WO2006095484A1

WO2006095484A1 - リクライニング装置

Info

Publication number: WO2006095484A1
Application number: PCT/JP2005/022958
Authority: WO
Inventors: Mitsunao Koumura
Original assignee: Kabushiki Kaisha Imasen Denki Seisakusho
Priority date: 2005-03-09
Filing date: 2005-12-14
Publication date: 2006-09-14
Also published as: EP1870278A4; EP1870278A1; US20080048478A1; US7380883B2

Abstract

【解決課題】前倒されたシートバックが引き起こされると、予め設定された中立位置へシートバックを自動的に復帰固定できる中立位置復帰機能を備えた、小型で軽量なラウンドリクライニング装置を提供する。【解決手段】本発明に係るリクライニング装置は、ベースプレート１とギヤプレート２との間に、前記センターシャフトを中心とした略円盤状からなるメモリー板９と、当該メモリー板９を一方向に常時回転付勢するばね部材１０とを介在させており、当該メモリー板９の円盤内部には、前記ロックギヤ５の突起５２との当接によって、ロックギヤ５の半径方向外方への移動を規制する略円弧状の長孔９２からなるガイド部９２ｄが穿設されており、該メモリー板９の外周縁上には少なくとも１箇所の切り欠き部を設け、当該切欠き部内に、前記ギヤプレート２に突設した係止部を進入させると共に、該切欠き部の範囲内において当該メモリー板９がギヤプレート２に対して回転可能としたものである。

Description

明細書

リクライニング装置

技術分野

[0001] 本発明は、車両用の座席等に装備されるリクライニング装置に関するものであって

、特に、乗員の操作によって前倒されたシートバックを、簡単な操作で以て (傾斜角度調整範囲内における）予め設定された位置に復帰固定できる、中立位置復帰機能を備えたリクライニング装置に関するものである。

背景技術

[0002] 従来より、車両用シートに装備されるリクライニング装置としては、多種多様な装置が提案されている。その中でも、クーペ'スタイルや 3ドアハッチバック 'スタイルの車両における最前列シートや、ミニバンやキヤブワゴン'スタイルの車両における 2列目シートに装着されて、後列シートへの乗降の便を図るリクライニング装置が実用化され、多くの車両が装備するに至っている。力かるリクライニング装置は、シートバックを大きく前倒させることを可能とすると共に、後列シートへの乗降が完了した後に前記シートバックを起こすだけで該シートバックが予め設定された位置（中立位置）に自動的に復帰固定させることを可能とする、中立位置復帰機能を備えたものである。

[0003] 上記の中立位置復帰機能を備えたリクライニング装置としては、例えば、特許文献 1に記載された装置が公知となって、る。この特許文献 1に記載の装置と!/、うのは、外歯のセクタ一ギヤ (9)が形成されたセクタ一プレート (8)が背もたれ側回動ブラケット（ 5)に固定され、ロックギヤ (17)が形成されたロックプレート (11)が座席側固定ブラケット ( 3)に軸止され、セクタ一ギヤ (9)とロックギヤ (17)との嚙合を一定の条件で阻止するメモリープレート (20)が介在配設された構成を採用したものである。そして、前記メモリープレート (20)の働きによって、前倒されたシートバックを起こすだけでシートバックが予め設定された中立位置に復帰固定されるようになっている。

[0004] 一方、座席への取り付けが容易で小型 ·軽量ィ匕されたリクライニング装置としては、ラウンドリクライニング装置（円形リクライニング装置）と称されるものが実用化されている。このラウンドリクライニング装置は、略円盤状のベースプレートと略円盤状のギヤプレートが向かい合わせに組み合わされ、両プレートの向かい合わせとなった内部空間にロック機構が配設されるものであって、センターシャフトを支点として両プレートが相対的に回転して、所望の位置 (位相）での固定が可能となるものである。

[0005] 斯様なラウンドリクライニング装置の具体的な構成としては、例えば、特許文献 2に記載されたものが公知となっている。この特許文献 2に記載の装置というのは、上述の各構成要素に加えて、ホロヮー (5) (「ロックギヤ」に相当）に軸方向に突出する二つのぺグ (12) (「突起」に相当）が形成されており、一方のぺグ (12)によって所定の範囲でロック機構が離脱位置に保持され、他方のぺグ (12)と段付き円形軌道 (P) (「誘導孔」に相当）を備えた薄板 (14)によってロック解除の制御がなされるようになつている。すなわち、当該装置を取り付けた座席においては、車両の後席への乗降時にシートバックを前倒させると、操作部材の操作を解除してもロック機構が離脱位置に保持され、前倒されたシートバックを起こすとシートバックは調整範囲の最前端 (シートバックが固定できる最も起立した最起立位置）に復帰固定される構成となっている。

[0006] そして、上記のようなラウンドリクライニング装置に、調整範囲内の位置に復帰固定される機能を加え、シートバックを前倒位置力も後傾させると、倒す前の元の調整角度位置に自動的に戻すことができる機能 (フルメモリー機能)が設けられたものとして、特許文献 3に記載のリクライニング装置が提案されている。この特許文献 3に記載のリクライニング装置というのは、第 1の側板 (8) (円盤状のプレート）と第 2の側板 (9) (円盤状のプレート）と一組の内歯 (19)を有するリング (11)とを備え、前記のリング (11)の歯 (12)と第 1の側板 (8)の間でロックおよびロック解除される機構 (M) (通常の角度調整機構）と、前記のリング (11)の歯 (12)と第 2の側板 (9)の間でロックおよびロック解除されると共に横断板との協働で調整位置を記憶する第 2の機構 (フルメモリー機構)とを有するものである。つまり、この特許文献 3に記載のラウンドリクライニング装置は、通常のリクライニング角度の調整を行うための機構 (M)と、フルメモリー機能を果たす第 2の機構とを有するのであり、通常のリクライニング装置における角度調整機構を二重に組み合わせた構成を採ったものである。

[0007] 特許文献 1 :特開平 2— 177908号公報（図 1、図 4、図 5)

特許文献 2 :特許第 3343039号公報（図 3、図 4) 特許文献 3：特開平 8 - 300990号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] ところが、上記各特許文献に記載の技術は、次述の点で不都合を包含するものであった。まず、前記特許文献 1に記載のリクライニング装置は、外歯のセクタ一ギヤ (9) が形成されたセクタ一プレート (8)、ロックギヤ (17)が形成されたロックプレート (11)、および、セクタ一ギヤ (9)とロックギヤ (17)との嚙合を一定の条件で阻止するメモリープレート (20)とからなる中立位置復帰機能を採用した構成となっている。このため、略円盤状のベースプレートと略円盤状のギヤプレートが向かい合わせに組み合わされ、両プレートの向かい合わせとなった内部空間にロック機構を配設したラウンドリクライ- ング装置に、このような中立位置復帰機能を組み込むことは、生産技術上、困難を伴うものであった。

