WO2022085099A1

WO2022085099A1 - スライドファスナー

Info

Publication number: WO2022085099A1
Application number: PCT/JP2020/039493
Authority: WO
Inventors: 晴明伊井
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2020-10-21
Filing date: 2020-10-21
Publication date: 2022-04-28
Also published as: CN115884699A

Abstract

左右一対のファスナーテープ１２の長さ方向に沿って、互いに対向する芯紐部１２ａに取り付けられた複数のファスナーエレメント１４からなる一対のエレメント列１６を備える。ファスナーエレメント１４は、ファスナーテープ１２に取り付けられるテープ取付部２６と、ファスナーテープ１２の芯紐部１２ａから突出する組合部２４を有する。互いに対向する左右一対のファスナーエレメント１４が組み合った状態で、左右一対のファスナーエレメント１４のテープ取付部２６の中心線２６ＣＬがほぼ一致する。組合部２４の一対の組合面２４ａ，２４ｂには、組合面２４ａ，２４ｂから突出する組合凸部２２，４０と、組合凸部２２，４０に対してテープ取付部２６側の位置に形成され、組合凸部２２，４０を囲む壁部３６，４２を備える。組合凸部２２，４０と壁部３６，４２の間は、収容空間３８，４４となる。左右一対のファスナーエレメント１４を組み合わせた状態で、一方の組合凸部２２，４０が、他方の収容空間３８，４４に差し込まれる。

Description

スライドファスナー

　本発明は、ファスナーテープに取り付けられるテープ取付部と、ファスナーテープから突出した組合部から成る金属製のファスナーエレメントを有するスライドファスナーに関する。

　従来、金属製のファスナーエレメントは、一般に、ファスナーテープに取り付けられるテープ取付部と、ファスナーテープから突出し、互いに噛み合う組合部が一体に設けられている。このようなファスナーエレメントは、色々な形状のものがある。例えば、特許文献１に開示されているファスナーエレメントは、ファスナーテープに取り付けられるテープ取付部と、ファスナーテープから突出した組合部が一体に設けられている。組合部の、一方のファスナーテープの延長方向に交差する一面には、他方のファスナーテープに取り付けられ対峙する他のファスナーエレメントに係合する凸部が設けられ、この組合部の反対側の面には、対峙するファスナーエレメントに隣接するファスナーエレメントの凸部が差し込まれて係止される凹部が形成されている。一対のファスナーテープに取り付けられるファスナーエレメントは、互いに点対称に形成され、組合部には、交互に凸部と凹部が形成されて、係合及び係合解除を繰り返し可能に設けられている。このファスナーエレメントが取り付けられたファスナーは、ファスナーエレメントの組合部の凸部が、対峙するファスナーエレメントの凹部に差し込まれて係止され、凹部には、対峙するファスナーエレメントに隣接するファスナーエレメントの凸部が差し込まれて係止され、組合部が互いに噛合する。

国際公開第２０１８／０１２８４０号

　上記背景技術の場合、凸部は、半球状の形状や、円柱を長手方向に半分にした形状であり、突出量が少なく、組合部の噛合強度が十分ではない。しかも、凹部は凸部のネガ形状であり、あそびが少ないので噛み合いにくく、正確に差し込まないと噛合不良が起こる恐れもある。

　本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、噛合状態での連結強度が高く、組合部を噛み合わせる動作も円滑に行うことができるスライドファスナーを提供することを目的とする。

