JP2000051345A - 分子量の異なる複数のポリグリコ―ルを含有するポリウレタン樹脂からなる留置カテ―テル - Google Patents
分子量の異なる複数のポリグリコ―ルを含有するポリウレタン樹脂からなる留置カテ―テルInfo
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Abstract
の剛性と血中留置後の柔軟性を有するとともに、留置操
作に最適な弾性率の低下挙動を示し、かつ耐キンク性に
優れた留置カテーテルを提供する。 【解決手段】 分子量の異なる複数のポリグリコールを
含有するポリウレタン樹脂からなり、25℃の乾燥状態
での動的貯蔵弾性率が1GPa以上であり、25℃の乾
燥状態から37℃の湿潤状態にして時間tが経過したと
きの動的貯蔵弾性率の低下率が、20秒経過時に60%
未満であり、1分経過時に60%以上である留置カテー
テル。
Description
関し、特に体内への輸液・薬液の注入や輸血、血液の採
取及び血行動態のモニター等の目的で血管内に留置して
使用する留置カテーテルに関する。
管に留置可能なプラスチック等で形成されたカテーテル
であり、これを血管内に留置した状態で輸液バッグ等の
輸液や薬液が収納された容器から延出したチューブを接
続して使用するものである。この留置針には、金属等で
形成された尖端を有する内針が挿通されて一体に構成さ
れたものもある。このタイプの留置針は、内針とともに
カテーテルを血管内に穿刺した後、内針を留置針から抜
去してから上述のものと同様にして使用する。
・薬液の注入を果たすためには、留置されたカテーテル
の流路の確保が重要であることから、優れた耐キンク性
がカテーテルに求められている。さらに穿刺時の操作性
と、穿刺時及び留置後の血管壁の相互作用は、カテーテ
ルの機械的物性に影響を受けるため、穿刺時は十分にコ
シがあり留置後柔軟化することが望ましい。
トラフルオロエチレン,エチレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体等のフッ素樹脂が主に用いられている。フ
ッ素樹脂製カテーテルは、穿刺時は硬くてコシが強いた
め操作性に優れており、血管確保を行いやすい。しかし
ながら、これらのフッ素樹脂製カテーテルは血管留置後
十分に柔軟とはならず、血管壁を損傷する可能性があ
る。また耐キンク性が十分でなく、輸液流路の確保に支
障をきたす恐れがある。
グメントとソフトセグメントからなり、ソフトセグメン
トがポリエーテルからなるポリウレタン樹脂が留置針の
カテーテル素材として使用されるようになった。特公平
8−11129号には、親水性のポリエーテルポリウレ
タン樹脂を使用した、血管内で柔軟化するカテーテルチ
ューブが開示されており、カテーテル挿入時の剛性と血
管留置後の柔軟性のバランスをコントロールする方法も
記載されている。しかしながら、このカテーテルには耐
キンク性が劣るという問題がある。ポリエーテルポリウ
レタン樹脂からなる留置カテーテルは、留置後に柔軟と
なっても、十分な耐キンク性が発現されないという欠点
があり、穿刺時の操作性を求めてカテーテルを硬くする
と、更に耐キンク性が損なわれてしまう。
ことで弾性率変化量や耐キンク性を向上させることも可
能である。しかし、ソフトセグメントに分子量が500
〜1500にあるポリグリコールを用いたポリウレタン
樹脂だけを使用する場合、25℃の乾燥状態から37℃
の湿潤状態への変化で弾性率が大きく変化するが、耐キ
ンク性は良好でないか、良好であっても一度キンクする
と元の形状に復元しないという欠点がある。一方、分子
量が1500〜3000のポリグリコールを用いたポリ
ウレタン樹脂は耐キンク性が良好であるが、25℃の乾
燥状態から37℃の湿潤状態への変化で弾性率が大きく
変化しない。このように実質的に単一分子量のソフトセ
グメントを含有するポリウレタン樹脂を用いた場合、目
的とする弾性率変化量及び耐キンク性の両者を満足する
ものはできない。
樹脂製の留置針が記載されている。この留置針のカテー
テルは血管挿入時には硬く、血管留置後は柔軟となる
が、その変化のスピードが速すぎるため、留置操作を行
っている最中に柔軟化してしまい、穿刺操作に支障が生
じてしまう。
は、血管への挿入時にはフッ素樹脂製カテーテルとほぼ
同等の剛性を有するが、血管内留置後柔軟化して血管へ
の損傷を軽減できるとともに、留置操作に適した弾性率
の低下挙動を示し、かつ耐キンク性に優れた留置カテー
テルを提供することである。
の結果、本発明者らは、留置カテーテルが穿刺時に良好
な剛性(操作性)を有するとともに、留置後は柔軟化し
て血管の損傷を抑えることができるためには、室温乾燥
状態から37℃の湿潤状態に置かれたときの弾性率低下
の速度を調整することが重要であり、弾性率の低下速度
