WO2008068816A1

WO2008068816A1 - タップ

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Publication number: WO2008068816A1
Application number: PCT/JP2006/324030
Authority: WO
Inventors: Hiroto Sugano; Seiji Ohhashi
Original assignee: Osg Corporation
Priority date: 2006-11-30
Filing date: 2006-11-30
Publication date: 2008-06-12
Also published as: JPWO2008068816A1; DE112006002713T5; US20090291767A1; JP4522451B2; CN101296772A; KR100924976B1; US8147343B2; DE112006002713B4; KR20080069164A; CN101296772B

Abstract

　切り屑を強制的に吸引して排出することで、環境汚染の予防を図ると共に清掃作業の簡略化を図ることができるタップを提供する。　タップ１によれば、吸気孔５を備えると共に、その吸気孔５に開口部５ａを備えているので、吸気孔５を介して吸気が行われることで、開口部５ａから切削加工時に生成される切り屑を強制的に吸引することができる。よって、切削液を使用せずに切り屑を排出することができるので、環境汚染の予防を図ることができる。また、切り屑を開口部５ａから強制的に吸引すると共に、開口部５ａから吸引した切り屑を吸気孔５を介して排出することができるので、切り屑を被加工物上に散乱させることがなく、清掃作業の簡略化を図ることができる。

Description

明細書

タップ

技術分野

[0001] 本発明は、タップに関し、特に、切り屑を強制的に吸引して排出することで、環境汚染の予防を図ると共に清掃作業の簡略ィ匕を図ることができるタップに関するものである。

背景技術

[0002] 一般に、切削加工においては、切削加工時に生成される切り屑を排出するために、切削液が使用される。例えば、特許文献 1には、切削液を流通させるために本体内部に設けられる油穴と、その油穴に連通される分岐穴とを備え、その分岐穴の先端部を切り屑排出溝内に開口して構成されるタップが開示されている。

[0003] このタップによれば、油穴を流通した切削液が分岐穴力切り屑排出溝内へ吐出されると共に切り屑排出溝に沿って排出されることで、切削液と共に切り屑を切り屑排出溝から排出することができる。

[0004] また、切削液を使用せずに切り屑を排出できるタップとして、切り屑を流通させるために本体内部に設けられる縦穴と、その縦穴に連通される横穴とを備え、その横穴の先端部を本体外周面に開口して構成される深穴タップが知られて、る。

[0005] この深穴タップによれば、縦穴内に入り込んだ切り屑が新たに生成される切り屑によって徐々に押し上げられると共に、本体が回転することで、縦穴を流通した切り屑を横穴から排出することができる。

特許文献 1：特開平 11― 333630号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] し力しながら、一般に、切削液には塩素やリン等の有害な物質が含まれているため

、切削液を使用する場合には、環境汚染の誘因となるという問題点があった。

[0007] また、上述した深穴タップを使用する場合には、本体の回転力のみによって切り屑を排出するため、排出された切り屑が被加工物上に散乱して、清掃作業が煩雑になるという問題点があった。

[0008] 本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、切り屑を強制的に吸引して排出することで、環境汚染の予防を図ると共に清掃作業の簡略化を図ることができるタップを提供することを目的として!/ヽる。

課題を解決するための手段

[0009] この目的を解決するために請求項 1記載のタップは、食付き部とその食付き部に連設される完全山部とを有するねじ部と、そのねじ部に連設される本体部と、前記ねじ部の外周面に凹設される溝とを備え、軸心回りに回転されることで、前記ねじ部によつて被加工物にめねじを切削加工するものであって、前記本体部の後端面から前記ねじ部まで前記本体部の内部に延設される吸気孔を備え、その吸気孔は、断面円形状に形成されると共に、直径が前記本体部の直径よりも小径、かつ、前記溝の溝底径よりも大径に構成されることで、前記溝において外部に開口される開口部を備え、前記吸気孔を介して吸気が行われることで、切削加工時に生成される切り屑を前記開口部から吸引するように構成されている。

[0010] 請求項 2記載のタップは、請求項 1記載のタップにお!、て、前記吸気孔の直径は、前記本体部の直径の 65%以下に構成されている。

[0011] 請求項 3記載のタップは、請求項 1又は 2に記載のタップにおいて、前記開口部の端部であって前記ねじ部の先端側の端部は、前記食付き部の範囲内に位置すると共に、前記開口部の端部であって前記ねじ部の後端側の端部は、前記完全山部の 10山目に対応する位置よりも前記ねじ部の先端側に位置するように構成されている