　本発明は、左右一対のファスナーテープと、前記ファスナーテープの長さ方向に沿って前記ファスナーテープの互いに対向する芯紐部に取り付けられた複数のファスナーエレメントからなる一対のエレメント列とを備え、前記一対のエレメント列には、通過により前記ファスナーエレメントを互いに組み合わせるスライダーが摺動可能に取り付けられているスライドファスナーである。前記ファスナーエレメントは、前記ファスナーテープに取り付けられるテープ取付部と、前記テープ取付部から基端部を介して延出し前記ファスナーテープの前記芯紐部から突出する噛合い部とを有している。前記テープ取付部の、前記ファスナーテープに取り付けた時に前記ファスナーテープの長さ方向と直交する中心線と、前記噛合い部の、長さ方向と直交する中心線は、不一致である。前記組合部は、前記テープ取付部に取り付けられた前記ファスナーテープの長さ方向に交差する一対の組合面を有し、前記組合面には、前記組合面から突出する組合凸部と、前記組合凸部に対して前記テープ取付部側の位置に形成され前記組合凸部から離間して前記組合凸部を囲む壁部が設けられ、前記組合凸部と前記壁部の間に、収容空間が設けられている。前記左右一対のファスナーテープの前記左右一対のファスナーエレメントを組み合わせた状態で、前記左右一対のファスナーエレメントの、一方の前記組合凸部が、他方の前記収容空間に差し込まれて係止される。前記左右一対のファスナーテープの互いに対向する前記左右一対のファスナーエレメントが組み合った状態で、前記左右一対のファスナーエレメントの前記テープ取付部の中心線は、前記ファスナーテープの長さ方向に対して互いにほぼ一致すると良い。

　前記噛合い部の、前記テープ取付部が保持した前記ファスナーテープの長さ方向に交差する一対の前記噛合面と、前記テープ取付部の、前記ファスナーテープの長さ方向に交差する一対のテープ取付部面は、互いに段違いとなり、前記噛合い部と前記テープ取付部の間に位置する前記基端部は、前記噛合い部の前記噛合面と、前記テープ取付部の前記テープ取付部面を連結する傾斜した基端部面を有し、前記基端部面は、前記収容空間に面している。

　前記基端部の前記基端部面と、前記一対の壁部は、互いに連続して、前記組合凸部側が開口するＵ字形になっている。前記左右一対のファスナーエレメントは、前記ファスナーテープの厚み方向の中心軸を中心として互いに点対称に形成されている。前記ファスナーエレメントは、ダイキャスト成形された金属製である。

　前記ファスナーエレメント一対の脚部の表側の面には、所定形状の装飾が設けられている。前記装飾は、前記一対のファスナーテープの長手方向と平行な中心線に対して、互いに対称に設けられている。さらに、前記装飾は、互いに組み合わされた一対の前記ファスナーエレメントで一組のデザインを形成するものでも良い。

　本発明のスライドファスナーは、噛み合った状態での強度が高く、一対のエレメントを噛合させる動作に不具合が生じにくく、円滑に噛合と分離の操作を行うことができる。特に、互いに対向する左右一対のファスナーエレメントのテープ取付部の中心線がほぼ一直線上に位置する構成にすると、ファスナーエレメントの表側に、容易に装飾となる形状を施すことができ、装飾性の高い独特の外観デザインを形成することが可能となる。

本発明の第一実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントを示す斜視図である。第一実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントの噛合状態を示す斜視図である。第一実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントの噛合状態を示す正面図である。第一実施形態のスライドファスナーの正面図である。本発明の第二実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントを示す平面図（ａ）、正面図（ｂ）、左側面図（ｃ）である。第二実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントの噛合状態を示す斜視図である。第二実施形態のスライドファスナーの正面図である。本発明の第三実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントを示す平面図（ａ）、正面図（ｂ）、左側面図（ｃ）である。第三実施形態のスライドファスナーのファスナーエレメントの噛合状態を示す斜視図である。第三実施形態のスライドファスナーの正面図である。

　以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図１～図４は本発明の第一実施形態のスライドファスナー１０を示すものである。なお、以下のファスナーエレメントに関する説明において、ファスナーエレメントの図面上のＺ軸方向が、同ファスナーエレメントをファスナーテープに取り付けた時にファスナーテープ長手方向となる向きである。また、ファスナーエレメントの左右方向とは、図面上のＹ軸方向であり、ファスナーエレメントをファスナーテープに取り付けた時に一対のファスナーテープの対向方向であり、テープ幅方向である。さらに、ファスナーエレメントの表裏方向とは、図面上のＸ軸方向であり、同ファスナーエレメントをファスナーテープに取り付けた時にファスナーテープの厚み方向である。

