WO2023095218A1

WO2023095218A1 - モータ装置およびモータ制御装置

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Publication number: WO2023095218A1
Application number: PCT/JP2021/043039
Authority: WO
Inventors: 裕人佐藤
Original assignee: 株式会社ジェイテクト
Priority date: 2021-11-24
Filing date: 2021-11-24
Publication date: 2023-06-01

Abstract

モータ装置（１１）は、モータ（１２）とモータ制御装置（１３）とを備える。モータ制御装置は、モータの端部に取り付けられる基板（４１）と、基板を覆うようにモータの端部に取り付けられるカバー（４２）と、を備えている。モータは、モータ本体（２０）と、モータ本体の側方に配置されるコネクタ組立体（２５）と、を有している。基板は、コネクタ組立体に重なるようにモータ本体の側方へ張り出す張り出し部（４１Ｂ）を有している。張り出し部は、カバーの端壁とコネクタ組立体との間に位置するとともに、コネクタ組立体に保持される端子（２５Ｄ１，２５Ｄ２，２５Ｅ１，２５Ｅ２）が接続される端子接続部（５３Ａ，５４Ａ，５３Ｂ，５４Ｂ）を有している。カバーは、その端壁の内面から基板に向けて突出する第１の突出部（４２Ａ）を有している。第１の突出部は、カバーの端壁が基板に近づく方向へ撓むとき、端子がカバーの端壁に接触する前に、端子接続部に隣接する基板の領域に接触する。

Description

モータ装置およびモータ制御装置

　本開示は、モータ装置およびモータ制御装置に関する。

　特許文献１のモータ装置は、モータおよびＥＣＵ（電子制御装置）を有する。ＥＣＵは、モータの端部に設けられる。ＥＣＵは、基板、カバーおよびコネクタを有する。基板は、モータの端部に固定される。カバーは、モータに向けて開口する筒状体である。カバーは、基板を覆うようにモータの端部に取り付けられる。コネクタは、ベース部およびコネクタ部を有する。ベース部は、カバーにより覆われた状態で、モータの端部に固定される。ベース部は、カバーの端壁の内面に対して、モータの軸方向に接触した状態に維持される。コネクタ部は、カバーの端壁をモータの軸方向に貫通して外部に突出している。コネクタ部は、電源端子を有する。電源端子は基板に接続される。

　特許文献２のモータ装置は、モータおよび制御装置を有する。制御装置は、モータの側部に取り付けられる。制御装置は、ハウジング、金属基板、大電流基板、制御基板およびカバーを有する。ハウジングは箱形状であり、モータに対して反対側に開口する。金属基板は、パワー基板であって、半導体スイッチング素子およびコンデンサなどの大電流部品を有する。大電流基板は、パターン配線を構成する複数の導電板と、これら導電板がインサートされる絶縁性樹脂部材を有する。制御基板は、マイクロコンピュータを有する。金属基板、大電流基板および制御基板は、この順でハウジングに収容される。カバーは、ハウジングの開口を塞ぐようにハウジングに取り付けられる。

　特許文献１，２のモータ装置は、たとえば電動パワーステアリング装置の駆動源に使用される。

特開２０２０－７２６２１号公報特開２００５－３０４２０３号公報

　モータ装置のカバーに外力が加わることがある。外力は、たとえばカバーの端壁に対して交わる方向の力である。一例として、モータ装置が車両用である場合、車両に衝突が発生したとき、車両の一部分がモータ装置のカバーに干渉するおそれがある。カバーに外力が加わることによってカバーが押しつぶされるとともに、カバーの変形する部分が基板に干渉することによって、同モータ装置の基板および車両上の他の電子部品が電気的に損傷することが懸念される。

　本開示の一態様に係るモータ装置は、モータと、前記モータの端部に設けられるモータ制御装置とを備えている。前記モータ制御装置は、モータを制御するために前記モータの端部に取り付けられる基板と、前記基板を覆うように前記モータの端部に取り付けられる可撓性を有するカバーと、を有している。前記モータは、モータ本体と、前記モータ本体の軸方向からみて前記モータ本体の側方に配置されるコネクタ組立体と、を有している。前記基板は、前記モータ本体の軸方向からみて前記コネクタ組立体に重なるように前記モータ本体の側方へ張り出す張り出し部を有している。前記張り出し部は、前記カバーの端壁と前記コネクタ組立体との間に位置する端子接続部を有している。前記コネクタ組立体に保持される端子が、前記張り出し部を前記コネクタ組立体から前記カバーに向けて貫通した状態で、前記端子接続部に接続される。前記カバーは、その端壁の内面から前記基板に向けて突出する絶縁性を有する、第１の突出部を有している。前記第１の突出部は、前記カバーの端壁が外力を受けて前記基板に近づく方向へ撓むとき、前記端子が前記カバーの端壁に接触する前に、前記端子接続部に隣接する前記基板の領域に接触するように構成される。

　本開示の一態様に係るモータ制御装置は、上記のモータ装置が備えるものである。

一実施の形態に係るモータ装置の外観を示す斜視図である。図１のモータ装置を分解した斜視図である。図２のコネクタ組立体の斜視図である。図２のカバーの斜視図である。図２のカバーの第１の規制部をモータ本体の軸方向からみた模式図。図２のモータ装置の要部を示す断面図である。図２のモータ制御装置の回路図である。カバーを取り外した状態の図２のモータ装置の平面図である。図２のモータ装置の要部を示す断面図である。図２のモータ装置の要部を示す断面図である。カバーを取り外した状態の図２のモータ装置の斜視図である。

　＜第１の実施の形態＞
　第１の実施の形態に係るモータ装置１１を説明する。
　＜全体構成＞
　図１に示すように、モータ装置１１は、モータ１２およびモータ制御装置１３を有している。モータ１２は、たとえば三相のブラシレスモータである。三相は、Ｕ相、Ｖ相およびＷ相である。モータ１２は、２系統の巻線群を有している。モータ制御装置１３は、モータ１２の端部に設けられている。モータ制御装置１３は、２系統の巻線群に対する給電を独立して制御する。

　＜モータ＞
　図２に示すように、モータ１２は、モータ本体２０およびコネクタ組立体２５を有している。

　モータ本体２０は、円筒状のケースを有している。ケースは金属製である。ケースの内部には、ステータ、バスバーモジュールおよびロータが収容される。ステータは、ケースの内周面に嵌合される円筒状のコア、およびコアにインシュレータを介して巻回される複数の巻線を有する。バスバーモジュールは、円筒状のホルダおよびホルダに保持される複数のバスバーを有する。各バスバーには、巻線の一端が接続される。ロータは、ステータおよびバスバーモジュールに非接触状態で挿入される。ロータは、出力軸および出力軸の外周面に固定された円筒状の磁石を有する。出力軸は、ケースの内周面に対して軸受を介して回転可能に支持される。モータ本体２０は、出力軸が突出する側の第１端部と、第１端部とは反対側の第２端部と、を有している。

