WO2021145096A1

WO2021145096A1 - 電子機器

Info

Publication number: WO2021145096A1
Application number: PCT/JP2020/045477
Authority: WO
Inventors: 岳史石川
Original assignee: 株式会社デンソー
Priority date: 2020-01-16
Filing date: 2020-12-07
Publication date: 2021-07-22
Also published as: JP2021114491A

Abstract

電子機器（１）は、プリント基板（２）と、プリント基板上に実装されている電子部品（３）と、金属材料から構成され、電子部品を覆うと共にプリント基板に接地するリッド（６）と、電子部品とリッドとの間に設けられている第１放熱部材（１４）と、リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態でプリント基板に対して固定されるヒートシンク（７）と、リッドとヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材（１７）とを備える。電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成である。

Description

電子機器

関連出願の相互参照

　本出願は、２０２０年１月１６日に出願された日本出願番号２０２０－００５１７９号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

　本開示は、電子機器に関する。

　電子機器の多機能化及び高性能化に伴い、電子機器に搭載される電子部品の高性能化及び高速化が進んでおり、消費電力の増加も見込まれている。例えば特許文献１には、電子部品の放熱性を向上させるために、電子部品から発せられた熱を放熱部材を介してヒートシンクに伝達させる構成が開示されている。又、例えば特許文献２には、ＥＭＣ（Electromagnetic Compatibility）対策と電子部品の放熱性の向上とを両立させるために、シールド部材を用いて電子部品の放熱用のリッドからプリント基板まで接続させる構成が開示されている。

特許第５９８３０３２号公報特開２０１２－１６４８５２号公報

　電子部品の放熱性を向上させる手段として、ファン、ヒートシンク、放熱部材があり、これらの手段を改善することが考えられる。ファンについては、冷却性能を向上させようとすると、モータの消費電力や駆動音の増大が懸念されるので、ファンを改善する手法は採用し難い。ヒートシンクについては、熱伝達性能を向上させようとすると、ヒートシンクの面積や放熱フィンの枚数等の設計要件により最適化せざるを得ないので、ヒートシンクを改善する手法では限界がある。放熱部材については、材料の高熱伝導化が検討されるが、高価であったりヒートシンクとの界面熱抵抗が大きかったりする等の問題が懸念され、放熱部材を改善する手法も採用し難い。

　このような事情から、ファン、ヒートシンク、放熱部材を個別の要素ではなく、全体で考え、電子部品から発せられた熱を如何にしてヒートシンクまで伝達させ、電子部品からヒートシンクまでの熱抵抗を如何にして低減させるかが課題となる。一般的に熱抵抗は電気抵抗と同様に材料の熱伝導率と厚さに比例し、面積に反比例する。そのため、熱抵抗を低減させるには、放熱部材の厚さを小さくするか又は面積を広げることが有効である。

　放熱部材の厚さについては、ヒートシンクに下方向への加圧力を作用させて放熱部材の厚さを小さくする手法があるが、その場合、電子部品のはんだバンプに応力が加わり、クラックが発生したり破断したりすることが懸念される。又、放熱部材の面積については、電子部品のサイズが決まっているので、広げられる面積に限界がある。そこで、電子部品に金属製のヒートスプレッダを取り付けることで、放熱面積を広げる手法が想定される。

　一方、ＥＭＣ対策については、電子部品の高性能化及び高速化に伴って微細な配線が必要になってきており、プリント基板の表層にも配線を引き回さざるを得なくなってきている。そのため、電子部品だけをシールドするだけでなく、電子部品と周囲の微細配線も含めた領域をシールドする必要があり、電子部品と周囲の微細配線も含めた領域を覆うリッドをヒートスプレッダとして活用する構成が想定される。尚、シールドのためにはリッドは接地されている必要がある。

　リッドをヒートスプレッダとして活用する構成では、電子部品とリッドとの間に第１放熱部材が設けられ、リッドとヒートシンクとの間に第２放熱部材が設けられる構成となる。このような構成において熱抵抗の増大に起因するのは第１放熱部材及び第２放熱部材の厚さであり、それら第１放熱部材及び第２放熱部材の厚さを小さくすることで熱抵抗を低減させることができる。第１放熱部材及び第２放熱部材の厚さを小さくするには、この場合も、前述したようにヒートシンクに下方向への加圧力を作用させる手法がある。

