WO2020255534A1 - パンツ型吸収性物品 - Google Patents

Abstract

液吸収性の吸収性コア（２２）と、吸収性コア（２２）よりも肌側に設けられた肌側シート（２４ａ、２４ｂ）と、を備えた吸収性本体（２０）と、吸収性本体（２０）の非肌側に重ねて配置された、左右方向に伸縮する胴回り部材（１０）と、を有するパンツ型吸収性物品（１）であって、吸収性コア（２２）及び前記肌側シート（２４ａ、２４ｂ）の少なくとも一方には、揮発性物質（２６）が設けられ、パンツ型吸収性物品（１）は、左右方向に沿った縦折線（ＢＬ）を折り目として、上下方向に折り畳まれた状態で包装され、パンツ型吸収性物品（１）を上下方向に折り畳む前の状態において、揮発性物質（２６）の少なくとも一部が、縦折線（ＢＬ）よりも下側に設けられていることを特徴とする。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。

　液吸収性の吸収性コアを備えた吸収性本体と、着用者等が感じる不快感を低減するための揮発性物質と、が設けられたパンツ型吸収性物品（以下、単に吸収性物品ともいう）は、既によく知られている。

　例えば、特許文献１においては、吸収性物品に嗅覚を刺激する香料を揮発性物質として設けて、不快な臭気を低減した吸収性物品が開示されている。

特開２０１８－１０２６１２号公報

　揮発性物質を備えた吸収性物品においては、着用時において揮発性物質が気化して排出されてしまい、十分な揮発性物質の効果が発揮できない恐れがあった。

　本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、気化した揮発性物質の排出を抑制することにある。

　上記目的を達成するための主たる発明は、上下方向と左右方向と前後方向とを有し、液吸収性の吸収性コアと、前記吸収性コアよりも肌側に設けられた肌側シートと、を備えた吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、を有するパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、揮発性物質が設けられ、前記パンツ型吸収性物品は、前記左右方向に沿った縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれた状態で包装され、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記縦折線よりも下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品である。

　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　本発明によれば、気化した揮発性物質の排出を抑制することにある。

パンツ型吸収性物品１の概略斜視図である。 展開状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図である。 吸収性本体２０の平面図である。 図３の矢視Ａ－Ａであって、吸収性本体２０の断面模式図である。 塗布領域２６ｐと非塗布領域２６ｎを示した図である。 パンツ型吸収性物品１の正面図に縦折線ＢＬ、左側折線ＬＢ、及び右側折線ＲＢを示した正面模式図である。 上図は、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒを内側に折り畳んだパンツ型吸収性物品１の平面模式図であり、下図は、矢視Ｂ－Ｂの断面模式図である。 左図は、縦折線ＢＬを折り目として上下方向に折り畳んだパンツ型吸収性物品１の平面模式図であり、右図は、吸収性本体２０を右側から見たときの側面模式図である。 吸収性本体２０における縦折線ＢＬの位置を示した吸収性本体２０の平面図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

　上下方向と左右方向と前後方向とを有し、液吸収性の吸収性コアと、前記吸収性コアよりも肌側に設けられた肌側シートと、を備えた吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、を有するパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、揮発性物質が設けられ、前記パンツ型吸収性物品は、前記左右方向に沿った縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれた状態で包装され、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記縦折線よりも下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、気化した揮発性物質の排出を抑制することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記揮発性物質が、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激する温感剤又は冷感剤であることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、温感剤又は冷感剤が不織布を介して着用者の皮膚と接触するので、着用者は徐々に温感剤又は冷感剤の効果を肌で感じることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記上下方向に沿った前記吸収性本体の所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記縦折線よりも上側の前記吸収性本体の前記塗布領域が、前記縦折線よりも下側の前記吸収性本体の前記塗布領域よりも、小さいことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、半分を超える塗布領域に対して、縦折線の折り目が包装状態において胴回り開口部の蓋として機能することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記縦折線は、前記吸収性本体の上側端よりも下側に位置しており、包装状態において、前記吸収性本体の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体に縦折線に沿った折り癖を形成しつつ、上下方向にしっかりと折り畳むことができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれた状態において、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記縦折線と重複して設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、折り癖の形状による温感効果を着用者に与えることが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態における前記吸収性本体の後側上端部の非肌側面が、前記縦折線より下側、かつ、前後の後側の前記吸収性本体の非肌側面と対向するように、前記吸収性本体が前記上下方向に折り畳まれていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、仙骨部において揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態における前記吸収性本体の前側上端部と、前記吸収性本体の前記後側上端部とが、厚さ方向に重ね合された状態で、前記吸収性本体の前記後側上端部の非肌側面が、前記縦折線より下側、かつ、前後の後側の前記吸収性本体の非肌側面と対向するように、前記吸収性本体が前記上下方向に折り畳まれていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、後側又は前側の吸収性本体のみを上下方向に折り畳む場合に比べて、剛性が上がった状態で上下方向に折り畳まれるので、上下方向にしっかりと折り畳むことができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前記吸収性本体の左側端よりも左側に位置する左側延出部と、前記吸収性本体の右側端よりも右側に位置する右側延出部と、を有し、前記パンツ型吸収性物品は、前記左側延出部の少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての左側折線と、前記右側延出部の少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての右側折線と、を有し、前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記前後方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記左側折線を折り目として折り畳まれた前記左側延出部、及び前記右側折線を折り目として折り畳まれた前記右側延出部の少なくとも一方と重複していることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前後方向における気化した揮発性物質の排出を抑制することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記左側折線を折り目として折り畳まれた前記左側延出部、及び前記右側折線を折り目として折り畳まれた前記右側延出部の少なくとも一方が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれ、包装状態において、前記前後方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記上下方向に折り畳まれた前記左側延出部及び前記右側延出部の少なくとも一方と重複していることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、前後方向における気化した揮発性物質の排出をより一層抑制することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記左右方向における両側に、一対の脚回り開口部を有し、包装状態において、前記一対の脚回り開口部の少なくとも一部が、前記上下方向において、前記左側延出部及び前記右側延出部の少なくとも一方と重複することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、気化した揮発性物質が脚回り開口部から排出されるのを抑制することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体の前記左右方向における両端部には、一対の防漏壁が、前記上下方向に沿って設けられており、前記一対の防漏壁は、それぞれの前側上端部と後側上端部に、前記一対の防漏壁を固定するための接合領域を有し、包装状態において、前記接合領域の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、上下方向にしっかりと折り畳むことができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コアには、前記吸収性コアの密度がその周囲よりも高い圧搾溝が設けられており、包装状態において、前記圧搾溝の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、上下方向にしっかりと折り畳むことができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体の前記左右方向における中央部には、前記上下方向に沿って弾性部材が備えられており、包装状態において、前記弾性部材が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれないことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、弾性部材の伸縮機能への悪影響を抑制することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記肌側シートとして、最も肌側に位置する第１肌側シートと、前記第１肌側シートと前記吸収性コアとの間に位置する第２肌側シートと、を備えており、前記揮発性物質が、前記第１肌側シートの非肌側及び前記第２肌側シートの肌側の少なくとも一方に備えられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、揮発性物質の厚さ方向における不適切な位置を避けることができ、着用者の肌にも近いので、揮発性物質の効果を高めることが可能となる。

