JPWO2020166658A1 - 活物質 - Google Patents

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Abstract

サイクル特性を高め、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くし、ハイレート特性も高めることができる、新たな活物質を提供する。シリコンと、化学式MxSiy(ここで、x及びyは、0.1≦x/y≦7.0を満たし、Mは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。)で表される化合物と、を含有する活物質粒子であり、Si元素の含有量は50wt%より多く、酸素原子(O)の含有量は30wt%未満であり、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で測定されるD50が4.0μm未満であり、Dmaxが25μm未満であり、CuKα1線を用いたX線回折パターンにおいて、2θ=28.42°±1.25°に出現するピークAの半値全幅が0.25°以上であり、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のいずれか一種又は二種以上が、活物質粒子内部に存在することを特徴とする活物質である。

Description

本発明は、活物質、それを用いた負極および固体電池に関する。
近年、電気自動車やスマートフォンといったアプリケーションの発達に伴い、電池の高容量化や高寿命化がさらに望まれている。現在、市販されている電池の負極は、そのほとんどが炭素材料(「グラファイト」とも称する)を負極活物質として使っているが、容量の面ではすでに理論限界に至っており、新たな負極活物質の開発が必要とされている。その有力候補の一つとして挙げられるのが、ケイ素を含有する活物質(「Si含有活物質」とも称する)である。
Si含有活物質は、質量当たりの容量がグラファイトの5〜10倍というポテンシャルを有している。しかしその反面、グラファイトと比べて電子伝導性が高くないという課題を有している。
そこで、Si含有活物質の電子伝導性を高めるために、例えば集電体と活物質との間の電子伝導性を付与する目的で導電助剤を添加することなどが提案されている。例えば特許文献1において、ケイ素を含む核粒子の周囲をMg2Si、CoSi、NiSi等のケイ素固溶体によって被覆し、更にその表面を黒鉛やアセチレンブラック等の導電性材料で被覆することが開示されている。
Si含有活物質はまた、リチウムイオンの挿入脱離による体積変化が大きく、充放電サイクル中に膨張・収縮を繰り返すため、充放電を繰り返すにつれて導電助剤との分離が起こりやすく、結果的にサイクルの劣化やエネルギー密度の減少を引き起こし、電池性能が低下し、また、電池の安全性が低下するという課題を抱えていた。
この課題を解消するために、例えば特許文献2は、ケイ素を含む活物質粒子に関し、平均粒径が5μm以上25μm以下の活物質粒子を開示している。活物質粒子の平均粒径を5μm以上とすることで、元々の活物質の比表面積を低減でき、これにより電解質と活物質新生面の接触面積を低減できるため、サイクル特性の向上効果及び活物質膨化の抑制効果が大きくなる旨が記載されている。
また、特許文献3において、リチウムの挿入脱離の効率が高い電極材料として、シリコンを主成分とする固体状態の合金の粒子からなるリチウム二次電池用の電極材料において、前記固体状態の合金の粒子は微結晶シリコンあるいは非晶質化シリコンの中に、シリコン以外の元素からなる微結晶あるいは非晶質が分散していることを特徴とするリチウム二次電池用の電極材料を開示している。
さらに、特許文献4において、ケイ素、銅および酸素を主要な構成元素とするリチウム二次電池用負極活物質であって、CuSiおよびX線回折法により測定される平均結晶子径(Dx)が50nm以下のケイ素粒子を含み、XRDの測定結果から算出されるピーク強度比(CuSi/Si)が0.05から1.5であるリチウム二次電池用負極活物質を開示している。
特開2000−285919号公報 特開2008−123814号公報 特開2010−135336号公報 特開2016−35825号公報
上記特許文献3には、シリコン中に、シリコン以外の元素からなる微結晶或いは非晶質が分散している材料、または、シリコン中に、シリコンの元素の合金が分散している材料を負極活物質として使用することが開示されている。リチウムイオンの挿入脱離に寄与するのは、負極活物質中のシリコンのみであるため、シリコンの占有割合が低下すれば、容量は低下する一方、負極活物質の膨張収縮を抑えることができ、理論的にはサイクル特性を向上させることができるはずである。
しかしながら、例えばシリコン中に、シリコン以外の元素の合金を混合してリチウム二次電池の負極活物質として実際に使用してみると、サイクル特性を期待した程度に向上させることができないことが分かってきた。
また、Si含有負極活物質を、黒鉛などの炭素材料(Graphite)と組み合わせて負極活物質として使用することが検討されている。しかし、Si含有負極活物質を炭素材料と組み合わせて負極活物質として使用すると、それぞれの充放電曲線プロファイルの違いによって両者は別々に作動するため、制御し難いという課題を抱えている。
この点について本発明者が検討したところ、炭素材料(Graphite)の放電プロファイルと比較すると、Si含有負極活物質の放電プロファイルは、そのプラトー領域が炭素材料(Graphite)の作動電位と異なるため、Si含有負極活物質を炭素材料と組み合わせて負極活物質として使用すると、充放電曲線に段部が生じ、これが制御し難い原因の一つであることが分かってきた。そのため、Si含有負極活物質の放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことで、充放電曲線の立ち上がり部分における段部を低減若しくは無くすことができ、制御し易くなると考えることができる。
さらにまた、リチウム二次電池では、急速充放電特性を求められており、ハイレート特性の改善が求められている。
そこで本発明は、シリコン含有活物質に関し、サイクル特性を高めることができ、しかも、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことができ、さらにはハイレート特性を向上することができる、新たな活物質を提供せんとするものである。特にサイクル特性をより改善することができる、新たな活物質を提供せんとするものである。
本発明は、シリコンと、化学式MSi(ここで、x及びyは、0.1≦x/y≦7.0を満たし、Mは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。)で表される化合物と、を含有する活物質粒子からなり、
活物質中のSi元素の含有量は50wt%より多く、酸素原子(O)の含有量は30wt%未満であり、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られるD50及びDmax(それぞれ「D50」「Dmax」と称する)に関し、D50が4.0μm未満であり、Dma が25μm未満であり、
CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=28.42°±1.25°に出現するピークAの半値全幅が0.25°以上であり、
酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のいずれか一種又は二種以上が、活物質粒子内部に存在することを特徴とする活物質を提案する。
本発明が提案する活物質は、負極活物質として用いることができる。また、本発明の活物質は、液系電池や固体電池等の電池に用いることができ、中でも固体電池に好適に用いることができる。特に本発明の活物質は、固体電解質として硫化物固体電解質を含む固体電池に用いられることが有利である。本発明の活物質を用いた固体電池は、サイクル特性を高めることができ、かつハイレート特性も向上することができる。特に本発明が提案する活物質は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド又はステンレス鋼が、粒子内部に存在する活物質粒子からなるものであるため、膨張収縮による割れの影響を低減することができ、サイクル特性をより高めることができる。
また、本発明が提案する活物質は、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことができるから、単独使用において効果を発揮するだけでなく、例えば炭素材料(Graphite)と組み合わせて、電池、中でも固体電池、その中でも固体リチウム二次電池等の固体二次電池の負極活物質として好適に使用することができ、さらにはハイレート特性も向上することができる。
実施例1で得られたサンプルを活物質として使用した非水電解液二次電池の放電プロファイルを示した図である。 比較例1で得られたサンプルを活物質として使用した非水電解液二次電池の放電プロファイルを示した図である。 NIST製のX線回折用標準試料であるシリコン粉末材料の回折パターン図である。 参考例1で得られたサンプルの回折パターン、ICDDカード番号:00−005−0565(化学式:Si)と01−071−0187(化学式:TiSi2)のカードを比較、照合している図である。 本願活物質粒子(実施例2)の断面を図示したものである。
次に、実施形態の一例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態の一例に限定されるものではない。
<本活物質>
本実施形態の一例に係る活物質(以下「本活物質」と称する)は、シリコンと、化学式MxSiy(ここで、x及びyは、0.1≦x/y≦7.0を満たし、Mは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。)で表される化合物と、を含有する活物質粒子(以下「本活物質粒子」と称する)からなる活物質であり、当該活物質粒子の集合体である。
(シリコン)
本活物質粒子において、シリコンは、リチウムイオンの挿入及び脱離をすることができるSiの意味でもある。すなわち、本活物質粒子は、シリコンを含むことにより、本活物質粒子としての機能を有する。
ここで、シリコンは、主に純シリコンを指すが、Siに固溶する元素を含有して、Si固溶体を形成していてもよい。この場合、Si固溶体が活物質としての機能を有していてもよい。
本活物質におけるシリコンの割合は、本活物質の30wt%以上であるのが好ましく、中でも40wt%以上、その中でも50wt%以上であるのがより好ましい。
なお、本活物質において、シリコンの割合が充放電容量に影響して充放電容量を大きくするためには、シリコンが本活物質の主成分であることが好ましく、このような観点から、本活物質におけるシリコンの割合は、中でも50wt%より多いことが好ましく、特に60wt%以上であることが好ましい。
(化学式MSi
本活物質粒子は、化学式MSi(ここで、x及びyは、0.1≦x/y≦7.0を満たし、Mは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。)で表される化合物を含有する。
本活物質粒子は、MSiで表される化合物を含有することで、サイクル特性をより一層高めることができ、しかも、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことができ、さらにはハイレート特性を向上することができる。