　しかしながら、ヒートシンクに下方向への加圧力を作用させる手法では、前述したように電子部品のはんだバンプに応力が加わり、クラックが発生したり破断したりすることが懸念される。このような事情から、電子部品のはんだバンプに加わる応力を抑えつつ放熱部材の厚さを小さくし、放熱性を向上させる構成が望まれている。

　本開示は、プリント基板上の電子部品を覆うようにリッドが設けられ、リッドの上方にヒートシンクが設けられる構成において、電子部品からの輻射ノイズを適切に抑制すると共に、放熱性を適切に向上させることを目的とする。

　本開示の一態様によれば、電子機器において、プリント基板と、プリント基板上に実装されている電子部品と、金属材料から構成され、電子部品を覆うと共にプリント基板に接地するリッドと、電子部品とリッドとの間に設けられている第１放熱部材と、リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態でプリント基板に対して固定されるヒートシンクと、リッドとヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材と、を備える。電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成である。

　プリント基板にリッドが接地する構成としたので、電子部品から放射された電磁波によりリッドにノイズ電流が誘起されたとしても、その誘起されたノイズ電流が接地部分に排出されることで、輻射ノイズを抑制することができる。ヒートシンクがプリント基板に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成としたので、電子部品のはんだバンプに加わる応力を抑えつつ放熱部材の厚さを小さくし、電子部品からヒートシンクまでの熱抵抗を低減させることができる。これにより、プリント基板上の電子部品を覆うようにリッドが設けられ、リッドの上方にヒートシンクが設けられる構成において、電子部品からの輻射ノイズを適切に抑制すると共に、放熱性を適切に向上させることができる。

　本開示の一態様によれば、電子機器において、第１プリント基板と、第１プリント基板上に実装されている第２プリント基板と、第２プリント基板上に実装されている電子部品と、金属材料から構成され、電子部品を覆うと共に第２プリント基板に接地するリッドと、電子部品とリッドとの間に設けられている第１放熱部材と、リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態で第１プリント基板に対して固定されるヒートシンクと、リッドとヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材と、を備える。電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成である。

　第２プリント基板にリッドが接地する構成としたので、電子部品から放射された電磁波によりリッドにノイズ電流が誘起されたとしても、その誘起されたノイズ電流が接地部分に排出されることで、輻射ノイズを抑制することができる。ヒートシンクが第１プリント基板に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成としたので、電子部品のはんだバンプに加わる応力を抑えつつ放熱部材の厚さを小さくし、電子部品からヒートシンクまでの熱抵抗を低減させることができる。これにより、第１プリント基板上に第２プリント基板が実装され、第２プリント基板上の電子部品を覆うようにリッドが設けられ、リッドの上方にヒートシンクが設けられる構成においても、電子部品からの輻射ノイズを適切に抑制すると共に、放熱性を適切に向上させることができる。

　本開示の一態様によれば、電子機器において、第１プリント基板と、第１プリント基板上に実装されている第２プリント基板と、第２プリント基板上に実装されている電子部品と、金属材料から構成され、電子部品を覆うと共に第１プリント基板に接地するリッドと、電子部品とリッドとの間に設けられている第１放熱部材と、リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態で第１プリント基板に対して固定されるヒートシンクと、リッドとヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材と、を備える。電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成である。

　第１プリント基板にリッドが接地する構成としたので、電子部品から放射された電磁波によりリッドにノイズ電流が誘起されたとしても、その誘起されたノイズ電流が接地部分に排出されることで、輻射ノイズを抑制することができる。ヒートシンクが第１プリント基板に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、電子部品の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成としたので、電子部品のはんだバンプに加わる応力を抑えつつ放熱部材の厚さを小さくし、電子部品からヒートシンクまでの熱抵抗を低減させることができる。これにより、第１プリント基板上に第２プリント基板が実装され、第２プリント基板上の電子部品を覆うようにリッドが設けられ、リッドの上方にヒートシンクが設けられる構成においても、電子部品からの輻射ノイズを適切に抑制すると共に、放熱性を適切に向上させることができる。

