WO2020255532A1

WO2020255532A1 - 吸収性物品

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Publication number: WO2020255532A1
Application number: PCT/JP2020/015404
Authority: WO
Inventors: 高橋　雄二; 凌霜 ▲鄭▼; ▲異▼ 史
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2019-06-20
Filing date: 2020-04-03
Publication date: 2020-12-24
Also published as: CN112107427A; CN112107427B; KR20220024073A; TW202106267A

Abstract

液吸収性の吸収性コア（２２）と、厚さ方向において吸収性コア（２２）よりも肌側の肌側シート（２４ａ、２４ｂ）と、を備えた吸収性本体（２０）を有する吸収性物品（１）であって、吸収性コア（２２）及び肌側シート（２４ａ、２４ｂ）の少なくとも一方には、揮発性物質（２６）が備えられ、厚さ方向において吸収性コア（２２）よりも非肌側には、長手方向に沿った弾性部材（３０）が備えられ、弾性部材（３０）は、吸収性本体（２０）を長手方向に３等分した際の真ん中となる領域（ＭＡ）の少なくとも一部に弾性領域（３０Ａ）を形成しており、真ん中となる領域（ＭＡ）において、厚さ方向に見たときに、揮発性物質（２６）の少なくとも一部が、弾性領域（３０Ａ）と重複することを特徴とする。

Description

吸収性物品

　本発明は、吸収性物品に関する。

　液吸収性の吸収性コアを備えた吸収性本体と、着用者等が感じる不快感を低減するための揮発性物質と、が設けられた吸収性物品は、既によく知られている。

　例えば、特許文献１においては、吸収性物品に嗅覚を刺激する香料を揮発性物質として設けて、不快な臭気を低減した吸収性物品が開示されている。

特開２０１８－１０２６１２号公報

　吸収性物品における揮発性物質は、着用者の体温でその温度を上昇させて、その気化を促進させることが可能である。つまり、かかる吸収性物品においては、揮発性物質と着用者の肌との距離が近いほど、揮発性物質の効果を高めることができる。しかしながら、揮発性物質が着用者の股下部に位置する吸収性本体に備えられる場合、吸収性本体が重力により着用者の肌から離れ易く、揮発性物質の効果が十分に発揮されない問題があった。

　本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、揮発性物質の効果を高めることにある。

　上記目的を達成するための主たる発明は、展開状態において互いに交差する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液吸収性の吸収性コアと、前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも肌側の肌側シートと、を備えた吸収性本体を有する吸収性物品であって、前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、揮発性物質が備えられ、前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも非肌側には、前記長手方向に沿った弾性部材が備えられ、前記弾性部材は、前記吸収性本体を前記長手方向に３等分した際の真ん中となる領域の少なくとも一部に弾性領域を形成しており、前記真ん中となる領域において、前記厚さ方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記弾性領域と重複することを特徴とする吸収性物品である。

　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　本発明によれば、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

パンツ型吸収性物品１の概略斜視図である。展開状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図である。吸収性本体２０の平面図である。図３の矢視Ａ－Ａであって、吸収性本体２０の断面模式図である。塗布領域２６ｐと非塗布領域２６ｎを示した図である。股下糸ゴム３０により形成された弾性領域３０Ａを示した図である。立体ギャザー５０と頂点部５０Ｓを示した図である。塗布領域２６ｐと弾性領域３０Ａの位置関係を示した図である。塗布領域２６ｐと立体ギャザー５０の位置関係を示した図である。塗布領域２６ｐとヒンジ４０の位置関係を示した図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

　展開状態において互いに交差する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液吸収性の吸収性コアと、前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも肌側の肌側シートと、を備えた吸収性本体を有する吸収性物品であって、前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、揮発性物質が備えられ、前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも非肌側には、前記長手方向に沿った弾性部材が備えられ、前記弾性部材は、前記吸収性本体を前記長手方向に３等分した際の真ん中となる領域の少なくとも一部に弾性領域を形成しており、前記真ん中となる領域において、前記厚さ方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記弾性領域と重複することを特徴とする吸収性物品。

　このような吸収性物品によれば、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記長手方向に沿った所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、前記弾性部材は、前記幅方向に並ぶように複数設けられ、複数の前記弾性部材は、各々の前記弾性部材の前記長手方向における両端を前記長手方向の外縁とし、前記幅方向の最も外側に位置する両側の前記弾性部材を前記幅方向の外縁とした前記弾性領域を形成しており、前記厚さ方向に見たときに、前記塗布領域が、前記弾性領域と重複する弾性重複領域と、前記弾性領域と重複しない弾性非重複領域と、を有していることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、揮発性物質の効果を長く持続させることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記弾性非重複領域が、前記弾性重複領域よりも、大きいことが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、揮発性物質の効果をより一層長く持続させることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記弾性非重複領域が、前記弾性領域の前記幅方向における両外側に設けられていることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、太腿部において、揮発性物質の効果を高めて長く持続させることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記長手方向において、前記弾性領域の前側端よりも前側に、少なくとも前記弾性非重複領域の一部が設けられていることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、下腹部において、揮発性物質の効果を高めて長く持続させることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記長手方向において、前記弾性領域の後側端よりも後側に、少なくとも前記弾性非重複領域の一部が設けられていることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、仙骨部において、揮発性物質の効果を高めて長く持続させることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体の前記幅方向における両端部には、前記長手方向に沿った一対の防漏壁が設けられており、前記一対の防漏壁の少なくとも一部は肌側へ起立可能であり、前記吸収性物品の着用時において、前記一対の防漏壁のうち肌側へ起立する部分の頂点部が、着用者の肌と当接することが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、防漏壁が蓋として機能して、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向に見たときに、前記揮発性物質が、前記頂点部の前記幅方向における内側に位置することが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、気化した揮発性物質が、直接的に肌まで到達するので、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記長手方向に沿った所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、前記吸収性コアには、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度よりも高い圧搾溝が設けられており、前記厚さ方向に見たときに、前記塗布領域が、前記圧搾溝と重複する圧搾溝重複領域と、前記圧搾溝と重複しない圧搾溝非重複領域と、を有していることが望ましい。

　かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体の前記幅方向における中央部には、前記長手方向に沿った前記揮発性物質が塗布されていない非塗布領域が設けられていることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、膣口への揮発性物質の刺激を抑制することが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記長手方向に沿った所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、前記弾性部材は、前記幅方向に並ぶように複数設けられ、複数の前記弾性部材は、各々の前記弾性部材の前記長手方向における両端を前記長手方向の外縁とし、前記幅方向の最も外側に位置する両側の前記弾性部材を前記幅方向の外縁とした前記弾性領域を形成しており、前記非塗布領域は、前記弾性領域の前記幅方向における中央部に位置し、前記非塗布領域の前記幅方向における両外側においては、前記厚さ方向に見たときに、前記塗布領域の少なくとも一部が、前記弾性領域と重複することが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、膣口の周辺部において、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記肌側シートとして、前記厚さ方向において最も肌側に位置する第１肌側シートと、前記厚さ方向において前記第１肌側シートと前記吸収性コアとの間に位置する第２肌側シートと、を備えており、前記揮発性物質が、前記第１肌側シートの非肌側及び前記第２肌側シートの肌側の少なくとも一方に備えられていることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、揮発性物質の厚さ方向における不適切な位置を避けることができ、着用者の肌にも近いので、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品は、腹部、背中部、及び股下部を備え、胴回り開口部、及び一対の脚回り開口部が形成されたパンツ型吸収性物品であることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、パンツ型の吸収性本体は、着脱型の吸収性本体よりも身体に沿い易いので、より一層揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかる吸収性物品であって、前記揮発性物質が、温感剤又は冷感剤であることが望ましい。

　このような吸収性物品によれば、揮発性物質が温感剤又は冷感剤以外の場合に比べて、着用者の温感又は冷感効果を高めることが可能となる。

＝＝＝本実施の形態に係る吸収性物品について＝＝＝
　本実施形態に係る揮発性物質を備えた吸収性物品の一例として、後述する温感剤２６（揮発性物質に相当）を備えたパンツ型吸収性物品１（以下、単に吸収性物品１ともいう）について説明する。なお、以下の説明では生理用の吸収性物品１について説明するが、本実施形態の吸収性物品１には、例えば、大人用、乳児用のおむつ等も含まれており、生理用に用途が限定されるものではない。

　図１は、パンツ型吸収性物品１の概略斜視図であり、図２は、展開状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図である。

　図１に示すパンツ型状態において、吸収性物品１は、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」を有している。そして、図１における紙面の縦方向を上下方向として紙面の上側（下側）を上下方向の「上」（「下」）とし、左右方向においては、紙面の左側（右側）を左右方向の左（右）とする。また、前後方向においては、着用する際に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。

　図２に示す吸収性物品１の展開状態（パンツ型吸収性物品１がパンツ型に成形される前の平面上に広がった状態）において、吸収性物品１は、互いに交差する「長手方向」と「幅方向」と「厚さ方向」とを有している。そして、図２における紙面の縦方向を長手方向として、紙面の上側（下側）を長手方向の「前（腹側）」（「後（背側）」）とし、長手方向と紙面上で直交する方向を幅方向として紙面の左側（右側）を幅方向の左（右）とする。また、長手方向及び幅方向と直交する方向（紙面を貫通する方向）を厚さ方向とし、厚さ方向においては、着用者の肌と当接する側を「肌側」、その逆側を「非肌側」とする。

　なお、本実施の形態に係る平面図（例えば、図２）は、対象物の伸長状態を示している。ここで「伸長状態」とは、吸収性物品１が備える各弾性体（例えば、後述する股下糸ゴム３０、伸縮性シート等）を伸長させることにより、平面図に示す部材を皺なく伸長させた状態である。例えば、図２においては、吸収性物品１を構成する後述する胴回り部材１０と吸収性本体２０の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことを言う。

　本実施の形態に係る吸収性物品１は、胴回り部材１０と、吸収性本体２０とを備えており、以下では、先ず、胴回り部材１０と吸収性物品１をパンツ型に生成する過程について説明する。そして、吸収性本体２０については、後に項を設けて説明する。なお、本実施の形態においては、吸収性本体２０に温感剤２６が備えられている。

　胴回り部材１０は、図２に示すように、展開状態において、平面視で略砂時計形状をしている。つまり、長手方向の中央部が幅方向の内側へ窪んでおり、この窪んだ部分は、パンツ型に成形されると、図１に示す一対の脚回り開口部１ｂを形成する。また、胴回り部材１０は、幅方向に伸縮するように不図示の伸縮性シート等を備えている。そのため、パンツ型吸収性物品１の胴回り部材１０は、左右方向に伸縮する。

　また、胴回り部材１０は、長手方向において吸収性物品１の中心に位置する中心折線ＣＬより前側の前側胴回り部材１０ｆと後側の後側胴回り部材１０ｂを有している。そして、前側胴回り部材１０ｆ（後側胴回り部材１０ｂ）は、前側（後側）の端部において幅方向に沿った胴回り前端部１０ｆｆ（胴回り後端部１０ｂｆ）と、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った前側接合部１０ｆｅ（後側接合部１０ｂｅ）（共に図２の斜線図）を有している。

　吸収性物品１をパンツ型に生成する過程においては、先ず、展開状態の胴回り部材１０の所定の位置に吸収性本体２０を配置して、展開状態の吸収性物品１を生成する。つまり、吸収性本体２０の非肌側の面を接合面とし、当該接合面を展開状態の胴回り部材１０の所定の位置に載置して接合する。すなわち、胴回り部材１０は、厚さ方向において吸収性本体２０の非肌側に重ねて配置される。

　そして、展開状態の吸収性本体２０と胴回り部材１０が、長手方向に折り曲げられる。すなわち、図２に示す中心折線ＣＬを折り目として、前側胴回り部材１０ｆの肌側と、後側胴回り部材１０ｂの肌側と、が向かい合わせになるように、吸収性本体２０と胴回り部材１０が、長手方向に折り曲げられる。

　そうしたら、胴回り部材１０の前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅが近づくので、左右の前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅをそれぞれ接合する。

　つまり、胴回り部材１０の左右両端部が長手方向に沿って接合されるので、胴回り部材１０の胴回り前端部１０ｆｆと胴回り後端部１０ｂｆが胴回り部材１０の上側に胴回り開口部１ａを形成する。

　また、胴回り部材１０は、吸収性本体２０よりも幅方向における左側の外側（図２においてＬＬで示す破線より左側）に位置する左側延出部１０Ｌと、右側の外側（図２においてＲＬで示す破線より右側）に位置する右側延出部１０Ｒと、を有している。そして、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒの長手方向の中央部において幅方向の内側へ窪んだ部分が、吸収性本体２０の左右方向における両外側に、一対の脚回り開口部１ｂを形成する。

