WO2004113092A1 - 昇華性熱転写記録媒体及びこれを用いた熱転写記録方法 - Google Patents

Abstract

　基材シートの片面に色相の異なる複数の熱転写染料層が面順次に設けられてなる昇華性熱転写記録媒体である。熱転写染料層は、重量平均分子量Ｍｗが１０００００以下、好ましくは６００００以下の樹脂材料をメインのバインダー樹脂として含有するとともに、ブロック共重合型のシリコーン樹脂を含有する。シリコーン樹脂に含まれるＳｉ量は５～３０重量％であり、樹脂材料とシリコーン樹脂の配合比率は、９９：１～７０：３０である。これにより、地汚れ等を解消し、印加した熱量と発色濃度の相関が高い精度の良い階調印字を実現することができる。

Description

明細書 昇華性熱転写記録媒体及びこれを用いた熱転写記録方法 技術分野 本発明は、 昇華型の熱転写プリン夕等においてインクリボンとして用いられる 昇華性熱転写記録媒体に関するものであり、 特に、 熱転写染料層の樹脂組成の改 良に関する。 さらには、 かかる昇華性熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方法に 関する。 背景技術 昇華性染料を用いた熱転写記録方式においては、 極めて短時間の加熱によって 多数の色ドッ トを被転写体に転写させ、 この多色の色ドッ トにより原稿のフル力 ラ一画像を再現している。

このような熱転写記録方式では、 ポリエステルフィルム等の基材フィルムの片 面に熱移行性染料 （昇華性染料） を含む熱転写染料層が形成された熱転写記録媒 体をインクリポンとして用い、 その熱転写染料層を印画紙に重ね合わせ、 熱転写 記録媒体の背面からサーマルヘッ ド等により画像情報に応じて加熱することによ つて熱転写染料層中の昇華性染料を印画紙に移行させ、 所望の染料画像を形成し ている。 フルカラ一画像を形成する場合には、 熱転写記録媒体の片面に面順次で 形成されたイエロ一、 マゼン夕及びシアンの 3色の熱転写染料層を、 順次印画紙 に重ねて熱転写操作を行う。 この 3色に加えてブラック色の熱転写染料層を転写 させ、 より高濃度の黒色画像を形成することも行われている。

この種の熱転写記録媒体では、 印字物が高濃度に発色し、 なおかつ被転写物 (印画紙等） に対しては融着等の不良がないことが重要である。 このような観点 から、 従来、 熱転写記録媒体の熱転写染料層のバインダー樹脂としては、 ポリ塩 化ビニル等のビニル樹脂、 あるいはセルロース樹脂等が用いられている。 また、 融着防止を目的として、 アクリル、 ポリエステル、 スチレン、 ウレタン 等をシリコーン変性したシリコーングラフトポリマ一や、 シリコーンオイル、 リ ン酸エステル、 フッ素系界面活性剤等を熱転写染料層に少量添加する技術も提案 されている （例えば、 特許文献 1 ：特開平 9— 2 3 4 9 6 3号公報等を参照）。 ところで、 昇華型熱転写記録では、 低階調から高階調まで連続的な濃度の画像 の印刷が可能であり、 熱転写記録媒体の熱転写染料層には、 印加した熱量と発色 濃度の相関が高いことが求められ、 精度の良い階調印字が実現可能であることが 求められる。

通常、 熱転写記録媒体の熱転写染料層では、 サ一マルヘッドの余熱等で地汚れ が発生しないように、 分子量が 1 0万以上で、 ガラス転移点 T gの高い （7 0 °C 〜9 0 °C程度） 樹脂がバインダー樹脂として用いられている。

しかしながら、 バインダー樹脂の分子量が大きいと、 熱転写染料層を形成する ためのインク調製時に、 インクの粘度が高くなり、 熱転写記録媒体を製造する上 で難がある。 また、 分子量が大きなバインダー樹脂は、 ガラス転移点 T gが高い ために熱的な挙動が鈍く、 最高印画濃度が低く、 特に高速印画の要望に対応する には印画濃度不足が問題になる。 分子量が大きなバインダー榭脂を使用した熱転 写染料層を有する熱転写記録媒体を用い、 例えば、 軟質塩化ビニル （塩化ビニル 用の可塑剤が 5 0 %程度含有されている。） 製のプラスチックカード等の表面に 直接印字 （印画） すると、 プラスチックカードの硬さ故に、 発色濃度がさらに低 下する傾向にある。

