JPWO2019172201A1 - ポリウレタンフォームおよび靴底部材 - Google Patents

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Abstract

耐久性、衝撃吸収性、反発弾性と耐屈曲性といった性質を損なうことなく、軽量性にも優れ、靴底部材を形成するために利用可能なポリウレタンフォームを提供する。ポリオール成分から形成されるソフトセグメントとウレタン結合部を有する構造部から形成されるハードセグメントとを有するポリウレタンフォームにおいて、上記ソフトセグメントと上記ハードセグメントの存在比率が、上記ソフトセグメントと上記ハードセグメントの合計を100質量部とした場合における上記ハードセグメントに対する上記ソフトセグメントの質量比率で、70/30以上80/20以下の範囲であり、ポリウレタンフォームの平均気泡径が、30μm以上100μm以下であり、ポリウレタンフォーム内に形成された全ての気泡のうちの90%以上の個数の気泡が、20μm以上300μm以下の気泡径を有しており、JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm3以上0.50g/cm3以下であり、JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定されたポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下である。【選択図】 なし

Description

本発明は、靴底部材を形成するために利用可能なポリウレタンフォームおよび靴底部材に関する。
ポリウレタンフォームは、衝撃吸収性に優れることから、靴底部材として汎用されている。汎用される靴底部材の例としては、インソール、ミッドソール及びアウトソールを例示することができる。
また、靴底部材には、圧縮永久歪の小ささにより実現される耐久性、足に負荷される衝撃の吸収力や緩和力により実現される衝撃吸収性、反発弾性および耐屈曲性が要請される。靴底部材が耐久性に優れることで、その靴底部材を用いた靴の継続的な使用がなされても靴底部材の構造と機能を維持することができる。靴底底部が衝撃吸収性に優れることで、運動時の足裏への衝撃が抑制され怪我の発生を防止することができる。靴底部材が反発弾性に優れることで、蹴り出しの際に足の動きを効果的に補助することができる。また、靴底部材が耐屈曲性に優れると、足裏の屈曲動作によって靴底部材に亀裂が入る虞を抑制することができる。
これらの点について、例えば、特許文献1には、衝撃吸収性と反発弾性を同時に有するポリウレタンフォームの発明が記載されている。また、特許文献2には、耐屈曲性を向上させたポリウレタンフォームの発明が記載されている。
特開2016−069658号公報 特開2017−105913号公報
しかしながら、靴底部材には、上記した耐久性、衝撃吸収性、反発弾性および耐屈曲性といった性質を損なうことなく、軽量性についてもより一層向上したものが要請されている。
本発明は、耐久性、衝撃吸収性、反発弾性および耐屈曲性といった性質を損なうことなく、軽量性にも優れており、靴底部材を形成するために利用可能なポリウレタンフォームおよび靴底部材を提供することを目的とする。
本発明は、(1)ポリオール成分から形成されるソフトセグメントとウレタン結合部を有する構造部から形成されるハードセグメントとを有するポリウレタンフォームであって、
上記ソフトセグメントと上記ハードセグメントの存在比率が、上記ソフトセグメントと上記ハードセグメントの合計を100質量部とした場合における上記ハードセグメントに対する上記ソフトセグメントの質量比率で、70/30以上80/20以下の範囲であり、
ポリウレタンフォームの平均気泡径が、30μm以上100μm以下であり、
ポリウレタンフォーム内に形成された全ての気泡のうちの90%以上の個数の気泡が、20μm以上300μm以下の気泡径を有しており、
JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm以上0.50g/cm以下であり、
JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定されたポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下である、ことを特徴とするポリウレタンフォーム、
(2)厚みが12.5mmとなるように形成された前記ポリウレタンフォームからなる試験片を準備し、該試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させた場合に、試験片への最大衝撃荷重が0.9kN以下である、上記(1)に記載のポリウレタンフォーム、
(3)前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルポリオールを含む、上記(1)又は(2)記載のポリウレタンフォーム、
(4)JIS K 6255に準拠して測定されたポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上である、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム、
(5)JIS K 6262に準拠して測定されたポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下である、上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム、
(6)縦が120mm、横が60mm、且つ、厚みが6mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備し、該ポリウレタンフォームに厚さが2mmの樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、該複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作と該複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した場合に、ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が3万回以上である、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム、
