WO2023139873A1

WO2023139873A1 - 路側装置、サーバ、及び中間サーバ

Info

Publication number: WO2023139873A1
Application number: PCT/JP2022/040282
Authority: WO
Inventors: 弘之石丸; 藤治岡山
Original assignee: 住友電気工業株式会社
Priority date: 2022-01-21
Filing date: 2022-10-28
Publication date: 2023-07-27

Abstract

路側装置は、検出エリア内において物標の検出を繰り返し試みるセンサからのセンサデータを受けるセンサデータ入力部と、センサによる検出結果である物標情報を管理するための物標情報管理部と、物標情報を送信先に送信するための通信部と、センサによる検出結果に応じて、通信部により物標情報を送信するための送信方法を、第１送信方法、又は第１送信方法と異なる第２送信方法に切り替える送信方法切替部とを含む。

Description

路側装置、サーバ、及び中間サーバ

　本開示は、路側装置、サーバ、及び中間サーバに関する。
本出願は、２０２２年１月２１日出願の日本出願第２０２２－００７９９８号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。

　特許文献１は、複数のカメラの中から映像の表示に使用するカメラを適切に選択する映像配信システムを開示する。

特開２００７－８０１９０号公報

　本開示の第１の局面に係る路側装置は、検出エリア内において物標の検出を繰り返し試みるセンサからのセンサデータを受けるセンサデータ入力部と、センサによる検出結果である物標情報を管理するための物標情報管理部と、物標情報を送信先に送信するための通信部と、センサによる検出結果に応じて、通信部により物標情報を送信するための送信方法を、第１送信方法、又は第１送信方法と異なる第２送信方法に切り替える送信方法切替部とを含む。

　本開示の第２の局面に係るサーバは、各々がセンサを備えた複数の路側装置と通信する通信部と、複数の路側装置から通信部を介して受信した物標情報を管理する物標情報管理部と、複数の路側装置から通信部を介して受信した、各路側装置の送信ポリシーを管理する送信ポリシー管理部と、物標を検出した路側装置から通信部を介して受信した物標情報管理部の管理する物標情報を、物標を検出した路側装置の送信ポリシーとともに各サービス対象に向けて送信する物標情報送信部とを含む。

　本開示の第３の局面に係る中間サーバは、通信部と、各々がセンサを含む路側装置から物標情報を受信し、物標情報に基づいて、路側装置のセンサの検出領域内において、ある物標が最初に検出されたという第１条件、センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出されたという第２条件、及びセンサの検出領域内において物標が検出されなかったという第３条件、のいずれかが成立しているときには路側装置から受信した物標情報を送信先に送信し、それ以外のときには物標の物標情報の送信を行わない物標情報間引部とを含む。

図１は、本開示の第１実施形態に係る運転支援システムの全体構成を示す模式図である。図２は、第１実施形態に係る運転支援システムにおいて使用される路側装置のブロック図である。図３は、図２に示す路側装置が実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図４は、図３に示すプログラム中のセンサデータ解析処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図５は、図３に示すプログラム中の物標情報の送信処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図６は、図５に示す第１送信ポリシーによる送信処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図７は、図５に示す第２送信ポリシーによる送信処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図８は、図５に示す第３送信ポリシーによる送信処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図９は、第１送信ポリシーによる送信処理の変形例を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図１０は、第１実施形態に係る運転支援システムを管理するサーバの機能的構成を示すブロック図である。図１１は、図１０に示すサーバの機能を実現するプログラムのメインルーチンの制御構造を示すフローチャートである。図１２は、物標情報処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図１３は、送信ポリシー決定及び通知処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図１４は、物標推定処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図１５は、送信間引処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図１６は、図１に示す中間サーバの機能的構成を示すブロック図である。図１７は、図１０に示すサーバ及び図１６に示す中間サーバを実現するコンピュータのハードウェアブロック図である。図１８は、路側装置を実現するコンピュータのハードウェアブロック図である。

　街頭監視カメラ等、路側装置に固定設置されたセンサ（以下、インフラセンサともいう）により取得したセンサデータ（画像データ等）をサーバコンピュータ（以下、単にサーバという）にアップロードし、解析するシステムが提案されている。また、自動車及び自動二輪車等（以下、車両という）に種々のセンサを搭載し、これらのセンサによる物体の検出結果のデータをサーバにアップロードし、サーバにより解析して運転支援のために使用することが提案されている。なお、センサによる物体の検出結果とは、物体種別、位置、速度、及び加速度などの物体の属性についての検出結果をいう。以下、こうしてセンサにより検出された物体のことを物標とよび、物標に関する情報を物標情報という。

　こうしたシステムにおいては、例えば支援対象の車両の衝突、急制動、急操舵を回避するためには、１００ミリ秒かそれ以下の更新周期により物標情報の変化を支援対象の車両に伝達する必要があるといわれている。

　一方、支援に使用されるセンサ及び車載センサの数が増えると、短い周期によりセンサデータの送信を行う場合、通信される物標情報の送信データ量は増大する。その結果、通信回線の帯域が圧迫され、通信料金が増加したり、支援対象の車両への物標情報の提供が遅延したり欠落したりする問題がある。

　こうした問題を解決するための一つの提案が特許文献１に開示されている。特許文献１は、複数のカメラの中から映像の表示に使用するカメラを適切に選択する映像配信システムを開示する。この映像配信システムにおいては、複数のカメラによりイベント会場等の同一の場面において対象を撮影する場合に、使用するカメラの組を所定の基準を用いて選択する。選択の基準は、組に属するカメラの撮影空間の重複が最小であり、且つ重畳した撮影空間が対象空間をカバーする割合が最大であることである。

［発明が解決しようとする課題］
　しかし、路側装置の場合、対象は車両などである。そのため、対象は常に変化し、データ量を少なくするためにはどの路側装置を選択すればよいかは常に変化する。また路側装置は数が多く、サーバにおいて集中的に管理することは容易でない。そのため、通信量の増大を防止することは難しい。

　本開示は、通信量の増大を防ぐことができる路側装置、サーバ、及び中間サーバを提供することを目的とする。

［発明の効果］
　本開示によると、通信量の増大を防ぐことができる路側装置、サーバ、及び中間サーバを提供できる。

　［本開示の実施形態の説明］
　以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下の１又は複数の任意の特徴を組み合わせてもよい。

　（１）本開示の第１の局面に係る路側装置は、検出エリア内において物標の検出を繰り返し試みるセンサからのセンサデータを受けるセンサデータ入力部と、センサによる検出結果である物標情報を管理するための物標情報管理部と、物標情報を送信先に送信するための通信部と、センサによる検出結果に応じて、通信部により物標情報を送信するための送信方法を、第１送信方法、又は第１送信方法と異なる第２送信方法に切り替える送信方法切替部とを含む。

　送信方法切替部は、センサによる検出結果に応じ、送信先に物標情報を送信するときの送信方法を第１送信方法及び第２送信方法の間において切り替える。物標情報に基づいて送信方法が切り替えられるので、検出された物標の状況に応じて通信データ量の小さくなるような適切な送信方法が選択できるという効果がある。

　（２）送信方法切替部は、センサが物標を検出しないときに第１送信方法を選択し、センサが物標を検出したときに第２送信方法を選択する第１送信ポリシーに従って動作可能でもよい。

　物標を検出したときと検出しなかったときとにより送信方法が切り替えられる。そのため、送信先においてはそれぞれの方法に応じた適切な処理を選択できるという効果がある。

　（３）路側装置の送信方法切替部は、さらに、センサが物標を検出したときに第１送信方法を選択し、センサが物標を検出しないときに第２送信方法を選択する第２送信ポリシーに従って動作可能でもよく、路側装置はさらに、送信ポリシーの切替指示に応じて、第１送信ポリシーと第２送信ポリシーとを切り替える送信ポリシー切替部を含んでもよい。

　路側装置にポリシーの切替指示を与えることにより路側装置のポリシーを切り替えることができる。したがって様々な送信先装置の要求にあわせ、送信先装置が望む形により物標情報が送信できる。その結果、通信量の増大を防ぎながら効率よく物標情報を送信できる路側装置を提供できるという効果がある。

　（４）路側装置の送信方法切替部はさらに、センサが物標を検出したか否かにかかわらず、物標情報を一定の送信方法により送信先に送信する第３送信ポリシーに従って動作可能でもよく、送信ポリシー切替部は、送信切替指示に応じて、第１送信ポリシー、第２送信ポリシー又は第３送信ポリシーに切り替えてもよい。

　送信先の装置が常に一定の送信方法により物標情報が送信されることを望む場合、路側装置をそのような要求に合致させることができる。その結果、多くの種類の装置に対して物標情報を送信できるようになるという効果がある。

　（５）路側装置は、さらに、通信部を介して外部装置から送信ポリシーの切替指示を受信して送信ポリシー切替部に与える切替指示受信部を含んでもよい。

　路側装置にポリシーの切替指示を与えると、それを切替指示受信部が受信し送信ポリシー切替部に与える。その結果、遠隔から路側装置の送信ポリシーを切り替えることができる。したがって様々な送信先装置が、自己の要求にあわせ、送信先装置が望む形により物標情報が路側装置から送信されるようにできる。したがって、通信量の増大を防ぎながら効率よく物標情報を送信できる路側装置を提供できるという効果がある。

　（６）路側装置は、さらに、路側装置がどの送信ポリシーに従って動作中であるかを通信部を介して送信先に通知する送信ポリシー通知部を含んでもよい。

　送信先が路側装置の従っている送信ポリシーを知ることにより、その送信ポリシーがどのような状況において送信されて来たかを知ることができる。送信先においては、路側装置の送信ポリシーを切り替える選択肢と、現在の送信ポリシーを維持するという選択肢が可能となり、送信先の状況に応じて路側装置の動作を制御できるという効果がある。

　（７）通信部は、第２送信方法が選択されたときには、物標情報を送信先に送信しなくてもよい。

　特定の送信ポリシー実行時に第２送信方法が選択されたときに、路側装置は物標情報を送信しない。この構成により、通信データ量を削減できるという効果がある。

　（８）通信部は、第２送信方法が選択されたときには、第１送信方法が選択されたときより長い送信周期により物標情報を送信先に送信してもよい。

　特定の送信ポリシー実行時に第２送信方法が選択されたときに、路側装置は物標情報を通常より長い周期により送信先に送信する。この構成により、通信データ量を削減できるという効果がある。

　（９）通信部は、第１送信ポリシーが選択され、かつ第２送信方法が選択されているときには、物標情報を送信先に送信しなくてもよい。

　特定の条件が成立したときには、物標情報が送信先に送信されない。その結果、送信データ量を削減できるという効果がある。

　（１０）通信部は、第１送信ポリシーが選択され、かつ第２送信方法が選択されているときには、所定条件が充足されたときに物標情報を送信先に送信し、所定条件が充足されないときには物標情報を送信先に送信しないという条件付送信処理を実行してもよい。

　条件により物標情報を送信先に送信する処理と送信しない処理とを切り替えることができる。その結果、送信データ量を削減できるという効果がある。

　（１１）通信部は、第１送信ポリシーが選択され、かつ第２送信方法が選択されているときには、所定条件が充足されたときに物標情報を送信先に送信し、所定条件が充足されないときには物標情報を送信先に送信しない、という条件付送信処理と、第１送信ポリシーが選択され、かつ第２送信方法が選択されているときには、物標情報を送信先に送信しない、という送信停止処理とのいずれにおいても動作可能であってもよく、路側装置はさらに、条件付送信処理と送信停止処理とを切り替えるための送信処理切替部を含んでもよい。

　いずれの条件が成立したときにも、少なくとも物標情報の一部が送信されない。その結果、送信データ量が削減できるという効果がある。

　（１２）所定条件は、センサの検出領域内において、ある物標が最初に検出された、又はセンサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値より大きいことが検出された、という条件でもよい。

