WO2006132018A1 - ロック装置 - Google Patents

Description

明 細 書

ロック装置

技術分野

[0001] 本発明は、主として車両用のシートを車体側にロックし、あるいは、そのロックを解除 することができるロック装置に関する。

背景技術

[0002] この種のロック装置としては、例えば特許文献 1に開示された技術がすでに知られ ている。この技術では、シート側にロック機構が設けられ、車体側にストライカーが設 けられている。ロック機構は、ストライカーの受け入れが可能な凹部を有するベースプ レート、フック、ポールおよびカムを備えている。フックは、ベースプレートに対して回 転可能に軸支され、ベースプレートの凹部との間でストライカーを挟持したロック状態 、あるいはストライカーから離れたアンロック状態を形成する。ポールおよびカムは、 ベースプレートに対して共に同軸上で回転可能に軸支されている。

[0003] フックとポールとの間に設けられているロックスプリングは、フックおよびポールをロッ ク状態またはアンロック状態のいずれかの回転位置で安定させるように付勢する。ま た、カムとベースプレートとの間に設けられている追い込みスプリングは、ロック状態 にあるフックをさらにロック方向へ押圧する方向へカムを付勢する。この結果、ロック 状態でのロック機構とストライカ一との間の遊びが強制的に詰められる。

特許文献 1 : EP1516771A1号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] このように、フックおよびポールがロック状態に保持されているときのロックスプリング は、フックをアンロック方向へ付勢している。一方、このときの追い込みスプリングは、 ロックスプリングの力に打ち勝ってフックをロック方向へ押圧するようにカムを付勢して いる。このため、追い込みスプリングの弾性力は、常にロックスプリングよりも大きく設 定する必要があり、結果としてロック機構のロックを解除するときの操作荷重が重くな る。 [0005] 本発明は、このような課題を解決しょうとするもので、その目的は、ロックスプリング の弾性力に関係なぐ追い込みスプリングの弾性力を自由に設定可能としてロック解 除の操作荷重を軽減することである。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。

第 1の発明は、互いに係止される二部材の一方に設けられたロック機構と、二部材 の他方に設けられたストライカーとからなるロック装置であって、ロック機構は、ベース プレートと、フックと、ポールと、カムと、ロックスプリングと、追い込みスプリングと、キヤ ンセルプレートとを備えてレ、る。

ベースプレートは、ストライカーを受け入れることが可能な凹部を有する。フックは、 ベースプレートに回転可能に軸支され、この回転によってベースプレートの凹部との 間でストライカーを挟持したロック状態、あるいはストライカーから離れたアンロック状 態を形成することが可能である。ポールは、ベースプレートに回転可能に軸支され、 フックに係合する位置に回転して該フックをロック状態に保持することが可能である。 カムは、ポールと同軸上において回転可能に軸支され、ロック状態にあるフックをさら にロック方向へ押圧することが可能である。ロックスプリングは、ポールとキャンセルプ レートとの間に設けられ、フックおよびポールをロック状態またはアンロック状態のい ずれかで安定させるように付勢することが可能である。追い込みスプリングは、カムと ベースプレートとの間に設けられ、フックを押圧する方向へカムを付勢することが可能 である。キャンセルプレートは、フックと同軸上において回転可能に軸支され、フック に対して相対的に回転できる可動範囲が設定されているとともに、フック力 sロック状態 にあるとき、その可動範囲内においてストライカーに当接する当接部を有する。

[0007] この構成によれば、ロック機構のフックがロック状態にあるとき、キャンセルプレート の当接部がストライカーに当接してロックスプリングの弾性力をフックに作用させない ように保持する。したがって、ロック状態にあるフックをさらにロック方向へ押圧するた めの追い込みスプリングの弾性力を、ロックスプリングの弾性力に影響されることなく 自由に設定することができる。そこで、例えばロックスプリングの弾性力はこれまで通り としても、追い込みスプリングの弾性力は小さくすることが可能となり、それによつて口 ック機構のロックを解除するときの操作荷重を軽減することができる。