　パンツ型吸収性物品１は、胴回り部材１０が着用者の身体の前側（腹部）と後側（背中部）に当接して（着用者の胴回りに当接して）、主に胴回り部材１０の左右方向への伸縮（身体への締め付け）により、着用時に落下しないような構成である。したがって、胴回り部材１０に接合された吸収性本体２０は、着用者の股下部（吸収性本体２０が着用時に着用者の肌に当接する部分であり、下腹部から股間部を介して臀部（おしり）の仙骨部に至る部分）に当接した状態で胴回り部材１０により上下方向に支持される。

　すなわち、吸収性物品１は、腹部、背中部、及び股下部を備え、胴回り開口部、及び一対の脚回り開口部が形成されたパンツ型であり、胴回り部材の有する伸縮性シート等により、着用時に落下しないように支持されている。

　なお、「当接」とは、当たり接していることを意味し、「当接する」とは、部材の少なくとも一部が着用者に当接することを意味する。例えば、胴回り部材１０のうちの伸縮する部分が着用者と接して、伸縮しない部分が着用者と接していない状態は、胴回り部材１０が着用者に当接している状態である。

　また、前述した吸収性本体２０と胴回り部材１０等を接合する接合方法としては、例えば、接着剤、ヒートシール、超音波シール、これらの組み合わせ等、公知の接合方法を例示できる。

＜＜＜吸収性本体２０について＞＞＞
　次に、吸収性本体２０について図３乃至図７を用いて説明する。図３は、吸収性本体２０の平面図であり、図４は、図３の矢視Ａ－Ａであって、吸収性本体２０の断面模式図である。図５乃至図７については、後述する。

　本実施の形態に係る吸収性本体２０は、生理用の吸収性本体２０であり、所謂ナプキンである。つまり、吸収性本体２０は、液吸収性の吸収性コア２２を備えており、吸収性コア２２は、コアラップシート２２ａで外周面が覆われている。

　吸収性コア２２は、液体吸収性素材が所定の形状に成形されたものであり、本実施の形態においては、平面視で略矩形状（図３の斜線図）、断面視で凸部形状（図４の斜線部）に成形されている。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等が含有されたものを例示できる。コアラップシート２２ａとしては、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを例示できる。なお、コアラップシート２２ａはなくてもよい。

　吸収性本体２０は、吸収性コア２２に加えて、図４に示すように、吸収性コア２２よりも肌側に第１肌側シート２４ａと、第２肌側シート２４ｂと、温感剤２６と、を備えており、吸収性コア２２よりも非肌側には、長手方向に沿った股下糸ゴム３０（弾性部材に相当）と、非肌側シート２４ｃと、を備えている。

　また、吸収性本体２０は、サイドシート２４ｄを備えており、サイドシート２４ｄは、吸収性本体２０の幅方向における両端部において、厚さ方向において最も非肌側から第１肌側シート２４ａよりも肌側まで延出し、非肌側まで折り返すようにして設けられている。そして、サイドシート２４ｄの肌側まで延出した一部は、後述する立体ギャザー５０（防漏壁に相当）を形成している。つまり、吸収性本体２０の幅方向の両端部には、サイドシート２４ｄが形成する一対の立体ギャザー５０が設けられている。

　なお、立体ギャザー５０は、温感剤２６が外に漏れてしまうことを防ぐため、支点から頂点まで不織布が同数枚で構成されていることが好ましく、具体的には、２枚以上であることが好ましい。

　また、吸収性本体２０（吸収性コア２２）の肌側には、複数のヒンジ４０（圧搾溝に相当）が形成されている。

　第１肌側シート２４ａは、着用時において着用者の肌に接触し得る液透過性のシート部材であり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。第２肌側シート２４ｂは、第１肌側シート２４ａとほぼ同等の機能及び構成を有するシート部材であり、第１肌側シート２４ａの非肌側面に積層されている。

　すなわち、吸収性本体２０は、肌側シートとして、厚さ方向において最も肌側に位置する第１肌側シート２４ａと、厚さ方向において第１肌側シート２４ａと吸収性コア２２との間に位置する第２肌側シート２４ｂと、を備えている。なお、吸収性本体２０において、第２肌側シート２４ｂは必ずしも設けられていなくても良い。

　非肌側シート２４ｃは、液不透過性シートであればよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を例示できる。また、第１肌側シート２４ａ及び非肌側シート２４ｃの大きさは、吸収性コア２２の全体を覆う大きさである。

　サイドシート２４ｄは、着用時において着用者の肌に一部が接触するので、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。

　温感剤２６は、着用者の生理痛や冷え症状を緩和するために設けられており、着用者の温度感覚に刺激を与えることにより、刺激を受けた着用者が温かく感じる温感刺激剤を含み、揮発性の物質である溶媒と混合された状態で備えられている。

　そして、温感剤２６は、厚さ方向において、第１肌側シート２４ａと第２肌側シート２４ｂとの間（第１肌側シート２４ａの非肌側及び第２肌側シート２４ｂの肌側の少なくとも一方。本実施の形態においては、第１肌側シート２４ａの非肌側）に塗布されており（図４の黒塗り部）、着用者の肌と当接する場所には塗布されていない。本実施形態に係る温感剤２６は、気化して着用者の肌まで到達してその主たる温感効果を発揮する。なお、温感剤２６の気化については、後で詳しく説明する。

　また、温感剤２６は、吸収性コア２２に備えられていてもよい。すなわち、吸収性コア２２及び肌側シート（第１肌側シート２４ａと第２肌側シート２４ｂ）の少なくとも一方に、温感剤２６が備えられていればよい。

　温感刺激剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン（ＬＤ５０：４７ｍｇ／ｋｇ，分子量：３０５）、カプサイシノイド類（ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等）、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル（ＬＤ５０：２，１８８ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１３）、ニコチン酸β－ブトキシエチル、Ｎ－アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体（例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル（ＬＤ５０：４，９００ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１０）、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル）、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール（ＬＤ５０：２５０ｍｇ／ｋｇ，分子量：２９４）、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。

　溶媒は、温感刺激剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。溶媒は、温感刺激剤を、例えば、溶解、分散等することができる。