　本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
図１は、第１実施形態を示す縦断側面図であり、図２は、第２放熱部材の平面図であり、図３は、第２実施形態を示す縦断側面図であり、図４は、第３実施形態を示す縦断側面図であり、図５は、第４実施形態を示す縦断側面図であり、図６は、第５実施形態を示す縦断側面図であり、図７は、比較対象の縦断側面図であり、図８は、第６実施形態を示す縦断側面図であり、図９は、比較対象の縦断側面図であり、図１０は、第７実施形態を示す縦断側面図である。

　以下、電子機器の幾つかの実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態において、先行する実施形態で説明した内容に対応する部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略することがある。

　（第１実施形態）
　第１実施形態について図１から図２を参照して説明する。電子機器１は、例えば車両に搭載される車載用の電子機器であり、プリント基板２と、プリント基板２上に実装されている複数（本実施形態では３個）の電子部品３～５と、リッド６と、ヒートシンク７とを備える。電子部品３～５は、例えばボールグリッドアレイパッケージ型（ＢＧＡ型）の半導体素子であり、半導体チップとパッケージ基板とがボンディングワイヤにより電気的に接続され、パッケージ基板の上面側に対する樹脂モールドにより全体として薄形矩形状のパッケージとして形成されている。

　電子部品３～５において、パッケージ基板の実装面（図１では下面）には多数のはんだボールによりはんだバンプ８～１０が設けられている。はんだボールは、例えば錫、銀、銅等の合金を用いた無鉛はんだを適用することができる。本実施形態では、例えば電子部品３はＳｏＣ（System on Chip）であり、電子部品４は電源ＩＣ（Integrated Circuit）であり、電子部品５はメモリ素子である。電子部品３と電子部品４は、プリント基板２の表面で配線（図示略）により電気的に接続されている。電子部品３と電子部品５は、プリント基板２の表面で配線（図示略）により電気的に接続されている。又、電子部品３の発熱量は、他の電子部品４，５の発熱量よりも相対的に大きい。

　プリント基板２は、例えばガラス繊維を含有したエポキシ樹脂等の絶縁基材が多層に積層されている多層基板であり、その表面及び層間に導体パターンが形成されていると共に、層間にグランドパターンが形成されている。プリント基板２の表面には、上記した電子部品３～５のはんだバンプ８～１０に対応し、電子部品３～５がはんだ接合されるための導通用のランドが設けられていると共に、リッド６が接地されるための接地用のランドが設けられている。又、プリント基板２の表面には、導通用のランド及び接地用のランドを除く部分を覆うようにソルダーレジスト層が設けられている。ソルダーレジスト層は、プリント基板２の表面において導体パターンや絶縁基材を保護すると共に、導通用のランド及び接地用のランドを露出させる最外層として形成されている。導通用のランド及び接地用のランド上には、印刷用のマスクを用いてはんだペーストが印刷されることにより印刷体が設けられている。又、接地用のランドは、ビアを介してグランドパターンと導通している。

　電子部品３～５をプリント基板２に実装する工程では、電子部品３～５のはんだバンプ８～１０を導通用のランドに対して位置合わせして重ね、温度制御しながら加熱し、はんだ接合を行う。この加熱は、図示しないリフロー炉を通して行う。はんだペーストである印刷体とはんだバンプ８～１０とが溶融されて一体化され、その後に冷却され、はんだが固化してはんだ接合部が形成されることで、電子部品３～５がプリント基板２に対してはんだバンプ８～１０を介して電気的及び物理的に接続される。

　リッド６は、電子部品３～５を上方から覆うように設けられている。リッド６は、例えばアルミニウムや銅等の金属材料から構成され、天井面部１１と側面部１２とから形成される中空部１３を有する凹形状である。電子部品３の上面３ａとリッド６の天井面部１１の下面１１ａとの間には第１放熱部材１４が設けられている。第１放熱部材１４は、例えばシート状に成形されている放熱ゲルである。第１放熱部材１４が設けられていることで、電子部品３から発せられた熱の殆どは、第１放熱部材１４に直接伝わり、第１放熱部材１４からリッド６の天井面部１１に伝わる。即ち、本実施形態では、電子部品３～５の中で発熱量が最大である電子部品３とリッド６との間に第１放熱部材１４が設けられている構成である。