[0008] 第 2の発明は、第 1の発明のロック装置であって、カムはフックに接触する接触部を 有する。この接触部には、ロック状態にあるフックをさらにロック方向へ回転させ、かつ 、フックに作用するアンロック方向への回転荷重を受け止めた状態に保持する圧力 角が設定されている。

このようにカムの接触部に圧力角を設定することにより、追い込みスプリングの弾性 力に基づいてロック状態のフックをさらにロック方向へ押圧する機能が一段と高めら れる。

[0009] 第 3の発明は、互いに係止される二部材の一方に設けられたロック機構と、二部材 の他方に設けられたストライカーとからなるロック装置であって、ロック機構は、ベース プレートと、フックと、ポーノレと、カムと、ロックスプリングと、追い込みスプリングと、伝 達部材とを備えている。

ベースプレートは、ストライカーを受け入れることが可能な凹部を有する。フックは、 ベースプレートに回転可能に軸支され、この回転によってベースプレートの凹部との 間でストライカーを挟持したロック状態、あるいはストライカーから離れたアンロック状 態を形成することが可能である。ポールは、ベースプレートに回転可能に軸支され、 フックに係合する位置に回転して該フックをロック状態に保持することが可能である。 カムには、ロック状態にあるフックをさらにロック方向へ回転させ、かつ、フックに作用 するアンロック方向への回転荷重を受け止めた状態に保持する圧力角が設定されて いる。ロックスプリングは、ポールをフックに対して係合方向あるいは非係合方向へ付 勢することが可能である。追い込みスプリングは、カムとベースプレートとの間に設け られ、フックを押圧する方向へカムを付勢することが可能である。伝達部材は、ロック スプリングの付勢力をフックもしくはストライカーに伝達することが可能であるとともに、 フックがロック状態にあるときはストライカーに当接してロックスプリングの付勢力をスト ライカ一に伝達し、フックがアンロック状態にあるときはストライカーから外れてフックに 当接し、ロックスプリングの付勢力をフックに伝達するように構成されている。

[0010] この構成を採用した場合は、ロック機構のフックがロック状態にあるかアンロック状態 にあるかによつて、伝達部材を通じてロックスプリングの付勢力が伝達される対象がス トライカーあるいはフックへと的確に切り替えられる。

[0011] 第 4の発明は、第 1 , 2又は 3の発明のロック装置であって、 ポールは、ロック状態 にあるフックの係止面と係合する係止端面を備えている。そして、ロック状態にあるフ ックがカムによってロック方向へさらに押圧された状態において、フックの係止面とポ 一ルの係止端面とが離間した位置関係となるように設定されている。

[0012] これにより、ロック状態にあるフックがロック方向へさらに押圧された状態では、フック の係止面とポールの係止端面とが当たって異音発生の原因になるのを解消できる。

[0013] 第 5の発明は、第 1 , 2, 3又は 4の発明のロック装置であって、ポールがカムに対す る連行部を備えている。この連行部は、ポールがフックに係合可能な位置から外れる 方向へ回転する際にカムに当接して該カムを同方向へ回転させることが可能に構成 されている。

[0014] この構成により、ロック機構のロック解除操作についてはポールを回転操作するだ けでカムも連動して回転させることができ、ロック解除の操作手段を単一化することが 可能となる。

[0015] 第 6の発明は、第 1 , 2, 3, 4又は 5の発明のロック装置であって、互いに係止される 二部材が車両のフロアと格納式シートのシートクッションであり、ロック機構がシートク ッシヨンに設けられ、ストライカーがフロアに設けられている。