　先ずスライドファスナー１０について、図４に基づいて説明する。スライドファスナー１０は、左右一対のファスナーテープ１２を有し、ファスナーテープ１２の長手方向であるＺ軸方向に沿って、ファスナーテープ１２の互いに隣接して対向する側の縁部に、表裏方向に膨出した芯紐部１２ａを備える。芯紐部１２ａには、互いに対向して配置された複数のファスナーエレメント１４が、一定の間隔で取り付けられエレメント列１６となり、ファスナーストリンガー１８を形成している。スライドファスナー１０は、図４において左側に位置する第１ファスナーストリンガー１８ａ、及び右側に位置する第２ファスナーストリンガー１８ｂから成る。第１及び第２ファスナーストリンガー１８ａ，１８ｂには、エレメント列１６に沿って摺動可能に配され、エレメント列１６を噛合及び分離させるスライダー２０が取り付けられている。以下では、第１ファスナーストリンガー１８ａに形成されるエレメント列１６を、第１エレメント列１６ａと称し、第２ファスナーストリンガー１８ｂに形成されるエレメント列１６を、第２エレメント列１６ｂと称する。

　本実施形態のスライドファスナー１０は、エレメント列１６を形成するファスナーエレメント１４の形態に特徴を有するものであり、ファスナーエレメント１４以外の部材については、従来の一般的なスライドファスナーと同様に形成されている。従って、以下の説明では、ファスナーエレメント１４の形態について主に説明することとし、ファスナーエレメント１４以外の部材についての詳しい説明は省略する。

　ファスナーエレメント１４は、亜鉛合金をダイキャスト成形して作られたものであり、複数のファスナーエレメント１４が、ファスナーテープ１２の芯紐部１２ａに、Ｚ軸方向に沿って一定の間隔で取り付けられている。ファスナーエレメント１４は、図１～図３に示すように、ファスナーテープ１２に取り付けられるテープ取付部２６と、テープ取付部２６から連続して一体的に形成される基端部２８と、基端部２８から延出しファスナーテープ１２の芯紐部１２ａから突出する組合部である噛合い部２４とを有し、左右方向の一方の端部に噛合い部２４が位置し、他方の端部にテープ取付部２６が位置し、中央に基端部２８が位置している。

　テープ取付部２６は、基端部２８から左右方向に延びる表裏一対の脚部３０が設けられ、基端部２８と一対の脚部３０に囲まれた挟持空間３２が形成される。ファスナーエレメント１４は、Ｚ軸方向から見て、略矩形の輪郭を有し、４つの角部が丸められている形状である。ファスナーエレメント１４の表裏方向の厚さは、テープ取付部２６側より噛合い部２４側が、少し狭くなっている。テープ取付部２６は、ファスナーテープ１２の表面と平行であって、表裏の中心を通る平面を中心として、対称的に形成されている。

　噛合い部２４のＺ軸方向の幅は、テープ取付部２６のＺ軸方向の幅よりも小さく、ここではその約半分である。即ち、テープ取付部２６のＺ軸方向と直交する一方のテープ取付部面２６ａと、反対側のテープ取付部面２６ｂの間隔、つまりテープ取付部２６の厚みをｗとすると、噛合い部２４のテープ取付部面２６ａ側に位置する噛合面２４ａと、反対側の噛合面２４ｂの間隔、つまり噛合い部２４の厚みはｗ／２となる。なお、噛合い部２４の厚みの中心線２４ＣＬと、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬは不一致であり、互いに平行でＺ軸方向にずれている。噛合い部２４の厚みの中心線２４ＣＬは、テープ取付部２６のテープ取付部面２６ｂの近傍に位置し、テープ取付部面２６ｂよりも少しテープ取付部２６内側に位置している。

　噛合い部２４の噛合面２４ａは、テープ取付部２６のテープ取付部面２６ａと互いに平行で、テープ取付部面２６ｂ側へずれた位置にあり、噛合面２４ａとテープ取付部面２６ａは、基端部２８の基端部面２８ａを介して連続している。基端部２８の基端部面２８ａは、噛合面２４ａとテープ取付部面２６ａに対して傾斜し、噛合面２４ａに対して直角よりもやや大きい鈍角で交差している。