　リッド６をプリント基板２に実装する工程では、リッド６の側面部１１の下端部を接地用のランドに対して位置合わせして重ね、温度制御しながら加熱し、はんだ接合を行う。はんだが固化してはんだ接合部が形成されることで、リッド６がプリント基板２に対して物理的に接続されると共に接地される。リッド６がプリント基板２に実装された状態では、リッド６の天井面部１１の面方向とプリント基板２の面方向とが略平行となる。

　ヒートシンク７は、リッド６の上方に設けられている。ヒートシンク７は、例えばアルミニウムや銅等の金属材料から構成され、ベースプレート１５と、複数枚の放熱フィン１６とを有する。ベースプレート１５は、リッド６の天井面部１１の面方向に広がる平板形状である。放熱フィン１６は、それぞれ薄板形状の放熱板であり、ベースプレート１５の上面１５ｂから垂直方向に立設されて相互に略平行に配列されており、隣接する同士の間に通気路を区画形成している。

　リッド６の天井面部１１の上面１１ｂとベースプレート１５の下面１５ａとの間には第２放熱部材１７が設けられている。第２放熱部材１７は、第１放熱部材１５と同様に、例えばシート状に成形されている放熱ゲルである。第２放熱部材１７が設けられていることで、電子部品３から第１放熱部材１４を介してリッド６に伝わった熱の殆どは、第２放熱部材１７に直接伝わり、第２放熱部材１７からベースプレート１５に伝わる。そして、ベースプレート１５に伝わった熱の殆どは、放熱フィン１６に伝わり、放熱フィン１６から拡散される。

　ヒートシンク７は、締結部材１８によりプリント基板２に対して固定されている。締結部材１８は、ボルト１９、スプリング２０及びナット２１等を含み、例えばヒートシンク４におけるベースプレート１５の四隅に配置されている。ベースプレート１５の四隅には、ボルト１９を挿通させる貫通孔２２が設けられている。又、プリント基板２の四隅にも、ベースプレート１５の貫通孔２２と対応し、ボルト１９を挿通させる貫通孔２３が設けられている。プリント基板２の裏面側にはボルスタープレート２４が配置されている。ボルト１９の一端側（図１では下端側）は、打ち込みネジ等の固定具２５を介してボルスタープレート２４に連結されている。ボルト１９の他端側（図１では上端側）は、ナット２１及びスプリング２０が装着されており、ナット２１が締め付けられることでスプリング２０が圧縮される。この場合、スプリング２０の復元力によりヒートシンク７がプリント基板２側に押し付けられる。即ち、ヒートシンク７がプリント基板２に対して締結部材１８により締結され、ヒートシンク７にプリント基板２側への加圧力が作用する状態で、ヒートシンク７がプリント基板２に対して固定されている。尚、ヒートシンク７からプリント基板２に向かう方向（図１中矢印Ａにて示す方向）を下方向と称する。

　第２放熱部材１７は、図２に示すように、中空を有する形状に成形されており、中空部２６と、中空部２６の周囲であってリッド６の天井面部１１の上面１１ｂに接すると共にヒートシンク７のベースプレート１５の下面１５ａに接する接触部２７とを有する。リッド６とヒートシンク７との間に第２放熱部材１７が設けられている状態では、中空部２６が電子部品３の直上に配置され、接触部２７が電子部品３の直上から外れて配置される。即ち、第２放熱部材１７は、リッド６の天井面部１１の上面１１ｂに部分的に接すると共に、ヒートシンク７のベースプレート１５の下面１５ａに部分的に接している。電子部品３の直上から外れた部位には第２放熱部材１７が存在するが、電子部品３の直上には第２放熱部材１７が省略されている。

　上記した構成では、ヒートシンク７がプリント基板２に対して固定される際には、締結部材１８により締結されることで、ヒートシンク７に下方向への加圧力が作用する。ヒートシンク７に下方向への加圧力が作用することで、第２放熱部材１７が押し付けられ、第２放熱部材１７の厚さがある程度まで小さくなる。又、ヒートシンク７に作用する下方向への加圧力が第２放熱部材１７を介してリッド６に伝達され、リッド６に下方向への加圧力が作用する。リッド６に下方向への加圧力が作用することで、第１放熱部材１４が押し付けられ、第１放熱部材１４の厚さがある程度まで小さくなる。

