WO2019044639A1

WO2019044639A1 - 車両用シート

Info

Publication number: WO2019044639A1
Application number: PCT/JP2018/031080
Authority: WO
Inventors: 康夫猪瀬
Original assignee: テイ・エステック株式会社
Priority date: 2017-08-31
Filing date: 2018-08-23
Publication date: 2019-03-07

Abstract

車両用シート（１１）は、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する第１パッド（２５）と、第１パッド（２５）の裏側に当てられて、第１パッド（２５）よりも高い吸音性能を有する第２パッド（４１）とを備える。これにより、車内の静音化に寄与する車両用シートを提供することができる。

Description

車両用シート

　本発明は例えば自動四輪車といった車両に搭載される車両用シートに関する。

　特許文献１はシートクッション構造を開示する。シートクッション構造はシートクッションおよびシートクッションに埋め込まれるインサート部材を備える。シートクッションは、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する。シートクッションの裏面にインサート部材を収容する凹部が区画される。

　特許文献２は車両用シートを開示する。車両用シートは、パッドを支持するシートフレームを備える。シートフレームには受圧部材として複数のＳばねが取り付けられる。Ｓばねは、ジグザグ形状で前後方向に延びる。Ｓばねにパッドは重ねられる。車両用シートではパッドの柔軟性とＳばねの弾性力とに基づき良好な座り心地は確立される。

　特許文献３は電動式リクライニング装置を開示する。電動式リクライニング装置は、シートフレームの取り付け面に支持される駆動用モーターを備える。駆動用モーターは、電力の供給に応じて、シートバックの揺動を引き起こす駆動力を生成する。駆動用モーターは、シートフレームに取り付けられるカバーで覆われる。

日本特開２０１２－７０９６９号公報国際公開第２０１５／１５６２１８号公報日本特許第５６１７６６０号公報

　特許文献１では、インサート部材はシートクッションよりも硬い材質で構成される。こうしたインサート部材によれば、車両前面衝突時に乗員の前滑りが防止され、チャイルドシートの前下方への移動は抑制される。しかしながら、インサート部材は硬い材質から構成されることから、シートクッションの裏側の空間に音の発生源が存在すると、インサート部材で音は反響してしまい、騒音の抑制には役立たなかった。

　本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、車内の静音化に寄与する車両用シートを提供することを目的とする。

　特許文献２では、乗員の着座時、乗員の体重に応じてパッドは床に向かって沈む。乗員が姿勢を変化させると、パッドとＳばねとの間で相対的に位置ずれが生じる。Ｓばねはパッドの裏面で擦れる。パッドとＳばねとの位置ずれに基づき擦れ音は発生する。

　本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、受圧部材とパッドとの擦れ音をできるだけ抑制することができる車両用シートを提供することを他の目的とする。

　特許文献３では、カバーには、駆動用モーターの収容空間を挟んで取り付け面に向き合う共鳴室が区画される。取り付け面に直交する方向に広がる音は共鳴室で減音されるものの、駆動用モーターの側方から取り付け面に沿って音が抜けることから、十分な減音効果は得られていない。

　本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、さらなる車内の静音化に寄与する車両用シートを提供することを他の目的とする。

　本発明の第１側面によれば、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する第１パッドと、前記第１パッドの裏側に当てられて、前記第１パッドよりも高い吸音性能を有する第２パッドとを備える車両用シートが提供される。

　第２側面によれば、第１側面の構成に加えて、前記第２パッドは前記第１パッドよりも柔軟性を有する。

　第３側面によれば、第１または第２側面の構成に加えて、前記第２パッドは、前記第１パッドと接する面の反対側の面に複数の凸片を有する。

　第４側面によれば、第３側面の構成に加えて、前記凸片は、前記反対側の面に沿って第１方向に相互に平行に延びる長尺の凸片の集合体である第１凸片群と、前記反対側の面に沿って前記第１方向に交差する第２方向に相互に平行に延びる長尺の凸片の集合体である第２凸片群とを含む。

　第５側面によれば、第３または第４側面の構成に加えて、車両用シートは、前記凸片に向き合わせられて、前記第１パッドの裏側の空間に配置される動力源を備える。

　第６側面によれば、第３～第５側面のいずれかの構成に加えて、車両用シートは、前記凸片に接触し、前記第１パッドの裏側の空間に配置される受圧部材を備える。

　第７側面によれば、第３～第６側面のいずれかの構成に加えて、前記第２パッドは、前記第１パッドの裏面に区画され前記裏面の基準面から窪んだ凹部に収容され、前記凸片の間の窪みは前記基準面よりも前記受圧面に近く位置する。

　第８側面によれば、第７側面の構成に加えて、前記第１パッドで前記凹部の空間を囲む壁体は前記第１パッドで前記凹部の底板を形成する部位よりも硬い。

　第９側面によれば、第７または第８側面の構成に加えて、前記第１パッドで前記表面および前記第２パッドの間に挟まれる部位は他の部位よりも硬い。

　第１０側面によれば、第１～第９側面のいずれかの構成に加えて、前記第１パッドと前記第２パッドとの接触面は凹凸形状に構成される。

　本発明の第１１側面によれば、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有するパッドと、前記パッドの裏側で前記パッドの裏面に向き合う動力源と、前記パッドおよび前記動力源の間に配置されて、前記パッドとは別体に形成されて、減音特性を有する減音手段とを備える車両用シートが提供される。

　第１２側面によれば、第１１側面の構成に加えて、車両用シートは、前記パッドと前記動力源との間に配置されて、前記パッドを受け止める受圧部材を備え、前記減音手段は前記受圧部材に取り付けられる。

　第１３側面によれば、第１２側面の構成に加えて、前記減音手段は前記受圧部材と前記動力源との間に配置される。

　第１４側面によれば、第１３側面の構成に加えて、前記受圧部材は、線材から形成される複数本のばね体を備え、前記減音手段は、複数の前記ばね体を連結する連結体に取り付けられる。

　第１５側面によれば、第１１側面の構成に加えて、前記減音手段は前記動力源のハウジングに取り付けられる。

　第１６側面によれば、第１１側面の構成に加えて、車両用シートは、前記動力源を支持する支持部材を備え、前記動力源は前記減音手段と前記支持部材との間に挟まれる。

　第１７側面によれば、第１１側面の構成に加えて、車両用シートは、前記動力源を支持する支持部材を備え、前記減音手段は前記動力源と前記支持部材との間に挟まれる。

　第１８側面によれば、第１１側面の構成に加えて、車両用シートは、前記動力源を支持する支持部材を備え、前記支持部材は前記減音手段と前記動力源との間に挟まれる。

　第１９側面によれば、第１１～第１８側面のいずれかの構成に加えて、前記減音手段は、前記動力源に向き合わせられる複数の凸片を有する。

　第２０側面によれば、第１１～第１９側面のいずれかの構成に加えて、前記減音手段は、異なる減音特性を有する減音部材を備える。

　本発明の第２１側面によれば、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る第１面、および、前記第１面の裏側であって複数の凸片を形成する第２面を有するパッドと、前記第２面から前記パッドを支持し、前記凸片同士の間に区画される凹部に少なくとも部分的に入り込む受圧部材とを備える車両用シートは提供される。

　第２２側面によれば、第２１側面の構成に加えて、前記受圧部材は、前記凹部に少なくとも部分的に入り込むばね体を有する。

　第２３側面によれば、第２２側面の構成に加えて、前記凸片は、前記第２面に沿って第１方向に相互に平行に延びる長尺の第１凸片の集合体である第１凸片群と、前記第２面に沿って前記第１方向に交差する第２方向に相互に平行に延びる長尺の第２凸片の集合体である第２凸片群とを含み、前記ばね体は、前記第１凸片の間に区画される第１凹部に少なくとも入り込む第１域と、前記第２凸片の間に区画される第２凹部に少なくとも入り込む第２域とを含む。

　第２４側面によれば、第２１～第２３側面のいずれかの構成に加えて、前記受圧部材は、複数の前記ばね体に固定されて、少なくとも部分的に前記凹部に入り込む樹脂部材を備える。

　第２５側面によれば、第２４側面の構成に加えて、前記樹脂部材は板形状に形成され、板面に少なくとも部分的に前記凹部に入り込む凸部が形成される。

　第２６側面によれば、第２１～第２５側面のいずれかの構成に加えて、前記受圧部材は、板形状に形成され、少なくとも部分的に前記凹部に入り込む凸部を有するパンフレームを含む。

　第２７側面によれば、第２６側面の構成に加えて、前記パンフレームには、前記パッドの前記凸片を受け入れる凹部が形成される。

　第２８側面によれば、第２１～第２７側面のいずれかの構成に加えて、前記パッドは、表面で前記受圧面の形状を象る第１体と、前記第１体の裏側に重ねられて固定され、前記凸片を区画する第２体とを備える。

　第２９側面によれば、第２１～第２７側面のいずれかの構成に加えて、車両用シートは、前記パッドおよび前記受圧部材の間に配置されて、前記凸片を区画する中間部材を備える。

　第３０側面によれば、第２１～第２９側面のいずれかの構成に加えて、前記凸片は前記受圧部材の下方に突出する。

　本発明の第３１側面によれば、平面の取り付け面を有するシートフレームと、前記取り付け面に取り付けられて、前記取り付け面を一面とする直方体空間に収容されるアクチュエーターと、前記シートフレームに支持されて前記直方体空間の少なくとも２面から前記アクチュエーターを覆い、当該２面に沿って減音特性を有する減音手段を支持するカバーとを備える車両用シートは提供される。

　第３２側面によれば、第３１側面の構成に加えて、前記減音手段は前記カバーに一体的に形成される。

　第３３側面によれば、第３１または第３２側面の構成に加えて、前記カバーは、シートクッションフレームのサイドフレームに取り付けられるサイドカバーであり、前記サイドカバーは、前記取り付け面に向き合う前記直方体空間の側面から前記アクチュエーターを覆う側壁、および、前記側面から連続する前記直方体空間の後面から前記アクチュエーターを覆う後壁を有し、前記側壁および前記後壁で前記減音手段を支持する。

　第３４側面によれば、第３３側面の構成に加えて、車両用シートは、前記サイドフレームの内側に取り付けられ、前記サイドフレームを挟んで前記直方体空間に向き合うインナーカバーをさらに備え、前記サイドカバーは、前記取り付け面に向き合う面で前記減音手段を支持する。

　第３５側面によれば、第３４側面の構成に加えて、前記インナーカバーには、少なくとも前記アクチュエーターと対向する位置に減音手段が配置される。

　第３６側面によれば、第３１～第３５側面のいずれかの構成に加えて、前記カバーは、シートバックフレームの後側に取り付けられるバックカバーであり、前記バックカバーは、前記取り付け面に向き合う前記直方体空間の側面から前記アクチュエーターを覆う突出片、および、前記側面から連続する前記直方体空間の後面から前記アクチュエーターを覆う後壁を有し、前記突出片および前記後壁で前記減音手段を支持する。