[0012] 請求項 4記載のタップは、請求項 1から 3の、ずれかに記載のタップにぉ、て、前記溝は、少なくとも前記食付き部の範囲に延設されると共に、その溝の延設長さは、前記ねじ部の範囲に対応する長さよりも短く構成されている。

[0013] 請求項 5記載のタップは、食付き部とその食付き部に連設される完全山部とを有するねじ部と、そのねじ部に連設される本体部と、前記ねじ部の外周面に凹設される溝とを備え、軸心回りに回転されることで、前記ねじ部によって被カ卩ェ物にめねじを切削加工するものであって、前記ねじ部の先端面に突起状に設けられる突起部と、前記本体部の後端面力少なくとも前記ねじ部の先端まで前記本体部の内部に延設される吸気孔とを備え、その吸気孔は、断面円形状に形成されると共に、直径が前記本体部の直径よりも小径、かつ、前記溝の溝底径よりも大径に構成されることで、前記溝において外部に開口される開口部を備え、前記吸気孔を介して吸気が行われることで、切削加工時に生成される切り屑を前記開口部から吸引するように構成されている。

[0014] 請求項 6記載のタップは、請求項 5記載のタップにぉ、て、前記吸気孔の直径は、前記本体部の直径の 65%以下に構成されている。

[0015] 請求項 7記載のタップは、請求項 5又は 6に記載のタップにおいて、前記開口部の端部であって前記ねじ部の先端側の端部は、前記突起部に位置すると共に、前記開口部の端部であって前記ねじ部の後端側の端部は、前記完全山部の 10山目に対応する位置よりも前記ねじ部の先端側に位置するように構成されている。

[0016] 請求項 8記載のタップは、請求項 5から 7の!、ずれかに記載のタップにぉ、て、前記溝は、少なくとも前記食付き部の範囲に延設されると共に、その溝の延設長さは、前記ねじ部の範囲に対応する長さよりも短く構成されている。

発明の効果

[0017] 請求項 1記載のタップによれば、吸気孔を備えると共に、その吸気孔に開口部を備えているので、吸気孔を介して吸気が行われることで、開口部から切削加工時に生成される切り屑を強制的に吸引することができる。

[0018] よって、切削液を使用せずに切り屑を排出することができるので、環境汚染の予防を図ることができるという効果がある。更に、切削液を使用しないので、その分、加工コストの削減を図ることができると、う効果がある。

[0019] また、切り屑を開口部から強制的に吸引すると共に、開口部から吸引した切り屑を吸気孔を介して排出することができるので、切り屑を被加工物上に散乱させることがなぐ清掃作業の簡略ィ匕を図ることができるという効果がある。

[0020] 更に、切り屑を開口部から強制的に吸引するので、強制力を持たず、切り屑が新たに生成される切り屑によって徐々に排出される場合と比較して、切り屑が吸気孔に詰まり難ぐ切り屑の排出性の向上を図ることができるという効果がある。 [0021] また、開口部は溝において開口され、その開口部力切り屑を吸引するので、切り屑を収容するべく溝の収容空間、例えば、溝の長さ、溝の幅または溝の溝底深さ等を小さくすることができる。その結果、工具の剛性を確保することができるので、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。

[0022] また、吸気孔が本体部の後端面力も延設されているので、切り屑を排出するための構造を簡素化することができるという効果がある。

[0023] 請求項 2記載のタップによれば、請求項 1記載のタップの奏する効果に加え、吸気孔の直径は、本体部の直径の 65%以下に構成されているので、工具の剛性を確保することができる。

[0024] つまり、吸気孔の直径が本体部の直径の 65%よりも大きい場合には、本体部の肉厚が薄くなり、工具の剛性が低下する。これに対し、吸気孔の直径を本体部の直径の 65%以下とすることで、工具の剛性を確保することができるので、工具寿命の向上を図ることができると、う効果がある。

[0025] 請求項 3記載のタップによれば、請求項 1又は 2に記載のタップの奏する効果に加え、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部は、食付き部の範囲内に位置するように構成されているので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0026] つまり、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部がねじ部の先端に位置する場合、即ち、吸気孔がねじ部を貫通する場合には、開口部において十分な負圧が得られず、吸気時の吸引力が低下する。その結果、切り屑の吸引性が低下する。