この問題を解決するために、 熱転写染料層に用いられるバインダ一樹脂のガラ ス転移点 T gや分子量を低く設定することが考えられるが、 この場合には、 確か に全体的な転写性を高めることにはなるが、 非印字部における地汚れが発生し、 熱量が十分に高くなる前に急激に高濃度発色が起きるという、 別の問題が発生す る。 したがって、 熱転写染料層のバインダ一樹脂の分子量やガラス転移点 T gの 設定だけで、 地汚れを解消し、 印加した熱量と発色濃度の相関が高い精度の良い 階調印字を実現することは困難である。

一方で、 昇華性熱転写記録媒体の熱転写染料層にシリコーン系の材料を添加す ることで、 熱転写染料層の物性を改善し、 鮮明な印画を実現することが試みられ ている。 熱転写染料層に前記シリコーン系の材料を添加すると、 経時でシリコー ン鎖は表面にプリ一ドアゥトするため、 被転写体への融着を防止する効果が得ら れる。 このとき、 例えば特許文献 1記載の技術では、 シリコーン変性ポリマーを 使用することで、 鮮明な画像を形成することができるとしている。

しかしながら、 特許文献 1記載の発明で用いられるシリコーン変性ポリマーは、 グラフト型のポリマ一であり、 主鎖 （例えばアクリル鎖） に対して枝状にシリコ ーン鎖が導入された構造を持つ。 したがって、 側鎖であるシリコーン鎖がプリ一 ドアゥトすることで離型効果は発揮されるが、 主鎖はバインダ一中に存在するた め、 染料に対する障壁効果はほとんど見られない。 そのため、 やはり地汚れが発 生してしまう。

前記シリコーン変性ポリマー等の離型剤を多量に添加すれば、 発色が低くなり、 地汚れ等もある程度は抑えられるものと考えられるが、 一般的な離型剤や特許文 献 1に記載されるようなシリコーン変性ポリマ一をこのような影響が出るまで添 加すると、 染料の分離や塗工時のハジキといった問題が新たに発生する。 発明の開示 本発明は、 このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、 地汚れ等を 解消することができ、 印加した熱量と発色濃度の相関が高い精度の良い階調印字 を実現することが可能な昇華性熱転写記録媒体及び熱転写記録方法を提供するこ とを目的とする。 また、 本発明は、 熱転写染料層を形成する際に、 塗料の分離や 塗工時のハジキといった問題が発生することのない昇華性熱転写記録媒体を提供 することを目的とする。

前述の目的を達成するため、 本発明者らは長期に亘り種々検討を重ねてきた。 その結果、 分子量が小さい樹脂材料をメインのバインダー樹脂として用いるとと もに、 シリコーン鎖を主鎖中に導入したブロック共重合型のシリコーン樹脂を併 用することで、 地汚れの解消と最高印画濃度の向上を両立することができ、 印加 した熱量と発色濃度の相関が高い精度の良い階調印字を実現することが可能であ ることを見出すに至った。 本発明は、 このような知見に基づいて完成されたものであり、 基材シートの片 面に色相の異なる複数の熱転写染料層が面順次に設けられてなる昇華性熱転写記 録媒体において、 前記熱転写染料層は、 重量平均分子量 Mwが 1 0 0 0 0 0以下 の樹脂材料を含有するとともに、 ブロック共重合型のシリコーン樹脂を含有する ことを特徴とする。

本発明では、 熱転写染料層のメインのバインダ一樹脂として重量平均分子量 M wが 1 0 0 0 0 0以下の樹脂材料を用いているので、 熱的な挙動が良好であり、 印加した熱量と発色濃度の相関が高く、 最高印画濃度も高い。

また、 ブロック共重合型のシリコーン樹脂は、 シリコーン鎖がプリ一ドアウト する際に、 主鎖も表面近傍へ移行するため、 染料に対する障壁効果が高い。 した がって、 熱転写染料層表面の染料の比率が低減され、 サーマルヘッ ドの余熱程度 では容易に発色することがなく、 地汚れが解消される。

