WO2010095697A1

WO2010095697A1 - 防水コネクタ

Info

Publication number: WO2010095697A1
Application number: PCT/JP2010/052476
Authority: WO
Inventors: 将寿中村
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2009-02-20
Filing date: 2010-02-18
Publication date: 2010-08-26
Also published as: CN102326301B; US20110300731A1; EP2400600A4; CN102326301A; US8734174B2; EP2400600A1

Abstract

　防水コネクタが、第１ハウジングとシール部材とを有する。第１ハウジングは、電線に取り付けられた端子を収容する収容室と、該収容室の一部を画成し且つ挿通孔を有する後壁と、を有する。シール部材は、前記端子が挿入される端子孔を有し、前記第１ハウジングと一体に形成され、弾性材料から成り前記電線の外周と密着する。

Description

防水コネクタ

　本発明は、コネクタハウジング内への浸水を防止する一体型マットシールを備えた防水コネクタに関する。

　従来、防水コネクタとして、特許文献１に記載されているものが提案されている。この防水コネクタ１１００は、図１９に示すように、合成樹脂材からなるコネクタハウジング１１０１内に複数の雌型端子金具１１０２を収容する複数の端子収容室を備えており、各端子金具１１０２は、電線１１０４の先端にかしめ接合された状態でコネクタハウジング１１０１の後端より挿入可能である。コネクタハウジング１１０１の後端には、挿通孔１１０５が設けられ、この挿通孔１１０５に弾性材料製の一体型マットシール（ゴム栓）１１０６が挿入されている。このマットシール１１０６は、外周側へ突出する前側ハウジングシール部１１０６ａを備えると共に、コネクタハウジング１１０１の後端に装着されるシールセット部（ゴム栓ホルダ）１１０７により保持されている。マットシール１１０６には、コネクタハウジング１１０１の端子収容室と対向した位置毎に各電線１１０４が挿通される複数の端子孔が設けられている。この端子孔の内周面には、電線１１０４の外周面と弾性的に密着可能なリップ１１０９が周設され、リップ１１０９を備えたマットシール１１０６により、電線１１０４とコネクタハウジング１１０１との間を止水するようになっている。

　上記構成では、まずコネクタハウジング１１０１後端の挿通孔１１０５にマットシール１１０６を挿入すると共に、コネクタハウジング１１０１の後端にシールセット部１１０７に装着してマットシール１１０６を保持する。このとき、マットシール１１０６は、前側ハウジングシール部１１０６ａがコネクタハウジング１１０１の後端の溝部１１０１ａに収容されると共に、前側ハウジングシール部１１０６ａの後端にシールセット部１１０７が圧接することにより、弾性圧縮された状態で保持されている。しかしながら、マットシール１１０６は、コネクタハウジング１１０１及びシールセット部１１０７に対して接着されていない。次いで、電線１１０４の先端を端子金具１１０２に挿入してかしめた後、端子金具１１０２をコネクタハウジング１１０１の後端側から端子収容室１に挿入し、端子金具１１０２の後方に延びる状態で電線１１０４を配置してマットシール１１０６の端子孔１内を挿通させる。次いで、相手側コネクタハウジングの雄型端子金具（図示せず）をコネクタハウジング１１０１の端子収容室１に先端側から挿入して端子金具１１０２と嵌合させることによって、電線１１０４及び相手側の電線が電気的に接続される。このようにして防水コネクタ１１００を組み立てたとき、コネクタハウジング１１０１後端の挿通孔１１０５にマットシール１１０６が挿入され、マットシール１１０６の端子孔１に挿通される電線１１０４の外周面がリップ１１０９で弾性的に密着されているので、水などがコネクタハウジング１１０１内に浸入することを防止できる。また、相手側コネクタハウジングでもマットシール（図示せず）により電線とコネクタハウジングとの間を止水するようになっている。

　また、従来、防水コネクタとして、例えば、特許文献２に記載されているものが提案されている。

　図２０に示すように、この防水コネクタ２１００は、硬質樹脂材からなるコネクタハウジング２１１０内に複数の端子２１０２を収容する複数の端子収容室２１１１を備えており、各端子２１０２は、電線Ｗの先端に加締め接合された状態でコネクタハウジング２１１０の後端より挿入されている。

　コネクタハウジング２１１０の後端には、端子収容室２１１１に対応した貫通孔２１３１を有する弾性材料製のマットシール２１３０が装着され、その背後に配設したリヤホルダ２１２０により、マットシール２１３０は、コネクタハウジング２１１０の後端面とリヤホルダ２１２０の間に圧縮状態で挟持されている。

　また、マットシール２１３０の前端には、各貫通孔２１３１から延長したガイド筒部２１３２が設けられ、各ガイド筒部２１３２が端子収容室２１１１の後端入口に挿入されていることで、マットシール２１３０の貫通孔２１３１とコネクタハウジング２１１０の端子収容室２１１１との間に多少の位置ズレがあっても、スムーズにマットシール２１３０の貫通孔２１３１を通して、端子２１０２や電線Ｗを端子収容室２１１１まで挿入できるようになっている。