　噛合い部２４の噛合面２４ａには、基端部２８の基端部面２８ａとは反対側の先端部２４ｃ近傍に、組合凸部２２が設けられている。組合凸部２２は、Ｚ軸方向に突出する四角錘台形状の突起であり、先端部２４ｃに沿うようにＸ軸方向に長い突状となり、先端部２４ｃ側の面は中央付近が僅かに先端部２４ｃ側に凸となるように湾曲している。組合凸部２２の頂面２２ａは、噛合面２４ａに対して平行な平面であり、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬよりＺ軸方向に高くテープ取付部面２６ａよりは低い高さである。

　噛合面２４ａの、基端部面２８ａに隣接する部分には、組合凸部２２のＸ軸方向両側に、互いに隙間を開けて対面し、基端部面２８ａとともにＵ字状を形成する壁部３６が各々設けられている。壁部３６は、噛合面２４ａからＺ軸方向に突出する板状形状の突起であり、板状形状の２つの面は、基端部面２８ａと噛合面２４ａに連続し、壁部３６の外側面はテープ取付部２６と噛合い部２４の外側面と面一に連続している。外側面と反対側の内側面３６ａは、組合凸部２２に対して隙間を有して対面し、壁部３６の厚み、つまり内側面３６ａと外側面の間隔が、組合凸部２２に近い端部よりも基端部２８の基端部面２８ａに連続する部分が厚くなるように傾斜している。壁部３６の、噛合面２４ａとは反対側の頂面は、基端部面２８ａの高さの中間付近に位置し、組合凸部２２の頂面２２ａよりもＺ軸方向に少し低く、噛合面２４ａに対してほぼ平行である。組合凸部２２に近い端部に位置する面は、噛合面２４ａから離れるに従って基端部面２８ａ側に近づくように傾斜している。

　このように、噛合面２４ａのＸ軸方向両側には、対称形状の壁部３６が一対設けられている。一対の壁部３６の内側面３６ａと、組合凸部２２と、基端部２８の基端部面２８ａで囲まれた空間は、スライドファスナー１０のファスナーエレメント１４が噛合した時に、対向するファスナーエレメント１４の組合凸部２２が差し込まれる収容空間３８となる。

　また同様に、噛合い部２４の噛合面２４ｂは、テープ取付部２６のテープ取付部面２６ｂと互いに平行で、テープ取付部面２６ｂの外側へずれた位置にあり、噛合面２４ｂとテープ取付部面２６ｂは、基端部２８の基端部面２８ｂと基端部面２８ｃを介して連続している。基端部２８の基端部面２８ｂは、テープ取付部面２６ｂに連続し、テープ取付部面２６ｂに対して直角よりもやや大きい鈍角で交差している。基端部面２８ｂのテープ取付部面２６ｂとは反対側に位置する側面部は、噛合面２４ｂからＺ軸方向に高い位置に突出し、基端部面２８ｃに連続している。基端部面２８ｃは、基端部面２８ｂに対して鋭角に交差し、噛合面２４ｂには略直角に連続している。なお、基端部面２８ｂは、Ｚ軸方向に対する角度が基端部面２８ａよりも大きい。そして左右方向の長さは基端部面２８ａよりも短い。

　噛合い部２４の噛合面２４ｂには、組合凸部２２と同じ形状の組合凸部４０が設けられている。組合凸部４０は、Ｚ軸方向に突出する四角錘台形状の突起であり、先端部２４ｃに沿うようにＸ軸方向である表裏方向に長い突状となり、先端部２４ｃ側の面は中央付近が僅かに先端部２４ｃ側に凸となるように湾曲している。組合凸部４０の頂面４０ａは、噛合面２４ｂに対して平行な平面であり、基端部２８の基端部面２８ｂと基端部面２８ｃで形成された角部よりも少し高い。