[0009] また、前記特許文献 2に記載のラウンドリクライニング装置は、ホロヮー (5)と薄板 (14) を備え、ホロヮー (5)には二つのぺグ (12)が形成されており、一方のぺグ (12)によって口ック機構が離脱位置に保持され、もう一方のぺグ (12)と薄板 (14)によってロック解除の制御がなされるようになつている。このため、当該装置においては操作手段の操作を解除してもシートバックの前倒が保持されるものの、シートバックを起こすとシートバックが調整範囲の最前端の位置に復帰固定されるものであり、中立位置復帰機能は備えておらず、利便性が不十分であった。

[0010] そして、前記の特許文献 3に記載されたラウンドリクライニング装置においては、より利便性の高いフルメモリー機能を備えてはいるが、通常の角度調整を行うための機構 (M)とフルメモリー機能を果たす第 2の機構とを有しているため、角度調整機構を二重に組み合わせた構成となり装置自体が大型化すると共に構造が複雑となり、また、高価となる不都合があった。

[0011] 本発明は、上記の困難および不都合を解消するものであり、前倒されたシートバックが引き起こされると、予め設定された中立位置へシートバックを自動的に復帰固定できる中立位置復帰機能を備えた、小型で軽量なラウンドリクライニング装置を提供することを課題とするものである。課題を解決するための手段

上記課題を解決するため、本願発明が採った手段は以下の通りである。まず請求項 1に記載の発明は、座席のシートクッション又はシートバックの何れかに固定される略円盤状のベースプレート 1と、当該ベースプレート 1に対して回転可能に向かい合わせて組み付けられ、内歯 21を有する略円盤状のギヤプレート 2と、前記ベースプレート 1に設けた少なくとも一対の突部からなる案内部内において、該ベースプレート 1 における半径方向に移動可能に配置され、前記ギヤプレート 2の内歯 21と嚙合可能な外歯 51を有する複数のロックギヤ 5と、前記ロックギヤ 5の半径方向への移動を制御して、当該ロックギヤ 5をギヤプレート 2の内歯 21に嚙合させるカム 6と、前記ロックギヤ 5を前記内歯 21と嚙合させる方向へと前記カム 6を回転付勢するばね 7と、前記カム 6と一体になつて回転するとともに、前記ロックギヤ 5に突設された突起 52と係合して当該ロックギヤ 5の半径方向内方への移動を制御するレバー板 8と、前記ベースプレート 1及びギヤプレート 2の略中心に揷通されカム 6と一体に回転可能なセンターシャフトと、当該センターシャフトに接続して、前記ばね 7の付勢力に抗してセンターシャフトを回転駆動させる操作部材と、を備えるリクライニング装置において、前記べースプレート 1とギヤプレート 2との間には、前記センターシャフトを中心とした略円盤状力なるメモリー板 9と、当該メモリー板 9を一方向に常時回転付勢するばね部材 1 0とを介在させており、当該メモリー板 9の円盤内部には、前記ロックギヤ 5の突起 52 との当接によって、ロックギヤ 5の半径方向外方への移動を規制する略円弧状の長孔 92からなるガイド部 92dが穿設されており、該メモリー板 9の外周縁上には少なくとも 1箇所の切り欠き部を設け、当該切欠き部内に、前記ギヤプレート 2に突設した係止部を進入させると共に、該切欠き部の範囲内において当該メモリー板 9がギヤプレート 2に対して回転可能であって、シートバックが前倒位置カも最起立位置の範囲にあるときは、前記ロックギヤ 5の突起 52が前記ガイド部 92dに当接して、該ロックギヤ 5 の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21に対する嚙合力解除されるロックフリー範囲を構成し、シートバックが最起立位置力も最後傾位置の範囲にあるときは、前記ロックギャ 5の突起 52が前記ガイド部 92dの当接から開放され、該ロックギヤ 5の外歯 51がギャプレート 2の内歯 21に対して嚙合する調整範囲を構成するものであって、前記ばね部材 10は、ロックギヤ 5の突起 52がガイド部 92dから外れる方向にメモリー板 9を回転付勢しており、前記メモリー板 9のガイド部 92dに前記ロックギヤ 5の突起 52が当接した状態において、シートバックを後傾させた際には、該メモリー板 9が前記ばね部材 10の付勢力に抗してべースプレート 1と共に一体的に回転して、前記ロックギヤ 5の突起 52が前記ガイド部 92dの当接から開放され、該ロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21に対して嚙合することを、その構成上の特徴とするものである。

[0013] また、請求項 2に記載の発明は、請求項 1に記載したリクライニング装置において、前記ギヤプレート 2は、階段状の段部を有する略お椀形状に形成され、開口内周に前記内歯 21が形成された第一段部と、第一段部よりも円周の半径が小さく前記レバ一板 8の外周縁と摺接する第二段部と、第二段部よりも円周の半径が小さく前記メモリー板 9の外周縁と摺接する第三段部と、が形成され、前記ばね部材 10が、メモリー板 9とギヤプレート 2との間に配設されていることを、その構成上の特徴とするものである。

[0014] また、請求項 3に記載の発明は、座席のシートクッション又はシートバックの何れかに固定される略円盤状のベースプレート 1と、当該ベースプレート 1に対して回転可能に向かい合わせて組み付けられ、内歯 21を有する略円盤状のギヤプレート 2と、前記ベースプレート 1に設けた少なくとも一対の突部力もなる案内部内において、該ベースプレート 1における半径方向に移動可能に配置され、前記ギヤプレート 2の内歯 21と嚙合可能な外歯 51を有する複数のロックギヤ 5と、前記ロックギヤ 5の半径方向への移動を制御して、当該ロックギヤ 5をギヤプレート 2の内歯 21に嚙合させるカム 6と、前記ロックギヤ 5を前記内歯 21と嚙合させる方向へと前記カム 6を回転付勢するばね 7と、前記カム 6と一体になつて回転するとともに、前記ロックギヤ 5に突設された突起 52と係合して当該ロックギヤ 5の半径方向内方への移動を制御するレバー板 8 と、前記ベースプレート 1及びギヤプレート 2の略中心に揷通されカム 6と一体に回転可能なセンターシャフトと、当該センターシャフトに接続して、前記ばね 7の付勢力に抗してセンターシャフトを回転駆動させる操作部材と、を備えるリクライニング装置において、前記ベースプレート 1とギヤプレート 2との間には、前記センターシャフトを中心とした略リング状力もなるメモリー板 201と、当該メモリー板 201を一方向に常時回転付勢するばね部材 202とを介在させており、当該メモリー板 201に係るリングの内周縁部 201cには、前記ロックギヤ 5の突起 52との当接によって、ロックギヤ 5の半径方向外方への移動を規制する略円弧状のガイド部 201bが形成されており、該メモリ一板 201の外周縁上には少なくとも 1箇所の切欠き部 201 aを設け、当該切欠き部 20 la内に、前記ギヤプレート 2に突設した係止部を進入させると共に、該切欠き部 201 aの範囲内において当該メモリー板 201がギヤプレート 2に対して回転可能であって、シートバックが前倒位置力最起立位置の範囲にあるときは、前記ロックギヤ 5の突起 52が前記ガイド部 201bに当接して、該ロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21に対する嚙合力解除され、シートバックが最起立位置から最後傾位置の範囲にあるときは、前記ロックギヤ 5の突起 52が前記ガイド部 201bの当接から開放されるロックフリー範囲を構成し、該ロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21に対して嚙合する調整範囲を構成するものであって、前記ばね部材 202は、ロックギヤ 5の突起 52がガイド部 201bから外れる方向にメモリー板 201を回転付勢しており、前記メモリー板 201のガイド部 201bに前記ロックギヤ 5の突起 52が当接した状態において、シートバックを後傾させた際には、該メモリー板 201が前記ばね部材 202の付勢力に抗してべ一スプレート 1と共に一体的に回転して、前記ロックギヤ 5の突起 52が前記ガイド部 201bの当接から開放され、該ロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21に対して嚙合することを、その構成上の特徴とするものである。