日本国特開２００６－６６２０８号公報日本国特開２００８－３００３１８号公報

　ところで、前述した従来のコネクタハウジング１１００では、電線１１０４を１本ずつコネクタハウジング１１０１の後端側からマットシール１１０６の端子孔を介して端子収容室に挿入すると、マットシール１１０６自身の弾性力によりマットシール１１０６に部分的な歪が生じるため、マットシール１１０６が上記挿入された電線１１０４から離れる方向へずれてしまい、その結果、マットシール１１０６の端子孔が所定位置よりずれた不適正な状態で、端子金具１１０２及び電線１１０４を挿入することにより、マットシール１１０６のリップ１１０９などが損傷して防水性が低下すると共に、端子金具１１０２及び電線１１０４をマットシール１１０６の端子孔に挿入することが難しくなるという問題があった。

　なお、端子金具１１０２は方向性を有し、軸心を中心とする周方向の回転位置が特定されているため、上述したように端子金具１１０２及び電線１１０４を１本ずつコネクタハウジング１１０１の後端側から端子収容室に挿入する必要がある。

　ところで、上述した従来の防水コネクタ２１００では、コネクタハウジング２１１０の端子収容室２１１１の後端入口にマットシール２１３０のガイド筒部２１３２を挿入しているので、位置ズレによる影響はある程度解消できるものの、端子２１０２を挿入する際のガイド筒部２１３２の外側への逃げがないので、端子２１０２の挿入抵抗が大きくなり過ぎる可能性があった。

　そこで、この発明は、マットシールを安定した状態で保持することで、マットシールの位置ずれを防止して、コネクタハウジング内への浸水をより確実に防止すると共に、端子金具及び電線をコネクタハウジング内に挿入する作業の効率向上を図ることができる防水コネクタを提供する。

　また、この発明は、ハウジングの端子収容室とマットシールの貫通孔との間の位置ズレを規制して、端子の挿入をスムーズに行えるようにすることができると共に、端子の挿入抵抗の増加を抑制することのできる防水コネクタを提供する。

　本発明の防水コネクタは、第１ハウジングと、シール部材とを具備して成る。第１ハウジングは、電線に取り付けられた端子を収容する収容室と、該収容室の一部を画成し且つ挿通孔を有する後壁とを有する。シール部材は、端子が挿入される端子孔を有し、第１ハウジングと一体に形成され、弾性材料から成り前記電線の外周と密着する。

　好適には、シール部材は、前記第１ハウジングの材料に対して接着力を発揮し、金型を構成する材料に対しては接着力を発揮しない、選択接着性材料から成なってもよい。シール部材は、金型を用いて、第１ハウジングとの二色成形または第1ハウジングに対するインサート成形によって成形される。

　好適には、シール部材は、収容室に面した前記後壁の内面に接着された後端面と、該後端面から突出した挿入部とを有してもよい。挿入部は、前記挿通孔の内周面に接着される。

　好適には、挿入部は、後壁の内面と反対の外面において、挿通孔の外側に向かって延伸する、フランジ部を有してもよい。フランジ部は、挿入部と一体に形成される。

　好適には、本発明の防水コネクタは、端子が収容される複数の収容孔を有して形成され且つ前記後壁と対向するシールセット面を有する、第２ハウジングをさらに具備して成ってもよい。第１ハウジングは、挿通孔と他の挿通孔とを有し、該複数の挿通孔はそれぞれの前記収容孔に対応する。シール部材は、後壁とシールセット面との間に配置され、該シールセット面と接触する接触面を有する。接触面は収容孔および挿通孔にそれぞれ連通する複数の貫通孔を有して形成される。接触面において複数の貫通孔の少なくとも１つの貫通孔の外周に、第１位置決め部材が形成される。第２ハウジングは、第１位置決め部材が外周に形成された貫通孔と連通された収容孔の周囲に設けられ且つ第１位置決め部材と係合された第２位置決め部材を有する。

　好適には、複数の収容孔および複数の貫通孔は、複数の列に一定間隔で直線に配列されてもよい。第１位置決め部材は、他の第１位置決め部材と隣接しないように配置されてもよい。第２位置決め部材は、複数の第１位置決め部材に対応して配置される。

　好適には、第１位置決め部材は、円形の凹部であってもよい。第２位置決め部材は、円筒形の凸部であり、対応する第１位置決め部材に嵌合する。

　好適には、凸部の内周面は、凸部が設けられた収容孔の内周面、および収容孔と連通する貫通孔の内周面と連続していてもよい。

　好適には、第１ハウジングの収容室は、後壁と、後壁の外周縁から延伸し且つ筒形状を有するフード部とによって画成されてもよい。第２ハウジングは、第２ハウジングの外周面とフード部の内周面との間に環状空間が画成されるように配置される。シール部材の外周に、環状空間に挿入された相手コネクタのハウジングに密着するよう構成された突起が設けられる。