　噛合面２４ｂの、基端部面２８ｃに隣接する部分には、組合凸部４０のＸ軸方向両側に、互いに隙間を開けて対面し、基端部面２８ｃとともにＵ字状を形成するする壁部４２が各々設けられている。壁部４２は、噛合面２４ｂからＺ軸方向に突出する板状形状の突起であり、板状形状の２つの面は、基端部面２８ｃと噛合面２４ｂに連続し、壁部４２の外側面はテープ取付部２６と噛合い部２４の外側面と面一に連続している。外側面と反対側の内側面４２ａは、組合凸部４０に対して隙間を有して対面し、壁部４２の厚み、つまり内側面４２ａと外側面の間隔が、組合凸部４０に近い端部よりも基端部２８の基端部面２８ｃに連続する部分が厚くなるように傾斜している。壁部４２の、噛合面２４ｂとは反対側の頂面は、基端部面２８ｂと基端部面２８ｃで形成された角部と同じ高さであり、組合凸部４０の頂面４０ａよりもＺ軸方向に少し低く、噛合面２４ｂに対して平行である。組合凸部４０に近い端面に位置する面は、噛合面２４ｂから離れるに従って基端部面２８ｃ側に近づくように傾斜している。

　このように、噛合面２４ｂのＸ軸方向両側には、対称形状の壁部４２が一対設けられている。そして、一対の壁部４２の内側面４２ａと、組合凸部４０と、基端部２８の基端部面２８ｃで囲まれた空間は、スライドファスナー１０のファスナーエレメント１４が噛合した時に、対向するファスナーエレメント１４の組合凸部４０が差し込まれる収容空間４４となる。さらに、互いに対向する左右一対のファスナーエレメント１４は、ファスナーテープ１２の厚み方向であるＸ軸方向と平行な中心軸を中心として、互いに点対称に形成されている。

　この実施形態のファスナーエレメント１４は、亜鉛合金製のダイキャスト製である。製造されたファスナーエレメント１４は、ファスナーテープ１２に所定間隔で取り付ける。ファスナーエレメント１４の取付方法は、一対の脚部３０の間にファスナーテープ１２の縁部の芯紐部１２ａを挿入し、芯紐部１２ａがファスナーエレメント１４の挟持空間３２に保持されている状態で、一対の脚部３０の先端部を互いに接近する方向に押圧して塑性変形させることにより、ファスナーテープ１２に取り付ける。これにより、ファスナーテープ１２の芯紐部１２ａが、テープ取付部２６の挟持空間３２に確実に保持される。

　ファスナーエレメント１４を取り付ける向きは、図１、図４に示すように、左側の第１ファスナーストリンガー１８ａの第１エレメント列１６ａについては、ファスナーエレメント１４を、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬよりも噛合い部２４の中心線２４ＣＬがＺ軸方向の上方に位置する向きに取り付ける。つまり、噛合い部２４の噛合面２４ｂがＺ軸方向の上方に位置して、組合凸部４０がＺ軸方向の上方に突出し、噛合面２４ａが噛合面２４ｂよりもＺ軸方向の下方に位置し、組合凸部２２がＺ軸方向の下方に突出するように取り付ける。これに対して、右側の第２ファスナーストリンガー１８ｂの第２エレメント列１６ｂについては、ファスナーエレメント１４を、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬよりも噛合い部２４の中心線２４ＣＬがＺ軸方向の下方に位置する向きに取り付ける。つまり、噛合い部２４の噛合面２４ｂがＺ軸方向の下方に位置して組合凸部４０がＺ軸方向の下方に突出し、噛合面２４ｂが噛合面２４ａよりもＺ軸方向の下方に位置して、組合凸部２２がＺ軸方向の上方に突出するように取り付ける。

　左右一対のエレメント列１６のファスナーエレメント１４は、同形状であり、取り付ける向きがＸ軸方向と平行な中心軸に対して点対称であり、左右に位置するファスナーエレメント１４は、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬが、一対のファスナーテープ１２の、Ｚ軸方向において一致するように取り付ける。なお、左右のファスナーエレメント１４は、左右を逆に取り付けてもよい。つまり、右側のファスナーエレメント１４が、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬよりも噛合い部２４の中心線２４ＣＬがＺ軸方向の上方となり組合凸部４０がＺ軸方向の上方に突出し、左側のファスナーエレメント１４が、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬよりも噛合い部２４の中心線２４ＣＬがＺ軸方向の下方となり組合凸部２２がＺ軸方向の上方に突出してもよい。