　モータ本体２０の端部には、基板収容部２１が設けられている。本実施の形態において、基板収容部２１が設けられるモータ本体２０の端部は、第２端部である。基板収容部２１は、金属製であって、モータ本体２０のケースと一体的に設けられている。基板収容部２１は、開口部２１Ａを有する矩形の箱状体である。開口部２１Ａは、モータ本体２０とは反対の方向に開口している。基板収容部２１は、張り出し部２１Ｂを有している。張り出し部２１Ｂは、基板収容部２１において、モータ本体２０の側方へ張り出す部分である。側方は、モータ本体２０の軸方向からみて、モータ本体２０の軸方向に直交する方向である。基板収容部２１は、嵌合孔２１Ｃを有している。嵌合孔２１Ｃは、張り出し部２１Ｂの端壁に設けられている。嵌合孔２１Ｃは、張り出し部２１Ｂの端壁をモータ１２の軸方向に貫通している。

　モータ本体２０の第２端部には、ヒートシンク２２が設けられている。ヒートシンク２２は、金属製である。金属は、アルミニウムなどの導電性および熱伝導性に優れる金属である。ヒートシンク２２は、円柱状である。ヒートシンク２２は、モータ１２の軸線に対して同軸上に位置している。ヒートシンク２２は、基板収容部２１の端壁をモータ１２の軸方向に貫通している。ヒートシンク２２の一部分は、基板収容部２１の内部に露出している。

　ヒートシンク２２には、３つの第１のモータ端子２３Ａが設けられている。これら第１のモータ端子２３Ａは、第１の巻線群を構成する三相の巻線にそれぞれ対応する。第１のモータ端子２３Ａの各々は、バスバーの一部分である。モータ本体２０の内部において、各相の第１の巻線の一端が、対応する相のバスバーに接続される。第１のモータ端子２３Ａは、絶縁部材を介してヒートシンク２２をモータ本体２０の軸方向に貫通している。３つの第１のモータ端子２３Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、モータ本体２０の輪郭に対して接線方向に一列に並んでいる。

　ヒートシンク２２には、３つの第２のモータ端子２４Ａが設けられている。これら第２のモータ端子２４Ａは、第２の巻線群を構成する三相の巻線にそれぞれ対応する。第２のモータ端子２４Ａの各々は、バスバーの一部分である。モータ本体２０の内部において、各相の第２の巻線の一端が、対応する相のバスバーに接続される。第２のモータ端子２４Ａは、絶縁部材を介してヒートシンク２２をモータ本体２０の軸方向に貫通している。３つの第２のモータ端子２４Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、モータ本体２０の輪郭に対して接線方向に一列に並んでいる。

　コネクタ組立体２５は、合成樹脂製のボディ２５Ａを有している。ボディ２５Ａは、基台２５Ｂ、第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１、および第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２を有している。基台２５Ｂは、基板収容部２１の開口部２１Ａと同じ方向に開口する矩形の箱状体である。基台２５Ｂは、基板収容部２１の開口部２１Ａと同じ方向を向く第１端面と、第１端面とは反対側の第２端面と、を有している。第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１は、基台２５Ｂの第２端面に設けられている。第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１は、基台２５Ｂの第２端面から延びる筒状体であり、第２端面が向く方向へ開口している。第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１には、プラグコネクタが嵌合される。プラグコネクタは、配線の第１の端部に設けられる。配線の第２の端部は、モータ装置１１の外部に設けられるバッテリなどの直流電源に接続される。第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２は、第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１と同様の構成を有している。第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１および第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２は、基台２５Ｂの長辺方向に間隔をあけて並んでいる。

　コネクタ組立体２５は、第１の電源端子２５Ｄ１および第１のグランド端子２５Ｅ１を有している。第１の電源端子２５Ｄ１は、第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１の内部から延びて基台２５Ｂの端壁を貫通する経路に沿うように設けられている。第１の電源端子２５Ｄ１の第１の端部は、第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１の内部に位置している。第１の電源端子２５Ｄ１の第２の端部は、基台２５Ｂの端壁に対して直立している。第１のグランド端子２５Ｅ１は、基本的には第１の電源端子２５Ｄ１と同様にして設けられる。第１の電源端子２５Ｄ１と第１のグランド端子２５Ｅ１とは、基台２５Ｂの短辺方向に並んでいる。

　コネクタ組立体２５は、第２の電源端子２５Ｄ２および第２のグランド端子２５Ｅ２を有している。第２の電源端子２５Ｄ２は、第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２の内部から延びて基台２５Ｂの端壁を貫通する経路に沿うように設けられている。第２の電源端子２５Ｄ２の第１の端部は、第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２の内部に位置している。第２の電源端子２５Ｄ２の第２の端部は、基台２５Ｂの端壁に対して直立している。第２のグランド端子２５Ｅ２は、基本的には第２の電源端子２５Ｄ２と同様にして設けられる。第２の電源端子２５Ｄ２と第２のグランド端子２５Ｅ２とは、基台２５Ｂの短辺方向に並んでいる。

　コネクタ組立体２５は、モータ１２の基板収容部２１に取り付けられる。基台２５Ｂの外周面は、基板収容部２１の嵌合孔２１Ｃの内周面に嵌合される。基台２５Ｂは、第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１および第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２を基板収容部２１の開口部２１Ａへ向けた姿勢で嵌合孔２１Ｃに挿入される。基台２５Ｂの外周面の全周にわたって、フランジ部２５Ｆが設けられている。フランジ部２５Ｆは、嵌合孔２１Ｃの周縁部分に対してモータ本体２０の軸方向に接触した状態に維持される。第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１および第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２は、基板収容部２１の端壁から基台２５Ｂの開口方向と反対の方向へ突出する。

　図２および図３に示すように、第１の電源端子２５Ｄ１の直立する第２の端部は、モータ制御装置１３に電気的に接続される第１の接続部Ｐ１１である。第２の電源端子２５Ｄ２の直立する第２の端部は、モータ制御装置１３に電気的に接続される第２の接続部Ｐ１２である。第１のグランド端子２５Ｅ１の直立する第２の端部は、モータ制御装置１３に電気的に接続される第３の接続部Ｐ１３である。第２のグランド端子２５Ｅ２の直立する第２の端部は、モータ制御装置１３に電気的に接続される第４の接続部Ｐ１４である。

　第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４は、モータ本体２０の軸方向からみて、許容される範囲内で可能な限りモータ本体２０に近接するように設けられる。第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４は、モータ本体２０の軸方向からみて、各端子（２５Ｄ１，２５Ｄ２，２５Ｅ１，２５Ｅ２）の他の部分よりも、基台２５Ｂの２つの長側壁のうちモータ本体２０に近い長側壁に近接している。第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４は、モータ本体２０の軸方向からみて、モータ本体２０に近い長側壁の中央に対応して位置している。