化学式MSi(0.1≦x/y≦7.0)で表される化合物は、いわゆるシリサイドと称される。
化学式MSiの「M」とは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。すなわち、Mは、Si以外の、半金属元素であってもよく、金属元素であってもよく、半金属元素及び金属元素の中の2種以上の組合せであってもよい。
当該半金属元素及び金属元素としては、例えばB、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Ta及びW等の元素を挙げることができ、中でもB、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Ta及びWが好ましい。さらにその中でもB、Ti、Mn、Fe、Co、Niが好ましく、その中でも特に、B、Ti、Mn、Feが好ましい。
化学式MSiにおける「x/y」は、0.1以上7.0以下であるのが好ましく、中でも0.2以上或いは4.0以下、その中でも0.3以上或いは3.0以下、その中でも0.4以上或いは2.0以下であるのがさらに好ましい。
また、化学式MSiにおける「x」は、0.5以上15以下であるのが好ましく、中でも0.75以上或いは13以下、その中でも1以上或いは11以下であるのがさらに好ましい。
他方、「y」は、0.5以上27以下であるのが好ましく、中でも0.75以上或いは23以下、その中でも1以上或いは19以下であるのがさらに好ましい。
上記シリサイドの具体例としては、チタンシリサイド(TiSi、TiSi、TiSi、TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi2、CoSi、CoSi、CoSi、CoSi)、ニッケルシリサイド(NiSi2、NiSi、NiSi、NiSi、NiSi、NiSi)、マンガンシリサイド(Mn11Si19、MnSi、MnSi、MnSi、MnSi)、鉄シリサイド(FeSi、FeSi、FeSi、FeSi)、ニオブシリサイド(NbSi、NbSi、NbSi)、銅シリサイド(CuSi、CuSi、CuSi)、ホウ素シリサイド(BSi、BSi)ジルコニウムシリサイド(ZrSi、ZrSi、ZrSi、ZrSi、ZrSi、ZrSi、ZrSi)、バナジウムシリサイド(VSi、VSi、VSi、VSi)、タングステンシリサイド(WSi、WSi)、タンタルシリサイド(TaSi、TaSi、TaSi、TaSi)、イットリウムシリサイド(YSi、YSi、YSi、YSi)等を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
(化合物A)
本活物質粒子は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のいずれか一種又は二種以上の化合物(「化合物A」とも称する)を含有し、且つ、当該化合物は本活物質粒子内部に存在するものである。
このような化合物Aが本活物質粒子の粒子内部に存在することにより、本活物質を、例えば二次電池の活物質として使用して充放電を繰り返した際、本活物質粒子が膨張収縮を繰り返すことによる割れの影響を低減することができ、サイクル特性をより高めることができる。
なお、前記化合物Aが本活物質粒子内部に存在するか否かは、活物質粒子断面を観察して判定することができる。また、実施例において後述するように、電極断面における活物質粒子断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)とエネルギー分散型X線分析
(EDS)を用いて、観察することにより判定することができる。
本活物質粒子内部に存在する上記化合物Aの含有量(二種類以上含有する場合は、それらの合計含有量)は、本活物質に対して0wt%より大きく、15wt%未満が好ましい。中でも、0.001wt%より大きいのがさらに好ましく、その中でも0.01wt%より大きく、その中でも0.10wt%より大きいのがさらに好ましい。他方、中でも9wt%未満であるのがさらに好ましく、その中でも7wt%未満、さらにその中でも2wt%未満、特に1wt%未満であるのがさらに好ましい。
上記化合物Aの含有量は、ガス分析やICP分析の結果を元に算出できる。例えば、窒化ケイ素を含む場合は、ガス分析により、窒素元素の含有量(wt%)を測定し、この窒素を窒化ケイ素由来のものとして考えて、窒化ケイ素の含有量(wt%)を算出することができる。また、酸化ジルコニウムを含む場合は、ICP分析により、ジルコニウムの含有量(wt%)を測定し、このジルコニウムを酸化ジルコニウム由来のものとして考えて、酸化ジルコニウムの含有量(wt%)を算出することができる。
本活物質粒子の粒子内部に化合物Aを存在させるようにするためには、後述するように化合物Aを添加するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
本活物質粒子は、必要に応じて「その他の成分」を含有していてもよい。
「その他の成分」としては、例えばケイ素化合物といったケイ素含有物質を挙げることができる。ここで、当該ケイ素化合物としては、例えばSiやSiC等が挙げられる。
また、「その他の成分」として、例えば、化学式MSiで表される化合物の構成元素としてではなく、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上の元素を有する金属、酸化物、炭化物及び窒化物等として含有していてもよい。具体的には、H、Li、B、C、O、N、F、Na、Mg、Al、P、K、Cu、Ca、Ga、Ge、Ag、In、Sn及びAuのうちの1種又は2種以上の元素を有する金属、酸化物、炭化物、窒化物等の化合物を挙げることができる。上記元素としては、中でも、H、Li、B、C、O、N、F、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ga、Ge、Ag、In、Sn及びAuのうちの1種又は2種以上の元素であることが好ましく、特に、H、Li、B、C、O、N、F、Al、P及びSnのうちの1種又は2種以上の元素であることが好ましい。この際、本活物質において、「その他成分」の含有量は、15at%未満であるのが好ましく、中でも0at%より多い或いは12at%未満、その中でも1at%より多い或いは10at%未満、さらにその中でも2at%より多い或いは7at%未満であるのが好ましい。
本活物質粒子が「その他の成分」として炭素(C)元素を含むとき、その含有量は活物質量の5wt%未満、中でも4wt%未満、その中でも特に3wt%未満であるのが好ましい。本活物質中のC元素の含有量が上記上限を有することで、容量の低下を抑制することが可能となる。後述する実施例・比較例の評価において、充電容量の数値は本発明の根幹となるものであり、本発明はCを多く含む容量が低い活物質とは一線を画すものである。
(炭素成分種)
本活物質が「その他の成分」として炭素(C)元素を含むとき、その炭素には、大きく分けて、有機物に由来する炭素と、無機物に該当する炭素とが包含される。
ここで、無機物に該当する炭素として、ダイヤモンドや黒鉛などを挙げることができる。黒鉛などの整った層状構造を持つ炭素材料は、多くのLiを吸蔵するため(≧300mAh/g)、本活物質に含まれる無機物に該当する炭素としては好ましくない。本活物質に含まれる無機物に該当する炭素としては、Li吸蔵能力の低いもの(<300mAh/g)が好ましい。具体的な例としては、例えば活性炭、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、アモルファスカーボンなどを挙げることができる。中でも活性炭、コークス、炭素繊維、アモルファスカーボンが好ましい。
よって、本活物質に含まれる炭素成分種としては、有機物に由来する炭素、または、Li吸蔵能力の低い(<300mAh/g)無機物に該当する炭素(ex:活性炭、コークス、炭素繊維、アモルファスカーボン)が好ましい。
本活物質粒子は、原料由来の不回避不純物を含有していてもよい。
但し、本活物質中の不回避不純物の含有量は、例えば2wt%未満であることが好ましく、中でも1wt%未満、その中でも0.5wt未満であることが好ましい。本活物質中の不回避不純物の含有量が上記上限を有することで、容量の低下を抑制することが可能となる。
本活物質粒子は、Si元素を含むSi酸化物を含有していてもよい。上記Si酸化物としては、例えばSiO(0<a≦2)を挙げることができる。具体的には、SiO、SiO等を挙げることができる。
(各成分の含有割合)
本活物質中のSi元素の含有量は、50wt%より多いことが好ましい。中でも、52wt%より多いことが好ましく、特に60wt%より多いことが好ましく、さらに63wt%より多いことが好ましく、さらにその中でも、65wt%より多いことが好ましい。一方、本活物質中のSi元素の含有量は、例えば、98wt%未満であることが好ましく、中でも88wt%未満であることが好ましく、さらに82wt%未満であることが好ましく、さらにその中でも78wt%未満であることが好ましい。
なお、ここでのSi元素の含有量は、本活物質中に含まれるSi元素の総量を指す。したがって、上記Si元素の含有量は、主に、シリコンに由来するSi元素、MSiで表される化合物に由来するSi元素の合計量とすることができる。
本活物質において、Si元素の含有量が上記下限を有することで、容量の低下を抑制することができる。一方、Si元素の含有量が上記上限を有することで、活物質の膨張収縮を抑えることができ、サイクル特性を向上させることができる。
本活物質中の酸素(O)元素の含有量は、30wt%未満であるのが好ましい。中でも20wt%未満であることが好ましく、特に15wt%未満であることが好ましく、さらに10wt%未満であることが好ましく、さらにその中でも5wt%未満であることが好ましい。また、本活物質中の酸素(O)元素の含有量は、例えば、0wt%より多いことが好ましく、中でも0.1wt%より多いことが好ましく、特に0.2wt%より多いことが好ましく、さらにその中でも0.6wt%より多いことが好ましい。
本活物質において、酸素(O)元素の含有量が上記上限を有することで、充放電に寄与しない酸素(O)元素の比率の上昇の抑え、容量や充放電効率の低下を抑制することができる。いわゆるSiO(一酸化ケイ素)は、ストイキ組成であれば酸素を36%程度含む物質であり、容量や充放電効率が低いため、本願発明とは異なるものである。一方、酸素(O)元素の含有量が上記下限を有することで、大気中の酸素と急激な反応を起こしにくくすることができる。
本活物質中のMの含有量は、38wt%未満であるのが好ましい。中でも35wt%未満であることがより好ましく、その中でも32wt%未満であることがより好ましく、特に29wt%未満であることがより好ましい。また、本活物質中のMの含有量は、2wt%より多いことが好ましく、その中でも5wt%より多いことがより好ましく、特に8wt%より多いことがより好ましく、さらに12wt%より多いことが好ましい。
本活物質中のMの含有量が上記下限を有することで、活物質の膨張収縮を抑えることができ、サイクル特性を向上させることが可能となる。一方、本活物質中のMの含有量が上記上限を有することで、容量の低下を抑制することが可能となる。
