WO2002016525A1

WO2002016525A1 - Composition pour résine hermétique, films hermétiques, et utilisations correspondantes

Info

Publication number: WO2002016525A1
Application number: PCT/JP2001/007116
Authority: WO
Inventors: Naoto Yasaka
Original assignee: Mitsui Chemicals, Inc.
Priority date: 2000-08-22
Filing date: 2001-08-20
Publication date: 2002-02-28
Also published as: US20030055191A1; KR20020042875A; US6861478B2; KR100763501B1; CN100404637C; TWI294895B; EP1323803B1; EP1323803A4; CN1388824A; EP1323803A1

Description

明細書シーラント樹脂組成物、シーラントフィルムおよびその用途 [技術分野] '

本発明はシ一ラント樹脂組成物、ヒ一トシール性およびィージ ―ピール性を兼ね備えたシ一ラントフィルム、さらにそのシ一ラントフィルムを用いた積層体フィルムおよび容器に関する。 [背景技術]

容器包装材に使われるィージ一ビール性を有するシーラントフイルムには、密封性とイージーピール性と云う相反する性能を同時に満足することが要求されている。その内、密封性に関しては、常に内容物を保護可能にする程度以上のヒートシール強度を有すること、および多種多様な基材に対応するためにヒートシール強度の温度依存性が小さいことが求められている。一方、イージーピール性に関しては、手による剥離が容易な程度にヒートシールされていると共に、見映えの良い外観と内容物の汚染防止の観点から、シール面を剥離した時に剥離跡（糸引き）が残らないことは勿論のこと、糸引き現象そのものが発生しないよう要求されている。また、食品包装用シ一ラントフィルムでは、フィルムから内容物への臭気の移行は、できるだけ起こらない方が望ましい。シーラントフィルム用の樹脂としては、これまでに多くの材料が開発されてきている。例えば、米国特許第 4 , 1 8 9 , 5 1 9 号公報には、エチレン—酢酸ビニル共重合体（ E V A ) とポリ 1 ーブテンとからな.るイージーピールシーラント材が記載されている。また、米国特許 4， 6 6 6， 7 7 8号公報には、エチレン系樹脂、ポリ 1—ブテン、およびポリプロピレンからなるィ一ジ一ピ一ルシ一ラント材が記載されている。しかし、本発明者らの検討によると、前者は、酢酸臭が内容物へ移行することがあるし、また後者は、適度なシール強度への調整が難しいことがわかっている。

特開平 1— 3 1 5 , 4 4 3号公報には、 5 0 0 , 0 0 0以上の平均分子量を有するポリ 1ーブテンと低密度ポリエチレンとからなるィ一ジ一ピールシ一ラント用組成物が記載されている。しかし、使用するポリ 1 ーブテンの分子量が高く、またメルトフローレートが小さいために、成形法が制限され、かつシール強度のコントロール幅が狭い。また、 RESEARCH D I SCLOSURE 誌（第 3 8 4 3 3号）には、ポリ 1ーブテンとメタ口セン触媒で重合されたポリエチレンとからなるイージーピール積層体が記載されているものの、糸引き現象それ自体に関して何も記載されていない。さらに、特開平 1 0— 3 3 7 8 2 9号公報にも、低密度ポリエチレンとポリ 1 —ブテンとからなるシール層とポリエチレン系樹脂からなる基材層とから構成された複合フィルムは、密封性および開封性が良好であると記載されている。 [発明の開示]

そこで本発明は、ヒートシール性とイージーピール性との間に適度なバランスがとられており、ヒートシール時におけるヒートシール強度の温度依存性が小さく、かつ剥離時に接着面からの糸引き現象が発生しにくいシーラント樹脂組成物の提供を目的にする。

また本発明は、その組成物から成形したシ一ラントフィルム、およびそれを用いた積層体フィルムおよび容器の提供を目的にする o すなわち本発明は、エチレンに由来する構成単位と 1—プテンに由来する構成単位とを含む樹脂組成物であって、その組成物のメルトフ口一レートは 0. 2〜3 0 ( g/ 1 0分）であって、またその組成物から成形したフィルムを 1 5 0 °Cでヒートシールした時のシール強度が 1〜： L 0 (NZ1 5 mm) であって、かつそのシール面を引き剥がした時に糸引き状の樹脂残査が実質的に発生しないシーラント樹脂組成物に関する。

前記の樹脂組成物は、示差走査型熱量計（D S C) で測定した融点が 1 0 0〜 1 2 5°Cのエチレン重合体、および同法で測定した融点が 7 0〜 1 3 0 °Cの 1—プテン重合体とからなるシ一ラント樹脂組成物であることが好ましい。また、前記の樹脂組成物は、 D S Cによって観察される融点ピークが 7 0〜 1 3 0°Cの間に 2 つ以上存在することが望ましく、その内最大ピーク面積を持つ融点ピークが 1 00〜 1 2 5 °Cの間に存在することが一層望ましい, このような樹脂組成物は、その微細構造が海島構造をなしていることが望ましい。

また本発明は、メルトフローレートが 0. 2〜30 ( g/ 1 0 分）、密度が 0. 9 0 0〜0. 9 4 0 ( g/c m³) のエチレン重合体 6 0〜 9 5重量％、およびメルトフローレートが 0. 1〜 2 5 ( gZ l O分）、 1—ブテン単位含量が 6 0〜： L 00モル％の 1一プテン重合体 5〜 40重量％とからなる樹脂組成物であつて、エチレン重合体のメルトフ口一レート（MF R_PE) と 1ーブテン重合体のメルトフローレ一卜（MFR_PB) との比、すなわち M F Rp_E/M F R_PB が 1以上であるシーラント樹脂組成物に関する。その 1—ブテン重合体は、好ましい密度が 0. 8 80〜0. 9 2 5 ( g Z c m ³ ) の範囲にあることが望ましい。

エチレン重合体としては、ェチレン単独重合体であってもよいし、エチレン ■ α—ォレフィン共重合体であってもよく、特に高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状ェチレン ' ーォレフイン共重合体、およびそれらの組成物が好ましい。また、 1 ーブテン重合体としては、 1 —ブテン単独重合体であってもよいし、 1 —ブテン - ひ —ォレフィン共重合体であつてもよい。この樹脂組成物は、フィルム成形に適しており、イージーピール性とヒートシール性とを兼ね備えたフィルムを提供することができる。