　この発明によれば、端子及び電線を第１ハウジングの端部からシール部材の挿通孔を介して収容室に挿入する際に、シール部材自身の弾性力によりシール部材に部分的な歪が生じるが、二色成型、あるいはインサート成型されたことにより、シール部材が第１ハウジングに隙間無く接着しているので、シール部材が第１ハウジングにより安定した状態で保持されるので、シール部材の位置ずれを防止できる。これにより、従来のようにシール部材の位置がずれて、端子及び電線でシール部材が損傷することを抑制できるので、第１ハウジング内への浸水をより確実に防止できると共に、端子及び電線をシール部材の挿通孔に円滑に挿入できるので、端子金具及び電線を第１ハウジング内に挿入する作業の効率向上を図ることができる。

　加えて、シール部材の後端面が第１ハウジングの後壁の内面に接着すると共に、シール部材の挿入部が第１ハウジングの挿通孔の内周面に接着するので、シール部材の第１ハウジングとの接着面積を増やすことができ、シール部材の位置ずれ防止効果の向上を図ることができる。

　さらに、シール部材の挿入部の先端に設けたフランジ部を第１ハウジング外周面の挿通孔周縁部外側に接着させることにより、フランジ部の第１ハウジングとの接着面積をさらに増やすことができるので、シール部材の位置ずれ防止効果の向上をさらに図ることができる。

　この発明によれば、シール部材の貫通孔の開口部に形成された円形凹部に、第２ハウジングのシールセット面に形成された円筒凸部を嵌めることにより、シール部材の貫通孔と第２ハウジングの収容孔とを位置ズレを規制しながら連通させることができる。その際、シール部材側の円形凹部が、第２ハウジング側の円筒凸部の外周に嵌まることになるので、シール部材の貫通孔に端子や電線を通すときに、シール部材に変形が生じても、その変形の影響が円筒凸部の内部にまで及ぶことがなく、端子や電線を、円筒凸部の内周に案内されながら、スムーズに収容孔まで挿入することができる。従って従来例のように、収容孔の内部にシール部材の筒部を挿入することで位置ズレを防止する場合と違って、端子や電線を挿入する際の挿入力の増加を抑えることができる。また、位置ズレの規制により、端子および電線によりシール部材が損傷されるのを防止することができるので、止水性を高めることができる。また、端子および電線を収容孔までスムーズに挿入することができるので、端子の挿入作業性の向上が図れる。また、予めシール部材を第１ハウジングに一体化しておくので、安定した状態でシール部材を保持しておくことができ、第１ハウジングと第２ハウジングおよびシール部材との組み合わせもスムーズに行うことができる。

　加えて、シール部材側の貫通孔と第２ハウジング側の収容孔とを段差無く滑らかに繋ぐことができるので、端子および電線の挿入をスムーズに行うことができる。

　また、複数の円形凹部が互いに隣接しないよう一定間隔に設けられているので、隣接する円形凹部や円筒凸部の干渉を避けながら、収容孔を狭ピッチで配列することができる。

　また、第１ハウジングがフード部を有するアウタハウジングとして構成され、第２ハウジングがフード部の内側に保護されたインナハウジングとして構成されているので、相手コネクタハウジングとの嵌合をスムーズに行うことができる。また、コネクタ嵌合状態において、シール部材の突起が相手コネクタハウジングとインナハウジングとの間を止水するので、相手コネクタハウジングの内部の端子と第１ハウジングの内部の端子との接続空間を確実に止水することができる。

本発明の第１実施形態を示し、防水コネクタのコネクタハウジングにマットシールを一体成型した状態で示す斜視図である。本発明の第１実施形態を示し、コネクタハウジング及びマットシールを図１の矢印Ａ１の方向から見た図である。本発明の第１実施形態を示し、図２のIII－III線に沿う断面図である。本発明の第１実施形態を示し、コネクタハウジングからマットシールを取外した状態を示す断面図である。本発明の第１実施形態を示し、コネクタハウジング及びマットシールの斜視図を図１の矢印Ａ２の方向から見た図である。本発明の第１実施形態を示し、コネクタハウジングのみを図１の矢印Ａ２の方向から見た図である。本発明の第１実施形態を示し、コネクタハウジングのみを図１の矢印Ａ１の方向から見た図である。本発明の第１実施形態の変形例を示し、マットシールの正面図である。本発明の第２実施形態を示し、防水コネクタのコネクタハウジングにマットシールを一体成型した状態で示す斜視図である。本発明の第２実施形態による防水コネクタの断面図である。本発明の第２実施形態を示し、図１０のXI－XI矢視図である。本発明の第２実施形態を示し、図１１のXII－XII線で切断した場合の前記防水コネクタの斜視図である。本発明の第２実施形態を示し、インナハウジングを装着する前のアウタハウジングとマットシールのアッシー状態を示す側断面図である。本発明の第２実施形態を示し、図１３のXIV－XIV矢視図である。本発明の第２実施形態を示し、前記アウタハウジングの斜視図である。図１６（ａ）、（ｂ）は本発明の第２実施形態を示し、前記インナハウジングとマットシールの関係を示す斜視図である。本発明の第２実施形態を示し、前記マットシールだけを取り出して示す図１６（ｂ）のXVII－XVII矢視断面図である。本発明の第２実施形態を示し、前記マットシールの後面図である。第１の従来のコネクタハウジングの断面図である。第２の従来の防水コネクタの断面図である。

