JPWO2019225705A1 - 二次電池電極合剤層用組成物及び二次電池電極 - Google Patents

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Abstract

バインダー、活物質及び水を含む二次電池電極合剤層用組成物であって、前記バインダーは、カルボキシル基を有する架橋重合体、及びカルボキシル基を有する非架橋重合体を含み、前記非架橋重合体の使用量は、前記架橋重合体及び当該非架橋重合体の総量に対し、0.1質量%以上19.0質量%以下とする。

Description

本明細書は二次電池電極合剤層用組成物及び二次電池電極に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年5月23日に出願された日本国特許出願である特願2018−098419の関連出願であり、この日本出願に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。
二次電池として、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等の様々な蓄電デバイスが実用化されている。これらの二次電池に使用される電極は、活物質及びバインダー等を含む電極合剤層を形成するための組成物を集電体上に塗布・乾燥等することにより作製される。例えばリチウムイオン二次電池では、負極合剤層組成物に用いられるバインダーとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックス及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む水系のバインダーが使用されている。また、分散性及び結着性に優れるバインダーとして、アクリル酸系重合体水溶液又は水分散液を含むバインダーが知られている。一方、正極合剤層に用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液が広く使用されている。
近年、各種二次電池の用途が拡大するにつれて、エネルギー密度、信頼性及び耐久性向上への要求が強まる傾向にある。例えば、リチウムイオン二次電池の電気容量を高める目的で、負極用活物質としてシリコン系の活物質を用いる仕様が増えてきている。しかしながら、シリコン系活物質は充放電時の体積変化が大きいことが知られており、繰り返し使用するにつれて電極合剤層の剥離又は脱落等が生じ、その結果、電池の容量が低下し、サイクル特性(耐久性)が悪化するという問題があった。このような不具合を抑制するためには、一般的にはバインダーの結着性を高めることが有効であり、耐久性を改善する目的で、バインダーの結着性向上に関する検討が行われている。
良好な結着性を有し、耐久性向上への効果を奏するバインダーとして、上記アクリル酸系重合体を利用したバインダーが提案されている。
特許文献1では、特定の架橋剤によりポリアクリル酸を架橋したポリマーを結着剤として用いることにより、シリコンを含む活物質を用いた場合であっても電極構造が破壊されることのない電極の提供が可能であることが記載されている。特許文献2には、架橋処理が為されたポリカルボン酸塩と、直鎖のポリカルボン酸とを含むバインダーが開示され、これにより充放電時の体積膨張収縮時の内部応力に対する耐久性の高い活物質層が得られることが記載されている。
国際公開第2014/065407号 国際公開第2016/051811号
特許文献1及び2に開示されるバインダーは、いずれも良好な結着性を付与し得るものであるが、二次電池の性能向上に伴い、より結着性の高い電極合剤層が求められるようになっている。
一般に、結着性を高めるためには、バインダーとなる重合体の分子量を高めることが効果的である。しかしながら、重合体の分子量を高くすると、電極合剤層組成物のスラリー粘度も高くなる傾向があり、塗工性が低下する結果、均一な電極合剤層が得られないという問題があった。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アクリル酸系重合体等のカルボキシル基を有する重合体をバインダーとして用いた際に、塗工性を確保しつつ、従来よりも結着性の高い二次電池電極合剤層を得ることができる二次電池電極合剤層用組成物を提供する。また、本開示は、上記組成物を用いて得られる二次電池電極を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルボキシル基を有する架橋重合体にカルボキシル基を有する非架橋重合体を特定量含むバインダーを使用した場合、より高い結着性を有する電極合剤層を形成することができるという知見を得た。本開示によれば、こうした知見に基づき以下の手段が提供される。
〔1〕バインダー、活物質及び水を含む二次電池電極合剤層用組成物であって、
前記バインダーは、カルボキシル基を有する架橋重合体及びカルボキシル基を有する非架橋重合体を含み、
前記非架橋重合体の使用量は、前記架橋重合体及び当該非架橋重合体の総量に対し、0.1質量%以上19.0質量%以下である、二次電池電極合剤層用組成物。
〔2〕前記架橋重合体は、その全構造単位に対し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位を50質量%以上100質量%以下含み、
前記非架橋重合体は、その全構造単位に対し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位を50質量%以上100質量%以下含む、前記〔1〕に記載の二次電池電極合剤層用組成物。
〔3〕前記架橋重合体は、中和度が75モル%以上である前記〔1〕又は〔2〕に記載の二次電池電極合剤層用組成物。
〔4〕前記架橋重合体は、架橋性単量体を用いて得られたものであり、当該架橋性単量体の使用量は、架橋重合体の全構成単量体に基づき0.1質量%以上5.0質量%以下である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の二次電池電極合剤層用組成物。
〔5〕前記非架橋重合体は、重量平均分子量が10000以上である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の二次電池電極合剤層用組成物。
〔6〕集電体表面に、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の二次電池電極合剤層用組成物から形成される合剤層を備えた二次電池電極。
本開示の二次電池電極合剤層用組成物は良好な塗工性を有し、当該組成物から形成される電極合剤層及びこれを備えた電極は、結着性に優れるとともにその一体性を維持することができる。このため、充放電に伴う活物質の体積変化、及び形状変化による電極合剤層の劣化が抑制され、耐久性(サイクル特性)の高い二次電池を得ることが可能となる。
以下、本開示の代表的かつ非限定的な具体例について、適宜図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本開示の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに開示は、さらに改善された二次電池電極合剤層用組成物及び二次電池電極を提供するために、他の特徴や開示とは別に、又は共に用いることができる。