＝＝＝第１実施形態＝＝＝
　第１実施形態に係る揮発性物質を備えた吸収性物品の一例として、後述する温感剤２６（揮発性物質に相当）を備えたパンツ型吸収性物品１について説明する。なお、以下の説明では生理用の吸収性物品１について説明するが、本実施形態の吸収性物品１には、例えば、大人用、乳児用のおむつ等も含まれており、生理用に用途が限定されるものではない。

　図１は、パンツ型吸収性物品１の概略斜視図であり、図２は、展開状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図である。

　図１に示すパンツ型状態において、吸収性物品１は、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」を有している。そして、図１における紙面の縦方向を上下方向として紙面の上側（下側）を上下方向の「上」（「下」）とし、左右方向においては、紙面の左側（右側）を左右方向の左（右）とする。また、前後方向においては、着用する際に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。

　図２に示す吸収性物品１の展開状態（パンツ型吸収性物品１がパンツ型に成形される前の平面上に広がった状態）において、吸収性物品１は、互いに交差する「長手方向」と「幅方向」と「厚さ方向」とを有している。そして、図２における紙面の縦方向を長手方向として、紙面の上側（下側）を長手方向の「前（腹側）」（「後（背側）」）とし、長手方向と紙面上で直交する方向を幅方向として紙面の左側（右側）を幅方向の左（右）とする。また、長手方向及び幅方向と直交する方向（紙面を貫通する方向）を厚さ方向とし、厚さ方向においては、着用者の肌と当接する側を「肌側」、その逆側を「非肌側」とする。

　なお、本実施の形態に係る平面図（例えば、図２）は、対象物の伸長状態を示している。ここで「伸長状態」とは、吸収性物品１が備える各弾性体（例えば、後述する股下糸ゴム３０、伸縮性シート等）を伸長させることにより、平面図に示す部材を皺なく伸長させた状態である。例えば、図２においては、吸収性物品１を構成する後述する胴回り部材１０と吸収性本体２０の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことを言う。

　本実施の形態に係る吸収性物品１は、胴回り部材１０と、吸収性本体２０とを備えており、以下では、先ず、胴回り部材１０と吸収性物品１をパンツ型に生成する過程について説明する。そして、吸収性本体２０については、後に項を設けて説明する。なお、本実施の形態においては、吸収性本体２０に温感剤２６が備えられている。

　胴回り部材１０は、図２に示すように、展開状態において、平面視で略砂時計形状をしている。つまり、長手方向の中央部が幅方向の内側へ窪んでおり、この窪んだ部分は、パンツ型に成形されると、図１に示す一対の脚回り開口部１ｂを形成する。また、胴回り部材１０は、幅方向に伸縮するように不図示の伸縮性シートを備えている。そのため、パンツ型吸収性物品１の胴回り部材１０は、左右方向に伸縮する。

　また、胴回り部材１０は、長手方向において吸収性物品１の中心に位置する中心折線ＣＬより前側の前側胴回り部材１０ｆと後側の後側胴回り部材１０ｂを有している。そして、前側胴回り部材１０ｆ（後側胴回り部材１０ｂ）は、前側（後側）の端部において幅方向に沿った胴回り前端部１０ｆｆ（胴回り後端部１０ｂｆ）と、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った前側接合部１０ｆｅ（後側接合部１０ｂｅ）（共に図２の斜線図）を有している。

　吸収性物品１をパンツ型に生成する過程においては、先ず、展開状態の胴回り部材１０の所定の位置に吸収性本体２０を配置して、展開状態の吸収性物品１を生成する。つまり、吸収性本体２０の非肌側の面を接合面とし、当該接合面を展開状態の胴回り部材１０の所定の位置に載置して接合する。すなわち、胴回り部材１０は、厚さ方向において吸収性本体２０の非肌側に重ねて配置される。

　そして、展開状態の吸収性本体２０と胴回り部材１０が、長手方向に折り曲げられる。すなわち、図２に示す中心折線ＣＬを折り目として、前側胴回り部材１０ｆの肌側と、後側胴回り部材１０ｂの肌側と、が向かい合わせになるように、吸収性本体２０と胴回り部材１０が、長手方向に折り曲げられる。

　そうしたら、胴回り部材１０の前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅが近づくので、左右の前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅをそれぞれ接合する。

　つまり、胴回り部材１０の左右両端部が長手方向に沿って接合されるので、胴回り前端部１０ｆｆと胴回り後端部１０ｂｆが胴回り部材１０の上側に胴回り開口部１ａを形成する。

　また、胴回り部材１０は、吸収性本体２０よりも幅方向における左側の外側（図２においてＬＬで示す破線より左側）に位置する左側延出部１０Ｌと、右側の外側（図２においてＲＬで示す破線より右側）に位置する右側延出部１０Ｒと、を有している。

　パンツ型吸収性物品１は、胴回り部材１０が着用者の身体の前側（腹部）と後側（背中部）に当接して（着用者の胴回りに当接して）、主に胴回り部材１０の左右方向への伸縮（身体への締め付け）により、着用時に落下しないような構成である。したがって、胴回り部材１０に接合された吸収性本体２０は、着用者の股下部（吸収性本体２０が着用時に着用者の肌に当接する部分であり、下腹部から股間部を介して臀部（おしり）の仙骨部に至る部分）に当接した状態で胴回り部材１０により上下方向に支持される。

　すなわち、吸収性物品１は、腹部、背中部、及び股下部を備え、胴回り開口部１ａ、及び一対の脚回り開口部１ｂが形成されたパンツ型であり、胴回り部材１０の有する伸縮性シート等により、着用時に落下しないように支持されている。

　なお、「当接」とは、当たり接していることを意味し、部材の少なくとも一部が着用者に当接していれば、当該部材は着用者に当接している状態となる。例えば、胴回り部材１０のうちの伸縮する部分が着用者と接して、伸縮しない部分が着用者と接していない状態は、胴回り部材１０が着用者に当接している状態である。

　また、前述した吸収性本体２０と胴回り部材１０等を接合する接合方法としては、例えば、接着剤、ヒートシール、超音波シール、これらの組み合わせ等、公知の接続方法を例示できる。

＜＜＜吸収性本体２０について＞＞＞
　次に、吸収性本体２０について図３乃至図５を用いて説明する。図３は、吸収性本体２０の平面図であり、図４は、図３の矢視Ａ－Ａであって、吸収性本体２０の断面模式図である。図５については、後述する。