　第１の接続部Ｐ１１と第３の接続部Ｐ１３とは、モータ本体２０の軸方向からみて、基台２５Ｂの短辺方向Ｘ２に並んでいる。第１の接続部Ｐ１１は、モータ本体２０の軸方向からみて、第３の接続部Ｐ１３よりもモータ本体２０に近い。第２の接続部Ｐ１２と第４の接続部Ｐ１４とは、モータ本体２０の軸方向からみて、基台２５の短辺方向Ｘ２に並んでいる。第２の接続部Ｐ１２は、モータ本体２０の軸方向からみて、第４の接続部Ｐ１４よりもモータ本体２０に近い。第１の接続部Ｐ１１と第２の接続部Ｐ１２とは、モータ本体２０の軸方向からみて、基台２５の長辺方向Ｘ１に並んでいる。第３の接続部Ｐ１３と第４の接続部Ｐ１４とは、モータ本体２０の軸方向からみて、基台２５の長辺方向Ｘ１に並んでいる。

　コネクタ組立体２５は、第２の突出部２５Ｇを有している。第２の突出部２５Ｇは、基台２５Ｂが有する２つの長側壁のうちモータ本体２０に近い長側壁に設けられる平面壁である。第２の突出部２５Ｇは、長側壁の外面に対してさらに短辺方向の外側に位置している。すなわち、第２の突出部２５Ｇは、基台２５Ｂの外周面から外側に張り出している。第２の突出部２５Ｇは、長側壁の中央に位置し、長側壁に沿って延びている。第２の突出部２５Ｇの基端部は、長側壁に連結されている。第２の突出部２５Ｇの先端部は、基台２５Ｂの開口端面に対して第１のコネクタ嵌合部２５Ｃ１および第２のコネクタ嵌合部２５Ｃ２の突出方向と反対方向へ突出している。

　＜モータ制御装置＞
　図２に示すように、モータ制御装置１３は、単一の基板４１およびカバー４２を有している。

　基板４１は、モータ１２に電力を供給するための構成を有している。基板４１の外周の輪郭形状は、モータ１２の軸方向からみて、基板収容部２１の内周の輪郭形状に対応している。基板４１は、基板収容部２１の内部に収容される。基板４１は、基板収容部２１の内部に収容されたヒートシンク２２およびコネクタ組立体２５に重ねられる。基板４１は、コネクタ組立体２５に設けられる支持部、および基板収容部２１の内部に設けられる支持部に固定される。基板４１はモータ本体２０の軸方向に対して直交する姿勢に維持される。

　基板４１は、モータ１２の第１系統の巻線群に電力を供給するための構成を有している。基板４１は、第１系統の構成として、第１のインバータ回路５１Ａ、第１のモータ端子接続部５２Ａ、第１の電源端子接続部５３Ａ、第１のグランド端子接続部５４Ａ、第１のフィルタ５５Ａ、および第１のマイクロコンピュータ５６Ａを有している。基板４１は、基板収容部２１の端壁に対してモータ本体２０の軸方向に対向する裏面と、裏面とは反対側の表面と、を有している。

　第１のインバータ回路５１Ａは、モータ１２の第１系統の巻線群に供給される電力を生成する。第１のインバータ回路５１Ａは、直流電源からの直流電力を三相の交流電力に変換する。第１のインバータ回路５１Ａは、基板４１の裏面に設けられている。第１のインバータ回路５１Ａは複数のＦＥＴ（Field Effect Transistor）を有している。ＦＥＴは、発熱素子である。各ＦＥＴは、放熱グリスを介してヒートシンク２２に接触した状態に維持される。

　第１のモータ端子接続部５２Ａは、３つの第１のモータ端子２３Ａに対応する位置に設けられている。第１のモータ端子接続部５２Ａは、３つの第１のモータ端子２３Ａがそれぞれ接続される三相の接続部位の群である。群を構成する三相の接続部位は、モータ本体２０の軸方向からみて、３つの第１のモータ端子２３Ａに対応する位置に設けられている。接続部位は、たとえば基板４１をその厚み方向に貫通する第１の貫通孔を含む。基板４１の厚み方向は、モータ本体２０の軸方向でもある。各第１のモータ端子２３Ａは、モータ本体２０の軸方向から、対応する第１の貫通孔に挿入されることによって、対応する接続部位に接続される。

　第１の電源端子接続部５３Ａは、第１の電源端子２５Ｄ１が接続される部分である。第１の電源端子接続部５３Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電源端子２５Ｄ１の直立した第２の端部に対応する位置に設けられている。第１の電源端子接続部５３Ａには、第１の電源端子２５Ｄ１の第２の端部がモータ本体２０の軸方向に接続される。第１の電源端子接続部５３Ａは、たとえば基板４１をその厚み方向に貫通する第１の孔を含む。第１の電源端子２５Ｄ１は、モータ本体２０の軸方向から基板４１の第１の孔に挿入されることによって、第１の電源端子接続部５３Ａに接続される。

　第１のグランド端子接続部５４Ａは、第１のグランド端子２５Ｅ１が接続される部分である。第１のグランド端子接続部５４Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１のグランド端子２５Ｅ１の直立した第２の端部に対応する位置に設けられている。第１のグランド端子接続部５４Ａには、第１のグランド端子２５Ｅ１の第２の端部がモータ本体２０の軸方向に接続される。第１のグランド端子接続部５４Ａは、たとえば基板４１をその厚み方向に貫通する第２の孔を含む。第１のグランド端子２５Ｅ１は、モータ本体２０の軸方向から基板４１の第２の孔に挿入されることによって、第１のグランド端子接続部５４Ａに接続される。

　第１のフィルタ５５Ａは、たとえばインダクタおよびコンデンサからなるＬＣフィルタである。第１のフィルタ５５Ａは、基板４１の表面に設けられている。インダクタは、コイルからなる発熱素子である。

　第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、チップ型の集積回路である。第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、第１のインバータ回路５１Ａを介してモータ１２の第１系統の巻線群に対する給電を制御する。第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、基板４１の裏面に設けられている。

　基板４１は、モータ１２の第２系統の巻線群に電力を供給するための構成を有している。基板４１は、第２系統の構成として、第２のインバータ回路５１Ｂ、第２のモータ端子接続部５２Ｂ、第２の電源端子接続部５３Ｂ、第２のグランド端子接続部５４Ｂ、第２のフィルタ５５Ｂ、および第２のマイクロコンピュータ５６Ｂを有している。

　第２のインバータ回路５１Ｂは、モータ１２の第２系統の巻線群に供給される電力を生成する。第２のインバータ回路５１Ｂは、直流電源からの直流電力を三相の交流電力に変換する。第２のインバータ回路５１Ｂは、基板４１の裏面に設けられている。第２のインバータ回路５１Ｂは複数のＦＥＴを有している。各ＦＥＴは、放熱グリスを介してヒートシンク２２に接触した状態に維持される。