本活物質中の、Si元素の含有量(wt%)に対する、Mの含有量(wt%)の比率(M/Si)は、例えば、0.020より大きいことが好ましく、中でも0.052より大きいことが好ましく、特に0.078より大きいことが好ましく、その中でも特に0.183より大きいことが好ましい。
一方、Si元素の含有量に対する、Mの含有量の比率(M/Si)は、例えば、0.961未満であることが好ましく、中でも0.767未満であることが好ましく、特に0.572未満であることが好ましく、その中でも特に0.414未満であることが好ましい。
本活物質中のSi元素の含有量に対するMの含有量の比率が上記下限を有することで、活物質の膨張収縮を抑えることができ、サイクル特性を向上させることが可能となる。一方、本活物質中のSi元素の含有量に対するMの含有量の比率が上記上限を有することで、容量の低下を抑制することが可能となる。
前記各元素の含有量は、本活物質を全溶解して、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析などの化学分析によって定量される元素量である。
他方、酸素元素含有量については、酸素・窒素分析装置(例えばLECO社製)を用いて測定することができる。なお、酸化ジルコニウムなどの酸化物を含有する場合、それらに由来した酸素が含まれる数値となる。
(X線回折パターンにおける特徴1)
本活物質は、CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=28.42°±1.25°に出現するピークAの半値全幅が0.25°以上であるのが好ましい。
2θ=28.42°±1.25°に出現するピークAは、シリコンの、空間群Fd−3mの(111)面に相当するピークである。
なお、2θ=28.42°±1.25°の範囲に複数のピークが存在している場合は、その中でも、2θ=28.42°に最も近い位置にあるピークをピークAとする。
また、2θ=28.42°±1.25°の範囲にピークAが出現しているか否かの判定基準すなわちノイズとの差別化の判定基準は、実施例において後述するため、ここでの記載は省略する。
ピークAが出現する領域は、CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=28.42°±1.25°の中でも2θ=28.42°±0.63°であってもよく、その中でも2θ=28.42°±0.31°であってもよく、さらにその中でも2θ=28.42°±0.21°であってもよい。
ピークAの半値全幅は、0.25°以上であることが好ましく、中でも0.50°より大きいことが好ましく、その中でも0.60°より大きいことがさらに好ましく、特に0.70°より大きいことが好ましく、さらに0.75°より大きいことが好ましい。一方、ピークAの半値全幅は、例えば、2.0°未満であることが好ましく、中でも1.5°未満であることが好ましく、特に1.2°未満であることが好ましく、さらに1.0°未満であることが好ましい。
本活物質は、ピークAの半値全幅が上記下限を有することで、サイクル特性が向上すると共に、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことができ、ハイレートでの放電特性を向上することができる。一方、ピークAの半値全幅が上記上限を有することで、充放電容量や充放電効率の低下を抑制することができる。
本活物質において、ピークAの半値全幅を上記範囲に調整するには、例えば、上記Mを所定量原料に添加して溶融し、鋳造し、さらに後述するような改質処理を行うようにすればよい。但し、かかる方法に限定するものではない。
さらに、本活物質は、化学式MSiで表される化合物に帰属するピークBのピーク強度をIとし、前記ピークAのピーク強度をIとしたとき、前記Iに対する前記Iの比(I/I)は1未満であるのが好ましい。
ここで、「化学式MSiで表される化合物に帰属するピークB」とは、上記化合物が存在することで出現するピークであることを意味する。
このような「ピークB」は、前記化学式MSiで表される化合物、いわゆるシリサイドに由来するピークの中で、ピーク強度が最大であるピークを指す。
また、MSiが複数種類存在する場合は、それぞれの化合物に由来する最大ピークのピーク強度の合計値を「ピークB」の強度として取り扱うこととする。
CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、ピークBが出現する領域は、化学式MSiで表される化合物の種類に応じて異なる。具体例として、TiSiとMn11Si19の場合を記載する。TiSi(ICDDカード番号:01−071−0187)の場合は、2θ=39.11°に最大ピークを有し、Mn11Si19(ICDDカード番号:03−065−2862)の場合は、2θ=42.00°に最大ピークを有することがわかっている。ただし、これらのピーク位置はシフトする可能性があるため、回折パターン全体を見て、それぞれのピーク位置をベースに±1.25°の範囲を確認するのが好ましい。
なお、ピークBが出現しているか否かの判断基準については、ピークAと同様であり、その詳細については実施例において後述するため、ここでの記載は省略する。
本活物質において、前記Iに対する前記Iの比(I/I)は、例えば、0.90未満であることがより好ましく、中でも0.80未満であることが好ましく、特に0.72未満であることが好ましく、さらに0.40未満であることが好ましい。
また、充放電効率の低下を抑制するためには、前記Iに対する前記Iの比(I/I)は0.01より大きいことが好ましく、中でも0.05より大きいことが好ましく、特に0.10より大きいことが好ましい。
本活物質は、前記Iに対する前記Iの比(I/I)が上記上限を有することで、放電プロファイルにおけるプラトー領域をより一層確実に低減若しくは無くすことができる。
本活物質において、前記Iに対する前記Iの比(I/I)を上記範囲に調整するには、例えば、上記Mを所定量原料に添加して溶融し、鋳造し、さらに後述するような改質処理を行うようにすればよい。但し、かかる方法に限定するものではない。
(X線回折パターンにおける特徴2)
本活物質は、CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、前記ピークAのピーク強度Iは、例えば20000cps未満であることが好ましく、中でも7000cps未満であることが好ましく、特に4000cps未満であることが好ましく、さらに3000cps未満であることが好ましく、さらにその中でも2000cps未満であることが好ましい。一方、ピークAのピーク強度Iは、例えば100cpsより大きいことが好ましく、中でも200cpsより大きいことが好ましく、特に400cpsより大きいことが好ましい。
ピーク強度Iが上記上限を有することで、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことができる。一方、ピーク強度Iが上記下限を有することで、充放電効率の低下を抑制することができる。
本活物質において、ピークAのピーク強度Iを上記範囲に調整するには、例えば、上記Mを所定量原料に添加して溶融し、鋳造し、さらに後述するような改質処理を行うようにすればよい。但し、かかる方法に限定するものではない。
ところで、前記特許文献4において、シリコンのピークとシリサイドのピーク強度を比較し、シリサイドのピーク強度が高いものも開示されている。しかし、そのいずれも、シリサイドの量が、シリコンに対して比較的多く含まれているものであるため、負極活物質として得られる容量の点で劣るものであった。これに対し、本活物質は、シリサイドの量が一定以下、すなわち充放電に寄与できるシリコン量が多いものであるから、負極活物質として得られる容量が比較的高く、しかも、シリコンのピーク強度がシリサイドのピーク強度よりも低いものであるという特徴を有している。
(D50・Dmax
本活物質のD50、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるD50は4.0μm未満であるのが好ましく、中でも3.9μm未満であることがより好ましく、特に3.4μm未満であることが好ましく、さらに3.2μm未満であることが好ましく、さらにその中でも3.0μm未満であることが好ましく、さらにまた2.8μm未満であることが好ましい。さらに、2.5μm未満であることが好ましい。一方、本活物質のD50は、0.01μmより大きいことが好ましく、中でも0.05μmより大きいことが好ましく、特に0.1μmより大きいことが好ましく、さらにその中でも0.5μmより大きいことが好ましく、さらにまた1.0μmより大きいことが好ましい。
なお、本測定方法によるD50とは、50%体積累積粒径、すなわち体積基準粒度分布のチャートにおいて体積換算した粒径測定値の累積百分率表記の細かい方から累積50%の径を意味する。
本活物質のD50は、上記上限を有することで、膨張・収縮の影響を小さくでき、固体電池電極中における固体電解質との接点が確保できる。一方、本活物質のD50は、上記下限を有することで、比表面積が大きくなることによる固体電解質との接点数の増加を抑制し、接触抵抗の上昇を抑えることができる。
本活物質のD50は、解砕条件や粉砕条件を変えることにより調整することができる。但し、これらの調整方法に限定されるものではない。
本活物質のDmax、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒度分布測定によるDmaxは25μm未満であるのが好ましく、中でも20μm未満であることがより好ましく、特に15μm未満であることが好ましく、さらに10μm未満であることが好ましい。一方、本活物質のDmaxは、例えば、0.5μmより大きいことが好ましく、中でも1.0μmより大きいことが好ましく、その中でも特に3.0μmより大きいことが好ましく、さらにその中でも5.0μmより大きいことが好ましい。
その測定方法によるDmaxとは、100%体積累積粒径、すなわち体積基準粒度分布のチャートにおいて体積換算した粒径測定値の累積百分率表記の累積100%の径を意味する。
本活物質のDmaxは、上記上限を有することで、固体電池電極中における固体電解質との間に隙間が生じることや、セパレータ層を突き破るリスクを低減できる。
(粒子形状)
本活物質の粒子形状は、特に限定されるものではない。例えば球状、多面体状、紡錘状、板状、鱗片状若しくは不定形又はそれらの組み合わせを用いることができる。例えばガスアトマイズ法によれば球状となり、ジェットミルなどにより粉砕すると、粒界に沿って粒子が割れるために不定形状になることが確認されている。
(真密度)
本活物質の真密度は、例えば2.4g/cmより大きいことが好ましく、中でも、2.5g/cmより大きいことが好ましく、特に2.7g/cmより大きいことが好ましく、さらに2.9g/cmより大きいことが好ましい。一方、本活物質の真密度は、例えば3.9g/cm未満であることが好ましく、中でも3.8g/cm未満であることが好ましく、特に3.7g/cm未満であることが好ましい。
本活物質の真密度は上記下限を有することで、電極密度を向上させることができ、エネルギー密度を向上させることができる。一方、本活物質の真密度は上記上限を有することで、活物質中のSi元素の含有量が減少し、容量が少なくなるといった不具合の発生を抑制することができる。
本活物質の真密度は、例えば、Mの量により調整することができる。但し、かかる方法に限定するものではない。
(比表面積)