　これにより、左右のファスナーエレメント１４が噛合する際に、噛合い部２４の噛合面２４ａどうしが所定間隔を開けて対面し、組合凸部２２は収容空間３８に差し込まれ、基端部２８の基端部面２８ａと一対の壁部３６の内側面３６ａに保持される。そして、噛合面２４ｂどうしが所定間隔を開けて対面し、組合凸部４０は収容空間４４に差し込まれ、基端部２８の基端部面２８ｃと一対の壁部４２の内側面４２ａに保持される。

　次に、スライドファスナー１０の噛合方法について説明する。図４に示す第１ファスナーストリンガー１８ａと第２ファスナーストリンガー１８ｂを、スライダー２０を上昇させて互いに斜めにしながら近づけると、右側の第２エレメント列１６ｂのファスナーエレメント１４の収容空間３８に、左側の第１エレメント列１６ａのファスナーエレメント１４の組合凸部２２が差し込まれて、係止される。この時、図３に示すように左右一対のファスナーエレメント１４は、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬが一致した状態で噛合する。さらにスライダー２０を上昇させ、Ｚ軸方向に隣接する次の左右一対のファスナーエレメント１４どうしが噛合する。この時、右側Ｚ軸方向方のファスナーエレメント１４の組合凸部４０が、左側のファスナーエレメント１４の収容空間４４に差し込まれ、噛合する。これを繰り返し、図４に示すように、第１ファスナーストリンガー１８ａと第２ファスナーストリンガー１８ｂが互いに平行になり、閉じられる。

　この実施形態のスライドファスナー１０は、ファスナーエレメント１４の噛合い部２４どうしは互い違いに組み付けられ、テープ取付部２６どうしは同じ高さに組み付けられ、表裏のファスナーエレメント１４は、互いにＺ軸方向の中心軸に対して線対称に位置し、特徴ある外観の噛合状態となる。組合凸部２２，４０は、収容空間３８，４４に差し込まれ、壁部３６，４２と基端部２８に囲まれ、外れることがない。

　なお、組合凸部２２，４０の頂面２２ａ，４０ａは、噛合面２４ａ，２４ｂに接触せず、所定の間隔で離間する。壁部３６，壁部４２の頂面も、噛合面２４ａ，２４ｂに接触せず、噛合面２４ａ，２４ｂに対してほぼ平行に離間する。噛合を解除する時は、スライダー２０を移動させ、左右のファスナーテープ１２を斜めに開き、ファスナーエレメント１４の組合凸部２２，４０を収容空間３８，４４から外し、第１ファスナーストリンガー１８ａと第２ファスナーストリンガー１８ｂを分離させる。

　この実施形態のスライドファスナー１０によれば、噛合の強度が高く、噛合させる動作に不具合が生じにくく円滑に操作することができる。また、第１ファスナーストリンガー１８ａと第２ファスナーストリンガー１８ｂの左右一対のファスナーエレメント１４が同じＺ軸方向の位置で噛合され、特徴ある外観となりデザイン性が高い。カバンや衣服等の製品に取り付けると、特徴ある外観を生かして高い意匠性を持たせることができる。組合凸部２２は、Ｚ軸方向に突出する四角錘台形状の突起であり、先端部２４ｃに沿うようにＸ軸方向に長い突状となり、先端部２４ｃ側の面は中央付近が僅かに先端部２４ｃ側に凸となるように湾曲しているため、噛合と分離が円滑で、使用しやすい。

　次に、本発明の第二実施形態のスライドファスナー５０について、以下に説明する。ここで、上記実施形態の構成と同様の構成は、同一の符号を付して、説明を簡略にする。この実施形態のファスナーエレメント５４は、図５～図７に示すように、ファスナーテープ１２に取り付けられるテープ取付部２６と、テープ取付部２６から連続して一体的に形成される基端部２８と、基端部２８から延出しファスナーテープ１２の芯紐部１２ａから突出する組合部である噛合い部２４とを有し、スライドファスナー５０の表面側のファスナーエレメント５４の側面に一体的に装飾５６が形成されたものである。