　この場合、ヒートシンク７とリッド６との間では電子部品３の直上で第２放熱部材１７が省略されているので、ヒートシンク７に作用する下方向への加圧力の殆どが第２放熱部材１７を介してリッド６の天井面部１１の上面１１ｂにおいて電子部品３の直上から外れた部位に作用する。そのため、電子部品３の直上に作用するヒートシンク７からの下方向への加圧力が低減されるので、リッド６から第１放熱部材１４を介して電子部品３に伝達される加圧力が低減され、電子部品３のはんだバンプ８に加わる応力が低減される。その結果、はんだバンプ８に加わる応力に起因するクラックの発生や破断が未然に回避される。

　第１実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。電子装置１において、プリント基板２にリッド６が接地する構成としたので、電子部品３～５から放射された電磁波によりリッド６にノイズ電流が誘起されたとしても、その誘起されたノイズ電流が接地部分に排出されることで、輻射ノイズを抑制することができる。ヒートシンク７がプリント基板２に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、電子部品３の直上で第２放熱部材１７を省略し、電子部品３の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成としたので、電子部品３のはんだバンプ８に加わる応力を抑えつつ第１放熱部材１４及び第２放熱部材１７の厚さを小さくし、電子部品３からヒートシンク７までの熱抵抗を低減させることができる。これにより、電子部品３～５からの輻射ノイズを適切に抑制すると共に、放熱性を適切に向上させることができる。

　本実施形態では、電子部品３～５の中で発熱量が最大である電子部品３とリッド６との間に第１放熱部材１４が設けられている構成を例示しているが、他の電子部品４，５とリッド６との間にも放熱部材が設けられている構成でも良い。その場合でも、ヒートシンク７がプリント基板２に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、上記したように電子部品３の直上で第２放熱部材１７が省略されているので、電子部品３の直上に対する加圧力の作用が抑えられる。

　（第２実施形態）
　第２実施形態について図３を参照して説明する。第２実施形態は、リッドの天井面部の上面の形状が前述した第１実施形態と異なる。電子機器３１において、リッド３２は、その天井面部３３の上面３３ｂにおいて電子部品３の直上が下方に凹んでいる形状である。即ち、リッド３２の天井面部３３の上面３３ｂは、基準面３３ｃと、基準面３３ｃから下方に凹む凹面３３ｄとが連なっている。又、リッド３２は、プリント基板２に対して物理的に接続されていると共に接地されている。第２放熱部材３４は、ヒートシンク７のベースプレート１５の下面１５ａの全体に接すると共に、リッド３２の天井面部３３の上面３３ｂの全体に接している。

　上記した構成では、ヒートシンク７がプリント基板２に対して固定される際には、締結部材１８により締結されることで、ヒートシンク７に下方向への加圧力が作用する。ヒートシンク７に下方向への加圧力が作用することで、第２放熱部材３４が押し付けられ、第２放熱部材３４の厚さがある程度まで小さくなる。又、ヒートシンク７に作用する下方向への加圧力が第２放熱部材３４を介してリッド３２に伝達され、リッド３２に下方向への加圧力が作用する。リッド３２に下方向への加圧力が作用することで、第１放熱部材１４が押し付けられ、第１放熱部材１４の厚さがある程度まで小さくなる。

　この場合、リッド３２の天井面部３３の上面３３ｂにおいて電子部品３の直上が下方に凹んでいるので、第１実施形態と同様に、ヒートシンク７に作用する下方向への加圧力の殆どが第２放熱部材３４を介してリッド３２の天井面部３３の上面３３ｂにおいて電子部品３の直上から外れた部位に作用する。そのため、電子部品３の直上に作用するヒートシンク７からの下方向への加圧力が低減されるので、リッド３２から第１放熱部材１４を介して電子部品３に伝達される加圧力が低減され、電子部品３のはんだバンプ８に加わる応力が低減される。その結果、はんだバンプ８に加わる応力に起因するクラックの発生や破断が未然に回避される。