　第２のモータ端子接続部５２Ｂは、３つの第２のモータ端子２４Ａに対応する位置に設けられている。第２のモータ端子接続部５２Ｂは、３つの第２のモータ端子２４Ａがそれぞれ接続される三相の接続部位の群である。群を構成する三相の接続部位は、モータ本体２０の軸方向からみて、３つの第２のモータ端子２４Ａに対応する位置に設けられている。接続部位は、たとえば基板４１をその厚み方向に貫通する第２の貫通孔を含む。各第２のモータ端子２４Ａは、モータ本体２０の軸方向から、対応する第２の貫通孔に挿入されることによって、対応する接続部位に接続される。

　第２の電源端子接続部５３Ｂは、第２の電源端子２５Ｄ２が接続される部分である。第２の電源端子接続部５３Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、第２の電源端子２５Ｄ２の直立した第２の端部に対応する位置に設けられている。第２の電源端子接続部５３Ｂには、第２の電源端子２５Ｄ２の第２の端部がモータ本体２０の軸方向に接続される。第２の電源端子接続部５３Ｂは、たとえば基板４１をその厚み方向に貫通する第３の孔を含む。第２の電源端子２５Ｄ２は、モータ本体２０の軸方向から基板４１の第３の孔に挿入されることによって、第２の電源端子接続部５３Ｂに接続される。

　第２のグランド端子接続部５４Ｂは、第２のグランド端子２５Ｅ２が接続される部分である。第２のグランド端子接続部５４Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、第２のグランド端子２５Ｅ２の直立した第２の端部に対応する位置に設けられている。第２のグランド端子接続部５４Ｂには、第２のグランド端子２５Ｅ２の第２の端部がモータ本体２０の軸方向に接続される。第２のグランド端子接続部５４Ｂは、たとえば基板４１をその厚み方向に貫通する第４の孔を含む。第２のグランド端子２５Ｅ２は、モータ本体２０の軸方向から基板４１の第４の孔に挿入されることによって、第２のグランド端子接続部５４Ｂに接続される。

　第２のフィルタ５５Ｂは、たとえばインダクタおよびコンデンサからなるＬＣフィルタである。第２のフィルタ５５Ｂは、基板４１の表面に設けられている。
　第２のマイクロコンピュータ５６Ｂは、チップ型の集積回路である。第２のマイクロコンピュータ５６Ｂは、第２のインバータ回路５１Ｂを介してモータ１２の第２系統の巻線群に対する給電を制御する。第２のマイクロコンピュータ５６Ｂは、基板４１の裏面に設けられている。

　カバー４２は、合成樹脂製である。カバー４２は、モータ本体２０に向かって開口する矩形の箱状体である。カバー４２は、コネクタ組立体２５の支持部および基板収容部２１の支持部に基板４１が支持された状態で、基板収容部２１の開口部２１Ａを覆うように基板収容部２１に取り付けられる。

　図２および図４に示すように、カバー４２は、第１の突出部４２Ａを有している。第１の突出部４２Ａは、カバー４２の端壁の内面に設けられている。第１の突出部４２Ａは、矩形の断面形状を有する周壁を備え、カバー４２の端壁と反対方向に開口する。カバー４２の端壁の内面を基準とする第１の突出部４２Ａの突出高さは、基板４１の表面を基準とする各端子（２５Ｄ１，２５Ｄ２，２５Ｅ１，２５Ｅ２）の突出長さよりも高い。第１の突出部４２Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電源端子接続部５３Ａ、第１のグランド端子接続部５４Ａ、第２の電源端子接続部５３Ｂおよび第２のグランド端子接続部５４Ｂが設けられている基板４１の領域に重なるように設けられている。

　図４に示すように、第１の突出部４２Ａは、第１の長側壁４２Ａ１、第２の長側壁４２Ａ２、第１の短側壁４２Ａ３および第２の短側壁４２Ａ４を有している。第１の長側壁４２Ａ１と第２の長側壁４２Ａ２とは、モータ本体２０の軸方向からみて、カバー４２の長辺方向Ｙ１において互いに対向している。第１の短側壁４２Ａ３と第２の短側壁４２Ａ４とは、モータ本体２０の軸方向からみて、カバー４２の短辺方向Ｙ２において互いに対向している。

　図５に示すように、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の突出部４２Ａの内部は、第１の仕切壁４２Ａ５と第２の仕切壁４２Ａ６とにより、４つの室に区画されている。第１の仕切壁４２Ａ５と第２の仕切壁４２Ａ６とは、互いに直交している。第１の仕切壁４２Ａ５は、第１の長側壁４２Ａ１および第２の長側壁４２Ａ２に対して平行である。第２の仕切壁４２Ａ６は、第１の短側壁４２Ａ３および第２の短側壁４２Ａ４に対して平行である。

　第１の突出部４２Ａは、第１の室ＰＲ１、第２の室ＰＲ２、第３の室ＰＲ３および第４の室ＰＲ４を有している。第１の室ＰＲ１は、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電源端子接続部５３Ａと、第１の電源端子２５Ｄ１の直立端部である第１の接続部Ｐ１１とに対応する。第２の室ＰＲ２は、モータ本体２０の軸方向からみて、第１のグランド端子接続部５４Ａと、第１のグランド端子２５Ｅ１の直立端部である第３の接続部Ｐ１３とに対応する。第３の室ＰＲ３は、モータ本体２０の軸方向からみて、第２の電源端子接続部５３Ｂと、第２の電源端子２５Ｄ２の直立端部である第２の接続部Ｐ１２とに対応する。第４の室ＰＲ４は、モータ本体２０の軸方向からみて、第２のグランド端子接続部５４Ｂと、第２のグランド端子２５Ｅ２の直立端部である第４の接続部Ｐ１４とに対応する。

　＜モータ装置の組立状態＞
　図６に示すように、モータ装置１１を組み立てた状態において、コネクタ組立体２５における第２の突出部２５Ｇの基端部は、ヒートシンク２２の周縁部に設けられた段差面２２Ａに対して、モータ本体２０の軸方向に当接した状態に維持される。段差面２２Ａは、モータ本体２０の軸方向に対して直交する平面であってもよい。モータ装置１１を組み立てた状態において、コネクタ組立体２５における第２の突出部２５Ｇの先端部は、ヒートシンク２２の端面よりも基板４１に近い位置に保持される。第２の突出部２５Ｇは、他の支持部と協同して、基板４１を支持する。第２の突出部２５Ｇの先端部は、基板４１の裏面に接触した状態に維持される。基板４１の裏面は、ヒートシンク２２の端面に対して離隔した状態に維持される。基板４１の裏面とヒートシンク２２の端面との間には、隙間が形成されている。

　モータ装置１１を組み立てた状態において、カバー４２における第１の突出部４２Ａの先端部は、基板４１の表面に対して離隔した状態に維持される。第１の突出部４２Ａの先端面と基板４１の表面との間には、隙間が形成されている。

