WO2005116156A1

WO2005116156A1 - 粘着シートおよびその製造方法

Info

Publication number: WO2005116156A1
Application number: PCT/JP2005/003022
Authority: WO
Inventors: Kiichiro Katoh; Kazuhiro Tsuda; Osamu Kanazawa
Original assignee: Lintec Corporation
Priority date: 2004-05-31
Filing date: 2005-02-24
Publication date: 2005-12-08
Also published as: US20080014407A1; JP2005343908A; TW200602453A; CN1957053A

Abstract

　少なくとも基材１１と粘着剤層１２とを備えた粘着シートにレーザアブレーション加工を施し、基材１１および粘着剤層１２における孔径が０.１～１２０μｍであり、基材１１の表面における孔径が０.１～４０μｍである貫通孔２を、３０～５０,０００個／１００ｃｍ２の孔密度で形成する。かかる粘着シートにおいては、貫通孔２によって空気溜まりやブリスターを防止または除去することができるが、外観が貫通孔のないものと遜色がない。

Description

明細書

粘着シートおよびその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、空気溜まりゃブリスターを防止または除去することのできる粘着シートおよびその製造方法に関するものである。

背景技術

[0002] 粘着シートを手作業で被着体に貼付する際に、被着体と粘着面との間に空気溜まりができ、粘着シートの外観を損ねてしまうことがある。このような空気溜まりは、特に粘着シートの面積が大き!/、場合に発生し易、。

[0003] 空気溜まりによる粘着シート外観の不具合を解消するために、粘着シートを別の粘着シートに貼り替えることや、粘着シートを一度剥して貼り直すこと、あるいは粘着シートの膨れた部分に針で穴を開けて空気を抜いたりすることが行われている。しかしながら、粘着シートを貼り替える場合には、手間を要するだけでなぐコストアップを招いてしまい、また、粘着シートを貼り直す場合には、粘着シートが破れたり、表面に皺ができたり、粘着性が低下する等の問題が生じることが多い。一方、針で穴を開ける方法は粘着シートの外観を損ねるものである。

[0004] 空気溜まりの発生を防止するために、あら力じめ被着体または粘着面に水をつけて力も貼付する方法があるが、窓に貼るガラス飛散防止フィルム、装飾フィルム、マーキングフィルム等の寸法の大き、粘着シートを貼付する場合には、多くの時間と手間を要している。また。手作業ではなく機械を使用して貼付することにより、空気溜まりの発生を防止する方法があるが、粘着シートの用途または被着体の部位 '形状によつては、機械貼りが適用できないことがある。

[0005] 一方、アクリル榭脂、 ABS榭脂、ポリスチレン榭脂、ポリカーボネート榭脂等の榭脂材料は、加熱により、または加熱によらなくても、ガスを発生することがある力このような榭脂材料カゝらなる被着体に粘着シートを貼付した場合には、被着体力ゝら発生するガスによって粘着シートにブリスター (膨れ）が生じることとなる。

[0006] また、ガスを透過し易、榭脂からなる被着体に粘着シートを貼付した場合、透過したガスが被着体と粘着シートとの間に溜まり、粘着シートの膨れや剥がれが発生することがある。例えば、オートバイのポリエチレン榭脂製のガソリンタンクにマーキングシートを貼付した場合、ガソリンタンク内のガソリンの蒸気がガソリンタンクのポリエチレン榭脂層を透過するようにして揮散し、それによつてマーキングシートに膨れや剥がれが生じ、外観を損なう等の好ましくな、事態を招来することがある。

[0007] 上記のような問題を解決するために、特許文献 1に記載の粘着シートでは、基材ぉよび粘着剤層に対し、刃型および孔型によって打ち抜き加工を施して直径 0. 2-1. Ommの貫通孔を形成し、特許文献 2に記載の粘着シートでは、基材および粘着剤層に対し、加熱針によって穿孔力卩ェを施して直径 0. 05-0. 15mmの貫通孔を形成し、これら貫通孔力空気やガスを外部に抜くことにより、粘着シートの空気溜まりまたはブリスターを防止するようにして!/、る。

特許文献 1：特開平 2-107682号公報

特許文献 2：実開平 4-100235号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] し力しながら、上記粘着シートにおいては、貫通孔が肉眼で見えるため、粘着シートの外観は必ずしも良好なものではない。特に、特許文献 2に記載の粘着シートのように加熱針を使用して貫通孔を形成した場合には、基材が溶融して盛り上がった部分が粘着シートの外観を損ねてしまう。