また、請求項 4に記載の発明は、請求項 3に記載のリクライニング装置において、前記ギヤプレート 2が階段状の段部を有する略お椀形状に形成され、開口内周に前記内歯 21が形成された第一段部と、第一段部よりも円周の半径が小さく前記レバー板 8の外周縁と摺接する第二段部と、第二段部よりも円周の半径が小さく前記メモリー板 201の外周縁と摺接する第三段部とが形成され、前記ばね部材 202は、渦巻きの外側にある端末が巻き込み方向と逆に折り曲げ返され、中心側の端末が巻き込みと同方向に折り曲げられた形状の渦巻きばね 202で、外側の端末が前記メモリー板 20 1の内周縁に突設された鉤型形状の引掛部に係止され、中心側の端末がギヤプレート 2の底部分に突設された略円柱状の突起 52に係止されており、前記渦巻きばね 202が前記第三段部に配置されていることを、その構成上の特徴とするものである。 [0016] また、請求項 5に記載の発明は、請求項 1乃至請求項 4の何れかに記載のリクライユング装置において、前記ギヤプレート 2には内歯 21の形成されていない円弧部 22 が設けられ、この円弧部 22は前記内歯 21よりも山高に形成され、前記メモリー板 20 1に設けられたガイド部 201bの端部には、半径方向外方に向力つて傾斜した傾斜部が設けられており、前記ロックフリー範囲内にシートバックを前倒するとき、ロックギヤ 5 の外歯 51が前記円弧部 22に乗り上げた後、ロックギヤ 5の突起 52が前記傾斜部によって半径中心方向に移動させられ、ガイド部 201bに誘導され当接することを、その構成上の特徴とするものである。

[0017] また、請求項 6に記載の発明は、請求項 1乃至請求項 5の何れかに記載のリクライユング装置において、前記ガイド部 92d, 201bの端部に至る周縁力センターシャフトを中心としたガイド部 92d, 201bの円弧よりも中心方向に張出していることを、その構成上の特徴とするものである。

発明の効果

[0018] 上記手段の採用によって得られる効果は以下の通りである。まず請求項 1に記載の発明によれば、メモリー板 9およびメモリー板 9を常時ギヤプレート 2に対してシートバックが後傾する方向に付勢するばね部材によって中立位置復帰機能を実現しており、小型、軽量化されたラウンドリクライニング装置の内部に中立位置復帰機能を容易に組み込むことができる。そして、中立位置に復帰したシートバックは、その後の着座が容易で、し力も中立位置力僅かな調整幅で元の調整位置あるいは所望の調整位置にリクライニング装置を再調整できるので使い勝手が良いという効果を奏することとなる。

[0019] 請求項 2に記載の発明は、ギヤプレート 2が階段状の段部を有する略お椀形状に形成され、その段部にレバー板 8やメモリー板 9が摺動可能に嵌め込まれることによつて、互いに分離した機能を層状構造にまとめることができ、また、ばね部材もラウンドリクライニング装置内に収めたので、小型で簡単な構成を実現できるという効果を奏することとなる。

[0020] 請求項 3に記載の発明は、メモリー板 201を常時ギヤプレート 2に対してシートバックが後傾する方向に付勢するばね部材によって中立位置復帰機能を実現しており、小型、軽量化されたラウンドリクライニング装置の内部に中立位置復帰機能を容易に組み込むことができる。そして、中立位置に復帰したシートバックは、その後の着座が容易で、し力も中立位置力僅かな調整幅で元の調整位置あるいは所望の調整位置にリクライニング装置を再調整できるので使い勝手が良いという効果を奏することとなる。

[0021] 請求項 4に記載の発明は、ギヤプレート 2が階段状の段部を有する略お椀形状に形成され、その段部にレバー板 8やメモリー板 201が摺動可能に嵌め込まれることによって、互いに分離した機能を層状構造にまとめることができ、また、ばね部材もラウンドリクライニング装置内に収めたので、小型で簡単な構成を実現できる。そして、ばね部材を渦巻きの外側にある端末が巻き込み方向と逆に折り曲げ返され、中心側の端末が巻き込みと同方向に折り曲げられた形状の渦巻きばね 7とし、中空のメモリー板 201の内部にばね部材を配置できる構成にしたことで、センターシャフトの軸方向でばね部材を配設して、たスペースを削減でき、小型にすることができると!/、う効果を奏することとなる。

[0022] 請求項 5に記載の発明は、内歯 21が形成されているギヤプレート 2の内周に、内歯 21の形成されていない内歯 21よりも山高な円弧部 22を設けるとともに、メモリー板 2 01に設けられたガイド部 201bの端部に、半径方向外方に向かって傾斜した傾斜部 92cを設けることにより、ロックフリー範囲内にシートバックを前倒するときには、ロックギヤ 5の外歯 51が前記円弧部 22に乗り上げた後、ロックギヤ 5の突起 52が前記傾斜部 92cによって半径中心方向に移動させられて、ガイド部 201bに誘導される。このような構成にすることで、最起立位置付近のロックギヤ 5とギヤプレート 2の嚙合いを確実にすることができると、う効果を奏することとなる。

[0023] 請求項 6に記載の発明は、ガイド部 201bの端部に至る周縁を、センターシャフトを中心としたガイド部 201bの円弧よりも中心方向に張出させることで、前記メモリー板 9 , 201がギヤプレート 2に対して回転可能な一定範囲内においてメモリー板 9, 201がギヤプレート 2につられて回転することを防止可能となるという効果を奏することとなる。即ち本請求項に係る発明では、メモリー板 9, 201の周縁とギヤプレート 2との摩擦によって、メモリー板 9, 201の切欠き部とギヤプレート 2の係止部が当接しないままメモリー板 9, 201が回転すると、その分だけロックの外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21 と嚙合う位置が中立位置力もずれることとなる。そのため、前記ガイド部 201bの張出しによつてメモリー板 9, 201の回転に抵抗を与えることとなり、ロックの突起 52がガイド部 201bから外れるまでには、メモリー板 9, 201の切欠き部とギヤプレート 2の係止部が当接させることが可能となるのである。

