JP2000012394A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化、高容量化、低インピーダンス化、そ
して耐湿負荷特性が良好で耐熱性に優れ、また熱応力緩
和特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法の
提供。 【解決手段】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成さ
れた誘電体被膜上に固体電解質層を設けた固体電解コン
デンサにおいて、固体電解質層の少なくとも一部が層状
構造をなしている固体電解コンデンサ。特に特定の縮合
環構造を有する導電性高分子中に(1)スルホアニオン基
とキノン構造を有するスルホキノンアニオンと他のアニ
オンを含有する固体電解質層、及び(2)スルホン酸基を
有するアントラセンスルホン酸類と他のアニオンを含有
する固体電解質層を有する固体電解コンデンサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解質に特定の
導電性高分子を用いた固体電解コンデンサに関する。さ
らに詳しく言えば、小型化、高容量化、低インピーダン
ス化、そして耐湿負荷特性が良好で耐熱性に優れ、また
熱応力緩和特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】固体電解コンデンサは、エッチ
ング処理された比表面積の大きな金属箔(陽極基体)に
誘電体の酸化被膜層が形成され、この外側に対向する電
極として固体の半導電体層(固体電解質と略する。)が
形成され、さらに望ましくは導電ペーストなどの導電体
層が形成された素子である。この素子の金属箔に陰極リ
ード端子が、また導電体層に陽極端子が接続され、全体
を絶縁性樹脂で完全に封止されてコンデンサ部品として
幅広く電気製品に使用されている。
【0003】固体電解質層の形成方法については、従来
から細孔あるいは空隙構造を有する金属表面の誘電体層
上に、固体電解質を融解して形成する方法や誘電体層上
で固体電解質を産生する方法等が知られている。
【0004】近年の電気機器のディジタル化、パーソナ
ルコンピュータの高速化に伴い、これらに使用されるコ
ンデンサは小型で大容量のもの、高周波領域において低
インピーダンスのものが要求されている。従来、大容量
のコンデンサとしては、アルミ電解コンデンサやタンタ
ル電解コンデンサ等の電解コンデンサがある。しかしな
がら、アルミ電解コンデンサではイオン伝導性の液状電
解質を用いているため高周波領域でのインピーダンスが
高く、また温度特性も悪いという問題点を有していた。
また、タンタル電解コンデンサではマンガン酸化物を電
解質として用いているが、このマンガン酸化物の比抵抗
が比較的高いことから高周波領域でのインピーダンスが
高いという問題点を有していた。
【0005】そこで、これらの要求に応えるものとし
て、電子伝導性を有する導電性高分子を固体電解質とし
て用いることが提案されており、例えば、導電率が10
-3〜103S/cmの範囲である真性導電性高分子(特
開平1-169914号公報(米国特許第4,803,596号))やポ
リアニリン(特開昭61-239617号公報)、ポリピロール
(特開昭61-240625号公報)、ポリチオフェン誘導体
(特開平2-15611号公報(米国特許第4,910,645号))、
ポリイソチアナフテン(特開昭62-118511号公報)等の
ポリマーの使用が知られている。これらのπ共役系構造
からなる導電性高分子の多くは、ドーパントを含んだ組
成物として使用される。さらに昨今では、ドーパントだ
けの添加だけでなく、例えば二酸化マンガン(特公平6-
101418号公報(米国特許第4,959,753号))やフィラー
(特開平9-320901号公報)の併用も行われれている。
【0006】このように固体電解質として導電性高分子
が注目されている理由は電導度が充分高く改良できる等
の期待があるからである。しかしながら、電導度が適正
範囲より高すぎると、漏れ電流値が大きく上昇する結果
ショートに至ることがある。また、電導度が低いと周波
数特性が悪くなり容量低下が大きくなるという問題があ
り、電導度の適正範囲の制御並びに該固体電解質の耐熱
性、熱的安定性等が開発課題となっている。
【0007】一方、固体電解質の形成方法については、
従来から微細な空隙構造を有する弁作用金属表面の誘電
体層上に、前記のような固体電解質を融解して形成する
方法や誘電体層上で前記の導電性高分子を産生する方法
等が知られている。具体的には例えば、ピロールやチオ
フェン等の複素五員環式化合物の重合体を使用する場
合、陽極箔を複素五員環式化合物の低級アルコール/水
系溶液に浸漬した後、酸化剤と電解質を溶かした水溶液
に浸漬して化学重合させ、導電性高分子を形成する方法
(特開平5-175082号公報)、3,4−ジオキシエチレン
−チオフェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形
態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化
被覆層に塗被して形成する方法(特開平2-15611号公報
(米国特許第4,910,645号)や特開平10-32145号公報
(欧州特許公開第820076(A2)号))等が知られている。
特に、特開平10-32145号公報(欧州特許公開第820076(A
2)号)においては、分子構造中にスルホン酸基を複数有
する芳香族ポリスルホン酸がドープされたピロール、チ
オフェン、フラン、アニリン及びそれらの誘導体から選
ばれた重合体が開示され、製造方法として前記モノマー
と酸化剤との混合溶液の塗布及び乾燥または酸化剤を導
入した後でモノマーを導入する重合方法が開示されてい
る。また、特開平10-32145号公報(欧州特許公開第8200
76(A2)号)では、前記芳香族ポリスルホン酸のドーパン
トは酸化剤(第2鉄塩)の構成成分として利用する製造
方法を開示しており、これを具備した固体電解コンデン
サの特徴として耐高温性や静電容量の悪化防止に優れた
記載がある。これら従来技術における酸化剤としては、
例えばチオフェン等の複素五員環式化合物の化学重合に
おいては、塩化鉄(III)、Fe(ClO43や有機酸
鉄(III)、無機酸鉄(III)、アルキル過硫酸塩、過硫
酸アンモニウム(以下、APSと略す。)、過酸化水
素、K2Cr27等(特開平2-15611号公報(米国特許第
4,910,645号))や、第二銅化合物、銀化合物等(特開
平10-32145号公報(欧州特許公開第820076(A2)号))が
知られている。
【0008】具体的には、前記二酸化マンガンを用いた
固体電解質のコンデンサは、硝酸マンガンの熱分解時に
酸化皮膜層が破壊されてしまう欠点があり、またインピ
ーダンス特性も不十分である。二酸化鉛を用いる場合
は、環境上への配慮も必要である。
【0009】テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯
塩を使用する固体電解質のコンデンサは、熱溶融加工性
や導電性に優れているが、TCNQ錯塩自体の耐熱性に
問題がありハンダ耐熱性の信頼性が悪いと言われてい
る。
【0010】これらの欠点を改善するために、前記ポリ
ピロ−ル等の導電性高分子が電解重合法または化学的重
合法によって誘電体表面の固体電解質に適用されるが、
ポリピロール等の導電性高分子を用いた従来のコンデン
サでは、耐湿負荷によってコンデンサ特性が大きく変動
するという問題点があった。
【0011】また、耐湿負荷に関連して耐熱性の要求が
大きく、例えばコンデンサ素子からコンデンサ部品に成
形する際のハンダ耐熱性(リフロー性)も重要視され、
耐熱性の高いコンデンサ素子が求められている。
【0012】固体電解質としての導電性高分子層は、導
電率が高く、陽極内部の細孔内表面をもれなく覆うよう
に形成され、そして上記した半田付けの温度に耐える耐
熱性材料であることが必要であるが、この他に次のよう
な条件が要求される。
【0013】すなわち、第1に、半田付け等で発生する
熱応力を緩和できること、第2に導電性高分子層の上に
形成される導電ペースト層と機械的及び電気的に密着性
がよいこと、第3に、誘電体酸化皮膜が導通した際これ
を修復する能力が良好なことである。
【0014】上記第1の熱応力の緩和については、表面
に誘電体酸化皮膜が形成された陽極の外部表面に、一定
の厚さの導電性高分子層を形成することが提案されてい
る。これには、先ず化学重合によりプレコート層となる
第1の導電性高分子層を形成した後、この上にこれを電
極として電解重合により第2の導電性高分子層を形成す
る方法(特開昭63-173313号公報(米国特許第4,780,796
号))や、フィラー入りの導電性高分子溶液を塗布する
ことにより導電性高分子層を形成する方法(特開平9-32
0901号公報)が開示されている。この熱応力の緩和能力
には、層の厚さのほかに層の構造が影響する。導電性高
分子でマクロな構造が異なるものとしては、導電性高分
子を連続相とするスポンジ状の導電性高分子成形体(特
開平8-53566号公報)が開示されている。
【0015】上記第2の導電性高分子層と導電ペースト
層の密着性の向上については、導電性高分子層の表面に
凹凸を形成することが提案されている。これには、1層
目の導電性高分子層の上に微粉末を混合させた溶液を液
状のままで用いて微粉末を配設した後、その上に2層目
の導電性高分子層を形成する方法(特開平7-94368号公
報(米国特許第5,473,503号))や、1層目の導電性高
分子層の上に導電性高分子の微粉末を気体または液体の
気流中に含ませて噴射または噴霧して付着させた後、そ
の上に2層目の導電性高分子層を形成する方法(特開平
9-320898号公報(欧州特許公開第825626(A2)号))が開
示されている。
【0016】上記第3の誘電体酸化皮膜の修復能力の向
上については、タンタル固体電解コンデンサにおいて、
導電性高分子化合物が細孔内に空洞を残して誘電体酸化
皮膜を覆う構造とし、酸素の供給源を設けることにより
導通時に導電性高分子化合物を絶縁化する方法(特開平
7-122464号公報(米国特許第5,455,736号))が開示さ
れている。このように、従来の導電性高分子では耐熱性
が十分ではなかった。
【0017】また、熱応力の緩和に対して提案されてい
る方法についても、まず、電解重合により形成した導電
性高分子層は、表面の凹凸が少なく導電ペースト層との
密着性が悪いという欠点が挙げられる。また、フィラー
入りの導電性高分子溶液の塗布により一定厚の導電性高
分子層を形成する方法(特開平9-320901号公報)では、
高分子層の厚さの割には熱応力の緩和能力が低く、比較
的厚い高分子層が必要とされるため素子の小型大容量化
には不利である。
【0018】スポンジ状の導電性高分子成形体(特開平
8-53566号公報)は、固体電解コンデンサへの適用例が
開示されておらず、またこの発明によるスポンジ状の導
電性高分子成形体の製造方法は、導電性高分子溶液を冷
却して溶剤を凍結させて重合を行った後、溶剤を凍結乾
燥あるいは融解させて除去するという方法であるため、
操作が面倒であり、更に、凍結、融解の際に誘電体酸化
被膜が損傷を受けやすいことから、固体電解コンデンサ
に適用できる方法とは言い難い。
【0019】次に、導電性高分子層の表面に凹凸を形成
して導電ペースト層との密着性の向上を提案した方法に
ついては、まず、1層目の導電性高分子層の上に微粉末
を混合させた溶液を液状のままで用いて微粉末を配設す
る方法(特開平7-94368号公報(米国特許第5,473,503
号))では、凹凸の形成状態が素子内、ロット内、ロッ
ト間でばらつくという問題がある。また、1層目の導電
性高分子層の上に導電性高分子の微粉末を気体または液
体の気流中に含ませて噴射または噴霧して付着させる方
法(特開平9-320898号公報(欧州特許公開第825626(A2)
号))では、高分子層の厚さの割には熱応力の緩和能力
が低く、比較的厚い高分子層が必要とされるため素子の
小型大容量化には不利であるという問題がある。
【0020】更に、誘電体酸化被膜の修復能力を向上さ
せるために提案されている、導電性高分子化合物が細孔
内に空孔を残して誘電体酸化被膜を覆う構造とする方法
(特開平7-122464号公報(米国特許第5,455,736号))
では、酸化重合の繰り返しにより細孔内に占める空洞の
割合を調整するため細孔内に空洞を残して導電性高分子
層を形成した後に陽極の外部表面に導電性高分子層を厚
く形成しようとすると、既に微細孔内に存在していた空
洞が塞がれる。従って、外部表面への一定厚の導電性高
分子層の形成と微細孔内の空洞の確保を両立させること
ができないという問題があり、また高分子層の表面に凹
凸が形成されないため導電ペースト層との密着性が悪い
という問題がある。
【0021】このように、近年高い性能が要求されてい
るコンデンサ素子の製造にあたり、固体電解質の材料や
その製造方法、熱的安定性、皮膜の均一性等に対してさ
らなる改善が要求されている。
【0022】したがって、本発明の課題は、熱応力の緩
和能力、導電ペースト層との密着性、誘電体酸化被膜の
修復能力が良好な導電性高分子層を有する、耐熱性に優
れた固体電解コンデンサを提供することにある。
【0023】また、本発明の課題は、軽量最小、高容
量、高周波特性、tanδ、漏洩電流、耐熱性(リフロ
ー性)や耐久性等に優れた固体電解コンデンサを提供す
るにある。
【0024】さらに本発明の課題は、上記の特性を備え
た電解コンデンサの製造方法を提供し、これにより損失
係数、漏れ電流、耐熱性、高周波領域での等価直列抵抗
及びインピーダンスなどの初期特性のみならず、火花電
圧試験に対する耐久性、長期信頼性(高温、高湿下にお
ける耐久性など)にも優れた固体電解コンデンサを提供
することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の達成のために固体電解質である導電性高分子層の化学
構造及び層状構造について鋭意検討を重ねた結果、熱応
力の緩和特性等は導電性高分子層を層状構造とすること
により解決できることを見出した。また、耐熱性につい
ては、特定の高分子や高分子組成物を固体電解質に用
い、さらにはこの特定の高分子や高分子組成物を用いて
層状構造にすることにより、課題が達成されることを見
出した。
【0026】すなわち、固体電解質の導電性高分子組成
物中のドーパントアニオンの種類、組み合わせ及び含量
等について鋭意検討を重ねた結果、対向する電極と一方
の電極として弁作用金属箔表面の金属酸化物からなる微
細構造の誘電体層、及びその誘電体層上に形成された導
電性高分子組成物からなる固体電解質を具備した固体電
解コンデンサにおいて、(1)前記固体電解質中に一つ
以上のスルホアニオン基とキノン構造を分子内に有する
スルホキノンを含み、かつ前記スルホキノン以外のドー
パントとして、他のドーパント能を有するアニオンを併
含することにより、あるいは(2)前記固体電解質中に
1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン酸ま
たはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアントラ
センモノスルホン酸をドーパントとして含むことによ
り、小型で低インピーダンスかつ火花電圧試験に耐久性
のある高性能な固体電解コンデンサが得られることを見
出した。
【0027】以上の知見に基いて、本発明は以下の固体
電解コンデンサ及びその製造方法を提供するものであ
る。 (1) 微細孔を有する弁作用金属表面に形成された誘
電体被膜上に固体電解質層を設けた固体電解コンデンサ
において、前記固体電解質層の少なくとも一部が層状構
造をなしていることを特徴とする固体電解コンデンサ。 (2) 前記固体電解質層が、誘電体被膜上の外部表面
または外部表面と微細孔部分内に形成されている前記
(1)に記載の固体電解コンデンサ。 (3) 前記層状構造の層間の少なくとも一部に空間部
を有する前記(1)または(2)に記載の固体電解コン
デンサ。
【0028】(4) 前記層状構造をなす固体電解質の
各層の厚さが0.01〜5μmの範囲であり、固体電解
質層の全体の厚さが1〜200μmの範囲である前記
(1)乃至(3)のいずれかに記載の固体電解コンデン
サ。 (5) 前記固体電解質層がπ電子共役系高分子及び/
またはこれ以外の導電性高分子を含む組成物である前記
(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体電解コンデン
サ。
【0029】(6) 前記導電性高分子が、下記一般式
(I)
【化21】
【0030】(式中、R1及びR2は、各々独立して、水
素原子、C1〜6(炭素数1乃至6を意味する。以下同
じ。)の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の
炭化水素基、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和ま
たは不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニ
トロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、ま
たは置換フェニル基を表わすか、またはR1及びR2は互
いに任意の位置で結合して、少なくとも1つ以上の5〜
7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価
の基を形成してもよい。XはS、O、Se、Teまたは
NR3を表わし、R3は水素原子、C1〜6の直鎖状もし
くは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、フェニ
ル基、またはC1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和ま
たは不飽和のアルコキシ基を表わす。R1、R2及びR3
が表わすアルキル基またはアルコキシ基の鎖中には、カ
ルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結
合、イミノ結合を含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
る。)で示される構造単位を繰り返し単位として含む前
記(5)に記載の固体電解コンデンサ。
【0031】(7) 前記導電性高分子が、下記一般式
(II)
【化22】
【0032】(式中、R4及びR5は、各々独立して水素
原子、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは
不飽和の炭化水素基、またはC1〜6の炭化水素基が互
いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少な
くとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造
を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置
換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換さ
れていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。δは
0〜1の範囲である。)で示される構造単位を繰り返し
単位として含む前記(5)に記載の固体電解コンデン
サ。
【0033】(8) 前記導電性高分子が、下記一般式
(III)
【化23】
【0034】(式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR
11は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜10の直鎖
状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、
アルコキシ基またはアルキルエステル基、ハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級または3級アミノ
基、トリハロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基
からなる群から選ばれる一価基を表わすか、または
6、R7、R8、R9、R10及びR11の炭化水素鎖は互い
に任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けて
いる炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の
飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価の
基を形成してもよい。R6、R7、R8、R9、R10及びR
11が表わすアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステ
ル基、またはそれらによって形成される環状炭化水素鎖
にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフ
ィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ結合を任意の
数含んでもよい。kはチオフェン環と置換基R6〜R9
有するベンゼン環に囲まれた縮合環の数を表わし、0ま
たは1〜3の整数である。但し、k=0の誘導体のう
ち、R6〜R9の全てが水素原子である構造体を除く。ま
た縮合環は1〜2個の窒素原子(N)またはN−オキシ
ドを含んでもよい。δは0〜1の範囲である。Zは陰イ
オンを表わし、jはZの価数であり、1または2であ
る。)で示される構造単位を繰り返し単位として含む縮
合ヘテロ多環式重合体である前記(5)に記載の固体電
解コンデンサ。
【0035】(9) 前記一般式(III)の縮合ヘテロ
多環式重合体が、k=0の下記一般式(IV)
【化24】
【0036】(式中、R6、R7、R8、R9、δ、Z及び
jは、一般式(III)と同じ意味を表わし、また縮合環
は1〜2個の窒素原子(N)またはN−オキシドを含ん
でもよい。)で示される縮合ヘテロ多環式重合体である
前記(8)に記載の固体電解コンデンサ。
【0037】(10) 前記一般式(IV)の縮合ヘテロ
多環式重合体が、5,6−ジオキシメチレン−イソチア
ナフテニレン重合体及び5,6−ジメトキシ−イソチア
ナフテニレン重合体から選ばれる縮合ヘテロ多環式重合
体である前記(9)に記載の固体電解コンデンサ。
【0038】(11) 前記一般式(III)の縮合ヘテ
ロ多環式重合体が、k=1の下記一般式(V)
【化25】
【0039】(式中、R6、R7、R8、R9、R10
11、δ、Z及びjは、一般式(III)と同じ意味を表
わし、また縮合環は1〜2個の窒素原子(N)またはN
−オキシドを含んでもよい。)で示される縮合ヘテロ多
環式重合体である前記(8)に記載の固体電解コンデン
サ。
【0040】(12) 前記導電性高分子が導電性ポリ
チオフェンであって、前記導電性ポリチオフェンを含む
組成物中に硫酸イオンが0.1〜10モル%の範囲、か
つナフタレンスルホン酸イオンが1〜50モル%の範囲
含有されている前記(5)に記載の固体電解コンデン
サ。
【0041】(13) 導電性ポリチオフェンが、前記
(7)に記載の一般式(II)で示される構造単位を繰り
返し単位として含む前記(12)に記載の固体電解コン
デンサ。
【0042】(14) 硫酸イオンが過硫酸塩の還元体
に由来するものである前記(12)または(13)に記
載の固体電解コンデンサ。
【0043】(15) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物層から
なる固体電解質層を設けてなる固体電解コンデンサにお
いて、前記組成物が1つ以上のスルホアニオン基とキノ
ン構造を分子内に有するスルホキノンアニオンを0.1
〜50モル%を含み、かつ前記スルホキノンアニオン以
外のアニオンを0.1〜10モル%の範囲で含むことを
特徴とする固体電解コンデンサ。
【0044】前記組成物中の導電性高分子の主鎖が、下
記一般式(I)
【化26】
【0045】(式中、R1及びR2は、各々独立して、水
素原子、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしく
は不飽和の炭化水素基、C1〜6の直鎖状もしくは分岐
状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲ
ン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェ
ニル基、または置換フェニル基を表わすか、またはR1
及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1
つ以上の5〜7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を
形成する二価の基を形成してもよい。XはS、O、S
e、TeまたはNR3を表わし、R3は水素原子、C1〜
6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化
水素基、フェニル基、またはC1〜6の直鎖状もしくは
分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表わす。R
1、R2及びR3が表わすアルキル基またはアルコキシ基
の鎖中には、カルボニル結合、エーテル結合、エステル
結合、アミド結合、イミノ結合を含んでもよい。δは0
〜1の範囲である。)で示される構造単位を含む前記
(15)に記載の固体電解コンデンサ。
【0046】(17) 一般式(I)の構造単位が、下
記一般式(II)
【化27】
【0047】(式中、R4及びR5は、各々独立して水素
原子、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは
不飽和の炭化水素基、またはC1〜6の炭化水素基が互
いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少な
くとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造
を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置
換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換さ
れていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。δは
0〜1の範囲である。)で示される構造である前記(1
6)に記載の固体電解コンデンサ。
【0048】(18) スルホキノンアニオンの基本骨
格が、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−
ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフト
キノン、9,10−アントラキノン、1,4−アントラ
キノン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキ
ノン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキ
ノン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カンホ
ルキノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナ
ントレンキノン、2,7−ピレンキノンからなる群より
