。好ましくは、
ポリスチレン製のピペット型容器の内壁に塗着させる。
一方、本発明の酵素標識抗体(例えば、ウレアーゼ標識
モノクローナル抗体)を用意する。測定用簡易キット
は、少なくとも、前記メタンフェタミンまたは一般式
(I)のアミン化合物−支持蛋白質複合体をその内壁に
塗着したピペット様容器、酵素標識抗体液、好ましくは
ウレアーゼ標識モノクローナル抗体液含有容器および塩
基性物質またはその溶液含有容器を含む。
【0036】好ましい測定用簡易キットとしては、 1、メタンフェタミンまたは一般式(I)のアミン化合
物−支持蛋白質複合体含有層で内壁がコーティングされ
ているピペット型容器 2、酵素標識抗体液、好ましくはウレアーゼ標識モノク
ローナル抗体液含有容器 3、基質溶液、好ましくは尿素溶液含有容器 4、塩基性物質またはその水溶液含有容器 5、洗浄液含有洗浄びん 6、定量用スポイト 7、採尿用カップ よりなる。
【0037】覚醒剤使用容疑者から採取した尿を適量の
塩基性物質による前処理を行った後、この処理済の尿と
酵素標識抗体液とを前記ピペット型容器を注射器などに
接続して吸引、注入し、7〜10分間反応させる(図3
参照)。反応終了後、内溶液を捨て洗浄液で充分洗浄し
て未反応の酵素標識モノクローナル抗体を除去する。つ
いで、アンモニア検知用の溶液、例えば、pH指示薬と
尿素含有溶液を加えて反応させる。pH指示薬としてブ
ロモクレゾールパープルを用いた場合には約1分後に、
陽性(メタンフェタミン含有)の場合は初めの黄色のま
ま変化せず、陰性の場合には紫色に変化する(図4参
照)。なお、発色を固定したい場合には例えば1%チメ
ロザール溶液を加えることができる。
【0038】(2)担体としてスティックを使用する場
合(図5〜6参照) スティック例えばポリスチレン製スティックに、メタン
フェタミンまたは一般式(I)のアミン化合物−支持蛋
白質複合体および支持蛋白質よりなる組成物を塗着し、
測定用スティックとする。一方、本発明酵素標識抗体、
好ましくはのウレアーゼ標識モノクローナル抗体を用意
する。測定用簡易キットは、少なくとも、前記メタンフ
ェタミンまたは一般式(I)のアミン化合物−支持体複
合体を容器内壁に塗着した測定用スティック、本発明の
酵素標識抗体液、好ましくはウレアーゼ標識モノクロー
ナル抗体液を含有する容器、基質溶液、好ましくは尿素
とpH指示薬を含む基質溶液含有容器および塩基性物質
またはその溶液含有容器を含む。好ましい測定用簡易キ
ットとしては、 1、メタンフェタミンまたは一般式(I)のアミン化合
物−支持蛋白質複合体含有層を持つスティック 2、酵素標識抗体液、好ましくはウレアーゼ標識モノク
ローナル抗体液含有容器 3、基質溶液、好ましくは尿素溶液含有容器 4、塩基性物質またはその水溶液含有容器 5、洗浄用試験管 6、定量用スポイト 7、採尿用カップ よりなる。
【0039】覚醒剤使用容疑者から採取した尿を適量の
塩基性物質による前処理を行った後、この処理済の尿と
酵素標識抗体液とを任意の試験用容器、例えば、試験管
に入れ、ここへ前記スティックを浸す。浸漬時間は7〜
10分間で充分反応する(図5〜6参照)。反応終了
後、洗浄液を含む試験管内に前記スティックを浸漬して
洗浄する。この洗浄方法を1〜4回繰り返す。ついで、
別途、尿素溶液を試験管に入れ、この中に前記洗浄ずみ
のスティックを浸漬処理する。前記浸漬処理約1分間で
試験管内の溶液は陽性の場合は黄色のまま、陰性の場合
は紫色に変化する(図6参照)。なお、発色を固定した
い場合には、たとえば1%チメロザール溶液を加えるこ
とができる。
【0040】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて詳細に説明
する。なお、これらの実施例は本発明を例示するための
ものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】実施例1 A.メタンフェタミンに特異的に反応するモノクローナ
ル抗体の調製 本発明者等の発明にかかる特開平6−261784号公
報の記載に従ってメタンフェタミンに特異的に反応する
モノクローナル抗体の調製を行った。メタンフェタミン
に特異的に反応するモノクローナル抗体を生産するハイ
ブリドーマ細胞として、8C1株(寄託番号FERM