　ある物標についてこの条件が充足されないということは、その物標が検出済でかつ加速度が小さいということである。すなわちその物標は実質的に等速運動を行っていると考えられる。そうした物標については、最後に検出されたときの位置及び速度からその後の位置及び速度を予測できる。したがって路側装置が物標情報を送信先に送信しなくても、送信先においてはそうした物標についての位置及び速度をある精度をもって予測できる。この結果、運転支援を有効に行いながら、そのための通信量の増大を防ぐことができる路側装置が提供できるという効果がある。

　（１３）送信処理切替部は手動スイッチを含んでもよい。

　手動スイッチを設けておくことにより、路側装置の動作を容易に設定できるという効果がある。

　（１４）路側装置は、条件付送信処理の実行を開始したことに応答して、路側装置が条件付送信処理を実行中であることを、通信部により送信先に通知する条件付送信処理通知部をさらに含んでもよい。

　路側装置が条件付送信処理を実行中である場合、物標情報は条件が成立したときしか送信されない。送信先においてはそのような処理が実行されていないと物標情報を正しく利用できない。そこで、路側装置が条件付送信処理を実行中であることを送信先に通知する。送信先がこの通知を受ければ、路側装置から条件付送信処理において送信される物標情報を正しく利用できる。この結果、送信データ量を削減しながら、物標情報を正しく送信し運転支援に役立てることができるという効果がある。

　（１５）送信方法切替部は、センサが物標を検出したときに第１送信方法を選択し、センサが物標を検出しないときに第２送信方法を選択する送信ポリシーに従って動作可能であってもよい。

　物標を検出したときと検出しなかったときとにより送信方法が切り替えられる。そのため、このような構成であっても、送信先においてはそれぞれの方法に応じた適切な処理を選択できるという効果がある。

　（１６）本開示の第２の局面に係るサーバは、各々がセンサを備えた複数の路側装置と通信する通信部と、複数の路側装置から通信部を介して受信した物標情報を管理する物標情報管理部と、複数の路側装置から通信部を介して受信した、各路側装置の送信ポリシーを管理する送信ポリシー管理部と、物標を検出した路側装置から通信部を介して受信した物標情報管理部の管理する物標情報を、物標を検出した路側装置の送信ポリシーとともに各サービス対象に向けて送信する物標情報送信部とを含む。

　路側装置から受信した物標情報は、所定の送信ポリシーにより送信データ量が小さくなるようにされている。サーバのみならず、サービス対象においてもその送信ポリシーを知っていないと物標情報を正しく処理できない。そこで、物標情報送信部を設けることにより、物標情報を検出した路側装置が従っている送信ポリシーを、サーバから各サービス対象に通知できる。各サービス対象はこの情報に基づいて、物標情報を正しく処理でき運転支援に役立てることができるという効果がある。

　（１７）送信ポリシーは、少なくとも第１送信ポリシーと第２送信ポリシーに分類されてもよく、第１送信ポリシーにおいて複数の路側装置は、センサが物標を検出しないときに第１送信方法を選択し、センサが物標を検出したときに第１送信方法と異なる第２送信方法を選択してもよく、第２送信ポリシーにおいて複数の路側装置は、センサが物標を検出したときに第１送信方法を選択し、センサが物標を検出しないときに第２送信方法を選択してもよい。

　第１送信ポリシーと第２送信ポリシーとにおいては、物標情報をサーバに送信するときの物標の検出状態が異なる。サーバがどのような情報を重視するかに従って、第１送信ポリシーと第２送信ポリシーとのいずれかを用いることにより、送信データ量を削減しながらサーバが必要とする物標情報を提供できるという効果がある。

　（１８）サーバは、さらに、物標の配置及び移動速度、並びに各路側装置の持つセンサの検出範囲に応じて、各路側装置が従うべき送信ポリシーを第１送信ポリシー及び第２送信ポリシーのいずれかに定め、複数の路側装置のうち、少なくとも送信ポリシーが変化する路側装置に送信するポリシー変更指示部を含んでもよい。

　サーバにおいて路側装置による物標の検出状況に基づいて、サーバが必要とする情報を得るために各路側装置がどのような送信ポリシーを採用すべきかが判定できる。サーバがその判定に従って路側装置にポリシー変更指示を送信することにより、サーバは路側装置から必要な情報を得ることができるという効果がある。

　（１９）複数の路側装置は、第１送信ポリシーが選択され、かつ第２送信方法が選択されているときには、所定条件が充足されたときに物標情報をサーバに送信し、所定条件が充足されないときには物標情報をサーバに送信しない、という条件付送信処理を実行する第１路側装置を少なくとも含んでもよく、所定条件は、センサの検出領域内において、ある物標が最初に検出された、又はセンサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出された、という条件でもよく、サーバはさらに、第１路側装置が第１送信ポリシーでかつ第２送信方法に従って動作しているときに、第１路側装置からの物標情報を次の受信サイクルにおいて受信しないときには、第１路側装置から受信した物標の位置を、第１路側装置から最後に受信した物標情報にもとづいて推定する物標情報推定部を含んでもよい。

　上記所定条件が成立していないときとは、物標が実質的に等速運動をしているときである。そうしたときには、物標の位置は最後にその物標が検出されたときのその位置及び速度から推定できる。したがって上記所定条件が成立しないかぎり、路側装置からサーバに物標情報を送信する必要はない。上記所定条件が成立すると物標情報がサーバに送信されてくる。したがって、推定が成立しない確率が高いときには、サーバは実際の物標情報を得ることができる。その結果、送信データ量を削減しながら、サーバは物標情報の精度を維持して運転支援を行うことができるという効果がある。

　（２０）複数の路側装置は、第１送信ポリシーが選択され、かつ第２送信方法が選択されているときでも、物標情報をサーバに送信する第２路側装置を少なくともさらに含んでもよく、サーバはさらに、第２路側装置から受信した物標情報に基づいて、第２路側装置のセンサの検出領域内において、ある物標が最初に検出されたという第１条件、センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出されたという第２条件、及びセンサの検出領域内において物標が検出されなかったという第３条件、のいずれかが成立しているときには第２路側装置から受信した物標情報を各サービス対象に送信し、条件が成立していないときには物標情報を各サービス対象に送信しない送信間引部を含んでもよい。

　上記所定条件が成立していないときとは、物標が実質的に等速運動をしているときである。そうしたときには、物標の位置は最後にその物標が検出されたときのその位置及び速度から推定できる。したがって上記所定条件が成立しないかぎり、路側装置からサーバに物標情報を送信する必要はない。上記所定条件が成立すると物標情報がサーバに送信されてくる。したがって、推定が成立しない確率が高いときには、サーバは実際の物標情報を得ることができる。また物標が検出されなかったときにもその結果がサーバに送信される。サーバは、この情報を利用可能なサービス対象に送信できる。サービス対象はその情報を有効に利用してスムーズな運転支援を行うことができる。その結果、送信データ量を削減しながら、サーバは物標情報の精度を維持してスムーズな運転支援を行うことができるという効果がある。

　（２１）サーバは、さらに、送信間引部が稼働していることをサービス対象に送信する動作モード送信部を含んでもよい。

　送信の間引が行われている場合、間引された情報をサーバが外挿により補完してもよい。しかし、サービス対象の装置が、そのような補完の機能を持っている場合もある。そうした場合には、サービス対象に補完の処理をまかせることによりサーバは他の処理に専念できる。その結果、送信データ量を削減しながら、サーバは物標情報の精度を維持して効率的な運転支援を行うことができるという効果がある。

　（２２）本開示の第３の局面に係る中間サーバは、通信部と、各々がセンサを含む路側装置から物標情報を受信し、物標情報に基づいて、路側装置のセンサの検出領域内において、ある物標が最初に検出されたという第１条件、センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出されたという第２条件、及びセンサの検出領域内において物標が検出されなかったという第３条件、のいずれかが成立しているときには路側装置から受信した物標情報を送信先に送信し、それ以外のときには物標の物標情報の送信を行わない物標情報間引部とを含む。

　この中間サーバは、接続されている路側装置からの物標情報をまとめて送信先に送信する。その際、中間サーバは、上記した条件のいずれかが成立しているときには物標情報を送信するがそうでないときには送信しない。上記条件のいずれも成立していないときには、検出済の物標は実質的に等速運動をしているため、その物標が最後に検出されたときのその物標の位置及び速度に基づいて任意の時刻のその物標の位置を推定できる。したがって、例えば上記物標情報を受信した装置は、その物標について前回受信した物標情報に基づいて、任意の時刻におけるその物標の位置及び速度を推定し運転支援に利用できる。その結果、通信データ量を削減しながら、運転支援を可能にする中間サーバを提供できるという効果がある。

　［本開示の実施形態の詳細］
　本開示の実施形態に係る路側装置、サーバ、及び中間サーバの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内においての全ての変更が含まれることが意図される。また、以下の実施形態では、物標情報が路側装置からサーバに送信され、サーバがさらに車両などのサービス対象に物標情報を送信している。しかし本開示はそのような実施形態には限定されない。例えば路側装置から車両に直接物標情報を送信する場合も本開示を適用できる。

　第１　構成
　１.全体構成
　図１に本開示の第１実施形態に係る運転支援システム５０の模式的な全体図を示す。
図１を参照して、運転支援システム５０は、サーバ６０、サーバ６０と通信可能で複数の領域７０、７２、７４、７６及び７８に配置された各々がカメラなどのセンサを持つ路側装置８２、８４、８６、８８、９０及び９２、及び、領域７４に配置された路側装置９０及び９２からの情報をサーバ６０に送信する中間サーバ８０を含む。図においては各領域に２つずつ路側装置が配置されているが、このような配置に限定されるわけではない。

　図１においては、領域７０から７８は道路６６の連続する領域をカバーしている。これら領域の中において、領域７２及び７６にはそれぞれ道路６２と道路６６、及び道路６４と道路６６の交差点が存在している。図１では、これら交差点のうち、領域７２内の交差点は信号がなく、領域７６内の交差点には信号がある。

　道路６２は、道路６６との関係においては優先道路である。例えば領域７２内の信号のない交差点に、道路６２を通行する車両と道路６６を通行する車両とが近づきつつあれば、道路６２を通行する車両が優先される。一般に交差点においては交通事故が発生しやすいことが知られている。このため、このような領域を車両が通行する際には、仮に優先道路を通行している車両においても十分な注意が必要である。そのため、例えば路側装置８６及び８８が道路６６上に車両を検出している場合、その車両に関する情報はサーバ６０に送信される。サーバ６０はその情報をさらに道路６２上の車両に送信する。道路６２上の車両においては例えばその情報を音声によりドライバに伝える。その結果、仮に領域７２付近において道路６２上からの見通しが悪い場合でも、ドライバは道路６６上に車両が存在していることを把握できる。その結果、事故が発生するという状況を防止できる。

　ところで、信号のない交差点に近づく道路６６上の車両がない場合、路側装置８６及び８８のいずれからの情報にも道路６６上の車両に関する情報は存在しない。サーバ６０は道路６６上に車両が存在しない場合、例えば、道路６２上の車両には何も送信しない。したがって道路６２を通る車両のドライバには道路６６上の車両に関する情報が与えられない。しかし、道路６２を通る車両のドライバにとって、サーバ６０から何も情報が送信されて来ないのが、本当に道路６６上に車両がいないためなのか、それとも実際には道路６６上に車両が存在するにもかかわらず、通信障害などの何らかの原因によりサーバ６０から送信された情報が受信できなかったかを判断できない。したがって、道路６６との交差点における見通しが悪く道路６６の状況が目視ですぐには確認できない以上、このドライバは事故を避けるために徐行せざるを得ない。そのように、実際は徐行の必要がないにもかかわらず交差点において車両が徐行することにより、道路６２上における車両の流れが悪くなるという問題が生じる。

　この実施形態においては、そのような問題を解決するために、路側装置８６、８８などの路側装置が、車両情報をサーバ６０に送信するにあたって２つの送信ポリシーを切り替えることができるようにする。第１送信ポリシーにおいては、交差する道路６６上に車両が存在しないときには、その旨を路側装置８６などからサーバ６０に、さらにサーバ６０から道路６２上の車両に送信するという第１送信方法を採用する。逆に交差する道路６６上に車両が存在するときには路側装置８６などからサーバ６０に何も送信しないという第２送信方法を採用する。第２送信ポリシーは第１送信ポリシーと逆である。すなわち、交差する道路６６上に車両が存在しないときには、路側装置８６などは何もサーバ６０に送信しないという第２送信方法を採用する。逆に道路６６上に車両が存在するときにはその旨を路側装置８６などからサーバ６０に、さらにサーバ６０から道路６２上の車両に送信するという第１送信方法を採用する。