　モータ装置１１を組み立てた状態において、第１の電源端子２５Ｄ１の端部である第１の接続部Ｐ１１、および第１のグランド端子２５Ｅ１の端部である第３の接続部Ｐ１３は、基板４１をモータ本体２０の軸方向に貫通している。第１の突出部４２Ａの第１の室ＰＲ１には、第１の接続部Ｐ１１の先端が挿入されている。第１の接続部Ｐ１１は、第１の室ＰＲ１の内壁面に接触しない状態に維持される。第１の突出部４２Ａの第３の室ＰＲ３には、第３の接続部Ｐ１３の先端が挿入されている。第３の接続部Ｐ１３は、第３の室ＰＲ３の内壁面に接触しない状態に維持される。

　図示は割愛するが、モータ装置１１を組み立てた状態において、第２の電源端子２５Ｄ２の端部である第２の接続部Ｐ１２、および第２のグランド端子２５Ｅ２の端部である第４の接続部Ｐ１４は、基板４１をモータ本体２０の軸方向に貫通している。第１の突出部４２Ａの第２の室ＰＲ２には、第２の接続部Ｐ１２の先端が挿入されている。第２の接続部Ｐ１２は、第２の室ＰＲ２の内壁面に接触しない状態に維持される。第１の突出部４２Ａの第４の室ＰＲ４には、第４の接続部Ｐ１４の先端が挿入されている。第４の接続部Ｐ１４は、第４の室ＰＲ４の内壁面に接触しない状態に維持される。

　＜モータ装置の電気的な構成＞
　つぎに、モータ装置１１の電気的な構成を説明する。
　図７に示すように、モータ装置１１は、第１系統の構成として、モータ本体２０の第１の巻線群２０Ａ、第１のインバータ回路５１Ａ、第１のフィルタ５５Ａおよび第１のマイクロコンピュータ５６Ａを有している。

　第１の巻線群２０Ａは、Ｕ相巻線、Ｖ相巻線およびＷ相巻線を有している。三相の巻線は、たとえばスター結線によって互いに接続されている。各相の巻線は、中性点において他の相の巻線と接続された第１端部と、対応する相の第１のモータ端子２３Ａを介して第１のインバータ回路５１Ａに接続された第２端部と、を有している。各相の巻線の第２端部は、第１のインバータ回路５１Ａの対応する相のレグの中点に接続されている。

　第１のインバータ回路５１Ａは、３つのレグを有している。各レグは、互いに直列に接続された２つのＦＥＴ（Field Effect Transistor）５７Ａを有している。３つのレグは、互いに並列に接続されている。３つのレグは、第１のフィルタ５５Ａを介して第１の電源端子接続部５３Ａと第１のグランド端子接続部５４Ａとに接続されている。第１の電源端子接続部５３Ａは直流電源の＋端子に、第１のグランド端子接続部５４Ａは直流電源の－端子に接続される。

　第１のフィルタ５５Ａは、電源ラインに対して直列に設けられるコイルと、電源ラインとグランドラインとに接続されるコンデンサとを含む。第１のフィルタ５５Ａは、第１の電源端子接続部５３Ａから供給される直流電力に重畳するノイズを除去する。

　第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、第１のインバータ回路５１Ａの動作を制御する制御回路である。第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、基板４１に設けられる回転角センサを通じて検出されるロータの回転角に基づき、第１のインバータ回路５１Ａの各ＦＥＴ５７Ａに対するスイッチング指令を生成する。第１のインバータ回路５１Ａの各ＦＥＴ５７Ａがスイッチング指令に基づきスイッチング動作を行うことによって、直流電源から供給される直流電力が三相の交流電力へ変換される。第１のインバータ回路５１Ａにより生成される交流電力は、三相の第１のモータ端子２３Ａを介して第１の巻線群２０Ａに供給される。

　モータ装置１１は、第２系統の構成として、モータ本体２０の第２の巻線群２０Ｂ、第２のインバータ回路５１Ｂ、第２のフィルタ５５Ｂおよび第２のマイクロコンピュータ５６Ｂを有している。

　第２の巻線群２０Ｂは、Ｕ相巻線、Ｖ相巻線およびＷ相巻線を有している。三相の巻線は、たとえばスター結線によって互いに接続されている。各相の巻線は、中性点において他の巻線と接続された第１端部と、対応する相の第２のモータ端子２４Ａを介して第２のインバータ回路５１Ｂに接続された第２端部と、を有している。各相の巻線の第２端部は、第２のインバータ回路５１Ｂの対応する相のレグの中点に接続されている。

　第２のインバータ回路５１Ｂは、３つのレグを有している。各レグは、互いに直列に接続された２つのＦＥＴ５７Ｂを有している。３つのレグは、互いに並列に接続されている。３つのレグは、第２のフィルタ５５Ｂを介して第２の電源端子接続部５３Ｂと第２のグランド端子接続部５４Ｂとに接続されている。第２の電源端子接続部５３Ｂは直流電源の＋端子に、第２のグランド端子接続部５４Ｂは直流電源の－端子に接続される。

　第２のフィルタ５５Ｂは、電源ラインに対して直列に設けられるコイルと、電源ラインとグランドラインとに接続されるコンデンサとを含む。第２のフィルタ５５Ｂは、第２の電源端子接続部５３Ｂから供給される直流電力に重畳するノイズを除去する。

　第２のマイクロコンピュータ５６Ｂは、第２のインバータ回路５１Ｂの動作を制御する制御回路である。第２のマイクロコンピュータ５６Ｂは、基板４１に設けられる回転角センサを通じて検出されるロータの回転角に基づき、第２のインバータ回路５１Ｂの各ＦＥＴ５７Ｂに対するスイッチング指令を生成する。第２のインバータ回路５１Ｂの各ＦＥＴ５７Ｂがスイッチング指令に基づきスイッチング動作を行うことによって、直流電源から供給される直流電力が三相の交流電力へ変換される。第２のインバータ回路５１Ｂにより生成される交流電力は、三相の第２のモータ端子２４Ａを介して第２の巻線群２０Ｂに供給される。

　＜基板レイアウト＞
　つぎに、基板４１のレイアウトを説明する。
　図８に示すように、基板４１は、モータ本体２０の軸方向からみて、モータ本体２０の側方へ張り出す張り出し部４１Ｂを有している。側方は、モータ本体２０の軸方向からみて、モータ本体２０の軸方向に直交する方向である。張り出し部４１Ｂは、モータ本体２０の径方向において、モータ本体２０よりも外側へ張り出している。張り出し部４１Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、ヒートシンク２２およびコネクタ組立体２５に重なっている。