本活物質の比表面積(SSA)は、例えば2.0m/gより大きいことが好ましく、中でも2.5m/gより大きいことが好ましく、特に3.0m/gより大きいことが好ましく、さらに3.3m/gより大きいことが好ましい。一方、本活物質の比表面積(SSA)は、例えば140.0m/g未満であることが好ましく、中でも60.0m/g未満であることが好ましく、その中でも50.0m/g未満であることが好ましく、特に30.0m/g未満であることが好ましく、さらに10.0m/g未満であることが好ましい。
本活物質のSSAが上記下限を有することで、表面の改質が十分になされており、電極抵抗を低下させることができる。一方、本活物質SSAが上記上限を有することで、固体電解質との接点数の増加を抑制し、接触抵抗の上昇を抑えることができる。
本活物質のSSAは、例えば粉砕条件や改質条件により調整することができる。但し、これらの調整方法に限定されるものではない。
<本活物質の製造方法>
本活物質は、ケイ素又はケイ素(Si)含有物質と、M又はM含有物質と、化合物Aと、必要に応じてその他の原料物質とを混合して加熱溶融して合金化し、必要に応じて解砕乃至粉砕を行い、必要に応じて分級を行った後、強力な衝撃力を利用した改質装置を用いて改質処理して得ることができる。但し、このような方法に限定されるものではない。
ここで、上記「ケイ素又はケイ素(Si)含有物質」とは、純シリコン及びケイ素酸化物のほか、SiやSiC等のケイ素化合物などのケイ素含有物質を包含する意味である。
上記化合物Aとしては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド、ステンレス鋼などを挙げることができ、これらのうちに一種であっても、二種以上の組合せであってもよい。
添加化合物Aを添加するタイミングは、上記のように、他の原料と混合するようにしてもよいし、解砕乃至粉砕工程での混合、分級工程での混合でもよく、改質処理工程時、またはそれより前段階であればよい。中でも、改質処理工程時に添加するのが好ましい。
上記合金化方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば本活物質は、ケイ素又はケイ素(Si)含有物質と、上記M又は上記M含有物質と、必要に応じてその他の原料物質とを混合して加熱して溶融液とした後、アトマイズ法などによって合金化させてもよいし、又、前記のように溶融液とした後、ロール鋳造法により鋳造し、さらに非酸素雰囲気下で粉砕を行って合金化させてもよい。
その他の合金化方法を採用してもよい。
原料を上記のように加熱して溶融液とした場合、その溶融液が冷却した際にMSiが生成することになる。但し、本発明において金属を溶融させる方法として、特開2010−135336号公報に記載されるようなアーク溶解工程を行わないことが好ましい。これは、特開2011−518943号公報の段落[0029]及び、特開2014−513197号公報の段落[0011]に記載されるとおり、アーク溶解を行うと残留大気により酸化が起こる場合があるためである。一度、原料中に大量の酸素が取り込まれてしまうと、後の工程で取り除くことは難しい。
上記のアトマイズ法としては、例えば、国際公開WO01/081033号パンフレットの図2に記載の装置を用いて、自発核生成による沸騰を起こさせて生じる圧力波を利用して、冷却媒中に滴下した溶融金属を合金化する方法(この合金化方法を本明細書では「水蒸気爆発アトマイズ法」と称する)を採用するのが好ましい。
上記合金化した後、必要に応じて解砕乃至粉砕を行い、必要に応じて分級を行って粒度を調整するのが好ましい。
強力な衝撃力を利用した改質装置を用いて行う改質処理は、条件設定によってメカニカルミリング或いはメカニカルアロイングなどを行うことができる装置を使用する改質処理であり、本活物質の比表面積(SSA)を大きくすることができ、且つ、上述のように前記Iに対する前記Iの比(I/I)を1未満にすることができる処理である。
なお、例えば特開2010−135336号公報に記載されるような遊星ボールミルでは、上述した装置を用いた場合に比べて、Si元素量が多く、Mの量が少ないサンプルにおける、前記Iに対する前記Iの比(I/I)を1未満にすることは困難である。また、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライタ、ボールミルなどで処理を行った場合、特に本願のようにシリサイドの量が少ない活物質において、より強い凝集が起こってしまうため、本発明が規定するD50やDmaxの範囲よりも大きくなってしまう。これは固体電池向けに使用する負極活物質としては不向きである。
さらに、例えば、先行文献などでは、Si粉末と、Siとシリサイド形成する元素の粉末とをボールミルに入れて反応によりシリサイドを製造する方法が提案されている。しかし、その場合、反応が不均一に起きるため、原料元素がそのまま残留するリスクが高くなるため、本発明の目的物を得るための製造方法としては不向きである。
上記改質処理としては、例えば、反応槽内に回転羽根を備えた処理装置を使用し、回転する羽根の周速を、例えば3.0m/s以上20.0m/s以下とし、反応槽内に投入する媒体として、本活物質のD50に対して例えば1500倍以上4000倍以下程度の粒径のビーズを使用して処理するのが好ましい。
上記回転羽根の周速は、ピンミルが例えば100m/s以上130m/s以下程度であることを考慮すると、微粉砕処理する際の周速に比べると遅いと言える。かかる観点から、回転羽根の周速は例えば4.0m/s以上或いは17.0m/s以下であることが好ましく、中でも4.5m/s以上或いは15.0m/s以下、その中でも5.0m/s以上或いは12.0m/s以下であることが好ましい。なお、撹拌羽根のサイズが変わった場合も、周速を合わせることで、同等の効果を得ることができる。
また、上記改質処理は低酸素雰囲気中で行うのが好ましく、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気中で行うのが好ましい。
また、ビーズミルやボールミルなどの粉砕機において、反応槽内に投入する媒体は、その大きさの1/1000程度まで粉砕できると言われている。よって、本活物質のD50に対して例えば1500倍以上4000倍以下程度の粒径のビーズを使用するということは、粉砕よりも表面改質が優先的に行われていることになる。
かかる観点から、反応槽内に投入する媒体の粒径は、例えば4mmφ以上10mmφ以下であることが好ましく、中でも5mmφ以上或いは8mmφ以下、その中でも6mmφ以上或いは7mmφ以下であることがさらに好ましい。
媒体の材質としては、例えばSiO、Al、ZrO、SiC、Si、WC等を挙げることができ、中でも、Al、ZrO、SiC、Siが好ましい。
<本活物質の用途>
本活物質は、電池、中でも固体電池、その中でも固体リチウム二次電池等の固体二次電池の負極活物質として好適に使用することができる。例えば固体電解質として硫化物固体電解質を含む固体電池の負極活物質として好適に用いることができる。
<本負極>
本実施形態に係る負極(以下「本負極」と称する)は、本活物質を含有する。
本負極は、負極合剤により構成される部材である。
当該負極合剤は、例えば、本活物質と、必要に応じてバインダーと、必要に応じて導電材と、必要に応じて固体電解質と、必要に応じて別の負極活物質としてのグラファイトとを含有していてもよい。また、本負極は、負極集電体上に負極合剤を塗布して形成することができる。
本負極は、例えば固体電池に用いることができる。より具体的には、リチウム固体電池に用いることができる。リチウム固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でもリチウム二次電池に用いることが好ましい。
ここで、「固体電池」とは、液状物質又はゲル状物質を電解質として一切含まない固体電池のほか、少量、例えば10wt%以下の液状物質又はゲル状物質を電解質として含む固体電池も包含する。
(バインダー)
バインダーは、負極に用いることができる材料であれば特に限定されない。例えば、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせてもよい(以下、これらを総称して「ポリイミド等」とも言う。)。更にこれら以外のバインダーを更に併用してもよい。
なお、バインダーの詳細については、公知のバインダーと同じとすることができるため、ここでの記載は省略する。
(導電材)
バインダーは、負極に用いることができる材料であれば特に限定されない。例えば、金属微粉や、アセチレンブラック等の導電性炭素材料の粉末等が挙げられる。導電材として金属微粉を用いる場合には、Sn、Zn、Ag及びIn等のリチウムイオン伝導性を有する金属又はこれらの金属の合金等の微粉を用いることが好ましい。
(固体電解質)
固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質、ハロゲン化物固体電解質等が挙げられるが、中でも硫黄(S)元素を含有する硫化物固体電解質であることが好ましい。
硫化物固体電解質は、結晶性材料、ガラスセラミックス、ガラスのいずれであってもよい。例えばLiPS、Li10GeP12、Li3.25Ge0.250.7 、30LiS・26B・44LiI、63LiS・36SiS・LiPO、57LiS・38SiS・5LiSi、70LiS・30P、50LiS・50GeS、Li11、Li3.250.95、Li7−xPS6−xHa(0.2<x<1.8)などで表される化合物を挙げることができる(Haは1種類以上のハロゲン元素を指す)。但し、これらに限定するものではない。
なお、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質及びハロゲン化物固体電解質については、公知のものと同じとすることができるため、ここでの記載は省略する。
(グラファイト)
前述のとおり、負極合材中に、本活物質と、負極活物質としてのグラファイトと共存させることで、ケイ素に起因する高容量化と、グラファイトに起因する良好なサイクル特性とを両方得ることができる。
特に本活物質は、上述のように、放電プロファイルにおけるプラトー領域が無い若しくはプラトー領域が小さいため、炭素材料(Graphite)と組み合わせて使用した際、放電プロファイルに段部ができるのを防ぐことができ、黒鉛などの炭素材料(Graphite)と組み合わせて負極活物質として使用した際に制御し易く、好適である。
(配合組成)
本負極において、非水電解液電池に使用する場合のバインダー・導電材の配合組成について、一例を示す。
バインダーの含有量は、本活物質100質量部に対して1〜25質量部であるのが好ましく、中でも2質量部以上或いは20質量部以下であるのがさらに好ましい。
また、導電材を配合する場合には、導電材の含有量は、本活物質100質量部に対して1〜15質量部であるのが好ましく、中でも2質量部以上或いは10質量部以下であるのがさらに好ましい。
また、負極活物質としてグラファイトを配合する場合には、グラファイトの含有量は、本活物質とグラファイトとの混合質量比は0.5:95〜50:50、特に0.5:95〜20:80であるのが好ましい。
(本負極の製造方法)
本負極は、例えば、上記本活物質(粒子状)と、バインダーと、導電材と、必要に応じて前述した固体電解質と、溶媒と、必要に応じて炭素材料(Graphite)などの他の材料とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をCu等からなる集電体の表面に塗布して乾燥させることで形成し、その後、必要に応じてプレスして形成することができる。あるいは、上記本活物質(粒子状)と、導電材と、固体電解質の粉末と、必要に応じて炭素材料(Graphite)を混合し、プレス成形した後、適宜加工して製造することもできる。