また本発明は、前記のシ一ラント樹脂組成物から成形した厚さが 3 〜 1 0 のィ一ジ一ビール性を有するシーラントフィルムに関し、押出しラミネ一シヨン成形、キャスト成形、またはィンフレーシヨン成形法によって製造することができる。このフィルムは、互いに接合してから、あるいは他のフィルムと接合してから接合面を剥離させても、剥離した面からの糸引き現象は実質的に見られないと言う特徴を有している。

また本発明は、前記のシ一ラントフィルムの層と、ポリオレフインフィゾレム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフインフィルムとガスノリャ一性樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム箱、および蒸着フイルムとからなる群から選ばれる少なくとも一つのフィルム層とを含む積層体フイルムに関し、それはヒ一トシール性とイージーピール性とを有する包装資材用フィルムとして好適である。

その一態様として、シ一ラントフィルム層と、ポリオレフインフィルム層と、ポリスチレンフイノレム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフインフィルムとガスノリャ一性樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム箔、および蒸着フイルムとからなる群から選ばれる少なくとも一つのフィルム層とがこの順に積層され一体化した積層体フイルムを挙げることができる。

さらに本発明は、前記の積層体フィルムが、それらのシーラントフイルム層面どうしのヒートシールによって接合されることによって、あるいは他の樹脂の成形体とヒートシールによって接合されることによって、その中間に内容物を密封包装することが可能な容器に関する。内容物が食品の場合、この容器から食品への臭気の移行はほとんど起こらない。

[発明を実施するための最良の形態]

本発明は、エチレン構成単位および 1—プテン構成単位を含むシーラント樹脂組成物、またその組成物を用いたシ一ラントフィルム、積層体フィルム、および容器に関するものであって、次にそれらについて具体的に説明する。シーラント樹脂組成物（ 1 )

本発明に係わるシーラント樹脂組成物（ 1 ) は、エチレンに由来する構成単位と 1 —ブテンに由来する構成単位とを少なくとも含有する化学構造を有しており、いわゆるォレフィン系の樹脂である。両構成単位が存在していることから、この樹脂組成物はヒ一トシ一ル性とイージービール性とを備えている。

ここで各構成単位の検出は、赤外線吸収スぺクトル分析によつて行うことができる。すなわち、まず樹脂組成物のプレスフィルムを作成し、そのフィルムの赤外線吸収スぺクトルを測定すると、ェチレンに由来する構成単位は 7 0 0〜 7 4 0 c m— ¹ の領域に吸収が存在し、 1 一ブテンに由来する構成単位は 7 5 0〜 7 8 0 c m— ¹ の領域に吸収が存在することから、両構成単位の存在を確認することができる。

この樹脂組成物は、より具体的には、示差走査型熱量計（D S C ) で測定した融点が 1 0 0〜 1 2 5 °Cのエチレン重合体、および同法で測定した融点が 7 0〜 1 3 0 °Cの 1 —ブテン重合体とを少なくとも含有している組成物であることが望ましい。ここで、 D S Cによる測定は、組成物サンプルを室温から 2 0 0 °Cまで一旦昇温して融解し、その温度に 1 0分間保持し、その後 1 0 ( °c /分）の速度で 0 °Cまで冷却する。再び 1 0 ( °c z分) の速度で昇温を開始し、その過程で吸熱ピークを観察する。その吸熱ピ一クの位置を重合体の融点とする。

また前記の樹脂組成物は、 D S Cによって観察される融点ビークが 7 0〜 1 3 0 °Cの間に 2つ以上存在することが望ましく、その内最大ピーク面積を持つ融点ピークが 1 0 0〜 1 2 5 °Cの間に存在することがより望ましい。最大ピーク面積を持つ融点ピークが前記の範囲内にあると、この樹脂組成物から成形したシ一ラントフイルムは、低温ヒートシール性に優れており、また接着面を剥離した時に糸引き現象の発生が実質的に生じない。

ここで前記の D S Cによる融点測定において、樹脂組成物に含まれる成分に由来する吸熱ピークが分離した状態で観察される場合には、それらのピークを比較してその面積の大きい方を最大ピーク面積を持つ融点ピークとすればよい。しかし、吸熱ピークが分離されておらず、一方のピークが他方のピークのショルダ一になっている場合には、ショルダ一でない方のピークを最大ピーク面積を持つ融点ピークとする。さらに、吸熱ピークが完全に分離されておらず 2山状態で観察される場合には、各々のピークについてピーク高さとその半値幅との積を計算し、その値の大きい方を最大ピーク面積を持つ融点ピークとする。

このような樹脂組成物は、少なくとも 2種類の構成単位に由来する樹脂が互いに海島構造をなす微細構造を有していることが好ましい。より好ましくは、エチレン重合体および 1ーブテン重合体とが互いに海島構造を呈していることが望ましい。さらに好ましくは、ェチレン重合体の海の中に 1ープテン重合体が島のように分散した海島構造であることが望ましい。組成物がこのような海島構造を呈していることが、ヒートシール性とィ一ジ一ピール性との間に適度のバランスを発現しているものと考えている。樹脂組成物の微細構造は、ペレット状ないしフィルム状の組成物サンプルからミクロト一ム等を用いて薄い切片を作成し、ォスミゥムで染色した後、透過型電子顕微鏡（T EM) によって倍率 1 00 00倍で観察することで確認することができる。

一方、この樹脂組成物は、 AS TM D - 1 2 3 8に準拠し、 1 9 0°C、 2. 1 6 k g荷重下で測定したそのメルトフローレ一卜の値が、 0. 2〜 3 0 ( g / 1 0分）、好ましくは 1〜 2 5 ( g / 1 0分）、より好ましくは 2〜 2 5 (g/ 1 0分）、さらに好ましくは 2を越えて 2 5 (g/1 0分）未満であることが望ましい。メルトフ口一レート値がこの範囲内にあると、樹脂組成物からのフィルム成形性が良好であると共に、フィルム層としての十分な機械的強度を保持している。

また、この樹脂組成物から成形したフィルムを 1 5 0°Cでヒートシ一ルした時に、そのヒ一トシ一ル強度は、 1〜 1 0 (N/ 1 5 mm)ヽ好ましくは 1〜 8 ( N/ 1 5 mm) である。ヒートシ —ル強度がこの範囲内にあると、実用上十分な接着強度を有していると共に、ピール性も良好であって、包装材料として好適であ o なお、本発明では、このフィルムを被着体にヒートシールした後、そのフィルムを接着面から引き剥がす際に、糸引きと呼ばれるシーラントフィルム層の表面毛羽立ちが実質的に発生しないことが重要であって、それによつて包装内容物への汚染懸念をなくすことができる。この糸引き現象は、目視検査で確認することができる。

