WO2021070329A1

WO2021070329A1 - エレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法

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Publication number: WO2021070329A1
Application number: PCT/JP2019/040035
Authority: WO
Inventors: 貴大羽鳥; 知明前原; 利治松熊; 勇来齊藤; 幸一山下; 松楊; 訓鳥谷部; 颯棚林
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2019-10-10
Filing date: 2019-10-10
Publication date: 2021-04-15

Abstract

複数台のエレベーター１３０のうち、非接触給電方式のエレベーター１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃを少なくとも１台備えている。学習部１０３は、複数の分散ゾーン、複数台のエレベーター１３０を分散待機させる分散階を設定する。号機異常検出部１０７は複数台のエレベーターの異常を検出する。給電階設定部１０８は、複数台のエレベーター１３０から分散階に割り当てるエレベーターを選択する。非接触給電方式のエレベーター１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃの任意の停止階には、給電装置を有する複数の給電階が設置される。給電階設定部１０８は、号機異常検出部１０７により給電装置が異常と判断された際に、異常と判断された給電装置が設置されている対象の分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、給電装置が異常と判断された非接触給電方式エレベーター１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃを選択対象から除外して群管理制御を行う。

Description

エレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法

　本発明は、非接触給電方式エレベーターを備えたエレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法に関する。

　エレベーターの乗りかごには、乗りかご内に設置された照明機器やドア開閉機構を駆動するための電力線として、テールコードが備えられている。テールコードは、乗りかごの重量増加をもたらすため、テールコードを排除した非接触給電のエレベーター装置が提案されている。非接触給電エレベーターでは、昇降路内に給電装置を設置し、乗りかごに受電装置を設置し、乗りかごが特定の給電階に停止した時に給電装置から受電装置へ非接触で電力が給電される。乗りかごにはバッテリが備えられ、受電装置で受電した電力をバッテリに蓄電する。

　給電装置にはインバータが備えられている。給電装置に異常が発生した場合には、発熱によってインバータの素子が破損する可能性がある。インバータ素子の破損を防止するために、給電装置の異常を検出した場合には、乗りかごへの給電量を制限してインバータの素子破損を防止する技術が提案されている。このような技術として、例えば特許文献１に記載の技術がある。

特開２０１８－１６２１１３号公報

　特許文献１に記載の技術においては、給電量が制限された状態でエレベーターを使用すると、乗りかごに設置されたバッテリが十分に蓄電されず、電力不足となり、照明器具やドア開閉機構の動作に影響を与える可能性があった。特に、給電装置が給電できない故障時には、バッテリの充電に顕著に影響を与える。

　エレベーターが複数台設置され、群管理制御が行われている場合、給電装置の故障によるバッテリ充電不足が原因でエレベーターを計画通りに運行出来ず、エレベーターの運行管理に影響を与える虞があった。特許文献１では、給電装置の故障の対処法については全く考慮されていなかった。

　本発明の目的は、給電装置の故障によるエレベーター運行への影響を抑制したエレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法を提供することにある。

　上記目的を達成するために本発明は、非接触給電方式エレベーターを少なくとも１台備え、複数台のエレベーターを群管理制御するエレベーターシステムにおいて、前記複数台のエレベーターを分散待機させる分散階を設定する手段と、前記複数台のエレベーターの異常を検出する異常検出手段と、前記複数台のエレベーターから前記分散階に割り当てるエレベーターを選択する選択手段と、を備え、前記非接触給電方式エレベーターの任意の停止階には、給電装置を有する複数の給電階が設置され、前記選択手段は、前記異常検出手段により前記給電装置が異常と判断された際に、異常と判断された前記給電装置が設置されている対象の前記分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、前記給電装置が異常と判断された非接触給電方式エレベーターを選択対象から除外して群管理制御を行うことを特徴とする。

　また、本発明は、非接触給電方式エレベーターを少なくとも１台備え、複数台のエレベーターを群管理制御するエレベーターシステムの制御方法において、前記複数台のエレベーターを分散待機させる分散階を設定するステップと、前記複数台のエレベーターの異常を検出するステップと、前記複数台のエレベーターから前記分散階に割り当てるエレベーターを選択するステップと、を備え、前記非接触給電方式エレベーターの複数の給電階に設置された給電装置が異常と判断され際に、異常と判断された前記給電装置が設置されている対象の前記分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、前記給電装置が異常と判断された前記非接触給電方式エレベーターを選択対象から除外するステップを有することを特徴とする。