　第３７側面によれば、第３１～第３５側面のいずれかの構成に加えて、前記カバーは、シートバックフレームの外側に取り付けられるエアバッグモジュールブラケットであり、前記エアバッグモジュールブラケットは、前記取り付け面に向き合う前記直方体空間の側面から前記アクチュエーターを覆う側壁、および、前記側面から連続する前記直方体空間の前面から前記アクチュエーターを覆う前壁を有し、前記側壁および前記前壁で前記減音手段を支持する。

　第３８側面によれば、第３１～第３７側面のいずれかの構成に加えて、前記減音手段は、乗員の頭部と前記アクチュエーターとの間に設けられている。

　第３９側面によれば、第３１～第３８側面のいずれかの構成に加えて、前記減音手段は、前記アクチュエーターに向かって突出する複数のリブである。

　第４０側面によれば、第３９側面の構成に加えて、前記リブは、前記直方体空間の面に沿って第１方向に相互に平行に延びるリブの集合体である第１リブ群と、前記直方体空間の面に沿って前記第１方向に交差する第２方向に相互に平行に延びるリブの集合体である第２リブ群とを含む。

　第４１側面によれば、第３９または第４０側面の構成に加えて、前記カバーは、前記２面から前記アクチュエーターを覆う壁体を相互に接続し、前記減音手段を支持する屈曲部を有する。

　第１側面によれば、音の発生源が第１パッドの裏側の空間に配置されても、第１パッドに向かう音は第２パッドで効率的に吸収される。乗員まで達する音は抑制される。車両用シートは車内の静音化に大いに寄与する。

　第２側面によれば、柔軟性は第２パッドに吸音性能を付与する。

　第３側面によれば、音の発生源が第１パッドの裏側の空間に配置されると、第１パッドに向かう音は第２パッドの凸片側から第２パッドに進入する。複数の凸片は効果的に音を減衰する。車内はさらに静音化される。

　第４側面によれば、長尺の凸片は特定の方向から入射する音に対して効率的に吸音効果を発揮する。第１凸片群の凸片と、第２凸片群の凸片とは延伸方向が相違することから、複数の方向から入射する音に対して吸音効果は高められることができる。

　第５側面によれば、動力源から発生する音は第２パッドで効率的に吸収される。こうして車内の静音化を確保しつつ動力源は配置されることができる。動力源には、アクチュエーター、モーターまたは送風機が含まれればよい。アクチュエーター、モーターまたは送風機は例えば電力に基づき作動すればよい。

　第６側面によれば、第２パッドと受圧部材とのこすれ音は効率的に吸収される。

　第７側面によれば、第２パッドは第１パッドに支持されるので、良好な座り心地は維持されることができる。

　第８側面によれば、第２パッドを囲む壁体の剛性が高められ、第２パッドの支持性能が向上するので、受圧面に乗員の身体から圧力が作用しても第１パッドの沈み込みは抑制される。

　第９側面によれば、受圧面を形成する第１パッドの剛性が高められ、受圧面に乗員の身体から圧力が作用しても第１パッドの沈み込みは抑制される。

　第１０側面によれば、第１パッドと第２パッドとの接触面積が増加し、第１パッドと第２パッドとの間で滑りが抑制される。その結果、良好な座り心地は形成される。

　第１１側面によれば、動力源から発する音は減音手段で減音される。乗員まで達する音は抑制される。車両用シートは車内の静音化に大いに寄与する。動力源には、アクチュエーター、モーターまたは送風機が含まれればよい。アクチュエーター、モーターまたは送風機は例えば電力に基づき作動すればよい。

　第１２側面によれば、減音手段は簡単に車両用シートに組み込まれることができる。

　第１３側面によれば、減音手段の配置にあたってパッドは受圧部材にそのまま受け止められるので、パッドの性能は阻害されない。座り心地は良好に維持されることができる。

　第１４側面によれば、減音手段は簡単に車両用シートに組み込まれることができる。

　第１５側面によれば、減音手段は音の発生源に直接に取り付けられるので、効率よく減音は実現される。

　第１６側面によれば、動力源は減音手段と支持部材との間に挟まれるので、減音効果は高まる。

　第１７側面によれば、動力源と支持部材との間に減音手段が挟まれるので、動力源から支持部材に向かって振動の伝達は抑制される。

　第１８側面によれば、動力源から発生する音は支持部材で遮られ減音手段で減音されるので、外側に漏れる音は効果的に低減されることができる。

　第１９側面によれば、複数の凸片は効果的に音を減衰する。車内は静音化される。

　第２０側面によれば、様々な周波数帯で減音は実現される。

　第２１側面によれば、受圧部材はパッドのずれを防止する。受圧部材とパッドとのずれに基づく擦れ音は抑制される。

　第２２側面によれば、こうしてばね体はパッドのずれを防止する。

　第２３側面によれば、ばね体とパッドとの係合度が向上し、ずれ防止の効果が高まる。そして、第１方向および第２方向それぞれにパッドのずれは防止されることができる。

　第２４側面によれば、受圧部材の樹脂部材が凹部に入り込むので、パッドのずれ防止にあたって樹脂部材は利用されることができる。

　第２５側面によれば、樹脂部材は板形状に形成されるので、広い範囲にわたって効果的にパッドのずれは防止されることができる。

　第２６側面によれば、パンフレームには凹部に入り込む凸部が形成されるので、パッドのずれ防止にあたってパンフレームは効果的に利用されることができる。

　第２７側面によれば、パンフレームに凸片用の凹部が形成されるので、パッドのずれはさらに効果的に防止されることができる。

　第２８側面によれば、凸片は第１体の別体である第２体に形成されるので、特定の形状の第１体に凸片は後付けで取り付けられることができる。パッドの形状の複雑化はできる限り回避される。パッドの製造は効率化される。

　第２９側面によれば、凸片はパッドとは別体の中間部材に区画されることから、凸片の材料の選択の幅が広がる。しかも、パッドそのものには特別な細工は施されないので、良好な座り心地は維持されることができる。

　第３０側面によれば、パッドのずれはさらに効果的に防止されることができる。

　第３１側面によれば、アクチュエーターは直方体空間の少なくとも２面で減音手段によって囲まれることから、従来に比べて減音効果が向上する。

　第３２側面によれば、カバーに一体化されるので、１工程でカバーおよび減音手段は製造されることができ、製造コストは抑制されることができる。

　第３３側面によれば、既存のサイドカバーに側壁および後壁が規定されるので、部品数を増加させることなく、直方体空間の２面に減音手段は配置されることができる。製造コストは低減される。

　第３４側面によれば、サイドカバーの減音手段と反対側では、サイドフレームおよびインナーカバーで減音効果が達成されるので、減音効果は向上する。

　第３５側面によれば、サイドカバーの減音手段とインナーカバーの減音手段との間にアクチュエーターが配置されるので、減音効果は向上する。

　第３６側面によれば、既存のバックカバーに突出片および後壁が規定されるので、部品数を増加させることなく、直方体空間の２面に減音手段は配置されることができる。製造コストは低減される。

　第３７側面によれば、既存のエアバッグモジュールブラケットに側壁および前壁が規定されるので、部品数を増加させることなく、直方体空間の２面に減音手段は配置されることができる。製造コストは低減される。

　第３８側面によれば、効果的な位置に減音構造は配置されることができる。

　第３９側面によれば、減音手段は簡単に製造されることができる。

　第４０側面によれば、リブが格子状に並ぶことによって減音効果が向上する。

　第４１側面によれば、屈曲部はリブで補強されるので、屈曲部の強度向上にも寄与する。

図１は本発明の第１実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。図２はシートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。図３はシートクッションパッドおよびシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。図４はシートクッションの裏側から観察される送風機ユニットおよび送風経路を概略的に示すシートクッションの拡大平面図である。図５は図４の５－５線に沿ったシートクッションの垂直断面図である。図６は吸音パッドの裏面（第２面）に形成された楔形の凸片の拡大図である。図７は図５の７－７線に沿ったシートクッションの垂直断面図である。図８（Ａ）は図７の８Ａ矢視部であって一具体例に係る吸音パッドの拡大断面図、図８（Ｂ）は図７の８Ａ矢視図であって他の具体例に係る吸音パッドの拡大断面図である。図９は図７に対応し、部位ごとに硬度を概略的に示すシートクッションの垂直断面図である。図１０は第２実施形態に係る車両用シートの構成を概略的に示す拡大斜視図である。図１１は図１０の１１－１１線に沿ったシートバックパッドの拡大斜視図である。図１２は本発明の第３実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。図１３はシートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。図１４はシートクッションパッドおよびシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。図１５はシートクッションの裏側から観察される送風機ユニットおよび送風経路を概略的に示すシートクッションの拡大平面図である。図１６は図１５の１６－１６線に沿ったシートクッションの垂直断面図である。図１７は吸音パッドの裏面（第２面）に形成された楔形の凸片の拡大図である。図１８は車両用シートの一変形例でサイドフレームの拡大垂直断面図である。図１９は車両用シートの他の変形例で前後方向にシートクッションの垂直断面を示す拡大断面図である。図２０は図１９に対応し、車両用シートのさらに他の変形例で前後方向にシートクッションの垂直断面を示す拡大断面図である。図２１は第４実施形態に係る車両用シートの構成を概略的に示す拡大斜視図である。図２２は図２１の２２－２２線に沿ったシートバックパッドの拡大斜視図である。図２３は図１９に対応し、車両用シートのさらに他の変形例で前後方向にシートクッションの垂直断面を示す拡大断面図である。図２４は本発明の第５実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。図２５はシートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。図２６はシートクッションパッドおよびシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。図２７はシートクッションの裏側から観察される送風機ユニットおよび送風経路を概略的に示すシートクッションの拡大平面図である。図２８は図２７の２８－２８線に沿ったシートクッションの垂直断面図である。図２９は吸音パッドの裏面に形成された楔形の凸片の拡大図である。図３０は図２８の３０－３０線に沿ったシートクッションの垂直断面図である。図３１はＳばねと凸片の向きとの関係を概略的に示す拡大平面図である。図３２は連結体の一具体例を概略的に示す拡大平面図である。図３３はパンフレームの一具体例を概略的に示すシートフレームの斜視図である。図３４は中間部材の構成を概略的に示す拡大垂直断面図である。図３５は本発明の第６実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。図３６はシートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。図３７はシートクッションパッドおよびシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。図３８はシートクッションフレームのサイドフレームに被さるサイドカバーの構成を概略的に示す拡大斜視図である。図３９は図３５の３９－３９線に沿った拡大断面図である。図４０は減音手段の構造を概略的に示す拡大平面図および一部を抜粋した拡大斜視図である。図４１は図３６の４１－４１線に沿った拡大断面図である。図４２は他の具体例に係るシートバックの分解斜視図である。図４３は図４２の４３－４３線に沿った拡大断面図である。図４４はシートバックに装着されるエアバッグモジュールブラケットの構成を概略的に示す斜視図である。図４５は図４４の４５－４５線に沿った拡大断面図である。