　以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図１～図８は本発明の第１実施形態を示している。本実施形態の防水コネクタは、コネクタハウジング１０１（第１ハウジング）、及びマットシール１０２（シール部材）を備えている。

　コネクタハウジング１０１は、前面が開口する略箱形状を備え、内部に端子収容室１１４が形成されている。また、コネクタハウジング１０１は、後壁１１５の中央部に、後壁１１５を矩形状に貫通する挿通孔１１２が形成されている。コネクタハウジング１０１に後壁１１５内面には、断面略三角形状を有する三角突起１１３が挿通孔１１２を囲むように突設されている。コネクタハウジング１０１は、溶融したポリアミド樹脂を金型内に注入する射出成形によって成形されている。

　マットシール１０２は、成形されたコネクタハウジング１０１に対して、二色成型を行なうことで成形されており、コネクタハウジング１０１を成形型の一部として利用することで、コネクタハウジング１０１との接触面に対して隙間無く密着している。また、マットシール１０２は、コネクタハウジング１０１を構成するポリアミド樹脂に対して接着力を発揮するが、射出成形金型を構成する金属材（クロム）に対しては接着力を発揮しない選択接着性を有する材料である、信越化学製の「ポリアミド樹脂用液状シリコンゴム選択接着材料」（製品番号：Ｘ－３４－１６２５Ａ／Ｂ、以下「選択接着性材料」と表記）を用いて成形されているため、成形と同時にコネクタハウジング１０１への接着が行なわれている。

　マットシール１０２は、略直方体形状を有する本体部１２０と、本体部１２０の後端面１２１から後方へ突出する略直方体形状の挿入部１２２を備えている。また、本体部１２０の後端面１２１には外周縁に沿って延設される額部１２５が一体に設けられている。マットシール１０２には、本体部１２０の前端面１２６から挿入部１２２の後端面１２７まで貫通する端子孔１２３が複数設けられている。これら端子孔１２３は、電線（図示せず）の端部に配設された端子金具（図示せず）（端子）が挿入される。

　端子孔１２３の挿入部１２２を貫通する部分は、上記端子金具及び電線の挿入作業性の向上を図るため、上記電線の外径より大きく形成されている。また、端子孔１２３の本体部１２０を貫通する部分の内周面には、電線の外周面と弾性的に密着可能なリップ１２４（突起）が周設され、リップ１２４を備えたマットシール１０２によって電線とコネクタハウジング１０１との間を止水する。

　マットシール１０２の後端面１２１、および額部１２５は、コネクタハウジング１０１の後壁１１５内面の三角突起１１３と挿通孔１１２との間の領域に設定された内側接合面１１１に接着する。また、挿入部１２２は、コネクタハウジング１０１の挿通孔１１２に挿入され、挿入部１２２の外周面が挿通孔１１２の内周面１１２ａに接着している。

　この防水コネクタを組立てる手順として、まず、溶融したポリアミド樹脂を金型に注入してコネクタハウジング１０１を成型する。次に、コネクタハウジング１０１のポリアミド樹脂が固化したところで、コネクタハウジング１０１の端子収容室１１４を成型する部位の金型と、後壁１１５外側を形成する部位の金型を、マットシール１０２を成型する金型に交換し、溶融した上記選択接着性材料を金型内に注入する。

　ここで、コネクタハウジング１０１を構成するポリアミド樹脂の融点が選択接着性材料の融点よりも高くなるように設定されているため、上記手順で二色成型を行なった際に、コネクタハウジング１０１が溶解することはない。また、選択接着性材料は金型を構成する金属に対して接着力を発揮しないため、コネクタハウジング１０１とマットシール１０２の接着箇所を損なうことなく、マットシール１０２は後端面１２１、および額部１２５がコネクタハウジング１０１の内側接合面１１１に接着すると共に、後端面１２１より後方へ突出する挿入部１２２が、コネクタハウジング１０１の挿通孔１１２の内周面１１２ａに接着した状態で、コネクタハウジング１０１、およびマットシール１０２が金型から取外される。

　このようにして一体成型したコネクタハウジング１０１及びマットシール１０２を得ると共に、電線の先端を端子金具に挿入してかしめた後、端子金具をコネクタハウジング１０１の後端側から端子収容室に挿入し、端子金具の後方に延びる状態で電線を配置してマットシール１０２の端子孔１２３内を挿通させる。次いで、相手側コネクタハウジング（図示せず）をコネクタハウジング１０１の前面の開口部に挿入し、相手側端子金具（図示せず）をコネクタハウジング１０１の端子収容室に先端側から挿入して端子金具と嵌合させることによって、電線及び相手側の電線が電気的に接続される。