　本実施の形態に係る吸収性本体２０は、生理用の吸収性本体２０であり、所謂ナプキンである。つまり、吸収性本体２０は、液吸収性の吸収性コア２２を備えており、吸収性コア２２は、コアラップシート２２ａで外周面が覆われている。

　吸収性コア２２は、液体吸収性素材が所定の形状に成形されたものであり、本実施の形態においては、平面視で略矩形状（図３の斜線図）、断面視で凸部形状（図４の斜線部）に成形されている。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等が含有されたものを例示できる。コアラップシート２２ａとしては、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを例示できる。なお、コアラップシート２２ａはなくてもよい。

　吸収性本体２０は、吸収性コア２２に加えて、図４に示すように、吸収性コア２２よりも肌側に第１肌側シート２４ａと、第２肌側シート２４ｂと、温感剤２６と、を備えており、吸収性コア２２よりも非肌側には、長手方向に沿った股下糸ゴム３０（弾性部材に相当）と、非肌側シート２４ｃと、を備えている。

　また、吸収性本体２０は、サイドシート２４ｄを備えており、サイドシート２４ｄは、吸収性本体２０の幅方向における両端部において、厚さ方向において最も非肌側から第１肌側シート２４ａよりも肌側まで延出し、非肌側まで折り返すようにして設けられている。そして、サイドシート２４ｄの肌側まで延出した一部は、後述する立体ギャザー５０（防漏壁に相当）を形成している。つまり、吸収性本体２０の幅方向の両端部には、サイドシート２４ｄが形成する一対の立体ギャザー５０が上下方向に沿って設けられている。

　また、吸収性本体２０（吸収性コア２２）の肌側には、複数のヒンジ４０（圧搾溝に相当）が形成されている。

　なお、立体ギャザー５０は、温感剤２６が外に漏れてしまうことを防ぐため、支点５０Ｂから頂点５０Ｓまで不織布が同数枚で構成されていることが好ましく、具体的には、２枚以上であることが好ましい。

　第１肌側シート２４ａは、着用時において着用者の肌に接触し得る液透過性のシート部材であり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。第２肌側シート２４ｂは、第１肌側シート２４ａとほぼ同等の機能及び構成を有するシート部材であり、第１肌側シート２４ａの非肌側面に積層されている。

　すなわち、吸収性本体２０は、肌側シートとして、最も肌側に位置する第１肌側シート２４ａと、第１肌側シート２４ａと吸収性コア２２との間に位置する第２肌側シート２４ｂと、を備えている。なお、吸収性本体２０において、第２肌側シート２４ｂは必ずしも設けられていなくても良い。

　非肌側シート２４ｃは、液不透過性シートであればよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を例示できる。また、第１肌側シート２４ａ及び非肌側シート２４ｃの大きさは、吸収性コア２２の全体を覆う大きさである。

　サイドシート２４ｄは、着用時において着用者の肌に一部が接触するので、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。

　温感剤２６は、着用者の生理痛や冷え症状を緩和するために設けられており、着用者の温度感覚に刺激を与えることにより、刺激を受けた着用者が温かく感じる温感刺激剤を含み、揮発性の物質である溶媒と混合された状態で備えられている。

　そして、温感剤２６は、厚さ方向において、第１肌側シート２４ａと第２肌側シート２４ｂとの間（第１肌側シート２４ａの非肌側及び第２肌側シート２４ｂの肌側の少なくとも一方。本実施の形態においては、第１肌側シート２４ａの非肌側）に塗布されており（図４の黒塗り部）、着用者の肌と当接する場所には塗布されていない。本実施形態に係る温感剤２６は、気化して着用者の肌まで到達してその主たる温感効果を発揮する。なお、温感剤２６の気化については、後で詳しく説明する。

　また、温感剤２６は、吸収性コア２２に備えられていてもよい。すなわち、吸収性コア２２及び肌側シート（第１肌側シート２４ａと第２肌側シート２４ｂ）の少なくとも一方に、温感剤２６が備えられていればよい。

　温感刺激剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン（ＬＤ５０：４７ｍｇ／ｋｇ，分子量：３０５）、カプサイシノイド類（ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等）、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル（ＬＤ５０：２，１８８ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１３）、ニコチン酸β－ブトキシエチル、Ｎ－アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体（例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル（ＬＤ５０：４，９００ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１０）、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル）、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール（ＬＤ５０：２５０ｍｇ／ｋｇ，分子量：２９４）、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。

　溶媒は、温感刺激剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。溶媒は、温感刺激剤を、例えば、溶解、分散等することができる。

　親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油（例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ（カプリル／カプリン酸）グリセリル等）、炭化水素（例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン）等が挙げられる。

　親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。

　なお、温感剤２６は、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激するものが好ましい。例えば、温度感受性ＴＲＰチャネルの１つであるＴＲＰＶ１は、カプサイシン、酸等の刺激により活性化される。そして、着用者のＴＲＰＶ１が活性化されると、交換神経系を介して産熱が引き起こされる（着用者が体内で熱を作り出す）。

　つまり、携帯用使い捨てカイロのようにそれ自身が高温になって着用者を温めるのではなく、カプサイシン等のようにそれ自身が高温になることなく着用者を温めるのがよい。そうすると、着用者は、低温火傷や火傷することなく、冷たさや温かさを感じることができる。

　また、温感剤２６は、着用者の肌と直接触れなければ、効果が発生しにくい。つまり、例えば、香料のような揮発性物質は、気体になれば周辺の臭気を抑制する効果を発揮することができるが、温感剤２６は気化した後に着用者の肌と直接触れて、その主たる効果を発揮する。そのため、温感剤２６が不織布等を介して着用者の皮膚と接触することにより、着用者は、徐々に温感剤２６の効果を肌で感じることができる。

　図５は、温感剤２６の塗布領域２６ｐと非塗布領域２６ｎを示した図である。図５に示すように、温感剤２６は、幅方向に所定の寸法を有し、上下方向（長手方向）に沿った一対の塗布領域２６ｐ（図５の斜線部）に塗布される。したがって、吸収性本体２０の幅方向における中央部には、長手方向に沿った温感剤２６が塗布されていない非塗布領域２６ｎが設けられる。

　本実施の形態においては、吸収性本体２０の幅方向における中央部に、幅寸法１５ｍｍの非塗布領域２６ｎが設けられており、非塗布領域２６ｎの幅方向における両外側に一対の塗布領域２６ｐが、幅寸法２５ｍｍで設けられている。また、塗布領域２６ｐ及び非塗布領域２６ｎは、吸収性本体２０の長手方向における前端から後端まで連続した領域である。