[0027] 一方、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部が食付き部の範囲内に位置しない場合、即ち、完全山部に位置する場合には、開口部が食付き部の範囲に対応して設けられないので、切り屑の吸引性が低下する。

[0028] これに対し、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部を食付き部の範囲内とすることで、吸引力の低下を抑制することができると共に、食付き部において生成される切り屑を、その食付き部の範囲内において吸引することができるので、切り屑の吸引性の向上を図ることができるという効果がある。

[0029] また、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部は、完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の先端側に位置するように構成されているので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0030] つまり、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部が完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の後端側に位置する場合には、開口部の開口面積が大きくなり、開口部において十分な負圧が得られないため、吸気時の吸引力が低下する。その結果、切り屑の吸引性が低下する。

[0031] これに対し、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部を完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の先端側とすることで、吸引力の低下を抑制することができ、切り屑の吸引性の向上を図ることができるという効果がある。

[0032] 更に、完全山部では切り屑が生成されないので、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部を完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の先端側とすることで、切り屑の吸入性を低下させることなぐ工具の剛性を確保することができる。その結果、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。

[0033] 請求項 4記載のタップによれば、請求項 1から 3のいずれかに記載のタップの奏する効果に加え、溝は、少なくとも食付き部の範囲に延設されているので、食付き部において生成される切り屑を、その食付き部の全範囲において収容することができる。よって、切り屑の収容性を向上させることができ、その分、切り屑の吸入性の向上を図ることができると!/、う効果がある。

[0034] また、溝の延設長さは、ねじ部の範囲に対応する長さよりも短く構成されているので

、切り屑の吸入性を低下させることなぐ工具の剛性を確保することができる。その結果、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。

[0035] 請求項 5記載のタップによれば、吸気孔を備えると共に、その吸気孔に開口部を備えているので、吸気孔を介して吸気が行われることで、開口部から切削加工時に生成される切り屑を強制的に吸引することができる。

[0036] よって、切削液を使用せずに切り屑を排出することができるので、環境汚染の予防を図ることができるという効果がある。更に、切削液を使用しないので、その分、加工コストの削減を図ることができると、う効果がある。

[0037] また、切り屑を開口部から強制的に吸引すると共に、開口部から吸引した切り屑を吸気孔を介して排出することができるので、切り屑を被加工物上に散乱させることがなぐ清掃作業の簡略ィ匕を図ることができるという効果がある。

[0038] また、開口部は溝において開口され、その開口部力切り屑を吸引するので、切り屑を収容するべく溝の収容空間、例えば、溝の長さ、溝の幅または溝の溝底深さ等を小さくすることができる。その結果、工具の剛性を確保することができるので、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。

[0039] また、吸気孔が本体部の後端面力も延設されているので、切り屑を排出するための構造を簡素化することができるという効果がある。

[0040] また、突起部を備えているので、吸気孔を貫通させることなく少なくともねじ部の先端まで延設することができる。また、吸気孔が少なくともねじ部の先端まで延設されているので、開口部を食付き部の全範囲に対応して設けることができる。

[0041] よって、食付き部において生成される切り屑を、その食付き部の全範囲で吸引することができるので、切り屑の吸引性の向上を図ることができるという効果がある。

[0042] 請求項 6記載のタップによれば、請求項 5記載のタップの奏する効果に加え、吸気孔の直径は、本体部の直径の 65%以下に構成されているので、工具の剛性を確保することができる。

[0043] つまり、吸気孔の直径が本体部の直径の 65%よりも大きい場合には、本体部の肉厚が薄くなり、工具の剛性が低下する。これに対し、吸気孔の直径を本体部の直径の 65%以下とすることで、工具の剛性を確保することができるので、工具寿命の向上を図ることができると、う効果がある。

[0044] 請求項 7記載のタップによれば、請求項 5又は 6に記載のタップの奏する効果に加え、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部は、突起部に位置するように構成されているので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0045] つまり、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部が突起部に位置しな!、場合、即ち、ねじ部に位置する場合には、開口部が食付き部の全範囲に対応して設けられないので、切り屑の吸引性が低下する。

[0046] これに対し、開口部の端部であってねじ部の先端側の端部を突起部とすることで、食付き部にお、て生成される切り屑を、その食付き部の全範囲にぉ、て吸引することができるので、切り屑の吸引性の向上を図ることができるという効果がある。 [0047] また、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部は、完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の先端側に位置するように構成されているので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0048] つまり、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部が完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の後端側に位置する場合には、開口部の開口面積が大きくなり、開口部において十分な負圧が得られないため、吸気時の吸引力が低下する。その結果、切り屑の吸引性が低下する。