[0009] また、上記粘着シートにおいては、被着体に貼付した後に、粘着シートに水やガソリン等の液体が付着すると、それらの液体が貫通孔の中に入り込み、貫通孔部分 (貫通孔の周辺部）が膨らむこと等によって粘着シートの外観を損ねるという問題があつた。

[0010] 本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、貫通孔によって空気溜まりゃブリスターを防止または除去することができるが、外観が貫通孔のないものと遜色のなヽ粘着シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011] 上記目的を達成するために、第 1に本発明は、少なくとも基材と粘着剤層とを備え、一方の面から他方の面に貫通する貫通孔が複数形成されている粘着シートであって

、前記基材および粘着剤層における前記貫通孔の孔径は 0.1— 120 /z mであり、前記基材の表面における前記貫通孔の孔径は 0.1— 40 mであり、前記貫通孔の孔密度は 30— 50,000個 ZlOOcm²であり、前記貫通孔はレーザアブレーシヨンカロェによって形成されてなることを特徴とする粘着シート提供する (発明 1)。

[0012] なお、本明細書において、「シート」にはフィルムの概念、「フィルム」にはシートの概念が含まれるものとする。

[0013] 上記発明に係る粘着シート (発明 1)においては、被着体と粘着面との間の空気は貫通孔力粘着シート表面の外側に抜けるため、被着体に貼付する際に空気を巻き込み難ぐ空気溜まりができることを防止することができる。仮に空気を巻き込んで空気溜まりができたとしても、その空気溜まり部または空気溜まり部を含んだ空気溜まり部周辺部を再圧着することにより、空気が貫通孔力粘着シート表面の外側に抜けて、空気溜まりが消失する。また、被着体に貼付した後に被着体力ゝらガスが発生したとしても、ガスは貫通孔力粘着シート表面の外側に抜けるため、ブリスターが生じることを防止することができる。

[0014] また、レーザアブレーシヨン力！]ェによって形成された貫通孔は、その周縁にいわゆるドロスといわれる溶融物が付着したり、粘着シート表面または内部で熱変形が生じたりしないため形状が整っており、基材の表面における孔径カ 0 μ m以下であることにより、貫通孔は基材表面にて肉眼では見えず、外観が貫通孔のない粘着シートと変わらないものとなる。このことは基材の性質によって左右されるものではなぐ通常貫通孔の見え易い高光沢な基材、隠蔽率が高くない基材、または明度が高い基材であっても、貫通孔は基材表面にて肉眼では見えない。

[0015] また、上記粘着シートにおいては、被着体に貼付した後に、粘着シートに水やガソリン等の液体が付着した場合であっても、それらの液体が貫通孔の中に入り込んで貫通孔部分 (貫通孔の周辺部）が膨らむこと等が防止されるため、粘着シートの外観が良好に維持される。

[0016] 上記発明（発明 1)において、前記貫通孔の孔径は、粘着シート裏面力粘着シート表面にかけて漸次小さくなつて、ることが好ま、 (発明 2)。このように貫通孔の孔径が変化することにより、粘着シートの表面にて貫通孔がより見え難くなり、粘着シートの外観がさらに良いものとなる。

[0017] 第 2に本発明は、少なくとも基材と粘着剤層とを備えた粘着シートにレーザアブレ一シヨン力卩ェを施し、前記基材および粘着剤層における孔径が 0.1— 120 mであり、前記基材の表面における孔径が 0.1— 40 μ mである貫通孔を、 30— 50,000個 Z1 00cm²の孔密度で形成することを特徴とする粘着シートの製造方法を提供する (発明 3)。

[0018] 上記発明（発明 3)によれば、ドロスの付着や熱変形のな!、、形状の整った貫通孔を形成することができ、したがって形成される貫通孔は基材表面にて肉眼では見えず、その結果、外観が貫通孔のない粘着シートと変わらない粘着シートが得られる。また、得られた粘着シートにおいては、被着体に貼付した後に、粘着シートに水ゃガソリン等の液体が付着した場合であっても、それらの液体が貫通孔の中に入り込んで貫通孔部分 (貫通孔の周辺部）が膨らむこと等が防止されるため、粘着シートの外観が良好に維持される。

[0019] 上記発明（発明 3)において、前記レーザアブレーシヨンカ卩ェは、波長が 150— 352 nmであり、パルス幅が 2— 300nsであるレーザ光（発明 4)もしくはエキシマレーザ（発明 5)、または波長が 150— 900nmであり、パルス幅が 10— 900fsであるレーザ光 (発明 6)もしくはフェムト秒レーザ (発明 7)を使用して行うことができる。