　本発明によれば、給電装置の故障によるエレベーター運行への影響を抑制したエレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法を提供することができる。

本発明の実施例に係るエレベーターの運行管理システムの概略図である。３台のエレベーターに分散ゾーンが与えられた場合における分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。出勤時におけるエレベーターの分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。昼食時におけるエレベーターの分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。会議時におけるエレベーターの分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。本発明の実施例に係るエレベーターの運行管理処理システムの処理フローである。本発明の実施例に係る分散階設定の処理フローである。本発明の実施例に係る給電階設定部の処理フローである。本発明の実施例に係る分散対象号機設定の処理フローである。本発明の実施例に係る号機異常検出部の処理フローである。本発明の実施例に係る分散号機選択設定の処理フローである。は本発明の実施例に係る分散号機選択のメイン処理フローである。

　以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。

　本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。

　図１は本発明の実施例に係るエレベーターの運行管理システムの概略図である。運行管理システム１００は複数台設置されたエレベーターの群管理制御を行うものである。建屋の各階におけるそれぞれのエレベーター乗場１２０ａ，１２０ｂには、エレベーターの到着状況を表示するランタン１２１ａ，１２１ｂと、エレベーターの呼び出しを行う乗場釦１２２ａ，１２２ｂと、乗場釦１２２ａ，１２２ｂの入力情報を運行管理システム１００へ送信すると共に、エレベーターが到着したことをランタン１２１ａ，１２１ｂに表示させる乗場端末１２３ａ，１２３ｂが備えられている。

　本実施例では、建屋内に複数のエレベーター１３０（1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃ、４号機エレベーター１３０ｄ）が設置されている。各号機（1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃ、４号機エレベーター１３０ｄ）の昇降路内には乗りかご１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｃ，１３１ｄがそれぞれ配置されている。本実施例では、４台のエレベーターで説明するが、エレベーターは４台を超える台数であっても構わない。

　1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃの所定の停止階における昇降路には、給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃが設置されている。1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃの乗りかご１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｃには、給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃからの電力を受電する受電装置１３３ａ，１３３ｂ，１３３ｃと、受電装置１３３ａ，１３３ｂ，１３３ｃと接続され、蓄電するバッテリ１３４ａ，１３４ｂ，１３４ｃが備えられている。本実施例においては、４号機エレベーター１３０ｄはテールコードを備えており、給電装置、受電装置、バッテリを備えていないが、１号機エレベーター～３号機エレベーターと同様に、非接触給電方式とし給電装置、受電装置、バッテリを備えるように構成しても良い。本実施例では、非接触給電方式のエレベーターを少なくとも１台備えていれば良い。

　複数のエレベーター１３０（1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃ、４号機エレベーター１３０ｄ）は、それぞれに設置された号機制御装置１３５ａ，１３５ｂ，１３５ｃ，１３５ｄによって制御される。

　運行管理システム１００は、乗場呼び制御部１０１、配車決定部１０２、学習部１０３、分散制御部１０４、案内指令部１０５、配車指令部１０６、号機異常検出部１０７、給電階設定部１０８を備えている。

　乗場呼び制御部１０１は、乗場釦１２２ａ，１２２ｂが押下された情報を乗場端末１２３ａ，１２３ｂから受信し、建屋のどの階から上／下の乗場呼びの要求があったかを運行管理システム１００内に登録する。

　配車決定部１０２は、乗場呼びがあった階、及び乗りかご１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｃ，１３１ｄが待機している分散待機階からどの号機の乗りかごを配車するのか、最適な号機を決定する。

　学習部１０３は、日々のエレベーター利用人数を検出し、混雑状況を学習する。学習部１０３では、交通流パターンを学習し、現在の交通流パターンがどのモードか判定することで、混雑階を設定する。この混雑階に合わせ、分散ゾーン、分散階を設定する。この学習部１０３は、複数の分散ゾーンを設定する手段と、エレベーターを分散待機させる分散階を設定する手段を備える。

　分散制御部１０４は、学習部にて認識した混雑階や、設定された分散ゾーン、分散階に、エレベーターの乗りかごを事前に配車する制御処理を実行する。本実施例では、給電階を分散階の一つとして、制御を実施する。

　案内指令部１０５は、乗場呼びが登録され、最適なエレベーターが確定した場合、乗場に設置されたランタンを点灯させ、利用者にエレベーター到着の案内を実施する。案内指令部１０５は、号機制御装置１３５ａ，１３５ｂ，１３５ｃ，１３５ｄに設置するようにしても良い。