が緩慢すぎると柔軟化するのに時間がかかりすぎるため
留置後の血管損傷を引き起こす恐れがあり、逆に弾性率
が急速に低下しすぎると留置の操作中に柔軟となり穿刺
が困難となる恐れがあることに着目した。
化性能について検討した結果、一般にポリウレタン樹脂
の軟化の度合いは、その中に含まれるポリグリコールの
結晶化度に大きく依存することが分かった。分子量の低
いポリグリコールがポリマー鎖中に存在する場合にはポ
リウレタン樹脂の結晶化度が大きくなりにくく、温度上
昇によって結晶融解が促進される。そのため温度上昇に
伴うポリウレタン樹脂の軟化速度は大きくなる。
マー同士は相溶性を有するので、それらをブレンドした
時は物性的に加成性を示す。従って、異なる分子量のポ
リグリコールを含有するポリウレタン樹脂では、それら
の平均的な物性を示すと予測される。しかしながら、本
発明者らの検討によると、物性の加成性は成り立たない
ことが分かった。そこで鋭意研究の結果、単独では特性
の劣るポリウレタン樹脂を生成するポリグリコールで
も、複数の組合せてポリウレタン樹脂を生成すると、血
管への挿入時にはフッ素樹脂製カテーテルとほぼ同等の
剛性を有するが、血管内留置後柔軟化して血管への損傷
を軽減できるとともに、留置操作に適した弾性率の低下
挙動を示し、かつ耐キンク性に優れた留置カテーテルが
得られることを発見し、本発明に想到した。
カテーテルは、分子量の異なる複数のポリグリコールを
含有する1つのポリウレタン樹脂により形成されている
ことを特徴とする。
テルは、分子量の異なる複数のポリグリコールを含有す
る1つのポリウレタン樹脂からなり、25℃の乾燥状態
での動的貯蔵弾性率が1GPa以上であり、25℃の乾
燥状態から37℃の湿潤状態にして時間tが経過したと
きの動的貯蔵弾性率の低下率Ep を、下記式: Ep =〔(E0−Et)/(E0−E30)〕×100
% (ただし、E0は25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率
であり、E30は37℃の湿潤状態での30分後の動的
貯蔵弾性率であり、Etは37℃の湿潤状態で時間tが
経過したときの動的貯蔵弾性率である。)により表した
とき、20秒経過時の動的貯蔵弾性率の低下率Ep が6
0%未満であり、1分経過時の低下率Ep が60%以上
であることを特徴とする。
脂としては、ジイソシアネート、ジオール系鎖延長剤及
び分子量の異なる複数のポリグリコールからなるものを
使用するのが好ましい。複数のポリグリコールは、分子
量500〜1500の第一のポリグリコールと、分子量
1500〜3000の第二のポリグリコールとを含み、
第一のポリグリコールの分子量と第二のポリグリコール
の分子量との差が500以上であるのが好ましい。また
第一のポリグリコールと第二のポリグリコールとの重量
比は8:2〜2:8であるのが好ましい。さらにポリウ
レタン樹脂は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、1,4−ブタンジオール及び分子量が異なる複
数のポリカプロラクトングリコールとの反応生成物であ
り、60D以上のショア硬度を有するのが好ましい。
テルは、25℃の乾燥状態及び37℃の湿潤状態でとも
に10mm以上の耐キンク性を示す。またその初期弾性
率は25℃の乾燥状態で50kgf/mm2 以上であ
り、37℃の湿潤状態にすると5分以内に25kgf/
mm2 以下となる。
潤状態への変化で最大限に柔軟化するためには、ポリウ
レタン樹脂を構成する少なくとも1つのポリグリコール
の分子量は1500以下、好ましくは500〜1500
とする。ポリグリコールの分子量が500未満では、セ
グメント化ポリウレタン樹脂としての機能の発現が困難
であり、ポリウレタン樹脂の特性が専ら分子量の大きい
ポリグリコールの性能に依存するようになる。また分子
量が1500〜3000の第二のポリグリコールを含ま
せることにより、ポリウレタン樹脂は耐キンク性が良く
なる。第一のポリグリコールの分子量と第二のポリグリ
コールの分子量との差は、500以上であるのが好まし
く、1000以上がより好ましい。ポリグリコールの分
子量の差が500未満であると、異なる分子量の複数の
ポリグリコールを含ませる効果が不十分になる。また、
第一のポリグリコールと第二のポリグリコールとの重量
比は8:2〜2:8であるのが好ましい。重量比がこの
範囲外であると、異なる分子量のポリグリコールを使用
する効果が不十分になる。なお、「分子量」は数平均分
子量を意味する。また本発明に使用するポリグリコール
の分子量分布は狭い。
計量によりポリウレタン樹脂の物性は左右され、60D
以上のショア硬度を得るためには、ハードセグメント含
量が少なくとも40重量%必要であり、また80重量%
以上では硬すぎて柔軟性がなくなる。そのため、ハード