　装飾５６は、テープ取付部２６の表面側の側面に一体的に形成され、正面側から見て、Ｖ字状に形成されている。一対のファスナーエレメント５４は、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬが互いに一致して形成され、且つ各ファスナーエレメント５４のＶ字状の装飾５６は、ファスナーテープ１２の長手方向であるＺ軸方向の中心軸に対して互いに線対称に位置しているので、装飾部５６は一組のデザインとしてのＷ字形に見える。装飾部５６が意味するデザインについては、図７に示すように、スライダー止具５８の表面に、一対の装飾部５６が意味するＷの文字を表示しても良い。さらに、各ファスナーエレメント５４のＶ字状の装飾５６は、スライダー２０による噛合及び噛合い解除に際しても、互いに干渉しない形状に形成されている。その他の構成は、上記第一実施形態と同様であり、各ファスナーエレメント５４の噛合及び噛合解除の動作も同様である。

　この実施形態のスライドファスナー５０によれば、ファスナーエレメント５４の表面側に左右対称の装飾５６が形成され、スライドファスナー５０が取り付けられた製品のデザインの自由度が向上し、よりファッション性の高い製品を形成することができる。

　次に、本発明の第三実施形態のスライドファスナー６０について、以下に説明する。ここで、上記第一実施形態の構成と同様の構成は、同一の符号を付して、説明を簡略にする。この実施形態のファスナーエレメント６４は、図８～図１０に示すように、ファスナーテープ１２に取り付けられるテープ取付部２６と、テープ取付部２６から連続して一体的に形成される基端部２８と、基端部２８から延出しファスナーテープ１２の芯紐部１２ａから突出する組合部である噛合い部２４とを有し、スライドファスナー６０の表面側のファスナーエレメント６４の側面に一体的に装飾６６が形成されたものである。

　装飾６６は、テープ取付部２６の表面側の側面に一体的に形成され、正面側から見て、略平行四辺形状に形成されている。一対のファスナーエレメント１４は、テープ取付部２６の中心線２６ＣＬが互いに一致して形成されているので、装飾部６６は、ファスナーテープ１２の表面と直交する中心線に対して、任意の組合せで互いに点対称に見えるように構成することができる。例えば、左右一対の装飾部６６で一つの概念のデザインを構成するほか、左右の３つ以上のファスナーエレメント１４の装飾部８８により一つの概念のデザインを構成することもできる。各ファスナーエレメント６４の装飾６６は、スライダー２０による噛合及び噛合い解除に際しても、互いに干渉しない形状に形成されている。その他の構成は、上記第一実施形態と同様であり、各ファスナーエレメント５４の噛合及び噛合解除の動作も同様である。

　この実施形態のスライドファスナー６０によれば、ファスナーエレメント６４の表面側に点対称の装飾６６が形成され、スライドファスナー６０が取り付けられた製品のデザインの自由度が向上し、任意の数のファスナーエレメント１４の組合せに所望のデザインを構成することができ、よりファッション性の高い製品を形成することができる。

　なお、本発明のスライドファスナーは、上記実施の形態に限定されるものではなく、ファスナーエレメントの形状、装飾の有無、及び装飾の形状は適宜変更可能である。ファスナーエレメントの材料や製造方法、テープ取付部の形状等も適宜変更可能である。ファスナーエレメントの設けられる装飾も、任意の形状を施すことができ、文字や記号その他の図形を施すことができ、一対のファスナーエレメントで対称に形成されるものの他、非対称でも良い。さらに、一対のファスナーエレメントの装飾により一組のデザインが形成される他、３個以上のファスナーエレメントで一つのデザインを形成しても良く、各々独立した複数のデザインによる装飾でも良い。

１０　スライドファスナー
１２　ファスナーテープ
１２ａ　芯紐部
１４　ファスナーエレメント
１６　エレメント列
２０　スライダー
２２，４０　組合凸部
２４　噛合い部
２４ａ，２４ｂ　噛合面
２６　テープ取付部
２６ａ，２６ｂ　テープ取付部面
２４ＣＬ，２６ＣＬ　中心線
２８　基端部
２８ａ，２８ｃ　基端部面
３６，４２　壁部
３８，４４　収容空間