このような本発明のシ一ラント樹脂組成物（ 1 ) は、例えば後述するように、エチレン重合体および 1一ブテン重合体とから製造することができる。シーラント樹脂組成物（ 2 )

本発明に係わる樹脂組成物（ 2) は、次に説明するエチレン重合体および 1—ブテン重合体とを少なくとも含有する組成物である。すなわち、メルトフ口一レートが 0. 2〜 3 0 ( g/ 1 0分）、密度が 0. 9 0 0〜 0. 940 ( g/ c m³ ) のエチレン重合体 6 0〜9 5重量％、およびメルトフ口一レートが 0. 1〜2 5 ( g / 1 0分）、 1—プテン単位含量が 6 0〜； L 0 0モル％の 1—ブテン重合体 5〜40重量％とからなる樹脂組成物であって、ェチレン重合体のメルトフローレ一ト（MFR_PE) と 1—ブテン重合体のメルトフローレ一ト（MFR_PB) との比、すなわち

M F R_PE/M F R_PB が 1以上である。

<ェチレン重合体 >

本発明に使用可能なエチレン重合体は、ェチレンの単独重合体であってもよいし、またエチレンとひ一ォレフィンとの共重合体であってもよく、その分子構造は、直鎖状であってもよいし、長鎖または短鎖の側鎖を有する分岐状であってもよい。共重合体の場合、コモノマーとしての α—才レフインは、好ましくは炭素数 3〜 2 0、より好ましくは 3〜 1 0の一才レフィンであって、エチレンとランダム共重合している。ひ一才レフィンの具体例としては、プロピレン、 1 —ブテン、 1 一ペンテン、 1 一へキセン、 1 —ヘプテン、 1 ーォクテン、 1 —デセン、 1 一ゥンデセン、 3 —メチル一 1 ーブテン、 3 —メチル一 1 —ペンテン、 4一メチル一 1 一ペンテン、 4 —メチル一 1 —へキセン、 4 , 4—ジメチルー 1 —へキセン、およびそれらの組み合わせを挙げることができ、必要に応じて他のコモノマーを少量含有していてもよい。共重合体中のェチレン含量は、 8 5〜 9 9 . 9 (モル％)、好ましくは 9 0〜 9 9 . 5 (モル％) が望ましく、ひ一ォレフィン含量は、 0 . 1〜 1 5 (モル％)、好ましくは 0. 5〜： 1 0 (モル％) が望ましい。

エチレン重合体の密度は、 0. 9 0 0〜 0 . 9 4 0 ( g/ c m ³ )ヽ好ましくは 0 . 9 0 5〜 0. 9 3 0 (gZ c m³) であって、いわゆる低密度ないし中密度ポリエチレンの範ちゅうに属している。この密度範囲にあると、低温ヒートシール性を有しており、また最終的にフィルムから容器を製造した時に、内層フイルム（シ一ラント層）表面の粘着性が小さいことから高い充填速度で内容物を充填することができる。なお、密度は、後述するメルトフ口一レート測定時に得られるストランドを 1 2 0 °Cで 1時間熱処理を行い、その後 1時間かけて室温まで徐冷してから密度勾配管を用いて測定する。

また、メルトフローレート（M F R) は、 A S TM D - 1 2 3 8に準拠し、 1 9 0 °C、 2. 1 6 k g荷重下で測定した値が、 0 . 2〜 3 0 ( g/ 1 0分）、好ましくは 1 . 0〜 2 5 ( g/ 1 0分）、より好ましくは 2 . 0〜 2 5 ( g/ l O分）の範囲にある。の範囲内にあると、既存の成形機を用いて高い成形スピードでフィルム成形することができる。このエチレン重合体は、さらに、 D S Cで測定した融点が 1 0 0〜 1 2 5°Cめ範囲にあることが好ましい。

密度、メルトフ口一レート、融点等の物性が前記の範囲にあるエチレン重合体は、ラジカル重合触媒、フィリップス型触媒、チ —グラ一 · ナツ夕触媒、あるいはメタ口セン触媒を用いてェチレンの単独重合、またはエチレンとひ一ォレフィンとを共重合することによつて製造することができる。

特にラジカル重合触媒を用い、チューブラ一型反応器やオートクレーブ型反応器中で製造する、いわゆる高圧法低密度ポリエチレンが好ましい。その中でも、メルトフローレ一ト（MFR) と溶融張力（ 1 9 0 °Cの測定値；単位 mN ； M T ) との関係が、次式を満足する重合体がフィルムを成形する上で望ましい。

40 X (MFR) -°·⁶⁷≤MT≤ 2 50 X (MF R) -°·⁶⁷ また、チ一グラー · ナツ夕触媒あるいはメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ェチレン · ひ —ォレフィン共重合体も好ましく使用することができる。製造時の条件を調整することによって、長鎖または短鎖の分岐を形成させることができ、そのようなェチレン · ひーォレフイン共重合体も使用可能である。

さらにこのエチレン重合体は、数種類のェチレン重合体をブレンドして製造した組成物の形で使用することもできる。例えば、高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状エチレン · ひーォレフイン共重合体との組成物を用いる場合で、高圧法低密度ポリエチレンの直鎖状エチレン，一才レフイン共重合体に対する混合割合、即ち [高圧法低密度ポリエチレン] / [直鎖状ェチレン . —ォレフィン共重合体] が、 0 / 1 0 0〜 7 5 / 2 5 (重量部）、好ましくは 5 /9 5〜 7 5/2 5 (重量部）の範囲にある組成物を調製すると、シール強度およびピール強度のバランス調整が容易になる o