　配車指令部１０６は、配車決定部１０２によって決定した当該号機に対して、乗場呼びが登録された停止階に乗りかご１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｃ，１３１ｄの何れかを配車するよう、該当する号機制御装置１３５ａ，１３５ｂ，１３５ｃ，１３５ｄに指令を出力する。

　号機異常検出部１０７（異常検出手段）は、各号機（1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃ、４号機エレベーター１３０ｄ）の異常を号機制御装置１３５ａ，１３５ｂ，１３５ｃ，１３５ｄから受信し、異常状態を検出する。号機異常検出部１０７によって異常と判断された号機は、配車決定部１０２の配車対象から除外される。本実施例においては、給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃの異常も号機異常に含んでいる。給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃが設定されている停止階（１階、７階、１２階）を給電階と称する。号機異常検出部１０７（異常検出手段）は、給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃのそれぞれの給電階における給電装置の個々の異常を検出する（給電装置１３２ａの１階，７階，１２階、給電装置１３２ｂの１階，７階，１２階、給電装置１３２ｃの１階，７階，１２階）。号機異常検出部１０７（異常検出手段）は、1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃのそれぞれの給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃにおいて、全ての階に設置された給電装置が故障した場合、配車の対象から除外する。例えば、１号機エレベーター１３０ａおいて全階の給電装置１３２ａが故障した場合、異常と判断し、１号機エレベーター１３０ａを配車決定部１０２の配車対象から除外する。

　給電階設定部１０８は、バッテリの蓄電残量が少なく、給電が必要な号機エレベーターかどうかを判断し、充電が必要な場合、どの停止階に給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃが設定されているかを判断する。また、非接触給電方式エレベーターである1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃのそれぞれの給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃにおいて、号機異常検出部１０７（異常検出手段）により一部の給電階に設置された給電装置が異常（故障）と判断された際に、異常（故障）と判断された給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃが設置されている対象の分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、給電装置１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃが異常と判断された1号機エレベーター１３０ａ，２号機エレベーター１３０ｂ，３号機エレベーター１３０ｃを選択対象から除外する。例えば、非接触給電方式エレベーターである１号機エレベーター１３０ａおいて７階の給電装置１３２ａが異常（故障）と判断された場合、１号機エレベーター１３０ａは７階を分散階とするエレベーターの選択対象から除外する。ただし、１号機エレベーター１３０ａは、７階が分散階の対象から除外されるが、他の給電階である１階、１２階を分散階とするエレベーターの選択対象となる。

　給電階設定部１０８は、号機異常検出部１０７（異常検出手段）の検出結果に基づき、群管理制御の対象となる複数台のエレベーターの中から、分散階に割り当てるエレベーターを選択する選択手段としての機能を有している。

　また、給電階設定部１０８（選択手段）は、給電階の全ての階における給電装置が故障した場合には、その号機エレベーターを配車対象から除外する。

　次に図２～図５を用いて、エレベーターの分散待機について説明する。図２は３台のエレベーターに分散ゾーンが与えられた場合における分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。図３は出勤時におけるエレベーターの分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。図４は昼食時におけるエレベーターの分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。図５は会議時におけるエレベーターの分散ゾーンテーブルの一例を示す図である。

　図２～図５において、本実施例では１２階の建屋に１号機～４号機（４台）のエレベーターが設置されている。１階はエントランスであり、１１階には会議室、１２階には食堂が設置されている。その他の空白の階は居住階となっている。各号機の１階、７階、１２階には給電装置が設置されている。

　複数台のエレベーターが設置された建屋では、利用者による乗場呼びに応じて、できるだけ早い時間で乗りかごが到着できるよう、複数台の乗りかごが各階に分散されて配置される。乗りかごが分散配置される階を分散階と称する。分散階は、エレベーターの交通流パターンに応じて適宜変更される。乗場呼びが無い場合、各乗りかごは交通流パターンに応じて設定されたそれぞれの分散階で待機する。非接触給電方式のエレベーターの場合、分散階として設定される階は、一般的に給電装置が設置された給電階が割り当てられる。給電階に停止した状態で乗りかごはバッテリに充電を行う。また、各エレベーターには分散ゾーンが割り当てられており、該当する分散ゾーンから乗場呼びがあった場合には、他の号機エレベーターに優先して分散ゾーンに割り充てられた号機エレベーターの乗りかごが、乗場呼びを受けた階に急行する。