さらに、 ブロック共重合型のシリコ一ン樹脂には、 バインダー樹脂 （重量平均 分子量 Mwが 1 0 0 0 0 0以下の樹脂材料） 等との相溶性や溶解性を阻害するシ リコ一ン末端基が存在しないので、 均一に熱転写染料層を形成することができ、 染料拡散を抑える効果が高いばかりでなく、 塗料の分離や塗工時のハジキといつ た問題も解消される。

また、 本発明の熱転写記録方法は、 被転写体に昇華性熱転写記録媒体を接触さ せ、 前記昇華性熱転写記録媒体の裏面側から熱を印加して被転写体に印字を行う 熱転写記録方法において、 前記昇華性熱転写記録媒体として、 重量平均分子量 M wが 1 0 0 0 0 0以下の樹脂材料を含有するとともに、 ブロック共重合型のシリ コ一ン樹脂を含有する熱転写染料層が設けられてなる昇華性熱転写記録媒体を用 レ 被転写体である軟質塩化ビニルカ一ドの表面に直接印字することを特徴とす る。

前述の通り、 本発明の昇華性熱転写記録媒体を用いることで、 濃度が高い印字 が可能であり、 地汚れも解消される。 したがって、 被転写体が軟質塩化ビニルカ ードであっても、 十分な発色濃度を有し、 印加した熱量と発色濃度の相関が高い 精度の良い階調印字が実現される。 図面の簡単な説明 図 1は、 昇華性熱転写記録媒体の構成を示す要部概略斜視図である。

図 2は、 各実施例及び比較例におけるガンマ曲線である。 発明を実施するための最良の形態 以下、 本発明を適用した昇華性熱転写記録媒体及び熱転写記録方法について、 図面を参照して詳細に説明する。

昇華性熱転写記録媒体は、 基材シートの片面に色相の異なる複数の熱転写染料 層が面順次で形成されてなるものであり、 例えば、 図 1に示すように、 基材シ一 ト 1の片面に、 イエロ一色熱転写染料層 2、 マゼン夕色熱転写染料層 3及ぴシァ ン色熱転写染料層 4が面順次で形成されている。

上記構成の昇華性熱転写記録媒体において、 各熱転写染料層 2、 3， 4の間の 領域には、 被転写体に既に転写された染料の昇華性熱転写記録媒体側への再転'写 を防止するととともに次に転写される染料を受容するために被転写体に転写され る透明転写層が形成されていてもよい。 また、 昇華性熱転写記録媒体の基材シ一 ト 1には、 必要に応じて、 当該昇華性熱転写記録媒体の位置を検知するためのセ ンサーマーク等を設けてもよい。 さらに、 熱転写染料層としては、 前記 3色に限 らず、 例えばブラック色の熱転写染料層等を追加形成してもよい。 あるいは、 熱 転写染料層 2〜4による画像形成終了後に、 完成した画像上に転写される画像保 護層を設けてもよい。

本発明の昇華性熱転写記録媒体において、 熱転写染料層 2〜4には、 前述した ようにイエロ一色、 マゼン夕色、 シアン色の昇華性染料を用いるのが一般的であ るが、 熱転写染料層に含まれる染料としては、 従来公知の各種昇華性染料が使用 可能である。 例えば、 イェロー色染料としては、 ァゾ系、 ジスァゾ系、 メチン系、 スチリル系、 ピリ ドン · ァゾ系等及びその混合系等を挙げることができる。 マゼ ンタ色染料としては、 ァゾ系、 アントラキノン系、 スチリル系、 複素環系ァゾ色 素等及びその混合系等を挙げることができる。 シアン色染料としては、 アントラ キノン系、 ナフトキノン系、 複索環系ァゾ色素、 インドア二リン系等及びその混 合系等を挙げることができる。 また、 黒色の熱転写染料層を設ける場合、 黒色染 料としても公知の染料を使用することができる。