１１…車両用シート
２５…第１パッド（シートクッションパッド）
５６…第１パッド（シートバックパッド）
４１…第２パッド（吸音パッド）
４１ａ…接する面（第１面）
４１ｂ…反対側の面（第２面）
４２…凹部
４３…凸片
４４ａ…第１凸片群
４４ｂ…第２凸片群
４５…壁体
４６…（底板を形成する）部位
４７…（挟まれる）部位（左右中央部位）
５３…動力源を含む送風機ユニット
６１…第２パッド（吸音パッド）
６１ａ…接する面（第１面）
６１ｂ…反対側の面（第２面）
６２…凹部
ＤＲＦ…第１方向
ＤＲＳ…第２方向

　以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、左右および上下は車両用シートに着座した乗員から見た方向をいう。

　図１は本発明の第１実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す。車両用シート１１は、例えば車両の床面に設置されるベース１２と、前後方向に移動可能にベース１２上に支持され、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション１３と、シートクッション１３に揺動軸ＳＸ回りに前後方向に揺動可能に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック１４と、シートバック１４の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト１５とを備える。シートクッション１３、シートバック１４およびヘッドレスト１５は個別に内部のパッドを包み込む表皮材１３ａ、１４ａ、１５ａを有する。表皮材１４ａ、１５ａは、吊り込み糸１６の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。

　図２に示されるように、車両用シート１１は、パッドを支持するシートフレーム１７を備える。シートフレーム１７は、シートクッション１３のパッドを支持するシートクッションフレーム１８と、揺動軸ＳＸ回りに揺動可能にシートクッションフレーム１８に連結されるシートバックフレーム１９とを備える。ベース１２は、前後方向にスライド自在にシートクッションフレーム１８を支持する左右のレール２１を備える。シートクッションフレーム１８の前後移動はレール２１で案内される。

　シートクッションフレーム１８は、個々のレール２１に並行に延びるサイドフレーム１８ａと、シートクッション１３の前端でサイドフレーム１８ａ同士を接続するパンフレーム１８ｂと、シートクッション１３の後端でサイドフレーム１８ａ同士を連結する連結パイプ１８ｃとを備える。パンフレーム１８ｂと連結パイプ１８ｃとの間には複数のＳばね２２が配置される。個々のＳばね２２はジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材２２ａと、左右方向に延びる線材２２ｂとが交互に組み合わせられて形成される。

　シートバックフレーム１９は、揺動軸ＳＸで個々のサイドフレーム１８ａの内側に連結される板金フレーム１９ａと、板金フレーム１９ａの上端を相互に接続するアッパーフレーム１９ｂとを備える。アッパーフレーム１９ｂには上下方向にスライド可能にヘッドレスト１５のスライド棒を支持する管部材２３が固定される。

　図３に示されるように、シートクッション１３は、シートクッションフレーム１８に支持されて、表皮材１３ａに包み込まれるシートクッションパッド２５をさらに備える。シートクッションパッド２５は、通風路２６を区画する表面を有するパッド本体２５ａと、パッド本体２５ａの表面に被さって通風路２６を塞ぎ、通風路２６に通じる通気孔２７を区画する表層パッド２５ｂとを備える。通風路２６に空気が送り込まれると、通風路２６の空気は通気孔２７から上方に吹き出す。空気は通気性の表皮材１３ａを透過して乗員の下半身を冷却する。シートクッションパッド２５は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　シートバック１４は、シートバックフレーム１９に支持されて、表皮材１４ａに包み込まれるシートバックパッド３１をさらに備える。シートバックパッド３１は、通風路３２を区画する表面を有するパッド本体３１ａと、パッド本体３１ａの表面に被さって通風路３２を塞ぎ、通風路３２に通じる通気孔３３を区画する表層パッド３１ｂとを備える。通風路３２に空気が送り込まれると、通風路３２の空気は通気孔３３から前方に吹き出す。空気は通気性の表皮材１４ａを透過して乗員の背中を冷却する。シートバックパッド３１は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　図２に示されるように、シートクッション１３の下側の空間には送風機ユニット３４が配置される。図４を併せて参照し、送風機ユニット３４は、パンフレーム１８ｂの裏側（パンフレーム１８ｂの下方）の空間に配置されて、送風口３５ａを区画するファンハウジング３５と、ファンハウジング３５に収容されて上下に延びる回転軸線３６ａ回りで回転する遠心ブレード３６と、ファンハウジング３５に組み込まれて、遠心ブレード３６の回転を引き起こす動力源３７すなわち電動モーターとを備える。ファンハウジング３５にはダクト３８が接続される。ダクト３８は、ファンハウジング３５の送風口３５ａに接続される共通ダクト３８ａと、共通ダクト３８ａから後方に延びて、シートクッションフレーム１８の連結パイプ１８ｃを迂回してシートバックパッド３１の背後から通風路３２に接続される第１個別ダクト３８ｂと、共通ダクト３８ａから上方に延びて、下方からシートクッションパッド２５の通風路２６に接続される第２個別ダクト３８ｃとを有する。動力源３７が作動すると、遠心ブレード３６の回転に応じて送風口３５ａから気流が吹き出す。気流は、共通ダクト３８ａおよび第１個別ダクト３８ｂを経てシートバックパッド３１の通風路３２に供給され、通気孔３３から前方に吹き出す。同様に、気流は、第１個別ダクト３８ｂから分岐する第２個別ダクト３８ｃを経てシートクッションパッド２５の通風路２６に供給され、通気孔２７から上方に吹き出す。

　図５に示されるように、シートクッションパッド（第１パッド）２５は、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する。シートクッションパッド２５の表面に表皮材１３ａは密着する。シートクッションパッド２５の裏側には、シートクッションパッド２５よりも高い吸音性能を有する吸音パッド（第２パッド）４１が当てられる。吸音性能の確保にあたって吸音パッド４１はシートクッションパッド２５よりも柔軟性を有する。吸音パッド４１は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。

　吸音パッド４１は、シートクッションパッド２５の裏面に区画され裏面の基準面ＰＬから窪んだ凹部４２に収容される。吸音パッド４１は、シートクッションパッド２５と接する第１面４１ａに、複数の山形突起を有し、第１面４１ａの反対側（裏側）の第２面４１ｂに複数の楔形状の凸片４３を有する。凸片４３は、図６に示されるように、溝を挟んで隣接する楔形状の凸片で構成される。凸片４３は、第２面４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びる長尺の凸片４３の集合体である第１凸片群４４ａと、第２面４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びる長尺の凸片４３の集合体である第２凸片群４４ｂとを含む。ここでは、第２方向ＤＲＳは第１方向ＤＲＦに直交する。第１凸片群４４ａと第２凸片群４４ｂとはそれぞれ正方形に仕切られて格子状に配置される。シートクッションパッド２５と吸音パッド４１との接触面は相互に密着する凹凸形状に構成される。シートクッションパッド２５と吸音パッド４１とは接着材で接着されればよい。

　図５に示されるように、凸片４３の先端には、シートクッションパッド２５の裏側の空間に配置されるパンフレーム（受圧部材）１８ｂおよびＳばね（受圧部材）２２が接触する。凸片４３の先端はパンフレーム１８ｂおよびＳばね２２に受け止められる。送風機ユニット３４はシートクッションパッド２５の裏側の空間に配置されて凸片４３に向き合わせられる。ここでは、送風機ユニット３４は、凸片４３の先端に接触するパンフレーム１８ｂの裏面に向き合わせられる。パンフレーム１８ｂおよびＳばね２２は凸片４３に接触することから、吸音パッド４１とパンフレーム１８ｂやＳばね２２とのこすれ音は効率的に吸収される。

　電動モーターといった動力源３７が動作すると、動作音が発生する。動力源３７の動作に基づき遠心ブレード３６が回転すると、遠心ブレード３６の回転に応じて風切り音が発生する。動力源３７の動作音や風切り音といった騒音は吸音パッド４１で吸収される。こうしてシートクッションパッド２５の裏側の空間に音の発生源が配置されても、シートクッションパッド２５に向かう音は吸音パッド４１で効率的に吸収される。乗員まで達する音は抑制される。車両用シート１１は車内の静音化に大いに寄与する。柔軟性は吸音パッド４１に良好な吸音性能を付与する。動力源３７には、例えばアクチュエーター、モーターまたは送風機が含まれればよい。アクチュエーター、モーターまたは送風機は例えば電力に基づき作動すればよい。

　吸音パッド４１は、シートクッションパッド２５と接する第１面４１ａの反対側の第２面４１ｂに複数の凸片４３を有する。シートクッションパッド２５の裏側の空間に音の発生源が配置されると、シートクッションパッド２５に向かう音は吸音パッド４１の凸片４３側から吸音パッド４１に進入する。複数の凸片４３は効果的に音を減衰する。車内はさらに静音化される。

　凸片４３は、第２面４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びる長尺の凸片４３の集合体である第１凸片群４４ａと、第２面４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びる長尺の凸片４３の集合体である第２凸片群４４ｂとを含む。長尺の凸片４３は特定の方向から入射する音に対して効率的に吸音効果を発揮する。第１凸片群４４ａの凸片４３と、第２凸片群４４ｂの凸片４３とは延伸方向が相違することから、複数の方向から入射する音に対して吸音効果は高められることができる。

　図５および図７に示されるように、吸音パッド４１の第１面４１ａとシートクッションパッド２５との接触面は凹凸形状に構成される。シートクッションパッド２５と吸音パッド４１との接触面積が増加し、シートクッションパッド２５と吸音パッド４１との間で滑りが抑制される。その結果、良好な座り心地は形成される。

　図８に示されるように、吸音パッド４１は、凸片４３の間の窪みは基準面ＰＬよりも受圧面に近く位置する。このとき、凸片４３の先端の稜線は、図８（Ａ）に示されるように、シートクッションパッド２５の基準面ＰＬに接してもよく、図８（Ｂ）に示されるように、シートクッションパッド２５の基準面ＰＬよりも下方に突出してもよい。いずれの場合でも、吸音パッド４１はシートクッションパッド２５に支持されるので、良好な座り心地は維持されることができる。