P−13148)を前記〔0024〕〜〔0027〕の
方法に従って選抜した。8C1株の培養上清液400m
lに45%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、
抗体を含む蛋白質画分を不溶体として得た。15000
rpm、30分の遠心分離にて抗体を含む蛋白質画分を
培養上清液から分離した。抗体を含む蛋白質画分はpH
8のリン酸緩衝液に再溶解し、プロテインGをリガンド
としたアフィニティークロマトに供した。一連の操作に
よりモノクローナル抗体を26mg得た。
【0042】B.抗体−ウレアーゼ複合体の調製 前項Aで調製したモノクローナル抗体2.5mgと市販
のウレアーゼ22.5mgを蒸留水に溶解し、全量を1
0mlとした。これにグルタールアルデヒドを終濃度
0.2mgになるように添加し、30℃で4時間反応さ
せた。反応終了後、4℃、一晩の透析によって未反応の
グルタールアルデヒドを反応液より除いて、抗体−ウレ
アーゼ複合体を調製した。
【0043】C.固定化用抗原の調製 (1)N−メチル−N−(4−アミノブチル)フェネチ
ルアミンの合成 N−メチルフェネチルアミンを適当な蛋白質に結合させ
るために、例えばChengらの方法〔FEBS LE
TTERS 36,339(1973)〕、Iwasa
kiらの方法〔日法医誌41(3)、217(198
7)〕に準じ、N−メチルフェネチルアミンにアミノ基
の導入を行った。1.4gのN−メチルフェネチルアミ
ンを50mlのテトラヒドロフランに溶解し、2.8g
のN−(4−ブロモブチル)フタルイミドと0.4gの
炭酸ナトリウムを添加して、窒素ガス存在下で80℃、
12時間還流した。次に、沈殿物を濾過により除去し、
濾液のテトラヒドロフランを減圧下で除去した。残渣に
50mlのクロロホルムを加え1MのHClを10ml
加え、2回洗浄した。クロロホルムを減圧で除去し、一
連の操作により、N−メチル−N−ブチルフタルイミド
−フェネチルアミンが得られた。これに50mlのエタ
ノールと80μlの90%の抱水ヒドラジンを添加し
て、12時間還流させた。反応終了後、エタノールを留
去し1Nの塩酸を20ml添加した。沈殿物を濾過によ
り除去し、濾液を2Nの水酸化ナトリウムにてpH10
に調整した。この水溶液を等量のクロロホルムを用いて
3回抽出し、クロロホルム層を合し脱水後、濃縮した。
このようにして、500mgのN−メチル−N−(4−
アミノブチル)フェネチルアミンを得た。また、マスス
ペクトル、核磁気共鳴分析機を用いて、このN−メチル
−N−(4−アミノブチル)フェネチルアミンの構造を
確認した。
【0044】(2)N−メチル−N−(4−アミノブチ
ル)フェネチルアミン−ウシ血清アルブミン複合体の調
製 固定化用抗原の合成は上記のN−メチル−N−(4−ア
ミノブチル)フェネチルアミンを用いて行った。6mg
のN−メチル−N−(4−アミノブチル)フェネチルア
ミンを1mlの脱イオン水に溶解後、6mgのウシ血清
アルブミンを添加し、更に20mgの1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを添加
し、HClにて反応液のpHを8に合わせた。反応は室
温で16時間撹拌しながら行った。反応終了後、全反応
液を生理食塩水を含むリン酸緩衝液(pH7.4)に対
して透析し、未反応の1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミドとN−メチル−N−
(4−アミノブチル)フェネチルアミンを除き、N−メ
チル−N−(4−アミノブチル)フェネチルアミン−ウ
シ血清アルブミン複合体を得た。このN−メチル−N−
(4−アミノブチル)フェネチルアミン−ウシ血清アル
ブミン複合体を免疫測定法の固定化用抗原として用い
た。
【0045】D.プラスチック製スティックを用いた抗
原スティックの調製 プラスチック製スティックの表面に固定化用抗原として
前項C(2)で作成したN−メチル−N−(4−アミノ
ブチル)フェネチルアミン−ウシ血清アルブミン複合体
を吸着させて、抗原スティックを作成した。このN−メ
チル−N−(4−アミノブチル)フェネチルアミン−ウ
シ血清アルブミン複合体を蛋白質として10μg/ml
になるように生理食塩水を含むリン酸緩衝液(pH7.