[0049] これに対し、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部を完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の先端側とすることで、吸引力の低下を抑制することができ、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0050] 更に、完全山部では切り屑が生成されないので、開口部の端部であってねじ部の後端側の端部を完全山部の 10山目に対応する位置よりもねじ部の先端側とすることで、切り屑の吸入性を低下させることなぐ工具の剛性を確保することができる。その結果、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。

[0051] 請求項 8記載のタップによれば、請求項 5から 7のいずれかに記載のタップの奏する効果に加え、溝は、少なくとも食付き部の範囲に延設されているので、食付き部において生成される切り屑を、その食付き部の全範囲において収容することができる。よって、切り屑の収容性を向上させることができ、その分、切り屑の吸入性の向上を図ることができると!/、う効果がある。

[0052] 更に、溝の延設長さは、ねじ部の範囲に対応する長さよりも短く構成されているので、切り屑の吸入性を低下させることなぐ工具の剛性を確保することができる。その結果、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。

図面の簡単な説明

[0053] [図 1] (a)は、本発明の第 1実施の形態におけるタップの正面図であり、（b)は、図 l (a )の矢印 lb方向力も視たタップの側面図である。

[図 2]図 1 (b)の Π— II線におけるタップの断面図である。

[図 3]ホルダに保持されたタップの断面図である。

[図 4]切削試験の試験結果を示す図である。 [図 5] (a)は、第 2実施の形態におけるタップの正面図であり、（b)は、図 5 (a)の矢印

Vb方向力も視たタップの側面図である。

[図 6]図 5 (b)の VI— VI線におけるタップの断面図である。

符号の説明

[0054] 1 タップ

2 本体部

3 ねじ部

3a 食付き部

3b 完全山部

4 溝

5 吸気孔

5a 開口部

106 突起部

Db 本体部の直径

Dg 溝の溝底径

Dh 吸気孔の直径

O 軸心

Ps 開口部の端部であってねじ部の先端側の端部

Pe 開口部の端部であってねじ部の後端側の端部

発明を実施するための最良の形態

[0055] 以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図 1を参照して、本発明の第 1実施の形態におけるタップ 1について説明する。図 1 (a)は、タップ 1の正面図であり、図 1 (b)は、図 1 (a)の矢印 lb方向力視たタップ 1の側面図である。

[0056] タップ 1は、加工機械（図示せず)から伝達される回転力によって被加工物の下孔（図示せず）にめねじを切削加工するための工具であり、図 1に示すように、タンダステンカーバイト (WC)等を加圧焼結した超硬合金カゝらソリッドタイプに構成されると共に、本体部 2と、その本体部 2に連設されるねじ部 3とを主に備えて構成されている。伹し、タップ 1は、超硬合金に限られず、高速度工具鋼カゝら構成されても良い。

[0057] 本体部 2は、ホルダ 10 (図 3参照）を介してカ卩工機械に保持される部位であり、図 1 に示すように、軸心 Oを有する円柱状に形成されている。なお、本実施の形態では、本体部 2の直径 Dbが 8mmに構成されて!、る。

[0058] ねじ部 3は、本体部 2を介してカ卩ェ機械力伝達される回転力によって回転しつつ切削加工を行うための部位であり、図 1に示すように、食付き部 3aと、その食付き部 3 aに連設される完全山部 3bとを備えて構成されている。また、ねじ部 3の外周面には、 3本の溝 4が本体部 2の軸心 Oと略平行にそれぞれ凹設されている。

[0059] 食付き部 3aは、被加工物の下孔に切削加工を施すことでめねじを切削するための部位であり、図 1 (a)に示すように、ねじ部 3の先端側（図 1 (a)右側）へ向かうにつれて外径が小径となるテーパ状に形成されている。なお、本実施の形態では、食付き部 3aの山数が 5山に構成されて！、る。

[0060] 完全山部 3bは、食付き部 3aによって切削しためねじの仕上げを行うための部位であり、被加工物の下孔に形成すべきめねじの形状と略同一形状に形成されている。なお、本実施の形態では、完全山部 3bの山数が 12山に構成されている。