図面の簡単な説明

[0016] [図 1]車両用の格納式シートを表した側面図

[図 2]ロック装置のアンロック状態を表した構成図

[図 3]ロック装置のロック途中の状態を表した構成図

[図 4]ロック装置のロック状態を表した構成図

[図 5]ロック装置の追い込み状態を表した構成図

[図 6]カムの接触面に設定されてレ、る圧力角の説明図

[図 7]ロック機構の異なる実施の形態を図 2と対応させて表した構成図

符号の説明

[0017] 10シートクッション

11クッションフレーム 14フロア

20ロック機構

22ベースプレート

23凹部

30フック

40キャンセルプレート

41 当接部

46ポール

56ロックスプリング

60カム

66追い込みスプリング

70ストライカー

発明を実施するための最良の形態

[0018] 以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。

図 1は、車両用の格納式シートを表した側面図である。この形式のシートを格納す るには、まず、リクライニング装置（図示省略）を操作し、図 1のようにシートクッション 1 0側へシートバック 12を倒し込む。これと併行して、シートクッション 10のリャ側下部と フロア 14側とを係止しているロック装置のロック解除操作を行う。この後、シートクッシ ヨン 10を、そのフロント側端部を支点として回転させ、シート全体をフロントシート（図 示省略）の背面に立てかける。

[0019] そのための構造として、シートクッション 10におけるクッションフレーム 11のフロント 側端部は、フロア 14に固定されたヒンジブラケット 16に対し、回動軸 18によって連結 されている。また、クッションフレーム 11のリャ側下部とフロア 14側とを係止している口 ック装置は、クッションフレーム 11のリャ側下部（二部材の一方）に設けられたロック機 構 20と、フロア 14 (二部材の他方）に固定されたストライカー 70とに大別される。なお 、図 1で示すシートは、例えば三人掛け用のリャシートであり、ヒンジブラケット 16およ び回動軸 18による連結構造、ロック機構 20およびストライカー 70によるロック装置は 、例えばシートの両サイドにそれぞれ配置される。 [0020] 図 2は、ロック装置のアンロック状態を表した構成図である。図 3は、ロック装置のロッ ク途中の状態を表した構成図である。図 4は、ロック装置のロック状態を表した構成図 である。図 5は、ロック装置の追い込み状態を表した構成図である。これらの図面で示 すようにロック機構 20は、ベースプレート 22、フック 30、キャンセルプレート 40、ポー ル 46 (解除レバー 52を含む）および追い込み用のカム 60を主体として構成されてい る。ベースプレート 22は 2枚を重ね合わせて結合した構成であり、それらの間にロック 機構 20の他の構成部品が挟み込まれた状態で組み付けられている。ただし、図 2〜 5では、紙面の手前側に位置するベースプレートを取り除いた状態が示されている。 そして、このベースプレート 22がクッションフレーム 11に装着されてレ、る（図 1)。

[0021] ベースプレート 22は、その下部において下向きに開放した凹部 23を備えている。こ の凹部 23は、その開放側からストライカー 70を受け入れ可能であり、その受け入れ を容易にするために、下方に向かって開口幅を漸増させた形状となっている。また、 ベースプレート 22は、その右側の縁部を部分的に折り曲げた格好のストッパー 24お よびパネ掛け部 25をそれぞれ備えている。

[0022] フック 30は、ベースプレート 22に固定された支持軸 36に対して回転可能に支持さ れている。このフック 30は、図面の左側方に開口したフック凹部 31を備えている。こ のフック凹部 31が、ベースプレート 22の凹部 23に受け入れたストライカー 70に係合 し、このストライカー 70を凹部 23との間で挟持することにより、ロック機構 20力 ック状 態となる（図 4)。フック 30は、その外周部において係止面 32を有するとともに、この係 止面 32から支持軸 36側へ寄った箇所において、そこから一体に突出した突出部 33 を有する。また、フック 30には、支持軸 36を境としたときの突出部 33の反対側におい て、円柱形状の係合突起 34がー体に形成されている。この係合突起 34は、フック 30 に対してピンなどの部材を固定して形成してもよい。

[0023] キャンセルプレート 40は、フック 30の支持軸 36に対して回転可能に支持されてい る。このキャンセルプレート 40は、フック 30のフック凹部 31における片側の縁に沿つ て延びた当接部 41を有するとともに、この当接部 41の反対側端部を折り曲げた格好 のバネ掛け部 43を有する。また、キャンセルプレート 40は、フック 30の係合突起 34 が緩く嵌った円形の係合孔 42を有する。これらの係合突起 34の外周と係合孔 42の 内周との間には隙間があり、この隙間によってキャンセルプレート 40がフック 30に対 して相対的に回転可能な可動範囲が設定されている。なお、係合突起 34と係合孔 4 2とが隙間を詰めて係合した後は、フック 30とキャンセルプレート 40とは一体となって 回転する。