4)で調製し、これにプラスチック製スティックを浸漬
して4℃で一晩静置した。ついで、これを蛋白質の非特
異的吸着を防ぐために、20μg/mlスキムミルクの
生理食塩水を含むリン酸緩衝液(pH7.4)に浸漬し
て4℃で一晩静置した。こうして作成した抗原スティッ
クを用いて尿中のメタンフェタミンを検出する実験を行
った。
【0046】E.水酸化ナトリウムによる尿の前処理効
果 前項Bで合成した抗体−ウレアーゼ複合体と前項Dで作
成した抗原スティックを用いて、健常人の尿を1人につ
き1mlずつ2検体採取し、1検体にメタンフェタミン
を終濃度1μg/mlになるように添加した。このよう
に調整したメタンフェタミン添加尿と無添加尿を比べる
ことにより、尿中のメタンフェタミンを検出する実験を
行った。このメタンフェタミンを含有する尿検体とメタ
ンフェタミンを含まない尿検体に、それぞれ尿1ml当
り20μl(マイクロリットル)の2M−水酸化ナトリ
ウム水溶液を添加して前処理を行った。一方、透析終了
後の抗体−ウレアーゼ複合体を75分の1の濃度に0.
1%のウシ血清アルブミンと生理食塩水を含むリン酸緩
衝液で希釈した溶液を、それぞれのビーカーに用意し、
これに前記前処理を行ったメタンフェタミン添加尿ある
いは無添加尿を4分の1量添加し、さらに抗原スティッ
クを浸漬して5分間静置した。抗原スティックは蒸留水
で洗浄し、尿素とブロモクレゾールパープルを含む発色
液に浸漬して抗原スティックに結合した抗体−ウレアー
ゼ複合体のウレアーゼの活性を測定した。メタンフェタ
ミン無添加尿を用いた場合は、抗体−ウレアーゼ複合体
は抗原スティック上の抗原と結合して抗原スティック上
に残る。抗原スティック上に残った抗体−ウレアーゼ複
合体のウレアーゼは発色液中の尿素を分解してアンモニ
アを生成する。これにより発色液のpHが上昇し、発色
液はブロモクレゾールパープルによって黄色から紫色に
変化する。これに対して、メタンフェタミン添加尿を用
いた場合は、抗原スティック上の抗原と尿中のメタンフ
ェタミンが競合してともに抗体−ウレアーゼ複合体と結
合する。このため抗原スティック上の抗原と結合する抗
体−ウレアーゼ複合体は減少するので、抗原スティック
上に残るウレアーゼの活性は低くなり、発色液は黄色な
いしはあまり変色しない。従って、発色液の色の変化が
ない場合には、尿検体中にメタンフェタミンが存在する
ことを、発色液の色が黄色から紫色に変化した場合に
は、尿検体中にメタンフェタミンが存在しないことを示
す。最初に尿の前処理を行わずに尿中のメタンフェタミ
ンを検出する実験を行った。結果を図8に示す。発色液
の色の変化を肉眼的に観察する場合、595nmにおけ
る吸光度で0.25から0.3が域値となる。この域値
以下の場合は黄色(変化なし)と見なされて、尿中にメ
タンフェタミンが存在すると判断され、域値以上の場合
は紫色(変化有り)と見なされて、尿中にメタンフェタ
ミンが存在しないと判断される。図8の結果では、10
検体中3検体においてメタンフェタミン添加尿でも域値
以上の発色が観察され、尿中にメタンフェタミンが存在
しないと誤判断された。次に、2Mの水酸化ナトリウム