発明を実施するための最良の形態

[0024] 以下、本発明に係る技術的思想を、好適な実施例を用いて説明する。

〔実施例 1〕

図 1乃至図 9は、実施例 1に係るリクライニング装置 105を示すものである。まず本実施例の概略を説明する。図 1は、シートクッション 101とシートバック 102とを有する座席 100に対し、本発明に係るリクライニング装置 105を取り付けた状態を、座席 10 0側方力も示す図である。本実施例に係るリクライニング装置 105は、図 2の断面図に示すように、略円盤状のベースプレート 1と略円盤状のギヤプレート 2とを相互に向かい合わせて組み合わされている。本発明において「略円盤状」というのは、外形がラゥンド形状（円形状）という意味である。これら各プレート 1, 2のうち、一方のプレートは下側ブラケット 103に固定され、他方のプレートは上側ブラケット 104に固定されている。図 1に示すように本実施例において前記下側ブラケット 103は、その下端部がシートクッション 101の後方端部に取り付けられものである。一方、前記上側ブラケット 104は、その上端部がシートバック 102の下端部に取り付けられている。

[0025] 図 1及び図 2において、符号 106はリクライニング装置 105の中心に設けられたセンターシャフトを示しており、符号 107はその一端が前記センターシャフト 106に取り付けられた操作レバーを示している。乗員による当該操作レバー 107の操作により、リクライニング装置 105のロック状態を解除した際には、図 1に示すシートバック 102を、最起立位置 A力最後傾位置 D至る迄の調整範囲 a内において、任意に傾斜角度を調整および固定することができる。そして、最起立位置 Aから前倒位置 Bに至る迄のロックフリー範囲 b内においては、操作レバー 107を乗員が開放した状態にあっても、シートバック 102がロックされな!/、ようになって!/、る。

[0026] なお、図 1における位置「C」は、シートバック 102を前倒状態力も後傾方向に起こしてくると自動的に復帰固定される中立位置であり、調整範囲 aの中で着座時の最も使用される可能性の高い位置が予め設定されている。このため、中立位置 Cは最起立位置 Aに比べて着座が容易であり、また、僅かな調整幅でシートバックを前倒しする前〖こロックされてヽた元の調整位置あるいは所望の調整位置にシートバックを再調整できるようになつている。

[0027] 次に、図 2乃至図 8を参照してリクライニング装置 105の具体的な構成を詳細に説明する。本実施例に係るリクライニング装置 105は、略円盤状のベースプレート 1と略円盤状のギヤプレート 2とを相互に向かい合わせると共に、その中心部にセンターシャフト 106が揷通して、当該ベースプレート 1とギヤプレート 2とがセンターシャフト 106 を中心として相対的に回転可能に構成している。また、リクライニング装置 105の円形の外周縁にはリング部材 3が配設され、当該リング部材 3をカシメカ卩ェすることによつて前記ベースプレート 1とギヤプレート 2の外周合わせ部力相互に離間しないように摺接保持される。

[0028] そして、相互に向かい合わせた前記ベースプレート 1とギヤプレート 2との間にはキャビティ（空間） 4が設けられることとなる。このキヤビティ 4内には 2個のロックギヤ 5, 5 と中央のカム 6と 2個の渦巻きばね 7, 7とレバー板 8と力なる公知なロック機構が収容されている。同様に、当該キヤビティ 4内には、本発明の主要な特徴であるメモリー板 9とコイルばね 10等カゝらなる中立位置復帰機構を構成する部材も収容されてヽる

[0029] 前記ベースプレート 1とギヤプレート 2の外面（前記の合わせ面と反対の面）には、複数の円形突起 17、 27が各々形成されており、円形突起 17によってベースプレート 1が下側ブラケット 103に取り付けられ、円形突起 27によってギヤプレート 2が上側ブラケット 104に取り付けられるようになつている。このため、リクライニング装置 105のセンターシャフト 106を中心にベースプレート 1とギヤプレート 2とが相対回転および相対角度が固定されると、下側ブラケット 103と上側ブラケット 104との相対回転位置が調整'固定され、シートクッション 101にシートバック 102の傾斜角度が調整および固定されるようになつている。

[0030] ベースプレート 1の内面（前記のギヤプレート 2との合わせ面）は、同心円状の段差を有する略お椀状となっており、その中心に前記のセンターシャフト 106が揷通される孔 laが設けられている。また、図 3に示すように、当該ベースプレート 1の内面には突部 11と突部 12からなる一対の案内部 50a, 50aがプレスカ卩ェ等によって一体的に形成されている。両案内部 50aは、前記の孔 laに対して対称な位置に設けられていると共に、各突部 11、 12の向かい合う面 l la、 12aは互いに平行に設定されている。そして、両案内部 50a内に収容されたロックギヤ 5, 5が、面 l la、 12aに摺接した状態でベースプレート 1の半径方向に対し摺動可能となっている。

[0031] 前記案内部 50aに収容されるロックギヤ 5は、前記各突部 11、 12の向かい合う面 1 la、 12aに対向すべく一対の平行な側壁を有している。当該一対の側壁どうしで結ばれる一辺の端部（前記案内部 50a内で摺動する半径方向の一方の端部）には外歯 51が形成されており、前記ギヤプレート 2の内歯と嚙合可能となっている。当該ロックギヤ 5における他方の端部（ベースプレート 1の中心方向となる端部）には曲線状に変化した押圧部 5aが形成され、前記カム 6の曲面 (カム面）との当接を可能としている。そして、当該ロックギヤ 5におけるギヤプレート 2と対向する面には、誘導用の突起 5 2がー体に突設されている。

[0032] 前記ベースプレート 1の略中央には、ロックギヤ 5, 5の間に介在するようにカム 6が配設されている。このカム 6は略板状からなり、その中心にセンターシャフト 106が嵌挿される角孔 61を有しており、前記操作レバー 107を乗員が操作することによりセンターシャフト 106と一体に回転することとなる。また、前記カム 6の角孔 61を中心とした回転対称の位置には、一対のカム面 6a, 6aが形成されており、当該カム 6の回転によって、カム面 6a, 6aが前記ロックギヤ 5, 5の押圧部 5a, 5aを押圧することとなる。か力るカム面 6a, 6aの押圧により、ロックギヤ 5, 5がベースプレート 1の半径方向における外側へと移動することとなる。

[0033] そして、当該カム 6には、前記カム面 6a, 6aに隣接して一対のフック係合部 6b, 6b がー体に形成されており、渦巻きばね 7, 7の一方端末が係止されるようになつている。この渦巻きばね 7が前記フック係合部 6bに係止して、る他方の端末である渦巻きばね 7の中心は、ベースプレート 1に一体に形成された半月突起 13に係止されている。尚、この渦巻きばね 7は、前記カム 6をロックギヤ 5が半径方向外方に押す方向（図 3において時計方向）に回転させるように付勢している。また、カム 6には、前記角孔 61を中心にして回転対称の位置に一対の円柱状の突起 62, 62がギヤプレート 2 の方向に突設されており、後述するレバー板 8と一体に回転するように組み付けられる。