　次に、温感剤２６の気化について説明する。温感剤２６の溶媒は、温感刺激剤を含んだ状態で気化する。つまり、温感刺激剤を含んだ溶媒が気化して着用者の肌に到達し、到達した温感刺激剤が着用者の温度感覚に刺激を与える。すなわち、本実施の形態においては、温感剤２６が着用者の肌と直接的に当接していなくても、温感剤２６が気化することにより、気化した温感剤２６が着用者の肌と当接する。

　そして、このような溶媒の気化量は、着用者の体温の伝達等による温感剤２６の温度変化や、温感剤２６の位置する吸収性本体２０の伸縮動作の大小（大きく伸縮すると温感剤２６も大きく動いて気化量が増加する）によって増減する。つまり、温感剤２６への体温の伝わり具合（温感剤２６と着用者の肌の距離等）、温感剤２６の位置する吸収性本体２０の伸縮具合（弾性部材の有無等）等を調整することで気化量を調整することができる。すなわち、着用者が感じる温感刺激の強弱や、温感剤の効果が発揮される持続時間（溶媒が気化する時間）の長短を調整することが可能となる。

　股下糸ゴム３０は、図３及び図４に示すように、吸収性本体２０の左右方向（幅方向）の中央部において、下腹部が当接する前側から股間部を介して臀部が当接する後側に至るまで設けられている。すなわち、吸収性本体２０には、上下方向（長手方向）に沿って股下糸ゴム３０が備えられている。

　また、股下糸ゴム３０は、連続した伸長状態で非肌側シート２４ｃに接合された後に、吸収性物品１毎に切断されるので、接合されていない部分の股下糸ゴム３０は、切断後に接合部に向かって収縮し、伸長していない状態の股下糸ゴム３０が吸収性本体２０に設けられることとなる。つまり、股下糸ゴム３０の前側端においては、伸長していない状態の股下糸ゴム３０が設けられている。

　かかる部分は、股下糸ゴム３０が設けられていない部分よりも剛性が高いので、吸収性物品１の着用時、吸収性本体２０がカップ状（パンツ型において左右方向から見てＵ型状）に変形した後において、吸収性本体２０のその形状を崩れにくくする。すなわち、パンツ型吸収性物品１において、例えば、上下方向の上側から吸収性本体２０を変形させるような力が加わった場合、伸長していない状態の股下糸ゴム３０が設けられている部分があれば、かかる部分は股下糸ゴム３０が無い部分よりも剛性が高くて変形しにくいので、吸収性本体２０の形状を崩れにくくすることが可能となる。

　なお、本実施の形態に係る股下糸ゴム３０は、吸収性コア２２よりも非肌側の非肌側シート２４ｃの非肌側に設けられているが、これに限るものではなく、例えば、非肌側シート２４ｃの肌側に設けてもよいし、非肌側だけではなく吸収性コア２２の肌側にも設けてもよい。

　また、吸収性本体２０を伸縮させる部材としては、股下糸ゴム３０に限るものではなく、伸縮性不織布や伸縮性フィルムを用いてもよい。

　ヒンジ４０は、着用者が吸収性物品１を着用した際に、吸収性本体２０が着用者の身体に沿って変形するように（変形の折り目となるように）設けられており、図４に示すように、吸収性本体２０（吸収性コア２２）の肌側において、肌側から非肌側へ窪んだ凹部形状をしている。

　本実施の形態に係るヒンジ４０の凹部形状は、温感剤２６が塗布された吸収性本体２０（吸収性コア２２）を肌側から圧搾することにより形成されている。つまり、ヒンジ４０は、吸収性コア２２の密度がその周囲の密度よりも高い圧搾溝である。

　本実施の形態においては、図３に示すように、吸収性コア２２の長手方向における前側端部であって、着用時に主に下腹部が当接する部分に、幅方向に所定の長さを有する前側ヒンジ４１が備えられている。前側ヒンジ４１は、主に吸収性本体２０が下腹部に沿うように設けられている。

　また、前側ヒンジ４１の長手方向の後側に間隔を置いて、複数の幅方向に一対のヒンジ４２が、所定の間隔を置いて設けられている。これら一対のヒンジ４２は、主に吸収性本体２０が股間部及び臀部に沿うように設けられている。

　なお、本実施の形態に係るヒンジ４０の凹部の深さは、一定ではなく、浅い部分や深い部分があり、このヒンジ４０の凹部の深さを調整することで、吸収性本体２０の変形具合を調整している。

　立体ギャザー５０は、着用者の太腿周りと当接して内側からの液漏れを抑制するために設けられている。つまり、立体ギャザー５０は、両脚にそれぞれ対応する一対の立体ギャザー５０として、吸収性本体２０の幅方向における両端部に設けられる。

　また、一対の立体ギャザー５０は、図３及び図４に示すように、それぞれの前側上端部と後側上端部に接着剤が塗布された接着剤領域５４（接合領域に相当）を有しており、接着剤領域５４において、第１肌側シート２４ａと接合されている。すなわち、一対の立体ギャザー５０は、それぞれの前側上端部と後側上端部に、一対の立体ギャザー５０を固定するための接着剤領域５４を有している。

＜＜＜吸収性物品１の包装について＞＞＞
　本実施の形態に係る吸収性物品１は、パンツ型に生成された後に折り畳まれて、１つの吸収性物品１が１つの包装容器に入れられて包装される。すなわち、吸収性物品１は、個包装であって、包装状態においては、折り畳まれた状態となる。

　以下では、包装状態の吸収性物品１について図６乃至図９を用いて説明する。図６は、パンツ型吸収性物品１の正面図に縦折線ＢＬ、左側折線ＬＢ、及び右側折線ＲＢを示した平面模式図である。図７の上図は、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒを内側に折り畳んだパンツ型吸収性物品１の平面模式図であり、下図は、矢視Ｂ－Ｂの断面模式図である。図８の左図は、縦折線ＢＬを折り目として上下方向に折り畳んだパンツ型吸収性物品１の平面模式図であり、右図は、吸収性本体２０を右側から見たときの側面模式図である。図９は、吸収性本体２０における縦折線ＢＬの位置を示した吸収性本体２０の平面図である。

　本実施の形態に係る吸収性物品１は、図７に示すように、左側延出部１０Ｌを左側折線ＬＢで内側（右側）に折り畳み、右側延出部１０Ｒを右側折線ＲＢで内側（左側）に折り畳んでから、左右方向に沿った縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれた状態で包装容器に入れられて包装される。

　すなわち、吸収性物品１は、左側延出部１０Ｌの少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての左側折線ＬＢと、右側延出部１０Ｒの少なくとも一部を左側へ折り畳む際の折り目としての右側折線ＲＢと、を有している。

　また、本実施の形態のおいては、図７に示すように、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒは共に、背側に折り畳まれる。なお、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒは、どちらが先に折り畳まれてもよい。