20μlを尿1mlに添加し、水酸化ナトリウムによる
尿の前処理効果を検討した。結果を図7に示す。図7の
結果では、水酸化ナトリウムによる前処理を行った10
検体全てにおいて、メタンフェタミン添加尿で域値以下
の発色が観察され、尿中にメタンフェタミンが存在する
と正しく判断された。以上の実験により、水酸化ナトリ
ウムによる尿の前処理効果が明らかになった。
【0047】実施例2(ピプリジンによる尿の前処理効
果) 前項Bで合成した抗体−ウレアーゼ複合体と前項Dで作
成した抗原スティックを用いて、健常人の尿を1人につ
き1mlずつ2検体採取し、1検体にメタンフェタミン
を終濃度4μg/mlになるように添加した。メタンフ
ェタミン添加尿と無添加尿を比べることにより、尿中の
メタンフェタミンを検出する実験を行った。このメタン
フェタミンを含有する尿検体とメタンフェタミンを含ま
ない尿検体に、それぞれ尿1ml当り20μl(マイク
ロリットル)の2M−ピプリジン水溶液を添加して前処
理を行った。一方、透析終了後の抗体−ウレアーゼ複合
体を75分の1の濃度に水で希釈した溶液を、それぞれ
のビーカーに用意し、これに前記前処理を行ったメタン
フェタミン添加尿あるいは無添加尿を4分の1量添加
し、さらに抗原スティックを浸漬して5分間静置した。
抗原スティックは蒸留水で洗浄し、尿素とブロモクレゾ
ールパープルを含む発色液に浸漬して抗原スティックに
結合した抗体−ウレアーゼ複合体のウレアーゼの活性を
測定した。メタンフェタミン無添加尿を用いた場合は、
抗体−ウレアーゼ複合体は抗原スティック上の抗原と結
合して抗原スティック上に残る。抗原スティック上に残
った抗体−ウレアーゼ複合体のウレアーゼは発色液中の
尿素を分解してアンモニアを生成する。これにより発色
液のpHが上昇し、発色液はブロモクレゾールパープル
によって黄色から紫色に変化する。これに対して、メタ
ンフェタミン添加尿を用いた場合は、抗原スティック上
の抗原と尿中のメタンフェタミンが競合してともに抗体
−ウレアーゼ複合体と結合する。このため抗原スティッ
ク上の抗原と結合する抗体−ウレアーゼ複合体は減少す
るので、抗原スティック上に残るウレアーゼの活性は低
くなり、発色液は黄色ないしはあまり変色しない。従っ
て、発色液の色の変化がない場合には、尿検体中にメタ
ンフェタミンが存在することを、発色液の色が黄色から
紫色に変化した場合には、尿検体中にメタンフェタミン
が存在しないことを示す。最初に尿の前処理を行わずに
尿中のメタンフェタミンを検出する実験を行った。結果
を図11に示す。発色液の色の変化を肉眼的に観察する
場合、595nmにおける吸光度で0.25から0.3
が域値となる。この域値以下の場合は黄色(変化なし)
と見なされて、尿中にメタンフェタミンが存在すると判
断され、域値以上の場合は紫色(変化有り)と見なされ
て、尿中にメタンフェタミンが存在しないと判断され
る。図11の結果では、5検体全てにおいてメタンフェ
タミン添加尿でも域値以上の発色が観察され、尿中にメ
タンフェタミンが存在しないと誤判断された。次に、2
Mのピプリジン及び水酸化ナトリウム各々20μlずつ
を尿1mlに添加し、ピプリジンによる尿の前処理効果