[0034] 尚、図 3に示すように、前記ベースプレート 1上に載置されているロックギヤ 5, 5、力ム 6、渦巻きばね 7, 7には、（二点鎖線で示す）円形のレバー板 8が載置されており、更にベースプレート 2によって挟み込まれている。当該レバー板 8は、中央部にセンタ一シャフト 106が揷通される円孔を有し、前記カム 6の円柱状の突起 62, 62がレバー板 8の係合孔 8a, 8aに係合されている。力かる係合により、カム 6とレバー板 8とが一体に動作することとなる。

[0035] 前記レバー板 8には一対のカム孔 81, 81がセンターシャフト 106を中心とした回転対称位置に設けられている。このカム孔 81, 81には前記ロックギヤ 5に設けられた誘導用の突起 52がそれぞれ遊嵌される。そして、レバー板 8の回転によって前記カム孔 81の周縁と突起 52が当接し、突起 52を半径方向中心側に引き込むことによってロックギヤ 5を半径方向における中心側へと移動させることができるようになって、る。従って、センターシャフト 106と連動してカム 6が回転し、当該カム 6の回転によって口ックギヤ 5, 5がベースプレート 1における半径方向に向けて移動することとなる。

[0036] 上述の構成要素は、キヤビティ 4内において軸方向に重ねられて配置される。前記ギヤプレート 2は外形が略円盤状で、その中心部にセンターシャフト 106が挿通される孔 2aが設けられている。また、ベースプレート 1と向かい合わせとなる内面には、内周縁に内歯 21と円弧部 22とが設けられた第一段部 23と、その内側に第二段部 24, 第三段部 25が軸方向で階段状に順次形成された略お椀状を呈している。そして、ギャプレート 2の第一段部 23はベースプレート 1の外形部（外縁内側）に嵌め合わされ、前記のロックギヤ 5, 5の半径方向への摺動に伴って外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21と係合離脱がなされるように設定されて!ヽる。

[0037] そして、操作レバー 107が乗員の操作力も離れている場合には、渦巻きばね 7によつてカム 6およびレバー板 8がー体に回転付勢されており、ロックギヤ 5の外歯 51がギャプレート 2の内歯 21に嚙合され、リクライニング装置 105がロックの状態となっている。この状態で、渦巻きばね 7の付勢力に抗して乗員が操作レバー 107を操作されると、カム 6およびレバー板 8がー体に回転し（図 3において反時計方向に回転）、カム 6によるロックギヤ 5の押圧が解消されると共に、レバー板 8の誘導孔 81によってロックギヤ 5の突起 52が誘導されてロックギヤ 5がセンターシャフト 106の方向に移動される。すると、ロックギヤ 5の外歯 51とギヤプレート 2の内歯 21との嚙合が解除され、リクライニング装置 105がロック状態力調整可能な状態となる。

[0038] なお、上述のロックギヤ 5、カム 6、レバー板 8等によって構成されるロック機構は、公知のロック機構の構成であり、また、そのロックおよびロック解除の動作も公知なものである。また、ロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の円弧部 22に当接する位置にあるときは、リクライニング装置 105がロックすることはなぐこの状態はシートバック 10 2を図 1のロックフリー範囲 bに相当する状態を実現するものである。

[0039] 次に中立位置復帰機構の主要な構成要素であるメモリー板 9とコイルばね 10について説明する。メモリー板 9は、上述の通り略円盤状の板材カもなり、本実施例において当該メモリ一板 9はコイルばね 10によって回転方向に付勢されて、る（図 2参照）。該メモリー板 9は、図 4に示されるように、中央にセンターシャフト 106が回転可能に挿通される円孔 91と、その円孔 91を中心に回転対称位置に配置された一対の略円弧状の長孔 92が設けられている。また、当該メモリー板 9の外周縁には適宜の間隔をおいて 2個の切欠き部 93が設けられており、円孔 91と一方の長孔 92との間には孔 94が穿設されている。この孔 94には、後述の如くコイルばね 10の一端が係止されることとなる。

[0040] 前記メモリー板の長孔 92は、図 4に示されるように、幅広部分 92aと幅狭部分 92b 力もなり、幅広部分 92aの半径方向外側の略円弧状周縁でシートバックが後傾する方向（図示の反時計方向）の一部を中心方向に向力つて張出させてガイド部 92dとし、前記幅狭部分 92bを形成している。また、この長孔 92にはロックギヤ 5の突起 52が遊嵌され、ロックギヤ 5の半径方向の動作を誘導可能となっている。そして、前記切欠き部 93, 93には、ギヤプレート 2の第二段差部 25において中心方向に突設して形成されたストッパー 25aが遊嵌されていることから、メモリー板 9のギヤプレート 2に対する相対回転の範囲が規制されるようになっている。本実例では、シートバックに対してギヤプレート 2が固定されているため、当該シートバックの傾動に伴ってギヤプレート 2が回転する。そのため、前記ガイド部 92dにおける幅広部分 92aはシートバックが後傾する方向に位置することとなる。但し本発明はこれに限定されるものではなぐシートバックに対してベースプレート 1が固定されものとしてもよい。その場合には、前記ガイド部 92dにおける幅広部分 92aはシートバックが前傾する方向に位置することとなる。

[0041] 前記幅広部分 92aは、図 1に示される調整範囲 aに対応ように略同一の角度幅 (長さ）とし、幅狭部分 92bもフリー幅 bに対応して略同一の角度幅 (長さ）としている。そして、前記幅広部分 92aにロックギヤ 5の突起 52が位置するときは、幅広部分 92aの略円弧状周縁には当接しないようになっており、レバー板 8のカム孔 81によってロックギャ 5がギヤプレート 2の半径方向に支障なく移動されるようになっている。また、ロックギヤ 5の突起 52が幅狭部分 92b内に位置するときには、レバー板 8のカム孔 81の位置に関係なぐ前記ガイド部 92dによってロックギヤ 5がギヤプレート 2の半径方向に移動することが阻止され、ロックギヤ 5の外歯 52がギヤプレート 2の内歯 21と嚙合することはない。

[0042] 前記コイルばね 10は、ロックギヤ 5の突起 52がガイド部 92dから外れる方向にメモリ一板 9を回転付勢しているねじりコイルばねであり、図 2に示されるように、センターシャフト 106が揷通可能な中心径であると共にギヤプレート 2の第三段部 25の略中央に形成された凹部 26に収容されている。また、コイルばね 10の一端は前記メモリー板 9に穿設された孔 94に係止され、他端は凹部 26の底部分に設けられた孔 26aに係止されており、図 4に示される状態でメモリー板 9はコイルばね 10によって反時計方向に常時付勢される設定となって、る。

[0043] 続いて、上述の如く構成されたリクライニング装置 105の動作につき図 3を参照して説明する。操作レバー 107が乗員の操作力も離れた状態においては、渦巻きばね 7 , 7によってカム 6およびこれと一体ィ匕されたレバー板 8が時計方向に回転付勢されている。このため、両ロックギヤ 5, 5の押圧部 5a, 5aがカム 6のカム面 6a, 6aに押圧され、ロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21と嚙合している。従って、ベースプレート 1の案内部 50aに半径方向に可動に摺嵌されたロックギヤ 5を介してべ一スプレート 1とギヤプレート 2との相対回転は阻止されている。