　親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油（例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ（カプリル／カプリン酸）グリセリル等）、炭化水素（例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン）等が挙げられる。

　親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。

　図５は、温感剤２６の塗布領域２６ｐと非塗布領域２６ｎを示した図である。図５に示すように、温感剤２６は、幅方向に所定の寸法を有し、長手方向に沿った一対の塗布領域２６ｐ（図５の斜線部）に塗布される。したがって、吸収性本体２０の幅方向における中央部には、長手方向に沿った温感剤２６が塗布されていない非塗布領域２６ｎが設けられる。

　本実施の形態においては、吸収性本体２０の幅方向における中央部に、幅寸法１５ｍｍの非塗布領域２６ｎが設けられており、非塗布領域２６ｎの幅方向における両外側に一対の塗布領域２６ｐが、幅寸法２５ｍｍで設けられている。また、塗布領域２６ｐ及び非塗布領域２６ｎは、吸収性本体２０の長手方向における前端から後端まで連続した領域である。

　次に、温感剤２６の気化について説明する。温感剤２６の溶媒は、温感刺激剤を含んだ状態で気化する。つまり、温感刺激剤を含んだ溶媒が気化して着用者の肌に到達し、到達した温感刺激剤が着用者の温度感覚に刺激を与える。すなわち、本実施の形態においては、温感剤２６が着用者の肌と直接的に当接していなくても、温感剤２６が気化することにより、気化した温感剤２６が着用者の肌と当接する。

　そして、このような溶媒の気化量は、着用者の体温の伝達等による温感剤２６の温度変化や、温感剤２６の位置する吸収性本体２０の伸縮動作の大小（大きく伸縮すると温感剤２６も大きく動いて気化量が増加する）によって増減する。つまり、温感剤２６への体温の伝わり具合（温感剤２６と着用者の肌の距離等）、温感剤２６の位置する吸収性本体２０の伸縮具合（弾性部材の有無等）等を調整することで気化量を調整することができる。すなわち、着用者が感じる温感刺激の強弱や、温感剤の効果が発揮される持続時間（溶媒が気化する時間）の長短を調整することが可能となる。

　図６は、股下糸ゴム３０により形成された弾性領域３０Ａを示した図である。股下糸ゴム３０は、吸収性本体２０を伸縮させることにより、吸収性本体２０を少なくとも着用者の股間部に沿わせるために設けられている。股下糸ゴム３０は、図６に示すように、吸収性本体２０を長手方向に３等分した際の真ん中となる領域ＭＡの少なくとも一部に弾性領域３０Ａ（図６の斜線部）を形成するように設けられる。

　本実施の形態においては、主に下腹部が当接する吸収性本体２０を長手方向に３等分した際の前側の領域ＦＡから、主に股間部が当接する吸収性本体２０を長手方向に３等分した際の真ん中となる領域ＭＡを介して、主に臀部が当接する吸収性本体２０を長手方向に３等分した際の後側の領域ＢＡまで長手方向に連続した股下糸ゴム３０が設けられている。

　また、本実施の形態に係る股下糸ゴム３０は、長手方向に同じ長さを有し、吸収性本体２０の幅方向において左右対称になるように、１２ｍｍピッチの等間隔で４つ並ぶように設けられている。つまり、図６に示すように、左から第１股下糸ゴム３１、第２股下糸ゴム３２、第３股下糸ゴム３３、第４股下糸ゴム３４の順番に並んでいる。

　そして、４つの股下糸ゴム３０（第１股下糸ゴム３１乃至第４股下糸ゴム３４）は、各々の股下糸ゴム３０の長手方向における両端３０ｅを長手方向の外縁とし、幅方向の最も外側に位置する両側の股下糸ゴム３０を幅方向の外縁（第１股下糸ゴム３１を左側外縁とし、第４股下糸ゴム３４を右側外縁）とした弾性領域３０Ａを形成している。

　また、股下糸ゴム３０は、連続した伸長状態で非肌側シート２４ｃに接合された後に、吸収性物品１毎に切断されるので、接合されていない部分の股下糸ゴム３０は、切断後に接合部に向かって収縮し、伸長していない状態の股下糸ゴム３０が設けられることとなる。つまり、股下糸ゴム３０の前側端においては、伸長していない状態の股下糸ゴム３０が設けられている。

　かかる部分は、股下糸ゴム３０が設けられていない部分よりも剛性が高いので、吸収性本体２０がカップ状（パンツ型において左右方向から見てＵ型状）に変形した後、吸収性本体２０のその形状を崩れにくくする。すなわち、パンツ型吸収性物品１において、例えば、上下方向の上側から吸収性本体２０を変形させるような力が加わった場合、伸長していない状態の股下糸ゴム３０が設けられている部分があれば、かかる部分は股下糸ゴム３０が無い部分よりも剛性が高くて変形しにくいので、吸収性本体２０の形状を崩れにくくすることが可能となる。

　なお、本実施の形態に係る股下糸ゴム３０は、吸収性コア２２よりも非肌側の非肌側シート２４ｃの非肌側に設けられているが、これに限るものではなく、例えば、非肌側シート２４ｃの肌側に設けてもよいし、非肌側だけではなく吸収性コア２２の肌側にも設けてもよい。

　また、吸収性本体２０を伸縮させる部材としては、股下糸ゴム３０に限るものではなく、伸縮性不織布や伸縮性フィルムを用いてもよい。

　ヒンジ４０は、着用者が吸収性物品１を着用した際に、吸収性本体２０が着用者の身体に沿って変形するように（変形の折り目となるように）設けられており、図４に示すように、吸収性本体２０（吸収性コア２２）の肌側において、肌側から非肌側へ窪んだ凹部形状をしている。

　本実施の形態に係るヒンジ４０の凹部形状は、温感剤２６が塗布された吸収性本体２０（吸収性コア２２）を肌側から圧搾することにより形成されている。つまり、ヒンジ４０は、吸収性コア２２の密度がその周囲の密度よりも高い圧搾溝である。

　本実施の形態においては、図３に示すように、吸収性コア２２の長手方向における前側端部であって、着用時に主に下腹部が当接する部分に、幅方向に所定の長さを有する前側ヒンジ４１が備えられている。前側ヒンジ４１は、主に吸収性本体２０が下腹部に沿うように設けられている。