選ばれる少なくとも1種である前記(15)乃至(1
7)のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【0049】(19) スルホキノンが、分子内に一つ
以上のスルホアニオン基とキノン構造を有するスルホキ
ノンと、前記スルホキノンから産生されるハイドロキノ
ン構造体及び/またはそれらのキンヒドロン構造体を含
む前記(18)に記載の固体電解コンデンサ。
【0050】(20) 前記スルホキノンアニオン以外
のアニオンが、酸化剤の還元体アニオンである前記(1
5)乃至(19)のいずれかに記載の固体電解コンデン
サ。
【0051】(21) 酸化剤の還元体アニオンが、硫
酸イオンである前記(20)に記載の固体電解コンデン
サ。
【0052】(22) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物層から
なる固体電解質層を設けてなる固体電解コンデンサにお
いて、前記組成物が1つのスルホン酸基を有するアント
ラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なく
とも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンをドー
パントとして含むことを特徴とする固体電解コンデン
サ。
【0053】(23) 前記アントラセンモノスルホン
酸アニオンが、導電性高分子の全繰り返し構造単位に対
して0.1〜50モル%の範囲で含まれる前記(22)
に記載の固体電解コンデンサ。
【0054】(24) 前記アントラセンモノスルホン
酸アニオン以外に、ドーパント能を有する酸化剤の還元
体アニオンを0.1〜10モル%の範囲で含む前記(2
2)または(23)に記載の固体電解コンデンサ。
【0055】(25) 前記酸化剤の還元体アニオン
が、硫酸イオンである前記(24)に記載の固体電解コ
ンデンサ。
【0056】(26) 前記アントラセンスルホン酸誘
導体が、アントラセン環の水素がC1〜12の直鎖状も
しくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基または
アルコキシ基で一つ以上置換されたアントラセンモノス
ルホン酸である前記(22)乃至(25)のいずれかに
記載の固体電解コンデンサ。
【0057】(27) 導電性高分子の主鎖が、下記一
般式(I)
【化28】
【0058】(式中、R1及びR2は、各々独立して、水
素原子、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしく
は不飽和の炭化水素基、C1〜6の直鎖状もしくは分岐
状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲ
ン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェ
ニル基、または置換フェニル基を表わすか、またはR1
及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1
つ以上の5〜7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を
形成する二価の基を形成してもよい。XはS、O、S
e、TeまたはNR3を表わし、R3は水素原子、C1〜
6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化
水素基、フェニル基、またはC1〜6の直鎖状もしくは
分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表わす。R
1、R2及びR3が表わすアルキル基またはアルコキシ基
の鎖中には、カルボニル結合、エーテル結合、エステル
結合、アミド結合、イミノ結合を含んでもよい。δは0
〜1の範囲である。)で示される構造単位を繰り返し単
位として含む前記(22)に記載の固体電解コンデン
サ。
【0059】(28) 一般式(I)の繰り返し構造単
位が、下記一般式(II)
【化29】
【0060】(式中、R4及びR5は、各々独立して水素
原子、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは
不飽和の炭化水素基、またはC1〜6の炭化水素基が互
いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少な
くとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造
を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置
換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換さ
れていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。δは
0〜1の範囲である。)で示される構造である前記(2
7)に記載の固体電解コンデンサ。
【0061】(29) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に固体電解質層を設けた固体
電解コンデンサの製造方法において、下記一般式(VI)
【化30】
【0062】(式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR
11は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜10の直鎖
状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、
アルコキシ基またはアルキルエステル基、ハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級または3級アミノ
基、トリハロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基
からなる群から選ばれる一価基を表わすか、R6、R7
8、R9、R10及びR11の炭化水素鎖は互いに任意の位
置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原
子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または
不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価の基を形成し
てもよい。R6、R7、R8、R9、R10及びR11が表わす
アルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、また
はそれらによって形成される環状炭化水素鎖にはカルボ
ニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スル
フィニル、スルホニル、イミノ結合を任意の数含んでも
よい。kはチオフェン環と置換基R6〜R9を有するベン
ゼン環に囲まれた縮合環の数を表わし、0または1〜3
の整数である。また縮合環は、1〜2個の窒素原子
(N)またはN−オキシドを含んでもよい。)で示され
る縮合ヘテロ多環式化合物を単独で、またはドーパント
能を有する他のアニオンと共に、微細孔を有する弁作用
金属表面に形成された誘電体被膜上で酸化剤の作用によ
って重合して、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する
ことを特徴とする前記(1)に記載の固体電解コンデン
サの製造方法。
【0063】(30) 縮合ヘテロ多環式化合物とし
て、ジヒドロイソチアナフテン、ジヒドロナフト[2,
3−c]チオフェン及びジヒドロチエノ[3,4−b]
キノキサリン誘導体の中から選ばれる少なくとも1つ用
いる前記(29)に記載の固体電解コンデンサの製造方
法。
【0064】(31) 縮合ヘテロ多環式化合物とし
て、1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5,6−ジオ
キシメチレン−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、
5,6−ジメトキシ−1,3−ジヒドロイソチアナフテ
ン、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン
及び1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリ
ンから選ばれる少なくとも1つを用いる前記(29)に
記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0065】(32) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に固体電解質層を設けた固体
電解コンデンサの製造方法において、下記一般式(VI
I)
【化31】
【0066】(式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11
及びkは前記(29)に記載の一般式(VI)と同じ意味
を表わし、縮合環は1〜2個の窒素原子(N)またはN
−オキシドを含んでもよい。)で示される縮合ヘテロ多
環式化合物を単独で、またはドーパント能を有する他の
アニオンと共に、微細孔を有する弁作用金属表面に形成
された誘電体被膜上で酸化剤の作用によって重合して、
誘電体被膜上に固体電解質層を形成することを特徴とす
る前記(1)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0067】(33) 縮合ヘテロ多環式化合物とし
て、ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシド、ジヒド
ロナフト[2,3−c]チオフェン−2−オキシド及び
ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−2−オキ
シド誘導体の中から選ばれる少なくとも1つを用いる前
記(32)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0068】(34) 縮合ヘテロ多環式化合物とし
て、1,3−ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシ
ド、5,6−ジオキシメチレン−1,3−ジヒドロイソ
チアナフテン−2−オキシド、5,6−ジメトキシ−
1,3−ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシド、
1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン−2
−オキシド及び1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]
キノキサリン−2−オキシドから選ばれる少なくとも1
つを用いる前記(32)に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0069】(35) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に固体電解質として導電性ポ
リチオフェン組成物を設けた固体電解コンデンサの製造
方法において、下記一般式(IX)
【化32】
【0070】(式中、R4及びR5は前記(17)の記載
と同じ意味を表わす。)で示されるチオフェンモノマー
をナフタレンスルホン酸アニオンの存在下で、過硫酸塩
の作用によって重合して、誘電体被膜上に固体電解質層
を形成することを特徴とする前記(1)に記載の固体電
解コンデンサの製造方法。
【0071】(36) 過硫酸塩が、過硫酸アンモニウ
ムまたは過硫酸カリウムである前記(35)に記載の固
体電解コンデンサの製造方法。
【0072】(37) 誘電体層の金属酸化物多孔質内
で酸化剤の作用による重合を少なくとも2回繰り返して
行う前記(29)乃至(36)のいずれかに記載の固体
電解コンデンサの製造方法。
【0073】(38) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からな
る固体電解質層を設けてなる固体電解コンデンサの製造
方法において、前記誘電体被膜上で下記一般式(VIII)
【化33】
【0074】(式中、R1、R2及びXは、前記(16)
に記載と同じ意味を表わす。)で示されるモノマー化合
物を、スルホキノンアニオンを供出できる化合物の存在
下で酸化剤により重合させて固体電解質層を形成するこ
とを特徴とする前記(15)に記載の固体電解コンデン
サの製造方法。
【0075】(39) 前記一般式(VIII)で示される
モノマー化合物が、下記一般式(IX)
【化34】 (式中、R4及びR5は、前記(17)に記載と同じ意味
を表わす。)で示される化合物である前記(38)に記
載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0076】(40) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からな
る固体電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法
において、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により
重合させて固体電解質層を形成する方法であって、前記
誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、モノマー化合物
を含む溶液に浸漬する工程と、酸化剤及びスルホキノン
アニオンを含む溶液に浸漬する工程を有することを特徴
とする前記(15)に記載の固体電解コンデンサの製造
方法。
【0077】(41) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、
酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する
工程を含む前記(40)に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0078】(42) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、
酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返す工程を含む前記(43)に記載の
固体電解コンデンサの製造方法。
【0079】(43) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、
酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う前記
(42)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0080】(44) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶
液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する
工程を含む前記(40)に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0081】(45) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液
に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する工
程を複数回繰り返す工程を含む前記(44)に記載の固
体電解コンデンサの製造方法。
【0082】(46) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶
液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う前記
(45)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0083】(47) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からな
る固体電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法
において、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により
重合させて固体電解質層を形成する方法であって、前記
誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、酸化剤を含む溶
液に浸漬する工程とモノマー化合物及びスルホキノンア
ニオンを含む溶液に浸漬する工程を有することを特徴と
する前記(15)に記載の固体電解コンデンサの製造方
法。
【0084】(48) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー
化合物及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する
工程を含む前記(47)に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0085】(49) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー
化合物及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返す工程を含む前記(48)に記載の
固体電解コンデンサの製造方法。
【0086】(50) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー
化合物及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う前記
(49)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0087】(51) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物及びスルホキノンアニオン
を含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する
工程を含む前記(47)に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0088】(52) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物及びスルホキノンアニオン
を含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返す工程を含む前記(51)に記載の
固体電解コンデンサの製造方法。
【0089】(53) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物及びスルホキノンアニオン
を含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する
工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う前記
(52)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0090】(54) 酸化剤が過硫酸塩である前記
(38)乃至(53)のいずれかに記載の固体電解コン
デンサの製造方法。
【0091】(55) 酸化剤が過硫酸塩であり、モノ
マー化合物が下記一般式(VIII)
【化35】 (式中、R1、R2及びXは、前記(16)に記載と同じ
意味を表わす。)で示される化合物である前記(40)
乃至(53)のいずれかに記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0092】(56) 前記一般式(VIII)で示される
モノマー化合物が、下記一般式(IX)
【化36】 (式中、R4及びR5は、前記(17)に記載と同じ意味
を表わす。)で示される化合物である前記(55)に記
載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0093】(57) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からな
る固体電解質層を設けてなる固体電解コンデンサの製造
方法において、前記誘電体酸化被膜上でモノマー化合物
を酸化剤により重合させる製造方法であって、下記一般
式(VIII)
【化37】
【0094】(式中、R1、R2及びXは、前記(27)
に記載と同じ意味を表わす。)で示されるモノマー化合
物を、アントラセンスルホン酸またはその誘導体から選
ばれる少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸ア
ニオンを供出できる化合物の存在下で重合させて固体電
解質層を形成することを特徴とする前記(22)に記載
の固体電解コンデンサの製造方法。
【0095】(58) 一般式(VIII)で示されるモノ
マー化合物が、下記一般式(IX)
【化38】 (式中、R4及びR5は、前記(28)に記載と同じ意味
を表わす。)で示される化合物である前記(57)に記
載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0096】(59) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からな
る固体電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法
において、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により
重合させて固体電解質層を形成する方法であって、前記
誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、モノマー化合物
を含む溶液に浸漬する工程と、酸化剤及び1つのスルホ
ン酸基を有するアントラセンスルホン酸またはその誘導
体から選ばれる少なくとも1種のアントラセンモノスル
ホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する工程を有すること
を特徴とする前記(22)に記載の固体電解コンデンサ
の製造方法。
【0097】(60) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、
酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸
漬する工程を含む前記(59)に記載の固体電解コンデ
ンサの製造方法。
【0098】(61) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、
酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前記(60)に
記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0099】(62) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、
酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う
前記(61)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0100】(63) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するア
ントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少
なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを
含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸
漬する工程を含む前記(59)に記載の固体電解コンデ
ンサの製造方法。
【0101】(64) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するア
ントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少
なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを
含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前記(63)に
記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0102】(65) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するア
ントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少
なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを
含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う
前記(64)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0103】(66) 微細孔を有する弁作用金属表面
に形成された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からな
る固体電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法
において、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により
重合させて固体電解質層を形成する方法であって、前記
誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、酸化剤を含む溶
液に浸漬する工程とモノマー化合物及び1つのスルホン
酸基を有するアントラセンスルホン酸またはその誘導体
から選ばれる少なくとも1種のアントラセンモノスルホ
ン酸アニオンを含む溶液に浸漬する工程を有することを
特徴とする前記(22)に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0104】(67) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー
化合物及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸
漬する工程を含む前記(66)に記載の固体電解コンデ
ンサの製造方法。
【0105】(68) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー
化合物及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前記(67)に
記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0106】(69) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー
化合物及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う
前記(68)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0107】(70) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物及び1つのスルホン酸基を
有するアントラセンスルホン酸またはその誘導体から選
ばれる少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸ア
ニオンを含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸
漬する工程を含む前記(66)に記載の固体電解コンデ
ンサの製造方法。
【0108】(71) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物及び1つのスルホン酸基を
有するアントラセンスルホン酸またはその誘導体から選
ばれる少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸ア
ニオンを含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前記(70)に
記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0109】(72) 前記誘電体被膜層を形成した弁
作用金属を、モノマー化合物及び1つのスルホン酸基を
有するアントラセンスルホン酸またはその誘導体から選
ばれる少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸ア
ニオンを含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う
前記(71)に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0110】(73) モノマー化合物が、下記一般式
(VIII)
【化39】 (式中、R1、R2及びXは、前記(27)に記載と同じ
意味を表わす。)で示される化合物である前記(59)
乃至(72)のいずれかに記載の固体電解コンデンサの
製造方法。
【0111】(74) 前記一般式(VIII)で示される
モノマー化合物が、下記一般式(IX)
【化40】 (式中、R4及びR5は、前記(28)に記載と同じ意味
を表わす。)で示される化合物である前記(73)に記
載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0112】(75) 酸化剤が過硫酸塩である前記
(57)乃至(74)のいずれかに記載の固体電解コン
デンサの製造方法。
【0113】本発明の固体電解コンデンサにおいて使用
する弁作用金属とは、アルミニウム、タンタル、チタ
ン、ニオブ、ジルコニウム、マグネシウム、珪素などの
単体金属、またはこれらの合金である。それらの形態
は、圧延箔のエッチング物、微粉焼結体など微細孔を有
する成形体の形態であればよい。
【0114】これらの弁作用金属には酸化物からなる誘
電体被膜が形成されている。本発明の固体電解コンデン
サの一つは、熱応力緩和特性等を具備させるために固体
電解質層の少なくとも一部を層状構造としたものであ
る。
【0115】固体電解質層は弁作用金属表面の誘電体層
上の微細孔部分内及びその外部表面に形成される。この
外部表面層の厚さは1〜200μmの範囲、好ましくは
1〜100μmの範囲である。本発明において上記の層
状構造はこの外部表面に多く形成されるが微細孔部分内
にも形成されていることが望ましい。層の配列方向は多
くは弁作用金属面にほぼ平行に形成されている。そして
隣接する層間の少なくとも一部には空間部が形成されて
いる。層状構造をなす各層の一層当りの厚さは0.01
〜5μmの範囲であり、好ましくは0.01〜1μmの
範囲、さらに好ましくは0.1〜0.3μmの範囲であ
る。
【0116】本発明の固体電解コンデンサにおいて使用
される固体電解質は、π電子共役系高分子またはそれ以
外の高分子、これらの複合物が好ましいが、特にπ電子
共役系高分子あるいはこれを含む高分子が好ましい。
【0117】π電子共役系高分子としては前記一般式
(I)の高分子が好適である。
【化41】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)
【0118】一般式(I)において、置換基R1、R2
及びxがNR3の場合のR3はC1〜6の直鎖状もしくは
分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。具体
例としては、メチル、エチル、ビニル、プロピル、アリ
ル、イソプロピル、ブチル、1−ブテニルが挙げられ
る。また、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和また
は不飽和のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシが挙
げられる。さらに、前記炭化水素基やアルコキシ基以外
の置換基としては、例えば、ニトロ基、シアノ基、フェ
ニル及び置換フェニル(Cl、Br、F等のハロゲン基
置換フェニル)が挙げられる。前記のR1、R2のアルキ
ル基、アルコキシ基の鎖中には、カルボニル結合、エー
テル結合、エステル結合、アミド結合、イミノ結合を任
意に含有してもよく、特に有用な例としてはメトキシエ
トキシ、メトキシエトキシエトキシが挙げられる。
【0119】また、前記置換基R1及びR2は、互いに任
意の位置で結合して、少なくとも1つ以上の5〜7員環
の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価の基を
形成してもよい。このような、一般式(I)の二価の基
の例としては、3,4−プロピレン置換構造、3,4−
ブチレン置換構造、3,4−ブテニレン置換構造、3,
4−ブタジエニレン置換構造、ナフト[2,3−c]縮
合構造が挙げられる。
【0120】Xはヘテロ原子を表わす。具体例として
は、S、O、Se、TeまたはNR3である。XがSで
ある前記3,4−ブタジエニレン置換構造は、一般式
(I)の化学構造の場合は別名イソチアナフテニレン構
造と呼ばれる。さらに、ナフト[2,3−c]縮合構造
は、一般式(I)の場合はナフト[2,3−c]チエニ
レン縮合構造である。式中、δは繰り返し構造単位当り
の荷電数を表わし、0〜1の範囲の値である。
【0121】前記一般式(I)で示される高分子として
は、例えば下記一般式(II)
【化42】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
る高分子が挙げられる。
【0122】一般式(II)中のR4及びR5の置換基の例
としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ビニル、アリルが挙げられる。さらに、R4及びR5のC
1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、前
記一般式(II)中に記載の2つの酸素元素を含む少なく
とも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を
形成する置換基を表わし、例えば1,2−エチレン、
1,2−プロピレン、1,2−ジメチル−エチレンが好
ましい。また、前記環状構造には置換されていてもよい
ビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェ
ニレン構造のものが含まれ、例えば、1,2−ビニレ
ン、1,2−プロペニレン、2,3−ブチレン−2−エ
ン、1,2−シクロヘキシレン、メチル−o−フェニレ
ン、1,2−ジメチル−o−フェニレン、エチル−o−
フェニレンが挙げられる。
【0123】上記した本発明の固体電解コンデンサは、
誘電体層上の固体電解質の少なくとも一部が層状構造を
なし、さらに好ましくは隣接する層間の少なくとも一部
に空間部を有する導電性高分子層を設けているため、熱
応力を有効に緩和できる。また、好ましくは弁作用金属
の外部表面に形成された導電性高分子等の固体電解質層
にも空間部が形成されているため、導電ペースト層が空
間内に入り込み、良好な密着性が得られる。微細孔内に
空間部が形成されていると酸素の供給が確保され、導通
時における誘電体被膜の修復能力が向上する。
【0124】固体電解質層に層状構造及び空間部を形成
するには、例えば、後述の実施例に示すようにモノマー
と酸化剤を所定の方法で供給し、重合させる工程を繰り
返す方法を用いることができる。酸化剤としては、Fe
Cl3やFeClO4、Fe(有機酸アニオン)塩等のF
e(III)系化合物類、または無水塩化アルミニウム/
塩化第一銅、アルカリ金属過硫酸塩類、過硫酸アンモニ
ウム塩類、過酸化物類、過マンガン酸カリウム等のマン
ガン類、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4
−ベンゾキノン(DDQ)、テトラクロロ−1,4−ベ
ンゾキノン、テトラシアノ−1,4−ベンゾキノン等の
キノン類、よう素、臭素等のハロゲン類、過酸、硫酸、
発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、ア
ミド硫酸等のスルホン酸、オゾン等及びこれら複数の酸
化剤の組み合わせなどが用いられる。
【0125】次にハンダ耐熱性等を高めた本発明の固体
電解コンデンサについて説明する。このコンデンサは固
体電解質として一般式(III)
【化43】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
る縮合ヘテロ多環式重合体を使用するものである。
【0126】一般式(III)で示される重合体はその繰
り返しの構成単位が前記一般式(VI)
【化44】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
る縮合ヘテロ多環式化合物である。
【0127】一般式(VI)で示される化合物は、具体的
には例えばk=0である下記一般式(X)
【化45】
【0128】(式中、R6、R7、R8及びR9は一般式
(VI)と同じ意味を表わし、式中の縮合環には窒素また
はN−オキシドを任意に含んでもよい。)で示される
1,3−ジヒドロイソチアナフテン(別名、1,3−ジ
ヒドロベンゾ[c]チオフェンとも言う。)骨格を有す
る誘導体であり、また、k=1である下記一般式(XI)
【0129】
【化46】
【0130】(式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR
11は一般式(VI)と同じ意味を表わし、式中の縮合環に
は窒素またはN−オキシドを任意に含んでもよい。)で
示される1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフ
ェン骨格を有する誘導体である。さらには、1,3−ジ
ヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する
誘導体や1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チ
オフェン骨格を有する誘導体も例示として挙げることが
できる。
【0131】また、一般式(VI)で示される縮合ヘテロ
多環式化合物の置換基R6、R7、R 8、R9のうち、隣合
う2つの置換基が相互に不飽和結合で結合しあって縮合
系6員環(オルソ置換)を新たに形成する誘導体も含ま
れ、例えばその具体例としては、式中k=0の場合にお
いては、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフ
ェン誘導体が、また式中k=1の場合では1,3−ジヒ
ドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体や
1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェ
ン誘導体が、そして式中k=2の場合では1,3−ジヒ
ドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェ
ン誘導体等が包含される。
【0132】また、一般式(VI)で示される縮合ヘテロ
多環式化合物の縮合環には窒素またはN−オキシドを任
意に含んでもよく、例えば、式中k=0の場合では1,
3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや1,
3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−
オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノ
キサリン−4,9−ジオキシドを挙げることができる。
【0133】また、R6、R7、R8、R9、R10及びR11
が表わす置換フェニルの置換基としては、Cl、Br、
I、FまたはCF3が挙げられる。このように、一般式
(VI)で示される縮合ヘテロ多環式化合物は、前記の如
く1,3−ジヒドロ型の縮合ヘテロ多環式化合物骨格を
有し、本発明に記載の酸化反応プロセスによって容易に
導電性重合体を与えることができる。
【0134】上記の一般式(VI)、(X)、(XI)の化
合物を繰り返しの構造単位とする重合体が各々一般式
(III)、(IV)、(V)に示す重合体である。
【0135】
【化47】
【0136】
【化48】
【0137】
【化49】
【0138】上記一般式(VI)、(IX)、(X)の化合
物としては、例えば以下の構造式で示される化合物を挙
げることができる。
【0139】
【化50】
【0140】
【化51】
【0141】
【化52】
【0142】
【化53】
【0143】
【化54】
【0144】
【化55】
【0145】
【化56】
【0146】
【化57】
【0147】
【化58】
【0148】
【化59】
【0149】
【化60】
【0150】
【化61】
【0151】
【化62】
【0152】
【化63】
【0153】
【化64】
【0154】
【化65】
【0155】
【化66】
【0156】
【化67】
【0157】
【化68】
【0158】
【化69】
【0159】さらに本発明の固体電解コンデンサにおい
ては、特定の導電性ポリチオフェン組成物を固体電解質
として用いることによりリフロー耐熱性等を高めること
ができる。この導電性ポリチオフェン組成物は導電性ポ
リチオフェンに硫酸イオンを含むことが好ましく、さら
に他のドーパント能を有するアニオンを含むことが好ま
しい。
【0160】この場合の導電性ポリチオフェンとしては
前記一般式(II)、すなわち下記の構造式のものが好適
に用いられる。
【化70】
【0161】式中のR4及びR5は、各々独立に水素また
はC1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽
和のアルキル基を表わし、好ましい置換基としてメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ビニル、アリル
が挙げられる。さらに、R4及びR5のC1〜6の炭化水
素基が互いに任意の位置で結合して、前記一般式(II)
中に記載の2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の
5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基
を表わし、例えば、1,2−エチレン、1,2−プロピ
レン、1,2−ジメチル−エチレンが好ましい。
【0162】また、R4及びR5は、前記C1〜6の炭化
水素基が互いに任意の位置で結合して、置換ビニレン基
または置換o−フェニレン基等の不飽和炭化水素の環状
構造を形成してもよく、例えば、1,2−ビニレン、
1,2−プロペニレン、2,3−ブチレン−2−エン、
1,2−シクロヘキシレン、メチル−o−フェニレン、
1,2−ジメチル−o−フェニレン、エチル−o−フェ
ニレンが挙げられる。δは0〜1の範囲である。
【0163】上記の導電性ポリチオフェン組成物中の硫
酸イオンは過硫酸アンモニウムやアルカリ金属過硫酸塩
等の過硫酸塩の還元体に由来させることが好ましい。
【0164】本発明の固体電解コンデンサにおいて、リ
フロー耐熱性等を高めた前記一般式(III)〜(V)の
縮合ヘテロ多環式重合体や前記導電性ポリチオフェン組
成物を用いて固体電解質層の少なくとも一部を層状構造
とすることができる。この場合に層状構造の層間の少な
くとも一部に空間部を形成することが好ましい。その他
層状構造は弁作用金属の外部表面に形成されるが誘電体
被膜上の微細孔内にも形成されていることが望ましいこ
と、層状構造をなす固体電解質の各層の1層当りの厚さ
が0.01〜5μm、弁作用金属の外部表面に形成され
る固体電解質層の厚さは1〜200μm、好ましくは1
〜100μmである等は前記した通りである。
【0165】このように構成することにより固体電解質
がリフロー耐熱性に優れるばかりでなく、熱応力の緩和
能力、導電ペーストとの密着性、誘電体酸化皮膜の修復
能力に優れた固体電解コンデンサが得られる。
【0166】次に製造方法の発明について説明する。本
発明の固体電解コンデンサは固体電解質である前記各ヘ
テロ化合物重合体の繰り返しの構造単位に対応した各々
のヘテロ環状化合物を微細孔を有する弁作用金属表面に
形成された誘電体被膜上で酸化剤の作用によって重合さ
せ、その重合体を固体電解質層とすることによって製造
することができる。
【0167】前記(29)項の固体電解コンデンサの製
造方法の発明は前記一般式(VI)で示される縮合ヘテロ
多環式化合物を上記同様重合させる方法である。この方
法によって一般式(III)の縮合ヘテロ多環式重合体が
得られる。
【0168】一般式(VI)においてk=0である縮合ヘ
テロ多環式化合物は前記一般式(X)で示されるもので
あり、またk=1である化合物は前記一般式(XI)で示
されるものである。一般式(X)、(XI)における具体
的化合物は前記構造式(a)〜(t)に示すものなど前
記のものと同様である。この一般式(X)あるいは(X
I)で示される化合物を重合することにより、各々一般
式(IV)あるいは(V)に示す縮合ヘテロ多環式重合体
が得られる。
【0169】また前記(32)項の発明は一般式(VI
I)
【化71】
【0170】(式中の記号は、前記と同じ意味を表わ
す。)で示される縮合ヘテロ多環式化合物を前記と同様
に重合させる方法である。この方法により前記一般式
(III)で示される縮合ヘテロ多環式重合体が得られ
る。
【0171】一般式(VII)においてk=0である縮合
ヘテロ多環式化合物は下記一般式(XII)
【化72】
【0172】(式中、R6、R7、R8及びR9は一般式
(VII)と同じ意味を表わし、また式中の縮合環には窒
素またはN−オキシドを任意に含んでもよい。)で示さ
れる1,3−ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシド
(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン−2
−オキシドとも言う。)骨格を有する誘導体であり、ま
た、k=1である化合物は下記一般式(XIII)
【0173】
【化73】
【0174】(式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR
11は一般式(VII)と同じ意味を表わし、また式中の縮
合環には窒素またはN−オキシドを任意に含んでもよ
い。)で示される1,3−ジヒドロナフト[2,3−
c]チオフェン−2−オキシド骨格を有する誘導体であ
る。さらには、1,3−ジヒドロアントラ[2,3−
c]チオフェン−2−オキシド骨格を有する誘導体や
1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン
−2−オキシド骨格を有する誘導体も例として挙げるこ
とができる。
【0175】また、一般式(VII)で示される縮合ヘテ
ロ多環式化合物の置換基R6、R7、R8、R9のうち、隣
合う2つの置換基が相互に不飽和結合で結合しあって縮
合系6員環(オルソ置換)を新たに形成する誘導体も含
まれ、その具体例としては、式中k=0の場合において
は、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン
−2−オキシド誘導体が、また式中k=1の場合では
1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェ
ン−2−オキシド誘導体や1,3−ジヒドロトリフェニ
ロ[2,3−c]チオフェン−2−オキシド誘導体が、
そして式中k=2の場合では1,3−ジヒドロベンゾ
[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン−2−オ
キシド誘導体等が包含される。
【0176】また、一般式(VII)で示される縮合ヘテ
ロ多環式化合物の縮合環は窒素またはN−オキシドを任
意に含んでもよい。例えば、式中k=0の場合では1,
3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−2−
オキシドや1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノ
キサリン−2,4−ジオキシド、1,3−ジヒドロチエ
ノ[3,4−b]キノキサリン−2,4,9−トリオキ
シドを挙げることができる。
【0177】このように、一般式(VII)で示される縮
合ヘテロ多環式化合物は、前記の如く1,3−ジヒドロ
−2−オキシド型の縮合ヘテロ多環式化合物骨格を有
し、本発明に記載の酸化反応プロセスによって容易に導
電性重合体組成物を与えることができる。一般式(XI
I)、一般式(XIII)で示される具体的化合物としては
以下の化合物を挙げることができる。
【0178】
【化74】
【0179】
【化75】
【0180】
【化76】
【0181】
【化77】
【0182】
【化78】
【0183】
【化79】
【0184】
【化80】
【0185】
【化81】
【0186】
【化82】
【0187】
【化83】
【0188】
【化84】
【0189】
【化85】
【0190】
【化86】
【0191】
【化87】
【0192】
【化88】
【0193】
【化89】
【0194】
【化90】
【0195】
【化91】
【0196】
【化92】
【0197】
【化93】
【0198】上記の一般式(VI)及び一般式(VII)の
化合物の重合方法は、縮合ヘテロ多環式化合物の酸化的
脱水素反応(重合反応)が特徴であり、さらに一般式
(VII)の化合物ではこの反応に加えて分子内脱水反応
が金属酸化物誘電体層(被膜)の微細孔内において起こ
ることが特徴であり、そのような反応であるため、より
活性化され、重合反応が促進されて、容量、tanδ、
漏れ電流、インピーダンス及びリフロー耐熱性等のコン
デンサ特性上好ましい、高電導度の重合体を効果的に得
ることが出来る。
【0199】すなわち、一般式(VI)の反応による固体
電解質(重合体)の製造方法によれば、縮合ヘテロ多環
式化合物の脱水素的酸化反応(4電子酸化)が、金属酸
化物表面または近傍で溶媒の存在下または無溶媒下で短
時間かつ簡便な反応条件で効果的に達成可能であって、
従来既知のピロール類またはチオフェン類の脱水素的酸
化反応(この場合2電子酸化重合)に比べて、産業上有
用な固体電解コンデンサ特性を提供することができる。
【0200】前記誘電体層中でのin-situ化学重合によ
り促進効果が得られる原理は定かではないが、該誘電体
の複雑な微細構造の寄与または大きな比表面積による効
果または酸化物薄膜の持つ表面自由エネルギーの寄与等
が考えられる。
【0201】これまで重合体を製造する公知の方法とし
ては、例えば、特開昭63-118323号公報及び特開平2-242
816号公報において、1,3−ジヒドロイソチアナフテ
ン構造を有するモノマーが酸化剤の存在下で酸化的に重
合される方法が開示されている。しかしながら、これら
は単なる高分子化学の重合方法の例示であり、金属酸化
物表面での効果を利用する本発明記載の化学反応プロセ
ス(in-situ化学重合法)については全く記載されてい
ない。また、Synthetic Metals誌(16巻,379〜380頁,
1986年)においては、1,3−ジヒドロイソチアナフテ
ン構造を有するモノマーを酸素と酸化剤の共存下で酸化
的に重合する方法が開示されているが、これも単なる合
成反応の例示である。特開昭62-118509号公報及び特開
昭62-118511号公報においては、重合体は電気化学的に
重合されたものを固体電解質として利用したものであ
り、製造プロセスが本発明の方法とは異なり、得られる
コンデンサの特性も本発明のそれとは異なる。
【0202】一般式(VII)の化合物の反応による固体
電解質(重合体)の製造方法によれば、1,3−ジヒド
ロ−2−オキシド型の縮合ヘテロ多環式化合物(モノマ
ー)は、誘電体層内において分子内脱水反応及び脱水素
的2電子酸化反応(重合)を受けて、適正な電導度を有
する重合体組成物をin-situ的に生成する。すなわち、
その特徴として前記記載の分子内脱水反応及び脱水素的
2電子酸化反応が、金属酸化物表面または近傍で溶媒の
存在下または無溶媒下で短時間かつ簡便な反応条件で効
果的に達成可能であって、従来既知のピロール類または
チオフェン類の脱水素的酸化反応のみ(この場合は2電
子酸化重合)に比べて、産業上有用な固体電解コンデン
サ特性を提供することができる。前記誘電体層中でのin
-situ化学重合の促進効果は、該誘電体が酸化物である
ために分子内脱水反応を誘発し(ルイス酸としての脱水
作用)、また該誘電体層の大きな比表面積を持つ等の寄
与により、前記酸化剤による脱水素的2電子酸化反応が
効果的に促進されるものである。
【0203】これまで重合体の製造方法に関する公知の
方法(例えば、J. Org. Chem.誌,49巻,3382頁,1984
年)において、1,3−ジヒドロイソチアナフテン−2
−オキシド構造を有するモノマーが硫酸の存在下で重合
されてポリイソチアナフテン構造の重合体組成物を与え
る方法が開示されているが、これらは単なる高分子化学
の重合方法の例示であり、金属酸化物表面での効果を利
用する本発明記載の化学反応プロセス(in-situ化学重
合法)については全く記載されていない。
【0204】上記した本発明の製造方法によれば、固体
電解コンデンサの高容量化を図ることができる。すなわ
ち、直接金属酸化物被膜を有する箔(例えば、アルミニ
ウム化成箔)中で前記化合物モノマーを単独で、または
他のドーパント能を有するアニオンと共に、酸化剤の投
入によって、脱水素的4電子酸化反応(重合)(一般式
(VI)の化合物の場合)、分子内脱水反応及び脱水素的
2電子酸化反応(重合)(一般式(VII)の化合物の場
合)を段階的に複数回繰り返して実施することにより、
重合体組成物を箔中に効果的に充填形成することができ
る。具体的には、縮合ヘテロ多環式化合物の重合におい
て、先ず細孔構造を有する金属酸化物表面に酸化剤を溶
液法による塗布、または気相法による昇華、蒸着等によ
る方法で担持活性化させ、次いでまた必要に応じてドー
パント能を有する他のアニオンを供与する化合物と共に
縮合ヘテロ多環式化合物を微細構造表面に導入すること
によって、重合体組成物を誘電体層上または近傍に形成
させるものである。この反応を段階的に繰り返し行うこ
とにより、重合体組成物の固体電解質を細孔内部に効果
的に充填形成することができる。これにより、固体電解
質層内における導電パスの均一性が格段に改善でき、ま