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本開示を実施する際に必須のものではなく、特に本開示の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本開示の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書及び/又はクレームに記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
本開示の二次電池電極合剤層用組成物(以下、「本組成物」ともいう)は、集電体への塗工が可能なスラリー状態であってもよいし、湿粉状態として調製し、集電体表面へのプレス加工に対応できるようにしてもよい。銅箔又はアルミニウム箔等の集電体表面に上記組成物から形成される合剤層を形成することにより、本開示の二次電池電極が得られる。
以下に、本組成物について当該組成物を構成する要素と共に説明する。さらに本組成物を用いて得られる二次電池電極についても詳細に説明する。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
本組成物は、バインダー、活物質及び水を含むことができる。また、上記バインダーは、カルボキシル基を有する架橋重合体及びカルボキシル基を有する非架橋重合体を含むことができる。
<カルボキシル基を有する架橋重合体>
<エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位>
上記バインダーに含まれるカルボキシル基を有する架橋重合体(以下、「本架橋重合体」ともいう)は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位(以下、「(a1)成分」ともいう)を有していてもよい。本架橋重合体が、係る構造単位を有することによりカルボキシル基を有する場合、集電体への接着性が向上するとともに、リチウムイオンの脱溶媒和効果及びイオン伝導性に優れるため、抵抗が小さく、ハイレート特性に優れた電極が得られる。また、水膨潤性が付与されるため、合剤層組成物中における活物質等の分散安定性を高めることができる。
上記(a1)成分は、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を含む単量体を重合することにより重合体に導入することができる。その他にも、(メタ)アクリル酸エステル単量体を(共)重合した後、加水分解することによっても得られる。また、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリル等を重合した後、強アルカリで処理してもよいし、水酸基を有する重合体に酸無水物を反応させる方法であってもよい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸;(メタ)アクリルアミドヘキサン酸及び(メタ)アクリルアミドドデカン酸等の(メタ)アクリルアミドアルキルカルボン酸;コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の中でも、重合速度が大きいために一次鎖長の長い重合体が得られ、バインダーの結着力が良好となる点で重合性官能基としてアクリロイル基を有する化合物が好ましく、特に好ましくはアクリル酸である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてアクリル酸を用いた場合、カルボキシル基含有量の高い重合体を得ることができる。
本架橋重合体における(a1)成分の含有量は、特に限定するものではないが、例えば、本架橋重合体の全構造単位に対して10質量%以上、100質量%以下含むことができる。かかる範囲で(a1)成分を含有することで、集電体に対する優れた接着性を容易に確保することができる。下限は、例えば20質量%以上であり、また例えば30質量%以上であり、また例えば40質量%以上である。下限が50質量%以上の場合、電極合剤層用組成物の分散安定性が良好となり、より高い結着力が得られるため好ましく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。また、上限は、例えば、99.9質量%以下であり、また例えば99.5質量%以下であり、また例えば99質量%以下であり、また例えば98質量%以下であり、また例えば95質量%以下であり、また例えば90質量%以下であり、また例えば80質量%以下である。範囲としては、こうした下限及び上限を適宜組み合わせた範囲とすることができるが、例えば、10質量%以上、100質量%以下であり、また例えば50質量%以上、100質量%以下であり、また例えば50質量%以上、99.9質量%以下であり、また例えば50質量%以上、99質量%以下であり、また例えば50質量%以上、98質量%以下などとすることができる。
<その他の構造単位>
本架橋重合体は、(a1)成分以外に、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位(以下、「(b1)成分」ともいう。)を含むことができる。(b1)成分としては、例えば、スルホン酸基及びリン酸基等のカルボキシル基以外のアニオン性基を有するエチレン性不飽和単量体化合物、または非イオン性のエチレン性不飽和単量体等に由来する構造単位が挙げられる。これらの構造単位は、スルホン酸基及びリン酸基等のカルボキシル基以外のアニオン性基を有するエチレン性不飽和単量体化合物、または非イオン性のエチレン性不飽和単量体を含む単量体を共重合することにより導入することができる。これらの内でも、(b1)成分としては、耐屈曲性良好な電極が得られる観点から非イオン性のエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位が好ましく、バインダーの結着性が優れる点で(メタ)アクリルアミド及びその誘導体等、並びに、ニトリル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましい。また、(b1)成分として水中への溶解性が1g/100ml以下の疎水性のエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を導入した場合、電極材料と強い相互作用を奏することができ、活物質に対して良好な結着性を発揮することができる。これにより、堅固で一体性の良好な電極合剤層を得ることができるため好ましい。特に脂環構造含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位が好ましい。
(b1)成分の割合は、本架橋重合体の全構造単位に対し、0質量%以上、90質量%以下とすることができる。(b1)成分の割合は、1質量%以上、60質量%以下であってもよく、2質量%以上、50質量%以下であってもよく、5質量%以上、40質量%以下であってもよく、10質量%以上、30質量%以下であってもよい。また、本架橋重合体の全構造単位に対して(b1)成分を1質量%以上含む場合、電解液への親和性が向上するため、リチウムイオン電導性が向上する効果も期待できる。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド化合物;N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物;ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ニトリル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクロリニトリル;(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸シアノエチル等の(メタ)アクリル酸シアノアルキルエステル化合物;4−シアノスチレン、4−シアノ−α−メチルスチレン等のシアノ基含有不飽和芳香族化合物;シアン化ビニリデン等が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の中でも、ニトリル基含有量が多い点でアクリロニトリルが好ましい。