　また、前側ヒンジ４１の長手方向の後側に間隔を置いて、複数の幅方向に一対のヒンジ４２が、所定の間隔を置いて設けられている。これら一対のヒンジ４２は、主に吸収性本体２０が股間部及び臀部に沿うように設けられている。

　なお、本実施の形態に係るヒンジ４０の凹部の深さは、一定ではなく、浅い部分や深い部分があり、このヒンジ４０の凹部の深さを調整することで、吸収性本体２０の変形具合を調整している。

　図７は、立体ギャザー５０と頂点部５０Ｓを示した図である。立体ギャザー５０は、着用者の太腿周りと当接して内側からの液漏れを抑制するために設けられている。つまり、立体ギャザー５０は、両脚にそれぞれ対応する一対の立体ギャザー５０として、吸収性本体２０の幅方向における両端部に設けられる。

　また、図７に示すように、一対の立体ギャザー５０は、展開状態の吸収性本体２０の幅方向における両端部の長手方向に沿って幅方向に倒れた状態で設けられており、着用時において、一対の立体ギャザー５０の少なくとも一部が肌側へ起立可能となるように設けられる。すなわち、一対の立体ギャザー５０は、展開状態においては、幅方向に倒れた状態であり、着用時（パンツ型に生成後）においては、起立して着用者の太腿周りと当接する。

　一対の立体ギャザー５０は、図４及び図７に示すように、幅方向における内側に長手方向に沿った頂点糸ゴム５２を有している。頂点糸ゴム５２は、展開状態において伸長された状態で設けられており、パンツ型の状態においては、収縮して一対の立体ギャザー５０の頂点糸ゴム５２が設けられた頂点部５０Ｓを肌側へ起立させる。すなわち、吸収性物品１の着用時において、一対の立体ギャザー５０のうち肌側へ起立する部分の頂点部５０Ｓが、着用者の肌と当接する。

　なお、一対の立体ギャザー５０の長手方向における前端部及び後端部には、立体ギャザー５０を固定するための接着剤が、それぞれ所定の接着剤領域５４に塗布されており、接着剤領域５４の立体ギャザー５０は起立しない。すなわち、一対の立体ギャザー５０の頂点糸ゴム５２が設けられた幅方向における内側の端部は、着用時において、図７に示す頂点部５０Ｓの範囲で肌側へ起立して着用者の肌と当接する。

＜＜＜塗布領域２６ｐの配置について＞＞＞
　次に、塗布領域２６ｐ（温感剤２６）の配置について説明する。前述した通り、吸収性本体２０における温感剤２６の位置により、着用者が感じる温感刺激の強弱や、温感剤２６の効果持続時間が異なる。

　以下では、塗布領域２６ｐと股下糸ゴム３０が形成する弾性領域３０Ａとの位置関係、塗布領域２６ｐと一対の立体ギャザー５０との位置関係、及び塗布領域２６ｐとヒンジ４０との位置関係について図８乃至図１０を用いて説明する。図８は、塗布領域２６ｐと弾性領域３０Ａの位置関係を示した図であり、図９は、塗布領域２６ｐと立体ギャザー５０の位置関係を示した図であり、図１０は、塗布領域２６ｐとヒンジ４０の位置関係を示した図である。

　塗布領域２６ｐと弾性領域３０Ａは、図８に示すように、厚さ方向に見たときに、重複している領域と、重複していない領域に分かれている。つまり、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐが、弾性領域３０Ａと重複する弾性重複領域２６ｐａ（図８の斜線部）と、弾性領域と重複しない弾性非重複領域２６ｐｂと、を有している。そして、本実施の形態においては、弾性非重複領域２６ｐｂが、弾性重複領域２６ｐａよりも大きい。

　そして、塗布領域２６ｐは、吸収性本体２０を長手方向に３等分した際の真ん中となる領域ＭＡにおいて弾性重複領域２６ｐａを有している。すなわち、真ん中となる領域ＭＡにおいて、厚さ方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、弾性領域３０Ａと重複している。

　また、少なくとも弾性非重複領域２６ｐｂの一部が、弾性領域３０Ａの幅方向における両外側と、弾性領域３０Ａの前側端よりも前側と、弾性領域３０Ａの後側端よりも後側と、にそれぞれ設けられている。すなわち、弾性非重複領域２６ｐｂは、平面視で略矩形の弾性領域３０Ａの四辺の外側にそれぞれ存在している。

　また、前述した通り、吸収性本体２０の幅方向における中央部には、長手方向に沿って温感剤２６が塗布されていない非塗布領域２６ｎが存在している。つまり、非塗布領域２６ｎは、弾性領域３０Ａの幅方向における中央部に位置し、非塗布領域２６ｎの幅方向における両外側においては、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐが、弾性領域３０Ａと重複している。

　塗布領域２６ｐと一対の立体ギャザー５０は、図９に示すように、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐ（温感剤２６）が、一対の頂点部５０Ｓの幅方向における内側に位置している。

　また、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐは、一対の立体ギャザー５０と重複しない。仮に、起立しない部分の立体ギャザー５０（例えば、接着剤領域５４）が温感剤２６と着用者の肌の間に介在すると、温感剤２６が着用者の身体から遠くなるのに加えて、接着剤領域５４等が、着用者の体温の伝達や、気化した温感剤２６の肌への到達を妨害する。

　つまり、接着剤領域５４等は、温感剤２６を設けても、その効果が低い領域であり、厚さ方向に見たときに、温感剤２６が、一対の立体ギャザー５０と重複しないことにより、温感剤２６の効果が低い領域を避けて温感剤２６を設けることができる。また、立体ギャザー５０の接着剤領域５４に塗られた接着剤と温感剤２６が混合することを抑制することができる。

　塗布領域２６ｐとヒンジ４０は、図１０に示すように、厚さ方向に見たときに、重複している領域と、重複していない領域に分かれている。つまり、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐが、ヒンジ４０と重複するヒンジ重複領域２６ｐｃ（図１０の黒塗り）と、ヒンジと重複しないヒンジ非重複領域２６ｐｄと、を有している。なお、ヒンジ重複領域２６ｐｃにおいて、温感剤２６は、ヒンジ４０の凹部の底面と側面に塗布されている。