[0061] 溝 4は、切削加工時に食付き部 3aにおいて生成される切り屑を収容するための部位であり、図 1に示すように、略直線状に形成されると共にねじ部 3の先端面（図 1 (a) 右側面)から完全山部 3bの 11山目に対応する位置まで延設されている。

[0062] この溝 4は、円盤状の砲石を回転させつつねじ部 3の先端側からねじ部 3の後端側

(図 1 (a)左側）へ向けて本体部 2の軸心 O方向へ平行移動させることで形成される。これにより、溝 4は、ねじ部 3の先端側における溝底の形状が本体部 2の軸心 Oと略平行に形成されると共に、ねじ部 3の後端側における溝底の形状が砥石の形状に対応して切り上がって形成されることで、ねじ部 3の後端側へ向かうにつれて溝底径が大径となるように形成されている（図 2参照)。なお、本実施の形態では、本体部 2の軸心 Oと略平行に形成されるねじ部 3の先端側における溝 4の溝底径 Dgが 3. 52m mに構成されている。

[0063] また、図 1に示すように、タップ 1の内部には、本体部 2の後端面（図 1 (a)左側面)から食付き部 3aの 2山目に対応する位置まで本体部 2の軸心 Oに沿って吸気孔 5が延設されている。

[0064] 吸気孔 5は、後述するように、切削加工時に吸気が行われる部位であり、断面円形状に形成されると共に、直径 Dhが本体部 2の直径 Dbよりも小径、かつ、溝 4の溝底径 Dgよりも大径に構成されている。なお、本実施の形態では、吸気孔 5の直径 Dhが 4. 5mmに構成されている。

[0065] また、吸気孔 5の直径 Dhが本体部 2の直径 Dbよりも小径、かつ、溝 4の溝底径 Dg よりも大径に構成されることで、吸気孔 5には、図 1に示すように、溝 4において外部に開口される開口部 5aが設けられて、る。

[0066] ここで、図 2を参照して、開口部 5aの詳細構成について説明する。図 2は、図 1 (b) の II II線におけるタップ 1の断面図である。なお、図 2では、本体部 2の軸心 O方向長さを省略して図示して、る。

[0067] 開口部 5aは、切削加工時に吸気孔 5を介して吸気が行われることで、食付き部 3a において生成される切り屑を吸引するための部位であり、ねじ部 3の先端側（図 2下側）の端部 Psが、食付き部 3aの 2山目に対応する位置に構成されると共に、ねじ部 3 の後端側（図 2上側）の端部 Peが、完全山部 3bの 5山目に対応する位置に構成されている。

[0068] 但し、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psは、食付き部 3aの 2山目に対応する位置に限られず、食付き部 3aの範囲内に位置するように構成することが望ましい。つまり、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psがねじ部 3 の先端に位置する場合、即ち、吸気孔 5がねじ部 3を貫通する場合には、開口部 5a において十分な負圧が得られず、吸気時の吸引力が低下する。その結果、切り屑の吸引性が低下する。

[0069] 一方、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psが食付き部 3aの範囲内に位置しない、即ち、完全山部 3bに位置する場合には、開口部 5aが食付き部 3a の範囲に対応して設けられないので、切り屑の吸引性が低下する。

[0070] これに対し、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psを食付き部 3aの範囲内とすることで、吸引力の低下を抑制することができると共に、食付き部 3aにおいて生成される切り屑を、その食付き部 3aの範囲内において吸引することができるので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0071] また、開口部 5aの端部であってねじ部 3の後端側の端部 Peは、完全山部 3bの 5山目に対応する位置に限られず、完全山部 3bの 10山目に対応する位置よりもねじ部 3 の先端側に位置するように構成することが望ましい。つまり、開口部 5aの端部であつてねじ部 3の後端側の端部 Peが完全山部 3bの 10山目に対応する位置よりもねじ部 3の後端側に位置する場合には、開口部 5aの開口面積が大きくなり、開口部 5aにおいて十分な負圧が得られないため、吸気時の吸引力が低下する。その結果、切り屑の吸引性が低下する。

[0072] これに対し、開口部 5aの端部であってねじ部 3の後端側の端部 Peを完全山部 3b の 10山目に対応する位置よりもねじ部 3の先端側とすることで、吸引力の低下を抑制することができ、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0073] 更に、完全山部 3bでは切り屑が生成されないので、開口部 5aの端部であってねじ部 3の後端側の端部 Peを完全山部 3bの 10山目に対応する位置よりもねじ部 3の先端側とすることで、切り屑の吸入性を低下させることなぐ工具の剛性を確保することができる。その結果、工具寿命の向上を図ることができる。