　第２実施形態によれば、第１実施形態と同様の作用効果を得ることができる。即ち、電子装置３１において、プリント基板２にリッド３２が接地する構成としたので、電子部品３～５から放射された電磁波によりリッド３２にノイズ電流が誘起されたとしても、その誘起されたノイズ電流が接地部分に排出されることで、輻射ノイズを抑制することができる。ヒートシンク７がプリント基板２に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、リッド３２の天井面部３３の上面３３ｂにおいて電子部品３の直上を凹面３３ｄとし、電子部品３の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成としたので、電子部品３のはんだバンプ８に加わる応力を抑えつつ第１放熱部材１４及び第２放熱部材３４の厚さを小さくし、電子部品３からヒートシンク７までの熱抵抗を低減させることができる。

　（第３実施形態）
　第３実施形態について図４を参照して説明する。第３実施形態は、ヒートシンクのベースプレートの下面の形状が前述した第１実施形態と異なる。電子機器４１において、ヒートシンク４２は、そのベースプレート４３の下面４３ａにおいて電子部品３の直上が上方に凹んでいる。即ち、ヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａは、基準面４３ｃと、基準面４３ｃから上方に凹む凹面４３ｄとが連なっている。第２放熱部材４４は、ヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａの全体に接すると共に、リッド６の天井面部１１の上面１１ｂの全体に接している。

　上記した構成では、ヒートシンク４２がプリント基板２に対して固定される際には、締結部材１８により締結されることで、ヒートシンク４２に下方向への加圧力が作用する。ヒートシンク４２に下方向への加圧力が作用することで、第２放熱部材４４が押し付けられ、第２放熱部材４４の厚さがある程度まで小さくなる。又、ヒートシンク４２に作用する下方向への加圧力が第２放熱部材４４を介してリッド６に伝達され、リッド６に下方向への加圧力が作用する。リッド６に下方向への加圧力が作用することで、第１放熱部材１４が押し付けられ、第１放熱部材１４の厚さがある程度まで小さくなる。

　この場合、ヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａにおいて電子部品３の直上が上方に凹んでいるので、第１実施形態と同様に、ヒートシンク４２に作用する下方向への加圧力の殆どが第２放熱部材４４を介してリッド６の天井面部１１の上面１１ｂにおいて電子部品３の直上から外れた部位に作用する。そのため、電子部品３の直上に作用するヒートシンク４２からの下方向への加圧力が低減されるので、リッド６から第１放熱部材１４を介して電子部品３に伝達される加圧力が低減され、電子部品３のはんだバンプ８に加わる応力が低減される。その結果、はんだバンプ８に加わる応力に起因するクラックの発生や破断が未然に回避される。

　第３実施形態によれば、第１実施形態と同様の作用効果を得ることができる。即ち、電子装置４１において、プリント基板２にリッド６が接地する構成としたので、電子部品３～５から放射された電磁波によりリッド６にノイズ電流が誘起されたとしても、その誘起されたノイズ電流が接地部分に排出されることで、輻射ノイズを抑制することができる。ヒートシンク４２がプリント基板２に対して固定される際に下方向への加圧力が作用するが、ヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａにおいて電子部品３の直上を凹面４３ｄとし、電子部品３の直上に対する加圧力の作用が抑えられる構成としたので、電子部品３のはんだバンプ８に加わる応力を抑えつつ第１放熱部材１４及び第２放熱部材４４の厚さを小さくし、電子部品３からヒートシンク４２までの熱抵抗を低減させることができる。

　（第４実施形態）
　第４実施形態について図５を参照して説明する。第４実施形態は、第１プリント基板上に第２プリント基板が実装され、第２プリント基板上に前述した第３実施形態と同等の構成が実装されている点で前述した第１実施形態と異なる。第１プリント基板はマザー基板として機能し、第２プリント基板はモジュール基板として機能する。

　電子機器５１は、平板形状の第１プリント基板５２と、第１プリント基板５２上に実装されている平板形状の第２プリント基板５３とを備える。第２プリント基板５３は、第１実施形態で説明したプリント基板２と同等であり、第２プリント基板５３上には第３実施形態で説明した電子部品３～５、リッド６、ヒートシンク４２、第１放熱部材１４及び第２放熱部材４４等が実装されている。リッド６は、第２プリント基板５３に対して物理的に接続されていると共に接地されている。又、第２プリント基板５３は、第１プリント基板５２に対してはんだバンプ５４を介して電気的及び物理的に接続されている。ヒートシンク４２は、締結部材１８により第１プリント基板５２に対して固定されている。