脂環構造含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロデシル及び(メタ)アクリル酸シクロドデシル等の脂肪族置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、並びに、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート及びシクロデカンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のシクロアルキルポリアルコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の中でも、重合速度が大きいために一次鎖長の長い重合体が得られ、バインダーの結着力が良好となる点で重合性官能基としてアクリロイル基を有する化合物が好ましい。
その他の非イオン性のエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステルを用いてもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェニルメチル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香族(メタ)アクリル酸エステル化合物;
(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル化合物等が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。活物質との密着性及びサイクル特性の観点からは、芳香族(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく用いることができる。
リチウムイオン伝導性及びハイレート特性がより向上する観点から、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等、エーテル結合を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルがより好ましい。
非イオン性のエチレン性不飽和単量体の中でも、重合速度が速いために一次鎖長の長い重合体が得られ、バインダーの結着力が良好となる点でアクリロイル基を有する化合物が好ましい。また、非イオン性のエチレン性不飽和単量体としては、得られる電極の耐屈曲性が良好となる点でホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下の化合物が好ましい。
本架橋重合体は、当該重合体中に含まれるカルボキシル基の一部又は全部が中和された塩の形態であってもよい。塩の種類としては特に限定しないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩等のその他の金属塩;アンモニウム塩及び有機アミン塩等が挙げられる。これらの中でも電池特性への悪影響が生じにくい点からアルカリ金属塩及びマグネシウム塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。
本架橋重合体は、架橋構造を有する架橋重合体である。本架橋重合体における架橋方法は特に制限されるものではなく、例えば以下の方法による態様が例示される。
1)架橋性単量体の共重合
2)ラジカル重合時のポリマー鎖への連鎖移動を利用
3)反応性官能基を有する重合体を合成後、必要に応じて架橋剤を添加して後架橋
本架橋重合体が架橋構造を有することにより、当該架橋重合体又はその塩を含むバインダーは、優れた結着力を有することができる。上記の内でも、操作が簡便であり、架橋の程度を制御し易い点から架橋性単量体の共重合による方法が好ましい。
<架橋性単量体>
架橋性単量体としては、2個以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性単量体、及び加水分解性シリル基等の自己架橋可能な架橋性官能基を有する単量体等が挙げられる。
上記多官能重合性単量体は、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基等の重合性官能基を分子内に2つ以上有する化合物であり、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルケニル化合物、(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの内でも、均一な架橋構造を得やすい点で多官能アルケニル化合物が好ましく、分子内に複数のアリルエーテル基を有する多官能アリルエーテル化合物が特に好ましい。
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性体のトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート;メチレンビスアクリルアミド、ヒドロキシエチレンビスアクリルアミド等のビスアミド類等を挙げることができる。
多官能アルケニル化合物としては、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、ポリアリルサッカロース等の多官能アリルエーテル化合物;ジアリルフタレート等の多官能アリル化合物;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物等を挙げることができる。
(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸ブテニル、(メタ)アクリル酸ペンテニル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等を挙げることができる。
上記自己架橋可能な架橋性官能基を有する単量体の具体的な例としては、加水分解性シリル基含有ビニル単量体、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
加水分解性シリル基含有ビニル単量体としては、加水分解性シリル基を少なくとも1個有するビニル単量体であれば、特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類;アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有アクリル酸エステル類;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル等のシリル基含有メタクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等を挙げることができる。