負極合剤を集電体の表面に塗布した後の乾燥は、非酸素雰囲気、例えば窒素雰囲気下やアルゴン雰囲気下において、1時間〜10時間、特に1時間〜7時間乾燥を行うのが好ましい。
ここで、バインダーとしてポリイミドを用いた場合の本負極の製造方法について説明する。
先ず、本活物質(粒子状)と、ポリイミドの前駆体化合物と、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒、必要に応じて、金属微粉やアセチレンブラック等の導電材や炭素材料(Graphite)などとを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をCu等からなる集電体の表面に塗布する。
この際、ポリイミドの前駆体化合物としては、ポリアミック酸(ポリアミド酸)を用いることができる。
負極合剤を集電体の表面に塗布したら、塗膜を加熱して有機溶剤を揮発させるとともに、ポリイミドの前駆体化合物を重合させてポリイミドとすることができる。
この際、当該前駆体化合物の重合条件を調整することで、活物質粒子の表面にポリイミドを面状に固着させることができ、ポリイミドからなる連結部位を介して活物質を数珠状に連結することができる。
前駆体化合物の重合条件として、多段階の加熱を行うことが有利であることが、本発明者らの検討の結果判明した。特に、少なくとも2段階、好適には少なくとも3段階、さらに好ましくは4段階の加熱を行うことが有利である。例えば、2段階の加熱を行う場合には、1段階目の加熱を100〜150℃で行うことが好ましく、2段階目の加熱を200〜400℃で行うことが好ましい。
加熱時間に関しては、1段階目の加熱時間を2段階目の加熱時間と同じか又はそれよりも長くすることが好ましい。例えば、1段階目の加熱時間を120〜300分、特に180分以上或いは240分以下に設定し、2段階目の加熱時間を30〜120分、特に30〜60分に設定することが好ましい。
3段階の加熱を行う場合には、上述した2段階の加熱において、1段階目と2段階目の中間の加熱温度を採用することが好ましい。
この中間の加熱は、150〜190℃で行うことが好ましい。加熱時間は、1段階目及び2段階目の時間と同じか又は1段階目と2段階目の中間の時間とすることが好ましい。つまり、3段階の加熱を行う場合には、各段階で加熱時間を同じにするか、又は段階が進むにつれて加熱時間を短くすることが好ましい。
さらに4段階の加熱を行う場合には、3段階目よりも高い加熱温度を採用することが好ましい。
加熱を何段階で行うかにかかわらず、加熱は、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
また、加熱処理のときには、活物質層をガラス板等の押さえ部材で押さえることも好ましい。こうすることで、有機溶媒が潤沢な状態で、つまりポリアミック酸が有機溶媒中にあたかも飽和したような状態で、該ポリアミック酸を重合させることができるので、生成するポリイミドの分子鎖どうしが絡まりやすくなるからである。
以上の多段階加熱を行うことで、負極合剤に含まれている有機溶媒を徐々に揮発させることができ、それによってポリイミドの前駆体化合物を十分に高分子量化させることができるとともに、活物質粒子の表面の広い範囲にわたりポリイミドを固着させることができ、活物質層中にはその厚み方向全域にわたる三次元網目状の空隙を形成することができる。
<本非水電解液電池>
本実施形態に係る非水電解液電池(「本非水電解液電池」と称する)として、本負極と、正極と、セパレータと、非水電解液等とから構成することができる電池を挙げることができる。
(正極)
本非水電解液電池における正極は、例えば集電体の少なくとも一面に正極活物質層が形成されてなるものである。正極活物質層には正極活物質が含まれている。正極活物質としては、当該技術分野において従来知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば各種のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができる。そのような物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、LiCo1/3Ni1/ 3Mn1/32、LiCo0.5Ni0.52、LiNi0.7Co0.2Mn0.12、Li(LixMn2xCo1-3x)O2(式中、0<x<1/3である)、LiFePO4、LiMn1-zzPO4 (式中、0<z≦0.1であり、MはCo、Ni、Fe、Mg、Zn及びCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素である。)などを挙げることができる。
(セパレータ)
本非水電解液電池において、本負極及び正極とともに用いられるセパレータとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルム等が好ましく用いられる。
(非水電解液)
本非水電解液電池における非水電解液は、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系有機溶媒、フルオロエチレンカーボネート等の前記カーボネート系有機溶媒の一部をフッ素化したフッ素系有機溶媒等の1種又は2種以上の組み合わせが用いられる。具体的には、フルオロエチレンカーボネート、ジエチルフルオロカーボネート、ジメチルフルオロカーボネート等を用いることができる。
リチウム塩としては、CF3SO3Li、(CF3SO2)NLi、(C25SO22NLi、LiClO4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCl、LiBr、LiI、LiC49SO3等を例示することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<本固体電池>
本実施形態に係る固体電池(「本固体電池」と称する)は、正極と、前記本負極と、当該正極および負極の間に設けられた固体電解質層とを有するものを挙げることができる。すなわち、本活物質は、負極に含まれる負極活物質として使用することができる。換言すると、本活物質は、固体電池に用いることができる。より具体的には、リチウム全固体電池に用いることができる。リチウム全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でもリチウム二次電池に用いることが好ましい。
本固体電池の形状としては、例えば、ラミネート型、円筒型及び角型等が挙げられる。
(固体電解質層)
前記固体電解質層は、例えば、固体電解質、バインダー及び溶剤を含むスラリーを基体上に滴下し、ドクターブレードなどで擦り切る方法、基体とスラリーを接触させた後にエアーナイフで切る方法、スクリーン印刷法等で塗膜を形成し、その後加熱乾燥を経て溶剤を除去する方法等で製造することができる。あるいは、固体電解質の粉末をプレス成形した後、適宜加工して製造することもできる。
固体電解質としては、前述したものを使用することができる。
(正極)
正極は、正極活物質(粒子状)と、バインダーと、導電材と、固体電解質、溶媒とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を集電体の表面に塗布して乾燥させることで形成し、その後、必要に応じてプレスして形成することができる。あるいは、正極活物質(粒子状)と、導電材と、固体電解質の粉末を混合し、プレス成形した後、適宜加工して製造することもできる。
正極活物質としては、当該技術分野において従来知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば各種のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができる。そのような物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、LiMn1.5Ni0.54、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32、LiCo0.5Ni0.52、LiNi0.7Co0.2Mn0.12、Li(LixMn2xCo1-3x)O2(式中、0<x<1/3である)、LiFePO4、LiMn1-zzPO4(式中、0<z≦0.1であり、MはCo、Ni、Fe、Mg、Zn及びCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素である。)などが挙げられる。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。但し、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤー」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50gと、窒化ケイ素粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:68wt%、Ti:23wt%であった。また、炭素(C)元素量は1.2wt%であった。
<実施例2>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤ―」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50g、酸化ジルコニウム粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:64wt%、Ti:25wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.8wt%であった。
<実施例3>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて、粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤ―」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50g、酸化ジルコニウム粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:70wt%、Ti:20wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.6wt%であった。
<実施例4>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤー」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50gと、酸化ジルコニウムを投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:76wt%、Ti:17wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.9wt%であった。