すなわち、高圧法低密度ポリエチレンの混合割合が増加するとシール強度が低下する傾向にあるので、ィ一ジ一ピール性を特に要求する用途分野では高圧法低密度ポリエチレンの混合割合を増やし、逆に高いシール強度を要求する用途分野では直鎖状ェチレン · ひ一才レフィン共重合体の混合割合を増やす処方をとると、希望するシール強度とビール強度とのバランス調整が容易に可能になる。く 1 —ブテン重合体 > ' 本発明に使用可能な 1―ブテン重合体は、 1一ブテンの単独重合体、あるいは 1—ブテンと、 1—ブテンを除く炭素数 2〜 2 0、好ましくは 2〜 1 0の一ォレフィンとの共重合体である。ひ一ォレフィンの具体例としては、前記したと同様の一ォレフィンを挙げることができ、中でもエチレン、プロピレン、 1 _へキセン、 4 _メチル一 1 —ペンテン、 1—ォクテンが好ましく、必要に応じて他のコモノマ一を少量含有させてもよい。共重合体中の 1 —ブテン含量は、 6 0〜： 1 0 0 (モル％)、好ましくは 7 0〜 1 0 0 (モル％)、ォレフィン含量は、 0〜 4 0 (モル％)、好ましくは 0〜 3 0 (モル％) が望ましい。

1 ―プテン重合体の密度は、好ましくは 0. 8 8 0〜 0. 9 2 5 ( g/ c m³ ) より好ましくは 0. 8 8 5〜 0. 9 2 0 ( g/ c m³ ) であって、この密度範囲にあると、樹脂組成物から形成したフィルム表面の粘着性が小さいことから、最終的にフィルムから容器を製造した時に、高い充填速度で内容物を充填することが可能である。

また、メルトフ口一レート（MF R) は、 A S T M D - 1 2 3 8に準拠し、 1 9 0 °C：、 2. 1 6 k g荷重下で測定した値が、 0. 1〜 2 5 ( g/ 1 0分）、好ましくは 1 . 0〜 2 5 ( g/ 1 0分）、より好ましくは 2〜 2 5 ( g/ 1 0分）、さらに好ましくは 2を越えて 2 5以下（ g/ 1 0分）、より一層好ましくは 2 . 5〜 2 5 ( gZ l O分）の範囲にある。

1 —プテン重合体の MF Rがこの範囲内にあると、成形機のモ —夕一に過大な負荷を与えることなく、かつ低い樹脂圧力で成形が可能になる。そのために、フィルム成形速度を高めても、樹脂組成物のせん断発熱を低く抑えることができ、樹脂組成物の酸化劣化に伴う臭気の発生ゃフィルムのプロッキング性の悪化を抑制することができる。また、 MF R値を低くしていくと、フィルム成形時のサージング（押出し量が不均一になる現象）が起こりやすくなって、フィルムの厚薄むらやドローダウン性の低下を引き起こす傾向にあるが、前記の範囲内であればその心配も少ない。さらに、ヒートシール強度の調整が容易になると共に、ヒートシール強度の温度依存性を小さくすることができる。

この 1 —ブテン重合体は、 D S Cによって測定される融点が、 7 0〜 1 3 0 °Cの範囲にあることが望ましい。

このような 1 —ブテン重合体は、特公昭 6 4 - 7 0 8 8号公報、特開昭 5 9— 2 0 6 4 1 5号公報、特開昭 5 9— 2 0 64 1 6号公報、特開平 4 - 2 1 8 5 0 8号公報、特開平 4 - 2 1 8 5 0 7 号公報、特開乎 8 - 2 2 5 6 0 5号公報等に記載された立体規則性重合触媒を用いた重合方法で製造することができる。本発明では、前記した 1―ブテン重合体は、その 1種類を用いてもよいし、あるいは 2種類以上を組み合わせて用いてもよい。 <樹脂組成物 >

本発明の樹脂組成物（ 2 ) は、前記したエチレン重合体と 1 一ブテン重合体とを少なくとも含有しており、その混合割合は、ェチレン重合体が 6 0〜 9 5重量％、好ましくは 6 5〜 8 5重量％、 1 ープテン重合体が 5〜 4 0重量％、好ましくは 1 5〜 3 5重量％の範囲が望ましい。ここで、両重合体の合計量が 1 0 0重量％になる。両重合体がこの混合範囲内にあると、その組成物から成形したフィルムは、それの持つヒートシール性とィ一ジ一ピール性との間に適度のバランスが保たれており、すなわち包装材に必要な実用上のヒートシール強度が確保されると同時に、使用者にとって好都合な易開封性が得られる。従って、この樹脂組成物は、ィ一ジ一ピール性のあるシ一ラントフィルムの製造に好適に使用することができる。

さらに、この樹脂組成物は、エチレン重合体のメルトフローレート（MF R_PE) の 1—ブテン重合体のメルトフローレ一ト（M F R_PB ) に対する比が 1以上、

すなわち 1 ≤ MF R_PE/MF R_Pい

好ましくは、 1 ≤ MF _{P E}/MF R_PB ≤ 2 0, より好ましくは、 1 ≤ M F R_{P E}/M F R_PB ≤ 1 0 であることが望ましい。この両重合体のメルトフ口一レート比の関係が前記の範囲を満たしていると、ヒートシールした接合体をその層間で剥離させた時に、接合面からの糸引き現象が実質的に発生しない。

すなわち、この組成物からシ一ラントフィルムを成形し、そのシ一ラントフィルムどうしをヒートシールして接着した後、あるいはそのシ一ラントフィルムとポリエチレン、エチレン '酢酸ビニル共重合体もしくはポリプロピレン等のフィルムとをヒ一トシ —ルによって接着した後、シ一ラントフィルムに接着面からの強制的な剥離操作を加えても、剥離部分からの糸引き現象は実質的にほとんど発生しない。

この樹脂組成物は、ェチレン重合体がマトリックス相を形成し、その中に 1ーブテン重合体がミクロ分散して分散相を形成した構造、すなわち前記した海島構造になっていることが望ましく、その際 1—ブテン重合体の溶融粘度がェチレン重合体の溶融粘度に対して前記した一定の範囲にコントロールされていることによつて、 1—プテン重合体は球状を呈して分散している。このような樹脂組成物の海島構造が、剥離時における糸引き現象発生の防止に役立っているものと思われる。本発明の樹脂組成物は、さらに前記した樹脂組成物（ 1 ) の物性を備えていることがより好ましい。

樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を本発明の目的からはずれない範囲内で配合することができる。また、米国特許第 4 3 2 0 2 0 9号公報、 4 3 2 1 3 3 4号公報、 4 3 2 2 5 0 3号公報に記載の結晶核剤を配合することもできる。