　第１送信ポリシーをとる場合、道路６２上を走行する車両のドライバには、交差する道路６６上に車両が存在しないという情報がサーバ６０から通知される。その結果、そのドライバは交差点を徐行せずに安全に通過できるという効果がある。仮に道路６６上に車両が存在する場合にはサーバ６０からドライバには何も送信されない。その結果、見通しの悪い交差点付近においては、十分に注意を払って徐行する。各車両の運転支援関係の装置も周囲の状況を直接にセンサなどにより把握して安全に交差点を通過できるようにする。
その結果、交差点を車両が通過する際の安全を確保しながら送信データ量を少なくできるという効果がある。

　第２送信ポリシーは、交差する道路上に車両が存在すれば、その情報が路側装置８６などからサーバ６０に、さらにサーバ６０からドライバに通知される。この結果、各ドライバは各車両に注意しながら交差点を安全に通過できる。また交差する道路上に車両が存在せず、交差点における見通しが悪ければ、ドライバは車両を徐行させて交差点を通過する。

　２．路側装置
　図２に、路側装置の例として路側装置８６の機能的構成を示す。路側装置８６はセンサ１００を含む。センサ１００は、例えばカメラ、準ミリ波又はミリ波レーダー、ＬｉＤＡＲ（Ｌｉｇｈｔ　Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ　Ａｎｄ　Ｒａｎｇｉｎｇ）などである。センサ１００は例えば、一定周期の間隔で周囲の物体の検出を試み、検出結果をセンサデータとして出力する。この実施形態においては、センサ１００には、各物標について、その位置、速度、加速度及びその他の属性を測定又は検出して出力する機能が備えられている。

　路側装置８６はさらに、センサ１００の出力するセンサデータを受信するセンサデータ入力部１２０と、センサデータ入力部１２０が受信したセンサデータに含まれる物標情報を記憶し管理する物標情報管理部１２２とを含む。物標情報管理部１２２は、物標情報を物標ごとに記憶する。路側装置８６はさらに、物標情報管理部１２２に記憶された物標情報をサーバ６０に送信し、サーバ６０からの指示を受信する通信部１３０を含む。

　路側装置８６はさらに、送信方法切替部１３６を含む。送信方法切替部１３６は、物標情報管理部１２２に管理されている物標情報に応じ、これら物標情報をサーバ６０に送信するための送信方法を切り替える。より具体的には、送信方法切替部１３６は、後述するように、使用している送信ポリシーとセンサにより検出された物標に関する物標情報に応じて定まる第１送信方法と第２送信方法との間で切り替える。

　この実施形態においては、送信ポリシーには第１送信ポリシー、第２送信ポリシー、及び第３送信ポリシーがある。第１送信ポリシーの第１送信方法においては、路側装置８６は、センサ１００が物標を検出しないときに、物標を検出しなかったことをサーバ６０に送信する。第１送信ポリシーの第２送信方法においては、路側装置８６は、センサ１００が検出した物標情報をサーバ６０に送信しない。第２送信ポリシーの第１送信方法においては、路側装置８６は、センサ１００が物標を検出したときに物標情報をサーバ６０に送信する。第２送信ポリシーの第２送信方法においては、路側装置８６は何も情報をサーバ６０に送信しない。第３送信ポリシーにおいては、路側装置８６は、物標が検出されたか否かにかかわらず、常に一定周期により物標情報をサーバ６０に送信する。路側装置８６が第１、第２、及び第３送信ポリシーのいずれを使用するかは、この実施形態においてはサーバ６０からのポリシー切替指示、路側装置８６の検出範囲、及び路側装置８６が検出する物標の状態などによって決まる。

　路側装置８６は、サーバ６０からのポリシー切替指示を、通信部１３０を介して受信する外部指示受信部１３２と、外部指示受信部１３２が受信した指示に従って路側装置８６からサーバ６０への物標情報の送信ポリシーを切り替えるための送信ポリシー切替部１３４をさらに含む。送信方法切替部１３６は送信ポリシー切替部１３４の保持している送信ポリシーに関する情報と、物標情報管理部１２２が管理している物標情報に基づいて送信方法を切り替える。路側装置８６はさらに、送信ポリシー切替部１３４により送信ポリシーが切り替えられたことに応答して、新たな送信ポリシーをサーバ６０に通知するための送信ポリシー通知部１３８を含む。サーバ６０ではこの情報により路側装置８６の送信ポリシーが変更されたことが確認できる。さらにサーバ６０は、この情報に基づいて、以後に路側装置８６から受信する物標情報を路側装置８６が採用している送信ポリシーに従って適切に処理できる。その結果、路側装置８６とサーバ６０との通信データ量が削減できるという効果がある。

　路側装置８６はさらに、送信ポリシー切替部１３４と送信方法切替部１３６とに接続された通信条件判定部１２４を含む。通信条件判定部１２４は、第１送信ポリシーが選択されているときに送信方法切替部１３６が第２送信方法を選択していることに応答して、物標情報管理部１２２及び通信部１３０を制御し、前述したように何も送信しないというデフォルトモードと、間引送信モードとの切替を行う機能を持つ。間引送信モードにおいては、路側装置８６は、物標がセンサ１００の検出範囲において初めて検出されたとき、及びセンサ１００の検出範囲内の物標の加速度の絶対値が一定値以上のときのみ、物標情報を送信する。この実施形態における送信方法において、デフォルトモードと間引送信モードとの切替は、手動で行われれる。路側装置８６は、そのための設定を手動により行う送信処理切替部１２８を含む。手動による切替が可能なので、容易に路側装置８６の設定を行える。
なお、ここでいう手動スイッチとは、ディップスイッチ、プッシュボタンまたはダイヤル型のセレクタなどの機械的なスイッチだけではない。手動スイッチは、表示装置とキーボードなどを用いたインターフェイスによりプログラムで路側装置に備えられた何らかの記憶装置に記憶された値を変化させることにより機能の切替を行うものも含む。また、プログラムで手動スイッチを実現する場合には、路側装置８６の本体に設けられるものだけではなく、遠隔操作により行うものであってもよい。さらに、路側装置８６に設けられた入出力部に所定の値を記憶した携帯可能なメモリを手動操作で挿抜することにより、手動スイッチを実現することもできる。場合によっては、遠隔のサーバにこの値を記憶させる領域を設けておき、路側装置の管理者がその値を管理し路側装置が定期的にその値を読むこと、又はサーバが定期的にこの値を路側装置に送信することにより、路側装置がデフォルト送信と間引送信とのいずれを用いるかを決定してもよい。

　図３は、路側装置８６の制御をプロセッサ（図２及び図３には図示せず）により実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式により示す。図３を参照してこのプログラムは、センサ１００からの入力、すなわちセンサデータがあるか否かを判定するステップ１５０を含む。

　このプログラムはさらに、ステップ１５０の判定が肯定のときに実行され、センサデータを受信し、図２に示す物標情報管理部１２２内の図示しないメモリに格納するステップ１５２と、物標情報管理部１２２に格納されたセンサデータを解析し物標情報を更新して制御をステップ１５０に戻すステップ１５４とを含む。

　このプログラムはさらに、ステップ１５０の判定が否定のときに実行され、現在時刻がサーバ６０への物標の送信周期により定められる時刻かを判定し、その結果に従って制御の流れを分岐させるステップ１６０を含む。この実施形態においては、デフォルトでは一定の時間間隔により各路側装置がサーバ６０に物標情報の送信を行う処理を実行する。

　このプログラムはさらに、ステップ１６０の判定が肯定のときに物標情報管理部１２２が管理している物標情報をサーバ６０に送信する物標情報送信処理を実行するステップ１６２と、物標情報の送信とともに、又はその直後に、路側装置８６が物標情報の送信に使用している送信ポリシーが何かをサーバ６０に送信して制御をステップ１５０に戻すステップ１６４を含む。

　このプログラムはさらに、ステップ１６０の判定が否定のときに実行され、通信部１３０がサーバ６０から送信ポリシー切替指示を受信したか否かを判定するステップ１７０を含む。判定が肯定のときにはステップ１７２において送信ポリシー切替処理が実行され、制御はステップ１５０に戻る。

　このプログラムはさらに、ステップ１７０の判定が否定のときに、指示の値に応じたその他の処理を実行して制御をステップ１５０に戻すステップ１８４を含む。

　図４は、図３のステップ１５４の詳細を示すフローチャートである。図４を参照して、ステップ１５４は、物標情報管理部１２２が管理している各物標についてステップ２０４を実行するステップ２０２を含む。

　ステップ２０４は、処理対象の物標がこれ以前の処理において検出済か否かを判定するステップ２２０と、ステップ２２０の判定が肯定のときに物標情報をセンサからの新たなデータに従って更新するステップ２２２とを含む。ステップ２０４はさらに、処理中の物標の加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きいか否かを判定するステップ２２４と、ステップ２２４の判定が肯定のときに、加速度フラグを１に設定するステップ２２６とを含む。加速度フラグとは、物標情報管理部１２２が管理している物標、すなわちセンサ１００の検出範囲内に存在する物標の中に少なくとも一つ、その加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きいものが存在するか否かを示す。加速度フラグが１のときには、物標中にその加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きな物があることを示す。加速度フラグが０のときには、全ての物標の加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨ以下であることを示す。

　ステップ２０４はさらに、ステップ２２０の判定が否定のときに実行され、処理中の物標に関する物標情報を物標情報管理部１２２が管理している物標情報中に追加するステップ２４０と、追加フラグを１に設定するステップ２４２とを含む。追加フラグとは、センサ１００の検出範囲内に新たな物標が出現したか否かを示すフラグである。追加フラグが１のときには新たな物標が検出されたことを示し、０のときには新たな物標が検出されなかったことを示す。

　ステップ２０４はさらに、ステップ２２４の判定が否定のときのステップ２２４の後、ステップ２２６の後、及びステップ２４２の後のいずれの場合も実行され、今回の処理において更新された物標情報の時刻を現在時刻において更新してステップ２０４を終了するステップ２２８を含む。

　ステップ１５４はさらに、ステップ２０２が完了した後に実行され、物標情報管理部１２２が管理している物標のうちでセンサ１００からの新たなセンサデータから消滅した物標に関する情報（消滅物標情報）を物標情報管理部１２２の管理する物標情報の中から削除するステップ２０６と、新たなセンサデータの中で検出された物標の数を変数Ｎｆに代入してステップ１５４の実行を終了するステップ２０８とを含む。

　図５は、図３のステップ１６２の詳細な構成を示すフローチャートである。図５を参照して、ステップ１６２は、送信ポリシーが第１送信ポリシーか、第２送信ポリシーか、第３送信ポリシーかによって制御の流れを分岐させるステップ２７０を含む。これら送信ポリシーのいずれが選択されたかによってステップ２７２、２７４又は２７６が実行される。これらステップの内容については図６から図８を参照して後述する。このように送信ポリシーを選択できるため、路側装置８６のセンサによる検出範囲、物標情報の検出状況、及びサーバ６０からの指示に応じて適切に物標情報の送信方法を変更し、送信データ量を削減できる。

　ステップ１６２はさらに、ステップ２７２、２７４及び２７６の後に実行され、追加フラグ及び加速度フラグをいずれも０に設定するステップ２７８と、物標情報管理部１２２において、物標情報をサーバ６０に送信した時刻を現在時刻で更新しステップ１６２の実行を終了するステップ２８０とを含む。

　図６は、図５のステップ２７２において実行される第１送信ポリシーによる送信処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図６を参照して、ステップ２７２は、変数Ｎｆの値が０か否かを判定するステップ３００と、ステップ３００の判定が肯定のときに、物標情報管理部１２２が管理している物標情報をサーバ６０に送信してステップ２７２の実行を終了するステップ３０２とを含む。ステップ２７２において実行される処理は、第１送信ポリシーの第１送信方法である。この送信方法においては、検出された物標がないときに、その旨の情報をサーバ６０に送信する。