[0044] つまり、この状態はロックギヤ 5, 5とカム 6と渦巻きばね 7, 7とレバー板 8等力もなる公知なロック機構によってリクライニング装置 105がロックされ、シートバック 102の傾斜角度が固定されている。また、図 3に示される状態ではロックギヤ 5の外歯 51がギャプレート 2の反時計方向の端部で円弧部 22と接する位置にあり、シートバック 102 が図 1に示す最起立位置 Aに対応するものである。なお、この状態においてはロックギヤ 5の突起 52はレバー板 8のカム孔 81に遊嵌されていると共に、図 4に示されるようにメモリー板 9に形成された長孔 92の幅広部分 92a内に位置する設定となっており、ロックギヤ 5の半径方向への摺動はカム孔 81および長孔 92の何れにも阻止されることがない

[0045] 次に、上記のリクライニング装置 105がロックされた状態で、乗員の操作により操作レバー 107が回転操作（図 1においては時計方向で上方に操作)されると、図 3の状態力渦巻きばね 7, 7の付勢力に抗してカム 6およびこれと一体ィ匕されたレバー板 8 が反時計方向に回転される。すると、カム 6のカム面 6aによる両ロックギヤ 5, 5の押圧部 5aの押圧が解除され、同時にレバー板 8のカム孔 81によってロックギヤ 5の突起 5 2が誘導されてロックギヤ 5がセンターシャフト 106の方向に摺動され、当該ロックギヤ 5の外歯 51とギヤプレート 2の内歯 21との嚙合が解除される。これによつて、リクライユング装置 105のロックが解除され、シートバック 102の傾斜角度を調整することが可能となる。この状態で、シートバック 102を図 1のリクライニング調整範囲 a内に調整して操作レバー 107の操作を解除すれば、再び調整された位置でシートバック 102の傾斜角度が固定される。

[0046] 以上の動作は公知なロック機構によるロックおよび調整機能に関するもので、この状態においては、レバー板 8のカム孔 81を経てメモリー板 9に形成された長孔 92に遊嵌されたロックギヤ 5の突起 52は、常に幅広部分 92a内に位置する設定となっている。このため、メモリー板 9に形成された長孔 92によって両ロックギヤ 5, 5の動作が制限されることはなぐメモリー板 9およびコイルばね 10からなるメモリー機構は上記の動作には何ら関与をしない。

[0047] 次に、本発明の特徴である中立位置復帰機構の動作について説明する。図 1に示す角度範囲 bは、操作レバー 107から手指を離してもシートバック 102がロックされずにアンロックの状態が保持されるロックフリー範囲であり、手指を離した状態で図示 b のロックフリー範囲力もシートバック 102を後傾させると図示 Cの中立位置（初段ロック位置力も所定角度後傾した位置)でシートバック 102が最初にロックされる。

[0048] 図 5乃至図 8は、上記のシートバック 102がロックフリー範囲 bから中立位置 Cに回動してリクライニング装置がロックされるまでのギヤプレート 2、ロックギヤ 5、カム 6、メモリ一板 9の動作を示す図である。尚、説明の便宜上、前述の部品以外は省略してある。また、図 1のシートバック 102の回転方向と対応させるベく左右を逆に示し、いわば図 3を紙面裏側から見た状態で示して、る。

[0049] 図 5は、図 1に示すシートバック 102が、ロックフリー範囲 bの最前端である前倒位置 Bの状態を示している。これは、通常の傾度調整の作動と同様に操作レバー 107を上方に引きロックギヤ 5, 5を半径中心方向に後退させ、シートバック 102を前傾させた状態である。ロックギヤ 5, 5が内歯 21に嚙み合っていない状態でシートバック 102 を前傾させると、シートバック 102に取り付けられているギヤプレート 2がー体に回転し、その第三段部 25の各係止部 25aの一方の側辺 25aaとメモリー板 9の切欠き部 9 3の係止縁 93aが当接した状態でメモリー板 9もギヤプレート 2と一体に回転する。

[0050] そして、メモリー板 9が前傾方向（図示の反時計方向）に回転すると、ロックギヤ 5, 5 の各突起 52, 52は長孔 92, 92の傾斜部 92cによって半径方向中心側に押され幅狭部分 92bに位置することになる。ロックギヤ 5, 5の各突起 52, 52が前記幅狭部分 92bに位置しているときには、操作レバーから手指を離して渦巻きばね 7, 7の付勢力がカム 6を回転しロックギヤ 5, 5を半径方向外方へ押圧しても、前記幅狭部分 92b のガイド部 92dによって突起 52, 52の移動を規制され、シートバック 102はロックされない状態になる。通常、この状態で後席への乗員の乗降が行われる。

[0051] 次に、図 5の状態から当該シートに乗員が着座できるようにするには、該シートのシ一トバック 102を後傾させる必要がある。図 6では、シートバック 102を図 5の状態から戻し始めて、前記切欠き部 93の所定角度範囲 αと前記係止部 25aの所定角度範囲 βの角度差 α— βだけ後傾側に回転した状態を示している。この間においてはシートバック 102及びギヤプレート 2が回転するのみである。何故ならこの段階では、渦巻きばね 7, 7がカム 6を回転させロックギヤ 5, 5を半径方向外方へ押圧し、各突起 52, 52が前記幅狭部分 92bを押圧して生じる摩擦力の方が、メモリー板 9を後傾方向に回転付勢しているコイルばね 10の付勢力よりも大きぐメモリー板 9が図 5の位置で保持されるからである。尚、切欠き部 93の所定角度範囲 ocと前記係止部 25aの所定角度範囲 βの差 a— βの角度分ギヤプレート 2が回転すると、ギヤプレート 2の第二段部 25の係止部 25aの他方の側辺 25abとメモリー板 9の切欠き部 93の係止縁 93bが当接する。

[0052] そして、ギヤプレート 2の第三段部 25の係止部 25aの他方の側辺 25abとメモリー板 9の切欠き部 93の係止縁 93bが当接した状態（図 6)から、更にシートバック 102を後傾させていくと、メモリー板 9はシートバック 102、ギヤプレート 2と一体に回転し、長孔 92のガイド部 92d上をロックギヤ 5, 5の各突起 52, 52が摺動する。図 7に示される口ックギヤ 5の突起 52がメモリー板 9の長孔 92の幅狭部分 92bから幅広部分 92aに切り替わるガイド部 92dの端末に設けられた傾斜部 92cにある状態から、更にシートバック 102が回転 (後傾)すると、長孔 92と突起 52との当接が解除され、ロックギヤ 5は渦卷きばね 7, 7によるカム 6の回転によって半径方向外方へ押し出され、ギヤプレート 2の内歯 21とロックギヤ 5の外歯 51が嚙合いシートバック 102がロックされる。