[0020] 上記発明（発明 3— 7)においては、前記レーザアブレーシヨンカ卩ェを、粘着シート裏面側から施すことが好ましい (発明 8)。ここで、「粘着シート裏面」とは、粘着シートの表面と反対側の面をいい、剥離材が最下層に存在する場合には剥離材の下面、剥離材が存在せずに粘着剤層が露出している場合には粘着剤層の粘着面が該当する。

[0021] レーザアブレーシヨン加工によって貫通孔を形成する場合、貫通孔には先細りのテーパがっくことが多いため、レーザアブレーシヨン力卩ェを粘着シート裏面側力施すことにより、貫通孔の孔径は粘着シート裏面側よりも粘着シート表面側の方が小さくなり、したがって、粘着シート表面にて貫通孔がより見え難くなり、粘着シートの外観がさらに良いものとなる。発明の効果

[0022] 本発明によれば、貫通孔によって空気溜まりゃブリスターを防止または除去することができる力基材表面において貫通孔が肉眼では見えない粘着シートが提供される。この粘着シートは、基材の性質に依存することなぐ外観が貫通孔のないものと変わらず、極めて良好な外観を有する。また、この粘着シートは、貼付後、液体の付着する環境下においても外観を良好に維持することができる。

図面の簡単な説明

[0023] [図 1]本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。

[図 2]本発明の一実施形態に係る粘着シートの部分拡大断面図である。

[図 3]本発明の一実施形態に係る粘着シートの製造方法の一例を示す断面図である符号の説明

[0024] 1…粘着シート

11…基材

12…粘着剤層

13…剥離材

1 A…粘着シート表面

1B…粘着面

2…貫通孔

発明を実施するための最良の形態

[0025] 以下、本発明の実施形態について説明する。

〔粘着シート〕

図 1は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。

[0026] 図 1に示すように、本実施形態に係る粘着シート 1は、基材 11と、粘着剤層 12と、剥離材 13とを積層してなるものである。ただし、剥離材 13は、粘着シート 1の使用時に剥離されるものである。

[0027] この粘着シート 1においては、基材 11および粘着剤層 12を貫通し、粘着シート表面 1Aから粘着面 IBに至る貫通孔 2が複数形成されており、この貫通孔 2はレーザァブレーシヨンカ卩ェによって形成されたものである。レーザアブレーシヨン加工の詳細については後述する。

[0028] 基材 11の材料としては、レーザアブレーシヨンカ卩ェによって上記貫通孔 2が形成され得る材料であれば特に限定されるものではなぐ例えば、榭脂フィルム、金属フィルム、金属を蒸着させた榭脂フィルム、紙、それらの積層体等が挙げられる。それらの材料は、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含んだものであってもよい。

[0029] なお、上記材料の表面には、例えば、印刷、印字、塗料の塗布、転写シートからの転写、蒸着、スパッタリング等の方法による装飾層が形成されていてもよいし、かかる装飾層を形成するための易接着コート、あるいはダロス調整用コート等のアンダーコート層が形成されていてもよいし、ハードコート、汚染防止コート、表面粗さおよび鏡面光沢度調整用コート等のトップコート層が形成されていてもよい。また、それら装飾層、アンダーコート層またはトップコート層は、上記材料の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。

[0030] 榭脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビ- ル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン酢酸ビュル共重合体、エチレン (メタ)アクリル酸共重合体、エチレン (メタ)アクリル酸エステル共重合体、 ABS榭脂、アイオノマー榭脂；ポリオレフイン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビュル、ポリエステル等の成分を含む熱可塑性エラストマ一などの榭脂からなるフイルム、発泡フィルム、またはそれらの積層フィルム等を使用することができる。榭脂フイルムは、市販のものを使用してもよいし、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものを使用してもよい。また、紙としては、例えば、上質紙、ダラシン紙、コート紙、ラミネート紙等を使用することができる。

[0031] 上記工程材料としては、特に限定されるものではなぐ例えば、各種紙、またはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の榭脂フィルムを、シリコーン系、ポリエステル系、アクリル系、アルキド系、ウレタン系等の剥離剤または合成樹脂で剥離処理したものを使用することができる。工程材料の厚さは、通常 10— 200 m 程度であり、好ましくは 25— 150 μ m程度である。

[0032] 本実施形態における基材 11の光沢 (表面粗さ）、隠蔽率および明度の程度は、特に限定されるものではなぐ通常貫通孔の見え易い、高光沢なもの（例えば、表面粗さ（Ra)が 0. 15 m未満であるもの、または鏡面光沢度 Gs (60° )が 80%以上であるもの）、隠蔽率が高くないもの (例えば、隠蔽率が 90%未満であるもの）、または明度が高!、もの（例えば、 L * a * b *表色系における彩度（C * )が 60以下の場合には明度 (L * )が 60を超え、彩度 (C * )が 60を超える場合には明度 (L * )が 85を超えるもの）であってもよい。