本架橋重合体が架橋性単量体により架橋されたものである場合、当該架橋性単量体の使用量は、架橋性単量体以外の単量体(非架橋性単量体)の総量100質量部に対して好ましくは0.05質量部以上5.0質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下であり、さらに好ましくは0.2質量部以上4.0質量部以下であり、一層好ましくは0.3質量部以上3.0質量部以下である。架橋性単量体の使用量が0.05質量部以上であれば結着性及び合剤層スラリーの安定性がより良好となる点で好ましい。5.0質量部以下であれば、重合体の安定性が高くなる傾向がある。
同様に、上記架橋性単量体の使用量は、架橋性単量体以外の単量体(非架橋性単量体)の総量に対して0.02〜0.7モル%であることが好ましく、0.03〜0.4モル%であることがより好ましい。
<カルボキシル基を有する架橋重合体の粒子径>
合剤層組成物において、本架橋重合体は大粒径の塊(二次凝集体)として存在することなく、適度な粒径を有する水膨潤粒子として良好に分散していることが、当該架橋重合体を含むバインダーが良好な結着性能を発揮し得るため好ましい。
本架橋重合体は、当該架橋重合体が有するカルボキシル基に基づく中和度が80〜100モル%であるものを水中に分散させた際の粒子径(水膨潤粒子径)が、体積基準メジアン径で0.1μm以上、10.0μm以下の範囲にあることが好ましい。上記粒子径のより好ましい範囲は0.1μm以上、8.0μm以下であり、さらに好ましい範囲は0.1μm以上、7.0μm以下であり、一層好ましい範囲は0.2μm以上、5.0μm以下であり、より一層好ましい範囲は0.5μm以上、3.0μm以下である。粒子径が0.1μm以上、10.0μm以下の範囲であれば、合剤層組成物中において好適な大きさで均一に存在するため、合剤層組成物の安定性が高く、優れた結着性を発揮することが可能となる。粒子径が10.0μm以下を超えると、上記の通り結着性が不十分となる虞がある。また、平滑性な塗面が得られにくい点で、塗工性が不十分となる虞がある。一方、粒子径が0.1μm未満の場合には、安定製造性の観点において懸念される。
また、本架橋重合体の乾燥時における粒子径(乾燥粒子径)は、体積基準メジアン径で0.03μm以上、3μm以下の範囲にあることが好ましい。上記粒子径のより好ましい範囲は0.1μm以上、1μm以下であり、さらに好ましい範囲は0.3μm以上、0.8μm以下である。
本架橋重合体は、合剤層組成物中において、中和度が20モル%以上となるように、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来のカルボキシル基等の酸基が中和され、塩の態様として用いることが好ましい。上記中和度は、より好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、一層好ましくは75モル%以上であり、より一層好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは85モル%以上である。中和度の上限値は100モル%であり、98モル%であってもよく95モル%であってもよい。中和度の範囲は、上記下限値及び上限値を適宜組合せることができ、例えば、50モル%以上100モル%以下であってもよく、75モル%以上100モル%以下であってもよく、80モル%以上100モル%以下であってもよい。中和度が20モル%以上の場合、水膨潤性が良好となり分散安定化効果が得やすいという点で好ましい。本明細書では、上記中和度は、カルボキシル基等の酸基を有する単量体及び中和に用いる中和剤の仕込み値から計算により算出することができる。なお、中和度は架橋重合体又はその塩を、減圧条件下、80℃で3時間乾燥処理後の粉末をIR測定し、カルボン酸のC=O基由来のピークとカルボン酸塩のC=O基由来のピークの強度比より確認することができる。
<カルボキシル基を有する架橋重合体の製造方法>
本架橋重合体は、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を使用することが可能であるが、生産性の点で沈殿重合及び懸濁重合(逆相懸濁重合)が好ましい。結着性等に関してより良好な性能が得られる点で、沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等の不均一系の重合法が好ましく、中でも沈殿重合法がより好ましい。
沈殿重合は、原料である不飽和単量体を溶解するが、生成する重合体を実質溶解しない溶媒中で重合反応を行うことにより重合体を製造する方法である。重合の進行とともにポリマー粒子は凝集及び成長により大きくなり、数十nm〜数百nmの一次粒子が数μm〜数十μmに二次凝集したポリマー粒子の分散液が得られる。ポリマーの粒子サイズを制御するために分散安定剤を使用することもできる。
尚、分散安定剤や重合溶剤等を選定することにより上記二次凝集を抑制することもできる。一般に、二次凝集を抑制した沈殿重合は、分散重合とも呼ばれる。
沈殿重合の場合、重合溶媒は、使用する単量体の種類等を考慮して水及び各種有機溶剤等から選択される溶媒を使用することができる。より一次鎖長の長い重合体を得るためには、連鎖移動定数の小さい溶媒を使用することが好ましい。
具体的な重合溶媒としては、メタノール、t−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル及びテトラヒドロフラン等の水溶性溶剤の他、ベンゼン、酢酸エチル、ジクロロエタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン及びn−ヘプタン等が挙げられ、これらの1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。又は、これらと水との混合溶媒として用いてもよい。本開示において水溶性溶剤とは、20℃における水への溶解度が10g/100mlより大きいものを指す。
上記の内、粗大粒子の生成や反応器への付着が小さく重合安定性が良好であること、析出した重合体微粒子が二次凝集しにくい(若しくは二次凝集が生じても水媒体中で解れやすい)こと、連鎖移動定数が小さく重合度(一次鎖長)の大きい重合体が得られること、及び後述する工程中和の際に操作が容易であること等の点で、メチルエチルケトン及びアセトニトリルが好ましい。
重合開始剤は、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等の公知の重合開始剤を用いることができるが、特に限定されるものではない。熱開始、還元剤を併用したレドックス開始、UV開始等、公知の方法で適切なラジカル発生量となるように使用条件を調整することができる。一次鎖長の長い架橋重合体を得るためには、製造時間が許容される範囲内で、ラジカル発生量がより少なくなるように条件を設定することが好ましい。
重合開始剤の好ましい使用量は、用いる単量体成分の総量を100質量部としたときに、例えば、0.001〜2質量部であり、また例えば、0.005〜1質量部であり、また例えば、0.01〜0.1質量部である。重合開始剤の使用量が0.001質量部以上であれば重合反応を安定的に行うことができ、2質量部以下であれば一次鎖長の長い重合体を得やすい。
重合温度は、使用する単量体の種類及び濃度等の条件にもよるが、0〜100℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。重合温度は一定であってもよいし、重合反応の期間において変化するものであってもよい。また、重合時間は1分間〜20時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましい。
<カルボキシル基を有する非架橋重合体>