た細孔内部の不要な応力形成を防止(誘電体層の破壊防
止)でき、結果的に高容量かつ低インピーダンスの優れ
たコンデンサ特性を実現することができる。
【0205】さらに、本発明の製造方法により、ハンダ
耐熱性(熱安定性)の優れた固体電解コンデンサを得る
ことができる。すなわち、従来既知のポリピロール等か
らなる固体電解質を用いたコンデンサでは、高温高湿度
でのLCR(インダクタンス・キャパシタンス抵抗)値
の変動が大きく信頼性を悪くしていたが、本発明による
化学構造の導電性組成物は、熱安定性に優れかつドープ
状態の安定性がよく、さらにはこれらの重合性組成物を
誘電体表面に段階的に析出させるために重合体組成物の
薄い膜質が何層にも重なった状態を作ることができ、重
合体が誘電体被膜に対するダメージを生じない熱安定性
に優れたコンデンサを提供することができる。
【0206】本発明の製造方法において用いられる酸化
剤は、脱水素的4電子酸化、脱水素的2電子酸化の酸化
反応を充分行わせ得る酸化剤であれば良く、さらに微細
孔内で反応させるという使用環境においてコンデンサ性
能を向上させ得る酸化剤であれば良く、工業的に安価で
あり製造上取り扱いが容易である化合物が好まれる。具
体的には、例えばFeCl3やFeClO4、Fe(有機
酸アニオン)塩等のFe(III)系化合物類、または無
水塩化アルミニウム/塩化第一銅、アルカリ金属過硫酸
塩類、過硫酸アンモニウム塩類、過酸化物類、過マンガ
ン酸カリウム等のマンガン類、2,3−ジクロロ−5,
6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、テト
ラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−1,
4−ベンゾキノン等のキノン類、よう素、臭素等のハロ
ゲン類、過酸、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫
酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸等のスルホン酸、オゾン
等及びこれら複数の酸化剤の組み合わせが挙げられる。
【0207】これらの中で、前記Fe(有機酸アニオ
ン)塩を形成する有機酸アニオンの基本化合物として
は、有機スルホン酸または有機カルボン酸、有機リン
酸、有機ホウ酸等が挙げられる。有機スルホン酸の具体
例としては、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホ
ン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、α−スル
ホ−ナフタレン、β−スルホ−ナフタレン、ナフタレン
ジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(アルキ
ル基としてはブチル、トリイソプロピル、ジ−t−ブチ
ル等)等が使用される。
【0208】一方、有機カルボン酸の具体例としては、
酢酸、プロピオン酸、安息香酸、シュウ酸等が挙げられ
る。さらに本発明においては、ポリアクリル酸、ポリメ
タクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスル
ホン酸、ポリビニル硫酸ポリ−α−メチルスルホン酸、
ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質
アニオンも使用されるが、これら有機スルホン酸または
有機カルボン酸の例は単なる例示であってこれらに限定
されない。また、前記アニオンの対カチオンは、H+
Na+、K+等のアルカリ金属イオン、または水素原子や
テトラメチル基、テトラエチル基、テトラブチル基、テ
トラフェニル基等で置換されたアンモニウムイオン等が
例示されるが、これらに限定されない。前記の酸化剤の
うち、特に好ましいのは、3価のFe系化合物類、また
は塩化第一銅系、過硫酸アルカリ塩類、過硫酸アンモニ
ウム塩類、マンガン酸類、キノン類を含む酸化剤が好適
に使用できる。
【0209】本発明の重合体組成物の製造方法において
必要に応じて共存させるドーパント能を有するアニオン
は、前記酸化剤から産生される酸化剤アニオン(酸化剤
の還元体)を対イオンに持つ電解質化合物または他のア
ニオン系電解質を使用することができる。具体的には例
えば、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -の如き5B族元素の
ハロゲン化物アニオン、BF4 -の如き3B族元素のハロ
ゲン化物アニオン、I -(I3 -)、Br-、Cl-の如き
ハロゲンアニオン、ClO4 -の如き過ハロゲン酸アニオ
ン、AlCl4 -、FeCl4 -、SnCl5 -等の如きルイ
ス酸アニオン、あるいはNO3 -、SO4 2-の如き無機酸
アニオン、またはp−トルエンスルホン酸やナフタレン
スルホン酸、C1〜5のアルキル置換ナフタレンスルホ
ン酸、CF3SO3 -,CH3SO3 -の如き有機スルホン酸
アニオン、またはCH3COO-、C65COO-のごと
きカルボン酸アニオン等のプロトン酸アニオンを挙げる
ことができる。また、同じく、ポリアクリル酸、ポリメ
タクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスル
ホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン
酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電
解質アニオン等を挙げることができるが、必ずしも限定
されるものではない。しかしながら、好ましくは、高分
子系及び低分子系の有機スルホン酸化合物あるいはポリ
リン酸化合物が挙げられ、望ましくは芳香族系のスルホ
ン酸化合物(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
ナフタレンスルホン酸ナトリウム等)が用いられる。
【0210】本発明の製造方法において用いられる反応
溶媒は、モノマーあるいは酸化剤、ドーパント能を有す
る電解質を共に、またはそれぞれ単独に溶解可能な溶媒
であれば良く、例えばテトラヒドロフラン(THF)や
ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、あるい
はジメチルホルムアミド(DMF)やアセトニトリル、
ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性
溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、クロロ
ホルムや塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶媒、ニ
トロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ
化合物、あるいはメタノールやエタノール、プロパノー
ル等のアルコール類、または蟻酸や酢酸、プロピオン酸
等の有機酸または該有機酸の酸無水物(無水酢酸等)、
水、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
また、前記酸化剤及び/またはドーパント能を有する電
解質およびモノマーは、それぞれ単独に溶解した溶媒
系、すなわち2液系もしくは3液系で取り扱って誘電体
層内に化合物を導入し重合反応に供してもよい。
【0211】本発明の前記(35)項の製造方法は、下
記一般式(VIII)
【化94】
【0212】(式中、R1、R2及びXは前記と同じ意味
を表わす。)で示されるヘテロ環化合物モノマーの中
で、特に下記一般式(IX)
【化95】
【0213】(式中、R4及びR5は前記と同じ意味を表
わす。)で示されるをチオフェンモノマーをナフタレン
スルホン酸アニオンの存在下で過硫酸塩(酸化剤)の作
用によって重合する方法である。
【0214】この方法によって硫酸イオン及びナフタレ
ンスルホン酸イオンを含有する導電性ポリチオフェン組
成物からなる電解質層が形成される。この組成物中のポ
リチオフェンは前記一般式(II)に示すものである。一
般式(IX)中の好ましい置換基等は一般式(II)の導電
性ポリチオフェンの説明についての記載と同様である。
【0215】本発明の上記製造方法において使用され
る、前記一般式(IX)のチオフェン類のうち、3,4−
ジオキシエチレン−チオフェンをはじめとする一部のモ
ノマー化合物は公知であり(特開平2-15611号公報(米
国特許第4,910,645号))、本発明で使用する過硫酸塩
の酸化剤のうち、過硫酸アンモニウム(APSと略す
る。)やアルカリ金属過硫酸塩の使用も公知である。
【0216】しかしながら、本発明は酸化重合後の導電
性組成物中の硫酸イオン含量が0.1〜10モル%の範
囲であり、好ましくは0.2〜5モル%で、かつナフタ
レンスルホン酸イオン含有量が1〜50モル%の範囲で
あり、好ましくは5〜40モル%であることを特徴とす
る。
【0217】このような導電性組成物中に前記一般式
(IX)で示される構造単位を含む重合体を固体電解質と
した固体電解コンデンサは、耐電圧特性に特に優れたも
のでありこれまで知られていなかった。さらに本発明
は、前記硫酸イオン含有量とナフタレンスルホン酸イオ
ン含有量の総計値が、導電性組成物の全重量に対して、
1.1〜60モル%の範囲であることが好ましい。前記
の製造方法において、該組成物の硫酸イオン等が上記の
範囲になるように製造条件を定めることができる。
【0218】コンデンサの製造方法において、前記した
ように高容量の高周波特性並びにtanδ、漏洩電流、
耐熱性(リフロー性)、耐久性等を改善するためには前
記固体電解質の形成方法が重要である。そのためには固
体電解質を密に充填形成して導電パスの均一性を改善す
ることは重要であり、導電性組成物の構成が非常にコン
デンサ特性に影響を与える。本発明においては、前記チ
オフェンモノマーをナフタレンスルホン酸アニオンの存
在下で、過硫酸塩の作用によって酸化重合させて該固体
電解質を製造する工程を、1つの陽極基板(弁作用金
属)に対して複数回、好ましくは5〜20回繰り返すこ
とによって容易に達成することができる。この場合、前
記チオフェンモノマーとナフタレンスルホン酸アニオン
を含む溶液(溶液1)を誘電体層に塗布または浸漬する
工程と、過硫酸塩を溶解した溶液(溶液2)を前後して
別々に塗布または浸漬する工程を含んでもよい。また、
溶液1及び溶液2の溶媒は同じでもよく、あるいは異な
った溶媒系でもよい。
【0219】さらに前記酸化重合の繰り返し処理は、ハ
ンダ耐熱性(熱安定性)の優れた固体電解質の生成を容
易にする。本発明の方法で得られる導電性組成物の固体
電解質を具備したコンデンサは、熱安定性に優れかつド
ープ状態の安定性がよい。これは、前記硫酸イオンとナ
フタレンスルホン酸イオンを有する重合体組成物が誘電
体表面および細孔内部まで充填よく段階的に析出させる
ことができるために、重合体組成物の薄い膜質が何層に
も重なった状態を作ることができ、これにより重合体が
誘電体被膜に対するダメージを生じない熱安定性に優れ
たコンデンサが得られるからである。
【0220】この製造方法において用いられる過硫酸塩
としては過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムが好
ましい。また製造方法において用いられる反応溶液の溶
媒は一般式(VI)、(VII)の化合物の反応において用
いられる前記の溶媒と同様のものである。以下に一般式
(VI)、(VII)及び(IX)で示される化合物を用いた
場合の重合反応の好ましい条件について説明する。
【0221】上記の製造方法において用いられる一般式
(VI)、(VII)及び(IX)のモノマー濃度は、その化
合物の置換基(種類)や溶媒等の種類によって異なる
が、一般には10-3〜10モル/リットルの範囲が望ま
しく、10-2〜5モル/リットルの範囲がさらに好まし
い。反応温度は、それぞれ反応方法によって定められる
もので特に限定できるものではないが、一般的には−7
0〜250℃の温度範囲で選ばれる。望ましくは、0〜
150℃であり、さらに15〜100℃の温度範囲で行
われることが好ましい。
【0222】上記の重合方法においては、先ず酸化剤を
誘電体層の表面に担持させ、次いでモノマーを供給し、
重合させることが好ましい。以上のように本発明の固体
電解コンデンサは各種の方法によって製造されるが、得
られる固体電解質の電導度は、0.1〜200S/cm
の範囲であるが、望ましい条件では1〜100S/c
m、さらに好ましくは10〜100S/cmの範囲であ
る。
【0223】固体電解コンデンサには一般に固体電解質
層(半導体)上に電気的接触をよくするために導電体層
が設けられる。本発明のコンデンサについても、導電ペ
ーストの固体、またはメッキや金属蒸着、導電樹脂フィ
ルムの形成等によりこのような導電体層を設けることが
好ましい。
【0224】次に、本発明の好ましい態様である、前記
(15)〜(21)項及び(38)〜(56)項に記載
の、固体電解質中に一つ以上のスルホアニオン基とキノ
ン構造を分子内に有するスルホキノンを含み、かつ前記
キノン以外のドーパントとして、他のドーパント能を有
するアニオンを併含する小型で低インピーダンスかつ火
花電圧試験に耐久性のある高性能な固体電解コンデンサ
及びその製造方法について説明する。
【0225】本発明では、導電性高分子組成物中に、一
つ以上のスルホアニオン基とキノン構造を分子内に有す
るスルホキノン(以下、単にスルホキノンと略する。)
アニオンを主要なドーパント能を有するアニオンとして
含み、かつ助ドーパントとしてスルホキノン以外のアニ
オンを併含することにより、耐熱性がある好ましい導電
性高分子組成物層(電荷移動錯体)を形成することがで
き、この結果低インピーダンス特性に優れた固体電解コ
ンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
【0226】ここで使用する導電性高分子組成物中のπ
電子共役高分子は、前記したポリマー主鎖構造にπ電子
共役系構造を有する高分子である。具体例としてはポリ
アニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビ
ニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリヘテロ環式高分
子及びその置換誘導体が挙げられる。好ましい具体例と
して用いられるポリヘテロ環式高分子は、前記一般式
(I)
【0227】
【化96】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
る構造単位を含むπ電子共役高分子であり、さらに好ま
しくは前記一般式(II)
【0228】
【化97】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
る構造単位を含むπ電子共役高分子である。
【0229】前記一般式(I)の重合体は、一般式(VI
II)
【化98】 (式中、R1、R2及びXは前記と同じ意味を表わす。)
で示されるヘテロ環化合物を重合することにより得ら
れ、また前記一般式(II)の重合体は、一般式(IX)
【0230】
【化99】 (式中、R4及びR5は前記と同じ意味を表わす。)で示
される化合物を重合することにより得られる。
【0231】前記一般式(I)及び一般式(VIII)に関
し、置換基R1、R2、R3のC1〜6の直鎖状もしくは
分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。具体
例としては、メチル、エチル、ビニル、プロピル、アリ
ル、イソプロピル、ブチル、1−ブテニルが挙げられ
る。また、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和また
は不飽和のアルコキシ基の有用な例としては、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ
が挙げられる。さらに、前記炭化水素基やアルコキシ基
以外の有用な置換基としては、ニトロ基、シアノ基、フ
ェニル及び置換フェニル(Cl、Br、F等のハロゲン
基置換フェニル)が挙げられる。前記のR1、R2のアル
キル基、アルコキシ基の鎖中には、カルボニル結合、エ
ーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミノ結合を
任意に含有してもよく、特に有用な例としてはメトキシ
エトキシ、メトキシエトキシエトキシが挙げられる。
【0232】また、前記置換基R1及びR2が互いに任意
の位置で結合して、少なくとも1つ以上の5〜7員環の
飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価の基を形
成してもよい。例えば、一般式(I)または一般式(VI
II)の置換例としては、下記に示す3,4−プロピレン
置換構造、3,4−ブチレン置換構造、3,4−ブテニ
レン置換構造、3,4−ブタジエニレン置換構造、ナフ
ト[2,3−c]縮合構造が挙げられる。
【0233】
【化100】
【0234】
【化101】
【0235】Xはヘテロ原子を表わす。具体例として
は、S、O、Se、TeまたはNR3である。XがSで
ある前記3,4−ブタジエニレン置換構造は、一般式
(I)のモノマー化合物構造では別名イソチアナフテニ
レン構造と呼ばれ、また一般式(VIII)のモノマー化合
物構造ではイソチアナフテンと呼ばれる。さらに、ナフ
ト[2,3−c]縮合構造は、一般式(I)の場合はナ
フト[2,3−c]チエニレン構造であり、一般式(VI
II)のモノマー化合物構造ではナフト[2,3−c]チ
オフェンと呼ばれる。式中、δは繰り返し構造単位当り
の荷電数を表し、0〜1の範囲の値である。
【0236】一般式(II)または一般式(IX)中のR4
及びR5の有用な置換基の例としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ビニル、アリルが挙げら
れる。さらに、R4及びR5のC1〜6の炭化水素基が互
いに任意の位置で結合して、前記一般式(II)または一
般式(IX)中記載の2つの酸素元素を含む、少なくとも
1つ以上の5〜7員環の複素環状構造を形成する置換基
であり、例えば、1,2−エチレン、1,2−プロピレ
ン、1,2−ジメチル−エチレンが好ましい。また、R
4及びR5は、前記C1〜6の炭化水素基が互いに任意の
位置で結合して、置換ビニレン基または置換o−フェニ
レン基等の不飽和炭化水素の環状構造を形成してもよ
く、例えば下記に示す1,2−ビニレン、1,2−プロ
ペニレン、2,3−ブチレン−2−エン、1,2−シク
ロヘキシレン、メチル−o−フェニレン、1,2−ジメ
チル−o−フェニレン、エチル−o−フェニレンが挙げ
られる。
【0237】
【化102】
【化103】
【0238】本発明の固体電解コンデンサ及びその製造
方法において、使用される前記一般式(VIII)で示され
るモノマー化合物のうち、例えばチオフェン(R1=R2
=H、X=S)やピロール(R1=R2=H、X=N
H)、または前記一般式(IX)で表されるチオフェン類
のうち3,4−ジオキシエチレン−チオフェンのモノマ
ー化合物は公知であり、これらのモノマー化合物を重合
し得る酸化剤も多くは公知である。しかしながら、導電
性組成物中にドーパントとしてスルホキノンアニオン及
び助ドーパントとして他のアニオンを併含して用いた固
体電解質を具備したコンデンサは、これまで知られてい
なかった。
【0239】すなわち、前記特開平10-32145号公報(欧
州特許公開第820076(A2)号)において開示されているコ
ンデンサの導電性高分子組成物は、ベンゾキノンスルホ
ン酸や脂環式スルホン酸のような特定の有機スルホン酸
をドープしたポリ(3,4−ジオキシエチレン−チオフ
ェン)重合体であり、ドーパントは特定化学構造の有機
スルホン酸アニオンのみである。この有機スルホン酸ア
ニオンは、酸化剤に使用している鉄化合物や第二銅系化
合物を構成しているアニオンから供与される技術を開示
しており、助ドーパントアニオンの混入は開示されてい
ない。
【0240】すなわち、本発明の固体電解コンデンサの
固体電解質を構成しているアニオンは、前記π共役系高
分子の組成物全重量に対して、前記スルホキノンアニオ
ンを0.1〜50モル%の範囲で含み、かつ前記アニオ
ン以外の他のアニオンを0.1〜10モル%の範囲で含
む固体電解質を具備したコンデンサであって、前記課題
を解決した、特に低インピーダンス特性に優れたコンデ
ンサはこれまで知られていなかった。また、スルホキノ
ンアニオンの1つとして、アントラキノンスルホン酸ア
ニオンをドーパントとして含む固体電解コンデンサの例
としては、前記の特公平6-101418号公報(米国特許第4,
959,753号)が開示されているが、該当コンデンサには
二酸化マンガンが誘電体被膜上に付着された弁金属上に
導電性高分子組成物が設けられており、本願発明とは構
成が異なり、また前記のごとく二酸化マンガンの形成時
(熱分解時)に酸化皮膜層が破壊されてしまう可能性が
潜在する欠点が指摘されている。
【0241】本発明のコンデンサにおいては、特に低イ
ンピーダンス特性に優れたコンデンサを提供できる固体
電解質を具備したものとして、前記スルホキノンの含量
の好ましい範囲がπ共役系高分子の組成物全重量に対し
て1〜30モル%の範囲である。一方、本発明の前記固
体電解質におけるスルホキノンアニオン以外の他のアニ
オン含量は、好ましくは該高分子の組成物全重量に対し
て、0.1〜5モル%の範囲である。前記他のアニオン
は、本発明の製造方法においてモノマー化合物の重合時
に酸化剤を使用するために、酸化剤の還元体アニオンと
して含有されるが、別途他の方法により添加されてもよ
く、方法には制限を受けない。
【0242】通常、コンデンサの製造方法において、高
容量の高周波特性並びにtanδ、漏洩電流、耐熱性
(リフロー性)、インピーダンス、耐久性等を改善する
ためには、前記固体電解質の製造(形成)方法が重要で
ある。そのためには、固体電解質を構成するπ電子共役
構造とドーパントの組み合わせ、及び導電性高分子組成
物層を微細な誘電体層上に密に充填形成して導電パスの
均一性を向上、または改善することは重要であり、特に
導電性高分子組成物の構成が非常にコンデンサ特性に影
響を与える。
【0243】本発明の製造方法においては、前記モノマ
ー化合物の重合体のドーパントとしてスルホキノンアニ
オン及び他のアニオンを共存させる製造方法に特徴があ
り、具体的には前記一般式(VIII)、好ましくは一般式
(IX)で示されるモノマー化合物を、微細孔の誘電体被
膜上で酸化剤の作用によってスルホキノンアニオンを供
与できる化合物の存在下、酸化的重合を起こさせて生じ
た重合体組成物を該固体電解質として誘電体表面上に形
成させる。そして、前記製造工程を1つの陽極基板に対
して1回以上、好ましくは3〜20回繰り返すことによ
って緻密な固体電解質層を容易に形成することができ
る。
【0244】例えば、好ましい製造工程の1つとして、
前記重合反応にあっては、誘電体酸化皮膜層を形成した
弁作用金属陽極箔を、酸化剤を含む溶液(溶液1)に浸
漬する工程とモノマー化合物及びスルホキノンアニオン
を含む溶液(溶液2)に浸漬する工程を含んでも良く、
あるいは該陽極箔を、前記溶液2に浸漬した後で前記溶
液1に浸漬する工程もしくは前記溶液1に浸漬した後で
前記溶液2に浸漬する工程を含んでも良い。
【0245】あるいは、別の実施形態として前記陽極箔
を、酸化剤とスルホキノンアニオンを含む溶液(溶液
3)に浸漬する工程とモノマー化合物を含む溶液(溶液
4)に浸漬する工程を含んでも良く、あるいは前記陽極
箔を、前記溶液4に浸漬した後で前記溶液3に浸漬する
工程もしくは前記溶液3に浸漬した後で前記溶液4に浸
漬する工程を含んだ製造方法を採用してもよい。前記溶
液1〜溶液4は、それぞれ懸濁状態で用いても良い。
【0246】さらには、前記浸漬工程は、塗布作業に変
えてもよい。溶液1〜4の溶媒は必要に応じて同じでも
よく、あるいは異なった溶媒系でもよく、溶媒の種類に
応じて溶液1と溶液2の間、あるいは溶液3と溶液4の
間の工程に別途乾燥工程を入れても良い。前記固体電解
質形成後には素子を有機溶媒洗浄または水洗にて洗浄す
る工程を加えても良い。洗浄用有機溶媒には、好ましく
は溶液1〜4で使用した溶媒で行うのが簡便で好ましい
が、単にモノマー化合物やスルホキノン化合物、他のド
ーパント能を有するアニオンを保持する化合物を溶解す
る溶媒であれば何でも良い。
【0247】さらに前記酸化的重合の繰り返し処理は、
ハンダ耐熱性(熱安定性)の優れた固体電解質の生成を
容易にする。従来既知のポリピロール等からなる固体電
解質を用いたコンデンサでは、高温高湿度でのコンデン
サ特性の変動が大きく信頼性を悪くしていたが、本発明
で示された導電性組成物の固体電解質を具備したコンデ
ンサは、熱安定性に優れかつドープ状態の安定性がよ
い。前記2種以上のドーパントを有する重合体組成物が
誘電体表面および細孔内部まで充填よく段階的に析出さ
せることができるために、該重合体組成物の薄い膜質が
何層にも重なった状態を作ることができる。これによ
り、該重合体が誘電体被膜に対するダメージを生じない
熱安定性に優れたコンデンサを提供することができる。
【0248】また、本発明で使用するスルホキノンアニ
オンは、分子内にキノン構造のケトン基と電子吸引性基
のスルホン酸基が同一分子内に置換された化学構造を有
する化合物アニオンであるために、従来既知の分子アニ
オン(例えば、ClO4 -、BF4 -、Cl-、SO4 2-等)
とはドーパント能力(電荷移動錯体の安定性、導電性
等)及び化学的性質が異なり、また従来既知の前記分子
アニオン(ClO4 -、BF4 -、Cl-、SO4 2-等)単独
で使用する系に比べて優位な効果を示す。すなわち、複
数のコンデンサ素子を製作した時のコンデンサ性能で比
較した場合、特に優れた効果を引き出すことができる。
【0249】本発明において使用するスルホキノンと
は、分子内に一つ以上のスルホン酸基とキノン構造を有
する化合物の総称であり、ドーパントとしてそのスルホ
ン酸アニオンの形態で有効に働く化学構造であれば良
い。例えば、スルホキノンの基本骨格を例示すると、p
−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナフトキ
ノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノン、
9,10−アントラキノン(以下、単にアントラキノン
と略する。)、1,4−アントラキノン、1,2−アン
トラキノン、1,4−クリセンキノン、5,6−クリセ
ンキノン、6,12−クリセンキノン、アセナフトキノ
ン、アセナフテンキノン、カンホルキノン、2,3−ボ
ルナンジオン、9,10−フェナントレンキノン、2,
7−ピレンキノンを挙げることができる。
【0250】さらにまた、前記スルホキノンにおけるス
ルホン酸基は、前記キノン化合物の水素が一つ以上、ス
ルホン酸基で置換された芳香族スルホン酸構造、もしく
はC1〜12の飽和または不飽和炭化水素基の2価基を
介するスルホアルキレン基で置換された脂肪族スルホン
酸構造を含むものである。さらに、前記スルホキノンの
水素が一つ以上、C1〜12、好ましくはC1〜6の飽
和または不飽和アルキル基、あるいは同アルコキシ基、
またはF、Cl、Brから選ばれる置換基で置換された
化学構造であっても良い。
【0251】中でも、本発明において使用するスルホキ
ノンとしてはアントラキノン、1,4−ナフトキノン、
2,6−ナフトキノンの骨格を有するスルホキノンが好
ましく使用される。例えばアントラキノン類の場合、ア
ントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−
スルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、
アントラキノン−1,4−ジスルホン酸、アントラキノ
ン−1,3−ジスルホン酸、アントラキノン−1,6−
ジスルホン酸、アントラキノン−1,7−ジスルホン
酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、アントラ
キノン−2,6−ジスルホン酸、アントラキノン−2,
3−ジスルホン酸、アントラキノン−2,7−ジスルホ
ン酸、アントラキノン−1,4,5−トリスルホン酸、
アントラキノン−2,3,6,7−テトラスルホン酸、
これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩
等が使用できる。
【0252】1,4−ナフトキノン類の場合は、1,4
−ナフトキノン−5−スルホン酸、1,4−ナフトキノ
ン−6−スルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,7−
ジスルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,8−ジスル
ホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモ
ニウム塩等が使用できる。
【0253】2,6−ナフトキノン類の場合は、2,6
−ナフトキノン−1−スルホン酸、2,6−ナフトキノ
ン−3−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−4−スル
ホン酸、2,6−ナフトキノン−3,7−ジスルホン
酸、2,6−ナフトキノン−4,8−ジスルホン酸、こ
れらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等
が使用できる。
【0254】また、前記スルホキノンとしてはさらに工
業的な染料の中から、例えばアントラキノンアイリス
R、アントラキノンバイオレットRN−3RNがあり、
これらも同様に有用なスルホキノン系ドーパントとして
前記塩の形態で使用できる。
【0255】本発明において使用するスルホキノンは、
化合物によってはモノマー化合物の重合反応に関与し
て、1つの酸化的脱水素化剤として働き、その結果スル
ホキノンは還元されてキノン構造体のプロトン付加体、
すなわちハイドロキノン構造、またはキンヒドロンのま
ま、ドーパントとして固体電解質内に含有されてもよ
い。
【0256】本発明で使用される酸化剤は、ピロールや
チオフェン類の酸化重合に対して適する酸化剤であれば
よく、例えば特開平2-15611号公報(米国特許第4,910,6
45号)記載の塩化鉄(III)、Fe(ClO43や有機
酸鉄(III)、無機酸鉄(III)、アルキル過硫酸塩、過
硫酸アンモニウム、過酸化水素、K2Cr27等が広範
に使用できる。前記有機酸鉄(III)の有機酸の例とし
ては、メタンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸
のようなC1〜20のアルキルスルホン酸や同じく脂肪
族カルボン酸が挙げられる。しかしながら、前記酸化剤
の使用範囲は、詳細には前記一般式(VIII)で示される
モノマー化合物の化学構造と酸化剤および反応条件等の
制限を受けることがある。例えば、チオフェン類の酸化
(重合)は、Handbook of Conducting Polymers誌(Mar
cel Dekker, Inc.社発行,1987年,99頁,図5参
照)の説明によると、置換基の種類により酸化電位(重
合の起こり易さを示す1つの尺度)が大きく変わり、重
合反応を左右する(酸化電位は約1.8〜約2.7Vの範
囲に広範に広がっている)。従って、具体的には使用す
るモノマー化合物と酸化剤、反応条件の組合せが重要で
ある。
【0257】スルホキノンアニオン以外のアニオンと
は、上記酸化剤の反応後の還元体アニオンから、具体的
には塩素イオン、ClO4 -、C1〜12の脂肪族有機カ
ルボン酸アニオン、硫酸イオン、リン酸アニオン、C1
〜12の脂肪族有機リン酸アニオン、ほう酸アニオンが
挙げられる。また、NO+,NO2 +塩(例えば、NOB
4、NOPF6、NOSbF6、NOAsF6、NOCH
3SO3、NO2BF4、NO2PF6、NO2CF3SO3
の電子受容体ドーパントを使用しても良い。
【0258】本発明の固体電解コンデンサの製造方法に
おいては、前記一般式(IX)で示されるチオフェン類の
化学重合は、過硫酸塩の使用が特に好適であり、鉄(II
I)塩系酸化剤の使用は鉄元素の残存が問題となり、コ
ンデンサ特性に対して好ましくなかった。さらに、前記
一般式(IX)のモノマー化合物に対して好適な過硫酸塩
は、前記一般式(VIII)の内、R1=R2=H、X=Sで
あるチオフェンには好適ではなく、詳細には酸化剤の使
用制限が存在する。前記一般式(IX)で表されるチオフ
ェン類の化学重合に特に好適に使用できる過硫酸塩とし
ては、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸カリウムが挙げ
られる。
【0259】次に固体電解質の形成(重合)反応の好ま
しい条件を以下に示す。本発明のコンデンサの製造方法
において用いられる一般式(VIII)、好ましくは一般式
(IX)のモノマー化合物濃度及び酸化剤、スルホキノン
の各使用濃度は、化合物及びその置換基の種類や溶媒等
との組合せによって異なるが、一般には1×10-4〜1
0モル/リットルの範囲であり、1×10-3〜5モル/
リットルの範囲がさらに好ましい。また、反応温度は、
それぞれ反応方法によって定められるもので特に限定で
きるものでないが、一般的には−70℃〜250℃の温
度範囲であり、望ましくは0℃〜150℃であり、さら
に15〜100℃の温度範囲で行われることが好まし
い。
【0260】前記本発明の製造方法において用いられる
溶液または重合後の水洗用溶媒は、例えばテトラヒドロ
フラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等の
エーテル類、あるいはアセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、ジメチルホルムアミド(DMF)やアセト
ニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(N
MP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロ
トン性極性溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル
類、クロロホルムや塩化メチレン等の非芳香族性の塩素
系溶媒、ニトロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン
等のニトロ化合物、あるいはメタノールやエタノール、
プロパノール等のアルコール類、またはギ酸や酢酸、プ
ロピオン酸等の有機酸または該有機酸の酸無水物(無水
酢酸等)、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いること
ができる。好ましくは、水、アルコール類、ケトン類お
よび/またはその混合系が望ましい。
【0261】このようにして製造された固体電解質の電
導度は、0.1〜200S/cmの範囲であるが、望ま
しい条件では1〜100S/cm、さらに好ましくは1
0〜100S/cmの範囲である。
【0262】本発明の一方の電極にはアルミニウムまた
はチタン、タンタル、ニオブあるいはこれらを基質とす
る合金系等の弁作用を有する箔、棒あるいはこれらを主
成分とする焼結体等の公知な材料が使用される。これら
の金属電極表面は、比表面積を大きくする目的で公知な
方法によってエッチング処理や化成処理されて金属箔上
に該金属系酸化皮膜層を形成されたものが用いられる。
【0263】固体電解質の形成は、誘電体層上で形成す
る方法が好ましく、とりわけ本発明の耐熱性の優れた有
機系導電体を細孔あるいは空隙構造を有する誘電体上に
化学的に析出する方法が好ましい。さらに、半導体上に
電気的接触をよくするために導電体層を設けることが好
ましく、例えば、導電ペーストの固体、またはメッキ
や、金属蒸着、導電樹脂フィルムの形成等が行われる。
【0264】次に、本発明の他の好ましい態様である、
前記(22)〜(28)項及び(57)〜(75)項に
記載の、固体電解質中に1つのスルホン酸基を有するア
ントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少
なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸をドーパン
トとして含む小型で低インピーダンスかつ火花電圧試験
に耐久性のある高性能な固体電解コンデンサ及びその製
造方法について説明する。
【0265】本発明によれば、前記の如く導電性高分子
組成物中に1つのスルホン酸基を有するアントラセンス
ルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種
のアントラセンモノスルホン酸(以下、アントラセンモ
ノスルホン酸と略する。)アニオンをドーパント能を有
する主要なアニオンとして含むことにより、耐熱性のあ
る好ましい導電性高分子組成物層(電荷移動錯体)を形
成することができ、この結果低インピーダンス特性に優
れた固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供するこ
とができる。さらに本発明は、前記アントラセンモノス
ルホン酸アニオンドーパント以外の他のアニオンをドー
パントとして併含してもよい。
【0266】ここで使用する導電性高分子組成物中のπ
電子共役高分子は、前記したポリマー主鎖構造にπ電子
共役系構造を有する高分子である。具体例としてはポリ
アニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビ
ニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリヘテロ環式高分
子及びその置換誘導体が挙げられる。好ましい具体例と
して用いられるポリヘテロ環式高分子は、前記一般式
(I)で示される構造単位を含むπ電子共役高分子であ
り、さらに好ましくは前記一般式(II)で示される構造
単位を含むπ電子共役高分子である。
【0267】前記、一般式(I)及び一般式(VIII)に
関しては、前述のスルホアニオン基とキノン構造を分子
内に有するスルホキノンを含み、キノン以外のドーパン
トとして、他のドーパント能を有するアニオンを併含す
る固体電解コンデンサについての説明と同様であるので
詳細は省略する。
【0268】本発明の固体電解コンデンサ及びその製造
方法において、使用される前記一般式(VIII)で示され
るモノマー化合物のうち、例えばチオフェン(R1=R2
=H、X=S)やピロール(R1=R2=H、X=N
H)、または前記一般式(IX)で表されるチオフェン類
のうち3,4−ジオキシエチレン−チオフェンのモノマ
ー化合物は公知であり、これらのモノマー化合物を重合
し得る酸化剤も多くは公知である。しかしながら、導電
性組成物中にドーパントとして1つのスルホン酸基を有
するアントラセンモノスルホン酸アニオンまたは助ドー
パントとして他のアニオンを併含した固体電解質を具備
したコンデンサは、これまで知られていなかった。
【0269】すなわち、前記特開平10-32145号公報(欧
州特許公開第820076(A2)号)において開示されているコ
ンデンサの導電性高分子組成物は、ドーパントとして分
子構造中にスルホン酸基を複数有する芳香族ポリスルホ
ン酸化合物がドープされたピロール、チオフェン、フラ
ン、アニリン及びそれらの誘導体から選ばれた重合体が
開示されているのみであり、本発明のコンデンサで用い
られる1つのスルホン酸基を有する前記アントラセンモ
ノスルホン酸は開示されていない。また、アントラセン
モノスルホン酸アニオン以外のドーパントの併含も知ら
れていなかった。
【0270】さらに、本発明の固体電解コンデンサの固
体電解質を構成しているドーパントは、好ましい形態と
して前記π共役系高分子の全繰り返し単位に対して、前
記アントラセンモノスルホン酸アニオンを0.1〜50
モル%の範囲で含み、さらに好ましくは前記アニオン以
外のドーパントを0.1〜10モル%の範囲で併含する
固体電解質を具備したコンデンサであって、前記課題を
解決した、特に低インピーダンス特性に優れたコンデン
サはこれまで知られていなかった。
【0271】本発明のコンデンサにおいては、特に低イ
ンピーダンス特性に優れたコンデンサを提供できる固体
電解質を具備したものとしては、前記アントラセンモノ
スルホン酸の含量の好ましい範囲がπ共役系高分子の組
成物全重量に対して1〜30モル%の範囲である。一
方、前記アントラセンスルホン酸アニオン以外の他のド
ーパント含量は、好ましくは前記π共役系高分子の全繰
り返し単位に対して0.1〜5モル%の範囲である。前
記他のドーパントは、本発明の製造方法においてモノマ
ー化合物の重合時に酸化剤を使用するために酸化剤の還
元体アニオンとして含有されるが、別途他の方法により
添加されてもよく併含方法には制限を受けない。
【0272】通常、コンデンサの製造方法において、高
容量の高周波特性並びにtanδ、漏洩電流、耐熱性
(リフロー性)、インピーダンス、耐久性等を改善する
ためには、前記固体電解質の製造(形成)方法が重要で
ある。そのためには、固体電解質を構成するπ電子共役
構造とドーパントの組み合わせ、及び導電性高分子組成
物層を微細な誘電体層上に密に充填形成して導電パスの
均一性を向上、または改善することは重要であり、特に
導電性高分子組成物の構成が非常にコンデンサ特性に影
響を与える。
【0273】本発明の製造方法においては、前記モノマ
ー化合物の重合体のドーパントとして前記アントラセン
モノスルホン酸アニオンまたは他のアニオンを併含させ
る製造方法に特徴があり、具体的には前記一般式(VII
I)、好ましくは一般式(IX)で表されるモノマー化合
物を微細孔の誘電体被膜上で酸化剤の作用によってアン
トラセンモノスルホン酸アニオンを供与できる化合物の
存在下、酸化的重合を起こさせ生じた重合体組成物を該
固体電解質として誘電体表面上に形成させる。そして、
前記製造工程を1つの陽極基板に対して1回以上、好ま
しくは3〜20回繰り返すことによって緻密な固体電解
質層を容易に形成することができる。
【0274】例えば、好ましい製造工程の1つとして、
前記重合反応にあっては誘電体酸化皮膜層を形成した弁
作用金属陽極箔を、酸化剤を含む溶液(溶液1)に浸漬
する工程とモノマー化合物及びアントラセンモノスルホ
ン酸アニオンを含む溶液(溶液2)に浸漬する工程を含
んでも良く、あるいは該陽極箔を前記溶液2に浸漬した
後で前記溶液1に浸漬する工程もしくは前記溶液1に浸
漬した後で前記溶液2に浸漬する工程を含んでも良い。
【0275】あるいは、別の実施形態として該陽極箔
を、酸化剤とアントラセンモノスルホン酸アニオンを含
む溶液(溶液3)に浸漬する工程とモノマー化合物を含
む溶液(溶液4)に浸漬する工程を含んでも良く、ある
いは該陽極箔を前記溶液4に浸漬した後で前記溶液3に
浸漬する工程、もしくは前記溶液3に浸漬した後で前記
溶液4に浸漬する工程を含んだ製造方法を採用してもよ
い。前記溶液1〜溶液4はそれぞれ懸濁状態で用いても
良い。
【0276】さらには、前記浸漬工程を塗布作業に変え
ることも容易である。溶液1〜4の溶媒は必要に応じて
同じでもよく、あるいは異なった溶媒系でもよく、溶媒
の種類に応じて溶液1と溶液2の間、あるいは溶液3と
溶液4の間の工程に別途乾燥工程を入れても良い。前記
固体電解質形成後には素子を有機溶媒洗浄または水洗に
て洗浄する工程を加えても良い。洗浄用有機溶媒には、
好ましくは溶液1〜4で使用した溶媒で行うのが簡便で
好ましいが、単にモノマー化合物やアントラセンモノス
ルホン酸化合物や他のドーパント能を有するアニオンを
保持する化合物を溶解する溶媒であれば何でも良い。前
記溶媒による洗浄工程により、アントラセンモノスルホ
ン酸ドーパント以外の他のドーパントの重合体中におけ
る含量は低減することができるが、本発明の固体電解コ
ンデンサの特性においては少なくともアントラセンモノ
スルホン酸ドーパントの含有が特性に寄与する場合もあ
る。
【0277】さらに前記酸化的重合の繰り返し処理は、
ハンダ耐熱性(熱安定性)の優れた固体電解質の生成を
容易にする。従来既知のポリピロール等からなる固体電
解質を用いたコンデンサでは、高温高湿度でのコンデン
サ特性の変動が大きく信頼性を悪くしていたが、本発明
で示された導電性組成物の固体電解質を具備したコンデ
ンサは熱安定性に優れ、かつドープ状態の安定性がよ
い。前記アントラセンモノスルホン酸ドーパントと酸化
剤由来のドーパントを有する重合体組成物が誘電体表面
および細孔内部まで充填よく段階的に析出させることが
できるために、該重合体組成物の薄い膜質が何層にも重
なった状態を作ることができる。これにより、重合体が
誘電体被膜に対するダメージを生じない熱安定性に優れ
たコンデンサを提供することができる。
【0278】また、本発明で使用するアントラセンモノ
スルホン酸アニオンは、従来既知のドーパント(例え
ば、ClO4 -、BF4 -、Cl-、SO4 2-、ベンゼンスル
ホン酸アニオン等)に比べ、アントラセン骨格の持つ高
い芳香族性とスルホン酸基の持つ電子吸引性及び水溶性
の特性寄与から、π共役系高分子との電荷移動錯体とし
ての熱的安定性、導電性の安定性等に優れる結果、優れ
たコンデンサ特性が得られる。
【0279】本発明において使用するアントラセンモノ
スルホン酸は、一つのスルホン酸基がアントラセン骨格
に置換したアントラセンモノスルホン酸化合物の総称で
あり、好ましい化合物としては、無置換のアントラセン
スルホン酸やアントラセンスルホン酸のアントラセン環
の水素がC1〜12、好ましくは1〜6の直鎖状もしく
は分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基またはアル
コキシ基で一つ以上置換された置換化合物が挙げられ
る。
【0280】前記無置換のアントラセンモノスルホン酸
アニオンを供出する化合物としては、具体例にはアント
ラセン−1−スルホン酸、アントラセン−2−スルホン
酸、アントラセン−9−スルホン酸及びそのアルカリ金
属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。また、上記アン
トラセン環の水素がさらに置換されたアントラセンモノ
スルホン酸置換化合物についてその置換基の具体例とし
ては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オ
クチル、デシル、ドデシル等のアルキル基や、ビニル、
アリル、3−ブテニル、5−ヘキセニル等の不飽和基、
及びメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、
ペントキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシル
オキシ、ドデシルオキシ等が挙げられる。
【0281】本発明で使用される酸化剤は、ピロールや
チオフェン類の酸化重合に対して適する酸化剤であれば
よく、例えば特開平2-15611号公報(米国特許第4,910,6
45号)記載の塩化鉄(III)、Fe(ClO43や有機
酸鉄(III)、無機酸鉄(III)、アルキル過硫酸塩、過
硫酸アンモニウム、過酸化水素、K2Cr27等が広範
に使用できる。前記有機酸鉄(III)の有機酸の例とし
ては、メタンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸
のようなC1〜20のアルキルスルホン酸や同じく脂肪
族カルボン酸が挙げられる。しかしながら、前記酸化剤
の使用範囲は、詳細には前記一般式(VIII)で表される
モノマー化合物の化学構造と酸化剤および反応条件等の
制限を受けることがある。例えば、チオフェン類の酸化
(重合)は、Handbook of Conducting Polymers誌(Mar
cel Dekker, Inc.社発行,1987年,99頁、図5参
照)の説明によると、置換基の種類により酸化電位(重
合の起こり易さを示す1つの尺度)が大きく変わり、重
合反応を左右する(酸化電位は約1.8〜約2.7Vの範
囲に広範に広がっている)。従って、具体的には使用す
るモノマー化合物と酸化剤、反応条件の組合せが重要で
ある。
【0282】アントラセンモノスルホン酸アニオン以外
のドーパントとは、上記酸化剤の反応後の還元体アニオ
ンから具体的には、塩素イオン、ClO4 -、C1〜12
の脂肪族有機カルボン酸アニオン、硫酸イオン、リン酸
アニオン、C1〜12の脂肪族有機リン酸アニオン、ほ
う酸アニオンが挙げられる。また、NO+,NO2 +
(例えば、NOBF4、NOPF6、NOSbF6、NO
AsF6、NOCH3SO3、NO2BF4、NO2PF6
NO2CF3SO3)の電子受容体ドーパントを使用して
も良い。
【0283】本発明の固体電解コンデンサの製造方法に
おいては、前記一般式(IX)で示されるチオフェン類の
化学重合は、過硫酸塩の使用が特に好適であり、鉄(II
I)塩系酸化剤の使用は鉄元素の残存が問題となり、コ
ンデンサ特性に対して好ましくなかった。さらに、前記
一般式(IX)のモノマー化合物に対して好適な過硫酸塩
は、前記一般式(VIII)の内、R1=R2=H、X=Sで
あるチオフェンには好適ではなく、詳細には酸化剤の使
用制限が存在する。前記一般式(IX)で示されるチオフ
ェン類の化学重合に特に好適に使用できる過硫酸塩は、
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。
【0284】次に導電層を形成する重合反応の好ましい
条件を以下に示す。本発明のコンデンサの製造方法にお
いて用いられる一般式(VIII)、好ましくは一般式(I
X)のモノマー化合物濃度及び酸化剤、アントラセンモ
ノスルホン酸の各使用濃度は、化合物及びその置換基の
種類や溶媒等との組合せによって異なるが、一般には1
×10-4〜10モル/リットルの範囲であり、1×10
-3〜5モル/リットルの範囲がさらに好ましい。また、
反応温度は、それぞれ反応方法によって定められるもの
で特に限定できるものでないが、一般的には−70℃〜
250℃の温度範囲であり、望ましくは0℃〜150℃
であり、さらに15〜100℃の温度範囲で行われるこ
とが好ましい。
【0285】前記本発明の製造方法において用いられる
溶液または重合後の水洗用溶媒は、例えばテトラヒドロ
フラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等の
エーテル類、あるいはアセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、ジメチルホルムアミド(DMF)やアセト
ニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(N
MP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロ
トン性極性溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル
類、クロロホルムや塩化メチレン等の非芳香族性の塩素
系溶媒、ニトロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン
等のニトロ化合物、あるいはメタノールやエタノール、
プロパノール等のアルコール類、またはギ酸や酢酸、プ
ロピオン酸等の有機酸または該有機酸の酸無水物(無水
酢酸等)、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いること
ができる。好ましくは、水、アルコール類、ケトン類及
び/またはその混合系が望ましい。
【0286】このようにして製造された固体電解質の電
導度は、0.1〜200S/cmの範囲であるが、望ま
しい条件では1〜100S/cm、さらに好ましくは1
0〜100S/cmの範囲である。
【0287】本発明の一方の電極にはアルミニウムまた
はチタン、タンタル、ニオブあるいはこれらを基質とす
る合金系等の弁作用を有する箔、棒あるいはこれらを主
成分とする焼結体等の公知な材料が使用される。これら
の金属電極表面は、比表面積を大きくする目的で公知な
方法によってエッチング処理や化成処理されて金属箔上
に該金属系酸化皮膜層を形成されたものが用いられる。
【0288】固体電解質の形成は、誘電体層上で形成す
る方法が好ましく、とりわけ本発明の耐熱性の優れた有
機系導電体を細孔あるいは空隙構造を有する誘電体上に
化学的に析出する方法が好ましい。さらに、半導体上に
電気的接触をよくするために導電体層を設けることが好
ましく、例えば、導電ペーストの固体、またはメッキ
や、金属蒸着、導電樹脂フィルムの形成等が行われる。
【0289】本発明による固体電解コンデンサ製品の一
例の縦断面を図1に示す。エッチング処理金属箔(1)
からなる陽極基体の酸化被膜(誘電体層)(3)、この
外側に対向する電極としての固体の半導電体層(固体電
解質)(4)、及び導電ペーストにより形成された導電
体層(5)からなる素子を基本とし、金属箔(1)に陰
極リード端子(7a)が、導電体層(5)に陽極リード
端子(7b)が接続されて、素子全体がエポキシ樹脂等
の絶縁性樹脂(6)で完全に封止され、さらに樹脂モー
ルド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピ
ング等により外装して各種電気製品用のコンデンサ製品
とすることができる。
【0290】
【実施例および比較例】以下に実施例を挙げて本発明を
説明するが、下記の例により本発明は何等制限されるも
のではない。
【0291】実施例1:3mm×10mmに切り出した
エッチドアルミニウム化成箔を、4mmと5mmの部分
に区切るように、両面に渡って幅1mmのポリイミドテ
ープを貼り付けた。このエッチドアルミニウム化成箔の
3mm×4mmの部分を、10重量%のアジピン酸アン
モニウム水溶液で13Vの電圧を印加して化成し、誘電
体酸化皮膜を形成した。次に、このアルミニウム箔の3
mm×4mmの部分を、過硫酸アンモニウム30重量%
を含む水溶液(溶液1)に浸漬した後引き上げ、80℃
で30分乾燥させた。続いて、このアルミニウム箔の3
mm×4mmの部分(誘電体酸化皮膜を形成した部分)
を、3,4−ジオキシエチレン−チオフェン20重量%
を含むイソプロパノール溶液(溶液2)に浸漬した後引
き上げ、60℃の雰囲気に10分放置することで酸化重
合を行った。これを再び溶液1に浸漬し、さらに前記と
同様に処理した。溶液1に浸漬してから酸化重合を行う
までの操作を10回繰り返した後、50℃の温水で10
分洗浄を行い、100℃で30分乾燥を行うことにより
導電性高分子層(固体電解質層)を形成した。
【0292】かくして得られた導電性高分子層を形成し
たアルミニウム箔の断面の走査電子顕微鏡写真(2,000
倍)を図2に示し、図2の導電性高分子層のうち誘電体
層上の微細孔構造の外部表面に形成された部分の拡大図
(10,000倍)を図3、図3の微細孔部分を拡大した走査
電子顕微鏡写真(50,000倍)を図4に示す。
【0293】これらの図から、導電性高分子が金属アル
ミニウム上の誘電体(アルミナ)の微細孔内の表面を層
状構造をなして覆い尽くし、層状導電性高分子層間に空
間部が存在することが確認された。ここで、微細孔構造
の外部表面に形成された導電性高分子層の厚さは約5μ
mであり、層構造を形成する1層当たりの厚さは約0.