(7)モールド成型体である、上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム、
(8)厚みが12.5mmとなるように形成されたポリウレタンフォームからなる試験片を準備し、該試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させた場合に、前記試験片への最大衝撃荷重が0.9kN以下であり、
JIS K 6255に準拠して測定されたポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上であり、
JIS K 6262に準拠して測定されたポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下であり、
縦が120mm、横が60mm、および、厚みが6mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備し、該ポリウレタンフォームに厚さが2mmの樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、前記複合体を縦方向に沿った中央位置で該複合体の半分を90°折り曲げる操作と該複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した場合に、前記ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が3万回以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
(9)上記(1)から(8)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームを用いたことを特徴とする靴底部材、を要旨とする。
本発明によれば、耐久性、衝撃吸収性、反発弾性および耐屈曲性といった性質を損なうことなく、軽量性にも優れており、靴底部材を形成するために利用可能なポリウレタンフォームおよび靴底部材を提供することができる。
落下衝撃試験で用いられた錘の形状を説明するための図である。
[ポリウレタンフォーム]
ポリウレタンフォームは、ソフトセグメントとハードセグメントとを有する。
(ソフトセグメントとハードセグメント)
ソフトセグメントは、ポリウレタンを形成する高分子構造のうちポリオール成分による構造部から形成され、柔軟性の高い分子鎖部位である。ハードセグメントは、ポリウレタンを形成する高分子構造のうちイソシアネート基とヒドロキシル基との反応により形成されたウレタン結合部を有する構造部から形成された分子鎖部位である。上記ハードセグメントは、ウレタン結合部での水素結合により結晶化あるいは凝集しやすい剛直性の分子鎖部位である。上記ハードセグメントは、ポリオール成分による構造部を除いた部分で形成される。
なお、ソフトセグメントを形成するポリオール成分による構造部の範囲には、後述するイソシアネート基末端プレポリマーを形成する際に用いるポリオール(α)、(β)、(γ)から形成される部位が含まれる。
ソフトセグメントを形成するポリオール成分による構造部は、ウレタン結合を有する構造部よりも柔軟性の高い分子鎖部位である。そのため、ソフトセグメントとハードセグメントの比率が、ポリウレタンフォームの性能に大きな影響を与える。
(ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率)
本発明のポリウレタンフォームにおいては、ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率が、ソフトセグメントとハードセグメントの合計を100質量部とした場合におけるハードセグメントに対するソフトセグメントの質量比率で、70/30以上80/20以下の範囲である。ハードセグメントに対するソフトセグメントの質量比率が80/20を超えたポリウレタンフォームは、特定の硬度を満たすことができず、衝撃吸収性のほか、耐久性に劣る。また、ハードセグメントに対するソフトセグメントの質量比率が70/30未満であるポリウレタンフォームは、硬くなり、衝撃吸収性に劣る。
(ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率の特定方法)
本明細書におけるソフトセグメントとハードセグメントの存在比率は、ポリオールとイソシアネートの配合比に応じて予め求められる値である。
例えば、ポリウレタンフォームが形成されるにあたり、ポリオール成分として後述の第1のPTMGを用い、イソシアネート成分として、イソシアネート基末端プレポリマーと変性MDIを用いる例について上記存在比率の特定方法を説明する。尚、本具体例では、上記イソシアネート基末端プレポリマーは第2のPTMGとMDIの反応生成物である。この場合、ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率は次のように特定できる。まずソフトセグメントの存在比率(%)は、(第1のPTMGの配合量とイソシアネート基末端プレポリマーにおける第2のPTMGの成分の量の合計)/(第1のPTMGの配合量とイソシアネート基末端プレポリマーの配合量と変性MDIの配合量の合計)×100で特定される。ハードセグメントの存在比率(%)は、100−(ソフトセグメントの存在比率)で特定することができる。
ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率は、次のようにして特定することもできる。すなわち、ポリウレタンフォーム中のソフトセグメントとハードセグメントの存在比率は、ポリウレタンフォームの熱分解GC/MS分析(熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法)およびポリウレタンフォームの加水分解物のH−NMR(核磁気共鳴)測定の結果より算出できる。より具体的には、ポリウレタンフォームの熱分解GC/MS分析により、熱分解生成物の定性を行う。また、ポリウレタンフォームを加水分解することによって加水分解物を得る。ポリウレタンフォームは、加水分解によってジアミンの塩(イソシアネート成分由来の化合物)とポリオールに分解する。得られた加水分解物のH−NMRスペクトルの積分値から、ポリウレタンフォーム中の組成分を同定することが出来る。これらの結果より、出発物質であるイソシアネート成分、ポリオール成分を質量部に換算し、その比率を求めることができる。