　図９に示されるように、シートクッションパッド２５で凹部４２の空間を囲む壁体４５はシートクッションパッド２５で凹部４２の底板を形成する部位４６よりも硬い。その結果、吸音パッド４１を囲む壁体４５の剛性が高められ、吸音パッド４１の支持性能が向上するので、シートクッション１３の受圧面に乗員の身体から圧力が作用してもシートクッションパッド２５の沈み込みは抑制される。こうした壁体４５に加えて、あるいは、硬い壁体４５に代えて、シートクッションパッド２５で表面および吸音パッド４１の間に挟まれる部位は他の部位よりも硬くてもよい。ここでは、シートクッションパッド２５の表面および吸音パッド４１の間でパッド本体２５ａの左右中央部位４７は前後の帯状に硬さを有する。受圧面を形成するシートクッションパッド２５の剛性が高められ、受圧面に乗員の身体から圧力が作用してもシートクッションパッド２５の沈み込みは抑制される。

　図１０は本発明の第２実施形態に係る車両用シートの構成を概略的に示す。車両用シート５１はシートバック５２に固有の送風機ユニット５３を有する。送風機ユニット５３はシートバック５２の背後の空間に配置される。送風機ユニット５３は前述の送風機ユニット３４と同様に構成される。送風機ユニット５３のファンハウジング５４にはダクト５５が接続される。送風機ユニット５３およびシートバックパッド３１以外の構成は前述の車両用シート１１と同様に構成されればよい。

　シートバックパッド５６は、送風機ユニット５３のダクト５５に接続される導入路５７、および、導入路５７から延びる通風路５８を区画する表面を有するパッド本体５６ａと、パッド本体５６ａの表面に被さって導入路５７を塞ぐ第１表層パッド５６ｂと、パッド本体５６ａの表面に被さって通風路５８を塞ぎ、通風路５８に通じる通気孔５９を区画する第２表層パッド５６ｃとを備える。気流は、ダクト５５からシートバックパッド５６の導入路５７を経て通風路５８に供給され、通気孔５９から前方に吹き出す。

　図１１に示されるように、シートバックパッド（第１パッド）５６は、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する。シートバックパッド５６の表面に表皮材１４ａは密着する。シートバックパッド５６の裏側には、シートバックパッド５６よりも高い吸音性能を有する吸音パッド（第２パッド）６１が当てられる。吸音性能の確保にあたって吸音パッド６１はシートバックパッド５６よりも柔軟性を有する。吸音パッド６１は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。

　吸音パッド６１は、シートバックパッド５６の裏面に区画され裏面の基準面ＤＰから窪んだ凹部６２に収容される。吸音パッド６１は、シートバックパッド５６と接する第１面６１ａに、複数の山形突起を有し、第１面６１ａの反対側（裏側）の第２面６１ｂに複数の楔形状の凸片４３を有する。凸片４３は、図６に示されるように、溝を挟んで隣接する楔形状の凸片で構成される。凸片４３は、第２面６１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びる長尺の凸片４３の集合体である第１凸片群４４ａと、第２面６１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びる長尺の凸片４３の集合体である第２凸片群４４ｂとを含む。ここでは、第２方向ＤＲＳは第１方向ＤＲＦに直交する。第１凸片群４４ａと第２凸片群４４ｂとはそれぞれ正方形に仕切られて格子状に配置される。シートバックパッド５６と吸音パッド６１との接触面は相互に密着する凹凸形状に構成される。シートバックパッド５６と吸音パッド６１とは接着材で接着されればよい。

　図１１に示されるように、送風機ユニット３４はシートバックパッド５６の裏側の空間に配置されて凸片４３に向き合わせられる。ここでは、送風機ユニット５３は、凸片４３の先端に直接に向き合わせられる。送風機ユニット５３が作動すると、動作音や風切り音が発生する。動作音や風切り音といった騒音は吸音パッド６１で吸収される。こうしてシートバックパッド５６の裏側の空間に音の発生源が配置されても、シートバックパッド５６に向かう音は吸音パッド６１で効率的に吸収される。乗員まで達する音は抑制される。車両用シート５１は車内の静音化に大いに寄与する。柔軟性は吸音パッド６１に良好な吸音性能を付与する。

　図１２は本発明の第３実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す。車両用シート１１１は、例えば車両の床面に設置されるベース１１２と、前後方向に移動可能にベース１１２上に支持され、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション１１３と、シートクッション１１３に揺動軸ＳＸ回りに前後方向に揺動可能に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック１１４と、シートバック１１４の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト１１５とを備える。シートクッション１１３、シートバック１１４およびヘッドレスト１１５は個別に内部のパッドを包み込む表皮材１１３ａ、１１４ａ、１１５ａを有する。表皮材１１４ａ、１１５ａは、吊り込み糸１１６の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。

　図１３に示されるように、車両用シート１１１は、パッドを支持するシートフレーム１１７を備える。シートフレーム１１７は、シートクッション１１３のパッドを支持するシートクッションフレーム１１８と、揺動軸ＳＸ回りに揺動可能にシートクッションフレーム１１８に連結されるシートバックフレーム１１９とを備える。ベース１１２は、前後方向にスライド自在にシートクッションフレーム１１８を支持する左右のレール１２１を備える。シートクッションフレーム１１８の前後移動はレール１２１で案内される。

　シートクッションフレーム１１８は、個々のレール１２１に並行に延びるサイドフレーム１１８ａと、シートクッション１１３の前端でサイドフレーム１１８ａ同士を接続するパンフレーム（受圧部材）１１８ｂと、シートクッション１１３の後端でサイドフレーム１１８ａ同士を連結する連結パイプ１１８ｃとを備える。パンフレーム１１８ｂと連結パイプ１１８ｃとの間には複数のＳばね（ばね体）１２２が配置される。個々のＳばね１２２はジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材１２２ａと、左右方向に延びる線材１２２ｂとが交互に組み合わせられて形成される。ここでは、４本のＳばね１２２が左右方向に間隔を空けて前後に延びる。

　Ｓばね１２２には４つの連結体１２３ａ、１２３ｂが取り付けられる。２つの連結体１２３ａは、左右方向に広がって４つのＳばね１２２で線材１２２ａを相互に連結する。２つの連結体１２３ｂは、左右に広がって、中央で隣接する２つのＳばね１２２で線材１２２ａを相互に連結する。前後方向に連結体１２３ａの間に連結体１２３ｂは配列される。連結体１２３ａ、１２３ｂは例えば樹脂材から成型される。

　シートバックフレーム１１９は、揺動軸ＳＸで個々のサイドフレーム１１８ａの内側に連結される板金フレーム１１９ａと、板金フレーム１１９ａの上端を相互に接続するアッパーフレーム１１９ｂとを備える。アッパーフレーム１１９ｂには上下方向にスライド可能にヘッドレスト１１５のスライド棒を支持する管部材１２４が固定される。

　図１４に示されるように、シートクッション１１３は、シートクッションフレーム１１８に支持されて、表皮材１１３ａに包み込まれるシートクッションパッド１２５をさらに備える。シートクッションパッド１２５は、通風路１２６を区画する表面を有するパッド本体１２５ａと、パッド本体１２５ａの表面に被さって通風路１２６を塞ぎ、通風路１２６に通じる通気孔１２７を区画する表層パッド１２５ｂとを備える。通風路１２６に空気が送り込まれると、通風路１２６の空気は通気孔１２７から上方に吹き出す。空気は通気性の表皮材１１３ａを透過して乗員の下半身を冷却する。シートクッションパッド１２５は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　シートバック１１４は、シートバックフレーム１１９に支持されて、表皮材１１４ａに包み込まれるシートバックパッド１３１をさらに備える。シートバックパッド１３１は、通風路１３２を区画する表面を有するパッド本体１３１ａと、パッド本体１３１ａの表面に被さって通風路１３２を塞ぎ、通風路１３２に通じる通気孔１３３を区画する表層パッド１３１ｂとを備える。通風路１３２に空気が送り込まれると、通風路１３２の空気は通気孔１３３から前方に吹き出す。空気は通気性の表皮材１１４ａを透過して乗員の背中を冷却する。シートバックパッド１３１は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　図１３に示されるように、シートクッション１１３の下側の空間には送風機ユニット１３４が配置される。図１５を併せて参照し、送風機ユニット１３４は、パンフレーム１１８ｂの裏側（パンフレーム１１８ｂの下方）の空間に配置されて、送風口１３５ａを区画するファンハウジング１３５と、ファンハウジング１３５に収容されて上下に延びる回転軸線１３６ａ回りで回転する遠心ブレード１３６と、ファンハウジング１３５に組み込まれて、遠心ブレード１３６の回転を引き起こす動力源１３７すなわち電動モーターとを備える。ファンハウジング１３５にはダクト１３８が接続される。ダクト１３８は、ファンハウジング１３５の送風口１３５ａに接続される共通ダクト１３８ａと、共通ダクト１３８ａから後方に延びて、シートクッションフレーム１１８の連結パイプ１１８ｃを迂回してシートバックパッド１３１の背後から通風路１３２に接続される第１個別ダクト１３８ｂと、共通ダクト１３８ａから上方に延びて、下方からシートクッションパッド１２５の通風路１２６に接続される第２個別ダクト１３８ｃとを有する。動力源１３７が作動すると、遠心ブレード１３６の回転に応じて送風口１３５ａから気流が吹き出す。気流は、共通ダクト１３８ａおよび第１個別ダクト１３８ｂを経てシートバックパッド１３１の通風路１３２に供給され、通気孔１３３から前方に吹き出す。同様に、気流は、第１個別ダクト１３８ｂから分岐する第２個別ダクト１３８ｃを経てシートクッションパッド１２５の通風路１２６に供給され、通気孔１２７から上方に吹き出す。

　図１６に示されるように、シートクッションパッド１２５は、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する。シートクッションパッド１２５の表面に表皮材１１３ａは密着する。シートクッションパッド１２５は下方からパンフレーム１１８ｂおよびＳばね１２２で支持される。パンフレーム１１８ｂの表側にシートクッションパッド１２５の前端は重ねられる。Ｓばね１２２はシートクッションパッド１２５を下方から受け止める。

　パンフレーム１１８ｂおよびＳばね１２２と、送風機ユニット１３４との間にはシートクッションパッド１２５よりも高い吸音性能を有する吸音パッド１４１が配置される。吸音性能の確保にあたって吸音パッド１４１はシートクッションパッド１２５よりも柔軟性を有する。吸音パッド１４１は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。吸音パッド１４１は、シートクッションパッド１２５と送風機ユニット１３４との間に配置されて、シートクッションパッド１２５とは別体に形成されて、減音特性を有する減音手段として機能する。