組成物の製造に当たり、エチレン重合体、 1—ブテン重合体、および必要に応じて各種の添加剤を準備し、それらを所定量均一に混合し、必要に応じて混練り操作を加えて樹脂組成物を調製することができる。混合は、ヘンシヱルミキサー、バンバリミキサ ―、タンブラ一ミキサー、一軸または二軸の押出機等を用いて行うことができる。

これまでに説明してきた樹脂組成物は、成形性が良好であるので、押出しラミネーシヨン成形、キャスト成形、またはインフレ —ション成形用の樹脂としてフィルム成形に利用することができ. 特に押出しラミネ一シヨンフィルム成形に適している。シーラントフイノレム

前記した樹脂組成物からフィルム成形することによって、ィ一ジ一ビール性を必要とする包装材のシ一ラントフィルムを製造することができる。フィルムの成形は、キャスト成形法であってもインフレ一ション成形法であつてもよく、通常樹脂温度 1 8 0〜 2 4 0 °Cの条件で均一膜厚の外観が良好なフィルムを早いスピードで製造することができる。フィルムの厚みは、 3〜 1 0 0〃m あればシ一ラント層として適当である。また、後述するように、基材フィルム上へ直接押出しラミネーシヨンする方法によっても、シ一ラントフィルム層を形成することができる。

このシ一ラントフィルムは、そのフィルムどうしを重ねてヒ一トシ一ル操作を加えたり、あるいは他のフィルムに重ねてからヒ ―トシール操作を加えたりすると、シ一ラントフィルムの持つ接着力によつて互いに強固に接合すると共に、また適度な力で相互に引き離すことが可能になるので、ヒートシール性とィ一ジ一ピール性とを兼ね備えたフィルムとして利用することができる。その上、接合したフィルムを強制的に引き剥がした時に、剥離面に糸引き状の樹脂残査を実質的に生じることはほとんどない。

ヒートシ一ル条件は特に限定されるものではないが、通常シ一ル温度が 1 2 0〜 1 8 0 °C、シール圧力が 0 . 1〜 0 · 5 ( M P a ) の条件で行うと、実用上十分な接着強度で接合することができるし、またこの際シール温度による接着強度のバラヅキも少ない。例えば、シール温度 1 5 0。C、シール圧力 0 . 2 M P a、シール時間 1秒の条件でヒートシールした時に、その時の接着強度は 1〜： L 0 ( N Z 1 5 m m ) の範囲にある。積層体フイルム

このシ一ラントフイルムは、勿論それ単独で使用することができるが、基材フィルムに積層した積層体フィルムの構成で一般に包装フィルムないし包装シートとして使用されることが多く、またそれを容器材料あるいは容器の蓋材料として使用されることもある。

基材フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフインのフィルム、スチレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフ夕レートやポリプチレンテレフタレ一ト等のポリエステルのフィルム、ナイロン 6やナイロン 6， 6のようなポリアミドのフィルム、ポリオレフインフィルムとポリアミド樹脂ゃェチレン · ビニルアルコール共重合体樹脂のようなガスバリャ一性のある樹脂フイルムとの積層フィルム、アルミニウム等の金属箔、あるいはアルミニウムやシリカ等を蒸着させた蒸着フィルム等が包装材の使用目的に応じて適宜選択使用される。この基材フィルムは、 1種類と限らず 2種類以上を組み合わせて使用することもできる。

シ一ラントフィルム層は積層体フイルムの少なくとも一方の最外層に位置するので、その製造に当たり、基材フィルム上に先に説明した樹脂組成物を直接または間接に押出しラミネーシヨンしたり、基材フィルムとシ一ラントフィルムとをドライラミネ一シヨンしたり、あるいは両層を構成する樹脂を共押出成形する方法をとることもできる。

積層体フィルムの構成は、基本的にはシ一ラントフイルムと基材フィルムとの組み合わせであるが、シ一ラントフイルムと基材フィルムとの接着力が十分でない場合には、その一変形例としてシーラントフイルム層、接着性のある別のフィルム層、基材フィルム層とがこの順に積層された少なくとも 3層構造の積層体であつてもよく、目的とする包装材に応じて任意の構成に組み合わせて使用することができる。

積層体フィルムの一実施態様として、シ一ラントフィルム層/ ポリオレフィンフィルム層/他のフィルム層、の構成を持つフィルムを挙げることができる。ここで他のフィルム層としては、前記したポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフインフィルムとガスノリャ一性樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム箔、および蒸着フィルムとからなる群から選ばれる層を挙げることができる。

ポリオレフインフィルム層と他のフィルム層とが十分な接着強度で接合できない場合には、シ一ラントフィルム層/ポリオレフインフィルム層 Z接着層 Z他のフイルム層、の構成にすることができる。接着層としてウレタン系やイソシァネート系接着剤のようなアンカ一コート剤を用いたり、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのような変性ポリオレフィンを接着性樹脂として用いると、隣接層を強固に接合することができる。

前記した積層体フイルム 2枚を用意してシーラントフィルム層面どうしを向かい合わせ、また積層体フィルムを折り曲げてシ一ラントフイルム層面が向かい合うように配置し、あるいは積層体フィルムのシ一ラントフィルム層と他のフィルムとを向かい合わせ、その後いずれか一方の外表面側から所望容器形状になるようにその周囲をヒートシールすることによって密閉された、例えば袋状容器を製造することができる。この袋状容器の成形工程を内容物の充填工程と組み合わせると、すなわち、袋状容器の底部および側部をヒ一トシールした後内容物を充填し、次いで上部をヒ ―トシールすれば自動的に包装体を完成させることができる。従つて、この積層体フィルムは、スナック菓子等の固形物、粉体、あるいは液体材料の自動包装装置に供給して利用することができる。

また、積層体フィルムないしシートを、または他のフィルムないしシートを予め真空成形や深絞り成形等の手段で力ップ状容器形状に成形しておき、あるいは通常の射出成形容器を準備し、その容器中に内容物を充填し、その後積層体フイルムまたは他のフィルムを蓋材として被覆し、容器上部側からまたは側部の周囲に沿ってヒ一トシールすれば内容物の入った包装体が得られる。この場合、本発明に係わるシ一ラントフィルムは、蓋材のシ一ラント層、容器本体のシ一ラント層、または両者のいずれにも使用することができる。この容器は、カップラーメン、味噌、ハム、ベ —コン、ゼリー、プリン、スナック菓子等の包装に好適に利用することができる。