(平均気泡径)
本発明のポリウレタンフォームが、特定の範囲の平均気泡径を有してばらつきのない均一なセルを形成したものであると、衝撃吸収性、反発弾性、耐久性、及び耐屈曲性も向上させることができる。この効果を高める観点からは、ポリウレタンフォームの平均気泡径は、30μm以上100μm以下であることが好ましい。
(気泡径の大きさの分布)
ポリウレタンフォーム内に形成された気泡径の大きさの分布については、ポリウレタンフォームに形成された全てのセル(気泡)のうちの90%以上の個数の気泡が、20μm以上300μm以下の気泡径を有するような分布となっている。ここで、一定範囲の気泡径を有する気泡の個数が全体に占める割合は、ばらつきの程度を判断する指標となる。特定範囲の気泡径を有する気泡の個数が90%以上占めていることは、ばらつきのない均一な状態であることを示している。なお、気泡径はセルの直径を示すものとする。
(平均気泡径と気泡径の大きさの分布に関する特定方法)
ポリウレタンフォームの気泡径の分布は次のように特定することができる。まず、ポリウレタンフォームを予め無作為に選択された位置で切断して切断面を露出させる。切断面において、所定の領域(例えば、縦4mm、横3mmの矩形状の領域)を無作為に選択して選択領域とする。マイクロスコープを用いて、選択領域に存在する全ての気泡の数を計測する。次に、選択領域内の20μm以上300μm以下の気泡径を有するような気泡の数を計測する。計測された選択領域内の全ての気泡の個数をaとし、気泡径が20μm以上300μm以下のセルの個数をbとし、気泡径が20μm以上300μm以下のセルが全セルに対して占める割合は、b/a×100(%)の式で求められる。
平均気泡径は例えば次のように特定することができる。まず、ポリウレタンフォームから無作為に選択された位置で切断して切断面を露出させる。切断面において、所定の領域(例えば、縦4mm、横3mmの矩形状の領域)を無作為に選択して選択領域とする。選択領域内に存在するセルの個数(全セルの個数)、及び各気泡径(セルの直径)を、マイクロスコープを用いて計測する。平均気泡径は、各気泡径から算出された算術平均値として特定される。
(見かけ密度)
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm以上0.50g/cm以下である。
本発明においては、ポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm以上0.50g/cm以下という比較的小さい値であっても優れた衝撃吸収性を有し、反発弾性、耐久性、耐屈曲性などの物性も保持するポリウレタンフォームが得られる。このような本発明のポリウレタンフォームは、軽量化が重要視される靴底部材などの用途として好ましく使用することができるものである。
(硬度)
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定された硬度が50以上65以下である。ポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下であることで、そのポリウレタンフォームを靴底部材として用いた靴は着地時の安定性に優れる。
ポリウレタンフォームの硬度は、ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率、平均気泡径、気泡径の大きさの分布という3つの変数の影響を受けて変動するものである。しかし、これら3つの変数を特定の範囲にするだけで上記硬度が決定されるものではない。これに対し、本発明においては、3つの変数のバランスを考慮しながらポリウレタンフォームの硬度を50以上65以下の範囲にすることが実現された。そして、本発明では、上記ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率、平均気泡径、気泡径の大きさの分布の調整を図りつつ、さらに硬度および見かけ密度の範囲を特定範囲にすることで、軽量性でありながら、後述する耐久性、衝撃吸収性、反発弾性及び耐屈曲性に優れるポリウレタンフォームが得られる。
(圧縮永久歪)
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 6262に準拠して測定された圧縮永久歪率が20%以下である。ただし、圧縮永久歪率を測定する際の測定条件は、圧縮率25%、40℃、24時間の条件である。ポリウレタンフォームの圧縮永久歪が20%を超える場合、該ポリウレタンフォームが靴底部材として使用された靴は、一般的に要請される耐久性能に劣る虞がある。
(耐屈曲性)
本発明のポリウレタンフォームは、耐屈曲性を備えている。これは、次に示す屈曲性確認試験を行うことで特定することができる。
(耐屈曲性確認試験)
所定の大きさ(例えば縦120mm、横60mm、厚み6mm)のポリウレタンフォームを準備してこれを試験片とする。該試験片に所定の厚さ(例えば、厚さ2mm)の樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成する。そして、曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返す。上記曲げ戻し操作とは、複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作Aと、複合体の上記半分を元の位置に戻す操作Bとで構成され、上記操作Aと上記操作Bとを繰り返す操作である。操作Aおよび操作Bを連続して一度ずつ行ったとき、曲げ戻し操作の回数を1回とカウントする。
ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が2万回以上であれば、耐屈曲性に優れたものである。本発明のポリウレタンフォームにおいては、耐屈曲性確認試験の結果、亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が2万回以上であり、好ましくは3万回以上である。