1〜0.3μmの範囲であった。
【0294】また、上記アルミニウム箔の微細孔部分の
拡大図である図2〜図4から、導電性高分子が微細孔内
の表面を覆い尽くしているが、この部分においても空間
部が存在することがわかる。
【0295】次に、上記アルミニウム箔の導電性高分子
層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを付
けて陰極リード端子を接続し、また導電性高分子層の形
成されていない部分には陽極リード端子を溶接により接
続した素子をエポキシ樹脂で封止した後、125℃で定
格電圧を印加して2時間エージングを行い、合計30個
のコンデンサを完成させた。
【0296】これら30個のコンデンサ素子について、
初期特性として120Hzにおける容量(C)と損失係
数(tanδ)(DF)、共振周波数におけるインピー
ダンス(Z)、及び漏れ電流(LC)を測定した。な
お、漏れ電流(LC)は定格電圧を印加して1分後に測
定した。表1にこれらの測定値の平均値と、0.16μ
A(0.002CV)以上の漏れ電流を不良品としたと
きの不良率およびショート品の数を示した。ここで、漏
れ電流の平均値は不良品を除いて計算した値である。ま
た、表2にはリフロー試験およびこれに続いて行った耐
湿試験での結果を示した。但し、耐湿試験における漏れ
電流値は3.2μA(0.04CV)以上を不良品とし
た。ここで、リフロー試験は230℃の温度領域を30
秒間通過させることにより行った。また、耐湿試験は8
5℃、85%RHの高温高湿下に500時間放置して行
った。
【0297】比較例1:導電性高分子の製造方法を以下
の方法に代えたこと以外は実施例1と同様にして30個
のコンデンサを得た。すなわち、アルミニウム箔の3m
m×4mmの部分を、3,4−ジオキシエチレン−チオ
フェン20重量%を含むイソプロパノール溶液(溶液
2)に浸漬し、次いで過硫酸アンモニウム30重量%を
含む水溶液(溶液1)に浸漬した後引き上げ、60℃の
雰囲気に10分放置することで酸化重合を行った。その
後、50℃の温水で10分洗浄を行い、100℃で30
分乾燥を行った。そして、この溶液2及び溶液1に浸漬
してから引き上げ放置、温水洗浄、乾燥を行うまでの操
作を20回繰り返すことにより導電性高分子層を形成し
た。ここで、本比較例のコンデンサでは微細孔構造の外
部表面に約5μmの厚さの導電性高分子層が形成された
が、走査電子顕微鏡写真では実施例1(図2〜図4)と
同様の層状構造は見られなかった。これらコンデンサ素
子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1
および表2に示した。
【0298】実施例2:実施例1において、過硫酸アン
モニウムに代えて過硫酸カリウムを、また3,4−ジオ
キシエチレン−チオフェンに代えてN−メチルピロール
を用いた以外は、実施例1と同様にして30個のコンデ
ンサを得た。本実施例のコンデンサの導電性高分子層に
おいても、実施例1(図2〜図4)と同様の層状構造が
見られ、微細孔構造の外部表面に形成された導電性高分
子層の厚さは約10μmであり、層構造を形成する1層
の厚さは約0.1〜0.5μmであった。また、微細孔内
についても図3と同様の空間部が見られた。これらコン
デンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行った。その
結果を表1および表2に示した。
【0299】比較例2:比較例1において過硫酸アンモ
ニウムに代えて過硫酸カリウムを、また3,4−ジオキ
シエチレン−チオフェンに代えてN−メチルピロールを
用いた以外は、比較例1と同様にして30個のコンデン
サを得た。本比較例のコンデンサでは微細孔構造の外部
表面に約8μmの厚さの導電性高分子層が形成された
が、実施例1(図2〜4)と同様の層状構造は見られな
かった。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と
同様に行い、その結果を表1および表2に示した。
【0300】実施例3:実施例1において、導電性高分
子の製造方法を以下の方法に代えた以外は、実施例1と
同様にして30個のコンデンサ素子を完成させた。すな
わち、本実施例においては、アルミニウム箔の3mm×
4mmの部分を、酸化剤である2,3−ジクロロ−5,
6−ジシアノベンゾキノン30重量%を含むジオキサン
溶液(溶液1)に浸漬した後引き上げ、100℃で30
分乾燥させた。続いて、このアルミニウム箔を、イソチ
アナフテン20重量%を含むイソプロパノール溶液(溶
液2)に浸漬した後引き上げ、80℃の雰囲気に30分
放置することで酸化重合を行った。そして、この溶液1
に浸漬してから酸化重合を行うまでの操作を10回繰り
返した後、50℃のジオキサンで10分洗浄を行い、1
00℃で30分乾燥を行うことにより導電性高分子層を
形成した。ここで、本実施例のコンデンサの導電性高分
子層においても、実施例1(図2〜4)と同様の層状構
造が見られ、微細孔構造の外部表面に形成された導電性
高分子層の厚さは約20μmであり、層構造を形成する
1層の厚さは約0.2〜1μmであった。また、微細孔
内についても図3と同様の空間部が見られた。これらコ
ンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その
結果を表1および表2に示した。
【0301】比較例3:比較例1において導電性高分子
の製造方法を以下の方法に代えた以外は、比較例1と同
様にして30個のコンデンサ素子を得た。すなわち、本
比較例においては、アルミニウム箔の3mm×4mmの
部分を、イソチアナフテン20重量%を含むイソプロパ
ノール溶液(溶液2)に浸漬し、続いて2,3−ジクロ
ロ−5,6−ジシアノベンゾキノン30重量%を含むジ
オキサン溶液(溶液1)に浸漬した後引き上げ、80℃
の雰囲気に30分放置することで酸化重合を行った。そ
の後、50℃の温水で10分洗浄を行い、100℃で3
0分乾燥を行った。そして、この溶液2に浸漬してから
洗浄、乾燥を行うまでの操作を20回繰り返すことによ
り導電性高分子層を形成した。ここで、本比較例のコン
デンサでは微細孔構造の外部表面に約15μmの厚さの
導電性高分子層が形成されたが、実施例1(図2〜図
4)と同様の層状構造は見られなかった。これらコンデ
ンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果
を表1および表2に示した。
【0302】
【表1】
【0303】
【表2】
【0304】実施例4:純度99.99%の厚さ100
μmのアルミニウム箔を陽極として常法により電気化学
的にその表面をエッチング処理して、多孔質アルミニウ
ム箔を作製し、次いでアジピン酸アンモニウム液中で処
理し、アルミニウム箔上に酸化アルミニウム層の誘電体
薄膜を形成した。これを熱水でボイルすることで誘電体
薄膜を均質化させた。このように作製したアルミニウム
箔を充分乾燥後、その細孔表面に酸化剤の硫酸鉄0.1
M濃度の水溶液を塗布して加熱乾燥(温度80℃)する
ことで酸化剤を担持し活性化させた。次いで、1,3−
ジヒドロイソチアナフテンを5gとドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム(以下、DBSNaと略する。)を
0.1g溶かしたエタノール溶液中に前記アルミニウム
箔を浸漬し気相中で80℃下10分加熱した。この溶媒
の蒸発過程を伴うin-situ重合を20回繰り返して重合
体を製造した。表面上に堆積した重合体の電導度を四端
子で注意深く測定した結果、50S/cmであった。こ
のように製作したコンデンサ素子の結果を表3に示し
た。但し、この時の容量及びtanδは周波数が120
Hz、インピーダンスは1000KHzについての値で
ある。
【0305】比較例4:実施例4と同様な方法によって
化成処理したアルミニウム箔を、実施例4で使用したモ
ノマー、酸化剤及びドーパントをそれらの濃度が実施例
4の記載と同一となる濃度に調製した3成分混合溶液に
浸漬させ、直ちに80℃、10分加熱するin-situ重合
処理を20回繰り返してコンデンサ素子を作製した。表
面上の電導度を四端子で注意深く測定した結果、10-2
S/cmを示したが、コンデンサを作製して得られた容
量は小さく、コンデンサ特性として充分ではなかった。
コンデンサの特性を表3にまとめて示す。
【0306】実施例5:実施例4で使用した1,3−ジ
ヒドロイソチアナフテンを1,3−ジヒドロナフト
[2,3−c]チオフェンに代えて、同様の製法により
コンデンサ素子を作製した。表面上に堆積した重合体組
成物の電導度は、20S/cm(四端子法)を示し、同
じくコンデンサ特性を測定した。その結果を表3に示し
た。
【0307】実施例6:実施例4で使用した1,3−ジ
ヒドロイソチアナフテンを5,6−ジオキシメチレン−
1,3−ジヒドロイソチアナフテンに代え、また同実施
例に記載のドーパント(DBSNa)を使用しないモノ
マー溶液で、同様なプロセスを行いコンデンサ素子を作
製した。なお、in-situ重合の処理条件は、50℃、1
0分であった。表面上に堆積した重合体組成物の電導度
は、80S/cm(四端子法)であり、表3に示したコ
ンデンサ特性が得られた。
【0308】比較例5:実施例6と同一のモノマー及び
酸化剤を、各成分濃度が実施例6と同一になるように調
製した混合成分溶液に、実施例4と同様な方法によって
作製したアルミニウム箔を浸漬し、実施例6と同じ温度
(50℃)、時間(10分)及び同じ処理回数を行いコ
ンデンサ素子を作製した。表面上の電導度は、0.1S
/cmであった。コンデンサの特性を表3にまとめて示
す。コンデンサ特性としては容量が小さかった。
【0309】実施例7:実施例4で使用した1,3−ジ
ヒドロイソチアナフテンを1,3−ジヒドロチエノ
[3,4−b]キノキサリンに代え、加えてドーパント
のDBSNaをナフタレンスルホン酸ナトリウム(以
下、NSNaと略する。)に代えて、実施例4と同様な
製法によりコンデンサ素子を作製した。表面上に堆積し
た重合体組成物の電導度は、5S/cm(四端子法)で
あり、該コンデンサ特性を測定した結果、表3記載のデ
ータが得られた。
【0310】実施例8:実施例4で使用した1,3−ジ
ヒドロイソチアナフテンを5,6−ジメトキシ−1,3
−ジヒドロイソチアナフテンに代え、DBSNaをNS
Naに代えて、実施例1と同様な製法によりコンデンサ
素子を作製した。但し、重合温度を70℃に、時間を2
0分に変更した。表面上に堆積した重合体組成物の電導
度は、80S/cm(四端子法)であった。コンデンサ
特性を測定した結果を表3に記載した。
【0311】
【表3】
【0312】特性試験1:前記実施例4〜8及び比較例
4、5の製造方法で製作されたコンデンサを各10個ず
つ用い、230℃の温度領域を30秒間通過させるリフ
ロー試験を実施し、処理前後の特性比較を行った。その
結果を表4に示す。
【0313】
【表4】
【0314】参考例1:従来技術で製造された重合体組
成物の電導度測定 Synthetic Metals誌(16巻,379〜380頁,1986年)記載
の手法に従って、1,3−ジヒドロイソチアナフテンモ
ノマー(融点23℃)をニトロベンゼン中50℃下、酸
素及び塩化鉄(酸化剤)の存在下で溶液重合し、得られ
た重合体の電導度を測定したところ0.1S/cmと低
く、コンデンサーの固体電解質として好ましい電導度で
はなかった。
【0315】実施例9:実施例4における1,3−ジヒ
ドロイソチアナフテンの代わりに、1,3−ジヒドロイ
ソチアナフテン−2−オキシドを用いた以外は実施例4
と同様にして重合体を製造した。表面上に堆積した重合
体組成物の電導度を四端子で注意深く測定した結果、7
0S/cmであった。このように製作したコンデンサ素
子の結果を表5に示した。但し、この時の容量及びta
nδは、周波数が120Hz、インピーダンスが100
0KHzについての値である。
【0316】比較例6:実施例9と同様な方法によって
化成したアルミニウム箔を、モノマー、酸化剤及びドー
パントの各成分及びそれらの濃度が実施例9の記載と同
一になるよう調製した3成分溶液に浸漬させ、直ちに8
0℃、10分加熱するin-situ重合処理を20回繰り返
してコンデンサ素子を作製した。表面上の電導度を四端
子で注意深く測定した結果、10-2S/cmを示した
が、コンデンサを作製して得られた容量は小さく、コン
デンサ特性は表5に示すように充分ではなかった。
【0317】実施例10:実施例9で使用した1,3−
ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシドを1,3−ジ
ヒドロナフト[2,3−c]チオフェン−2−オキシド
に代えて、同様な製法によりコンデンサ素子を作製し
た。表面上に堆積した重合体組成物の電導度は、10S
/cm(四端子法)を示した。コンデンサ特性を測定し
表5に記載した結果を得た。
【0318】実施例11:実施例9で使用した1,3−
ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシドを5,6−ジ
オキシメチレン−1,3−ジヒドロイソチアナフテン−
2−オキシドに代え、また同実施例記載のドーパント
(DBSNa)を削除したモノマー溶液で、同様のプロ
セスを行いコンデンサ素子を作製した。但し、in-situ
重合の処理条件は、50℃、10分であった。表面上に
堆積した重合体組成物の電導度は、100S/cm(四
端子法)であり、表5記載のコンデンサ特性が得られ
た。
【0319】比較例7:実施例11と同一のモノマー及
び酸化剤を、各成分濃度が実施例11と同一になるよう
に調製した混合成分溶液に、実施例9と同様な方法によ
って作製したアルミニウム箔を浸漬し、実施例11と同
じ温度(50℃)、時間(10分)で同じ回数の処理を
行いコンデンサ素子を作製した。表面上の電導度は、
0.05S/cmであり、コンデンサ特性は表5に示す
ように容量が小さかった。
【0320】実施例12:実施例9で使用した1,3−
ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシドを1,3−ジ
ヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−2−オキシ
ドに代え、さらにドーパントのDBSNaをNSNaに
代えて、実施例9と同様な製法によりコンデンサ素子を
作製した。表面上に堆積した重合体組成物の電導度は、
1S/cm(四端子法)であった。コンデンサ特性を測
定した結果、表5記載のデータが得られた。
【0321】実施例13:実施例9で使用した1,3−
ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシドを5,6−ジ
メトキシ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン−2−オ
キシドに代え、DBSNaをNSNaに代えて、実施例
9と同様な製法によりコンデンサ素子を作製した。但
し、重合温度を70℃に、時間を20分に変更した。表
面上に堆積した重合体組成物の電導度は、100S/c
m(四端子法)であり、コンデンサ特性の測定結果は表
5に記載した通りであった。
【0322】
【表5】
【0323】特性試験2:前記実施例9〜13及び比較
例6、7の製造方法で製作されたコンデンサ製品を各1
0個ずつ用い、230℃の温度領域を30秒間通過させ
るリフロー試験を実施し、処理前後の特性比較を行っ
た。その結果を表6に示した。
【0324】
【表6】
【0325】参考例2:従来法による重合体組成物の電
導度測定 J. Org. Chem.誌(49巻,3382頁,1984年)記載の手法
に従って、1,3−ジヒドロイソチアナフテン−2−オ
キシドモノマーを硫酸の存在下室温で重合し、得られた
重合体の電導度を測定した。その結果は0.5S/cm
と低く、コンデンサーの固体電解質として好ましい電導
度ではなかった。
【0326】実施例14:アルミニウム化成箔を10重
量%のアジピン酸アンモニウム水溶液で13V化成処理
して、箔上に誘電体層を形成した。この誘電体層表面
に、過硫酸アンモニウム(以下、APSと略する。)2
0重量%と1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1
重量%になるように調製した水溶液を含浸させ、次いで
3,4−ジオキシエチレン−チオフェンを5g溶解した
イソプロパノール(以下、IPAと略する。)溶液に浸
漬した。この基板を60℃の環境下で10分放置するこ
とで酸化重合を完成させ、水で洗浄した。この重合反応
処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返した。得られ
た重合組成物中の硫酸イオン及び1−ナフタレンスルホ
ン酸イオンの含有量は、先ず前記重合組成物を水/IP
A溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽出し、イオン
クロマトグラフィー法で求めたところ、硫酸イオン含有
量は重合体組成物の乾燥重量当り1.3重量%、1−ナ
フタレンスルホン酸イオン含有量は33重量%であっ
た。
【0327】次に、このポリチオフェン重合体組成物を
設けたアルミニウム箔を、10重量%アジピン酸アンモ
ニウム水溶液中で処理して、火花電圧について調べた。
試験は、50℃環境下、電流密度10mA/cm2の条
件で5回(n=5)行ない、表7に示す結果を得た。次
いで、陽極からの集電を行うアルミ芯部をプラス側リー
ド端子に溶接し、また陰極からの集電を行うためのカー
ボンペーストと銀ペーストを介したマイナス側リード端
子を接続し、最後にエポキシ樹脂で封止してコンデンサ
素子を作製した。コンデンサ素子を125℃で2時間エ
ージングした後に初期特性を測定した。これらの結果を
表8にまとめて示した。なお表中における測定は120
Hzで行なった。インピーダンス(Z)は共振周波数で
の値を測定した。漏れ電流(LC)は定格電圧を印加し
て1分後に測定した。各測定値は、試料数が30個の平
均値であり、漏れ電流については1μA以上をショート
(不良)品として表示し、これを除いて漏れ電流の値の
平均を算出した。
【0328】実施例15:実施例14で使用したAPS
を過硫酸カリウムに代え、この濃度を10重量%とし、
1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1重量%に調
製された溶液に変更した以外は、実施例14の記載と同
様にして処理して得たコンデンサ素子を評価した。結果
を表7及び表8に示した。但し、重合組成物中の硫酸イ
オン及び1−ナフタレンスルホン酸イオンの含有量は、
実施例14記載の方法で求めたところ、硫酸イオン含有
量は2.1重量%、1−ナフタレンスルホン酸イオン含
有量は、29.5重量%であった。
【0329】実施例16:実施例14で使用した20重
量%のAPS濃度を35重量%に代え、また0.1重量
%の1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム濃度を0.0
4重量%に代えて水溶液を調製した以外は、実施例14
の記載と同様にして得たコンデンサ素子を評価した。結
果を表7及び表8に示した。但し、重合組成物中の硫酸
イオン及び1−ナフタレンスルホン酸イオンの含有量
は、実施例14記載の方法で求めたところ、硫酸イオン
含有量は4.7重量%、1−ナフタレンスルホン酸イオ
ン含有量は、9.5重量%であった。
【0330】比較例8:実施例14で使用したAPSの
代わりに硫酸鉄を10重量%とし、1−ナフタレンスル
ホン酸ナトリウム0.1重量%に調製された溶液に変更
した以外は、実施例14の記載と同様にして得たコンデ
ンサ素子を評価した。結果を表7及び表8に示した。但
し、重合組成物中の硫酸イオン及び1−ナフタレンスル
ホン酸イオンの含有量は、実施例14記載の方法で求め
たところ、硫酸イオン含有量は20.5重量%、1−ナ
フタレンスルホン酸イオン含有量は、36.8重量%で
あった。鉄イオンが8重量%存在すること、および硫酸
イオン含有量が10重量%以上よりも高いために、コン
デンサ特性は悪かった。
【0331】比較例9:実施例14で使用したAPSの
代わりに塩化鉄を10重量%とし、1−ナフタレンスル
ホン酸ナトリウム0.1重量%に調製された溶液に変更
した以外は、実施例14の記載と同様にして得たコンデ
ンサ素子を評価した。結果を表7及び表8に示した。但
し、重合組成物中の1−ナフタレンスルホン酸イオンの
含有量は、実施例14記載の方法で求めたところ、4.
5重量%であった。硫酸イオンが併用して含有されてい
ないためにコンデンサ特性は悪かった。
【0332】比較例10:実施例14記載の3,4−ジ
オキシエチレン−チオフェンをチオフェンに代えた以外
は実施例14記載の条件と同じにして、コンデンサ素子
を作製する処理を行った。しかし、黒青色のポリチオフ
ェン重合体は全く生成せず、チオフェンの重合がAPS
の作用では起こらなかった。すなわち、APSによるチ
オフェン類の酸化重合は、3,4−ジオキシエチレン基
置換のチオフェン類に対して特異的に起こることが判明
した。
【0333】
【表7】
【0334】
【表8】
【0335】表7から明らかなように実施例14〜16
での火花電圧試験では、初期の電圧低下は大きいものの
反応終了時の火花電圧はいずれも27V以上であった。
しかし、比較例8の硫酸鉄を用いた場合は、鉄イオンが
8重量%も残存するために火花電圧の低下が大きく、規
定の反応終了前に火花電圧が低下し、固体電解質の充填
が不十分なままで終了し、好ましくなかった。
【0336】実施例17:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
表面に、APS20重量%とアントラキノン−2−スル
ホン酸ナトリウム0.1重量%になるように調製した水
溶液を含浸させ、次いで3,4−ジオキシエチレン−チ
オフェンを5g溶解した1.2mol/lのIPA溶液
に浸漬した。この基板を取り出して60℃の環境下で1
0分放置することで酸化的重合を完成させ、水で洗浄し
た。この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰
り返した。重合組成物中の硫酸イオン及びアントラキノ
ン−2−スルホン酸イオンの含量は、先ず前記重合組成
物を水/IPA溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽
出し、イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、硫
酸イオン含量は重合体組成物の乾燥重量当り1.1重量
%、アントラキノン−2−スルホン酸イオン含量は、3
4重量%であった。固体電解質層の電導度は、75S/
cmであった。
【0337】次に、ポリチオフェン重合体組成物を蓄積
させたアルミニウム箔を、10重量%アジピン酸アンモ
ニウム水溶液中で処理して、火花電圧について調べた。
試験は、素子特性を顕著に比較する上で、素子数を増や
して行った(以下の実施例も同じ)。すなわち、50℃
環境下、電流密度10mA/cm2の条件でn=5回行
い、表9の結果を得た。次いで、陽極からの集電を行う
アルミ芯部をプラス側リード端子に溶接し、また陰極か
らの集電を行うためのカーボンペーストと銀ペーストを
介したマイナス側リード端子を接続し、最後にエポキシ
樹脂で封止してコンデンサ素子を作製した。コンデンサ
素子を125℃で2時間エージングした後に初期特性を
測定した。これらの結果を表10にまとめた。ここで、
表中、初期特性の容量(C)、損失角の正接(tan
δ)(DF)はいずれも120Hzで測定したものであ
る。インピーダンスは、共振周波数での値を示した。L
C(漏れ電流)は、定格電圧を印加して1分後に測定し
た。各測定値は、試料数が30個の平均値であり、LC
については1μA以上を不良品に、また10μA以上を
ショート品として表示し、これを除いてLC値の平均を
算出した。
【0338】実施例18:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
表面に、APSを20重量%に調製した水溶液を含浸さ
せ、次いで3,4−ジオキシエチレン−チオフェンを5
g溶解した1.2mol/lのIPA溶液にアントラキ
ノン−2,6−ジスルホン酸アンモニウムを加えて、そ
の濃度が0.1重量%になるよう調製したIPA/水混
合溶液に浸漬した。この基板を取り出して60℃の環境
下で10分放置することで酸化的重合を完成させ、水で
洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ1
0回繰り返して、そのコンデンサ素子を評価した。結果
を表9及び表10に示した。但し、重合体組成物中の硫
酸イオン及びアントラキノン−2,6−ジスルホン酸イ
オンの含量は、実施例17記載の方法で求めたところ、
硫酸イオン含量は1.3重量%、アントラキノン−2,
6−ジスルホン酸イオン含量は、31重量%であった。
固体電解質層の電導度は、80S/cmであった。
【0339】実施例19:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
を、3,4−ジオキシエチレン−チオフェンを5g溶解
した1.2mol/lのIPA溶液に浸漬した後、AP
S濃度20重量%、1,4−ナフトキノン−2−スルホ
ン酸ナトリウム濃度0.1重量%に調製した水溶液を含
浸させた後、この基板を60℃の環境下で10分放置す
ることで酸化的重合を完成させ、水で洗浄した。この重
合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返して、
コンデンサ素子を評価した。結果を表9及び表10に示
した。但し、重合体組成物中の硫酸イオン及び1,4−
ナフトキノン−2−スルホン酸イオンの含量は、実施例
17記載の方法で求めたところ、硫酸イオン含量は1.