　図２において、各階の予想人数が均等に割り当てられた状況においては、４台のエレベーターのうち、３台のエレベーターが分散制御の対象として分散ゾーンＺ１～Ｚ３が割り当てられており、１台については分散ゾーンが割り当てられていない。例えば、１号機エレベーター～３号機エレベーターはそれぞれ分散ゾーンＺ１～Ｚ３が割り当てられており、乗場呼びに対応する。図２では、１号機エレベーターの乗りかごは分散階である１階で待機し、分散ゾーンＺ１として１階～４階の乗場呼びに対応する。２号機エレベーターの乗りかごは７階で待機し、分散ゾーンＺ２として５階～８階の乗場呼びに対応する。３号機エレベーターの乗りかごは１２階で待機し、分散ゾーンＺ３として９階～１２階の乗場呼びに対応する。

　図３において、出勤時においては、エレベーターの乗客の乗降が変化するので、分散階、分散ゾーンの設定が変更される。出勤時には、乗客が１階エントランスから執務場所の居住階に向かう交通流パターンが出現するので、１階にエレベーターの乗りかごを集中的に配車するよう分散階、分散ゾーンの設定が変更される。エレベーターにおける交通流パターンから、出勤時であるか否かを判断する。表の下に記載された閾値は、各階の予測人数の合計値をエレベーターの台数で除算した値を用いる。図２の場合、予測人数の合計値が８４０であり、これをエレベーター台数の４で除算し、閾値２１０を算出する。閾値は、後述する分散階の設定に用いる。

　図３に示す出勤時は、１号機エレベーター～３号機エレベーターの乗りかごの分散階、分散ゾーンＺ１～Ｚ３を１階に設定し、乗りかごを１階に集中的に配車する。４号機エレベーターの乗りかごは分散階を７階に設定し、３階～１２階を分散ゾーンＺ４として３階～１２階の乗場呼びに対応する。

　図４に示す昼食時は、１階エントランスと食堂階、居住階と食堂階との間を行き来する交通流パターンが出現するので、例えば１号機エレベーターの乗りかごの分散階、分散ゾーンＺ４を１２階に設定し、食事を終えた乗客の輸送に備える。１階～１１階は２号機エレベーター～４号機エレベーターの乗りかごで分担する。２号機エレベーターの乗りかごは分散階を１階に設定、分散ゾーンＺ１を１階～３階に設定し、１階～３階の乗場呼びに対応する。３号機エレベーターは分散階を７階に設定、分散ゾーンＺ２を４階～７階に設定し、４階～７階の乗場呼びに対応する。４号機エレベーターの乗りかごは分散階を９階に設定し、分散ゾーンＺ３を８階～１１階に設定し、８階～１１階の乗場呼びに対応する。４号機エレベーターはテールコードによる給電が行われるので、給電階の影響を受けない９階を分散階としている。

　図５に示す会議時は、居住階から会議室階がある１１階へ向かう交通流パターンが出現するので、例えば１階～１０階は２号機エレベーター～４号機エレベーターの乗りかごで分担する。２号機エレベーターは分散階を１階に設定、分散ゾーンＺ１を１階～３階に設定し、１階～３階の乗場呼びに対応する。３号機エレベーターは分散階を７階に設定、分散ゾーンＺ２を４階～７階に設定し、４階～７階の乗場呼びに対応する。４号機エレベーターは分散階を９階に設定、分散ゾーンＺ３を８階～１０階に設定し、８階～１０階の乗場呼びに対応する。１号機エレベーターの乗りかごの分散階、分散ゾーンＺ４を１１階～１２階に設定し、会議を終えた乗客の輸送に備える。

　次に分散階の設定方法について図６～図１２を用いて説明する。図６は本発明の実施例に係るエレベーターの運行管理処理システムの処理フローである。図６において、運行管理システム１００は、エレベーターの交通流パターンから分散階を設定（ステップＳ２００）し、各号機エレベーターの故障状態を把握して分散制御の対象となる号機エレベーターを設定（ステップＳ３００）し、分散制御の対象となる号機エレベーターの分散階を選択設定（ステップＳ４００）し、各号機エレベーターに分散指令を出力する（ステップ５００）。

　次に各ステップＳ２００～Ｓ５００の詳細について、図７～図１２を用いて説明する。図７は本発明の実施例に係る分散階設定の処理フローである。図７において、運行管理システム１００の学習部１０３は、現在の交通流パターンがどの交通流モードに該当するかを判定し、判定された現在の交通流モードから制御対象とするエレベーターの分散ゾーン数、混雑階、分散階を設定する（ステップＳ２０１）。交通流モードは、分散ゾーン数、混雑階、分散階の組み合わせが複数組用意されており、検出された交通流パターンから任意の交通流モードを選択して設定する。