ここで、樹脂含浸ボードとは、合成樹脂や合成ゴム、天然ゴムなどを含浸させたパルプボード(含浸紙)であって、例えばインソールや中底の芯材として使用されているものである。樹脂含浸ボードとしては、上市されているもの等を適宜選択することができ、例えば、ボンテックス社製の商品名「テキソンボード437」等を用いることができる。
(衝撃吸収性)
ポリウレタンフォームの衝撃吸収性は、最大衝撃荷重によって特定することができる。本発明のポリウレタンフォームにおいては、最大衝撃荷重が0.9kN以下であることが好適である。最大衝撃荷重は、次に示す落下衝撃試験によって特定することができる。最大衝撃荷重の値は小さいほど衝撃が吸収されていることを示す。ポリウレタンフォームへの最大衝撃荷重が0.9kN以下であることで、靴底部材として利用できる程度の衝撃吸収性を有するポリウレタンフォームが得られる。
(落下衝撃試験)
厚みが12.5mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備して、これを試験片とする。上記試験片に対し5.1kgの錘を50mmの高さから落下させ衝突させる。錘としては、図1に示すような砲弾状の錘Wが利用されてよい。そして、その際の最大衝撃荷重が特定される。最大衝撃荷重は、例えば、Instron社製、商品名 dynatup GRC8200 等を用いて測定することができる。
(反発弾性)
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K 6255に準拠して測定した反発弾性率が60%以上であることが好ましい。ポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上であることで、スポーツシューズの靴底部材として好適な反発弾性を備えたものが得られる。
このように、本発明のポリウレタンフォームは、見かけ密度が0.25g/cm以上0.50g/cm以下という比較的小さいものであり軽量性に優れたものであるのみならず、衝撃吸収性、反発弾性、耐久性、耐屈曲性に優れつつ、十分な硬度を有するものである。
[ポリウレタンフォームの製造方法]
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒、整泡剤を含むポリウレタン原料組成物を反応させることで形成することができる。
[ポリオール成分]
ポリオール成分は、ポリウレタンフォームのソフトセグメントの構造部を形成するための材料となる。この構造部を形成するための材料となるポリオール成分の例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。該アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールを付加したポリエーテルポリオールでもよい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、もしくはアジピン酸等の脂肪族カルボン酸またはフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、もしくはプロピレングリコール等の多価アルコールと、から重縮合して得られたものが使用できる。
ポリオール成分の範囲には、イソシアネートに反応させるために用いられたポリオールも含まれ、例えば後述する(α)、(β)、(γ)に示す各化合物も含まれる。
ポリオール成分としては、数平均分子量が300以上3500以下、平均官能基数が2以上3以下、及び平均水酸基価が35mgKOH/g以上200mgKOH/g以下を満たすポリエーテルポリオールが好ましい。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(第1のPTMGとも言う)が用いられてもよい。なお、本発明では、ポリオール成分として数平均分子量が異なる第1のPTMGを2種以上混合して用いてもよい。
ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合、および/または、平均水酸基価が200mgKOH/gを超える場合には、得られるウレタンフォームの気泡径が不均一になりやすく、柔軟性が損なわれやすく、所望の耐屈曲性が得られない虞がある。ポリオール成分の数平均分子量が3500を超える場合、および/または、平均水酸基価が35mgKOH/g未満の場合では、ハードセグメントに対するソフトセグメントの存在割合が多くなり、得られるポリウレタンフォームの衝撃吸収性は得られやすいが、目的とする反発弾性が得られない虞がある。
なお、ポリオール成分には、必要に応じて、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ショ糖、ソルビトール、グルコース等のアルコール類が使用できる。特に、これらのうち、3官能以上のものが好ましい。
[イソシアネート成分]
ハードセグメントは、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応により形成されたウレタン結合部を有する構造部により形成されるが、この構造部を形成するための材料は、イソシアネート成分が含まれる。具体的には、芳香族イソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、イソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられる。
より具体的に、ポリオールと反応させるためのイソシアネート成分としては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)などの芳香族イソシアネート類、テトラメチレンジイソシアネート、もしくはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、もしくは水素添加MDIなどの脂環族ジイソシアネート、またはこれらをプレポリマー化したイソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。イソシアネート成分としては、上述した化合物の中でも、イソシアネート基末端プレポリマーが好ましい。
イソシアネート成分は、後述するイソシアネート基末端プレポリマー及び後述する変性MDIを含有するものを例示することができる。このとき、イソシアネート基末端プレポリマーと変性MDIの含有比率は、イソシアネート基末端プレポリマー及び後述する変性MDIの合計量を100質量部とした場合に、変性MDIに対するイソシアネート基末端プレポリマーの比率で97/3から80/20の範囲であることが好ましい。