＜＜＜本実施の形態に係る有効性について＞＞＞
　前述したとおり、本実施の形態に係る吸収性物品１は、液吸収性の吸収性コア２２と、厚さ方向において吸収性コア２２よりも肌側の肌側シート（第１肌側シート２４ａ及び第２肌側シート２４ｂ）と、を備えた吸収性本体２０を有する吸収性物品１であって、吸収性コア２２及び肌側シート（第１肌側シート２４ａ及び第２肌側シート２４ｂ）の少なくとも一方には、温感剤２６が備えられ、厚さ方向において吸収性コア２２よりも非肌側には、長手方向に沿った股下糸ゴム３０が備えられ、股下糸ゴム３０は、吸収性本体２０を長手方向に３等分した際の真ん中となる領域ＭＡの少なくとも一部に弾性領域３０Ａを形成しており、真ん中となる領域ＭＡにおいて、厚さ方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、弾性領域３０Ａと重複することとした。そのため、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　これに対し、本実施の形態に係る吸収性物品１は、吸収性本体２０の股下糸ゴム３０が、下腹部から股間部を介して臀部に至るまで弾性領域３０Ａを形成し、厚さ方向にみたときに、温感剤２６と弾性領域３０Ａが重複することとした。

　すなわち、弾性領域３０Ａは、着用者の身体に沿うように伸縮するので、弾性領域３０Ａと重複する温感剤２６は、着用者の肌に近づくことができ、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。また、弾性領域３０Ａの伸縮により、温感剤２６の揮発が促されて気化量が増大するので、温感剤２６の効果をより一層高めることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、長手方向に沿った所定の領域に温感剤２６が塗布された塗布領域２６ｐを有し、股下糸ゴム３０は、幅方向に並ぶように複数設けられ、複数の股下糸ゴム３０は、各々の股下糸ゴム３０の長手方向における両端３０ｅを長手方向の外縁とし、幅方向の最も外側に位置する両側の股下糸ゴム３０を幅方向の外縁とした弾性領域３０Ａを形成しており、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐが、弾性領域３０Ａと重複する弾性重複領域２６ｐａと、弾性領域と重複しない弾性非重複領域２６ｐｂと、を有していることとした。

　伸縮する弾性重複領域２６ｐａの温感剤２６は、身体に沿い、かつ、気化が促進されるので、温感効果が着用後の早い段階で発生する。これに対し、伸縮しない弾性非重複領域２６ｐｂの温感剤２６は、弾性重複領域２６ｐａの温感剤２６よりも、身体に沿わず（身体から遠く）、かつ、気化が促進されないので、温感効果が着用後からしばらくして発生して長い期間持続する。

　すなわち、弾性重複領域２６ｐａの温感剤２６が、着用後に速やかに効果を発揮し、弾性非重複領域２６ｐｂの温感剤２６が、着用後から期間をおいて効果を発揮する。つまり、このような温感剤２６の効果発生期間が異なる２つの領域にそれぞれ温感剤２６を設けることにより、温感剤２６の効果を長く持続させること可能となる。

　また、本実施の形態においては、弾性非重複領域２６ｐｂが、弾性重複領域２６ｐａよりも、大きいこととした。

　すなわち、温感効果が長期間持続する弾性非重複領域２６ｐｂが、弾性重複領域２６ｐａよりも大きいので、温感剤２６の効果をより一層長く持続させることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、弾性非重複領域２６ｐｂが、弾性領域３０Ａの幅方向における両外側に設けられていることとした。

　つまり、弾性領域３０Ａの幅方向における両外側に位置する着用者の左右の太腿部において、温感剤２６の効果を高めて長く持続させることが可能となる。すなわち、太腿部における鼠蹊部のリンパ節を温めることができるので、リンパの流れを促進する効果が期待できる。

　また、本実施の形態においては、弾性領域３０Ａの前側端の前側に、少なくとも弾性非重複領域２６ｐｂの一部が設けられていることとした。

　つまり、弾性領域３０Ａの前側端の前側に位置する着用者の下腹部において、温感剤２６の効果を高めて長く持続させることが可能となる。すなわち、下腹部を温めることができるので、生理痛を緩和する効果が期待できる。

　また、本実施の形態においては、弾性領域３０Ａの後側端の後側に、少なくとも弾性非重複領域２６ｐｂの一部が設けられていることとした。

　つまり、弾性領域３０Ａの後側端の後側に位置する着用者の仙骨部において、温感剤２６の効果を高めて長く持続させることが可能となる。すなわち、仙骨部を温めることができるので、生理痛を緩和する効果が期待できる。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０の幅方向における両端部には、長手方向に沿った一対の立体ギャザー５０が設けられており、一対の立体ギャザー５０の少なくとも一部は肌側へ起立可能であり、吸収性物品１の着用時において、一対の立体ギャザー５０のうち肌側へ起立する部分の頂点部５０Ｓが、着用者の肌と当接することとした。

　すなわち、一対の立体ギャザー５０は、液体の漏れを抑制する脚回り開口部１ｂの蓋として機能するだけではなく、内側の温められた空気等の脚回り開口部１ｂの蓋としても機能し、股下部に気化した温感剤２６を密閉するような空間を形成するので、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、厚さ方向に見たときに、温感剤２６が、頂点部５０Ｓの幅方向における内側に位置することとした。

　温感剤２６が、頂点部５０Ｓの幅方向の外側に位置していると、気化した温感剤２６は、立体ギャザー５０によって直接的に着用者の肌まで到達しにくくなる。これに対し、温感剤２６が、頂点部５０Ｓの幅方向の内側に位置していれば、気化した温感剤２６が、直接的に着用者の肌まで到達するので、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性コア２２には、吸収性コア２２の密度がその周囲の密度よりも高いヒンジ４０が設けられており、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐが、ヒンジ４０と重複するヒンジ重複領域２６ｐｃと、ヒンジ４０と重複しないヒンジ非重複領域２６ｐｄと、を有していることとした。

　ヒンジ重複領域２６ｐｃは、ヒンジ非重複領域２６ｐｄより身体から遠くて体温が伝わりにくい。したがって、ヒンジ重複領域２６ｐｃ（ヒンジ非重複領域２６ｐｄ）は、温感効果が、ヒンジ非重複領域２６ｐｄ（ヒンジ重複領域２６ｐｃ）より、着用後に時間を置いて（速やか）に発生する。すなわち、このような温感剤２６の効果発生期間が異なる２つの領域に温感剤２６を設けることにより、温感剤２６の効果を長く持続させること可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０の幅方向における中央部には、長手方向に沿った温感剤２６が塗布されていない非塗布領域２６ｎが設けられていることとした。