　また、図７に示す状態において、前後方向に見たときに、内側へ折り畳まれた左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒが塗布領域２６ｐと重複している。すなわち、吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、前後方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、左側折線ＬＢを折り目として折り畳まれた左側延出部１０Ｌ、及び右側折線ＲＢを折り目として折り畳まれた右側延出部１０Ｒの少なくとも一方と重複する。

　また、一対の脚回り開口部１ｂにおいては、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒが上下方向（図７に示す１ｂＹの範囲）において重複している。すなわち、吸収性物品１は、左右方向の両側に、一対の脚回り開口部１ｂを有し、包装状態において、一対の脚回り開口部１ｂの少なくとも一部が、上下方向において、左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方と重複する。

　そして、左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒとが、共に左右方向の内側へ折り畳まれた状態で、図８に示すように、吸収性物品１は、左右方向に沿った縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれる。すなわち、左側折線ＬＢを折り目として折り畳まれた左側延出部１０Ｌ、及び右側折線ＲＢを折り目として折り畳まれた右側延出部１０Ｒの少なくとも一方が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれる。

　かかる状態において、吸収性物品１が包装されるので、前後方向に見たときに、上下方向に折り畳まれる左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒが温感剤２６と重複する。すなわち、吸収性物品１は、包装状態において、前後方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、上下方向に折り畳まれた左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方と重複する。

＜縦折線ＢＬの位置について＞
　次に、縦折線ＢＬの上下方向の位置と、吸収性物品１が備えるそれぞれの部材等との位置関係について説明する。具体的には、吸収性本体２０、温感剤２６（塗布領域２６ｐ）、股下糸ゴム３０、ヒンジ４０、及び一対の立体ギャザー５０の接着剤領域５４の各々と、縦折線ＢＬとの位置関係について説明する。

　吸収性本体２０と縦折線ＢＬは、図６、図７に示すように、吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、縦折線ＢＬは、吸収性本体２０の上側端（後側上端部２０Ｂｅの上側端）よりも下側に位置している。つまり、包装状態において、吸収性本体２０の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれる。

　そして、図８に示すように、吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態における吸収性本体２０の前側上端部２０Ｆｅと、吸収性本体２０の後側上端部２０Ｂｅとが、厚さ方向に重ねられた状態で、吸収性本体２０の後側上端部２０Ｂｅの非肌側面が、縦折線ＢＬより下側、かつ、前後の後側の吸収性本体２０の非肌側面と対向するように、吸収性本体２０が上下方向に折り畳まれている。

　また、図７の平面模式図に示すように、吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、温感剤２６の少なくとも一部が、縦折線ＢＬよりも下側に設けられている。

　そして、縦折線ＢＬを境目として塗布領域２６ｐの上下の領域の大きさを見てみると、吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、縦折線ＢＬよりも上側の塗布領域２６ｐが、縦折線ＢＬよりも下側の塗布領域２６ｐよりも小さい。

　また、図８に示すように、吸収性本体２０の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれた状態において、温感剤２６の少なくとも一部が、縦折線ＢＬと重複して設けられている

　股下糸ゴム３０と縦折線ＢＬは、図９に示すように、前後方向に見たときに重複しない。すなわち、包装状態において、股下糸ゴム３０が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれない。

　ヒンジ４０と縦折線ＢＬは、図９に示すように、前後方向に見たときに、吸収性本体２０の後側の一対のヒンジ４２が縦折線ＢＬと重複している。すなわち、包装状態において、ヒンジ４０の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれている。

　一対の立体ギャザー５０の接着剤領域５４と縦折線ＢＬは、図９に示すように、前後方向に見たときに、吸収性本体２０の前側と後側の両側で縦折線ＢＬと重複している。すなわち、包装状態において、接着剤領域５４の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれている。

＜＜＜本実施の形態に係る有効性について＞＞＞
　温感剤２６を備えた吸収性物品１においては、着用時において温感剤２６が気化して排出されてしまい、十分な温感剤２６の効果が発揮できない恐れがあった。

　これに対し、本実施の形態に係るパンツ型吸収性物品１は、液吸収性の吸収性コア２２と、吸収性コア２２よりも肌側に設けられた肌側シート（第１肌側シート２４ａ及び第２肌側シート２４ｂ）と、を備えた吸収性本体２０と、吸収性本体２０の非肌側に重ねて配置された、左右方向に伸縮する胴回り部材１０と、を有するパンツ型吸収性物品１であって、吸収性コア２２及び肌側シート（第１肌側シート２４ａ及び第２肌側シート２４ｂ）の少なくとも一方（本実施の形態は第１肌側シート２４ａ）には、温感剤２６が備えられ、パンツ型吸収性物品１は、左右方向に沿った縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれた状態で包装され、パンツ型吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、温感剤２６の少なくとも一部が、縦折線ＢＬよりも下側に有ることとした。そのため、気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　縦折線ＢＬで吸収性物品１が上下方向に折り畳まれると、縦折線ＢＬの折り目は、吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、縦折線ＢＬの下側、かつ、吸収性物品１の内側（肌側）の空間（図７の断面模式図の斜線部）と、縦折線ＢＬの上側、かつ、吸収性物品１の内側（肌側）の空間とを分けるように機能する。そうすると、縦折線ＢＬによって仕切られた縦折線ＢＬの下側の空間は、胴回り開口部１ａを介して通じた吸収性物品１の外側の空間と仕切られることになる。すなわち、縦折線ＢＬで吸収性物品１が上下方向に折り畳まれると、縦折線ＢＬの折り目が包装状態において胴回り開口部１ａの蓋として機能するので、気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、上下方向に沿った吸収性本体２０の所定の領域に温感剤２６が塗布された塗布領域２６ｐを有し、パンツ型吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、縦折線ＢＬよりも上側の吸収性本体２０の塗布領域２６ｐが、縦折線ＢＬよりも下側の吸収性本体２０の塗布領域２６ｐよりも、小さいこととした。

　つまり、塗布領域２６ｐの半分を超える領域に対して、縦折線ＢＬの折り目が包装状態において胴回り開口部１ａの蓋として機能することが可能となる。すなわち、気化した温感剤２６の排出がより一層抑制される。

　また、本実施の形態においては、パンツ型吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、縦折線ＢＬは、吸収性本体２０の上側端（後側上端部２０Ｂｅの上側端）よりも下側に位置しており、包装状態において、吸収性本体２０の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれることとした。

　かかる状態によると、胴回り部材１０のみを上下方向に折り畳む場合に比べて、剛性が上がった状態で上下方向に折り畳まれるので、吸収性本体２０に縦折線ＢＬに沿った折り癖を形成しつつ、上下方向にしっかりと折り畳むことができる。つまり、縦折線ＢＬの折り目が包装状態において胴回り開口部１ａのしっかりとした蓋として機能することが可能となり、気化した揮発性物質の排出をより一層抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれた状態において、温感剤２６の少なくとも一部が、縦折線ＢＬと重複して設けられていることとした。