　このようにして防水コネクタを組み立てた際に、コネクタハウジング１０１後端の挿通孔１１２にマットシール１０２が挿入され、マットシール１０２の端子孔１２３に挿通される電線の外周面がリップ１２４で弾性的に密着されているので、水などがコネクタハウジング１０１内に浸入することを防止できる。また、相手側コネクタハウジングでもマットシール（図示せず）により電線とコネクタハウジングとの間を止水する構成になっている。

　以上のように、この第１実施形態の防水コネクタによれば、端子金具及び電線を１本ずつコネクタハウジング１０１の後方からマットシール１０２の端子孔１２３を介して端子収容室に挿入する際に、マットシール１０２自身の弾性力によりマットシール１０２に部分的な歪が生じるが、マットシール１０２がコネクタハウジング１０１に接着されているので、マットシール１０２をコネクタハウジング１０１により安定した状態で保持してマットシール１０２の位置ずれを防止できる。

　これにより、従来のようにマットシール１０２が位置ずれして端子金具及び電線で損傷することを抑制できるので、コネクタハウジング１０１内への浸水をより確実に防止できると共に、端子金具及び電線をマットシール１０２の端子孔１２３に円滑に挿入できるので、端子金具及び電線をコネクタハウジング１０１内に挿入する作業の効率向上を図ることができる。

　また、この第１実施形態の防水コネクタでは、マットシール１０２の後端面１２１がコネクタハウジング１０１の内側接合面１１１に接着されると共に、マットシール１０２の挿入部１２２がコネクタハウジング１０１の挿通孔１１２に挿入され、挿通孔１１２の内周面１１２ａに接着されているので、マットシール１０２のコネクタハウジング１０１との接着面積を増やすことができ、マットシール１０２の位置ずれ防止効果の向上を図ることができる。

　また、この第１実施形態の防水コネクタでは、コネクタハウジング１０１及びマットシール１０２を一体成型すると共に、互いに接着させることができ、従来、接着に必要であったプライマーを塗布する必要がないので、プライマーの塗布及び乾燥に要する時間を省くことができると共に、プライマーの塗りむら及び乾燥状態による接着性のばらつきを解消することができる。したがって、この点でも作業効率の向上を図ることができる。

　さらに、第１実施形態の防水コネクタでは、額部１２５を設けることで、コネクタハウジング１０１との接着面積を増やし、より一層のマットシール１０２の位置ずれ防止効果の向上を図ることができる。

　図８は本発明の第１実施形態の変形例を示し、防水コネクタのコネクタハウジング１０１ａ及びマットシール１０２ａを一体成型した状態で示す断面図である。なお、図８において前述した図１～図７に示すものと同様のものには同一符号を付してある。

　本実施形態のコネクタハウジング１０１ａは、上記第１実施形態のコネクタハウジング１０１の構成に加え、後壁１１５外面側、且つ挿通孔１１２周縁部外側に、挿通孔１１２の矩形形状よりも一回り大きな矩形形状に拡径された凹部からなる大径部１１２ｂが形成されている。

　また、マットシール１０２の挿入部１２２の後端に、コネクタハウジング１０１ａの鍔受部１１２ｂに張出すフランジ状の鍔部１２２ａ（フランジ部）が挿入部１２２と一体に形成されている。この鍔部１２２ａはマットシール１０２ａとともに、成形されたコネクタハウジング１０１に対して、二色成型を行なうことで成形されており、コネクタハウジング１０１を成形型の一部として利用することで、コネクタハウジング１０１との接触面に対して隙間無く密着している。

　以上のように、この変形例の防水コネクタによれば、マットシール１０２の挿入部１２２の後端に設けたフランジ状の鍔部１２２ａを鍔受部１１２ｂに接着させることにより、鍔部１２２ａのコネクタハウジング１０１との接着面積を挿入部１２２のみの場合より増やすことができるので、マットシール１０２の位置ずれ防止効果の向上をさらに図ることができる。

　図９～図１８は本発明の第２実施形態を示している。図９～図１８に示すように、この防水コネクタ２０１は、硬質合成樹脂材料製のインナハウジング２２０（第２ハウジング）および硬質合成樹脂材料製のアウタハウジング２１０（第１ハウジング）と、ゴム製等の弾性材料製のマットシール２３０（シール部材）とからなる。

　インナハウジング２２０の柱状のハウジング本体２２１には、電線Ｗの先端に取り付けられた端子２０２を後端より挿入可能な複数の端子収容室２２３（収容孔）が設けられ、これら複数の端子収容室２２３の後端が開口するハウジング本体２２１の後端面は、マットシール２３０の前端面２３８が密着されるシールセット面２２８とされている。

　アウタハウジング２１０は、前方に延びる筒状のフード部２１１と、フード部２１１の後端を塞ぐ後壁２１２とを有している。後壁２１２は、インナハウジング２２０のシールセット面２２８に対向する壁であり、この後壁２１２には、インナハウジング２２０の各端子収容室２２３に対応した挿入孔２１３が形成されている。なお、これら挿入孔２１３は、端子２０２および電線Ｗを楽に通せる大きさに設定されている。