セグメント成分の含量は40〜80重量%であるのが好
ましく、50〜70重量%であるのがより好ましい。
トングリコール、ポリアジペートグリコール、ポリエー
テルグリコール、ポリカーボネートグリコール等が好ま
しく、特にポリカプロラクトングリコールが好ましい。
複数のポリグリコールがすべて同種である必要はない
が、相溶性の観点から同種であるのが好ましい。
シアネート(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、2,4−トルエンジイソシアネート等)、
脂肪族ジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソ
シアネート等)、脂環式ジイソシアネート(例えばイソ
ホロンジイソシアネート等)を使用するのが好ましい。
特に好ましいジイソシアネートは4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネートである。
ば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ
る。特に好ましい鎖延長剤は1,4−ブタンジオールで
ある。またエチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン等を鎖延長剤として使用し、部分的
に尿素結合を導入しても良い。
蔵弾性率、湿潤によるその低下率、初期弾性率、耐キン
ク性及び/又はショア硬度を有する。
しい実施例による留置カテーテルは25℃の乾燥状態で
1GPa以上の動的貯蔵弾性率を有し、また25℃の乾
燥状態から37℃の湿潤状態に変化させたときの動的貯
蔵弾性率の低下率は、20秒経過時に60%未満であ
り、1分経過時に60%以上である。
能な動的貯蔵弾性率測定装置(DVA−225、アイテ
ィー計測制御(株)製)を用いる。25℃の乾燥状態で
の動的貯蔵弾性率は、治具にサンプルを固定し、装置に
水を入れずに測定周波数10Hzの条件で5分間測定す
る。次に動的貯蔵弾性率の低下率を求めるには、37℃
に保った水の循環を行い、経時的に動的貯蔵弾性率を測
定する。動的貯蔵弾性率は37℃の温水の循環開始と同
時に低下し、30分後にはほぼ一定値に飽和する。そこ
で25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態へ変化させて
30分経過した時における動的貯蔵弾性率の変化の大き
さを基準(100%)とし、37℃の湿潤状態で時間t
が経過したときの動的貯蔵弾性率の低下率Ep を、下記
式: Ep =〔(E0−Et)/(E0−E30)〕×100
% (ただし、E0は25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率
であり、E30は37℃の湿潤状態での30分後の動的
貯蔵弾性率であり、Etは37℃の湿潤状態で時間tが
経過したときの動的貯蔵弾性率である。)により求め
る。
GPa未満であると、留置カテーテルはコシが不足し、
穿刺時の操作性に劣る。また37℃の湿潤状態にして2
0秒経過時の動的貯蔵弾性率の低下率が60%以上であ
ると、湿潤状態での留置カテーテルの柔軟化は急速す
ぎ、やはり操作性に劣る。一方1分経過時の動的貯蔵弾
性率の低下率が60%未満であると、湿潤状態での柔軟
化が遅すぎ、血管壁を損傷する可能性がある。より好ま
しい動的貯蔵弾性率は、20秒経過時で55%以下であ
り、1分経過時で65%以上である。
ために、フッ素樹脂製の留置針と同程度に高く25℃の
乾燥状態で50kgf/mm2 以上であるのが好まし
い。また留置後は血管の損傷を抑えるため、37℃の湿
潤状態で5分以内に25kgf/mm2 以下となるのが
好ましい。より好ましくは、25℃の乾燥状態で55k
gf/mm2 以上、37℃の湿潤状態で5分以内に20
kgf/mm2 以下である。上述したように穿刺時から
留置後への軟化度が重要であり、最適な軟化度を実現す
るためには、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態へ
の変化において初期弾性率が25kgf/mm2 以上低
下するのが好ましく、35kgf/mm2以上低下する
のがより好ましい。
機ストログラフT型(東洋精機製作所(株)製)を用い
て、25℃の乾燥状態及び37℃の温水に所定時間浸漬
した後の湿潤状態においてそれぞれ標線間距離10mm
及び試験速度5mm/ 分で引張試験を行い、得られた応
力−歪み曲線の初期直線部分から算出したものである。
を安定して確保するために37℃の湿潤状態で10mm
以上であるのが好ましく、より好ましくは12mm以
上、更に好ましくは14mm以上である。また25℃の
乾燥状態における耐キンク性も10mm以上であるのが