容器の構造や製造方法は、前記した説明に限定されるものではなく、任意に変更することができる。また、本発明に係わるシ一ラントフイルムあるいは積層体フィルムと組み合わせて使用できる他のフィルムないし容器は、従来から使用されているポリエチレン、エチレン .酢酸ビュル共重合体、ポリプロピレン等の樹脂から成形した包装材料がそのまま利用できる。例えば、そのような材料から開口部に鍔を有する容器状成形体を成形し、その開口部の鍔部にシ一ラントフィルム層面を重ね合わせるようにして積層し、ヒートシールすることによって両面を接合して容器包装体を形成することができる。シーラントフィルムないしシーラントフィルム層と前記した包装材料とは十分な接着強度でヒ一トシ一ル可能であるし、またイージーピール性を有しているので容易に開封することができる。従って、この容器は、密封性があり、かつイージーピール性のある包装容器として、特に食品包装の分野に好適に使用することができる。実施例

次に実施例を通して本発明を説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものではない。

まず、使用した樹脂の種類および物性を表 1に示した。

(註）コモノマーの種類 MP ； 4—メチル一 1—ペンテン、 H ； 1一へキセン、 B ; l—ブテン、 E ;エチレン

樹脂製造時の重合触媒：

T ；チタン系触媒、 M；メタ口セン系触媒

R ；ラジカル触媒

(実施例 1〜 9 ) (比較例 1〜 3 )

表 1に記載した樹脂を用い、表 2に記載した配合割合で混合してシーラント層の樹脂組成物を製造した。次に、直鎖状低密度ポリエチレン（密度 0. 9 2 0 g/cm³、メルトフ口一レート 2. O gZl O分）を基材フィルム層用の樹脂として用い、次の構成の二層フィルムを成形した。

フィルムの構成：

基材層（ 5 0〃m) /シ一ラント層（ 2 0 urn) 二層フィルムの成形に当たり、基材層の成形にはスクリユー径が 40mmの押出機を用い、シ一ラント層の成形にはスクリュー径が 30 mmの押出機を用い、そしてダイ幅が 3 0 cmの多層キヤスト成形機を使用した。成形温度は各層共に 2 2 0 °C、チルロ —ルの温度は 3 0 °C；、フィルムの引き取り速度は 1 0 (πιΖ分）とした。

シーラント層の樹脂組成物を示差走査型熱量計（D S C) で測定した融点ピークおよび透過型電子顕微鏡（T EM) で測定した相分離（海島構造）の有無について、その結果をそれぞれ表 2に示した。

また、得られた二層フィルムの物性評価を行うために、光学特性、ヒートシール強度、および剥離面からの糸引きの有無について次の方法で測定を行い、その結果を表 2に示した。 ( 1 ) 光学特性： AS TM D 1 0 0 3 - 6 1の方法に準拠して HAZ Eを測定し、単位％で表示した。

( 2 ) ヒートシール強度： 1 5 mm幅の短冊状試験片を 2枚作成し、シ一ラント層が互いに向かい合うように重ねて配置してから、基材フィルム側から所定の温度で、圧力 0. 2MP a、シール時間 1秒の条件でヒートシールを行った。その後、層間を 1 8 0 ° 方向に速度 3 0 0 (mmZ分）で剥離させ、その時の剥離強度を測定し、その値をヒートシール強度（ NZ 1 5 mm幅）として表した。

( 3 ) 糸引き現象：ヒートシール強度測定後のシール面の剥離状態を目視で観察し、次の基準で評価した。

〇：糸引き現象が発生しておらず、シール面が良好な外観を示している状態。

X ：シール面に糸引き状の樹脂が残査として残されており、外観が良好でない状態。

表 2

HSS例 1 2 鶴例 3 例 4 Hffl例 5 錢例 6 鐵例 9 比較例 1 比糊 2 比較例 3 樹脂誠（重置％)

• PE 1 80 70 一 ― 100 70 70

• PE2 70 55 40 25

• PE3 ― 一 ― 70 70 70 一一一

• p E 4 15 30 45

• PB 1 20 30 30

， PB2 30 30 30 30 30 ― ― ― 一

• PB 3 一一一一一一 30 一 30

. B 4. 一一 _ ― 一一 30

MF p_E/MFRp_B 2. 0 2. 0 6 1. 0 1. 6 1. 0 ά U o 0 U . 0 n 1

DSCによる ¾ϋビーク 112 112 120 108 108 108 112 120 104 120 104 123

(°C) 120 120 125 120 120 120 120 125 120 120 120

125 125 125

相分 »の有無ありありありありありありありありありなしありあり

HAZE (%) 6. 2 8 5. 5 8. 4 12. 7 7. 6 54 38 15 2. 9 4. 5 14. 1 ヒートシール強度

(N/15

•シール温度 120V 3. 5 4. g 5. 2 2. 4 1. 1 1. 0 4. 0 3. 5 3. 2 13. 1 1. 4 2. 0

130 7. 6 5. 3 5. 8 3. 0 1. 5 1. 1 6. 1 3. 8 3. 6 15. 0 2. 2 2. 4

140 8. 8 5. 9 6. 4 3. 9 1， 9 1. 9. 5 5. 4 5. 0 15. 8 3. 5 2. 4

150 8. 6 6. 3 6. 9 3. 7 2. 4 1. 8 9. 6 6. 5 6. 1 16. 4. 0 2. 2

160 8. 6 6. 4 7. 0 4. 1 2. 8 2. 0 9. 4 7. 3 7. 0 16. 8 4. 1 2. 4 糸引き現象発生の有無〇〇 O 0 O Ο Ο 〇〇 O X X

表 2に示した結果から明らかなように、各実施例で用いたェチレン重合体と 1一ブテン重合体との組成物からシ一ラント層を形成することによって、実用上必要なヒートシール強度が得られており、そのヒートシール強度は手による剥離可能な範囲にあって、両者間にバランスのとれた積層体フィルムが得られている。また剥離時に糸引きの現象も見られず、包装資材として適していることがわかる。また比較例と併せて考慮すると、 MFR_PE/MF R

_PB の値が糸引き現象の発生に密接した関係にあることがわかる。 (実施例 1 0〜 1 2 ) (比較例 4 )

シ一ラント層として表 1に記載した Ρ Ε 2を 7 5重量％、および Ρ Β 2を 2 5重量％の割合で配合した組成物を用い、基材フィルム層として直鎖状低密度ポリエチレン（密度 0. 9 20 c m³、メルトフローレ一ト 2. O g/ 1 0分）を用い、次の構成の二層フィルムを成形した。