　マットシール２３０は、図１６（ａ）～図１８に示すように、電線Ｗの先端に取り付けられた端子２０２をそれぞれ挿入するための複数の貫通孔２３１を有する厚肉板状をなし、図１３～図１５に示すように、端子２０２を各端子収容室２２３に挿入する前の段階で、インナハウジング２２０のシールセット面２２８とアウタハウジング２１０の後壁２１２との間に装着され、図１０に二点鎖線で示すように、その後からアウタハウジング２１０の後壁２１２の挿入孔２１３および貫通孔２３１を通してインナハウジング２２０の各端子収容室２２３に端子２０２が挿入されることにより、各端子２０２の後方に延びる電線Ｗの外周に貫通孔２３１の内周の断面山形の内周リップ２３４を密着させて、電線Ｗとインナハウジング２２０との間を止水するものである。なお、各貫通孔２３１の内周リップ２３４の前後には、端子２０２や電線Ｗの挿入を楽にするためのテーパ部２３５、２３６が設けられている。

　本実施形態の防水コネクタでは、マットシール２３０がアウタハウジング２１０の内部の後壁２１２の前面に一体に成形されていることを１つの特徴点としているが、その点については後で詳述する。

　図１６（ａ）～図１８に示すように、マットシール２３０に形成された貫通孔２３１のうち、少なくとも１つの貫通孔２３１の、インナハウジング２２０のシールセット面２２８との密着面（前端面２３８）側の開口部には、貫通孔２３１と同心の円形凹部２３７（第１位置決め部材）が形成されている。なお、マットシール２３０の後端外周には、全周にわたって外周方向に張り出した額部２３３が設けられている。なお、図１６（ａ）～図１８において、２３９で示す部分は成形時のゲートおよびオーバーフロー部を示す。

　また、図１０および図１６（ａ）、（ｂ）に示すように、インナハウジング２２０の端子収容室２２３のうち、円形凹部２３７が形成された貫通孔２３１に対応する端子収容室２２３のシールセット面２２８に開口する開口部の周囲には、マットシール２３０の円形凹部２３７に嵌まる円筒凸部２２４（第２位置決め部材）が形成されている。
　なお、マットシール２３０に形成された貫通孔２３０に円筒凸部が形成され、インナハウジング２２０の端子収容室２２３の開口面の周囲に円形凹部が形成されてもよい。
　また、凸部２２４の形状は円筒に限らず、例えば断面多角形の筒形状、円柱形状、多角柱形状、円錐形状、多角錐形状、半球形状などであってもよい。凹部２３７の形状は円形に限らず、凸部２２４の形状に対応する形状であってもよい。

　これら円筒凸部２２４の内周は、端子収容室２２３の内周と滑らかに連続するように形成されると共に、円筒凸部２２４と円形凹部２３７とを嵌め合わせたときに、マットシール２３０側の貫通孔２３１とも滑らかに連続するように形成されている。

　また、この防水コネクタ２０１においては、マットシール２３０の貫通孔２３１およびインナハウジング２２０の端子収容室２２３、アウタハウジング２１０の挿入孔２１３が、縦横複数列に一定ピッチで直線配列されており、図１４～図１６（ｂ）に示すように、円筒凸部２２４および円形凹部２３７が、縦方向および横方向に１つ跳びの千鳥配列で設けられている。すなわち、複数の円形凹部２３７は互いに隣接しないように配置され、複数の円筒凸部２２４はそれぞれの円形凹部に対応して配置されている。

　インナハウジング２２０は、アウタハウジング２１０とマットシール２３０を一体に形成した後で、アウタハウジング２１０のフード部２１１の内側に挿入されるもので、フード部２１１との間に相手コネクタハウジングの挿入される環状挿入空間２１５を確保した状態で配置される。そして、後端のシールセット面２２８をマットシール２３０の前端面２３８に密着させて配置される。

　また、マットシール２３０の外周には、前記環状挿入空間２１５に相手コネクタハウジングが挿入されてきたときに、相手コネクタハウジングの内周に密着して相手コネクタハウジングとインナハウジング２２０との間を止水する外周リップ２３２が設けられている。

　次にアウタハウジング２１０とマットシール２３０の一体成形の構造について述べる。

　アウタハウジング２１０は、溶融したポリアミド樹脂を金型内に注入する射出成形によって成形されている。マットシールは、成形されたアウタハウジング２１０に対して二色成形（あるいはインサート成形）を行うことで成形されており、アウタハウジング２１０を成形型の一部として利用することで、アウタハウジング２１０の後壁２１２の内面に対して隙間なく密着している。

　マットシール２３０は、アウタハウジング２１０を構成するポリアミド樹脂に対しては接着力を発揮するが、射出成形金型を構成する金属材（クロム鋼）に対しては接着力を発揮しない選択接着性を有する材料である、信越化学製の「ポリアミド樹脂用液状シリコンゴム選択接着材料」（製品番号：Ｘ－３４－１６２５Ａ／Ｂ、以下「選択接着材料」と表記）を用いて成形されているため、成形と同時にアウタハウジング２１０との接着が行われており、マットシール２３０の後端面と額部２３３は、アウタハウジング２１０の後壁２１２の内面の三角突起２１８（図１０参照）で囲まれた領域の内側の面に接着されている。