　ステップ２７２はさらに、ステップ３００の判定が否定のときに、第１送信ポリシーにおける第２送信方法を実行してステップ２７２の実行を終了するステップ３０４を含む。

　ステップ３０４は、図２に示す送信処理切替部１２８により設定されているスイッチの値が１か否かを判定しその結果に従って制御の流れを分岐させるステップ３２０を含む。
すなわちこのステップ３０４は、条件付送信処理を行う。ステップ３２０の判定が否定のときには何もせずステップ３０４の実行を終了する。すなわち、第１送信ポリシーにおける第２送信方法においては、スイッチの値が１でない（０である）ときには物標情報をサーバ６０に送信しない。逆にスイッチの値が１のときには下に述べるように条件付で物標情報をサーバ６０に送信する。もちろん、またスイッチを設けず、したがってステップ３０４の処理も行わず、物標が検出されたときには何も送信しないようにしてもよい。条件付で物標情報を送信する場合も、何も物標情報を送信しない場合も、送信データ量を削減できるという効果がある。

　ステップ３０４はさらに、ステップ３２０の判定が肯定のときに、追加フラグの値が１か否かにより制御の流れを分岐させるステップ３２２と、ステップ３２２の判定が否定のときに、加速度フラグの値が１か否かにより制御の流れを分岐させるステップ３２８とを含む。ステップ３２２の判定及びステップ３２８の判定がいずれも否定のときには、ステップ３０４の実行は終了する。すなわち、第１送信ポリシーにおける第２送信方法においては、新たに検出された物標がなく、かつ加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きな物標がなければ何もしない。

　ステップ３２２の判定が肯定のとき、及びステップ３２２の判定が否定でステップ３２８の判定が肯定のときにはステップ３２４及びステップ３２６が実行される。ステップ３２４においては、物標情報管理部１２２が管理している物標情報に、ステップ３０４の条件付送信処理が行われていることを示す情報（条件付送信処理開始情報）が付加される。ステップ３２６においては、条件付送信処理開始情報が付加された物標情報がサーバ６０に送信される。

　図７は、図５のステップ２７４において実行される第２送信ポリシーによる送信処理を実現するプログラムの制御構造を示す。図７を参照して、ステップ２７４は、変数Ｎｆの値が０より大きいか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ３５０を含む。ステップ３５０の判定が肯定のとき、すなわち物標が検出されたときには、路側装置８６はステップ３５２においてサーバ６０に物標情報を送信してステップ２７４の処理を終了する。
これが第２送信ポリシーにおける第１送信方法である。ステップ３５０の判定が否定のときには、物標情報をサーバ６０に送信しない。これが第２送信ポリシーにおける第２送信方法である。

　図８を参照して、図５のステップ２７６を実現するプログラムは、物標情報を送信してステップ２７６の処理を終了するステップ３７０を含む。すなわち、第３送信ポリシーにおいては、路側装置８６は、第１送信方法及び第２送信方法の区別なく、一定周期により物標情報をサーバ６０に送信する。

　変形例
　なお、上記実施形態においては、図６のステップ３０４に示すように、第１送信ポリシーの第２送信方法においては、新たに検出された物標がなく、かついずれの物標もその加速度の絶対値がしきい値より小さいときには、路側装置８６は物標情報をサーバ６０に送信しない。しかし本開示はそのような実施形態には限定されない。第２送信方法においては、新たな物標の有無及び各物標の加速度の大きさにかかわらず、物標情報をサーバ６０に送信しないようにしてもよい。この場合の処理は図７に示すフローチャートにおいて第１送信方法と第２送信方法とを入れ替えたものとなる。

　また、第１送信ポリシーの第２送信方法においては、物標情報を何もサーバ６０に送信しないことに代えて、第１送信ポリシーの第１送信方法の物標情報の送信周期よりも長い送信周期により物標情報をサーバ６０に送信するようにしてもよい。その例を図９に示す。図９に示すプログラムは、図６に示すものに代えて路側装置８６において使用できる。
すなわち、図９に示すステップ４００は、図５のステップ２７２に代えて使用できる。

　図９を参照して、図６に示すステップ３００及びステップ３０２に加えて、ステップ３００の判定が否定のときに実行されるステップ４２０を含む。なお、ここでは、例えば定数Ｋ（Ｋ＞１）として、通常の送信周期のＫ周期ごとに物標情報を送信することにより、送信周期を通常より長くする。そのため、この例においては変数Ｉを導入する。変数Ｉはプログラムの実行開始時に０に初期化される。

　ステップ４２０は、変数Ｉの値に１を加算するステップ４４０と、変数Ｉの値を周期数Ｋにより除算したときの余り（「Ｉ　ｍｏｄ　Ｋ」又は「Ｉ　％　Ｋ」）が０か否かを判定するステップ４４２とを含む。

　ステップ４２０はさらに、ステップ４４２の判定が肯定のときに物標情報をサーバ６０に送信してステップ４２０の実行を終了するステップ４４４を含む。ステップ４４２の判定が否定のときには何もせずステップ４２０の実行を終了する。こうした処理を実行することにより、第１送信ポリシーによる第２送信方法として、送信周期のＫ周期（Ｋ＞１）ごとに物標情報がサーバ６０に送信され、それ以外の周期においては物標情報の送信は行われないことになる。明らかに、Ｋの値が大きくなると送信周期は長くなる。したがって送信データ量が削減できるという効果がある。

　３．サーバ６０
　図１０に、図１に示すサーバ６０の機能的ブロック図を示す。図１０を参照して、サーバ６０は、路側装置、及び車両などのサービス対象と通信するための通信部５００と、通信部５００により受信した物標情報を記憶し、統合して管理するための物標情報管理部５０２とを含む。物標情報管理部５０２は、複数のセンサから同じ物標に関する物標情報を受信したときには、それらの位置、速度、加速度その他の属性に基づいて物標情報を統合する。

　サーバ６０はさらに、物標情報管理部５０２と通信する路側装置の使用している通信ポリシーを記憶し路側装置から送られている情報に基づいて随時更新するための送信ポリシー管理部５０４と、送信ポリシー管理部５０４に記憶されている送信ポリシーに基づき間引送信してくる路側装置を特定してそれら装置からの送信がない周期における各物標情報を推定し物標情報管理部５０２に入力する物標情報推定部５０８とを含む。

　上記したように、路側装置８６において第１送信ポリシーにより動作中に第２送信方法を採用したときには、路側装置８６からは特定の条件が充足されたとき、すなわち新たな物標情報が検出されたときと物標の加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きいときに物標情報をサーバ６０に送る。それ以外のときには、本来の送信周期が来たとしても路側装置８６はサーバ６０に物標情報を送信しない。そのため、本来の送信周期の情報は路側装置８６からは得られない。

　しかし、路側装置８６が物標情報を送信しないのは、新たな物標が検出されず、かつ検出済の全ての物標が実質的に等速運動をしているときである。したがって、最新の物標情報に基づく外挿により、各送信周期におけるこれら物標の位置、速度及び加速度はある程度の精度をもって求めることができる。物標情報推定部５０８はそのような機能を持つ。
物標情報推定部５０８を設けることにより、実質的に等速運動をしている物標については、路側装置８６は送信しなくてもよい。したがって、この実施形態によれば、通信量を削減して通信帯域を有効に活用できるという効果がある。

　サーバ６０はさらに、車両などのサービス対象に関する情報を管理するためのサービス対象管理部５０６を含む。サービス対象管理部５０６は、各車両の位置、車両ＩＤ、アドレスなどを記憶している。

　サーバ６０はさらに、サービス対象管理部５０６に格納されている情報に基づいて、サービス対象の車両などに物標情報管理部５０２により管理されている物標情報を一定周期により送信するための物標情報送信部５１０を含む。ただし、この実施形態においては、物標情報送信部５１０は管理されている全ての物標情報を送信しているわけではない。サービス対象の車両の中には、サーバ６０の物標情報推定部５０８と同じように、実質的に等速運動を行っている物標については、その物標情報を各サイクルにおいて必ず受信しなくても、その物標情報を推定できる機能を持つものがある。そうした機能を利用して通信データ量を削減するため、このサーバ６０はさらに、可能であれば物標情報の送信を間引するよう物標情報送信部５１０を制御するための送信間引部５１２を含む。送信間引部５１２はそのために、サービス対象の持つ機能に関する情報をサービス対象管理部５０６から読み出す。

　サーバ６０はさらに、送信間引部５１２による送信間引の処理が実行されているか否かに関する送信間引情報を物標情報送信部５１０から送信される物標情報に追加するための動作モード通知部５１４を含む。サーバ６０はまた、物標情報送信部５１０が物標情報を送信する際に、送信ポリシー管理部５０４及びサービス対象管理部５０６を参照して、その物標情報に送信ポリシーに関する送信ポリシー情報を付加する送信ポリシー付加部５２０を含む。物標情報を受信したサービス対象の車両などにおいては、送信間引情報により最後に受信した物標情報に基づく外挿処理により物標の位置、速度及び加速度などを予測できるという効果がある。また送信ポリシー付加情報に基づき、その物標情報がどのような送信ポリシーにしたがって処理されたかをサービス対象の車両などで判定でき、送信ポリシーに応じて物標情報を正しく処理し運転支援に利用できる。

　サーバ６０はさらに、送信ポリシー管理部５０４により管理されている各路側装置の送信ポリシーと物標情報管理部５０２が各路側装置から受信した物標情報とに基づいて、各路側装置において採用すべき送信ポリシーを決定するための送信ポリシー決定部５１６を含む。サーバ６０はまた、送信ポリシー決定部５１６により決定された送信ポリシーを、通信部５００を介して各路側装置に送信するための送信ポリシー変更指示部５１８を含む。この実施形態においては、送信ポリシーの変更が必要な路側装置のみに送信ポリシー変更指示が送信される。この構成により、路側装置ではその状況に基づいて適切な送信ポリシーを採用できる。

　図１１は、サーバ６０の主たる機能を実現するためのコンピュータ・プログラムの制御構造をフローチャート形式により示す。図１１を参照して、このプログラムは、路側装置、サービス対象装置、図示しない補助情報のサーバなどからデータを受信するまで待機するステップ５４０を含む。ステップ５４０においてサーバ６０が何らかのデータを受信すると、ステップ５４２においてそのデータの種類により種々の処理が起動される。

　このプログラムはさらに、物標情報が受信されたときに実行され、受信した物標情報をサービス対象管理部５０６内の図示しない記憶装置に格納するステップ５５０を含む。ステップ５５０の後には、この物標情報に対する所定の物標情報処理を起動するステップ５５２が実行される。ステップ５５２の後、制御はステップ５４０に戻る。

　このプログラムはさらに、サービス対象からのサービス対象情報が受信されたときに実行され、サービス対象情報をサービス対象管理部５０６に格納するステップ５６０を含む。ステップ５６０の後には、サービス対象の情報に関する所定の情報処理であるサービス対象情報処理を起動するステップ５６２が実行される。ステップ５６２の後に制御はステップ５４０に戻る。

　このプログラムはさらに、路側装置に関する情報が受信されたときに、その情報を送信ポリシー管理部５０４に格納するステップ５７０を含む。路側装置に関する情報は、その路側装置のセンサの検出範囲に関する情報、その路側装置において採用している送信ポリシーなどに関する。ステップ５７０の後には、路側装置情報に対する処理である所定の路側装置情報処理を起動するステップ５７２が実行される。ステップ５７２の後には制御はステップ５４０に戻る。

　このプログラムはさらに、その他の情報（物標情報、サービス対象情報、路側装置のいずれでもないもの）を受信したことに応答して、それら情報を適切な記憶装置に格納するステップ５８０と、それら情報の種類に応じた適切な情報処理を起動して制御をステップ５４０に戻すステップ５８２とを含む。