[0024] ポーノレ 46、解除レバー 52およびカム 60は、ベースプレート 22に回転可能に支持 された支持軸 50の軸上にそれぞれ組み付けられてレ、る。ポール 46および解除レバ 一 52は、支持軸 50と一体的に回転するように支持されているのに対し、カム 60は支 持軸 50に対して回転可能に支持されている。つまり、ポール 46と解除レバー 52とは 支持軸 50を通じて一体関係で回転し、カム 60はポール 46および解除レバー 52に 対して相対的に回転する。なお、解除レバー 52にロック解除用の操作ケーブルなど（ 図示省略）が連結され、ロック解除操作によってポール 46が回転操作される。

[0025] ポーノレ 46は、フック 30の係止面 32に接触して受け止めることが可能な係止端面 4 7と、カム 60の一部に当接可能な突起 48とを有する。一方、解除レバー 52は、側部 の縁を部分的に折り曲げた格好のパネ掛け部 53を有する。このパネ掛け部 53とキヤ ンセルプレート 40のバネ掛け部 43との間には、引っ張りコイルバネを用いたロックス プリング 56が掛けられている。このロックスプリング 56の弾性力により、キャンセルプ レート 40を通じてフック 30が図面の反時計回り方向へ付勢され、同時に解除レバー 52を通じてポール 46が時計回り方向へ付勢されている。なおポール 46の突起 48は 、本発明の「連行部」に相当する。

[0026] 追い込み用のカム 60は、その先端部において、フック 30の突出部 33と接触可能な 接触面 61を有する。この接触面 61は、本発明の「接触部」に相当する。また、カム 60 はポール 46の突起 48と当接可能なアーム部 62と、このアーム部 62の端部を部分的 に折り曲げた格好のバネ掛け部 63とを有する。このバネ掛け部 63とベースプレート 2 2のバネ掛け部 25との間には、引っ張りコイルバネを用いた追い込みスプリング 66が 掛けられている。この追い込みスプリング 66の弾性力により、カム 60が時計回り方向 へ付勢されている。なお、カム 60には、接触面 61と支持軸 50による軸支部分との間 において、ビード形状に膨らませた変形促進部 64が設けられている。この変形促進 部 64は、フック 30側からカム 60が荷重を受けたとき、他の箇所よりも弱い力で変形す る。

[0027] つづいて、ロック装置の機能について説明する。

いま、ロック機構 20は図 2で示すアンロック状態にあるものとする。この状態では、口 ックスプリング 56の弾性力に基づき、フック 30がキャンセルプレート 40を通じて反時 計回り方向へ付勢されている。つまり、フック 30の係合突起 34とキャンセルプレート 4 0の係合孔 42とは、相互間の隙間が一方に詰められて互いに係合している。そして、 フック 30は、その外周部がベースプレート 22のストッパー 24で受け止められて安定 している。なお、同じくロックスプリング 56の弾性力によって時計回り方向へ付勢され ているポール 46 (解除レバー 52を含む）は、フック 30の外周で受け止められて安定 している。また、追い込みスプリング 66の弾性力によって時計回り方向へ付勢されて レ、るカム 60は、フック 30の突出部 33に受け止められて安定している。

[0028] アンロック状態から図 1で示すようにシートクッション 10をフロア 14側にセットするた めの操作が行われると、ロック機構 20におけるベースプレート 22の凹部 23に、フロア 14側のストライカー 70が浸入してくる（図 3)。このストライカー 70の浸入に伴レ、、フッ ク 30のフック凹部 31がストライカー 70に係合するとともに、キャンセルプレート 40の 当接部 41がストライカー 70に当たる。これにより、フック 30およびキャンセルプレート 40がロックスプリング 56の弾性力に抗して時計回り方向へ回転し、図 4で示すロック 状態となる。このロック状態でのポール 46は、ロックスプリング 56の弾性力によって時 計回り方向へ回転し、その係止端面 47がフック 30の係止面 32に接触してフック 30を ロック位置に保持してレ、る（図 4)。