[0033] なお、表面粗さ (Ra：算術平均粗さ）は、 JIS B0601に準拠する。鏡面光沢度 Gs ( 60° )は、 JIS Z8741に準拠する。 L *、 a *、 b *および C *は、 JIS Z8729に準拠し、 C *と a *および b *との関係は、 C * = (a * ² + b * ²) ^1/2で表される。隠蔽率は、 JIS K5400に準拠する。

[0034] 基材 11の厚さは、通常は 1一 500 /ζ πι、好ましくは 3— 300 m程度である力粘着シート 1の用途に応じて適宜変更することができる。

[0035] 粘着剤層 12を構成する粘着剤の種類としては、レーザアブレーシヨン加工によって上記貫通孔 2が形成され得る材料であれば特に限定されるものではなぐアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ゴム系、シリコーン系等のいずれであってもよい。また、粘着剤はエマルシヨン型、溶剤型または無溶剤型のいずれでもよぐ架橋タイプまたは非架橋タイプの、ずれであってもよ!/、。

[0036] 粘着剤層 12の厚さは、通常は 1一 300 /ζ πι、好ましくは 5— 100 m程度であるが、粘着シート 1の用途に応じて適宜変更することができる。

[0037] 剥離材 13の材料としては、特に限定されるものではなぐ例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の榭脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、ダラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有力ルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。 [0038] 剥離材 13の厚さは、通常 10— 250 μ m程度であり、好ましくは 20— 200 μ m程度である。また、剥離材 13における剥離剤の厚さは、通常 0.05— 5 mであり、好ましくは 0.1— 3 /z mである。

[0039] 本実施形態において、貫通孔 2の基材 11および粘着剤層 12における孔径は 0.1 一 120 /ζ πι、好ましくは 1一 100 mであり、かつ、基材 11の表面における孔径は 0. 1一 40 μ m、好ましくは 1一 38 μ mである。

[0040] 貫通孔 2の孔径が上記条件を満たすことにより、貫通孔 2から空気またはガスが抜け易く、かつ、粘着シート表面 1Aにて貫通孔 2が肉眼では見えないものとなる。特に、本貫通孔 2はレーザアブレーシヨンカ卩ェによって形成され、貫通孔 2の周縁にいわゆるドロスといわれる溶融物が付着したり、粘着シート 1の表面または内部で熱変形が生じたりせずに、貫通孔 2の形状は整ったものとなるため、仮に基材 11が高光沢なもの、隠蔽率が高くないもの、または明度が高いものであっても、貫通孔 2の孔径が上記条件を満たせば、貫通孔 2は肉眼では見えな、ものとなる。

[0041] 貫通孔 2の孔径は、粘着シート 1の厚さ方向に一定であってもよいし、粘着シート 1 の厚さ方向に変化して、てもよ、が、貫通孔 2の孔径が粘着シート 1の厚さ方向に変化する場合は、図 2に示すように、貫通孔 2の孔径は粘着面 1B力粘着シート表面 1 Aにかけて漸次小さくなるのが好ま、。このように貫通孔 2の孔径が変化することにより、粘着シート表面 1Aにて貫通孔 2がより見え難いものとなる。

[0042] 貫通孔 2の孔密度は、 30— 50,000個 ZlOOcm²であり、好ましくは 100— 10,000 個 ZlOOcm²である。貫通孔 2の孔密度が 30個 ZlOOcm²未満であると、空気またはガスが抜け難ぐ貫通孔 2の孔密度が 50,000個 ZlOOcm²を超えると、粘着シート 1の機械的強度が低下する。

[0043] なお、本実施形態に係る粘着シート 1における貫通孔 2は、基材 11および粘着剤層 12のみを貫通するものである力剥離材 13をも貫通して、てもよ、。

[0044] また、本実施形態に係る粘着シート 1は剥離材 13を備えたものであるが、本発明はこれに限定されるものではなぐ剥離材 13はなくてもよい。さらに、本実施形態に係る粘着シート 1の大きさ、形状等は特に限定されるものではない。例えば、粘着シート 1 は、基材 11および粘着剤層 12のみ力もなるテープ状のもの (粘着テープ)であって、ロール状に巻き取られて卷取体となり得るものであってもよい。