　図１２は、図１１のステップ５５２において起動される物標情報処理を実現するプログラムの制御構造の１例を示す。図１２を参照して、このプログラムは、受信した物標情報に含まれる物標の各々についてステップ６０２を実行するステップ６００を含む。

　ステップ６０２は、処理対象となっている物標を、物標情報管理部５０２により管理されている既存の物標中において同定することを試みるステップ６２０を含む。ステップ６０２はさらに、ステップ６２０における処理の結果、処理対象の物標に対応する物標が物標情報管理部５０２により管理されているか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ６２２を含む。

　ステップ６２２の判定が肯定のときには、ステップ６２０において同定された物標の物標情報を、路側装置から受信した物標情報を用いて更新するステップ６２４が実行される。ステップ６２２の判定が否定のときには、物標情報管理部５０２により管理されている物標情報に、路側装置から受信した物標情報を追加するステップ６２６が実行される。ステップ６２４の後、及びステップ６２６の後には、いずれもその物標が検出された時刻に関する情報が物標情報管理部５０２において更新され、ステップ６０２を終了するステップ６２８が実行される。

　図１３は、図１０に示す送信ポリシー決定部５１６の処理を実現するプログラムの制御構造を示す。図１３を参照してこのプログラムは、管理対象の路側装置の各々についてステップ６５２を実行するステップ６５０を含む。

　ステップ６５２は、処理対象となっている路側装置の検出範囲、検出範囲内において検出された物標の配置及び移動速度などに応じ、路側装置の従うべき送信ポリシーを決定するステップ６６０を含む。ステップ６５２はまた、ステップ６６０において決定された送信ポリシーが、処理対象の路側装置の現在の送信ポリシーを変更するものか否かを判定し、その結果に従って制御の流れを分岐させるステップ６６２を含む。

　ステップ６５２はさらに、ステップ６６２の判定が肯定のときに、処理対象の路側装置に対してステップ６６０において決定された送信ポリシーを通知し、送信ポリシー管理部５０４に記憶してステップ６５２を終了するステップ６６４を含む。ステップ６６２の判定が否定のときにはすぐにステップ６５２の実行が終了する。すなわち、処理対象となっている路側装置の送信ポリシーがステップ６６０において決定されたものと同一のときには送信ポリシーの変更指示は路側装置に送信されない。この結果、無駄な通信の発生が防止できるという効果がある。

　なおステップ６６０における判定基準としては色々考えられる。例えば、路側装置の検出範囲の大部分が他の路側装置の検出範囲に含まれるような場合には、第１送信ポリシーが有効である。センサの検出範囲が広い場合には、その検出範囲に含まれる物標がなくなる確率は小さい。それに対してセンサの検出範囲が狭い場合には、検出範囲内に物標が存在しなくなる確率が相対的に高くなる。したがって交差点の近傍にこうした路側装置を備えておくと、交差点付近で交差点に進入しようとする車両がないことを効果的に車両に通知できるという効果がある。また検出範囲内に物標があったとしても、その物標が全て交差点から離れる方向の速度を持つ場合には、そうした物標は無視しても問題ない。そうした意味からもこの場合には第１送信ポリシーを採用することが望ましい。この実施形態においては、それ以外の場合には第２送信ポリシーを採用する。もちろん、第１送信ポリシー及び第２送信ポリシーの選択基準は他にも色々考えることができる。

　図１４は、図１０の物標情報推定部５０８が実行する物標推定処理をプロセッサにより実現するためのプログラムのフローチャートである。図１４を参照して、このプログラムは、処理対象となる各路側装置に対してステップ６８２を実行するステップ６８０を含む。

　ステップ６８２は、処理対象の路側装置が現在第１送信ポリシーにより動作しているか否かを判定して制御の流れを分岐させるステップ７００を含む。ステップ７００の判定が否定のときには、ここでは直ちにステップ６８２の実行を終了する。すなわち、サーバ６０は、路側装置が第１送信ポリシーに従って動作していないときには、その路側装置からの物標情報を推定する処理を実行しない。

　ステップ６８２はさらに、ステップ７００の判定が肯定のときに、路側装置が第２送信方法を実行しているか否かを判定し、その結果に従って制御の流れを分岐させるステップ７０２を含む。サーバ６０は、ステップ７０２の判定が否定のときには直ちにステップ６８２の実行を終了する。すなわち、サーバ６０は、路側装置が第１送信ポリシーに従って動作しており、かつ第２送信方法を実行していないときには、その路側装置からの物標情報を推定する処理を実行しない。

　ステップ６８２はさらに、ステップ７０２の判定が肯定のときに、処理対象の路側装置からの前回の物標情報の受信時刻、又は前回の物標情報の推定時刻から所定時間が経過したか否かを判定し制御の流れを分岐させるステップ７０４を含む。この実施形態においては、処理対象の路側装置からの物標情報の送信（受信）周期が過ぎていないときには直ちにステップ６８２の実行を終了する。

　ステップ６８２はさらに、ステップ７０４の判定が肯定のときに、受信した物標情報に含まれていた物標の各々について、前回受信した物標情報と前回の受信からの経過時間に基づいて、その物標の現在時刻の位置及び速度などを推定するステップ７０８を実行するステップ７０６を含む。第１送信ポリシーでかつ第２送信方法で動作している路側装置の場合は間引送信処理を実行している。したがって、ステップ７０８においては、サーバ６０は、対象となる物標がほぼ等速運動を維持して移動していると仮定して、その物標の現在の位置及び速度を推定する。

　ステップ６８２はさらに、ステップ７０６において推定された物標情報を物標情報処理への入力としてステップ６８２の実行を終了するステップ７１０を含む。

　この実施形態においてはサーバ６０もまた送信間引処理を実行することがある。図１５はそうした処理を実現するプログラムの制御構造を示す。

　図１５を参照して、このプログラムは、物標情報管理部５０２が管理する各物標情報についてステップ７４２を実行するステップ７４０を含む。

　ステップ７４２は、サーバ６０が第１送信ポリシーに従って動作しているか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ７６０を含む。ステップ７４２は、ステップ７６０の判定が肯定のときに、サーバ６０が第２送信方法により動作しているか否かを判定し、その結果に従って制御の流れを分岐させるステップ７６２を含む。ステップ７４２はさらに、サーバ６０が第１送信ポリシーの第２送信方法において、データを送信する設定になっているか否かを判定し、その結果に従って制御の流れを分岐させるステップ７６４を含む。

　ステップ７６０又はステップ７６２の判定が否定のとき、及びステップ７６４の判定が肯定のときには、制御はステップ７７４に進む。ステップ７７４においてサーバ６０は、各物標情報に、その物標情報を検出した路側装置が採用している送信ポリシーとサーバ６０が採用している送信ポリシーとを示す情報を付加し、各サービス対象に対して物標情報を送信しステップ７４２の実行を終了する。

　ステップ７４２はさらに、ステップ７６４の判定が否定のときに、受信した物標情報内の物標の各々についてステップ７６８及び第１送信ポリシーにより物標情報を各サービス対象に送信するステップ７７０を実行するステップ７６６を含む。ステップ７６８において行われる処理は、路側装置において実行される図４に示すステップ１５４と同様である。ステップ７７０において実行される処理は、例えば路側装置において実行される図６の処理、及び図９に示す処理のいずれでもよい。ただしこのサーバ６０における処理では、サーバ６０は、各物標情報に、その物標情報を検出した路側装置が採用している送信ポリシーとサーバ６０が採用している送信ポリシーとを示す情報を付加する。ステップ７７４及びステップ７７０で送信ポリシーを示す情報を物標情報に付加することで、サービス対象の車両などでは、物標情報が路側装置とサーバ６０とでどのように処理されているかを判定できる。その結果、サービス対象の車両などでは物標情報を正しく解釈し運転支援に活用できる。

　ステップ７４２はさらに、ステップ７６６の終了後、サーバ６０において送信間引処理が稼働していることを示すことを路側装置に通知してステップ７４２の実行を終了するステップ７７２を含む。この処理の結果、サーバ６０が管理している物標がほぼ等速運動をしているときには、サーバ６０は物標の物標情報の送信を行わない。サーバ６０は、物標が最初に検出されたとき、及び物標の加速度の絶対値がしきい値以上となったときのみ各サービス対象に物標情報を送信する。

　すなわち図１５に示す処理をサーバ６０が実行すると以下のようになる。サーバ６０が第１送信ポリシー以外に従って動作しているときには全ての物標情報を送信する。サーバ６０が第１送信ポリシーの第１送信方法により動作しているときにもサーバ６０は全ての物標情報を送信する。サーバ６０が第１送信ポリシーの第２送信方法により動作しているときは、第２送信方法で物標情報を送信する設定になっていれば全ての物標情報を送信する。第１送信ポリシーの第２送信方法により動作しているときで、かつ条件付きで物標情報を送信する設定になっているときには、新たに検出された物標、及び検出済の物標でその加速度の絶対値がしきい値以上となっているときのみそれらの物標情報を送信し、それ以外のときにはそれらの物標情報を送信しない。

　４．中間サーバ８０
　既に説明した路側装置８６においては、路側装置８６が複数の送信ポリシーで動作可能であり、かつそれらの送信ポリシーに従った適切な送信方法を採用できる。しかし、路側装置の中には、単純にセンサデータのみを各送信周期で送信するような機能しか持たないものも存在することが想定される。そうした路側装置が複数個存在した場合、通信データ量は路側装置の数だけ増加することになる。そこでこの実施形態においては、図１に示す中間サーバ８０を設けることも可能である。中間サーバ８０は、複数の路側装置（図１の路側装置９０及び９２）の近傍に配置される。中間サーバ８０は、これら路側装置９０及び９２からセンサデータを受信する。中間サーバ８０は、受信したセンサデータを統合してサーバ６０に送信するための物標情報を生成する。中間サーバ８０はさらに、路側装置８６について説明したように、複数の送信ポリシーに従ってこれら物標情報をサーバ６０に送信する機能を実現する。こうすることにより、単純な構成しか持たない路側装置からのセンサデータを、通信データ量の増大を防止しながら効率よくサーバ６０に送信できるという効果がある。

　図１６を参照して、中間サーバ８０は配下の各路側装置及びサーバ６０と通信するための通信部８００を含む。中間サーバ８０と路側装置との間の通信は有線通信でも無線通信でもよい。

　中間サーバ８０はさらに、通信部８００を介して路側装置から受信したセンサデータに基づいて中間サーバ８０の周辺の物標を検出し物標情報として管理するための物標情報管理部８０２を含む。物標情報管理部８０２は、管理する路側装置の数が限定されている点を除き、図１０に示すサーバ６０の物標情報管理部５０２と同様の構成でよい。

　中間サーバ８０はさらに、サーバ６０からの、送信ポリシー変更指示を受信する外部指示受信部８０４を含む。中間サーバ８０は、外部指示受信部８０４が受信した送信ポリシー変更指示に従って、中間サーバ８０が従うべき送信ポリシーを切り替えるための送信ポリシー切替部８０６を含む。外部指示受信部８０４は、サーバ６０からポリシー変更指示を受信するとその指示を送信ポリシー切替部８０６に与える。送信ポリシー切替部８０６は、指示に従って定められる送信ポリシーを記憶する。物標情報管理部８０２が物標情報をサーバ６０に送信するときにはこの送信ポリシーに従って送信方法を決定する。

　中間サーバ８０はさらに、送信ポリシー切替部８０６に記憶された送信ポリシーに従って、第１送信方法と第２送信方法との組み合わせを切り替える送信方法切替部８０８を含む。ここでの第１送信方法と第２送信方法との組み合わせは、路側装置８６に関連して説明したものと同様である。

　中間サーバ８０はさらに、送信方法切替部８０８により送信ポリシーに従って定められた送信方法の組み合わせと、物標情報管理部８０２により管理される物標の状態とに従って、物標情報をサーバ６０に送信するための通信条件を判定するための通信条件判定部８１０を含む。ここでの通信条件の判定も路側装置８６によるものと同様である。

　中間サーバ８０はさらに、通信条件判定部８１０により判定された通信条件に従って、物標情報管理部８０２に記憶された物標情報を、通信部８００を介してサーバ６０に送信するための物標情報送信部８１２を含む。