[0029] ロック装置が図 4で示すロック状態になると、カム 60が追い込みスプリング 66の弾性 力によって時計回り方向へ回転する。これにより、カム 60の接触面 61がフック 30の 突出部 33を押圧し、このフック 30をさらに時計回り方向へ回転させる。すなわち、力 ム 60の接触面 61には、フック 30に時計回り方向への押圧力を与える圧力角が設定 されている。この結果、ストライカー 70がベースプレート 22における凹部 23の奥に追 い込まれる（図 5)。したがって、ストライカー 70は、ベースプレート 22の凹部 23とフッ ク 30のフック凹部 31との間で強く挟持された状態となり、ロック機構 20とストライカー 7 0との間のガタ詰めが行われる。 [0030] 図 6は、カム 60の接触面 61に設定されている圧力角の説明図である。この図面に おいて、カム 60の回転支点である支持軸 50の軸心を Aとし、カム 60の接触面 61とフ ック 30の突出部 33との接触点を Pとする。また軸心 Aを中心として接触点 Pを通る円 弧を とし、カム 60の接触面 61に倣って接触点 Pを通る円弧を C2とする。そして接 触点 Pにおける円弧 C1の接線を L1とし、円弧 C2の接線を L2としたとき、これらの接線 LI, L2のなす角度 Θが接触面 61の圧力角である。この圧力角 Θにより、カム 60が図 6において時計回り方向へ回転したとき、フック 30を時計回り方向へ回転させることが できる。

[0031] なお、接触面 61の圧力角 Θには以下のような制約がある。つまり、圧力角 Θを小さ くしすぎると、カム 60の時計回り方向への回転によるフック 30の時計回り方向への回 転角度が小さくなる。この結果、カム 60の回転量を大きくとることが必要となり、設計 の自由度が制限されることになる。逆に圧力角 Θが大きすぎると、フック 30に反時計 回り方向への荷重がかかったときに、カム 60が反時計回り方向へ押されて接触面 61 とフック 30の突出部 33との係合が外れる場合がある。そこで圧力角 Θについては、 好ましくは 5〜12° 、より好ましくは 7〜10° に設定している。

[0032] フック 30が図 4あるいは図 5で示すロック位置にあるとき、ロックスプリング 56の付勢 力は、キャンセルプレート 40を反時計回り方向へ回転させるように働いている。このと きのキャンセルプレート 40は、その当接部 41がストライカー 70に当接して、その回転 位置が決定されている。そして、この状態でのフック 30の係合突起 34とキャンセルプ レート 40の係合孔 42とは、相互の全周において隙間が確保されている。つまり、キヤ ンセルプレート 40はフック 30に対して相対的に回転できる可動範囲にある。このため 、キャンセルプレート 40に作用しているロックスプリング 56の弾性力は、フック 30に対 する付勢力としてはキャンセルされる。

このようにキャンセルプレート 40は、フック 30がアンロック状態にあるかロック状態に あるかによって、ロックスプリング 56の付勢力をフック 30に伝えたりストライカー 70に 伝えたりする「伝達部材」として捉えることも可能である。

[0033] すでに述べたように追い込みスプリング 66の役割は、ロックスプリング 56の弾性力 に打ち勝ってフック 30をロック方向へ押圧するようにカム 60を付勢することである。と ころが、フック 30がロック位置にあるときは、このフック 30に対するロックスプリング 56 の付勢力はキャンセルされるので、追い込みスプリング 66の弾性力をロックスプリング 56と関係なく自由に設定することが可能となる。