　基板４１は、モータ本体２０の軸方向からみて、パワー回路領域Ａ１と制御回路領域Ａ２とに区画されている。パワー回路領域Ａ１および制御回路領域Ａ２は、モータ本体２０の軸方向からみて、境界線ＢＬに沿って並んでいる。パワー回路領域Ａ１は、モータ本体２０の軸方向からみて、概ねモータ本体２０に重なる領域である。また、パワー回路領域Ａ１は、モータ本体２０の軸方向からみて、コネクタ組立体２５に重ならない領域でもある。制御回路領域Ａ２は、モータ本体２０の軸方向からみて、概ねモータ本体２０に重ならない領域である。また、制御回路領域Ａ２は、モータ本体２０の軸方向からみて、コネクタ組立体２５に重なる領域でもある。

　パワー回路領域Ａ１は、パワー回路を有している。パワー回路は、モータ本体２０を動作させるための電気回路であって、モータ本体２０に電力を供給するための電気回路である。パワー回路は、電子部品を有している。パワー回路領域Ａ１は、境界線ＢＬを境として、さらに第１のパワー回路領域Ａ１１および第２のパワー回路領域Ａ１２に区画されている。

　第１のパワー回路領域Ａ１１は、第１系統の巻線群に電力を供給するためのパワー回路を有している。パワー回路は、第１のインバータ回路５１Ａ、第１のモータ端子接続部５２Ａ、第１の電源端子接続部５３Ａ、第１のグランド端子接続部５４Ａおよび第１のフィルタ５５Ａを含む。

　第１の電源端子接続部５３Ａおよび第１のグランド端子接続部５４Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、許容される範囲内で可能な限りモータ本体２０に近接するように設けられる。第１の電源端子接続部５３Ａおよび第１のグランド端子接続部５４Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、境界線ＢＬに沿って並ぶように設けられている。第１の電源端子接続部５３Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１のグランド端子接続部５４Ａよりもモータ本体２０に近い。

　第２のパワー回路領域Ａ１２は、第２系統の巻線群に電力を供給するためのパワー回路を有している。パワー回路は、第２のインバータ回路５１Ｂ、第２のモータ端子接続部５２Ｂ、第２の電源端子接続部５３Ｂ、第２のグランド端子接続部５４Ｂおよび第２のフィルタ５５Ｂを含む。

　第２の電源端子接続部５３Ｂおよび第２のグランド端子接続部５４Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、許容される範囲内で可能な限りモータ本体２０に近接するように設けられる。第２の電源端子接続部５３Ｂおよび第２のグランド端子接続部５４Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、境界線ＢＬに沿って並ぶように設けられている。第２の電源端子接続部５３Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、第２のグランド端子接続部５４Ｂよりもモータ本体２０に近い。

　制御回路領域Ａ２は、制御回路を有している。制御回路は、モータ本体２０を動作させるための電気回路であって、モータ本体２０に対する給電を制御するための電気回路である。制御回路は、電子部品を有している。制御回路領域Ａ２は、境界線ＢＬを境として、さらに第１の制御回路領域Ａ２１および第２の制御回路領域Ａ２２に区画されている。

　第１の制御回路領域Ａ２１は、第１系統の巻線群に対する給電を制御するための制御回路を有している。制御回路は、第１のマイクロコンピュータ５６Ａを含む。第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電源端子接続部５３Ａおよび第１のグランド端子接続部５４Ａよりもさらに径方向外側に位置している。言い換えれば、第１のマイクロコンピュータ５６Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電源端子接続部５３Ａおよび第１のグランド端子接続部５４Ａに対してモータ本体２０の反対側に位置している。

　第２の制御回路領域Ａ２２は、第２系統の巻線群に対する給電を制御するための制御回路を有している。制御回路は、第２のマイクロコンピュータ５６Ｂを含む。第２のマイクロコンピュータ５６Ｂは、モータ本体２０の軸方向からみて、第２の電源端子接続部５３Ｂおよび第２のグランド端子接続部５４Ｂよりもさらに径方向外側に位置している。

　第１系統の構成要素と第２系統の構成要素とは、互いに境界線ＢＬを対称軸とする線対称の位置に設けられている。
　基板４１は、第１の電力経路Ｒ１および第２の電力経路Ｒ２を有している。第１の電力経路Ｒ１および第２の電力経路Ｒ２は、基板４１上のパターン配線によって形成される。第１の電力経路Ｒ１は、第１の電源端子接続部５３Ａから供給される電力を第１のパワー回路領域Ａ１１の電子部品へ伝送するための電力経路である。第１の電力経路Ｒ１は、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電源端子接続部５３Ａを起点として、境界線ＢＬに沿って延びる部分を有する。第２の電力経路Ｒ２は、第２の電源端子接続部５３Ｂから供給される電力を第２のパワー回路領域Ａ１２の電子部品へ伝送するための電力経路である。第２の電力経路Ｒ２は、モータ本体２０の軸方向からみて、第２の電源端子接続部５３Ｂを起点として、境界線ＢＬに沿って延びる部分を有する。

　なお、カバー４２の第１の突出部４２Ａ、およびコネクタ組立体２５の第２の突出部２５Ｇは、モータ本体２０の軸方向からみて、境界線ＢＬ上に位置している。また、第１の突出部４２Ａおよび第２の突出部２５Ｇは、モータ本体２０の軸方向からみて、境界線ＢＬに沿って並んでいる。第１の突出部４２Ａは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電力経路Ｒ１および第２の電力経路Ｒ２に対して交差するように位置している。第２の突出部２５Ｇは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の突出部４２Ａよりもモータ本体２０に近い。言い換えれば、第２の突出部２５Ｇは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の突出部４２Ａとモータ本体２０との間に位置する。第２の突出部２５Ｇは、モータ本体２０の軸方向からみて、第１の電力経路Ｒ１および第２の電力経路Ｒ２に対して交差している。

　＜実施の形態の作用および効果＞
　本実施の形態は、つぎの作用および効果を奏する。
　（１）モータ装置１１は、たとえば車両に搭載される。この場合、車両が何らかの物体に衝突することにより、車両の一部分がモータ装置１１に干渉するおそれがある。モータ装置１１が車両のエンジンルームに設けられる場合、エンジンあるいは変速機がモータ装置１１に干渉するおそれがある。モータ装置１１がステアリングコラムに設けられる場合、ダッシュボードの内部に設けられている部品がモータ装置１１に干渉するおそれがある。

　図９に示すように、車両の部品１００がカバー４２の外面に対してモータ本体２０の軸方向に当接する場合、カバー４２には外力Ｆ１が加わる。外力Ｆ１は、たとえばカバー４２の端壁に対して交わる方向の力である。カバー４２の外面に外力Ｆ１が加わることによって、カバー４２の端壁が押しつぶされるように変形するおそれがある。カバー４２の端壁は、外力Ｆ１の大きさに応じて、基板４１に近づくように弾性変形する。カバー４２の端壁の変形に伴い、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分は、基板４１の表面に当接する。