[0074] 次に、上述のように構成されるタップ 1を用いた切り屑の回収方法について、図 3を参照して説明する。図 3は、ホルダ 10に保持されたタップ 1の断面図である。なお、図 3では、ホルダ 10の一部を省略して図示している。また、図 3では、切り屑の移動方向を矢印 A, Bにより模式的に示している。

[0075] タップ 1は、図 3に示すように、本体部 2がホルダ 10に保持されることでカ卩工機械（図示せず）に取り付けられる。また、めねじの切削加工時には、ポンプ（図示せず）によつて加工機械側からホルダ 10の内部に形成された内部空間 11の吸気が行われる。これにより、タップ 1は、吸気孔 5を介して吸気が行われる。

[0076] この場合、吸気孔 5には、上述したように、本体部 2の外部に開口される開口部 5a が設けられているので、切削加工時には、矢印 Aで示すように、食付き部 3aにおいて生成される切り屑を開口部 5aから強制的に吸引することができる。

[0077] また、ポンプによる吸気が継続して行われることで、矢印 Bで示すように、開口部 5a 力も吸引した切り屑を吸気孔 5を介して排出することができる。 [0078] 次に、タップ 1を用いて行った切削試験について、図 4を参照して説明する。図 4は

、切削試験の試験結果を示す図である。

[0079] 切削試験は、タップ 1によって所定の切削条件で被カ卩ェ物の下穴にめねじを切削加工した場合に、切削加工時に生成される切り屑の排出性を調べるための試験である。なお、本切削試験では、切り屑の吸引率 (生成された切り屑と吸引した切り屑との割合）によって排出性の良否を判定する。

[0080] 切削試験の詳細諸元は、被カ卩ェ物: JIS— ADC12、使用機械:縦型マシユングセンタ、切削速度： 15mZmin、下穴直径： 6. 8mm,加工深さ： 20mmである。

[0081] また、切削試験には、本実施の形態で説明したタップ 1 (以下、「本発明品」と称す。

)と、吸気孔 5の直径 Dhを一定の範囲内（2mmから 6mmまでの範囲）で種々に変更したタップとを用いて行った。

[0082] 切削試験の試験結果によれば、図 4に示すように、本発明品を用いた場合には、切り屑の吸引率が 100%となり、切削加工時に生成される切り屑を全て吸引できたことを理解できる。よって、切り屑の排出性は良好であった。

[0083] 同様に、吸気孔 5の直径 Dhを 4mm及び 5mmとした場合にも、切り屑の吸引率がそれぞれ 100%となり、切削加工時に生成される切り屑を全て吸引できたことを理解できる。よって、切り屑の排出性はそれぞれ良好であった。

[0084] また、吸気孔 5の直径 Dhを 2mm、 2. 5mm, 3mm及び 3. 5mmとした場合には、切り屑の吸引率がどれも 0%となり、切削加工時に生成される切り屑を全く吸引できな力つたことを理解できる。よって、切り屑の排出性はどれも不良であった。

[0085] これは、溝 4の溝底径 Dg ( = 3. 52mm)よりも吸気孔 5の直径 Dhの方が小さいため

、吸気孔 5に開口部 5aが設けられず、切り屑を吸引することができな力つたことが原因であると考えられる。

[0086] 一方、吸気孔 5の直径 Dhを 5. 5mm及び 6mmとした場合には、タップが折損した。

これは、本体部 2の直径 Db ( = 8mm)に対して吸気孔 5の直径 Dhが大きいため、本体部 2の肉厚が薄くなり、工具の強度が低下したことが原因であると考えられる。

[0087] この結果より、吸気孔 5の直径 Dhは、本体部 2の直径 Dbの 65%以下に構成することが望ましい。つまり、吸気孔 5の直径 Dhが本体部 2の直径 Dbの 65%よりも大きい場合には、本体部 2の肉厚が薄くなり、工具の剛性が低下する。これに対し、吸気孔

5の直径 Dhを本体部 2の直径 Dbの 65%以下とすることで、工具の剛性を確保することができるので、工具寿命の向上を図ることができる。

[0088] 上述したように、第 1実施の形態におけるタップ 1によれば、吸気孔 5を備えると共に

、その吸気孔 5に開口部 5aを備えているので、吸気孔 5を介して吸気が行われることで、開口部 5aから切削加工時に生成される切り屑を強制的に吸引することができる。