[0034] 図 5で示す追い込み状態においては、フック 30の係止面 32がポール 46の係止端 面 47から離れているものの、相互に接触し得る位置に保持されている。そこで、ストラ イカ一 70がベースプレート 22の凹部 23から退行する方向へ大荷重が生じた場合に は、カム 60の変形促進部 64が変形し、フック 30の係止面 32がポール 46の係止端 面 47によって受け止められる。この結果、ロック機構 20とストライカー 70との間のガタ 詰め機能は解消される力 ロック機構 20はロック状態に維持される。このように、ロック 状態にあるロック機構 20とストライカー 70との間に所定値以上の荷重が働いたとき、 その荷重の伝達経路のどの箇所よりも先にカム 60の変形促進部 64を変形させること で、ロック機構 20の致命的な部位の変形を避けて、少なくとも本来のロック機能を維 持すること力 Sできる。

[0035] ロック機構 20のロック解除操作が行われると、解除レバー 52を通じてポール 46が口 ックスプリング 56の弾性力に杭して反時計回り方向に回転操作される。これに伴って ポール 46の係止端面 47が、フック 30の係止面 32に対向した位置から外れる。その 後、ポール 46の突起 48がカム 60のアーム部 64に当たり、カム 60も追い込みスプリ ング 66の弾性力に杭してポール 46と共に反時計回り方向へ回転操作され、その接 触面 61がフック 30の突出部 33から外れる。これにより、フック 30がキャンセルプレー ト 40と共に図 2の状態に復帰し、ロック機構 20がアンロック状態になる。

[0036] 図 7は、ロック機構 20の異なる実施の形態を図 2と対応させて表した構成図である。

この図面で示すロック機構 20は、ベースプレート 22のストッパー 24が廃止され、代わ りに 2枚一組のベースプレート 22の一方にストッパー孔 28が設けられている。このスト ッパ一孔 28内に、キャンセルプレート 40のバネ掛け部 43が位置している。そして、図 面で示すようにロック機構 20がアンロック状態にあるとき、ロックスプリング 56の弾性 力によって反時計回り方向へ付勢されているキャンセルプレート 40は、そのバネ掛け 部 43がストッパー孔 28の縁に当たって受け止められている。このように、アンロック状 態においてロックスプリング 56の付勢力をキャンセルプレート 40側で受け止めること により、フック 30の係合突起 34とキャンセルプレート 40の係合孔 42との隙間力 図 2 とは反対方向に詰められている。なお、図 7のロック機構 20においても、ロック途中の 状態、ロック状態およびを追い込み状態では図 3〜5とほぼ同じように作動する。

[0037] 以上は本発明を実施するための最良の形態を図面に関連して説明したが、この実 施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるもの である。

例えば本実施の形態では、ロック機構 20およびストライカー 70が個別に設けられる 二部材を、格納式シートのシートクッション 10とフロア 14とを例にとって説明したが、 ロック装置によるロックおよびアンロックを必要とする二部材であれば、その他の部材 であってもよい。またロック機構 20において、フック 30に対してキャンセルプレート 40 が相対的に回転できる可動範囲を設定するための手段としては、係合突起 34と係合 孔 42との組み合わせに代え、次の（a) (b)のような構成を採用することも可能である。

[0038] (a)キャンセルプレート 40の係合孔 42を、フック 30の係合突起 34との係合（干渉） が予定されていない一方向を開放した溝形状とする。この場合、溝の開放方向に関 して三つのタイプが考えられる。

タイプ 1 :図 1〜7で示すロック機構 20において、係合孔 42を例えば図 2, 7の右下 方向に開放した溝形状とする。

タイプ 2 :図 1〜6で示すロック機構 20において、係合孔 42を例えば図 2の右上方 向に開放した溝形状とする。

タイプ 3 :図 7で示すロック機構 20において、係合孔 42を図 7の左下方向に開放し た溝形状とする。

(b)図面で示すフック 30の係合突起 34とキャンセルプレート 40の係合孔 42との関 係を逆にして、例えばフック 30の外周に切り欠き状の凹部を設け、この凹部に緩く係 合させた爪をキャンセルプレート 40に設ける。