[0053] そして、図 8に示されるように、長孔 92と突起 52との当接が解除されたことによって、前記突起 52, 52がガイド部 92dを押圧して生じる摩擦力が無くなるので、コイルばね 10の付勢力によりメモリー板 9はシートバックの後傾方向（図示の時計方向）に第三段部 25の係止部 25aの一方の側辺 25aaとメモリー板 9の切欠き部 93の係止縁 93 aが当接するまで回転する。これにより、図 8に示されるシートバック 102の傾倒角度は、シートバック 102を前倒位置 B (図 5に示される状態)から図 6に示される状態までに前記切欠き部 93の所定角度範囲 αと前記係止部 25aの所定角度範囲 |8の角度差 α— j8だけメモリー板 9とギヤプレート 2の回転角度に差が生じ、ロックギヤ 5の突起 52が長孔 92の幅広部分 92aにあってリクライニング装置がロック可能な初段位置よりも _α— βの角度分だけ後傾側に傾いた角度となる。

[0054] 従来のリクライニング装置ではギヤプレート 2の内周に内歯 21が形成されてヽなヽ円弧部 22にロックギヤ 5が乗り上げることでロックフリー範囲を形成していた力メモリ一板 9の長孔 92によってロックギヤ 5の突起 52が半径方向中心側に引き込まれることでロックフリー範囲を形成できるので、本発明のリクライニング装置には前記円弧部 2 2は必ずしも必要な、が、最起立位置 A付近のロックギヤ 5とギヤプレート 2の嚙合ヽを確実にするためにこの円弧部 22を設けると好適である。

[0055] これは、上述のように、前記円弧部 22を設けない場合のロックフリー範囲 bは長孔 9 2によって形成するため、最起立位置 Aでは突起 52のすぐ横に長孔 92の傾斜部 92 cが位置することになる。この傾斜部 92cはメモリー板 9の加工精度やギヤプレート 2 の係止部 25aとメモリー板 9の切欠き部 93の加工精度の積み重ね等で回転方向の位置に誤差が生じるため、図 9に示されるように、最起立位置 A付近では前記傾斜部 92cに突起 52が乗り上げ、ロックが不完全になる恐れがある。

[0056] そこで、従来と同様にギヤプレート 2には円弧部 22を設け、シートバック 102が前傾する際にはロックギヤ 5が前記円弧部 22に乗り上げた後で突起 52が傾斜部 92cに当接するように、ガイド部 92dを突起 52の乗り上げを遅らせる方向（図 9の時計方向）にずらして設けることにより、最起立位置 A付近のロックギヤ 5とギヤプレート 2の嚙合いを確実にすることができる。尚、傾斜部 92cを回転方向にずらした分は、ギヤプレート 2の係止部 25aとメモリー板 9の切欠き部 93の角度の差で復帰する中立位置を調節することで調整ができる。

[0057] 〔実施例 2〕

続いて、図 10乃至図 12を参照して、実施例 2に係るリクライニング装置を説明する。これら図 10乃至図 12は、実施例 1に係る図 2、図 4及び図 9に、それぞれ対応するものである。本実施例は、請求項 3乃至請求項 6に係る発明の実施態様に相当するものであって、実施例 1とは「メモリー板 9」及び「コイルばね 10」の実施形態が相違するものである。以下、特にこれらの相違点について説明する。

[0058] まず、本実施例におけるメモリー板 201は、図 10および図 11に示されるように、センターシャフト 106を中心とした略リング状 (渦巻き状)で、メモリー板 9と同様に、外周縁には適宜の間隔をおいて 2個の切欠き部 201aが設けられている。そして、略リング状の内周縁には、前記ロックギヤ 5の突起 52の当接によってロックギヤ 5が半径方向外方に移動することを規制する略円弧状のガイド部 201bと渦巻きばね 202を係止させる引掛り片 201dが形成されている。

[0059] そして、ロックギヤ 5の突起 52がガイド部 201bが形成されている範囲にあるときには、レバー板 8のカム孔 81の位置に関係なぐロックギヤ 5がギヤプレート 2の半径方向に移動することが阻止され、ロックギヤ 5の外歯 52がギヤプレート 2の内歯 21と嚙合することはない。また、ロックギヤ 5の突起 52がガイド部 201bではない内周縁部 20 lcに位置するときは、その略円弧状周縁には当接しないようになっており、レバー板 8のカム孔 81によってロックギヤ 5がギヤプレート 2の半径方向に支障なく移動されるようになっている。

[0060] 次に、渦巻きばね 202は、渦巻き形状の外側にある端末が巻き込み方向と逆に折り曲げ返され、中心側の端末が巻き込みと同方向に折り曲げられた形状をしており、外側の端末は前記メモリー板 201の引掛り片 201dに係止され、中心側の端末はギャプレート 2の底部分に突設された略円柱状の突起 28に係止されている。前記突起 28は、渦巻きばね 202を係止させるものとは別に渦巻きばね 202の位置がずれないように複数個設けられており、効率良く弾性変形できるようになって!/、る。

[0061] 上述のメモリー板 201および渦巻きばね 202の作動は、メモリー板 9およびコイルばね 10と同様であり説明は省略する力メモリー板 9とコイルばね 10の組み合わせに比べ、メモリー板 201の板厚分のスペースで、メモリー板を付勢するばね部材も設置することができるため、リクライニング装置の軸方向の厚みを減少させることができる。

[0062] 図 12は、請求項 6に係る発明の実施態様を説明する平面図を示し、図 9に対応する平面図である。図 12に示されるガイド部 201bの端部に至る周縁は、センターシャフトを中心としたガイド部の円弧よりも中心方向に張出している。このようにすることで、メモリー板 201がギヤプレート 2に対して回転可能な一定範囲内においてメモリー板 201がギヤプレート 2につられて回転することを防止する。

[0063] これは、メモリー板 201の周縁とギヤプレート 2との摩擦によって、メモリー板 201の切欠き部 201aとギヤプレート 2の係止部 25aが当接しないままメモリー板が回転すると、その分だけロックギヤ 5の外歯 51がギヤプレート 2の内歯 21と嚙合う位置が中立位置力もずれるため、ガイド部を張出させることによって、メモリー板 201の回転に抵抗を与え、ロックギヤ 5の突起 52がガイド部 201bから外れるまでには、メモリー板の切欠き部 201aとギヤプレートの係止部 25aが当接するようにしたものである。

[0064] また、ロックギヤ 5の突起 52が前記ガイド部 201bと接する周縁 52aを、図 12の 2点鎖線で示されるように、前記ガイド部 201bの張出した形状に沿うように、傾斜をつけることによって、ガイド部 201bから突起 52が抜け出す瞬間まで、ガイド部 201bと突起 52の周縁 52aが面接触をすることで、前記メモリー板 201がギヤプレート 2に対して回転可能な一定範囲内においてメモリー板 201がギヤプレート 2につられて回転することを、より確実に防止することができる。