[0045] 〔粘着シートの製造〕

上記実施形態に係る粘着シート 1の製造方法の一例を図 3 (a)一 (d)を参照して説明する。

[0046] 本製造方法においては、最初に図 3 (a)—（b)に示すように、剥離材 13の剥離処理面に、粘着剤層 12を形成する。粘着剤層 12を形成するには、粘着剤層 12を構成する粘着剤と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、ロールコーター、ナィフコ■ ~"タ' ~"、口■ ~"ノレナイフコ^ ~"タ' ~"、エアナイフコ^ ~"タ' ~"、ダイコ¹ ~~タ' ~" 八 ~"コ¹ ~"タ一、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって剥離材 13の剥離処理面に塗布して乾燥させればよ、。

[0047] 次に、図 3 (c)に示すように、粘着剤層 12の表面に基材 11を圧着し、基材 11と粘着剤層 12と剥離材 13とからなる積層体とする。そして、図 3 (d)に示すように、粘着剤層 12から剥離材 13を剥離した後、図 3 (e)に示すように、基材 11と粘着剤層 12とからなる積層体にレーザアブレーシヨン加工を施し、貫通孔 2を形成する。最後に、図 3 (f)に示すように、再度粘着剤層 12に剥離材 13を貼り付ける。

[0048] レーザ加工の中でも、炭酸ガス (CO )レーザ、 YAGレーザ等によるレーザ加工は

2

、いわゆるレーザ熱加工であって、光エネルギーを熱エネルギーに変換してワークに孔を形成するものである。したがって、粘着シートに対してこのようなレーザ熱力卩ェを施すと、貫通孔 2の周縁にドロスが付着したり、粘着シートの表面または内部で熱変形が生じたりすることがあり、貫通孔 2またはその周縁部が見え易いものとなってしまう

[0049] これに対し、レーザアブレーシヨンカ卩ェは、ワークの材料の吸収波長と、レーザの波長とがー致したときに、液相状態を経ることなくワーク材料を昇華させて、ワークに孔を形成するものである。通常の有機物は紫外域に強い吸収波長を有するため、有機材料力なるワークに対し、その吸収波長に対応する波長を有するレーザを照射すると、一瞬のうちにレーザ照射部分において有機材料の構成分子内の化学結合が破壊されて、その部分が分解飛散し、ワークに孔が形成される。

[0050] したがって、レーザアブレーシヨン加工によれば、貫通孔 2の周縁にドロスが付着したり、粘着シート 1の表面または内部で熱変形が生じたりせずに、貫通孔 2の形状は整ったものとなり、仮に基材 11が高光沢なもの、隠蔽率が高くないもの、または明度が高いものであっても、貫通孔 2は肉眼では見え難いものとなる。

[0051] レーザアブレーシヨン加工は、エキシマレーザまたはフェムト秒レーザを使用して行うのが好ましい。なお、エキシマレーザには、紫外フェムト秒レーザも含まれるものとする。レーザアブレーシヨン加工は、具体的には、波長が 150— 352nmであり、パルス幅が 2— 300nsであるレーザ光、または波長が 150— 900nmであり、パノレス幅が 1 0— 900fsであるレーザ光を使用して行うのが好ましい。

[0052] エキシマレーザとしては、例えば、発振波長 308nmの XeClエキシマレーザ、発振波長 248nmの KrFエキシマレーザ等が挙げられ、フェムト秒レーザとしては、例えば、 800nm付近の中心波長で発振する Ti： Sapphireレーザ等が挙げられる。

[0053] 本製造方法では、粘着剤層 12側から粘着剤層 12に対して直接レーザを照射する。このように粘着剤層 12側からレーザアブレーシヨン力卩ェを施すことにより、図 2に示すように貫通孔 2にテーパがついたとしても、貫通孔 2の孔径は剥離材 13側よりも基材 11側の方が小さくなり、貫通孔 2の基材 11の表面における孔径を前述した範囲内 (0.1-40 ^ m)に制御し易くなる。

[0054] また、剥離材 13を一旦剥離して、剥離材 13を介在させずに粘着剤層 12に対して直接レーザを照射することにより、レーザの照射時間を短縮すること、またはレーザの出力エネルギーを小さくすることができ、貫通孔 2を高効率で形成することができる。

[0055] 本製造方法にお!ヽては、基材 11として、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものを使用してもよぐこの場合、基材 11の表面には工程材料が積層されていることとなる。また、本製造方法においては、レーザアブレーシヨン力卩ェを行う前、任意の段階で、基材 (工程材料が積層されていない基材） 11の表面に剥離可能な保護シートを積層してもよい。保護シートとしては、例えば、基材と再剥離性粘着剤層と力もなる公知の粘着保護シート等を使用することができる。