(イソシアネート基末端プレポリマー)
イソシアネート基末端プレポリマーとしては、数平均分子量が500以上4000以下、平均官能基数が2以上3以下、イソシアネート基含有率が3質量%以上10質量%以下のものを用いることが好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーが、数平均分子量が4000を超えている、及び/又は、イソシアネート基含有率が3質量%未満である場合、得られるポリウレタンフォームは発泡しづらく硬くなりすぎてしまい、粘度が大きく、他の材料との混合が困難になりやすい。イソシアネート基末端プレポリマーが、数平均分子量が500未満である、及び/又は、イソシアネート基含有率が10質量%を超えている場合、得られるポリウレタンフォームは発泡しやすく柔らかくなりすぎてしまい、所望の衝撃吸収性や反発弾性が得られない虞がある。
上記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリオールとイソシアネートとを、イソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させて得ることができる。
イソシアネートに反応させるポリオールの例としては、次の(α)、(β)、(γ)に示すもの等を挙げることができる。
(α):ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール。
(β):ポリマーポリオール(例えば、ポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体などをグラフト共重合させたもの)。
(γ):前記架橋剤の例として挙げたアルコール類のうち、2官能のもの。
イソシアネートに反応させるポリオールについて、上記(α)、(β)、(γ)に示すものは単独でまたは2種以上混合したものでもよい。イソシアネートに反応させるポリオールは、上記(α)、(β)、(γ)に示すものの中でも、ポリエーテルポリオールが好ましく、より好ましくはポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、これを第2のPTMGと言う)である。なお、第2のPTMGの範囲には、「第1のPTMG(数平均分子量が300以上3500以下、平均官能基数が2以上3以下、及び平均水酸基価が35mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のポリテトラメチレンエーテルグリコール)」、及び、「数平均分子量と平均官能基数と平均水酸基価のうちの少なくとも一種が第1のPTMGに該当するための条件となる範囲から外れているようなポリテトラメチレンエーテルグリコール」が含まれる。
イソシアネート基末端プレポリマーを形成するためのイソシアネートは、上記のイソシアネート成分の例に挙げたように、芳香族イソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート、または脂環族ジイソシアネートを好ましく利用できるが、上述した化合物の中でも、4,4’−MDIが好ましい。
したがって、イソシアネート成分を構成するイソシアネート基末端プレポリマーとしては、第2のPTMGに、4,4’−MDIを反応させて得られるものが好ましい。イソシアネート基末端プレポリマーが、第2のPTMGに4,4’−MDIを反応させてなるプレポリマーであれば、PTMGの部分の結晶性が高くなる。そのため、反発弾性の高いウレタンフォームが得られやすいうえ、イソシアネート成分として、変性MDIと併用する際の相溶性が良好である。さらに、第2のPTMGに、4,4’−MDIを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、ポリオール成分として用いられた第1のPTMGと反応する際の混合性も良好で、分子構造が均一になりやすい。そのため、得られるウレタンフォームの品質の安定化を図ることができる。
(変性MDI)
変性MDIとしては、イソシアネート基含有率が25質量%以上33質量%以下のものを好ましく用いられる。これは、このような変性MDIが常温で液体であることから、イソシアネート成分の粘度を下げることができるためである。
イソシアネート基含有率が25質量%未満の変性MDIは、イソシアネート基末端プレポリマーとの混合時にNCO基含有率を高める効果が小さい。そのため、イソシアネート基含有率が25質量%未満の変性MDIを用いつつ、発泡性を十分に上げてフォームの低密度化を図るためには、当該変性MDIを極めて高い割合で混合しなければならない。しかしこの場合、製造されたポリウレタンフォームは、所望の耐屈曲性が得られない虞がある。一方、イソシアネート基含有率が33質量%を超える変性MDIは、非常に少量でNCO基含有率を高めることができる。しかし、変性MDIの量が少量になるために、イソシアネート基末端プレポリマーの粘度を低下させることができず、ポリオール成分である第1のPTMGと反応する際の混合性が悪くなる。
このような常温で液体である変性MDIの具体例としては、ポリメリック体(クルードMDI)、ウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体などが挙げられる。前述のポリオール成分との反応後の分子(架橋)構造が優れる点からは、変性MDIとして、ポリメリック体(クルードMDI)あるいはカルボジイミド変性体が選択されることが好ましい。
[発泡剤]
発泡剤としては、水(イオン交換水)を好ましく用いることができる。ポリウレタン原料組成物における発泡剤の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対し、0.5質量部以上3質量部以下が好ましい。添加量が0.5質量部未満であれば、発泡が不十分で、反発弾性は発揮するものの、衝撃吸収性に劣ってしまう傾向にある。添加量が3質量部を超えると、発泡しすぎて得られるポリウレタンフォームのセルが荒れ、その内部が割れやすいなどフォーム状態が劣るほか、反発弾性に劣る傾向にある。
[触媒]