Claims

　左右一対のファスナーテープ（１２）と、前記ファスナーテープ（１２）の長さ方向に沿って前記ファスナーテープ（１２）の互いに対向する各芯紐部（１２ａ）に取り付けられた複数のファスナーエレメント（１４）からなる一対のエレメント列（１６）とを備え、前記一対のエレメント列（１６）には、前記ファスナーエレメント（１４）を互いに組み合わせるスライダー（２０）が摺動可能に取り付けられているスライドファスナー（１０）において、
　前記ファスナーエレメント（１４）は、前記ファスナーテープ（１２）に取り付けられるテープ取付部（２６）と、前記テープ取付部（２６）から基端部（２８）を介して延出し前記ファスナーテープ（１２）の前記芯紐部（１２ａ）から突出する組合部（２４）とを有し、
　前記テープ取付部（２６）の、前記ファスナーテープ（１２）に取り付けた時に前記ファスナーテープ（１２）の長さ方向と直交する中心線（２６ＣＬ）と、前記組合部（２４）の、長さ方向と直交する中心線（２４ＣＬ）は、不一致であり、
　前記組合部（２４）は、前記テープ取付部（２６）に取り付けられた前記ファスナーテープ（１２）の長さ方向に交差する一対の組合面（２４ａ，２４ｂ）を有し、前記組合面（２４ａ，２４ｂ）には、前記組合面（２４ａ，２４ｂ）から突出する組合凸部（２２，４０）と、前記組合凸部（２２，４０）に対して前記テープ取付部（２６）側の位置に形成され前記組合凸部（２２，４０）から離間して前記組合凸部（２２，４０）を囲む壁部（３６，４２）が設けられ、前記組合凸部（２２，４０）と前記壁部（３６，４２）の間に、収容空間（３８，４４）が設けられ、
　前記左右一対のファスナーテープ（１２）の前記左右一対のファスナーエレメント（１４）を組み合わせた状態で、前記左右一対のファスナーエレメント（１４）の、一方の前記組合凸部（２２，４０）が、他方の前記収容空間（３８，４４）に差し込まれて係止されることを特徴とするスライドファスナー。
　前記左右一対のファスナーテープ（１２）の互いに対向する前記左右一対のファスナーエレメント（１４）が組み合った状態で、前記左右一対のファスナーエレメント（１４）の前記テープ取付部（２６）の中心線（２６ＣＬ）は、前記ファスナーテープ（１２）の長さ方向に対して互いにほぼ一致する請求項１記載のスライドファスナー。
　前記組合部（２４）の、前記テープ取付部（２６）が保持した前記ファスナーテープ（１２）の長さ方向に交差する一対の前記組合面（２４ａ，２４ｂ）と、前記テープ取付部（２６）の、前記ファスナーテープ（１２）の長さ方向に交差する一対のテープ取付部面（２６ａ，２６ｂ）は、互いに段違いとなり、前記組合部（２４）と前記テープ取付部（２６）の間に位置する前記基端部（２８）は、前記組合部（２４）の前記組合面（２４ａ，２４ｂ）と、前記テープ取付部（２６）の前記テープ取付部面（２６ａ，２６ｂ）を連結する傾斜した基端部面（２８ａ，２８ｃ）を有し、前記基端部面（２８ａ，２８ｃ）は、前記収容空間（３８，４４）に面している請求項１又は２記載のスライドファスナー。
　前記基端部（２８）の前記基端部面（２８ａ，２８ｃ）と、前記一対の壁部（３６，４２）は、互いに連続して、前記組合凸部（２２，４０）側に開口するＵ字形になっている請求項３記載のスライドファスナー。
　前記左右一対のファスナーエレメント（１４）は、前記ファスナーテープ（１２）の厚み方向の中心軸を中心として互いに点対称に形成されている請求項１乃至４のいずれか記載のスライドファスナー。
　前記ファスナーエレメント（１４）は、ダイキャスト成形された金属製である請求項１乃至５のいずれか記載のスライドファスナー。
　前記ファスナーエレメント（１４）一対の脚部（３０）の表側の面には、所定形状の装飾（５６，６６）が設けられている請求項１乃至４のいずれか記載のスライドファスナー。
　前記装飾（５６）は、前記一対のファスナーテープ（１２）の長手方向と平行な中心線に対して、互いに対称に設けられている請求項７記載のスライドファスナー。
　前記装飾（５６）は、互いに組み合わされた一対の前記ファスナーエレメント（１４）で一組のデザインを形成する請求項７又は８記載のスライドファスナー。