　中間サーバ８０はさらに、送信間引部８１６を含む。送信間引部８１６は、送信ポリシー切替部８０６に記憶された送信ポリシーと、通信条件判定部８１０からの通信条件とに基づき、サーバ６０への物標情報の送信を間引するか否かを判定し、物標情報送信部８１２による物標情報の送信を間引く処理を実行する機能を持つ。中間サーバ８０はさらに、動作モード通知部８１８を含む。動作モード通知部８１８は、送信間引部８１６による間引が実行されているときに、物標情報送信部８１２により送信される物標情報に、中間サーバ８０において間引送信が稼働中であることを示す通知を付加する機能を持つ。

　中間サーバ８０はさらに、送信ポリシー切替部８０６により設定されている送信ポリシーを特定する情報をサーバ６０に通知するための送信ポリシー通知部８１４を含む。サーバ６０はこの通知を受信することにより、中間サーバ８０からの物標情報がどのような送信ポリシーに従って送信されたかを知ることができる。

　第２　動作
　１．路側装置８６
　以下の説明においては、路側装置８６は、第１送信ポリシーによる送信処理においては、図９に示すものではなく図６に示すものを使用する。

　図２を参照して、センサ１００は一定周期で周囲の物体の検出を試み、検出結果をセンサデータとして出力する。センサ１００の出力は、各物標について、その位置、速度、加速度及びその他の属性が付されている。

　路側装置８６のセンサデータ入力部１２０は、センサ１００の出力するセンサデータを受信し、物標情報管理部１２２に入力する。物標情報管理部１２２は、センサデータに含まれる物標情報を物標ごとに記憶し管理する。具体的には、図４に示すプログラムが実行される。この処理のステップ２０４においては、新たな物標が検出されたときには追加フラグに１が設定される。また検出済の物標の中に加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きなものがあれば加速度フラグに１が設定される。また、検出された物標の数が変数Ｎｆに設定される。

　送信方法切替部１３６は、物標情報管理部１２２に管理されている物標情報に応じ、これら物標情報をサーバ６０に送信するための送信方法を、第１、第２、及び第３送信ポリシーの中で使用している送信ポリシーに応じて定まる第１送信方法と第２送信方法との間で切り替える。

　第１送信ポリシーの第１送信方法においては、路側装置８６は、センサ１００が物標を検出しないときに、物標を検出しなかったことをサーバ６０に送信する（図６のステップ３００→ステップ３０２）。第１送信ポリシーの第２送信方法においては、路側装置８６は、センサ１００が検出した物標情報を条件付でサーバ６０に送信する（図６のステップ３０４）。ただし、第２送信方法として物標情報を何も送信しないという実施形態もあり得る。

　第２送信ポリシーの第１送信方法においては、路側装置８６は、センサ１００が物標を検出したときに物標情報をサーバ６０に送信する。第２送信ポリシーの第２送信方法においては、路側装置８６は何も情報をサーバ６０に送信しない。

　第３送信ポリシーにおいては、路側装置８６は、物標が検出されたか否かにかかわらず、常に一定周期で物標情報をサーバ６０に送信する。

　前述したように、路側装置８６が第１、第２、及び第３送信ポリシーのいずれを使用するかは、サーバ６０からのポリシー切替指示、センサ１００の検出範囲、及び検出物標の状況によって決まる。外部指示受信部１３２がサーバ６０からのポリシー切替指示を受信すると、送信ポリシー切替部１３４がこの指示を格納する。送信ポリシー切替部１３４が、この切替指示に応答して路側装置８６からサーバ６０への物標情報の送信ポリシーを切り替える。送信方法切替部１３６は送信ポリシー切替部１３４の保持している送信ポリシーに関する情報と、センサ１００の検出範囲と物標情報管理部１２２が管理している物標情報に基づく物標の状態に基づいてサーバ６０への送信方法を切り替える。例えばセンサ１００が、交通量の比較的多い信号のない交差点の近くで、かつ優先道路と交差する道路の場合に沿って設けられる場合は第１送信ポリシーが好ましい。特に優先道路と交差する道路が多い場合にはその全ての交差点近くの路側装置に第１送信ポリシーを適用することが望ましい。こうすることにより、優先道路を通行する車両が交差点のたびに徐行をしなければならないという状況を避けることができる。逆に、交差点の近くでない道路沿いにセンサ１００が設けられている場合には、交差する道路から近づいてくる車両は存在しないので、第２送信ポリシーが好ましい。

　通信条件判定部１２４は、送信ポリシー切替部１３４が保持している送信ポリシーと、送信方法切替部１３６が決定した送信方法（第１送信方法及び第２送信方法）とに基づいて最終的な通信条件を判定する。すなわち、通信条件判定部１２４は、第１送信ポリシーが選択されており、第２送信方法が選択されているときには、図６の処理を実行する。検出された物標が０のときには（ステップ３００の判定が肯定）、通信条件判定部１２４は物標が何も検出されなかったという情報を物標情報としてサーバ６０に送信する。物標が検出された（ステップ３００の判定が否定）ときには、路側装置８６は以下のように動作する。

　上記した実施形態では、第１送信ポリシー及び第２送信ポリシーを含む複数の送信ポリシーを切替える構成について説明したが、本開示はこのような実施形態には限定されない。路側装置は、送信ポリシーを切替えない構成であってもよい。具体的には、路側装置は、例えば第１送信ポリシー又は第２送信ポリシーのみに従って動作する構成であってもよい。

　すなわち、路側装置８６の通信条件判定部１２４は、図２に示す送信処理切替部１２８により設定されているスイッチの値、追加フラグの値、及び加速度フラグの値に基づいて物標情報を送信するか否かを判定する。具体的には、スイッチの値が１でかつ「追加フラグの値又は加速度フラグの値が１」の場合には、路側装置８６は、物標情報に条件付送信処理開始情報を付す（ステップ３２４）。路側装置８６はこの後、物標情報をサーバ６０に送信する（ステップ３２６）。これ以外の場合には路側装置８６はサーバ６０に何も送信しない。この処理により、路側装置８６は、物標がセンサ１００の検出範囲において初めて検出されたとき、及びセンサ１００の検出範囲内の物標の加速度の絶対値が一定値以上のときのみ、物標情報を送信する。これが間引送信である。

　間引送信が選択されるのは、物標がセンサにより初めて検出されたとき、及び検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨより大きい場合である。こうした状況においてはそれら物標の将来の動きを予測するのは難しい。したがって物標情報をサーバに送信する必要がある。一方、検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値α_ＴＨ以下の場合には、しきい値α_ＴＨを適切に設定することにより、物標が実質的に等速で移動していると仮定できる。その結果、サーバ６０は、最後にその物標が検出されたときの物標の位置、速度及び必要なら加速度を用いて、所定時刻におけるその物標の位置をある程度の精度でもって予測できるという効果がある。

　２．サーバ６０
　サーバ６０は以下のように動作する。図１０を参照して、通信部５００は各路側装置からの物標情報を受信する。物標情報管理部５０２は、受信した物標情報を記憶し、統合して管理する。物標情報管理部５０２は、複数のセンサから同じ物標に関する物標情報を受信したときには、それらの位置、速度、加速度その他の属性に基づいて物標情報を統合する。

　サーバ６０の送信ポリシー管理部５０４は、物標情報管理部５０２と通信する路側装置の使用している通信ポリシーを記憶し、路側装置から送られている情報に基づいて随時更新する。物標情報推定部５０８は、送信ポリシー管理部５０４に記憶されている送信ポリシーに基づき、間引送信してくる路側装置を特定してそれら装置からの送信がない周期での各物標情報を推定し物標情報管理部５０２に入力する。物標情報管理部５０２はこれら推定された物標情報を用いて検出済の物標に関する物標情報を管理する。

　物標情報推定部５０８を設けることにより、上記したように実質的に等速運動をしている物標については、路側装置８６からサーバ６０に物標情報を送信する必要がなくなる。
したがって、通信量を削減して通信帯域を有効に活用できるという効果がある。

　一方、通信部５００はサービス対象からもそれらの位置、速度などを示すサービス対象情報を受信する。サービス対象管理部５０６は、サービス対象情報を管理する。サービス対象管理部５０６は、各サービス対象の位置、車両ＩＤ、アドレスなどを記憶している。
サービス対象の位置のデータから、その速度、加速度などを算出してもよい。

　サーバ６０の物標情報送信部５１０は、サービス対象管理部５０６に格納されている情報に基づいて、サービス対象の車両などに物標情報管理部５０２により管理されている物標情報を一定周期で送信する。サービス対象の中には、サーバ６０の物標情報推定部５０８と同じように、実質的に等速運動を行っている物標については、その物標情報を各サイクルで必ず受信しなくても、その物標情報を推定できる機能を持つものがある。そうした機能を利用して通信データ量を削減するため、このサーバ６０の送信間引部５１２は、可能であれば物標情報の送信を間引するよう物標情報送信部５１０を制御する。間引するか否かの基準は路側装置８６に関連して説明した、図４のステップ２０４におけるものと同様である。送信間引部５１２はこの判定のために、サービス対象の持つ機能に関する情報をサービス対象管理部５０６から読み出す。サービス対象が上記した間引送信された物標情報からその位置を推定できる機能を持てば、サーバ６０は、そのサービス対象への物標情報の送信は上記した条件により間引きする。そうでない場合、サーバ６０は一定周期でそのサービス対象に物標情報を送信する。

　動作モード通知部５１４は、送信間引部５１２による送信間引を示す送信間引情報を、物標情報送信部５１０から送信される物標情報に追加する。また送信ポリシー付加部５２０は送信ポリシー情報を物標情報に付加する。物標情報送信部５１０は、この物標情報をサービス対象に送信する。送信間引情報が付加された物標情報を受信したサービス対象は、最後にその物標についてサーバ６０から受信した物標情報に基づく外挿処理により、その物標の位置、速度及び加速度などを随時予測できる。こうした処理では誤差が蓄積する可能性がある。しかし、サーバ６０から新たな物標情報を受信した路側装置８６などは、自己が保持している物標情報を受信した物標情報で置換できる。したがってサーバ６０において間引送信すべきか否かを適切に判定することにより路側装置における物標情報に誤差が蓄積することが防止できるという効果がある。また送信ポリシー情報により、各サービス対象は路側装置及びサーバ６０で物標情報がどのような送信ポリシーにしたがって判断でき、それら送信ポリシーに応じた適切な処理で物標情報を解釈し運転支援に役立てることができるという効果がある。

　サーバ６０の送信ポリシー決定部５１６は、送信ポリシー管理部５０４により管理されている各路側装置の送信ポリシーと物標情報管理部５０２が各路側装置から受信した物標情報とに基づいて、各路側装置において採用すべき送信ポリシーを決定する。送信ポリシー変更指示部５１８は、送信ポリシー決定部５１６により決定された送信ポリシーを、通信部５００を介して各路側装置に送信する。このとき、送信ポリシー変更指示部５１８は、送信ポリシーの変更が必要な路側装置のみに送信ポリシー変更指示を送信する。

　上記したようにサーバ６０は路側装置８６などからの物標情報について、路側装置８６が従う送信ポリシーと、その送信ポリシーにおいて採用された送信方法に従って物標情報を受信する。必要に応じて各路側装置の従う送信ポリシーを第１、第２及び第３送信ポリシーの間で切り替えることにより、安全性を確保しながら、運転支援のためのデータ通信の通信量を削減できるという効果がある。さらに、路側装置８６から間引送信される物標情報に基づいて、サーバ６０が物標のその後の位置を予測することにより、路側装置８６から送信されるデータ量が削減できるという効果がある。同じようにサーバ６０からサービス対象に送信する物標情報を間引することにより、さらに通信データ量を削減できるという効果がある。

　３．中間サーバ８０
　中間サーバ８０は以下のように動作する。図１を参照して、中間サーバ８０は、サーバ６０と直接通信しない、近傍の路側装置からセンサデータを受信する。中間サーバ８０は、受信したセンサデータを統合してサーバ６０に送信するための物標情報を生成する。中間サーバ８０はさらに、路側装置８６について説明したように、複数の送信ポリシーに従ってこれら物標情報をサーバ６０に送信する。こうすることにより、単純な構成しか持たない路側装置からのセンサデータを、通信データ量の増大を防止しながら効率よくサーバ６０に送信できるという効果がある。