　次に、運行管理システム１００の給電階設定部１０８は、複数台のエレベーターのうち、制御対象のエレベーターとして給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が有るか否かを判断（ステップＳ２０２）し、給電が必要な号機エレベーターが有る場合（ステップＳ２０２のＹＥＳ）には、各号機エレベーターについて給電階を指定する（ステップＳ２０３）。ステップＳ２０２において、給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が存在しない場合（ステップＳ２０２のＮＯ）には、ステップＳ２０４に進む。

　ステップＳ２０４において、給電階設定部１０８は、各分散ゾーンの混雑階と給電階が一致しているか否かを判断し、一致していれば（ステップＳ２０４のＹＥＳ）、混雑階を分散階にする（ステップＳ２０５）。例えば、図４において、混雑階が１階と１２階となっており、これらを分散階とする、１階と１２階は給電階となっており、混雑階と分散階が一致している。本実施例では、非接触給電方式エレベーター（給電が必要な号機エレベーター）が有る場合、基本的に分散階は給電階とし、非接触給電方式エレベーターで、且つ正常な非接触給電方式エレベーター、或いは非接触給電方式ではないエレベーターを分散対象とし、非接触給電方式エレベーターが無しの場合は非接触給電方式ではないエレベーターによる分散制御を実施する。

　ステップＳ２０４において、給電階設定部１０８は、給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が存在しない場合は、給電階が無いと判断（ステップＳ２０４のＹＥＳ）し、混雑階を分散階にする（ステップＳ２０５）。

　ステップＳ２０４において、給電階設定部１０８は、各分散ゾーンの混雑階と給電階が一致していない場合（ステップＳ２０４のＮＯ）、ステップＳ２０６に進み、混雑階が閾値以上の混雑か否かを判定する。ここでの閾値は、図３～図５で説明した閾値である。混雑階が閾値以上の混雑であれば（ステップＳ２０６のＹＥＳ）、分散ゾーンにおける分散階を、給電階及び混雑階が一致した階に指定する（ステップＳ２０７）。

　ステップＳ２０６において、給電階設定部１０８は、混雑階が閾値以上の混雑でない場合（ステップＳ２０６のＮＯ）、バッテリへの蓄電を優先させ、給電階を分散階に指定する（ステップＳ２０８）。

　次にステップＳ２０３における給電階設定部１０８の処理について図８を用いて説明する。図８は本発明の実施例に係る給電階設定部の処理フローである。

　ステップＳ２１０において、給電階設定部１０８は、給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）のうち、バッテリの充電容量が不十分であり、給電が必要な号機エレベーターが存在するか否かを判断する。給電が必要な号機エレベーターが存在する場合（ステップＳ２１０のＹＥＳ）、給電装置が異常か否かを判断する（ステップＳ２１１）。給電装置の異常の判断は、号機異常検出部１０７を用いる。例えば、号機異常検出部１０７は乗りかごが各給電階に停止した際、各給電階に停止した際におけるバッテリの充電状況を監視し、単位時間あたりの充電量が所定値以下であれば、その停止階の給電装置を異常と判断し、記憶しておく。

　給電階設定部１０８は、ある停止階の給電装置が異常と判断された場合（ステップＳ２１１のＹＥＳ）、事前に設定或いは給電装置が正常に動作している階情報を号機異常検出部１０７から取得し、給電装置が異常と判断された階を異常階として給電階（分散階）の対象から除外する（ステップＳ２１２）。すなわち、異常階と判断された非接触給電方式のエレベーターは、この異常階を分散階として割り当てるエレベーターの選択対象から除外される。ステップＳ２１１における給電装置の異常判断にあたっては、給電装置が異常と判断された階を異常階とし、その他の給電装置が正常の動作している階を給電階（分散階）の対象とする。

　ステップＳ２１０において、給電階設定部１０８は、バッテリの充電容量が十分であり、給電が必要な号機エレベーターが存在しない場合（ステップ２１０のＮＯ）には、処理を終了する。