<実施例5>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットとアルミニウム(Al)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤ―」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50g、酸化ジルコニウム粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:69wt%、Ti:26wt%、Al:0.10wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.7wt%であった。
<実施例6>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットとボロン(B)のインゴットとアルミニウム(Al)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤ―」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50g、酸化ジルコニウム粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:65wt%、Ti:24wt%、B:0.01wt%、Al:0.09wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.4wt%であった。
<実施例7>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤ―」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50g、酸化アルミニウム粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:66wt%、Ti:25wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.9wt%であった。
<実施例8>
ケイ素(Si)のインゴットとチタン(Ti)のインゴットを混合して加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯合金を得た。得られた急冷薄帯合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて粒度調整を行い、合金粉末とした。
得られた合金粉末を、ナノ粒子表面改質装置(製品名「シモロイヤ―」、反応装置内に回転羽根を装備)を用いて改質処理を行った。すなわち、容量2Lの容器内に、メディアとなるビーズ2kgと前記合金粉末50g、酸化アルミニウム粉末を投入し、雰囲気調整を行った後、1500rpmで3時間処理を行った。
処理後の合金粉末を、乾式粉砕機を用いて解砕乃至粉砕して粒度調整を行った後、目開き75μmの篩で分級し、負極活物質としての合金粉末(サンプル)を得た。
得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:66wt%、Ti:24wt%であった。また、炭素(C)元素量は0.9wt%であった。
<比較例1>
ケイ素(Si)のインゴットを加熱溶融させ、1700℃に加熱した溶融液を、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて急速冷却し、急冷薄帯金属を得た。得られた急冷薄帯金属を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕した後、さらに窒素雰囲気(大気1%未満、残部は液体窒素からの気化窒素(純度99.999%以上))下で乾式粉砕機を用いて、粒度調整を行い、金属粉末(サンプル)とした。
得られた金属粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:99wt%であった。
<比較例2>
ケイ素(Si)のインゴットと塊状チタンを原子比85:15(重量比76.8:23.2)で混合し、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて溶解し、溶湯をアルゴンガスで、回転する銅製のロールに吹き付けて急冷し、Si−Ti合金を作製した。次いで、Si−Ti合金を遊星ボールミル装置にてアルゴンガス雰囲気中窒化シリコン製ボールを使用し、2時間粉砕して合金粉末(サンプル)の電極材料を得た。
<比較例3>
固相Aには、SiとBを用い、これらを重量比19.9:0.1の混合物とした。この混合物を高周波溶解槽に投入して溶解させ、得られた合金溶湯を、単ロール法により急冷凝固させて、第一の合金塊を得た。また、固相Bには、TiとSiを用い、これらの原子比1:2の混合物とした。この混合物を高周波溶解槽に投入して溶解させ、得られた合金溶湯を、単ロール法により急冷凝固させて、組成式TiSiで表される金属間化合物からなる第二の合金塊を得た。次いで、第一の合金塊と第二の合金塊とを重量比20:80で混合した混合物を遊星ボールミルの容器内に投入し、1時間粉砕を行い、合金粉末(サンプル)の電極材料を得た。
<比較例4>
Si及びTiを仕込み、高周波誘導溶解を用いてAr雰囲気中で溶融し、得た溶融物からガスアトマイズ法により合金粉末(サンプル)を得た。得られた合金粉末(サンプル)の化学分析を実施したところ、Si:70wt%、Ti:26wt%であった。
<参考例1>
ケイ素(Si)のインゴットと塊状チタンを原子比85:15で混合し、液体急冷凝固装置(単ロール型)を用いて溶解し、溶湯をアルゴンガスで、回転する銅製のロールに吹き付けて急冷し、Si−Ti合金を作製した。次いで、Si−Ti合金を、乾式ボールミルを用いて粗粉砕し、合金粉末(サンプル)を得た。
<参考例2>
まず、SiとTiを、81at%Si−19at%Tiの比率で仕込み、高周波誘導溶解を用いてAr雰囲気中で溶融し、得た溶融物をガスアトマイズ法により合金粒子を得た。この合金粒子のD50は29μmであった。
次いで、合金粒子および天然黒鉛を質量基準で、合金粒子/天然黒鉛=95/5の比率で仕込み、さらに前記合金粒子と前記天然黒鉛の総重量に対して、導電性向上剤としてニッケル(Ni)を5質量%になるように添加して混合粉を調整した。この混合粉を、遊星ボールミル(ジルコニアからなる球状メディア)を用いて、30時間のメカニカルアロイング処理を行い、負極材料(サンプル)を得た。
<各種物性値の測定方法>
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)(以下では、金属粉末(サンプル)を含む)の各種物性値を次のように測定した。
(組成分析)
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)について、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により、各元素の含有量を測定した。但し、酸素については、酸素・窒素分析装置(LECO社製)を用いて、含有量を測定した。また、炭素については、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製)を用いて、含有量を測定した。
(D50・Dmax
50mlのビーカーに、実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)0.5gと、エタノールを20vol%添加したイオン交換水50mlを入れて、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製超音波ホモジナイザーUS−150E、チップは20φを使用)にセットし、AMPLITUDEが80%になるようにダイヤルレベルを調整し、5分間超音波をあてて、サンプルを液中に分散させて、分散液を得た。
次に、レーザー回折粒子径分布測定装置用自動試料供給機(マイクロトラック・ベル株式会社製「Microtorac SDC」)を用い、当該分散液を水溶性溶媒(エタノールを20vol%添加したイオン交換水)に投入した。70mL/secの流速中、マイクロトラック・ベル株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「MT3300II」を用いて粒度分布を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートからD50及びDmaxを求めた。
なお、測定の際の水溶性溶媒は60μmのフィルターを通し、溶媒屈折率を1.33、粒子透過性条件を反射とし、測定レンジを0.021〜2000μm、測定時間10秒とし、1回測定により、得られた値をそれぞれの測定値とした。
(比表面積:SSA)
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)の比表面積(SSA)を次のようにして測定した。
先ず、サンプル(粉体)1.0gを全自動比表面積測定装置Macsorb(株式会社マウンテック製)用のガラスセル(標準セル)に秤量し、オートサンプラーにセットした。窒素ガスでガラス内を置換した後、前記窒素ガス雰囲気中で250℃、15分間熱処理した。その後、窒素・ヘリウム混合ガスを流しながら4分間冷却を行った。冷却後、サンプルをBET一点法にて測定した。
なお、冷却時及び測定時の吸着ガスは、窒素30vol%:ヘリウム70vol%の混合ガスを用いた。
(真密度)
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)の真密度を次のようにして測定した。
先ず、サンプル(粉体)をサンプルバスケット10cmの7分目まで入れて、投入したサンプル量を測定した。次に真密度測定装置BELPycno(株式会社マウンテック製)内に、サンプル入れたサンプルバスケットをセットして、装置のフタを閉め、測定を開始した。
なお、測定には、ヘリウムガスを使用し、測定部の温度は25℃±0.1℃で管理した。
(活物質断面の観察)
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)を用いて、後述するように作製した電極の負極を、イオンミリングにより加工して断面を出した後、FE−SEM(装置名「SU8220」日立ハイテクノロジーズ製)とEDS(装置名「QUANTAX200」検出器「XFlash5060F」ブルカー製)を用いて、負極断面の観察を行った。上記装置を用いて、加速電圧6kV、エミッション電流30μAの条件にて元素マッピングを行った。マッピングは、D50相当の活物質粒子を1つ選択し、視野の半分以上を選択した活物質粒子が占めるように拡大し、活物質粒子断面に該当する部分のみを範囲指定して測定を行った(一例として、D50が2〜3μmの粒子に対してマッピングする場合、30000倍とした)。積算時間は90秒とした。なお、積算時間は十分な強度が得られるように設定することが重要であり、前述の積算時間は一例である。
マッピング画像から酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド、ステンレス鋼に含まれる特有の元素の濃縮部を確認した。
活物質断面において、前記濃縮部とそれ以外の部分をそれぞれ点分析測定したところ、濃縮部において、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド、ステンレス鋼に含まれる特有の元素の強度が高いことを確認した。このことは本活物質粒子内部に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド、ステンレス鋼が存在することを示している。