[0089] よって、切削液を使用せずに切り屑を排出することができるので、環境汚染の予防を図ることができる。更に、切削液を使用しないので、その分、加工コストの削減を図ることがでさる。

[0090] また、切り屑を開口部 5aから強制的に吸引すると共に、開口部 5aから吸引した切り屑を吸気孔 5を介して排出することができるので、切り屑を被加工物上に散乱させることがなぐ清掃作業の簡略ィ匕を図ることができる。

[0091] また、開口部 5aは溝 4において開口され、その開口部 5aから切り屑を吸引するので、切り屑を収容するべく溝 4の収容空間、例えば、溝 4の長さ、溝 4の幅または溝 4の溝底深さ等を小さくすることができる。その結果、工具の剛性を確保することができるので、工具寿命の向上を図ることができる。

[0092] また、吸気孔 5aが本体部 2の後端面力延設されているので、切り屑を排出するための構造を簡素化することができる。

[0093] また、溝 4は、ねじ部 3の先端面力も完全山部 3bの 11山目に対応する位置まで延設されることで、食付き部 3aの範囲に延設されているので、食付き部 3aにおいて生成される切り屑を、その食付き部 3aの全範囲において収容することができる。よって、切り屑の収容性を向上させることができ、その分、切り屑の吸入性の向上を図ることができる。

[0094] 更に、溝 4の延設長さは、ねじ部 3の範囲に対応する長さよりも短く構成されているので、切り屑の吸入性を低下させることなぐ工具の剛性を確保することができる。その結果、工具寿命の向上を図ることができる。

[0095] なお、溝 4は、開口部 5aの端部であってねじ部 3の後端側の端部 Peから本体部 2 側への延設長さが、完全山部 3bの 2山または 3山に対応する長さ分だけ長く構成されることが望ましい。これにより、切り屑の吸入性の向上と、工具寿命の向上とを両立して図ることがでさる。

[0096] 次に、図 5を参照して、第 2実施の形態におけるタップ 101について説明する。図 5

(a)は、タップ 101の正面図であり、図 5 (b)は、図 5 (a)の矢印 Vb方向力も視たタップ 101の側面図である。

[0097] 第 1実施の形態におけるタップ 1では、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psが食付き部 3aの 2山目に位置する場合を説明したが、第 2実施の形態におけるタップ 1は、ねじ部 3の先端面に突起部 106を備え、その突起部 106に開口部 5aの端部 Psが位置するように構成されている。なお、第 1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。

[0098] タップ 101は、図 5に示すように、ねじ部 3の先端面（図 5 (a)右側面）に突起部 106 が設けられている。突起部 106は、図 5に示すように、本体部 2の直径 Dbよりも小径の円柱状に形成され、本体部 2の軸心 Oと同心に設けられている。この突起部 106には、図 5に示すように、溝 4が延設されている。

[0099] また、吸気孔 5は、図 5に示すように、本体部 2の後端面（図 5 (a)左側面)から突起部 106の略中央部まで本体部 2の軸心 Oに沿って延設されている。これにより、図 5 に示すように、溝 4において開口部 5aが設けられている。

[0100] ここで、図 6を参照して、開口部 5aの詳細構成について説明する。図 6は、図 5 (b) の VI— VI線におけるタップ 101の断面図である。なお、図 6では、本体部 2の軸心 O 方向の長さを省略して図示している。

[0101] 開口部 5aは、図 6に示すように、ねじ部 3の先端側（図 6下側）の端部 Psが、突起部 106の略中央部の位置に構成されると共に、ねじ部 3の後端側（図 6上側）の端部 Pe 力完全山部 3bの 5山目に対応する位置に構成されている。

[0102] 但し、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psは、突起部 106の略中央部の位置に限られず、突起部 106に位置するように構成することが望ましい。つまり、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psが突起部 106に位置しない場合、即ち、ねじ部 3に位置する場合には、開口部 5aが食付き部 3aの全範囲に対応して設けられないので、切り屑の吸引性が低下する。 [0103] これに対し、開口部 5aの端部であってねじ部 3の先端側の端部 Psを突起部 106とすることで、食付き部 3aにおいて生成される切り屑を、その食付き部 3aの全範囲において吸引することができるので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0104] 上述したように、第 2実施の形態におけるタップ 101によれば、突起部 106を備えているので、吸気孔 5を貫通させることなくねじ部 3の先端まで延設することができる。また、吸気孔 5がねじ部 3の先端まで延設されているので、開口部 5aを食付き部 3aの全範囲に対応して設けることができる。