フィルムの構成：

基材層（ 5 0 ^m) /シ一ラント層（ 20 m) 基材層の成形にはスクリュ一径が 4 0 mmの押出機を用い、シ —ラント層の成形にはスクリュ一径が 3 0 mmの押出機を用い、そしてダイ幅が 3 0 c mの多層キャスト成形機を使用した。成形温度は各層共に 2 20 °C、チルロールの温度は 30 °C；、フィルムの引き取り速度は 1 0 (m/分）とした。

得られた二層フィルムのシーラント層側に表 3に記載した各種の被着体フィルム（厚さ 2 0 0〃m) を重ね合わせ、前記したヒートシール強度の測定方法に用いたと同じ条件でヒートシ一ルを行い、その後ヒートシール強度を測定した。剥離面における糸引き現象発生の有無の状況も同時に観察し、その結果を表 3に併せて示した表 3

* L D P E ：低密度ポリエチレン HD P E :高密度ポリェチレン P P ：プロピレンホモポリマ一 P S ：ポリスチレン

(実施例 1 3〜： L 5 ) (比較例 5 )

実施例 1 0において、シラント層形成に使用した樹脂組成物を表 1に記載した P E 1を 6 0重量％、 P E 4を 1 5重量％、および P B 1を 2 5重量％から製造した組成物へと変更した以外は実施例 1 0と同様に行って、二層フィルムを成形した。

得られた二層フィルムのシ一ラント層側に表 4に記載した各種の被着体フィルム（厚さ 2 0 0〃m) を重ね合わせ、前記したヒ一トシール強度の測定方法に用いたと同じ条件でヒートシールを行い、その後ヒートシール強度を測定した。剥離面における糸引き現象の有無の状況も同時に観察し、その結果を表 4に併せて示した。表 4

表 3および 4に示した結果から明らかなように、被着体がポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムの場合にはシ一ラントフィルム層と良好に接着しており、そのヒートシール強度はィ —ジーピール性としても評価できる範囲にある。また剥離時に糸引き現象も見られず、包装資材として適していることがわかる。しかし、ポリスチレンフィルムには接着しなかった。

(実施例 1 6 )

厚さ 1 2 / mのポリエステル（P E T ) フィルムと厚さ 2 5 mの低密度ポリエチレンフィルムとをアンカーコート剤を用いて接合した 2層フィルムを準備し、その低密度ポリエチレンフィルム面上に厚さ 2 0〃mのシーラントフイルム層を押出しラミネ一ション成形法で積層して三層フイルムを得た。

シ一ラントフィルム層を形成する樹脂として、表 1に記載した P E 5が 8 0重量％および PB 3が 2 0重量％から製造した樹脂組成物を使用した。

押出しラミネ一シヨンは、スクリユー径 6 5 mm 、ダイ幅 5 0 Ommの押出しラミネ一ション成形機を用い、押出機設定温度は、次の通りであった。

C l/C 2/C 3/C 4/D =

2 0 0/2 70/3 0 5/3 0 5/ 3 0 5 ( °C ) 加工速度は、 8 0 (mZ分）であった。

押出しラミネーション成形時の成形状況および得られた三層フイルムの性状を調べ、その結果を表 5に記した。なお、表 5において、ネックイン、ドロ一ダウン性、およびヒートシール強度は次の方法で測定した。

( 1 ) ネックイン：シ一ラントフィルムを厚さ 20 mおよび引き取り速度 8 0 (m/分）になる条件で成形した時の、両耳部のネックインを測定した。

( 2 ) ドロ一ダウン性：シ一ラントフィルムの引き取り速度をネックイン測定時の条件から増加していき、フイルムが切断した時の引き取り速度で示した。

( 3 ) ヒートシール強度：得られた三層フィルムのシ一ラント層側に、厚さ 2 0 0〃mの高圧法低密度ポリェチレンフィルムを被着体として重ね合わせ、前記したヒートシール強度の測定方法に用いたと同じ条件でヒートシールを行い、その後ヒ一トシール強度を測定した。同時に剥離面における糸引き現象の有無の状況も観察した。 (比較例 6 )

実施例 1 6において、シ一ラントフィルム層を形成する樹脂として P E 5が 8 0重量％および P B 4が 2 0重量％から製造した樹脂組成物を用いた以外は、実施例 1 6 と同様に行って、三層フイルムを得た。押出しラミネーション成形時の成形状況および得られた三層フィルムの性状を調べ、その結果を表 5に併せて記した。

5

表 5に示した実施例 1 6の成形状況から明らかなように、実施例 1 6に用いた樹脂組成物は、ネヅクインが小さく、かつドロ一ダウン性に優れており、また成形時に樹脂の劣化が原因になる発煙も見られなかった。ここで、ネックインの値が大きくなると、フィルムの中心部と両端部との厚みの差が大きくなることを示しており、フィルム生産時にフィルム両端の裁断面積を大きくとらねばならず、実用上好ましくない。またドロ一ダウン性は、生産性の指標であって、ドロ一ダウン性が小さいと高速成形が難しくなる。

[産業上の利用可能性]

本発明に係わるシ一ラント樹脂組成物は、フィルム成形性が良好であって、それから成形したフィルムは実用上十分なヒートシール強度を有し、かつヒートシール性とピール性との間に適度のバランスが保たれている。また、そのフィルムは、ヒ一トシ一ル時におけるヒートシール強度の温度依存性が小さいことから、優れた自動包装機適性を有している。さらに、ヒートシールした時のシール面を強制的に剥離させた場合、そのシール面には樹脂残査が糸引き状態で残されていることはほとんどなく、食品包装に好適なフィルムである。しかも、そのフィルムは、ブロヅキングを起こしにくく、包装物へ臭気が移行することもほとんどない。従って、その樹脂組成物から成形したシーラントフィルム、そのシ一ラントフィルムを利用した積層体フィルムおよび容器は、ィ一ジ一ピール性のある密封包装材料として好適であって、特に食品包装に適している。

Claims

請求の範囲

1 . エチレンに由来する構成単位と 1ーブテンに由来する構成単位とを含む樹脂組成物であって、その組成物のメルトフローレ一トは 0. 2〜 3 0 ( g/ 1 0分）であって、またその組成物から成形したフィルムを 1 5 0 °Cでヒートシールした時のシール強度は 1〜： 1 0 (N/ 1 5 mm) であって、かつそのシ一ル面を引き剥がした時に糸引き状の樹脂残査が実質的に発生しないことを特徴とするシーラント樹脂組成物。