0重量%、1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸イオ
ン含量は28重量%であった。固体電解質層の電導度は
68S/cmであった。
【0340】実施例20:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
表面に、過硫酸カリウム10重量%とアントラキノン−
2−スルホン酸ナトリウム0.1重量%になるように調
製した水溶液を含浸させ、次いで3,4−ジオキシエチ
レン−チオフェンを5g溶解した1.2mol/lのI
PA溶液に浸漬した。この基板を取り出して60℃の環
境下で10分放置することで酸化的重合を完成させた。
この浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後、水洗し乾
燥した。このコンデンサ素子の特性を評価し、表9及び
表10に記載の結果を得た。但し、重合体組成物中の硫
酸イオン及びアントラキノンスルホン酸イオンの含量
は、実施例17記載の方法で求めたところ、硫酸イオン
含量は2.0重量%、アントラキノン−2−スルホン酸
イオン含量は、30.0重量%であった。固体電解質層
の電導度は、69S/cmであった。
【0341】実施例21:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
表面に、APS濃度が35重量%に調製した水溶液を含
浸させ、次いで3,4−ジオキシエチレン−チオフェン
を5g溶解した1.2mol/lのIPA溶液にアント
ラキノン−2,6−ジスルホン酸アンモニウムを加え
て、その濃度が0.04重量%になるよう調製したIP
A/水混合溶液に浸漬した。この基板を取り出して60
℃の環境下で10分放置することで酸化的重合を完成さ
せた。この浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後で水
洗して乾燥した。そしてそのコンデンサ素子の特性を評
価し、表9及び表10に記載の結果を得た。但し、重合
組成物中の硫酸イオン及びアントラキノン−2,6−ジ
スルホン酸イオンの含量は、実施例17記載の方法で求
めたところ、硫酸イオン含量は4.5重量%、アントラ
キノン−2,6−ジスルホン酸イオン含量は、9.2重
量%であった。固体電解質層の電導度は、50S/cm
であった。
【0342】実施例22:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
を、特開平2-242816号公報記載の方法を採用して合成及
び昇華精製した5,6−ジメトキシ−イソチアナフテン
の脱気IPA溶液(1.2mol/l濃度)に浸漬した
後、20重量%濃度のAPS水溶液に、Tetrahedron誌
(35巻(No.19)、2263頁、1979年)記載の方法で合成
した3−メチル−2−アントラキノリルメタンスルホン
酸ナトリウムを溶かして、その濃度が0.1重量%にな
るように調製した水溶液を含浸させた。次いでこの基板
を取り出して60℃の環境下で10分放置することで酸
化的重合を完成させた。この浸漬工程をそれぞれ10回
繰り返した後で水洗して乾燥した。そしてそのコンデン
サ素子の特性を評価したところ、表9及び表10に記載
の結果を得た。但し、重合組成物中の硫酸イオン及び3
−メチル−2−アントラキノリルメタンスルホン酸イオ
ンの含量は、実施例17記載の方法で求めたところ、硫
酸イオン含量は0.5重量%、3−メチル−2−アント
ラキノリルメタンスルホン酸イオン含量は、4.8重量
%であった。固体電解質層の電導度は、40S/cmで
あった。
【0343】実施例23:実施例1で使用した3,4−
ジオキシエチレン−チオフェンの替わりにピロール−N
ーメチルの同濃度溶液を用いたこと以外は、実施例17
の記載と同様にしてコンデンサ素子を作製し、その特性
を評価した。結果を表9及び表10に示した。但し、重
合組成物中の硫酸イオン及びアントラキノン−2−スル
ホン酸イオンの含量は、実施例17記載の方法で求めた
ところ、硫酸イオン含量は7.5重量%、アントラキノ
ン−2−スルホン酸イオン含量は、20.3重量%であ
った。固体電解質層の電導度は、8S/cmであった。
【0344】実施例24:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
をアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム濃度が
0.1重量%及び3,4−ジオキシエチレン−チオフェ
ンが1.2mol/l濃度になるように調製した30%
のDMF−IPA溶液に浸漬し、次いで20重量%のA
PS水溶液に浸漬した。この基板を取り出して60℃の
環境下で10分放置することで酸化的重合を完成させ
た。この浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後で水洗
して乾燥した。得られたコンデンサ素子の特性を評価
し、表9及び表10に記載の結果を得た。但し、硫酸イ
オン含量は重合体組成物の乾燥重量当り1.2重量%、
アントラキノン−2−スルホン酸イオン含量は、37重
量%であった。固体電解質層の電導度は、80S/cm
であった。
【0345】参考例3:実施例17記載の3,4−ジオ
キシエチレン−チオフェンをチオフェンに替えた以外は
実施例17記載の条件と同じにして、コンデンサ素子の
作製を試みた。しかし、黒青色のポリチオフェン重合体
は全く生成せず、チオフェンの重合がAPSの作用では
起こらなかった。すなわち、APSによるチオフェン類
の酸化重合は、3,4−ジオキシエチレン基置換のチオ
フェン類に対して特異的に起こることが判明した。
【0346】比較例10:実施例17と同じく化成した
誘電体を準備し、これをアントラキノン−2−スルホン
酸鉄(III)の12%IPA溶液に浸漬し、次いで3,
4−ジオキシエチレン−チオフェンを5g溶解した1.
2mol/lのIPA溶液に浸漬した。この基板を60
℃の環境下で10分放置することで酸化的重合を完成さ
せ、水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそ
れぞれ10回繰り返した。重合組成物中のアントラキノ
ン−2−スルホン酸イオンの含量は、前記重合組成物を
水/IPA溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽出
し、イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、アン
トラキノン−2−スルホン酸イオン含量は、重合体組成
物の乾燥重量当り25重量%であった。固体電解質層の
電導度は、30S/cmであった。次いで、コンデンサ
素子を作製して、火花電圧及び他のコンデンサ特性を実
施例17と同様に調べたところ、表9及び表10に記載
の結果が得られた。
【0347】比較例11:実施例17と同様に20重量
%のAPSを12重量%に替えた以外は実施例17の記
載と同様にして得たコンデンサ素子を評価した。結果を
表9及び表10に示した。但し、実施例17に記載の方
法で求めた、重合体組成物中の硫酸イオン及びアントラ
キノン−2−スルホン酸イオンの含量は、硫酸イオン含
量0.09重量%、アントラキノン−2,6−ジスルホ
ン酸イオン含量32重量%であった。固体電解質層の電
導度は、40S/cmであった。
【0348】比較例12:実施例17で使用したAPS
の替わりに硫酸鉄を10重量%とし、アントラキノン−
2−スルホン酸ナトリウム0.1重量%に調製された溶
液に変更した以外は、実施例17の記載と同様にしてコ
ンデンサ素子を作製し、評価した。結果を表9及び表1
0に示した。但し、重合組成物中の硫酸イオン及びアン
トラキノン−2−スルホン酸イオンの含量は、実施例1
7記載の方法で求めたところ、硫酸イオン含量は20.
0重量%、アントラキノンスルホン酸イオン含量は、3
7.8重量%であった。しかしながら、鉄イオンが8重
量%存在すること、および硫酸イオン含量が10重量%
以上よりも高いために、コンデンサ特性は悪かった。
【0349】比較例13:実施例17で使用した3,4
−ジオキシエチレン−チオフェンをチオフェンに、替
え、APSの替わりに10重量%の塩化鉄を使用し、ア
ントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム0.1重量%
に調製された溶液に変更した以外は、実施例17の記載
と同様にして得たコンデンサ素子を作製し評価した。そ
の結果を表9及び表10に示した。但し、重合組成物中
のアントラキノン−2−スルホン酸イオンの含量は、実
施例17記載の方法で求めたところ、4.2重量%であ
った。硫酸イオンが併用して含有されていないためにコ
ンデンサ特性は悪かった。
【0350】
【表9】
【0351】
【表10】
【0352】表9から明らかなように実施例17〜24
での火花電圧試験では、電圧低下はほとんど無く反応終
了時の火花電圧はいずれも19V以下であった。しか
し、比較例12の硫酸鉄を用いた場合は、鉄イオンが8
重量%も残存するために火花電圧の低下が大きく、規定
の反応終了前に火花電圧が低下し、固体電解質の充填が
不十分なままで終了し、好ましくなかった。
【0353】実施例25:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
表面に、APSが20重量%、アントラセン−2−スル
ホン酸ナトリウム(Salor社製)が0.3重量%になるよ
うに調製した水溶液を含浸させ、次いで3,4−ジオキ
シエチレン−チオフェンを5g溶解した1.2mol/
lのIPA溶液に浸漬した。この基板を取り出して60
℃の環境下で10分放置することで酸化的重合を完成さ
せ、水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそ
れぞれ10回繰り返した。重合組成物中の硫酸イオン及
びアントラセン−2−スルホン酸イオンの含量は、先ず
前記重合組成物を水/IPA溶媒中でヒドラジン還元し
て注意深く抽出し、イオンクロマトグラフィー法で求め
たところ、硫酸イオン含量は重合体の全繰り返し構造単
位当り1.7モル%、アントラセン−2−スルホン酸イ
オン含量は14.6モル%であった。固体電解質層の電
導度は70S/cmであった。
【0354】次に、ポリチオフェン重合体組成物を蓄積
させたアルミニウム箔を、10重量%アジピン酸アンモ
ニウム水溶液中で処理して、火花電圧について調べた。
試験は、素子特性を顕著に比較する上で素子数を増やし
て行った(以下の実施例も同様)。すなわち、50℃環
境下、電流密度10mA/cm2の条件でn=5回行な
い、表11の結果を得た。次いで、陽極からの集電を行
うアルミ芯部をプラス側リード端子に溶接し、また陰極
からの集電を行うためのカーボンペーストと銀ペースト
を介したマイナス側リード端子を接続し、最後にエポキ
シ樹脂で封止してコンデンサ素子を作製した。コンデン
サ素子を125℃で2時間エージングした後に初期特性
を測定した。これらの結果を表12にまとめた。ここ
で、表中、初期特性の容量(C)、損失角の正接(D
F)(tanδ)はいずれも120Hzで測定した値で
ある。インピーダンス(Z)は、共振周波数での値を示
し、LC(漏れ電流)は、定格電圧を印加して1分後に
測定した値である。各測定値は、試料数が30個の平均
値であり、LCについては1μA以上を不良品に、また
10μA以上をショート品として表示し、これを除いて
LC値の平均を算出した。
【0355】実施例26:実施例25記載の方法で準備
した誘電体表面に、APSを20重量%に調製した水溶
液を含浸させ、次いで3,4−ジオキシエチレン−チオ
フェンを5g溶解した1.2mol/lのIPA溶液に
9,10−ジメトキシ−アントラセン−2−スルホン酸
テトラブチルアンモニウム塩(以下、DMASTBと略
する。)を加えて、その濃度が0.1重量%になるよう
調製したIPA/水混合溶液に浸漬した。この時、前記
DMASTB塩は、9,10−ジメトキシ−アントラセ
ン−2−スルホン酸ナトリウム(Aldrich社製)からテ
トラブチルアンモニウムブロマイドと混合反応して再結
晶したものを使用した。次に、基板を取り出して60℃
の環境下で10分放置することで酸化的重合を完成さ
せ、水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそ
れぞれ10回繰り返して得たコンデンサ素子を評価し
た。結果を表11及び表12に示した。但し、重合体組
成物中の硫酸イオン及び9,10−ジメトキシ−アント
ラセン−2−スルホン酸イオンの含量を実施例25記載
の方法で求めたところ、硫酸イオン含量は1.8モル
%、9,10−ジメトキシ−アントラセン−2−スルホ
ン酸イオン含量は8.1モル%であった。固体電解質層
の電導度は、60S/cmであった。
【0356】実施例27:実施例25記載の方法で準備
した誘電体を、3,4−ジオキシエチレン−チオフェン
を5g溶解した1.2mol/lのIPA溶液に浸漬し
た後、APS濃度が20重量%であり9,10−ジメト
キシーアントラセン−2−スルホン酸ナトリウム濃度が
0.1重量%になるように調製した水溶液を含浸させた
後、この基板を60℃の環境下で10分放置することで
酸化的重合を完成させ、水で洗浄した。この重合反応処
理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返して得たコンデ
ンサ素子を評価した。その結果を表11及び表12に示
した。但し、重合体組成物中の硫酸イオン及び9,10
−ジメトキシーアントラセン−2−スルホン酸イオンの
含量を実施例25記載の方法で求めたところ、硫酸イオ
ン含量は2.2モル%、9,10−ジメトキシーアント
ラセン−2−スルホン酸イオン含量は0.6モル%であ
った。固体電解質層の電導度は、65S/cmであっ
た。
【0357】実施例28:実施例25記載の方法で準備
した誘電体を準備した。この誘電体表面に、過硫酸カリ
ウムが10重量%、アントラセン−1−スルホン酸ナト
リウム(Salor社製)が0.1重量%になるように調製し
た水溶液を含浸させ、次いで3,4−ジオキシエチレン
−チオフェンを5g溶解した1.2mol/lのIPA
溶液に浸漬した。この基板を取り出して60℃の環境下
で10分放置することで酸化的重合を完成させた。この
浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後で水洗して乾燥
して得たコンデンサ素子を評価したところ、表11及び
表12記載の結果を得た。但し、重合体組成物中の硫酸
イオン及びアントラセン−1−スルホン酸イオンの含量
を実施例1記載の方法で求めたところ、硫酸イオン含量
は5.8モル%、アントラセン−2−スルホン酸イオン
含量は15モル%であった。固体電解質層の電導度は、
75S/cmであった。
【0358】実施例29:実施例25記載の方法で準備
した誘電体を準備した。この誘電体表面に、APS濃度
が35重量%に調製した水溶液を含浸させ、次いで3,
4−ジオキシエチレン−チオフェンを5g溶解した1.
2mol/lのIPA溶液に9,10−ジヘキシル−ア
ントラセン−2−スルホン酸テトラブチルアンモニウム
(DHASTB)塩を加えてその濃度が0.04重量%
になるよう調製したIPA/水混合溶液に浸漬した。こ
の時、前記DHASTB塩は以下の方法により、市販の
9,10−ジメトキシ−アントラセン−2−スルホン酸
ナトリウム(Aldrich社製)から合成した。すなわち、
9,10−ジメトキシ−アントラセン−2−スルホン酸
ナトリウムを無水ジメチルホルムアミド溶媒中、塩化チ
オニルを反応させてスルホニルクロライド体とし、次に
メタノールを反応させてスルホン酸メチルエステル体を
合成後、ヨウ化アルミニウムでジメトキシ基を切断して
9,10−ジヒドロ−アントラセン−2−スルホン酸メ
チルエステル体を合成した。次に、炭酸カリウムの存在
下、臭化ヘキシルを反応させてアルカリ処理後に、目的
の9,10−ジヘキシルオキシ−アントラセン−2−ス
ルホン酸ナトリウムを得た。さらに、これにテトラブチ
ルアンモニウムブロマイドを水溶液中で反応させてDH
ASTB塩を合成した。コンデンサ評価には再結晶した
ものを使用した。
【0359】次に、この基板を取り出して60℃の環境
下で10分放置することで酸化的重合を完成させた。こ
の浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後で水洗して乾
燥して得たコンデンサ素子を評価したところ、表11及
び表12記載の結果を得た。但し、重合組成物中の硫酸
イオン及び9,10−ジヘキシルオキシ−アントラセン
−2−スルホン酸イオンの含量は、実施例25記載の方
法で求めたところ、硫酸イオン含量は6.2モル%、
9,10−ジヘキシルオキシ−アントラセン−2−スル
ホン酸イオン含量は、7.6モル%であった。固体電解
質層の電導度は、42S/cmであった。
【0360】実施例30:実施例25記載の方法で準備
した誘電体を準備した。この誘電体を、特開平2-242816
号公報記載の方法を採用して合成及び昇華精製した5,
6−ジメトキシ−イソチアナフテンの脱気IPA溶液
(1.2mol/l濃度)に浸漬した後、20重量%濃
度のAPS水溶液にアントラセン−1−スルホン酸ナト
リウムの0.1重量%になるように調製した水溶液を含
浸させた。次いでこの基板を取り出して60℃の環境下
で10分放置することで酸化的重合を完成させた。この
浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後で水洗して乾燥
して得たコンデンサ素子を評価したところ、表11及び
表12記載の結果を得た。但し、重合体組成物中の硫酸
イオン及びアントラセン−1−スルホン酸イオンの含量
を実施例25記載の方法で求めたところ、硫酸イオン含
量は0.8モル%、アントラセン−1−スルホン酸イオ
ン含量は5.6モル%であった。固体電解質層の電導度
は、30S/cmであった。
【0361】実施例31:実施例25で使用した3,4
−ジオキシエチレン−チオフェンの替わりにピロール−
Nーメチルの同濃度溶液を用いた以外は、実施例25の
記載と同様にして得たコンデンサ素子を評価した。結果
を表11及び表12に示した。但し、重合組成物中の硫
酸イオン及びアントラセン−2−スルホン酸イオンの含
量を実施例25記載の方法で求めたところ、硫酸イオン
含量は6.9モル%、アントラセン−2−スルホン酸イ
オン含量は15.8モル%であった。固体電解質層の電
導度は、5S/cmであった。
【0362】実施例32:規定の面積に加工したアルミ
ニウム化成箔を10重量%のアジピン酸アンモニウム水
溶液で13V化成して、誘電体を準備した。この誘電体
を、アントラセン−2−スルホン酸ナトリウム濃度が
0.1重量%及び3,4−ジオキシエチレン−チオフェ
ンが1.2mol/l濃度になるように準備した30重
量%のDMF−IPA溶液に浸漬し、次いで20重量%
のAPS水溶液に浸漬した。この基板を取り出して60
℃の環境下で10分放置することで酸化的重合を完成さ
せた。この浸漬工程をそれぞれ10回繰り返した後で水
洗、乾燥して得たコンデンサ素子を評価したところ、表
11及び表12記載の結果を得た。但し、硫酸イオン含
量は重合体の全繰り返し構造単位当り1.7モル%、ア
ントラセン−2−スルホン酸イオン含量は、32モル%
であった。固体電解質層の電導度は、75S/cmであ
った。
【0363】参考例4:実施例25記載の3,4−ジオ
キシエチレン−チオフェンをチオフェンに替えた以外は
実施例25記載の条件と同じにして、コンデンサ素子の
作製を試みた。しかし、黒青色のポリチオフェン重合体
は全く生成せず、チオフェンの重合がAPSの作用では
起こらなかった。すなわち、APSによるチオフェン類
の酸化重合は、3,4−ジオキシエチレン基置換のチオ
フェン類に対して特異的に起こることが判明した。
【0364】比較例14:実施例25と同じく化成した
誘電体を準備し、これをアントラセン−2−スルホン酸
鉄(III)の12重量%IPA溶液に浸漬し、次いで
3,4−ジオキシエチレン−チオフェンを5g溶解した
1.2mol/lのIPA溶液に浸漬した。この基板を
60℃の環境下で10分放置することで酸化的重合を完
成させ、水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程
をそれぞれ10回繰り返して得たコンデンサ素子を評価
した。重合体組成物中のアントラセン−2−スルホン酸
イオンの含量は、前記重合組成物を水/IPA溶媒中で
ヒドラジン還元して注意深く抽出し、イオンクロマトグ
ラフィー法で求めたところ、アントラセン−2−スルホ
ン酸イオン含量は重合体の全繰り返し構造単位当り16
モル%であった。固体電解質層の電導度は32S/cm
であった。次いで、コンデンサ素子を作製して、火花電
圧及び他のコンデンサ特性を実施例25と同様に調べた
ところ、表11及び表12に記載の結果が得られた。
【0365】比較例15:実施例25で使用した20重
量%のAPSを12重量%に替えた以外は実施例25の
記載と同様にして得たコンデンサ素子を評価した。結果
を表11及び表12に示した。但し、重合体組成物中の
硫酸イオン及びアントラセン−2−スルホン酸イオンの
含量を実施例25記載の方法で求めたところ、硫酸イオ
ン含量は0.15モル%、アントラセン−2−スルホン
酸イオン含量は27モル%であった。固体電解質層の電
導度は、36S/cmであった。
【0366】比較例16:実施例25で使用したAPS
の替わりに硫酸鉄を10重量%とし、アントラセン−2
−スルホン酸ナトリウム0.1重量%に調製された溶液
に変更した以外は、実施例25の記載と同様にして得た
コンデンサ素子を評価した。結果を表11及び表12に
示した。但し、重合組成物中の硫酸イオン及びアントラ
セン−2−スルホン酸イオンの含量を実施例25記載の
方法で求めたところ、硫酸イオン含量は23.6モル
%、アントラセン−2−スルホン酸イオン含量は33.