　図１６を参照して、中間サーバ８０は、通信部８００を介して近傍の路側装置からセンサデータを受信する。物標情報管理部８０２は、このセンサデータに基づいて、中間サーバ８０の周辺の物標を検出し物標情報として管理する。

　中間サーバ８０の外部指示受信部８０４は、サーバ６０から送信ポリシー変更指示を受信する。送信ポリシー切替部８０６は、外部指示受信部８０４が受信した送信ポリシー変更指示に従って、中間サーバ８０が従うべき送信ポリシーを切り替える。外部指示受信部８０４は、サーバ６０からポリシー変更指示を受信するとその指示を送信ポリシー切替部８０６に与える。送信ポリシー切替部８０６は、指示に従って定められる送信ポリシーを記憶する。物標情報送信部８１２が物標情報をサーバ６０に送信するときにはこの送信ポリシーに従って送信方法を決定する。

　中間サーバ８０の送信方法切替部８０８は、送信ポリシー切替部８０６に記憶された送信ポリシーに従って、第１送信方法と第２送信方法との組み合わせを切り替える。ここでの第１送信方法と第２送信方法との組み合わせは、路側装置８６に関連して説明したものと同様である。

　中間サーバ８０の通信条件判定部８１０は、送信方法切替部８０８により送信ポリシーに従って定められた送信方法の組み合わせと、物標情報管理部８０２により管理される物標の状態とに従って、物標情報をサーバ６０に送信するための通信条件を判定する。ここにおける通信条件の判定も路側装置８６によるものと同様である。

　中間サーバ８０の物標情報送信部８１２は、通信条件判定部８１０により判定された通信条件に従って、物標情報管理部８０２に記憶された物標情報を、通信部８００を介してサーバ６０に送信する。

　中間サーバ８０の送信間引部８１６は、送信ポリシー切替部８０６に記憶された送信ポリシーと、通信条件判定部８１０からの通信条件とに基づき、サーバ６０への物標情報の送信を間引するか否かを判定する。送信間引部８１６はさらに、物標情報送信部８１２による物標情報の送信を間引く処理を実行する。動作モード通知部８１８は、送信間引部８１６による間引が実行されているときに、物標情報送信部８１２により送信される物標情報に、中間サーバ８０において間引送信が稼働中であることを示す通知を付加する。

　中間サーバ８０の送信ポリシー通知部８１４は、送信ポリシー切替部８０６により設定されている送信ポリシーを特定する情報をサーバ６０に通知する。サーバ６０はこの通知を受信することにより、中間サーバ８０からの物標情報がどのような送信ポリシーに従って送信されたかを知ることができるという効果がある。なお、サーバ６０から見ると中間サーバ８０はセンサを備えた路側装置と同様であり、路側装置と同じように取り扱うことができる。

　この中間サーバ８０により、単純な機能しか持たない路側装置からの物標情報を、少ないデータ量により通信帯域を圧迫せずにサーバ６０に送信できる。例えば中間サーバ８０を交差点付近に配置し、交差点近くに設けられた路側装置を集中的に管理して、得られた物標情報をサーバ６０に送信することにより、サーバ６０に送信されるデータ量を大きく削減できるという効果がある。

　第３　効果
　以上のように本開示に係る路側装置８６、サーバ６０、中間サーバ８０を採用することにより、サーバ６０との間の通信データ量を削減できるという効果がある。交差点近くの道路上で車両が存在しないことをサーバ６０に通知することにより、サーバ６０から、その道路と交差する道路上を交差点に近づく車両に対して、交差する道から近づいてくる車両が存在しないことが通知できる。その結果、その車両は交差点を減速せずに安全に通過できるという効果がある。サーバ６０から何も通知がない場合には、各車両は交差点を通常の注意を払って通過する。したがって、安全性を確保しながら、車両の通行をスムーズにできるという効果がある。

　路側装置８６又は中間サーバ８０に物標情報の送信の間引機能を持たせ、サーバ６０には間引送信された物標情報を推定する機能を持たせている。その結果、データ量の増加を抑制しながら、サーバ６０における物標情報を維持できる。物標の加速度が大きくなった場合などには路側装置８６又は中間サーバ８０からサーバ６０に対してその物標に関する物標情報を送信する。その結果、サーバ６０において管理される物標情報の正確性を確保しながら、サーバ６０への通信データ量が削減できるという効果がある。

　第４　コンピュータによる実現
　〈コンピュータによるサーバ６０及び中間サーバ８０の実現〉
　図１７を参照して、図１に示すサーバ６０及び中間サーバ８０は、いずれも実質的にはコンピュータ９００を含むプロセッサである。サーバ６０及び中間サーバ８０は互いに類似した構成を持つ。ここではサーバ６０についてそのハードウェア構成を示す。以下に示すものは１例であって、これ以外の要素が追加されてもよく、また以下に記載した要素の中で、コンピュータの本質的機能を実現する要素以外のいずれかの要素が備えられていなくてもよい。

　図１７を参照して、サーバ６０は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ　Ｕｎｉｔ）９２０と、ＣＰＵ９２０とコンピュータ９００内の各部との間のデータ及び命令の伝送経路となるバス９２２とを含む。コンピュータ９００はさらに、いずれもバス９２２に接続されたＲＯＭ（Ｒｅａｄ－Ｏｎｌｙ　Ｍｅｍｏｒｙ）９２４、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ　Ａｃｃｅｓｓ　Ｍｅｍｏｒｙ）９２６、及びハードディスク又はＳＳＤ（Ｓｏｌｉｄ　Ｓｔａｔｅ　Ｄｒｉｖｅ）などからなる不揮発性の補助記憶装置９２８を含む。サーバ６０はさらに、無線通信及び有線通信による外部との通信を提供するネットワークＩ／Ｆ（Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ）９３０、バス９２２に接続された入出力インターフェイス（Ｉ／Ｆ）９３６、及びＵＳＢ（Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ　Ｓｅｒｉａｌ　Ｂｕｓ）メモリ９１２が着脱可能であり、ＵＳＢメモリ９１２とコンピュータ９００内の他の各部との通信を可能にするＵＳＢメモリポート９３４を含む。

　サーバ６０はさらに、バス９２２に接続された表示制御装置９３２、表示制御装置９３２に接続されたモニタ９０２、バス９２２に接続された入出力Ｉ／Ｆ９３６、並びにいずれも入出力Ｉ／Ｆ９３６に接続されたキーボード９０４及びマウス９０６を含む。

　入出力Ｉ／Ｆ９３６にはこれ以外の様々な装置が接続可能である。また図１７ではコンピュータ９００が１台だけ示されているが、複数台のコンピュータを並列に稼働させることでサーバ６０を実現してもよい。このコンピュータ９００の起動プログラムはＲＯＭ９２４に記憶されている。前述の物標情報、送信ポリシー、サービス対象情報などはいずれもＲＡＭ９２６及び補助記憶装置９２８のような記憶装置に記憶される。ＲＡＭ９２６はＣＰＵ９２０がプログラムを実行する際に様々な変数などを記憶するための作業領域としても使用される。なお、サーバ６０は、いわゆるクラウドで実現してもよい。この場合、クラウドの運営者とサーバの運営者とが別々でもよいし、クラウド自体が複数のクラウドの複合体であってもよい。

　上記開示の実施形態では、物標情報などのデータは、いずれも図１７に示すＲＡＭ９２６により一次的に実現され、補助記憶装置９２８が二次的な記憶装置として機能する。

　このコンピュータ９００をサーバ６０及びその構成要素の各機能を実現するよう動作させるためのプログラムは、例えばＵＳＢメモリ９１２に記憶されている。ＵＳＢメモリ９１２はＵＳＢメモリポート９３４に装着され、記憶されているプログラムが補助記憶装置９２８に転送される。又は、このプログラムはネットワークＩ／Ｆ９３０による通信を介して図示しないネットワークを介して他のコンピュータからコンピュータ９００に送信され補助記憶装置９２８に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にＲＡＭ９２６にロードされる。ＣＰＵ９２０は、その内部のプログラムカウンタと呼ばれるレジスタ（図示せず）により示されるアドレスに従ってＲＡＭ９２６からプログラムを読み出して命令を解釈し、命令の実行に必要なデータを、命令により指定されるアドレスに従ってＲＡＭ９２６、補助記憶装置９２８又はそれ以外のアドレスから読み出し、命令を実行する。ＣＰＵ９２０は、実行結果のデータを、ＲＡＭ９２６、補助記憶装置９２８、ＣＰＵ９２０内のレジスタなど、プログラムにより指定されるアドレスに格納する。

　サーバ６０の各機能を実現するプログラムは、コンピュータ９００に本開示の実施形態に係るサーバ６０として動作を行わせる複数の命令を含む。この動作を行わせるのに必要な基本的機能のいくつかはコンピュータ９００上で動作するオペレーティングシステム（ＯＳ）若しくはサードパーティのプログラム、又はコンピュータ９００にインストールされる各種ツールキットのモジュールにより提供される。したがって、このプログラムはこの実施形態のシステム及び方法を実現するのに必要な機能の全てを必ずしも含まなくてよい。このプログラムは、命令の中で、所望の結果が得られるように制御されたやり方で適切な機能又は「プログラミング・ツール・キット」を呼出すことにより、上記したサーバ６０及びその構成要素としての動作を実行する命令のみを含んでいればよい。

　〈コンピュータによる路側装置８６などの実現〉
　〈路側装置のコンピュータによる実現〉
　図１８を参照して、図１に示す路側装置８２、８４、８６及び８８などの路側装置は、いずれも実質的にはコンピュータを含むプロセッサにより実現できる。路側装置は互いに同じ、又は類似した構成を持つ。ここでは路側装置８６についてそのハードウェア構成を示す。なお、以下に示すハードウェア構成はあくまで１例であり、路側装置８６は必要な機能を実現できる限り、どのようなものを用いてもよい。路側装置８６は、例えば以下に記載する各要素と異なる機能を追加して備えてもよい。また、以下に記載する要素の中で路側装置８６の機能を実現するために必要なもの以外の要素がなくてもよいことは当然である。

　図１８を参照して、路側装置８６は、手動スイッチ１０５０に接続されたＣＰＵ１０２０と、ＣＰＵ１０２０とコンピュータ１０００内の各部との間のデータ及び命令の伝送経路となるバス１０２２とを含む。手動スイッチ１０５０は、図２に示す送信処理切替部１２８に相当するものである。このように手動スイッチ１０５０を設けることで、路側装置８６が存在している位置で容易に路側装置８６の動作を変更できる。

　コンピュータ１０００はさらに、いずれもバス１０２２に接続されたＲＯＭ１０２４、ＲＡＭ１０２６、及びハードディスク又はＳＳＤ等からなる不揮発性の補助記憶装置１０２８を含む。路側装置８６はさらに、無線通信による外部との通信を提供する無線通信部１０３０、バス１０２２に接続された入出力インターフェイス（Ｉ／Ｆ）１０３２、及びＵＳＢメモリ１０１２が着脱可能で、ＵＳＢメモリ１０１２とコンピュータ１０００内の他の各部との通信を可能にするＵＳＢメモリポート１０３４を含む。

　路側装置８６はさらに、バス１０２２に接続された入出力Ｉ／Ｆ１０３６を含む。入出力Ｉ／Ｆ１０３６にはセンサ１００が接続される。センサ１００からのセンサデータは入出力Ｉ／Ｆ１０３２を介してコンピュータ１０００に与えられる。このセンサデータは一次的にＲＡＭ１０２６に格納され、ＣＰＵ１０２０により処理される。

　前述の物標情報、送信ポリシー、サービス対象情報などはいずれもＲＡＭ１０２６及び補助記憶装置１０２８のような記憶装置に記憶される。ＲＡＭ１０２６はＣＰＵ１０２０がプログラムを実行する際に様々な変数などを記憶するための作業領域としても使用される。