一例として、窒化ケイ素を含む場合は窒素にて濃縮部の判定、酸化ジルコニウムを含む場合はジルコニウムにて濃縮部の判定を行った。
(活物質粒子内存在物質の含有量)
前述のとおり、FE−SEMとEDSを使うことで、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のうちの何れかの存在を確認した。
そして、これらの物質の含有量は、ガス分析又はICP分析の結果を元に算出した。例えば、窒化ケイ素を含む場合は、ガス分析により、窒素元素の含有量(wt%)を測定し、この窒素を窒化ケイ素由来のものとして考えて、窒化ケイ素の含有量(wt%)を算出した。また、酸化ジルコニウムを含む場合は、ICP分析により、ジルコニウムの含有量(wt%)を測定し、このジルコニウムを酸化ジルコニウム由来のものとして考えて、酸化ジルコニウムの含有量(wt%)を算出した。
例えば実施例1では、ガス分析結果より、窒素元素が2.3wt%であったため、窒化ケイ素(Si)に換算すると、5.8wt%となる。また、実施例2〜4はそれぞれ、ジルコニウムが6.3wt%、4.7wt%、0.9wt%であったため、酸化ジルコニウムに換算すると、8.5wt%、6.3wt%、1.2wt%となる。
また、酸化アルミニウムを含む場合は、ICP分析によりアルミニウムの含有量(wt%)を測定し、このアルミニウムを酸化アルミニウム由来のものとして考えて、酸化アルミニウムの含有量(wt%)を算出した。例えば、実施例6〜7はそれぞれ、アルミニウムが2.6wt%、2.9wt%であったため、酸化アルミニウムに換算すると、4.9wt%、5.5wt%となる。
(X線回折)
CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD、装置名「UltimaIV、(株)リガク製」)を用いて、下記測定条件1で測定してX線回折パターン(「XRDパターン」とも称する)を得た。
=XRD測定条件1=
線源:CuKα(線焦点)、波長:1.541836Å
操作軸:2θ/θ、測定方法:連続、計数単位:cps
開始角度:15.0°、終了角度:120.0°、積算回数:1回
サンプリング幅:0.01°、スキャンスピード:1.0°/min
電圧:40kV、電流:40mA
発散スリット:0.2mm、発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放、受光スリット:開放
オフセット角度:0°
ゴニオメーター半径:285mm、光学系:集中法
アタッチメント:ASC−48
スリット:D/teX Ultra用スリット
検出器:D/teX Ultra
インシデントモノクロ:CBO
Ni−Kβフィルター:無
回転速度:50rpm
XRD測定条件を設定し、NIST製のX線回折用標準試料であるシリコン粉末材料(ex:SRM640e)を測定した。図3として、NIST製のX線回折用標準試料であるシリコン粉末材料(ex:SRM640e)のXRDパターンを記す。ICDDカード番号:00−005−0565(化学式:Si)のカード情報と照らし合わせて、回折ピーク位置とピーク本数を確認した。そして、回折ピーク位置とピーク本数がカード情報と同等であり、かつ、2θ=28.42°±1.25°に出現したピークについて、そのピーク強度Iが120000cps〜130000cps程度であるか否かを指標として、XRD測定条件が正しく設定されていることを確認した。
得られたXRDパターンにおいて、2θ=16.5°±1.5°に明確なピークがないことを確認し、この範囲のcpsの平均値をバックグラウンド(BG)の強度IBGとした。
なお、上記範囲にピークが存在する場合は、バックグラウンド(BG)の強度IBGを規定するのに適した2θ範囲を選択した。
次に、ICDDカード番号:00−005−0565(化学式:Si)のカード情報をもとに、ピークAのピーク強度Iとバックグラウンド(BG)の強度IBGとの差を、ピークAのピーク強度Iの値とした。なお、ピークAは空間群Fd−3mの結晶構造を有するSiの(111)面に相当するピークであった。
次いで、ピークAの半値全幅(FWHM)を求め、空間群Fd−3mのSiの(111)面のピークの半値全幅として表に示した。
ここで、MSiで表される化合物の同定方法について記載する。
化学分析の結果から、上記化合物におけるMを推定し、当該M及びSi元素を含む化合物(MSi)が形成されると想定して同定を行った。解析用ソフトウエア(製品名「PDXL」)を用いて、解析するためのXRDパターンデータを読み込んだ。その後、自動検索を選択して同定を行った。自動検索対象として全サブファイルを選択し、元素フィルターとして、M及びSi元素が含まれるように設定して自動検索を実行した。
自動検索を行うと結晶相検索結果としていくつかのカード番号がピックアップされ、その中からピークの一致性が高い結晶相候補が選択された。その後、解析するためのXRDパターンデータのピーク位置と選択された結晶相候補のピークの位置の一致性を確認した。図4は、参考例1に対して、ICDDカード番号:00−005−0565(化学式:Si)と01−071−0187(化学式:TiSi2)のカードを照合している図である。このように、それぞれの化合物に帰属できるピークが確認できれば、そのまま使用し、ピーク位置やピーク本数にズレが生じている場合は、結晶相検索結果としてピックアップされているカード番号の中から手動で再選択を行う。再選択の際は、ICDDカードに設定されているカードの信頼性(Quality)を参考にし、Qualityの高い順(S→I→B)でカードを再選択してピーク位置の確認を行った。
なお、例えば、シリコンや化合物の含有量が少ない場合など、全体的にピーク強度が下がるような要因がある場合、ICDDカードに記載のピークのうち、相対的に強度の大きいピークのみが観測され、相対的に強度の小さいピークは観測できないことがあるので、注意が必要となる。
上記によって、選択されたM及びSi元素を含む化合物(MSi)のICDDカード番号を読み、上記化合物に帰属するメインピークが出現する領域(例えば、ICDDカード番号01−071−0187のTiSi2の場合は2θ=39.11°付近)において、強度が最大値となるピークBのピーク強度Iとしたときに、ピーク強度Iとバックグラウンド(BG)の強度IBGとの差を上記化合物(MSi)のピーク強度Iとした。そして、上記化合物(MSi)に帰属するピークBのピーク強度Iに対するピークAのピーク強度Iの比を、表1に示した。
<非水電解液二次電池特性の評価>
(電極の作製)
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル):導電材:結着剤=85:5:10(重量%)の混合比となるようにこれらを混合し、これらをN−メチルピロリドンに分散させて負極合剤を得た。導電材としてはアセチレンブラックを用いた。結着剤としてはポリイミドを用いた。この負極合剤を、厚み15μmの電解銅箔上に塗布した。塗膜を乾燥して負極活物質層を形成し負極を得た。
この際、塗布量は面容量(mAh/cm)を考慮して決定した。一例として面容量を2.8mAh/cmで揃えて評価することとした。例えばPure−Siの場合、充電容量を4200mAh/gと設定すると、負極活物質中に85wt%のサンプルが含まれるため、負極活物質層は0.78mg/cmが塗布量となる。充電容量が4200mAh/gよりも低いサンプルであれば、同じ面容量を得るためには塗布量を増やして調整することになる。
(電池の作製)
上記のようにして得られた負極を直径14mmφの円形に打ち抜き、160℃で6時間真空乾燥を施した。そして、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、電気化学評価用セルTOMCEL(登録商標)を組み立てた。対極としては金属リチウムを用いた。電解液としては、カーボネート系の混合溶媒にLiPFを1mol/lになるように溶解させた電解液を用いた。セパレータとしては、ポリプロピレン製多孔質フィルムを用いた。
(電池性能評価試験)
上記のようにして準備した電気化学評価用セルTOMCEL(登録商標)を用いて次に記述する方法で初期活性を行った。作製した電気化学評価用セルTOMCEL(登録商標)を6時間静置した後、25℃にて0.1Cで0.01Vまで定電流定電位充電した後(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)、0.1Cで1.0Vまで定電流放電した。
充放電時の記録間隔は、300秒毎、もしくは5.0mV変化毎のいずれかを満たした際に記録されるように設定した。このような設定にすることで、電圧変動が小さい領域では300秒毎に記録され、電圧変動が大きい領域では5.0mV変化毎に記録されることになる。これを3サイクル繰り返した。なお、実際に設定した電流値は負極中の負極活物質の含有量から算出した。
実施例5〜8及び、比較例3については初回充電容量が3000mAh/gより大きいサンプルを「A」、1200mAh/g以上3000mAh/g以下のサンプル「B」、1200mAh/g未満のサンプルを「C」として表4に示した。なお、Cに分類したものは、容量不足であるので、評価に値しないため、それ以降の測定を中止した。
(放電プロファイル形状評価)
前述で得た1サイクル目の放電曲線をもとにして、「放電プロファイル形状」の判定を行った。すなわち、得られた放電曲線を線形近似して、相関係数の高さを比較し、「放電プロファイル形状」の指数とした。
なお、表2、4には、比較例3の数値を100とした場合の指数として示した。
この際、放電初期から放電末期までの区間で連続的に電位が変化していく、つまり直線性が高ければ、線形近似した際の相関係数は高くなり、プラトー領域が無い若しくはプラトー領域が小さいことを示すことになる。
(ハイレート特性評価)
前述の方法で、初期活性を行った電気化学評価用セルTOMCELを用いて、放電レート特性評価を行った。まず、25℃にて0.1Cで0.01Vまで定電流定電位充電した後(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)、5Cで1.0Vまで定電流放電した。
充放電時の記録間隔は、300秒毎、もしくは5.0mV変化毎のいずれかを満たした際に記録されるように設定した。このような設定にすることで、電圧変動が小さい領域では300秒毎に記録され、電圧変動が大きい領域では5.0mV変化毎に記録されることになる。
5C時の放電曲線から、前述のように「放電プロファイル形状」の判定を行い、5Cでの「放電プロファイル形状」の指数とした。前述の0.1Cでの「放電プロファイル形状」指数に対する5Cでの「放電プロファイル形状」指数の比を「ハイレート特性」とした。
なお、表2、4には、比較例3の数値を100とした場合の指数として示した。
(サイクル特性評価)
前述と同様に、電気化学評価用セルTOMCELを作製した。作製した電気化学評価用セルTOMCEL(登録商標)を6時間静置した後、25℃にて0.1Cで0.01Vまで定電流定電位充電した後(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)、0.1Cで1.0Vまで定電流放電した。これを3サイクル繰り返した。なお、実際に設定した電流値は負極中の負極活物質の含有量から算出した。
上記のようにして、初期活性を行った後の電気化学評価用セルTOMCELを用いて、下記に記述する方法で充放電試験し、45℃サイクル特性を評価した。