また、 熱転写染料層 2〜4は、 少なくとも前記の昇華性染料とバインダー樹脂 とから構成されるが、 メインとなるバインダー樹脂としては、 重量平均分子量 M wが 1 0 0 0 0 0以下、 好ましくは 6 0 0 0 0以下の樹脂材料を使用する。 メイ ンとなるバインダ一樹脂の分子量が前記範囲を越えて大きいと、 熱転写染料層 2 ~ 4のガラス転移点 T gが高くなり、 最高印画濃度が不足する。

バインダー樹脂として使用する樹脂材料の種類は任意であり、 例えば、 セル口 ース系、 アクリル酸系等の水溶性樹脂、 アクリル樹脂、 ポリフエ二レンォキサイ ド、 ポリサルホン、 ポリエ一テルサルホン、 ェチルセルロース、 ァセチルセル口 ース、 ポリスチレン、 ポリビニルブチラ一ル、 ポリ力一ポネート、 メタクリル樹 脂、 アクリロニトリル ' スチレン共重合体、 ポリエステル樹脂、 エポキシ樹脂、 ウレタン樹脂、 塩素化ポリエチレン、 塩素化ポリプロピレン等が使用可能である。 これらの中で、 ポリビニルプチラール （P V B )、 エポキシ樹脂、 ポリエステル ウレタン等が好適である。

本発明の昇華性熱転写記録媒体においては、 前記熱転写染料層 2〜4に、 前記 メインのバインダ一樹脂の他、 ブロック共重合犁のシリコ一ン樹脂が添加されて いる。 ブロック共重合型のシリコーン樹脂としては、 例えばポリジメチルシロキ サン系ブロック共重合体等を挙げることができ、 特にアクリルシリコーンブロッ ク共重合体 （ブロック型アクリル変性シリコーン樹脂） が好ましい。 ポリジメチ ルシロキサン系ブロック共重合体は、 例えば、 ァゾ基含有ポリジメチルシロキサ ンアミ ドを開始剤としてビニル単量体を共重合することによって製造することが できる。

このポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体に関しては、 特開平 1 0— 2 9 7 1 2 3号公報等に詳しいが、 本発明においても、 この特開平 1 0— 2 9 7 1 2 3号公報に開示されるものがいずれも使用可能である。

通常、 被転写体への貼り付き防止等に使用される離型剤は、 多量に添加すると 発色がやや悪くなる。 これは、 添加された離型剤のシリコーン成分等が時間とと もに熱転写記録媒体の表面に析出し、 染料が転写する際に障壁になることによる ものと考えられる。 このような状態になった熱転写記録媒体の臨界表面張力は、 一般的に小さい値を持つ。 ただし、 一般的な離型剤をこのような影響が出るまで 添加すると、 分離や塗工時のハジキといった問題が発生する。 グラフト重合型の シリコーン変性ポリマ一を使用した場合も、 グラフト鎖に存在する未反応基がハ ジキゃ溶解性阻害の要因になっており、 塗布形状は概して悪い。 ミクロ的にも、 グラフト型のシリコーン変性ポリマ一を用いた場合には、 メインのパインダ一樹 脂や染料との相溶が悪く、 染料の過剰な移行を抑える効果が小さい。

これに対して、 ブロック共重合型のシリコーン樹脂の場合は、 相溶性や溶解性 を阻害するシリコーン末端基が存在せず、 同程度の分子量やガラス転移点 T gを 持つグラフト型シリコーン変性ポリマ一と比べて均一に熱転写染料層を形成する ことができ、 被転写体への染料拡散を抑える効果が大きい。 また、 熱転写染料層 の表面の臨界表面張力も大幅に小さくなっているため、 離型剤としての効率も良 い。 .

上述のブロック共重合型のシリコ ン樹脂において、 含まれる S i量は 5〜 3 0重量％であることが好ましい。 S i量が少なすぎると、 所定の効果を得ること ができず、 逆に多すぎると、 相溶性や溶解性等の点で支障をきたす虞れがある。 また、 メインとなるバインダ一樹脂とブロック共重合型のシリコーン樹脂の配合 比率は、 9 9 ： 1〜7 0 ： 3 0であることが好ましい。 シリコーン樹脂の割合が、 前記範囲を下回ると、 やはり所定の効果を得ることができず、 逆に前記範囲を越 えて多すぎると、 相溶性や溶解性等の点で支障をきたす虞れがある。