図面の簡単な説明

[0065] [図 1]実施例 1に係るリクライニング装置 105を備えた座席を示す側面図である。

[図 2]図 1に示す X— X部の断面図である。

[図 3]図 2に示す Y1— Y1部における断面図である。

[図 4]図 2に示す Y2—Y2部における断面図である。

[図 5]図 1において、シートバック 102が前倒位置 Bの状態にあるときの、リクライニング装置 105内部における各部材の位置関係を示す図である。

[図 6]図 5の状態力もシートバック 102が後傾される途中の状態にあるときの、リクライニング装置 105内部における各部材の位置関係を示す図である。

[図 7]図 6の状態から更にシートバック 102が後傾され中立位置に復帰固定される直前の状態にあるときの、リクライニング装置 105内部における各部材の位置関係を示す図である。

[図 8]シートバック 102が中立位置に復帰固定された状態にあるときの、リクライニング装置 105内部における各部材の位置関係を示す図である。

[図 9]傾斜部 92cに突起 52が乗り上げた場合の最起立位置付近を示す平面図である。

[図 10]実施例 2に係るリクライニング装置を示すものであって、実施例 1における図 2 に対応する断面図である。

[図 11]実施例 2に係るリクライニング装置を示すものであって、実施例 1における図 4 に対応する断面図である。

[図 12]ガイド部 201bの端部に至る周縁を、センターシャフトを中心としたガイド部の円弧よりも中心方向に張出した実施態様を示する平面図である。符号の説明

1 ベースプレート

2 ギヤプレート

21 内歯

22 円弧部

5 ロックギヤ

51 外歯

52 突起

6 カム

7 渦巻きばね

8 レバー板

9 メモリー板

92 長孔

92a 幅広部分

92b 幅狭部分

92c 傾斜部

92d ガイド部

10 =3ィルばね

201 メモリー板

201a 切欠き部

201b ガイド部

201c 内周縁部

201d 引掛り片

202 渦巻きばね

Claims

請求の範囲

座席のシートクッション又はシートバックの何れかに固定される略円盤状のベースプレートと、

当該ベースプレートに対して回転可能に向かい合わせて組み付けられ、内歯を有する略円盤状のギヤプレートと、

前記ベースプレートに設けた少なくとも一対の突部からなる案内部内において、該ベースプレートにおける半径方向に移動可能に配置され、前記ギヤプレートの内歯と嚙合可能な外歯を有する複数のロックギヤと、

前記ロックギヤの半径方向への移動を制御して、当該ロックギヤをギヤプレートの内歯に嚙合させるカムと、

前記ロックギヤを前記内歯と嚙合させる方向へと前記カムを回転付勢するばねと、前記カムと一体になつて回転するとともに、前記ロックギヤに突設された突起と係合して当該ロックギヤの半径方向内方への移動を制御するレバー板と、

前記ベースプレート及びギヤプレートの略中心に揷通されカムと一体に回転可能なセンターシャフトと、

当該センターシャフトに接続して、前記ばねの付勢力に抗してセンターシャフトを回転駆動させる操作部材と、を備えるリクライニング装置において、

前記ベースプレートとギヤプレートとの間には、前記センターシャフトを中心とした略円盤状力もなるメモリー板と、当該メモリー板を一方向に常時回転付勢するばね部材とを介在させており、

当該メモリー板の円盤内部には、前記ロックギヤの突起との当接によって、ロックギャの半径方向外方への移動を規制する略円弧状の長孔力なるガイド部が穿設されており、

該メモリー板の外周縁上には少なくとも 1箇所の切り欠き部を設け、当該切欠き部内に、前記ギヤプレートに突設した係止部を進入させると共に、該切欠き部の範囲内において当該メモリー板がギヤプレートに対して回転可能であって、

シートバックが前倒位置力最起立位置の範囲にあるときは、前記ロックギヤの突起が前記ガイド部に当接して、該ロックギヤの外歯がギヤプレートの内歯に対する嚙合力解除されるロックフリー範囲を構成し、

シートバックが最起立位置力最後傾位置の範囲にあるときは、前記ロックギヤの突起が前記ガイド部の当接から開放され、該ロックギヤの外歯がギヤプレートの内歯に対して嚙合する調整範囲を構成するものであって、

前記ばね部材は、ロックギヤの突起がガイド部から外れる方向にメモリー板を回転付勢しており、

前記メモリー板のガイド部に前記ロックギヤの突起が当接した状態にぉ、て、シートバックを後傾させた際には、該メモリー板が前記ばね部材の付勢力に抗してベースプレートと共に一体的に回転して、前記ロックギヤの突起が前記ガイド部の当接から開放され、該ロックギヤの外歯がギヤプレートの内歯に対して嚙合することを特徴とするリクライニング装置。

[2] 請求項 1に記載したリクライニング装置にぉ、て、

前記ギヤプレートは、階段状の段部を有する略お椀形状に形成され、開口内周に前記内歯が形成された第一段部と、第一段部よりも円周の半径が小さく前記レバー板の外周縁と摺接する第二段部と、第二段部よりも円周の半径が小さく前記メモリー板の外周縁と摺接する第三段部と、が形成され、前記ばね部材が、メモリー板とギヤプレートとの間に配設されていることを特徴とするリクライニング装置。

[3] 座席のシートクッション又はシートバックの何れかに固定される略円盤状のベースプレートと、

前記ベースプレートとギヤプレートとの間には、前記センターシャフトを中心とした略リング状力なるメモリ一板と、当該メモリ一板を一方向に常時回転付勢するばね部材とを介在させており、

当該メモリー板に係るリングの内周縁部には、前記ロックギヤの突起との当接によつて、ロックギヤの半径方向外方への移動を規制する略円弧状のガイド部が形成されており、

請求項 3に記載のリクライニング装置において、前記ギヤプレートが階段状の段部を有する略お椀形状に形成され、開口内周に前記内歯が形成された第一段部と、第一段部よりも円周の半径が小さく前記レバー板の外周縁と摺接する第二段部と、第二段部よりも円周の半径が小さく前記メモリー板の外周縁と摺接する第三段部と、が形成され、

前記ばね部材は、渦巻きの外側にある端末が巻き込み方向と逆に折り曲げ返され、中心側の端末が巻き込みと同方向に折り曲げられた形状の渦巻きばねで、外側の端末が前記メモリー板の内周縁に突設された鉤型形状の引掛部に係止され、中心側の端末がギヤプレートの底部分に突設された略円柱状の突起に係止されており、前記渦巻きばねが前記第三段部に配置されていることを特徴とするリクライニング装置。

[5] 請求項 1乃至請求項 4の何れかに記載のリクライニング装置において、

前記ギヤプレートには内歯の形成されて、ない円弧部が設けられ、この円弧部は前記内歯よりも山高に形成され、

前記メモリー板に設けられたガイド部の端部には、半径方向外方に向かって傾斜した傾斜部が設けられており、

前記ロックフリー範囲内にシートバックを前倒するとき、ロックギヤの外歯が前記円弧部に乗り上げた後、ロックギヤの突起が前記傾斜部によって半径中心方向に移動させられ、ガイド部に誘導され当接することを特徴とするリクライニング装置。

[6] 請求項 1乃至請求項 5の何れかに記載のリクライニング装置において、

前記ガイド部の端部に至る周縁が、センターシャフトを中心としたガイド部の円弧よりも中心方向に張出して、ることを特徴とするリクライニング装置。