好ましく、より好ましくは12mm以上、更に好ましく
は14mm以上である。
グラフAGS−100A(島津製作所(株)製、以下圧
縮試験機Aとする。)を用いて測定する。圧縮試験機A
は、上部に設けられた上下方向に一定速度で移動可能な
把持具7と、下部に設けられた固定された把持具7’と
を備え、把持具7、7’間に所定長に切断されたカテー
テル6を配置し、軸方向の圧縮試験を行い、カテーテル
に掛かる荷重の変化をチャート上に記録できるように構
成されている。この圧縮試験機Aにより、サンプル長8
を25mmとしたカテーテル6を50mm/ 分の試験速
度で、それぞれ25℃の乾燥状態及び37℃の温水に所
定時間浸漬後の湿潤状態において、以下のようにして測
定する。
圧縮していくと、カテーテルに掛かる荷重が変化する。
図3はその荷重変化をチャートに示すものである。カテ
ーテルを軸方向に圧縮すると、カテーテルに掛かる荷重
が瞬時に増加するが、たわみ始めると荷重は低下する。
更に圧縮を続けるとカテーテルの内腔が潰れて閉塞(即
ちキンク)が始まり、荷重低下の変化が大きくなり、チ
ャートに変曲点を生じる[ キンク開始点] 。カテーテル
内腔がほぼ閉塞すると同時に荷重はほぼ一定となるが、
この時にもチャートに変曲点を生じる[ キンク点] 。チ
ャート上で、圧縮試験を開始した時点[ 始点] からカテ
ーテル内腔が閉塞する[ キンク点] までを判定し、この
間移動した把持具7の移動距離9(mm)で耐キンク性
を表す。
ポリウレタン樹脂のショア硬度は60D以上であるのが
好ましい。ショア硬度が60D未満では、カテーテルの
コシが充分でなく、穿刺時の操作性に支障をきたすおそ
れがある。なおショア硬度が85Dを超えるものは、押
出成形性が低く、所望のカテーテルに成形するのが難し
い。実用上より好ましいショア硬度の範囲は65〜80
Dである。
ーテルの切断事故が発生した場合等にX線により位置確
認を可能とするため、ポリウレタン樹脂にX線不透過物
質を混合してなるストライプを有しても良い。ストライ
プを成形するには、ポリウレタン樹脂にX線不透過物
質、例えば硫酸バリウム、タングステン、酸化ビスマ
ス、炭酸ビスマス、金等を混合した樹脂を、X線不透過
物質を混合していないポリウレタン樹脂と同時に押出成
形することによって、容易に製造することができる。勿
論X線不透過物質として使用できるものは、上記に限定
されるものではない。ストライプは、一般的な共押出成
形によって容易に成形することができ、押出成形ダイの
設計によって、ストライプを所望の形状及び数に成形す
ることも可能である。
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
なお実施例で使用したポリウレタン樹脂は、複数のソフ
トセグメント成分に、ジイソシアネートとして4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びジ
オールとして1,4−ブタンジオールからなる他の成分
を、を[NCO]/[OH]のモル比=1の割合で配合
し、ワンショット法又はプレポリマー法により合成した
ものである。なお以下の実施例において使用する「他の
成分」は上記のものと同じである。
ロラクトングリコールを22.2重量%、分子量200
0のポリカプロラクトングリコールを16.6重量%、
及び上記他の成分を仕込み、ショア硬度78Dのポリウ
レタン樹脂を合成し、内径0.66mm及び外径0.8
9mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテ
ル6を有効長25mmとなるように、かしめピン(図示
せず)にてハブ3に接合して、内針ハブ4に接合された
内針2をカテーテル内腔に挿入し、さらに内針ハブ4後
端にフィルターキャップ5を接続して図1に示す留置針
1を作製した。
て、前述の方法に従って、引張試験機ストログラフT型
(東洋精機製作所(株)製)を用いて引張試験を行い、
25℃の乾燥状態及び37℃の温水に所定時間浸漬後の
湿潤状態における初期弾性率を測定した。
示す圧縮試験機Aを用いて前述した方法に従い、25℃
の乾燥状態及び37℃の温水に所定時間浸漬後の湿潤状
態において測定した。
性は、図4及び図5に示した通りであった。25℃の乾
燥状態(図4中、0分)での初期弾性率は56kgf/
mm 2 で、血管留置操作に対して十分なコシの強さを示
した。また37℃の湿潤状態では速やかに柔軟となり、
5分後には15kgf/mm2 と良好な柔軟性を示し
た。耐キンク性は、25℃の乾燥状態(図5中、0分)
において14.3mm、37℃の温水に10分間浸漬し
た後では18.4mmと良好であった。
ロラクトングリコールを23重量%、分子量2000の
ポリカプロラクトングリコールを16重量%、及び上記