　吸音パッド１４１は例えばクリップ１４２で前後の連結体１２３ａに取り付けられる。クリップ１４２は、例えば弾性体で形成されて、連結体１２３ａに弾性力で係り合えばよい。クリップ１４２はシートクッションパッド１２５の裏側の空間内で決められた位置に吸音パッド１４１を保持する。シートクッションパッド１２５の裏側で送風機ユニット１３４は吸音パッド１４１に向き合わせられる。

　吸音パッド１４１は、シートクッションパッド１２５に向き合ってパンフレーム１１８ｂやＳばね１２２と接する第１面１４１ａの反対側（裏側）の第２面１４１ｂに複数の楔形状の凸片１４３を有する。凸片１４３は、図１７に示されるように、溝を挟んで隣接する楔形状の凸片で構成される。凸片１４３は、第２面１４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びる長尺の凸片１４３の集合体である第１凸片群１４４ａと、第２面１４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びる長尺の凸片１４３の集合体である第２凸片群１４４ｂとを含む。ここでは、第２方向ＤＲＳは第１方向ＤＲＦに直交する。第１凸片群１４４ａと第２凸片群１４４ｂとはそれぞれ正方形に仕切られて格子状に配置される。

　図１６に示されるように、サイドフレーム１１８ａの内側にはアクチュエーター１４５が取り付けられる。アクチュエーター１４５は、例えば、レール１２１に沿ってシートフレーム１１７をスライド移動する駆動力を発揮する。駆動力は、内蔵される電動モーターで生成される。

　サイドフレーム１１８ａの外側にはシートクッションパッド１２５よりも高い吸音性能を有する吸音パッド１４６が配置される。吸音性能の確保にあたって吸音パッド１４６はシートクッションパッド１２５よりも柔軟性を有する。吸音パッド１４６は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。吸音パッド１４６は、シートクッションパッド１２５の裏面に区画され裏面の基準面から窪んだ凹部１４７に収容される。吸音パッド１４６は、シートクッションパッド１２５と接する第１面１４６ａの反対側（裏側）の第２面１４６ｂに複数の楔形状の凸片１４３を有する。凸片１４３は前述と同様に構成される。

　次に本実施形態の作用を説明する。電動モーターといった動力源１３７が動作すると、動作音が発生する。動力源１３７の動作に基づき遠心ブレード１３６が回転すると、遠心ブレード１３６の回転に応じて風切り音が発生する。動力源１３７の動作音や風切り音といった騒音は吸音パッド１４１で吸収される。こうしてシートクッションパッド１２５の裏側の空間に音の発生源が配置されても、シートクッションパッド１２５に向かう音は吸音パッド１４１で効率的に吸収される。乗員まで達する音は抑制される。車両用シート１１１は車内の静音化に大いに寄与する。柔軟性は吸音パッド１４１に良好な吸音性能を付与する。動力源１３７には、例えばアクチュエーター、モーターまたは送風機が含まれればよい。アクチュエーター、モーターまたは送風機は例えば電力に基づき作動すればよい。

　本実施形態では、吸音パッド１４１は、シートクッションパッド１２５と送風機ユニット１３４との間に配置されてシートクッションパッド１２５を受け止めるＳばね１２２に取り付けられる。吸音パッド１４１は簡単に車両用シート１１１に組み込まれることができる。吸音パッド１４１はＳばね１２２と送風機ユニット１３４との間に配置されるので、吸音パッド１４１の配置にあたってシートクッションパッド１２５はそのままＳばね１２２に受け止められ、シートクッションパッド１２５の性能は阻害されない。座り心地は良好に維持されることができる。

　特に、本実施形態では、吸音パッド１４１は、複数のＳばね１２２を連結する連結体１２３ａに取り付けられる。吸音パッド１４１は簡単に車両用シート１１１に組み込まれることができる。

　本実施形態ではアクチュエーター１４５はシートクッションフレーム１１８のサイドフレーム１１８ａに支持される。サイドフレーム１１８ａは吸音パッド１４６とアクチュエーター１４５との間に挟まれる。アクチュエーター１４５から発生する音はサイドフレーム１１８ａで遮られ吸音パッド１４６で減音されるので、外側に漏れる音は効果的に低減されることができる。

　いずれの吸音パッド１４１、１４６も送風機ユニット１３４およびアクチュエーター１４５に向き合わせられる複数の凸片１４３を有する。複数の凸片１４３は効果的に音を減衰する。車内は静音化される。

　図１８に示されるように、車両用シート１１１ではサイドフレーム１１８ａに固定されるブラケット１４８にアクチュエーター１４５が取り付けられてもよい。こうしてアクチュエーター１４５は吸音パッド１４９とブラケット１４８との間に挟まれる。吸音パッド１４９は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。吸音パッド１４６は、アクチュエーター１４５と接する面に複数の楔形状の凸片１４３を有する。凸片１４３は前述と同様に構成される。アクチュエーター１４５は吸音パッド１４９とブラケット１４８との間に挟まれるので、減音効果は高まる。

　図１９に示されるように、支持部材としてのパンフレーム１１８ｂと送風機ユニット１３４との間に吸音パッド１５１が挟まれてもよい。吸音パッド１５１は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。吸音パッド１５１は、送風機ユニット１３４と接する面に複数の楔形状の凸片１４３を有する。凸片１４３は前述と同様に構成される。こうして送風機ユニット１３４とパンフレーム１１８ｂとの間に吸音パッド１５１が挟まれるので、送風機ユニット１３４からパンフレーム１１８ｂに向かって振動の伝達は抑制される。

　図２０に示されるように、パンフレーム１１８ｂと送風機ユニット１３４との間には減音手段としての共鳴室１５２が区画されてもよい。共鳴室１５２は、パンフレーム１１８ｂと送風機ユニット１３４との間に仕切られる。送風機ユニット１３４のファンハウジング１３５には共鳴室１５２に通じる通風口１５３が区画される。動力源１３７の動作音や遠心ブレード１３６の風切り音は共鳴室１５２内で減衰する。こうして減音は実現される。

　図２１は本発明の第４実施形態に係る車両用シートの構成を概略的に示す。車両用シート１６１はシートバック１６２に固有の送風機ユニット１６３を有する。送風機ユニット１６３はシートバック１６２の背後の空間に配置される。送風機ユニット１６３は前述の送風機ユニット１３４と同様に構成される。送風機ユニット１６３のファンハウジング１６４にはダクト１６５が接続される。送風機ユニット１６３およびシートバックパッド１３１以外の構成は前述の車両用シート１１１と同様に構成されればよい。

　シートバックパッド１６６は、送風機ユニット１６３のダクト１６５に接続される導入路１６７、および、導入路１６７から延びる通風路１６８を区画する表面を有するパッド本体１６６ａと、パッド本体１６６ａの表面に被さって導入路１６７を塞ぐ第１表層パッド１６６ｂと、パッド本体１６６ａの表面に被さって通風路１６８を塞ぎ、通風路１６８に通じる通気孔１６９を区画する第２表層パッド１６６ｃとを備える。気流は、ダクト１６５からシートバックパッド１６６の導入路１６７を経て通風路１６８に供給され、通気孔１６９から前方に吹き出す。

　図２２に示されるように、送風機ユニット１６３のファンハウジング１６４には吸音パッド１７１が取り付けられる。吸音パッド１７１は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。吸音パッド１７１は、ファンハウジング１６４と接する面に複数の楔形状の凸片１４３を有する。凸片１４３は前述と同様に構成される。吸音パッド１７１は送風機ユニット１６３のファンハウジング１６４に直接に取り付けられるので、効率よく減音は実現される。

　その他、例えば図２３に示されるように、車両用シート１１１は、異なる減音特性を有する吸音パッド１７２、１７３を備えてもよい。個々の吸音パッド１７２、１７３は異なる周波数帯で減音特性を有する。こうして様々な周波数帯で減音は実現される。

　図２４は第５実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す。車両用シート２１１は、例えば車両の床面に設置されるベース２１２と、前後方向に移動可能にベース２１２上に支持され、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション２１３と、シートクッション２１３に揺動軸ＳＸ回りに前後方向に揺動可能に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック２１４と、シートバック２１４の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト２１５とを備える。シートクッション２１３、シートバック２１４およびヘッドレスト２１５は個別に内部のパッドを包み込む表皮材２１３ａ、２１４ａ、２１５ａを有する。表皮材２１４ａ、２１５ａは、吊り込み糸２１６の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。

　図２５に示されるように、車両用シート２１１は、パッドを支持するシートフレーム２１７を備える。シートフレーム２１７は、シートクッション２１３のパッドを支持するシートクッションフレーム２１８と、揺動軸ＳＸ回りに揺動可能にシートクッションフレーム２１８に連結されるシートバックフレーム２１９とを備える。ベース２１２は、前後方向にスライド自在にシートクッションフレーム２１８を支持する左右のレール２２１を備える。シートクッションフレーム２１８の前後移動はレール２２１で案内される。

　シートクッションフレーム２１８は、個々のレール２２１に並行に延びるサイドフレーム２１８ａと、シートクッション２１３の前端でサイドフレーム２１８ａ同士を接続するパンフレーム２１８ｂと、シートクッション２１３の後端でサイドフレーム２１８ａ同士を連結する連結パイプ２１８ｃとを備える。パンフレーム２１８ｂは板形状に形成されて広い範囲にわたってサイドフレーム２１８ａの間に広がる。パンフレーム２１８ｂと連結パイプ２１８ｃとの間には複数のＳばね２２２が配置される。個々のＳばね２２２はジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材２２２ａと、左右方向に延びる線材２２２ｂとが交互に組み合わせられて形成される。

　Ｓばね２２２には４つの連結体２２３ａ、２２３ｂが取り付けられる。２つの連結体２２３ａは、左右方向に広がって４つのＳばね２２２で線材２２２ａを相互に連結する。２つの連結体２２３ｂは、左右に広がって、中央で隣接する２つのＳばね２２２で線材２２２ａを相互に連結する。前後方向に連結体２２３ａの間に連結体２２３ｂは配列される。連結体２２３ａ、２２３ｂは例えば樹脂材から成型される。

　シートバックフレーム２１９は、揺動軸ＳＸで個々のサイドフレーム２１８ａの内側に連結される板金フレーム２１９ａと、板金フレーム２１９ａの上端を相互に接続するアッパーフレーム２１９ｂとを備える。アッパーフレーム２１９ｂには上下方向にスライド可能にヘッドレスト２１５のスライド棒を支持する管部材２２４が固定される。