　第４実施形態によれば、電子装置５１において、第１プリント基板５２上に第２プリント基板５３が実装され、リッド６が第２プリント基板５３に対して物理的に接続されていると共に接地されている構成においても、第１実施形態と同様の作用効果を得ることができる。尚、リッド６が第２プリント基板５３に対して物理的に接続されていると共に接地されている構成では、第２プリント基板５３に応力が加わり、はんだバンプ５４に応力が加わるので、リッド６が第２プリント基板５３に対して物理的に接続されている部位の周辺を避けてはんだバンプ５４が設けられる構成が望ましい。

　（第５実施形態）
　第５実施形態について図６を参照して説明する。第５実施形態は、リッドが第１プリント基板に接地される点で前述した第４実施形態と異なる。電子機器６１は、平板形状の第１プリント基板６２と、第１プリント基板６２上に実装されている平板形状の第２プリント基板６３とを備える。第２プリント基板６３は、リッドが物理的に接続されておらず且つ接地されていない点を除いては第４実施形態で説明したプリント基板５３と同等であり、第２プリント基板６３上には第３実施形態で説明した電子部品３～５、ヒートシンク４２、第１放熱部材１４及び第２放熱部材４４等が実装されている。リッド６４は、第１プリント基板６２に対して物理的に接続されていると共に接地されている。第２放熱部材４４は、リッド６４の天井面部６５の上面６５ｂとヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａとの間に設けられている。又、第２プリント基板６３は、第１プリント基板６２に対してはんだバンプ６６を介して電気的及び物理的に接続されている。

　第５実施形態によれば、電子装置６１において、第１プリント基板６２上に第２プリント基板６３が実装され、リッド６４が第１プリント基板６２に対して物理的に接続されていると共に接地されている構成においても、第１実施形態と同様の作用効果を得ることができる。

　（第６実施形態）
　第６実施形態について図７から図８を参照して説明する。第６実施形態は、第４実施形態で説明した構成において第２プリント基板５３が第１プリント基板５２に対して傾いて実装された場合の対処を示す。

　第４実施形態で説明した構成では第２プリント基板５３が第１プリント基板５２に対して傾いて実装される場合がある。第２プリント基板５３が第１プリント基板５２に対して傾いて実装された状態でヒートシンク４２のベースプレート４３の面方向が第１プリント基板５２の面方向に対して略平行となるようにヒートシンク４２が実装されると、図７に示すように、リッド６の天井面部１１の上面１１ｂとヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａとの隙間が一定にならず、第２放熱部材４４の厚さが不均一になり、放熱性が悪化することが懸念される。

　このような不具合に対し、第６実施形態では、図８に示すように、例えば締結部材１８による締結の程度が調整され、第２プリント基板５３が第１プリント基板５２に対して傾いて実装された場合でも、ヒートシンク４２のベースプレート４３の面方向がリッド６の天井面部１１の面方向に対して略平行となるようにヒートシンク４２が実装されていることで、リッド６の天井面部１１の上面１１ｂとヒートシンク４２のベースプレート４３の下面４３ａとの隙間を一定としている。

　第６実施形態によれば、電子装置５１において、第２プリント基板５３が第１プリント基板５２に対して傾いて実装された場合であっても、ヒートシンク４２のベースプレート４３の面方向がリッド６の天井面部１１の面方向に対して略平行となるようにヒートシンク４２が実装される構成としたので、第２放熱部材４４の厚さを均一にすることができ、放熱性の悪化を未然に回避することができる。

　（第７実施形態）
　第７実施形態について図９から図１０を参照して説明する。第７実施形態は、第５実施形態で説明した構成において第２プリント基板６３が第１プリント基板６２に対して傾いて実装された場合の対処を示す。

　第５実施形態で説明した構成でも第２プリント基板６３が第１プリント基板６２に対して傾いて実装される場合がある。第２プリント基板６３が第１プリント基板６２に対して傾いて実装された状態でリッド６４の天井面部６５の面方向が第１プリント基板６２の面方向に対して略平行となるようにリッド６４が実装されると、図９に示すように、リッド６４の天井面部６５の下面６５ａと電子部品３との隙間が一定にならず、第１放熱部材１４の厚さが不均一になり、放熱性が悪化することが懸念される。