　ステップＳ２１１において、給電階設定部１０８は、給電装置が設置された階に異常が無い場合（ステップＳ２１１のＮＯ）、事前に設定或いは給電装置が正常に動作している階情報を号機異常検出部１０７から取得し、正常と判断された階を給電階（分散階）として設定する（ステップＳ２１３）。ステップＳ２１３には、給電装置の異常判断にあたり、給電装置が異常と判断された階を異常階とし、その他の給電装置が正常動作していると判断された階は給電階（分散階）とするステップを含んでいる。

　本実施例においては、給電装置を備えた非接触給電エレベーターにおいて、給電装置の異常を検出し、給電装置が異常と判断された際に、異常と判断された給電装置が設置されている対象の分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、給電装置が異常と判断された非接触給電方式エレベーターを選択対象から除外する処理を備えたことを特徴の一つとしている。本実施例によれば、給電装置の異常が検出された給電階には、分散階として非接触給電方式エレベーターが割り当てられることが無いように選択対象から除外するようにしているので、乗りかごのバッテリが充電不足に陥ることを抑制することができる。

　次に分散対象号機設定のステップＳ３００について説明する。図９は本発明の実施例に係る分散対象号機設定の処理フローである。図９において、給電階設定部１０８は、号機異常検出部１０７の検出結果から、分散対象として制御可能な号機エレベーターを設定する（ステップＳ３０１）。号機異常検出部１０７の処理については、後述する。

　ステップＳ３０２において、給電階設定部１０８は、分散制御対象のエレベーターのうち、給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が存在するか否かを判断し、給電が必要な号機エレベーターが存在する場合（ステップＳ３０２のＹＥＳ）には、給電階設定部１０８は各号機エレベーターについて給電階を指定すると共に、給電対象となる号機エレベーターの情報を取得（ステップＳ３０３）し、各分散階に対して、配車可能号機、及び配車可能号機数を検出する（ステップＳ３０４）。

　ステップＳ３０２において、給電階設定部１０８は、分散制御対象のエレベーターのうち、給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が存在しない場合（ステップＳ３０２のＮＯ）には、ステップＳ３０４に進む。給電階設定部１０８の処理については図８の通りであり、給電装置に異常がある異常階を備えた非接触給電方式エレベーターは、異常階を分散階とする選択対象のエレベーターから除かれる。

　次に号機異常検出部１０７の処理について説明する。図１０は本発明の実施例に係る号機異常検出部の処理フローである。

　号機異常検出部１０７は、各号機エレベーターが保守運転、或いは異常状態であるか判断する（ステップＳ３１０）。エレベーターの何れかの号機エレベーターが保守運転、或いは異常状態であれば（ステップＳ３１０のＹＥＳ）、異常と判断された号機エレベーターを配車可能な号機エレベーターから除外する（ステップＳ３１１）。この処理により、図９のステップＳ３０１において、制御可能な号機エレベーターの情報が設定される。そして、給電階設定部１０８（選択手段）は、号機異常検出部１０７（異常検出手段）の結果に基づき、異常と判断された号機エレベーターを配車可能な号機エレベーターから除外し、正常な号機エレベーターから配車可能な号機エレベーターを選択する。

　ステップＳ３１０において、エレベーターの何れかの号機が保守運転、或いは異常状態でなければ（ステップＳ３１０のＮＯ）、バッテリの充電容量が不足であり、給電が必要な号機エレベーターが存在するか否かを判断する（ステップＳ３１２）。

　ステップＳ３１２において、給電が必要な号機エレベーターが存在する場合（ステップＳ３１２のＹＥＳ）は、ステップＳ３１３に進み、該当する号機エレベーターの給電装置が１個以上動作しているか否か判断する。該当する号機エレベーターの給電装置が１個以上動作していれば（ステップＳ３１３のＹＥＳ）、配車可能な号機エレベーターから、除外する号機エレベーターが無いとして処理を終了する。該当する号機エレベーターの給電装置が全て動作していない場合（ステップＳ３１３のＮＯ）、配車可能な号機エレベーターから対象号機エレベーターを除外する（ステップＳ３１１）。

　ステップＳ３１２において、給電が必要な号機エレベーターが存在しない場合（ステップＳ３１２のＮＯ）は、配車可能な号機エレベーターから、除外する号機エレベーターが無いとして処理を終了する。

　本実施例によれば、複数のエレベーターのうち何れかの号機エレベーターが保守運転、或いは異常状態、給電装置の全てが故障しているのであれば、配車可能な号機エレベーターから、対象号機エレベーターを除外するようにしているので、正常な号機エレベーターによる運転により、乗場呼びがあった階へスムーズに配車することができる。