　図２６に示されるように、シートクッション２１３は、シートクッションフレーム２１８に支持されて、表皮材２１３ａに包み込まれるシートクッションパッド２２５をさらに備える。シートクッションパッド２２５は、通風路２２６を区画する表面を有するパッド本体２２５ａと、パッド本体２２５ａの表面に被さって通風路２２６を塞ぎ、通風路２２６に通じる通気孔２２７を区画する表層パッド２２５ｂとを備える。通風路２２６に空気が送り込まれると、通風路２２６の空気は通気孔２２７から上方に吹き出す。空気は通気性の表皮材２１３ａを透過して乗員の下半身を冷却する。シートクッションパッド２２５は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　シートバック２１４は、シートバックフレーム２１９に支持されて、表皮材２１４ａに包み込まれるシートバックパッド２３１をさらに備える。シートバックパッド２３１は、通風路２３２を区画する表面を有するパッド本体２３１ａと、パッド本体２３１ａの表面に被さって通風路２３２を塞ぎ、通風路２３２に通じる通気孔２３３を区画する表層パッド２３１ｂとを備える。通風路２３２に空気が送り込まれると、通風路２３２の空気は通気孔２３３から前方に吹き出す。空気は通気性の表皮材２１４ａを透過して乗員の背中を冷却する。シートバックパッド２３１は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　図２５に示されるように、シートクッション２１３の下側の空間には送風機ユニット２３４が配置される。図２７を併せて参照し、送風機ユニット２３４は、パンフレーム２１８ｂの裏側（パンフレーム２１８ｂの下方）の空間に配置されて、送風口２３５ａを区画するファンハウジング２３５と、ファンハウジング２３５に収容されて上下に延びる回転軸線２３６ａ回りで回転する遠心ブレード２３６と、ファンハウジング２３５に組み込まれて、遠心ブレード２３６の回転を引き起こす動力源２３７すなわち電動モーターとを備える。ファンハウジング２３５にはダクト２３８が接続される。ダクト２３８は、ファンハウジング２３５の送風口２３５ａに接続される共通ダクト２３８ａと、共通ダクト２３８ａから後方に延びて、シートクッションフレーム２１８の連結パイプ２１８ｃを迂回してシートバックパッド２３１の背後から通風路２３２に接続される第１個別ダクト２３８ｂと、共通ダクト２３８ａから上方に延びて、下方からシートクッションパッド２２５の通風路２２６に接続される第２個別ダクト２３８ｃとを有する。動力源２３７が作動すると、遠心ブレード２３６の回転に応じて送風口２３５ａから気流が吹き出す。気流は、共通ダクト２３８ａおよび第１個別ダクト２３８ｂを経てシートバックパッド２３１の通風路２３２に供給され、通気孔２３３から前方に吹き出す。同様に、気流は、第１個別ダクト２３８ｂから分岐する第２個別ダクト２３８ｃを経てシートクッションパッド２２５の通風路２２６に供給され、通気孔２２７から上方に吹き出す。

　図２８に示されるように、シートクッションパッド２２５は、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面（第１面）を有する。シートクッションパッド２２５の表面に表皮材２１３ａは密着する。シートクッションパッド２２５は、パッド本体２２５ａの裏側に埋め込まれて、パッド本体２２５ａおよび表層パッド２２５ｂよりも高い吸音性能を有する吸音パッド２４１をさらに備える。吸音パッド２４１は、パッド本体２２５ａの裏面（第２面）に区画され裏面の基準面ＰＬから窪んだ窪み２４２に収容される。吸音性能の確保にあたって吸音パッド２４１はパッド本体２２５ａおよび表層パッド２２５ｂよりも柔軟性を有する。吸音パッド２４１は例えば発泡ウレタンの吸音材から形成される。

　吸音パッド２４１は、パッド本体２２５ａと接する第１面２４１ａに、複数の山形突起を有し、第１面２４１ａの反対側（裏側）の第２面２４１ｂに複数の楔形状の凸片２４３を有する。凸片２４３は、図２９に示されるように、溝を挟んで隣接する楔形状の凸片で構成される。凸片２４３は、第２面２４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びる長尺の凸片２４３の集合体である第１凸片群２４４ａと、第２面２４１ｂに沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びる長尺の凸片２４３の集合体である第２凸片群２４４ｂとを含む。ここでは、第２方向ＤＲＳは第１方向ＤＲＦに直交する。第１凸片群２４４ａと第２凸片群２４４ｂとはそれぞれ正方形に仕切られて格子状に配置される。パッド本体２２５ａと吸音パッド２４１との接触面は相互に密着する凹凸形状に構成される。パッド本体２２５ａと吸音パッド２４１とは接着材で接着されればよい。その他、凸片２４３はパッド本体２２５ａの裏面に直接に形成されてもよい。

　図２８および図３０に示されるように、シートクッションパッド２２５は、シートクッションパッド２２５の裏側の空間に配置されるパンフレーム（受圧部材）２１８ｂおよびＳばね（受圧部材）２２２に支持される。Ｓばね２２２は、凸片２４３同士の間に区画される凹部に少なくとも部分的に入り込む。送風機ユニット２３４はシートクッションパッド２２５の裏側の空間に配置されて凸片２４３に向き合わせられる。ここでは、送風機ユニット２３４は、凸片２４３の先端に接触するパンフレーム２１８ｂの裏面に向き合わせられる。凸片２４３はＳばね２２２の下方に突出する。図３１に示されるように、Ｓばね２２２は、第１凸片群２４４ａの凸片２４３の間に区画される第１凹部２４５ａに少なくとも入り込む第１域２４６ａと、第２凸片群２４４ｂの凸片２４３の間に区画される第２凹部２４５ｂに少なくとも入り込む第２域２４６ｂとを含む。Ｓばね２２２は部分的に凸片２４３に交差する。Ｓばね２２２は凸片２４３を横切る際に凸片２４３に食い込むことができる。

　電動モーターといった動力源２３７が動作すると、動作音が発生する。動力源２３７の動作に基づき遠心ブレード２３６が回転すると、遠心ブレード２３６の回転に応じて風切り音が発生する。動力源２３７の動作音や風切り音といった騒音は吸音パッド２４１で吸収される。こうしてシートクッションパッド２２５の裏側の空間に音の発生源が配置されても、シートクッションパッド２２５に向かう音は吸音パッド２４１で効率的に吸収される。乗員まで達する音は抑制される。車両用シート２１１は車内の静音化に大いに寄与する。柔軟性は吸音パッド２４１に良好な吸音性能を付与する。動力源２３７には、例えばアクチュエーター、モーターまたは送風機が含まれればよい。アクチュエーター、モーターまたは送風機は例えば電力に基づき作動すればよい。

　本実施形態では、シートクッションパッド２２５は、乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る第１面、および、第１面の裏側であって複数の凸片２４３を形成する第２面を有する。Ｓばね２２２は、第２面からシートクッションパッド２２５を支持し、凸片２４３同士の間に区画される第１凹部２４５ａおよび第２凹部２４５ｂに少なくとも部分的に入り込む。Ｓばね２２２はシートクッションパッド２２５のずれを防止する。Ｓばね２２２とシートクッションパッド２２５とのずれに基づく擦れ音は抑制される。特に、Ｓばね２２２は、第１凸片群２４４ａに属する凸片２４３の間に区画される第１凹部２４５ａに少なくとも入り込む第１域２４６ａと、第２凸片群２４４ｂに属する凸片２４３の間に区画される第２凹部２４５ｂに少なくとも入り込む第２域２４６ｂとを含む。その結果、Ｓばね２２２のばね体とシートクッションパッド２２５との係合度が向上し、ずれ防止の効果が高まる。そして、第１方向ＤＲＦおよび第２方向ＤＲＳそれぞれにシートクッションパッド２２５のずれは防止されることができる。

　本実施形態では、シートクッションパッド２２５は、相互に一体化されて、表層パッド２２５ｂの表面で受圧面の形状を象るパッド本体２２５ａと、パッド本体２２５ａの裏側に重ねられて固定され、凸片２４３を区画する吸音パッド２４１とを備える。凸片２４３は表層パッド２２５ｂおよびパッド本体２２５ａの別体である吸音パッド２４１に形成されるので、特定の形状の表層パッド２２５ｂおよびパッド本体２２５ａに凸片２４３は後付けで取り付けられることができる。シートクッションパッド２２５の形状の複雑化はできる限り回避される。シートクッションパッド２２５の製造は効率化される。

　図３２に示されるように、連結体２２３ａ、２２３ｂは左右方向に長尺の板形状に形成される。シートクッションパッド２２５は連結体２２３ａ、２２３ｂの板面に重ねられる。連結体２２３ａ、２２３ｂの板面には、少なくとも部分的に第１凹部２４５ａおよび第２凹部２４５ｂに入り込む第１凸部２５１ａおよび第２凸部２５１ｂが形成される。こうして連結体２２３ａ、２２３ｂの第１凸部２５１ａおよび第２凸部２５１ｂがそれぞれ第１凹部２４５ａおよび第２凹部２４５ｂに入り込むので、シートクッションパッド２２５のずれ防止にあたって連結体２２３ａ、２２３ｂは利用されることができる。しかも、連結体２２３ａ、２２３ｂは板形状に形成されるので、広い範囲にわたって効果的にシートクッションパッド２２５のずれは防止されることができる。

　図３３に示されるように、パンフレーム２１８ｂの板面に、少なくとも部分的に第１凹部２４５ａおよび第２凹部２４５ｂに入り込む第１凸部２５２ａおよび第２凸部２５２ｂが形成されてもよい。こうしてパンフレーム２１８ｂに第１凹部２４５ａおよび第２凹部２４５ｂにそれぞれ入り込む第１凸部２５２ａおよび第２凸部２５２ｂが形成されるので、シートクッションパッド２２５のずれ防止にあたって既存部品であるパンフレーム２１８ｂは効果的に利用されることができる。

　パンフレーム２１８ｂには、シートクッションパッド２２５の凸片２４３を受け入れる凹部２５３ａ、２５３ｂが形成されてもよい。凹部は、第１凸片群２４４ａに属する凸片２４３を受け入れる第１凹部２５３ａと、第２凸片群２４４ｂに属する凸片２４３を受け入れる第２凹部２５３ｂとを含めばよい。こうしてパンフレーム２１８ｂに凸片２４３用の凹部２５３ａ、２５３ｂが形成されるので、シートクッションパッド２２５のずれはさらに効果的に防止されることができる。ただし、パンフレーム２１８ｂ上には、第１および第２凸部２５２ａ、２５２ｂだけが配置されてもよく、第１および第２凹部２５３ａ、２５３ｂだけが配置されてもよい。その他、凸部は第１凸部２５２ａおよび第２凸部２５２ｂのいずれか一方だけを含んでもよく、凹部は第１凹部２５３ａおよび第２凹部２５３ｂのいずれか一方だけを含んでもよい。