本組成物は、バインダーとしてカルボキシル基を有する架橋重合体に加えてカルボキシル基を有する非架橋重合体(以下、「本非架橋重合体」ともいう)を含む。本架橋重合体と同様、本非架橋重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位(以下、「(a2)成分」ともいう)を有していてもよい。(a2)成分及びその導入方法は、本架橋重合体の(a1)成分において記載した内容と同様である。
本非架橋重合体における(a2)成分の含有量は、特に限定するものではないが、水への溶解性の点で、本非架橋重合体の全構造単位に対して、好ましくは50質量%以上、100質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上、100質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上、100質量%以下であり、一層好ましくは80質量%以上、100質量%以下である。
<その他の構造単位>
本非架橋重合体は、(a2)成分以外に、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位(以下、「(b2)成分」ともいう。)を含むことができる。(b2)成分及びその導入方法は、本架橋重合体の(b1)成分において記載した内容と同様である。
(b2)成分の割合は、本重合体の全構造単位に対し、0質量%以上、50質量%以下とすることができる。(b2)成分の割合は、1質量%以上、40質量%以下であってもよく、2質量%以上、30質量%以下であってもよく、5質量%以上、20質量%以下であってもよい。
本非架橋重合体は、当該重合体中に含まれるカルボキシル基の一部又は全部が中和された塩の形態であってもよい。塩の種類としては特に限定しないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩等のその他の金属塩;アンモニウム塩及び有機アミン塩等が挙げられる。これらの中でも電池特性への悪影響が生じにくい点からアルカリ金属塩及びマグネシウム塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。
本非架橋重合体は、合剤層組成物中において、中和度が20モル%以上となるように、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来のカルボキシル基等の酸基が中和され、塩の態様として用いることが好ましい。上記中和度は、より好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、一層好ましくは75モル%以上であり、より一層好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは85モル%以上である。中和度の上限値は100モル%であり、98モル%であってもよく95モル%であってもよい。中和度の範囲は、上記下限値及び上限値を適宜組合せることができ、例えば、50モル%以上100モル%以下であってもよく、75モル%以上100モル%以下であってもよく、80モル%以上100モル%以下であってもよい。中和度が20モル%以上の場合、水への溶解性が確保しやすい点で好ましい。本明細書では、上記中和度は、カルボキシル基等の酸基を有する単量体及び中和に用いる中和剤の仕込み値から計算により算出することができる。なお、中和度は架橋重合体又はその塩を、減圧条件下、80℃で3時間乾燥処理後の粉末をIR測定し、カルボン酸のC=O基由来のピークとカルボン酸塩のC=O基由来のピークの強度比より確認することができる。なお、本非架橋重合体の塩のpHは、脱イオン水に所定の濃度(実施例にて示す濃度0.2質量%〜43質量%の範囲の特定濃度)で溶解した水溶液を調製し、液温25℃±1℃に調整した後に測定したとき、例えばpH6.5以上7.5以下、また例えば7以上9以下、また例えばpH8以上10以下である。
本非架橋重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、結着性に優れる電極合剤層が得られる点で、好ましくは5,000以上であり、より好ましくは10,000以上である。Mwは、100,000以上であってもよく、500,000以上であってもよく、1,000,000以上であってもよい。Mwの上限値も特に限定するものではないが、製造上の扱いの観点から例えば10,000,000以下であり、5,000,000以下であってもよい。
本組成物に用いられるバインダーは、本架橋重合体及び本非架橋重合体を含むものである。本非架橋重合体の使用量は、前記架橋重合体及び当該非架橋重合体の総量に対し、0.1質量%以上19.0質量%以下である。非架橋重合体の使用量は、0.5質量%以上であってもよく、1.0質量%以上であってもよく、2.0質量%以上であってもよく、3.0質量%以上であってもよい。上限は、18.0質量%以下であってもよく、16.0質量%以下であってもよく、14.0質量%以下であってもよく、12.0質量%以下であってもよい。範囲としては、こうした下限及び上限を適宜組み合わせた範囲とすることができるが、例えば、0.5質量%以上、19.0質量%以下であり、また例えば0.5質量%以上、18.0質量%以下であり、また例えば0.5質量%以上、14.0質量%以下などとすることができる。
このように、本架橋重合体に対し、特定量(比較的少量)の本非架橋重合体を併せて使用することにより、従来よりも高い結着性を発現することができる。本非架橋性重合体の使用量が0.1質量%以上であれば、係る効果を発現することができる。また、本非架橋性重合体の使用量が19.0質量%を超えた場合は、十分な結着性が得られないことがある。また、本非架橋重合体の使用量を増やすことにより、バインダー組成物及び電極合剤層用組成物の粘度を低減することができる。このため、本組成物は低粘度であり、塗工性を確保したまま結着性の向上を達成することができる。
<カルボキシル基を有する非架橋重合体の製造方法>
本非架橋重合体は、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を使用することが可能であり、分子量又は組成等により適宜選定すればよい。
重合開始剤は、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等の公知の重合開始剤を用いることができるが、特に限定されるものではない。熱開始、還元剤を併用したレドックス開始、UV開始等、公知の方法で適切なラジカル発生量となるように使用条件を調整することができる。
また、分子量の調整等を目的として、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
<二次電池電極合剤層用組成物>
本開示の二次電池電極合剤層用組成物は、バインダー、活物質及び水を含む。
本組成物における上記バインダーの使用量は、活物質の全量に対して、例えば、0.1質量%以上20質量%以下である。上記使用量は、また例えば、0.2質量%以上10質量%以下であり、また例えば0.3質量%以上8質量%以下であり、また例えば0.4質量%以上5質量%以下である。バインダーの使用量が0.1質量%以上であれば、十分な結着性を得ることができる。また、活物質等の分散安定性を確保することができ、均一な合剤層を形成することができる。バインダーの使用量が20質量%以下であれば、電極合剤層組成物が高粘度となることはなく、集電体への塗工性を確保することができる。その結果、均一で平滑な表面を有する合剤層を形成することができる。