　吸収性本体２０が縦折線ＢＬを折り目として折り畳んだ状態で包装（長期間保持）されると、吸収性本体２０には、縦折線ＢＬに沿った折り癖が形成される。そして、かかる折り癖に温感剤２６が塗布されていると、折り癖の形状による温感効果を着用者に与えることが可能となる。つまり、折り癖が非肌側から肌側へ突出した形状であれば、温感剤２６が着用者の肌に近づくので、着用者の体温により温感剤２６の温度が上昇してその気化が促進され、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。そして、折り癖が肌側から非肌側へ突出した形状であれば、温感剤２６が着用者の肌から遠ざかるので、温感剤２６が着用者に与える刺激が抑制され、更に、温感剤２６の気化が抑制されるので、温感効果を長期間持続させることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、パンツ型吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態における吸収性本体２０の後側上端部２０Ｂｅの非肌側面が、縦折線ＢＬより下側、かつ、前後の後側の吸収性本体２０の非肌側面と対向するように、吸収性本体２０が上下方向に折り畳まれていることとした。

　つまり、着用者の仙骨部において非肌側から肌側へ突出した折り癖が形成され、当該折り癖に位置する温感剤２６が着用者の仙骨部に近づくので、着用者の体温により温感剤２６の温度が上昇してその気化が促進され、仙骨部において温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　また、本実施の形態においては、パンツ型吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態における吸収性本体２０の前側上端部２０Ｆｅと、吸収性本体２０の後側上端部２０Ｂｅとが、厚さ方向に重ね合された状態で、吸収性本体２０の後側上端部２０Ｂｅの非肌側面が、縦折線ＢＬより下側、かつ、前後の後側の吸収性本体２０の非肌側面と対向するように、吸収性本体２０が上下方向に折り畳まれていることとした。

　すなわち、後側又は前側の吸収性本体２０のみを上下方向に折り畳む場合に比べて、剛性が上がった状態で上下方向に折り畳まれるので、上下方向にしっかりと折り畳むことができる。つまり、縦折線の折り目が包装状態において胴回り開口部１ａのしっかりとした蓋として機能し、気化した揮発性物質の排出をより一層抑制することが可能となる。

　また、前側（腹側）の吸収性本体２０に肌側から非肌側へ突出した折り癖が形成される。かかる折り癖は、温感剤２６を着用者の肌から遠ざけるので、温感剤２６が着用者に与える刺激が抑制され、温感剤２６の気化が抑制されるので、温感効果を長期間持続させることが可能となる。また、折り癖が下腹部の膨らみに沿い易いので、着用時の圧迫感を抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、胴回り部材１０は、吸収性本体２０の左側端よりも左側に位置する左側延出部１０Ｌと、吸収性本体２０の右側端よりも右側に位置する右側延出部１０Ｒと、を有し、パンツ型吸収性物品１は、左側延出部１０Ｌの少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての左側折線ＬＢと、右側延出部１０Ｒの少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての右側折線ＲＢと、を有し、パンツ型吸収性物品１を上下方向に折り畳む前の状態において、前後方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、左側折線ＬＢを折り目として折り畳まれた左側延出部１０Ｌ、及び右側折線ＲＢを折り目として折り畳まれた右側延出部１０Ｒの少なくとも一方と重複していることとした。

　すなわち、左右方向の内側に折り畳まれた左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方（本実施の形態では両方）が、温感剤２６と前後方向に重複した状態で包装されるので、前後方向における（非肌側シート２４ｃから排出される）気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、左側折線ＬＢを折り目として折り畳まれた左側延出部１０Ｌ、及び右側折線ＲＢを折り目として折り畳まれた右側延出部１０Ｒの少なくとも一方が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれ、包装状態において、前後方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、上下方向に折り畳まれた左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方と重複していることとした。

　すなわち、左右方向の内側に折り畳まれた左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方（本実施の形態では両方）に加えて、上下方向に折り畳まれた左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方（本実施の形態では両方）が、温感剤２６と前後方向に重複した状態で包装されるので、前後方向における（非肌側シート２４ｃから排出される）気化した温感剤２６の排出をより一層抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、左右方向における両側に、一対の脚回り開口部１ｂを有し、包装状態において、一対の脚回り開口部１ｂの少なくとも一部が、上下方向において、左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方と重複することとした。

　すなわち、左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒの少なくとも一方（本実施の形態では両方）が、一対の脚回り開口部１ｂと上下方向において重複することにより、包装状態において一対の脚回り開口部１ｂの蓋として機能するので、気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０の左右方向における両端部には、一対の立体ギャザー５０が、上下方向に沿って設けられており、一対の立体ギャザー５０は、それぞれの前側上端部と後側上端部に、前記一対の立体ギャザー５０を固定するための接着剤領域５４を有し、包装状態において、接着剤領域５４の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれていることとした。

　接着剤領域５４は、接着剤領域５４でない領域と比べて高剛性なので、接着剤領域５４を縦折線ＢＬの折り目とすれば、吸収性物品１を上下方向にしっかりと折り畳むことができる。つまり、縦折線ＢＬの折り目が包装状態において胴回り開口部１ａの蓋としてより一層機能し、気化した温感剤２６の排出をより一層抑制することが可能となる。また、吸収性物品１が上下方向にしっかりと折り畳まれるので、吸収性本体２０の折り癖がより強く形成される。

　また、本実施の形態においては、吸収性コア２２には、吸収性コア２２の密度がその周囲よりも高いヒンジ４０が設けられており、包装状態において、ヒンジ４０の少なくとも一部が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれていることとした。

　ヒンジ４０は、ヒンジ４０でない領域と比べて高剛性なので、ヒンジ４０を縦折線ＢＬの折り目とすれば、吸収性物品１を上下方向にしっかりと折り畳むことができる。つまり、縦折線ＢＬの折り目が包装状態において胴回り開口部１ａの蓋としてより一層機能し、気化した温感剤２６の排出をより一層抑制することが可能となる。また、吸収性物品１が上下方向にしっかりと折り畳まれるので、吸収性本体２０の折り癖がより強く形成される。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０の左右方向における中央部には、上下方向に沿って股下糸ゴム３０が備えられており、包装状態において、股下糸ゴム３０が、縦折線ＢＬを折り目として、上下方向に折り畳まれないこととした。

　すなわち、股下糸ゴム３０には縦折線ＢＬに沿った折り癖が形成されないので、股下糸ゴム３０の伸縮機能への悪影響を抑制することが可能となる。

　また、本実施の形態においては、吸収性本体２０は、肌側シートとして、最も肌側に位置する第１肌側シート２４ａと、第１肌側シート２４ａと吸収性コア２２との間に位置する第２肌側シート２４ｂと、を備えており、温感剤２６が、第１肌側シート２４ａの非肌側及び第２肌側シート２４ｂの少なくとも一方に備えられていることとした。