2. 前記の樹脂組成物は、示差走査型熱量計（D S C ) で測定した融点が 1 0 0〜 1 2 5 °Cのェチレン重合体、および同法で測定した融点が 7 0〜 1 3 0 °Cの 1 —プテン重合体とからなることを特徴とする請求の範囲 1に記載のシ一ラント樹脂組成物。

3. 前記の樹脂組成物は、 D S Cによって観察される融点ピークが 7 0〜 1 3 0 °Cの間に 2つ以上存在することを特徴とする請求の範囲 1に記載のシ一ラント樹脂組成物。

4. 前記の樹脂組成物は、最大ピーク面積を持つ融点ピークが 1 0 0〜 1 2 5 °Cの間に存在することを特徴とする請求の範囲 3に記載のシ一ラント樹脂組成物。

5. 前記の樹脂組成物は、その微細構造が海島構造をなしていることを特徴とする請求の範囲 1〜 4のいずれかに記載のシ一ラント樹脂組成物。

6. メルトフローレートが 0 . 2〜 3 0 ( g/ 1 0分）ヽ密度が 0 . 9 0 0〜 0 . 9 4 0 ( g/ c m³) のエチレン重合体 6 0〜 9 5重量％、およびメルトフ口一レートが 0. 1〜 2 5 ( g/ 1 0分）、 1 -プテン単位含量が 6 0〜 1 0 0モル％の 1 ―ブテン重合体 5〜 4 0重量％とからなる樹脂組成物であって、エチレン重合体のメルトフ口一レート（M F R_{P E}) と 1 —ブテン重合体のメルトフローレ一ト（M F R_{P B} ) との比、すなわち MF R_{P E}/ M F Rp_B が 1以上であることを特徴とするシ一ラント樹脂組成物。

7. 前記の 1―ブテン重合体は、その密度が 0. 8 8 0〜 0 . 9 2 5 ( g/ c m³ ) であることを特徴とする請求の範囲 6に記載のシ一ラント樹脂組成物。

8 . 前記の 1 —ブテン重合体は、そのメルトフローレートが 2〜 2 5 ( g/ 1 0分）であることを特徴とする請求の範囲 6または 7に記載のシ一ラント樹脂組成物。

9 . 前記の 1 —ブテン重合体は、そのメルトフローレ一トが 2 . 5〜 2 5 ( g/ 1 0分）であることを特徴とする請求の範囲 6または 7に記載のシ一ラント樹脂組成物。

1 0. 前記の 1 一ブテン重合体が、 1 一ブテン単独重合体であることを特徴とする請求の範囲 6〜 9のいずれかに記載のシーラント樹脂組成物。

1 1. 前記の 1 ーブテン重合体が、 1ーブテンとそれを除く炭素数 2 〜 2 0のひ一才レフィンとの共重合体であることを特徴とする請求の範囲 6 〜 9のいずれかに記載のシーラント樹脂組成物。

1 2 . 前記のエチレン重合体が、高圧法低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求の範囲 6 〜 1 1のいずれかに記載のシーラント樹脂組成物。

1 3 . 前記のェチレン重合体が、エチレンと炭素数 3 〜 2 0のひ —ォレフィンとからなる直鎖状エチレン · ひ一ォレフィン共重合体であることを特徴とする請求の範囲 6 〜 1 1のいずれかに記載のシ一ラント樹脂組成物。

1 4 . 前記のエチレン重合体が、高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状ェチレン · ひ一才レフィン共重合体とからなる組成物であることを特徴とする請求の範囲 6 〜 1 1のいずれかに記載のシーラント樹脂組成物。

1 5 . 前記のエチレン重合体は、高圧法低密度ポリエチレンの直鎖状エチレン ■ ひ一才レフィン共重合体に対する混合割合が、 0 / 1 0 0 - 7 5 / 2 5 (重量部）であることを特徴とする請求の範囲 1 4に記載のシーラント樹脂組成物。

1 6 . 前記の樹脂組成物が、押出しラミネ一ション成形、キャスト成形、またはインフレーション成形用の樹脂であることを特徴とする請求の範囲 1 〜 1 5のいずれかに記載のシ一ラント樹脂組成物。

1 7 . 請求の範囲 1〜 1 6のいずれかに記載のシ一ラント樹脂組成物からなるフィルムであって、その厚さが 3〜 1 0 0〃mであることを特徴とするシ一ラントフイルム。

1 8 . 前記のフィルムが、押出しラミネ一ション成形、キャスト成形、またはインフレーション成形法によつて製造されていることを特徴とする請求の範囲 1 7に記載のシ一ラントフィルム。

1 9 . 請求の範囲 1 7または 1 8に記載のシ一ラントフィルムの層と、ポリオレフインフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィノレム、ポリアミドフイノレム、ポリオレフインフィルムとガスバリャ一性樹脂フイルムとの積層フィルム、アルミニウム箔、および蒸着フイルムとからなる群から選ばれる少なくとも一つのフィルム層とを含むことを特徴とする積層体フイルム。

2 0 . 請求の範囲 1 7または 1 8に記載のシ一ラントフィルムの層と、ポリオレフインフィルム層と、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフインフィルムとガスノリャ一性樹脂フイルムとの積層フィルム、アルミ二ゥム箔、および蒸着フィルムとからなる群から選ばれる少なくとも一つのフィルム層とがこの順に積層されていることを特徴とする積層体フィルム。

2 1 . 請求の範囲 1 9 または 2 0に記載の積層体フィルムが、互いにそれらのシ一ラントフイルム層面どうしのヒートシールによつて密封されていることを特徴とする容器。

2 2 . 請求の範囲 1 9または 2 0に記載の積層体フイルムのシ一ラントフィルム層面と、ポリエチレン、エチレン ·酢酸ビニル共重合体、およびポリプロピレンからなる群から選ばれる樹脂の成形体とを向かい合わせてヒートシールすることによって密封されていることを特徴とする容器。

2 3 . 前記の成形体は、開口部に鍔を有する容器状成形体であつて、その開口部の鍔部にシーラントフィルム層面を重ね合わせて接合していることを特徴とする請求の範囲 2 2に記載の容器。