　このような不具合に対し、第７実施形態では、図１０に示すように、リッド６４の側面部の一部に蛇腹部６７が設けられ、第２プリント基板６３が第１プリント基板６２に対して傾いて実装された場合でも、リッド６４の天井面部６５の面方向が電子部品３の面方向に対して略平行となるようにリッド６４が実装されていることで、リッド６４の天井面部６５の下面６５ａと電子部品３との隙間を一定としている。

　第７実施形態によれば、電子機器６１において、第２プリント基板６３が第１プリント基板６２に対して傾いて実装された場合であっても、リッド６４の天井面部６５の面方向が電子部品３の面方向に対して略平行となるようにリッド６４が実装される構成としたので、第１放熱部材１４の厚さを均一にすることができ、放熱性の悪化を回避することができる。

　（その他の実施形態）
　本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。

　第１実施形態から第３実施形態において、プリント基板２に実装されている電子部品の個数や配置態様は例示した以外でも良い。第４実施形態から第７実施形態において、第１プリント基板５２，６２に実装されている第２プリント基板５３，６３の個数や配置態様、第２プリント基板５３，６３に実装されている電子部品の個数や配置態様は例示した以外でも良い。又、１つのリッドが複数の第２プリント基板５３，６３を覆う構成でも良い。

　リッド６，３２，６４がプリント基板２，５３，６２に対してはんだ接合により接地される構成を例示したが、リッド６，３２，６４がプリント基板２，５３，６２に対して導電性接着剤等により接地されても良いし、ヒートシンク７，４２がプリント基板２，５２，６２に対して締結される際の加圧力を利用して接地されても良い。

Claims

　プリント基板（２）と、
　前記プリント基板上に実装されている電子部品（３）と、
　金属材料から構成され、前記電子部品を覆うと共に前記プリント基板に接地するリッド（６，３２）と、
　前記電子部品と前記リッドとの間に設けられている第１放熱部材（１４）と、
　前記リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態で前記プリント基板に対して固定されるヒートシンク（７，４２）と、
　前記リッドと前記ヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材（１７，３４，４４）と、を備え、
　前記電子部品の直上に対する前記加圧力の作用が抑えられる構成である電子機器（１，３１，４１）。
　第１プリント基板（５２）と、
　前記第１プリント基板上に実装されている第２プリント基板（５３）と、
　前記第２プリント基板上に実装されている電子部品（３）と、
　金属材料から構成され、前記電子部品を覆うと共に前記第２プリント基板に接地するリッド（６，３２）と、
　前記電子部品と前記リッドとの間に設けられている第１放熱部材（１４）と、
　前記リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態で前記第１プリント基板に対して固定されるヒートシンク（７，４２）と、
　前記リッドと前記ヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材（１７，３４，４４）と、を備え、
　前記電子部品の直上に対する前記加圧力の作用が抑えられる構成である電子機器（５１）。
　第１プリント基板（６２）と、
　前記第１プリント基板上に実装されている第２プリント基板（６３）と、
　前記第２プリント基板上に実装されている電子部品（３）と、
　金属材料から構成され、前記電子部品を覆うと共に前記第１プリント基板に接地するリッド（６４）と、
　前記電子部品と前記リッドとの間に設けられている第１放熱部材（１４）と、
　前記リッドの上方に設けられ、下方向への加圧力が作用する状態で前記第１プリント基板に対して固定されるヒートシンク（７，４２）と、
　前記リッドと前記ヒートシンクとの間に設けられている第２放熱部材（１７，３４，４４）と、を備え、
　前記電子部品の直上に対する前記加圧力の作用が抑えられる構成である電子機器（６１）。
　前記電子部品の直上において前記第２放熱部材が省かれていることで、前記電子部品の直上に対する前記加圧力の作用が抑えられる構成である請求項１から３の何れか一項に記載した電子機器。
　前記リッドの上面において前記電子部品の直上が下方に凹んでいることで、前記電子部品の直上に対する前記加圧力の作用が抑えられる構成である請求項１から３の何れか一項に記載した電子機器。
　前記ヒートシンクの下面において前記電子部品の直上が上方に凹んでいることで、前記電子部品の直上に対する前記加圧力の作用が抑えられる構成である請求項１から３の何れか一項に記載した電子機器。