電池を充放電する環境温度を45℃となるようにセットした環境試験機内にセルを入れて、充放電できるように準備し、セル温度が環境温度になるように、5時間静置した。その後、充放電範囲を0.01V−1.0Vとし、充電は0.1C定電流定電位、放電は0.1C定電流で1サイクル充放電行った後に、1Cにて充放電サイクルを98回行い、その後、0.1Cにて充放電サイクルを1サイクル、その後、1Cにて充放電サイクルを50回行った。行った。Cレートは初期活性時の25℃、3サイクル目の放電容量を元に計算した。
150サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り算して求めた数値の百分率(%)を45℃サイクル特性値として求めた。
なお、表2、4には、比較例3の数値を100とした場合の指数で示した。
<固体電池特性の評価>
(電池の作製)
実施例及び比較例で得られた合金粉末(サンプル)を負極活物質として用いて電極合剤を調整し、硫化物系全固体電池を作製して、電池特性評価を行った。対極としては、InLi箔、固体電解質粉末として組成式:Li5.8PS4.8Cl1.2で示される粉末を用いた。
(合剤調整)
電極合材粉末は、活物質粉末、固体電解質粉末及び導電剤(VGCF(登録商標))粉末を、質量比で4.5:86.2:9.3の割合で乳鉢混合することで調製し、10MPaで1軸プレス成型して合剤ペレットを得た。
(固体電池セルの作製)
上下を開口したセラミック製の円筒(開口径10mm)の下側開口部を電極(SUS製)で閉塞し、0.10g固体電解質を注ぎ、上側開口部を電極で挟み、10MPaで1軸プレス成型し、電解質層を作製した。上側の電極を一度取り外し、シリコン活物質からなる電極合剤ペレットを挿入し、上側の電極を再度装着し、42MPaで1軸プレス成型し、合剤ペレットと電解質層を圧着した。下側の電極を一度取り外し、In・Liの箔を挿入し、下側の電極を再度装着し、上側電極と下側電極間を6N・mのトルク圧で4か所ねじ止めし、1.6mAh相当の全固体電池を作製した。この際、上記全固体電池セルの作製においては、平均露点−45℃の乾燥空気で置換されたグローブボックス内で行った。
(充電容量の評価)
電池特性評価における容量確認は、25℃に保たれた環境試験機内に全固体電池を入れて充放電測定装置に接続して評価した。セル容量が1.6mAhであるため、1Cは1.6mAとなる。電池の充放電は0.1C、CCCV方式で−0.62Vまで充電(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)し、初回充電容量を得た。放電は0.1C、CC方式で0.88Vまで放電した。
なお、充放電時の記録間隔は、10秒毎、もしくは1mV変化毎のいずれかを満たした際に1点記録されるように設定した。このような設定にすることで、電圧変動が小さい領域では10秒毎に記録され、電圧変動が大きい領域では1mV変化毎に記録されることになる。
初回充電容量が3000mAh/gより大きいサンプルを「A」、1200mAh/g以上3000mAh/g以下のサンプル「B」、1200mAh/g未満のサンプルを「C」として表3に示した。なお、Cに分類したものは、容量不足であるので、評価に値しないため、それ以降の測定を中止した。
(放電プロファイル形状評価)
前述で得た放電曲線をもとにして、「放電プロファイル形状」の判定を行った。すなわち、得られた放電曲線を線形近似して、相関係数の高さを比較し、「放電プロファイル形状」の指数とした。なお、表3には、比較例2の数値を100とした場合の指数として示した。この際、放電初期から放電末期までの区間で連続的に電位が変化していく、つまり直線性が高ければ、線形近似した際の相関係数は高くなり、プラトーが無いもしくは小さいことを示すことになる。
(ハイレート特性評価)
前述の充放電後のセルを用いて、ハイレート特性評価を行った。評価は引き続き、25℃に保たれた環境試験機内に入れたまま行った。前述の充電容量を元にして、電池容量を算出し、Cレートを決定した。
次に、0.1C、CCCV方式で、−0.62Vまで充電(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)したのち、0.1C、CC方式で0.88Vまで放電を行った。このときの放電容量を0.1C放電容量(A)とした。
続いて、0.1C、CCCV方式で、−0.62Vまで充電(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)したのち、5C、CC方式で0.88Vまで放電した。このときの放電容量を5C放電容量とした。
「5C放電容量/0.1C放電容量(A)×100」を算出し、ハイレート特性値として評価した。なお、表3には、比較例2の数値を100とした場合の指数として示した。
(サイクル特性評価)
前述のハイレート特性評価を行ったセルを用いて、サイクル評価を行った。評価は引き続き、25℃に保たれた環境試験機内に入れたまま行った。
まず、事前準備として、前述のセルの残放電を行うため、初期電流値を5Cして、CV方式で、0.88Vで放電(電流値が0.01Cになった時点で放電終了)を行った。
次に、0.1C、CCCV方式で、−0.62Vまで充電(電流値が0.01Cになった時点で充電終了)したのち、0.1C、CC方式で0.88Vまで放電を行った。このときの放電容量を0.1C放電容量(B)とした。
「0.1C放電容量(B)/0.1C放電容量(A)×100」を算出し、サイクル特性値として評価した。なお、表3には比較例2の数値を100とした指数として示した。
Figure 2020166658
Figure 2020166658
Figure 2020166658
Figure 2020166658
上記実施例及びこれまで発明者が行ってきた試験結果から、シリコンと、化学式MSi(ここで、x及びyは、0.1≦x/y≦7.0を満たし、Mは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。)で表される化合物と、を含有する活物質粒子からなる活物質に関しては、活物質中のSi元素の含有量は50wt%より多く、酸素原子(O)の含有量は30wt%未満であり、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られるD50及びDmax(それぞれ「D50」「Dmax」と称する)に関し、D50が4.0μm未満であり、Dmaxが25μm未満であり、CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=28.42°±1.25°に出現するピークAの半値全幅が0.25°以上であり、活物質粒子断面を観察した際、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のいずれか一種又は二種以上が、活物質粒子内部に存在することを特徴とする活物質であれば、サイクル特性を高めることができ、放電プロファイルにおけるプラトー領域を低減若しくは無くすことができ、さらにはハイレート特性を向上できることが分かった。
また、参考例2についても表4に記載の充電容量の評価を行った。
参考例2のようなSiと天然黒鉛と導電性向上剤を複合化させたサンプルを評価したところ、初回充電容量は1200mAh/g未満であった。これは、それぞれの重量%から想定されるLiの吸蔵放出に寄与するSi量と、Siの理論容量との関係から期待される充電容量に比べて、非常に少ない容量になっていることがわかった。
この原因は定かではないが、一因として、Siと天然黒鉛のLi吸蔵の電位が異なることが挙げられる。比率としてSi>天然黒鉛であり、かつ、炭素量が5質量%以上である場合、比較的多量にあるSiへのLi吸蔵が完了する前に、並行して天然黒鉛へのLi吸蔵が始まる。すると、電位が下がってしまうため、充電終始条件が満たされやすくなってしまうことで、充電容量が低下すると考えられる。


Claims (14)

  1. シリコンと、化学式MSi(ここで、x及びyは、0.1≦x/y≦7.0を満たし、Mは、Si以外の半金属元素及び金属元素のうちの1種又は2種以上である。)で表される化合物と、を含有する活物質粒子からなり、
    活物質中のSi元素の含有量は50wt%より多く、酸素原子(O)の含有量は30wt%未満であり、
    レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られるD50及びDmax(それぞれ「D50」「Dmax」と称する)に関し、D50が4.0μm未満であり、Dma が25μm未満であり、
    CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、θ=28.42°±1.25°に出現するピークAの半値全幅が0.25°以上であり、
    酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のいずれか一種又は二種以上が、前記活物質粒子内部に存在することを特徴とする活物質。
  2. 前記活物質粒子内部に存在する酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、タングステンカーバイド及びステンレス鋼のいずれか一種又は二種以上の含有量は、前記活物質に対して0wt%より大きく、15wt%未満である、請求項1に記載の活物質。
  3. CuKα1線を用いたX線回折装置(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、前記化学式MSiで表される化合物に帰属するピークBのピーク強度をIとし、前記ピークAのピーク強度をIとしたとき、前記Iに対する前記Iの比(I/I)は1未満である、請求項1又は2に記載の活物質。
  4. 前記Mは、B、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Ta及びWのうちの1種又は2種以上の元素である請求項1〜3の何れかに記載の活物質。
  5. 前記Mは、B、Ti、Mn及びFeのうちの1種又は2種以上の元素である請求項1〜4の何れかに記載の活物質。
  6. 前記活物質中の前記Mの含有量は38wt%未満である、請求項1〜5の何れかに記載の活物質。
  7. 炭素(C)元素の含有量が5wt%未満である請求項1〜6の何れかに記載の活物質。
  8. 真密度が2.4g/cmより大きい請求項1〜7の何れかに記載の活物質。
  9. 比表面積(SSA)が2.0m/gより大きい請求項1〜8の何れかに記載の活物質。
  10. 比表面積(SSA)が60.0m/gより小さい請求項1〜9の何れかに記載の活物質。
  11. リチウム二次電池用の負極活物質として使用される請求項1〜10の何れかに記載の活物質。
  12. 固体リチウム二次電池用の負極活物質として使用される請求項1〜10の何れかに記載の活物質。
  13. 請求項1から請求項10までの何れかの請求項に記載の活物質を含有する負極。
  14. 正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に設けられた固体電解質層とを有する固体電池であって、
    前記負極が、請求項1から請求項10までの何れかの請求項に記載の活物質を含有する固体電池。
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