触媒としては、ポリウレタンフォームを製造するために使用可能なものであればよく、特に限定されるものではない。触媒として、従来から使用されているものとしては、例えば、トリエチレンジアミン、もしくはジエタノールアミンなどのアミン系触媒、またはビスマス触媒などの金属触媒が挙げられる。ポリウレタン原料組成物における触媒の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましい。
[整泡剤]
整泡剤としては、ウレタンフォームで使用できるものであれば特に限定されない。スポーツシューズなどの激しい運動を行うための靴底部材としてウレタンフォームを使用する場合には、より高い反発弾性が必要となる。そのため、整泡剤として、粘度が300mPa・s(25℃)以上2000mPa・s(25℃)以下のシリコーン系化合物を用いることが好ましい。整泡剤として使用するシリコーン系化合物の粘度が300mPa・s(25℃)未満であると、整泡作用が弱く、セルが粗大化してしまい、高い反発弾性が得られにくい。一方、粘度が2000mPa・s(25℃)を超えると、ポリウレタン原料中に整泡剤を均一に分散しづらくなる。その結果、得られるフォームの気泡径が均一とならないばかりか、局所的に物性が変化してしまう(測定箇所によって物性値が変わってしまう)。これらの点を考慮して、整泡剤として使用するシリコーン系化合物の粘度は、600mPa・s(25℃)以上1000mPa・s(25℃)以下であることがより好ましい。なお、シリコーン系化合物の粘度は、B型回転粘度計で測定された値である。
整泡剤として添加するシリコーン系化合物の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対して、0.5質量部以上9質量部以下とされることが好ましい。シリコーン系化合物の添加量が0.5質量部未満であると、整泡作用が弱く、得られるポリウレタンフォームは、気泡径が大きく不均一化し、反発弾性が低く、所望の衝撃吸収性や耐久性が得られにくい。シリコーン系化合物の添加量が9質量部を超えると、得られるポリウレタンフォームが反発弾性に劣るものとなりやすくなってしまうだけでなく、フォーム表面から整泡剤が染み出すブリードアウトが生じ、他部材との接着を阻害するおそれもあるため、取扱い性に劣るものとなる虞がある。特に、シリコーン系化合物の添加量が5質量部を超えると、目的とする反発弾性、衝撃吸収性、耐久性は得られるものの、使用には問題ない程度にタック感(ベタベタ感)が生じる傾向がある。この点を考慮すれば、シリコーン系化合物の添加量は、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
[他の添加剤]
本発明のポリウレタンフォームを製造するためのポリウレタン原料組成物原料には、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒、整泡剤の他に、必要に応じて、さらに他の添加剤が添加されてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、脱泡剤、相溶化剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤などポリウレタンフォームの製造に際して一般的に使用可能な添加剤をあげることができる。他の添加剤の添加量は、本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜選択されてよい。
[ポリウレタンフォームの成形]
ポリウレタンフォームは、上述したポリウレタン原料組成物を、モールド成形で反応させて製造されることが好ましい。ここに、モールド成形とは、上記ポリウレタン原料(原液)をモールド(成形型)内に注入し、モールド内で発泡硬化させ、その後に脱型してフォームを得る方法である。
ポリウレタンフォームが、ポリウレタン原料組成物をモールド成形することで製造されることで、発泡時の圧縮効果により、気泡径を均一に細かくすることができる。また、ポリウレタン原料組成物をモールド成形する場合には、モールド内の容積に対するポリウレタン原料組成物の注入量によって、得られるポリウレタンフォームの密度の調整を容易に行うことができる。
なお、ポリウレタンフォームをモールド成形で製造するにあたり、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒および整泡剤が、スクリューを用いて混合されることで、ポリウレタン原料組成物が形成される。更に気泡径のばらつきのない、均一なポリウレタンフォームを得るためには、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒、整泡剤を混合する際のスクリュー回転数は、2000rpm以上20000rpm以下であることが好ましい。回転数が2000rpm未満だと、気泡径のばらつきが大きく、得られるポリウレタンフォームの耐屈曲性に劣る傾向にあり、一方20000rpmを超えると、固化速度が早くなり金型への注入が不完全のまま、硬化してしまう。
[ポリウレタンフォームの使用]
本発明のポリウレタンフォームは、衝撃吸収性および反発弾性の両方を兼ね備えた素材であり、しかも圧縮永久歪が小さく耐久性に優れるうえ、耐屈曲性が強く、硬度があり軽量性にも優れる。そのため本発明のポリウレタンフォームは、例えば、靴底部材として好適に利用することができる。靴底部材として使用される場合、ポリウレタンフォームは、アウトソール、ミッドソール、インソールのいずれについても利用することが可能である。ポリウレタンフォームを靴底部材に利用する場合、靴底全面に本発明のポリウレタンフォームを設けることはもちろんのこと、他の材料で形成したミッドソールに凹部を形成し、そこに本発明のポリウレタンフォームを挿入するなど、部分的に配置することも可能である。また、靴底としては、ミッドソールに本発明のポリウレタンフォームを使用し、その接地面側に防滑性を有するゴム素材からなるアウトソールを積層させてもよい。その場合、アウトソールは、ミッドソール接地面側の任意の箇所に配置してもよく、或いは、アウトソールの一部を切り欠くなどして接地面側のミッドソールを部分的に露出させてもよい。本発明のポリウレタンフォームを用いて構成されたミッドソールは、耐屈曲性に優れているため、ミッドソールとアウトソールとの境界部分に荷重がかかっても、ミッドソールに割れが生じることはない。
本発明のポリウレタンフォームは、靴底部材の他にも、ヘルメット内部、プロテクター、車両用の緩衝材料、床材など、衝撃吸収性、反発弾性、耐久性、耐屈曲性などが必要な用途に好適に使用することができる。