　次に分散号機選択設定のステップＳ４００について説明する。図１１は本発明の実施例に係る分散号機選択設定の処理フローである。

　運行管理システム１００は、各分散ゾーンに停止号機、及び停止予定号機が存在するか否か判断する（ステップＳ４０１）。

　上述した処理により、複数のエレベーターのうち何れかの号機エレベーターの給電装置に異常がある異常階は分散階として非接触給電方式エレベーターが割り当てられることが無いように選択対象から除外され、複数のエレベーターのうち何れかの号機エレベーターが保守運転、或いは異常状態、給電装置の全てが故障している号機エレベーターは、配車可能号機の対象から除外される。

　学習部１０３は、各分散ゾーンに停止している号機エレベーター、及び停止予定の号機エレベーターが存在するかどうかを判断する（ステップＳ４０１）。ステップＳ４０１において、各分散ゾーンに停止している号機エレベーター、及び停止予定の号機エレベーターが存在している場合（ステップＳ４０１のＹＥＳ）、各分散ゾーンにおける分散階を除外する（ステップＳ４０２）。次に分散階が存在しているか否かを判断（ステップＳ４０３）し、分散階が既に存在している場合（ステップＳ４０３のＹＥＳ）、停止している号機エレベーター、及び停止予定の号機エレベーターを分散対象の号機エレベーターから除外する（ステップＳ４０４）。さらに分散階が複数存在しているか否かを判断（ステップＳ４０５）し、既に分散階が複数存在している場合（ステップＳ４０５のＹＥＳ）、停止している号機エレベーター、及び停止予定の号機エレベーターを分散対象の号機エレベーターから除外する（ステップＳ４０６）。その後、分散号機選択のメイン処理を実行する（ステップＳ４０７）。

　配車決定部１０２は、分散階が全て選択完了であるか否かを判断（ステップＳ４０８）し、分散階の選択が完了していれば（ステップＳ４０８のＹＥＳ）処理を終了し、分散階の選択が完了していなければ（ステップＳ４０８のＮＯ）、分散階の選択が完了するまで、処理を繰り返す。

　ステップＳ４０３において、分散階が存在していない場合（ステップＳ４０３のＮＯ）、処理を終了する。

　ステップＳ４０５において、分散階が複数存在していない場合（ステップＳ４０５のＮＯ）、分散号機選択のメイン処理を実行する（ステップＳ４０７）。

　次にステップＳ４０７における分散号機選択メイン処理について説明する。図１２は本発明の実施例に係る分散号機選択のメイン処理フローである。

　運行管理システム１００の給電階設定部１０８は、複数台のエレベーターのうち、制御対象のエレベーターとして給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が存在するか否かを判断（ステップＳ４１０）し、給電が必要な号機エレベーターが存在する場合（ステップＳ４１０のＹＥＳ）には、給電が必要な号機エレベーターの分散階が給電階であるか否かを判断する（ステップＳ４１１）。ステップＳ４１１において、分散階が給電階である場合（ステップＳ４１１のＹＥＳ）には、配車決定部１０２は、分散対象となる号機エレベーターから配車決定処理を行う（ステップＳ４１２）。基本的に、給電が必要な号機エレベーター（非接触給電式）が存在する場合には、分散階は給電階として処理を行う。また、ステップＳ４１０において、給電が必要な号機エレベーターが存在しない場合（ステップＳ４１０のＮＯ）には、配車決定部１０２は、分散対象となる号機エレベーターから配車決定処理を行う（ステップＳ４１２）。

　ステップＳ４１１において、分散階が給電階で無い場合（ステップＳ４１１のＮＯ）には、給電階設定部１０８は、給電対象となる号機エレベーターにて、現在位置からの予備登録状況に応じて分散階停止時における予測バッテリ値を算出（ステップＳ４１３）し、予測バッテリ値が閾値以上あるか否かを判断する（ステップＳ４１４）。

　ステップＳ４１４において、給電階設定部１０８は、予測バッテリ値が閾値以上あると判断した場合（ステップＳ４１４のＹＥＳ）、配車決定部１０２は、分散対象となる号機エレベーターから配車決定処理を行う（ステップＳ４１２）。

　また、ステップＳ４１４において、給電階設定部１０８は、予測バッテリ値が閾値以上あると判断した場合（ステップＳ４１４のＮＯ）、該当する号機エレベーターにおいて最寄りの給電階への移動時間、及び充電時間、分散階への移動時間をペナルティと加算する（ステップＳ４１５）。