　上記開示の実施形態では、物標情報などのデータは、いずれも図１７に示すＲＡＭ１０２６により一次的に実現され、補助記憶装置１０２８が二次的な記憶装置として機能する。

　このコンピュータ１０００を路側装置８６及びその構成要素の各機能を実現するよう動作させるためのプログラムは、例えばＵＳＢメモリ１０１２に記憶されている。ＵＳＢメモリ１０１２はＵＳＢメモリポート１０３４に装着され、ＵＳＢメモリ１０１２に記憶されているプログラムが補助記憶装置１０２８に転送される。又は、このプログラムは無線通信部１０３０による通信を介して図示しないネットワークを介して他のコンピュータからコンピュータ１０００に送信され補助記憶装置１０２８に記憶されてもよい。

　プログラムの実行時のコンピュータ１０００の動作的原理はサーバ６０を実現するコンピュータ９００のそれと同じである。したがってここではその詳細は繰り返さない。

　なお、上述の実施形態の各処理（各機能）は、１又は複数のプロセッサを含む処理回路（Circuitry）により実現されてもよい。上記処理回路は、上記１又は複数のプロセッサに加え、１又は複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記１又は複数のメモリは、上記各処理を上記１又は複数のプロセッサに実行させるプログラム（命令）を格納する。上記１又は複数のプロセッサは、上記１又は複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、ＣＰＵ、ＧＰＵ（Graphics　Processing　Unit）、ＤＳＰ（Digital　Signal　Processor）、ＦＰＧＡ（Field　Programmable　Gate　Array）、ＡＳＩＣ（Application　Specific　Integrated　Circuit）等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。例えば物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがＬＡＮ（Local　Area　Network）、ＷＡＮ　(Wide　Area　Network)、インターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。

　今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、開示の詳細な説明の記載により示されるわけではなく、特許請求の範囲の各請求項によって示され、特許請求の範囲の文言と均等の意味及び範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。

５０　運転支援システム
６０　サーバ
６２、６４、６６　道路
７０、７２、７４、７６、７８　領域
８０　中間サーバ
８２、８４、８６、８８、９０、９２　路側装置
１００　センサ
１２０　センサデータ入力部
１２２、５０２、８０２　物標情報管理部
１２４、８１０　通信条件判定部
１２８　送信処理切替部
１３０、５００、８００　通信部
１３２、８０４　外部指示受信部
１３４、８０６　送信ポリシー切替部
１３６、８０８　送信方法切替部
１３８、８１４　送信ポリシー通知部
１５０、１５２、１５４、１６０、１６２、１６４、１７０、１７２、１８４、２０２、２０４、２０６、２０８、２２０、２２２、２２４、２２６、２２８、２４０、２４２、２７０、２７２、２７４、２７６、２７８、２８０、３００、３０２、３０４、３２０、３２２、３２４、３２６、３２８、３５０、３５２、３７０、４００、４２０、４４０、４４２、４４４、５４０、５４２、５５０、５５２、５６０、５６２、５７０、５７２、５８０、５８２、６００、６０２、６２０、６２２、６２４、６２６、６２８、６５０、６５２、６６０、６６２、６６４、６８０、６８２、７００、７０２、７０４、７０６、７０８、７１０、７４０、７４２、７６０、７６２、７６４、７６６、７６８、７７０、７７２、７７４　ステップ
５０４　送信ポリシー管理部
５０６　サービス対象管理部
５０８　物標情報推定部
５１０、８１２　物標情報送信部
５１２、８１６　送信間引部
５１４、８１８　動作モード通知部
５１６　送信ポリシー決定部
５１８　送信ポリシー変更指示部
９００、１０００　コンピュータ
９０２　モニタ
９０４　キーボード
９０６　マウス
９１２、１０１２　ＵＳＢメモリ
９２０、１０２０　ＣＰＵ
９２２、１０２２　バス
９２４、１０２４　ＲＯＭ
９２６、１０２６　ＲＡＭ
９２８、１０２８　補助記憶装置
９３０　ネットワークＩ／Ｆ
９３２　表示制御装置
９３４、１０３４　ＵＳＢメモリポート
９３６、１０３２　入出力Ｉ／Ｆ
１０３０　無線通信部
１０５０　手動スイッチ

Claims

検出エリア内において物標の検出を繰り返し試みるセンサからのセンサデータを受けるセンサデータ入力部と、
　前記センサによる検出結果である物標情報を管理するための物標情報管理部と、
　前記物標情報を送信先に送信するための通信部と、
　前記センサによる検出結果に応じて、前記通信部により前記物標情報を送信するための送信方法を、第１送信方法、又は前記第１送信方法と異なる第２送信方法に切り替える送信方法切替部とを含む、路側装置。
前記送信方法切替部は、前記センサが物標を検出しないときに前記第１送信方法を選択し、前記センサが物標を検出したときに前記第２送信方法を選択する第１送信ポリシーに従って動作可能である、請求項１に記載の路側装置。
前記送信方法切替部は、さらに、
　前記センサが物標を検出したときに前記第１送信方法を選択し、前記センサが物標を検出しないときに前記第２送信方法を選択する第２送信ポリシーに従って動作可能であり、
　前記路側装置はさらに、送信ポリシーの切替指示に応じて、前記第１送信ポリシーと前記第２送信ポリシーとを切り替える送信ポリシー切替部を含む、請求項２に記載の路側装置。
前記送信方法切替部はさらに、
　前記センサが物標を検出したか否かにかかわらず、前記物標情報を一定の送信方法により前記送信先に送信する第３送信ポリシーに従って動作可能であり、
　前記送信ポリシー切替部は、前記切替指示に応じて、前記第１送信ポリシー、前記第２送信ポリシー又は前記第３送信ポリシーに切り替える、請求項３に記載の路側装置。
さらに、前記通信部を介して外部装置から前記送信ポリシーの切替指示を受信して前記送信ポリシー切替部に与える切替指示受信部を含む、請求項３又は請求項４に記載の路側装置。
さらに、前記路側装置がどの送信ポリシーに従って動作中であるかを前記通信部を介して前記送信先に通知する送信ポリシー通知部を含む、請求項３から請求項５のいずれか１項に記載の路側装置。
前記通信部は、前記第２送信方法が選択されたときには、前記物標情報を前記送信先に送信しない、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の路側装置。
前記通信部は、前記第２送信方法が選択されたときには、前記第１送信方法が選択されたときより長い送信周期により前記物標情報を前記送信先に送信する、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の路側装置。
前記通信部は、前記第１送信ポリシーが選択され、かつ前記第２送信方法が選択されているときには、前記物標情報を前記送信先に送信しない、請求項２に記載の路側装置。
前記通信部は、前記第１送信ポリシーが選択され、かつ前記第２送信方法が選択されているときには、所定条件が充足されたときに前記物標情報を前記送信先に送信し、前記所定条件が充足されないときには前記物標情報を前記送信先に送信しないという条件付送信処理を実行する、請求項２に記載の路側装置。
前記通信部は、
　前記第１送信ポリシーが選択され、かつ前記第２送信方法が選択されているときには、所定条件が充足されたときに前記物標情報を前記送信先に送信し、前記所定条件が充足されないときには前記物標情報を前記送信先に送信しない、という条件付送信処理と、
　前記第１送信ポリシーが選択され、かつ前記第２送信方法が選択されているときには、前記物標情報を前記送信先に送信しない、という送信停止処理
　とのいずれでも動作可能であり、
　前記路側装置はさらに、前記条件付送信処理と前記送信停止処理とを切り替えるための送信処理切替部を含む、請求項２に記載の路側装置。
前記所定条件は、
　前記センサの検出領域内において、ある物標が最初に検出された、又は
　前記センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出された、
　という条件である、請求項１１に記載の路側装置。
前記送信処理切替部は手動スイッチを含む、請求項１２に記載の路側装置。
前記条件付送信処理の実行を開始したことに応答して、前記路側装置が前記条件付送信処理を実行中であることを、前記通信部により前記送信先に通知する条件付送信処理通知部をさらに含む、請求項１０から請求項１３のいずれか１項に記載の路側装置。
　前記送信方法切替部は、前記センサが物標を検出したときに前記第１送信方法を選択し、前記センサが物標を検出しないときに前記第２送信方法を選択する送信ポリシーに従って動作可能である、請求項１に記載の路側装置。
各々がセンサを備えた複数の路側装置と通信する通信部と、
　前記複数の路側装置から前記通信部を介して受信した物標情報を管理する物標情報管理部と、
　前記複数の路側装置から前記通信部を介して受信した、各路側装置の送信ポリシーを管理する送信ポリシー管理部と、
　物標を検出した前記路側装置から前記通信部を介して受信した前記物標情報管理部の管理する物標情報を、前記物標を検出した前記路側装置の送信ポリシーとともにサービス対象に向けて送信する物標情報送信部と、を含むサーバ。
前記送信ポリシーは、少なくとも第１送信ポリシーと第２送信ポリシーに分類され、
　前記第１送信ポリシーにおいては、前記複数の路側装置は、前記センサが物標を検出しないときに第１送信方法を選択し、前記センサが物標を検出したときに前記第１送信方法と異なる第２送信方法を選択し、
　前記第２送信ポリシーにおいては、前記複数の路側装置は、前記センサが物標を検出したときに前記第１送信方法を選択し、前記センサが物標を検出しないときに前記第２送信方法を選択する、
　請求項１６に記載のサーバ。
さらに、物標の配置及び移動速度、並びに各路側装置の持つセンサの検出範囲に応じて、各路側装置が従うべき送信ポリシーを前記第１送信ポリシー及び前記第２送信ポリシーのいずれかに定め、前記複数の路側装置のうち、少なくとも送信ポリシーが変化する路側装置に送信するポリシー変更指示部を含む、請求項１７に記載のサーバ。
前記複数の路側装置は、前記第１送信ポリシーが選択され、かつ前記第２送信方法が選択されているときには、所定条件が充足されたときに前記物標情報を前記サーバに送信し、前記所定条件が充足されないときには前記物標情報を前記サーバに送信しない、という条件付送信処理を実行する第１路側装置を少なくとも含み、
　前記所定条件は、前記センサの検出領域内において、ある物標が最初に検出された、又は
　前記センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出された、
　という条件であり、
　前記サーバはさらに、前記第１路側装置が前記第１送信ポリシーに従って前記第２送信方法を用いて動作しているときに、前記第１路側装置からの物標情報を次の受信サイクルにおいて受信しないときには、前記第１路側装置から受信した物標の位置を、前記第１路側装置から最後に受信した物標情報にもとづいて推定する物標情報推定部を含む、請求項１７又は請求項１８に記載のサーバ。
前記複数の路側装置は、前記第１送信ポリシーが選択され、かつ前記第２送信方法が選択されているときでも、前記物標情報を前記サーバに送信する第２路側装置を少なくともさらに含み、
　前記サーバはさらに、
　前記第２路側装置から受信した物標情報に基づいて、
　前記第２路側装置の前記センサの検出領域内において、ある物標が最初に検出されたという第１条件、
　前記センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出されたという第２条件、及び
　前記センサの検出領域内において物標が検出されなかったという第３条件、
　のいずれかが成立しているときには前記第２路側装置から受信した前記物標情報を前記各サービス対象に送信し、
　前記条件が成立していないときには前記物標情報を前記各サービス対象に送信しない送信間引部を含む、請求項１９に記載のサーバ。
さらに、前記送信間引部が稼働していることをサービス対象に送信する動作モード送信部を含む、請求項２０に記載のサーバ。
通信部と、
　各々がセンサを含む路側装置から物標情報を受信し、前記物標情報に基づいて、
　前記路側装置の前記センサの検出領域内において、ある物標が最初に検出されたという第１条件、
　前記センサの検出領域内において検出済の物標の加速度の絶対値がしきい値以上であることが検出されたという第２条件、及び
　前記センサの検出領域内において物標が検出されなかったという第３条件、
　のいずれかが成立しているときには前記路側装置から受信した前記物標情報を送信先に送信し、それ以外のときには前記物標情報の送信を行わない物標情報間引部とを含む、中間サーバ。