上記活物質の内、正極活物質としては遷移金属酸化物のリチウム塩を用いることができ、例えば、層状岩塩型及びスピネル型のリチウム含有金属酸化物を使用することができる。層状岩塩型の正極活物質の具体的な化合物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、並びに、三元系と呼ばれるNCM{Li(Ni,Co,Mn)、x+y+z=1}及びNCA{Li(Ni1−a−bCoAlb)}等が挙げられる。また、スピネル型の正極活物質としてはマンガン酸リチウム等が挙げられる。酸化物以外にもリン酸塩、ケイ酸塩及び硫黄等が使用され、リン酸塩としては、オリビン型のリン酸鉄リチウム等が挙げられる。正極活物質としては、上記のうちの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて混合物又は複合物として使用してもよい。
尚、層状岩塩型のリチウム含有金属酸化物を含む正極活物質を水に分散させた場合、活物質表面のリチウムイオンと水中の水素イオンとが交換されることにより、分散液がアルカリ性を示す。このため、一般的な正極用集電体材料であるアルミ箔(Al)等が腐食される虞がある。このような場合には、バインダーとして未中和又は部分中和された本架橋重合体を用いることにより、活物質から溶出するアルカリ分を中和することが好ましい。また、未中和又は部分中和された本重合体の使用量は、本架橋重合体の中和されていないカルボキシル基量が活物質から溶出するアルカリ量に対して当量以上となるように用いることが好ましい。
正極活物質はいずれも電気伝導性が低いため、導電助剤を添加して使用されるのが一般的である。導電助剤としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、黒鉛微粉、炭素繊維等の炭素系材料が挙げられ、これらの内、優れた導電性を得やすい点からカーボンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー、が好ましい。また、カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。導電助剤は、上記の1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。導電助剤の使用量は、導電性とエネルギー密度を両立するという観点から活物質の全量に対して、例えば、0.2〜20質量%とすることができ、また例えば、0.2〜10質量%とすることができる。また正極活物質は導電性を有する炭素系材料で表面コーティングしたものを使用してもよい。
一方、負極活物質としては、例えば炭素系材料、リチウム金属、リチウム合金及び金属酸化物等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの内でも、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン及びソフトカーボン等の炭素系材料からなる活物質(以下、「炭素系活物質」ともいう)が好ましく、天然黒鉛及び人造黒鉛等の黒鉛、並びにハードカーボンがより好ましい。また、黒鉛の場合、電池性能の面から球形化黒鉛が好適に用いられ、その粒子サイズの好ましい範囲は、例えば、1〜20μmであり、また例えば、5〜15μmである。また、エネルギー密度を高くするために、ケイ素やスズなどのリチウムを吸蔵できる金属又は金属酸化物等を負極活物質として使用することもできる。その中でも、ケイ素は黒鉛に比べて高容量であり、ケイ素、ケイ素合金及び一酸化ケイ素(SiO)等のケイ素酸化物のようなケイ素系材料からなる活物質(以下、「ケイ素系活物質」ともいう)を用いることができる。しかし、上記ケイ素系活物質は高容量である反面充放電に伴う体積変化が大きい。このため、上記炭素系活物質と併用するのが好ましい。この場合、ケイ素系活物質の配合量が多いと電極材料の崩壊を招き、サイクル特性(耐久性)が大きく低下する場合がある。このような観点から、ケイ素系活物質を併用する場合、その使用量は炭素系活物質に対して、例えば、60質量%以下であり、また例えば、30質量%以下である。
炭素系活物質は、それ自身が良好な電気伝導性を有するため、必ずしも導電助剤を添加する必要はない。抵抗をより低減する等の目的で導電助剤を添加する場合、エネルギー密度の観点からその使用量は活物質の総量に対して、例えば、10質量%以下であり、また例えば、5質量%以下である。
二次電池電極合剤層用組成物がスラリー状態の場合、活物質の使用量は、組成物全量に対して、例えば、10〜75質量%の範囲であり、また例えば、30〜65質量%の範囲である。活物質の使用量が10質量%以上であればバインダー等のマイグレーションが抑えられるとともに、媒体の乾燥コストの面でも有利となる。一方、75質量%以下であれば組成物の流動性及び塗工性を確保することができ、均一な合剤層を形成することができる。
また、湿粉状態で電極合剤層用組成物を調製する場合、活物質の使用量は、組成物全量に対して、例えば、60〜97質量%の範囲であり、また例えば、70〜90質量%の範囲である。また、エネルギー密度の観点から、バインダーや導電助剤等の活物質以外の不揮発成分は、必要な結着性や導電性が担保される範囲内で出来る限り少ない方がよい。
二次電池電極合剤層用組成物は、媒体として水を使用する。また、組成物の性状及び乾燥性等を調整する目的で、メタノール及びエタノール等の低級アルコール類、エチレンカーボネート等のカーボネート類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の水溶性有機溶剤との混合溶媒としてもよい。混合媒体中の水の割合は、例えば、50質量%以上であり、また例えば、70質量%以上である。
電極合剤層用組成物を塗工可能なスラリー状態とする場合、組成物全体に占める水を含む媒体の含有量は、スラリーの塗工性、および乾燥に必要なエネルギーコスト、生産性の観点から、例えば、25〜90質量%の範囲とすることができ、また例えば、35〜70質量%とすることができる。また、プレス可能な湿粉状態とする場合、上記媒体の含有量はプレス後の合剤層の均一性の観点から、例えば、3〜40質量%の範囲とすることができ、また例えば、10〜30質量%の範囲とすることができる。
本組成物は、さらにスチレン/ブタジエン系ラテックス(SBR)、アクリル系ラテックス及びポリフッ化ビニリデン系ラテックス等の他のバインダー成分を併用してもよい。他のバインダー成分を併用する場合、その使用量は、活物質に対して、例えば、0.1〜5質量%以下とすることができ、また例えば、0.1〜2質量%以下とすることができ、また例えば、0.1〜1質量%以下とすることができる。他のバインダー成分の使用量が5質量%を超えると抵抗が増大し、ハイレート特性が不十分なものとなる場合がある。上記の中でも、結着性及び耐屈曲性のバランスに優れる点で、スチレン/ブタジエン系ラテックスが好ましい。