熱転写染料層 2〜 4の形成方法としては、 公知の方法により形成することがで き、 例えば昇華性染料とバインダー樹脂、 ブロック共重合型のシリコーン樹脂と を溶剤に溶解又は分散させた塗料を基材シートの片面に塗布し、 乾燥することに より製造することができる。 熱転写染料層 2 ~ 4の厚さは特に限定されないが、 例えば 0 . 2〜 5 程度が好ましい。

基材シート 1 としては、 従来公知の各種基材を用いることができる。 例えば、 ポリエステルフィルム、 ポリスチレンフィルム、 ポリプロピレンフィルム、 ポリ スルホンフィルム、 ポリカーボネ一トフイルム、 ポリイミ ドフィルム、 ァラミ ド フィルム等である。 基材シート 1の厚みとしては、 l〜 3 0 ^ m、 好ましくは 2 〜 1 0 πιである。 また、 基材シート 1の熱転写染料層を形成しない側の面に、 熱転写時に使用するサ一マルへッ ド等の加熱手段との融着を防止するために耐熱 処理等を施してもよい。

本発明の昇華性熱転写記録媒体を用いた熱転写記録は、 通常の昇華型プリンタ 等を用いて常法にしたがって行うことができる。 すなわち、 被転写体に昇華性熱 転写記録媒体の熱転写染料層を接触させ、 昇華性熱転写記録媒体の裏面側からサ —マルへッ ド等により熱を印加して被転写体に印字を行う。

このとき、 被転写体としては任意の被転写体を使用することができるが、 本発 明の昇華性熱転写記録媒体では、 表面が硬い軟質塩化ビニルカードの表面に直接 印字することも可能である。 軟質塩化ビニルカードの場合、 表面の硬さ故に、 発 色濃度が低下する傾向にあるが、 本発明め昇華性熱転写記録媒体を用いれば、 十 分な発色濃度を有し、 印加した熱量と発色濃度の相関が高い精度の良い階調印字 を実現することが可能である。 -.

なお、 前記軟質塩化ビエルカードの表面に直接印字する場合、 プロック共重合 型のシリコーン樹脂の薄い層を熱転写染料層の表面、 あるいは軟質塩化ビニルカ —ドの表面のいずれか一方、 あるいは両方に形成するようにしてもよい。 この場 合には、 熱転写染料層へのブロック共重合型のシリコーン樹脂の添加を省略する ことも可能である。

実施例

以下、 本発明の具体的な実施例について、 実験結果を基に説明する。

実施例 1〜 3、 比較例 1 ~ 2

厚さ 6 i mのポリエチレンテレフタレ一トフイルムの背面に耐熱層、 表面に易 接着の下塗り層を設け、 この下塗り層上にシアン色の熱転写染料層を塗布形成し て昇華性熱転写記録媒体 （昇華型熱転写リポン） を作製した。 シアン色の熱転写 染料層は、 コイルバ一により乾燥厚 1 . 0 になるように表 1に示す樹脂及び 離型剤を配合した塗料を塗布して形成した。 塗料の配合において、 染料は住友化 学工業社製、 商品名スミプラストブルー O Aであり、 溶剤はメチルェチルケトン、 シクロへキサノン、 及び N—メチルピロリ ドンである。 なお、 表 1において、 バインダー樹脂及ぴ離型剤の種類は、 下記の通りである _t P VB 1 ： 電気化学工業社製、 商品名デンカブチラ一ル# 3 000 K、 Mw約 6 万

P VB 2 ： 電気化学工業社製、 商品名デンカブチラール # 6 000 C、 Mw約 1 5万

ポリエステルウレタン ： 東洋紡社製、 商品名バイロン UR 1400、 Mw約 4万 エポキシ ： ジャパンエポキシレジン社製、 商品名工ピコ一ト 1 0 1 0、 Mw 50 00 ~ 6 000