　温感剤２６のような刺激物が生理中で敏感になっている膣口を刺激すると、着用者は、その温感剤２６の刺激を痛みとして感じ易い。そして、吸収性本体２０の幅方向における中央部は、着用者の股間部における膣口に当接する。

　すなわち、吸収性本体２０の幅方向における中央部を非塗布領域２６ｎとすることにより、温感剤２６による膣口への刺激が抑えられるので、温感剤２６による痛みを緩和して低減することが可能となる。また、膣口と当接するような吸収性本体２０（吸収性コア２２）の部分に温感剤２６が塗布されていると、塗布層が経血の吸収を妨害することとなり、吸収力が低下することとなる。すなわち、膣口と当接する部分を非塗布領域２６ｎとすることにより、吸収力低下を抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、非塗布領域２６ｎの幅方向における両外側においては、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐが、弾性領域３０Ａと重複することとした。

　つまり、膣口の周辺部の温感剤２６が股下糸ゴム３０により伸縮するので、当該部の温感剤２６が身体に沿い、かつ、気化が促進される。すなわち、膣口への刺激を抑制しつつ、膣口の周辺部において、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０は、肌側シートとして、厚さ方向において最も肌側に位置する第１肌側シート２４ａと、厚さ方向において第１肌側シート２４ａと吸収性コア２２との間に位置する第２肌側シート２４ｂと、を備えており、温感剤２６が、第１肌側シート２４ａの非肌側及び第２肌側シート２４ｂの少なくとも一方に備えられていることとした。

　吸収性物品１の内表面に温感剤２６を設けると、温感剤２６が着用者に直接的に接するので、着用者への刺激が強すぎて、着用者の肌に赤み、かゆみ、又はかぶれ等を発生させる肌トラブルの原因となり得る。また、吸収性物品１の外表面に温感剤２６を設けると、非肌側シート２４ｃが気体を透過させるものであっても、温感剤２６が着用者の肌から遠すぎて、温感剤２６の効果が十分に発揮されない。

　これに対し、本実施の形態においては、温感剤２６と着用者の肌とが直接的に当接しないようにしつつ、最も着用者の肌と近い第１肌側シート２４ａの非肌側に塗布することとした。すなわち、温感剤２６の厚さ方向における不適切な位置（内表面及び外表面）を避けることができ、着用者の肌にも近いので、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性物品１は、腹部、背中部、及び股下部を備え、胴回り開口部１ａ、及び一対の脚回り開口部１ｂが形成されたパンツ型吸収性物品１であることとした。

　すなわち、パンツ型吸収性物品１は、例えば、着脱式（下着に取り付けるタイプ）の吸収性物品よりも、吸収性本体２０が着用者の身体の適切な位置で着用されるので、温感剤２６の効果をより一層高めることが可能となる。

＝＝＝その他の実施形態＝＝＝
　上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。

　また、上記実施の形態においては、吸収性物品１がパンツ型であったが、これに限るものではない。例えば、着脱式の生理用ナプキン、所謂おりものシート（例えばパンティライナー）、吸収パッド等であってもよい。

　また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤２６を用いていたが、温感剤２６に限るものではなく、例えば、冷感剤を用いてもよい。冷感剤を用いた場合には、着用者の蒸れやべたつきによる不快感を低減することが可能となる。

　つまり、冷感剤（温感剤２６）を備えた吸収性物品１によると、揮発性物質が、冷感剤（温感剤２６）以外の場合に比べて、着用者の冷感効果（温感効果）を高めることが可能となる。

　なお、上記で説明した温感剤２６が気化して効果を発揮する仕組み（メカニズム）については、冷感剤や後述する香料においても同様であるので、これらの説明については省略する。

　冷感剤の例としては、メントール（例えば、ｌ－メントール）及びその誘導体（例えば、乳酸メンチル）、サリチル酸メチル、カンファー、植物（例えば、ミント、ユーカリ）由来の精油等が挙げられる。

　また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤２６を用いていたが、温感剤２６に限るものではなく、例えば、香料を用いても良い。香料は、温感剤２６の代わりに用いても良いし、温感剤２６と一緒に用いても良い。香料としては、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを用いることができる。

　なお、香料として、特にグリーンハーバル調の香料（グリーンハーバル様香気）を用いた場合には、特に精神的な不快症状を身体に物理的刺激を与えることなく、また、経口投与にもよらず、安全かつ簡便に緩和させることが可能になる。これに加え、快適感も得られる。

　グリーンハーバル様香気は、グリーン様香気（グリーンノート）又はハーバル様香気（ハーバルノート）を含む香調である。グリーン様香気とは、草や若葉のすがすがしい香調をいう。ハーバル様香気（ハーバルノート）とは、ハーブを用いた自然で、薬草的な香り立ちが特徴の香調をいう。

　グリーンハーバル様香気を有する香料を含有する香料組成物は、シス-３-ヘキセノール、ギ酸シス-３-ヘキセニル、酢酸シス-３-ヘキセニル、プロピオン酸シス-３-ヘキセニル、酪酸シス-３-ヘキセニル、トランス-２-ヘキセナール、酢酸トランス-２-ヘキセニル、酢酸ヘキシル、酢酸スチラリル、２-メチル-３-（３，４-メチレンジオキシフェニル）-プロパナール（ＩＦＦ社名、ヘリオナール）、３（４）-（５-エチルビシクロ［２，２，１］ヘプチル-２）-シクロヘキサノール、２-ペンチロキシグリコール酸アリル（ＩＦＦ社名、アリルアミルグリコレート）、４-メチル-３-デセン-５-オール（Ｇｉｖａｕｄａｎ社名、ウンデカベルトール）、ヘキシルアルデヒド、２，４-ジメチル-３-シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド（ＩＦＦ社名、トリプラール）及びフェニルアセトアルデヒドより選択される１種又は２種以上の香料を含有することが好ましい。これらの香料として市販品を用いることもできる。これらが含まれる香料は主にグリーン様香気を生ずるものである。

　グリーンハーバル様香気を有する香料を含有する香料組成物は、更に、ｌ-メントール、１，８-シネオール、サリチル酸メチル、シトロネラール、カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、酢酸ターピニル、オイゲノール、アネトール、４-メトキシベンジルアルコール及びエストラゴールより選択される１種又は２種以上の香料を含有することが好ましい。これらが含まれる香料は、主として、ハーバル様香気を生ずるものである。