　吸収性物品１の内表面（肌側の表面）に温感剤２６を設けると、温感剤２６が着用者に直接的に接するので、着用者への刺激が強すぎて、着用者の肌に赤み、かゆみ、又はかぶれ等を発生させる肌トラブルの原因となり得る。また、吸収性物品１の外表面（非肌側の表面）に温感剤２６を設けると、非肌側シート２４ｃが気体を透過させるものであっても、温感剤２６が着用者の肌から遠すぎて、温感剤２６の効果が十分に発揮されない。

　これに対し、本実施の形態においては、温感剤２６と着用者の肌とが直接的に当接しないようにしつつ、最も着用者の肌と近い第１肌側シート２４ａの非肌側に塗布することとした。すなわち、温感剤２６の厚さ方向における不適切な位置（内表面及び外表面）を避けることができ、着用者の肌にも近いので、着用者の体温により温感剤２６の温度が上昇してその気化が促進され、温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

＝＝＝その他の実施形態＝＝＝
　上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。

　また、上記実施の形態においては、パンツ型吸収性物品１は、図７、図８に示すように、先ず、左側延出部１０Ｌ（右側延出部１０Ｒ）は、左側折線ＬＢ（右側折線ＲＢ）を折り目として、背側に折り畳まれ、次に、縦折線ＢＬを折り目として、背側の部材が向き合うように上下方向に折り畳まれて包装されていたが、これに限るものではない。例えば、パンツ型吸収性物品１は、先ず、左側延出部１０Ｌ（右側延出部１０Ｒ）が、左側折線ＬＢ（右側折線ＲＢ）を折り目として、腹側に折り畳まれ、次に、縦折線ＢＬを折り目として、腹側の部材が向き合うように上下方向に折り畳まれて包装されていてもよい。

　かかるパンツ型吸収性物品１によると、上記実施の形態と同じように、縦折線ＢＬの折り目が包装状態において胴回り開口部１ａの蓋として機能するので、気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　また、後側胴回り部材１０ｂは、臀部を覆う部分を有するので、平面視で前側胴回り部材１０ｆよりも大きい形状（図６に示す斜線部）をしているのが一般的である。

　つまり、左側延出部１０Ｌ（右側延出部１０Ｒ）が左側折線ＬＢ（右側折線ＲＢ）を折り目として、腹側に折り畳まれると、左側延出部１０Ｌ（右側延出部１０Ｒ）の臀部を覆う部分が（図６に示す斜線部）、一対の脚回り開口部１ｂを塞ぐように重複するので、包装状態において一対の脚回り開口部１ｂのしっかりとした蓋として機能し、気化した温感剤２６の排出をより一層抑制することが可能となる。

　また、吸収性本体２０の前側（腹側）の折り癖が、非肌側から肌側へ突出した形状に形成されるので、下腹部に強く折り癖を当接させることができる。すなわち、当該折り癖に位置する温感剤２６が着用者の肌に近づくので、着用者の体温により温感剤２６の温度が上昇して気化が促進され、下腹部における温感剤２６の効果を高めることが可能となる。

　一方、吸収性本体２０の後側（背側）の折り癖は、肌側から非肌側へ突出した形状に形成されるので、かかる折り癖に塗布された温感剤２６は、仙骨部から遠ざかることなる。つまり、温感剤２６が着用者に与える刺激が抑制され、温感剤２６の気化が抑制されるので、温感効果を長期間持続させることが可能となる。また、折り癖が仙骨部（臀部）の膨らみに沿い易いので、着用時の圧迫感を抑制することが可能となる。

　また、上記実施の形態においては、パンツ型吸収性物品１の包装は、１つのパンツ型吸収性物品１を折り畳んで１つの包装容器に入れる個包装であったが、これに限るものではなく、複数のパンツ型吸収性物品１を折り畳んで１つの包装容器にいれる複数包装であってもよい。

　複数包装によると、例えば、１つのパンツ型吸収性物品１を使用するために、包装容器を開封した後において、開封後の包装容器内に１つ又は複数のパンツ型吸収性物品１が保存される状況が考えられる。かかる状況においては、吸収性物品１の内部の空間に存在する気化した温感剤２６が排出され易い環境となる。つまり、上記実施形態のようにパンツ型吸収性物品１が折り畳まれていれば、パンツ型吸収性物品１が折り畳まれていない場合と比べて、気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤２６を用いていたが、温感剤２６に限るものではなく、例えば、冷感剤を用いてもよい。冷感剤を用いた場合には、着用者の蒸れやべたつきによる不快感を低減することが可能となる。

　つまり、冷感剤（温感剤２６）を備えた吸収性物品１によると、揮発性物質が、冷感剤（温感剤２６）以外の場合に比べて、着用者の冷感効果（温感効果）を高めることが可能となる。

　なお、上記で説明した温感剤２６が気化して効果を発揮する仕組み（メカニズム）については、冷感剤や後述する香料においても同様であるので、これらの説明については省略する。

　かかる冷感剤の例としては、メントール（例えば、ｌ－メントール）及びその誘導体（例えば、乳酸メンチル）、サリチル酸メチル、カンファー、植物（例えば、ミント、ユーカリ）由来の精油等が挙げられる。なお、冷感剤は、温感剤２６と同様に、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激するものが好ましい。

　また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤２６を用いていたが、温感剤２６に限るものではなく、例えば、香料を用いても良い。香料は、温感剤２６の代わりに用いても良いし、温感剤２６と一緒に用いても良い。香料としては、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを用いることができる。

　なお、香料として、特にグリーンハーバル調の香料（グリーンハーバル様香気）を用いた場合には、特に精神的な不快症状を身体に物理的刺激を与えることなく、また、経口投与にもよらず、安全かつ簡便に緩和させることが可能になる。これに加え、快適感も得られる。

　グリーンハーバル様香気は、グリーン様香気（グリーンノート）又はハーバル様香気（ハーバルノート）を含む香調である。グリーン様香気とは、草や若葉のすがすがしい香調をいう。ハーバル様香気（ハーバルノート）とは、ハーブを用いた自然で、薬草的な香り立ちが特徴の香調をいう。

　グリーンハーバル様香気を有する香料を含有する香料組成物は、シス-３-ヘキセノール、ギ酸シス-３-ヘキセニル、酢酸シス-３-ヘキセニル、プロピオン酸シス-３-ヘキセニル、酪酸シス-３-ヘキセニル、トランス-２-ヘキセナール、酢酸トランス-２-ヘキセニル、酢酸ヘキシル、酢酸スチラリル、２-メチル-３-（３，４-メチレンジオキシフェニル）-プロパナール（ＩＦＦ社名、ヘリオナール）、３（４）-（５-エチルビシクロ［２，２，１］ヘプチル-２）-シクロヘキサノール、２-ペンチロキシグリコール酸アリル（ＩＦＦ社名、アリルアミルグリコレート）、４-メチル-３-デセン-５-オール（Ｇｉｖａｕｄａｎ社名、ウンデカベルトール）、ヘキシルアルデヒド、２，４-ジメチル-３-シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド（ＩＦＦ社名、トリプラール）及びフェニルアセトアルデヒドより選択される１種又は２種以上の香料を含有することが好ましい。これらの香料として市販品を用いることもできる。これらが含まれる香料は主にグリーン様香気を生ずるものである。