本開示の二次電池電極合剤層用組成物は、上記の活物質、水及びバインダーを必須の構成成分とするものであり、公知の手段を用いて各成分を混合することにより得られる。各成分の混合方法は特段制限されるものではなく、公知の方法を採用することができるが、活物質、導電助剤及びバインダー等の粉末成分をドライブレンドした後、水等の分散媒と混合し、分散混練する方法が好ましい。電極合剤層用組成物をスラリー状態で得る場合、分散不良や凝集のないスラリーに仕上げることが好ましい。混合手段としては、プラネタリーミキサー、薄膜旋回式ミキサー及び自公転式ミキサー等の公知のミキサーを使用することができるが、短時間で良好な分散状態が得られる点で薄膜旋回式ミキサーを使用して行うことが好ましい。また、薄膜旋回式ミキサーを用いる場合は、予めディスパー等の攪拌機で予備分散を行うことが好ましい。また、上記スラリーの粘度は、60rpmにおけるB型粘度として、例えば、500〜100,000mPa・sの範囲とすることができ、また例えば、500〜10,000mPa・s、また例えば、500〜5,000mPa・s、また例えば、500〜3,000mPa・s、また例えば、1,000〜3,000mPa・sの範囲とすることができる。スラリーの粘度が上記の範囲内であれば、良好な塗工性を確保することができる。
一方、電極合剤層用組成物を湿粉状態で得る場合、ヘンシェルミキサー、ブレンダ―、プラネタリーミキサー及び2軸混練機等を用いて、濃度ムラのない均一な状態まで混練することが好ましい。
<二次電池用電極>
本開示の二次電池用電極は、銅又はアルミニウム等の集電体表面に本開示の二次電池電極合剤層用組成物から形成される合剤層を備えてなるものである。合剤層は、集電体の表面に本組成物を塗工した後、水等の媒体を乾燥除去することにより形成される。本組成物を塗工する方法は特に限定されず、ドクターブレード法、ディップ法、ロールコート法、コンマコート法、カーテンコート法、グラビアコート法及びエクストルージョン法などの公知の方法を採用することができる。また、上記乾燥は、温風吹付け、減圧、(遠)赤外線、マイクロ波照射等の公知の方法により行うことができる。
通常、乾燥後に得られた合剤層には、金型プレス及びロールプレス等による圧縮処理が施される。圧縮することにより活物質及びバインダーを密着させ、合剤層の強度及び集電体への密着性を向上させることができる。圧縮により合剤層の厚みを、例えば、圧縮前の30〜80%程度に調整することができ、圧縮後の合剤層の厚みは4〜200μm程度が一般的である。
本開示の二次電池用電極にセパレータ及び電解液を備えることにより、二次電池を作製することができる。電解液は液状であってもよく、ゲル状であってもよい。
セパレータは電池の正極及び負極間に配され、両極の接触による短絡の防止や電解液を保持してイオン導電性を確保する役割を担う。セパレータにはフィルム状の絶縁性微多孔膜であって、良好なイオン透過性及び機械的強度を有するものが好ましい。具体的な素材としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン等を使用することができる。
電解液は、活物質の種類に応じて一般的に使用される公知のものを用いることができる。リチウムイオン二次電池では、具体的な溶媒として、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネート等の高誘電率で電解質の溶解能力の高い環状カーボネート、並びに、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等の粘性の低い鎖状カーボネート等が挙げられ、これらを単独で又は混合溶媒として使用することができる。電解液は、これらの溶媒にLiPF、LiSbF、LiBF、LiClO、LiAlO等のリチウム塩を溶解して使用される。ニッケル水素二次電池では、電解液として水酸化カリウム水溶液を使用することができる。二次電池は、セパレータで仕切られた正極板及び負極板を渦巻き状又は積層構造にしてケース等に収納することにより得られる。
以上説明したように、本明細書に開示される二次電池電極合剤層用組成物より形成される合剤層は、電極材料との優れた結着性と集電体との優れた接着性とを示す。このため、上記合剤層を備えた電極を具備した二次電池は、良好な一体性を確保でき、充放電を繰り返しても良好な耐久性(サイクル特性)を示すと予想され、車載用二次電池等に好適である。
また、本明細書の開示によれば、二次電池電極合剤層用組成物の製造方法並びに二次電池用電極の製造方法も提供される。
以下、実施例に基づいて本開示を具体的に説明する。尚、本開示は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
(本架橋重合体の2%水溶液粘度)
以下の各製造例において得られたカルボキシル基を有する架橋重合体を脱イオン水に溶解して濃度2%の水溶液を調製した。上記水溶液を液温25℃±1℃に調整した後、12rpmにおけるB型粘度計により2%水溶液粘度を測定した。
(架橋重合体のpH)
各製造例において得られたカルボキシル基を有する架橋重合体を脱イオン水に溶解して濃度0.5%の水溶液を調製した。上記水溶液を液温25℃±1℃に調整した後、pH測定器により測定した。
(非架橋重合体のpH)
表2及び表3において用いた各非架橋重合体を脱イオン水に溶解し、水溶液を調製した。水溶液における非架橋重合体の濃度は表2及び表3に示した。上記水溶液を液温25℃±1℃に調整した後、pH測定器により測定した。
(非架橋重合体の水溶液粘度)
表2及び表3において用いた各架橋重合体の水溶液粘度と同様の方法で測定した。なお、水溶液における非架橋重合体の濃度は、表2及び表3に示した。
(二次電池電極合剤層用組成物のスラリー粘度)
また、以下の各実施例において得られた二次電池電極合剤層用組成物を液温25℃±1℃に調整した後、60rpmにおけるB型粘度計によりスラリー粘度を測定した。
≪本重合体塩の製造≫
(製造例1:カルボキシル基含有架橋重合体塩R−1の製造)
重合には、攪拌翼、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応器を用いた。
反応器内にアセトニトリル567部、イオン交換水2.20部、アクリル酸(以下、「AA」という)100.0部、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(ダイソー社製、商品名「ネオアリルT−20」)0.90部及び上記AAに対して1.0モル%に相当するトリエチルアミンを仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後、加温して内温を55℃まで昇温した。内温が55℃で安定したことを確認した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名「V−65」)0.040部を添加したところ、反応液に白濁が認められたため、この点を重合開始点とした。外温(水バス温度)を調整して内温を55℃に維持しながら重合反応を継続し、重合開始点から6時間経過した時点で内温を65℃まで昇温した。内温を65℃で維持し、重合開始点から12時間経過した時点で反応液の冷却を開始し、内温が25℃まで低下した後、水酸化リチウム・一水和物(以下、「LiOH・HO」という)の粉末52.4部を添加した。添加後室温下12時間撹拌を継続して、カルボキシル基含有架橋重合体塩R−1(Li塩、中和度90モル%)の粒子が媒体に分散したスラリー状の重合反応液を得た。
得られた重合反応液を遠心分離して重合体粒子を沈降させた後、上澄みを除去した。その後、重合反応液と同重量のアセトニトリルに沈降物を再分散させた後、遠心分離により重合体粒子を沈降させて上澄みを除去する洗浄操作を2回繰り返した。沈降物を回収し、減圧条件下、80℃で3時間乾燥処理を行い、揮発分を除去することにより、カルボキシル基含有重合体塩R−1の粉末を得た。カルボキシル基含有架橋重合体塩R−1は吸湿性を有するため、水蒸気バリア性を有する容器に密封保管した。なお、カルボキシル基含有重合体塩R−1の粉末をIR測定し、カルボン酸のC=O基由来のピークとカルボン酸LiのC=O由来のピークの強度比より中和度を求めたところ、仕込みからの計算値に等しく90モル%であった。また、カルボキシル基含有重合体塩R−1の2%の水溶液の粘度を測定したところ、2110mPa・sであった。