他の成分を仕込み、ショア硬度77Dのポリウレタン樹
脂を合成し、内径0.65mm及び外径0.88mmの
カテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用
いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル
6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定
した。
期弾性率は59kgf/mm2 と高く、穿刺時はコシが
強く血管留置操作が容易であることが分かる、また37
℃の湿潤状態では速やかに柔軟となり、5分後には15
kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は
25℃の乾燥状態において14.1mm、37℃の温水
に10分間浸漬した後では14.7mmと良好であっ
た。
℃の乾燥状態時、37℃の湿潤状態にして20秒経過時
及び1分経過時において、このカテーテルの動的貯蔵弾
性率を測定し、37℃の湿潤状態にして20秒後及び1
分後の動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に
示す。25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率は1.3G
Pa、37℃の湿潤状態として20秒後の動的貯蔵弾性
率の低下率は55%、1分後の低下率は68%であり、
良好な動的貯蔵弾性率の低下挙動を示した。
プロラクトングリコールを16重量%、分子量2000
のポリカプロラクトングリコールを13.5重量%、及
び上記他の成分を仕込み、ショア硬度77Dのポリウレ
タン樹脂を合成し、内径0.64mm及び外径0.88
mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル
6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテ
ーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様
に測定した。
期弾性率は58kgf/mm2 と、穿刺時はコシが強く
血管留置操作が容易で、37℃の湿潤状態では速やかに
柔軟となり、5分後には18kgf/mm2 と良好な柔
軟性を示した。耐キンク性は25℃の乾燥状態において
13.2mm、37℃の温水に10分間浸漬した後では
14.8mmと良好であった。
キサメチレンカーボネートグリコールを18.5重量
%、分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネート
グリコールを21重量%、及び上記他の成分を仕込み、
ショア硬度76Dのポリウレタン樹脂を合成し、内径
0.65mm及び外径0.89mmのカテーテル6を押
出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と
同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及
び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
期弾性率は58kgf/mm2 と高く、穿刺時はコシが
強く血管留置操作が容易であることが分かる。また37
℃の湿潤状態では速やかに柔軟となり、5分後には20
kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は
25℃の乾燥状態において13.9mm、37℃の温水
に10分間浸漬した後では14.5mmと良好であっ
た。
ラメチレングリコールを19.2重量%、分子量200
0のポリテトラメチレングリコールを16.8重量%、
及び上記他の成分を仕込み、ショア硬度78Dのポリウ
レタン樹脂を合成し、内径0.65mm及び外径0.8
7mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテ
ル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カ
テーテル6の初期弾性率を実施例1と同様に測定した。
期弾性率は65kgf/mm2 と高く、穿刺時はコシが
強く血管留置操作が容易であることが分かる。また37
℃の湿潤状態では速やかに柔軟となり、5分後には21
kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。
成形した内径0.64mm及び外径0.83mmのカテ
ーテルから留置針を作製し、カテーテルの初期弾性率及
び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。このカテー