　第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分は、各端子（２５Ｄ１，２５Ｄ２，２５Ｅ１，２５Ｅ２）がカバー４２の端壁に接触する前に、各端子接続部（５３Ａ，５４Ａ，５３Ｂ，５４Ｂ）に隣接する基板４１の領域に接触する。これは、カバー４２の端壁の内面を基準とする第１の突出部４２Ａの突出高さは、基板４１の表面を基準とする各端子（２５Ｄ１，２５Ｄ２，２５Ｅ１，２５Ｅ２）の突出長さよりも高いからである。図９の例では、第１の突出部４２Ａは基板４１の表面に対して反時計方向にわずかに傾いており、第１の長側壁４２Ａ１の先端部が基板４１の表面に当接している。もちろん、第１の突出部４２Ａの先端面の全体が基板４１の表面に当接することもある。

　このように、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分が基板４１の表面に当接することによって、カバー４２の端壁は基板４１の表面に近づく方向に弾性変形することが制限される。このため、第１の電源端子２５Ｄ１の直立端部である第１の接続部Ｐ１１の先端部、および第１のグランド端子２５Ｅ１の直立端部である第３の接続部Ｐ１３の先端部がカバー４２の端壁を突き破ることが抑制される。これにより、第１の電源端子２５Ｄ１が車両の部品１００と接触することが抑制される。第１の電源端子２５Ｄ１と車両の部品１００との間で短絡が発生することも抑えられる。

　図示は割愛するが、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分が基板４１の表面に当接することによって、第２の電源端子２５Ｄ２の直立端部である第２の接続部Ｐ１２の先端部、および第２のグランド端子２５Ｅ２の直立端部である第４の接続部Ｐ１４の先端部がカバー４２の端壁を突き破ることも抑制される。これにより、第２の電源端子２５Ｄ２が車両の部品１００と接触することが抑制される。第２の電源端子２５Ｄ２と車両の部品１００との間で短絡が発生することも抑えられる。

　（２）第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分が基板４１の表面に対して、さらに押し付けられるとき、基板４１は、第１の突出部４２Ａが当接する部分において、カバー４２の端壁から離れる方向への撓み力を受ける。基板４１は、その第１の突出部４２Ａが当接する部分と、ヒートシンク２２の端面に面する部分との間の位置において、コネクタ組立体２５の第２の突出部２５Ｇによって支持される。このため、基板４１がカバー４２の端壁から離れる方向への撓み力を受ける場合であれ、基板４１の裏面とヒートシンク２２の端面とは互いに離隔した状態に維持される。したがって、基板４１のパターン配線とヒートシンク２２との間の短絡の発生が抑制される。

　（３）図１０に示すように、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分が基板４１の表面に対して、さらに押し付けられるとき、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分が基板４１をカバー４２の端壁から離れる方向へ向けて、さらに押圧する。これにより、基板４１には、せん断力が作用する。せん断力は、基板４１の厚み方向に沿った断面に対して平行であり互いに逆方向の２つの力である。せん断力は、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分が基板４１をカバー４２の端壁から離れる方向へ向けて押圧する第１の力と、基板４１を支持する第２の突出部２５Ｇからの反作用として基板４１が受ける第２の力とを含む。第２の力は、第１の力と逆向きの力である。

　これにより、第１の突出部４２Ａの先端部が当接する基板４１の部分と、コネクタ組立体２５の第２の突出部２５Ｇの先端部が当接する基板４１の部分との間の領域には、せん断応力が生じる。せん断応力は、基板４１の厚み方向に沿った断面に対して平行であり互いに逆方向の２つの内力である。せん断応力が基板４１のせん断強度を超えるとき、第１の突出部４２Ａの先端部が当接する基板４１の部分と、コネクタ組立体２５の第２の突出部２５Ｇの先端部が当接する基板４１の部分との間の領域が部分的にせん断される。

　図１１に示すように、基板４１のせん断部分４１Ｃは、基板４１の短辺方向に直線状に延びる。せん断部分４１Ｃは、第１の電力経路Ｒ１および第２の電力経路Ｒ２を横切るように延びている。基板４１にせん断部分４１Ｃが形成されることによって、第１の電力経路Ｒ１および第２の電力経路Ｒ２が切断される。このため、第１の電源端子接続部５３Ａから第１のパワー回路領域Ａ１１への給電、および第２の電源端子接続部５３Ｂから第２のパワー回路領域Ａ１２への給電が遮断される。したがって、基板４１の電子部品、特にパワー回路領域Ａ１の電子部品がカバー４２との干渉により損傷した場合であれ、その損傷した電子部品に起因する短絡の発生が抑制される。

　（４）基板４１がせん断されるときの衝撃により、第１の電源端子２５Ｄ１の直立端部である第１の接続部Ｐ１１と第１の電源端子接続部５３Ａとの間の半田による接続状態が解除されるおそれがある。また、第１のグランド端子２５Ｅ１の直立端部である第３の接続部Ｐ１３と第１のグランド端子接続部５４Ａとの間の半田による接続状態が解除されるおそれがある。これにより、第１の接続部Ｐ１１および第３の接続部Ｐ１３が基板４１の表面から、さらに突き出すように変位するおそれがある。第２の電源端子２５Ｄ２の直立端部である第２の接続部Ｐ１２、および第２のグランド端子２５Ｅ２の直立端部である第４の接続部Ｐ１４も、第１の接続部Ｐ１１および第３の接続部Ｐ１３と同様に変位するおそれがある。この際、第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４があらぬ方向へ変形あるいは変位することが考えられる。

　この点、第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４は、第１の仕切壁４２Ａ５または第２の仕切壁４２Ａ６により、互いに遮られている。たとえば、第１の接続部Ｐ１１と第３の接続部Ｐ１３との間には、第１の仕切壁４２Ａ５が介在している。このため、第１の接続部Ｐ１１と第３の接続部Ｐ１３とが互いに接触することはない。したがって、第１の電源端子２５Ｄ１と第１のグランド端子２５Ｅ１との間で短絡が発生することが抑制される。また、第２の接続部Ｐ１２と第４の接続部Ｐ１４との間にも、第１の仕切壁４２Ａ５が介在している。このため、第２の接続部Ｐ１２と第４の接続部Ｐ１４とが互いに接触することはない。したがって、第２の電源端子２５Ｄ２と第２のグランド端子２５Ｅ２との間で短絡が発生することが抑制される。

　＜他の実施の形態＞
　本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
　・カバー４２は、第１の突出部４２Ａに対応する領域において、他の部分よりも大きな厚みを有してもよい。このようにすれば、第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４が基板４１の表面から、さらに突き出すように変位する場合、第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４はカバー４２の端壁を貫通することが、より困難となる。

　・カバー４２は、金属製であってもよい。カバー４２の厚みによっては、外力Ｆ１によりカバー４２の端壁が基板４１に近接する方向へ変形する。カバー４２において、少なくとも第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４がカバーに接触する可能性のある領域、つまり第１の突出部４２Ａとその内部の領域は、絶縁性を有するようにすればよい。