[0056] さらに、本製造方法では、粘着剤層 12を剥離材 13上に形成し、形成された粘着剤層 12と基材 11とを貼り合わせたが、本発明はこれに限定されるものではなぐ粘着剤層 12を基材 11上に直接形成してもよい。また、基材 11または上記工程材料もしくは保護シート側からレーザアブレーシヨン力卩ェを施してもよい。

[0057] 〔粘着シートの使用〕

粘着シート 1を被着体に貼付する際には、剥離材 13を粘着剤層 12から剥離し、露出した粘着剤層 12の粘着面 1Bを被着体に密着させるようにして、粘着シート 1を被着体に押圧する。このとき、被着体と粘着剤層 12の粘着面 1Bとの間の空気は、粘着シート 1に形成された貫通孔 2から粘着シート表面 1Aの外側に抜けるため、被着体と粘着面 1Bとの間に空気が巻き込まれ難ぐ空気溜まりができることが防止される。仮に空気が巻き込まれて空気溜まりができたとしても、その空気溜まり部または空気溜まり部を含んだ空気溜まり部周辺部を再圧着することにより、空気が貫通孔 2から粘着シート表面 1Aの外側に抜けて、空気溜まりが消失する。このような空気溜まりの除去は、粘着シート 1の貼付力長時間経過した後でも可能である。

[0058] また、粘着シート 1を被着体に貼付した後に、被着体力もガスが発生したとしても、またはガスが被着体を透過したとしても、そのガスは粘着シート 1に形成された貫通孔 2から粘着シート表面 1Aの外側に抜けるため、粘着シート 1にブリスターが生じることが防止される。

[0059] 以上の通り、粘着シート 1においては、貫通孔 2によって空気溜まりゃブリスターを防止または除去することができるが、貫通孔 2は肉眼では見えないため、粘着シート 1 の外観は貫通孔 2のな、ものと何ら変わらず、極めて良好である。

[0060] また、上記粘着シート 1にお、ては、被着体に貼付した粘着シート 1に液体が付着した場合であっても、貫通孔 2による悪影響はなぐ粘着シート 1の外観は良好に維持される。

実施例

[0061] 以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。

[0062] 〔実施例 1〕

上質紙の両面をポリエチレン榭脂でラミネートし、片面にシリコーン系剥離剤を塗布した剥離材（リンテック社製， FPM-11,厚さ： 175 m)の剥離処理面に、アクリル系溶剤型粘着剤（リンテック社製， PK)の塗布剤を乾燥後の厚さが 30 μ mになるようにナイフコーターによって塗布し、 90°Cで 1分間乾燥させた。このようにして形成した粘着剤層に、表面粗さ（Ra)が 0. 266 mであり、鏡面光沢度 Gs (60° )が 37. 2%であり、 L * a * b *表色系における彩度（C * )が 0. 34、明度（L * )が 26. 56であり、隠蔽率が 99. 9%であるポリ塩ィ匕ビュル榭脂からなる黒色不透明の基材 (厚さ： 100 m)を圧着し、 3層構造の積層体を得た。

[0063] なお、表面粗さ（Ra)の測定は、 JIS B0601に従い、カットオフ値え c = 0. 8mm、評価長さ ln= 10mmとし、測定装置としてミツトヨ社製 SV— 3000S4を使用して行つた。鏡面光沢度 Gs (60° )は、 JIS Z8741に従、、測定装置として日本電色工業社製の光沢計 VG2000を使用して行った。彩度 (C * )および明度 (L * )の測定は、 JI S Z8729に従い、測定装置として同時測定方式分光式色差計（日本電色工業社製 , SQ— 2000)、試料押免台として白色板（L水 = 92. 47, a水 = 0. 61 , b水 = 2. 90 )、光源として C光源 2° 視野 (CZ2)を用い、反射測定法により行った。隠蔽率は、 JI S K5400に従い、測定装置として datacolor international (DCI)社製の SPEC TRAFLASH SF600 PLUS CTC (分光光度計）を使用して行った。これらの測定方法は、以下同じである。

[0064] 上記積層体力剥離材を剥し、粘着剤層側力積層体に対して下記条件のエキシマレーザによるレーザアブレーシヨン加工を施して、基材表面における孔径が約 30 μ m、粘着面における孔径が約 60 mの貫通孔 (粘着面での孔径が最大径となっている）を 2,500個 ZlOOcm²の孔密度で形成した。そして、再度粘着剤層に上記剥離材を圧着し、これを粘着シートとした。