テルの初期弾性率及び耐キンク性は図4及び図5に示す
通りであった。25℃の乾燥状態での初期弾性率は63
kgf/mm2 で、血管留置操作に対して十分なコシの
強さを示したが、37℃の湿潤状態でも初期弾性率は5
9kgf/mm2 とほとんど柔軟化しなかった。耐キン
ク性は25℃の乾燥状態で7.0mmであり、また37
℃の温水に10分間浸漬した後において6.8mmと低
かった。
ソフトセグメントを37重量%含有するポリウレタン樹
脂を用いて押出し成形した内径0.68mm及び外径
0.89mmのカテーテルから留置針を作製し、カテー
テルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測
定した。このカテーテルは、25℃の乾燥状態での初期
弾性率が100kgf/mm2 と非常に高く、コシはあ
ったが、37℃の温水に10分間浸漬した後の初期弾性
率は30kgf/mm2 と十分に柔軟化しなかった。耐
キンク性は25℃の乾燥状態で11.8mmであり、ま
た37℃の温水に10分間浸漬した後では13.5mm
と良好であったが、一度キンクした部位は復元せず、閉
塞したままだった。
ソフトセグメントを46重量%含有するポリウレタン樹
脂を用いて押出し成形した内径0.68mm及び外径
0.89mmのカテーテルから留置針を作製し、カテー
テルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測
定した。このカテーテルは、25℃の乾燥状態での初期
弾性率が15kgf/mm2 と柔軟であり、37℃の温
水に10分間浸漬した後の初期弾性率は1kgf/mm
2 と非常に柔軟であった。耐キンク性は25℃の乾燥状
態で11.1mmであり、また37℃の温水に10分間
浸漬した後では13.5mmと良好であったが、乾燥状
態で一度キンクした部位は復元せず閉塞したままだっ
た。またこのカテーテルは37℃の湿潤状態では柔軟す
ぎ、押しつぶれやすかった。
るソフトセグメントを32重量%含有するポリウレタン
樹脂を用いて押出し成形した内径0.67mm、外径
0.90mmのカテーテルから留置針を作製し、カテー
テルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測
定した。このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は
図4及び図5に示す通りであった。耐キンク性は、25
℃の乾燥状態で11.5mmであり、また37℃の温水
に10分間浸漬した後において13.2mmと良好であ
った。しかしながら、このカテーテルの25℃の乾燥状
態での初期弾性率は63kgf/mm2 と高かったが、
37℃の温水に10分間浸漬した後は27kgf/mm
2 と充分柔軟とはならなかった。
るソフトセグメントを42重量%含有するポリウレタン
樹脂を用いて押出し成形した内径0.66mm及び外径
0.88mmのカテーテルから留置針を作製し、カテー
テルの初期弾性率、耐キンク性を実施例1と同様に測定
した。このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は、
図4及び図5に示す通りであった。このカテーテルは3
7℃の温水に10分間浸漬した後の初期弾性率が8kg
f/mm2 と充分に柔軟であったが、25℃の乾燥状態
でも20kgf/mm2 と柔軟であり、弾性率の変化は
大きくなかった。また押し込み性に乏しく、穿刺手技が
困難であった。耐キンク性は25℃の乾燥状態で9.2
mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後で
は10.4mmと良好ではなかった。
カテーテルについて、上述の試験法に従い、それぞれ2
5℃の乾燥状態時、及び37℃の湿潤状態にして20秒
経過時及び1分経過時において動的貯蔵弾性率を測定
し、かつ37℃の湿潤状態にして20秒後及び1分後の
動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。
37℃の湿潤状態にして20秒後に既に動的貯蔵弾性率
は75%まで低下しており、留置操作に支障をきたすこ
とが分かる。
るソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が
65Dのポリウレタン樹脂から、内径0.69mm及び
外径0.88mmのカテーテルを押出し成形した。この
カテーテルについて上述の試験法に従い、それぞれ25
℃の乾燥状態時、及び37℃の湿潤状態にして20秒経
過時及び1分経過時において動的貯蔵弾性率を測定し、
かつ37℃の湿潤状態にして20秒後及び1分後の動的
貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。37