　・第２の突出部２５Ｇの先端は、カバー４２の端壁に外力Ｆ１が加わっていないとき、基板４１の裏面に接触していなくてもよい。第２の突出部２５Ｇは、モータ本体２０の軸方向において、ヒートシンク２２の端面よりも基板４１に近い位置まで突出していればよい。カバー４２の端壁が基板４１に近づく方向へ撓むとき、基板４１の少なくとも一部分は、第２の突出部２５Ｇにより、ヒートシンク２２の端面に対して離隔した状態で支持される。

　・モータ１２は、１系統の巻線群のみを有していてもよい。この場合、基板４１は、１系統の巻線群のみに電力を供給するための構成を有していてもよい。第１の突出部４１Ａは、１系統分の電源端子およびグランド端子を収容する２つの室を有すればよい。

　・第１の電源端子２５Ｄ１の直立端部である第１の接続部Ｐ１１と、第１のグランド端子２５Ｅ１の直立端部である第３の接続部Ｐ１３との位置を逆にしてもよい。この場合、第３の接続部Ｐ１３と第２の接続部Ｐ１２との間、ならびに第１の接続部Ｐ１１と第４の接続部Ｐ１４との間には、第２の仕切壁４２Ａ６が介在している。このため、第３の接続部Ｐ１３と第２の接続部Ｐ１２とが互いに接触することはない。第１の接続部Ｐ１１と第４の接続部Ｐ１４とが互いに接触することもない。また、第２の電源端子２５Ｄ２の直立端部である第２の接続部Ｐ１２と、第２のグランド端子２５Ｅ２の直立端部である第４の接続部Ｐ１４との位置を逆にしてもよい。

　・第１の突出部４２Ａは、カバー４２の端壁が基板４１に近接する方向へ撓むとき、第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４の周囲全体を囲むように基板４１の表面に接触する周壁を有していればよい。たとえば、第１の突出部４２Ａとして、第１の仕切壁４２Ａ５および第２の仕切壁４２Ａ６を割愛した構成を採用してもよい。この場合、第１の突出部４２Ａは、４つの側壁（４２Ａ１，４２Ａ２，４２Ａ３，４２Ａ４）を含む周壁を有する。

　・第１の突出部４２Ａは、カバー４２の端壁が基板４１に近接する方向へ撓むとき、第１～第４の接続部Ｐ１１～Ｐ１４の周囲の一部を遮るように基板４１の表面に接触する壁を有していればよい。たとえば、第１の突出部４２Ａとして、第１の長側壁４２Ａ１および第２の長側壁４２Ａ２のうち少なくとも第１の長側壁４２Ａ１を有する構成を採用してもよい。また、第１の突出部４２Ａとして、第１の短側壁４２Ａ３および第２の短側壁４２Ａ４の少なくとも一方を有する構成を採用してもよい。また、第１の突出部４２Ａとして、第１の短側壁４２Ａ３および第２の短側壁４２Ａ４のうち少なくとも一方を割愛した構成を採用してもよい。このようにしても、第１の突出部４２Ａの先端部の少なくとも一部分は、各端子（２５Ｄ１，２５Ｄ２，２５Ｅ１，２５Ｅ２）がカバー４２の端壁に接触する前に、各端子接続部（５３Ａ，５４Ａ，５３Ｂ，５４Ｂ）に隣接する基板４１の領域に接触する。

　・モータ装置１１は、たとえば電動パワーステアリング装置の駆動源として使用してもよい。この場合、モータ１２は操舵アシスト力を発生するアシストモータとして機能する。モータ制御装置１３は、アシストモータとしてのモータ１２を制御する。

　・モータ装置１１は、ステアバイワイヤ方式の操舵装置における反力機構あるいは転舵機構の駆動源として使用してもよい。この場合、モータ１２は操舵反力を発生する反力モータ、あるいは車両の転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータとして機能する。モータ制御装置１３は、反力モータあるいは転舵モータとしてのモータ１２を制御する。

　・モータ装置１１は車両用途に限られない。何らかの理由により、カバー４２に外力が与えられるおそれのある電動装置の駆動源に好適である。

Claims

　モータと、前記モータの端部に設けられるモータ制御装置とを備えるモータ装置であって、
　前記モータ制御装置は、前記モータを制御するために前記モータの端部に取り付けられる基板と、前記基板を覆うように前記モータの端部に取り付けられる可撓性を有するカバーと、を有し、
　前記モータは、モータ本体と、前記モータ本体の軸方向からみて前記モータ本体の側方に配置されるコネクタ組立体と、を有し、
　前記基板は、前記モータ本体の軸方向からみて前記コネクタ組立体に重なるように前記モータ本体の側方へ張り出す張り出し部を有し、
　前記張り出し部は、前記カバーの端壁と前記コネクタ組立体との間に位置する端子接続部を有し、前記コネクタ組立体に保持される端子が、前記張り出し部を前記コネクタ組立体から前記カバーに向けて貫通した状態で、前記端子接続部に接続され、
　前記カバーは、その端壁の内面から前記基板に向けて突出する、絶縁性を有する第１の突出部を有し、
　前記第１の突出部は、前記カバーの端壁が外力を受けて前記基板に近づく方向へ撓むとき、前記端子が前記カバーの端壁に接触する前に、前記端子接続部に隣接する前記基板の領域に接触するように構成されるモータ装置。
　前記第１の突出部は、前記カバーの端壁が撓むとき、前記端子の周囲全体を囲むように前記基板に接触するように構成される周壁、または、前記端子の周囲の一部を遮るように前記基板に接触するように構成される壁を有している請求項１に記載のモータ装置。
　前記モータ本体の端部は、導電性を有するヒートシンクを有し、
　前記コネクタ組立体は、前記モータ本体の軸方向において、前記ヒートシンクの端面よりも前記基板に近い位置まで突出する、絶縁性を有する第２の突出部を有し、
　前記第２の突出部は、前記カバーの端壁が撓むとき、前記基板の少なくとも一部分を前記ヒートシンクの端面に対して離隔した状態で支持するように構成される請求項１または請求項２に記載のモータ装置。
　前記基板は、外部の電源から前記端子に供給される電力を前記モータ本体に供給する電力に変換するように構成されるパワー回路領域と、
　前記電源から供給される電力を前記パワー回路領域へ伝送する電力経路と、を有し、
　前記第１の突出部および前記第２の突出部は、前記モータ本体の軸方向からみて、互いに重ならないように配置され、かつ前記電力経路が延びる方向に互いに隣接するように配置されており、
　前記第１の突出部および前記第２の突出部のうち少なくとも一方は、前記電力経路に交差する部分を有している請求項３に記載のモータ装置。
　前記端子は、電源端子およびグランド端子を含み、
　前記第１の突出部は、前記カバーの端壁が撓むとき、前記電源端子と前記グランド端子との間に介在する仕切壁を有している請求項１～請求項４のうちいずれか一項に記載のモータ装置。
　請求項１～請求項５のうちいずれか一項に記載のモータ装置が備えるモータ制御装置。