を水酸化ナトリウムと比較検討した。結果を図9および
図10に示す。図9の結果では、ピプリジンによる前処
理を行った5検体全てにおいて、メタンフェタミン添加
尿で域値以下の発色が観察され、尿中にメタンフェタミ
ンが存在すると正しく判断された。また、図10に示す
ように、水酸化ナトリウムによる前処理を行った5検体
全てにおいても、メタンフェタミン添加尿で域値以下の
発色が観察され、尿中にメタンフェタミンが存在すると
正しく判断された。以上の実験により、ピプリジンを用
いても水酸化ナトリウムと同様の尿の前処理効果が得ら
れることが明らかになった。
【0048】実施例3(水酸化カリウムによる尿の前処
理効果) 実施例1と同様にして水酸化カリウムによる尿の前処理
効果を水酸化ナトリウムと比較検討した。実施例1のB
で合成した抗体−ウレアーゼ複合体と実施例1のDで作
成した抗原スティックを用いて、健常人の尿を1人につ
き1mlずつ2検体採取し、1検体にメタンフェタミン
を終濃度1μg/mlになるように添加した。メタンフ
ェタミン添加尿と無添加尿を比べることにより、尿中の
メタンフェタミンを検出する実験を行った。透析終了後
の抗体−ウレアーゼ複合体を75分の1に希釈し、これ
にメタンフェタミン添加尿あるいは無添加尿を4分の1
量添加し、さらに抗原スティックを浸漬して5分間静置
した。抗原スティックは蒸留水で洗浄し、尿素とブロモ
クレゾールパープルを含む発色液に浸漬して抗原スティ
ックに結合した抗体−ウレアーゼ複合体のウレアーゼの
活性を測定した。メタンフェタミン無添加尿を用いた場
合は、抗体−ウレアーゼ複合体は抗原スティック上の抗
原と結合し、抗原スティック上に残る。抗原スティック
上に残った抗体−ウレアーゼ複合体のウレアーゼは発色
液中の尿素を分解してアンモニアを生成する。これによ
り発色液のpHが上昇し、発色液はpH指示薬であるブ
ロモクレゾールパープルによって黄色から紫色に変化す
る。これに対して、メタンフェタミン添加尿を用いた場
合は、抗原スティック上の抗原と尿中のメタンフェタミ
ンが競合してともに抗体−ウレアーゼ複合体と結合す
る。このため抗原スティック上の抗原と結合する抗体−
ウレアーゼ複合体は減少するので、抗原スティック上に
残るウレアーゼの活性は低くなり、発色液は黄色からあ
まり変化しない。従って、発色液の色の変化が無い場合
には、尿検体中にメタンフェタミンが存在することを、
発色液の色の変化が黄色から紫色に変化した場合には、
尿検体中にメタンフェタミンが存在しないことを示す。
最初に尿の前処理を行わずに尿中のメタンフェタミンを
検出する実験を行った。結果を図13に示す。発色液の
色の変化を肉眼的に観察する場合、595nmにおける
吸光度で0.25から0.3が域値となる。この域値以
下の場合は黄色(変化なし)と見なされて、尿中にメタ
ンフェタミンが存在すると判断され、域値以上の場合は
紫色(変化有り)と見なされて、尿中にメタンフェタミ
ンが存在しないと判断される。図13の結果では、3検
体(尿サンプルNo.5、6、7)においてメタンフェ
タミン無添加尿で域値以下の発色が観察され、尿中にメ
タンフェタミンが存在すると誤判断された。次に、0.