　このアウタハウジング２１０とマットシール２３０の一体部品を製作するには、まず、溶融したポリアミド樹脂を金型に注入してアウタハウジング２１０を成形する。次にアウタハウジング２１０のポリアミド樹脂が固化したところで、アウタハウジング２１０の後壁の内面を成形する金型を、マットシール２３０を成形する金型に交換した上で、溶融した前記選択接着材料を金型に注入する。

　ここで、アウタハウジング２１０を構成するポリアミド樹脂の融点が選択接着材料の融点よりも高くなるように設定されているため、上記手順で二色成形を行った際に、アウタハウジング２１０が溶融することはない。また、選択接着材料は、金型を構成する金属に対して接着力を発揮しないため、アウタハウジング２１０とマットシール２３０の接着箇所を損なうことなく、マットシール２３０はその後端面および額部２３３がアウタハウジング２１０の後壁２１２の内面の接合箇所に接着した状態で、アウタハウジング２１０およびマットシール２３０が金型から取り外される。

　このようにして、一体成形したアウタハウジング２１０およびマットシール２３０を得た後、インナハウジング２２０をアウタハウジング２１０の内部に挿入して、インナハウジング２２０の円筒凸部２２４をマットシール２３０の円形凹部２３７に嵌め込みながら、インナハウジング２２０の後端のシールセット面２２８をマットシール２３０の前端面２３８に密着させる。

　次に、電線Ｗの先端に取り付けた端子２０２を、アウタハウジング２１０の挿入孔２１３、マットシール２３０の貫通孔２３１を通して、インナハウジング２２０の端子収容室２２３まで挿入し、各端子２０２を端子収容室２２３内に固定する。

　この場合、マットシール２３０の貫通孔２３１の開口部に形成された円形凹部２３７に、インナハウジング２２０のシールセット面２２８に形成された円筒凸部２２４を嵌め込んでいるので、マットシール２３０の貫通孔２３１とインナハウジング２２０の端子収容室２２３とを位置ズレを規制しながら連通させることができる。その際、マットシール２３０側の円形凹部２３７が、インナハウジング２２０側の円筒凸部２２４の外周に嵌まることになるので、マットシール２３０の貫通孔２３１に端子２０２や電線Ｗを通すときに、マットシール２３０に変形が生じても、その変形の影響が円筒凸部２２４の内部にまで及ぶことがなく、端子２０２や電線Ｗを、円筒凸部２２４の内周に案内されながら、スムーズに端子収容室２２３まで挿入することができる。

　従って、従来例のように、端子収容室の内部にマットシールの筒部を挿入することで位置ズレを防止する場合と違って、端子２０２や電線Ｗを挿入する際の挿入力の増加を抑えることができる。また、位置ズレの規制により、端子２０２および電線Ｗによりマットシール２３０が損傷されるのを防止することができるので、止水性を高めることができる。

　また、端子２０２および電線Ｗを端子収容室までスムーズに挿入することができるので、端子２０２の挿入作業性の向上が図れる。

　また、予めマットシール２３０をアウタハウジング２１０に一体化しておくので、安定した状態でマットシール２３０を保持しておくことができ、インナハウジング２２０とアウタハウジング２１０およびマットシール２３０との組み合わせもスムーズに行うことができる。

　次いで、図示しない相手コネクタを、本実施形態の防水コネクタ２０１と嵌合させる。そうすると、相手コネクタハウジングがアウタハウジング２１０のフード部２１１の内側の環状挿入空間２１５に挿入され、インナハウジング２２０と嵌合すると同時に、インナハウジング２２０の端子収容室２２３に収容された端子２０２が相手コネクタハウジングに収容された端子と嵌合し、電線同士の接続が行われる。

　このように嵌合させた状態で、マットシール２３０の貫通孔２３１に挿通された電線Ｗの外周には、マットシール２３０の内周リップ２３４が弾性的に密着するので、水などがインナハウジング２２０内に浸入するのを確実に防止できる。また、マットシール２３０の外周リップ２３２が相手コネクタハウジングとインナハウジング２２０との間を止水するので、相手コネクタハウジングの内部の端子とインナハウジング２２０の内部の端子との接続空間を確実に止水することができる。

　また、本実施形態の防水コネクタによれば、マットシール２３０側の貫通孔２３１とインナハウジング２２０側の端子収容室２２３とを段差無く滑らかに繋ぐことができるので、端子２０２および電線Ｗの挿入をスムーズに行うことができる。

　また、円筒凸部２２４と円形凹部２３７が縦方向および横方向に１つ跳びの千鳥配列で設けられているので、隣接する円形凹部２３７や円筒凸部２２４の干渉を避けながら、端子収容室２２３を狭ピッチで配列することができ、コネクタの小型化に貢献することができる。