実施例1から3、7および8、比較例1、3、4、6
所定形状のモールドを準備し、表1及び表2に示すように、ポリオール成分、イソシアネート成分、触媒、発泡剤、および整泡剤を、スクリューを用いて撹拌することでそれらを混合しながらモールド内に注入した。スクリューの回転数は、3500rpmに設定された。モールド内に注入したポリウレタン原料組成物の量は、表1,2の「充填量」欄に示すとおりである。ポリウレタン原料組成物は、スクリューを用いたポリオール成分、イソシアネート成分、触媒、発泡剤、および整泡剤の混合により形成される。モールド内にポリウレタン原料組成物が注入された後、モールド温度40℃の条件下でポリウレタン原料組成物を反応させた。反応後、脱型してポリウレタンフォームを得た。なお、表1,2中の材料の配合を示す数値の単位は、質量部である。
なお、表1及び表2中におけるポリオール成分、イソシアネート成分、触媒、発泡剤、および整泡剤については、以下に示すとおりである。
[ポリオール成分]
ポリオール成分について、PTMG(第1のPTMG)は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量2000、水酸基価57.2mgKOH/g、平均官能基数2)であり、PPGは、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2200、水酸基価51mgKOH/g、平均官能基数2)である。
[触媒]
触媒について、アミン系触媒は、トリエチレンジアミン(東ソー(株)製、商品名TEDA−L33)であり、ビスマス系触媒は、ビスマス触媒(日本化学産業(株)製、商品名プキャット25)である。
[整泡剤]
整泡剤Aは、シリコーン系化合物(粘度900mPa・s(25℃))であり、整泡剤Bは、シリコーン系化合物(粘度250mPa・s(25℃))である。
[発泡剤]
発泡剤は、イオン交換水である。
[イソシアネート成分]
イソシアネート成分について、イソシアネート基末端プレポリマーは、第2のPTMGと4,4’−MDIを反応させたプレポリマー(数平均分子量1000、平均官能基数2、イソシアネート基含有率7.99%)であり、変性MDIは、カルボジイミド変性体(平均官能基数2、イソシアネート基含有率29.0%)である。
実施例4
スクリュー回転数を3000rpmとし、かつ充填量を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
実施例5
スクリュー回転数を15000rpmとし、かつ充填量を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
実施例6
スクリュー回転数を2500rpmとし、かつ充填量を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
比較例2
スクリュー回転数を1500rpmとし、かつ充填量を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
比較例5
整泡剤として整泡剤Bを用い、スクリュー回転数を1500rpm以外は、比較例3と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
実施例1から8および比較例1から6で得られたポリウレタンフォームについて、JIS K 7312に準拠しアスカーゴム硬度計C型を用いてポリウレタンフォームの硬度を測定した。また、実施例1から8および比較例1から6で得られたポリウレタンフォームを適宜裁断して試験片を作成し、試験片を用いて以下に示す測定を行った。結果は、表1、表2に示すとおりである。
(ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率)
ソフトセグメントとハードセグメントの存在比率(ソフトセグメント/ハードセグメント)は、上述したポリオール成分とイソシアネート成分の配合比に応じて特定された。
(見かけ密度)
ポリウレタンフォームから縦15mm、横15mm、厚み10mmの直方体を切り出して密度測定用試験片とし、この密度測定用試験片を用いてJIS K 7222に準拠して見かけ密度(g/cm)が測定された。
(平均気泡径)
ポリウレタンフォームを無作為選択された位置で切断して切断面を露出させた。切断面のうち、縦4mm、横3mmの矩形範囲を無作為に選択して選択領域とした。選択領域内に存在するセルの個数(全セルの個数)、及び各気泡径(セルの直径)を、マイクロスコープを用いて計測した。平均気泡径(μm)は、各気泡径から算出された算術平均値とした。
(気泡径が20μm以上300μm以下の範囲のセルの割合)
全セルの個数をa、気泡径が20μ以上300μm以下のセルの個数をbとした場合において、気泡径が20μm以上300μm以下の範囲のセルの割合(気泡径が20μ以上300μm以下のセルが全セルに対して占める個数割合)は、b/a×100(%)の式で求められる。ここでは、上記した平均気泡径を測定する際に特定される全セルの個数、および、気泡径が20μ以上300μm以下のセルの個数に基づき、気泡径が20μm以上300μm以下の範囲のセルの割合(%)が特定された。
(反発弾性率)
ポリウレタンフォームから直径29mm、厚み12.5mmの円柱状に切り出して反発弾性率測定用試験片とした。上記反発弾性率測定試験片を用いてJIS K 6255に準拠して反発弾性率(%)が測定された。
(最大衝撃荷重)
ポリウレタンフォームから縦70mm、横60mm、厚み12.5mmの直方体状に切り出して衝撃荷重測定用試験片とした。上記衝撃荷重測定用試験片を用いて落下衝撃試験により最大衝撃荷重が測定された。落下衝撃試験は、「dynatup GRC8200(Instron社製)」を用いて、図1に示すような砲弾状の錘W(鉄製、5.1kg)を50mmの高さから衝撃荷重測定用試験片に対し落下させ衝突させた際の最大衝撃荷重(kN)を特定することで実施された。
(圧縮永久歪)
ポリウレタンフォームから直径29mm、厚み12.5mmの円柱状に切り出して圧縮永久歪測定用試験片とした。上記圧縮永久歪測定試験片を用いて、圧縮率25%、40℃、24時間の条件下で、JIS K 6262に準拠して、圧縮永久歪(%)が測定された。
(耐屈曲性確認試験)