75Mの水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム各々2
0μlずつを尿1mlに添加し、水酸化カリウムによる
尿の前処理効果を水酸化ナトリウムと比較検討した。結
果を図12および図10に示す。図12の結果では図1
3において尿中にメタンフェタミンが存在すると誤判断
された3検体(尿サンプルNo.5、6、7)を含めて
水酸化カリウムによる前処理を行った7検体全てにおい
て、メタンフェタミン添加尿で域値以下の発色が観察さ
れ(尿中にメタンフェタミンが存在する)、またはメタ
ンフェタミン無添加尿で域値以上の発色が観察され(尿
中にメタンフェタミンが存在しない)、いずれも正しく
判断された。また、水酸化ナトリウムによる前処理を行
った場合においても、図10に示すようにメタンフェタ
ミン添加尿で域値以下の発色が観察され(尿中にメタン
フェタミンが存在する)、またメタンフェタミン無添加
尿で域値以上の発色が観察され(尿中にメタンフェタミ
ンが存在しない)、いずれも正しく判断された。以上の
実験より、水酸化カリウムを用いても水酸化ナトリウム
と同様の尿の前処理効果が得られることが明らかとなっ
た。
【0049】比較例1 実施例1のような前処理を行わないで、前記2種の尿検
体を前記抗体−ウレアーゼ複合体水溶液中に4分の1量
添加し、同様の発色試験を行った。その結果を図8に示
す。図7と図8を対比すれば、本発明の効果は明白であ
る。
【0050】本発明の実施態様を以下に示す。 1.尿中の被検出物を抗原抗体反応を利用して検出する
に当り、抗原抗体反応を行わせる前に、塩基性物質を尿
中に添加することを特徴とする尿中の被検出物質の検出
方法。 2.前記塩基性物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、アンモニア、ピプリジン、ピペラジンおよびモル
フォリンよりなる群から選らばれたものである前項1記
載の尿中の被検出物質の検出方法。 3.(a)尿に塩基性物質を添加して検体を作成する、
(b)一方、メタンフェタミンおよび下記一般式(I)
【化10】 (ただし、nは0、1、2、3または4の整数であり、
Rは水素又はアルキル基である)で表わされるアミン化
合物よりなる群から選ばれた化合物と蛋白質との複合体
よりなるメタンフェタミン検出用固定化抗原を担持させ
た担体を用意する、(c)メタンフェタミンに対して特
異的な免疫反応を示す抗体を酵素で標識化することによ
り得られた酵素標識抗体の溶液を用意する、(d)前記
(a)、(b)、(c)の共存下に検体中のメタンフェ
タミンとウレアーゼ標識モノクローナル抗体との競合反
応を行い、前記(b)の担体に結合したウレアーゼ標識
モノクローナル抗体に尿素を反応させる、ことを特徴と
する尿中のメタンフェタミンの検出方法。 4.(a)尿に塩基性物質を添加して検体を作成する (b)一方、メタンフェタミンと支持蛋白質との複合体
を担持させた担体を用意する (c)メタンフェタミンに対して特異的な免疫反応を示
すモノクローナル抗体をウレアーゼで標識化することに
より得られたウレアーゼ標識モノクローナル抗体の溶液
を用意する (d)前記(a)、(b)、(c)の共存下に検体中の
メタンフェタミンとウレアーゼ標識モノクローナル抗体
との競合反応を行い、前記(b)の担体に結合したウレ
アーゼ標識モノクローナル抗体に尿素を反応させ、 (e)生成したアンモニア成分を検出する ことを特徴とする尿中のメタンフェタミンの検出方法。 5.前記塩基性物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、アンモニア、ピプリジン、ピペラジンおよびモル
フォリンよりなる群から選らばれたものである前項4記
載の尿中のメタンフェタミンの検出方法。 6.前記一般式(I)で表わされるアミン化合物が、下
記式(II)
【化11】 で示されるフェネチルアミン、下記式(III)
【化12】 で示されるN−メチルフェネチルアミン、下記式(IV)
【化13】 で示される3−フェニルプロピルアミン、下記式(V)
【化14】 で示される4−フェニルブチルアミンである前項3、4
または5記載の尿中のメタンフェタミンの検出方法。 7.(i)メタンフェタミンに対して特異的な免疫反応
を示す抗体を酵素で標識化することにより得られた酵素
標識抗体含有容器、(ii)メタンフェタミンおよび下記
一般式(I)
【化15】 (ただし、nは0、1、2、3または4の整数であり、
Rは水素又はアルキル基である)で表わされるアミン化