　図３４に示されるように、車両用シート２１１は、シートクッションパッド２２５およびＳばね２２２の間に配置されて、凸片２４３を区画する中間部材２５４を備えてもよい。シートクッションパッド２２５は中間部材２５４に重ねられればよい。中間部材２５４はシートクッションパッド２２５の裏面に固定されてもよく、両者の間で面方向に相対変位が許容されてもよい。こうして凸片２４３はシートクッションパッド２２５とは別体の中間部材２５４に区画されることから、凸片２４３の材料の選択の幅が広がる。しかも、シートクッションパッド２２５そのものには特別な細工は施されないので、良好な座り心地は維持されることができる。

　なお、前述のようなＳばね２２２やパンフレーム２１８ｂといった受圧部材は同様にシートバック２１４に組み込まれてもよい。この場合には、シートバックパッド２３１に凸片２４３が区画されればよい。シートバック２１４に組み込まれるＳばねは凸片２４３同士の間に区画される凹部に入り込めばよい。Ｓばね同士は第１凸部や第２凸部を有する連結体で相互に連結されればよい。その他、シートバック２１４に組み込まれるパンフレームには、パンフレーム２１８ｂと同様に、第１および第２凸部や第１および第２凹部が区画されてもよい。シートバックパッド２３１とＳばねとの間には中間部材が介在してもよい。

　図３５は本発明の第６実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す。車両用シート３１１は、例えば車両の床面に設置されるベース３１２と、前後方向に移動可能にベース３１２上に支持され、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション３１３と、シートクッション３１３に揺動軸ＳＸ回りに前後方向に揺動可能に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック３１４と、シートバック３１４の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト３１５とを備える。シートクッション３１３、シートバック３１４およびヘッドレスト３１５は個別に内部のパッドを包み込む表皮材３１３ａ、３１４ａ、３１５ａを有する。表皮材３１４ａ、３１５ａは、吊り込み糸３１６の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。

　ベース３１２には第１スイッチ３１７ａおよび第２スイッチ３１７ｂが取り付けられる。第１スイッチ３１７ａおよび第２スイッチ３１７ｂはベース３１２に区画される窪み３１８に収容される。第１スイッチ３１７ａは、前後方向に長い摘まみで形成される。第１スイッチ３１７ａが前方に操作されると、シートクッション３１３およびシートバック３１４は前方に移動する。第１スイッチ３１７ａが後方に操作されると、シートクッション３１３およびシートバック３１４は後方に移動する。第２スイッチ３１７ｂは、上下方向に長い摘まみで形成される。第２スイッチ３１７ｂが前方に操作されると、シートバック３１４は揺動軸ＳＸ回りで前方に揺動する。第２スイッチ３１７ｂが後方に操作されると、シートバック３１４は揺動軸ＳＸ回りで後方に揺動する。

　図３６に示されるように、車両用シート３１１は、パッドを支持するシートフレーム３２１を備える。シートフレーム３２１は、シートクッション３１３のパッドを支持するシートクッションフレーム３２２と、揺動軸ＳＸ回りに揺動可能にシートクッションフレーム３２２に連結されるシートバックフレーム３２３とを備える。ベース３１２は、前後方向にスライド自在にシートクッションフレーム３２２を支持する左右のレール３２４を備える。シートクッションフレーム３２２の前後移動はレール３２４で案内される。

　シートクッションフレーム３２２は、個々のレール３２４に並行に延びるサイドフレーム３２２ａと、シートクッション３１３の前端でサイドフレーム３２２ａ同士を接続するパンフレーム３２２ｂと、シートクッション３１３の後端でサイドフレーム３２２ａ同士を連結する連結パイプ３２２ｃとを備える。パンフレーム３２２ｂと連結パイプ３２２ｃとの間には複数のＳばね３２５が配置される。個々のＳばね３２５はジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材３２５ａと、左右方向に延びる線材３２５ｂとが交互に組み合わせられて形成される。

　シートクッションフレーム３２２のサイドフレーム３２２ａには電動式前後移動装置３２６が取り付けられる。電動式前後移動装置３２６はサイドフレーム３２２ａに支持される電動モーター３２７を備える。電動モーター３２７は電力の供給に応じて動力を生成する。電力は第１スイッチ３１７ａの操作に基づき供給される。電動モーター３２７の動力はベース３１２のレール３２４に沿ってシートクッションフレーム３２２の前後移動を引き起こす。

　シートバックフレーム３２３は、揺動軸ＳＸで個々のサイドフレーム３２２ａの内側に連結される板金フレーム３２３ａと、板金フレーム３２３ａの上端を相互に接続するアッパーフレーム３２３ｂとを備える。アッパーフレーム３２３ｂには上下方向にスライド可能にヘッドレスト３１５のスライド棒を支持する管部材３２８が固定される。

　シートバックフレーム３２３の板金フレーム３２３ａには電動式リクライニング装置３３１が連結される。電動式リクライニング装置３３１は、揺動軸ＳＸ周りでシートクッションフレーム３２２のサイドフレーム３２２ａに取り付けられるアクチュエーター３３２を備える。アクチュエーター３３２は、電動モーター３３３と、電動モーター３３３の動力を揺動軸ＳＸ回りの駆動力に変換する伝達機構３３４とで形成される。電動モーター３３３は電力の供給に応じて動力を生成する。電力は第２スイッチ３１７ｂの操作に基づき供給される。電動モーター３３３の動力はシートクッションフレーム３２２に対して揺動軸ＳＸ回りでシートバックフレーム３２３の前後揺動を引き起こす。

　図３７に示されるように、シートクッション３１３は、シートクッションフレーム３２２に支持されて、表皮材３１３ａに包み込まれるシートクッションパッド３３５をさらに備える。シートバック３１４は、シートバックフレーム３２３に支持されて、表皮材３１４ａに包み込まれるシートバックパッド３３６をさらに備える。シートクッションパッド３３５およびシートバックパッド３３６は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　図３８に示されるように、ベース３１２は、シートクッションフレーム３２２のサイドフレーム３２２ａに取り付けられるサイドカバー３４１を備える。サイドフレーム３２２ａには取り付け面３４２が規定される。取り付け面３４２にアクチュエーター３３２の取り付け片３３２ａが重ねられる。取り付け面３４２は平面で構成される。

　アクチュエーター３３２は取り付け面３４２に取り付けられる。アクチュエーター３３２は、取り付け面３４２を一面とする直方体空間３４３に収容される。直方体空間３４３は、完全にアクチュエーター３３２（電動モーター３３３および伝達機構３３４のいずれか一方でもよい）を収容する最小体積のものであればよい。直方体空間３４３は、取り付け面３４２と、取り付け面３４２に向き合う側面３４４ａと、側面３４４ａから連続して前側に位置する前面３４４ｂと、側面３４４ａから連続して後側に位置する後面３４４ｃと、側面３４４ａから連続して上側に位置する上面３４４ｄと、側面３４４ａから連続して下側に位置する下面３４４ｅとを有する。サイドカバー３４１は、側面３４４ａ、後面３４４ｂ、上面３４４ｄおよび下面３４４ｅからアクチュエーター３３２を覆う。

　図３９に示されるように、サイドカバー３４１では、側面３４４ａに沿ってアクチュエーター３３２を覆う側壁（壁体）３４１ａと、後面３４４ｃに沿ってアクチュエーター３３２を覆う後壁（壁体）３４１ｂとは屈曲部３４５で相互に接続される。サイドカバー３４１は、側壁３４１ａ、後壁３４１ｃおよび屈曲部３４５で、減音特性を有する減音手段３４６を支持する。図４０に示されるように、減音手段３４６は、サイドカバー３４１の内面に一体的に形成されて、アクチュエーター３３２に向かって突出するリブ３４７で構成される。リブ３４７は、直方体空間３４３の面に沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びるリブ３４７の集合体である第１リブ群３４８ａと、直方体空間３４３の面に沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びるリブ３４７の集合体である第２リブ群３４８ｂとを含む。

　次に本実施形態の作用を説明する。電動モーター３２７が動作すると、動作音が発生する。電動モーター３２７の動作音といった騒音は減音手段３４６で減音される。アクチュエーター３３２は直方体空間の少なくとも２面で減音手段で囲まれることから、従来に比べて減音効果は向上する。乗員まで達する音は抑制される。車両用シート３１１は車内の静音化に大いに寄与する。

　しかも、サイドカバー３４１は、取り付け面３４２に向き合う直方体空間３４３の側面３４４ａからアクチュエーター３３２を覆う側壁３４１ａ、および、側面３４４ａから連続する直方体空間の後面３４４ｃからアクチュエーター３３２を覆う後壁３４１ｂを有し、側壁３４１ａおよび後壁３４１ｂで減音手段３４６を支持する。既存のサイドカバー３４１に側壁３４１ａおよび後壁３４１ｂが規定されるので、部品数を増加させることなく、直方体空間３４３の２面に減音手段３４６は配置されることができる。製造コストは低減される。

　減音手段３４６は、アクチュエーター３３２に向かって突出する複数のリブ３４７である。こうして減音手段３４６は簡単に製造されることができる。しかも、減音手段３４６はサイドカバー３４１に一体的に形成されるので、１工程でサイドカバー３４１および減音手段３４６は製造されることができ、製造コストは抑制されることができる。

　リブ３４７は、直方体空間３４３の面に沿って第１方向ＤＲＦに相互に平行に延びるリブ３４７の集合体である第１リブ群３４８ａと、直方体空間３４３の面に沿って第１方向ＤＲＦに交差する第２方向ＤＲＳに相互に平行に延びるリブ３４７の集合体である第２リブ群３４８ｂとを含む。リブ３４７が格子状に並ぶことによって減音効果が向上する。

　サイドカバー３４１は、側面３４４ａおよび後面３４４ｃからアクチュエーター３３２を覆う側壁３４１ａおよび後壁３４１ｂを相互に接続する屈曲部３４５を有する。サイドカバー３４１の内側で屈曲部３４５には減音手段３４６が支持される。こうして屈曲部３４５はリブ３４７で補強されるので、屈曲部３４５の強度向上にも寄与する。

　図３６に示されるように、車両用シート３１１は、右側のサイドフレーム３２２ａの内側に取り付けられ、サイドフレーム３２２ａを挟んでサイドフレーム３２２ａ外側の直方体空間３４３に向き合うインナーカバー３５１を備える。図４１に示されるように、右側のサイドカバー３４１は、前述の左側のサイドカバー３４１と同様に、側壁３４１ａおよび後壁３４１ｂで減音手段３４６を支持する。サイドカバー３４１の減音手段３４６と反対側では、サイドフレーム３２２ａおよびインナーカバー３５１で減音効果が達成されるので、減音効果は向上する。しかも、インナーカバー３５１には、少なくともアクチュエーター３３２と対向する位置に減音手段３５０が配置される。減音手段３５０は減音手段３４６と同様にリブ３４７で構成される。サイドカバー３４１の減音手段３４６とインナーカバー３５１の減音手段３５０との間にアクチュエーター３３２が配置されるので、減音効果は向上する。