[0065] エキシマレーザによるレーザアブレーシヨン加工の条件

発振媒質: KrF

発振波長： 248nm

パルス幅：16ns

周波数： 197Hz

[0066] 〔実施例 2〕

片面をアルキド系剥離剤で剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム (厚さ： 50 μ m)を工程材料として使用し、キャスティング法により、表面粗さ（Ra)が 0. 031 /zmであり、鏡面光沢度 Gs(60° )が 91. 2%であり、 L*a*b*表色系における彩度（C*)が 0. 21、明度 (L*)が 24. 69であり、隠蔽率が 99. 7%であるポリウレタン榭脂からなる黒色不透明の基材 (厚さ： 100 μ m)を形成した。

[0067] 一方、実施例 1と同様にして剥離材上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層と上記工程材料付きの基材の工程材料がなヽ面とが密着するように、両者を圧着して 4層構造の積層体を得た。

[0068] 得られた積層体から剥離材を剥し、粘着剤層側から積層体に対して実施例 1と同様にしてレーザアブレーシヨン力卩ェを施し、基材表面における孔径が約 25 μ m、粘着面における孔径が約 55 mの貫通孔 (粘着面での孔径が最大径となっている）を 2,500個 ZlOOcm²の孔密度で形成した。そして、再度粘着剤層に上記剥離材を圧着し、これを粘着シートとした。

[0069] 〔実施例 3〕

基材として、表面粗さ（Ra)が 0. 373 μ mであり、鏡面光沢度 Gs (60° )が 24. 8% であり、 L*a*b*表色系における彩度（C*)が 0. 34、明度（L*)が 27. 39であり、隠蔽率が 99. 3%であり、表面に無色透明のアクリルコート (厚さ：5 m)を有するォレフィン系熱可塑性エラストマ一力もなる黒色不透明の基材 (厚さ： 100 μ m)を使用し、貫通孔の基材表面における孔径を約 25 m、粘着面における孔径を約 65 mとする以外、実施例 1と同様にして粘着シートを作製した。

[0070] 〔実施例 4〕

基材として、表面粗さ（Ra)が 0. 035 μ mであり、鏡面光沢度 Gs (60° )が 80.4% であり、隠蔽率が 8. 0%であるポリエチレンテレフタレートからなる無色透明の基材（厚さ： 25 m)を使用し、貫通孔の基材表面における孔径を約 15 m、粘着面における孔径を約 45 μ mとする以外、実施例 1と同様にして粘着シートを作製した。

[0071] 〔実施例 5〕

表面粗さ（Ra)が 0. 216 mであり、鏡面光沢度 Gs (60° )が 28. 5%であり、 L* a *b*表色系における彩度（C*)が 2. 08、明度（L*)が 65. 21であり、隠蔽率が 97. 3%であるポリ塩ィ匕ビニル榭脂からなる灰色不透明の基材 (厚さ： 55 m)を実施例 2と同様にして工程材料上に形成した。 [0072] 上記のようにして得られた工程材料付きの基材を使用し、貫通孔の粘着面における孔径を約 60 mとする以外、実施例 2と同様にして粘着シートを作製した。

[0073] 〔実施例 6〕

実施例 2と同様にして 4層構造の積層体を作製し、得られた積層体力ゝら剥離材を剥し、粘着剤層側力も積層体に対して下記条件のフェムト秒レーザによるレーザアブレーシヨン加工を施し、基材表面における孔径が約 10 m、粘着面における孔径が約 30 μ mの貫通孔 (粘着面での孔径が最大径となって、る）を 2,500個 ZlOOcm²の孔密度で形成した。そして、再度粘着剤層に上記剥離材を圧着し、これを粘着シートとした。

[0074] フェムト秒レーザによるレーザアブレーシヨン加工の条件

発振媒質: Ti: Sapphire

発振波長： 800nm

パルス幅：150fs

周波数： 1kHz

[0075] 〔比較例 1〕

エキシマレーザによるレーザアブレーシヨン加工の替わりに、下記条件の COレー

2 ザによるレーザ熱力卩ェを行い、貫通孔の基材表面における孔径を約 35 m、粘着面における孔径を約 90 mとする以外、実施例 2と同様にして粘着シートを作製した

[0076] COレーザによるレーザ熱加工の条件

2

発振媒質: CO

2

発振波長： 9.