ブロック型離型剤 ： アクリルシリコーンブロック共重合体ワニス、 ナトコペイン ト社製、 商品名 S X 082

グラフト型離型剤 ： ァクリルシリコーングラフト共重合体ワニス、 東亞合成社製、 商品名 U S - 380

表 1

評価方法

各実施例及び比較例の昇華性熱転写記録媒体を用い、 シアン単色でへッ ドエネ ルギ一を変えながら印字試験を行い、 ガンマ特性を測定した。

プリン夕一 ： E 1 t r ο n社製カード用プリン夕、 商品名 P— 3 1 0 C

被転写体：軟質塩化ビニルカ一ド

印字濃度測定機器 ： マクベス社製、 反射濃度計 TR 924

結果を表 2及び図 2に示す。

表 2

階調 （低階調） 取 ftaJ'i辰,; Κ·

255 200 175 150 0

実施例 1 0.17 0.21 0.3 0.39 1.53

実施例 2 0.15 0.18 0.25 0.32 1.51

実施例 3 0.16 0.21 0.31 0.42 1.4

比較例 1 0.2 0.26 0.38 0.48 1.4

比較例 2 0.17 0.21 0.31 0.41 1.21 そして、 前記印字試験における最高濃度及び各実施例及び比較例の昇華性熱転 写記録媒体を用いたときの人物の顔色について評価を行った。 結果を表 3に示す _£ なお、 人物の顔色は、 マゼンタ色及びイェロー色の熱転写染料層を同様にして形 成し、 フルカラ一画像を印画することにより評価した。 人物の顔色は、 低ェネル ギ一領域での染料の移行が適正で、 人物の顔色の微妙なニュアンスまで再現され た場合 （◎)、 違和感の無く人物の顔色が再現された場合 （〇）、 低エネルギー領 域での染料の移行が多すぎ、 人物の顔色としては違和感を覚える場合 （X ) の 3 段階で評価した。 最高濃度は、 0階調において 1 . 5以上の反射濃度が実現され た場合 （◎)、 1 . 4以上の反射濃度が実現された場合 （〇）、 反射濃度が 1 . 4 未満である場合 （X ) の三段階で評価した。

表 3

これら表及び図面から明らかなように、 本発明を適用した各実施例の場合、 良 好な階調印字が実現され、 高エネルギー時の印字濃度も十分なものとなっている。 これに対して、 グラフト型の離型剤を使用した比較例 1では、 低エネルギー領域 のでの染料の移行が多すぎ、 人物の顔色の点で劣化が見られた。 また、 分子量の 大きなバインダ一樹脂を用いた比較例 2では、 最高濃度が不足していた。

以上の説明からも明らかなように、 本発明によれば、 地汚れ等を解消すること ができ、 印加した熱量と発色濃度の相関が高い精度の良い階調印字を実現するこ とが可能である。 また、 熱転写染料層を形成する際に、 塗料の分離や塗工時の八 ジキといった問題が発生することもない。

Claims

請求の範囲

1 . 基材シートの片面に色相の異なる複数の熱転写染料層が面順次に設けられて なる昇華性熱転写記録媒体において、

前記熱転写染料層は、 重量平均分子量 Mwが 1 0 0 0 0 0以下の樹脂材料を含 有するとともに、 プロック共重合型のシリコーン樹脂を含有することを特徴とす る昇華性熱転写記録媒体。

2 . 前記樹脂材料の重量平均分子量 Mwが 6 0 0 0 0以下であることを特徴とす る請求の範囲第 1項記載の昇華性熱転写記録媒体。

3 . 前記シリコーン樹脂に含まれる S i量が 5〜 3 0重量％であることを特徴と する請求の範囲第 1項記載の昇華性熱転写記録媒体。

4 . 前記樹脂材料とシリコーン樹脂の配合比率が、 9 9 ： 1〜 7 0 ： 3 0である ことを特徴とする請求の範囲第 1項記載の昇華性熱転写記録媒体。

5 . 被転写体に昇華性熱転写 E録媒体を接触させ、 前記昇華性熱転写記録媒体の 裏面側から熱を印加して被転写体に印字を行う熱転写記録方法において、 ，：' 前記昇華性熱転写記録媒体として、 重量平均分子量 M wが 1 0 0 0 0 0以下の 樹脂材料を含有するとともに、 ブロック共重合型のシリコーン樹脂を含有する熱 転写染料層が設けられてなる昇華性熱転写記録媒体を用い、

' 被転写体である軟質塩化ビニルカードの表面に直接印字することを特徴とする 熱転写記録方法。