合物よりなる群から選ばれた化合物と蛋白質との複合体
よりなるメタンフェタミン検出用固定化抗原を担持した
担体、(iii)基質溶液含有容器、(iv)塩基性物質また
はその溶液含有容器、を含有する携帯可能なメタンフェ
タミン検出用キット。 8.(i)メタンフェタミンに対して特異的な免疫反応
を示すモノクローナル抗体をウレアーゼで標識化するこ
とにより得られたウレアーゼ標識モノクローナル抗体含
有容器、(ii)メタンフェタミンおよび一般式(I)で
表わされるアミン化合物よりなる群から選ばれた化合物
と支持蛋白質との複合体を担持した担体、(iii)尿素と
pH指示薬を含む基質溶液含有容器、または尿素を含む
基質溶液含有容器とpH指示薬含有容器、(iv)塩基性
物質またはその溶液含有容器を含有する携帯可能なメタ
ンフェタミン検出用キット。 9.前記(ii)がメタンフェタミンおよび一般式(I)
で表わされるアミン化合物よりなる群から選ばれた化合
物−支持蛋白質との複合体含有層で内壁がコーティング
されている試験管である前項7または8記載の携帯可能
なメタンフェタミン検出用キット。 10.前記(ii)がメタンフェタミンおよび一般式
(I)で表わされるアミン化合物よりなる群から選ばれ
た化合物−支持蛋白質との複合体含有層で内壁がコーテ
ィングされているピペット型容器である前項7または8
記載の携帯可能なメタンフェタミン検出用キット。 11.前記(ii)がメタンフェタミンおよび一般式
(I)で表わされるアミン化合物よりなる群から選ばれ
た化合物−支持蛋白質との複合体含有層で内壁がコーテ
ィングされているスティックである前項7または8記載
の携帯可能なメタンフェタミン検出用キット。
【0051】
【効果】本発明により、尿に対する抽出操作などを行う
ことなく、尿中の反応阻害物の影響を排除することがで
きる。尿中の被検出物質あるいは反応阻害物質の抽出工
程を必要としないので、検出コストが安く、検出操作が
簡単である。本発明により、抗原と抗体との反応性が向
上するので、検出精度が高く、作業性もよく装置も簡単
ですむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメタンフェタミン測定用簡易キットの
1使用態様を示す図面であり、図1と図2により、その
使用手順の全体を示すものである。
【図2】図1の使用手順の続きを示す。
【図3】本発明のメタンフェタミン測定用簡易キットの
他の使用態様を示す図面であり、図3と図4により、そ
の使用手順の全体を示すものである。
【図4】図3の使用手順の続きを示す。
【図5】本発明のメタンフェタミン測定用簡易キットの
もう1つの使用態様を示す図面であり、図5と図6によ
り、その使用手順の全体を示すものである。
【図6】図5の使用手順の続きを示す。
【図7】実施例1の尿を水酸化ナトリウムで前処理を行
った場合、尿中にメタンフェタミンが含まれている場合
と含まれていない場合の吸光度の差を示す。
【図8】尿を前処理しない場合の実施例1の尿中にメタ
ンフェタミンが含まれている場合と含まれていない場合
の吸光度の差を示す。
【図9】実施例2の尿をピプリジンで前処理を行った場
合、尿中にメタンフェタミンが含まれている場合と含ま
れていない場合の吸光度の差を示す。
【図10】実施例2、3の尿を水酸化ナトリウムで前処
理を行った場合、尿中にメタンフェタミンが含まれてい
る場合と含まれていない場合の吸光度の差を示す。
【図11】尿を前処理しない場合の実施例2の尿中にメ
タンフェタミンが含まれている場合と含まれていない場
合の吸光度の差を示す。
【図12】実施例3の尿を水酸化カリウムで前処理を行
った場合、尿中にメタンフェタミンが含まれている場合
と含まれていない場合の吸光度の差を示す。
【図13】尿を前処理しない場合の実施例3の尿中にメ
タンフェタミンが含まれている場合と含まれていない場
合の吸光度の差を示す。
【図14】図14は、ハイブリドーマ株4B2株由来の
モノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応
選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対
比較により示す。
【図15】図15は、ハイブリドーマ株2C3株由来の
モノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応
選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対
比較により示す。