ノルス幅：40 s

周波数： 1kHz

[0077] 〔比較例 2〕

エキシマレーザによるレーザアブレーシヨン力卩ェの替わりに、 COレーザによるレー

2

ザ熱加工 (条件は比較例 1と同じ)を行い、貫通孔の基材表面における孔径を約 35 μ m、粘着面における孔径を約 85 μ mとする以外、実施例 4と同様にして粘着シートを作製した。

[0078] 〔試験例〕

実施例および比較例で得られた粘着シートについて、以下のようにして空気溜まり消失性試験および孔可視性検査を行った。それらの結果を表 1に示す。

[0079] 空気溜まり消失性試験： 50mm X 50mmに裁断し、工程材料のあるものは工程材料を剥し、剥離材を剥した粘着シートを、直径 15mm、最大深さ lmmの部分球面形の窪みを有するメラミン塗装板に貼付し (窪みと粘着シートとの間には空気溜りが存在する）、その粘着シートをスキージにより圧着し、空気溜まりが除去できる力否かを確認した。その結果、粘着シートがメラミン塗装板の凹部に追従して空気溜まりが除去されたものを〇、粘着シートがメラミン塗装板の凹部に追従せずに空気溜まりが除去されなかったもの (空気溜まりが小さくても残存したものを含む)を Xで表す。

[0080] 孔可視性検査： 30mm X 30mmに裁断し、工程材料のあるものは工程材料を剥し、剥離材を剥した粘着シートを白色のメラミン塗装板に貼り、室内蛍光灯の下、肉眼によって、粘着シート表面において貫通孔の存在が認識できるか否かについて検査した。なお、目力も粘着シートまでの距離は約 30cmとし、粘着シートを見る角度は種々変えた。その結果、貫通孔の存在が認識できなカゝつたものを〇、貫通孔の存在が認識できたものを Xで表す。

[0081] [表 1]

空気溜まり

孔可視性検査

消失性試験

実施例 1 〇〇実施例 2 〇〇実施例 3 〇〇実施例 4 〇〇実施例 5 〇〇実施例 6 〇〇比較例 1 〇 X 比較例 2 〇 X

[0082] レーザアブレーシヨン加工によって貫通孔を形成した粘着シート（実施例 1一 6)においては、ドロスや熱変形等がなぐ貫通孔の存在が認識できず、したがって外観は極めて良好であった。一方、レーザ熱カ卩ェによって貫通孔を形成した粘着シート（比較例 1一 2)においては、ドロス、熱変形、その他の熱影響により貫通孔の存在が認識でき、外観が損なわれた。

産業上の利用可能性

[0083] 本発明は、一般的に粘着シートに空気溜まりゃブリスターが生じやすい場合、例えば粘着シートの面積が大きい場合や、被着体力ガスが発生する場合等であって、貫通孔が見えず外観が極めて良好であることが要求される粘着シートに好ましく用いることがでさる。

Claims

請求の範囲

[1] 少なくとも基材と粘着剤層とを備え、一方の面力他方の面に貫通する貫通孔が複数形成されてヽる粘着シートであって、

前記基材および粘着剤層における前記貫通孔の孔径は 0.1— 120 mであり、前記基材の表面における前記貫通孔の孔径は 0.1— 40 mであり、

前記貫通孔の孔密度は 30— 50,000個 ZlOOcm²であり、

前記貫通孔はレーザアブレーシヨンカ卩ェによって形成されてなることを特徴とする粘着シート。

[2] 前記貫通孔の孔径は、粘着シート裏面力も粘着シート表面にかけて漸次小さくなつて、ることを特徴とする請求項 1に記載の粘着シート。

[3] 少なくとも基材と粘着剤層とを備えた粘着シートにレーザアブレーシヨン加工を施し

、前記基材および粘着剤層における孔径が 0.1— 120 mであり、前記基材の表面における孔径が 0.1— 40 μ mである貫通孔を、 30— 50,000個 ZlOOcm²の孔密度で形成することを特徴とする粘着シートの製造方法。

[4] 前記レーザアブレーシヨン力卩ェに使用するレーザ光の波長が 150— 352nmであり

、ノルス幅が 2— 300nsであることを特徴とする請求項 3に記載の粘着シートの製造方法。

[5] 前記レーザアブレーシヨンカ卩ェを、エキシマレーザを使用して行うことを特徴とする請求項 3に記載の粘着シートの製造方法。

[6] 前記レーザアブレーシヨン力卩ェに使用するレーザ光の波長が 150— 900nmであり

、ノルス幅が 10— 900fsであることを特徴とする請求項 3に記載の粘着シートの製造方法。

[7] 前記レーザアブレーシヨンカ卩ェを、フェムト秒レーザを使用して行うことを特徴とする請求項 3に記載の粘着シートの製造方法。

[8] 前記レーザアブレーシヨン加工を、粘着シート裏面側から施すことを特徴とする請求項 3— 7のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。