Claims

請求の範囲

[1] 互いに係止される二部材の一方に設けられたロック機構と、二部材の他方に設けら れたストライカーとからなるロック装置であって、

ロック機構は、ベースプレートと、フックと、ポーノレと、カムと、ロックスプリングと、追い 込みスプリングと、キャンセルプレートとを備え、

ベースプレートは、ストライカーを受け入れることが可能な凹部を有し、

フックは、ベースプレートに回転可能に軸支され、この回転によってベースプレート の凹部との間でストライカーを挟持したロック状態、あるいはストライカーから離れたァ ンロック状態を形成することが可能であり、

ポールは、ベースプレートに回転可能に軸支され、フックに係合する位置に回転し て該フックをロック状態に保持することが可能であり、

カムは、ポールと同軸上において回転可能に軸支され、ロック状態にあるフックをさ らにロック方向へ押圧することが可能であり、

ロックスプリングは、ポールとキャンセルプレートとの間に設けられ、フックおよびポ ールをロック状態またはアンロック状態のいずれかで安定させるように付勢することが 可能であり、

追い込みスプリングは、カムとベースプレートとの間に設けられ、フックを押圧する方 向へカムを付勢することが可能であり、

キャンセルプレートは、フックと同軸上において回転可能に軸支され、フックに対し て相対的に回転できる可動範囲が設定されているとともに、フックがロック状態にある とき、その可動範囲内においてストライカーに当接する当接部を有するロック装置。

[2] 請求項 1に記載されたロック装置であって、

カムはフックに接触する接触部を有し、

この接触部には、ロック状態にあるフックをさらにロック方向へ回転させ、かつ、フッ クに作用するアンロック方向への回転荷重を受け止めた状態に保持する圧力角が設 定されているロック装置。

[3] 互いに係止される二部材の一方に設けられたロック機構と、二部材の他方に設けら れたストライカーとからなるロック装置であって、 ロック機構は、ベースプレートと、フックと、ポーノレと、カムと、ロックスプリングと、追い 込みスプリングと、伝達部材とを備え、

ベースプレートは、ストライカーを受け入れることが可能な凹部を有し、

フックは、ベースプレートに回転可能に軸支され、この回転によってベースプレート の凹部との間でストライカーを挟持したロック状態、あるいはストライカーから離れたァ ンロック状態を形成することが可能であり、

ポールは、ベースプレートに回転可能に軸支され、フックに係合する位置に回転し て該フックをロック状態に保持することが可能であり、

カムには、ロック状態にあるフックをさらにロック方向へ回転させ、かつ、フックに作 用するアンロック方向への回転荷重を受け止めた状態に保持する圧力角が設定され ロックスプリングは、ポールをフックに対して係合方向あるいは非係合方向へ付勢 することが可能であり、

追い込みスプリングは、カムとベースプレートとの間に設けられ、フックを押圧する方 向へカムを付勢することが可能であり、

伝達部材は、ロックスプリングの付勢力をフックもしくはストライカーに伝達することが 可能であるとともに、フックがロック状態にあるときはストライカーに当接してロックスプ リングの付勢力をストライカーに伝達し、フックがアンロック状態にあるときはストライカ 一から外れてフックに当接し、ロックスプリングの付勢力をフックに伝達するように構成 されているロック装置。

[4] 請求項 1 , 2又は 3に記載されたロック装置であって、

ポールは、ロック状態にあるフックの係止面と係合する係止端面を備え、 ロック状態にあるフックがカムによってロック方向へさらに押圧された状態において、 フックの係止面とポールの係止端面とが離間した位置関係となるように設定されてい るロック装置。

[5] 請求項 1 , 2, 3又は 4に記載されたロック装置であって、

ポールがカムに対する連行部を備え、

この連行部は、ポールがフックに係合可能な位置から外れる方向へ回転する際に カムに当接して該カムを同方向へ回転させることが可能に構成されているロック装置 請求項 1 , 2, 3, 4又は 5に記載されたロック装置であって、

互いに係止される二部材が車両のフロアと格納式シートのシートクッションであり、 ロック機構がシートクッションに設けられ、ストライカーがフロアに設けられてレ、るロッ ク装置。