　図４２に示されるように、シートバック３１４は、シートバックフレーム３２３に後方から固定されるバックカバー３５２と、表皮材３１４ａに代わって前方からシートバックパッド３３６に覆い被さるトリムカバー３５３とを備えてもよい。板金フレーム３２３ａの内側にはアクチュエーター３５４が固定される。アクチュエーター３５４は例えば電動モーターを含む。アクチュエーター３５４の動力は例えばランバーサポート（図示されず）の調整にあたって用いられることができる。

　シートバックフレーム３２３には、板金フレーム３２３ａの上端同士を連結し、アッパーフレーム３２３ｂよりも後方に位置するクロス線材３５５と、クロス線材３５５からできる限り下方に離れた位置で板金フレーム３２３ａ同士を連結するクロスバー３５６とが取り付けられる。クロスバー３５６には、左右方向に一定の間隔で複数の受け片３５７が固定される。個々の受け片３５７には受け孔３５８が形成される。

　バックカバー３５２には、板面の固定位置から上向きに延びるフック３６１と、クロス線材３５５および受け片３５６の間の距離に相当する間隔でフック３６１よりも下方に位置するアンカー形状のクリップ３６２と、板面に沿って描かれる環状線３６３上に配置される係り合い片３６４と、アクチュエーター３５４に向き合う位置で板面に固定される突出片３６５とが一体に形成される。フック３６１は下方からクロス線材３５５に引っかけられクロス線材３５５に対してバックカバー３５２の後方への移動を規制する。クリップ３６２は個々に対応する受け片３５７の受け孔３５８に圧入される。こうしてバックカバー３５２はシートバックフレーム３２３に取り付けられる。

　個々の係り合い片３６４は、板面に直交して環状線３６３を含む接触面３６６を挟んで相互に向き合って、板面から起立する長尺の弾性片３６７の先端にそれぞれ固定される１対の鈎片３６８を有する。鈎片３６８には、板面に向かうにつれて接触線３６９に向かって相互に接近する傾斜面３７１が区画される。その一方で、シートバックパッド３３６にはワイヤー３７２が埋め込まれる。ワイヤー３７２の形状は環状線３６３の形状を反映する。シートバックパッド３３６は係り合い片３６４に対応する位置でワイヤー３７２を露出させる。係り合い片３６４の斜面３７１にワイヤー３７２が作用すると、シートバックパッド３３６の圧力に抗して鈎片３６８は相互に離れる。ワイヤー３７２は鈎片３６８を通過して弾性片３６７同士の間の空間に収まる。シートバックパッド３３６の圧力で鈎片３６８同士は接触を維持することから、シートバックパッド３３６とバックカバー３５２とは確実に結合される。

　図４３に示されるように、バックカバー３５２は、シートバックフレーム３２３の背面を塞いでフック３６１、クリップ３６２、係り合い片３６４および突出片３６５を支持する板形状のカバー本体３５２ａと、カバー本体３５２ａから連続して板金フレーム３２３ａを回り込み、左右方向外側で板金フレーム３２３ａの外面に向き合わせられる側壁３５２ｂとを備える。側壁３５２ｂは、板金フレーム３２３ａを挟んで直方体空間３４３の取り付け面３４２に向き合う。突出片３６５は、取り付け面３４２に向き合う直方体空間３４３の側面３４４ａからアクチュエーター３５４を覆う。カバー本体３５２ａは、側面３４４ａから連続する直方体空間３４３の後面３４４ｃからアクチュエーター３５４を覆う後壁として機能する。側壁３５２ｂは、直方体空間３４３の取り付け面３４２からアクチュエーター３５４に向き合わせられる減音手段３７３を支持する。突出片３６５は、直方体空間３４３の側面３４４ａからアクチュエーター３５４に向き合わせられる減音手段３７４を支持する。カバー本体３５２ａは、直方体空間３４３の後面３４４ｃからアクチュエーター３５４に向き合わせられる減音手段３７５を支持する。いずれの減音手段３７３、３７４、３７５も減音手段３４６と同様にリブ３４７で構成される。

　本実施形態では、既存のバックカバー３５２に突出片３６５および後壁（カバー本体３５２ａ）が規定されるので、部品数を増加させることなく、直方体空間３４３の２面に減音手段３７４、３７５は配置されることができる。製造コストは低減される。突出片３６５の減音手段３７４と反対側では、板金フレーム３２３ａおよび側壁３５２ｂで減音効果が達成されるので、減音効果は向上する。しかも、突出片３６５の減音手段３７４と側壁３５２ｂの減音手段３７３との間にアクチュエーター３５４が配置されるので、減音効果は向上する。

　図４４に示されるように、シートバック３１４は、板金フレーム３２３ａの上端に固定される樹脂材製のエアバッグモジュールブラケット３８１を備える。エアバッグモジュールブラケット３８１はシートバックパッド３３６で覆われる。エアバッグモジュールブラケット３８１は、板金フレーム３２３ａの外面に重ねられる平板の取り付け板３８１ａと、取り付け板３８１ａから湾曲域３８１ｂを介して連続し、取り付け板３８１ａに向き合わせられる内板３８１ｃとを有する。内板３８１ｃは左右方向に加わる加速度に応じて乗員から作用する荷重を受け止める。取り付け板３８１ａには、シートバックフレーム３２３にエアバッグモジュールブラケット３８１を取り付ける際にねじ（図示されず）を受け入れる取り付け孔３８２と、エアバッグモジュールブラケット３８１にエアバッグモジュール（図示されず）を取り付ける際にねじを受け入れるモジュール取り付け孔３８３と、板金フレーム３２３ａの外面に形成された溶接ビード（図示されず）を受け入れる逃げ孔３８４とが形成される。

　取り付け板３８１ａは、板金フレーム３２３ａを挟んで直方体空間３４３の取り付け面３４２に向き合う。内板３８１ｃは、取り付け面３４２に向き合う直方体空間３４３の側面３４４ａからアクチュエーター３５４を覆う。湾曲域３８１ｂは、側面３４４ａから連続する直方体空間３４３の前面３４４ｂからアクチュエーター３５４を覆う前壁として機能する。取り付け板３８１ａは、直方体空間３４３の取り付け面３４２からアクチュエーター３５４に向き合わせられる減音手段３８５を支持する。内板３８１ｃは、直方体空間３４３の側面３４４ａからアクチュエーター３５４に向き合わせられる減音手段３８６を支持する。湾曲域３８１ｂは、直方体空間３４３の前面３４４ｂからアクチュエーター３５４に向き合わせられる減音手段３８７を支持する。いずれの減音手段３８５、３８６、３８７も減音手段３４６と同様にリブ３４７で構成される。

　本実施形態では、既存のエアバッグモジュールブラケット３８１に側壁および前壁が規定されるので、部品数を増加させることなく、直方体空間の２面に減音手段は配置されることができる。製造コストは低減される。内板３８１ｃの減音手段３８５と反対側では、板金フレーム３２３ａおよび取り付け板３８１ａで減音効果が達成されるので、減音効果は向上する。しかも、内板３８１ｃの減音手段３８５と取り付け板３８１ａの減音手段３８５との間にアクチュエーター３５４が配置されるので、減音効果は向上する。

　前述のサイドカバー３４１やインナーカバー３５１は、上方からアクチュエーター３３２を覆って、乗員の頭部とアクチュエーター３３２との間に配置される壁体を有する。こうした壁体には前述と同様に減音手段が設置されることができる。こういった減音手段によれば、効果的な位置に減音構造は配置されることができる。

Claims

　乗員の身体を受け止める受圧面の形状を象る表面を有する第１パッド（２５；５６）と、
　前記第１パッド（２５；５６）の裏側に当てられて、前記第１パッド（２５；５６）よりも高い吸音性能を有する第２パッド（４１；６１）と
を備えることを特徴とする車両用シート。
　請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記第２パッド（４１；６１）は前記第１パッド（２５；５６）よりも柔軟性を有することを特徴とする車両用シート。
　請求項１または２に記載の車両用シートにおいて、前記第２パッド（４１；６１）は、前記第１パッド（２５；５６）と接する面（４１ａ；６１ａ）の反対側の面（４１ｂ；６１ｂ）に複数の凸片（４３）を有することを特徴とする車両用シート。
　請求項３に記載の車両用シートにおいて、前記凸片（４３）は、前記反対側の面（４１ｂ；６１ｂ）に沿って第１方向（ＤＲＦ）に相互に平行に延びる長尺の凸片（４３）の集合体である第１凸片群（４４ａ）と、前記反対側の面（４１ｂ；６１ｂ）に沿って前記第１方向（ＤＲＦ）に交差する第２方向（ＤＲＳ）に相互に平行に延びる長尺の凸片（４３）の集合体である第２凸片群（４４ｂ）とを含むことを特徴とする車両用シート。
　請求項３または４に記載の車両用シートにおいて、前記凸片（４３）に向き合わせられて、前記第１パッド（２５；５６）の裏側の空間に配置される動力源（３７；５３）を備えることを特徴とする車両用シート。
　請求項３～５のいずれか１項に記載の車両用シートにおいて、前記凸片（４３）に接触し、前記第１パッド（２５；５６）の裏側の空間に配置される受圧部材（１８ｂ、２２）を備えることを特徴とする車両用シート。
　請求項３～６のいずれか１項に記載の車両用シートにおいて、前記第２パッド（４１；６１）は、前記第１パッド（２５；５６）の裏面に区画され前記裏面の基準面（ＰＬ；ＤＰ）から窪んだ凹部（４２；６２）に収容され、前記凸片（４３）の間の窪みは前記基準面（ＰＬ；ＤＰ）よりも前記受圧面に近く位置することを特徴とする車両用シート。
　請求項７に記載の車両用シートにおいて、前記第１パッド（２５）で前記凹部（４２）の空間を囲む壁体（４５）は前記第１パッド（２５）で前記凹部（４２）の底板を形成する部位（４６）よりも硬いことを特徴とする車両用シート。
　請求項７または８に記載の車両用シートにおいて、前記第１パッド（２５）で前記表面および前記第２パッド（４１）の間に挟まれる部位（４７）は他の部位よりも硬いことを特徴とする車両用シート。
　請求項１～９のいずれか１項に記載の車両用シートにおいて、前記第１パッド（２５；５６）と前記第２パッド（４１；６１）との接触面は凹凸形状に構成されることを特徴とする車両用シート。