8モル%であった。しかしながら、鉄イオンが8モル%
存在すること、および硫酸イオン含量が10モル%以上
よりも高いために、コンデンサ特性は悪かった。
【0367】比較例17:実施例25で使用した3,4
−ジオキシエチレン−チオフェンをチオフェンに、替
え、APSの替わりに10重量%の塩化鉄を使用し、ア
ントラセン−2−スルホン酸ナトリウム濃度0.1重量
%に調製した溶液に変更した以外は、実施例25の記載
と同様にして得たコンデンサ素子を評価した。結果を表
11及び表12に示した。但し、重合組成物中のアント
ラセン−2−スルホン酸イオンの含量を実施例25記載
の方法で求めたところ、2.9モル%であった。硫酸イ
オンが併用して含有されていないためにコンデンサ特性
は悪かった。
【0368】
【表11】
【0369】
【表12】
【0370】表11から明らかな通り、実施例25〜3
2での火花電圧試験では、電圧低下はほとんど無く反応
終了時の火花電圧はいずれも19V以下であった。しか
し、比較例16の硫酸鉄を用いた場合は、鉄イオンが8
モル%も残存するために火花電圧の低下が大きく、規定
の反応終了前に火花電圧が低下し、固体電解質の充填が
不十分なままで終了し、好ましくなかった。
【0371】
【発明の効果】本発明の固体電解コンデンサは、第1に
固体電解質層に層状構造を有し、さらに好ましくは層間
に空間を有しているため、熱応力緩和能力、導電ペース
ト層との密着性、誘電体皮膜の修復能力に優れる。第2
に特定の縮合ヘテロ環状重合体を固体電解質としている
ため、ハンダ耐熱性(リフロー性)、熱的安定性に優れ
ている。耐湿特性も良好である。またコンデンサ容量が
大きく、インピーダンスが小さい。さらに漏れ電流も小
さい。
【0372】第3に上記の重合体を用いて固体電解質に
層状構造を形成し、さらに好ましくは空間部を設けるこ
とにより、上記の熱応力緩和能力及びハンダ耐熱性等共
に優れた固体電解コンデンサとなる。
【0373】特に、固体電解質中に一つ以上のスルホア
ニオン基とキノン構造を分子内に有するスルホキノンを
含み、かつ前記キノン以外の他のドーパント能を有する
アニオンを併含させ、スルホキノンの含量が0.1〜5
0重量%、硫酸イオン含量が0.1〜10重量%含まれ
ているた固体電解コンデンサ、及び固体電解質中に1つ
のスルホン酸基を有するアントラセンモノスルホン酸を
含み、他のドーパント能を有するアニオンを併含せたア
ントラセンモノスルホン酸の含量が0.1〜50モル
%、かつ硫酸イオン含量が0.1〜10モル%の範囲の
固体電解コンデンサは耐電圧特性(火花電圧試験)、高
周波特性、tanδ、インピーダンス特性、漏洩電流、
耐熱性(リフロー性)等が大幅に向上し、低インピーダ
ンスで、小型で高性能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 固体電解コンデンサの一例の縦断面図であ
る。
【図2】 本発明の実施例1における導電性高分子層を
形成した微細孔構造を有するアルミニウム箔断面の走査
電子顕微鏡写真(2,000倍)である。
【図3】 図2の微細孔構造の外部表面の部分を拡大し
た走査電子顕微鏡写真(10,000倍)である。
【図4】 図3の微細孔部分を拡大した走査電子顕微鏡
写真(50,000倍)である。
【符号の説明】
1 金属箔 2 微細孔 3 アルミニウムの酸化物層 4 固体電解質 5 導電体層 6 封口樹脂 7a,7b リード端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 9/02 331H (31)優先権主張番号 特願平10−70908 (32)優先日 平成10年3月19日(1998.3.19) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平10−112552 (32)優先日 平成10年4月22日(1998.4.22) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 門田 隆二 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内 (72)発明者 坂井 厚 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内 (72)発明者 古田 雄司 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内 (72)発明者 山崎 勝彦 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内 (72)発明者 大籏 英樹 千葉県千葉市緑区大野台1丁目1番1号 昭和電工株式会社総合研究所内 (72)発明者 池ノ上 芳章 東京都港区芝大門1丁目13番9号 昭和電 工株式会社内 (72)発明者 澤口 徹 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内

Claims (75)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成さ
    れた誘電体被膜上に固体電解質層を設けた固体電解コン
    デンサにおいて、前記固体電解質層の少なくとも一部が
    層状構造をなしていることを特徴とする固体電解コンデ
    ンサ。
  2. 【請求項2】 前記固体電解質層が、誘電体被膜上の外
    部表面または外部表面と微細孔部分内に形成されている
    請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記層状構造の層間の少なくとも一部に
    空間部を有する請求項1または2に記載の固体電解コン
    デンサ。
  4. 【請求項4】 前記層状構造をなす固体電解質の各層の
    厚さが0.01〜5μmの範囲であり、固体電解質層の
    全体の厚さが1〜200μmの範囲である請求項1乃至
    3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記固体電解質層がπ電子共役系高分子
    及び/またはこれ以外の導電性高分子を含む組成物であ
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の固体電解コンデン
    サ。
  6. 【請求項6】 前記導電性高分子が、下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、C1
    〜6(炭素数1乃至6を意味する。以下同じ。)の直鎖
    状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、
    C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の
    アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シア
    ノ基、トリハロメチル基、フェニル基、または置換フェ
    ニル基を表わすか、またはR1及びR2は互いに任意の位
    置で結合して、少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和
    もしくは不飽和の環状構造を形成する二価の基を形成し
    てもよい。XはS、O、Se、TeまたはNR3を表わ
    し、R3は水素原子、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状
    の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、フェニル基、また
    はC1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和
    のアルコキシ基を表わす。R1、R2及びR3が表わすア
    ルキル基またはアルコキシ基の鎖中には、カルボニル結
    合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミノ
    結合を含んでもよい。δは0〜1の範囲である。)で示
    される構造単位を繰り返し単位として含む請求項5に記
    載の固体電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 前記導電性高分子が、下記一般式(II) 【化2】 (式中、R4及びR5は、各々独立して水素原子、C1〜
    6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化
    水素基、またはC1〜6の炭化水素基が互いに任意の位
    置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以
    上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置
    換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていて
    もよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよ
    いフェニレン構造のものが含まれる。δは0〜1の範囲
    である。)で示される構造単位を繰り返し単位として含
    む請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 前記導電性高分子が、下記一般式(II
    I) 【化3】 (式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、それぞ
    れ独立して、水素原子、C1〜10の直鎖状もしくは分
    岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基
    またはアルキルエステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、
    シアノ基、1級、2級または3級アミノ基、トリハロメ
    チル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から
    選ばれる一価基を表わすか、またはR6、R7、R8
    9、R10及びR11の炭化水素鎖は互いに任意の位置で
    結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と
    共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽
    和炭化水素の環状構造を形成する二価の基を形成しても
    よい。R6、R7、R8、R9、R10及びR11が表わすアル
    キル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、またはそ
    れらによって形成される環状炭化水素鎖にはカルボニ
    ル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフ
    ィニル、スルホニル、イミノ結合を任意の数含んでもよ
    い。kはチオフェン環と置換基R6〜R9を有するベンゼ
    ン環に囲まれた縮合環の数を表わし、0または1〜3の
    整数である。但し、k=0の誘導体のうち、R6〜R9
    全てが水素原子である構造体を除く。また縮合環は1〜
    2個の窒素原子(N)またはN−オキシドを含んでもよ
    い。δは0〜1の範囲である。Zは陰イオンを表わし、
    jはZの価数であり、1または2である。)で示される
    構造単位を繰り返し単位として含む縮合ヘテロ多環式重
    合体である請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 前記一般式(III)の縮合ヘテロ多環式
    重合体が、k=0の下記一般式(IV) 【化4】 (式中、R6、R7、R8、R9、δ、Z及びjは、一般式
    (III)と同じ意味を表わし、また縮合環は1〜2個の
    窒素原子(N)またはN−オキシドを含んでもよい。)
    で示される縮合ヘテロ多環式重合体である請求項8に記
    載の固体電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 前記一般式(IV)の縮合ヘテロ多環式
    重合体が、5,6−ジオキシメチレン−イソチアナフテ
    ニレン重合体及び5,6−ジメトキシ−イソチアナフテ
    ニレン重合体から選ばれる縮合ヘテロ多環式重合体であ
    る請求項9に記載の固体電解コンデンサ。
  11. 【請求項11】 前記一般式(III)の縮合ヘテロ多環
    式重合体が、k=1の下記一般式(V) 【化5】 (式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、δ、Z及び
    jは、一般式(III)と同じ意味を表わし、また縮合環
    は1〜2個の窒素原子(N)またはN−オキシドを含ん
    でもよい。)で示される縮合ヘテロ多環式重合体である
    請求項8に記載の固体電解コンデンサ。
  12. 【請求項12】 前記導電性高分子が導電性ポリチオフ
    ェンであって、前記導電性ポリチオフェンを含む組成物
    中に硫酸イオンが0.1〜10モル%の範囲、かつナフ
    タレンスルホン酸イオンが1〜50モル%の範囲含有さ
    れている請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  13. 【請求項13】 導電性ポリチオフェンが、請求項7に
    記載の一般式(II)で示される構造単位を繰り返し単位
    として含む請求項12に記載の固体電解コンデンサ。
  14. 【請求項14】 硫酸イオンが過硫酸塩の還元体に由来
    するものである請求項12または13に記載の固体電解
    コンデンサ。
  15. 【請求項15】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物層からなる固
    体電解質層を設けてなる固体電解コンデンサにおいて、
    前記組成物が1つ以上のスルホアニオン基とキノン構造
    を分子内に有するスルホキノンアニオンを0.1〜50
    モル%を含み、かつ前記スルホキノンアニオン以外のア
    ニオンを0.1〜10モル%の範囲で含むことを特徴と
    する固体電解コンデンサ。
  16. 【請求項16】 前記組成物中の導電性高分子の主鎖
    が、下記一般式(I) 【化6】 (式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、C1
    〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭
    化水素基、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和また
    は不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニト
    ロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、また
    は置換フェニル基を表わすか、またはR1及びR2は互い
    に任意の位置で結合して、少なくとも1つ以上の5〜7
    員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価の
    基を形成してもよい。XはS、O、Se、TeまたはN
    3を表わし、R3は水素原子、C1〜6の直鎖状もしく
    は分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、フェニル
    基、またはC1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和また
    は不飽和のアルコキシ基を表わす。R1、R2及びR3
    表わすアルキル基またはアルコキシ基の鎖中には、カル
    ボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結
    合、イミノ結合を含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
    る。)で示される構造単位を含む請求項15に記載の固
    体電解コンデンサ。
  17. 【請求項17】 一般式(I)の構造単位が、下記一般
    式(II) 【化7】 (式中、R4及びR5は、各々独立して水素原子、C1〜
    6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化
    水素基、またはC1〜6の炭化水素基が互いに任意の位
    置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以
    上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置
    換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていて
    もよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよ
    いフェニレン構造のものが含まれる。δは0〜1の範囲
    である。)で示される構造である請求項16に記載の固
    体電解コンデンサ。
  18. 【請求項18】 スルホキノンアニオンの基本骨格が、
    p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナフト
    キノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノ
    ン、9,10−アントラキノン、1,4−アントラキノ
    ン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキノ
    ン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキノ
    ン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カンホル
    キノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナン
    トレンキノン、2,7−ピレンキノンからなる群より選
    ばれる少なくとも1種である請求項15乃至17のいず
    れかに記載の固体電解コンデンサ。
  19. 【請求項19】 スルホキノンが、分子内に一つ以上の
    スルホアニオン基とキノン構造を有するスルホキノン
    と、前記スルホキノンから産生されるハイドロキノン構
    造体及び/またはそれらのキンヒドロン構造体を含む請
    求項18に記載の固体電解コンデンサ。
  20. 【請求項20】 前記スルホキノンアニオン以外のアニ
    オンが、酸化剤の還元体アニオンである請求項15乃至
    19のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  21. 【請求項21】 酸化剤の還元体アニオンが、硫酸イオ
    ンである請求項20に記載の固体電解コンデンサ。
  22. 【請求項22】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物層からなる固
    体電解質層を設けてなる固体電解コンデンサにおいて、
    前記組成物が1つのスルホン酸基を有するアントラセン
    スルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1
    種のアントラセンモノスルホン酸アニオンをドーパント
    として含むことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  23. 【請求項23】 前記アントラセンモノスルホン酸アニ
    オンが、導電性高分子の全繰り返し構造単位に対して
    0.1〜50モル%の範囲で含まれる請求項22に記載
    の固体電解コンデンサ。
  24. 【請求項24】 前記アントラセンモノスルホン酸アニ
    オン以外に、ドーパント能を有する酸化剤の還元体アニ
    オンを0.1〜10モル%の範囲で含む請求項22また
    は23に記載の固体電解コンデンサ。
  25. 【請求項25】 前記酸化剤の還元体アニオンが、硫酸
    イオンである請求項24に記載の固体電解コンデンサ。
  26. 【請求項26】 前記アントラセンスルホン酸誘導体
    が、アントラセン環の水素がC1から12の直鎖状もし
    くは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基またはア
    ルコキシ基で一つ以上置換されたアントラセンモノスル
    ホン酸である請求項22乃至25のいずれかに記載の固
    体電解コンデンサ。
  27. 【請求項27】 導電性高分子の主鎖が、下記一般式
    (I) 【化8】 (式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、C1
    〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭
    化水素基、C1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和また
    は不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニト
    ロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、また
    は置換フェニル基を表わすか、またはR1及びR2は互い
    に任意の位置で結合して、少なくとも1つ以上の5〜7
    員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価の
    基を形成してもよい。XはS、O、Se、TeまたはN
    3を表わし、R3は水素原子、C1〜6の直鎖状もしく
    は分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、フェニル
    基、またはC1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和また
    は不飽和のアルコキシ基を表わす。R1、R2及びR3
    表わすアルキル基またはアルコキシ基の鎖中には、カル
    ボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結
    合、イミノ結合を含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
    る。)で示される構造単位を繰り返し単位として含む請
    求項22に記載の固体電解コンデンサ。
  28. 【請求項28】 一般式(I)の繰り返し構造単位が、
    下記一般式(II) 【化9】 (式中、R4及びR5は、各々独立して水素原子、C1〜
    6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化
    水素基、またはC1〜6の炭化水素基が互いに任意の位
    置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以
    上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置
    換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていて
    もよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよ
    いフェニレン構造のものが含まれる。δは0〜1の範囲
    である。)で示される構造である請求項27に記載の固
    体電解コンデンサ。
  29. 【請求項29】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に固体電解質層を設けた固体電解コ
    ンデンサの製造方法において、下記一般式(VI) 【化10】 (式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、それぞ
    れ独立して、水素原子、C1〜10の直鎖状もしくは分
    岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基
    またはアルキルエステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、
    シアノ基、1級、2級または3級アミノ基、トリハロメ
    チル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から
    選ばれる一価基を表わすか、R6、R7、R8、R9、R10
    及びR11の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、
    かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なく
    とも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素
    の環状構造を形成する二価の基を形成してもよい。
    6、R7、R8、R9、R10及びR11が表わすアルキル
    基、アルコキシ基、アルキルエステル基、またはそれら
    によって形成される環状炭化水素鎖にはカルボニル、エ
    ーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニ
    ル、スルホニル、イミノ結合を任意の数含んでもよい。
    kはチオフェン環と置換基R6〜R9を有するベンゼン環
    に囲まれた縮合環の数を表わし、0または1〜3の整数
    である。また縮合環は、1〜2個の窒素原子(N)また
    はN−オキシドを含んでもよい。)で示される縮合ヘテ
    ロ多環式化合物を単独で、またはドーパント能を有する
    他のアニオンと共に、微細孔を有する弁作用金属表面に
    形成された誘電体被膜上で酸化剤の作用によって重合し
    て、誘電体被膜上に固体電解質層を形成することを特徴
    とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  30. 【請求項30】 縮合ヘテロ多環式化合物として、ジヒ
    ドロイソチアナフテン、ジヒドロナフト[2,3−c]
    チオフェン及びジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサ
    リン誘導体の中から選ばれる少なくとも1つ用いる請求
    項29に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  31. 【請求項31】 縮合ヘテロ多環式化合物として、1,
    3−ジヒドロイソチアナフテン、5,6−ジオキシメチ
    レン−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、5,6−ジ
    メトキシ−1,3−ジヒドロイソチアナフテン、1,3
    −ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン及び1,3
    −ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンから選ば
    れる少なくとも1つを用いる請求項29に記載の固体電
    解コンデンサの製造方法。
  32. 【請求項32】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に固体電解質層を設けた固体電解コ
    ンデンサの製造方法において、下記一般式(VII) 【化11】 (式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びkは請求
    項29に記載の一般式(VI)と同じ意味を表わし、縮合
    環は1〜2個の窒素原子(N)またはN−オキシドを含
    んでもよい。)で示される縮合ヘテロ多環式化合物を単
    独で、またはドーパント能を有する他のアニオンと共
    に、微細孔を有する弁作用金属表面に形成された誘電体
    被膜上で酸化剤の作用によって重合して、誘電体被膜上
    に固体電解質層を形成することを特徴とする請求項1に
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  33. 【請求項33】 縮合ヘテロ多環式化合物として、ジヒ
    ドロイソチアナフテン−2−オキシド、ジヒドロナフト
    [2,3−c]チオフェン−2−オキシド及びジヒドロ
    チエノ[3,4−b]キノキサリン−2−オキシド誘導
    体の中から選ばれる少なくとも1つを用いる請求項32
    に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  34. 【請求項34】 縮合ヘテロ多環式化合物として、1,
    3−ジヒドロイソチアナフテン−2−オキシド、5,6
    −ジオキシメチレン−1,3−ジヒドロイソチアナフテ
    ン−2−オキシド、5,6−ジメトキシ−1,3−ジヒ
    ドロイソチアナフテン−2−オキシド、1,3−ジヒド
    ロナフト[2,3−c]チオフェン−2−オキシド及び
    1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−
    2−オキシドから選ばれる少なくとも1つを用いる請求
    項32に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  35. 【請求項35】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に固体電解質として導電性ポリチオ
    フェン組成物を設けた固体電解コンデンサの製造方法に
    おいて、下記一般式(IX) 【化12】 (式中、R4及びR5は請求項17の記載と同じ意味を表
    わす。)で示されるチオフェンモノマーをナフタレンス
    ルホン酸アニオンの存在下で、過硫酸塩の作用によって
    重合して、誘電体被膜上に固体電解質層を形成すること
    を特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  36. 【請求項36】 過硫酸塩が、過硫酸アンモニウムまた
    は過硫酸カリウムである請求項35に記載の固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
  37. 【請求項37】 誘電体層の金属酸化物多孔質内で酸化
    剤の作用による重合を少なくとも2回繰り返して行う請
    求項29乃至36のいずれかに記載の固体電解コンデン
    サの製造方法。
  38. 【請求項38】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からなる固体
    電解質層を設けてなる固体電解コンデンサの製造方法に
    おいて、前記誘電体被膜上で下記一般式(VIII) 【化13】 (式中、R1、R2及びXは、請求項16に記載と同じ意
    味を表わす。)で示されるモノマー化合物を、スルホキ
    ノンアニオンを供出できる化合物の存在下で酸化剤によ
    り重合させて固体電解質層を形成することを特徴とする
    請求項15に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  39. 【請求項39】 前記一般式(VIII)で示されるモノマ
    ー化合物が、下記一般式(IX) 【化14】 (式中、R4及びR5は、請求項17に記載と同じ意味を
    表わす。)で示される化合物である請求項38に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  40. 【請求項40】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からなる固体
    電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法におい
    て、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により重合さ
    せて固体電解質層を形成する方法であって、 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、モノマー化
    合物を含む溶液に浸漬する工程と、酸化剤及びスルホキ
    ノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を有することを
    特徴とする請求項15に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  41. 【請求項41】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤
    及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を
    含む請求項40に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  42. 【請求項42】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤
    及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返す工程を含む請求項43に記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  43. 【請求項43】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤
    及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項42に
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  44. 【請求項44】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸
    漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する工程を
    含む請求項40に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  45. 【請求項45】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬
    した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する工程を複
    数回繰り返す工程を含む請求項44に記載の固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
  46. 【請求項46】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸
    漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項45に
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  47. 【請求項47】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からなる固体
    電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法におい
    て、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により重合さ
    せて固体電解質層を形成する方法であって、 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、酸化剤を含
    む溶液に浸漬する工程とモノマー化合物及びスルホキノ
    ンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を有することを特
    徴とする請求項15に記載の固体電解コンデンサの製造
    方法。
  48. 【請求項48】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物
    及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を
    含む請求項47に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  49. 【請求項49】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物
    及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返す工程を含む請求項48に記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  50. 【請求項50】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物
    及びスルホキノンアニオンを含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項49に
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  51. 【請求項51】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物及びスルホキノンアニオンを含む
    溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を
    含む請求項47に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  52. 【請求項52】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物及びスルホキノンアニオンを含む
    溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返す工程を含む請求項51に記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  53. 【請求項53】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物及びスルホキノンアニオンを含む
    溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を
    複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項52に
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  54. 【請求項54】 酸化剤が過硫酸塩である請求項38乃
    至53のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  55. 【請求項55】 酸化剤が過硫酸塩であり、モノマー化
    合物が下記一般式(VIII) 【化15】 (式中、R1、R2及びXは、請求項16に記載と同じ意
    味を表わす。)で示される化合物である請求項40乃至
    53のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  56. 【請求項56】 前記一般式(VIII)で示されるモノマ
    ー化合物が、下記一般式(IX) 【化16】 (式中、R4及びR5は、請求項17に記載と同じ意味を
    表わす。)で示される化合物である請求項55に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  57. 【請求項57】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からなる固体
    電解質層を設けてなる固体電解コンデンサの製造方法に
    おいて、前記誘電体酸化被膜上でモノマー化合物を酸化
    剤により重合させる製造方法であって、下記一般式(VI
    II) 【化17】 (式中、R1、R2及びXは、請求項27に記載と同じ意
    味を表わす。)で示されるモノマー化合物を、アントラ
    センスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくと
    も1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを供出で
    きる化合物の存在下で重合させて固体電解質層を形成す
    ることを特徴とする請求項22に記載の固体電解コンデ
    ンサの製造方法。
  58. 【請求項58】 一般式(VIII)で示されるモノマー化
    合物が、下記一般式(IX) 【化18】 (式中、R4及びR5は、請求項28に記載と同じ意味を
    表わす。)で示される化合物である請求項57に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  59. 【請求項59】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からなる固体
    電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法におい
    て、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により重合さ
    せて固体電解質層を形成する方法であって、 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、モノマー化
    合物を含む溶液に浸漬する工程と、酸化剤及び1つのス
    ルホン酸基を有するアントラセンスルホン酸またはその
    誘導体から選ばれる少なくとも1種のアントラセンモノ
    スルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する工程を有する
    ことを特徴とする請求項22に記載の固体電解コンデン
    サの製造方法。
  60. 【請求項60】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤
    及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン
    酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアン
    トラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する
    工程を含む請求項59に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  61. 【請求項61】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤
    及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン
    酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアン
    トラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返す工程を含む請求項60に記載の固
    体電解コンデンサの製造方法。
  62. 【請求項62】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤
    及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン
    酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアン
    トラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項
    61に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  63. 【請求項63】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するアントラ
    センスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくと
    も1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶
    液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する
    工程を含む請求項59に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  64. 【請求項64】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するアントラ
    センスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくと
    も1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶
    液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返す工程を含む請求項63に記載の固
    体電解コンデンサの製造方法。
  65. 【請求項65】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤及び1つのスルホン酸基を有するアントラ
    センスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくと
    も1種のアントラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶
    液に浸漬した後、モノマー化合物を含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項
    64に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  66. 【請求項66】 微細孔を有する弁作用金属表面に形成
    された誘電体被膜上に導電性高分子組成物からなる固体
    電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法におい
    て、前記誘電体被膜上でモノマーを酸化剤により重合さ
    せて固体電解質層を形成する方法であって、 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金属を、酸化剤を含
    む溶液に浸漬する工程とモノマー化合物及び1つのスル
    ホン酸基を有するアントラセンスルホン酸またはその誘
    導体から選ばれる少なくとも1種のアントラセンモノス
    ルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する工程を有するこ
    とを特徴とする請求項22に記載の固体電解コンデンサ
    の製造方法。
  67. 【請求項67】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物
    及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン
    酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアン
    トラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する
    工程を含む請求項66に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  68. 【請求項68】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物
    及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン
    酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアン
    トラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返す工程を含む請求項67に記載の固
    体電解コンデンサの製造方法。
  69. 【請求項69】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、モノマー化合物
    及び1つのスルホン酸基を有するアントラセンスルホン
    酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のアン
    トラセンモノスルホン酸アニオンを含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項
    68に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  70. 【請求項70】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物及び1つのスルホン酸基を有する
    アントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる
    少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオン
    を含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する
    工程を含む請求項66に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  71. 【請求項71】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物及び1つのスルホン酸基を有する
    アントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる
    少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオン
    を含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返す工程を含む請求項70記載の固体
    電解コンデンサの製造方法。
  72. 【請求項72】 前記誘電体被膜層を形成した弁作用金
    属を、モノマー化合物及び1つのスルホン酸基を有する
    アントラセンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる
    少なくとも1種のアントラセンモノスルホン酸アニオン
    を含む溶液に浸漬した後、酸化剤を含む溶液に浸漬する
    工程を複数回繰り返した後、洗浄及び乾燥を行う請求項
    71に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  73. 【請求項73】 モノマー化合物が、下記一般式(VII
    I) 【化19】 (式中、R1、R2及びXは、請求項27に記載と同じ意
    味を表わす。)で示される化合物である請求項59乃至
    72のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  74. 【請求項74】 前記一般式(VIII)で示されるモノマ
    ー化合物が、下記一般式(IX) 【化20】 (式中、R4及びR5は、請求項28に記載と同じ意味を
    表わす。)で示される化合物である請求項73に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  75. 【請求項75】 酸化剤が過硫酸塩である請求項57乃
    至74のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
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