　グリーンハーバル様香気を有する香料を含有する香料組成物は、更に、ｌ-メントール、１，８-シネオール、サリチル酸メチル、シトロネラール、カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、酢酸ターピニル、オイゲノール、アネトール、４-メトキシベンジルアルコール及びエストラゴールより選択される１種又は２種以上の香料を含有することが好ましい。これらが含まれる香料は、主として、ハーバル様香気を生ずるものである。

１　吸収性物品（パンツ型吸収性物品）、１ａ　胴回り開口部、１ｂ　脚回り開口部
１０　胴回り部材、１０ｆ　前側胴回り部材、１０ｆｅ　前側接合部
１０ｆｆ　胴回り前端部、１０ｂ　後側胴回り部材、１０ｂｅ　後側接合部
１０ｂｆ　胴回り後端部、１０Ｌ　左側延出部、１０Ｒ　右側延出部
２０　吸収性本体、２０Ｆｅ　前側上端部、２０Ｂｅ　後側上端部、２２　吸収性コア
２２ａ　コアラップシート、２４ａ　第１肌側シート、２４ｂ　第２肌側シート
２４ｃ　非肌側シート、２４ｄ　サイドシート、２６　温感剤（揮発性物質）
２６ｐ　塗布領域、２６ｎ　非塗布領域、３０　股下糸ゴム（弾性部材）
４０　ヒンジ（圧搾溝）、４１　前側ヒンジ、４２　一対のヒンジ
５０　立体ギャザー（防漏壁）、５０Ｂ　支点、５０Ｓ　頂点
５４　接着剤領域（接合領域）、ＢＬ　縦折線、ＬＢ　左側折線、ＲＢ　右側折線
ＣＬ　中心折線

Claims (14)

1. 　上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
   　液吸収性の吸収性コアと、前記吸収性コアよりも肌側に設けられた肌側シートと、を備えた吸収性本体と、
   　前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、を有するパンツ型吸収性物品であって、
   　前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、揮発性物質が設けられ、
   　前記パンツ型吸収性物品は、前記左右方向に沿った縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれた状態で包装され、
   　前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記縦折線よりも下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
2. 　請求項１に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記揮発性物質が、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激する温感剤又は冷感剤であることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
3. 　請求項１又は請求項２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記上下方向に沿った前記吸収性本体の所定の領域に前記揮発性物質が塗布された塗布領域を有し、
   　前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記縦折線よりも上側の前記吸収性本体の前記塗布領域が、前記縦折線よりも下側の前記吸収性本体の前記塗布領域よりも、小さいことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
4. 　請求項１乃至請求項３のいずれか１つに記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記縦折線は、前記吸収性本体の上側端よりも下側に位置しており、
   　包装状態において、前記吸収性本体の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
5. 　請求項４に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記吸収性本体の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれた状態において、
   　前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記縦折線と重複して設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
6. 　請求項５に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態における前記吸収性本体の後側上端部の非肌側面が、前記縦折線より下側、かつ、前後の後側の前記吸収性本体の非肌側面と対向するように、前記吸収性本体が前記上下方向に折り畳まれていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
7. 　請求項６に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態における前記吸収性本体の前側上端部と、前記吸収性本体の前記後側上端部とが、厚さ方向に重ね合された状態で、
   　前記吸収性本体の前記後側上端部の非肌側面が、前記縦折線より下側、かつ、前後の後側の前記吸収性本体の非肌側面と対向するように、前記吸収性本体が前記上下方向に折り畳まれていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
8. 　請求項１乃至請求項７に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記胴回り部材は、前記吸収性本体の左側端よりも左側に位置する左側延出部と、前記吸収性本体の右側端よりも右側に位置する右側延出部と、を有し、
   　前記パンツ型吸収性物品は、前記左側延出部の少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての左側折線と、前記右側延出部の少なくとも一部を右側に折り畳む際の折り目としての右側折線と、を有し、
   　前記パンツ型吸収性物品を前記上下方向に折り畳む前の状態において、前記前後方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記左側折線を折り目として折り畳まれた前記左側延出部、及び前記右側折線を折り目として折り畳まれた前記右側延出部の少なくとも一方と重複していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
9. 　請求項８に記載のパンツ型吸収性物品であって、
   　前記左側折線を折り目として折り畳まれた前記左側延出部、及び前記右側折線を折り目として折り畳まれた前記右側延出部の少なくとも一方が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれ、
   　包装状態において、前記前後方向に見たときに、前記揮発性物質の少なくとも一部が、前記上下方向に折り畳まれた前記左側延出部及び前記右側延出部の少なくとも一方と重複していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
10. 　請求項８又は請求項９に記載のパンツ型吸収性物品であって、
    　前記左右方向における両側に、一対の脚回り開口部を有し、
    　包装状態において、前記一対の脚回り開口部の少なくとも一部が、前記上下方向において、前記左側延出部及び前記右側延出部の少なくとも一方と重複することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
11. 　請求項１乃至請求項１０のいずれか１つに記載のパンツ型吸収性物品であって、
    　前記吸収性本体の前記左右方向における両端部には、一対の防漏壁が、前記上下方向に沿って設けられており、
    　前記一対の防漏壁は、それぞれの前側上端部と後側上端部に、前記一対の防漏壁を固定するための接合領域を有し、
    　包装状態において、前記接合領域の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
12. 　請求項１乃至請求項１１のいずれか１つに記載のパンツ型吸収性物品であって、
    　前記吸収性コアには、前記吸収性コアの密度がその周囲よりも高い圧搾溝が設けられており、
    　包装状態において、前記圧搾溝の少なくとも一部が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
13. 　請求項１乃至請求項１２のいずれか１つに記載のパンツ型吸収性物品であって、
    　前記吸収性本体の前記左右方向における中央部には、前記上下方向に沿って弾性部材が備えられており、
    　包装状態において、前記弾性部材が、前記縦折線を折り目として、前記上下方向に折り畳まれないことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
14. 　請求項１乃至請求項１３のいずれか１つに記載のパンツ型吸収性物品であって、
    　前記吸収性本体は、前記肌側シートとして、最も肌側に位置する第１肌側シートと、
    　前記第１肌側シートと前記吸収性コアとの間に位置する第２肌側シートと、を備えており、
    　前記揮発性物質が、前記第１肌側シートの非肌側及び前記第２肌側シートの肌側の少なくとも一方に備えられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
     

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