[0105] よって、食付き部 3aにおいて生成される切り屑を、その食付き部 3aの全範囲において吸引することができるので、切り屑の吸引性の向上を図ることができる。

[0106] 以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなぐ本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。

[0107] 例えば、上記各実施の形態では、溝 4が本体部 2の軸心 Oと略平行に凹設される、いわゆる直溝タップの場合を説明した力必ずしもこれに限られるものではなぐ例えば、スノィラルタップ、或いは、ポイントタップとして構成しても良い。

[0108] また、上記各実施の形態では、 3本の溝 4を備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなぐ例えば、 1本または 2本、或いは、 4本以上の溝 4を備えて構成しても良い。なお、 1本または 2本の溝 4を備えて構成する場合には、切り屑の吸引性が低下する一方、 4本以上の溝 4を備えて構成する場合には、工具の剛性が低下するため、 3本の溝 4を備えて構成することが望ましい。

[0109] また、上記各実施の形態では、食付き部 3a及び完全山部 3bがねじ部 3に形成される場合を説明した力必ずしもこれに限られるものではなぐ食付き部 3a及び完全山部 3bをスローァウェイチップにより構成してねじ部 3に着脱可能とすることで、タップ 1 をスローァウェイタップとして構成しても良い。この場合には、チップを交換することで工具寿命の向上を図ることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 食付き部とその食付き部に連設される完全山部とを有するねじ部と、そのねじ部に連設される本体部と、前記ねじ部の外周面に凹設される溝とを備え、軸心回りに回転されることで、前記ねじ部によって被カ卩ェ物にめねじを切削加工するタップにおいて前記本体部の後端面力前記ねじ部まで前記本体部の内部に延設される吸気孔を備え、

その吸気孔は、断面円形状に形成されると共に、直径が前記本体部の直径よりも小径、かつ、前記溝の溝底径よりも大径に構成されることで、前記溝において外部に開口される開口部を備え、

前記吸気孔を介して吸気が行われることで、切削加工時に生成される切り屑を前記開口部から吸引するように構成されて、ることを特徴とするタップ。

[2] 前記吸気孔の直径は、前記本体部の直径の 65%以下に構成されていることを特徴とする請求項 1記載のタップ。

[3] 前記開口部の端部であって前記ねじ部の先端側の端部は、前記食付き部の範囲内に位置すると共に、前記開口部の端部であって前記ねじ部の後端側の端部は、前記完全山部の 10山目に対応する位置よりも前記ねじ部の先端側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項 1又は 2に記載のタップ。

[4] 前記溝は、少なくとも前記食付き部の範囲に延設されると共に、その溝の延設長さは、前記ねじ部の範囲に対応する長さよりも短く構成されていることを特徴とする請求項 1から 3のいずれかに記載のタップ。

[5] 食付き部とその食付き部に連設される完全山部とを有するねじ部と、そのねじ部に連設される本体部と、前記ねじ部の外周面に凹設される溝とを備え、軸心回りに回転されることで、前記ねじ部によって被カ卩ェ物にめねじを切削加工するタップにおいて前記ねじ部の先端面に突起状に設けられる突起部と、

前記本体部の後端面力少なくとも前記ねじ部の先端まで前記本体部の内部に延設される吸気孔とを備え、その吸気孔は、断面円形状に形成されると共に、直径が前記本体部の直径よりも小径、かつ、前記溝の溝底径よりも大径に構成されることで、前記溝において外部に開口される開口部を備え、

[6] 前記吸気孔の直径は、前記本体部の直径の 65%以下に構成されていることを特徴とする請求項 5記載のタップ。

[7] 前記開口部の端部であって前記ねじ部の先端側の端部は、前記突起部に位置すると共に、前記開口部の端部であって前記ねじ部の後端側の端部は、前記完全山部の 10山目に対応する位置よりも前記ねじ部の先端側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項 5又は 6に記載のタップ。

[8] 前記溝は、少なくとも前記食付き部の範囲に延設されると共に、その溝の延設長さは、前記ねじ部の範囲に対応する長さよりも短く構成されていることを特徴とする請求項 5から 7のいずれかに記載のタップ。