℃の湿潤状態にして1分経過した時点での動的貯蔵弾性
率の低下率は59%と小さかった。
ルは、ソフトセグメントが分子量の異なる複数のポリグ
リコールからなるので、25℃の乾燥状態での動的貯蔵
弾性率が1GPa以上と大きいとともに、25℃の乾燥
状態から37℃の湿潤状態にして時間tが経過したとき
の動的貯蔵弾性率の低下率が、20秒経過時に60%未
満であり、かつ1分経過時に60%以上である。そのた
め、穿刺時のコシが十分にあるとともに、留置後は適度
な速度で柔軟化する。本発明の留置カテーテルはまた2
5℃の乾燥状態及び37℃の湿潤状態のいずれでも10
mm以上の耐キンク性を有し、留置後のカテーテルの流
路を安全に確保することができる。また従来のカテーテ
ルとは異なり、耐キンク性を損なうことなく、穿刺時に
は十分なコシがあり、留置後は適切な速度で柔軟となる
ので、血管壁への損傷を著しく軽減できる。
圧縮試験方法を示す概略図である。
の関係を示すグラフであり、カテーテルの耐キンク性を
表す。
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】 分子量の異なる複数のポリグリコールを
含有する1つのポリウレタン樹脂により形成されている
ことを特徴とする留置カテーテル。 - 【請求項2】 請求項1に記載の留置カテーテルにおい
て、前記ポリウレタン樹脂が主としてジイソシアネー
ト、ジオール系鎖延長剤及び分子量の異なる複数のポリ
グリコールから合成されたものであることを特徴とする
留置カテーテル。 - 【請求項3】 分子量の異なる複数のポリグリコールを
含有する1つのポリウレタン樹脂からなる留置カテーテ
ルであって、25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率が1
GPa以上であり、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤
状態にして時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率の低
下率Ep を、下記式: Ep =〔(E0−Et)/(E0−E30)〕×100
% (ただし、E0は25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率
であり、E30は37℃の湿潤状態での30分後の動的
貯蔵弾性率であり、Etは37℃の湿潤状態で時間tが
経過したときの動的貯蔵弾性率である。)により表した
とき、20秒経過時の動的貯蔵弾性率の低下率Ep が6
0%未満であり、1分経過時の低下率Ep が60%以上
であることを特徴とする留置カテーテル。 - 【請求項4】 請求項3に記載の留置カテーテルにおい
て、前記ポリウレタン樹脂がジイソシアネート、ジオー
ル系鎖延長剤、及び分子量の異なる複数のポリグリコー
ルからなることを特徴とする留置カテーテル。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の留置カ
テーテルにおいて、前記複数のポリグリコールが、分子
量500〜1500の第一のポリグリコールと、分子量
1500〜3000の第二のポリグリコールとを含み、
前記第一のポリグリコールの分子量と前記第二のポリグ
リコールの分子量との差が500以上であることを特徴
とする留置カテーテル。 - 【請求項6】 請求項5に記載の留置カテーテルにおい
て、前記第一のポリグリコールと前記第二のポリグリコ
ールとの重量比が8:2〜2:8であることを特徴とす
る留置カテーテル。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の留置カ
テーテルにおいて、前記ポリウレタン樹脂が4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ブタンジ
オール及び分子量が異なる複数のポリカプロラクトング
リコールとの反応生成物であり、60D以上のショア硬
度を有することを特徴とする留置カテーテル。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の留置カ
テーテルにおいて、耐キンク性が25℃の乾燥状態及び
37℃の湿潤状態でともに10mm以上であることを特
徴とする留置カテーテル。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の留置カ
テーテルにおいて、初期弾性率が25℃の乾燥状態で5
0kgf/mm2 以上であり、37℃の湿潤状態にする
と5分以内に25kgf/mm2 以下となることを特徴
とする留置カテーテル。
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