　また、第２ハウジングがフード部２１１を有するアウタハウジング２１０として構成され、第１ハウジングがフード部２１１の内側に保護されたインナハウジング２２０として構成されているので、相手コネクタハウジングとの嵌合をスムーズに行うことができる。
　本発明を詳細にまた特定の実施様態を参照して説明してきたが、本発明の精神、範囲または意図の範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることが出来ることは当業者にとって明らかである。
　本発明は、２００９年２月２０日出願の日本特許出願（特願２００９－０３８１０１）及び２００９年５月１４日出願の日本特許出願（特願２００９－１１７６４９）に基づくものであり、その内容はここに参照して取り込まれる。

　コネクタハウジング内への浸水をより確実に防止すると共に、端子の挿入抵抗の増加を抑制し、端子金具及び電線をコネクタハウジング内に挿入する作業の効率向上を図ることができる防水コネクタを提供することができる。

　１０１、１０１ａ　コネクタハウジング
　１０２、１０２ａ　マットシール
　１１１　内側接合面
　１１２　挿通孔
　１１２ａ　内周面
　１１２ｂ　大径部
　１２１　後端面（端面）
　１２２　挿入部
　１２２ａ　鍔部
　１２３　挿通孔
　２０１　防水コネクタ
　２０２　端子
　２１０　アウタハウジング（第１ハウジング）
　２１１　フード部
　２１２　後壁
　２１３　挿入孔
　２１５　環状挿入空間
　２２０　インナハウジング（第２ハウジング）
　２２３　端子収容室
　２２４　円筒凸部
　２２８　シールセット面
　２３０　マットシール
　２３１　貫通孔
　２３２　外周リップ
　２３４　内周リップ
　２３７　円形凹部
　２３８　前端面
　Ｗ　電線

Claims

　防水コネクタであって、
　電線に取り付けられた端子を収容する収容室と、該収容室の一部を画成し且つ挿通孔を有する後壁と、を有する、第１ハウジングと、
　前記端子が挿入される端子孔を有し、前記第１ハウジングと一体に形成され、弾性材料から成り前記電線の外周と密着する、シール部材と、
　を具備して成る。
　請求項１に記載された防水コネクタであって、
　前記シール部材は、前記第１ハウジングの材料に対して接着力を発揮し、金型を構成する材料に対しては接着力を発揮しない、選択接着性材料から成り、
　前記シール部材は、前記金型を用いて、前記第１ハウジングとの二色成形または前記第１ハウジングに対するインサート成形によって成形される。
　請求項１または２に記載された防水コネクタであって、
　前記シール部材は、収容室に面した前記後壁の内面に接着された後端面と、該後端面から突出した挿入部とを有し、
　前記挿入部は、前記挿通孔の内周面に接着される。
　請求項１乃至３のいずれか一項に記載された防水コネクタであって、
　前記挿入部は、前記後壁の前記内面と反対の外面において、前記挿通孔の外側に向かって延伸する、フランジ部を有し、
　前記フランジ部は、前記挿入部と一体に形成される。
　請求項１乃至４のいずれか一項に記載された防水コネクタであって、
　前記端子が収容される複数の収容孔を有して形成され且つ前記後壁と対向するシールセット面を有する、第２ハウジングをさらに具備して成り、
　前記第１ハウジングは、前記挿通孔と他の挿通孔とを有し、該複数の挿通孔はそれぞれの前記収容孔に対応し、
　前記シール部材は、前記後壁と前記シールセット面との間に配置され、該シールセット面と接触する接触面を有し、該接触面は前記収容孔および前記挿通孔にそれぞれ連通する複数の貫通孔を有して形成され、該接触面において前記複数の貫通孔の少なくとも１つの該貫通孔の外周に、第１位置決め部材が形成され、
　前記第２ハウジングは、該第１位置決め部材が外周に形成された貫通孔と連通された収容孔の周囲に設けられ且つ該第１位置決め部材と係合された第２位置決め部材を有する。
　請求項５に記載された防水コネクタであって、
　前記複数の収容孔および前記複数の貫通孔は、複数の列に一定間隔で直線に配列され、
　前記第１位置決め部材は、他の第１位置決め部材と隣接しないように配置され、
　前記第２位置決め部材は、前記複数の第１位置決め部材に対応して配置される。
　請求項５または６に記載された防水コネクタであって、
　前記第１位置決め部材は、円形の凹部であり、
　前記第２位置決め部材は、円筒形の凸部であり、対応する前記第１位置決め部材に嵌合する。
　請求項７に記載された防水コネクタであって、
　前記凸部の内周面は、該凸部が設けられた前記収容孔の内周面、および該収容孔と連通する前記貫通孔の内周面と連続する。
　請求項５乃至８のいずれか一項に記載された防水コネクタであって、
　前記第１ハウジングの前記収容室は、前記後壁と、該後壁の外周縁から延伸し且つ筒形状を有するフード部とによって画成され、
　前記第２ハウジングは、該第２ハウジングの外周面と前記フード部の内周面との間に環状空間が画成されるように配置され、
　前記シール部材の外周に、前記環状空間に挿入された相手コネクタのハウジングに密着するよう構成された突起が設けられる。