　なお、冷感剤や温感剤２６は、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激するものが好ましい。これらにより低温火傷や火傷することなく、冷たさや暖かさを感じることができる。

１　吸収性物品、１ａ　胴回り開口部、１ｂ　脚回り開口部
１０　胴回り部材、１０ｆ　前側胴回り部材、１０ｆｅ　前側接合部
１０ｆｆ　胴回り前端部、１０ｂ　後側胴回り部材、１０ｂｅ　後側接合部
１０ｂｆ　胴回り後端部、１０Ｌ　左側延出部、１０Ｒ　右側延出部
２０　吸収性本体、２２　吸収性コア、２２ａ　コアラップシート
２４ａ　第１肌側シート、２４ｂ　第２肌側シート
２４ｃ　非肌側シート、２４ｄ　サイドシート
２６　温感剤（揮発性物質）、２６ｐ　塗布領域、２６ｎ　非塗布領域
２６ｐａ　弾性重複領域、２６ｐｂ　弾性非重複領域
２６ｐｃ　ヒンジ重複領域（圧搾溝重複領域）
２６ｐｄ　ヒンジ非重複領域（圧搾溝非重複領域）
３０　股下糸ゴム（弾性部材）、３０Ａ　弾性領域、３０ｅ　両端
３１　第１股下糸ゴム、３２　第２股下糸ゴム
３３　第３股下糸ゴム、３４　第４股下糸ゴム
４０　ヒンジ（圧搾溝）、４１　前側ヒンジ、４２　一対のヒンジ
５０　立体ギャザー（防漏壁）、５０Ｓ　頂点部、５２　頂点糸ゴム、５４　接着剤領域
ＣＬ　中心折線、ＦＡ　前側の領域、ＭＡ　真ん中となる領域、ＢＡ　後側の領域

Claims

　展開状態において互いに交差する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
　液吸収性の吸収性コアと、
　前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも肌側の肌側シートと、を備えた吸収性本体を有する吸収性物品であって、
　前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、揮発性物質が備えられ、
　前記厚さ方向において前記吸収性コアよりも非肌側には、前記長手方向に沿った弾性部材が備えられ、
　前記弾性部材は、前記吸収性本体を前記長手方向に３等分した際の真ん中となる領域の少なくとも一部に弾性領域を形成しており、
　前記真ん中となる領域において、前記厚さ方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記弾性領域と重複することを特徴とする吸収性物品。
　請求項１に記載の吸収性物品であって、
　前記長手方向に沿った所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、
　前記弾性部材は、前記幅方向に並ぶように複数設けられ、
　複数の前記弾性部材は、各々の前記弾性部材の前記長手方向における両端を前記長手方向の外縁とし、前記幅方向の最も外側に位置する両側の前記弾性部材を前記幅方向の外縁とした前記弾性領域を形成しており、
　前記厚さ方向に見たときに、前記塗布領域が、前記弾性領域と重複する弾性重複領域と、前記弾性領域と重複しない弾性非重複領域と、を有していることを特徴とする吸収性物品。
　請求項２に記載の吸収性物品であって、
　前記弾性非重複領域が、前記弾性重複領域よりも、大きいことを特徴とする吸収性物品。
　請求項２又は請求項３に記載の吸収性物品であって、
　前記弾性非重複領域が、前記弾性領域の前記幅方向における両外側に設けられていること特徴とする吸収性物品。
　請求項２乃至請求項４のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記長手方向において、前記弾性領域の前側端よりも前側に、少なくとも前記弾性非重複領域の一部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
　請求項２乃至請求項５のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記長手方向において、前記弾性領域の後側端よりも後側に、少なくとも前記弾性非重複領域の一部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
　請求項１乃至請求項６のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記吸収性本体の前記幅方向における両端部には、前記長手方向に沿った一対の防漏壁が設けられており、
　前記一対の防漏壁の少なくとも一部は肌側へ起立可能であり、
　前記吸収性物品の着用時において、前記一対の防漏壁のうち肌側へ起立する部分の頂点部が、着用者の肌と当接することを特徴とする吸収性物品。
　請求項７に記載の吸収性物品であって、
　前記厚さ方向に見たときに、前記揮発性物質が、前記頂点部の前記幅方向における内側に位置することを特徴とする吸収性物品。
　請求項１乃至請求項８のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記長手方向に沿った所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、
　前記吸収性コアには、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度よりも高い圧搾溝が設けられており、
　前記厚さ方向に見たときに、前記塗布領域が、前記圧搾溝と重複する圧搾溝重複領域と、前記圧搾溝と重複しない圧搾溝非重複領域と、を有していることを特徴とする吸収性物品。
　請求項１乃至請求項９のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記吸収性本体の前記幅方向における中央部には、前記長手方向に沿った前記揮発性物質が塗布されていない非塗布領域が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
　請求項１０に記載の吸収性物品であって、
　前記長手方向に沿った所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、
　前記弾性部材は、前記幅方向に並ぶように複数設けられ、
　複数の前記弾性部材は、各々の前記弾性部材の前記長手方向における両端を前記長手方向の外縁とし、前記幅方向の最も外側に位置する両側の前記弾性部材を前記幅方向の外縁とした前記弾性領域を形成しており、
　前記非塗布領域は、前記弾性領域の前記幅方向における中央部に位置し、
　前記非塗布領域の前記幅方向における両外側においては、前記厚さ方向に見たときに、前記塗布領域の少なくとも一部が、前記弾性領域と重複することを特徴とする吸収性物品。
　請求項１乃至請求項１１のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、前記肌側シートとして、前記厚さ方向において最も肌側に位置する第１肌側シートと、
　前記厚さ方向において前記第１肌側シートと前記吸収性コアとの間に位置する第２肌側シートと、を備えており、
　前記揮発性物質が、前記第１肌側シートの非肌側及び前記第２肌側シートの肌側の少なくとも一方に備えられていることを特徴とする吸収性物品。
　請求項１乃至請求項１２のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記吸収性物品は、腹部、背中部、及び股下部を備え、胴回り開口部、及び一対の脚回り開口部が形成されたパンツ型吸収性物品であることを特徴とする吸収性物品。
　請求項１乃至請求項１３のいずれか１つに記載の吸収性物品であって、
　前記揮発性物質が、温感剤又は冷感剤であることを特徴とする吸収性物品。