　以上の処理により、配車決定部１０２によって配車決定処理が行われ、この決定に基づいて、配車指令部１０６が各号機エレベーターに配車指令を出力する。

　本実施例によれば、給電装置の故障によるエレベーター運行への影響を抑制したエレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法を提供することができる。

　なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。

　１００…運行管理システム、１０１…乗場呼び制御部、１０２…配車決定部、１０３…学習部、１０４…分散制御部、１０５…案内指令部、１０６…配車指令部、１０７…号機異常検出部、１０８…給電階設定部、１２０ａ，１２０ｂ…エレベーター乗場、１２１ａ，１２１ｂ…ランタン、１２２ａ，１２２ａ…乗場釦、１２３ａ，１２３ｂ…乗場端末、１３０ａ…１号機エレベーター、１３０ｂ…２号機エレベーター、１３０ｃ…３号機エレベーター、１３０ｄ…４号機エレベーター、１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｃ，１３１ｄ…乗りかご、１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃ…給電装置、１３３ａ，１３３ｂ，１３３ｃ…受電装置、１３４ａ，１３４ｂ，１３４ｃ…バッテリ、１３５ａ，１３５ｂ，１３５ｃ，１３５ｄ…号機制御装置

Claims

　非接触給電方式エレベーターを少なくとも１台備え、複数台のエレベーターを群管理制御するエレベーターシステムにおいて、
　前記複数台のエレベーターを分散待機させる分散階を設定する手段と、
　前記複数台のエレベーターの異常を検出する異常検出手段と、
　前記複数台のエレベーターから前記分散階に割り当てるエレベーターを選択する選択手段と、を備え、
　前記非接触給電方式エレベーターの任意の停止階には、給電装置を有する複数の給電階が設置され、
　前記選択手段は、前記異常検出手段により前記給電装置が異常と判断された際に、異常と判断された前記給電装置が設置されている対象の前記分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、前記給電装置が異常と判断された非接触給電方式エレベーターを選択対象から除外して群管理制御を行うことを特徴とするエレベーターシステム。
　請求項１において、
　前記選択手段は、前記複数の給電階に設置された前記給電装置の全てが前記異常検出手段により異常と判断された場合には、エレベーターの配車対象から除外して群管理制御を行うことを特徴とするエレベーターシステム。
　請求項１において、
　前記選択手段は、前記複数の給電階のうち、前記分散階から除外された以外の他の給電階を前記分散階として群管理制御を行うことを特徴とするエレベーターシステム。
　請求項１において、
　前記選択手段は、前記複数台のエレベーターから前記非接触給電方式エレベーターが有るか否かを判断する機能を備え、
　前記非接触給電方式エレベーターが有りの場合、前記分散階を前記給電階とし、前記非接触給電方式エレベーターで、且つ正常な前記非接触給電方式エレベーター、或いは非接触給電方式ではないエレベーターを分散対象とし、
　前記非接触給電方式エレベーターが無しの場合は前記非接触給電方式ではないエレベーターによる分散制御を実施することを特徴とするエレベーターシステム。
　請求項２において、
　前記異常検出手段は、前記複数台のエレベーターのうち、保守運転のエレベーターを配車対象から除外して群管理制御を行うことを特徴とするエレベーターシステム。
　非接触給電方式エレベーターを少なくとも１台備え、複数台のエレベーターを群管理制御するエレベーターシステムの制御方法において、
　前記複数台のエレベーターを分散待機させる分散階を設定するステップと、
　前記複数台のエレベーターの異常を検出するステップと、
　前記複数台のエレベーターから前記分散階に割り当てるエレベーターを選択するステップと、を備え、
　前記非接触給電方式エレベーターの複数の給電階に設置された給電装置が異常と判断された際に、異常と判断された前記給電装置が設置されている対象の前記分散階に割り当てるエレベーターを選択するにあたっては、前記給電装置が異常と判断された前記非接触給電方式エレベーターを選択対象から除外するステップを有することを特徴とするエレベーターシステムの制御方法。
　請求項６において、
　前記複数の給電階に設置された前記給電装置の全てが異常と判断された場合には、エレベーターの配車から除外するステップを有することを特徴とするエレベーターシステムの制御方法。
　請求項６において、
　前記複数の給電階のうち、前記分散階から除外された以外の他の給電階を前記分散階とするステップを有することを特徴とするエレベーターシステムの制御方法。
　請求項６において、
　前記複数台のエレベーターの異常を検出するステップには、保守運転を含むことを特徴とするエレベーターシステムの制御方法。