ポリウレタンフォームから縦120mm、横60mm、厚み6mmの直方体状に切り出してこれを屈曲用試験片とした。この屈曲用試験片に厚さ2mmの樹脂含浸ボード(ボンテックス社製、商品名 テキソンボード437)を接着した複合体を作成した。上記複合体を縦方向に沿った中央位置で複合体の半分を90°折り曲げる操作と複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した。そして、複合体における屈曲用試験片に亀裂の発生が認められるまで、曲げ戻し操作が繰りかえし実施され、亀裂の発生が認められたときの回数が測定された。なお、表1、2に結果が記載されているが、表1、2においては、1万回を単位として亀裂が発生したか否かについて記載をしている。具体的には、表1中、実施例1、2および比較例6では、10万回を超えて曲げ戻し操作を繰り返しても亀裂の発生が認められなかった。実施例3、4、6、および比較例3では、3万回を超えて4万回未満まで曲げ戻し操作を繰り返しても亀裂の発生が認められなかった。実施例5では、5万回を超えて6万回未満まで曲げ戻し操作を繰り返しても亀裂の発生が認められなかった。実施例7、比較例2、5では、2万回を超えて3万回未満まで曲げ戻し操作を繰り返しても亀裂の発生が認められなかった。実施例8では、8万回を超えて9万回未満まで曲げ戻し操作を繰り返しても亀裂の発生が認められなかった。比較例1では、4万回を超えて5万回未満まで曲げ戻し操作を繰り返しても亀裂の発生が認められなかった。比較例4では、曲げ戻し操作の繰り返しが1万回未満で亀裂の発生が認められた。
実施例1から8のいずれについても、ポリウレタンフォームは、0.5g/cm以下という低い見かけ密度でも、硬度が50以上65以下の範囲に保たれ、最大衝撃荷重(kN)が比較例1から6のいずれよりも低かった。すなわち実施例はいずれも、軽量性と硬度を維持しつつ衝撃吸収性に優れていることが明らかにされた。
Figure 2019172201
Figure 2019172201
W・・・錘

Claims (9)

  1. ポリオール成分から形成されるソフトセグメントとウレタン結合部を有する構造部から形成されるハードセグメントとを有するポリウレタンフォームであって、
    前記ソフトセグメントと前記ハードセグメントの存在比率が、前記ソフトセグメントと前記ハードセグメントの合計を100質量部とした場合における前記ハードセグメントに対する前記ソフトセグメントの質量比率で、70/30以上80/20以下の範囲であり、
    ポリウレタンフォームの平均気泡径が、30μm以上100μm以下であり、
    ポリウレタンフォーム内に形成された全ての気泡のうちの90%以上の個数の気泡が、20μm以上300μm以下の気泡径を有しており、
    JIS K 7222に準拠して測定されたポリウレタンフォームの見かけ密度が0.25g/cm以上0.50g/cm以下であり、
    JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定されたポリウレタンフォームの硬度が50以上65以下である、ことを特徴とするポリウレタンフォーム。
  2. 厚みが12.5mmとなるように形成された前記ポリウレタンフォームからなる試験片を準備し、該試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させた場合に、前記試験片への最大衝撃荷重が0.9kN以下である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
  3. 前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルポリオールを含む、請求項1又は2記載のポリウレタンフォーム。
  4. JIS K 6255に準拠して測定されたポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  5. JIS K 6262に準拠して測定されたポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  6. 縦が120mm、横が60mm、および、厚みが6mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備し、
    該ポリウレタンフォームに厚さが2mmの樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、前記複合体を縦方向に沿った中央位置で該複合体の半分を90°折り曲げる操作と該複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した場合に、前記ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が3万回以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  7. モールド成型体である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  8. 厚みが12.5mmとなるように形成されたポリウレタンフォームからなる試験片を準備し、該試験片に5.1kgの錘を50mmの高さから衝突させた場合に、前記試験片への最大衝撃荷重が0.9kN以下であり、
    JIS K 6255に準拠して測定されたポリウレタンフォームの反発弾性率が60%以上であり、
    JIS K 6262に準拠して測定されたポリウレタンフォームの圧縮永久歪率が20%以下であり、
    縦が120mm、横が60mm、および、厚みが6mmとなるように形成されたポリウレタンフォームを準備し、該ポリウレタンフォームに厚さが2mmの樹脂含浸ボードを接着した複合体を作成し、前記複合体を縦方向に沿った中央位置で該複合体の半分を90°折り曲げる操作と該複合体の半分を元の位置に戻す操作で構成される曲げ戻し操作を144回/分の速度で繰り返した場合に、前記ポリウレタンフォームに亀裂の発生が認められるまでの曲げ戻し操作の回数が3万回以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームを用いたことを特徴とする靴底部材。


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