(製造例2〜6:カルボキシル基含有架橋重合体塩R−2〜R−6の製造)
単量体、架橋性単量体、及び中和剤の種類及び仕込み量を表1に記載の通りとした以外は製造例1と同様の操作を行い、カルボキシル基含有架橋重合体塩R−2〜R−6を含む重合反応液を得た。
次いで、各重合反応液について製造例1と同様の操作を行い、粉末状のカルボキシル基含有架橋重合体塩R−2〜R−6を得た。各カルボキシル基含有架橋重合体塩は、水蒸気バリア性を有する容器に密封保管した。
Figure 2019225705
表1において用いた化合物の詳細を以下に示す。
AA:アクリル酸
DMAA:ジメチルアクリルアミド
T−20:トリメチロールプロパンジアリルエーテル(ダイソー社製、商品名「ネオアリルT−20」)
(電極の評価)
活物質として、負極用活物質である黒鉛、又はケイ素粒子及び黒鉛を用い、バインダーとしてカルボキシル基含有架橋重合体塩及びカルボキシル基含有非架橋重合体を用いた合剤層用組成物について、合剤層形成時の塗工性及び形成された合剤層/集電体間の剥離強度(すなわちバインダーの結着性)を測定した。黒鉛としては天然黒鉛(日本黒鉛社製、商品名「CGB−10」)、ケイ素粒子としては(Sigma−Aldrich、Siナノパウダー、粒子径<100nm)を使用した。
実施例1
天然黒鉛100部に対し、粉末状のカルボキシル基含有重合体Li塩R−1を3.168部、及び非架橋ポリアクリル酸Na(東亞合成社製、商品名「アロンビスSX」)を0.032部秤量し、予めよく混合した後、イオン交換水165部を加えてディスパーで予備分散を行い、その後、薄膜旋回式ミキサー(プライミクス社製、FM−56−30)を用いて周速度20m/秒の条件で本分散を15秒間行うことにより、スラリー状の負極合剤層用組成物を得た。スラリー濃度(固形分)は、38.5%と算出された。また、スラリーの粘度は2800mPa・sであり、十分低い値であった。
得られた合剤層用組成物を用いて電極を作製し、その評価を行った。具体的な手順及び評価方法等について以下に示す。
<負極の作製>
可変式アプリケーターを用いて、厚さ20μmの銅箔(日本製箔社製)上に上記で調製した合剤層用組成物を塗布し、通風乾燥機内で100℃×15分間の乾燥を行うことにより合剤層を形成した。その後、合剤層の厚みが50±5μm、充填密度が1.70±0.20g/cmになるよう圧延し、負極電極を作製した。
<90°剥離強度(結着性)>
上記で得られた負極電極を25mm幅の短冊状に裁断した後、水平面に固定された両面テープに上記試料の合剤層面を貼付け、剥離試験用試料を作製した。試験用試料を60℃、1晩減圧条件下で乾燥させた後、引張速度50mm/分における90°剥離を行い、合剤層と銅箔間の剥離強度を測定した。剥離強度は12.3N/mと高く、良好であった。
実施例2〜15、及び比較例1〜3
活物質、並びに、バインダーとして使用するカルボキシル基含有架橋重合体及びカルボキシル基含有非架橋重合体を、表2及び表3の通り用いた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより合剤層組成物を調製した。なお、実施例12では、カルボキシル基含有非架橋重合体として、未中和ポリアクリル酸水溶液(東亞合成社製、商品名「ジュリマーAC−10L」)にLiOH・HOを加えて90モル%中和したものを使用した。また、実施例4及び5では、天然黒鉛及びケイ素粒子を、遊星ボールミル(FRITSCH社製、P−5)を用いて400rpmで1時間撹拌し、得られた混合物に粉末状のカルボキシル基含有重合体Li塩R−1及びアロンビスSXを表2に記載の通り秤量し、予めよく混合した後、実施例1と同様の操作を行うことにより合剤層組成物を調製した。各合剤層組成物について90°剥離強度を評価し、結果を表2及び表3に示した。
Figure 2019225705
Figure 2019225705
表2及び表3において用いた化合物の詳細を以下に示す。
SX:非架橋ポリアクリル酸Na中和塩(東亞合成社製、商品名「アロンビスSX」)
AHX:非架橋ポリアクリル酸Na部分中和塩(東亞合成社製、商品名「アロンビスAHX」)
AC−10L:非架橋ポリアクリル酸(東亞合成社製、商品名「ジュリマーAC−10L」)
T−50:非架橋ポリアクリル酸Na中和塩(東亞合成社製、商品名「アロンT−50」)
なお、「アロンビス」、「ジュリマー」及び「アロン」は、東亞合成株式会社の登録商標である。
各実施例は、本開示に属する二次電池電極合剤層用組成物を用いて電極を作製したものであり、各合剤層用組成物(スラリー)の粘度は十分低く、その塗工性はいずれも良好であった。カルボキシル基を有する非架橋重合体の使用量に着目すると、当該非架橋重合体を含まない電極(比較例1、比較例3)及び非架橋重合体の使用量が多い電極(比較例2)に比較して、各実施例の電極は優れた結着性を有することが示された。
本開示の二次電池電極用バインダーは、合剤層において優れた結着性を示すこのため、上記バインダーを使用して得られた電極を備えた二次電池は、良好な耐久性(サイクル特性)を示すと予想され、車載用二次電池への適用が期待される。また、シリコンを含む活物質の使用にも有用であり、電池の高容量化への寄与が期待される。
本開示の二次電池電極用バインダーは、特に非水電解質二次電池電極に好適に用いることができ、中でも、エネルギー密度が高い非水電解質リチウムイオン二次電池に有用である。

Claims (6)

  1. バインダー、活物質及び水を含む二次電池電極合剤層用組成物であって、
    前記バインダーは、カルボキシル基を有する架橋重合体及びカルボキシル基を有する非架橋重合体を含み、
    前記非架橋重合体の使用量は、前記架橋重合体及び当該非架橋重合体の総量に対し、0.1質量%以上19.0質量%以下である、二次電池電極合剤層用組成物。
  2. 前記架橋重合体は、その全構造単位に対し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位を50質量%以上100質量%以下含み、
    前記非架橋重合体は、その全構造単位に対し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位を50質量%以上100質量%以下含む、請求項1に記載の二次電池電極合剤層用組成物。
  3. 前記架橋重合体は、中和度が75モル%以上である請求項1又は2に記載の二次電池電極合剤層用組成物。
  4. 前記架橋重合体は、架橋性単量体を用いて得られたものであり、当該架橋性単量体の使用量は、非架橋性単量体の総量100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池電極合剤層用組成物。
  5. 前記非架橋重合体は、重量平均分子量が10000以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池電極合剤層用組成物。
  6. 集電体表面に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池電極合剤層用組成物から形成される合剤層を備えた二次電池電極。
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