【図16】図16は、ハイブリドーマ株8Cl株由来の
モノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応
選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対
比較により示す。
【図17】図17は、ハイブリドーマ株D6株由来のモ
ノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応選
択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対比
較により示す。
【図18】図18は、ハイブリドーマ株4F5株由来の
モノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応
選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対
比較により示す。
【図19】図19は、ハイブリドーマ株9H11株由来
のモノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反
応選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相
対比較により示す。
【図20】図20は、ハイブリドーマ株2H3株由来の
モノクローナル抗体を用いた場合の各種表示試薬の反応
選択性を、それぞれの反応液の415nm吸光度の相対
比較により示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 尿中の被検出物を抗原抗体反応を利用し
    て検出するに当り、抗原抗体反応を行わせる前に、塩基
    性物質を尿中に添加することを特徴とする尿中の被検出
    物質の検出方法。
  2. 【請求項2】 前記塩基性物質が水酸化ナトリウム、水
    酸化カリウム、アンモニア、ピプリジン、ピペラジンお
    よびモルフォリンよりなる群から選らばれたものである
    尿中の被検出物質の検出方法。
  3. 【請求項3】 (a)尿に塩基性物質を添加して検体を
    作成する、 (b)一方、メタンフェタミンおよび下記一般式(I) 【化1】 (ただし、nは0、1、2、3または4の整数であり、
    Rは水素又はアルキル基である)で表わされるアミン化
    合物よりなる群から選ばれた化合物と蛋白質との複合体
    よりなるメタンフェタミン検出用固定化抗原を担持させ
    た担体を用意する、 (c)メタンフェタミンに対して特異的な免疫反応を示
    す抗体を酵素で標識化することにより得られた酵素標識
    抗体の溶液を用意する、 (d)前記(a)、(b)、(c)の共存下に検体中の
    メタンフェタミンとウレアーゼ標識モノクローナル抗体
    との競合反応を行い、前記(b)の担体に結合したウレ
    アーゼ標識モノクローナル抗体に尿素を反応させる、 ことを特徴とする尿中のメタンフェタミンの検出方法。
  4. 【請求項4】 (i)メタンフェタミンに対して特異的
    な免疫反応を示す抗体を酵素で標識化することにより得
    られた酵素標識抗体含有容器、 (ii)メタンフェタミンおよび下記一般式(I) 【化2】 (ただし、nは0、1、2、3または4の整数であり、
    Rは水素又はアルキル基である)で表わされるアミン化
    合物よりなる群から選ばれた化合物と蛋白質との複合体
    よりなるメタンフェタミン検出用固定化抗原を担持した
    担体、 (iii)基質溶液含有容器、 (iv)塩基性物質またはその溶液含有容器、 を含有する携帯可能なメタンフェタミン検出用キット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000007021A1 (fr) * 1998-07-31 2000-02-10 Mitsubishi Chemical Corporation Procede d'analyse d'un composant physiologiquement actif
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CN115530155A (zh) * 2021-06-29 2022-12-30 成都理想之光科技有限公司 一种24小时尿液样本保存剂、制备方法及应用

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